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特許7481284キッティングシステム及びキッティング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】キッティングシステム及びキッティング方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
H04Q9/00 311A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021043884
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143402
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(73)【特許権者】
【識別番号】512172006
【氏名又は名称】株式会社日立システムズフィールドサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湊田 眞弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 純一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 公一
(72)【発明者】
【氏名】山根 毅士
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特許第6712009(JP,B1)
【文献】特開2019-067245(JP,A)
【文献】特開2020-098450(JP,A)
【文献】特開2017-049773(JP,A)
【文献】特開2009-016889(JP,A)
【文献】国際公開第2012/122630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作対象機器と、
前記複数の操作対象機器のそれぞれに接続される複数の子機と、
前記複数の操作対象機器のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報を前記複数の子機に送信する親機と、を備え、
各前記子機は、
前記親機から送信された自機宛の前記操作情報に含まれる前記操作指示を、自機に接続された前記操作対象機器を操作可能な形式の操作信号に変換する信号変換部と、
前記操作信号を自機に接続された前記操作対象機器に送信する操作信号送信部と、を有し、
作業者による前記操作指示の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作指示を前記親機に出力する操作指示入出力部を更に備え、
前記親機は、
前記複数の子機のうち、前記操作情報の宛先となる前記子機を個別に選択するための子機選択ボタンと、
前記子機選択ボタンにより選択された前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示とを紐づけた情報を前記操作情報として生成する操作情報生成部と、を有し、
前記子機選択ボタンは、前記親機が各前記子機を前記操作情報の宛先としているか否かを示すLEDをそれぞれ有しており、前記操作情報の宛先となっている前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは点灯し、前記操作情報の宛先となっていない前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは消灯することを特徴とするキッティングシステム。
【請求項2】
前記親機は、
前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示をメモリに記録する操作指示記録部と、
前記メモリに記録された前記操作指示を前記操作情報生成部に出力する操作指示再生部と、を更に有することを特徴とする請求項1に記載のキッティングシステム。
【請求項3】
各前記子機は、自機に接続された前記操作対象機器に前記操作信号を送信するか否かを選択するための送信選択部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキッティングシステム。
【請求項4】
前記操作情報が登録された変数テーブルから所望の前記操作指示を選択するための操作指示選択部を更に備え、
前記親機は、前記変数テーブルを記憶するメモリを有し、
前記変数テーブルに登録された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と前記操作指示とを紐づけた情報であることを特徴とする請求項に記載のキッティングシステム。
【請求項5】
前記操作情報が登録された変数テーブルを前記親機に出力する操作情報出力部と、
前記変数テーブルから所望の前記操作指示を選択するための操作指示選択部と、を更に備え、
前記変数テーブルに登録された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と前記操作指示とを紐づけた情報であることを特徴とする請求項1に記載のキッティングシステム。
【請求項6】
前記操作情報が記述されたスクリプトを前記親機に出力する操作情報出力部を更に備え、
前記スクリプトに記述された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示とを紐づけた情報であることを特徴とする請求項1に記載のキッティングシステム。
【請求項7】
複数の子機を複数の操作対象機器のそれぞれに接続するとともに、親機を前記複数の子機のそれぞれに接続する接続ステップと、
前記親機が、作業者の子機選択ボタンの操作に応じて、前記複数の操作対象機器のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報の宛先となる前記子機を個別に選択するステップと、
操作指示入出力部により、作業者による前記操作指示の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作指示を前記親機に出力するステップと、
前記子機選択ボタンにより選択された前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示とを紐づけた情報を前記操作情報として生成するステップと、
前記親機が、前記操作情報を前記複数の子機に送信する操作情報送信ステップと、
各前記子機が、前記操作情報送信ステップにより送信された自機宛の前記操作情報に含まれる前記操作指示を、自機に接続された前記操作対象機器を操作可能な形式の操作信号に変換する信号変換ステップと、
各前記子機が、前記操作信号を自機に接続された前記操作対象機器に送信する操作信号送信ステップと、を含み、
前記子機選択ボタンは、前記親機が各前記子機を前記操作情報の宛先としているか否かを示すLEDをそれぞれ有しており、前記操作情報の宛先となっている前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは点灯し、前記操作情報の宛先となっていない前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは消灯することを特徴とするキッティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッティングシステム及びキッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などのネットワーク端末や、これらのネットワーク端末に対して各種サービスを提供するコンピュータ(サーバ)の数が増大している。従来、多数のネットワーク端末やサーバのキッティング作業は作業員による手作業で行われていた。しかしながら、作業員ごとにスキルのばらつきがある場合には、キッティング作業の品質が安定しないという問題があった。さらに、近年は人手不足により、キッティング作業を行う作業員の確保が難しくなってきている。
【0003】
特許文献1には、キッティング作業を容易かつ効率的に実施するためのシステムが開示されている。このシステムでは、多数の装置をグループ化し、グループごとに異なるキー操作などの操作指示を配信することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6164046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来のキッティングシステムは、複数の操作対象機器に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、複数の操作対象機器に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できるキッティングシステム及びキッティング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るキッティングシステムは、複数の操作対象機器と、前記複数の操作対象機器のそれぞれに接続される複数の子機と、前記複数の操作対象機器のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報を前記複数の子機に送信する親機と、を備え、各前記子機は、前記親機から送信された自機宛の前記操作情報に含まれる前記操作指示を、自機に接続された前記操作対象機器を操作可能な形式の操作信号に変換する信号変換部と、前記操作信号を自機に接続された前記操作対象機器に送信する操作信号送信部と、を有し、作業者による前記操作指示の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作指示を前記親機に出力する操作指示入出力部を更に備え、前記親機は、前記複数の子機のうち、前記操作情報の宛先となる前記子機を個別に選択するための子機選択ボタンと、前記子機選択ボタンにより選択された前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示とを紐づけた情報を前記操作情報として生成する操作情報生成部と、を有し、前記子機選択ボタンは、前記親機が各前記子機を前記操作情報の宛先としているか否かを示すLEDをそれぞれ有しており、前記操作情報の宛先となっている前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは点灯し、前記操作情報の宛先となっていない前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは消灯する構成である。
【0008】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、各子機が、自機宛の操作情報に含まれる操作指示を自機に接続された操作対象機器に出力する構成になっているため、複数の操作対象機器に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できる。
【0010】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、作業者がUSBキーボードやUSBマウスなどの操作指示入出力部を用いてキー操作やマウス操作などの入力操作を行うことにより、複数の操作対象機器に操作指示を同時に入力することができる。これにより、高品質かつ同一品質なキッティング作業を一人又は少人数の作業者で行うことが可能になる。
【0012】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、親機が操作情報の宛先となる子機を選択するための子機選択ボタンを有するため、操作情報を所望の子機に送信することができる。
【0013】
また、本発明に係るキッティングシステムにおいては、前記親機は、前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示をメモリに記録する操作指示記録部と、前記メモリに記録された前記操作指示を前記操作情報生成部に出力する操作指示再生部と、を更に有する構成であってもよい。
【0014】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、操作指示入出力部により入力された操作指示を記録したり再生したりすることができる。これにより、本発明に係るキッティングシステムは、あらかじめ記録した操作情報を所望のタイミングで複数の子機に送信することができる。
【0015】
また、本発明に係るキッティングシステムにおいては、各前記子機は、自機に接続された前記操作対象機器に前記操作信号を送信するか否かを選択するための送信選択部を有する構成であってもよい。
【0016】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、例えば、子機と特定の操作対象機器とを切り離して、特定の操作対象機器に備わっている入力装置を用いて直接キッティング作業を行うことが可能になる。
【0017】
また、本発明に係るキッティングシステムは、前記操作情報が登録された変数テーブルから所望の前記操作指示を選択するための操作指示選択部を更に備え、前記親機は、前記変数テーブルを記憶するメモリを有し、前記変数テーブルに登録された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と前記操作指示とを紐づけた情報である構成であってもよい。
【0018】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、操作情報が登録された変数テーブルを親機のメモリに記憶させる構成となっているため、複数の操作対象機器に対するキッティング作業を自動化することができる。
【0019】
また、本発明に係るキッティングシステムは、前記操作情報が登録された変数テーブルを前記親機に出力する操作情報出力部と、前記変数テーブルから所望の前記操作指示を選択するための操作指示選択部と、を更に備え、前記変数テーブルに登録された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と前記操作指示とを紐づけた情報である構成であってもよい。
【0020】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、操作情報が登録された変数テーブルを親機に出力する構成となっているため、複数の操作対象機器に対するキッティング作業を自動化することができる。
【0021】
また、本発明に係るキッティングシステムは、前記操作情報が記述されたスクリプトを前記親機に出力する操作情報出力部を更に備え、前記スクリプトに記述された前記操作情報は、各前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示とを紐づけた情報である構成であってもよい。
【0022】
この構成により、本発明に係るキッティングシステムは、操作情報が記述されたスクリプトやプログラムの外部関数を親機に出力する構成となっているため、複数の操作対象機器に対するキッティング作業を自動化することができる。例えば、親機は、操作情報が記述されたスクリプトやプログラムの外部関数を実行することで、CSVファイル等から操作対象機器固有の値を適宜抽出し、複数の操作対象機器に対して同時に異なる操作指示を効率的に行うことができる。
【0023】
また、本発明に係るキッティング方法は、複数の子機を複数の操作対象機器のそれぞれに接続するとともに、親機を前記複数の子機のそれぞれに接続する接続ステップと、前記親機が、作業者の子機選択ボタンの操作に応じて、前記複数の操作対象機器のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報の宛先となる前記子機を個別に選択するステップと、操作指示入出力部により、作業者による前記操作指示の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作指示を前記親機に出力するステップと、前記子機選択ボタンにより選択された前記子機を識別するための子機識別情報と、前記操作指示入出力部により入力された前記操作指示とを紐づけた情報を前記操作情報として生成するステップと、前記親機が、前記操作情報を前記複数の子機に送信する操作情報送信ステップと、各前記子機が、前記操作情報送信ステップにより送信された自機宛の前記操作情報に含まれる前記操作指示を、自機に接続された前記操作対象機器を操作可能な形式の操作信号に変換する信号変換ステップと、各前記子機が、前記操作信号を自機に接続された前記操作対象機器に送信する操作信号送信ステップと、を含み、前記子機選択ボタンは、前記親機が各前記子機を前記操作情報の宛先としているか否かを示すLEDをそれぞれ有しており、前記操作情報の宛先となっている前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは点灯し、前記操作情報の宛先となっていない前記子機の前記子機選択ボタンの前記LEDは消灯する構成である。
【0024】
本発明は、複数の操作対象機器に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できるキッティングシステム及びキッティング方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムの構成を示す構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態における親機の制御部の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における親機のボタン群の構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態における親機の状態遷移を説明するための遷移図(その1)である。
図5】本発明の第1の実施形態における親機の状態遷移を説明するための遷移図(その2)である。
図6】本発明の第1の実施形態における子機の制御部の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態における子機の送信ON/OFFボタンの構成を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態における子機の状態遷移を説明するための遷移図である。
図9】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例1)を説明する説明図である。
図10】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例2)を説明する説明図である。
図11】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例3)を説明する説明図である。
図12】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例4-1)を説明する説明図である。
図13】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例4-2)を説明する説明図である。
図14】本発明の第1の実施形態におけるキッティングシステムを用いるキッティング方法の処理を示すフローチャートである。
図15】本発明の第2の実施形態におけるメモリに記憶される変数テーブルの例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態におけるキッティングシステムを用いるキッティング方法の処理を示すフローチャートである。
図17】本発明の第3の実施形態におけるキッティングシステムの構成を示す構成図である。
図18】本発明の第3の実施形態におけるコンソールPCから出力されるスクリプトのスクリプト言語の例を示す表である。
図19】本発明の第3の実施形態におけるコンソールPCから出力されるスクリプトの例を示す表である。
図20】本発明の第3の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例5)を説明する説明図である。
図21】本発明の第3の実施形態におけるキッティングシステムのデータの流れ(例6)を説明する説明図である。
図22】本発明の第3の実施形態におけるキッティングシステムを用いるキッティング方法の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るキッティングシステム及びキッティング方法の実施形態について図面を用いて説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るキッティングシステム1は、操作指示入出力部10と、キッティング装置20と、複数の操作対象機器60と、を備える。
【0028】
操作指示入出力部10は、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作指示を作業者が入力するためのものである。例えば、操作指示入出力部10として、USBキーボード、USBマウス、バーコードリーダ、QRコードリーダ、液晶タブレットなどのUSBケーブルで接続可能な機器を利用することができる。なお、QRコードは登録商標である。操作指示入出力部10は、作業者による操作指示の入力を受け付けるとともに、入力された操作指示を後述するキッティング装置20の親機30に出力するようになっている。
【0029】
複数の操作対象機器60は、例えば、サーバ、PC、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などのUSBケーブルで接続可能な機器である。各操作対象機器60は、USBケーブル73を介して後述するキッティング装置20の子機50のUSBポート55と接続するためのUSBポート61を有している。
【0030】
キッティング装置20は、ACアダプタ21と、USBハブ22と、操作指示入出力部10に接続される親機30と、複数の操作対象機器60のそれぞれに接続される複数の子機50と、を備える。ACアダプタ21は、外部の電源70から供給される交流電流を直流電流に変換するようになっている。USBハブ22は、操作指示入出力部10と親機30とをUSBケーブル71を介して接続するようになっている。
【0031】
親機30は、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報を複数の子機50に送信するためのものであり、制御装置31と、メモリ32と、DCポート33と、USBポート34と、RS-485インタフェース35と、コンソール用RJ45ポート36と、出力RJ45ポート37と、ボタン群38と、を有する。
【0032】
制御装置31は、親機30を構成する各部の制御を行うとともに、子機50への操作情報の送信制御を行うようになっている。制御装置31は、ファームウェアの実行により制御処理を行う制御部39を備えている。制御部39の制御処理の内容は、必要に応じてファームウェアを書き換えることで変更することができる。メモリ32は、後述する記録データを記録するようになっている。
【0033】
図2に示すように、制御部39は、操作情報生成部39aと、操作情報送信部39bと、操作指示記録部39cと、操作指示再生部39dと、を含む。操作情報生成部39aは、後述する子機選択ボタン40により選択された子機50を識別するための子機識別情報としての子機番号#0~#15と、操作指示入出力部10により入力された操作指示とを紐づけた情報を操作情報として生成するようになっている。操作情報送信部39bは、操作情報生成部39aにより生成された操作情報をRS-485インタフェース35を介して複数の子機50に送信するようになっている。操作指示記録部39cは、操作指示入出力部10により入力された操作指示をメモリ32に記録するようになっている。操作指示再生部39dは、メモリ32に記録された操作指示のデータ(以下、「記録データ」とも称する)を操作情報生成部39aに出力するようになっている。
【0034】
DCポート33は、ACアダプタ21から出力される直流電流を制御装置31に入力するためのポートである。USBポート34は、USBケーブル71を介してUSBハブ22と接続するためのポートである。RS-485インタフェース35は、操作情報をRS-485規格に従って子機50に向けて送信するためのインタフェースである。コンソール用RJ45ポート36は、コンソールPCを接続するためのポートである。出力RJ45ポート37は、UTPケーブル72を介して子機50の入力RJ45ポート53と接続するためのポートである。
【0035】
ボタン群38は、図3に示すように、子機選択ボタン40と、PLAY/PAUSEボタン41と、RECボタン42と、ALL OFFボタン43と、ALL ONボタン44と、を含む。なお、ボタン群38を構成する各ボタンの機能や動作は、ファームウェアを書き換えることにより適宜変更可能である。
【0036】
子機選択ボタン40は、子機選択部を構成するものであり、複数の子機50のうち、操作情報の宛先となる子機50を選択するためのボタンである。ここで、子機選択ボタン40に表示されている0から15までの番号は、16個の子機50を識別するための子機番号#0~#15にそれぞれ対応している。以降では、子機番号#0~#15の子機50をそれぞれ子機#0~#15とも称する。なお、子機50の個数は16個に限定されるものではなく、任意の個数であってよい。
【0037】
また、子機選択ボタン40は、親機30が各子機50を操作情報の宛先としているか否かを示すLED40aをそれぞれ有している。LED40aの緑色の点灯は、LED40aが緑色に点灯している子機選択ボタン40に対応する子機50を操作情報の宛先としている状態(以下、「信号送信状態」とも称する)であることを示している。一方、LED40aの消灯は、LED40aが消灯している子機選択ボタン40に対応する子機50を操作情報の宛先としていない状態(以下、「信号切断状態」とも称する)であることを示している。
【0038】
PLAY/PAUSEボタン41とRECボタン42は、操作指示入出力部10において入力された操作指示の再生や記録を行うためのボタンであり、それぞれLED41aとLED42aを有している。ここで、操作指示の記録とは、操作指示入出力部10において入力された操作指示をメモリ32に記録することを意味する。また、操作指示の再生とは、メモリ32に記録された操作指示の記録データを操作情報生成部39aに出力することを意味する。
【0039】
ALL OFFボタン43は、子機選択部を構成するものであり、全ての子機50を操作情報の宛先としないように設定するためのボタンである。一方、ALL ONボタン44は、子機選択部を構成するものであり、全ての子機50を操作情報の宛先とするように設定するためのボタンである。
【0040】
図4及び図5は、親機30の状態遷移を説明するための遷移図である。図4の1段目に示すように、親機30がACアダプタ21及びDCポート33を介して電源70に接続されると、全ての子機選択ボタン40のLED40aが緑色に点灯し、親機30が全ての子機50に対して信号送信状態になる。
【0041】
図4の2段目に示すように、LED40aが点灯している子機選択ボタン40が押下されると、押下された子機選択ボタン40のLED40aが消灯し、親機30はLED40aが消灯した子機選択ボタン40に対応する子機50に対して信号切断状態に遷移する。一方、LED40aが消灯した子機選択ボタン40が押下されると、押下された子機選択ボタン40のLED40aが点灯し、親機30はLED40aが点灯した子機選択ボタン40に対応する子機50に対して信号送信状態に遷移する。
【0042】
図4の3段目に示すように、ALL ONボタン44が押下されると、全ての子機選択ボタン40のLED40aが点灯し、親機30は全ての子機50に対して信号送信状態に遷移する。一方、図3の4段目に示すように、ALL OFFボタン43が押下されると、全ての子機選択ボタン40のLED40aが消灯し、親機30は全ての子機50に対して信号切断状態に遷移する。
【0043】
図5に示すように、初期状態では、PLAY/PAUSEボタン41のLED41aと、RECボタン42のLED42aは共に消灯している。この初期状態においてPLAY/PAUSEボタン41とRECボタン42とが同時に押下されると、PLAY/PAUSEボタン41のLED41aが黄色に点滅するとともに、RECボタン42のLED42aが赤色に点灯し、操作指示入出力部10において入力された操作指示をメモリ32に記録する「記録中状態」に遷移する。
【0044】
記録中状態においてPLAY/PAUSEボタン41又はRECボタン42が押下されると、PLAY/PAUSEボタン41のLED41aが黄色に点灯するとともに、RECボタン42のLED42aが消灯し、操作指示入出力部10において入力された操作指示の記録を停止する「記録・再生停止状態」に遷移する。
【0045】
記録・再生停止状態においてRECボタン42が連続して3秒間押下されると、初期状態に遷移する。また、記録・再生停止状態においてPLAY/PAUSEボタン41が押下されると、PLAY/PAUSEボタン41のLED41aが点滅し、メモリ32に記録された記録データを再生する「記録データ再生中状態」に遷移する。
【0046】
記録データ再生中状態において記録データの再生が終了すると、記録データの再生を停止する「記録・再生停止状態」に遷移する。また、記録データ再生中状態においてPLAY/PAUSEボタン41が押下されると、PLAY/PAUSEボタン41のLED41aが素早く点滅し、記録データの再生を一時停止する「記録データ再生一時停止状態」に遷移する。
【0047】
記録データ再生一時停止状態においてPLAY/PAUSEボタン41が3秒未満の時間で押下されると、記録データの再生を再開する「記録データ再生中状態」に遷移する。また、記録データ再生一時停止状態においてPLAY/PAUSEボタン41が連続して3秒間押下されると、記録・再生停止状態に遷移する。
【0048】
子機50は、親機30から送信された自機宛の操作情報を受信し、受信した操作情報に含まれる操作指示を、自機に接続された操作対象機器60を操作可能な形式の操作信号に変換するものである。ここで、操作信号とは、USBキーボードやUSBマウスなどの入力装置から出力される信号を模擬した信号である。すなわち、子機50は、操作対象機器60において、USBキーボードやUSBマウスなどの入力装置として認識される。
【0049】
図1に示すように、各子機50は、制御装置51と、RS-485インタフェース52と、入力RJ45ポート53と、出力RJ45ポート54と、USBポート55と、番号設定スイッチ56と、送信ON/OFFボタン57と、を有する。
【0050】
制御装置51は、子機50を構成する各部の制御を行うとともに、親機30からの操作情報の受信制御、操作対象機器60のキーボード制御やマウス制御などを行うようになっている。制御装置51は、ファームウェアの実行により制御処理を行う制御部59を備えている。制御部59の制御処理の内容は、必要に応じてファームウェアを書き換えることで変更することができる。番号設定スイッチ56と送信ON/OFFボタン57による設定内容は、ファームウェアに書き込まれる。なお、番号設定スイッチ56と送信ON/OFFボタン57の機能や動作は、ファームウェアを書き換えることにより適宜変更可能である。
【0051】
図6に示すように、制御部59は、操作情報受信部59aと、信号変換部59bと、操作信号送信部59cと、を含む。操作情報受信部59aは、親機30から送信された自機宛の操作情報をRS-485インタフェース52を介して受信するようになっている。信号変換部59bは、操作情報受信部59aにより受信された操作情報に含まれる操作指示を、自機に接続された操作対象機器60を操作可能な形式の操作信号に変換するようになっている。また、操作信号送信部59cは、信号変換部59bから出力された操作信号を自機に接続された操作対象機器60に送信するようになっている。
【0052】
RS-485インタフェース52は、親機30から送信された操作情報をRS-485規格に従って受信するためのインタフェースである。入力RJ45ポート53は、UTPケーブル72を介して親機30の出力RJ45ポート37と接続するためのポートである。出力RJ45ポート54は、UTPケーブル72を介して他の子機50の入力RJ45ポート53や終端抵抗と接続するためのポートである。USBポート55は、USBケーブル73を介して操作対象機器60のUSBポート61と接続するためのポートである。なお、子機50の制御装置51は、自機が接続された操作対象機器60からUSBケーブル73及びUSBポート55を介して電力が供給されるようになっている。番号設定スイッチ56は、各子機50に子機番号#0~#15を設定するためのスイッチである。
【0053】
なお、図1に示す構成では、複数の子機50がUTPケーブル72によって互いに直列に接続されているが、本発明はこれに限定されず、複数の子機50が互いに並列に接続されていてもよい。
【0054】
図7に示す送信ON/OFFボタン57は、送信選択部を構成するものであり、自機に接続された操作対象機器60に操作信号を送信するか否かを選択するためのボタンである。また、送信ON/OFFボタン57が有するLED57aは、子機50が操作対象機器60に操作情報を送信可能な状態であるか否かを示すようになっている。ここで、LED57aの点灯は、子機50が操作対象機器60に操作情報を送信可能な状態(以下、「接続状態」とも称する)であることを示している。一方、LED57aの消灯は、子機50が操作対象機器60に操作情報を送信不可能な状態(以下、「切断状態」とも称する)であることを示している。
【0055】
図8は、子機50の状態遷移を説明するための遷移図である。図8の1段目に示すように、子機50がUSBポート55を介して操作対象機器60に接続されると、送信ON/OFFボタン57のLED57aが緑色に点灯し、接続状態になる。
【0056】
図8の2段目に示すように、接続状態において送信ON/OFFボタン57が押下されると、LED57aが消灯し、切断状態に遷移する。一方、切断状態において送信ON/OFFボタン57が押下されると、LED57aが緑色に点灯し、接続状態に遷移する。
【0057】
以下、本発明の第1の実施形態に係るキッティングシステム1におけるデータの流れを説明する。
【0058】
[例1]
図9に示す例1では、まず、作業者は、各子機50の番号設定スイッチ56を所望の子機番号に設定する。例1では、少なくとも2つの子機50にそれぞれ子機番号#0,#1が設定されている。次に、作業者は、親機30にUSBキーボード11を接続し、子機#0,#1にPC60A,60Bを接続する。ここで、USBキーボード11は操作指示入出力部10の一例であり、PC60A,60Bは操作対象機器60の一例である。
【0059】
次に、作業者は、子機#0,#1の送信ON/OFFボタン57のLED57aを緑色に点灯させて、子機#0,#1の状態をPC60A,60Bに対する接続状態に遷移させる。次に、作業者は、親機30の子機選択ボタン40のうち、子機番号#0,#1に対応する子機選択ボタン40のLED40aを緑色に点灯させて、親機30の状態を子機#0,#1に対する信号送信状態に遷移させる。
【0060】
次に、作業者は、操作指示として例えば文字列「ABC」をUSBキーボード11に入力する。親機30の制御装置31は、USBキーボード11から出力された文字列「ABC」のデータに子機番号#0,#1を付加した操作情報を生成する。制御装置31により生成された操作情報は、子機#0,#1の制御装置51に順次入力される。
【0061】
子機#0の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#0を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABC」のデータを、子機#0に接続されたPC60Aを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Aに送信する。PC60Aは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABC」を表示する。
【0062】
同様に、子機#1の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#1を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABC」のデータを、子機#1に接続されたPC60Bを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Bに送信する。PC60Bは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABC」を表示する。
【0063】
[例2]
図10に示す例2は、作業者が、親機30の子機番号#1に対応する子機選択ボタン40のLED40aを緑色に点灯させて、親機30の状態を子機#1のみに対する信号送信状態に遷移させる点で例1と異なる。
【0064】
このため、親機30の制御装置31は、文字列「ABC」のデータに子機番号#1のみを付加した操作情報を生成する。制御装置31により生成された操作情報は、子機#0,#1の制御装置51に順次入力される。
【0065】
子機#0の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#0を検出しないため、操作信号を子機#0に接続されたPC60Aに送信しない。PC60Cは、操作信号を受信しないため、モニタに何も表示しない。
【0066】
一方、子機#1の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#1を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABC」のデータを、子機#1に接続されたPC60Bを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Bに送信する。PC60Bは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABC」を表示する。
【0067】
[例3]
図11に示す例3は、作業者が、子機#0の送信ON/OFFボタン57のLED57aを消灯させて、子機#0の状態をPC60Aに対する切断状態に遷移させる点で例1と異なる。
【0068】
このため、子機#0の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#0を検出するが、PC60Aに対して切断状態になっているため、操作信号をPC60Aに送信しない。PC60Cは、操作信号を受信しないため、モニタに何も表示しない。
【0069】
一方、子機#1の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#1を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABC」のデータを、子機#1に接続されたPC60Bを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Bに送信する。PC60Bは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABC」を表示する。
【0070】
[例4-1]
図12に示す例4-1は、USBキーボード11に入力された操作指示をメモリ32に記録する手順を示している。
【0071】
作業者が、親機30のPLAY/PAUSEボタン41とRECボタン42とを同時に押下すると、親機30の制御装置31は、親機30の状態を記録中状態に遷移させる。
【0072】
次に、作業者は、操作指示として例えば文字列「ABC」をUSBキーボード11に入力する。親機30の制御装置31は、USBキーボード11から出力された文字列「ABC」のデータをメモリ32に記録する。次に、作業者は、PLAY/PAUSEボタン41又はRECボタン42を押下する。この操作により、親機30の状態が記録中状態から記録・再生停止状態に遷移する。
【0073】
[例4-2]
図13に示す例4-2は、例4-1において親機30のメモリ32に記録された文字列「ABC」のデータを、子機50に送信する手順を示している。なお、子機50に関する設定は、例3と同様である。
【0074】
作業者が、親機30のPLAY/PAUSEボタン41を押下すると、親機30の状態が記録・再生停止状態から記録データ再生中状態に遷移する。これにより、親機30の制御装置31は、メモリ32に記録されている文字列「ABC」の記録データを読み出す。制御装置31は、文字列「ABC」の記録データに子機番号#0,#1を付加した操作情報を生成する。制御装置31により生成された操作情報は、子機#0,#1の制御装置51に順次入力される。
【0075】
以下、本実施形態のキッティングシステム1を用いるキッティング方法について、図1の構成図と図14のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
【0076】
まず、作業者は、複数の操作対象機器60のそれぞれに複数の子機50を接続するとともに、複数の子機50のそれぞれに親機30を接続する。さらに、作業者は、親機30に操作指示入出力部10を接続する(接続ステップS1)。
【0077】
次に、各子機50は、作業者の番号設定スイッチ56の操作に応じて、自機の子機番号を設定する(ステップS2)。
【0078】
次に、各子機50は、作業者の送信ON/OFFボタン57の操作に応じて、自機に接続された操作対象機器60に対する接続状態又は切断状態に遷移する(ステップS3)。
【0079】
次に、親機30は、作業者の子機選択ボタン40の操作に応じて、操作情報の宛先となる子機50を選択する(ステップS4)。
【0080】
次に、作業者は、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作指示を操作指示入出力部10に入力する(ステップS5)。
【0081】
次に、親機30は、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作指示に子機番号を付加した操作情報を複数の子機50に送信する(操作情報送信ステップS6)。
【0082】
次に、各子機50は、受信した操作情報に自機の子機番号が含まれているか否かを判断する(ステップS7)。自機の子機番号が含まれていない操作情報を受信した子機50は、処理を終了する。
【0083】
次に、自機の子機番号が含まれている操作情報を受信した子機50は、自機の送信ON/OFFボタン57の状態が接続状態(ON状態)であるか切断状態(OFF状態)であるかを判断する(ステップS8)。自機の送信ON/OFFボタン57の状態が切断状態(OFF状態)である子機50は、処理を終了する。
【0084】
次に、送信ON/OFFボタン57の状態が接続状態(ON状態)である子機50は、操作情報送信ステップS6により送信された自機宛の操作情報に含まれる操作指示を、自機に接続された操作対象機器60を操作可能な形式の操作信号に変換する(信号変換ステップS9)。
【0085】
次に、送信ON/OFFボタン57の状態が接続状態(ON状態)である子機50は、自機に接続された操作対象機器60に、例えばキーボードやマウスの操作信号を送信する(操作信号送信ステップS10)。
【0086】
なお、ステップS2~S10の処理は、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るキッティングシステム1は、各子機50が、自機宛の操作情報に含まれる操作指示を自機に接続された操作対象機器60に出力する構成になっているため、複数の操作対象機器60に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できる。
【0088】
また、本実施形態に係るキッティングシステム1は、作業者がUSBキーボードやUSBマウスなどの操作指示入出力部10を用いてキー操作やマウス操作などの入力操作を行うことにより、複数の操作対象機器60に操作指示を同時に入力することができる。これにより、高品質かつ同一品質なキッティング作業を一人又は少人数の作業者で行うことが可能になる。
【0089】
また、本実施形態に係るキッティングシステム1は、親機30が操作情報の宛先となる子機50を選択するための子機選択ボタン40、ALL OFFボタン43、及びALL ONボタン44を有するため、操作情報を所望の子機50に送信することができる。
【0090】
また、本実施形態に係るキッティングシステム1は、操作指示入出力部10により入力された操作指示を記録したり再生したりすることができる。これにより、本実施形態に係るキッティングシステム1は、あらかじめ記録した操作情報を所望のタイミングで複数の子機50に送信することができる。
【0091】
また、本実施形態に係るキッティングシステム1は、子機50が自機に接続された操作対象機器60に操作信号を送信するか否かを選択するための送信ON/OFFボタン57を有する。これにより、例えば、子機50と特定の操作対象機器60とを切り離して、特定の操作対象機器60に備わっている入力装置を用いて直接キッティング作業を行うことが可能になる。
【0092】
また、本実施形態に係るキッティングシステム1は、親機30と複数の子機50との間をLANケーブル(UTPケーブル72)で接続する構成となっている。このため、例えば、オフィスの複数の机にそれぞれ設置されたPCなどのように、複数の操作対象機器60間の距離が比較的長い場合であっても、キッティング作業を容易に実行することが可能になる。
【0093】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係るキッティングシステム及びキッティング方法について、図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
【0094】
第2の実施形態に係るキッティングシステム2は、操作情報が登録された変数テーブルを親機30が有するメモリ32に記憶させる点で、第1の実施形態に係るキッティングシステム1と異なる。ここで、メモリ32は、操作情報が登録された変数テーブルを親機30の制御装置31に出力する操作情報出力部を構成する。あるいは、コンソール用RJ45ポート36に接続されたコンソールPCを操作情報出力部とすることも可能である。
【0095】
図15は、変数テーブルの一例である。変数テーブルは、子機番号#0~#15と、各子機50に接続された各操作対象機器60に対する操作指示とを紐づけた情報を操作情報として登録している。図15の例では、操作指示番号01~03で表される3とおりの操作指示の組が子機番号#0~#15にそれぞれ割り当てられている。なお、操作指示番号は、数字ではなく、アルファベットでもよい。
【0096】
操作指示番号01~03の選択は、例えば、USBキーボード11などのキーボードで行うことができる。ここで、USBキーボード11は、変数テーブルから所望の操作指示を選択するための操作指示選択部を構成する。
【0097】
つまり、本実施形態のキッティングシステム2は、図15のような変数テーブルに基づいて、操作対象機器60ごとに個別の操作指示を割り当てる処理を行うものであり、この処理を行うモードを「操作対象別入力モード」と呼ぶ。これに対して、第1の実施形態のキッティングシステム1は、選択された操作対象機器60に同一の操作指示を割り当てる処理を行うものであり、この処理を行うモードを「同時入力モード」と呼ぶ。なお、親機30は、同時入力モードから操作対象別入力モードへの移行を示すLEDを備えていると、操作性が向上するため好ましい。
【0098】
以下、本実施形態のキッティングシステム2を用いるキッティング方法について、図15の変数テーブルと、図16のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
【0099】
まず、作業者は、複数の操作対象機器60のそれぞれに複数の子機50を接続するとともに、複数の子機50のそれぞれに親機30を接続する。さらに、作業者は、親機30に操作指示入出力部10を接続する(接続ステップS21)。
【0100】
次に、親機30の制御装置31は、USBキーボード11からあらかじめ定められた特殊文字が入力されたか否かを判断する(ステップS22)。この特殊文字は、例えば、「$$」などの通常使用しないキーであることが望ましい。
【0101】
ステップS22においてUSBキーボード11から特殊文字が入力されたと判断された場合、制御装置31は、操作対象別入力モードへ移行する(ステップS23)。
【0102】
次に、制御装置31は、特殊文字に続いてUSBキーボード11により入力される文字列を読み取る(ステップS24)。
【0103】
次に、制御装置31は、メモリ32に登録された変数テーブルにおいて、ステップS24で入力された文字列に対応する列を参照する(ステップS25)。例えば、ステップS24で「01」が入力された場合には、制御装置31は、変数テーブルの操作指示番号01の列を参照する。
【0104】
次に、制御装置31は、子機番号#nと、ステップS25で参照した列の子機番号#nに対応する操作指示を読み出す(ステップS26)。図15の例では、nの初期値は0であり、nの最大値は15である。また、操作指示番号が01でnが2のときの操作指示は「BCBC」である。
【0105】
次に、制御装置31は、ステップS26で読み出した操作指示に子機番号#nを付加した操作情報を複数の子機50に送信する(操作情報送信ステップS27)。
【0106】
次に、子機番号#nの子機50は、操作情報送信ステップS27により送信された自機宛の操作情報に含まれる操作指示を、自機に接続された操作対象機器60を操作可能な形式の操作信号(例えばキー入力)に変換する(信号変換ステップS28)。
【0107】
次に、子機番号#nの子機50は、自機に接続された操作対象機器60に上記の操作信号を送信する(操作信号送信ステップS29)。
【0108】
次に、制御装置31は、nが15に到達したか否かを判断する(ステップS30)。nが15に到達していない場合には、制御装置31は、ステップS31の処理を実行する。一方、nが15に到達した場合には、制御装置31は、操作対象別入力モードを終了して同時入力モードに戻る。
【0109】
ステップS31において制御装置31は、nの値を1インクリメントして、再びステップS26以降の処理を実行する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係るキッティングシステム2は、各子機50が、自機宛の操作情報に含まれる操作指示を自機に接続された操作対象機器60に出力する構成になっているため、複数の操作対象機器60に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できる。
【0111】
また、本実施形態に係るキッティングシステム2は、操作情報が登録された変数テーブルを親機30のメモリに記憶させる構成となっているため、複数の操作対象機器60に対するキッティング作業を自動化することができる。
【0112】
あるいは、本実施形態に係るキッティングシステム2は、操作情報が登録された変数テーブルをコンソールPCなどから親機30に出力する構成となっているため、複数の操作対象機器60に対するキッティング作業を自動化することができる。
【0113】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係るキッティングシステム及びキッティング方法について、図面を参照しながら説明する。なお、第1又は第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1又は第2の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
【0114】
図17に示すように、第3の実施形態に係るキッティングシステム3は、コンソールPC16と、キッティング装置23と、複数の操作対象機器60と、を備える。
【0115】
コンソールPC16は、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作指示を含む操作情報が記述されたスクリプトやプログラムの外部関数を親機30に出力するものであり、操作情報出力部を構成する。
【0116】
キッティング装置23は、ACアダプタ21と、コンソール接続アダプタ24と、親機30と、複数の子機50と、を備える。コンソール接続アダプタ24は、コンソールPC16からUSBケーブル74を介して入力されたスクリプトをRS-485規格の信号に変換するとともに、RS-485規格の信号に変換されたスクリプトをUTPケーブル75を介して親機30のコンソール用RJ45ポート36に出力するようになっている。
【0117】
コンソールPC16から出力されるスクリプトは、例えば図18に示すようなスクリプト言語で記述される。例えば、スクリプトは、図19に示すような操作情報が記述されたCSVファイルや外部関数を適宜読み出すことができる。図19は、子機番号と、各子機50に接続された各操作対象機器60に対する操作指示とを紐づけた操作情報を、複数の操作対象機器60に対する操作順に記述したスクリプトファイルの例を示したものである。
【0118】
図19に示すスクリプトAは、子機#1に接続された操作対象機器60に対して、キー操作「ABCDEF」を行った後に、マウスポインタを座標「X:100,Y:100」に配置する処理を表している。
【0119】
また、図19に示すスクリプトBは、子機#1,#2,#3にそれぞれ接続された操作対象機器60に対して、[CTRL]キーと[A]キーを同時に押下するキー操作を行った後に、マウスポインタをX方向に+100、Y方向に-100だけ移動する処理を表している。
【0120】
また、図19に示すスクリプトCは、全ての子機50にそれぞれ接続された操作対象機器60に対して順次実行されるものであり、以下の処理を表している。
【0121】
・[SHIFT]キーと[A]キーを同時に押下するキー操作を行う。
・[CAPSLOCK]キーをオンにした後にオフにするキー操作を行う。
・[CTRL]キーと[ALT]キーと[DELETE]キーを同時に押下するキー操作を行う。
・[TAB]キーを押下するキー操作を行う。
・カーソルキー[↓]を押下するキー操作を行う。
・カーソルキー[↑]を押下するキー操作を行う。
・[漢字]キーを押下するキー操作を行う。
・[ひらがな]キーを押下するキー操作を行う。
・[カタカナ]キーを押下するキー操作を行う。
・[F8]キーを押下するキー操作を行う。
【0122】
また、図19に示すスクリプトDは、全ての子機50にそれぞれ接続された操作対象機器60に対して、左ボタンをクリックし、右ボタンをオンにした後にオフにし、左ボタンをダブルクリックするマウス操作を行う処理を表している。
【0123】
また、図19に示すスクリプトEは、全ての子機50にそれぞれ接続された操作対象機器60に対して、マウスホイールを+100だけスクロールするマウス操作を行う処理を表している。
【0124】
親機30の制御部39の操作情報送信部39bは、コンソール用RJ45ポート36に入力されたスクリプトから、複数の操作対象機器60のそれぞれに対する操作情報を抽出し、抽出した操作情報をRS-485インタフェース35を介して複数の子機50に送信するようになっている。
【0125】
以下、本発明の第3の実施形態に係るキッティングシステム3におけるデータの流れを説明する。
【0126】
[例5]
図20に示す例5では、まず、作業者は、少なくとも2つの子機50の番号設定スイッチ56をそれぞれ子機番号#0,#1に設定する。次に、作業者は、親機30にコンソールPC16を接続し、子機#0,#1にPC60A,60Bを接続する。ここで、PC60A,60Bは操作対象機器60の一例である。なお、本実施形態においては、子機50の送信ON/OFFボタン57や、親機30の子機選択ボタン40、ALL ONボタン44、及びALL OFFボタン43の設定は無効になる。
【0127】
次に、作業者は、コンソールPC16から親機30の制御装置31にスクリプトを入力する。ここでは、スクリプトに「PUT #ALL KEYBOARD "ABCDEF"」と記述されているものとする。親機30の制御装置31は、「#ALL KEYBOARD "ABCDEF"」を操作情報として子機#0,#1の制御装置51に順次入力する。
【0128】
子機#0の制御装置51は、入力された操作情報から自機を含む子機番号#ALLを検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABCDEF」のデータを、子機#0に接続されたPC60Aを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Aに送信する。PC60Aは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABCDEF」を表示する。
【0129】
同様に、子機#1の制御装置51は、入力された操作情報から自機を含む子機番号#ALLを検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABCDEF」のデータを、子機#1に接続されたPC60Bを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Bに送信する。PC60Bは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABCDEF」を表示する。
【0130】
[例6]
図21に示す例6では、まず、作業者は、少なくとも3つの子機50の番号設定スイッチ56をそれぞれ子機番号#0,#1,#2に設定する。次に、作業者は、親機30にコンソールPC16を接続し、子機#0,#1,#2にPC60A,60B,60Cを接続する。PC60A,60B,60Cは操作対象機器60の一例である。
【0131】
次に、作業者は、コンソールPC16から親機30の制御装置31にスクリプトを入力する。ここでは、スクリプトに「PUT #0 KEYBOARD "ABCDEF"」及び「PUT #1 KEYBOARD "GHIJKL"」がこの順に記述されているものとする。親機30の制御装置31は、「#0 KEYBOARD "ABCDEF"」及び「#1 KEYBOARD "GHIJKL"」を操作情報として子機#0,#1,#2の制御装置51に順次入力する。
【0132】
子機#0の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#0を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「ABCDEF」のデータを、子機#0に接続されたPC60Aを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Aに送信する。PC60Aは、操作信号を受信し、モニタに文字列「ABCDEF」を表示する。
【0133】
同様に、子機#1の制御装置51は、入力された操作情報から自機を含む子機番号#1を検出した後に、入力された操作情報に含まれる文字列「GHIJKL」のデータを、子機#1に接続されたPC60Bを操作可能な形式の操作信号に変換し、操作信号をPC60Bに送信する。PC60Bは、操作信号を受信し、モニタに文字列「GHIJKL」を表示する。
【0134】
一方、子機#2の制御装置51は、入力された操作情報から自機の子機番号#2を検出しないため、操作信号を子機#2に接続されたPC60Cに送信しない。PC60Cは、操作信号を受信しないため、モニタに何も表示しない。
【0135】
以下、本実施形態のキッティングシステム3を用いるキッティング方法について、図17の構成図と図22のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
【0136】
まず、作業者は、複数の操作対象機器60のそれぞれに複数の子機50を接続するとともに、複数の子機50のそれぞれに親機30を接続する。さらに、作業者は、親機30にコンソールPC16を接続する(接続ステップS41)。
【0137】
次に、各子機50は、作業者の番号設定スイッチ56の操作に応じて、自機の子機番号を設定する(ステップS42)。
【0138】
次に、作業者は、コンソールPC16から親機30の制御装置31にスクリプトを入力する(ステップS43)。
【0139】
次に、親機30は、スクリプトに記述された操作情報を複数の子機50に送信する(操作情報送信ステップS44)。
【0140】
次に、各子機50は、受信した操作情報に自機の子機番号が含まれているか否かを判断する(ステップS45)。自機の子機番号が含まれていない操作情報を受信した子機50は、処理を終了する。
【0141】
次に、自機の子機番号が含まれている操作情報を受信した子機50は、操作情報送信ステップS44により送信された自機宛の操作情報に含まれる操作指示を、自機に接続された操作対象機器60を操作可能な形式の操作信号に変換する(信号変換ステップS46)。
【0142】
次に、自機の子機番号が含まれている操作情報を受信した子機50は、自機に接続された操作対象機器60に、例えばキーボードやマウスの操作信号を送信する(操作信号送信ステップS47)。
【0143】
なお、ステップS42~S47の処理は、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0144】
以上説明したように、本実施形態に係るキッティングシステム3は、各子機50が、自機宛の操作情報に含まれる操作指示を自機に接続された操作対象機器60に出力する構成になっているため、複数の操作対象機器60に対して1台ずつ異なる操作指示を送信できる。
【0145】
また、本実施形態に係るキッティングシステム3は、操作情報が記述されたスクリプトやプログラムの外部関数を親機30に出力する構成となっているため、複数の操作対象機器60に対するキッティング作業を自動化することができる。例えば、親機30は、操作情報が記述されたスクリプトやプログラムの外部関数を実行することで、CSVファイル等から操作対象機器60固有の値を適宜抽出し、複数の操作対象機器60に対して同時に異なる操作指示を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0146】
1,2,3 キッティングシステム
10 操作指示入出力部
11 USBキーボード(操作指示選択部)
16 コンソールPC(操作情報出力部)
20,23 キッティング装置
30 親機
32 メモリ(操作情報出力部)
39a 操作情報生成部
39b 操作情報送信部
39c 操作指示記録部
39d 操作指示再生部
40 子機選択ボタン(子機選択部)
41 PLAY/PAUSEボタン
42 RECボタン
43 ALL OFFボタン(子機選択部)
44 ALL ONボタン(子機選択部)
50 子機
56 番号設定スイッチ
57 送信ON/OFFボタン(送信選択部)
59a 操作情報受信部
59b 信号変換部
59c 操作信号送信部
60 操作対象機器
60A,60B,60C PC
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