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特許7481273電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法、装置、およびシステム
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  • 特許-電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法、装置、およびシステム 図1
  • 特許-電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法、装置、およびシステム 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20240501BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240501BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240501BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240501BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02J7/02 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020573140
(86)(22)【出願日】2020-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2020084332
(87)【国際公開番号】W WO2020216079
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】201910338265.5
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲湯▼ 慎之
(72)【発明者】
【氏名】杜 明▲樹▼
(72)【発明者】
【氏名】李 世超
(72)【発明者】
【氏名】阮 ▲見▼
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-128381(JP,A)
【文献】特開2017-219510(JP,A)
【文献】特開2018-063906(JP,A)
【文献】特開2016-144342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0156577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 10/48
H01M 10/42
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の容量減衰(fade)の回復可能な量を回復する方法であって、
電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップと、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量により、電池パラメータの対応する下限を定めるステップであって、電流-電圧関係、および容量減衰の前記回復可能な量の発生モードにより、前記電池パラメータの前記対応する下限を定めるステップ、と、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、放電装置に指示するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量が、前記予め定められた回復可能な閾値よりも大きい場合、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する、請求項1に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項3】
前記電池は、電池パックもしくは単一の電池セルであり、および/または
前記電池パラメータの前記下限は、電池電圧の下限、もしくは電池状態の変化の下限である、請求項2に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項4】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
車両制御器に、前記電池パラメータの前記対応する下限を送信するステップ
を有し、
前記車両制御器は、車両側のユーザに電池パラメータの前記対応する下限を表示し、前記ユーザは、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう促される、請求項2に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項5】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
所定の時間、または前記電池の容量減衰の回復可能な量が定められた後、電気機器をメンテナンスモードに設定するステップと、
前記メンテナンスモードにおいて、前記電池パラメータの前記対応する下限まで、前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する、請求項2に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項6】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
前記電池が充電された際、初期の電池の充電状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記初期の電池の充電状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状況下では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する、請求項2に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項7】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
電池パック内に特定の電池セルが存在するかどうかを判断するステップであって、前記特定の電池セルは、予め定められた回復可能な閾値よりも大きな容量減衰の回復可能な量を有する電池セルである、ステップと、
前記電池パック内に特定の電池セルが存在する状況では、前記特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の前記放電可能な電池状態にある状況では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで、前記特定の電池セルを放電するために必要な時間を計算するステップと、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記特定の電池セルを放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する、請求項3に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項8】
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、さらに、
前記電池パックが充電を開始し、前記特定の電池セルの前記電池充電状態が、充電範囲の前記放電可能な電池状態ではなくなった際に、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記特定の電池セルを放電する動作を停止するよう、前記放電装置に指示するステップ
を有する、請求項7に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項9】
充電範囲の前記放電可能な電池状態は、充電閾値の所定の電池状態を下回る、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項10】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する当該方法は、さらに、電池を充電するよう充電装置に指示するステップを有し、および/または
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップは、履歴作動条件法、またはオンライン予測法を採用することにより、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項11】
履歴作動条件法を採用することにより、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップは、
最後の容量回復後の電流レートおよび充電使用インターバルの異なる電池状態の2次元ヒストグラムを定め、前記2次元ヒストグラムを、実験統計データとして採用するステップと、
実験統計データに対する累積計算を実施し、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を取得するステップと、
を有する、請求項10に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法。
【請求項12】
前記容量減衰の回復可能な量の前記発生モードは、充電サイクルインターバル、および前記回復可能な容量を発生する時間の電池状態であり、ならびに/または
前記電流-電圧関係は、電圧変化曲線、もしくは定電流条件下での電圧容量差分変化曲線である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法
【請求項13】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であって、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるため、回復可能な容量を決定するモジュールと、
前記電池の容量減衰の回復可能な量により、電池パラメータの対応する下限を定めるため、パラメータ下限を決定するモジュールであって、電流-電圧関係、および容量減衰の前記回復可能な量の発生モードにより、前記電池パラメータの前記対応する下限を定めるモジュールと、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するように、放電装置に指示する放電制御モジュールと、
を有する、装置。
【請求項14】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する当該装置は、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法を実行するための動作を実施するように構成される、請求項13に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置。
【請求項15】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であって、
指令を保管するメモリと、
前記指令を実行するプロセッサと、
を有し、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を回復する当該装置により、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法の動作が実施される、装置。
【請求項16】
電池管理システムであって、
請求項13乃至15のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置を有する、電池管理システム。
【請求項17】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムであって、
放電装置と、充電装置と、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置と、を有し、または
放電装置と、充電装置と、請求項16に記載の電池管理システムと、を有する、システム。
【請求項18】
コンピュータ可読ストレージ媒体であって、
コンピュータプログラム指令が保管され、
プロセッサにより実行された際、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を実施する、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年4月25日に出願された中国特許出願第201910338265.5号に基づく優先権の利益を主張するものであり、この内容は、全体が参照として本願に取り入れられている。
【0002】
本開示は、電池の分野、特に、電池の容量減衰の回復可能な量を回復するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電池パックの最大利用可能容量の正確な予測は、残留容量、残留エネルギー等の予測に重要であるとともに、電池セルの経時劣化状態を反映する重要なパラメータである。通常、容量減衰は、電池セルの内部の不可逆的な損傷に対応し、電池セル構造を破壊しなければ回復することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様では、電池の容量減衰(fade)の回復可能な量を回復する方法であって、
電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップと、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量により、電池パラメータの対応する下限を定めるステップと、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、放電装置に指示するステップと、
を有する、方法が提供される。
【0007】
本開示のある実施形態では、電池は、電池パックまたは単一の電池セルである。
【0008】
本開示のある実施形態では、電池パラメータの下限は、電池電圧の下限、または電池状態の変化の下限である。
【0009】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量が、前記予め定められた回復可能な閾値よりも大きい場合、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する。
【0010】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
車両制御器に、前記電池パラメータの前記対応する下限を送信するステップ
を有し、
前記車両制御器は、車両側のユーザに電池パラメータの前記対応する下限を表示し、前記ユーザは、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう促される。
【0011】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
所定の時間、または前記電池の容量減衰の回復可能な量が定められた後、電気機器をメンテナンスモードに設定するステップと、
前記メンテナンスモードにおいて、前記電池パラメータの前記対応する下限まで、前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する。
【0012】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
前記電池が充電された際、初期の電池の充電状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記初期の電池の充電状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状況下では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する。
【0013】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、
電池パック内に特定の電池セルが存在するかどうかを判断するステップであって、前記特定の電池セルは、予め定められた回復可能な閾値よりも大きな容量減衰の回復可能な量を有する電池セルである、ステップと、
前記電池パック内に特定の電池セルが存在する状況では、前記特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の前記放電可能な電池状態にある状況では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで、前記特定の電池セルを放電するために必要な時間を計算するステップと、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記特定の電池セルを放電するよう、前記放電装置に指示するステップと、
を有する。
【0014】
本開示のある実施形態では、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するよう、前記放電装置に指示するステップは、さらに、
前記電池パックが充電を開始し、前記特定の電池セルの前記電池充電状態が、充電範囲の前記放電可能な電池状態ではなくなった際に、前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記特定の電池セルを放電する動作を停止するよう、前記放電装置に指示するステップ
を有する。
【0015】
本開示のある実施形態では、容量減衰の回復可能な量は、充電範囲の放電可能な電池状態において、完全に回復されなくてもよく、充電範囲の放電可能な電池状態は、充電式一の所定の電池状態よりも低い。
【0016】
本開示のある実施形態では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する当該方法は、さらに、電池を充電するよう充電装置に指示するステップを有する。
【0017】
本開示のある実施形態では、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップは、履歴作動条件法、またはオンライン予測法を採用することにより、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップを有する。
【0018】
本開示のある実施形態では、履歴作動条件法を用いて、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるステップは、
最後の容量回復後の電流レートおよび充電使用インターバルの異なる電池状態の2次元ヒストグラムを定め、
実験統計データに対する累積計算を実施し、前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を取得するステップと、
を有する。
【0019】
本開示のある実施形態では、前記電池の容量減衰の回復可能な量に基づいて、前記電池パラメータの前記対応する下限を定めるステップは、
電流-電圧関係、および容量減衰の前記回復可能な量の発生モードにより、前記電池パラメータの前記対応する下限を定めるステップ、
を有する。
【0020】
本開示のある実施形態では、前記容量減衰の回復可能な量の前記発生モードは、充電サイクルインターバル、および前記回復可能な容量を発生する時間の電池状態である。
【0021】
本開示のある実施形態では、前記電流-電圧関係は、電圧変化曲線、もしくは定電流条件下での電圧容量差分変化曲線である。
【0022】
本開示のある実施形態では、電池は、電池パックまたは単一の電池セルである。
【0023】
本開示のある実施形態では、電池パラメータの下限は、電池電圧の下限または電池状態の変化の下限である。
【0024】
本開示の別の態様では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であって、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を定めるため、回復可能な容量を決定するモジュールと、
前記電池の容量減衰の回復可能な量により、電池パラメータの対応する下限を定めるため、パラメータ下限を決定するモジュールと、
前記電池パラメータの前記対応する下限まで前記電池を放電するように、放電装置に指示する放電制御モジュールと、
を有する、装置が提供され、電池の最大利用可能な容量が増加する。
【0025】
本開示のある実施形態では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、前述の実施形態の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法を実行するための動作を実施するように構成される。
【0026】
本開示のある実施形態では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であって、
指令を保管するメモリと、
前記指令を実行するプロセッサと、
を有し、
前記電池の容量減衰の前記回復可能な量を回復する当該装置により、前述の任意の実施形態による、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法の動作が実施される、装置が提供される。
【0027】
本開示のある実施形態では、電池管理システムであって、
前述の実施形態のいずれかに記載の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置を有する、電池管理システムが提供される。
【0028】
本開示の別の態様では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムであって、
放電装置と、充電装置と、前述の任意の実施形態による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置と、を有し、または
放電装置と、充電装置と、前述の実施形態による電池管理システムと、を有する、システムが提供される。
【0029】
本開示の別の態様では、コンピュータプログラム命令が格納された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体が提供され、プロセッサによって実行された際に、前述の実施形態のいずれかによる電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法が実施される。
【0030】
本開示の実施形態または従来の技術的対応をより明確に説明するため、以下、実施形態または従来技術の記載に使用される図面が概略的に示される。以下の記載において、図面は、本開示の一部の実施形態に過ぎず、これらの図面により、当業者には、新たな苦労をせずに、他の図面が得られ得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法のある実施形態の概略図である。
図2a】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置のある実施形態の概略図である。
図2b】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置の別の実施形態の概略図である。
図3】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置のさらに別の実施形態の概略図である。
図4】本開示による電池管理システムのある実施形態の概略図である。
図5】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムのある実施形態の概略図である。
図6】本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態において、図面を参照して、本開示の実施形態における技術的な対応策について、明確かつ十分に説明する。記載された実施形態は、本開示の実施形態の全部ではなく、単なる一部であることは明らかである。少なくとも一つの実施形態の以下の記載は、単に性質を説明するものであり、開示、その用途、または使用を限定することを意図するものではない。本記載における実施形態に基づいて、創造的な努力をせずに当業者によって得られる他の全ての実施形態は、本開示の範囲に属する。
【0033】
これらの実施形態における部分およびステップの相対配置、数字表記、ならびに数値は、特に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。
【0034】
また、図面に示されたそれぞれの部分のサイズは、記載の都合によるものであり、実際のスケールを描いたものではないことを理解する必要がある。
【0035】
関連分野における当業者に知られた技術、方法、および機器は、詳細には議論しないが、必要に応じて明細書の一部と見なされる。
【0036】
示され記載された全ての例において、任意の特定の値は、単なる一例であって限定的なものと解してはならない。従って、一実施形態の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0037】
以下の図面において、同様の参照数字および文字は、同様の部材を表し、従って、ある図面にいったん部材が示されると、その後の図面において、さらに説明される必要はないことに留意する必要がある。
【0038】
出願人は、ある電池セルシステムにおいて、容量減衰の2つの部分があることを見出した。一つは、回復不可能な容量減衰、もう一つは、回復可能な容量減衰(メモリー効果など)である。本願において称される、回復可能な容量減衰は、電池セル自身の特性であり、電池セルの間で一致しない点で、電池パックの回復可能な容量減衰とは異なる。電池セルの実際の経時劣化により生じる回復不可能な容量減衰は、電池セルの実際の経時劣化を反映するが、回復可能な容量減衰は、実際の電池セルの利用可能な容量を低下させ、電池セルの最適な特性が得られなくなる。
また、出願人は、以下のことを見出した:電池セルシステムの一部は、充電および放電プロセスにおいて、回復不可能な容量減衰と、回復可能な容量減衰の2つの部分を有し、回復不可能な容量減衰は、電池セルの経時劣化により生じる回復不可能な容量であり、回復可能な容量減衰は、サイクルプロセスにおけるある方法で調節した後、電池セルにより再度開放される容量である。容量のこの部分は、電池セルの経時劣化状態を反映しない。現在の電池セルの利用可能な容量が評価された際、現在の電池セルの真の経時劣化状態は、回復可能な容量減衰の存在のため、過大評価される可能性がある。
前述の技術的課題に鑑み、本開示では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復させる方法、装置、およびシステムが提供される。これらは、電池セルシステムにより生じる、回復可能な容量減衰の部分を回復することができ、従って、電池セルは、最適な特性を得ることができる。
【0039】
前述の状況に基づき、本開示では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法、装置、およびシステムが提供される。また、電池セルシステムの一部により生じた回復可能な容量減衰を回復することができる電池管理システムが提供され、その結果、電池セルは、最適な特性を示すことができる。
【0040】
図1には、本開示による、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法のある実施形態の概略図を示す。本実施形態は、本開示の容量減衰の回復可能な量を回復する装置により実施されることが好ましい。本方法は、以下のステップ11乃至13を有する。
【0041】
ステップ11では、電池の容量減衰の回復可能な量が定められる。
【0042】
本開示のある実施形態では、電池は、電池パックまたは単一の電池セルであってもよい。
【0043】
本開示のある実施形態では、一つの電離パックは、複数の電池セルを有してもよい。
【0044】
本開示のある実施形態では、ステップ11は、履歴作動条件方法、またはオンライン予測方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップを有してもよい。
【0045】
本開示のある実施形態では、履歴作動条件方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップは、最後の容量回復後の電流レートおよび充電使用インターバルの異なる電池状態の2次元ヒストグラムを定めるステップと、実験統計データに対して累積計算を実行し、電池の容量減衰の回復可能な量を得るステップと、を有する。
【0046】
本開示のある実施形態では、履歴作動条件方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップは、各充電の前の電池パックのSOC(充電の状態、残留容量とも称される)、および各充電後のSOCを記録するステップと、異なるSOC使用インターバルにおけるサイクル数および温度をカウントするステップと、表を参照して、容量減衰の回復可能な量を定めるステップと、を有してもよい。
【0047】
本開示のある実施形態では、履歴作動条件方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップは、オフラインにより較正された異なるサイクル数および温度により定められた容量減衰の回復可能な量により、異なるSOC使用インターバルが使用された際に、各サイクルの容量減衰の回復可能な量を較正するステップ、または多項式のような関数を介して、容量減衰の回復可能な量をフィッティングするステップ(各サイクルの減衰は、正の値および負の値を取り得ることが留意される)、ならびに各充電前の放電作動条件のSOCインターバルにより、容量減衰の回復可能な量を累積するステップと、を有してもよい。
【0048】
本開示のある実施形態では、オンライン予測方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップは、定電流条件の電圧容量差分(微分)変化曲線もしくは電圧変化曲線により、電池の容量減衰の回復可能な量を計算するステップのような、電流-電圧関係により、電池の容量減衰の回復可能な量を計算するステップを有してもよい。
【0049】
本開示のある実施形態では、オンライン予測方法を採用することにより、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップは、電池の電圧容量差分変化曲線のオフライン解析を実行し、特定のピークのオフセット、およびピーク高さの変動を定めるステップと、対応する関係により、オンラインで容量減衰の回復可能な量を取得するステップと、を有してもよい。
【0050】
ステップ12では、電池の容量減衰の回復可能な量により、電池パラメータの対応する下限が定められる。
【0051】
本開示のある実施形態では、電池パラメータの下限は、充電下限の電池状態(SOC下限)であっても、電圧下限であってもよい。
【0052】
本開示のある実施形態では、ステップ12は、容量減衰の回復可能な量の発生モード、および電流-電圧関係により、電池パラメータの対応する下限を定めるステップを有してもよい。
【0053】
本開示のある実施形態では、容量減衰の回復可能な量の発生モードは、充電サイクルインターバルの電池状態、および回復可能な容量を発生させる時間であってもよい。
【0054】
本開示のある実施形態では、電流-電圧関係は、定電流条件の電圧容量差分変化曲線、または電圧変化曲線であってもよい。
【0055】
本開示のある実施形態では、ステップ12は、電池セルの電圧容量差分変化曲線のオフライン解析を実施し、特定のピークのずれおよびピーク高さの変動が特定のSOC下限と対応する関係を有することを判断するステップと、対応する関係によりオンラインで特定のSOC下限を得るステップと、を有してもよい。
【0056】
本開示のある実施形態では、ステップ12における対応するSOC下限、または電圧下限は、オフライン較正により得られ、またはオンライン計算により得られてもよい。
【0057】
本開示のある実施形態では、ステップ12は、異なるモードにおいて生じる回復可能な容量に対応する異なる割合の回復に必要な、対応するSOC下限または電圧下限を得るステップを有してもよい。
【0058】
本開示のある実施形態では、ステップ12は、オンライン予測された回復可能な容量が閾値よりも大きいか否かを判断するステップを有し、車両等の電池を備える電気設備の使用が影響を受ける。車両等に導入された電池を備える電気装置の使用が影響を受ける場合、容量の回復に必要な特定のSOC下限または電圧下限は、回復可能な容量の発生方法、および電流-電圧関係により計算される。
【0059】
ステップ13では、放電装置に、電池パラメータの対応する下限まで電池を放電するように指令がなされ、電池の利用可能な最大容量が改善される。
【0060】
本開示のある実施形態では、ステップ13は、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判定するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、電池パラメータの対応する下限まで電池を放電するように、放電装置に指示するステップと、を有してもよい。
【0061】
本開示のある実施形態では、所定の回復可能な閾値は、公称容量の3%であってもよい。
【0062】
本開示のある実施形態では、ステップ13は、ユーザプロンプト方法、充電制御方法、定期的メンテナンス方法、およびバランス化方法のような方法を採用することにより、電池パラメータの対応する下限まで電池を放電するように、放電装置に指示するステップを有してもよい。
【0063】
本開示によるある実施形態では、ステップ13の後、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法は、さらに、電池の最大利用可能容量の増加を示すため、電池を充電するよう充電装置に指示するステップを有してもよい。
【0064】
以下、4つの異なる方法で、電池パラメータの対応する下限まで電池を放電するステップのそれぞれについて説明する。
【0065】
(ユーザプロンプト方法)
本開示のある実施形態では、ユーザプロンプト方法は、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きい場合、対応する電池パラメータの下限を車両の制御器(例えば、VCU(車両制御ユニット))に送信し、車両制御器が車両のユーザに、対応する電池パラメータ下限を表示し、電池パラメータの対応する下限まで電池を放電するようにユーザに促すステップと、を有してもよい。
【0066】
本開示の別の実施形態では、ユーザプロンプト方法は、オンラインで容量減衰の回復可能な量を計算するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きい場合、ユーザインタフェースを介して、対応する電池パラメータ下限をユーザに推奨し、適切な機会に、対応する電池パラメータ下限(例えば、特定のSOC下限、または電圧下限)まで放電するように、車両のユーザに促すステップと、を有してもよい。
【0067】
(充電制御方法)
本方法には、放電機能を有する充電パイル(pile)が必要となる。
【0068】
本開示のある実施形態では、充電制御方法は、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きい状況では、充電状態の下、充電の初期の電池状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、初期の電池の充電状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状態では、対応する電池パラメータの下限まで電池を放電するように、放電装置に指示するステップと、を有してもよい。
【0069】
本開示のある実施形態では、容量減衰の回復可能な量は、充電範囲の放電可能な電池状態に完全に回復されなくてもよく、充電範囲の放電可能な電池状態は、充電閾値の所定の電池状態よりも低い。
【0070】
本開示のある実施形態では、充電制御方法は、オンラインで容量減衰の回復可能な量を計算するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、を有し、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、充電ガンの導入後に、充電中の初期のSOCが放電可能なSOC範囲内にあるかどうかが定められ、決定の理由が初期のSOCが極めて高いことである場合、放電は、エネルギー浪費を引き起こす。条件が満たされた場合、特定のSOC下限または電圧下限までの放電の後、一定の充電の流れが設定され、通常の充電が開始される。
【0071】
(定期的メンテナンス方法)
本開示のある実施形態では、定期的なメンテナンスは、所定の期間、または電池の容量減衰の回復可能な量が定められる所定の時間の間、電気装置(例えば車両)をメンテナンスモードに設定するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、電池パラメータの対応する下限まで、電池を放電するよう、外部放電装置に指示するステップと、を有してもよい。
【0072】
(バランス化方法)
本方法は、主として、電池セルの一部のみが回復可能な容量を有する状況で使用され、パック全体を調節する必要はない。
【0073】
本開示のある実施形態では、バランス化方法は、容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きい特定の電池セルが、電池パックに存在するかどうかを判断するステップと、電池パックに特定の電池セルが存在する状況下では、特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断するステップと、特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状況において、特定の電池セルを電池パラメータの対応する下限まで放電するために必要な時間を計算するステップと、特定の電池セルを電池パラメータの対応する下限まで放電するよう、放電装置に指示するステップと、を有してもよい。電池パックが充電を開始し、特定の電池コアの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態ではなくなると、放電装置は、特定の電池セルに電池パラメータの対応する下限まで放電させる動作を停止するよう指示を受ける。
【0074】
本開示のある実施形態では、バランス化方法は、容量減衰の回復可能な量が予め定められた回復可能な閾値よりも大きい特定の電池セルが電池パックに存在するかどうかを判断するステップを有してもよい。電池パックに特定の電池セルが存在する場合、特定の電池セルのSOCが放電可能なSOC範囲内かどうかが定められ、容量減衰の回復可能な量は、充電範囲の放電可能な電池状態に完全に回復されなくてもよく、充電範囲の放電可能な電池状態、および放電可能な電池の充電状態は、所定の電池の充電状態の閾値よりも低くてもよい。なぜなら初期のSOCが余りに高い場合、、放電は、エネルギー浪費を引き起こすためである。条件に合致する場合、特定のSOCに特定の電池セルをバランスさせるために必要な時間が計算され、バランス化が開始される。バランス化は、放電装置に、電池パックの対応する下限まで特定の電池セルを放電することを停止するように指示する動作である。バランス化は、パックが充電を再開した際、SOCの上昇のため、SOCが放電可能なSOC範囲ではなくなった後に停止される。
【0075】
本開示のある実施形態により提供される、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法では、電池セルシステムにより生じた容量減衰の回復可能な量の一部は、特定のSOC下限または電圧下限まで放電された際に回復することができ、すなわち特定のSOC下限または電圧下限まで放電された後、再度充電された際に、さらに容量が充電される。また、回復可能な容量は、回復後も長時間、維持することができる。
【0076】
本開示のある実施形態では、電池セルシステムにより生じた容量減衰の回復可能な量の一部は、回復することができ、電池セルは、最適な特性を有することができる。
【0077】
以下、特定の実施形態を参照して、第2の実施形態(充電制御方法)について説明する。
【0078】
本開示のある実施形態では、充電制御に基づき、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法は、以下の1から4のステップを有してもよい。
【0079】
ステップ1では、回復可能な容量がオンラインで計算され、回復可能な容量が得られる。これは、公称容量の5%であり、予め定められた回復可能な閾値よりも大きく、回復が要求される。
【0080】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量の計算方法の特定の例(履歴作動条件方法)は、最後の容量回復の後、異なるSOC使用インターバル電流レート2次元ヒストグラムをカウントし取得するステップと、オフライン実験統計データを用いて累積計算を実行し、回復可能な容量値を取得するステップと、を有してもよい。
【0081】
ステップ2では、電圧容量差分変化曲線による計算により、特定のSOC下限が得られる。30%SOCまで放電が実施された場合、容量は3%まで回復され、20%まで放電が実施された場合、容量は5%まで回復され得る。特定のSOC下限は、完全に回復する20%に設定される。
【0082】
本開示のある実施形態では、特定のSOC下限は、実験的に得られる。ただし、特定の値は、異なる作動条件下では異なる。
【0083】
本開示のある実施形態では、特定のSOC下限を計算する特定の方法は、電池セルの電圧容量差分変化曲線のオフライン解析を実行するステップであって、特定のピークのオフセットおよびピーク高さの変動は、特定のSOC下限と対応する関係を有する、ステップと、対応する関係により、オンラインで特定のSOC下限を取得するステップと、を有してもよい。
【0084】
ステップ3では、容量回復は、充電制御方法を用いて実施される。充電開始時にSOCが25%の場合、BMS(電池管理システム)は、充電パイルに放電指令を送信し、電池は、最初に20%放電され、次に、通常の充電が実施される。
当該方法は、電池セルシステムにより生じる容量減衰の回復可能な量の一部を回復することができ、電池セルは、最良の特性を得ることができる。
【0085】
図2aは、本開示による電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置のある実施形態の概略図である。図2aに示すように、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、回復可能な容量判定モジュール21、パラメータ下限判定モジュール22、および放電制御モジュール23を有してもよい。
【0086】
回復可能な容量判定モジュール21は、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるために使用される。
【0087】
本開示のある実施形態では、電池は、電池パックであっても、単一の電池セルであってもよい。
【0088】
本開示のある実施形態では、一つの電池パックは、複数の電池セルを有してもよい。
【0089】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、オンライン予測方法または履歴作動条件方法を用いて、電池の容量減衰の回復可能な量を定めるために使用されてもよい。
【0090】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、最後の容量回復後の充電の異なる電池状態の電流レート、および使用インターバルの2次元ヒストグラムを統計的に定めるように構成されてもよい。また、実験統計データに対する累積計算が実施され、電池の容量減衰の回復可能な量が取得される。
【0091】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、履歴データにより容量減衰予測モデルの回復可能な量を構成し、容量減衰予測モデルの回復可能な量に現在の電池パラメータを入力し、電池の容量減衰の現在の回復可能な量を定めるように構成されてもよい。
【0092】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、充電前の電池のSOCおよび充電後の各時間のSOCを記録し、異なるSOC使用インターバルにおけるサイクル数と温度の統計を作成し、表を参照して、容量減衰の回復可能な量の量を定めるように構成されてもよい。
【0093】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、異なるサイクル数およびオフライン温度較正により定められた容量減衰の回復可能な量による、異なるSOC使用インターバルにおけるループ当たりの容量減衰の回復可能な量の量を較正し、または多項式を介して、ループ当たりの容量減衰の回復可能な量をフィッティングするように構成されてもよい(サイクル当たりの減衰は、正および負の値となり得ることが留意される)。各充電前の放電作動条件のSOCインターバルにより、容量減衰の回復可能な量が累積される。
【0094】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、電圧変化曲線または定電流条件の電圧容量差分変化曲線により、電池の容量減衰の回復可能な量を計算するなど、電流-電圧関係により、電池の容量減衰の回復可能な量を計算するように構成されてもよい。
【0095】
本開示のある実施形態では、回復可能な容量判定モジュール21は、電池の電圧容量差分変化曲線をオフラインで解析し、特定のピークのずれおよびピーク高さの変動を定め、対応する関係により、電池の容量減衰の回復可能な量をオンラインで取得するように構成されてもよい。
【0096】
パラメータ下限判定モジュール22は、電池の容量減衰の回復可能な量により、対応する電池パラメータ下限を定めるために使用される。
【0097】
本開示のある実施形態では、電池パラメータ下限は、充電下限(SOC下限)または電圧下限の電池状態であってもよい。
【0098】
本開示のある実施形態では、パラメータ下限判定モジュール22は、容量減衰の回復可能な量の発生モード、および電流-電圧関係により、対応する電池パラメータ下限を定めるように構成されてもよい。
【0099】
本開示のある実施形態では、容量減衰の回復可能な量の発生モードは、充電サイクルインターバルおよび回復可能な容量が生じる時間の電池状態であってもよい。
【0100】
本開示のある実施形態では、電流-電圧関係は、電圧変動曲線または定電流条件の電圧容量差分変化曲線であってもよい。
【0101】
本開示のある実施形態では、パラメータ下限判定モジュール22は、電池セルの電圧容量差分変化曲線のオフライン解析を実行し、特定のピークのオフセットおよびピーク高さの変動が、特定のSOC下限と対応する関係を有することを判断し、対応する関係により、オンラインで、特定のSOC下限を取得するように構成されてもよい。
【0102】
本開示のある実施形態では、対応するSOC下限または電圧下限は、オフライン較正により得られ、あるいはオンライン較正により得られてもよい。
【0103】
本開示のある実施形態では、パラメータ下限判定モジュール22を使用して、異なる方法で生じた、回復可能な容量の異なる割合の回復に必要な、対応するSOC下限または電圧下限が得られてもよい。
【0104】
本開示のある実施形態では、パラメータ下限判定モジュール22は、オンライン予測された回復可能な容量が閾値よりも大きいかどうかを定めるように構成されてもよい。閾値は、車両のような、電池が備えられた電気装置の使用に影響される。車両のような、電池マウント電気装置の使用が影響を受ける場合、回復容量に必要な特定のSOC下限または電圧下限は、回復可能な容量および電流-電圧関係の発生手段から計算される。
【0105】
放電制御モジュール23を用いて、対応する電池パラメータの下限まで、電池を放電するよう放電装置に指示がなされ、電池の最大利用可能容量が改善される。
【0106】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きいかどうかを定め、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、電池パラメータの対応するSOC下限まで、電池を放電するよう放電装置に指示するように構成される。
【0107】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、異なる電池動作条件下での対応する制御方針を用いて、対応する電池パラメータ下限まで電池を放電するよう、放電装置に指示するように構成されてもよい。
【0108】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、ユーザプロンプト方法、充電制御方法、定期的メンテナンス方法、またはバランス化方法等を用いて、対応する電池パラメータ下限まで電池を放電するよう、放電装置に指示するように構成されてもよい。
【0109】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きいかどうかを定め、電池の容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、車両制御器に、対応する電池パラメータ下限を送信するように構成されてもよい。その結果、車両制御器は、車両でのユーザに、対応する電池パラメータ下限を表示し、対応する電池パラメータ下限まで電池を放電することをユーザに促す。
【0110】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、電池の容量減衰の回復可能な量が、所定の回復可能な閾値よりも大きいかどうかを定め、電池の容量減衰の回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きい状況下では、充電条件下での初期の電池状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断し、充電の初期の電池状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状況下では、対応する電池パラメータ下限まで電池を放電するよう、放電装置に指示するように構成されてもよい。
【0111】
本開示のある実施形態では、容量減衰の回復可能な量は、充電範囲の放電可能な電池状態において、完全に回復されなくてもよい。充電範囲の放電可能な電池状態は、充電閾値の所定の電池状態よりも低くてもよい。
【0112】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、所定の期間、または電池の回復可能な容量を定める時間の間、電気装置をメンテナンスモードに設定するように構成されてもよい。メンテナンスモードでは、電池の容量減衰の回復可能な量が、予め定められた回復可能な閾値よりも大きいかどうかが判断され、電池の容量減衰の回復可能な量が、所定の回復可能な閾値よりも大きい場合、対応する電池パラメータ下限まで電池を放電するよう、外部放電装置に指示がなされる。
【0113】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、容量減衰の回復可能な量が所定の回復可能な閾値よりも大きい特定の電池セルが、電池パックに存在するかどうかを定め、電池パックに特定の電池セルが存在する状況下では、特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にあるかどうかを判断し、特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にある状況下では、対応する電池パラメータ下限まで特定のセルを放電するために必要な時間が計算され、対応する電池パラメータ下限まで特定の電池セルが放電されるよう、放電装置に指示がなされるように構成されてもよい。
【0114】
本開示のある実施形態では、放電制御モジュール23は、さらに、電池パックが充電を開始し、特定の電池セルの充電の状態が、充電範囲の放電可能な電池状態にない場合、電池パラメータの対応する下限まで、特定の電池セルの放電の動作を停止するよう、放電装置に指示するように構成されてもよい。
【0115】
図2bは、本開示による、電池の容量減衰の量を回復する回復装置のさらに別の実施形態の概略図である。図2aの実施形態と比べて、図2bでは、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、充電制御モジュール24を有し得る。
【0116】
充電制御モジュール24を用いて、電池を充電するよう充電装置に指示がなされ、電池の最大利用可能な容量の増加が表示される。
【0117】
本開示のある実施形態では、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、任意の実施形態(例えば図1の実施形態)に記載したように、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法を実施する動作を実行するように構成される。
【0118】
本開示の実施形態により提供される、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置では、電池セルシステムが特定のSOC下限または電圧下限まで放電された際、電気コアシステムにより生じる容量減衰の回復可能な量の一部は、回復することができる。すなわち電気コアシステムが特定のSOC下限、または電圧下限まで放電された後、さらに容量が充電され、回復後の長い時間にわたって、回復可能な量が維持できる。
【0119】
図3は、本開示による、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置の他の実施形態の概略図である。図3に示すように、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、メモリ31およびプロセッサ32を有してもよい。
【0120】
メモリ31は、指令の保管に使用される。
【0121】
プロセッサ32は、指令を実行することに使用され、前述の任意の実施形態(例えば図1の実施形態)に示したように、容量減衰の電池回復可能な量の回復装置は、動作を実行し、容量減衰の電池回復可能量を回復する方法が実施される。
【0122】
本開示のある実施形態では、電池セルシステムにより生じた容量減衰の回復可能な量の一部を回復することができ、電池セルは、最適な特性を示すことができる。
【0123】
図4は、本開示の電池管理システムのある実施形態の概略図である。図4に示すように、電池管理システムは、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41を有してもよい。
【0124】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41は、任意の実施形態(図2a図2b、または図3)による、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であり得る。
【0125】
本開示の実施形態により提供される電池管理システムでは、電池セルシステムが特定のSOC下限または電圧下限まで放電された際に、電池セルシステムにより生じた容量減衰の回復可能な量の一部は、回復することができる。すなわち、電池セルシステムが特定のSOC下限または電圧下限まで放電された後に、再充電により、さらなる容量が充電され、回復可能な容量は、回復後も長時間維持することができる。
【0126】
図5は、本開示の電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムのある実施形態の概略図である。図5に示すように、電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムは、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41と、放電装置42と、充電層値43とを有してもよい。
【0127】
電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41は、前述の任意の実施形態(例えば、図2または図3の実施形態)のような、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置であってもよい。
【0128】
放電装置42は、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41の指示により、対応する電池パラメータの下限まで電池を放電することに使用される。
【0129】
充電装置43は、電池が電池パラメータの対応する下限まで放電される状況下で、電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置41の指令により、電池を充電することに使用され、電池の最大利用可能な容量が改善される。
【0130】
本開示のある実施形態では、放電装置42および充電装置43は、一体化して提供されてもよい。
【0131】
本開示のある実施形態では、一体化して提供された充電および放電装置は、放電機能を有する充電放電装置(例えば、充電パイル)として実施されてもよい。
【0132】
本開示の実施形態により提供される電池の容量減衰の回復可能な量の回復システムでは、電池セルシステムにより生じる容量減衰の回復可能な量の一部は、電池セルシステムが特定のSOC下限または電圧下限まで放電された際に、回復することができ、すなわち、電池セルシステムが特定のSOC下限または電圧下限まで放電された後、さらなる容量が充電でき、回復後の長時間の間、回復可能な容量が維持される。
【0133】
図6は、本開示の容量減衰の電池回復可能な量の回復システムの別の実施形態の概略図である。図6に示すように、電池の容量減衰の回復可能な量を回復するシステムは、電池管理システム61と、放電装置42と、充電装置43とを有してもよい。
【0134】
電池管理システム61は、任意の実施形態(例えば、図4の実施形態)に記載の電池管理システムであってもよい。
【0135】
放電装置42は、装置41の指令により、対応する電池パラメータの下限まで電池を放電することに使用され、電池の容量減衰の回復可能な量が回復される。
【0136】
充電装置43は、装置41の指令により、電池を充電することに使用され、対応する電池パラメータの下限まで電池が放電される状況下で、電池の容量減衰の回復可能な量が回復され、電池の最大利用可能な容量が改善される。
【0137】
開示のある実施形態では、放電装置42および充電装置43は、一体化して提供されてもよい。
【0138】
本開示のある実施形態では、一体化して提供される充電および放電装置は、放電機能を有する充電放電装置(例えば充電パイル)として、実施されてもよい。
【0139】
本開示のある実施形態では、電気コアシステムにより生じる容量減衰の回復可能な量の一部が回復され、電気コアは、最適な特性を発揮することができる。
本開示の別の態様では、コンピュータプログラム命令が格納された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体が提供され、プロセッサによって実行された際に、前述の実施形態のいずれかによる電池の容量減衰の回復可能な量を回復する方法が実施される。
【0140】
前述の電池の容量減衰の回復可能な量を回復する装置は、汎用プロセッサ、プログラム化ロジック制御器(PLC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム化ゲートアレイ(FPGA)、もしくは他のプログラム化ロジック装置、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または前述の機能を実行するこれらの任意の好適な組み合わせとして実施されてもよい。
【0141】
以上、本開示について詳細に説明した。本開示の概念が曖昧になることを避けるため、良く知られた一部の詳細は、記載されていない。前述の記載に基づいて、当業者には、本願に記載された技術的解決法がどのように実施できるかが充分に理解できる。
【0142】
前述の実施形態を実施するステップの全てまたは一部が、ハードウェアにより実行され、関連のハードウェアが、読み取り専用メモリ、磁気もしくは光ディスク等のような、コンピュータ可読ストレージ媒体に保管され得るプログラムにより実行するように指示されることは、当業者には明らかである。
【0143】
本開示の記載は、一例を示し記載するため提供されており、網羅的ではなく、開示された形式に開示を限定することを意図するものではない。当業者には、多くの修正および変更が明らかである。実施例は、開示の原理および実際の用途の最良の説明をするため、選定され、記載されている。当業者には、想定される特定の使用に適するように、各種変更をともなう各種実施形態の開示が理解される。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6