IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲリマ ホールディング ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7481274ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤
<>
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図1
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図2
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図3
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図4a
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図4b
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図4c
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図4d
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図5
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図6
  • 特許-ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤
(51)【国際特許分類】
   B23C 1/20 20060101AFI20240501BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20240501BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B23C1/20
B23C9/00 Z
B25F5/00 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020573415
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 DE2019100583
(87)【国際公開番号】W WO2020001701
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】202018103581.9
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520510575
【氏名又は名称】ゲリマ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リート,ステファン
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0053960(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第03922552(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0092261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00-9/00;
B25F 1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置(7a;7b)及びスピンドル(21;26,27)が搭載される筐体(2)を有するベベル又はフィレットをフライス加工するためのフライス盤であって、前記スピンドル(21;26,27)は少なくとも1つの切削装置(10)を受けるように構成され、少なくとも1つのギヤボックス(5;18)によって、前記駆動装置(7a;7b)に接続され、
前記ギヤボックス(5;18)を保護するためのリバウンドダンパー(20;29;33;42)は前記スピンドル(21;26,27)に設けられ、
前記リバウンドダンパー(20;29;33;42)の慣性モーメントが、ワークピースの切削挿入部の断続的係合から生じる衝撃応力を減衰させることにより、前記ギヤボックス(5;18)が均一なトルク及び回転速度を達成し、
前記リバウンドダンパーは制振体(20;33)として構成され、
前記制振体(20;33)は、前記スピンドル(21;26,27)の半径方向において前記スピンドル(21;26,27)から突出するように前記スピンドル(21;26,27)に設けられ、
高慣性モーメントを得るために、前記リバウンドダンパーは、慣性モーメントの、前記スピンドル(21;26,27)及び前記制振体(20;33)を備える物体の質量と、前記スピンドル(21;26,27)の回転軸方向の前記物体の長さの積、に対する比率が4.0×10 -3 mよりも大きくなるように提供されることを特徴とする、フライス盤。
【請求項2】
前記スピンドル(21;26,27)の高慣性モーメントを得るために、前記スピンドル(21;26,27)及び前記リバウンドダンパー(20;29;33;42)を備える物体は、前記スピンドル(21;26,27)及び前記リバウンドダンパー(20;29;33;42)を備える前記物体の最大直径の、前記スピンドル(21;26,27)の回転軸方向の前記物体の長さに対する比率が、0.55よりも大きくなるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のフライス盤。
【請求項3】
前記筐体(2)は前記リバウンドダンパー(20;29;33;42)で分割され、前記スピンドル(21;26,27)の軸方向における前記リバウンドダンパー(20;29;33;42)と同じ高さの場所で分割されることを特徴とする、請求項1または2に記載のフライス盤。
【請求項4】
小さな追加質量によって高慣性モーメントを得るために、前記制振体(20;33)は回転軸方向に突出するのが好ましい付属品(33)を備えることを特徴とする、請求項に記載のフライス盤。
【請求項5】
前記付属品は環状ウェブ(33)として構成されることを特徴とする、請求項に記載のフライス盤。
【請求項6】
小さな追加質量によって高慣性モーメントを得るために、前記付属品(33)の最小直径は前記スピンドル(26,27)のベアリング(22c,22d)の外径よりも大きいことを特徴とする、請求項に記載のフライス盤。
【請求項7】
前記ベアリング(22c)の少なくとも一部は前記環状ウェブ(33)の内部に配置されることを特徴とする、請求項に記載のフライス盤。
【請求項8】
小さな追加質量によって高慣性モーメントを得るために、前記制振体(20;33)は前記スピンドル(21;26,27)から半径方向に突出し、前記筐体(2)は、前記制振体(20;33)が少なくとも部分的に配置される外向きに突出する凸部を有することを特徴とする、請求項1および4~7のいずれか1項に記載のフライス盤。
【請求項9】
前記ギヤボックス(5)と前記スピンドル(21;26,27)との間の接触面における前記リバウンドダンパー(20;30)は摩擦クラッチ(29;42;50)を備え、前記摩擦クラッチ(29;42;50)は強い衝撃応力に対して前記ギヤボックス(5)を保護するために配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のフライス盤。
【請求項10】
前記摩擦クラッチ(29;42;50)は、前記摩擦クラッチ(29;42;50)に作用するトルクが所定の制限トルクを超えるとき、クラッチ接続を開放することが規定されていることを特徴とする、請求項に記載のフライス盤。
【請求項11】
前記摩擦クラッチ(29;42)はラッチ要素(35)を有し、前記ラッチ要素(35)は、1つのクラッチ位置でクラッチ接続に形状適合を構成するためのものであり、保持バネ(38;45)によってラッチ凹部にプレテンションされることを特徴とする、請求項または10に記載のフライス盤。
【請求項12】
前記保持バネ(38;45)のプレテンションは調節可能であることを特徴とする、請求項11に記載のフライス盤。
【請求項13】
前記ギヤボックス(5)の衝撃応力をさらに弱めるために、前記スピンドル(26,27)は、相互に対して回転可能である2つのスピンドル部(26;27)と、前記2つのスピンドル部(26;27)の間に配置されるトルクを伝達するバネクラッチ(28)とを備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のフライス盤。
【請求項14】
前記リバウンドダンパー(33)は第1のスピンドル部(26)に配置され、第2のスピンドル部(27)は、前記少なくとも1つの切削装置(具体的には、フライス加工ヘッド(10))を受けるように構成されることを特徴とする、請求項13に記載のフライス盤。
【請求項15】
前記スピンドル(21)の回転速度をさらに下げるため、前記スピンドル(21)は、前記スピンドル(21)の駆動側近位端に配置される追加ギヤボックス(18)を備えることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のフライス加工ヘッド。
【請求項16】
前記追加ギヤボックス(18)は、前記スピンドル(21)に解放可能に接続される内部リングギヤ(19)と、前記内部リングギヤ(19)と噛合し、第1のギヤボックス(5)に解放可能に接続されるギヤホイール(17)とを備えることを特徴とする、請求項15に記載のフライス盤。
【請求項17】
複数の交換可能な切削挿入部(23)を有するフライス加工ヘッド(10)の形態の切削装置は、前記スピンドル(21;26,27)に配置されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のフライス盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びスピンドルが搭載される筐体を有するベベル及びフィレットをフライス加工するためのフライス盤(具体的には、ハンドヘルドフライス盤)に関し、スピンドルは少なくとも1つの切削装置を受けるように構成され、少なくとも1つのギヤボックスによって、駆動装置に接続される。
【背景技術】
【0002】
この種類のフライス盤は欧州特許第2056987号明細書から知られている。駆動装置及びスピンドルが筐体に搭載され、アングルギヤによって接続される、ハンドヘルドフライス盤が示されている。フライス加工ヘッドは、複数の切削挿入部を有し、駆動装置によって駆動することが可能であり、スピンドルの自由端に締結される。フライス加工するときに切削挿入部の衝撃応力を弱めるために、スピンドルは2つの部分で構成され、バネは2つのスピンドル部の間に配置される。これは、力ピークを弱くすることを可能にし、切削挿入部の摩耗の減少をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第2056987号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フライス盤の取り扱い、切削性能、及び切削品質の改善をもたらすことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、ギヤボックスを保護するためのリバウンドダンパーがスピンドル上に設けられることで達成される。ワークピースの切削挿入部の断続的係合から生じる衝撃応力は、リバウンドダンパーによって減衰し、均一トルク及び回転速度プロファイルはギヤボックスで達成される。その結果、ギヤボックスは受ける摩耗が少なくなり、既知のフライス盤と比較して、切削挿入部の耐用年数及び耐久性が長くなることを達成できる。さらに、ハンドヘルドフライス盤のユーザが通常手による反発作用を必然的に吸収するため、リバウンドダンパーは、また、ハンドヘルドフライス盤の取り扱いを容易にする。
【0006】
本発明の利点をもたらす実施形態の1つでは、リバウンドダンパーは制振体として構成できる。手で操縦されるフライス盤は、通常、簡単な取り扱いを可能にするために当該フライス盤が低重量になるように、具体的に思い付いたものである。したがって、フライス盤の重量を増加させる追加制振体を使用することは普通ではない。しかしながら、制振体によって高性能なフライス盤によってもたらされる利点は、追加重量の不利点をかなり上回ることが実証されている。
【0007】
ハンドヘルドフライス盤によって高出力密度を達成するために、小型(ひいては、軽量)駆動装置を使用するが、駆動装置は、一般的に、フライス加工ヘッドを支持するように設けられるスピンドルの比較的高回転速度で動作し、駆動回転速度は、一般的に、20,000~30,000rpmの範囲になる。2,000~12,000rpmの出力回転速度での機械加工は、対応する高いネガティブギアを有するギヤボックスによって可能になる。既知のフライス盤によるフライス加工中に回転速度がかなり変動することにより、具体的には、2,000~8,000rpmの低出力回転速度が生じ、それにより、機械加工の品質が損なわれ、ギヤボックス及び切削挿入部が損傷する。スピンドルの慣性トルクは制振体の質量により増加し、それにより、衝撃応力によって、フライス加工ヘッドが比較的低い程度まで減速し、それに応じて、フライス加工ヘッドにおけるスピンドルの角速度のかなり少ない変化をもたらす。さらに、低回転速度における制振体を有するスピンドルは、高回転速度における汎用のスピンドルと同じ運動エネルギーを有し、それにより、本発明に従って、同じ切削エネルギーは低回転速度で生成できる。これは、例えば低切削速度が要求されるステンレス鋼等の強靱材料の機械加工で利点をもたらす。したがって、この回転速度により、安定し、制振体による反発作用からギヤボックスを保護するだけではなく、最大1500rpmの低回転速度でさえも間欠負荷でフライス加工を可能にするエネルギー蓄積器を構成することもできる。
【0008】
本発明の一実施形態では、制振体はギヤボックスの出力側近位ギヤホイールに配置され、本発明に関連する制振体は、また、スピンドルの一部を形成する。代替としてまたは加えて、制振体は、また、フライス加工ヘッドに配置され得、フライス加工ヘッドは、切断装置、具体的には、割出し可能な切削挿入部を受けるために設けられるのが好ましい。
【0009】
本発明の特に好ましい設計の実施形態の1つでは、制振体は、慣性トルクと、スピンドル及び制振体を備える物体の質量及び長さの積との比率が、4.0×10-3mよりも大きく、好ましくは4.5×10-3mよりも大きく、特に好ましくは5×10-3mよりも大きくなるように構成され、これは、質量を特に効果的に使用するための測定値を表す。
【0010】
試験では、慣性トルクと、スピンドル及び制振体を備える物体の質量及び長さの積との比率が、6×10-3mよりも大きい、特に6.5×10-3mよりも大きい、または7.0×10-3mよりも大きいときに、特に好ましい効果を達成できることが示されている。
【0011】
同様に、スピンドル及び制振体を備える物体は、スピンドル及び制振体を備える物体の長さと最大直径との比率が、好ましくは0.55よりも大きく、具体的には0.6よりも大きく、特に好ましくは0.65よりも大きくなるように構成できる利点をもたらす。
【0012】
1つの好ましい実施形態では、筐体は、リバウンドダンパーの領域内で分割するように構成できる。分割により、具体的には、スピンドルの軸方向のリバウンドダンパーと同じ高さの場所に配置され、スピンドルの縦軸に垂直になるように伸びることができるのが好ましい。リバウンドダンパーを受けるために、分割の領域内の筐体は、1つの部分または両方の部分で環状リムを有し得る。さらに、筐体の2つの部分を相互に確実に接続するためのフランジは、いずれの場合、両端に設けられることができる。
【0013】
スピンドルの3つの実施形態の技術的詳細情報は、フライス加工ヘッドがある場合、フライス加工ヘッドがない場合に関して下文に再現される。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
最大挿入直径は、本明細書では、切削装置の切削領域の軌道の直径として定義され、当該切削領域は、回転軸に対して最大の径方向スペースを有する。それにより、最小挿入直径は、切削装置の切削領域の軌道の直径として定義され、当該切削領域は、回転軸に対して最小の径方向スペースを有する。
【0017】
スピンドルの軸方向において見えるときのインフィードは、最小挿入直径と、ワークピースのための筐体の好ましくは平面接触面との間のスペースであると理解される。接触面はスピンドルの軸方向で変位可能であるスペーサに構成でき、それにより、インフィードは、最小インフィードと最大インフィードとの間に設定できる。本発明による効果は、8mm以上、または10mm以上、各々、具体的には、12mm以上の最大インフィードにおいて既に実証されている。この効果は、15mm以上のインフィードにおいて特に明確に実証されている。20mm以上(具体的には、30mm以上)のインフィードの場合のフライス加工による機械加工は、いずれにせよ、本発明に従ったフライス盤だけを使用して可能になる。
【0018】
8mm以上のインフィードの場合、スピンドル及び制振体を備える物体の質量は、好ましくは1kg以上である。15mm以上のインフィードの場合、この質量は、好ましくは1.2kg以上、特に好ましくは1.5kg以上である。20mm以上のインフィードの場合、この質量は、好ましくは1.5kg以上、具体的には2kg以上、特に好ましくは3kg以上である。最後に、30mm以上のインフィードの場合、この質量は、好ましくは1.8kg以上、具体的には2.5kg以上、特に好ましくは3.5kg以上である。
【0019】
以下の相関関係(具体的には、最後に言及する相関関係J/M/L及びD2/L)は、本明細書では、特に利点をもたらすことを証明している。
【0020】
【表3】
【0021】
スピンドルの最大直径は、フライス加工ヘッドの直径に対応し得、例えば、最大で72mmである。スピンドルの最大直径を82mm以上(具体的には、100mm以上)で構成することで、特に利点をもたらすことが証明されている。スピンドル取付具のボールベアリングは、本明細書では、30mmの内径及び/または55mmの外径を有し得る。フライス加工ヘッドを含むスピンドルの長さは、本明細書では、好ましくは200mm未満では、具体的には、180mm未満である。加えて、または代替として、フライス加工ヘッドを含むスピンドルの長さは、50mm以上(具体的には、90mm以上)であり得る。
【0022】
制振体は、回転可能(具体的には、解放可能)に固定してスピンドルに締結されるのが好都合である。代替として、制振体は、また、回転可能に、具体的には、回転可能に減衰するように及び/または回転可能に撓みながらスピンドルに接続できる。
【0023】
1つのさらなる実施形態では、制振体は、スピンドルと一体になるように構成され得、割出し可能な切削挿入部のためのレセプタクルは、スピンドルに直接設けられることで利点をもたらす。この場合、割出し可能な切削挿入部のためのレセプタクルの領域内のスピンドルは、スピンドルのベアリングの取付具のための環状面よりも小さい外径を有し得、それにより、例えば、組立中に環状面の割出し可能な切削挿入部のためのレセプタクルの領域にわたって、ボールベアリングを押すことが可能である。
【0024】
制振体が半径方向においてスピンドルから突出するように、当該制振体はスピンドルに設けられることで利点をもたらす可能性がある。
【0025】
本発明の特に利点をもたらす設計の実施形態の1つでは、このように、制振体は、軸方向に、したがって、スピンドルの回転軸の方向に突出するのが好ましい付属品を含み得る。付属品は円周方向に遮断または閉鎖される環状ウェブとして構成でき、ひいては、各々、一端だけに締結される中空シリンダまたは中空円筒部を形成する。小さい追加質量と関連する高い慣性トルクは、回転軸から離間している質量分布によって達成される。付属品の最小直径または環状ウェブの内径は、各々、スピンドルの取付具の外径よりも大きくなり得る。そのため、具体的には、フライス盤のスペースを節約する構造態様と関連して、非常に高慣性トルクが生じる。好ましくは、さらに、付属品(または、環状ウェブ)は、各々、異なる機械加工手順への単純な適応を可能にするように、例えば、ねじによって解放可能に締結できる。解放可能環状ウェブは、1.0kgよりも大きい質量、具体的には1.5kgよりも大きい質量を有することで利点をもたらす可能性がある。フライス盤は、スピンドルに配置され、随意に要件に従って交換できる異なる質量の複数の制振体を含み得る。
【0026】
1つのさらなる利点をもたらす実施形態では、スピンドルの取付具の少なくとも一部は、付属品または環状ウェブの内部に配置でき、各々、これにより、具体的には、角運動量の変化が生じる場合、シャフトが特に十分に支持されることをもたらす。
【0027】
制振体を配置する領域を形成するために、筐体は、制振体を受けるための空洞を有するのが好都合である。制振体空洞を形成するために、筐体は、外向きに突出する凸部(具体的には、環状包囲凸部)を含むのが好ましい。内側から筐体の凸部に突出することが可能である制振体により、制振体は回転軸から大きい径方向スペースに搭載でき、これは、筐体の全体寸法を著しく増加させないけれども、スピンドルの慣性トルクの増加をもたらす。この状況では、スピンドルを横方向に包囲するそれらの構成要素、ひいては、図を参照して説明されるギヤボックス筐体またはスペーサも、具体的には、筐体としても理解される。
【0028】
本発明のさらなる設計の実施形態の1つでは、フライス盤は、さらに、内部空洞の全体がスピンドル及び制振体でほぼ完全に満たされるという点で区別される。
【0029】
具体的には、強い衝撃応力に対してギヤボックスを保護するために、リバウンドダンパーは、ギヤボックスとスピンドルとの間の接触面に配置されることで利点をもたらす摩擦クラッチを備え得る。摩擦クラッチは、本明細書では、摩擦クラッチに作用するトルクが所定の制限トルクを超えるとき、クラッチ接続を簡単に開放するように規定できる。制限トルクまたはトリガトルクは、各々、例えば、2~20Nmで調節可能であり得る。摩擦クラッチは、スピンドルに接続される第1のクラッチ部と、ギヤボックスに接続される第2のクラッチ部とを備え、2つのクラッチ部は、クラッチ接続の閉位置で回転可能に固定して接続され、クラッチ接続の解放位置で相互に対して回転可能である。この種類の摩擦クラッチでは、閉位置のクラッチ接続は、形状適合及び/または摩擦嵌合によって達成できる。
【0030】
摩擦クラッチは、当該摩擦クラッチがクラッチ接続を開放するとき音響信号及び/または触覚信号(例えば、振動)を生成するように構成できる。これは、クラッチ接続が開放されたことを、信号によって直接知らされるユーザの一部分における「学習効果」を可能にする。例えば、過度のベベルの幅が選ばれているとき、ユーザは過度の圧力をワークピースにかけることになる、またはカッターブレードは鈍くなる。この目的を達成するために、少なくとも1つの要素は、いずれの場合、2つのクラッチ部に設けられることができ、当該要素は、ラッチ部が相互に対して移動する場合、相互に接触し、揺れ及び/またはノイズが発生する。
【0031】
摩擦クラッチは、1つのクラッチ部にラッチ要素を有することで特に利点をもたらす可能性があり、当該ラッチ要素は、保持バネによって、他のクラッチ部のラッチ凹部でプレテンションされる。ラッチ要素とラッチ凹部との間の形状適合により、制限トルクよりも小さいトルクが伝達されるとき、2つのクラッチ部はクラッチ位置で回転可能に固定して接続される。しかしながら、各々、ラッチ要素またはラッチ凹部の幾何学形状と、保持バネによるプレテンションとに応じて変わる制限トルクを超えると、保持バネの力に対抗するラッチ要素は、解放位置にラッチ凹部から押し出され、2つのクラッチ部の間のクラッチ接続は解放される。摩擦クラッチの制限トルクを簡単に変化させることを可能にするために、保持バネのプレテンションを設定することが可能であり得る。ラッチ要素はラッチボールとして構成される利点をもたらす可能性があり、ラッチ凹部は対応するドーム状断面を有し得、それにより、解放位置でラッチボールは、クラッチ部の相互運動において摩擦なしで回る。
【0032】
ギヤボックスの衝撃応力をさらに弱めるために、スピンドルは、相互に対して回転可能な2つのスピンドル部と、当該2つのスピンドル部の間に配置されるトルクを伝達するバネクラッチとを備え得る。バネクラッチにより、衝撃応力の場合に生じる回転エネルギーは、一時的に蓄えられ、続いて、再度、フライス加工ヘッドに直接放出できる。本明細書では、第1のスピンドル部は、特に好ましくは、フライス加工ヘッドを受けるように構成され、リバウンドダンパーは第2のスピンドル部に配置される。その結果、ギヤボックスの衝撃応力は、ギヤボックスに近いスピンドル部のリバウンドダンパーにより減衰し、バネクラッチによってギヤボックスから離れ、フライス加工ヘッドを備えるスピンドル部は、最初に言及したスピンドル部に対して潜在的なわずかな曲がりにより、フライス加工ヘッドの衝撃応力を弱め、ひいては、フライス加工ヘッド及び切削挿入部の応力を軽減できる。
【0033】
1つの利点をもたらす実施形態では、スピンドルは、スピンドルの駆動側近位端に、したがって、第1のギヤボックスに向かって、配置されるのが好ましい追加ギヤボックスを備え得る。
【0034】
追加ギヤボックスは、スピンドルに解放可能に接続される内部リングギヤと、内部リングギヤと噛合し、第1のギヤボックスに解放可能に接続されるギヤホイールとを備えるのが特に好ましい。そのため、内部リングギヤ及びギヤホイールを容易に分解し、別のギヤの比率の内部リングギヤ及びギヤホイールを組み立てることが可能であり、それにより、出力回転速度は、材料を機械加工するようにすぐに適応できる。本実施形態では、摩擦クラッチは、ギヤボックスの間に、あるいは、追加ギヤボックスの内部に配置できる。内部リングギヤの代わりに、しかしながら、対応する大型ギヤホイールは、また、出力側に設けられることができる。1つの代替の実施形態では、内部リングギヤまたは大型ギヤホイールは、また、非解放可能に(具体的には、一体に)スピンドルに接続できる。
【0035】
切断装置は、スピンドルに締結できる割出し可能な切削挿入部を有するフライス加工ヘッドとして構成できる。代替として、切断装置は、また、複数の割出し可能な切削挿入部の形態で構成でき、切削挿入部は、スピンドルの自由端の対応するレセプタクルによって、スピンドルに接続される。
【0036】
本発明のさらなる特定の及び利点は、図面によって好ましい例示的実施形態の下文の説明から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】ワークピースのベベルをフライス加工するためのフライス盤の第1の実施形態の斜視図を示す。
図2図1のフライス盤の前面領域を通る断面を示す。
図3】フライス盤の第2の実施形態の前面領域を通る断面を示す。
図4a図3に示されるフライス盤の前部に垂直に搭載される回転可能な構成要素の分解図を示す。
図4b】いずれの場合の図4aに示される構成要素を通る断面図を示す。
図4c】いずれの場合の図4aに示される構成要素を通る断面図を示す。
図4d】いずれの場合の図4aに示される構成要素を通る断面図を示す。
図5】フライス盤の第3の実施形態の前面領域を通る断面を示す。
図6図5に示されるフライス盤の前部に垂直に搭載される回転可能な構成要素の分解図を示す。
図7】フライス盤の第4の実施形態を通る断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、ワークピース(図示しない)のベベルをフライス加工するためのフライス盤1aの第1の実施形態の斜視図を示す。フライス盤1aは、片側に第1のハンドル3及び電源ライン4を有する筐体2と、反対側に第2のハンドル6を有するギヤボックス5を有する。ギヤボックス5は、入力シャフトと出力シャフトとの間で90°の角度を有するアングルギヤボックス(具体的には、ベベルギヤボックス)として構成され、図2に示される電気モータ7aの形態で筐体2に搭載される駆動装置によって駆動される。
【0039】
出力側のギヤボックス5は、ワークピースに対する環状平面接触面9を有する調節可能スペーサ8が隣接し、フライス加工ヘッド10は、当該接触面9の中心にあり、接触面から突出するように配置される。この端に設けられた保持ピン11の形態の保持デバイスがいったん解放されると、接触面9を有するスペーサ8はフライス加工ヘッド10に対して軸方向に調節でき、それにより、フライス加工ヘッド10が接触面9に対して突出する距離を設定できる。そのため、加工されるベベルの縁長を事前に定義できる。さらに、ギヤボックス5をロックするためのロックピン12がギヤボックス5に設けられ、ロックピン12は、フライス加工ヘッド10の組立及び分解を容易にする。
【0040】
図2は、図1のフライス盤1aの前面領域を通る断面を示す。そこから分かり得るように、ギヤボックス5の可動部品は、電気モータ7aによって駆動するベベルピニオン13と、当該ベベルピニオン13と噛合するベベルギヤ14とによって形成される。ローラベアリング15によって回転可能に搭載される副軸16を用いるベベルギヤ14は、追加ギヤボックス18のギヤホイール17に解放可能に接続される。ギヤホイール17は内部リングギヤ19内に配置され、当該ギヤホイール17及び当該内部リングギヤ19は、追加ギヤボックス18の可動部品を結合するように形成する。追加ギヤボックス18の内部リングギヤ19は、スピンドル21の駆動側近位端でカップ状円板20に解放可能に締結される。ギヤホイール17及び内部リングギヤ19は、解放可能に締結されるため、例えば、別のギヤ比を達成するために、特に単純に交換できる。
【0041】
スピンドル21は、2つの追加ローラベアリング22a,22bの形態の取付具によって、スペーサ8に回転可能に搭載され、当該スピンドル21の自由端に、交換可能な切削挿入部23によって占められる円錐フライス加工ヘッド10を有する。機械加工されるワークピースから画定される径方向スペースに対する接触ボールベアリング24は、円錐フライス加工ヘッド10の先端に設けられている。本明細書では、ローラベアリング22a,22bの外径はカップ状円板20の外径よりも小さく、具体的には、カップ状円板20はローラベアリング22a,22bの外径の1.5~3倍の外径を有する。
【0042】
図2から分かり得るように、駆動側のカップ状円板20は内部リングギヤ19を受けるための円形ポケットを有する。しかしながら、通常の狭い構造態様と対照的に、カップ状円板20の厚さDはかなり大きく、内部リングギヤ19の幅Bの少なくとも2倍、具体的に好ましくは少なくとも2.5倍に相当する。したがって、この追加付属品は、半径方向の外向きに位置する内部リングギヤ19のすぐ近くにあり、制振体を形成し、制振体は、その慣性トルクにより、ギヤボックス5と追加ギヤボックス18も保護するために、フライス加工により機械加工するとき、フライス加工ヘッド10の反発作用を制振する。代替として、制振体はまた内部リングギヤによって部分的にまたは完全に形成され得、内部リングギヤは、好ましくは10mmよりも大きい幅、具体的には、15mmよりも大きい幅を有する。
【0043】
スピンドル21、ひいては、フライス加工ヘッド10のロックを可能にし、ひいては、フライス加工ヘッド10の組立及び分解を容易にするために、カップ状円板20は、その円周に、径方向ボア25の形態の凹部を有し、径方向ボア25は図4aに示され、ロックピン12が径方向ボア25に保持するように係合できる。
【0044】
図3は、フライス盤1bの第2の実施形態の前面領域を通る断面を示す。それらの構成要素は、同じ符号が提供される図1の第1の実施形態と比較して変わらない。それらと違う構成要素は下文に詳細に説明される。
【0045】
また、図1の実施形態の場合のように、電気モータ7aは、ベベルギヤ14と噛合するベベルピニオン13を駆動させる。ベベルピニオン13及びベベルギヤ14は、ギヤボックス5を形成する。図1の実施形態と対照的に、追加ギヤボックスには、ここに示される第2の実施形態が設けられていない。代わりに、スピンドル21は2つのスピンドル部26,27を備え、2つのスピンドル部26,27は相互に対して回転可能であり、スピンドル部26とスピンドル部27との間に、トルクを移送するバネクラッチ28が配置される。
【0046】
ローラベアリング22cを用いる第1のスピンドル部26はスペーサ8に搭載され、摩擦クラッチ29によってベベルギヤ14に接続され、摩擦クラッチ29は、下文に、図を参照してより詳細にさらに説明される。第2のスピンドル部27はフライス加工ヘッド10を受けるように構成され、ローラベアリング22dによってスペーサ8に搭載される。
【0047】
バネクラッチ28は複数のバネ30を備え、複数のバネ30は、第1のスピンドル部26の出力側近位端において円板状バネベアリング31に搭載され、第2のスピンドル部27の駆動側近位端において円板状カウンタベアリング32に対して支持される。
【0048】
さらに、環状ウェブ33の形態のリバウンドダンパーが第1のスピンドル部26に配置され、環状ウェブ33は軸方向で円板状バネベアリング31から突出し、環状ウェブ33の内径はローラベアリング22cの外径よりも大きい。図3から分かり得るように、ローラベアリング22cはさらに環状ウェブの内部に配置され、環状ウェブによって円周方向に包囲される。
【0049】
図4aは、図3に示されるフライス盤1bの前部に垂直に搭載される回転可能な構成要素の分解図を示す。右に示されるベベルギヤ14は摩擦クラッチ29の第1のクラッチ部34にぴったり合うように接続される。この目的を達成するために、ベベルギヤ14は側方平坦エリアを有する突起を有し、当該突起が第1のクラッチ部34の対応する隙間にぴったり合うように係合し、相互の回転を防止する。領域Aの断面(組み立てられた状態)は、図4bにより詳細に示される。
【0050】
出力側の第1のクラッチ部34は、ここで図示されない複数のラッチ凹部を有する環状溝を有する。ラッチ凹部は、円周方向に均一に分配されるように配置され、ラッチボール35の形態のラッチ要素を受けるように構成される。ラッチボール35がラッチ凹部の全エリアにわたって支えるために、ラッチ凹部はドーム状断面を有するのが好ましい。
【0051】
ラッチボール35を円周方向に画定されるスペースに搭載するように、ボールケージ36を設ける。図4cの領域B内の断面から分かり得るように、ボールケージ36は、円周方向に均一に分配され、ラッチボール35が配置される複数の貫通ボアを有する。ボールケージ36の厚さはラッチボール35の直径よりも小さく、それにより、ラッチボールは両側に突出し、第1のクラッチ部34と、出力側に配置される第2のクラッチ部37とに載っている。
【0052】
ラッチボールに対面する側の第2のクラッチ部37は第1のクラッチ部34のように構成され、環状溝(ここでは、図示しない)は、数及び配置に関して、第1のクラッチ部34のラッチ凹部に対応するラッチ凹部を有し、したがって、保持するように係合できるボールケージ36に対して上に突出するラッチボール35が設けられている。
【0053】
連続隙間は第2のクラッチ部37の中央になるように配置され、当該隙間は円周にわたって分配される機能面を有し、それにより、当該隙間は、回転に対して保護されるが、第1のスピンドル部26の軸方向に変位可能であるように搭載できる。図4dの領域Cの断面(組み立てられた状態)から分かり得るように、示される実施形態の第2のクラッチ部37の隙間は六角形断面を有するように構成され、この端に設けられる取付部のスピンドル26は対応する六角形断面を有する。しかしながら、代替として、他のぴったり合うシャフト-ハブ接続(さね継ぎ接続等)も考えられる。
【0054】
クラッチ部34とクラッチ部37と間に配置されるラッチボール35によって相互にクラッチ部34,37を抱持するために、複数の円板バネ38の形態の保持バネが設けられ、当該円板バネはワッシャ39によって第1のスピンドル部26に支持され、第2のクラッチ部37に対してプレテンションされる。円板バネ38のプレテンションの程度に応じて、より大きいまたはより小さいプリベリングトルクは、ラッチボール35を円板バネ38の力に対抗するラッチ凹部から持ち上げるために必要であり、そのプリベリングトルクにより、形状適合が解放され摩擦クラッチが開放される。この制限トルクは、円板バネ38にプレテンションを設定することによって直接影響する可能性がある。
【0055】
さらに図4aから分かり得るように、第1のスピンドル部26の出力側近位端におけるバネベアリング31は、円周方向に均一に分配され、バネ30が配置される複数の隙間40を有する。バネ30はコイルバネとして構成され、回転軸に対して接線方向に配向されるように隙間40に搭載される。本明細書では、3つのコイルバネは、それぞれ、半径方向に相互に離間するように配置され、この種類の全部で3つの隙間40が設けられている。
【0056】
第2のスピンドル部27の駆動側近位端のカウンタベアリング32から突出するジョー41は、バネベアリング31の隙間40に係合し、それにより、スピンドル部26,27が一方向に相互に回転するとき、バネがプレテンションされる。反対方向で相互衝突が生じる際、ジョー41はバネベアリング31を直接支え、それにより、この回転方向でクラッチ28のバネ作用が生じない。しかしながら、それぞれの場合に追加バネも提供でき、相互衝突のそれぞれの場合、当該バネは、カウンタベアリング32に対して撓みながらバネベアリング31を支持する。この目的を達成するために、バネはジョー41を両側の円周方向だけにおいて支える必要があり、バネベアリング31に対してジョー41を支持する。
【0057】
図5は、フライス盤1cの第3の実施形態の前面領域を通る断面を示す。本実施形態は、実質的に、図2に示される第1の実施形態に対応し、その構成要素は大部分が図1の第1の実施形態と比較して変わらなく、同じ符号が提供される。可視化を改善するために、スペーサ8の第2のハンドルまたは部分等、接触面9等の追加構成要素は、繰り返しになるが図示されない。
【0058】
図2に示される第1の実施形態との比較から分かり得るように、摩擦クラッチ42は、第3の実施形態では、追加ギヤボックス18のギヤホイール17と副軸16との間に配置され、当該摩擦クラッチ42は、図6を参照して、下文により詳細に説明される。
【0059】
図6は、図5に示されるフライス盤1cの前部に垂直に搭載される回転可能な構成要素の分解図を示す。また、図1の実施形態の場合のように、副軸16は、ベベルギヤ14に回転可能に固定して、ここで図示されないスペーサ8に対して搭載されるローラベアリング15によって接続される。さらに、円板43の形態の第1のクラッチ部は副軸16に締結される。第2の実施形態のクラッチ部34,37のように、ギヤホイール17に対面する側の円板43は、均一に分配されるラッチ凹部を有する環状溝(ここでは、図示されない)を有する。複数のラッチボールを有するボールケージ44は、円板43に隣接するように、副軸16上に回転可能に搭載される。ボールケージ44の設計の実施形態に関して、同様に、第2の実施形態のボールケージ36を参照する。
【0060】
第2の実施形態とは異なり、第3の実施形態の第2のクラッチ部は、ボールケージ44に直接近接するように、副軸16に回転可能に搭載されるギヤホイール17に統合される。この目的を達成するために、ボールケージ44に対面する側のギヤホイール17は、円板43の溝及びラッチ凹部に対応する溝及びラッチ凹部を有する。ギヤホイール17を円板43に対してプレテンションするために、副軸16に支持される円板バネ45は、ボールケージ44から離れて対面するギヤホイール17の側に配置される。円板バネ45の保持力によって事前に定義された制限トルクを超えると、結果として、摩擦クラッチ42は解放され、ギヤホイール17は、副軸16に対して自由に回転できる。
【0061】
図7は、フライス盤1dの第4の実施形態を通る断面を示す。第1の実施形態と対照的に、そこにある駆動装置は、圧縮空気によって駆動できるマルチディスクモータ46を有する圧縮空気モータ7bとして構成される。本開示に関連して、マルチディスクモータ46の圧縮空気を含むエネルギーの変換は、同様に、ギヤボックス5と称される。圧縮空気を供給するために、圧縮空気コネクタ47は筐体2に設けられ、圧縮空気は、概略的に示される調節レバー48を用いて、ダクト49によってマルチディスクモータ46に供給される。代替の実施形態では、また、タービン車輪は、駆動装置として、マルチディスクモータの代わりに使用できる。また、第2の実施形態及び第3の実施形態の場合のように、過度のプリベリングトルクが生じる場合にクラッチ接続を開放する摩擦クラッチ50が設けられている。摩擦クラッチは実質的に同一の構造である。位置付けだけが、前述に説明した例示的実施形態と異なる。
【0062】
図7から分かり得るように、摩擦クラッチ50は、ローラベアリング15の駆動近位側にあるように副軸16に配置され、それぞれの場合、相互に近接にするように配置される以下の構成要素を含む。当該構成要素として、第1のクラッチ部として、副軸に固定して接続される環状溝及びラッチ凹部を有する円板と、ラッチボールを有し、副軸16に回転可能に搭載されるボールケージと、マルチディスクモータ46に固定して接続されるが、副軸16に対して回転するように、溝及びラッチ凹部を有する第1の円板に一致するように搭載される、第2の円板とが挙げられる。摩擦クラッチの機能モードは、本明細書では、前述に説明した摩擦クラッチのモードに対応する。
【0063】
また、本発明は、個々の例示的実施形態で説明され、分かりやすくするために、単に個々に説明されていない特性を組み合わせることから生じる全ての変形を含む。具体的には、示される全ての実施形態では、制振体は、力束方向において駆動装置から見えるとき、第1のギヤボックスのすぐ後ろに配置でき、したがって、また、第1のギヤボックスの出力側近位ギヤホイールのすぐ傍に配置できる。
【符号の説明】
【0064】
1a,1b,1c,1d フライス盤
2 筐体
3 第1のハンドル
4 電源ライン
5 ギヤボックス
6 第2のハンドル
7a 電気モータ
7b 圧縮空気モータ
8 スペーサ
9 接触面
10 フライス加工ヘッド
11 保持ピン
12 ロックピン
13 ベベルピニオン
14 ベベルギヤ
15 ローラベアリング
16 副軸
17 ギヤホイール
18 追加ギヤボックス
19 内部リングギヤ
20 カップ状円板
21 スピンドル
22a,22b 追加ローラベアリング
23 切削挿入部
24 接触ボールベアリング
25 径方向ボア
26 第1のスピンドル部
27 第2のスピンドル部
28 バネクラッチ
29 摩擦クラッチ
30 バネ
31 バネベアリング
32 カウンタベアリング
33 環状ウェブ
34 第1のクラッチ部
35 ラッチボール
36 ボールケージ
37 第2のクラッチ部
38 円板バネ
39 ワッシャ
40 バネベアリングの隙間
41 ジョー
42 摩擦クラッチ
43 円板
44 ボールケージ
45 円板バネ
46 マルチディスクモータ
47 圧縮空気コネクタ
48 調節レバー
49 ダクト
50 摩擦クラッチ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7