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特許7481270モデルの動的調整のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】モデルの動的調整のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/20 20110101AFI20240501BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61C 13/08 20060101ALI20240501BHJP
   A61C 5/70 20170101ALN20240501BHJP
【FI】
G06T19/20
A61C13/00 A
A61C13/08
A61C5/70
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020572702
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019038938
(87)【国際公開番号】W WO2020005912
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】16/023,671
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ダーザップフ,エヴゲニー
(72)【発明者】
【氏名】アロニ,ラヴィッド
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504420(JP,A)
【文献】特開2011-147728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/20
A61C 13/00
A61C 13/08
A61C 5/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dモデル関与プロセスを使用し、3Dモデルを画面上で関与する工程と、
前記3Dモデル関与プロセスを特定する工程と、
関与している3Dモデルの位置に最も近い3Dモデルの領域を定めることにより、前記3Dモデルに最も近い前記3Dモデルの局所化領域を得る工程であって、前記3Dモデルの局所化領域と前記関与している3Dモデルの位置は同じ画面上にあり、前記3Dモデルは歯科用モデルである、前記3Dモデルに最も近い前記3Dモデルの局所化領域を得る工程と、
前記得られた局所化領域又は関与している3Dモデルの位置の方向を計算する工程と、
関与されている3Dモデルの表面が遮られたビューを取得した場合、前記得られた局所化領域又は関与している3Dモデルの位置の方向及び前記関与プロセスに基づいて、前記3Dモデルを調整し、1本以上の面法線、前記局所化領域又は前記関与している3Dモデルの位置の面法線の平均と、ビュー方向が一致することにより、関与している3Dモデルの表面の遮るものがない、または実質的に遮るものがないようになる、前記3Dモデルを調整する工程と、
を含む、3Dモデルを動的に調整するための方法。
【請求項2】
前記調整する工程は自動的、連続的および/または断続的である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整する工程は、(i)前記3Dモデルの回転、(ii)前記3Dモデルの平行移動、(iii)前記3Dモデルまたは前記3Dモデルの一部の拡大、(iv)前記3Dモデルまたは前記3Dモデルの一部の透明化、および/または(v)前記3Dモデルまたは前記3Dモデルの一部の色づけを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関与プロセスは前記3Dモデルの表面を変形させること/修飾することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記調整する工程は所定の閾値にさらに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調整する工程はコンテキストアウェアネス工程を含み、かつ前記調整の程度は前記3Dモデルの特性に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記特性は歯の構造および/または歯の形状を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記関与プロセスは操作者の連続的な動きである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
3Dモデル関与プロセスを特定し、
作業している前記3Dモデルの位置に最も近い前記3Dモデルの局所化領域を得、
関与している3Dモデルの位置に最も近い3Dモデルの領域を定めることにより、前記3Dモデルに最も近い前記3Dモデルの局所化領域を得て、ここで前記3Dモデルの局所化領域と前記関与している3Dモデルの位置は同じ画面上にあり、前記3Dモデルは歯科用モデルであり、
前記得られた局所化領域又は関与している3Dモデルの位置の方向を計算し、
関与されている3Dモデルの表面が遮られたビューを取得した場合、前記得られた局所化領域又は関与している3Dモデルの位置の方向及び前記関与プロセスに基づいて、前記3Dモデルを調整し、ここで1本以上の面法線、前記局所化領域又は前記関与している3Dモデルの位置の面法線の平均と、ビュー方向が一致することにより、関与している3Dモデルの表面の遮るものがない、または実質的に遮るものがないようになる、
ように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える、3Dモデルを動的に調整するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この国際出願は、2018年6月29日に出願された米国特許出願第16/023,671号の利益を主張し、これは全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は一般にモデルのビューを動的に調整するための方法に関し、より詳細には、治療計画中にそのモデルの局所化領域に基づいてモデルのビューおよび/または向きを動的に調整するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
修復物または歯列矯正アライナーを設計することなどの歯科欠損部を治療するために利用可能な様々な選択肢が存在する。1つの選択肢は口の中で充填材を手作業で塗布することであり、この場合歯科医師は虫歯を除去し、作り出された穴に充填材を詰める。より大きな欠損のための別の選択肢としては歯科医師により物理的印象を取ることであり、それを歯科技工室に送って石膏モデルを作製することができる。対向する歯および適切であれば咬合器の形態の顎運動を考慮に入れることにより、適切な歯科修復物、すなわちインレー、アンレー、パーシャルクラウン、クラウン、ブリッジ、テレスコープクラウン、部分義歯などの歯科補綴物を作製することが可能になり得る。
【0004】
但しこれらの手作業によるプロセスは時間がかかり、かつ高価である。CAD/CAM技術は従来の作製方法の代わりとなり得、この技術では歯科修復物および歯科補綴物をコンピュータの助けを借りて作製することができる。3次元(3D)データは歯科用スキャナなどのハードウェアを用いて取得することができる。次いでスキャンされた3Dデータおよびディスプレイを用いて、歯科修復物のコンピュータ支援設計(CAD)データセットを仮想的に設計または計算することができる。次いで完成したCADデータセットをコンピュータ制御ミリングもしくは研削機(例えばCNC)またはラピッドプロトタイピングシステムにおいて機械加工することができる。しかし、設計中の歯表面の一部の鮮明なビューを得るためにユーザが治療計画中に修復物のビュー角度を手動で変えなければならないため、仮想修復物の設計は時間がかかる。
【0005】
1つの手法では、ユーザはディスプレイの画面上に示されたデジタル画像の上にポインタを置いて、デジタル画像の一部の拡大ビューを画面上の固定された位置にある四角の中に現れるようにすることができる。この手法は、その四角がデジタル画像の一部を覆ってしまったり、ユーザが2つの異なる領域に同時に集中しなければならなかったりすることがあり、これは目に負担となり得るという点で好ましくない場合がある。さらにそのような拡大ビューは2D画像のために生成されるということしか知られていない。
【0006】
さらに、いくつかのテキストエディタによりユーザが文書を表示している拡大レベルを変えることができるようにしてもよい。この手法は、拡大の変更が瞬時に生じ、その結果ユーザは拡大の変更後に自身が見ているものに関して混乱した状態になる場合があるという理由により好ましくない場合がある。さらに文書全体が同じ拡大レベルで表示されることがあり、そのためより高レベルの拡大で文書の一部を調べている間に「大きい写真」を見ることができない。さらにユーザはちょうどの拡大以外の方法で文書を変更したいと思う場合がある。
【0007】
米国特許第9372590号は拡大鏡移動システムを開示しており、ここでは拡大鏡を表示領域にわたって移動させるためにドラッグ制御要素が選択される。
【0008】
歯の治療中に、プレパレーション前に歯を隣接する歯と共にスキャンし、次いで対応する3Dモデルを計算することができる。
【0009】
米国特許第7705858号は、積み重ねられた画像の中の少なくとも1つの画像が積み重ねられた画像の中の少なくとも1つの他の画像と重なっている第1の配置で配置された複数の画像を含む積み重ねられた画像を表示することができるディスプレイ上にデジタル画像を表示するための方法および装置を開示している。
【0010】
米国特許第7746360号は、ターゲット領域を変更すれば拡大可視化も変更することができるように、ターゲット領域および相関する可視化をまとめるための方法および装置を開示している。
【0011】
米国特許第7760187号は、ユーザがディスプレイをタッチした(タッチインタラクション)領域の周りの領域を拡大することができる方法を開示している。
【0012】
米国特許第7889212号は、画面上に表示された視覚情報の選択された部分を仮想ルーペを用いて拡大するのを可能にするための方法および装置を開示している。
【発明の概要】
【0013】
上記に関連する既存の限界ならびに他の限界は、作業しているモデルの表面に適合させた3Dモデルのビューおよび/または向きを生成するように3Dモデルのビューおよび/または向きを動的に調整するための方法によって克服することができる。3Dモデルの「動的調整」は以後、3Dモデルのビュー/可視化/レンダリングおよび/または向きの自動的、連続的および/または断続的調整を意味するように使用する場合がある。モデルはどんなモデルであってもよく(例えば3Dモデル、2Dモデル、2Dモデルのスタックなど)、好ましくは1本もしくは複数本の歯または歯の解剖学的構造の3Dモデルである。例えば、歯の3Dモデルの3Dモデルデータはメモリに存在していてもよく、かつ(i)3Dモデルデータの一部はレンダリングされないままにしてもよく、かつ/またはユーザが最適化されたビューを有し得るようにディスプレイ上の3Dモデルまたはその3Dモデルの一部が変更(例えば削除、透明化など)された状態で現れることができるようにレンダリングしてもよく、かつ/または(ii)ユーザが好ましくは3Dモデル表面の遮られていないビューを有し得るように3Dモデルの向きを変えてもよく、この遮っているものは例えば、ビュー方向の3Dモデルの三角メッシュの最上の三角形(前記最上の三角形はスキャナに最も近い3Dモデルのz座標を含むバッファによって決定されている)がユーザによって関与されている表面の一部であるかを決定することにより検出してもよい。前記最上部が関与されている表面の一部でない場合に、関与されている表面が遮られており、かつ3Dモデルを再方向づけすることができるという結論に達してもよい。
【0014】
本明細書における一態様では、本発明は、3Dモデル関与プロセスを特定する工程と、作業している3Dモデルの位置に最も近い3Dモデルの局所化領域を得る工程と、得られた局所化領域および関与プロセスに基づいて3Dモデルを調整する工程とを含む、3Dモデルを動的に調整するための方法を提供することができる。
【0015】
本明細書における別の態様では、本発明の態様のいずれかは、以下の特徴のうちの1つまたは任意の組み合わせ、すなわち(i)局所化領域に基づいて3Dモデルの向きを得ること、およびビュー方向を得ることを含み、調整する工程は得られた向きおよびビュー方向にさらに基づいている、(ii)調整する工程は当該向きおよびビュー方向が一致するように行われる、(iii)調整する工程は連続的および/または断続的である、(iv)調整する工程は(a)3Dモデルの回転、(b)3Dモデルの平行移動、(c)3Dモデルまたは当該モデルの一部の拡大、(d)3Dモデルまたは当該モデルの一部の透明化、(e)3Dモデルまたは当該モデルの一部の色づけを含む、(v)当該向きは1本以上の面法線または局所化領域の面法線の平均に基づいている、(vi)3Dモデルは歯のモデルである、(vii)関与プロセスは3Dモデルの表面を変形させること/修飾することを含む、(viii)調整する工程は所定の閾値にさらに基づいている、(ix)所定の閾値は(a)1本以上の面法線または局所化領域の面法線の平均および(b)ビュー方向によって形成された角度である、(x)調整する工程はコンテキストアウェアネス工程を含み、かつ調整の程度は3Dモデルの特性に基づいている、(xi)この特性は歯の構造および/または歯の形状を含む、(xii)関与プロセスは操作者の連続的な動きである、あるいは(xiii)それらの任意の組み合わせによってさらに特徴づけることができる。
【0016】
別の態様では、3Dモデルを動的に調整するためのシステムであって、3Dモデル関与プロセスを特定し、作業している3Dモデルの位置に最も近い3Dモデルの局所化領域を得、かつ得られた局所化領域および関与プロセスに基づいて3Dモデルを調整するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えたシステムを提供することができる。
【0017】
別の態様では、本システムの態様のいずれかは、以下の特徴のうちの1つまたは任意の組み合わせ、すなわち(i)局所化領域に基づいて3Dモデルの向きを得、かつビュー方向を得るようにさらに構成されたプロセッサを備え、調整する工程は得られた向きおよびビュー方向にさらに基づいている、(ii)調整する工程は当該向きおよびビュー方向が一致するように行われる、(iii)調整する工程は連続的および/または断続的である、(iv)調整する工程は、(a)3Dモデルの回転、(b)3Dモデルの平行移動、(c)3Dモデルまたは当該モデルの一部の拡大、(d)3Dモデルまたは当該モデルの一部の透明化、(e)3Dモデルまたは当該モデルの一部の色づけを含む、(v)当該向きは1本以上の面法線または局所化領域の面法線の平均に基づいている、(vi)3Dモデルは歯のモデルである、(vii)関与プロセスは3Dモデルの表面を変形させることを含む、(viii)調整する工程は所定の閾値にさらに基づいている、(ix)所定の閾値は(i)1本以上の面法線または局所化領域の面法線の平均および(ii)ビュー方向によって形成された角度である、(x)調整する工程はコンテキストアウェアネス工程を含み、かつ調整の程度は3Dモデルの特性に基づいている、あるいは(xi)それらの任意の組み合わせによってさらに特徴づけることができる。
【0018】
歯の治療計画は、歯および残根の周りに周縁線を描くこと、インレー、アンレーおよびパーシャルクラウン、インプラント計画などを設計することなどの設計工程を含む場合がある。設計工程は歯科用CAD/CAMマシーンのディスプレイなどのディスプレイ上で行うことができる。本明細書に記載されている方法およびシステムは、例えば治療計画手順を完了させるためにユーザが必要とするインタラクションの数を減らし、それにより効率を高め、かつ治療計画完了時間を短縮するための手段、治療計画中に3Dモデル上にオブジェクト(例えば線、円、曲線または不規則形状など)を描き、かつ描画の位置に最も近い3Dモデルの局所化領域に基づいて3Dモデルのビュー/向きを自動的に調整するための方法を提供することができる。これは例えば、ユーザが3D歯モデルなどの3次元(3D)モデルにインタラクティブに関与する場合に、当該モデルの向きをビュー方向(本明細書における一実施形態では表示平面に対して垂直な方向である)に対して自動的、連続的および/または断続的に変えることを含んでもよい。当該向きは例えば1本以上の面法線または面法線の平均に基づいていてもよい。本明細書ではビュー角度は、例えば3Dモデルの面法線とユーザのビュー方向との間の角度であってもよい。従ってユーザに作業しているモデルの表面の遮られていないビューを提供し、このようにしてユーザが作業している遮られた表面を現わすために当該モデルのビューを手動で変える回数を減らしてもよい。本明細書における一実施形態では、局所化領域のサイズは例えば単一の点から歯の側部の表面までの範囲であってもよい。
【0019】
さらなる特徴および利点ならびに本明細書における様々な実施形態の構造および動作について添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0020】
例示的な実施形態は本明細書において以下に与えられている詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるようになり、図面では同様の要素は同様の符号によって表されており、これらは例示としてのみ与えられており、従って本明細書における例示的な実施形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る3Dモデルおよびツールを示す図である。
図4】歯の付け根の周りに描かれた周縁線を有する3Dモデル(例えばプレパレーション/残根)を示す。
図5】歯の付け根の周りにより長い周縁線を有する図4の3Dモデルおよび3Dモデルの向きの対応する調整を示す。
図6a】面法線に対するビュー方向を示す。
図6b】面法線に対する別のビュー方向を示す。
図7】本発明に係る方法の一実施形態を示す。
図8】本発明に係る方法の別の実施形態を示す。
【0022】
図の中の異なる図は、同じ構成要素を特定するために同じであってもよい少なくともいくつかの符号を有する場合があるが、そのような構成要素のそれぞれの詳細な説明は各図に関して以下に提供されていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載されている例示的態様に従って、治療計画中に3Dモデルを操作し、かつ前記操作の位置に最も近い3Dモデルの局所化領域に基づいて3Dモデルのビュー/向きを自動的に調整するための方法およびシステムを提供することができる。
【0024】
本発明は、3Dモデル表面を変形させ/修飾し(形状を変えるなど)、かつ変形の位置に最も近い3Dモデル26の局所化領域に基づいて3Dモデル26(図3)の向きを自動的に調整するための方法を提供することができる。3Dモデル26の向きを調整する前に3Dモデル表面を描画するか変形させるために、咬頭および裂溝ツールなどの描画/変形/インタラクションツールを用いてもよい。閾値を使用してもよく、この場合は閾値に達した後に3Dモデルのビューおよび/または向きを調整する。本明細書におけるさらに別の実施形態では、当該閾値としては、例えば1本以上の面法線62(図6a)とビュー方向61とによって形成される1つの角度/複数の角度が挙げられる。本明細書では、局所化領域が変わるつれて1本以上の面法線を動的に更新してもよい。3Dモデル26またはその3Dモデルの一部のビュー/向きの調整としては、モデルの回転、モデルの平行移動、モデルの拡大、モデルの色づけおよび/またはモデルの透明化が挙げられる。モデルのビュー/向きの調整としては、コンテキストアウェアネス工程(任意の所与の時点で歯の解剖学的構造に関する情報を収集し、かつそれに応じて適合するための能力を必要とする工程)が挙げられ、ここでの調整の程度(例えば回転/平行移動の速度および拡大率を含む)は3Dモデル26の特性または3Dモデルの一部の特性(歯の構造および形状など)の知識によって決まってもよい。
【0025】
デンタルソリューションをモデル化および可視化するためのシステム
図1は、グラフィカルユーザインタフェース、タンジブルユーザインタフェース、タッチスクリーンインタフェース21、ジェスチャ駆動インタフェース、または図3に示されているような歯の解剖学的構造の3Dモデル26などのモデルを表示するために使用することができるそれ以外のユーザインタフェースなどのユーザインタフェース12を備え、かつ本明細書における少なくとも1つの例示的な実施形態に従って構築および操作することができるシステム10のブロック図を示す。ユーザインタフェース12はコンピュータシステム11の一部に接続されているかそれを構成していてもよい。モデル化システム16を有するモデル化装置14はプロセッサ13に電気的に接続されていてもよい。モデル化装置14および/またはモデル化システム16は、(例えば、ユーザ入力またはユーザジェスチャ(タッチスクリーンジェスチャまたはタッチレスジェスチャなど)を決定および/または翻訳するためのユーザインタフェース12の制御回路として、ユーザの動き/ジェスチャを検出するためのハンドヘルド制御装置として、および/または本明細書の後に記載されている可視化工程を行うためのメモリまたはメモリに記憶されている可視化命令として)本明細書に記載されている装置、構成要素および/またはシステムのいずれかの少なくとも一部を構成していてもよい。プロセッサ13はコンピュータシステム11の他の構成要素と電気通信していてもよく、あるいは異なるコンピュータシステムの一部であってもよい。手順を実行するために、プロセッサ13は装置に記憶されている適切な命令をメモリにロードし、かつ次いでロードした命令を実行してもよい。
【0026】
本システムは、光学式、レーザもしくはX線スキャナなどの外部装置15から3Dモデルを生成するためのデータを任意に得てもよく、あるいは本システムは別の複数の3Dデータから3Dデータを生成してもよい。
【0027】
本システムは1つ以上の入力装置18、19、例えばマウス、キーボード、スタイラス、トラックボール、または3Dモデル表面を描画するか変形させるための指などのナチュラルインプット備えていてもよい。
【0028】
本明細書における具体的な一実施形態では、ユーザインタフェース12は好ましくはタッチスクリーンインタフェース21であり、入力装置18、19は指である。本明細書ではモデル化システム16はタッチスクリーンインタフェース21上で様々な操作者25(指)ジェスチャを検出し、かつ前記検出されたジェスチャを本明細書の後に考察されているように対応する動作に対応づけしてもよい。3Dモデルのビュー/向きの動的調整はモデル化システム16と連携してプロセッサ13によって行ってもよく、ここでは、3Dモデル26の表面32を描画または修飾するための操作者25によるユーザインタフェースの関与により、関与プロセス(ユーザによる3Dモデル上への描画、その変形またはその拡大縮小など)が進行するにつれて3Dモデルを調整するための動的調整を所定の基準に従って開始してもよい。本明細書では、ユーザが設計に集中することができるように、ユーザによるモデルの見え方の手動調整(動的調整とは対照的)を減少または排除してもよい。前記動的調整のための命令はモデル化システム16によって制御してもよく、限定されるものではないが、(i)モデルの回転、(ii)モデルの平行移動、(iii)モデルまたはモデルの一部の拡大、(iv)モデルまたはモデルの一部の透明化、(v)モデルまたはモデルの一部の色づけ、(vi)その他が挙げられる。本明細書では、3Dモデルデータはメモリに存在していてもよく、かつインタフェース12上で見られるような3Dモデルデータのレンダリングを変えてもよい。前記動的調整は、ユーザによって任意に設定することができる基準に従って行ってもよく、かつ限定されるものではないが、(i)回転/平行移動の速度および(ii)3Dモデルの表面32の拡大の拡大率を含んでもよい。さらに前記動的調整のための基準は任意に3Dモデルのコンテキストアウェアネスに基づいていてもよく、例えばそれは限定されるものではないが、(i)隣接する歯の位置/サイズ、(ii)歯の強度、(iii)設計に必要とされる修復物の数、(iv)修復物、アライナーの設計の複雑性および/または(v)その他などの3Dモデルの特性に基づいていてもよい。本明細書に記載されているシステムに従って、他のユーザインタフェースおよびそれらの対応する操作者25のために同様のシステムを達成できることが当業者によって理解されるであろう。
【0029】
デンタルソリューションをモデル化および可視化するためのコンピュータシステム
3Dモデルの局所化領域に基づいて3Dモデルのビュー/向きを動的に調整するためのシステム10について記載してきたが、次に本明細書に記載されている例示的な実施形態の少なくともいくつかに従って用いることができるコンピュータシステム100のブロック図を示す図2を参照する。本明細書では様々な実施形態をこの例示的なコンピュータシステム100に関して説明している場合があるが、この説明を読んだ後に、他のコンピュータシステムおよび/またはアーキテクチャを用いて本開示を実施する方法が当業者に明らかになるであろう。
【0030】
本明細書における例示的な一実施形態では、コンピュータシステム100の少なくともいくつかの構成要素は、図1のコンピュータシステム11を構成しているかそこに含まれていてもよい。コンピュータシステム100は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ122および少なくとも1つのモデル化装置150、モデル化システム152、ユーザインタフェース126および入力ユニット130を備えていてもよく、これは本明細書に記載されている装置、構成要素および/またはシステムのいずれかの少なくとも一部を構成していてもよく、かつ/またはそれぞれ図1のプロセッサ13、モデル化装置14、モデル化システム16、ユーザインタフェース12および入力装置18、19を構成しているかそれらに含まれていてもよい。コンピュータプロセッサ122は、例えば中央処理装置、複数の処理装置、特定用途向け集積回路(「ASIC」)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などを含んでもよい。プロセッサ122は、通信インフラ124(例えば通信バスまたはネットワーク)に接続されていてもよい。本明細書における一実施形態では、プロセッサ122は、「設計が進行中である」または「3Dモデル26が関与されている」という指示を受けてもよく、かつモデル化システム152のメモリおよび/またはコンピュータシステム100の1つ以上のストレージユニットから3Dモデルのビュー/向きの動的調整に関する命令を得てもよい。次いでプロセッサ122は命令をロードし、かつロードした命令を実行してもよい。次いで3Dモデルのビュー/向きのこの動的調整はディスプレイユニット128上で行ってもよい。
【0031】
ユーザインタフェース(または他の出力インタフェース)126は、ディスプレイユニット128上に表示するために通信インフラ124から(またはフレームバッファ(図示せず)から)ビデオグラフィックス、テキストおよび他のデータを転送してもよい(これは例示的な一実施形態では、図1のディスプレイユニット128を構成しているかそこに含まれていてもよい)。例えばユーザインタフェース126は、グラフィックス処理装置と共にビデオカードを備えていてもよい。
【0032】
コンピュータシステム100は、情報をコンピュータプロセッサ122に送信するためにコンピュータシステム100のユーザによって使用することができる入力ユニット130も備えていてもよい。本明細書における例示的な一実施形態では、入力ユニット130はタッチスクリーンインタフェース21上で使用される指またはスタイラスである。入力ユニット130は代わりとして、トラックボールあるいはキーボードまたはスタイラスまたはジェスチャ認識装置などの他の入力装置であってもよい。一例では、ディスプレイユニット128、入力ユニット130およびコンピュータプロセッサ122は集合的にユーザインタフェース126を構成してもよい。
【0033】
動的調整をもたらす1つ以上の工程は、コンピュータ可読プログラム命令の形態で非一時的記憶装置に記憶されていてもよい。手順を実行するために、プロセッサ122は記憶装置に記憶されているような適切な命令をメモリにロードし、かつ次いでロードした命令を実行する。
【0034】
図2のコンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)であってもよいメインメモリ132をさらに備えていてもよく、かつ補助メモリ134も備えていてもよい。補助メモリ134としては、例えばハードディスクドライブ136および/または取外し可能なストレージドライブ138(例えば、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブおよびフラッシュメモリドライブなど)が挙げられる。取外し可能なストレージドライブ138は、周知の方法で取外し可能なストレージユニット140から/に読み出しおよび/または書き込みしてもよい。取外し可能なストレージユニット140は、取外し可能なストレージドライブ138によって書き込みおよび読み出しすることができる例えばフロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクおよびフラッシュメモリ装置などであってもよい。取外し可能なストレージユニット140としては、コンピュータ実行可能ソフトウェア命令および/またはデータを記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【0035】
さらなる他の実施形態では、補助メモリ134としては、コンピュータ実行可能プログラムまたはコンピュータシステム100にロードされる他の命令を記憶している他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。そのような装置としては、取外し可能なストレージユニット144とインタフェース142(例えば、プログラムカートリッジとカートリッジインタフェース)、取外し可能なメモリチップ(例えば、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(「EPROM」)またはプログラム可能リードオンリーメモリ(「PROM」))と関連するメモリソケット、ならびに他の取外し可能なストレージユニット144とソフトウェアおよびデータを取外し可能なストレージユニット144からコンピュータシステム100の他の部分に転送するのを可能にするインタフェース142が挙げられる。
【0036】
コンピュータシステム100は、ソフトウェアおよびデータをコンピュータシステム100と外部装置との間で転送するのを可能にする通信インタフェース146も備えていてもよい。そのようなインタフェースとしては、モデム、ネットワークインタフェース(例えば、イーサネットカードまたはIEEE802.11無線LANインタフェース)、通信ポート(例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(「USB」)ポートまたはファイアワイヤ(登録商標)ポート)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMCIA」)インタフェースおよびブルートゥース(登録商標)などが挙げられる。通信インタフェース146を介して転送されるソフトウェアおよびデータは信号の形態であってもよく、これは通信インタフェース146によって送信および/または受信できるものであればよい電子、電磁、光または別の種類の信号であってもよい。信号は通信路148(例えばチャネル)を介して通信インタフェース146に提供されてもよい。通信路148は信号を運ぶものであり、ワイヤまたはケーブル、ファイバーオプティックス、電話線、セルラーリンクまたは無線周波数(「RF」)リンクなどを用いて実装されていてもよい。通信インタフェース146は、ソフトウェアまたはデータあるいは他の情報をコンピュータシステム100とリモートサーバまたはクラウドベースのストレージ(図示せず)との間で転送するために使用してもよい。
【0037】
1つ以上のコンピュータプログラムまたはコンピュータ制御ロジックは、メインメモリ132および/または補助メモリ134に記憶されていてもよい。またコンピュータプログラムは通信インタフェース146を介して受信されてもよい。コンピュータプログラムとしては、コンピュータプロセッサ122によって実行された場合に、コンピュータシステム100に本明細書の後に記載されている方法を実行させるコンピュータ実行可能命令が挙げられる。従ってコンピュータプログラムは、デンタルソリューションをモデル化および可視化するためにコンピュータシステム100および本システムの他の構成要素を制御してもよい。
【0038】
別の実施形態では、ソフトウェアは非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されており、かつ取外し可能なストレージドライブ138、ハードディスクドライブ136、および/または通信インタフェース146を用いてコンピュータシステム100のメインメモリ132および/または補助メモリ134にロードされてもよい。制御ロジック(ソフトウェア)は、プロセッサ122によって実行された場合に、コンピュータシステム100およびより一般にはデンタルソリューションをモデル化および可視化するための本システムに本明細書に記載されている方法のいくつかの全てまたはいくつかを実行させる。
【0039】
本明細書に記載されている機能を実行するためのそのような他のハードウェア構成の実装は、本明細書を考慮すれば関連する技術分野の当業者には明らかになるでろう。
【0040】
デンタルソリューションをモデル化および可視化するための方法
図2のコンピュータシステム100について説明してきたが、次にデンタルソリューションをモデル化および可視化するための方法101について、治療計画中にそのモデルの局所化領域に基づいてモデルのビューおよび/または向きを動的に調整する方法を示す図7図8と併せてさらに説明する。
【0041】
本発明は、ユーザが3Dモデル26の表面32または位置31(クリック、タッチまたは入力装置(もしくはそれ以外)を介したユーザと3Dモデルとのそれ以外のインタラクションにより得られる3Dモデル上の点など)に/と関与および/またはインタラクトしている際に3Dモデルを調整する工程(例えばそれを移動させること、その上にオブジェクトを置くこと、その上に描画することなど)を含んでもよい。そのようなインタラクション中に、ユーザが関与されている表面32の遮られていないビューを有するのを可能にし得る方法で、ユーザからの少ない入力または入力がない状態で3Dモデル26を自動的に調整することができる。この調整は、関与位置/点31に最も近い3Dモデルの局所化領域に基づいていてもよい。またこの調整は、その設計が進行するにつれて、ユーザがそのユーザによって関与されている任意の表面32の連続的に遮られていないビューを有し得るように好ましくは連続的(かつ任意に自動的)であってもよい。本明細書では、ユーザは関与されている表面32の例えば直交ビューを有していてもよい。あるいは、現在関与されている表面32をブロックしている可能性がある3Dモデルの任意の部分を3Dレンダリング方法により除去するか透明にしてもよい。従ってユーザは、例えば表面32に沿って移動されるオブジェクトが視野外に移動したという理由で3Dモデルの向きを手動で補正するために停止することを必要とすることなく、表面32を設計および/または修飾し続けることができる。3Dモデル26が動的に調整されるため、ユーザは時間を節約することができ、かつ設計プロセスはより効率的になり得る。
【0042】
本明細書における本発明の例示的な一実施形態では、3Dモデル上の領域のクリックまたはタッチにより位置/点31または表面32を定めてもよく、ここではユーザ方向に対する3Dモデルの向き(例えば図6aに示されているような角度α、ビュー方向61に対する位置/点31の面法線62または表面32内の点の面法線の平均(図示せず))を計算してもよい。例示的な一実施形態では、この計算は、(i)例えばmmで面積を定めること、(ii)定められた領域内で三角形メッシュの三角形を決定すること、(iii)これらの三角形の法線を計算すること、(iv)それぞれにそれらの対応する三角形の表面サイズを掛けた全ての法線ベクトルを加算することにより共通するベクトルを定めること、および(v)共通するベクトルを正規化すること(例えばそれに長さ「1」を与えることにより)によって達成してもよい。次いで、計算した面法線または面法線の平均が図6bに示されているような見ている人の方向に一致するように、表面32または位置/点31の向きを例えば3D物体を回転させることにより適合させてもよい。
【0043】
本明細書における別の例示的な実施形態では、線(例えば第1の周縁線22)などの図形を3Dモデル26上に描いていてもよい。第1の周縁線22の描画中に、3Dモデル26に対する向き/ビュー方向は、現在のインタラクション位置/点31の面法線を連続的に辿ったものであってもよい。本明細書では、当該向きのこの適合/動的調整中に、現在のインタラクション点31の1つ以上の表面32を1つ以上の表面32の拡大/縮小された表面24を表示するために拡大/縮小させてもよい。同様の実施形態では、3Dモデルのビュー/向きの動的調整は、関与されている表面32のコンテキストアウェアネスに対応するように構成されていてもよい。例えば、3Dモデルの解剖学的に顕著な領域(大きい曲率、エッジ、割れ目、穴、歯の咬頭、亀裂またはイクエータ(equator)など)を例えば数学的手段または物体認識手段により検出してもよく、かつ表面32の自動ズームイン/アウトまたはビュー方向適合を好ましくは自動的に開始してもよい。さらにユーザは表面32上での自身の設計または移動速度を減速または加速してもよく、かつ表面32の自動ズームイン/アウトまたはビュー方向適合をその表面32のために開始してもよい。さらにズームされた領域のサイズをユーザインタフェース12の解像度またはサイズに適合または一致させてもよい。これによりインタフェース12上での「実世界」寸法の拡大を保証してもよい。さらになお、拡大/縮小された表面24を設計中にユーザによって操作および/または制御してもよい。本明細書では、タッチスクリーン21上での指ジェスチャなどのジェスチャを使用してもよく、ここでは例えば拡大/縮小された表面24のサイズすなわちズーム率を変えてもよい。第1の例では、親指は拡大/縮小された表面24の境界の上/外側にあってもよく、第2の指は境界のサイズ(拡大されている領域)を拡大/縮小してもよい。第2の例では、両方の指を拡大された領域の境界の中に置いてズーム率を制御してもよい。第3の例では、2本の指で拡大鏡のサイズおよびズーム率を同時に変えてもよい。本明細書では、ユーザは1本の指をタッチスクリーン21上に維持してもよい(例えば線を描き、かつ拡大鏡がアクティブである間)。第2の指をタッチスクリーン21上に置く場合、描画を休止して拡大鏡およびそのズーム率を制御するのを可能にしてもよい。本明細書に記載されている同じもしくは同様の機能を行うための同じもしくは他のユーザインタフェース12における同じもしくは他のジェスチャの実施は、本明細書を考慮すれば関連する技術分野の当業者には明らかであろう。
【0044】
本明細書における別の例示的な実施形態では、線(例えば第2の周縁線23)などの図形を3Dモデル26上に描いてもよい。第2の周縁線23の描画中に、3Dモデル26に対する向き/ビュー方向は現在のインタラクション点の面法線を連続的に辿ったものであってもよい。本明細書では、当該向きのこの適合/動的調整中に、3Dモデル26の1つ以上の表面28が関与されている表面のビューをブロックする場合がある。次いで、直接ビューを妨げている1つ以上の表面28を図3に示されているように例えば隠したり、クリップしたり、あるいは透明にレンダリングしてもよい。さらなる実施形態では、本方法は、(i)3Dモデル26上へのマーカーの位置決め、(ii)3Dモデル26の表面の変形、(iii)3Dモデルの表面に対する位置に3D相関を有し、かつその相関がユーザによって変えられるインタラクション要素の移動または使用を可能にする要素などの3D CADインタラクション要素などのインタラクションツール27を用いる場合に適用可能であってもよい。本明細書では、インタラクション要素を3Dモデル26の表面の上に/に沿って移動させた場合にユーザがそれらをユーザのビュー方向に対して3Dモデル26の側面または背面に移動させないように、当該モデルを自動的に回転またはズームさせてもよい。例えば図4は、歯の付け根の周りに描かれた周縁線22aを有する3Dモデル26aのプレパレーション42を示す。ユーザが周縁線22aを延長された周縁線22bまで引き伸ばす際に、延長された周縁線22bを描くために歯の解剖学的構造の一部44を目に見えるようにするために、3Dモデル26aの向きを図4に示されているような第1の向きから図5に示されているような第2の向きに変えてもよい。
【0045】
本方法の別の実施形態では、3Dモデル26のビューおよび/または向きの調整を部分的に行ってもよい。本明細書では、閾値に達した後にこの調整を行ってもよい。当該閾値は任意に予め決められていてもよい。当該閾値は例えば、(i)面法線とビュー方向との間の角度の大きさおよび/または(ii)描画のサイズ(例えば描かれた線の長さ)および/または(iii)描画による表面の積算および網羅された曲率に基づいていてもよい。同様に、ビューにおける「ホッピング」すなわち不安定な変化を減少または排除するための調整前に、レイテンシ(観察される時間期間など)が観察された後に動的調整が行われるように、レイテンシを採用してもよい。一実施形態では、面法線とビュー方向との間の角度の大きさの閾値は例えば3°超の角度(例えば5°超の角度)であってもよい。別の実施形態では、描かれた線の長さの閾値(例えば開始位置から現在の位置まで)は3mm超の長さ(例えば5mm超の長さ)であってもよい。別の実施形態では、図形/曲線の積算された曲率の長さの閾値(例えば開始位置と現在の位置との間の曲率)は3mm超の長さ(例えば5mm超の長さ)であってもよい。別の実施形態では、レイテンシ値の閾値(例えば描画の開始時間から現在の時間まで)は0.5秒超の時間(例えば1秒超の時間)であってもよい。
【0046】
さらに別の実施形態では、動的調整はユーザによって開始してもよい。本明細書では、例えば描画の閾値に基づいて自動的、連続的および/または断続的調整を開始するためのコマンドがユーザによって与えられるまで、ユーザは3Dモデル26を手動で調整してもよい。別の実施形態では、描画をコースから外れて完了することができないように、動的調整が行われる際に描画プロセスを休止してもよい。さらに、進行中の描画がユーザの視野外である表面に達した後に、動的調整を任意に開始してもよい。さらに別の例示的な実施形態では、3Dモデルの向きの変更はピボット点に基づいていてもよく、このピボット点はユーザによって関与されている最後または現在の点であり、3Dモデルをそのピボット点で回転させる。
【0047】
本方法の別の実施形態では、動的調整中に3Dモデルの不安定またはちらついた動きを回避するために、閾値補償平滑化計算がビュー/向きの調整のために有用となる場合があり、ここでは閾値補償平滑化計算は、3Dモデルとのインタラクション中の調整により不要にビューの混乱を有する結果とならないようなユーザ描画による3D表面上での積算された曲率および/または距離に関するものであってもよい。
【0048】
図7図8は、工程S10においてディスプレイ上で3Dモデルをレンダリングすることを含む本明細書に記載されている例示的方法を示す。プロセッサ13、122はモデル化システム16と連携してユーザ関与またはインタラクションプロセスを検出してもよく、かつ検出された局所化領域および関与プロセスに基づいて3Dモデルを調整してもよい。例えばプロセッサ13、122は操作者25の1回のクリックまたは連続的な動きを検出してもよい。プロセッサ13、122が1回のクリックを検出した場合、3Dモデル26を好ましくは調整されないままにしてもよい。プロセッサ13、122が操作者25の連続的な動きを検出した場合、プロセッサは例えば工程S13に示すように3Dモデルを回転させることにより3Dモデルを調整してもよい。この調整は、ユーザのビュー方向61と操作者25の位置(タッチスクリーンディスプレイを用いた場合の3Dモデル26の表面上の指位置など)の面法線との間の所定の値xを超える角度αに基づいていてもよい(工程S12)。図8に示されている別の実施形態では、3Dモデルの調整(例えば回転)は、角度αが所定の値xを超える場合には工程S14のように連続的であってもよい。
【0049】
上記説明を考慮すれば、本明細書に記載されている例示的な実施形態が前記3Dモデル26の局所化領域に基づいて3Dモデル26のビュー/向きを動的に調整するための方法およびシステムを提供することを理解することができる。本方法およびシステムは、治療計画中にユーザが当該モデルのビュー/向きを手動で調整する回数を減らすのに有用であり得る。
【0050】
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。本開示の実践または試験において本明細書に記載されているものと同様もしくは同等である方法および材料を使用することができるが、好適な方法および材料は上に記載されている。本明細書において言及されている全ての文献、特許出願、特許および他の参考文献は、適用法および規制によって可能な程度までそれら全体が参照により組み込まれる。本開示はその趣旨または必須の属性から逸脱することなく他の具体的な形態で実施することができ、かつ従って本実施形態はあらゆる点において例示的なものであり限定的なものではないものとみなすことが望ましい。本明細書の中で利用されているあらゆる見出しは単に便宜上のものであり、法的もしくは限定的効果は有していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8