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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20240501BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E05B85/16 A
B60J5/04 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020171404
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022063069
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】佐▲崎▼ 光宏
(72)【発明者】
【氏名】越智 啓太
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-160722(JP,A)
【文献】特開2007-046296(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01277900(EP,A1)
【文献】特開2000-226955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端側に設けられた軸受部と、前記第1方向の他端側に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延びるガイド孔と、前記ガイド孔の前記他端側に連通するように設けられた取付孔とを有するベースと、
前記軸受部に対して前記他端側から前記一端側に向けた挿入により取り付けられた軸着部と、前記ガイド孔に進退可能に挿通された操作部とを有し、前記ベースに対して前記軸着部回りに回転可能に支持されたハンドルレバーと、
前記取付孔に取り付けられ、前記ベースに保持された仮保持位置と、前記仮保持位置から前記ハンドルレバー側へ進出したセット位置との間を移動可能なキーシリンダと、
前記仮保持位置の前記キーシリンダを前記セット位置に移動させるための作動機構と、
前記キーシリンダに設けられ、前記操作部と対向する第1規制部と
を備え、
前記キーシリンダが前記仮保持位置にある状態で、前記第1規制部は、前記他端側から前記一端側に向けた前記ハンドルレバーの移動を許容し、
前記キーシリンダが前記セット位置にある状態で、前記第1規制部は、前記操作部との当接によって前記一端側から前記他端側に向けた前記ハンドルレバーの移動を規制する、
ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する向きへ突出した突起部を有し、
前記ベースは、前記ハンドルレバーの回転によって前記操作部が前記第1規制部に当接不可能な位置に移動した状態で、前記突起部との当接によって前記一端側から前記他端側に向けた前記ハンドルレバーの移動を規制する第2規制部を有する、
請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記第2規制部には、前記キーシリンダが前記仮保持位置にある状態で、前記第2規制部に対して前記他端側から前記一端側に向けた前記突起部の移動を許容する切欠部が設けられている、請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記第1規制部は、前記キーシリンダが前記セット位置にある状態で、前記操作部との当接によって、前記切欠部を通した前記突起部の移動を規制する、請求項3に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記作動機構は、外部からの操作によって第1位置から第2位置に移動可能なリテーナを備え、
前記キーシリンダ又は前記リテーナは、前記第1位置から前記第2位置に向けた前記リテーナの移動によって、前記仮保持位置の前記キーシリンダを前記セット位置に移動させる傾斜部を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
前記リテーナは、前記仮保持位置から前記セット位置に向けた前記キーシリンダの移動を、前記第1位置では規制して前記第2位置では許容する仮規制部を有する、請求項5に記載のドアハンドル装置。
【請求項7】
前記リテーナの移動方向は、前記キーシリンダの移動方向に対して交差している、請求項5又は6に記載のドアハンドル装置。
【請求項8】
前記ベースは、前記キーシリンダを前記仮保持位置に保持する仮保持部を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンドルサポートと、ハンドルサポートに回動可能に支持されたハンドルレバーとを備える自動車用ドアハンドルが開示されている。この自動車用ドアハンドルでは、ハンドルレバーの一端側に設けられたヒンジ要素と、ハンドルサポートのヒンジ要素とが係合することで、ハンドルレバーがハンドルサポートに回動可能に支持されている。
【0003】
ハンドルレバーがハンドルサポートに対して一端側から他端側に移動すると、ハンドルレバーのヒンジ要素がハンドルサポートのヒンジ要素から外れ、ハンドルレバーがハンドルサポートから抜け出すことがある。特許文献1では、ハンドルレバーがハンドルサポートに対して一端側から他端側に移動することを規制するために外側部品が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-226955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自動車用ドアハンドルでは、ハンドルレバーの一端側に設けられたヒンジ要素をハンドルサポートのヒンジ要素に係合させた後に、外側部品をハンドルサポートに組み付ける必要がある。このため、ハンドルサポートへのハンドルレバーの組み付け性に改善の余地がある。
【0006】
本発明は、ドアハンドル装置において、ハンドルレバーのベースへの組み付け性を確保しつつ、ハンドルレバーのベースからの抜け出しの規制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1方向の一端側に設けられた軸受部と、前記第1方向の他端側に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延びるガイド孔と、前記ガイド孔の前記他端側に連通するように設けられた取付孔とを有するベースと、前記軸受部に対して前記他端側から前記一端側に向けた挿入により取り付けられた軸着部と、前記ガイド孔に進退可能に挿通された操作部とを有し、前記ベースに対して前記軸着部回りに回転可能に支持されたハンドルレバーと、前記取付孔に取り付けられ、前記ベースに保持された仮保持位置と、前記仮保持位置から前記ハンドルレバー側へ進出したセット位置との間を移動可能なキーシリンダと、前記仮保持位置の前記キーシリンダを前記セット位置に移動させるための作動機構と、前記キーシリンダに設けられ、前記操作部と対向する第1規制部とを備え、前記キーシリンダが前記仮保持位置にある状態で、前記第1規制部は、前記他端側から前記一端側に向けた前記ハンドルレバーの移動を許容し、前記キーシリンダが前記セット位置にある状態で、前記第1規制部は、前記操作部との当接によって、前記一端側から前記他端側に向けた前記ハンドルレバーの移動を規制する、ドアハンドル装置を提供する。
【0008】
ベースに対してキーシリンダを仮保持位置に取り付けた状態で、ハンドルレバーの軸着部をベースの軸受部に取り付けた後、ハンドルレバーの操作部をベースのガイド孔に挿入する。続いて、作動機構によって仮保持位置のキーシリンダをセット位置に移動させることで、ハンドルレバーがベースに取り付けられる。
【0009】
キーシリンダが仮保持位置にある状態では、第1規制部は、第1方向の他端側から一端側に向けたハンドルレバーの移動を許容する。そのため、軸受部に軸着部を確実に取り付けることができ、ハンドルレバーのベースへの組付けを容易にできる。一方、キーシリンダがセット位置にある状態では、第1規制部は、操作部の当接によって、第1方向の一端側から他端側に向けたハンドルレバーの移動を規制する。そのため、軸受部から軸着部が外れ、ベースからハンドルレバーが抜け出すことを規制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドアハンドル装置において、ハンドルレバーのベースへの組み付け性を確保しつつ、ハンドルレバーのベースからの抜け出しを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の実施形態に係るドアハンドル装置の正面図。
図1B図1Aのドアハンドル装置の背面図。
図2】非操作状態のドアハンドル装置を図1BのII-II線に沿って切断した断面図。
図3】開操作状態のドアハンドル装置を図1BのIII-III線に沿って切断した断面図。
図4】ドアハンドル装置の分解斜視図。
図5】非操作状態のドアハンドル装置を図3と同じ位置で切断した部分断面図。
図6】非操作状態のドアハンドル装置を図1BのVI-VI線に沿って切断した部分断面図。
図7】非操作状態のドアハンドル装置を図1BのVII-VII線に沿って切断した部分断面図。
図8A】ベースの軸受部の周辺を示す斜視図。
図8B】ベースのガイド孔及び取付孔の周辺を示す正面図。
図9】ベースを図8BのIX-IX線に沿って切断した断面斜視図。
図10】ベースを図8BのX-X線に沿って切断した断面斜視図。
図11】ベースの後側部分を示す側面図。
図12A】組付完了位置に配置したリテーナとベースを図11のXII-XII線に沿って切断した部分断面図。
図12B】組付作業位置に配置したリテーナとベースを図12Aと同じ位置で切断した部分断面図。
図13】ハンドルレバーの斜視図。
図14A】キーシリンダとリテーナの分解斜視図。
図14B図14Aとは異なる方向から見たキーシリンダとリテーナの分解斜視図。
図15A】組み立て作業の第1工程でのドアハンドル装置を図2と同じ位置で切断した断面図。
図15B】組み立て作業の第1工程でのドアハンドル装置を図3と同じ位置で切断した部分断面図。
図15C】組み立て作業の第1工程でのドアハンドル装置を図6と同じ位置で切断した部分断面図。
図15D】組み立て作業の第1工程でのドアハンドル装置を図7と同じ位置で切断した部分断面図。
図16A】組み立て作業の第2工程でのドアハンドル装置を図2と同じ位置で切断した断面図。
図16B】組み立て作業の第2工程でのドアハンドル装置を図3と同じ位置で切断した部分断面図。
図17A】組み立て作業の第3工程でのドアハンドル装置を図2と同じ位置で切断した断面図。
図17B】組み立て作業の第3工程でのドアハンドル装置を図3と同じ位置で切断した部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1A及び図1Bは、車両のドアに取り付けた本発明の実施形態に係るドアハンドル装置5を示す。本実施形態のドアハンドル装置5は、車両右側のサイドドア用である。
【0014】
以下の説明では、ドアハンドル装置5が車両のドアパネル1に固定された状態における車両の前後方向、車両の幅方向、及び車両の上下方向をそれぞれ、単に「前後方向」、「車幅方向」、及び「上下方向」という場合がある。各図において、X軸は前後方向(第1方向)に延びており、矢印X1が前側(一端側)を示し、矢印X2が後側(他端側)を示す。各図において、Y軸は車幅方向(第2方向)に延びており、矢印Y1が車内側を示し、矢印Y2が車外側を示す。各図において、Z軸は上下方向(第3方向)に延びており、矢印Z1が上側を示し、矢印Z2が下側を示す。
【0015】
図1A及び図2を参照すると、ドアパネル1は、ドアハンドル装置5を取り付ける部分に、車内側Y1へ窪む楕円状の凹部1aを備える。凹部1aの前側X1にはドアパネル1を貫通した第1開口部1bが設けられ、凹部1aの後側X2にはドアパネル1を貫通した第2開口部1cが設けられている。第1開口部1bと第2開口部1cは前後方向Xに間隔をあけて位置する。
【0016】
図2から図4を参照すると、ドアハンドル装置5は、ドアパネル1に固定されるベース10と、ベース10に対して回転可能に支持されたハンドルレバー20と、ベース10に取り付けられたキーシリンダ30とを備える。
【0017】
図1Bを参照すると、ドアハンドル装置5は、ドアパネル1の車内側Y1に配置されたドアロック装置2に機械的に接続されている。具体的には、キーシリンダ30がドアロック装置2のロック機構に接続され、ハンドルレバー20がドアロック装置2のラッチ機構を作動させるオープンレバーに接続される。
【0018】
図2及び図3は、ドアハンドル装置5の組付完了状態を示している。そのうち、図2はハンドルレバー20を開操作していない状態(非操作状態)を示し、図3はハンドルレバー20を車外側Y2へ回転させた状態(開操作状態)を示している。また、図5から図7は、非操作状態のドアハンドル装置5の一部を示している。
【0019】
ドアハンドル装置5の組立時、ハンドルレバー20は、ベース10に対して後側X2から前側X1に差し込むように取り付けられる(図15A図16A及び図17A参照)。本実施形態のドアハンドル装置5には、図2及び図3に示す組付完了状態で、ハンドルレバー20を取り付ける向き(前側X1)とは逆向き(後側X2)のハンドルレバー20の移動を規制するために、第1規制部36と第2規制部15が設けられている。
【0020】
第1規制部36は、キーシリンダ30に設けられ、図2に示すハンドルレバー20の非操作状態で、ハンドルレバー20の操作部21cとX方向に対向し、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する。第2規制部15は、ベース10に設けられ、図3に示すハンドルレバー20の開操作状態で、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する。
【0021】
本実施形態のキーシリンダ30は、ベース10に対して車幅方向Yに進退可能に取り付けられている。ドアハンドル装置5には、図15A図16A及び図17Aに示す後退位置(仮保持位置)のキーシリンダ30を、図2及び図3に示す進出位置(セット位置)に移動させるための作動機構であるリテーナ40が設けられている。
【0022】
以下、ドアハンドル装置5が備える構成部品について具体的に説明する。
【0023】
(ベースの構成)
図2から図4図8A図8B図9から図11図12A及び図12Bを主に参照して、ベース10の構成を説明する。
【0024】
図2から図4を参照すると、ベース10は、樹脂製であり、前後方向Xに延びるようにドアパネル1の車内側Y1に配置され、ドアパネル1に対してネジ(図示せず)により固定されている。ベース10の前側X1には、ハンドルレバー20の軸着部21bが取り付けられる軸受部11が設けられている。ベース10の後側X2には、ハンドルレバー20の操作部21cが挿通されるガイド孔12と、キーシリンダ30が取り付けられる取付孔13とが設けられている。
【0025】
図2及び図4を参照すると、軸受部11は、ベース10を車幅方向Yに貫通し、第1開口部1bに連通するとともに軸着部21bが挿通される孔11aを備える。図8Aを参照すると、孔11a内には、ハンドルレバー20を回転可能に支持する一対の軸部11bが設けられている。一対の軸部11bは、それぞれ孔11a内に突出する円柱状であり、上下方向Zに互いに対向し、同軸状に配置されている。
【0026】
図2及び図4を参照すると、ガイド孔12は、ベース10を車幅方向Yに貫通して設けられた概ね直方体状の空間であり、第2開口部1cに連通している。図8B図9及び図10を参照すると、ガイド孔12内には、ハンドルレバー20の車外側Y2への回転を規制する一対のストッパ部12aが設けられている。一対のストッパ部12aは、上下方向Zに対向するように設けられ、ガイド孔12内に突出している。ストッパ部12aは、XZ平面に沿って延びる面状の当接部12bを備える。ハンドルレバー20が備える突起部21dが当接部12bに当接することで、車外側Y1に向けたハンドルレバー20の回転が規制される。
【0027】
図3図9及び図10を参照すると、ガイド孔12内には、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する第2規制部15が設けられている。第2規制部15は、ハンドルレバー20の回転(開操作)によってハンドルレバー20の操作部21cが第1規制部36に当接不可能な位置に移動した状態で、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する。
【0028】
より具体的には、第2規制部15は、互いに対向するようにガイド孔12の孔壁から内向きに突出し、車幅方向Yに延びるリブである。本実施形態の第2規制部15は、ストッパ部12aの後側X2の端部から車内側Y1に向けて延設されている。第2規制部15は、ハンドルレバー20の突起部21dの当接によって、ハンドルレバー20の後側X2への移動を規制する。図2及び図3を参照すると、第2規制部15は、ハンドルレバー20の非操作状態及び開操作状態のいずれの場合でも、突起部21dよりも後側X2に位置する。
【0029】
図5図9及び図10を参照すると、第2規制部15の車内側Y1には、切欠部15aが設けられている。具体的には、第2規制部15は、ガイド孔12の車内側Y1の端部までは延設されていない。この第2規制部15の非形成部分が切欠部15aである。切欠部15aは、第2規制部15を跨いで、ハンドルレバー20の突起部21dが前後方向Xに移動することを許容する。
【0030】
図8B図9及び図10を参照すると、取付孔13は、ガイド孔12の後側X2に隣接して設けられ、ガイド孔12に対して空間的に連通している。取付孔13は、ベース10を車幅方向Yに貫通し、第2開口部1cに連通している。ドアパネル1の第2開口部1cは、ガイド孔12と取付孔13を取り囲む形状である。取付孔13の車外側Y2の端には、貫通孔16aを備えるキャップ16が取り付けられている。
【0031】
取付孔13内には、キーシリンダ30を仮保持位置(図15C参照)に保持する一対の仮保持部13aが設けられている。図9及び図10を参照すると、仮保持部13aはそれぞれ、取付孔13の前側X1と後側X2に設けられている。個々の仮保持部13aは、前後方向Xに弾性的に変形可能な弾性片13bと、キーシリンダ30を係止する係止爪13cとを備える。弾性片13bは片持ち梁状であり、車内側Y1の端が取付孔13の孔壁に連続し、車外側Y2が自由端である。係止爪13cは、弾性片13bの車外側Y2に設けられ、取付孔13内へ突出している。
【0032】
ベース10の後側X2の端部には、リテーナ40を取り付ける取付部14が設けられている。図11図12A及び図12Bを参照すると、取付部14は、取付孔13との間を仕切る仕切壁14aと、四方を取り囲む外周壁14dとで画定され、後側X2の端が開放されている。仕切壁14aの上下両側には、前後方向Xに貫通した貫通孔14b,14cが設けられている。貫通孔14b,14cには、リテーナ40の後述する上側部42と下側部43がそれぞれ貫通される。つまり、貫通孔14b,14cは、取付部14から取付孔13内への上側部42と下側部43の配置を許容する。
【0033】
(ハンドルレバーの構成)
図2から図5及び図13を主に参照してハンドルレバー20の構成を説明する。
【0034】
図2から図4を参照すると、ハンドルレバー20は、樹脂製であり、前後方向Xに延びるようにドアパネル1の車外側Y2に配置されている。ハンドルレバー20は、図示しないスプリング(付勢部材)によって、図3に示す開操作位置から図2に示す非操作位置に付勢されている。
【0035】
ハンドルレバー20は、レバー本体21と、レバー本体21の車外側Y2の表面を覆うハンドルカバー22とを備える。レバー本体21とハンドルカバー22は、ネジ23により固定されている。レバー本体21とハンドルカバー22で画定された内部空間には、ユーザが携帯する電子キーと車両が通信を行うためのアンテナ(図示せず)が収容されている。
【0036】
レバー本体21は、前側X1に一体に設けられたアーム部21aと、後側X2に一体に設けられた操作部21cとを備える。
【0037】
アーム部21aは、L字状であり、車内側Y1へ突出し、屈曲部を介して前側X1に延びている。図13に最も明瞭に示すように、アーム部21aの先端(前側X1の端部)には、軸受部11に取り付けられる軸着部21bが設けられている。軸着部21bは、アーム部21aの上下面に形成された半長円形状で一対の凹溝からなり、軸受部11の一対の軸部11b(図8A参照)にそれぞれ軸着される。軸着部21bの先端(前側X1)は開口している。軸着部21bの内形は、ベース10の軸部11bの外形よりも僅かに大きく形成されている。
【0038】
アーム部21aを軸受部11の孔11aに差し込み、ハンドルレバー20を後側X2から前側X1へ挿入することで、軸部11bに軸着部21bを取り付けることができる(図15A図16A及び図17A参照)。これにより、ハンドルレバー20は、ベース10に対して上下方向に延びる軸線L回りに回転可能に支持される。
【0039】
操作部21cは、概ね直方体状をなし、車内側Y1に突出している。この操作部21cがドアロック装置2(図1B参照)のオープンレバーに接続されている。操作部21cの外形は、ベース10のガイド孔12(図8B参照)を画定する孔壁の内形よりも小さい。これにより、操作部21cは、ベース10のガイド孔12に対して車幅方向Yに進退可能に挿通される。
【0040】
図5及び図13を参照すると、操作部21cの車内側Y1の端部は、図2に示すハンドルレバー20の非操作状態で、ガイド孔12の車内側Y1の端部近傍に位置する。操作部21cの車内側Y2の端部には、一対の突起部21dが設けられている。一対の突起部21dは、前後方向X及び車幅方向Yに対して交差する向きZ1,Z2にそれぞれ突出している。図3を参照すると、突起部21dがベース10の当接部12bに当接することで、それ以上の車外側Y2に向けたハンドルレバー20の回転が規制される。また、突起部21dがベース10の第2規制部15に当接することで、ハンドルレバー20の後側X2への移動が規制される。
【0041】
図2及び図4を参照すると、ハンドルカバー22は、ドアパネル1の第1開口部1bから第2開口部1cまでを覆う。図2に示す非操作状態で、ハンドルカバー22は第2開口部1c内に位置するキーシリンダ30を覆い隠す。図3に示す開操作状態で、ハンドルカバー22の後側X2はドアパネル1から離間し、これらの隙間からキーシリンダ30を露出させる。車両に搭載されたバッテリが電力不足の場合、図3に示す開操作状態で、隙間からキーシリンダ30にメカキーを差し込むことで、キーシリンダ30を操作できる。
【0042】
(キーシリンダの構成)
図2から図7図14A及び図14Bを主に参照してキーシリンダ30の構成を説明する。
【0043】
図2及び図14Aを参照すると、キーシリンダ30は、メカキーを差し込む差込穴31と、メカキーの操作によって回転する回転軸32とを備える。この回転軸32がドアロック装置2のロック機構に接続されている。
【0044】
図2図3図5から図7は、ドアロック装置5の組付完了状態を示している。図15Aから図15Dはベース10にハンドルレバー20を組み付ける作業の第1工程を示し、図16A及び図16Bはベース10にハンドルレバー20を組み付ける作業の第2工程を示し、図17A及び図17Bはベース10にハンドルレバー20を組み付ける作業の第3工程を示している。
【0045】
図5及び図17Bを参照すると、キーシリンダ30は、ベース10の取付孔13に対して車幅方向Yへ進退可能に取り付けられている。より具体的には、キーシリンダ30は、図15A図16A及び図17Aに示す組付作業状態での後退位置(仮保持位置)と、図2に示す組付完了状態での進出位置(セット位置)との間を移動可能である。セット位置のキーシリンダ30は、仮保持位置のキーシリンダ30よりもハンドルレバー20側(車外側Y2)へ進出している。
【0046】
図15Cを参照すると、仮保持位置のキーシリンダ30は、ベース10が備える仮保持部13aに離脱不可能に保持されている。図14A及び図14Bを参照すると、キーシリンダ30の前側部30aと後側部30bには、仮保持部13aの係止爪13cが係止する係止部33がそれぞれ設けられている。係止部33の車内側Y1には、車外側Y2へのキーシリンダ30の移動を許容するための溝33aが形成されている。言い換えれば、キーシリンダ30の前側部30aと後側部30bに、前後方向Xに窪み、車幅方向Yに延びる溝33aを設けることで、この溝33aの車外側Y2の端に係止部33が形成されている。
【0047】
車内側Y1から車外側Y2へキーシリンダ30を取付孔13に挿入することで、図15Cに示すように、係止部33にベース10の係止爪13cが係止する。これにより、車内側Y1に向けたキーシリンダ30の脱落が阻止される。仮保持位置(図15C参照)のキーシリンダ30がセット位置に移動されると、図6に示すように、ベース10の係止爪13cから係止部33が離間し、ベース10の係止爪13cは溝33a内に位置する。
【0048】
図2及び図14Aを参照すると、キーシリンダ30の前側部30aには、非操作状態で前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する第1規制部36が設けられている。第1規制部36は、ハンドルレバー20の操作部21cとの当接によって後側X2へのハンドルレバー20の移動を規制する。
【0049】
第1規制部36は、直方体状であり、ハンドルレバー20の操作部21cに向けて前側X1へ突出している。第1規制部36のうち最も前側X1に位置する端面が、操作部21cに当接する当接部36aである。当接部36aと操作部21cの間の隙間は、軸部11bと軸着部21bの組付代(軸着部21bの前後方向の長さ)よりも小さい。
【0050】
図5を参照すると、第1規制部36は、キーシリンダ30がセット位置にある状態では、操作部21cの車内側Y1の端部よりも車外側Y2に位置し、操作部21cとの当接によって非操作位置のハンドルレバー20の後側X2への移動を規制する。また、第1規制部36は、車幅方向Yにおいて切欠部15aと対応する位置の後側X2に位置し、切欠部15aを通した後側X2への突起部21dの移動を、操作部21cの当接によって規制する。
【0051】
図15Bを参照すると、キーシリンダ30が仮保持位置にある状態では、第1規制部36は、図5に示すセット位置よりも車内側Y1へ後退し、取付孔13の車内側Y1の端部近傍に位置する。この状態で第1規制部36は、軸受部11に軸着部21bを取り付ける向きである後側X2から前側X1に向けたハンドルレバー20の移動、及びハンドルレバー20の逆向きの移動を許容する。つまり、キーシリンダ30が仮保持位置にある状態で第1規制部36は、切欠部15aを通した突起部21dの前後方向Xの移動を許容する。
【0052】
図14Aを参照すると、キーシリンダ30の上側部30cには、仮保持位置(図17B参照)のキーシリンダ30をセット位置(図5参照)に移動させるための嵌合凹部34が設けられている。嵌合凹部34は、下側Z2に窪み、前側X1が開口した三角形状の溝である。嵌合凹部34には、車外側Y2に位置する部分に、前側X1から後側X2に向けて車内側Y1へ傾斜した傾斜部34aが設けられている。
【0053】
図14A及び図14Bを参照すると、キーシリンダ30の外側部30dには、XZ平面に沿って延びる面状の係止部35が設けられている。リテーナ40の後述する仮規制部43dが係止部35に当接することで、仮保持位置(図15D参照)からセット位置(図7参照)に向けたキーシリンダ30の移動が規制される。
【0054】
(リテーナの構成)
図2から図5図12A図12B図14A及び図14Bを主に参照してリテーナ40の構成を説明する。
【0055】
リテーナ40は、ベース10の取付部14に対して前後方向Xへ進退可能に取り付けられている。より具体的には、リテーナ40は、図12B及び図17Bに示す組付作業位置(第1位置)と、図12A及び図5に示す組付完了位置(第2位置)との間を移動可能である。組付完了位置のリテーナ40は、組付作業位置のリテーナ40よりも後側X2に位置している。組付作業位置から組付完了位置への移動によって、リテーナ40は、仮保持位置(図17B参照)のキーシリンダ30をセット位置(図5参照)に移動させる。
【0056】
図14A及び図14Bを参照すると、リテーナ40は、樹脂製であり、キーシリンダ30の後側X2に位置する後側部41と、キーシリンダ30の上側Z1に位置する上側部42と、キーシリンダ30の下側Z2に位置する下側部43とを備える。
【0057】
後側部41には、ネジ45が螺合されるネジ孔41aが設けられている。ネジ45の先端には、ベース10の仕切壁14aに当接する円盤状の当接部45aが設けられている。仕切壁14aに当接部45aが当接した状態で、ネジ孔41aに対してネジ45を締め付けることにより、図12B及び図17Bに示す組付作業位置のリテーナ40が、図12A及び図5に示す組付完了位置に向けて後側X2へ移動する。
【0058】
図12A及び図12Bを参照すると、上側部42は、ベース10の貫通孔14bを貫通し、仕切壁14aの後側X2から取付孔13内へ突出している。上側部42のうち、キーシリンダ30と対向する内側面には、キーシリンダ30に向けて突出し、嵌合凹部34に嵌合する嵌合凸部42aが設けられている。嵌合凸部42aには、車外側Y2に位置する部分に、前側X1から後側X2に向けて車内側Y1へ傾斜し、嵌合凹部34の傾斜部34aに対応する傾斜部42bが設けられている。
【0059】
図12B及び図17Bに示すように、リテーナ40が組付作業位置にあり、キーシリンダ30が仮保持位置にある状態では、嵌合凸部42aは、嵌合凹部34に嵌合することなく、嵌合凹部34の前側X1に間隔をあけて位置する。また、この状態では、嵌合凹部34の傾斜部34aは、嵌合凸部42aの傾斜部42bよりも車内側Y1に位置する。
【0060】
ネジ45の締め付けによって、図12B及び図17Bに示す組付作業位置のリテーナ40を図12A及び図5に示す組付完了位置に向けて移動させると、嵌合凸部42aの傾斜部42bと嵌合凹部34の傾斜部34aとが当接し、これらの傾斜によって仮保持位置のキーシリンダ30がセット位置に移動する。図12A及び図5に示すように、リテーナ40の組付完了位置では、嵌合凸部42aと嵌合凹部34が完全に嵌合することで、車内側Y1及び車外側Y2に向けたキーシリンダ30の移動が規制される。
【0061】
図12A及び図12Bを参照すると、下側部43は、ベース10に設けられた貫通孔14cを貫通し、仕切壁14aの後側X2から取付孔13内へ突出している。図14A及び図14Bを参照すると、下側部43には、前側X1の端部から後側X2の端部にかけて延びる挿通溝43aが設けられている。挿通溝43aによって下側部43は、車内側Y1に位置する第1部分43bと、車外側Y2に位置する第2部分43cとに分割されている。
【0062】
下側部43の第2部分43cには、仮保持位置(図15D参照)のキーシリンダ30がセット位置(図7参照)に移動することを規制する仮規制部43dが設けられている。図14Bを参照すると、仮規制部43dは、第1部分43bに向けて突出しており、第2部分43cのうち後側X2の端部に設けられ、後側部41に連なっている。図15Dに示すように、リテーナ40が組付作業位置にある状態で、仮規制部43dは、キーシリンダ30の係止部35に当接し、車外側Y2に向けたキーシリンダ30の移動を規制する。図7に示すように、リテーナ40が組付完了位置にある状態で、仮規制部43dは、キーシリンダ30の係止部35から離間し、車外側Y2に向けたキーシリンダ30の移動を許容する。
【0063】
(ドアハンドル装置の組み付け)
次に、図2図5から図7図15Aから図15D図16A図16B図17A図17Bを参照して、ドアハンドル装置5の組み立て作業について説明する。
【0064】
まず、図15Aに示すように、リテーナ40を組付作業位置に配置した後、車内側Y1から取付孔13にキーシリンダ30を挿入する。図15Dに示すように、キーシリンダ30の挿入は、係止部35がリテーナ40の仮規制部43dに当接するまで行われる。これらが当接すると、図15Cに示すように、ベース10の仮保持部13aがキーシリンダ30の係止部33に係止し、ベース10に対してキーシリンダ30が仮保持位置に保持される。この状態では、図15Bに示すように、リテーナ40の嵌合凸部42aは、キーシリンダ30の嵌合凹部34に嵌合することなく、前側X1に間隔をあけて位置している。
【0065】
続いて、図15Aに示すように、車外側Y2からドアパネル1の第1開口部1bを通して、ドアパネル1に固定されたベース10の軸受部11にハンドルレバー20のアーム部21aを差し込む。
【0066】
その後、車外側Y2からドアパネル1の第2開口部1cを通して、ハンドルレバー20の操作部21cをベース10のガイド孔12に挿入する。この際、図15Bに示すように、操作部21cから突出した突起部21dは、第2規制部15の後側X2に配置され、車内側Y1へ押し込まれる。この押し込みは操作部21cが第1規制部36に当接するまで行われ、これらの当接状態では突起部21dが切欠部15aに位置する。
【0067】
続いて、図16Aに示すように、ベース10に対してハンドルレバー20を後側X2から前側X1へ移動させる。これにより、ハンドルレバー20の軸着部21bがベース10の軸部11bに嵌合する。また、図16Bに示すように、突起部21dが、切欠部15aを通して第2規制部15の後側X2から前側X1に移動する。また、操作部21cは、第1規制部36との当接が解除され、第1規制部36の前側X1に間隔をあけて位置する。
【0068】
その後、図17A及び図17Bに示すように、ガイド孔12に沿って操作部21cを奥(車内側Y1の端)まで押し込む。
【0069】
最後に、リテーナ40に対してネジ45を締め付ける。これにより、リテーナ40は、図17Bに示す組付作業位置から図5に示す組付完了位置に向けて後側X2へ移動する。図7に示すように、リテーナ40の移動によって仮規制部43dは、係止部35と当接不可能な領域に位置する。また、図5に示すように、リテーナ40の移動によって嵌合凸部42aがキーシリンダ30の嵌合凹部34に嵌合することで、図17Bに示す仮保持位置のキーシリンダ30が図5に示すセット位置に移動する。
【0070】
組み立てが完了したドアハンドル装置5では、第1規制部36が車幅方向Yにおける切欠部15aと対応する位置の後側X2に位置する。そして、組付完了状態かつ図2に示す非操作状態で、ハンドルレバー20が前側X1から後側X2に向けて移動すると、ハンドルレバー20の操作部21cがキーシリンダ30の第1規制部36に当接する。また、組付完了状態かつ図3に示す開操作状態で、ハンドルレバー20が前側X1から後側X2に向けて移動すると、ハンドルレバー20の突起部21dがベース10の第2規制部15に当接する。これにより、非操作状態及び開操作状態のいずれの場合でも、ハンドルレバー20の後側X2への移動を規制し、ベース10からハンドルレバー20の抜けだしを防止できる。
【0071】
このように構成したドアハンドル装置5は、以下の特徴を有する。
【0072】
キーシリンダ30が備える第1規制部36は、キーシリンダ30が仮保持位置にある状態で、後側X2から前側X1に向けたハンドルレバー20の移動を許容する。そのため、軸受部11に軸着部21bを確実に取り付けることができ、ハンドルレバー20のベース10への組付けを容易にできる。一方、第1規制部36は、キーシリンダ30がセット位置にある状態で、操作部21cとの当接によって、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する。そのため、軸受部11から軸着部21bが外れ、ベース10からハンドルレバー20が抜け出すことを規制できる。つまり、本実施形態では、ハンドルレバー20のベース10への組み付け性を確保しつつ、ハンドルレバー20のベース10からの抜け出しを規制できる。
【0073】
操作部21cが備える突起部21dとの当接によって、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制する第2規制部15を有する。そのため、ハンドルレバー20の回転によって操作部21cが第1規制部36に当接不可能な位置に移動した状態でも、後側X2へのハンドルレバー20の移動を規制できる。また、第1規制部36と第2規制部15によって、ハンドルレバー20のベース10からの抜け出しを広い範囲で規制できる。
【0074】
キーシリンダ30が仮保持位置にある状態で、第2規制部15に対して後側X2から前側X1に向けた突起部21dの移動を許容する切欠部15aが設けられている。そのため、切欠部15aを通して第2規制部15の後側X2から前側X1に突起部21dを配置できる。
【0075】
キーシリンダ30がセット位置にある状態で、第1規制部36は、操作部21cとの当接によって、切欠部15aを通した突起部21dの移動を規制する。そのため、組付状態で、ベース10からのハンドルレバー20の抜け出しを確実に防止できる。
【0076】
外部からの操作によって組付作業位置から組付完了位置に移動可能なリテーナ40を備え、キーシリンダ30又はリテーナ40は、リテーナ40の移動によって仮保持位置のキーシリンダ30をセット位置に移動させる傾斜部を有する。よって、仮保持位置のキーシリンダ30を簡単にセット位置に移動させて固定できるため、ドアハンドル装置5の組み付け性を向上できる。
【0077】
リテーナ40は、仮保持位置からセット位置に向けたキーシリンダ30の移動を、組付作業位置では規制して組付完了位置では許容する仮規制部43dを有する。そのため、ハンドルレバー20をベース10に装着する際、キーシリンダ30が不意にセット位置に移動し、ハンドルレバー20の組み付けに支障をきたすことを防止できる。よって、ベース10に対するハンドルレバー20の組み付け性を向上できる。
【0078】
リテーナ40の移動方向(前後方向X)は、キーシリンダ30の移動方向(車幅方向Y)に対して交差している。そのため、外部からのリテーナ40(ネジ45)の操作によってキーシリンダ30を確実に移動できる。
【0079】
ベース10は、キーシリンダ30を仮保持位置に保持する仮保持部13aを有する。そのため、ベース10に対するハンドルレバー20の組み付け性を向上できる。
【0080】
なお、本発明のドアハンドル装置5は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、ベース10に第2規制部15を設けることなく、キーシリンダ30に設けた第1規制部36のみによって、前側X1から後側X2に向けたハンドルレバー20の移動を規制してもよい。
【0082】
作動機構はリテーナ40に限られず、仮保持位置のキーシリンダ30をセット位置に移動できる構成であれば、必要に応じて変更可能である。また、キーシリンダ30を移動させる傾斜部は、リテーナ40及びキーシリンダ30のうち、いずれか一方のみに設けてもよい。また、キーシリンダ30を移動させる構造は傾斜部に限られず、必要に応じて変更が可能である。
【0083】
仮保持位置からセット位置に向けたキーシリンダ30の移動を規制する仮規制部43dの構成、及びキーシリンダ30を仮保持位置に保持する仮保持部13aの構成は、必要に応じて変更が可能である。また、仮規制部43dと仮保持部13aは設けなくてもよい。
【0084】
軸着部21bを凹溝にて構成し、軸受部11に凹溝に軸着される軸部11bを設けたが、軸受部11を凹溝にて構成し、軸着部21bに軸部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 ドアパネル
1a 凹部
1b 第1開口部
1c 第2開口部
2 ドアロック装置
5 ドアハンドル装置
10 ベース
11 軸受部
11a 孔
11b 軸部
12 ガイド孔
12a ストッパ部
12b 当接部
13 取付孔
13a 仮保持部
13b 弾性片
13c 係止爪
14 取付部
14a 仕切壁
14b 貫通孔
14c 貫通孔
14d 外周壁
15 第2規制部
15a 切欠部
16 キャップ
16a 貫通孔
20 ハンドルレバー
21 レバー本体
21a アーム部
21b 軸着部
21c 操作部
21d 突起部
22 ハンドルカバー
23 ネジ
30 キーシリンダ
30a 前側部
30b 後側部
30c 上側部
30d 外側部
31 差込穴
32 回転軸
33 係止部
33a 溝
34 嵌合凹部
34a 傾斜部
35 係止部
36 第1規制部
36a 当接部
40 リテーナ(作動機構)
41 後側部
41a ネジ孔
42 上側部
42a 嵌合凸部
42b 傾斜部
43 下側部
43a 挿通溝
43b 第1部分
43c 第2部分
43d 仮規制部
45 ネジ
45a 当接部
X1 前側(一端側)
X2 後側(他端側)
Y1 車内側
Y2 車外側
Z1 上側
Z2 下側
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17A
図17B