(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】物体の磁力計を較正する方法
(51)【国際特許分類】
G01C 17/38 20060101AFI20240501BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20240501BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01C17/38 K
G01C21/28
G01R33/02 L
G01R33/02 X
(21)【出願番号】P 2020569029
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 FR2019051414
(87)【国際公開番号】W WO2019239062
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-28
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518120924
【氏名又は名称】シスナヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシエール,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】イリオン,マテュー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ヘンドリック
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527915(JP,A)
【文献】特開昭57-052813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 17/38
21/00-21/36
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲磁場中を移動する物体の磁力計を較正する方法であって、前記方法は:
(a) 取得のステップであって、
- 前記磁力計による、前記磁力計の周囲の磁場の少なくとも3つの測定成分、および
- 前記物体に固定された慣性測定手段による、前記物体の測定角速度の
取得のステップと;
(c) データ処理手段による、前記磁場の推定成分および前記物体の
推定角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって定められる式の値を最小化する前記磁力計の少なくとも1つの較正パラメータの更新された値の決定のステップであって、
- 前記磁場の前記推定成分は、前記磁場の前記測定成分及び前記磁力計の前記較正パラメータの関数であり、
- 前記
推定角速度は前記物体の前記測定角速度の関数であり、
- 前記少なくとも1つの磁気方程式は、前記磁場が前記磁力計の周囲で均一かつ定常と仮定する、
決定のステップと、
を含み、
前記磁気方程式は、
【数1】
の形態であり、Mは前記磁場の成分のベクトルであり、ωは前記物体の角速度であり、
【数2】
はMの導関数であり、前記式は
【数3】
の関数であり、M
(estimation)は前記磁場の前記推定成分のベクトルであり、
【数4】
は前記物体の前記
推定角速度であり、
【数5】
は前記M
(estimation)の導関数である、
方法。
【請求項2】
前記磁場の前記推定成分M
(estimation)はモデル
【数6】
によって前記測定成分M
(measurement)にリンクされ、Aおよびb
magnetoは前記磁力計の前記較正パラメータである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正パラメータの現在の値の誤差を表す第1誤差パラメータを推定するステップ(b)をさらに含み、前記ステップ(c)は、前記第1誤差パラメータが所定の閾値より大きい場合に、実行される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記較正パラメータの前記更新された値の誤差を表す第2誤差パラメータを推定するステップ(d)をさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)の終了時に、前記第2誤差パラメータが所定の閾値未満である場合、前記較正が関連する前記物体の姿勢サブセットを決定するステップ(e)をさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)は、再帰フィルタまたは最適化の実行を含む、
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記慣性測定手段はジャイロメータであり
、前記
推定角速度は、前記測定角速度及び前記ジャイロメータの較正パラメータの関数である推定角速度であり、前記ステップ(c)はまた、前記ジャイロメータの少なくとも1つの較正パラメータの値の決定を含む、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記物体の前記推定角速度ω
(estimation)
gyroは、モデル
【数7】
によって前記測定角速度ω
(measurement)
gyroにリンクされ、Dおよびb
gyroは、前記ジャイロメータの前記較正パラメータである、
請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記データ処理手段によって、前記物体の前記角速度、前記磁場の前記測定成分、および前記較正パラメータの値にしたがって前記物体の運動を推定するステップ(f)を含む、
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
周囲磁場中を移動する物体であって、前記物体の測定角速度を取得するように構成される慣性測定手段と、前記磁場の少なくとも3つの測定成分を取得するように構成される磁力計とを有し、前記物体は:
- 前記磁場の推定成分および前記物体の
推定角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって定められる式の値を最小化する前記磁力計の少なくとも1つの較正パラメータの更新された値を決定するように構成されるデータ処理手段をさらに有し、
- 前記磁場の前記推定成分は、前記磁場の前記測定成分及び前記磁力計の較正パラメータの関数であり、
- 前記
推定角速度は前記物体の前記測定角速度の関数であり、
- 前記少なくとも1つの磁気方程式は、前記磁場が前記磁力計の周囲で均一かつ定常と仮定し、
前記磁気方程式は、
【数8】
の形態であり、Mは前記磁場の成分のベクトルであり、ωは前記物体の角速度であり、
【数9】
はMの導関数であり、前記式は
【数10】
の関数であり、M
(estimation)は前記磁場の前記推定成分のベクトルであり、
【数11】
は前記物体の前記
推定角速度であり、
【数12】
は前記M
(estimation)の導関数である、
物体。
【請求項11】
コンピュータ上で実行されるとき、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の磁力計を較正する方法を実行するためのコード命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
コンピュータ装置の一部によって読取可能な記憶手段であって、前記記憶手段のコンピュータプログラム製品が請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の磁力計を較正する方法を実行するためのコード命令を含む、記憶手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GNSSなしのナビゲーションに関する。
【0002】
より正確には、本発明は、ジャイロメータに固定された磁力計を較正する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日では、GNSS(グローバルナビゲーション衛星システム(Global Navigation Satellite System)、例えばGPS)を介してまたは通信ネットワーク(放射ターミナル、wifiネットワークなどを用いた三角測量)を使用して車両の位置を追跡するのが一般的である。
【0004】
これらの方法は、情報のアベイラビリティと精度を保証することができず、一方と他方とが、ソースと受信機との間の任意のマスキングによって影響を受けるため、非常に制限される。また、それらは、利用できないことがあり、自発的にスクランブルさえされることがあるGNSSのための衛星などの外部技術に依存している。
【0005】
代替的には、「自律」方法は、慣性または磁気慣性ユニットのために、車両の相対変位を任意の環境で追跡することも知られている。「相対変位」とは、初期化時の点およびデータマーカに対する空間における車両の軌跡を意味する。軌跡に加えて、これらの方法はまた、同じ初期マーカに対して車両の向きを得ることを可能にする。
【0006】
ナビゲーションクラス慣性ユニットは、少なくとも三軸配置を持つ3つの加速度計と3つのジャイロメータから形成される。典型的には、ジャイロメータはマーカを「保持」し、加速度計の測定値の二重時間積分は、運動を推定することを可能にする。
【0007】
特に、戦闘機や民間航空機、潜水艦、艦艇などのナビゲーションのような複雑な用途で実施されるような従来の慣性航法を使用できるようにするためには、非常に精密なセンサを使用する必要があることが知られている。
【0008】
しかしながら、このような高精度のセンサは、高価で、重量があり、かさばるため、一般の公衆の用途には適さない。
【0009】
その結果、低コストのセンサが使用され、これは誤差の実質的なリスクを有し、そのために較正(センサ測定の欠陥を識別し次いで除去することを可能にするプロセス)は、従って、重要なプロセスである。
【0010】
ジャイロメータを用いて磁力計を較正する方法が知られている。
【0011】
特許文献1は、2つの測定点間の磁場の変化が、ジャイロメータの積分によって予測される姿勢の変化に対応するかどうかを検査することを提案している。しかし、磁気測定/加速度測定は信頼できると仮定しており、これはシステムが車両に搭載されている場合には扱いづらい。実際には、次のようなことが観察される:
- 周囲の磁場は常に均一且つ定常とは限らない;
- 近傍の金属要素(例えば、ボディワーク)または磁石は、磁気測定に影響を及ぼす(軟鉄および硬鉄の効果)。特許文献2も参照されたい。
- 磁力計を正確に較正するために、可観測性を得るために「誤差モデルを励起する」ように、磁力計を最大の空間方位に配置する必要がある。この問題は、使用前に較正を行う場合に手で持ち運ぶことができる機器のために容易に解決される(それはすべての方向に向けられる。例えば、特許文献3を参照)。磁力計が車両に装着されている場合、次の制限がある:
・ 車両の典型的な走行の間に、ロールとピッチがわずかにゼロから逸脱するという事実による。
・ ボディが磁化されるという事実、または車両が積載されるという事実により、これは、較正がもはや適切でなくなる可能性があることを意味する;これは、定期的な再較正が必要となる。
【0012】
特許文献4は、磁気コンパスとジャイロメータを有するスマートフォンタイプのデバイスにより的確に関連し、磁気外乱の問題に言及している。本特許文献4は、むしろ、ジャイロメトリックデータを用いた磁気コンパスの較正を目的とするが、出発点として磁気加速度計測の四元数qを取り、この四元数から再較正角速度ω=2q-1q・を得ることによって、逆も提案する。しかしながら、磁気計測/加速度計測測定が信頼できるという仮定は依然として成り立っており、逆の場合には、この状況が続く限り、ジャイロメータのバイアスを更新しないか、またはメモリに記憶されたデフォルトの四元数を使用することを単純に提案する。
【0013】
結果の優れた品質を可能にし、かつ限定的でない、物体の運動を推定する目的のために、物体の磁力計を較正するための新しい方法を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US2012/0116716
【文献】US2004/0123474
【文献】FR1757082
【文献】US2011/0178707
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明は、第1の態様によれば、周囲磁場中を移動する物体の磁力計を較正する方法に関し、その方法は、以下のステップを含むことを特徴とする:
(a) 取得であって、
- 磁力計による、磁力計の周囲の磁場の少なくとも3つの測定成分の、および
- 物体に固定された慣性測定手段による、物体の角速度の
取得;
(c) データ処理手段による、磁場の推定成分および物体の角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって定められる式を最小化する磁力計の少なくとも1つの較正パラメータの値の決定であって、
- 磁場の推定成分は、磁場の測定成分及び磁力計の較正パラメータの関数であり、
- 少なくとも1つの磁気方程式は、磁場が磁気測定手段の周囲で均一かつ定常と仮定する、
決定。
【0016】
他の有利かつ非限定的な特徴によれば:
・ 磁場の推定成分M
(estimation)は、モデル
【数1】
による測定成分M
(measurement)にリンクされ、ここでA及びb
magnetoは磁力計の較正パラメータである;
・ 本方法は、さらに、較正パラメータ上の誤差を表すパラメータを推定するステップ(b)を含み、ステップ(c)は、誤差を表す前記パラメータが所定の閾値より大きい場合に、実行される;
・ 本方法は、さらに、外部磁気擾乱を物体の磁気特性の変化から区別するような方法で、較正パラメータ上の誤差を表す前記パラメータの新たな推定するステップ(d)を含む;
・ 本方法は、ステップ(d)の終了時に、誤差を表す前記パラメータが所定の閾値未満である場合、較正が関連する物体の姿勢サブセットを決定するステップ(e)をさらに含む;
・ ステップ(c)は、再帰フィルタまたは最適化の実行を含む;
・ 慣性測定手段はジャイロメータであり、ステップ(a)で取得された物体の角速度は、測定角速度であり、磁気方程式によって使用されるものは、測定角速度及びジャイロメータの較正パラメータによる推定角速度であり、ステップ(c)はまた、ジャイロメータの少なくとも1つの較正パラメータの値の決定を含む;
・ 物体の推定角速度ω
(estimation)
gyroは、モデル
【数2】
によって測定角速度ω
(measurement)
gyroにリンクされ、ここでDおよびb
gyroは、ジャイロメータの較正パラメータである;
・ 磁気方程式は、
【数3】
の形態であり、ここでMは磁場の成分のベクトルであり、ωは角速度である;
・ 前記式は
【数4】
の関数である;
・ 較正パラメータ上の誤差を表す前記パラメータは、所与の時間間隔にわたる
【数5】
の平均値又は磁場の前記成分の空間勾配のいずれかである;
・ 本方法は、データ処理手段によって、前記物体の角速度、磁場の測定成分、および較正パラメータの値にしたがって前記物体の運動を推定するステップ(f)を含む。
【0017】
第2の態様によれば、周囲磁場中を移動する物体であって、前記物体の角速度を取得するように構成される慣性測定手段と、磁場の少なくとも3つの成分を取得するように構成される磁力計とを有し、物体は:
- 磁場の推定成分および物体の角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって定められる式を最小化する磁力計の少なくとも1つの較正パラメータの値を決定するようにであって、
- 磁場の推定成分は、磁場の測定成分及び磁力計の較正パラメータの関数であり、
- 少なくとも1つの磁気方程式は、磁場が磁気測定手段の周囲で均一かつ定常と仮定している、
決定するように構成されるデータ処理手段をさらに有することを特徴とする物体が提案される。
【0018】
第3の態様及び第4の態様によると、磁力計較正の第1の態様による方法の実行のためのコード命令を含むコンピュータプログラム製品と;コンピュータプログラム製品が、磁力計較正の第1の態様による方法の実行のためのコード命令を含む、コンピュータ装置の一部によって読取可能な記憶手段とが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、好ましい実施形態の以下の説明を読むときに現れるものとする。この説明は、添付の図面を参照して、以下に示す。
【0020】
【
図1】本発明による方法の実装のための車両アーキテクチャの例を示す。
【
図2】本発明による方法の好ましい実施形態のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本方法は、Mとして記述される、周囲磁場(典型的には、地球磁場(該当する場合は近傍の金属物体によって変更される))中を移動する物体1の磁力計20の較正を可能にする。既に説明したように、磁場は、三次元空間におけるベクトル場であり、すなわち、物体1が移動可能である各三次元点に三次元ベクトルを関連付ける。
【0022】
この物体1は、位置の知識が望まれる任意の移動可能な物体、例えば、車両、特に、車輪を備えた車両、ドローン等であるが、人またはこの人の人体又は身体の一部(手、頭部等)でもよい。
【0023】
磁力計又は磁力計(複数)20は、物体1に固定されており、「軸方向」にある、すなわち、前記磁場の成分、すなわち、前記磁場ベクトルMの軸に沿った投影を測定するためのケーブルである。
【0024】
磁力計20は、磁場の3つの成分を得ることができるように、少なくとも3個の数である。有利には、磁力計20は、少なくとも8個または9個の数でさえあり、有利には「三軸」の3つのグループ、すなわち、同じ空間位置に関連付けられ、3つの軸に沿って磁場を測定する直交する2×2個の磁力計20のトリプレット(三つ組)によって作られる。
【0025】
好ましくは、物体に関連する直交システムは、計算を容易にするようなやり方で、三軸が前記直交システムに従って有利に配向されるような慣例によって(および、本明細書の残りの部分については装置によって)選択される。
【0026】
しかし、当業者は、どのような場合にも、磁力計の任意の空間配置に変換する方法を知っているであろう。
【0027】
さらに、物体1は、物体マーカを規定する3つの直交軸系にしたがって、物体の角速度を測定することができる慣性測定手段11(例えば、車両の場合は車体に固定され、物体1の基準フレームに概ね固定される)を備える。手段11は、好ましくは、1つまたは複数のジャイロメータからなるが、1つまたは複数のジャイロスコープまたは任意のその他の姿勢または角速度のソースから形成することもできる。
【0028】
物体1が車両である好ましい実施形態では、車両の垂直軸周りの回転は、運転者がステアリングホイールを回転させることによって動作する角度によって説明される。一般に平坦な地面上では、車両の方向の変化は、水平面内にある、すなわち、前記垂直軸にも従う。実際には、ロール(車両の長手方向軸に沿った回転)およびピッチ(車両の横軸に沿った回転)についてのゼロ以外の値は、例えば、傾斜道路の結果であり得るが、典型的には低い。
【0029】
さらに、物体1は、物体1の測定された線速度(Vとして記述される)、すなわち、変位、の「付加的な」取得手段10を有利に備えることができる。これらの手段10は、直接的または間接的に、線速度を得ることを可能にすることができ、従って、例えば慣性測定手段などの多くのタイプのものであることができる。従って、ジャイロメータまたはジャイロメータ(複数)11は、1つまたは複数の加速度計によって補足されることができ、物体1は実際のところ、少なくとも3つの加速度計および3つのジャイロメータを三軸配置で有する慣性ユニットを有することができる。
【0030】
代替的に、物体1が車輪を有する車両である場合、手段10は、例えば
図1の例に示すように、車輪の少なくとも2つの走行距離計、例えば、2つの後輪の少なくとも2つの走行距離計から成ることができる。
【0031】
さらに、物体1は、本方法の処理の直接的なリアルタイムの実装のための説明された処理手段21(通常はプロセッサ)、例えば、車両のオンボードコンピュータ、オプションでメモリ22、および物体1の動きに関する情報(瞬間速度値、方向、地図上の位置など)を返す、および/または、物体1にコマンドを送信するインターフェース23を有する。物体1は、それ自体、特に自動運転車であることができ、処理手段21は、車両の自律的なナビゲーションを実施するように構成される。従って、前記コマンドは、運転者による運転をシミュレートするために、車両の制御部材(エンジン、ステアリングホイールのアクチュエータ等)に送られる。
【0032】
処理手段21は、物体1の外部にあってもよく、例えば、無線ネットワークによって物体1に接続されてもよいことに留意されたい。代替的には、慣性測定手段11および磁力計20は、特にワイヤで、例えばイーサネット(登録商標)を介してデータ処理手段21に接続することができる。
【0033】
方法
【0034】
本発明の方法は、少なくとも磁力計20を較正する方法である。「較正」とは、1つまたは複数の較正パラメータを決定することを意味し、そのリストを以下に示す。特に、特定の較正パラメータは、信頼性があり、所定のものとみなすことができ、他の較正パラメータは、決定されることになる。決定されることになるものに関して、それらは「現在の」値(他の用語では、較正が既に行われている)を有し、これらの値は、適用可能な場合に修正される(新規の較正の場合)。
【0035】
磁力計20自体は、先験的に完全に較正されている(これは、磁力計にリンクされたすべての磁気擾乱がそれ自体で識別され、補正されることを意味する)と想定され、物体1が存在しない場合に測定されるであろう地球磁場を推定することができるように較正において補正されなければならないのは、それらの直接的な環境(車体など)のみである。
【0036】
特に好ましい実施形態では、この方法はさらに、慣性測定手段11を較正するための方法であることができ、すなわちジャイロメータまたはジャイロメータ(複数)11および磁力計20を同時に較正することができる。これは非常に有利なモードである。なぜなら、これから分かるように、ジャイロメータまたは磁力計のうちの一方が、他方を較正するための基準として、それを使用するために信頼できると仮定する必要はもはやないからであり、すなわち、2つは互いに自動的に較正する。代替的には、ジャイロメータ11を十分に較正し、その結果として磁力計20を較正することが自然に可能となり、これは、例えば、磁力計20のより多くのパラメータを較正することが可能となる。
【0037】
以上のように、有利な実施形態では、本方法は、物体1の運動を推定する方法でさえある。すなわち、本方法は、運動の1つまたは複数の成分を確実に推定するために、較正の後に較正された測定値の使用を含む。
【0038】
第1のステップ(a)では、この方法は、ω(measurement)
gyroとして記述される、物体1の角速度の慣性測定手段11による取得と、磁力計20による、磁場の少なくとも3つの成分の取得とを含む。これらの成分は、より正確にはいわゆる測定成分であり、M(measurement)として記述されるベクトルを形成する。好ましくは、角速度の3つの成分および少なくとも8つの磁気成分(有利には、矩形の等辺三角形の角の中の3つの磁気三軸位置)が、それらから磁場およびその勾配(すなわち、3つの軸に従う次の順序の導関数)を導くことができるように取得される。
【0039】
これらの大きさは、物体1の動きの特徴的な時間の前に非常に小さいdt、典型的には40msで、サンプリングdt(すなわち、「dt」秒毎)を用いて有利に測定される。
【0040】
ステップ(c)(以下、この方法は中間ステップ(b)を有利に含むが、後者はオプションである)では、データ処理手段21は、磁場の推定成分および物体1の角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって定められる式を最小化する磁力計20の少なくとも1つの較正パラメータの値を決定する。
【0041】
このアイデアは、磁気方程式によって理論的にリンクされるジャイロメトリックデータと磁気データを別々に推定することである。したがって、この方程式のおかげで、理想的にはゼロであるべき量を表現することができ(すなわち、ジャイロメトリックデータと磁気データは、正確に磁気方程式を満たす)、さもなければ、完全にされなければならないのは較正である。
【0042】
M(estimation)として記述される磁場の推定成分は、磁場の測定成分M(measurement)として記述される及び磁力計20の較正パラメータに従う。
【0043】
好ましくは、それらは、モデル
【数1】
によって測定成分M
(measurement)にリンクされ、マトリクス3x3Aとベクトルb
magnetoは磁力計20の較正パラメータである。それはむしろ、測定成分の関数として表現したい推定成分であるが、
【数6】
と書くことが可能である。
【0044】
bmagnetoは、概して「硬鉄型」効果を表し、行列Aは「軟鉄型」効果を表す。これらの効果は、厳密に言えば、硬/軟鉄の効果に対応し、また、同一の影響を有するが異なる原因(例えば、磁力計のエレクトロニクス/物理学による効果)を有する現象を含むことができる。
【0045】
より一般的には、一般的な誤差モデル
【数7】
を調べることができ、hは必ずしも微調整されていない関数(アプリケーション)であることに留意されたい。
【0046】
線形の場合(
【数1】
)、Aは3×3行列であり、
【数8】
と表すことができ、Rは直交上三角
(外1)
である。
【0047】
磁力計20自体は事前に完全に較正されていると仮定されていることを思い出すと、物体1が存在しない場合に測定されるであろう地球磁場を推定できるように較正において補正されなければならないのは、それらの直接的な環境(車体等)のみである。従って、行列Rは重要であり、物体磁気マーカが安定したままであるように決定される。
【0048】
球体に関する従来の較正方法は、最も近い軸周りの1回転でのみ決定する(E. Dorveaux, D. Vissiere, A.
P. Martin, N. Petit, "Iterative calibration method for inertial and
magnetic sensors", in Proc. of the 48th IEEE Conf. on Decision and Control
2009参照)。センサ軸は、これらの方法の適用した後に固定されたままではない。
【0049】
実際には、較正中のAの8つの係数を決定することができる(1つの係数、テスラ(またはガウス)の物理単位に測定値を結びつけるグローバルスケールファクタを決定することはできないが、同時に、一定の数の用途(例:物体の向きを決定するための磁力計の使用)については、それを知る必要はない)。(選択されたスケールファクタに関して)較正中に磁場の法線の値(平均)を格納することが有利に望ましいままであることに留意されたい。さらに以下を参照。
【0050】
説明したように、ステップ(a)で取得される角速度は、好ましくは、測定された速度(すなわち、誤差で損なわれた可能性がある)であり、前記磁気方程式によって使用される角速度は、慣性測定手段11の測定された速度および較正パラメータによる、ω(estimation)
gyroとして記述される推定速度である。
【0051】
好ましくは、特に、手段11がジャイロメータである場合、一般に、ω
(estimation)
gyro=g(measurement)であり、gは、較正パラメータによって決定される関数(アプリケーション)である。最も単純な場合には、gは微調整され、推定角速度ω
(estimation)
gyroは、式
【数2】
によって測定角速度ω
(measurement)
gyroにリンクされ、Dおよびb
gyroはジャイロメータ11の較正パラメータである。
【0052】
三次元姿勢の場合、bgyroはバイアスベクトルであり、Dは3×3行列(正しいマーカでの転送のための直交行列)×(スケール係数と較正を含む上三角行列)である。単純化された方法で、例えば、Dは所定のものであり(実際には非常にゆっくりと変化する)、ジャイロメータ11について決定されるべき唯一の較正パラメータは、bgyroであり、これは実質的に経時的に変化する傾向がある(ジャイロメータ11のドリフトと呼ばれる)ことを考慮することが可能である。
【0053】
同時二重較正の特に好ましい実施形態では、決定されるべき較正パラメータは3つだけである:bgyro、Aおよびbmagneto。この限られた数のパラメータは、物体1が「変化する」軌道(時間の関数として変化する方向/速度)を有する場合に、このような二重の較正を可能にする。
【0054】
磁気方程式
【0055】
ボディマーカ(すなわち、物体1のマーカ)における磁場の経時的変化は、方程式
【数9】
によって記述される。
【0056】
第1項-ω×Mは、固定マーカに対するこのマーカの回転に起因するボディマーカにおける磁場の変化を記述する。第2項∇M・Vは、不均一磁場を有する領域の並進から生じる測定磁場の変化を記述する。最後に、第3項
(外2)
は、磁場の非定常性(例えば、ヨーロッパにおける50Hzのような周期的な電流、または磁石/鋼製の物体の前記物体の近傍での運動など)を考慮に入れる。
【0057】
「移動可能な」磁気外乱がなければ、すなわち磁場は静止した性質を有し、
【数10】
、式は
【数11】
に減らすことができる。
【0058】
磁気外乱がまったくない場合、すなわち、磁場は、定常であることに加えて、均一な性質を有し、
【数12】
、式は、さらに、
【数13】
に減らすことができる。
【0059】
この均一性と定常性の二重仮定は、通常、最も頻繁に検証される。実際、地球磁場について、金属構造物や強化コンクリート製のもの(典型的には橋)が周囲に存在する場合を除いて、均一性は、我々の緯度において極めて良好な近似として局所的に観測される。近傍の変位物体による非定常性は、外乱のソースが移動しなければならないので、さらに稀であり、周期的な電流が平均ゼロであることによる非定常性は、推定技術を用いて処理することもでき、例えば、文献C.-I. Chesneau, M. Hillion, and C. Prieur, Motion estimation of a Rigid Body with an EKF using Magneto-Inertial Measurements, 7th Conf. on Indoor Positioning and Indoor Navigation (IPIN'16), Madrid, Spain, 2016を参照されたい。
【0060】
次に、
図2を参照すると、ステップ(c)において、磁場の均一性と定常性の二重の仮定をとることにより磁力計20を較正することを試みるものとする。ステップ(c)の実施に先立って、較正パラメータ上の誤差を表すパラメータを推定するステップ(b)を実施することができ、このステップ(c)は、このパラメータが所定の閾値よりも大きい場合、すなわち、磁力計20が較正を必要とすることを示す場合に実施される。
【0061】
次いで、この方法は、有利には、外乱が存在しないこと、すなわち、仮定の妥当性、が検証された結果としての較正パラメータ上の誤差を表す、前記パラメータを推定する(この方法がステップ(b)を含むか否かによる第1または第2の推定)オプションのステップ(d)を含む。
【0062】
従って、磁力計20の周囲の磁場の定常性及び均一性の二重の仮定において、量M(estimation)+ω(estimation)
gyro×M(estimation)は、較正誤差及び最も近いノイズに対してゼロに等しいことが理解される。
【0063】
有利には、第1の式(ステップ(c)で最小化される)は、M(estimation)+ω(estimation)
gyro×M(estimation)の関数、好ましくは、|M(estimation)+ω(estimation)
gyro×M(estimation)|ままたは(M(estimation)+ω(estimation)
gyro×M(estimation))2の関数である。一般的な条件下では、これらの式の最小化は一般的な軌跡に対してあいまいさなしにパラメータを与える。しかしながら、代替的には、当業者であれば、第1/第2の式(ノルム(norme)のL2、L∞など)によって定められる関係に関連して差異に感受性のある任意の他の関数を第1/第2の式として使用することができることが理解される。
【0064】
この最小化を実装するために、データ処理手段21は、所与の長さのインターバルで経時的に動作することができる。そのようなものとして、既知の方法では、再帰フィルタ(RLS、再帰最小二乗法など)または最適化(最小二乗法など)を使用することができる。
【0065】
例えば、磁力計20の較正パラメータ、すなわち、パラメータAおよびb
fer durが同時に決定される仮定において、
【数14】
が
【数15】
及び
【数16】
を用いて最小二乗法で最小化される、いわゆる差分較正原理を実装することが可能である。
【0066】
別の例では、いわゆる積分較正原理を実装することが可能である。この考え方は、較正後、測定された磁場は地上の磁場に対応し、地上のマーカにおいて一定でなければならない(垂直と方向で一定)、すなわち、各成分M=R
b→tM
(estimation)=定数(地上の磁場)、R
b→tはボディマーカから地上のマーカへの伝達行列であり、ω
(estimation)
gyroから決定される。分散(Mx)+var(My)+var(Mz)の合計は、最小二乗較正パラメータを見つけるために最小化される(
【数17】
であり、他の分散については必要な変更が加える)。この方法は初期行列R
b→tに依存しない。
【0067】
誤差特性評価
【0068】
説明したように、本方法は、有利には、較正パラメータ上の誤差を表すパラメータを推定するステップ(b)および/またはステップ(d)を含む。説明したように、ステップ(b)とステップ(d)の両方を含む好ましい実施形態では、ステップ(b)で推定された誤差を表す前記パラメータが所定の閾値よりも大きい場合、ステップ(c)を実施し、ステップ(d)は好ましくはステップ(c)の各発生後に実施される。
【0069】
このアイデアは、較正にほとんど好ましくない場合、すなわち外乱の場合を破棄するために、磁気20によって提供される情報の質を推定することである。これからわかるように、閾値を超える2つの考えられる原因を区別することができる:
i.外乱(一時的)(例えば、車両が通過する隣の鉄/コンクリートでできた大きな構造物)、これは、磁気方程式の∇M・Vまたは
(外2)
のタイプの項を生成する。
ii.車両の磁気特性の変化(例えば、車両のシェルの磁化の変化、乗客による磁性体の変位)。
【0070】
較正パラメータ上の誤差を表すパラメータの推定の第1の発生(ステップ(b))は、「元の」較正パラメータ、すなわち、方法が開始された時点での現在のパラメータを使用する。較正パラメータ上の誤差を表すパラメータの推定の第2の発生(ステップ(d))は、ステップ(c)で決定されたようなパラメータを使用する。
【0071】
ステップ(b)の終了時に、誤差を表す前記パラメータが前記所定の閾値未満である場合、元の較正パラメータを維持することができ、磁気外乱がないことの両方が知られる。
【0072】
逆に、閾値を超える誤差を表すパラメータの場合は、これは、上記i及びiiのケースの一方である。そして、ステップ(c)と(d)を実行することで、これらの2つのケースを区別することができる。
【0073】
従って、ステップ(d)の終わりにおいて、誤差を表す前記パラメータが依然として前記決定された閾値より大きい場合、ステップ(c)は好ましい条件下では起こらず、較正の結果は受け入れられない。より正確に言えば、
図2に見ることができるように、問題は、較正によるものではなく、一時的な外乱(ケースi)によるものであると結論付けることができる。次いで、元の較正は、将来(例えば、外乱が遠ざかっている場合)のために、姿勢ゾーン(下記参照)に対して維持される。すなわち、以前の較正のパラメータは、較正として維持される。磁気測定は、問題が持続する限り、オプションで使用不可能であると宣言することができる。
【0074】
逆に、誤差を表す前記パラメータが、現在、前記所定の閾値を下回っている場合、それは、ケースがiiであったこと、すなわち、問題の原因が元の較正であったことによるものであり、ステップ(d)は、較正パラメータのステップ(c)で決定された値を有する磁力計20および/または慣性測定手段11の較正を含む。
【0075】
なお、ステップ(c)の発生中の較正パラメータの決定された値は、有効な較正には使用されないが、データ記憶手段12に記憶することができ、ステップ(d)の将来の発生中に使用することができる。例えば、誤差を表すパラメータが閾値を超える限り、決定された較正パラメータが記憶され、閾値を下回る場合、有効な較正は、記憶された値も考慮に入れる。
【0076】
概して、較正パラメータ上の誤差を表す前記パラメータは、較正パラメータの決定された値について計算された、最小化されることになる前記式の値の関数である。
【0077】
ステップ(b)/(d)の第1の実施形態は、ステップ(c)で利用可能な大きさのみを使用するので、内在的であると言われる。好ましくは、ステップ(c)からの推定残余(residus)が使用される、すなわち、誤差を表す前記パラメータは、所与の時間間隔にわたる第1/第2の式の値のノルム(例えば、L
2またはL
∞)、典型的には、
【数14】
である。このような場合、ステップ(d)は、ステップ(c)と同時に実施することができる。再帰フィルタの場合、一定期間にわたるフィルタのイノベーション(innovation)のノルム(例えば、L
2またはL
∞)を使用することができる。ステップ(b)の残余の使用の場合、較正パラメータの任意のセットおよび取得データの任意のセットを使用することが可能であることに留意されたい-現在取得されたデータ(ステップ(a)の最後の実施中に取得された)を使用してパラメータを計算する必要はない。したがって、ステップ(c)を実施する前に(または実施しなくても)特性を明らかにすることが可能である。
【0078】
代替的には、偏差は、正規分布に関連して定量化することができる、すなわち、
【数18】
の値の統計分布がガウス分布であるかを、例えば、より高いモーメントを計算することによって調べる。
【0079】
第2の実施形態によれば、推定された磁場の法線を計算し、それを閾値と比較することができる:推定された磁場が、地上磁場の基準値に対して異常に高い場合、これは、磁気擾乱が存在することを意味する。
【0080】
第3の実施形態によれば、磁場の成分の空間勾配、すなわち、∇Mを非常に簡単に推定することが可能である。
【0081】
実際、この推定は、均一な性質を維持するためにはゼロに近くなければならない。この実施形態では、磁場の係数およびその勾配を決定するために、3つの磁力計三軸を有し、いずれの場合も少なくとも8つの磁力計20を有することが望ましい。
【0082】
代替的にまたは補足として、この誤差パラメータの推定を改善するため、および/または、よりロバストな方法で、かつ、利用可能性を増加させて、好ましい条件(すなわち、定常および均一)を識別するためのアプローチを開発するために、学習を用いることができる。
【0083】
特に、ニューラルネットワーク、サポートベクトルを用いるマシン、最近傍法、決定木などの学習メカニズムを実装することが可能である。従って、ステップ(b)から(d)の各発生時に、各測定データセットが、(ステップ(b)から(d)の連続した発生が起こるように)漸進的に、且つ 許容可能な較正を許容不可能な較正から区別するように自動的に学習するような方法で、誤差を表すパラメータの対応する値で「タグ付けされる」学習ベースを充実させることができる。このように、較正は常に改善されている。
【0084】
較正ゾーン
【0085】
理論では、物体1のすべての姿勢について、磁場の測定における欠陥を補正する較正パラメータセットは1つだけである。
【0086】
実際には、限定された期間における車両の典型的な経路に沿った、姿勢のサブセットのみが調査される。この姿勢サブセットに対する最適化は、(考慮される姿勢サブセットにわたって)局所最小化から得られる較正パラメータのセットを生成する。したがって、この較正パラメータのセットは、「較正ゾーン」と呼ばれる、考慮される姿勢サブスペースの外側では最適ではない可能性がある。
【0087】
好ましくは、本方法はさらに、誤差を表す前記パラメータが所定の閾値未満である場合、較正が関連する物体の姿勢サブセットを決定するステップ(e)を含む。いくつかの較正のためにいくつかのサブセットが保持される場合があることに留意されたい。
【0088】
これにより、較正を実質的に改善することができる:物体1の変位の間、現在の姿勢にしたがって2つのケースを区別することができる:
i.物体1の姿勢が、関連するサブセットによってカバーされていない場合、本方法を実行するか、またはデフォルト較正を選択することが可能である。
ii.物体1の現在の姿勢が適切なサブセットによってカバーされる場合、このゾーンのための適切な較正が使用される。
【0089】
前記サブセットは、例えば、オイラー角間隔によって、または姿勢多様性の別のパラメータ化(四元数、直交行列)によって特徴付けられる。
【0090】
その決定に関して、それは、全ての測定点から来る姿勢データの凸包絡線によって、または全ての測定値それ自体によって決定されることができる。
【0091】
動きの推定
【0092】
説明したように、本方法は、有利には、物体1の角速度及び/又は磁場の成分、及び/又は(手段10による)物体1の任意の測定された線速度、及び、較正パラメータの値、すなわち、再較正後の値に応じて、物体1の運動をデータ処理手段21によって推定するステップ(f)を含む。このステップ(f)は、較正に焦点を当てた
図2には示されていないが、並列に連続的に実行することができる。
【0093】
「運動の推定」とは、特に、少なくとも物体1の向き(水平面の、すなわち、方位)の推定を意味し、有利には、法線速度の推定を意味する。このためには、磁気計測測定で得られた磁気方位(すなわち、「コンパス」スタイル)を用いたナビゲーションを単に実装するか、または、二重較正の場合にはジャイロ計測ナビゲーションまたは磁気ジャイロ計測合併(magneto-gyrometric merger)さえも実装することが可能である。後者の場合、向きは、典型的に、角速度の積分によって得られる。
【0094】
該当する場合、測定された線速度(オプションの手段10による)は、ステップ(f)において、物体1のグローバル速度を決定するためにのみ使用される。
【0095】
ステップ(f)は、さらに、較正パラメータ上の誤差、磁気またはジャイロ磁気方向誤差(キャップ)を表す前記パラメータによる計算を含むことができる。例えば、較正後の期間中に蓄積された方位誤差は、バイアスの推定における不確実性にこの期間の継続時間を乗じて推定することができる。
【0096】
自動運転車両の場合、ステップ(f)は、例えば車両1を所望の目的地に運ぶ、または車両1を障害物のない軌道に保持することによって車両1を停止させるような方法で、推定された運動に応じた前記車両1のコマンドの生成を含むことができることに留意されたい。
【0097】
機器及び物体
【0098】
第2の態様によれば、本発明は、特に、本方法の実施形態の一又は他を実施するための装置11、20、21およびオプションで10のセットに関する。
【0099】
このセットは、「従来の」物体1に、それを変換するような方法でキットとしてインストールすることができる。代替的に、特に、物体1が車両である場合、これは、車両のナビゲーションのためのデータ処理手段21、並びに追加の取得手段10として使用されるジャイロメータ11及び/又は走行距離計などのセンサを既に備えている自動運転車両であることができる。
【0100】
物体1は、特に、車輪型の車両について特に提案されており、以下を含む:
- 物体1の角速度を取得するように構成される慣性測定手段11(例えばジャイロメータ);
- 該当する場合、磁場の少なくとも3つの成分を取得するように構成される磁力計;
- オプションで、物体1の測定された線速度を取得するように構成される追加の取得手段10(有利には、車両の車輪の少なくとも2つに取り付けられ、前記2つの車輪の測定された速度を取得するように構成される走行距離計);
- データ処理手段21であって、
〇 磁場の推定成分および物体1の角速度に関連する少なくとも1つの磁気方程式によって規定される式を最小化する磁力計20の少なくとも1つの較正パラメータの値を決定するように較正され、
・ 磁場の推定成分は、磁場の測定成分及び磁力計20の較正パラメータの関数であり、
・ 少なくとも1つの磁気方程式は、磁場が磁気測定手段20の周囲で均一かつ静止していると仮定する。
- データ処理手段21は、さらに、
〇 較正パラメータの値の決定の前及び/又は後に較正パラメータ上の誤差を表すパラメータを推定し;
〇 前記物体1の運動を推定する、
ように構成されることができる。
【0101】
上述したように、物体1は、さらに、メモリ22およびインターフェース23を有することができる。
【0102】
コンピュータプログラム製品
【0103】
第3の態様及び第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による磁力計を較正する方法の実行(処理手段21上)のためのコード命令を備えるコンピュータプログラム製品と、そこでこのコンピュータプログラム製品が見つかるコンピュータ装置の一部(例えば、データ記憶手段22)によって読み取ることができる記憶手段とに関する。