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特許7481258電池モジュール、及び複数のモジュールを備えた電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電池モジュール、及び複数のモジュールを備えた電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/213 20210101AFI20240501BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240501BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240501BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240501BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240501BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240501BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20240501BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240501BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240501BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20240501BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M50/505
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/6553
H01M10/6568
H01M50/291
H01M10/613
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020541365
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 FR2019050169
(87)【国際公開番号】W WO2019145653
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】1850673
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デボワ-ルノーダン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】カルミナーティ,ジャン-ノエル
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0005384(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0151314(US,A1)
【文献】特開2005-285455(JP,A)
【文献】特開2010-277863(JP,A)
【文献】特開2015-172997(JP,A)
【文献】特開2012-022830(JP,A)
【文献】特開2017-174792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/643
H01M 10/6553
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のためのモジュールであって、
第1の端部、第2の端部及び前記第1の端部と前記第2の端部とを結合する中間部分を夫々有する蓄電池と、
前記蓄電池の第1の端部が固定されている第1の貫通開口部を有する第1のフランジと、
複数の第1の蓄電池組立体の内の第1の蓄電池組立体の蓄電池の第1の端部に夫々接続されている第1の導電性プレートと、
前記蓄電池の第2の端部が固定されている第2の貫通開口部を有する第2のフランジと、
複数の第2の蓄電池組立体の内の第2の蓄電池組立体の蓄電池の第2の端部に夫々接続されている第2の導電性プレートと、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジによって部分的に画定されて誘電性液体を含むように構成された第1のチャンバ、第2のチャンバ及び第3のチャンバと
を備えており、
前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートは全て同一の構造を有し、
前記第1のフランジは前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバを分離しており、前記第2のフランジは前記第2のチャンバ及び前記第3のチャンバを分離しており、
前記第1の導電性プレートは前記第1のチャンバに設けられており、前記第2の導電性プレートは前記第3のチャンバに設けられており、前記蓄電池の中間部分は前記第2のチャンバに設けられており、
前記第1のフランジは、誘電性液体のための第1の通路を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に有しており、前記第2のフランジは、誘電性液体のための第2の通路を前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間に有しており、
前記誘電性液体は、あらゆる使用状況で前記蓄電池を互いに絶縁することができる液体であることを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前記第1の導電性プレートは、前記第1の通路の内の1つに夫々対向する第1の孔を夫々有しており、
前記第2の導電性プレートは、前記第2の通路の内の1つに夫々対向する第2の孔を夫々有していることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記第1のフランジは前記第1のチャンバに突出するピンを有しており、前記ピンは前記第1の孔を横切っていることを特徴とする請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記第1のフランジは、前記第1の貫通開口部とは異なる、誘電性液体の通路のための第3の開口部を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に有しており、
前記第2のフランジは、前記第2の貫通開口部とは異なる、誘電性液体の通路のための第4の開口部を前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間に有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項5】
前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートは、異なる材料で形成された少なくとも第1の導電層及び第2の導電層の積層体を夫々有しており、前記第1の導電層は前記蓄電池の内の少なくとも2つと機械的に接しており、前記第2の導電層は、前記少なくとも2つに対向して開口していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項6】
前記蓄電池の総数は100 ~500 の範囲内であり、24の倍数に相当することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項7】
前記蓄電池の総数は144 又は168 であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載のモジュールを複数備えていることを特徴とする電池。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1つに記載の電池のためのモジュールを製造する方法であって、
前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートを製造する際、
ダイスタンピングによって第1の予備成形物及び第2の予備成形物を形成する工程、
前記第1の予備成形物を切断して前記第1の導電性プレートを得る工程、及び
前記第2の予備成形物を切断して前記第2の導電性プレートを得る工程
を行うことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1の予備成形物及び前記第2の予備成形物は同一又は対称であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
切断する工程は、レーザ切断、機械加工又は放電加工切断の工程であることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、直列及び/又は並列に接続された蓄電池とも称される、蓄電素子の電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、一又は複数の相互に接続された電池モジュールを備えている。各電池モジュールは、電気接続素子によって互いに接続された蓄電池の組立体を有している。
【0003】
電池は、蓄電池を冷却又は加熱して電池の性能及び寿命を高めることが可能な、蓄電池の熱調整システムを備えてもよい。空気、水若しくはグリコール水、又は誘電性液体を用いた熱調整システムがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気を用いた熱調整システムの不利点は、冷却性能が低いことである。水を用いた熱調整システムの不利点は、水及びグリコール水の絶縁耐力が低いことである。そのため、冷却液を電池の全ての導電体から物理的に分離すべきである。その結果、電池の構造が複雑になって、冷却性能が不十分になる場合がある。更に、衝撃がある場合、電池内の漏水が漏電又は短絡さえ生じさせる場合がある。
【0005】
誘電性液体を用いた熱調整システムは、冷却液が導電体及び蓄電池と直接接してもよいという利点を有する。米国特許出願公開第2017/0005384 号明細書には、誘電性液体を使用することができる熱調整システムを備えた電池が記載されている。米国特許出願公開第2017/0005384 号明細書に記載されている電池の不利点は、電池の構造が複雑であるということである。更に、電池の製造方法は、蓄電池を接着する工程を含む場合があるため、分解作業及び/又は保守作業を困難にする場合がある。
【0006】
電池モジュールは、直列に組み立てられた複数段の蓄電池を有してもよく、各段は、並列に組み立てられた複数の蓄電池を含んでもよい。段の数及び段毎の蓄電池の数は、電池を対象とする用途に応じて決められる。段の数及び段毎の蓄電池の数の変更を、可能な限り少ない電池部品を変更することにより簡単に行うことが望ましい。段の数及び段毎の蓄電池の数の変更を、電池の製造方法の僅かな工程を変更することにより行うことが更に望ましい。
【0007】
従って、実施形態の目的は、前述した電池の不利点を少なくとも部分的に克服することである。
【0008】
実施形態は、誘電性液体を使用した、蓄電池の熱調整システムを備えた電池を提供することを目的とする。
【0009】
実施形態は、単純な構造の電池を提供することを目的とする。
【0010】
実施形態は、接着する工程を含まない電池の組立方法を提供することを目的とする。
【0011】
実施形態は、リチウムイオン蓄電池に適合された電池を提供することを目的とする。
【0012】
実施形態は、分解作業及び/又は保守作業が簡単な電池を提供することを目的とする。
【0013】
実施形態は、特に僅かな電池部品を変更することにより、段の数及び段毎の蓄電池の数を簡単に変更することができる、複数段の蓄電池を備えた電池モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
実施形態は、電池の製造方法の僅かな工程を変更することにより、段の数及び段毎の蓄電池の数を変更することができる、複数段の蓄電池を備えた電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態は、電池のためのモジュールであって、
第1の端部、第2の端部及び前記第1の端部と前記第2の端部とを結合する中間部分を夫々有する蓄電池と、
前記蓄電池の第1の端部が固定されている第1の貫通開口部を有する第1のフランジと、
複数の第1の蓄電池組立体の内の第1の蓄電池組立体の蓄電池の第1の端部に夫々接続されている第1の導電性プレートと、
前記蓄電池の第2の端部が固定されている第2の貫通開口部を有する第2のフランジと、
複数の第2の蓄電池組立体の内の第2の蓄電池組立体の蓄電池の第2の端部に夫々接続されている第2の導電性プレートと、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジによって部分的に画定されて誘電性液体を含むように構成された第1のチャンバ、第2のチャンバ及び第3のチャンバと
を備えており、
前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートは全て同一の構造を有し、
前記第1のフランジは前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバを分離しており、前記第2のフランジは前記第2のチャンバ及び前記第3のチャンバを分離しており、前記第1のフランジは、誘電性液体のための第1の通路を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に有しており、前記第2のフランジは、誘電性液体のための第2の通路を前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間に有していることを特徴とするモジュールを提供する。
【0016】
実施形態によれば、前記第1の導電性プレートは、前記第1の通路の内の1つに夫々対向する第1の孔を夫々有しており、
前記第2の導電性プレートは、前記第2の通路の内の1つに夫々対向する第2の孔を夫々有している。
【0017】
実施形態によれば、前記第1のフランジは前記第1のチャンバに突出するピンを有しており、前記ピンは前記第1の孔を横切っている。
【0018】
実施形態によれば、前記第1のフランジは、前記第1の貫通開口部とは異なる、冷却液の通路のための第3の開口部を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に有しており、
前記第2のフランジは、前記第2の貫通開口部とは異なる、冷却液の通路のための第4の開口部を前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間に有している。
【0019】
実施形態によれば、前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートは、異なる材料で形成された少なくとも第1の導電層及び第2の導電層の積層体を夫々有しており、前記第1の導電層は前記蓄電池の内の少なくとも2つと機械的に接しており、前記第2の導電層は、前記少なくとも2つに対向して開口している。
【0020】
実施形態によれば、前記蓄電池の総数は100 ~500 の範囲内であり、24の倍数に相当する。
【0021】
実施形態によれば、前記蓄電池の総数は144 又は168 である。
【0022】
実施形態は、上記に定義されているようなモジュールを複数備えていることを特徴とする電池を更に提供する。
【0023】
実施形態は、上記に定義されているような、電池のためのモジュールを製造する方法であって、
前記第1の導電性プレート及び前記第2の導電性プレートを製造する際、
ダイスタンピングによって第1の予備成形物及び第2の予備成形物を形成する工程、
前記第1の予備成形物を切断して前記第1の導電性プレートを得る工程、及び
前記第2の予備成形物を切断して前記第2の導電性プレートを得る工程
を行うことを特徴とする方法を更に提供する。
【0024】
実施形態によれば、前記第1の予備成形物及び前記第2の予備成形物は同一又は対称である。
【0025】
実施形態によれば、切断する工程は、レーザ切断、機械加工又は放電加工切断の工程である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0027】
図1】蓄電池モジュールの実施形態を部分的に簡略化して示す斜視図である。
図2】蓄電池モジュールの実施形態を部分的に簡略化して示す断面図である。
図3図1に示されている蓄電池モジュールのフランジを部分的に簡略化して示す斜視図である。
図4図1に示されている蓄電池モジュールのフランジを部分的に簡略化して示す平面図である。
図5図1に示されているような複数の蓄電池を備えた電池の実施形態を部分的に簡略化して示す斜視図である。
図6図1に示されているような複数の蓄電池を備えた電池の実施形態を部分的に簡略化して示す斜視図である。
図7】蓄電池モジュールの接続プレートを製造する方法の実施形態を示すフローチャートである。
図8】電池モジュールを組み立てる方法の実施形態を示すフローチャートである。
図9】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図10】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図11】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図12】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図13】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図14】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図15】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図16】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図17】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図18】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図19】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
図20】モジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線と共に予備成形物を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同一の要素は異なる図面で同一の参照番号で示されている。明瞭化のために、記載された実施形態の理解に有用な要素のみが示され詳述されている。更に、様々な図面は正しい縮尺で示されていない。
【0029】
以下の記載では、「上側」、「下側」、「側方」又は「上方」のような絶対位置又は相対位置を特定する用語を参照する場合、図面の向き、又は通常の使用位置での電池を指す。特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という用語は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0030】
図1及び図2は夫々、蓄電池モジュール10の実施形態を示す斜視図及び断面図である。(Ox, Oy, Oz)を直交基準座標系と称する。図2は、面Oxz と平行な半平面の断面図を含む。
【0031】
実施形態によれば、蓄電池モジュール10は、方向Oxに沿って200 mm~400 mmの範囲内、例えば略300 mmの大きさを有し、方向Oyに沿って140 mm~250 mmの範囲内、例えば略200 mmの大きさを有し、方向Ozに沿って70mm~110 mmの範囲内、例えば略90mmの大きさを有する直方体内に内接する。
【0032】
蓄電池モジュール10のある要素は、面Oxy と平行な対称面に対して対称である。本開示の残り部分では、この対称面に対して少なくとも部分的に対称な蓄電池モジュール10の要素を示すために、参照として添え字A が続く同一の数字を使用して対称面の一側に配置された要素を示し、添え字B が続く同一の数字を使用して対称面の反対側に配置された要素を示す。
【0033】
蓄電池モジュール10は、
複数の蓄電池20と、
蓄電池20を保持するための上側フランジ22A 及び下側フランジ22B と、
上側フランジ22A に置かれて蓄電池20を電気的に結合する複数の上側接続プレート24A 、及び下側フランジ22B に置かれて蓄電池20を電気的に結合する複数の下側接続プレート24B と
を備えている。
【0034】
蓄電池モジュール10は、2~500 の蓄電池20、好ましくは50~500 の蓄電池、より好ましくは100 ~500 の蓄電池、更に好ましくは144 の蓄電池又は168 の蓄電池を備えてもよい。図2に示されているように、各蓄電池20は、第1の端部26A 、第2の端部26B 、及び第1の端部26A と第2の端部26B との間に延びている中間部分28を有している。蓄電池20は、例えば特に円形の基部を有する一般的な円筒形状、又は軸芯Ozの角柱形状を有する。蓄電池20は、例えばリチウムイオン蓄電池、特にリン酸鉄リチウム、つまりLFP 蓄電池タイプのリチウムイオン蓄電池、ニッケルマンガンコバルト、つまりNMC 蓄電池タイプのリチウムイオン蓄電池、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、つまりNCA 蓄電池タイプのリチウムイオン蓄電池、又はリチウムマンガン酸化物、つまりLMO 蓄電池タイプのリチウムイオン蓄電池である。軸芯Ozに沿った蓄電池20の長さは30mm~110 mmの範囲内であってもよく、例えば略65mmであってもよい。円形の基部を有する円筒状の蓄電池20の場合、各蓄電池20の直径は10mm~27mmの範囲内であってもよく、例えば略18mmであってもよい。各蓄電池20は、第1の電気端子30A 及び第2の電気端子30B を更に有している。蓄電池20毎に、第1の電気端子30A は、好ましくは第1の端部26A に配置されており、第2の電気端子30B は、好ましくは第2の端部26B に配置されている。
【0035】
方向Oxに沿った各フランジ22A, 22Bの大きさは、方向Oxに沿った蓄電池モジュール10の大きさと実質的に等しい。方向Oyに沿った各フランジ22A, 22Bの大きさは、蓄電池モジュール10の内部体積の方向Oyに沿った最大の大きさと実質的に等しい。フランジ22A, 22Bは、例えばポリオキシメチレン(POM) 、ポリアミド(PA、特にPA66)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような優れた機械的強度を有するあらゆる電気絶縁性材料で形成されてもよいが、更に木材に基づく材料で形成されてもよい。
【0036】
各フランジ22A, 22Bは、蓄電池20の端部26A, 26Bを収容する、図2に示されている貫通開口部32A, 32Bを有している。より具体的には、蓄電池20毎に、蓄電池20の端部26A が上側フランジ22A の貫通開口部32A の内の1つに収容されており、蓄電池20の端部26B が下側フランジ22B の貫通開口部32B の内の1つに収容されている。実施形態によれば、貫通開口部32B は方向Ozに沿って設けられており、蓄電池20の端部26A, 26Bの形状に相補的な形状を有する。蓄電池20の所望の接続に応じて、蓄電池20毎に、蓄電池20の正端子は上側フランジ22A 又は下側フランジ22B のレベルに配置されてもよい。蓄電池20は五点形に配置されてもよい。2つの隣り合う蓄電池の軸芯間の距離は18.5mm~22mmの範囲内であってもよく、例えば略20mmであってもよい。2つの隣り合う蓄電池20間の最小間隔は0.5 mm~4mmの範囲内であってもよく、例えば略2mmであってもよい。
【0037】
実施形態によれば、各蓄電池20は、関連付けられた貫通開口部32A, 32B内に緊密に組み立てられている。蓄電池20をフランジ22A, 22Bに固定すべく使用される接着剤がないことが好ましい。
【0038】
上側フランジ22A は、例えば図2のみに示されている筐体要素12又は以下に更に詳細に記載されるような別のモジュールと共に上側チャンバ34A を画定している。下側フランジ22B は、筐体要素12と共に下側チャンバ34B を画定している。フランジ22A, 22Bは共に中間チャンバ36を画定している。チャンバ34A, 34B, 36は図2に示されている。上側チャンバ34A は冷却液吸込口40を有しており、下側チャンバ34B は冷却液放出口42を有している。冷却液吸込口40及び冷却液放出口42は、方向Oxに沿ってチャンバ34A, 34Bの反対側の端部に配置されている。
【0039】
各接続プレート24A, 24Bは、第1組立体の蓄電池20の正又は負の端子を第2組立体の蓄電池20の負又は正の端子と結合している。蓄電池20及び接続プレート24A, 24Bの組立体は、蓄電池20が第1のアクセスノードと第2のアクセスノードとの間で直列及び/又は並列に接続されている電気回路を形成しており、各アクセスノードは複数の接続プレート24A 又は複数の接続プレート24B の内の1つに対応する。蓄電池20の向き並びに接続プレート24A, 24Bの配置及び大きさによって、蓄電池20の所望の直列/並列接続が可能になる。実施形態によれば、各接続プレート24A, 24Bに接続された蓄電池20の個数は2~500 の範囲内である。実施形態によれば、各接続プレート24A, 24Bは、1~500 の蓄電池20の正端子及び1~500 の蓄電池20の負端子に接続されている。2つの隣り合う接続プレート24A 又は接続プレート24B は、特に蓄電池モジュール10によって供給される電圧に応じて決められる距離、例えば蓄電池モジュールによって供給される60Vの電圧では好ましくは少なくとも2mmの距離、蓄電池モジュールによって供給される400 Vの電圧では好ましくは少なくとも6mmの距離、離隔している。
【0040】
各フランジ22A, 22Bは、接続プレート24A, 24Bの方に向いたピン37A, 37Bを有している。各フランジ22A, 22Bは、方向Ozに沿って設けられた更なる貫通開口部38A, 38Bを有している。更なる貫通開口部38A, 38Bは、実質的にピン37A, 37Bの中心でフランジ22A, 22Bを横断してもよい。実施形態によれば、更なる貫通開口部38A, 38Bは夫々、円形の基部を有する軸芯Ozの円筒状である。更なる貫通開口部38A, 38Bの直径は夫々0.5 mm~5mmの範囲内である。
【0041】
接続プレート24A, 24Bは貫通孔39A, 39Bを有している。一部のピン37A, 37Bは、接続プレート24A, 24Bの貫通孔39A, 39Bを通過して延びている。ピン37A, 37Bによって、特に接続プレート24A, 24Bが蓄電池20に固定される前に、接続プレート24A, 24Bの位置決めを容易にすることができる。
【0042】
別の実施形態によれば、ピン37A, 37Bは設けられていない。そのため、貫通孔39A, 39Bは、更なる貫通開口部38A, 38Bと一列に配置されてもよい。
【0043】
図3及び図4は夫々、図1に示されている蓄電池モジュール10の上側フランジ22A を部分的に簡略化して示す斜視図及び平面図である。図4に示されているように、上側フランジ22A の側部に配置されたピン37A を除いて、各ピン37A は、平面視で正三角形内に内接する断面を有する。更に各ピン37A は、貫通開口部32A, 32Bの内の少なくとも1つの上に突出している。従って、ピン37A は、蓄電池20がフランジ22A, 22Bに配置されるとき、方向Ozに沿った停止部の機能を果たす。更に、図3及び図4図1及び図2に示されていない更なる開口部44を示し、更なる開口部44は、不図示の側壁をフランジに固定するために使用され得る。
【0044】
中間チャンバ36は、更なる貫通開口部38A 及び貫通孔39A のみを介して上側チャンバ34A と連通し、中間チャンバ36は、更なる貫通開口部38B 及び貫通孔39B のみを介して下側チャンバ34B と連通する。実施形態によれば、各貫通孔39A, 39Bは、円形の基部を有する軸芯Ozの円筒状である。各貫通孔39A, 39Bの直径は、更なる貫通開口部38A, 38Bの直径と実質的に等しくてもよい。
【0045】
実施形態によれば、同一の予備成形物を切断して接続プレート24A, 24Bを得てもよい。
【0046】
冷却液吸込口40及び冷却液放出口42は、細長い形状を有してもよい。冷却液吸込口40及び冷却液放出口42の細長い形状によって、チャンバ34A, 34B内の冷却液がより均一に分散する。変形例として、細長い冷却液吸込口40及び冷却液放出口42は点状の冷却液吸込口及び冷却液放出口と取り替えられてもよい。細長い冷却液吸込口40及び冷却液放出口42は、例えば方向Oyに沿って延びている。
【0047】
動作中、誘電性の冷却液が蓄電池モジュール10を通って流れるように構成されている。誘電性の冷却液は、合成油、ポリアルファオレフィン油、天然エステル、合成エステル、変圧器鉱油、及びシステムのあらゆる使用状況でセルを互いに絶縁することができる絶縁耐力を有するあらゆる他の流体を含む群から選択されてもよい。非制限例として、誘電性の冷却液は、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロ-1,3- ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロメチルデカリン、トリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、メタノール及びエタノールを含む群から選択されている。図2に示されているように、冷却液は細長い冷却液吸込口40を通って上側チャンバ34A 内に入り込む(矢印A)。その後、冷却液は、上側チャンバ34A から更なる貫通開口部38A を通って中間チャンバ36内に入り込む。その後、冷却液は、蓄電池20と接する中間チャンバ36を通って流れる(矢印B)。中間チャンバ36では、冷却液の大部分が方向Ozに沿って流れる。その後、冷却液は、中間チャンバ36から更なる貫通開口部38B を通って下側チャンバ34B 内に入り込む。冷却液は、下側チャンバ34B から冷却液放出口42を通って放出される(矢印C)。蓄電池20と接する冷却液の流れによって、最適な冷却性能を得ることができる。冷却液の流れが中間チャンバ36内で実質的に均一であるように、更なる貫通開口部38A, 38Bの大きさ及び分散配置が選択されていることが好ましい。
【0048】
蓄電池モジュール10は、複数の蓄電池20によって形成された電気回路の第1のアクセスノードに対応する接続プレート24A 又は接続プレート24B に電気的に結合されて、複数の蓄電池20によって形成された電気回路の第1のアクセスノードに対応する接続プレート24A 又は接続プレート24B にねじ留めされてもよい不図示の第1の導電体、例えばケーブル又はプレートと、複数の蓄電池20によって形成された電気回路の第2のアクセスノードに対応する接続プレート24A 又は接続プレート24B に電気的に結合されて、複数の蓄電池20によって形成された電気回路の第2のアクセスノードに対応する接続プレート24A 又は接続プレート24B にねじ留めされてもよい不図示の第2の導電体、例えばケーブル又はプレートとを備えてもよい。第1の導電体及び/又は第2の導電体は、蓄電池モジュールを電気端子又は別の蓄電池モジュールに接続するように構成されている。
【0049】
蓄電池モジュール10は、蓄電池モジュール10の動作中に様々な信号を測定することができる不図示のセンサを更に備えてもよい。例として、センサは、蓄電池20の近傍で温度を測定するための少なくとも1つの温度センサを含んでもよい。蓄電池モジュール10は複数の温度センサを備えていることが好ましい。例として、センサは、蓄電池20の電圧用のセンサを含んでもよい。蓄電池モジュール10は、蓄電池20を加熱するために使用される少なくとも1つの加熱素子を更に備えてもよい。
【0050】
実施形態によれば、蓄電池モジュール10は、センサ及び/又は加熱素子が設けられている不図示のプリント回路、例えばフレキシブルプリント回路を備えてもよい。そのため、フレキシブルプリント回路は、例えば銅で形成された導電性トラックを支持膜上に有しており、電子部品又は電子回路は導電性トラックに固定されている。例として、フレキシブルプリント回路が蓄電池20を加熱するために使用される加熱素子を有する場合、加熱素子は、電流が流れるときに熱を発生させるために適宜の断面及び長さを有する抵抗性トラック又は銅のトラックに相当してもよい。実施形態によれば、フレキシブルプリント回路はRFID(無線周波数識別)タグを含んでもよい。フレキシブルプリント回路は蓄電池20に接続されてもよい。フレキシブルプリント回路は、導電体、特にフレキシブルシートによって、例えば蓄電池モジュール10の外側又は内側に配置された処理モジュールに結合されてもよい。
【0051】
実施形態によれば、接続プレート24A, 24Bの構造は、以下の複数の基準を満たすように選択されている。
接続プレート24A, 24Bは蓄電池20に溶接され得る。
接続プレート24A, 24Bは優れた導電体である。
接続プレート24A, 24Bの製造コストが低い。
接続プレート24A, 24Bは全て同一の構造を有するが、場合によっては異なる形状を有し、アクセスノードの機能を果たして導電体に接続されるように構成されている接続プレートを含む。
アクセスノードの機能を果たす接続プレートへの導電体の固定を、機械的に締めることにより、例えばねじ留めすることにより行うことができる。
【0052】
各接続プレート24A, 24Bの最大の厚さは0.2 mm~2mmの範囲内である。図2に示されているような本実施形態では、各接続プレート24A, 24Bは、図2に示されている少なくとも第1の導電層50A, 50B及び第2の導電層52A, 52Bの積層体を有している。第1の導電層50A, 50Bは蓄電池20と機械的に接している。第1の導電層50A, 50Bのみが蓄電池20と対向するように、第2の導電層52A, 52Bは、蓄電池20と対向する開口部54A, 54Bを有している。図1に示されているスロット56A が、開口部54A のレベルで第1の導電層50A の露出部分に設けられてもよい。
【0053】
実施形態によれば、第1の導電層50A, 50Bは、ニッケルめっきを施した鋼、ニッケル、ニッケルめっきを施した銅、及び蓄電池20への容易な溶接を可能にするあらゆる他の材料を含む群から選択された材料で形成されている。第1の導電層50A, 50Bの厚さは0.1 mm~0.5 mmの範囲内である。実施形態によれば、第2の導電層52A, 52Bは、銅、アルミニウム、ベリリウム銅、及び十分な導電率を有するあらゆる材料を含む群から選択された材料で形成されている。第2の導電層52A, 52Bの厚さは0.2 mm~2mmの範囲内である。接続プレート24A, 24Bの導電率特性が第2の導電層52A, 52Bによって基本的に保証される一方、第1の導電層50A, 50Bを形成する材料は、蓄電池20との高品質な電気接続部を得るため、特に蓄電池20との第1の導電層50A, 50Bの溶接を容易にするために特に選択されている。更に、第2の導電層52A, 52Bを形成する材料は、特に第2の導電層52A, 52Bと導電体とを機械的に締めることにより、特にはねじ留めすることにより、導電体と電気的に接続され得るように選択されている。従って、第1のアクセスノード及び第2のアクセスノードの機能を果たす接続プレート24A 及び接続プレート24B は他の接続プレートと同一の構造を有し、これは、接続プレート24A, 24Bがアルミニウムで形成される場合、処理無しではアルミニウム表面に電気絶縁層を形成することが不可避であるため、不可能になる。
【0054】
電池は、直列及び/又は並列に接続された、前述したような複数の蓄電池モジュール10を備えてもよい。
【0055】
図5は、方向Ozに沿って積み重ねられた複数の蓄電池モジュール10を備えた電池60の実施形態を部分的に簡略化して示す斜視図である。この実施形態では、ある蓄電池モジュールに関して、蓄電池モジュールの上側チャンバ34A 及び/又は下側チャンバ34B は2つの隣り合う蓄電池モジュールのフランジ22A, 22Bによって画定されてもよい。この実施形態では、蓄電池モジュールの積層体の端部に配置された蓄電池モジュールに関して、蓄電池モジュール10の上側チャンバ34A 及び/又は下側チャンバ34B は、蓄電池モジュール10の積層体を収容する不図示の筐体によって画定されてもよい。
【0056】
図6は、面(Oxy) に互いに隣り合って配置された複数の蓄電池モジュール10を備えた電池62の実施形態を部分的に簡略化して示す斜視図である。この実施形態では、各蓄電池モジュール10の上側チャンバ34A 及び/又は下側チャンバ34B は、蓄電池モジュール10を収容する不図示の筐体によって画定されてもよい。
【0057】
蓄電池モジュール10内の冷却液はポンプによって流れる。その後、冷却液は各蓄電池モジュール10に供給される。冷却液は、前述したように各蓄電池モジュール10を横切った後、回収される。
【0058】
各蓄電池モジュール10がセンサを備えている場合、蓄電池モジュールの全てのセンサは処理部に結合されてもよい。処理部は専用回路に相当してもよく、又はメモリに記憶されたコンピュータプログラムの命令を実行することができるプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを有してもよい。処理部は、例えば認められた動作範囲内に維持するために蓄電池20の電圧をモニタし、蓄電池20の充電レベルをモニタし、場合によっては、これらの充電の均衡を保ち、再充電期間中の充電電流を調節し、放電電流を調節し、蓄電池20の温度をモニタし、冷却液の流れを制御することなどができる電池を制御するためのシステムの機能を果たしてもよい。
【0059】
例として、電池の直列接続された蓄電池20の数は、特に12V程度の電圧を供給する電池では4から、特に700 V又は1,000 Vより大きい電圧を供給する電池では100を超える数の範囲内であってもよい。電池は、例えばラップトップコンピュータ、例えば4つの直列接続された蓄電池を備えた無線スクリューガン、電動アシスト自転車、電気自動車又は別の電動の乗り物に電力を供給するために使用されるように構成されている。
【0060】
図7は、蓄電池モジュール10の接続プレート24A, 24Bを製造する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0061】
工程70では、接続プレート24A, 24Bを形成するための細片を形成する。実施形態によれば、接続プレート24A, 24Bが多層構造を有する場合、工程70では、層の積層体を含む細片を形成してもよい。実施形態によれば、接続プレート24A, 24Bが前述した第1の導電層50A, 50B及び第2の導電層52A, 52Bの積層体を有する場合、工程70では、第1の導電層50A, 50B及び第2の導電層52A, 52Bを切り分けて、特に第2の導電層52A, 52Bに開口部54A, 54Bを形成し、例えばレーザ溶接によって、第2の導電層52A, 52Bを第1の導電層50A, 50Bに固定する。
【0062】
工程72では、工程70で得られた細片に、接続プレート24A, 24Bのために切断する予備成形物を形成する。蓄電池モジュール10毎に、接続プレート24A のために切断する第1の予備成形物を形成し、接続プレート24B のために切断する第2の予備成形物を形成する。実施形態によれば、工程70で形成された細片のダイスタンピングによって各予備成形物を得る。第1の予備成形物の周縁部が接続プレート24A のカバーに相当し、第2の予備成形物の周縁部が接続プレート24B のカバーに相当する。更に、ダイスタンピング作業中、貫通孔39A, 39Bを第1の導電層50A, 50B及び第2の導電層52A, 52Bに更に形成し、スロット56A を第1の導電層50A, 50Bに更に形成する。ダイスタンピング工程によって、機械加工による形成では高コストになる、かなりの数の開口部を同時的に形成し得ることが有利である。実施形態によれば、接続プレート24A, 24Bの形状が何であれ、予備成形物は同一である。このため、接続プレート24A, 24Bの形状が何であれ、同一のスタンピングダイを工程72で使用することが可能になる。
【0063】
工程74では、第1の予備成形物を切断して接続プレート24A を得て、第2の予備成形物を切断して接続プレート24B を得る。切断は、レーザ切断、機械加工、又は特にワイヤ放電加工による放電加工切断であってもよい。
【0064】
図8は、蓄電池モジュール10を製造する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0065】
工程80では、蓄電池20を上側フランジ22A の内の1つに置く。
【0066】
工程82では、蓄電池に他方の下側フランジ22B を追加する。
【0067】
工程84では、各接続プレート24A を上側フランジ22A に置き、例えば電気溶接によって各接続プレート24A を蓄電池に固定する。
【0068】
工程86では、各接続プレート24B を下側フランジ22B に置き、例えば電気溶接によって各接続プレート24B を蓄電池20に固定する。
【0069】
フランジ22A, 22Bと筐体12との機械的な接続、フランジ22A, 22Bと蓄電池20との機械的な接続、及び接続プレート24A, 24Bと蓄電池20との機械的な接続により、組立体の剛性及び蓄電池20の保持が保証される。
【0070】
電池を製造する方法の実施形態では、複数のモジュールを積み重ねて、モジュールを互いに電気的に接続する。
【0071】
蓄電池20はS段の蓄電池に分散しており、各段はP個の蓄電池20を含んでおり、S段の蓄電池は直列接続されており、段毎に、一段のP個の蓄電池は並列に接続されている。蓄電池20は接続プレート24A, 24Bによって接続されている。複数の蓄電池20によって形成される電気回路は、筐体12又はフランジ22A, 22Bを変更することなく、接続プレート24A, 24Bの配置及び大きさを変えることにより、及び/又は蓄電池20の向きを変えることにより容易に変更され得る。従って、蓄電池モジュール10は様々な用途に適合するように容易に変更され得る。
【0072】
蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数は、段の数S及び段毎の蓄電池20の数Pが異なるかなりの数の構成を形成し得るように選択されていることが有利である。実施形態によれば、蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数は8の倍数である。実施形態によれば、蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数は24の倍数である。
【0073】
実施形態によれば、蓄電池の総数によって、方向(Oz)に沿って見て、短辺対長辺の比が1/3 ~2/3 の範囲内である矩形内に蓄電池が内接するように、蓄電池を配置することが可能になる。このため、コンパクトなモジュールを形成することが可能になる。実施形態によれば、蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数は144 又は168 である。蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数が144 であるとき、方向(Oz)に沿って見て、短辺対長辺の比が略2/3 である矩形内に蓄電池が内接するように、蓄電池を配置してもよいことが有利である。蓄電池モジュール10を形成する蓄電池20の総数が168 であるとき、方向(Oz)に沿って見て、短辺対長辺の比が略2/3 である矩形内に蓄電池が内接するように、蓄電池を配置してもよいことが有利である。
【0074】
以下の表Iは、蓄電池モジュールの蓄電池20の総数が144 である場合の様々な可能な構成を含む。構成毎に、各蓄電池20がリン酸鉄リチウム、つまりLFP 蓄電池タイプである場合、及び各蓄電池20がニッケルマンガンコバルト、つまりNMC 蓄電池タイプである場合の蓄電池モジュール10によって供給される最小電圧Umin、蓄電池モジュール10によって供給される平均電圧Umoy、蓄電池モジュール10によって供給される最大電圧Umaxが示されている。
【0075】
【表1】
【0076】
以下の表IIは、蓄電池モジュールの蓄電池20の総数が168 である場合の表Iと同様の表である。
【0077】
【表2】
【0078】
図9~20は、P個の蓄電池を夫々含むS段に分散する144 個の蓄電池を備えたモジュールの蓄電池の様々な接続構成に関して接続プレートのための切断線92と共に予備成形物90を示す平面図である。図面では、記号
が、第1のアクセスノードの機能を果たし、導電体によって電池の電気端子又は別のモジュールのアクセスノードに電気的に結合されるように構成されている接続プレートの隣に置かれており、記号
が、第2のアクセスノードの機能を果たし、導電体によって電池の電気端子又は別のモジュールのアクセスノードに電気的に結合されるように構成されている接続プレートの隣に置かれている。アクセスノードの機能を果たす接続プレート24A 又は接続プレート24B はP個の蓄電池に夫々接続されている一方、他の接続プレート24A 及び接続プレート24B は、P個の蓄電池の正端子及びP個の蓄電池の負端子に夫々接続されている。図9~20では、第2の導電層52A に設けられた各開口部54A のレベルで第1の導電層50A に形成されたスロット56A が、例としてH字形状である。
【0079】
図9及び図10は、12段の12個の蓄電池を備えた構成に対応する。図9は、7つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図10は、6つの接続プレート24B のための切断線92を示す。
【0080】
図11及び図12は、9段の16個の蓄電池を備えた構成に対応する。図11は、5つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図12は、5つの接続プレート24B のための切断線92を示す。
【0081】
図13及び図14は、8段の18個の蓄電池を備えた構成に対応する。図13は、5つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図14は、4つの接続プレート24B のための切断線92を示す。
【0082】
図15及び図16は、6段の24個の蓄電池を備えた構成に対応する。図15は、4つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図16は、3つの接続プレート24B のための切断線92を示す。
【0083】
図17及び図18は、4段の36個の蓄電池を備えた構成に対応する。図17は、3つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図18は、2つの接続プレート24B のための切断線92を示す。
【0084】
図19及び図20は、2段の72個の蓄電池を備えた構成に対応する。図19は、2つの接続プレート24A のための切断線92を示し、図20は1つの接続プレート24B を示す。
【0085】
様々な実施形態が述べられている。当業者にとって様々な変更及び調整が容易に想起される。異なる変形例を有する様々な実施形態が上記に述べられている。当業者は、いかなる進歩性も示さずにこれらの様々な実施形態及び変形例を組み合わせてもよいことに注目すべきである。
【0086】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第18/50673 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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