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  • 特許-デスク作業補助具 図1
  • 特許-デスク作業補助具 図2
  • 特許-デスク作業補助具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】デスク作業補助具
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20240501BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A47C27/00 K
A47B13/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021014038
(22)【出願日】2021-01-30
(65)【公開番号】P2022117523
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2021-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】521046457
【氏名又は名称】田代 国浩
(74)【代理人】
【識別番号】100133282
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 春喜
(74)【代理人】
【識別番号】100116780
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 雅子
(72)【発明者】
【氏名】田代 国浩
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】中村 則夫
【審判官】北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209734254(CN,U)
【文献】中国実用新案第206150843(CN,U)
【文献】中国実用新案第206453496(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0010271(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/00-5/01,A47B1/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に座ってデスク作業を行う際に使用されるデスク作業補助具であって、
デスクへの固定部と、該デスクへの固定部に直接連結されるとともに、作業者の左右の大胸筋部及び胸骨部を支持する胸受と、該胸受を保持し該胸受と該デスクとの角度を調整する胸受保持調整機構を有する胸受部と、該胸受部に直接連結されるとともに、顎受と、該顎受を保持しその高さ及び角度を調整する顎受保持調整機構を有する顎受部とを備えたデスク作業補助具。
【請求項2】
上記デスクへの固定部は、コの字状の金具でデスク端部を挟み込むことによりデスクへの装着を行うことを特徴とする請求項1に記載のデスク作業補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に座ってデスク作業を行う際に使用されるデスク作業補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでデスク作業に使用する椅子は、頭部、胸部の荷重を背もたれやヘッドレストによりスーパインで受けるものがほとんどである。
また、デスク作業時には、背もたれから体幹が離れるため、頭部、胸部の荷重は脊柱や骨盤にかかる。そのため、腰痛や肩こりが発生することがしばしばであった。
【0003】
社会の情報化が進み、また、勤務形態もテレワーク、ホームワークが推奨される近年は、家庭でのパソコン作業等のデスク作業が多くなっている。
特に、長時間にわたるパソコン作業等のデスク作業では、作業者の首・肩・腰への負担が大きくなり、腰痛や肩こり等の症例が多数発生している。
【0004】
このような状況にあって、作業者の首・肩・腰への負担の軽減のため多数の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、デスクに向かって着席した状態で作業を行う際に、腰に掛かる負担を軽減して良好な姿勢を保つことができるようにした、デスク作業用のクッションが提案されている。
【0005】
さらに、特許文献2では、デスク作業時における体への負担を回避するために、腹部、胸部、顎部までの前傾荷重を同時にサポートするようにしたデスク作業用のクッションが提案されている。
【0006】
これは、本体には腹部、胸部、顎までの前傾加重を同時にサポートするクッションを背面部に設け、使用者の頭部を置く顎乗せ部からの加重をデスクの天板上に乗せるだけで支えるアジャスターを設け、デスクの天板側面部への加重を受け止めるクッションを本体前面のアジャスター両脇に設け、断面が湾曲し且つ弾力性のある支柱を本体内部中央部に上下に亘り設けるものである。
【0007】
特許文献3では、卓上において使用するときに、上肢の疲労軽減に加えて、首、背及び腰などの疲労軽減に貢献できるデスク作業補助具が提案されている。
これは、卓上に置くことが可能で、かつ、置いた状態で前腕を載せることが可能な補助具本体と、上腕、肘及び前腕によって抱え込むことが可能で、かつ、補助具本体に着脱可能に接続することが可能なクッションとを備えるものである
【0008】
特許文献1ないし3にあるようなデスク作業用のクッションあるいはクッションを伴うデスク作業補助具では、次のような問題点がある。
(1)デスクに固定されていないため、体のブレ等により作業中にデスク作業用のクッションあるいはクッションを伴うデスク作業補助具が外れたり、デスクから脱落することがある。
(2)作業者の体形に応じて形状を調整する機能がないため、クッションあるいはクッションを伴うデスク作業補助具がその目的を十分果たせない場合がある。
【0009】
本明細書における「デスク」は、机、学習机、作業机、ダイニングテーブル等を含めた広義の「デスク」を意味する。
また、「デスク作業」は、上記デスクでの長時間の事務、執筆、描画、読書、パソコン操作、精密操作等の作業を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2005-177463号公報
【文献】特開2013-123635号公報
【文献】特許第5802348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決し、長時間のデスク作業による首・肩・腰への負担が少ないデスク作業補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(1)椅子に座ってデスク作業を行う際に使用されるデスク作業補助具であって、
デスクへの固定部と、該デスクへの固定部に直接連結されるとともに、作業者の左右の大胸筋部及び胸骨部を支持する胸受と、該胸受を保持し該胸受と該デスクとの角度を調整する胸受保持調整機構を有する胸受部と、該胸受部に直接連結されるとともに、顎受と、該顎受を保持しその高さ及び角度を調整する顎受保持調整機構を有する顎受部とを備えたデスク作業補助具。
(2)上記デスクへの固定部は、コの字状の金具でデスク端部を挟み込むことによりデスクへの装着を行うことを特徴とする上記(1)に記載のデスク作業補助具。
【発明の効果】
【0013】
本発明のデスク作業補助具によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)胸受けに預け、頭の重さは顎受けで支えているため、パソコン作業等のデスク作業による首・肩・腰への負担が大幅に軽減される。
(2)胸受を保持しその角度を調整する胸受保持調整機構及び受を保持しその高さ及び角度を調整する顎受保持調整機構を有するため、作業者の体形にあった形態でパソコン作業等のデスク作業を続けることができる。
(3)デスクへの固定部を備えているため、デスク作業補助具がデスク作業中に外れたり落下することがない。
(4)デスクへの固定部はコの字状の金具でデスク端部を挟み込むことによりデスクへの着脱を行うことにより、どのような机、テーブルにも簡単に装着できる。このため、場所を選ばずにデスク作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るデスク作業補助具の側面図である。
図2】本発明に係るデスク作業補助具の正面図である。
図3】本発明に係るデスク作業補助具の使用状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
本発明に係る、椅子に座ってデスク作業を行う際に使用されるデスク作業補助具について、図面を参照して以下詳細に説明する。
図1は、デスク作業補助具1の側面図であり、図2は、その正面図である。
本発明に係るデスク作業補助具1は、デスクへの固定部3と胸受部4と顎受部5とを備えている。
【0016】
デスクへの固定部3は、コの字状の金具12を有する。そして、コの字状の金具12をデスクの端部11の両端を挟むように取り付けることにより、デスクへの固定部3のデスク2への装着を行う。そして、コの字状の金具12に設けた固定レバーを締め付けることにより、デスクの端部11に完全に固定される。
【0017】
胸受部4は、デスクへの固定部3に連結されるとともに、作業者の左右の大胸筋部及び胸骨部を支持する胸受13と胸受保持調整機構14を有する。胸受保持調整機構14は、作業者の体形等に合うように胸受13の角度を調整する。
本実施例では、胸受保持調整機構14は、主支持材15、胸受を保持する胸受保持材16及び胸受角度調整材17で構成されている。
【0018】
主支持材15、胸受を保持する胸受保持材16及び胸受角度調整材17は、図1から分かるように、蝶番で結合されている。胸受角度調整材17には、長穴を開けた金属のプレート18が結合しており、調整後にノブボルト19で締め付けることにより胸受13の角度の調整を行う。
【0019】
顎受部5は、胸受部4に連結されるとともに、作業者の頭部を支持する顎受20と顎受保持調整機構21を有する。顎受保持調整機構21は、図1から分かるように、作業者の頭部の体形に合うように顎受20の高さ及び角度を調整する。
本実施例では、顎受20の高さの調整は、顎受保持調整機構21の下部に長穴をあけておいて、調整後ノブボルト22で締め付けることにより行っている。
【0020】
図2は、本発明に係るデスク作業補助具の正面図である。
顎受20は、クッション材で構成され、作業者の頭部を支持する。
胸受13は、クッション材で構成され、図1図2から分かるように、その左右の部分Aは、作業者の大胸筋を支持するため盛り上がっている。また、中央下部Bは、作業者の胸骨を支持する。
【0021】
図3は、本発明に係るデスク作業補助具の使用状態を示す図面である。
作業者は、椅子に座ってパソコンを用いたデスク作業を行っている。
本発明に係るデスク作業補助具では、胸受は、作業者の左右の大胸筋部及び胸骨部を支持し、顎受は、作業者の頭部を支持している。すなわち、デスク作業者は、上体を胸受けに預け、頭の重さは顎受で支えることができる。
このため、パソコン作業等のデスク作業によるデスク作業者の首・肩・腰への負担が大幅に軽減される。
【0022】
(本発明の技術的範囲)
本明細書に開示した実施例は、本発明に係るデスク作業補助具の理解を容易にするために例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、デスク作業補助具を作製するに当たって、適宜の設計変更が可能であることは言うまでもないことである。
【符号の説明】
【0023】
1 デスク作業補助具
2 デスク
3 デスクへの固定部
4 胸受部
5 顎受部
11 デスクの端部
12 コの字状の金具
13 胸受
14 胸受保持調整機構
15 主支持材
16 胸受保持材
17 胸受角度調整材
18 金属プレート
19 ノブボルト
20 顎受
21 顎受保持調整機構
22 ノブボルト
図1
図2
図3