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特許7481265加熱式混合チャンバーを備えたエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】加熱式混合チャンバーを備えたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240501BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020564838
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065245
(87)【国際公開番号】W WO2019238704
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】18177358.1
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/032695(WO,A1)
【文献】特表2018-502586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0089508(US,A1)
【文献】国際公開第2017/163046(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、前記カートリッジが、
第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有する第一の区画であって、前記第一の空気吸込み口が前記第一の空気出口の上流にあり、ニコチン供与源を包含する、第一の区画と、
第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する第二の区画であって、前記第二の空気吸込み口が前記第二の空気出口の上流にあり、酸供給源を包含する、第二の区画と、
前記第一の区画の前記ニコチン供与源からのニコチン、および前記第二の区画の前記酸供給源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーであって、前記第一の区画の前記第一の空気出口および前記第二の区画の前記第二の空気出口の両方の下流にある、混合チャンバーと、
前記混合チャンバーを加熱するように構成された発熱体と、を備え、
前記発熱体の少なくとも一部分が、前記混合チャンバーの上流にも下流にもない、カートリッジ。
【請求項2】
使用時に、前記発熱体が、前記混合チャンバーを摂氏60度~摂氏80度の温度に加熱するように構成される、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
使用時に、前記第一の区画の温度または前記第二の区画の温度、または前記第一の区画の温度および前記第二の区画の温度の両方が摂氏250度を超えない、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記発熱体が、サセプタまたは電気抵抗性のある発熱体、またはサセプタおよび電気抵抗性のある発熱体の両方を含む、請求項1~3のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記混合チャンバーの少なくとも一部分が、前記第一の区画と前記第二の区画との間に位置付けられる、請求項1~4のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記混合チャンバーが、前記気流の少なくとも一部分の流れ方向を変化させる一つ以上の流れ障害物を含む、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記発熱体が電気抵抗性のあるワイヤコイルであり、前記ワイヤコイルの少なくとも一部分が前記混合チャンバーの少なくとも一部分の周りに位置付けられる、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記発熱体の第一の部分が、前記第一の区画または前記第二の区画、または前記第一の区画および前記第二の区画の両方を加熱するように構成され、前記発熱体の第二の部分が、前記混合チャンバーを加熱するように構成される、請求項1~7のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記発熱体の第一の部分が、前記第一の区画または前記第二の区画、または前記第一の区画および前記第二の区画の両方に隣接して位置付けられ、前記発熱体の第二の部分が、前記混合チャンバーに隣接して、または前記混合チャンバー内に位置付けられる、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のカートリッジと、電源を備えるエアロゾル発生装置と、を備え、前記電源が、前記カートリッジが前記装置と係合した時に前記発熱体に電力を供給する、エアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記エアロゾル発生装置が第二の発熱体を備え、前記第二の発熱体の少なくとも一部分が、前記第一の区画または前記第二の区画、または前記第一の区画および前記第二の区画の両方を加熱するように構成される、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
エアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを備え、前記カートリッジが、
第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有する第一の区画であって、前記第一の空気吸込み口が前記第一の空気出口の上流にあり、ニコチン供与源を包含する、第一の区画と、
第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する第二の区画であって、前記第二の空気吸込み口が前記第二の空気出口の上流にあり、前記第二の区画が酸供給源を包含する、第二の区画と、
前記ニコチン供与源からのニコチンおよび前記酸供給源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーであって、前記第一の区画の前記第一の空気出口および前記第二の区画の前記第二の空気出口の両方の下流にある、混合チャンバーと、
前記混合チャンバーを加熱するように構成された発熱体と、
エアロゾル発生装置であって、ハウジングおよび電源を含み、前記電源が前記発熱体に電力を供給する、エアロゾル発生装置と、を備え、
使用時に、前記カートリッジの少なくとも一部分が前記ハウジングを係合し、前記発熱体の少なくとも一部分が前記混合チャンバーの上流にも下流にもない、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ、エアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生のための方法に関する。特に、本発明は、ニコチンを含むエアロゾルin situ発生用のエアロゾル発生システムで使用するためのニコチン供与源および酸供与源を備えたカートリッジ、およびこうしたカートリッジを備えたエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源を備える、ニコチンをユーザーに送達するための装置が公知である。例えば、国際特許公開公報第2008/121610A1号は、ニコチンおよび揮発性酸が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する装置を開示している。
【0003】
しかし、こうした装置では、ユーザーに送達されるエアロゾルは、ある割合の未反応のニコチンおよびある割合の未反応の酸を包含する。ユーザーに送達されるエアロゾルを改善しうる、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ、またはこうしたカートリッジを備えるエアロゾル発生システムを提供することが本発明の目的である。特に、本発明の目的は、ユーザーに送達されるエアロゾル中の未反応のニコチンの割合を減少させることである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供される。カートリッジは、第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有する第一の区画を備え、第一の空気吸込み口は第一の空気出口の上流にある。第一の区画は、ニコチン供与源を包含する。カートリッジは、第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する第二の区画を備え、第二の空気吸込み口は第二の空気出口の上流にある。第二の区画は、酸供与源を包含する。カートリッジは、第一の区画のニコチン供与源からのニコチンと、第二の区画の酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーを備える。混合チャンバーは、第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口の両方の下流にある。カートリッジは、混合チャンバーを加熱するように構成された発熱体を備え、ここで発熱体の少なくとも一部分は混合チャンバーの上流にも下流にもない。
【0005】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「空気吸込み口」という用語は、空気がそれを通して構成要素または構成要素の一部分の中へと引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0006】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「空気出口」という用語は、空気がそれを通して構成要素または構成要素の一部分から外へ引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0007】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、使用中にカートリッジまたはエアロゾル発生システムを通して搬送される気流の方向に対する、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の一部分の相対的な位置を記述する。
【0008】
本発明の第一の態様によると、カートリッジは、混合チャンバーを加熱するように構成された発熱体を備え、ここで発熱体の少なくとも一部分は混合チャンバーの上流にも下流にもない。有利なことに、この発熱体は、混合チャンバーを加熱して、混合チャンバー内のニコチンと酸との間の反応速度を増大しうる。従って、ユーザーに送達されるエアロゾルは、より少ない未反応のニコチン、またはより少ない未反応の酸、またはより少ない未反応のニコチンかつより少ない未反応の酸を包含しうる、または、より多くのエアロゾルが形成されうる、あるいは、適切な量の反応ニコチンを送達するエアロゾル発生システムの能力を損なうことなく、混合チャンバーを短くしうる。さらに、発熱体の一部分を混合チャンバーの上流にも下流にもなく提供することは、エアロゾル発生システムのその他の部品が高温になり過ぎることなく、混合チャンバーが望ましい温度に加熱されることを可能にする。
【0009】
本発明の第一の態様によると、発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバーの上流にも下流にもない。発熱体は、気流の流路内にあってもよい。すなわち、気流は発熱体に接触してもよい。混合チャンバーの上流にも下流にもない発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバー内にあってもよい。発熱体は完全に混合チャンバー内にあってもよい。発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバー内にあってもよい。発熱体は完全に混合チャンバーの外側にあってもよい。
【0010】
発熱体は、混合チャンバーを摂氏60度~摂氏80度、または摂氏70度~摂氏80度の温度に加熱するように構成されうる。
【0011】
発熱体はサセプタを含みうる。発熱体は電気抵抗性のある発熱体を含みうる。発熱体は赤外線発熱体を含みうる。発熱体は光子供給源を含みうる。
【0012】
混合チャンバーの少なくとも一部分は、第一の区画と第二の区画との間に位置付けられうる。有利なことに、これは、混合チャンバーを短くすることなくカートリッジを短くすることを可能にしうる。
【0013】
混合チャンバーは、気流の少なくとも一部分の流れ方向を変化させる一つ以上の流れ障害物を含みうる。例えば、混合チャンバーは、気流の少なくとも一部分の流れ方向を逆にする一つ以上の流れ障害物を含みうる。混合チャンバーは、気流の少なくとも一部分を加速または減速させる一つ以上の流れ障害物を含んでもよい。混合チャンバーは、複数の流れ障害物を含んでもよい。複数の流れ障害物は、気流の少なくとも一部分を加速した後に減速する、または減速した後に加速しうる。一つ以上の流れ障害物は、混合チャンバーの一つ以上の壁によって少なくとも部分的に画定されうる。
【0014】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「流れ障害物」という用語は、気流の少なくとも一部分に接触し、それによって気流の少なくとも一部分の流れ方向、または流れ速度、または流れ方向および流れ速度の両方を変化させる障害物または制限を記述するために使用される。
【0015】
発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバーに隣接して、または混合チャンバー内に位置付けられてもよい。発熱体全体が、混合チャンバーに隣接して、または混合チャンバー内に位置付けられてもよい。
【0016】
発熱体は、電気抵抗性のあるワイヤコイルであってもよく、ワイヤコイルの少なくとも一部分は、混合チャンバーの少なくとも一部分の周りに位置付けられてもよい。
【0017】
発熱体の第一の部分は、第一の区画または第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方を加熱するように構成されてもよく、発熱体の第二の部分は、混合チャンバーを加熱するように構成されてもよい。
【0018】
発熱体の第一の部分は、第一の区画または第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方に隣接して位置付けられてもよく、発熱体の第二の部分は、混合チャンバーに隣接して、または混合チャンバー内に位置付けられてもよい。
【0019】
使用時に、第一の区画の温度または第二の区画の温度、または第一の区画の温度および第二の区画の温度の両方は、摂氏250度を超えない場合があり、好ましくは摂氏200度を超えない場合があり、より好ましくは摂氏150度を超えない場合がある。
【0020】
使用時に、発熱体は、第一の区画の温度または第二の区画の温度、または第一の区画の温度および第二の区画の温度の両方が、摂氏250度を超えることなく、好ましくは摂氏200度を超えることなく、より好ましくは摂氏150度を超えることなく、混合チャンバーを摂氏60度~摂氏80度、または摂氏70度~摂氏80度に加熱するように構成されうる。
【0021】
本発明の第二の態様によると、本発明の第一の態様によるカートリッジとエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生装置は、電源と、カートリッジがエアロゾル発生装置と係合した時に発熱体に電力を供給する電源とを備える。
【0022】
カートリッジは、発熱体に接続されたカートリッジ電気接点を備えてもよく、エアロゾル発生装置は、電源に接続された装置電気接点を含んでもよい。カートリッジがエアロゾル発生装置と係合した時、カートリッジ電気接点が装置電気接点と接触し、したがって電源が発熱体に接続されうる。
【0023】
エアロゾル発生装置は、第二の発熱体を備えてもよく、第二の発熱体の少なくとも一部分は、第一の区画または第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方を加熱するように構成される。エアロゾル発生装置の電源は、第二の発熱体に電力を供給しうる。
【0024】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供される。カートリッジは、第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有する第一の区画を備え、第一の空気吸込み口は第一の空気出口の上流にある。第一の区画は、ニコチン供与源を包含する。カートリッジは、第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する第二の区画を備え、第二の空気吸込み口は第二の空気出口の上流にある。第二の区画は、酸供与源を包含する。カートリッジは、ニコチン供与源からのニコチンと酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーを備え、混合チャンバーは、第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口の両方の下流にある。エアロゾル発生システムは、混合チャンバーおよびエアロゾル発生装置を加熱するように構成された発熱体を備える。エアロゾル発生装置は、ハウジングおよび電源を備える。電源は、発熱体に電力を供給するように構成される。使用時に、カートリッジの少なくとも一部分はハウジングを係合し、発熱体の少なくとも一部分は混合チャンバーの上流にも下流にもない。
【0025】
本発明の第三の態様によると、発熱体はカートリッジ内またはエアロゾル発生装置内に提供されうる。
【0026】
ハウジングは、カートリッジの少なくとも一部分を受けるためのくぼみを画定しうる。使用時に、カートリッジの少なくとも一部分は、ハウジングによって画定されるくぼみ内に受けられうる。
【0027】
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供されており、カートリッジは、ニコチン供与源を含む第一の区画と、酸供与源を含む第二の区画と、ニコチン供与源からのニコチンと酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーと、混合チャンバーを加熱するように構成された発熱体とを備える。使用時に、発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバーを摂氏60度~摂氏80度の温度、または摂氏70度~摂氏80度の温度に加熱するように構成される。
【0028】
本発明の第五の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供される。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の区画と、酸供与源を包含する第二の区画と、ニコチン供与源からのニコチンと酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーとを備える。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置を備える。エアロゾル発生装置は、発熱体およびハウジングを備え、ハウジングはカートリッジの少なくとも一部分を受けるためのくぼみを画定し、使用時に、カートリッジの少なくとも一部分はハウジングを係合し、発熱体の少なくとも一部分は、混合チャンバーを摂氏60度~摂氏80度、または摂氏70度~摂氏80度の温度に加熱するように構成される。
【0029】
ハウジングは、カートリッジの少なくとも一部分を受けるためのくぼみを画定しうる。使用時に、カートリッジの少なくとも一部分は、ハウジングによって画定されるくぼみ内に受けられうる。
【0030】
本発明の第六の態様によると、エアロゾル発生システム内のエアロゾル形成を改善するための方法が提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを備える。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の区画と、酸供与源を包含する第二の区画と、ニコチン供与源からのニコチンと酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーとを備える。エアロゾル発生システムは、ヒーターおよびエアロゾル発生装置をさらに備える。エアロゾル発生装置はハウジングを備える。使用時に、エアロゾル発生装置のハウジングは、カートリッジの少なくとも一部分を係合する。
【0031】
ヒーターは、第一の部分および第二の部分を含みうる。ヒーターが第一の部分および第二の部分を含む場合、方法は、ヒーターの第一の部分が第一の区画または第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方を加熱し、ヒーターの第二の部分が混合チャンバーを加熱するようにヒーターに電力を供給することを含む。ヒーターは、第一の発熱体および第二の発熱体を含みうる。ヒーターが第一の発熱体および第二の発熱体を備える場合、方法は、第一の発熱体が第一の区画または第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方を加熱するように第一の発熱体に電力を供給することと、第二の発熱体が混合チャンバーを加熱するように第二の発熱体に電力を供給することとを含む。
【0032】
本発明の第四、第五および第六の態様のいずれかによると、カートリッジは、第一の区画および第二の区画を備える。第一の区画は、第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有してもよく、第一の空気吸込み口は第一の空気出口の上流にある。第二の区画は、第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有してもよく、第二の空気吸込み口は第二の空気出口の上流にある。混合チャンバーは、第一の空気出口および第二の空気出口の下流にあってもよい。
【0033】
カートリッジは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料としては、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
カートリッジは、約20ミリメートル~約60ミリメートルの長さを有してもよく、約30ミリメートル~約50ミリメートルの長さを有することが好ましく、約35ミリメートル~約45ミリメートルの長さを有することがより好ましい。
【0035】
カートリッジは、約5ミリメートル~約10ミリメートルの直径を有してもよく、約6ミリメートル~約9ミリメートルの直径を有することが好ましく、約7ミリメートル~約8ミリメートルの直径を有することがより好ましい。
【0036】
カートリッジは、カートリッジの上流端を横切って延びるシールをさらに備えうる。シールは、シールの周辺部の周りにカートリッジに固定されてもよい。シールは、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口を密封しうる。シールは、接着剤および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジに固定されうる。シールは、シート材料から形成されうる。シート材料は、高分子フィルムおよび金属箔のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0037】
シールは、エアロゾル発生装置上の穿孔要素によって穿孔されるように構成される壊れやすいシールとしうる。
【0038】
シールは、カートリッジ組立品を使用する前にユーザーによって取り外されるように構成された取り外し可能なシールとしうる。取り外し可能なシールは、ユーザーによるシールの取り外しを容易にするためのプルタブを備えうる。
【0039】
第一の空気出口は、単一の第一の空気出口開口部を含んでもよく、または第一の空気出口は、複数の第一の空気出口開口部を含んでもよく、第一の空気出口開口部それぞれは、第一の区画の下流端と流体連通する。第一の空気出口の合計流れ面積は、一つ以上の第一の空気出口開口部の流れ面積の合計である。
【0040】
第二の空気出口は、単一の第二の空気出口開口部を含んでもよく、または第二の空気出口は、複数の第二の空気出口開口部を含んでもよく、第二の空気出口開口部それぞれは、第二の区画の下流端と流体連通する。第二の空気出口の合計流れ面積は、一つ以上の第二の空気出口開口部の流れ面積の合計である。
【0041】
第一の空気出口の合計流れ面積は、第二の空気出口の合計流れ面積と、同一であっても、または異なってもよい。第一の空気出口の合計流れ面積は、第二の空気出口の合計流れ面積と異なってもよい。異なる合計流れ面積は、第一の区画および第二の区画のそれぞれを通して異なる流量の空気を提供するように選択されうる。第一の区画および第二の区画を通して異なる流量を提供することは、同一の温度における、第一の区画のニコチン供与源における第一の揮発性化合物の蒸気圧と、第二の区画の酸供給源における第二の揮発性化合物の蒸気圧との間の差の原因となる。第一の揮発性化合物および第二の揮発性化合物が相互に化学反応を受けて、ユーザーへ送達するための反応生成物を形成する場合、第一の区画および第二の区画を通して異なる流量を提供することは、カートリッジの下流における第一の揮発性化合物と第二の揮発性化合物との間の望ましい反応化学量論を提供しうる。
【0042】
第一の空気出口および第二の空気出口に関して本明細書に記述される特徴は、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口にも等しく適用されうる。すなわち、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口のそれぞれは、一つ以上の空気吸込み口開口部を含みうる。第一の空気吸込み口の合計流れ面積は、第二の空気吸込み口の合計流れ面積と同一であってもよい。第一の空気吸込み口の合計流れ面積は、第二の空気吸込み口の合計流れ面積と異なってもよい。
【0043】
本発明のいずれかの態様によると、ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約40ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが好ましい。ニコチン供与源は、約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことがより好ましい。ニコチン供与源は、約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが最も好ましい。
【0044】
第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸される場合、本明細書で列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0045】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。
【0046】
第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0047】
酸供与源を含む本発明の態様のいずれかによると、酸供与源は、有機酸または無機酸を含みうる。
【0048】
酸供与源は有機酸を含んでもよく、カルボン酸を含むことがより好ましく、アルファケト酸もしくは2-オキソ酸または乳酸を含むことが最も好ましい。
【0049】
有利なことに、酸供与源は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択された酸を含みうる。有利なことに、酸供与源は乳酸またはピルビン酸を含みうる。より有利なことに、酸供与源は乳酸を含みうる。
【0050】
有利なことに、酸供与源は、酸で含浸された第二の担体材料を含みうる。
【0051】
第一の担体材料および第二の担体材料は同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0052】
有利なことに、第一の担体材料および第二の担体材料の一方または両方は、約0.1グラム/立方センチメートル~約0.3グラム/立方センチメートルの密度を有しうる。
【0053】
有利なことに、第一の担体材料および第二の担体材料の一方または両方は、約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有しうる。
【0054】
第一の担体材料および第二の担体材料の一方または両方は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0055】
第一の担体材料は、ニコチン用の貯蔵部として作用しうる。
【0056】
有利なことに、第一の担体材料は、ニコチンに対して化学的に不活性でありうる。
【0057】
第一の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、第一の担体材料はシートまたはプラグの形態であってもよい。
【0058】
有利なことに、第一の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジの第一の区画の形状およびサイズと類似しうる。
【0059】
第一の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第一の担体材料が望ましい量のニコチンで含浸されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0060】
有利なことに、カートリッジの第一の区画は風味剤をさらに含んでもよい。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。
【0061】
有利なことに、第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されてもよい。
【0062】
第二の担体材料は、酸用の貯蔵部として作用しうる。
【0063】
有利なことに、第二の担体材料は、酸に対して化学的に不活性でありうる。
【0064】
第二の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、第二の担体材料はシートまたはプラグの形態であってもよい。
【0065】
有利なことに、第二の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジの第二の区画の形状およびサイズと類似しうる。
【0066】
第二の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第二の担体材料が望ましい量の酸で含浸されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0067】
有利なことに、酸供与源は、約2ミリグラム~約60ミリグラム、好ましくは約5ミリグラム~約50ミリグラム、より好ましくは約8ミリグラム~約40ミリグラム、最も好ましくは約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含む乳酸供与源でありうる。
【0068】
カートリッジの第一の区画の形状および寸法は、望ましい量のニコチンがカートリッジ内に包含されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0069】
カートリッジの第二の区画の形状および寸法は、望ましい量の酸がカートリッジ内に包含されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0070】
適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、第二の区画の容積と相対的に第一の区画の容積の変動を通して制御し、かつバランスを取ってもよい。
【0071】
第一の区画および第二の区画を備える本発明のいずれかの態様によると、カートリッジの第一の区画は一つ以上の耐ニコチン性材料で被覆されてもよく、カートリッジの第二の区画は一つ以上の耐酸性材料で被覆されてもよい。有利なことに、これはカートリッジの貯蔵寿命を延長しうる。
【0072】
適切な耐ニコチン性材料および耐酸性材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
電気抵抗性のある発熱体を備える本発明の任意の態様によると、電気抵抗性のある発熱体は、電気抵抗性のある材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料には、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例には、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300,Denver Colorado)の登録商標である。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I. du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street,Wilmington,Delaware 19898,United States of America)の登録商標である。
【0074】
サセプタは、一つ以上のサセプタ材料から部分的に、または完全に形成されうる。サセプタ材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられるが、これに限定されない。好ましいサセプタ材料は、金属、金属合金または炭素を含む。有利なことに、サセプタ材料は、強磁性材料、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトを含みうる。サセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ材料は、5%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、20%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、50%超または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。
【0075】
エアロゾル発生装置またはカートリッジは、有利なことに、使用時に、部分的に、または完全にサセプタを囲む誘導ヒーターを備えてもよい。使用時に、誘導ヒーターはサセプタを誘導加熱する。
【0076】
エアロゾル発生装置またはカートリッジは、サセプタの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルを含みうる。使用時に、電源およびインダクタコイルに接続されたコントローラは、インダクタコイルが交番磁界を発生してサセプタを加熱するように、インダクタコイルに交流電流を提供しうる。
【0077】
エアロゾル発生装置のハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含みうる。ハウジングのための適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。ハウジングのための材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0078】
エアロゾル発生装置は携帯型であってもよい。エアロゾル発生装置は、喫煙装置であってもよく、従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。喫煙装置の全長は、およそ30mm~およそ150mmである場合がある。喫煙装置の外径は、およそ5mm~およそ30mmである場合がある。
【0079】
本発明の一つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の別の態様に適用されうる。特に、本発明の第一の態様に関して説明した特徴は、本発明の第二の態様、第三の態様、第四の態様、第五の態様および第六の態様に適用されてもよい。例えば、本発明の第一の態様のカートリッジの発熱体に関連する特徴は、本発明の第二の態様、第三の態様、第四の態様、第五および第六の態様のカートリッジまたはエアロゾル発生システムの発熱体に適用されうる。
【0080】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの概略図である。
図2図2は、エアロゾル発生装置の概略図である。
図3図3は、エアロゾル発生システムの概略図である。
図4図4は、エアロゾル発生システムで使用するための別のカートリッジの概略図である。
図5図5は、別のエアロゾル発生システムの概略図である。
図6図6は、エアロゾル発生システムで使用するための別のカートリッジの概略図である。
図7図7は、別のエアロゾル発生システムの概略図である。
図8図8は、別のエアロゾル発生システムの概略図である。
図9図9は、エアロゾル発生システムで使用するための別のカートリッジの概略図である。
図10図10は、別のエアロゾル発生装置の概略図である。
図11図11は、別のエアロゾル発生システムの概略図である。
【0082】
図1は、第一の実施形態によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの概略図である。カートリッジ100は、第一の空気吸込み口104および第一の空気出口106を有する第一の区画102を備える。第一の区画102は、ニコチンとメントールとが含浸された第一の担体材料を含む、ニコチン供与源108を包含する。カートリッジ100は、第二の空気吸込み口112および第二の空気出口114を有する第二の区画110をさらに備える。第二の区画110は、乳酸が含浸された第二の担体材料を含む、酸供与源116を包含する。カートリッジ100は、カートリッジ係合部分119、121、混合チャンバー120およびカートリッジ出口123を画定するカートリッジハウジング本体118をさらに備える。混合チャンバー120は、第一の区画空気出口106および第二の区画空気出口114とカートリッジ出口123との間に位置付けられる。カートリッジ100は、第一のキャップ開口部132および第二のキャップ開口部134を備えたキャップ130をさらに備える。キャップ130は、第一の区画空気吸込み口104および第二の区画吸込み口112の上流に位置付けられる。
【0083】
カートリッジ100は、第一の発熱体122、第二の発熱体124、第三の発熱体126、および第四の発熱体128をさらに備える。第一の発熱体122は第一の区画102に隣接し、使用時にニコチン供与源108を加熱してニコチン化合物を揮発させる。第二の発熱体124は第二の区画110に隣接し、使用時に酸供与源116を加熱して酸性化合物を揮発させる。第三の発熱体126および第四の発熱体128は、混合チャンバー120に隣接している。使用時に、第三の発熱体126および第四の発熱体128は、混合チャンバーを加熱する。第一の発熱体、第二の発熱体、第三の発熱体、および第四の発熱体はすべてサセプタであるが、カートリッジ100は、これらの発熱体の一つ以上が電源への接続を有する電気抵抗性のある発熱体である場合とほぼ同様に機能する。
【0084】
図2は、エアロゾル発生装置の概略図である。エアロゾル発生装置200は、図1に示すカートリッジ100と互換性がある。エアロゾル発生装置200は、くぼみ204と、第一の装置係合部分206と、第二の装置係合部分208とを画定する装置ハウジング202を備える。エアロゾル発生装置は、コントローラ212に接続された電源210をさらに備える。この実施形態では、電源はリチウムイオン電池であるが、任意の適切な電源が使用されうる。エアロゾル発生装置200は、くぼみ204の一部分の周りに配置されたインダクタコイル214をさらに備える。インダクタコイル214は、コントローラ212に接続される。コントローラ212は、電源210からインダクタコイル214への電力供給を制御するように構成される。エアロゾル発生装置は、第一の空気吸込み口216および第二の空気吸込み口218をさらに備える。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置内の気流通路を通る気流を検出するように構成された流れセンサー(図示せず)をさらに備える。流れセンサーはコントローラ212に接続される。
【0085】
使用時に、電源210およびインダクタコイル214に接続されたコントローラ212は、インダクタコイル214が交番磁界を発生させるように、インダクタコイル214に交流電流を提供する。
【0086】
図3は、図2のエアロゾル発生装置と係合した図1のカートリッジを備えるエアロゾル発生システムである。カートリッジ100は、エアロゾル発生装置のくぼみ204内に受けられ、第一の装置係合部分206および第二の係合装置部分208は、第一のカートリッジ係合部分119および第二のカートリッジ係合部分121をそれぞれ係合し、カートリッジを適所に固定する。
【0087】
エアロゾル発生システム300は、マウスピース(図示せず)をさらに備える。マウスピースの一部分は、カートリッジの一部分を囲む。マウスピースは、装置ハウジング202を係合し、マウスピースを適所に固定する。
【0088】
使用時に、エアロゾル発生システムの動作は以下の通りである。ユーザーがマウスピースの下流端を吸う。この動作は、装置の第一の空気吸込み口216および装置の第二の空気吸込み口218を通して空気を引き出す。エアロゾル発生装置200の流れセンサーは、ユーザーが吸煙していることを示す、装置を通した気流の変化を検出する。コントローラ212は、装置を通る気流の検出された変化に応答して、電源210からインダクタコイル214へ供給される電力をゼロから動作電力まで増大させる。電源210は、インダクタコイル214が交番磁界を生成するように、交流電流をインダクタコイル214に提供する。
【0089】
交番磁界はサセプタ発熱体122、124、126、128内に渦電流を発生させ、その結果これらが加熱される。さらなる加熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失により提供される。この実施形態では、サセプタは、摂氏約100度~摂氏約200度の温度で動作する。サセプタは、第一の区画102および第二の区画110を摂氏約80度~摂氏約150度の温度に加熱する。サセプタは、混合チャンバー120を摂氏約60度~摂氏約80度の温度に加熱する。発熱体は、ニコチン供与源108および酸供与源116を加熱して、ニコチン化合物および酸化合物を揮発させる。
【0090】
装置の第一の空気吸込み口216を通る気流は、第一のキャップ開口部132を通って流れ、次に第一の区画102の第一の空気吸込み口104を通って流れる。この気流は、隣接する発熱体122によって加熱されたニコチン供与源108からの揮発ニコチン化合物を混入する。気流および混入された揮発ニコチン化合物は、第一の区画102の第一の空気出口106を通って第一の区画102を出て、混合チャンバー120内へと入る。
【0091】
一方、装置の第二の空気吸込み口218を通る気流は、第二のキャップ開口部134を通って流れ、次に第二の区画110の第二の空気吸込み口112を通って流れる。この気流は、隣接する発熱体124によって加熱された酸供与源116からの揮発酸化合物を混入する。気流および混入された揮発酸化合物は、第二の区画110の第二の空気出口114を通って第二の区画110を出て、混合チャンバー120内へと入る。
【0092】
混入されたニコチン化合物は、混合チャンバー120内で、混入された酸化合物と混合する。混合チャンバー120は、発熱体126、128によって加熱される。ニコチン化合物は、混合チャンバー120内の酸化合物と反応して、カートリッジ出口123を通ってカートリッジ100を出る、反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルを形成する。反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルは、次にマウスピースによって画定されたくぼみを通って流れ、ユーザーに送達される。
【0093】
図4は、第二の実施形態によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの概略図である。カートリッジ400は、第一の空気吸込み口404および第一の空気出口406を有する第一の区画402を備える。第一の区画402もまた、ニコチン供与源408を包含する。カートリッジ400は、第二の空気吸込み口412および第二の空気出口414を有する第二の区画410をさらに備える。第二の区画410もまた、酸供与源416を包含する。カートリッジ400は、カートリッジ係合部分419、421、混合チャンバー420およびカートリッジ出口423を画定するカートリッジハウジング本体418をさらに備える。混合チャンバー420は、第一の区画空気出口406および第二の区画空気出口414とカートリッジ出口423との間に位置付けられる。
【0094】
カートリッジ400は、第一の発熱体422および第二の発熱体424をさらに備える。第一の発熱体422は、第一の区画402および混合チャンバー420に隣接し、使用時に、ニコチン供与源408および混合チャンバー420を加熱する。第二の発熱体424は、第二の区画410および混合チャンバー420に隣接し、使用時に、酸供与源416および混合チャンバー420を加熱する。第一の発熱体および第二の発熱体は、アルミニウムから作製されるサセプタであるが、カートリッジ400は、これらの発熱体の一方または両方が電源への接続を有する電気抵抗性のある発熱体である場合とほぼ同様に機能する。カートリッジ400は、第一のキャップ開口部432および第二のキャップ開口部434を備えたキャップ430をさらに備える。キャップ430は、第一の区画空気吸込み口404および第二の区画吸込み口412の上流に位置付けられる。カートリッジ400は、第一の電気接点438および第二の電気接点440に電気的に接続されたインダクタコイル436をさらに備える。カートリッジ400は、キャップ430を通ってカートリッジハウジング本体418内へと延びるくぼみ442をさらに備える。カートリッジは、カートリッジ本体418の外表面上に突出部(図示せず)をさらに備える。
【0095】
図5は、図4のカートリッジ400を係合するエアロゾル発生装置502を備えるエアロゾル発生システム500の概略図である。図5は、エアロゾル発生装置502と係合したマウスピース504を示す。この実施形態では、マウスピース504は、ねじ山を介してエアロゾル発生装置502を係合するが、スナップ嵌めまたは単純な押し嵌めなどの任意のタイプの接続が使用されてもよい。
【0096】
エアロゾル発生装置502は、くぼみおよび第一の装置係合部分508および第二の装置係合部分510を画定する装置ハウジング506を備える。装置ハウジング506はねじ山512をさらに画定する。エアロゾル発生装置は電源514をさらに備える。電源514は、コントローラ516に接続される。電源514はまた、第一の装置接点518および第二の装置接点520に接続される。エアロゾル発生装置は、第一の空気吸込み口524および第二の空気吸込み口526をさらに備える。カートリッジ400がエアロゾル発生装置502と係合した時、エアロゾル発生装置502の第一の空気吸込み口524は、カートリッジ400の第一のキャップ開口部432と流体連通し、エアロゾル発生装置502の第二の空気吸込み口526は、カートリッジ400の第二のキャップ開口部434と流体連通する。エアロゾル発生装置502は、エアロゾル発生装置502の第一の空気吸込み口とカートリッジ400の第一のキャップ開口部432との間の気流通路を通る気流を検出するように構成された流れセンサー(図示せず)をさらに備える。流れセンサーはコントローラ516に接続される。エアロゾル発生装置502は、電源514およびコントローラ516の両方に接続された電気抵抗性のある発熱体522をさらに備える。コントローラ516は、電源514から電気抵抗性のある発熱体522に、およびカートリッジ400がエアロゾル発生装置502と係合した時にインダクタコイル436に供給される電力を制御するように構成される。カートリッジ400がエアロゾル発生装置502と係合した時、装置の発熱体522はカートリッジ400のくぼみ442内に位置する。この実施形態では、電気抵抗性のある発熱体522は、可撓性の基体上の電気抵抗性のあるトラックである。具体的には、発熱体は、Kapton(登録商標)の二つの層の間に保持された、トラックを形成する金属のエッチングされた箔を備える。エアロゾル発生装置502は、カートリッジ本体418の外表面上の突出部に対応する窪み(図示せず)をさらに備える。
【0097】
エアロゾル発生システム500の動作は以下の通りである。カートリッジ400は、エアロゾル発生装置502によって画定されるくぼみ内に挿入される。カートリッジ本体418の外表面の突出部およびエアロゾル発生装置502の対応する窪みは、カートリッジ400がエアロゾル発生装置502を一方向にのみ係合できることを確実にするよう協働する。これにより、エアロゾル発生装置の発熱体522を確実にカートリッジ400のくぼみ442内に迅速かつ簡単に位置させうる。カートリッジ400の第一の係合部分419および第二の係合部分421は、エアロゾル発生装置502の第一の係合部分508および第二の係合部分510とそれぞれ係合する。この係合位置では、カートリッジ400の第一の電気接点438および第二の電気接点440は、第一の装置接点518および第二の装置接点520をそれぞれ係合する。従って、この係合位置では、インダクタコイル436は電源514に接続される。マウスピース504は次に、エアロゾル発生装置502のねじ山512と係合する。
【0098】
ユーザーがマウスピース504の下流端を吸う。この動作は、エアロゾル発生装置502の第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口を通して空気を引き出す。エアロゾル発生装置502の流れセンサーは、ユーザーが吸煙していることを示す、装置を通した気流の変化を検出する。コントローラ516は、電源514からインダクタコイル436へ供給される電力を、ゼロからインダクタコイル動作電力に、および発熱体522へ供給される電力を、ゼロから発熱体の動作電力に増大する。電源514は、インダクタコイル436が交番磁界を生成するように、交流電流をインダクタコイル436に提供する。
【0099】
交番磁界はサセプタ発熱体422、424内に渦電流を発生させ、その結果これらが加熱される。さらなる加熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失により提供される。発熱体422、424は、第一の区画402および第二の区画410を摂氏約80度~摂氏約150度の温度に加熱する。これは、ニコチン供与源408および酸供与源416を加熱して、ニコチン化合物および酸化合物を揮発させる。
【0100】
装置の第一の空気吸込み口524を通る気流は、第一のキャップ開口部432を通って流れ、次に第一の区画102の第一の空気吸込み口404を通って流れる。この気流は、隣接したサセプタ発熱体422および電気抵抗性のある発熱体522によって加熱されたニコチン供与源408からの揮発ニコチン化合物を混入する。気流および混入されたニコチン化合物は、第一の区画402の第一の空気出口406を通って第一の区画402を出て、混合チャンバー420内へと入る。
【0101】
一方、装置の第二の空気吸込み口526を通る気流は、第二のキャップ開口部434を通って流れ、次に第二の区画410の第二の空気吸込み口412を通って流れる。この気流は、隣接したサセプタ発熱体424および電気抵抗性のある発熱体522によって加熱された酸供与源408からの揮発酸化合物を混入する。気流および混入された酸化合物は、第二の区画410の第二の空気出口414を通って第二の区画410を出て、混合チャンバー420内へと入る。
【0102】
混入されたニコチン化合物は、混合チャンバー420内で、混入された酸化合物と混合する。混合チャンバー420は、発熱体422、424によって、摂氏約60度~摂氏約80度の温度に加熱される。ニコチン化合物は、混合チャンバー420内の酸化合物と反応して、カートリッジ出口423を通ってカートリッジ400を出る、反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルを形成する。反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルは、次にマウスピース504の下流端を通って流れ、ユーザーに送達される。
【0103】
図6は、第三の実施形態によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの概略図である。カートリッジ600は、第一の空気吸込み口604および第一の空気出口606を有する第一の区画602を備える。第一の区画602は、ニコチン供与源608を包含する。カートリッジ600は、第二の空気吸込み口612および第二の空気出口614を有する第二の区画610をさらに備える。第二の区画610は、酸供与源616を包含する。カートリッジ600は、混合チャンバー620およびカートリッジ出口623を画定するカートリッジハウジング本体618をさらに備える。混合チャンバー620は、第一の区画空気出口606および第二の区画空気出口614とカートリッジ出口623との間に位置付けられる。カートリッジ600は、第一のキャップ開口部632および第二のキャップ開口部634を備えたキャップ630をさらに備える。キャップ630はねじ山636を画定する。キャップ630は、第一の区画空気吸込み口604および第二の区画吸込み口612の上流に位置付けられる。
【0104】
カートリッジ600は、第一の発熱体622および第二の発熱体624をさらに備える。第一の発熱体622は、第一の区画602内に位置する。使用時に、第一の発熱体622は、ニコチン供与源608および混合チャンバー620を加熱する。第二の発熱体624は、第二の区画610内に位置する。使用時に、第二の発熱体624は、酸供与源616および混合チャンバー620を加熱する。第一の発熱体および第二の発熱体はサセプタであるが、カートリッジ600は、これらの発熱体のうち一つ以上が電源への接続を有する電気抵抗性のある発熱体である場合とほぼ同様に機能する。
【0105】
図6のカートリッジ600では、混合チャンバー620の一部分は、第一の区画602と第二の区画604との間に位置する。カートリッジ600は、流れ障害物638、640をさらに備える。
【0106】
図7は、図6のカートリッジ600を係合するエアロゾル発生装置702を備えるエアロゾル発生システム700の概略図である。
【0107】
エアロゾル発生装置702は、カートリッジ600の一部分を受けるためのくぼみを画定する装置ハウジング706を備える。装置ハウジング706はさらに、カートリッジ600のねじ山636と協働してカートリッジをエアロゾル発生装置702と係合させて固定するねじ山712を画定する。この実施形態では、カートリッジ600は、ねじ山を介してエアロゾル発生装置502を係合するが、些細な修正では、スナップ嵌めまたは単純な押し嵌めなどの任意のタイプの接続が使用されうる。
【0108】
エアロゾル発生装置は電源714をさらに備える。電源714は、コントローラ716に接続される。電源714はまた、インダクタコイル718に接続される。エアロゾル発生装置は、第一の空気吸込み口720および第二の空気吸込み口722をさらに備える。カートリッジ600がエアロゾル発生装置702と係合した時、エアロゾル発生装置の第一の空気吸込み口720は、カートリッジ600の第一のキャップ開口部632と流体連通し、エアロゾル発生装置702の第二の空気吸込み口722は、カートリッジ600の第二のキャップ開口部634と流体連通する。エアロゾル発生装置702は、エアロゾル発生装置702の第一の空気吸込み口720とカートリッジ600の第一のキャップ開口部632との間の気流通路を通る気流を検出するように構成された流れセンサー(図示せず)をさらに備える。流れセンサーはコントローラ716に接続される。
【0109】
エアロゾル発生システム700の動作は以下の通りである。カートリッジ600は、エアロゾル発生装置702によって画定されるくぼみ内に挿入される。ねじ山636は、ねじ山712と協働する。
【0110】
ユーザーがカートリッジ600の下流端またはマウスピース部分を吸う。この動作は、エアロゾル発生装置702の第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口を通して空気を引き出す。エアロゾル発生装置702の流れセンサーは、ユーザーが吸煙していることを示す、装置を通した気流の変化を検出する。コントローラ716は、電源714からインダクタコイル718へ供給される電力を、ゼロからインダクタコイルの動作電力に増大する。電源714は、インダクタコイル718が交番磁界を生成するように、交流電流をインダクタコイル436に提供する。
【0111】
交番磁界はサセプタ発熱体622、624内に渦電流を発生させ、その結果これらが加熱される。さらなる加熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失により提供される。サセプタは、第一の区画602および第二の区画610を摂氏約100度に加熱する。これは、ニコチン供与源608および酸供与源616を加熱して、ニコチン化合物および酸化合物を揮発させる。
【0112】
装置702の第一の空気吸込み口720を通る気流は、第一のキャップ開口部632を通って流れ、次に第一の区画602の第一の空気吸込み口604を通って流れる。この気流は、サセプタ発熱体622によって加熱されたニコチン供与源608からの揮発ニコチン化合物を混入する。気流および混入されたニコチン化合物は、第一の区画602の第一の空気出口606を通って第一の区画602を出て、混合チャンバー620内へと入る。
【0113】
一方、装置702の第二の空気吸込み口722を通る気流は、第二のキャップ開口部634を通って流れ、次に第二の区画610の第二の空気吸込み口612を通って流れる。この気流は、サセプタ発熱体624によって加熱された酸供与源608からの揮発酸化合物を混入する。気流および混入された酸化合物は、第二の区画610の第二の空気出口614を通って第二の区画610を出て、混合チャンバー620内へと入る。
【0114】
混入されたニコチン化合物は、混合チャンバー620内で、混入された酸化合物と混合する。混合チャンバー620は、発熱体622、624によって摂氏約70度の温度に加熱される。気流および混入されたニコチン化合物および酸化合物は、混合チャンバー620内の流れ障害物638、640に接触する。流れ障害物638、640は、気流の一部分の流れ方向を変えることによって、気流および混入された化合物を混合するのに役立つ。ニコチン化合物は、混合チャンバー620内の酸化合物と反応して、カートリッジ出口623を通ってカートリッジ600を出る、反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルを形成する。反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルは、次にカートリッジのマウスピース部分を通って流れ、ユーザーに送達される。
【0115】
図8は、カートリッジ850を係合するエアロゾル発生装置802を備える第四の実施形態によるエアロゾル発生システム800の概略図である。
【0116】
エアロゾル発生装置802は、ねじ山812を画定する装置ハウジング806を備える。エアロゾル発生装置802は電源814をさらに備える。電源814は、コントローラ816に接続される。エアロゾル発生装置は、第一の空気吸込み口818および第二の空気吸込み口820をさらに備える。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の第一の空気吸込み口とカートリッジの第一のキャップ開口部との間の気流通路を通る気流を検出するように構成された流れセンサー(図示せず)をさらに備える。流れセンサーはコントローラ816に接続される。エアロゾル発生装置は、電源814およびコントローラ816に接続された電気抵抗性のある発熱体822をさらに備える。
【0117】
カートリッジ850は、第一の空気吸込み口854および第一の空気出口856を有する第一の区画852を備える。第一の区画852もまた、ニコチン供与源858を包含する。カートリッジ850は、第二の空気吸込み口862および第二の空気出口864を有する第二の区画860をさらに備える。第二の区画860もまた、酸供与源866を包含する。カートリッジ850は、混合チャンバー870、カートリッジ出口872およびねじ山874を画定する、カートリッジハウジング本体868をさらに備える。混合チャンバー870は、第一の区画空気出口856および第二の区画空気出口864とカートリッジ出口872との間に位置付けられる。カートリッジ850は、第一のキャップ開口部882および第二のキャップ開口部884を備えたキャップ880をさらに備える。キャップ880は、第一の区画空気吸込み口854および第二の区画吸込み口862の上流に位置付けられる。カートリッジ850は、キャップ880を通ってカートリッジハウジング本体868内へと延びるくぼみ886をさらに備える。
【0118】
カートリッジ850がエアロゾル発生装置と係合した時、エアロゾル発生装置の第一の空気吸込み口は、カートリッジ850の第一のキャップ開口部882と流体連通し、エアロゾル発生装置の第二の空気吸込み口は、カートリッジ850の第二のキャップ開口部884と流体連通する。カートリッジ850がエアロゾル発生装置802と係合した時、装置の発熱体822はカートリッジ850のくぼみ886内に位置する。
【0119】
エアロゾル発生システム800の動作は以下の通りである。カートリッジ850は、エアロゾル発生装置によって画定されるくぼみ886内に挿入される。装置のねじ山812は、カートリッジ850のねじ山874を係合する。
【0120】
ユーザーは、カートリッジの下流端に取り外し可能なように取り付けられたマウスピース(図示せず)の下流端を吸う。この動作は、エアロゾル発生装置802の第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口を通して空気を引き出す。エアロゾル発生装置802の流れセンサーは、ユーザーが吸煙していることを示す、装置を通した気流の変化を検出する。コントローラ816は、電源814から電気抵抗性のある発熱体822へ供給される電力を、ゼロから動作電力に増大する。発熱体822の温度はその結果、摂氏約100度に上昇する。発熱体822は、第一の区画および第二の区画を摂氏約80度に加熱する。これはニコチン供与源858および酸供与源866を加熱してニコチンおよび酸化合物を揮発させる。
【0121】
装置の第一の空気吸込み口を通る気流は、第一のキャップ開口部882を通って流れ、次に第一の区画852の第一の空気吸込み口854を通って流れる。この気流は、発熱体822によって加熱されたニコチン供与源858からの揮発ニコチン化合物を混入する。気流および混入された揮発ニコチン化合物は、第一の区画852の第一の空気出口856を通って第一の区画852を出て、混合チャンバー870内へと入る。
【0122】
一方、装置の第二の空気吸込み口を通る気流は、第二のキャップ開口部884を通って流れ、次に第二の区画860の第二の空気吸込み口862を通って流れる。この気流は、発熱体822によって加熱された酸供与源866からの揮発酸化合物を混入する。気流および混入された揮発酸化合物は、第二の区画860の第二の空気出口864を通って第二の区画860を出て、混合チャンバー870内へと入る。
【0123】
混入された揮発ニコチン化合物は、混合チャンバー870内で、混入された揮発酸化合物と混合する。混合チャンバーは、発熱体822によって摂氏約80度の温度に加熱される。揮発ニコチン化合物は、混合チャンバー870内で、揮発酸化合物と反応してエアロゾルを形成し、これはカートリッジ出口873を通ってカートリッジ850を出る。反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルは、次にマウスピースの下流端を通って流れ、ユーザーに送達される。
【0124】
図9は、第五の実施形態によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの概略図である。カートリッジ900は、第一の空気吸込み口904および第一の空気出口906を有する第一の区画902を備える。第一の区画902もまた、ニコチン供与源908を包含する。カートリッジ900は、第二の空気吸込み口912および第二の空気出口914を有する第二の区画910をさらに備える。第二の区画910もまた、酸供与源916を包含する。カートリッジ900は、カートリッジ係合部分919、921、混合チャンバー920およびカートリッジ出口923を画定するカートリッジハウジング本体918をさらに備える。混合チャンバー920は、第一の区画空気出口906および第二の区画空気吸込み口914とカートリッジ出口923との間に位置付けられる。カートリッジ900は、第一のキャップ開口部932および第二のキャップ開口部934を備えたキャップ930をさらに備える。キャップ930は、第一の区画空気吸込み口904および第二の区画吸込み口912の上流に位置付けられる。
【0125】
図10は、エアロゾル発生装置の概略図である。エアロゾル発生装置1000は、図9に示すカートリッジ900と互換性がある。エアロゾル発生装置1000は、くぼみ1004と、第一の装置係合部分1006と、第二の装置係合部分1008とを画定する装置ハウジング1002を備える。エアロゾル発生装置は、コントローラ1012に接続された電源1010をさらに備える。エアロゾル発生装置1000は、くぼみ1004の一部分の周りに配置された電気抵抗性のあるコイル1014をさらに備える。コイル1014は、コントローラ1012に接続される。エアロゾル発生装置は、第一の空気吸込み口1016および第二の空気吸込み口1018をさらに備える。エアロゾル発生装置は、温度センサー(図示せず)と、ユーザーボタン(図示せず)を含むユーザーインターフェースさらに備える。ユーザーインターフェースは、エアロゾル発生装置1000に関連する情報をユーザーに提示するための画面をさらに備える。
【0126】
使用時に、ユーザーはユーザーボタンを押し、コイル1014に接続された電源1010が、コイル1014の温度を上昇させるようにコイル1014に電流を提供する。これは、第一の区画902および第二の区画910を摂氏約80度~摂氏約100度の温度に加熱する。これは、ニコチン供与源908および酸供与源916を加熱して、ニコチンおよび酸化合物を揮発させる。
【0127】
図11は、図10のエアロゾル発生装置と係合した図9のカートリッジを備えるエアロゾル発生システムである。カートリッジ900をエアロゾル発生装置1002と係合するために、カートリッジ900は、エアロゾル発生装置1002のくぼみ1004内に受けられ、第一の装置係合部分1006および第二の装置係合部分1008は、第一の係合するカートリッジ部分919および第二の係合するカートリッジ部分921をそれぞれ係合する。これにより、カートリッジが適所に固定される。
【0128】
カートリッジ900がエアロゾル発生装置1000と係合すると、コイル1014は、第一の区画902、第二の区画910、および混合チャンバー920の一部分を囲む。
【0129】
エアロゾル発生システム1100は、マウスピース(図示せず)をさらに備える。マウスピースの一部分は、カートリッジの一部分を囲む。マウスピースは、装置ハウジング1002を係合し、マウスピースを適所に固定する。
【0130】
使用時に、エアロゾル発生システムの動作は以下の通りである。ユーザーがマウスピースの下流端を吸う。この動作は、装置の第一の空気吸込み口1016および装置の第二の空気吸込み口1018を通して空気を引き出す。ユーザーはユーザーボタンを押す。これにより、電源1010からコイル1014へ供給される電力がゼロから動作電力に増大する。コイル1014の温度が上昇し、その結果、第一の区画902、第二の区画910、および混合チャンバー920を加熱する。この混合チャンバーは、摂氏約60度~摂氏80度の温度に加熱される。この実施形態では、システムは連続加熱モードで動作する。これは、コイル1014が、感知されたユーザー吸煙に応答するのではなく、動作セッション全体を通して、第一の区画902、第二の区画910、および混合チャンバー920を加熱することを意味する。温度センサーおよび画面は、使用温度に達した時の表示がユーザーに提供されうるように、エアロゾル発生装置1000に提供される。動作中、コイルは摂氏約200度で動作する。ヒーターは、起動後、例えば5分間の固定時間の間動作してもよく、またはユーザーが再びユーザーボタンを押すことによって電源1010がコイル1014に電力を供給することを停止するまで動作してもよい。
【0131】
装置の第一の空気吸込み口1016を通る気流は、第一のキャップ開口部932を通って流れ、次に第一の区画902の第一の空気吸込み口904を通って流れる。この気流は、隣接する発熱体922によって加熱されたニコチン供与源908からの揮発ニコチン化合物を混入する。気流および混入された揮発ニコチン化合物は、第一の区画902の第一の空気出口906を通って第一の区画902を出て、混合チャンバー920内へと入る。
【0132】
一方、装置の第二の空気吸込み口1018を通る気流は、第二のキャップ開口部934を通って流れ、次に第二の区画910の第二の空気吸込み口912を通って流れる。この気流は、コイル1014によって加熱された酸供与源908からの揮発酸化合物を混入する。気流および混入された揮発酸化合物は、第二の区画910の第二の空気出口914を通って第二の区画910を出て、混合チャンバー920内へと入る。
【0133】
混入された揮発ニコチン化合物は、混合チャンバー920内で、混入された揮発酸化合物と混合する。混合チャンバーはコイル1014によって加熱される。ニコチン化合物は、混合チャンバー920内の酸化合物と反応して、カートリッジ出口923を通ってカートリッジ900を出る、反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルを形成する。反応ニコチンおよび反応酸を包含するエアロゾルは、次にマウスピースによって画定されたくぼみを通って流れ、ユーザーに送達される。
【0134】
図は、本発明の特定の実施形態を示す。しかしながら、変更が本発明の範囲内の説明された実施形態に加えられうることは明らかであるべきである。一実施形態に関して説明される特徴は、一つ以上のその他の実施形態にも適用できる場合がある。
【0135】
有利なことに、本明細書に記載の実施形態のすべては、混合チャンバーを加熱して、混合チャンバー内のニコチンと酸との間の反応速度の増大を達成するように構成された発熱体を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11