(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】疑似体験を利用した「つもり貯金」システム、「つもり貯金」の方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020174991
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 颯
(72)【発明者】
【氏名】岩藤 沙英
(72)【発明者】
【氏名】志村 友
(72)【発明者】
【氏名】李 晨陽
(72)【発明者】
【氏名】藁科 光樹
(72)【発明者】
【氏名】飛田 優輝
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-050908(JP,A)
【文献】特開2002-334218(JP,A)
【文献】特表2019-534485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに商品又はサービス(以下、商品等)を疑似体験させることで、前記ユーザに前記商品等を実際に購入したつもりにさせて、「つもり貯金」のサービスを提供するシステムであって、
前記商品等の提供者であるストアから前記商品等の疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得する商品等データ取得部と、
前記取得した商品等データに基づいて作成された疑似体験コンテンツに対して前記ユーザの閲覧情報を管理する閲覧情報管理部と、
前記疑似体験コンテンツを閲覧するユーザにコンテンツの閲覧料を課金するとともに、前記ユーザが登録した所定の貯金額を金融機関の前記ユーザの口座に入金させる「つもり貯金」管理部と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記疑似体験コンテンツは、前記金融機関又は前記ストアと提携したコンテンツ作成事業者によって、仮想現実及び/又は拡張現実の技術を用いて作成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記「つもり貯金」は、前記ユーザの総合口座に仮想的に設けた仮想貯金箱で管理され、所定のタイミングで前記仮想貯金箱の残高を前記ユーザの定期口座又は積立口座に移動することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記疑似体験コンテンツを閲覧したユーザに対して、実際の商品等の料金から疑似体験料金を割引いた割引情報を送信することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記閲覧情報管理部は、前記疑似体験の閲覧情報及びその集計データを、前記ストア及び/又は前記金融機関に提供することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記疑似体験を購入したユーザが実際の同じ商品等を購入した割合を算出し、前記疑似体験コンテンツの実際の商品等に対する販売貢献率を算出することを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
ユーザに商品又はサービス(以下、商品等)を疑似体験させることで、前記ユーザに前記商品等を購入したつもりにさせて、「つもり貯金」のサービスを提供する方法であって、
前記商品等の提供者であるストアから、前記商品等の疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得するステップと、
前記取得した商品等データに基づいて作成された疑似体験コンテンツに対して前記ユーザの閲覧情報を管理するステップと、
前記疑似体験コンテンツを閲覧するユーザにコンテンツの閲覧料を課金するとともに、前記ユーザが設定した所定の貯金額を金融機関の前記ユーザの口座に入金させるステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「つもり貯金」を行うためのシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、仮想現実(VR:Virtual Reality)や拡張現実(AR:Augmented Reality)の技術を用いた疑似体験を提供するシステムが開示されている。例えば、特許文献1には、視聴者端末で配信コンテンツを再生させることで、配信者が体験した内容を疑似体験させる情報処理システムが開示されている。このシステムによれば、取得された配信コンテンツを解析して有害情報を抽出し、有害情報を抽出したことに応じて、抽出された有害情報が認識不可能な状態となる様に、配信コンテンツを加工する。また、課金管理部は、有料コンテンツの視聴について課金の可否を確認する旨を視聴者端末に問合せ、課金に応じる旨の応答が有れば、課金サーバに課金処理の実行を要求し、課金に応じない旨の応答が有れば、配信制御部に配信を停止させる。
【0003】
また、特許文献2には、服装のコーディネイトに関するユーザのニーズを満たすために、ユーザの顔画像と、所定の服装の人物モデルが記録された素材画像とを合成して試着画像を生成し、その試着画像をユーザに出力する疑似体験システムが開示されている。このシステムによれば、所定の演出要素をユーザに対して出力する手段と、複数の素材画像のそれぞれにおける人物モデルのポーズに対応したポーズ画像を、時間間隔を空けて画像が切り替わるように演出要素の出力と同期させつつ順次表示させるとともに、ユーザがポーズ画像の表示と連携して撮影されるようにカメラを制御する。
【0004】
また、特許文献3には、芸能人やスポーツ選手等との握手や、書道やスポーツ等の特殊な技能の熟練者の動作を、擬似的に体験することができる疑似体験システム、当該疑似体験をインターネット等のネットワークを介して販売する疑似体験販売システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-113546号公報
【文献】特開2015-219423号公報
【文献】特許第3808332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、人生100年時代を迎え、老後に向けた資金運用、調達が必要となり、また結婚、出産、旅行などの様々なライフイベントのための貯金も必要となる。そのため日々の生活から貯蓄を行わなければならないが、貯蓄の1つの方法として、「つもり貯金」が知られている。「つもり貯金」とは、何かをした“つもり”になって、使うはずだった金額を貯める貯蓄方法である。「つもり貯金」は、手軽に始めることができ、お金が貯まったことが実感しやすいというメリットがある一方、貯まったお金を手元においておくと、「こんなに貯まったから、少しぐらいなら使ってもいいかも」という気持ちになりやすく、現金での貯金が難しくい、計画的に貯金がしにくい、無理して我慢することでストレスが溜まりやすい、といったデメリットもある。
【0007】
「つもり貯金」においては、従来のように、買うことやサービスを受けることを我慢するのではなく、それらの商品やサービスを仮想現実や拡張現実の技術を使って疑似体験できれば満足度を向上させることができるはずである。ところが、上記の特許文献のような仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術を使って、実際の商品やサービスの享受の欲求を抑えて疑似的な体験をしながらも、相応の費用を金融機関に貯蓄するようなサービスはなかった。
【0008】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、ユーザに疑似体験させることで「つもり貯金」を促進し、同時に貯蓄をキャッシュレスで計画的に行うことのできるサービスを提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1)ユーザに商品又はサービス(以下、商品等)を疑似体験させることで、前記ユーザに前記商品等を実際に購入したつもりにさせて、「つもり貯金」のサービスを提供するシステムであって、前記商品等の提供者であるストアから前記商品等の疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得する商品等データ取得部と、前記取得した商品等データに基づいて作成された疑似体験コンテンツに対して前記ユーザの閲覧情報を管理する閲覧情報管理部と、前記疑似体験コンテンツを閲覧するユーザにコンテンツの閲覧料を課金するとともに、前記ユーザが登録した所定の貯金額を金融機関の前記ユーザの口座に入金させる「つもり貯金」管理部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
(2)上記(1)に記載の構成において、前記疑似体験コンテンツは、前記金融機関又は前記ストアと提携したコンテンツ作成事業者によって、仮想現実及び/又は拡張現実の技術を用いて作成されることを特徴とする。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載の構成において、前記「つもり貯金」は、前記ユーザの総合口座に仮想的に設けた仮想貯金箱で管理され、所定のタイミングで前記仮想貯金箱の残高を前記ユーザの定期口座又は積立口座に移動することを特徴とする。
【0013】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の構成において、前記疑似体験コンテンツを閲覧したユーザに対して、実際の商品等の料金から疑似体験料金を割引いた割引情報を送信することを特徴とする。
【0014】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の構成において、前記閲覧情報管理部は、前記疑似体験の閲覧情報及びその集計データを、前記ストア及び/又は前記金融機関に提供することを特徴とする。
【0015】
(6)上記(5)の記載の構成において、前記疑似体験を購入したユーザが実際の同じ商品等を購入した割合を算出し、前記疑似体験コンテンツの実際の商品等に対する販売貢献率を算出することを特徴とする。
【0016】
(7)ユーザに商品又はサービス(以下、商品等)を疑似体験させることで、前記ユーザに前記商品等を購入したつもりにさせて、「つもり貯金」のサービスを提供する方法であって、前記商品等の提供者であるストアから、前記商品等の疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得するステップと、前記取得した商品等データに基づいて作成された疑似体験コンテンツに対して前記ユーザの閲覧情報を管理するステップと、前記疑似体験コンテンツを閲覧するユーザにコンテンツの閲覧料を課金するとともに、前記ユーザが設定した所定の貯金額を金融機関の前記ユーザの口座に入金させるステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0017】
(8)上記(7)に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザに疑似体験させることで「つもり貯金」を促進し、同時に貯蓄をキャッシュレスで計画的に行うことのできるサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る「つもり貯金」サービスの基本概念を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るシステムの機能ブロックを示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る疑似体験のストアへの支払額及びユーザの「つもり貯金」額の登録例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るユーザ、金融機関、ストア間の処理の流れを示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る「つもり貯金」サービスの基本概念を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るシステムの機能ブロックを示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るユーザ、金融機関、ストア間の処理の流れを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る「つもり貯金」サービスのホーム画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るファッシションカテゴリの画面例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るレジャーカテゴリの画面例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るレジャーカテゴリの画面例を示す続図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る貯金額の画面例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係るストア側に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。本発明は、主として、第1の実施形態と第2の実施形態が考えられるが、両者を区別する必要がなく、まとめて言う場合は、本システム又は単に実施形態と呼ぶことにする。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステムの「つもり貯金」サービスのイメージを示す図である。本形態のシステムは、銀行、カード会社、証券会社等の金融機関と疑似体験コンテンツ作成事業者(以下、両者を合わせて「金融機関等」と呼ぶことがある)が提携し、商品やサービスを提供する事業者や店舗(以下、それらを合わせて「ストア」と呼ぶ)から、商品等のデータを取得し、ユーザに疑似体験コンテンツを閲覧させる。そして、ユーザに実際の商品等を購入したかのような体験をさせ、浮いたお金を貯金する「つもり貯金」を促すサービスを提供する。
【0022】
ユーザは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術を使って、その商品を実際に手にしているかのような、あるいは、そのサービスを実際に体験しているかのような疑似体験をすることができる。具体的には、VRゴーグルやVRヘッドセットなどのデバイスを装着して、スマートフォン等のユーザの端末で専用のアプリケーションを起動し、疑似体験コンテンツを閲覧する。VR/ARの技術は、主として、映像を提供するものであるが、映像だけでなく、場合によっては、コンテンツに人間の嗅覚や味覚のアプローチを連動させることが可能な「香りを発生させるデバイス」をゴーグルの下に装着するようにしてもよい。また、触覚へのアプローチを連動させることが可能なデバイスを使用させるようにしてもよい。
【0023】
ここで、金融機関は、ユーザに対して疑似体験コンテンツを閲覧させ、ユーザは、その疑似体験コンテンツの閲覧代金と、ユーザがあらかじめ設定した「つもり貯金」額を金融機関に振り込む。金融機関がクレジットカードなどのカード会社であれば、「つもり貯金」サービスをカードで購入するようにしてもよい。「つもり貯金」の額は、ユーザがあらかじめ金融機関に登録しておく。例えば、実際の商品等の価格が10,000円で、その商品等の疑似体験コンテンツの閲覧料が1,000円であるとすると、浮いたお金の9,000円又はその一定割合(例えば50%)を、「つもり貯金」として金融機関に貯蓄する。疑似体験コンテンツの閲覧代金は、疑似体験コンテンツ作成事業者のコンテンツ作成料と金融機関の手数料を引いて、最終的にストアに支払われる。ただし、コンテンツ作成料をストアに支払う金額に含ませ、ストアがコンテンツ作成者にコンテンツ作成料を支払うようにしてもよい。また、ユーザが疑似体験を通じて実際の商品等が気に入れば、その商品等をストアから直接購入することもできるような案内も提供する。また、疑似体験コンテンツの閲覧情報(サンプルの視聴を含む)と購買情報が、金融機関のシステムからユーザ、ストアに提供される。
【0024】
図2は、第1の実施形態のシステムの機能ブロック図を示す図である。本形態のシステムは、図示するように、金融機関のシステムである金融機関システム100が、疑似体験コンテンツサーバ200と接続され、複数のストアの端末(又はシステム)であるストア端末10と、複数のユーザのユーザ端末20とに、インターネット等のネットワークで接続される。なお、以降の説明では、金融機関は、ユーザが口座(総合口座)を持つ銀行である場合を念頭において具体的に説明する。
【0025】
図2で示す金融機関システム100は、ストア管理部101と、商品等データベース(商品等データDB102)と、疑似体験コンテンツサーバ連携部103と、「つもり貯金」管理部104と、ユーザ登録情報DB105と、ユーザ利用情報DB106と、料金管理部107とを備えている。ただし、このような構成に限定されるものではない。
【0026】
ストア管理部101は、あらかじめ登録されたストアから、疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得し、商品等データDB102に格納する。商品等データは、疑似体験コンテンツを作成する対象が有体物の商品である場合は、その商品の3D画像(360度の静止画・動画)、商品の紹介文・音声、商品の香りなどの情報である。また、疑似体験コンテンツを作成する対象が無体物のサービスである場合は、ユーザがそのサービスを利用するときの流れや環境(サービスを受ける場所や店舗、設備等)の3D画像、サービスの紹介文・音声、サービスに関連する香り(例えば、アロマオイルの香り)などの情報である。
【0027】
疑似体験コンテンツサーバ連携部103は、商品等データDB102に格納された商品等デ-タを、金融機関が提携する疑似体験コンテンツ作成事業者(以下、コンテンツ作成事業者と略す)のサーバ(システム)に受け渡し、疑似体験コンテンツの作成を依頼する。コンテンツ作成事業者によって作成された疑似体験コンテンツは、疑似体験コンテンツサーバ200の疑似体験コンテンツDB204に格納されて、金融機関システム100の疑似体験コンテンツサーバ連携部103によって連携される。ここで、疑似体験コンテンツサーバ連携部103は、コンテンツ作成事業者を商品等の分野(カテゴリ)ごとに専門の業者を依頼先として選択するようにするのが望ましい。例えば、カテゴリがファッションであれば、そのファッションを試着しているような疑似体験のコンテンツを作成できる業者やプロの個人であり、カテゴリが旅行であれば、観光地を実際に訪れているかのような疑似体験の3次元コンテンツを作成できる業者やプロの個人である。
【0028】
疑似体験コンテンツDB204に格納されるデータは、仮想現実(VR)又は拡張現実(AR)を使ったコンテンツのデータであり、VR対応のコンテンツの場合は、ユーザは、VRゴーグルやVRヘッドセットなどを装着して視覚、聴覚にアプローチすることや、嗅覚、触覚(物体に触れる感覚)にアプローチすることにより、その商品を手に取ったり、サービスを受けたりしているかのような疑似体験をすることができる。また、AR対応のコンテンツの場合は、ユーザは自分のスマートフォンなどをコンテンツの画像に翳すと、そのコンテンツの情報が表示される。疑似体験コンテンテンツは、もちろんVRとARの両方に対応していてもよい。
【0029】
「つもり貯金」管理部104は、本システムが提供する「つもり貯金」サービスへのユーザ登録(設定)を受け付け、そのユーザの登録情報をユーザ登録情報DB105に格納して「つもり貯金」を管理する。ここでのユーザ登録情報(設定情報)には、ユーザの氏名、居住地、連絡先などの個人情報の他、ログインID、パスワードその他の認証情報、金融機関等の口座番号又はカード番号(以下、単に口座番号と呼ぶ)、「つもり貯金」の目標金額及び目標金額達成の目標期間の設定などが含まれる。
【0030】
ユーザ利用情報DB106は、「つもり貯金」管理部104によって、ユーザの本サービスの利用情報が格納される。また、ユーザ利用情報DB106には、口座取引情報、「つもり貯金」のために口座内に仮想的に作成される「つもり貯金箱」(仮想貯金箱)の貯金情報、疑似体験コンテンツの購入情報(カテゴリ名、購入先のストア名、商品等名、オプション名、購入代金等)が格納される。
【0031】
また、料金管理部107は、ユーザが疑似体験で支払う料金の支払いを受け付けて、ユーザ登録情報DB105の設定情報、後述の閲覧情報管理部205からの閲覧情報も参照して、ユーザが設定した「つもり貯金」の貯金額、ストア側への疑似体験料としての支払額、及び金融機関等の手数料に分割して管理し、それぞれの支払先に資金移動を行う。ここで、金融機関等の手数料には、提携先のコンテンツ作成事業者に支払うコンテンツ作成料を含むものとするが、このコンテンツ作成料は、個々のコンテンツごとでなく、金融機関とコンテンツ事業者との間で包括的に定めた金額にしてもよい。このように金融機関とコンテンツ作成事業者が提携することで、ユーザは、金融機関に「つもり貯金」額と、疑似体験料金とをまとめて振り込むことができる。なお、金融機関等の手数料は、ユーザの金融機関内の貯金額やポイント数などによって、割引してもよい。
【0032】
一方、疑似体験コンテンツサーバ200は、商品等データ取得部201と、疑似体験コンテンツ作成部202と、疑似体験コンテンツDB204と、閲覧情報管理部205と、を備えている。
【0033】
商品等データ取得部201は、金融機関システム100が保持する商品等データDB102から、疑似体験コンテンツサーバ連携部103を介して、疑似体験コンテンツを作成するための元データである商品等データを取得し、疑似体験コンテンツ作成部202にコンテンツの作成を受け渡す。
【0034】
疑似体験コンテンツ作成部202は、取得した商品等データから、VR技術やAR技術を使って、疑似体験コンテンツを作成する人間をサポートするためのツールや部品を備えている。また、コンテンツ作成者が依頼元のストアに質問や追加データを求めるために、連絡をとる手段も提供される。もちろん、典型的な商品の疑似体験コンテンツであれば、作成者の手間を最小にするように、疑似体験コンテンツ作成部202が、半自動的に疑似体験コンテンツを作成することも可能である。
【0035】
閲覧情報管理部205は、ユーザが購入した疑似体験コンテンツをユーザ端末20に送信し、その閲覧情報をユーザ端末20及びストア端末10に提供する。ユーザの閲覧情報は、コンテンツごとにユーザID、閲覧日時と共に、疑似体験コンテンツDB204に記録される。また、所定期間ごとに閲覧情報をストアごとに閲覧情報を集積、解析して、集計データを記録するようにしてもよい。このようにすることで、ストア側は疑似体験コンテンツの改善に役立て、金融機関側は、顧客のユーザの嗜好や傾向を把握することができるので、金融機関のビジネスに役立てることができる。
【0036】
図3は、第1の実施形態のシステムにおける疑似体験のストアへの支払額、金融機関等の手数料(金融機関がコンテンツ作成事業者に支払うコンテンツ作成料を含む)及びユーザの「つもり貯金」額の登録例を示す図である。なお、
図3は、第1、2の実施形態においてほぼ共通であるが、第2の実施形態においては、ストアへの支払額にコンテンツ作成料を含ませて、ストアからコンテンツ作成事業者にコンテンツ作成料を直接支払うようにしてもよい。このようにすることで、ストア側がコンテンツ作成料をコンテンツ作成事業者と交渉することができる。
【0037】
上記金融機関等の手数料には、コンテンツ作成者へ支払うコンテンツ作成料も含まれるが、実際の作成料を見込ユーザ数で割った金額をベースに、一定期間の実際の閲覧数を加味して算出するようにしてもよい。「つもり貯金」の貯蓄額は、ユーザが商品等ごとに設定が可能である。ユーザが設定を省略するとデフォルト値が設定される。例えば、
図3の「スニーカの試着」を例にとると、実際のスニーカの価格が10,000円、ストアへの支払額(疑似コンテンツの閲覧代金)を500円、金融機関等の手数料を500円とすると、浮いたお金が9000円になるが、その全額を貯蓄額に設定してもよいし、あるいは、一定割合(例えば、50%として4500円)を貯蓄額に設定してもよい。あるいは、ストアへの支払い額と同額を貯蓄額として設定してもよい。すなわち、実際の商品等の価格やストアに支払う額ごとに、貯蓄額の割合を決定するように設定してもよい。特に、実際の商品等が高額である場合は、無理のない範囲で貯蓄の割合を決めるようにすることが望ましい。
【0038】
(第1の実施形態の処理フロー)
図4は、第1の実施形態におけるユーザ(ユーザ端末)、金融機関(金融機関システム)、ストア(ストア端末)間の処理の流れを示す図である。ここで、金融機関の処理には提携先のコンテンツ作成事業者で行う処理も含んでいる。以下、
図4の処理フロー図(フローチャート)の各ステップを逐次説明するが、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序は入れ替えてもよい。
【0039】
まず、ユーザは、ステップS01において、所定のユーザ登録画面からユーザ登録の申請を金融機関(金融機関システム)に送信する。ユーザは、その金融機関に口座を持っていれば、登録に必要な情報は、目標貯蓄額、目標期間、貯蓄割合の設定など、最小限の情報の入力でよいが、口座を持っていない場合は、前もって口座(総合口座)を新設する必要がある。なお、ユーザが登録した情報は、ユーザ登録情報DB105に格納される。
【0040】
ユーザ登録を受信した金融機関は、ステップS12において、ユーザ登録の受付が完了すると、ユーザ端末20に本サービス専用のアプリケーション(以下、「アプリ」と呼ぶ)のインストールと起動を行わせる(ステップS02)。ユーザがアプリを起動し、ログインを完了すると、ホーム画面(
図8参照)が表示される。ユーザは、このホーム画面300から疑似体験を行ってみたい商品等のカテゴリ(例えば、Fashion,Leisure,Tripなどの分野)を選択する(ステップS03)。
【0041】
そして、ユーザは、ステップS05において、実際に疑似体験コンテンツを購入する前に、疑似体験のサンプル(疑似体験コンテンツの一部の試聴)を選択し、金融機関から選択されたサンプルの送信を行わせる(ステップS13)ようにすることができる。サンプリの試聴後、ステップS05において、ユーザが試聴したサンプルの実際の疑似体験コンテンツを購入する場合はステップS06に進む。ただし、購入する疑似体験コンテンツが決まっている場合は、サンプルの試聴はスキップしてもよい。
【0042】
ユーザは、疑似体験コンテンツを購入するときは、ステップS15において、コンテンツの閲覧料金の支払いを行うと(コンテンツ閲覧料を課金する)、疑似体験コンテンツを受信して疑似体験をすることができる(ステップS07)。このとき、疑似体験コンテンツの閲覧後に、そのコンテンツに対する評価を行うようにしてもよい。また、実際の商品等の購入案内の送付、割引情報(例えば、実際の商品等の金額から、購入した疑似体験コンテンツの料金を割引くなど)が表示されるようにしてもよい。
【0043】
一方、金融機関側では、ユーザからの料金の支払いを確認すると、購入された疑似体験コンテンツを疑似体験コンテンツDB204から、ストリーム方式又はダウンロード方式で、ユーザ端末20に送信する(ステップS14)。そして、金融機関は、購入したコンテンツに応じてユーザがあらかじめ設定した所定の金額をユーザの口座に「つもり貯金」として入金する(ステップS15)。ただし、総支払金額の確認画面を表示し、「つもり貯金」として設定された所定の金額を一時的に変更できるようにしてもよい。このときの貯金はユーザの口座に入金されるが、ユーザの総合口座に仮想的に設けた仮想貯金箱で管理され、所定のタイミング(例えば、毎月1回又は1万円以上貯まるごとに)で、仮想貯金箱の残高を同じユーザの定期口座又は積立口座に移動するようにしてもよい。このようにすることで、一つの総合口座内で、「つもり貯金」の貯蓄額及び目標に対する達成度などの管理ができる。
【0044】
さらに金融機関は、ステップS16において、実際の商品等の提供者であるストアに対して、疑似コンテンツ代として所定の金額を支払う。ただし、この処理は、ユーザが閲覧後、一定時間内での評価が完了した時点で行うようにしてもよい。
【0045】
次に金融機関とストア間の処理の流れについて説明する。まず、金融機関は、ステップS20において、ストアがステップS21で提供した商品等データを商品等データDB102から読み出し、疑似体験コンテンツを作成する(ただし、実際に作成するのはコンテンツ作成事業者である)。作成された疑似体験コンテンツは、疑似体験コンテンツDB204に格納され、ステップS22において、ストア側の検収を受けるようにする。ストア側は、検収が終わった後は、コンテンツの購入があるまで待機し(ステップS23)、購入があった場合は、コンテンツの代金の支払いを受ける(ステップS24)。さらに、ステップS35において、購入者のフォロー(評価の取得や実際の商品等の案内など)を行うようにしてもよい。
【0046】
一方、金融機関側は、商品等データDB102中に未処置のデータがなくなるまで疑似体験コンテンツの作成処理を繰り返す(ステップS21)。作成処理が終了した後は、ステップS12以降のユーザ登録受付で待機する。なお、ステップS10~S12の処理とステップS12~S16の処理は、別のサーバを設けて並行して行ってもよいし、時間帯を分けて適時処理するようにしてもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、金融機関と疑似体験コンテンツ作成事業者が提携して、サービスを提供するようにしたが、第2の実施形態では、ストアと疑似体験コンテンツ作成事業者が提携して、サービスを提供する。なお、以降では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1の実施形態と共通の部分については説明を省略する。
【0048】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る「つもり貯金」サービスの基本概念を示す図である。第2の実施形態では、ユーザがストア側(コンテンツ作成事業者を含む)に対して、疑似体験閲覧要求を行い、ストア側から疑似体験コンテンツの提供を受ける。疑似体験閲覧要求には、ユーザがあらかじめ、つもり貯金サービスを申し込んだ金融機関の情報が含まれるものとする。そして、ストア側から疑似体験コンテンツ閲覧情報がユーザの金融機関に送られ、金融機関は、ユーザに対して疑似体験コンテンツ閲覧情報と、つもり貯金額の通知が送られる。通知を受けたユーザは、疑似体験コンテンツの代金と共に、「つもり貯金」の金額を金融機関に振り込む。最後に金融機関は、疑似体験コンテンツの代金をストア側に支払う。このようにすることで、コンテンツ代金の支払いと、「つもり貯金」とが同時に行うことができる。
【0049】
上記の説明では、金融機関が貯金額とコンテンツ代金の合計額をユーザから受け取った後、ストア(又はコンテンツ事業者)にコンテンツ代金を支払うようにしたが、後述の
図11の画面326で、貯金額10,000円、支払額3,000円とあるように、ユーザからコンテンツ代金の支払額の3,000円を直接ストア(又はコンテンツ事業者)に支払うようにしてもよい。なお、その場合であっても、金融機関に貯金される10,000円が何を疑似体験した結果の「つもり貯金」なのかが分かるように、コンテンツの閲覧情報を金融機関に送るようにすればよい。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るシステムの機能ブロック図を示す図である。この形態では、金融機関システム100は、「つもり貯金」サービスを申し込んだユーザ情報及び貯金の設定、管理をメインに行い、疑似体験コンテンツサーバ200が、ストアの疑似体験コンテンツの作成及び管理を行う。
図2と異なる点は、疑似体験コンテンツサーバ200の商品等データ取得部201が、ストア端末10から直接商品等データを取得し、商品等データDB102が、金融機関システム100から疑似体験コンテンツサーバ200に移動した点である。なお、
図2の疑似体験コンテンツサーバ連携部103は、疑似体験コンテンツ作成部202が商品等データDB102から直接データを取得可能なので不要となる。また、ストア管理部101も不要となる。
【0051】
ここで、疑似体験コンテンツサーバ200は、コンテンツ作成事業者の業界団体が設置してもよいし、ストアの業界団体がコンテンツ作成事業者と協力して設置してもよい。疑似体験コンテンツサーバ200を設けることで、ストアが独自に疑似体験コンテンツを作成する必要がなく、疑似体験コンテンツに共通する技術を蓄積することができる。ただし、疑似体験コンテンツをストアのサーバ(図示せず)に格納するようにしてもよい。
【0052】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るユーザ、金融機関、ストア間の処理の流れを示す図である。ユーザ側の処理は
図4と同様である。金融機関側では、疑似体験コンテンツに関する処理は、ストア側(コンテンツ事業者を含む)に任せ、ストア側で疑似体験コンテンツの作成(ステップS21)、疑似体験コンテンツの購入受付処理、送信処理(ステップS21~S27)、及び購入情報(購入日時、購入代金、ユーザの口座情報を含む)の金融機関への送信(ステップS28)を行う。ただし、ストア側の負担は増えるが、ステップS28の代わりに、ストア側でユーザからの料金の支払いをまとめて受け付け、支払われた料金のうち、所定の「つもり貯金」の金額の情報を金融機関から取得し、その金融機関のユーザの口座へ振り込むようにしてもよい。
【0053】
以上、上記の第1、第2のシステムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0054】
(画面例)
以下、本システムが提供する画面例について説明するが、以降の画面例は、第1及び第2の実施形態において共通である。
図8は、「つもり貯金」サービスのホーム画面の一例を示す図である。図示するホーム画面300には、検索ワードを入力する検索ワード入力エリア301、カテゴリを選択するカテゴリ選択エリア302、広告やその他通知等を表示する広告表示エリア303、及び各種の機能や設定のための機能設定エリア304が表示されている。カテゴリ選択エリア302には、既に述べたように、カテゴリとして、Fashion(試着の疑似体験)、Leisure(娯楽を疑似体験)、Trip(観光名所を疑似体験)、Cosmetics(化粧品を疑似体験)、Food(食べ物の有名店を疑似体験)などのアイコンが表示されている。なお、Favorite(お気に入り)をタップすると、カテゴリや過去の購入の有無を問わず、ユ-ザがお気に入り又は興味のある疑似体験が表示される。
【0055】
機能設定エリア304のアイコン304aは、「つもり貯金」の貯金額を表示させる(
図12参照)ためのアイコンである。また、アイコン304bは、ホーム画面300に戻るためのアイコンであり、アイコン304cは、各種の設定画面を表示させるためのアイコンである。
【0056】
また、ホーム画面300の左上の三本線のアイコン301aは、サービスのメニューを表示させるためのアイコンであり、右上の鐘のアイコン301bは、システムからの「お知らせ」の内容を表示させるためのアイコンである。サービスのメニューの一覧を表示させたいときは、アイコン301aをタップする。ここで、図示は省略するが、サービスのメニューには、ユーザが使用するためのユーザメニューと、ストアが使用するためのストアメニューとがあり、ユーザメニューでは、「ホーム」、「プロフィール」、「お知らせ」、「クーポン」、「購入履歴」、「貯金額」、「お気に入り」、「ヘルプ」、「設定」などの機能一覧が表示される。また、ストアメニューには、「ホーム」、「プロフィール」、「お知らせ」、「出品商品一覧」、「販売履歴」、「アクセス解析」、「お気に入り」、「ヘルプ」、「設定」などの機能一覧が表示される。それぞれのメニューについては後述する。
【0057】
図9は、ホーム画面からファッションカテゴリを選択した場合の画面イメージを示す図である。ここでは、例として、Fashionアイコン310をタップした後に表示される試着の疑似体験メニュー311の中から、「腕時計」を選んだ場合の疑似体験のVR/AR画像312、及び商品メニューから「スニーカ」を選んだ場合の疑似体験のVR/AR画像313が示されている。
【0058】
腕時計の試着の場合は、ユーザが自分の腕にスマートフォン等のカメラを向けると、多くの腕時計の中から自分が選択したあたかも腕時計を装着しているかのような疑似体験を味わうことができる。ユーザが腕を動かしたり、向きを変えたりしても、腕時計のVR/AR画像も追随する。また、スニーカの試着の場合は、ユーザが自分の足にスマートフォンのカメラを向けると、あたかも、自分が選択したスニーカを履いているかのような疑似体験を味わうことができる。もちろん、ユーザが歩けばスニーカも一緒に追随する。
【0059】
図10、
図11は、レジャーカテゴリを選択した場合の画面イメージを示す図である。ホーム画面からLeisureアイコン320をタップし、その後に表示される商品メニューから例えば「娯楽を疑似体験」→「〇×温泉」を選択すると、そのVR/AR画像321が表示される。ここで、VR/AR画像をタップすると、その疑似体験の一部のサンプル画像を試聴できる。さらにVR/AR画像321の画面をスクロールすると、オプションのVR/AR画像322が表示される。
【0060】
VR/AR画像321を閲覧すると、あたかも実際の「〇×温泉」を訪れて温泉に入っているかのような疑似体験が動画で味わえる。また、VR/AR画像322を閲覧すると、温泉地のオプションとして料理を食べているかのような疑似体験が動画で味わえる。さらに、香りや温度などを再現できるVR/ARデバイスがあれば、温泉の香りや料理の匂い、湯けむりの雰囲気などが味わえるので、さらに温泉気分が高まる。また、自宅のお風呂で温泉気分を味わうことも可能となる。
【0061】
この「〇×温泉」旅行、及び/又は、オプションの「~おいしいごはん~」の疑似体験を購入する場合は、画像の下に表示される「カート」のアイコン323をタップする。今回は購入せずに、後日検討する場合は、ハート型のアイコン324(お気に入りに追加)をタップすればよい。さらに、
図11のオプション選択画面325で、料理のメニューの選択や温泉の種類を選択することもできる。
【0062】
「カート」に入っている商品は、
図11の画面326で、まとめて購入することができる。この画面326は、カートに入っている商品(この例では、〇×温泉とそのオプション)を実際に購入した場合の料金100,000円+5,000円(実体験料金)がそれぞれ表示され、これらの商品の疑似体験によって貯金する金額(この例の場合は10,000円)と、ストアに支払う疑似体験料3,000円(金融機関の手数料を含む)が表示されている。ユーザはこれらの金額を確認してOKであれば、「購入手続きへ」のアイコン327をタップして購入手続きに移る。貯金額を一時的に変更したい場合は、この画面から変更することができる。あるいは、設定自体を変更したい場合は、設定アイコン304Cをタップして貯金額の設定を変更する。
【0063】
図12は、貯金額の状況を表示する画面イメージを示す図である。この画面330を表示するには、
図8等の画面でアイコン304aをタップするか、アイコン301aを押してユーザメニューの「貯金額」→「状況」をタップする。
図12の例では、現在の貯金額が40,000円あり、過去に疑似体験を購入した履歴や購入によって増加した貯金額の経緯が表示されている。溜まった貯金額は所定のタイミングで定期口座又は自動積立口座に移されるが、ユーザが手動で移させるようにしてもよい。
【0064】
図13は、本アプリを使ってストア側に表示される画面例を示す図である。画面401は、ストアが提供する商品一覧であり、この例では疑似体験料金のみを表示しているが、実体験を行った場合の料金も表示してもよい。ハートのマークは、閲覧したユーザ数又は「いいね」を押したユーザ数を表している。図示は省略するが、ユーザの評価点など合計して☆マークの数などで表現してもよい。
【0065】
画面402は、ストアが提供する商品の疑似体験の販売履歴を表す画面である。ここで、「商品状況」とは、疑似体験だけでなく、実際の商品の販売につながったかどうかを示す。「提供済」とは、実体験も販売済みで「未提供」とは、疑似体験のみの販売であることを示す。
【0066】
画面403は、ユーザのアクセス(閲覧状況)を解析して表示する画面である。ここでは、図示するように、疑似体験の商品ページへのアクセス数、各疑似体験のアクセス数又は販売数のランキングが示されている。また、疑似体験のアクセス数や販売数だけでなく、実体験の販売数も表示して、疑似体験数と実体験数の相関を表示できるようにしてもよい。例えば、特定の商品等の疑似体験を購入したユーザが実際の同じ商品等を購入した割合を算出する。すなわち、疑似体験コンテンツの実際の商品等に対する販売貢献率を算出する。このようにすることで疑似体験コンテンツの内容の改善につなげることができる。
【0067】
(実施形態の効果)
第1及び第2の実施形態によれば、ユーザに疑似体験させて「つもり貯金」を促し、同時に貯蓄をキャッシュレスで計画的に行うことのできるサービスを提供することができる。ユーザにとっては、疑似体験を楽しみながら、実際に体験する場合と比べて浮いたお金を貯金する「つもり貯金」ができる。しかも現金ではなくキャッシュレスで貯金ができ、一つの口座で貯金を管理するようにもできる。また、金融機関にとっては、価格競争から脱却した新しいビジネスモデルを構築することができる。さらにストア側にとっても、ユーザの閲覧情報や購入情報が提供されるので、それらを解析することで、疑似体験を実際の商品等の販売につなげることができる。また、ユーザ側にとっては、例えば、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休みなど、観光地等が混雑するような時期には疑似体験を行い、観光地等が空いている時期に実体験を行うという選択も可能になる。ユーザ側は観光地等が空いてるときにサービスを受けられ、また接客側も負荷分散を図ることが可能となる。
【0068】
さらに、第1の実施形態においては、以下のようなメリットも考えられる。
(1)金融機関が顧客の好みを把握することが可能なので、ユーザの趣味嗜好に合う金融機関が抱える他のストア(店舗に限らずホテルや旅館等を含む)を紹介できる。例えば、山奥のひなびた温泉がユーザの好みということが分かれば、別府ならこの宿、城之崎ならこの宿、草津ならこの宿、などのように金融機関が直接ユーザの役に立つことができる。ここでユーザとは、金融機関と取引があるホテルや旅館でもあり、金融機関に口座を持つ一般のユーザでもある。)
(2)疑似体験客の集客がよいストアには、実際にも多くの集客がある可能性があり、金融機関は設備の更新や拡張の資金融資のきっかけ情報を入手することが可能となる。
(3)趣味嗜好はかなりの個人情報であるが、金融機関の堅牢なシステムで個人情報が管理されるので安心感が得られる。
【0069】
また、第2の実施形態においては、以下のようなメリットも考えられる。
(1)ストアが直接ユーザの嗜好を確認できるので、いち早くユーザの好みに合わせた商品・サービスの開発が可能となる。
(2)新商品や新サービスに対する客の反応を疑似体験で直接確認することができるので、新しいサービスの案が複数あるときに、どちらが良いかなどの市場調査が可能となる。
【0070】
また、ストアが美術館や博物館などコンテンツそのものを提供する事業者の場合は、現在はコロナ禍等で新たな顧客獲得ができていないが、本システムによって、コンテンツの種類を一覧できるようにすれば、初めてコンテンツを目にする客が新規客になる可能性がある(たまたま知る機会がなかっただけで、この仕組みによって知らなかった物の魅力を知ることができる)。
【0071】
なお、上記の実施形態では、主に金融機関として銀行を念頭に説明したが、証券会社やクレジットカード会社など、他の金融機関にも応用が可能である。例えば、クレジットカード会社の場合は、ユーザがカードで疑似体験を購入したときに、使用期限はないが目標に達しないと使用できないような特別のポイントを貯金のように付与するようにもできる。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0073】
なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、金融機関のシステムについて説明したが、本発明は、貯蓄の方法の発明又は金融機関のシステムにおけるコンピュータ・プログラムの発明としても捉えることができる。
【符号の説明】
【0074】
10 ストア端末
20 ユーザ端末
100 金融機関システム
101 ストア管理部
102 商品等データDB
103 疑似体験コンテンツサーバ連携部
104 「つもり貯金」管理部
105 ユーザ登録情報DB
106 ユーザ利用情報DB
107 料金管理部
200 疑似体験コンテンツサーバ
201 商品等データ取得部
202 疑似体験コンテンツ作成部
204 疑似体験コンテンツDB
205 閲覧情報管理部
300 ホーム画面
301 検索ワード入力エリア
302 カテゴリ選択エリア
303 広告表示エリア
304 機能設定エリア
300~330 ユーザ用画面及びアイコン、VR/AR画像
401~403 ストア用画面