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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】建具枠のシール材
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/96 20060101AFI20240501BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240501BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B1/18 M
E06B7/22 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210710
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097242
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】伊東 輝久
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-031981(JP,Y2)
【文献】特開平11-350847(JP,A)
【文献】実開平07-040818(JP,U)
【文献】特開2014-020151(JP,A)
【文献】特開平09-004328(JP,A)
【文献】特開2005-163265(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02216475(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 7/00-7/36
E06B 3/96-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具枠の第1枠材の小口および第2枠材間に設けられるシール材であって、
前記第1枠材は、金属製の室外部材および室内部材と、前記室外部材および前記室内部材を連結する合成樹脂製の断熱部材とを備えて構成され、
前記室外部材は、前記断熱部材を保持する室外保持部と、ビスホールとを備え、
前記室内部材は、前記断熱部材を保持する室内保持部と、ビスホールとを備え、
前記シール材は、前記ビスホールに対応する位置に形成される穴部と、前記断熱部材の少なくとも一部に対向する位置に形成される切欠部と、前記断熱部材に対向する部分とを有する
ことを特徴とする建具枠のシール材。
【請求項2】
請求項1に記載の建具枠のシール材において、
前記シール材は、前記断熱部材、前記室外保持部および前記室内保持部の少なくとも一部に対向する位置に形成される前記切欠部を有することを特徴とする建具枠のシール材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具枠のシール材において、
前記シール材は、水抜き穴を有していることを特徴とする建具枠のシール材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建具枠のシール材において、
前記切欠部は、
前記室外保持部および前記断熱部材の一部に対向する位置に形成される室外切欠部と、
前記室内保持部および前記断熱部材の一部に対向する位置に形成される室内切欠部と、
を備えることを特徴とする建具枠のシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠の縦枠および横枠の接続部分に配置されるシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に固定される窓や戸の建具枠として、縦枠と横枠とをビス止めして組み合わせたものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献1では、縦枠および横枠の一方にビスホールを形成し、その小口端面にシール材である樹脂シートを接着し、樹脂シートを他方の枠に当て、他方の枠のビス孔からビスを挿通し、このビスを樹脂シートのビス孔を介して一方の枠のビスホールに螺合させて締め付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-147960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アルミ押出形材からなる室外部材および室内部材を、ウレタン樹脂等の断熱部材で連結して構成されたアルミ断熱形材で横枠や縦枠を構成し、アルミ断熱形材の小口端面にシール材を密着させた場合、シール材の圧縮量が不十分となり、シール性能が低下する場合がある。
例えば、上枠をアルミ断熱形材で構成し、さらにビスホールを設け、この上枠の小口端面と縦枠との間にシール材を配置し、縦枠からシール材を介して上枠のビスホールにタッピングねじを螺合して縦枠および上枠を接合すると、シール材との接触面積が大きくなる断熱部材部分やその周囲でシール材の圧縮量が不足し、シール性能が低下するという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、シール材の圧縮量を確保してシール性能の低下を防止できる建具枠のシール材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具枠のシール材は、建具枠の第1枠材の小口および第2枠材間に設けられるシール材であって、前記第1枠材は、金属製の室外部材および室内部材と、前記室外部材および前記室内部材を連結する合成樹脂製の断熱部材とを備えて構成され、前記室外部材は、前記断熱部材を保持する室外保持部と、ビスホールとを備え、前記室内部材は、前記断熱部材を保持する室内保持部と、ビスホールとを備え、前記シール材は、前記ビスホールに対応する位置に形成される穴部と、前記断熱部材の少なくとも一部に対向する位置に形成される切欠部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建具枠のシール材によれば、シール材の圧縮量を確保してシール性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の窓枠および外障子の框枠を示す縦断面図である。
図2】前記実施形態の窓枠および内障子の框枠を示す縦断面図である。
図3】前記実施形態の窓枠および外障子、内障子の框枠を示す横断面図である。
図4】前記実施形態の上枠、縦枠およびシール材を示す分解斜視図である。
図5】前記実施形態の上枠、縦枠およびシール材を示す分解斜視図である。
図6】(A)は前記実施形態のシール材を示す正面図、(B)は前記実施形態のシール材および上枠を示す正面図である。
図7】(A)は変形例のシール材を示す正面図、(B)は変形例のシール材および上枠を示す正面図である。
図8】(A)は他の変形例のシール材を示す正面図、(B)は他の変形例のシール材および上枠を示す正面図である。
図9】(A)はその他の変形例のシール材を示す正面図、(B)はその他の変形例のシール材および上枠を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、2は、本実施形態に係る建具である引違い窓1を示す縦断面図であり、図3は横断面図である。図1~3では、引違い窓1の窓枠2、外障子3、内障子4の主要構造材は図示しているが、ガラス等の面材、摺動片、戸車などは省略している。また、図1は、引違い窓1の外障子3側つまり内観左側の縦断面図であり、図2は、引違い窓1の内障子4側つまり内観右側の縦断面図である。なお、図1~3において、引違い窓1の窓枠2、外障子3、内障子4の主要構造材のハッチングは省略している。
【0010】
窓枠2は、本発明の建具枠であり、上枠21、下枠22および左右の縦枠23、24を枠組みして構成されている。
上枠21は、本発明の第1枠材であり、図1、2に示すように、アルミ製(金属製)の室外部材211と、アルミ製(金属製)の室内部材212と、室外部材211および室内部材212を連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材213とを備えて構成される。
室外部材211には外障子3を案内する外レール215が形成され、室内部材212には内障子4を案内する内レール216が形成されている。また、室外部材211は、仕切り壁217で区画される2つの中空部218A,218Bを備える。
室外部材211、室内部材212には、断熱部材213を保持する室外保持部211A、室内保持部212Aがそれぞれ形成されている。また、室外部材211、室内部材212には、ビスホール211B、212Bがそれぞれ形成されている。ビスホール211Bは、外レール215の基端部を含んで形成されている。ビスホール212Bは、室内保持部212Aを含んで形成されている。
さらに、室外部材211は、上面部2111と、上面部2111の室内側端部から上方に延出する釘ヒレ部2112と、上面部2111の室外側端部から下方に延出する網戸レール部2113とを備える。上面部2111、釘ヒレ部2112および網戸レール部2113は、後述するシール材50に当接して止水ラインを形成する。
【0011】
上枠21の外レール215、内レール216間における内観左側の範囲には、図1に示すように、樹脂製カバー材25が取り付けられている。
また、上枠21の室内部材212には、図1,2に示すように、室内部材212の長手方向全長に渡って、樹脂製部材26が取り付けられている。
【0012】
下枠22は、上枠21と同様に、アルミ製(金属製)の室外部材221と、アルミ製(金属製)の室内部材222と、室外部材221および室内部材222を連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材223とを備えて構成される。
室外部材221には外障子3を案内する外レール225が形成され、室内部材222には内障子4を案内する内レール226が形成されている。
室外部材221、室内部材222には、断熱部材223を保持する室外保持部221A、室内保持部222Aがそれぞれ形成されている。また、室外部材221には、ビスホール221B、221Cが形成され、室内部材222にはビスホール222Bが形成されている。
【0013】
下枠22の外レール225、内レール226間における内観左側の範囲には、図1に示すように、樹脂製カバー材27が取り付けられ、内観右側の範囲には、図2に示すように、金属製カバー材28が取り付けられている。
また、下枠22の室内部材222には、図1,2に示すように、室内部材222の長手方向全長に渡って、樹脂製部材29が取り付けられている。
【0014】
縦枠23,24は、本発明の第2枠材であり、図3に示すように、アルミ押出形材であり、レール231、241が形成された引違いサッシ用の縦枠である。
縦枠23には、外障子3よりも室内側の内面を被覆する樹脂製部材232が取り付けられている。また、縦枠23には、図4、5に示すように、上枠21や下枠22と接合するためのタッピングねじ60が挿通される挿通穴235、236が形成されている。
縦枠24には、内障子4よりも室内側の内面を被覆する樹脂製部材242が取り付けられている。また、図示は略すが、縦枠24にも、上枠21や下枠22と接合するためのタッピングねじ60が挿通される挿通穴が形成されている。
【0015】
外障子3は、上框31、下框32、縦框33、外召合せ框34および図示略のガラスを框組みして構成されている。
内障子4は、上框41、下框42、縦框43、内召合せ框44および図示略のガラスを框組みして構成されている。
上框31、41と、下框32、42と、縦框33、43と、内召合せ框44とは、アルミ押出形材および難燃性の樹脂押出形材が複合して形成されている。また、外召合せ框34は、アルミ押出形材で形成されている。なお、図1~3においては、ガラス、戸車、摺動片などは図示を省略している。
【0016】
上枠21、下枠22と、縦枠23、24とは、図4、5に示すように、シール材50を挟んで接合されている。すなわち、窓枠2は、上枠21、下枠22の小口を縦枠23、縦枠24の上下の見込み面に接合して構成される。
そして、第1枠材である上枠21の小口と、第2枠材である縦枠23、24の上端部の見込み面とは、シール材50を挟んで、タッピングねじ60によって接合されている。
また、下枠22の小口と、縦枠23、24の下端部の見込み面とは、図示略のシール材を挟んで接合されている。
【0017】
[シール材の構成]
シール材50は、シート状のブチルゴムなどで構成されたシール材(シーラー)である。シール材50は、図4、5や、図6に示すように、上枠21の小口(端面)形状に合わせた形状に形成されている。このシール材50は、縦枠23、24の上端部に貼り付けられている。そして、シール材50に上枠21の小口を当接し、縦枠23、24およびシール材50を介してタッピングねじ60を上枠21のビスホール211B、212Bに螺合することで、上枠21および縦枠23、24を接合している。
シール材50には、図6(A)に示すように、穴部51、52と、水抜き穴53、54と、切欠部55、56とが形成されている。
穴部51、52は、上枠21のビスホール211B、212Bおよび縦枠23、24の挿通穴235、236に対応する位置に形成されている。
【0018】
水抜き穴53は、中空部218A、218Bに跨る位置に配置されている。後述するように、上枠21の小口はシール材50によって塞がれており、特に、上面部2111、釘ヒレ部2112、網戸レール部2113によってシール材50を圧縮する部分で止水ラインが形成されるため、上枠21の中空部218A、218Bに雨水が浸入する可能性は低い。ただし、仮に、中空部218Bに水が流入した場合は、中空部218Bから水抜き穴53を介して中空部218Aに水を流すことができる。
水抜き穴54は、中空部218Aと上枠21の下面の下側の空間とに跨る位置に配置されている。また、水抜き穴54の見込み方向(室内外方向)の位置は、外障子3よりも室外側の位置とされている。このため、中空部218Aに流入した水は、水抜き穴54を介して上枠21の下側の空間であり、外障子3よりも室外側に排水することができる。
【0019】
シール材50は、上枠21の小口が当接する部分を圧縮して潰すことで、上枠21の小口に密着してシール性能を確保している。シール材50の圧縮量は、シール材50を潰す力と、その力に反発する力の関係で決まる。シール材50を潰す力は、主に以下の要素で決定する。すなわち、ビスホール211B、212Bの数および位置と、上枠21および縦枠23、24を組み立てる組立ねじであるタッピングねじ60を締め付ける際のトルクによって設定される。
また、潰す力に反発する力は、シール材50の反発力であり、これはシール材50の材質、シール材50と上枠21との接触面積によって設定される。
シール材50は、アルミ押出形材のみで構成される上枠を縦枠に接合する場合に利用しているシール材と兼用できるものである。このアルミ押出形材の上枠に対して、上枠21は、断熱部材223が設けられている分、シール材50との接触面積が大きい。このため、シール材50の反発力が大きくなり、シール材50の圧縮量が不足してシール性能が低下する可能性がある。
【0020】
このため、上枠21とシール材50との接触面積を小さくするため、シール材50には切欠部55、56が形成されている。
図6に示すように、切欠部55は、見込み方向に長い長穴とされ、中空部218B、室外保持部211A、断熱部材213の一部に跨る位置に形成されている。
切欠部56は、シール材50の上端部から略U字状に切り欠かれて形成され、室内保持部212A、断熱部材213の一部に跨る位置に形成されている。
したがって、断熱部材213の室内外方向の中間位置に対し、切欠部55は、室外側の位置に設けられ、切欠部56は室内側の位置に設けられている。このため、切欠部55によって室外切欠部が構成され、切欠部56によって室内切欠部が構成されている。
これらの切欠部55、56を断熱部材213および室外保持部211A、室内保持部212Aの一部に重なる位置に設けることにより、上枠21とシール材50との接触面積を減少できる。例えば、本実施形態では、シール材50に切欠部55、56を設けることで、上枠21とシール材50との接触面積を、接触面積の1/6~1/5程度の面積を減少することができる。
このため、シール材50を挟んで上枠21および縦枠23、24をタッピングねじ60で接合した際に、上枠21との接触面積を減少させることでシール材50の反発力を小さくできる。その分、シール材50の圧縮量を十分に確保でき、必要なシール性能を維持することができる。
【0021】
[本実施形態の効果]
シール材50に切欠部55、56を形成することで、上枠21とシール材50との接触面積を小さくできる。これにより、シール材50の反発力を小さくでき、シール性能の確保に必要な圧縮量を確保でき、漏水の発生を抑制できる。
また、切欠部55、56は、上枠21においてシール材50との接触面積が大きい断熱部材213の室内外方向の中間部に対して、室外側および室内側に分けて形成しているので、シール材50の反発力をバランスよく低減でき、上枠21によるシール材50の圧縮量もシール材50全体にわたってバランスよくほぼ均等にでき、シール材50全体のシール性能を維持できて漏水の発生を効果的に抑制できる。
さらに、シール材50に形成する切欠部55、56のサイズや位置によって、上枠21とシール材50との接触面積を容易に調整できてシール材50の圧縮量をコントロールできるため、例えば、上枠21のビスホールの位置や数を調整してシール材50の圧縮量をコントロールする場合に比べて、シール材50の圧縮量を適正にかつ容易に調整できる。
【0022】
上枠21、下枠22には、ウレタン樹脂製の断熱部材213、223を設けているので、上枠21、下枠22の断熱性能を向上できる。特に、断熱部材213、223によって室外部材211、221と室内部材212、222が分離されているので、室外部材211、221が外気で冷やされても、室内部材212、222の温度低下を抑制できる。このため、室内部材212、222に設けられた内レール216、226の温度低下も抑制でき、結露の発生も抑制できる。このため、室内部材212、222に設けられた内レール216、226に凍結が生じて内障子4の開閉が阻害されることも防止できる。
【0023】
シール材50に水抜き穴53、54を設けたので、中空部218A、218Bに仮に雨水が流入した場合に、水を室外に排水できる。
また、シール材50の水抜き穴53、54は、上枠21の形材に重なる位置に配置されているので、上枠21とシール材50との接触面積を減少させる切欠部としても機能し、シール材50の圧縮量を十分に確保できる。
【0024】
シール材50は、ウレタン樹脂製の断熱部材213が設けられない上枠と縦枠との接合部に設けるシール材と兼用できる。このため、シール材50の種類を少なくできてコストも低減できる。
【0025】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
シール材50に設けられる切欠部55、56は前記実施形態に限定されず、図7図9に示すように、止水ラインにかからない範囲で、上枠21との接触面積を小さくできるものであればよい。なお、図7図9において、前記実施形態と同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
図7に示すシール材50Bのように、長穴状の切欠部55の代わりに丸穴状の切欠部55Bを設けてもよい。また、図8に示すシール材50Cのように、角穴状の切欠部55Cを設けてもよい。これらのシール材50B、50Cのように、切欠部55B,55Cの形状やサイズを適宜設定することで、上枠21との接触面積を調整でき、シール材50B、50Cの圧縮量を適切に調整できる。
さらに、図9に示すシール材50Dのように、2つの切欠部55、56の代わりに、連続する1つの切欠部56Dを設けてもよい。
すなわち、シール材に設ける切欠部は、止水ラインに重ならない位置であれば、その数やサイズ、形状は、上枠21の小口形状やビスホールの位置などに応じて適宜設定すればよく、シール材を適切に圧縮できるものであればよい。たとえば、切欠部は、断熱部材213の少なくとも一部に対向する位置のみに設けられていてもよい。
【0027】
また、前記実施形態では、シール材50に水抜き穴53、54を形成していたが、この水抜き穴53、54を設けないシール材としてもよい。
【0028】
本発明は、下枠22と縦枠23、24の接合部に設けられるシール材にも適用できる。また、前記実施形態では、引違い窓1の窓枠2を建具枠として説明したが、本発明のシール材は、ウレタン樹脂製の断熱部材を有する枠材を備えた片引き窓、固定窓、開き窓、戸、扉、ドアなどの各種建具の建具枠のシール材として利用できる。
【0029】
[本発明のまとめ]
本発明は、建具枠の第1枠材の小口および第2枠材間に設けられるシール材であって、前記第1枠材は、金属製の室外部材および室内部材と、前記室外部材および前記室内部材を連結する合成樹脂製の断熱部材とを備えて構成され、前記室外部材は、前記断熱部材を保持する室外保持部と、ビスホールとを備え、前記室内部材は、前記断熱部材を保持する室内保持部と、ビスホールとを備え、前記シール材は、前記ビスホールに対応する位置に形成される穴部と、前記断熱部材の少なくとも一部に対向する位置に形成される切欠部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、シール材に切欠部を形成することで、第1枠材とシール材との接触面積を小さくできる。これにより、シール材の反発力を小さくでき、シール性能の確保に必要な圧縮量を確保でき、漏水の発生を抑制できる。
【0030】
本発明の建具枠のシール材において、前記シール材は、前記断熱部材、前記室外保持部および前記室内保持部の少なくとも一部に対向する位置に形成される前記切欠部を有することが好ましい。
切欠部が、断熱部材、室外保持部および室内保持部の少なくとも一部に対向する位置に形成されることで、切欠部の大きさや形成位置の自由度が向上できる。このため、第1枠材とシール材との接触面積を適切に小さくでき、シール材の反発力を小さくでき、シール性能の確保に必要な圧縮量を確保でき、漏水の発生を抑制できる。
【0031】
本発明の建具枠のシール材において、前記シール材は、水抜き穴を有していることが好ましい。
シール材に水抜き穴を設ければ、第1枠材の中空部に仮に雨水が流入した場合に、水を室外に排水できる。また、シール材の水抜き穴は、第1枠材とシール材との接触面積を減少させる切欠部としても機能するため、シール材の圧縮量を確保するための役割も果たす。
【0032】
本発明の建具枠のシール材において、前記切欠部は、前記室外保持部および前記断熱部材の一部に対向する位置に形成される室外切欠部と、前記室内保持部および前記断熱部材の一部に対向する位置に形成される室内切欠部と、を備えることが好ましい。
シール材に室外切欠部と室内切欠部とを設けることで、シール材の反発力をバランスよく低減でき、第1枠材によるシール材の圧縮量もシール材全体にわたってバランスよくほぼ均等にでき、シール材全体のシール性能を維持できて漏水の発生を効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0033】
1…引違い窓、2…窓枠、3…外障子、4…内障子、21…上枠、22…下枠、23、24…縦枠、25、27…樹脂製カバー材、26、29…樹脂製部材、28…金属製カバー材、31…上框、32…下框、33…縦框、34…外召合せ框、41…上框、42…下框、43…縦框、44…内召合せ框、50、50B、50C、50D…シール材、51、52…穴部、53、54…水抜き穴、55、55B、55C、56、56D…切欠部、60…タッピングねじ、211…室外部材、211A…室外保持部、211B…ビスホール、212…室内部材、212A…室内保持部、212B…ビスホール、213…断熱部材、215…外レール、216…内レール、217…仕切り壁、218A、218B…中空部、221…室外部材、221A…室外保持部、221B、221C…ビスホール、222…室内部材、222A…室内保持部、222B…ビスホール、223…断熱部材、225…外レール、226…内レール、231…レール、232…樹脂製部材、235、236…挿通穴、241…レール、242…樹脂製部材、2111…上面部、2112…釘ヒレ部、2113…網戸レール部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9