IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社平和の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240501BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F5/04 603A
A63F5/04 651
A63F5/04 611B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021180499
(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公開番号】P2023068983
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】前野 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】千田 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】山下 侑貴
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-132767(JP,A)
【文献】特開2004-283348(JP,A)
【文献】特開2013-042999(JP,A)
【文献】特開2013-000428(JP,A)
【文献】特開2012-249975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段での表示に関する制御を行う表示制御手段と、
前記表示制御手段からの情報に基づき、前記表示手段に表示させる画像を生成する描画手段と、を備え、
前記描画手段は、前記画像を構成する複数の描画素材を、描画素材に設定された優先度に基づいて描画領域に描画することにより前記画像を生成し、
前記表示手段は、表示物を立体視させ得る立体視表示態様で表示する立体表示演出と、表示物を前記立体視表示態様とは異なる通常表示態様で表示する通常表示演出と、を表示可能であり、
前記通常表示演出が実行されると、通常表示物が基準位置に表示され、
前記描画素材として、前記立体視表示態様での表示に用いられる立体視素材を有しており、
前記立体視素材として、
前記基準位置よりも手前側に視認される第1立体表示物と前記基準位置よりも奥側に視認される第2立体表示物との視認を可能とする第1立体視素材と、
前記第1立体表示物の視認を可能とする第2立体視素材と、
前記第2立体表示物の視認を可能とする第3立体視素材と、を有しており、
前記立体表示演出の1つである特定立体表示演出を実行する場合には、前記第1立体視素材を用いて前記画像を生成し、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物を視認させ、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物を視認させることが可能であり、
前記特定立体表示演出を所定の前記通常表示演出と重複して実行する場合には、前記第2立体視素材および前記第3立体視素材を用いて前記画像を生成し、前記基準位置に前記通常表示物を表示させるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物を視認させ、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物視認させることが可能である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
記憶手段を備え、
前記第1立体視素材、前記第2立体視素材および前記第3立体視素材は、前記記憶手段に記憶され、
前記記憶手段に記憶されている前記第3立体視素材に係るデータの数は、前記第2立体視素材に係るデータの数よりも少なくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技球(遊技価値)が移動する遊技領域や、遊技球を遊技領域に発射する発射装置等を備えた、パチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技領域に設けられた始動口を備え、始動口への遊技球の進入が検出されると、特別図柄抽選が行われる。特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、遊技状態が特別遊技状態に移行し、特別遊技状態において複数回の特別遊技が実行される。各特別遊技では遊技領域に設けられている大入賞口が開状態に動作し、大入賞口への遊技球の進入に基づいて遊技球が払い出される。
【0003】
また、遊技機として、外周面に複数の図柄が配列された複数のリール、スタートレバーおよびストップボタン等を備えた、スロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始操作に基づきリールの回転が開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。各リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが表示され、当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0004】
スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機には液晶ディスプレイを備えているものがあり、遊技者に立体視させ得る表示が液晶ディスプレイに表示されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5979801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、演出の多様化を実現することが求められている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、演出の多様化が実現された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
表示手段と、
前記表示手段での表示に関する制御を行う表示制御手段と、
前記表示制御手段からの情報に基づき、前記表示手段に表示させる画像を生成する描画手段と、を備え、
前記描画手段は、前記画像を構成する複数の描画素材を、描画素材に設定された優先度に基づいて描画領域に描画することにより前記画像を生成し、
前記表示手段は、表示物を立体視させ得る立体視表示態様で表示する立体表示演出と、表示物を前記立体視表示態様とは異なる通常表示態様で表示する通常表示演出と、を表示可能であり、
前記通常表示演出が実行されると、通常表示物が基準位置に表示され、
前記描画素材として、前記立体視表示態様での表示に用いられる立体視素材を有しており、
前記立体視素材として、前記基準位置よりも手前側に視認される第1立体表示物と前記基準位置よりも奥側に視認される第2立体表示物との視認を可能とする第1立体視素材と、前記第1立体表示物の視認を可能とするが前記第2立体表示物の視認を可能としない第2立体視素材と、を有しており、
前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認されるようになっている。
【0009】
本構成によれば、前記第1立体視素材と前記第2立体視素材とを有しており、前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認されるようになっている。換言すると、前記第1立体視素材とは別に前記第2立体視素材が設けられていることで、奥行きの矛盾が生じることのないように素材を配置(描画)することができるようになっており、前記立体表示演出と所定の前記通常表示演出とを重複して実行することができる。これにより、演出の多様化を実現することができる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、
記憶手段を備え、
前記立体視素材として、前記第1立体視素材と、前記第2立体視素材と、前記第2立体表示物の視認を可能とするが前記第1立体表示物の視認を可能としない第3立体視素材と、を有しており、
前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材および前記第3立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認され、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物が視認されるようになっており、
前記記憶手段に記憶されているデータの数は、前記第3立体視素材の方が前記第2立体視素材よりも少なくなっている。
【0011】
本構成によれば、前記第1立体視素材と前記第2立体視素材と前記第3立体視素材とを有しており、前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合に、前記第2立体視素材および前記第3立体視素を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認され、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物が視認されるようになっている。このため、前記立体表示演出と所定の前記通常表示演出とを重複して実行することができる。また、前記基準位置よりも手前側および奥側の両方において立体表示物を視認させ、より奥行きのある感覚を遊技者に体感させることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。また、記憶手段に記憶されているデータの数は、前記第3立体視素材の方が前記第2立体視素材よりも少なくなっている。このため、限られた記憶手段の容量を、より有効に使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、演出の多様化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その外観構成を示す斜視図である。
図2】同、遊技盤の外観構成を示す正面図である。
図3】同、状態表示部の外観構成を示す正面図である。
図4】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図5】同、遊技状態の状態遷移図である。
図6】同、立体視表示態様での表示に係る画像の生成について説明するための図である。
図7】同、特定表示について説明するための図である。
図8】同、シェイクビジョン表示について説明するための図である。
図9】同、特定演出およびシェイクビジョン演出に係るフレーム画像の構成について説明するための図である。
図10】同、液晶描画処理について説明するためのフローチャートである。
図11】同、全画面描画判定処理について説明するためのフローチャートである。
図12】同、描画コマンド構築処理について説明するためのフローチャートである。
図13】同、1素材分の描画コマンド構築処理について説明するためのフローチャートである。
図14】同、描画素材のプライオリティについて説明するための図である。
図15】本発明の実施第2の形態に係る遊技機に搭載される描画素材の生成について説明するための図である。
図16】同、3D表示演出について説明するための図であり、(a)は右目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(b)は左目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(c)は遊技者の視線の交点を示すものである。
図17】同、3D表示演出について説明するための図であり、(a)は右目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(b)は左目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(c)は遊技者の視線の交点を示すものである。
図18】同、3D表示演出について説明するための図であり、(a)は右目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(b)は左目用立体視素材に係る表示物を示すもので、(c)は遊技者の視線の交点を示すものである。
図19】同、特定3D表示演出が実行された場合における、立体表示物が視認される位置について説明するための図である。
図20】同、液晶ディスプレイにおける表示の一例を示すもので、(a)は液晶ディスプレイを正面から見た図であり、(b)は各描画素材について説明するための図である。
図21】同、シェイクビジョン演出に係る描画素材について説明するための図である。
図22】同、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とが重複して実行される場合における、各レイヤへの描画素材の配置について説明するための図である。
図23】同、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とが重複して実行された状態を示すもので、液晶ディスプレイを正面から見た図である。
図24】本発明の実施第3の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、基本的に「前後」とは、遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、遊技機側が「後」を意味し、「上下」とは遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技機で遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠2と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、遊技盤6を保持する内枠7と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8と、ガラスユニット8が取り付けられている前枠10とを備えている。内枠7は、ヒンジ機構を介して外枠2に開閉可能に取り付けられている。また、前枠10は、ヒンジ機構を介して内枠7に開閉可能に取り付けられている。そして、内枠7(および前枠10)は、外枠2の開口部を塞ぐ閉位置(閉鎖状態)と外枠2の開口部を開放する開位置(開放状態)との間で開閉可能となっている。
【0016】
前枠10のうちガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ12が設けられている。また、前枠10の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカー14(音響装置)が設けられている。
【0017】
前枠10の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口18が設けられている。また、前枠10の下部右側には、グリップユニット20が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0018】
上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口22が設けられている。また、上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
【0019】
また、上皿16の縁部手前側には、演出ボタン26(演出操作手段)が設けられており、遊技者が演出ボタン26を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。
【0020】
図2は、図1で示した遊技盤6の外観構成を示す正面図である。図2に示すように、遊技盤6には、円形状に外レール28が設けられており、外レール28に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域4となっている。また、遊技領域4の左端部には、外レール28に沿うように円弧状に内レール30が設けられており、外レール28と内レール30は、遊技盤6の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域4に誘導する。
【0021】
遊技盤6の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像などを表示する液晶ディスプレイ32(演出表示装置)と、液晶ディスプレイ32を取り囲むように形成されたディスプレイ枠34を備える演出ユニット36が設けられている。そしてディスプレイ枠34には、液晶ディスプレイ32の中央上方に、遊技を盛り上げるための演出光などを出力するディスプレイ枠ランプ38が設けられている。
【0022】
本実施形態では、液晶ディスプレイ32の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4aか右側の遊技領域4bを落下するようになっている。また、遊技領域4には、遊技盤6の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域4を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0023】
またディスプレイ枠34の左部には、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4aを落下する遊技球が通過できる開口40が形成されており、この開口40を通過した遊技球はディスプレイ枠34に設けられている通路42を通過して、液晶ディスプレイ32の下方に設けられたステージ44に落下するようになっている。このステージ44の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ44とガラスユニット8との間に遊技球がステージ44から下方に落下できる隙間が形成されており、通路42からステージ44上に落下した遊技球がステージ44上を左右に往復移動した後にステージ44の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0024】
ステージ44の中央部の下方には、ステージ44の中央部付近から下方に落下した遊技球が進入可能な第1始動口46が設けられている。また、第1始動口46内には、第1始動口46に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ100(図4参照)が配設されている。第1始動口スイッチ100は、遊技球(第1始動口46への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、第1始動口スイッチ100からの検出信号の入力に基づいて、特別図柄抽選としての第1特別図柄抽選を実行する。また、主制御基板200は、第1始動口スイッチ100からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出しを実行させる。また、第1始動口46に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
【0025】
遊技領域4における第1始動口46の左方には、複数(3個)の一般入賞口47(左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47c)が設けられている。また、遊技盤6には、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bまたは左下一般入賞口47cに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ101(図4参照)が配設されている。一般入賞口スイッチ101は、遊技球(左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bまたは左下一般入賞口47cへの遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、一般入賞口スイッチ101からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出し動作を実行させる。なお、一般入賞口スイッチ101は、左上一般入賞口47aと左中一般入賞口47bと左下一般入賞口47cとのそれぞれについて1個ずつ設けてもよく、複数(例えば3個)の一般入賞口47に対して1個だけ設けてもよい。また、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47cの他にも一般入賞口47およびこの一般入賞口に対応する一般入賞口スイッチを設けてもよい。
【0026】
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、遊技球が遊技機内部に回収されずに通過する通過ゲート48が設けられている。また、通過ゲート48内には、遊技球が通過したことを検知するゲートスイッチ102(図4参照)が配設されている。ゲートスイッチ102は、遊技球(遊技球の通過ゲート48の通過)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、ゲートスイッチ102からの検出信号の入力に基づいて、普通当りの当否を決定する普通図柄抽選を実行する。
【0027】
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、通過ゲート48の下方に、第2始動口49が設けられている。また、第2始動口49内には、第2始動口49に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ103(図4参照)が配設されている。第2始動口スイッチ103は、遊技球(第2始動口49への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、第2始動口スイッチ103からの検出信号の入力に基づいて、特別図柄抽選としての第2特別図柄抽選を実行する。また、主制御基板200は、第2始動口スイッチ103からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出しを実行させる。また、第2始動口49に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
【0028】
第2始動口49には、第2始動口49に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な普通役物54(補助手段)が設けられている。普通役物54は、ソレノイドなどの駆動装置を内蔵しており、普通図柄抽選で普通当りが当選すると所定条件下で拡大状態となるように制御される。
【0029】
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、大入賞口50が設けられている。また、大入賞口50内には、大入賞口50に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ104(図4参照)が配設されている。カウントスイッチ104は、遊技球(大入賞口50への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、カウントスイッチ104からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出し動作を実行させる。また、主制御基板200は、カウントスイッチ104からの検出信号の入力に基づいて、大入賞口50に入球した遊技球の数をカウントする。また、大入賞口50に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
【0030】
大入賞口50には、大入賞口50に遊技球が進入不可能な閉状態(第2状態、進入不可状態)と遊技球が進入可能な開状態(第1状態、進入可能状態)との間で動作可能な特別役物56が設けられている。特別役物56は、ソレノイドなどの駆動装置を内蔵しており、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選)で大当りに当選すると開始される特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。
【0031】
また、遊技領域4の最下部には、いずれの入賞口46,47,49,50にも進入せずに遊技領域4を落下した遊技球を遊技機内部に回収するアウト口62が設けられている。ここで、遊技機内部には、遊技領域4から回収(排出)された遊技球が通過する排出路(図示せず)が設けられている。本遊技機では、遊技領域4に打ち出された全ての遊技球(遊技領域4から回収された全ての遊技球)が、排出路を通過するように構成されている。すなわち、遊技領域4に打ち出された遊技球は、いずれかの入賞口46,47,49,50に入球またはアウト口62を通過することによって、遊技領域4から回収され排出路へ流入する。具体的には、各入賞口46,47,49,50に入球した遊技球は、入賞口内に配設されたスイッチ100,101,103,104により検出された後に、排出路に誘導される。また、アウト口62から回収された遊技球は、排出路に誘導される。また、排出路には、アウトスイッチ106(図4参照)が配設されている。アウトスイッチ106は、排出路を通過する遊技球(遊技領域4からの遊技球の排出)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、アウトスイッチ106からの検出信号の入力に基づいて、遊技領域4から排出された遊技球の数をカウントする。
【0032】
遊技球の発射装置は、図1で示したグリップユニット20(ハンドル)の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット20の回転量が少ない場合には液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4aを遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット20の回転量が多い場合には液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bを遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0033】
したがって遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット20の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域4aを落下して、あるいは開口40と通路42とステージ44を通過して第1始動口46に入賞するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域4bを落下して、通過ゲート48を遊技球が通過するように、あるいは第2始動口49に遊技球が入賞するように、あるいは大入賞口50に遊技球が入賞するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0034】
なお、本実施形態の遊技機では、遊技球が左側の遊技領域4aを落下する場合には、通過ゲート48を遊技球が通過することがなく、第2始動口49および大入賞口50に遊技球が入球(入賞)することがないようになっている。また、遊技球が右側の遊技領域4bを落下する場合には、第1始動口46、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47cに遊技球が入賞することがないようになっている。
【0035】
遊技盤6の右下部であって、遊技領域4の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部70が設けられている。
【0036】
図3は、状態表示部70の外観構成を示す正面図である。状態表示部70は、図3に示すように、普通図柄表示部72、普通保留表示部74、第1特別図柄表示部76、第1特別保留表示部78、第2特別図柄表示部80、第2特別保留表示部82、遊技状態表示部84が設けられている。
【0037】
普通図柄表示部72は、2つのランプにより構成され、普通図柄抽選が行われる場合に2つのランプを点滅させることにより普通図柄を変動表示し、2つのランプを点灯または消灯させることにより普通図柄を停止表示して、普通図柄抽選の結果を表示する。
【0038】
普通保留表示部74は、2つのランプにより構成され、通過ゲート48を遊技球が通過した時点で既に普通図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、普通図柄抽選用乱数値を取得しても普通図柄抽選を行うことができないことにより普通図柄抽選用乱数値が保留された場合に、保留されている普通図柄抽選用乱数値の数に対応する普通保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の普通保留数を表示する。
【0039】
第1特別図柄表示部76は、7セグメントディスプレイにより構成され、第1始動口46に遊技球が進入することにより第1特別図柄抽選が行われる場合に、7セグメントディスプレイを点滅させることにより第1特別図柄を変動表示し、7セグメントディスプレイを複数種類の態様のうちいずれかの態様で点灯させることにより第1特別図柄を停止表示して、第1特別図柄抽選の結果を表示する。
【0040】
第1特別保留表示部78は、2つのランプにより構成され、第1始動口46に遊技球が進入した時点で既に第1特別図柄または第2特別図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、特別図柄抽選用乱数値(抽選情報)を取得しても特別図柄抽選を行うことができないことにより特別図柄抽選用乱数値が第1特別乱数値として保留された場合に、保留されている第1特別乱数値の数に対応する第1特別保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第1特別保留数を表示する。
【0041】
第2特別図柄表示部80は、7セグメントディスプレイにより構成され、第2始動口49に遊技球が進入することにより第2特別図柄抽選が行われる場合に、7セグメントディスプレイを点滅させることにより第2特別図柄を変動表示し、7セグメントディスプレイを複数種類の態様のうちいずれかの態様で点灯させることにより第2特別図柄を停止表示して、第2特別図柄抽選の結果を表示する。
【0042】
第2特別保留表示部82は、2つのランプにより構成され、第2始動口49に遊技球が進入した時点で既に第1特別図柄または第2特別図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、特別図柄抽選用乱数値を取得しても特別図柄抽選を行うことができないことにより特別図柄抽選用乱数値が第2特別乱数値として保留された場合に、保留されている第2特別乱数値の数に対応する第2特別保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第2特別保留数を表示する。
【0043】
遊技状態表示部84は、6つのランプにより構成され、6つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、現在設定されている遊技状態の種類を表示する。本実施形態では、通常状態(低確率状態)と、通常状態よりも大当りの当選確率が高く設定された確変状態(高確率状態・特殊状態)と、特別図柄抽選で大当りに当選すると開始される特別遊技状態と、第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間を短縮させて特別図柄抽選の実行契機を頻繁に到来させる時短状態(特殊状態)の4種類の遊技状態が設定可能となっており、6つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、いずれの遊技状態に設定されているかを表示する。
【0044】
図4は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。本実施形態の遊技機は、主制御基板200(主制御手段)および副制御基板202(副制御手段)を含む制御基板によって制御される。そして、主制御基板200や副制御基板202等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0045】
主制御基板200は、遊技の進行を制御する。主制御基板200は、第1始動口スイッチ100、一般入賞口スイッチ101、ゲートスイッチ102、第2始動口スイッチ103、カウントスイッチ104またはアウトスイッチ106等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、状態表示部70、普通役物54、特別役物56または払出装置130等の出力手段の動作制御を行う。
【0046】
副制御基板202は、主制御基板200から送信される情報に基づいて演出の実行を制御する。副制御基板202は、主制御基板200から送られてくる信号や、演出ボタン26に対する操作を検出する演出ボタンスイッチ150からの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、液晶ディスプレイ32、照明装置、スピーカー14、演出物駆動装置等の演出装置の動作制御を行う。
【0047】
主制御基板200は、乱数発生手段210、普通図柄抽選手段220、普通表示制御手段222、普通役物制御手段224、特別図柄抽選手段230、特別表示制御手段240、遊技状態移行制御手段250、特別遊技実行手段260、払出制御手段270、通信制御手段280およびメインメモリ290を含んで構成されている。
【0048】
乱数発生手段210は、抽選用の乱数値を発生させる手段であり、ハードウェア乱数を発生させる乱数発生器や、ソフトウェア乱数を発生させるプログラムにより実現される。ソフトウェア乱数は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0049】
普通図柄抽選手段220は、通過ゲート48を通過する遊技球を1個ずつ検出するゲートスイッチ102から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から普通図柄抽選用乱数値を取得してメインメモリ290の普通乱数記憶手段2912に格納し、普通乱数記憶手段2912から読み出した普通図柄抽選用乱数値について普通当りの当否などを決定する普通図柄抽選を行う。具体的には、普通図柄抽選手段220は、普通図柄抽選として、普通当り決定処理などを行う。
【0050】
普通当り決定処理は、普通当りの当否を決定する処理である。普通当り決定処理では、普通図柄抽選手段220は、メインメモリ290の抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の普通図柄抽選テーブルのうち、いずれの普通図柄抽選テーブルを参照して乱数判定処理を行うかを遊技状態に応じて選択する。ここで、各普通図柄抽選テーブルは、0~99の100個の普通図柄抽選用乱数値のそれぞれに対して、普通当りまたはハズレが対応付けられたものである。そして、普通図柄抽選手段220は、選択した普通図柄抽選テーブルを参照して、普通乱数記憶手段2912から読み出した1つの普通図柄抽選用乱数値が普通当りに対応づけられているか否かを判定することにより、普通当りが当選したか否かを判定する。そして、普通図柄抽選手段220は、普通当りが当選した場合には、メインメモリ290のフラグ記憶手段2916において、普通当りの当選フラグをON状態に設定し、ハズレとなった場合には、普通当りの当選フラグをOFF状態に設定する。
【0051】
また、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に選択される普通図柄抽選テーブルは、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に選択される普通図柄抽選テーブルに比べ、普通当りが当選する確率が高く設定されている。換言すると、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に行われる普通図柄抽選は、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に行われる普通図柄抽選に比べ、普通当りが当選する確率が高くなっている。
【0052】
普通表示制御手段222は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて状態表示部70の表示を制御する手段であって、普通図柄表示制御処理、普通保留表示制御処理を行う。
【0053】
普通図柄表示制御処理では、普通表示制御手段222は、所定の変動時間が経過するまで、普通図柄表示部72の2つのランプを点滅させることにより普通図柄を変動表示させ、普通当り決定処理において普通当りが当選したか否かに応じて、普通図柄表示部72の2つのランプを点灯または消灯させることにより普通図柄を停止表示させることにより、普通図柄表示部72に普通図柄抽選の結果を表示させる。
【0054】
具体的には、本実施形態では、普通図柄抽選が行われた時点の遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合には、普通図柄の変動時間が20秒に設定され、普通図柄抽選が行われた時点の遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合には、普通図柄の変動時間が1秒に設定されるようになっており、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合の方が、普通図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
【0055】
普通保留表示制御処理では、普通表示制御手段222は、普通乱数記憶手段2912に格納されている普通図柄抽選用乱数値の数に応じて、普通保留表示部74の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の普通保留数を表示する。
【0056】
普通役物制御手段224は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて普通役物54を制御する手段である。普通役物制御手段224は、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に、普通図柄が普通当りの当選を示す態様で停止表示されたことを契機として、0.1秒が経過するまで普通役物54が拡大状態となってから縮小状態に復帰するように普通役物54を動作させる制御を行う。また、普通役物制御手段224は、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に、普通図柄が普通当りの当選を示す態様で停止表示されたことを契機として、20秒が経過するまで普通役物54が拡大状態となってから縮小状態に復帰するように普通役物54を動作させる制御を行う。
【0057】
したがって、普通図柄抽選において普通当りとなった場合に、遊技状態が確変状態でも時短状態でもなければ、第2始動口49への遊技球の進入しやすさがほとんど増加しないように普通役物54が動作するが、遊技状態が確変状態あるいは時短状態であれば、第2始動口49への遊技球の進入しやすさが増加するように普通役物54が動作する。
【0058】
特別図柄抽選手段230は、第1始動口46に進入する遊技球を1個ずつ検出する第1始動口スイッチ100から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から特別図柄抽選用乱数値を取得して、メインメモリ290の特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値として格納する。また、特別図柄抽選手段230は、第2始動口49に進入する遊技球を1個ずつ検出する第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から特別図柄抽選用乱数値を取得して、特別乱数記憶手段2914に第2特別乱数値として格納する。そして、特別図柄抽選手段230は、特別乱数記憶手段2914から読み出した第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値を用いて、大当りの当否などを決定する特別図柄抽選を行う。具体的には、特別図柄抽選手段230は、特別図柄抽選として、大当り決定処理、図柄決定処理などを行う。
【0059】
大当り決定処理は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値に含まれる1つの大当り決定乱数値を読み出して、大当りの当否を決定する処理である。ここで、1つの大当り決定乱数値は、第1始動口スイッチ100あるいは第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、0~65535の65536個の大当り決定乱数値から取得され、特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値として格納されたものである。
【0060】
大当り決定処理では、特別図柄抽選手段230は、メインメモリ290の抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の大当り抽選テーブルのうちいずれを参照して乱数判定処理を行うかを遊技状態に応じて選択する。ここで、各大当り抽選テーブルは、0~65535の65536個の大当り決定乱数値のそれぞれに対して、大当りまたはハズレが対応付けられたものである。そして、特別図柄抽選手段230は、選択した大当り抽選テーブルを参照して、読み出した1つの大当り決定乱数値が大当りに対応づけられているか否かを判定することにより、大当りに当選したか否かを決定する。また、特別図柄抽選手段230は、大当りに当選した場合には、フラグ記憶手段2916において、大当りの当選フラグをON状態に設定し、ハズレとなった場合には、大当りの当選フラグをOFF状態に設定する。
【0061】
また、遊技状態が確変状態である場合に選択される大当り抽選テーブルは、遊技状態が通常状態または時短状態である場合に選択される大当り抽選テーブルに比べ、大当りに当選する確率が高く設定されている。換言すると、遊技状態が確変状態である場合に行われる大当り決定処理(特別図柄抽選)は、遊技状態が通常状態または時短状態ある場合に行われる大当り決定処理(特別図柄抽選)に比べ、大当りが当選する確率が高くなっている。
【0062】
図柄決定処理は、大当り決定処理で大当りに当選した場合に行われる処理であり、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値に含まれる1つの図柄決定乱数値を読み出して、大当り図柄(大当りの種別)を16ラウンド確変図柄、4ラウンド確変図柄、16ラウンド通常図柄、4ラウンド通常図柄のうちいずれにするかを決定する処理である。ここで1つの図柄決定乱数値は、第1始動口スイッチ100あるいは第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、0~99の100個の図柄決定乱数値から取得され、特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値として格納されたものである。
【0063】
図柄決定処理では、特別図柄抽選手段230は、抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の図柄抽選テーブルのうちいずれを参照して乱数判定処理を行うかを、読み出した1つの図柄決定乱数値が第1特別乱数値として格納されていたか第2特別乱数値として格納されていたかに応じて選択する。ここで、各図柄抽選テーブルは、0~99の100個の図柄決定乱数値のそれぞれに対して、16ラウンド確変図柄、4ラウンド確変図柄、16ラウンド通常図柄、4ラウンド通常図柄のいずれかが対応付けられたものである。そして、特別図柄抽選手段230は、選択した図柄抽選テーブルを参照して、読み出した1つの図柄決定乱数値が複数種類の大当り図柄のいずれに対応づけられているかを判定することにより、複数種類の大当り図柄のいずれが当選したかを決定する。また、特別図柄抽選手段230は、フラグ記憶手段2916において、当選した大当り図柄に対応する当選フラグをON状態に設定する。
【0064】
特別表示制御手段240は、特別図柄抽選の抽選結果に基づいて状態表示部70の表示を制御する手段であって、第1特別図柄表示制御処理、第2特別図柄表示制御処理、第1特別保留表示制御処理、第2特別保留表示制御処理を行う。
【0065】
第1特別図柄表示制御処理は、特別乱数記憶手段2914から第1特別乱数値が読み出されて特別図柄抽選が行われた場合に行われる処理であり、特別表示制御手段240は、所定の変動時間が経過するまで、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを点滅させることにより第1特別図柄を変動表示させた後に、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを所定の態様で点灯させることにより第1特別図柄を停止表示させる。
【0066】
本実施形態では、4種類の大当り図柄およびハズレのそれぞれに対応して7セグメントディスプレイの表示態様が予め定められており、特別表示制御手段240は、大当り決定処理で大当りに当選したか否かに応じた態様で、そして大当り決定処理で大当りに当選した場合には図柄決定処理で決定された大当り図柄に応じた態様で、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを点灯させることにより第1特別図柄を停止表示させ、第1特別図柄表示部76に特別図柄抽選の結果を表示させる。
【0067】
第2特別図柄表示制御処理は、特別乱数記憶手段2914から第2特別乱数値が読み出されて特別図柄抽選が行われた場合に行われる処理であり、特別表示制御手段240は、所定の変動時間が経過するまで、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを点滅させることにより第2特別図柄を変動表示させた後に、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを所定の態様で点灯させることにより第2特別図柄を停止表示させる。
【0068】
そして特別表示制御手段240は、大当り決定処理で大当りに当選したか否かに応じた態様で、そして大当り決定処理で大当りに当選した場合には図柄決定処理で決定された大当り図柄に応じた態様で、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを点灯させることにより第2特別図柄を停止表示させ、第2特別図柄表示部80に特別図柄抽選の結果を表示させる。
【0069】
第1特別保留表示制御処理では、特別表示制御手段240は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値の数に応じて、第1特別保留表示部78の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第1特別保留数を表示させる。
【0070】
第2特別保留表示制御処理では、特別表示制御手段240は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第2特別乱数値の数に応じて、第2特別保留表示部82の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第2特別保留数を表示させる。
【0071】
遊技状態移行制御手段250は、図5に示すように、所定の移行条件の成立に基づいて、通常状態、特別遊技状態、確変状態、時短状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0072】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からは特別遊技状態への移行が可能となっている。そして通常状態では、普通当りの当選確率が約1/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われ、大当りの当選確率が1/319に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる。
【0073】
そして、通常状態では、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約1/20と低い上に、普通図柄の変動時間が長く設定されており、普通役物54が拡大状態となる期間が0.1秒と短くなっているため、第2始動口49に遊技球を進入させにくくなっている。
【0074】
特別遊技状態は、通常状態、確変状態または時短状態における特別図柄抽選において大当りに当選したことに基づいて開始され、大当り図柄の種類に応じて予め定められたラウンド数(実行回数)の特別遊技が実行されると終了する。
【0075】
具体的には、特別図柄抽選において16ラウンド確変図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第16ラウンドの16ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
【0076】
また、特別図柄抽選において4ラウンド確変図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第4ラウンドの4ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
【0077】
また、特別図柄抽選において16ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第16ラウンドの16ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
【0078】
また、特別図柄抽選において4ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第4ラウンドの4ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
【0079】
確変状態は、16ラウンド確変図柄または4ラウンド確変図柄(確変図柄)の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて開始された特別遊技状態が終了したことを契機として開始され、確変状態からは特別遊技状態または通常状態への移行が可能となっている。また、確変状態では、普通当りの当選確率が約19/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われ、大当りの当選確率が1/31に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる点で、通常状態よりも遊技者に有利になっている。そして、確変状態は、確変状態において特別図柄抽選が行われた回数が9999回に達したことを条件に終了し、通常状態に移行される。
【0080】
具体的には、遊技状態移行制御手段250は、特別遊技状態が終了するとメインメモリ290の確変終了判定カウンタ2930に所定の遊技回数(例えば、9999回)に相当する値(例えば、9999)を書き込み、確変状態において特別図柄抽選が行われるごとに確変終了判定カウンタ2930の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値(例えば、1)を減算するデクリメント更新を行う。そして、確変終了判定カウンタ2930の記憶値がしきい値(例えば、0)に達すると、確変状態を終了させて通常状態を開始させる。ただし、確変状態では、特別図柄抽選における大当りの当選確率が1/31に設定されるため、確変状態において特別図柄抽選が行われた回数が9999回に達する前に特別遊技状態が開始され、確変状態から通常状態に移行することはほとんどないようになっている。
【0081】
また、確変状態では、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約19/20と高い上に、普通図柄の変動時間が1秒と短く、普通役物54が拡大状態となる期間が20秒と長くなっているため、通常状態よりも第2始動口49に遊技球を進入させやすくなっている点で遊技者に有利になっている。
【0082】
また、確変状態では、保留数に関わらず第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間としてより短い変動時間が設定されることが多くなるため、通常状態よりも特別図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
【0083】
時短状態は、16ラウンド通常図柄または4ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて開始された特別遊技状態が終了したことを契機として開始され、時短状態からは特別遊技状態または通常状態への移行が可能となっている。また、時短状態では、確変状態と同様に普通当りの当選確率が約19/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われるものの、通常状態と同様に大当りの当選確率が約1/319に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる点で、確変状態よりも遊技者に不利になっている。そして、時短状態は、時短状態において特別図柄抽選が行われた回数が100回に達したことを条件に終了し、通常状態に移行される。
【0084】
具体的には、遊技状態移行制御手段250は、遊技状態が時短状態に移行されたことを契機として、メインメモリ290の時短終了判定カウンタ2932に所定の遊技回数(例えば、100回)に相当する値(例えば、100)を書き込み、時短状態において特別図柄抽選が行われるごとに時短終了判定カウンタ2932の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値(例えば、1)を減算するデクリメント更新を行う。そして時短終了判定カウンタ2932の記憶値がしきい値(例えば、0)に達すると、時短状態を終了させる。
【0085】
また、時短状態では、確変状態と同様に、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約19/20と高い上に、普通図柄の変動時間が1秒と短く、普通役物54が拡大状態となる期間が20秒と長くなっているため、通常状態よりも第2始動口49に遊技球を進入させやすくなっている点で遊技者に有利になっている。
【0086】
また、時短状態では、確変状態と同様に、保留数に関わらず第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間としてより短い変動時間が設定されることが多くなるため、通常状態よりも特別図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
【0087】
特別遊技実行手段260は、特別図柄抽選の抽選結果に基づいて特別遊技を実行する手段であって、特別遊技実行処理1~特別遊技実行処理4などを行う。
【0088】
特別遊技実行処理1は、特別図柄抽選において16ラウンド確変図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として16ラウンド確変図柄について予め定められたラウンド数である16回に相当する値(例えば、16)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、16)に達すると、特別遊技状態が終了する。
【0089】
具体的には、特別遊技実行処理1では、第1ラウンド~第16ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、カウントスイッチ104が1個の遊技球の進入を検出すると1個分の遊技球に相当する値(例えば、1)が加算される大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
【0090】
特別遊技実行処理2は、特別図柄抽選において4ラウンド確変図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として4ラウンド確変図柄について予め定められたラウンド数である4回に相当する値(例えば、4)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、4)に達すると、特別遊技状態が終了する。
【0091】
具体的には、特別遊技実行処理2では、第1ラウンド~第4ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
【0092】
特別遊技実行処理3は、特別図柄抽選において16ラウンド通常図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として16ラウンド通常図柄について予め定められたラウンド数である16回に相当する値(例えば、16)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、16)に達すると、特別遊技状態が終了する。
【0093】
具体的には、特別遊技実行処理3では、第1ラウンド~第16ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
【0094】
特別遊技実行処理4は、特別図柄抽選において4ラウンド通常図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として4ラウンド通常図柄について予め定められたラウンド数である4回に相当する値(例えば、4)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、4)に達すると、特別遊技状態が終了する。
【0095】
具体的には、特別遊技実行処理4では、第1ラウンド~第4ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
【0096】
払出制御手段270は、第1始動口スイッチ100からの検出信号、一般入賞口スイッチ101からの検出信号、第2始動口スイッチ103からの検出信号またはカウントスイッチ104からの検出信号が入力されたことに基づいて、検出信号ごとに予め定められている賞球数に相当する数の遊技球を払出装置130に払い出させる制御を行う。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、第1始動口スイッチ100、一般入賞口スイッチ101、第2始動口スイッチ103またはカウントスイッチ104のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。
【0097】
払出装置130は、払出制御手段270によって指示された払出数の遊技球を払い出す動作を行う。この払出装置130には、遊技球を貯めておく遊技球タンクに払出モーターが設けられており、払出制御手段270は、払出モーターの回転角度を制御することにより、指示通りの数の遊技球を遊技球タンクから払い出させる。また、払出装置130には、遊技球を1個払い出すごとに作動する払出スイッチが備えられており、払出制御手段270は、払出スイッチからの払出信号に基づいて払出装置130から実際に払い出された遊技球の数を管理することができる。
【0098】
通信制御手段280は、主制御基板200における各種の演算結果に応じて生成された各種のコマンドを副制御基板202に送信する制御を行っている。なお、本実施形態の遊技機では、主制御基板200と副制御基板202との間では、主制御基板200から副制御基板202への単方向通信のみが可能となっており、副制御基板202からは主制御基板200へ情報を送信することができないように通信接続されている。
【0099】
続いて、副制御基板202について説明する。副制御基板202は、演出制御手段300と、サブメモリ302と、を備えている。また、演出制御手段300は、演出決定手段310と、表示制御手段312と、VDP314(描画手段)と、を備えている。また、VDP314は、VRAM320を備えている。また、サブメモリ302は、複数種類のRAMおよびROMを備えており、サブメモリ302に記憶される各種データは、各RAMやROMに記憶される。演出制御手段300は、主制御基板200から送信される各種のコマンドや、演出ボタンスイッチ150からの入力信号や、サブメモリ302のROMに記憶されている演出データに基づいて、液晶ディスプレイ32に演出画像を表示させたり、前枠ランプ12やディスプレイ枠ランプ38等の照明装置を点灯あるいは点滅させたり、スピーカー14から演出音を出力させたり、演出物駆動装置を駆動して演出物を動作させたりするなど、演出装置を制御することにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助したりするための演出を演出装置に実行させる。
【0100】
演出決定手段310は、主制御基板200から送信される各種のコマンドや、演出ボタンスイッチ150からの入力信号等に基づいて実行する演出内容を決定する。また、演出決定手段310は、実行する演出内容を決定すると、表示制御手段312に対して演出内容を指示するメッセージを設定する。
【0101】
表示制御手段312は、設定されたメッセージの解析等を行って、液晶ディスプレイ32での表示に関する制御を行う。具体的には、表示制御手段312は、所定周期で(例えば、1秒間に60回=60FPSのフレームレートで)液晶描画処理を実行する。液晶描画処理では、表示制御手段312は、設定されたメッセージの解析等を行い、VDP314に対し描画内容を指示する描画コマンドを構築する。そして、VDP314は描画コマンドに沿って描画を行い、描画された内容が液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。
なお、VDP314は、液晶ディスプレイ32の画面での表示に係る描画を行うプロセッサであり、演出決定手段310、表示制御手段312とともにワンチップに統合されている。
【0102】
VDP314は、サブメモリ302のROMに記憶された描画素材を1フレーム毎にVRAM320のフレームバッファに展開する。フレームバッファでは、複数の描画素材が設定されたプライオリティ(優先度)に従って重ね合わせられる。具体的には、フレームバッファでは、プライオリティが低い描画素材ほど積層方向の下(背面)側に配置され、プライオリティが高い描画素材ほど積層方向の上(前面)側に配置されるように重ね合わせられる。そして、これにより、1フレームのフレーム画像を示す画像データ(合成画像)がフレームバッファ上に生成される。そして、VDP314は、フレームバッファ上に生成された合成画像に基づいて、液晶ディスプレイ32を駆動する。これにより、1フレーム毎に、フレームバッファで生成された合成画像が液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。本実施形態では、フレームバッファとして第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とが用意されている。
【0103】
プライオリティの低い描画素材は、その上からプライオリティのより高い描画素材が重ねられることにより、液晶ディスプレイ32の表示(合成画像)上、その一部又は全部が視認できない場合がある。ただし、各描画素材には透明度の設定が可能であり、上側に重ねられる描画素材に設定された透明度が0(完全に不透明)でない場合はこの限りではなく、透明度の度合いに応じてその下側に隠れた描画素材が液晶ディスプレイ32の表示(合成画像)上、視認可能となる場合もある。
【0104】
本実施形態では、液晶ディスプレイ32では、3Dでの画面表示と2Dでの画面表示とが可能となっている。換言すると、液晶ディスプレイ32では、表示領域32aに表示される表示物を遊技者に立体視させ得る立体視表示態様での表示(3D表示)と、表示物を遊技者に立体視させない通常表示態様での表示(2D表示)とが可能となっている。3D表示は、視差を利用して遊技者に対して表示物を立体的に見せる(立体的に知覚・認識させる)表示となっている。2D表示は、視差を利用した立体的表現を行わず、表示物を平面的に見せる(平面的に知覚・認識させる)表示となっている。
なお、立体視(3D表示)は、例えば、レンチキュラーレンズ方式やパララックスバリア方式等の周知の手法により実現すればよい。また、裸眼で立体視をさせる方式に限らず、所定のメガネ等を装着することで立体視をさせる方式であってもよい。
なお、表示物とは、例えば、人物、動物、乗り物、建造物、自然物(例えば岩、木など)、文字、背景、模様、図柄、その他の液晶ディスプレイ32上に表示されるもの(画像)のことをいう。
【0105】
ここで、立体視表示態様での表示に係る制御を説明する。本実施形態では、描画素材として、立体視素材としての左目用素材および右目用素材と、通常素材とが用意されている。そして、立体視させない表示物(通常表示態様で表示させる表示物)については、通常素材を用いて合成画像を構築する。また、立体視させる表示物(立体視表示態様で表示させる表示物)については、当該表示物に係る一対の左目用素材(第1素材)および右目用素材(第2素材)を用いて合成画像を構築する。ただし、一対の左目用素材と右目用素材とのうちの一方(例えば、左目用素材)のみを用いて合成画像を構成することで、当該表示物を通常表示態様で表示させることも可能となっている。
【0106】
立体視表示態様での表示において、VDP314は、表示制御手段312から転送される左目用素材の描画に係る描画コマンドに基づき、サブメモリ302のROMから左目用素材を取得し、第1フレームバッファ321(左目用フレームバッファ)に順次描画していく。また、これと並行して、VDP314は、表示制御手段312から転送される右目用素材の描画に係る描画コマンドに基づき、サブメモリ302のROMから右目用素材を取得し、第2フレームバッファ322(右目用フレームバッファ)に順次描画していく。なお、前述のように左目用素材および右目用素材は、それぞれ描画コマンドで指定されるプライオリティに従って重ね合わせられるように描画される。
【0107】
また、第1フレームバッファ321への左目用素材(1フレーム分の左目用素材)の描画と、第2フレームバッファ322への右目用素材(1フレーム分の右目用素材)の描画と、が終了した後に、VDP314は、合成処理を実行する。ここで、合成処理とは、第2フレームバッファ322に描画された画像を第1フレームバッファ321に描画された画像と合成する処理である。VDP314は、合成処理により、立体視表示態様で液晶ディスプレイ32に表示される画像(以下、立体視表示態様で液晶ディスプレイ32に表示される画像を「3次元画像」とも呼ぶ)を第1フレームバッファ321に生成する。具体的には、図6に示すように、第1フレームバッファ321で合成された画像(第1フレームバッファ321に描画された左目用素材)と、第2フレームバッファ322で合成された画像(第2フレームバッファ322に描画された右目用素材)と、がそれぞれ細長い短冊状に交互に並ぶように合成され、3次元画像が生成される。当該短冊状の幅は、例えばレンチキュラーレンズの表面に並んだ微細な半円筒の幅と対応しており、レンチキュラーレンズを介して3次元画像が視認されることで、3次元画像が立体的に視認される。
【0108】
また、通常素材については、1つの描画素材が第1フレームバッファ321と右目用バッファとの両方に描画される。このため、3次元画像を見たときに、通常素材に描写された表示物については平面的に視認される。
なお、このように通常素材については第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方に同じ素材が描画されるようになっているため、1フレームのフレーム画像の構築過程において、立体視素材(左目用素材または右目用素材)のフレームバッファへの描画を行うまでは、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ321)にのみ通常素材を描画すればよい。そして、立体視素材のフレームバッファへの描画を行う直前に、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ321)のデータ(中間画像)を他方のフレームバッファ(例えば第2フレームバッファ322)に複製し、その後左目用素材および通常素材を一方のフレームバッファに描画するとともに、右目用素材および通常素材を他方のフレームバッファに描画するようにすればよい。このように構成することで、最初から両方のフレームバッファに通常素材を描画していく場合に比べ処理負荷を軽減することができる。なお、1フレームのフレーム画像を構成する描画素材が全て通常素材の場合(フレーム画像に左目用素材および右目用素材が含まれない場合)、換言するとフレーム画像に立体視させる表示物が含まれない場合には、一方のフレームバッファのみを用いて(他方のフレームバッファへの複製や、前述の合成処理を行わずに)、液晶ディスプレイ32に表示させる合成画像を完成させてもよい。
【0109】
本実施形態では、液晶ディスプレイ32での表示による演出として、特定演出(第1演出の一例)と、シェイクビジョン演出(第2演出の一例)とを含む複数種類の演出が用意されている。また、特定演出とシェイクビジョン演出とは、重複して実行される場合と、単独で実行される場合とがある。なお、以下では、基本的に、特定演出あるいはシェイクビジョン演出について、「重複して実行」とは、これらの一方が他方と重複して実行されることを意味し、「単独で実行」とは、これらの一方が他方と重複して実行されないことを意味することとする。換言すると、特定演出あるいはシェイクビジョン演出について、「単独で実行」とは、これらの一方が他方と重複して実行されないだけであり、他の演出が重複して実行される場合を含むものとする。
【0110】
特定演出は、特定表示を液晶ディスプレイ32に表示させる演出となっている。図7に示すように、本実施形態の特定表示は、所定の背景の表示とキャラクタの表示とエフェクトの表示とを含む表示となっている。
【0111】
シェイクビジョン演出は、シェイクビジョン表示を液晶ディスプレイ32に表示させる演出となっている。図8に示すように、本実施形態のシェイクビジョン表示は、シェイクビジョン演出用の背景の表示と、所定の表示としてのシェイク対象表示とを含む表示でとなっている。そして、シェイクビジョン演出においては、シェイク対象表示が液晶ディスプレイ32の表示領域32aにおいて動く(揺れ動く)ようになっている。より具体的には、シェイクビジョン演出においては、シェイク対象表示の全体が液晶ディスプレイ32の表示領域32a内において一体的に揺り動かされるようになっている。換言すると、シェイクビジョン演出は、シェイク対象表示を表示領域32a内において変位させる(表示領域32a内における表示座標を変化させる)演出となっている。なお、シェイクビジョン演出では、シェイクビジョン演出の実行直前の表示領域32aの表示(表示領域32aの表示の一部)が、シェイク対象表示として表示領域32aにおいて揺り動かされるようになっていてもよい。
【0112】
ここで、シェイクビジョン演出について、特定演出の実行中においてシェイクビジョン演出が重複して発生する場合について説明する。
【0113】
まず、シェイクビジョン演出が重複して実行される前(シェイクビジョン演出開始直前)の特定演出においては、表示制御手段312は、特定表示を立体視表示態様で液晶ディスプレイ32に表示させる。換言すると、表示制御手段312は、特定演出を単独で実行する場合には、特定表示を立体視表示態様で表示させる。ここで、「特定表示を立体視表示態様で表示させる」とは、特定表示における少なくとも一部の表示物が立体視可能となっていればよく、必ずしも特定表示における全ての表示物が立体視可能となっていなくてもよい。
なお、表示制御手段312は、特定演出を単独で実行する場合において、特定表示を通常表示態様で表示させる場合があってもよい。
【0114】
次いで、特定演出を単独で実行している状態から、特定演出を終了せずにシェイクビジョン演出を実行する場合(すなわち、特定演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行する場合)、表示制御手段312は、特定表示の一部をシェイク対象表示としたシェイクビジョン表示を液晶ディスプレイ32に表示させる。具体的には、特定表示の外周部が一部隠れた表示であって、特定表示を縮小させた表示が、シェイク対象表示として使用(表示)される。より具体的には、シェイク対象表示は、1フレームのフレーム画像を作成している途中の中間画像(フレーム画像として完成する前の合成画像)をキャプチャしたキャプチャ画像の表示となっているが、詳しくは後述する。
【0115】
また、表示制御手段312は、シェイク対象表示を通常表示態様で表示させる。すなわち、表示制御手段312は、特定演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行する場合には、特定表示(特定表示の一部)を、シェイク対象表示として通常表示態様で表示させる。そして、表示制御手段312は、この通常表示態様で表示される特定表示(特定表示の一部)が、液晶ディスプレイ32の表示領域32aにおいて動くように(シェイクされるように)表示に係る制御を行う。また、本実施形態では、シェイクビジョン演出において、特定表示を囲う枠の表示がされるようになっており、この枠の表示が特定表示と連動して(一体的に)動かされる(シェイクされる)ようになっている。
【0116】
なお、ここでは、特定演出とシェイクビジョン演出との重複について、特定演出が実行されている状態からシェイクビジョン演出が開始される場合を例に説明したが、シェイクビジョン演出が実行されている状況から特定演出が開始されてもよく、シェイクビジョン演出と特定演出とが同時に開始されてもよい。そして、特定演出とシェイクビジョン演出とが重複して実行される場合には、特定表示(特定表示の少なくとも一部)が、シェイク対象表示として動かされるようになっていればよい。
【0117】
また、特定演出と重複して実行されるシェイクビジョン演出におけるシェイク対象表示は、単独で実行されるときの(シェイクビジョン演出開始直前の)特定演出において立体視表示される特定表示の少なくとも一部を含むものであればよく、全体を含むものであってもよい。また、本実施形態では、シェイク対象表示は、特定表示を縮小させた表示としたが、特定表示を等倍のまま、あるいは拡大させてシェイク対象表示として使用してもよい。また、シェイク対象表示は、特定表示を傾斜させ、あるいは歪ませて表示させるもの等であってもよい。また、シェイク対象表示は、単独で実行される特定演出における表示領域32aの表示の少なくとも一部を含むものであればよく、全体を含むものであってもよい。すなわち、例えば、特定演出を単独で実行している状態において、演出図柄や、第1特別保留数あるいは第2特別保留数に対応する表示(保留されている第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値に係る表示)(保留表示)や、所定の文字(文字列)等が表示領域32aに表示されている場合に、これら演出図柄、保留表示または文字の一部あるいは全部がシェイク対象表示に含まれることとしてもよい。換言すると、特定表示には、これら演出図柄、保留表示または文字の一部あるいは全部が含まれてもよく、含まれなくてもよい。また、「特定表示の一部」とは、特定表示の所定範囲を除去したような(所定領域が表示されない)表示であってもよく、特定表示に含まれる一部の表示物を除去したような表示であってもよく、これら両方に該当する表示等であってもよい。
なお、演出図柄とは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に伴って、液晶ディスプレイ32において変動表示される表示物である。本実施形態では、演出図柄として1~9のいずれかの数字が記された9種類の演出図柄が用意されており、9種類の演出図柄から構成される3つの演出図柄群が、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に伴って変動表示された後に停止表示される。そして、3つの演出図柄群の停止態様(停止表示される3つの演出図柄の組合せ)によって特別図柄抽選の結果が報知される。本実施形態では、演出図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示に伴って特定演出およびシェイクビジョン演出が実行される。なお、特定演出やシェイクビジョン演出は、特別図柄抽選の大当りの期待度を示唆する演出であってもよい。また、特定演出やシェイクビジョン演出は、単独で実行される場合よりも、重複して実行される場合の方が、特別図柄抽選の大当りに対する期待度が高くなっていてもよい。
【0118】
ここで、特定演出およびシェイクビジョン演出に係るフレーム画像の構成について、図9を参照しながら説明する。ここでは、特定表示が、背景に係る描画素材としての背景画像400-1と、キャラクタに係る描画素材としてのキャラクタ画像400-2と、エフェクトに係る描画素材としてのエフェクト画像400-3と、を重ね合わせて構成される表示であるものとして説明する。また、シェイクビジョン表示が、背景に係る描画素材としての背景画像400-1と、キャラクタに係る描画素材としてのキャラクタ画像400-2と、エフェクトに係る描画素材としてのエフェクト画像400-3と、シェイクビジョン演出用の背景に係る描画素材としてのシェイクビジョン用背景画像400-6と、シェイク対象表示に係る画像としての中間画像400-7と、枠に係る描画素材としての枠画像400-8と、を重ね合わせて構成される表示であるものとして説明する。
なお、特定表示を構成する描画素材の数は、3個に限らず2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。また、画像400-1,400-2,400-3,400-6,400-8は、それぞれ通常素材であってもよく、立体視素材であってもよい。立体視素材の場合には、各画像400-1,400-2,400-3,400-6,400-8は、一対の左目用素材と右目用素材とで構成されることとなる。
【0119】
特定演出においては、各画像(描画素材)のプライオリティは、低い方から順に、背景画像400-1、キャラクタ画像400-2、エフェクト画像400-3の順となっている。また、シェイクビジョン演出においては、各画像(描画素材)のプライオリティは、低い方から順に、背景画像400-1、キャラクタ画像400-2、エフェクト画像400-3、シェイクビジョン用背景画像400-6、中間画像400-7、枠画像400-8の順となっている。
【0120】
また、背景画像400-1およびシェイクビジョン用背景画像400-6は、液晶ディスプレイ32に表示される際に、表示領域32aの全体を覆うように表示される画像である全画面素材(全画面画像)となっている。すなわち、全画面素材とは、その画像よりもプライオリティの低い画像を覆い隠して表示領域32aに表示されないようにする画像ともいえる。また、キャラクタ画像400-2、エフェクト画像400-3、中間画像400-7、枠画像400-8は、液晶ディスプレイ32に表示される際に、表示領域32aの全体を覆わない(表示領域32aの大きさよりも小さい大きさで表示される)画像となっている。
【0121】
単独で実行する特定演出においては、VDP314は、第1フレームバッファ321に画像400-1と、画像400-2と、画像400-3とを重ね合わせた左目用合成画像を生成するとともに、第2フレームバッファ322に画像400-1と、画像400-2と、画像400-3とを重ね合わせた右目用合成画像を生成する。そして、VDP314は、生成された左目用合成画像と右目用合成画像とを、合成処理によって合成し3次元画像とすることで、特定表示を立体視表示態様で表示させる。すなわち、単独で実行する特定演出においては、フレーム画像を構成する画像400-1と、画像400-2と、画像400-3とのうち、少なくとも1つが、一対の左目用素材と右目用素材とで構成される。換言すると、単独で実行する特定演出においては、特定表示に係る描画素材として、少なくとも一対の左目用素材と右目用素材とが含まれる。
【0122】
一方、特定演出と重複して実行されるシェイクビジョン演出においては、VDP314は、まず、第1フレームバッファ321に画像400-1と、画像400-2と、画像400-3とを重ね合わせた合成画像としての中間画像400-7を生成する。次いで、VDP314は、この中間画像400-7をキャプチャし、VRAM320のキャプチャ領域324に格納する。なお、キャプチャ領域324は、1フレームのフレーム画像を作成している途中の中間画像(フレーム画像として完成する前の画像)を一時的に記憶するVARM320内の領域である。
【0123】
次いで、VDP314は、第1フレームバッファ321にシェイクビジョン用背景画像400-6を描画する。次いで、VDP314は、キャプチャ領域324に格納されている中間画像400-7を第1フレームバッファ321に描画する。次いで、VDP314は、枠画像400-8を第1フレームバッファ321に描画する。ここで、シェイクビジョン用背景画像400-6は、全画面画像であるため、シェイクビジョン用背景画像400-6よりもプライオリティの低い画像400-1,400-2,400-3は、シェイクビジョン用背景画像400-6に覆い隠される。しかし、シェイクビジョン用背景画像400-6よりも上位側に中間画像400-7が配置されることで、画像400-1,400-2,400-3に描かれた表示物が液晶ディスプレイ32の表示上表れることとなる。
【0124】
ここで、特定演出と重複して実行されるシェイクビジョン演出において中間画像400-7を生成する際に、VDP314は、第2フレームバッファ322を使用しない。すなわち、VDP314は、画像400-1,400-2,400-3としての通常素材または左目用素材を第1フレームバッファ321において重ね合わせるが、画像400-1,400-2,400-3としての通常素材または右目用素材を第2フレームバッファ322において重ね合わせることはしない。換言すると、特定表示に係る描画素材が立体視素材であったとしても、キャプチャ領域325に格納される中間画像400-7の作成過程においては、当該立体視素材に係る表示物を立体視表示態様で表示させるための描画(第2フレームバッファ322への描画)は行わない。ただし、中間画像400-7をフレームバッファにおいて下位のプライオリティの画像の上に重ね合わせる際には、当該中間画像400-7を第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方に重ね合わせてもよい。また、中間画像400-7を第2フレームバッファ322において重ね合わせず、第1フレームバッファ321において重ね合わせた後に、第1フレームバッファ321における合成途中の画像(あるいは合成が完了した画像)を第2フレームバッファ322にコピーしてもよい。いずれにしても、最終的に液晶ディスプレイ32に表示される特定表示(中間画像400-7の表示)は、通常素材または左目用素材しか含まずに(右目用素材(立体視素材の一方)を含まずに)構成されたものとなるので、通常表示態様で表示される。
【0125】
このように本実施形態においては、特定演出が単独で実行される場合においては、特定表示が立体視表示態様で表示されるのに対し、特定演出がこの特定演出よりもプライオリティの高いシェイクビジョン演出と重複して実行される場合においては、特定表示が通常表示態様で表示される。すなわち、第1演出と第2演出とを重複して実行する場合においては、第2演出よりもプライオリティが低い第1演出については、立体視表示態様での表示(描画)をしないようになっている。また、ここで、第2演出に係る描画素材には全画面素材が含まれており、第1演出に係る描画素材を重ね合わせて構成された中間画像は、当該全画面素材によって覆い隠されるようになっている。また、第2演出では、どのプライオリティの描画素材までの描画が完了した段階で中間画像のキャプチャを行うかが設定されており、キャプチャした中間画像(全画面素材によって覆い隠される画像)を、当該全画面素材の前面側に表示させるようになっている。そして、第2演出としてのシェイクビジョン演出では、このキャプチャした中間画像を動かすことによって、シェイク対象表示の動きが実現される。
【0126】
なお、前述のようにシェイクビジョン用背景画像400-6や枠画像400-8は、立体視素材であってもよい。換言すると、シェイクビジョン演出においては、特定表示を通常表示態様で表示させるが、シェイクビジョン演出に含まれる他の表示については立体視表示態様で表示させてもよく、通常表示態様で表示させてもよい。ただし、特定表示(特定表示に係る画像)とともに動かす表示(当該表示に係る画像:例えば枠画像400-8)は、通常表示態様で表示させることが好ましい。
【0127】
以下では、液晶ディスプレイ32での表示に係る処理としての液晶描画処理の一例について図10図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0128】
図10に示す液晶描画処理においては、まず、表示制御手段312は、メッセージ解析処理を実行する(ステップS1)。メッセージ解析処理では、表示制御手段312は、メッセージによって指定されるシーンデータを抽出する。ここで、「メッセージ」とは、演出内容を指示するものであり、シーンデータを指定するものである。また、「シーンデータ」とは、各モーションの開始タイミングや、再生時間、プライオリティなどが規定されたデータであり、例えばサブメモリ302のROM上に記憶されている。
【0129】
次いで、表示制御手段312は、シーンデータ解析処理を実行する(ステップS2)。シーンデータ解析処理では、表示制御手段312は、メッセージ解析処理で抽出されたシーンデータを解析し、再生中モーションリストを作成(更新)する。ここで、「再生中モーションリスト」とは、各モーションについて、プライオリティや、モーションの進行などを管理するためのリストであり、例えばサブメモリ302のRAM上に生成される。表示制御手段312は、シーンデータを解析し、モーションを再生中モーションリストに登録したり、再生中モーションリストから破棄したりする。
【0130】
次いで、表示制御手段312は、モーションデータ解析処理を実行する(ステップS3)。モーションデータ解析処理では、表示制御手段312は、再生中モーションリストに登録されている各モーションのモーションデータを解析し、各モーションについて素材描画データリストを作成(更新)する。ここで、「モーションデータ」とは、演出の種類毎にまとめた1または複数の描画素材について、各描画素材のプライオリティ、描画(配置)座標、不透明度、画素間の演算方式(描画素材を描画する際にどの演算方式で描画するか)などが規定されたデータであり、例えばサブメモリ302のROM上に記憶されている。そして、各モーションデータによって各モーションが規定されている。また、「素材描画データリスト」とは、1フレームで描画される各描画素材について、プライオリティや、描画(配置)座標、不透明度、立体視許可素材であるか(本モーションにおいて表示物を立体視させるのに用いる描画素材であるか)、画素間(描画素材同士)をどの演算方式で組み合わせるかなどをモーション毎に管理するためのリストであり、例えばサブメモリ302のRAM上に生成される。なお、素材データリストにおいて、一対の左目用素材と右目用素材(立体視素材)は、まとめて管理されてもよく、個別に管理されてもよい。
【0131】
なお、プライオリティとは、描画(表示)上の優先度のことであり、プライオリティが高い描画素材(プライオリティが高いモーションの描画素材)ほど、液晶ディスプレイ32の表示上、前面側に(優先的に)表示される。また、再生中モーションリストおよび素材描画データリストでは、モーションあるいは描画素材は、先頭側から末尾側に向けて、プライオリティが低い方から順に配置されている。すなわち、再生中モーションリストおよび素材描画データリストでは、先頭側ほどモーションあるいは描画素材のプライオリティが低く、末尾側ほどモーションあるいは描画素材のプライオリティが高くなっている。
【0132】
次いで、表示制御手段312は、全画面描画判定処理を実行する(ステップS4)。また、全画面描画判定処理が終了すると、表示制御手段312は、描画コマンド構築処理を実行する(ステップS5)。
【0133】
続いて、全画面描画判定処理について図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。全画面描画判定処理では、表示制御手段312は、まず、再生中モーションリストの参照先を先頭に設定する(ステップS11)。
【0134】
次いで、表示制御手段312は、再生中モーションリストの参照が終了したか否かを判定する(ステップS12)。換言すると、表示制御手段312は、再生中モーションリストを末尾まで参照したか否かを判定する。
【0135】
再生中モーションリストの参照が終了した場合(ステップS12でYES)、呼び出し元の液晶描画処理に復帰する。一方、再生中モーションリストの参照が終了していない場合(ステップS12でNO)、表示制御手段312は、現在参照しているモーションの素材描画データリストについて、素材描画データリストの参照先を先頭に設定する(ステップS13)。
【0136】
ステップS13の次に、表示制御手段312は、現在参照しているモーションの素材描画データリストについて、素材描画データリストの参照が終了したか否かを判定する(ステップS14)。換言すると、表示制御手段312は、素材描画データリストを末尾まで参照したか否かを判定する。
【0137】
素材描画データリストの参照が終了した場合(ステップS14でYES)、表示制御手段312は、再生中モーションリストの参照先を次に進め(次のモーションに移動し)(ステップS15)、その後ステップS12に移行する。
【0138】
素材描画データリストの参照が終了していない場合(ステップS14でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材でキャプチャプライオリティを超えたか否かを判定する(ステップS16)。本実施形態では、表示制御手段312は、メッセージ解析処理に基づいてシェイクビジョン演出を実行することを認識すると、特定表示に係る描画素材のうち最もプライオリティが高い描画素材に対応するプライオリティをキャプチャプライオリティとして決定し、サブメモリ302のRAMに設けられたキャプチャプライオリティ記憶領域に登録する。そして、ステップS16の処理では、表示制御手段312は、このRAMに登録したキャプチャプライオリティを参照し、現在参照している描画素材のプライオリティが、キャプチャプライオリティを超えるものか否かを判定する。換言すると、現在参照している描画素材で、キャプチャプライオリティを超えるプライオリティに達したか否かを判定する。ここで、ステップS16の処理は、現在参照している描画素材で、キャプチャプライオリティを超えたか否かを判定する処理であり、実行中の(各フレームにおける)全画面描画判定処理において初めてキャプチャプライオリティを超えたとき(キャプチャプライオリティに達したとき)にステップS16でYESとなり、それ以外のタイミングにおいては、ステップS16でNOとなる。
【0139】
現在参照している描画素材でキャプチャプライオリティを超えた場合(ステップS16でYES)、表示制御手段312は、サブメモリ302のRAMに設けられたキャプチャフラグ記憶領域に記憶されるキャプチャフラグをOFF状態からON状態にする(キャプチャフラグをセットする)(ステップS17)。
【0140】
現在参照している描画素材でキャプチャプライオリティを超えたのではない場合(ステップS16でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材が全画面素材か否かを判定する(ステップS18)。
【0141】
描画素材が全画面素材の場合(ステップS18でYES)、表示制御手段312は、キャプチャフラグがON状態か否かを判定する(ステップS19)。キャプチャフラグがON状態の場合(ステップS19でYES)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材を、立体視開始許可素材(立体視開始許可素材の全画面素材)としてサブメモリ302のRAMに登録する(ステップS20)。一方、キャプチャフラグがOFF状態の場合(ステップS19でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材を、描画開始素材(描画開始素材の全画面素材)としてサブメモリ302のRAMに登録する(ステップS21)。
【0142】
描画素材が全画面素材でない場合(ステップS18でNO)またはステップS20もしくはステップS21が終了した場合、表示制御手段312は、素材描画データリストの参照先を次に進め(次の描画素材に移動し)(ステップS22)、その後ステップS14に移行する。
【0143】
続いて、描画コマンド構築処理について図12および図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。描画コマンド構築処理では、表示制御手段312は、まず、サブメモリ302のRAMに設けられた立体視フラグ記憶領域に記憶される立体視フラグをOFF状態に設定する(ステップS30)。次いで、表示制御手段312は、再生中モーションリストの参照先を先頭に設定する(ステップS31)。
【0144】
次いで、表示制御手段312は、再生中モーションリストの参照が終了したか否かを判定する(ステップS32)。換言すると、表示制御手段312は、再生中モーションリストを末尾まで参照したか否かを判定する。
【0145】
再生中モーションリストの参照が終了した場合(ステップS32でYES)、表示制御手段312は、描画コマンド構築処理を終了する。一方、再生中モーションリストの参照が終了していない場合(ステップS32でNO)、表示制御手段312は、現在参照しているモーションの素材描画データリストについて、素材データリストの参照先を先頭に設定する(ステップS33)。
【0146】
ステップS33の次に、表示制御手段312は、現在参照しているモーションの素材描画データリストについて、素材描画データリストの参照が終了したか否かを判定する(ステップS34)。換言すると、表示制御手段312は、素材描画データリストを末尾まで参照したか否かを判定する。
【0147】
素材描画データリストの参照が終了した場合(ステップS34でYES)、表示制御手段312は、再生中モーションリストの参照先を次に進め(次のモーションに移動し)(ステップS35)、その後ステップS32に移行する。
【0148】
素材描画データリストの参照が終了していない場合(ステップS34でNO)、表示制御手段312は、現在参照してる描画素材でキャプチャプライオリティを超えたか否かを判定する(ステップS36)。
【0149】
現在参照している描画素材でキャプチャプライオリティを超えた場合(ステップS36でYES)、表示制御手段312は、第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)をVRAM320のキャプチャ領域324に格納することを決定する(ステップS37)。換言すると、表示制御手段312は、VDP314に、現在参照している描画素材の描画に係る処理を行うタイミングにおいて(1つ前に参照していた描画素材の描画を行った後、現在参照している描画素材の描画を行う前に)第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)をVRAM320のキャプチャ領域324にコピーさせることを決定する。すなわち、ステップS37が実行された場合、当該タイミングにおいて第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)をVRAM320のキャプチャ領域324にコピーすることを指示する描画コマンドが生成される。
【0150】
現在参照している描画素材でキャプチャプライオリティを超えたのではない場合(ステップS36でNO)またはステップS37が終了した場合、表示制御手段312は、現在参照している描画素材のプライオリティが、描画開始素材のプライオリティよりも低いか否かを判定する(ステップS38)。現在参照している描画素材のプライオリティが、描画開始素材のプライオリティよりも低い場合(ステップS38でYES)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材を非描画設定とすることを決定する(ステップS39)。
【0151】
現在参照している描画素材のプライオリティが、描画開始素材のプライオリティ以上の場合(ステップS38でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材のプライオリティが、立体視開始許可素材のプライオリティよりも低いか否かを判定する(ステップS40)。
【0152】
現在参照している描画素材のプライオリティが、立体視開始許可素材のプライオリティよりも低い場合(ステップS40でYES)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材が、立体視素材か否かを判定する(ステップS41)。現在参照している描画素材が、立体視素材の場合(ステップS40でYES)、表示制御手段312は、左目用素材については立体視不可の状態で描画することを決定し(通常表示態様で表示されるように描画することを決定し)、右目用素材については非描画設定とすることを決定する(ステップS42)。
【0153】
ステップS40もしくはステップS41でNOの場合またはステップS39もしくはステップS42が終了した場合、表示制御手段312は、1素材分の描画コマンド構築処理(ステップS43)を実行する。また、1素材分の描画コマンド構築処理が終了すると、表示制御手段312は、素材描画データリストの参照先を次に進め(次の描画素材に移動し)(ステップS44)、その後ステップS34に移行する。
【0154】
1素材分の描画コマンド構築処理においては、表示制御手段312は、まず、立体視フラグがON状態か否かを判定する(ステップS51)。
【0155】
立体視フラグがOFF状態の場合(ステップS51でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材が立体視許可素材であるか否かを判定する(ステップS52)。
【0156】
現在参照している描画素材が立体視許可素材でない場合(ステップS52でNO)、表示制御手段312は、現在参照している描画素材を第1フレームバッファ321に描画することを決定する(ステップS53)。具体的には、モーションに応じて規定され素材描画データリストに登録されている立体視許可素材であるか否かの情報が、立体視許可素材でないことを示すものである場合(描画素材が通常素材の場合)、あるいはステップS42において左目用素材について立体視不可の状態で描画することが決定された場合に、ステップS52でNOと判定されステップS53が実行される。また、ステップS53が終了すると、1素材分の描画コマンド構築処理が終了する。すなわち、ステップS53が実行された場合、参照している描画素材について、第2フレームバッファ322には描画せず、第1フレームバッファ321に描画することを指示する描画コマンドが生成される。換言すると、描画素材が立体視素材の場合であっても、ステップS42が実行された場合、第1フレームバッファ321への描画(左目用素材の描画)のみが行われ、第2フレームバッファへの描画(当該左目用素材と対をなす右目用素材の描画)は行われない。
【0157】
現在参照している描画素材が立体視許可素材の場合(ステップS52でYES)、表示制御手段312は、第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)を第2フレームバッファ322にコピーすることを決定する(ステップS54)。換言すると、表示制御手段312は、VDP314に、現在参照している描画素材の描画に係る処理を行うタイミングにおいて(1つ前に参照していた描画素材の描画を行った後、現在参照している描画素材の描画を行う前に)第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)を第2フレームバッファ322にコピーさせることを決定する。すなわち、ステップS54が実行された場合、当該タイミングにおいて第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)を第2フレームバッファ322にコピーすることを指示する描画コマンドが生成される。また、ステップS54が終了すると、表示制御手段312は、立体視フラグをON状態に設定する(ステップS55)。
【0158】
ステップS51でYESの場合またはステップS55が終了した場合、表示制御手段312は、通常素材または左目用素材について、第1フレームバッファ321に描画することを決定する(ステップS56)。また、表示制御手段312は、通常素材または右目用素材について、第2フレームバッファ322に描画することを決定する(ステップS57)。すなわち、ステップS56,S57が実行されると、現在参照している描画素材が通常素材の場合、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方に描画することを指示する描画コマンドが生成される。また、現在参照している描画素材が左目用素材の場合、第1フレームバッファ321に描画することを指示する描画コマンドが生成される。また、現在参照している描画素材が右目用素材の場合、第2フレームバッファ322に描画することを指示する描画コマンドが生成される。
【0159】
こうして、再生中モーションリストおよび素材描画データリストに基づいて、各描画素材について描画コマンドを構築していき、再生中モーションリストの参照が終了すると(ステップS32でYES)、表示制御手段312は、構築した描画コマンドを1フレーム分の描画コマンドとしてまとめてVDP314に転送する。
【0160】
そして、VDP314は、表示制御手段312から転送された1フレーム分の描画コマンドに基づいて1フレーム分のフレーム画像を構築し、液晶ディスプレイ32に表示させる。
【0161】
なお、ステップS39またはステップS42において非描画設定とすることが決定された描画素材については、ステップS53,S56,S57において、当該描画素材をフレームバッファに描画することを指示するコマンドが生成されない。換言すると、ステップS39またはステップS42において非描画設定とすることが決定された描画素材については、VDP314はフレームバッファへの描画を行わない。
【0162】
また、ステップS37に基づいてキャプチャ領域324に格納される中間画像は、次のようにして使用される。すなわち、素材描画データリストに登録される描画素材の中には、キャプチャ領域324に格納された中間画像と置き換えをするためのダミー素材が含まれている。そして、キャプチャ領域324に格納された中間画像は、ダミー素材をフレームバッファにおいて重ね合わせるタイミングで呼び出され、ダミー素材と差し替えて、フレームバッファ上に重ねられる。また、中間画像は、そのまま(キャプチャする際の表示のままとなるように)フレームバッファ上に重ねることとしてもよいが、表示サイズが縮小されたり、傾斜した表示あるいは歪んだ表示などとなるように、液晶ディスプレイ32における表示態様を変化させる何らかの加工を施してフレームバッファ上に重ねることとしてもよい。なお、ダミー素材に係る1素材分の描画コマンド構築処理において、ステップS53を行う場合には、キャプチャ領域324に格納された中間画像は第1フレームバッファ321のみに描画され(その後、所定のタイミングで第1フレームバッファ321のデータが第2フレームバッファ322にコピーされ(ステップS54))、ステップS56,S57を行う場合にはキャプチャ領域324に格納された中間画像は第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方に描画される。
【0163】
次に、シェイクビジョン演出における各描画素材の取り扱いとプライオリティとの関係について、図14を参照しながら説明する。本実施形態における描画素材のプライオリティは、プライオリティA~Gの7種類に分類される。
【0164】
プライオリティAは、プライオリティBよりも低いプライオリティとなっている。プライオリティAが設定された描画素材は、フレームバッファへの描画を行わない描画素材として扱われる。すなわち、プライオリティAは、描画素材を非描画として扱うプライオリティともいえる。
本実施形態では、プライオリティAが設定された描画素材は、描画をしたとしてもプライオリティBの描画素材に覆い隠され、液晶ディスプレイ32の表示に表れることがないため、非描画とすることで処理負荷を軽減している。
【0165】
プライオリティBは、キャプチャプライオリティD以下のプライオリティであって、全画面素材に対応付けられたプライオリティとなっている。より具体的には、キャプチャプライオリティD以下のプライオリティを有する全画面素材のうち、最も高いプライオリティを有する全画面素材に設定されたプライオリティとなっている。また、プライオリティBは、描画開始素材として登録される描画素材(1フレーム分の液晶描画処理(全画面描画判定処理)において最終的に登録される描画開始素材)のプライオリティとなっている。そして、本実施形態においては、プライオリティBの描画素材からフレームバッファへの描画が開始される。換言すると、プライオリティB以上のプライオリティが設定された描画素材は、フレームバッファへの描画が行われる。
本実施形態のシェイクビジョン演出においては、背景画像400-1に設定されたプライオリティがプライオリティBに該当する(図9参照)。
【0166】
プライオリティCは、キャプチャプライオリティD以下のプライオリティであって、プライオリティB以上のプライオリティとなっている。プライオリティCが設定された描画素材は、第1フレームバッファ321への描画のみが許可され、第2フレームバッファ322への描画は許可されない描画素材として扱われる。具体的には、プライオリティCが設定された描画素材のうち、左目用素材と通常素材とについては、第1フレームバッファ321のみに描画がされ、右目用素材については、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とのどちらにも描画がされない。すなわち、プライオリティCは、描画素材を立体視を行わないものとして扱うプライオリティともいえる。
シェイクビジョン演出では、特定表示(キャプチャ領域324に格納する中間画像)については、立体視表示態様では表示させず通常表示態様で表示させるので、中間画像の生成にあたり、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方への描画を行っても、一方は無駄になってしまう。そこで、プライオリティCの描画素材については、第2フレームバッファ322への描画を行わないようにすることで、処理負荷を軽減している。
本実施形態のシェイクビジョン演出においては、背景画像400-1、キャラクタ画像400-2およびエフェクト画像400-3に設定されたプライオリティがプライオリティCに該当する(図9参照)。
【0167】
プライオリティDは、キャプチャプライオリティである。本実施形態においては、キャプチャプライオリティD以下のプライオリティが設定された描画素材までが第1フレームバッファ321に描画された段階で、第1描画領域に描画されている中間画像がキャプチャ領域324に格納される。換言すると、プライオリティB以上であって、かつキャプチャプライオリティD以下のプライオリティが設定された描画素材を合成して中間画像が作成される。
【0168】
プライオリティEは、キャプチャプライオリティよりも高いプライオリティであって、全画面素材に対応付けられたプライオリティとなっている。より具体的には、キャプチャプライオリティDよりも高いプライオリティを有する全画面素材のうち、最も高いプライオリティを有する全画面素材に設定されたプライオリティとなっている。また、プライオリティEは、立体視開始許可素材として登録される描画素材(1フレーム分の液晶描画処理(全画面描画判定処理)において最終的に登録される立体視開始許可素材)のプライオリティとなっている。そして、本実施形態においては、プライオリティEの描画素材から第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方への描画を開始することが許可される。すなわち、プライオリティEは、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方への描画を開始することを許容するプライオリティといえる。
本実施形態では、プライオリティE以上のプライオリティを有する描画素材について、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方への描画(すなわち、立体視表示態様で表示すること)を許容する一方、プライオリティE未満のプライオリティを有する描画素材について、第2フレームバッファ322への描画を許容しないことで、処理負荷を軽減している。
本実施形態のシェイクビジョン演出においては、シェイクビジョン用背景画像400-6に設定されたプライオリティがプライオリティEに該当する(図9参照)。
【0169】
プライオリティFは、ダミー素材に対応付けられたプライオリティとなっている。換言すると、プライオリティFは、キャプチャ領域324に格納された中間画像のフレームバッファへの描画を行うプライオリティとなっている。また、プライオリティFは、プライオリティEよりも高いプライオリティとなっている。したがって、立体視開始許可素材は、ダミー素材よりもプライオリティが低い描画素材のうち、最もプライオリティの高い全画面素材ともいえる。そして、立体視開始許可素材によって、キャプチャプライオリティD以下の描画素材についてフレームバッファに描画した内容が隠されるとともに、立体視開始許可素材よりも上位にキャプチャ領域324に格納された中間画像(ダミー画像と差し替えられる中間画像)が配置されるようになっている。
本実施形態のシェイクビジョン演出においては、中間画像400-7(中間画像400-7と差し替えられるダミー画像)に設定されたプライオリティがプライオリティFに該当する(図9参照)。
【0170】
プライオリティGは、プライオリティE以上のプライオリティとなっている。なお、プライオリティGは、プライオリティFよりも高いプライオリティであってもよい。プライオリティGが設定された描画素材については、当該描画素材が立体視素材であれば立体視表示態様で表示されるようにフレームバッファへの描画が行われ、当該描画素材が通常素材であれば通常表示態様で表示されるようにフレームバッファへの描画が行われる。換言すると、プライオリティGが設定された左目用素材は第1フレームバッファ321に描画され、プライオリティGが設定された右目用素材は第2フレームバッファ322に描画される。また、プライオリティGを有する描画素材のうち、最もプライオリティの低い立体視素材のプライオリティは、第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)を第2フレームバッファ322にコピーするプライオリティとなっている。すなわち、VDP314は、プライオリティが低い描画素材から順番に第1フレームバッファ321への描画を行い、描画する描画素材のプライオリティが当該プライオリティに達すると、第1フレームバッファ321のデータ(中間画像)を第2フレームバッファ322にコピーする。そして、VDP314は、当該プライオリティの描画素材から、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方への描画を開始する。
【0171】
本実施形態の遊技機によれば、遊技者に立体視させ得る立体視表示態様での表示と、立体視表示態様とは異なる通常表示態様での表示とが可能な表示手段32と、前記表示手段32での表示に関する制御を行う表示制御手段312と、を備え、前記表示制御手段312が前記表示手段32に所定の表示をさせる演出には、第1演出と、前記第1演出と重複して実行し得る第2演出とがあり、前記表示制御手段312は、前記第2演出と重複せずに前記第1演出を実行する場合に、立体視表示態様で特定表示を前記表示手段32に表示させることが可能であり、前記第2演出と重複して前記第1演出を実行する場合に、通常表示態様で前記特定表示の少なくとも一部を前記表示手段32に表示させることが可能である。
立体視表示態様での表示には、左目用の画像の描画と右目用の画像の描画とが必要となるため、処理負荷が大きくなってしまう場合がある。特に、複数の演出が重複して発生する場合には、処理負荷が大きくなりがちである。本構成によれば、第2演出と重複せずに第1演出を実行する場合には、立体視表示態様で特定表示を表示させる一方、第2演出と重複して第1演出を実行する場合には、通常表示態様で特定表示の少なくとも一部を表示させる。したがって、第1演出と第2演出とが重複する場合において、特定表示に関し、左目用の画像の描画と右目用の画像の描画との両方を行う必要が無く、表示手段32での表示に係る処理負荷が軽減できる。
【0172】
また、本実施形態において、前記第2演出は、前記第1演出と重複して実行しているときに、前記特定表示の前記少なくとも一部を、前記表示手段32の表示領域内において動かす演出であってもよい。
特定表示を動かす(例えば揺り動かす)演出において、特定表示を立体視表示態様で表示させると、当該表示が見にくくなるおそれがある。本構成によれば、特定表示を動かす演出において特定表示が通常表示態様で表示されるので、特定表示を見やすくすることができる。
【0173】
また、本実施形態の遊技機は、前記表示制御手段312からの指示に基づいて、前記表示手段32に表示させるフレーム画像を作成する描画手段314を備え、前記描画手段314は、前記フレーム画像を構成する複数の描画素材を、各描画素材に設定された優先度に基づいて描画領域に描画することにより前記フレーム画像を作成する遊技機であって、
前記描画領域として、第1描画領域321と第2描画領域322とを有し、
前記描画素材として、立体視表示態様での表示に用いられる描画素材であって、一対の第1素材と第2素材とで構成される立体視素材を有し、
前記描画手段314による前記フレーム画像の作成過程において、所定の優先度以下の優先度が設定された描画素材までが前記第1描画領域に描画された段階で前記第1描画領域に描画されている中間画像を記憶するキャプチャ領域324を備え、
前記描画手段314は、
前記第2演出と重複せずに前記第1演出を実行する場合に、前記特定表示に係る前記第1素材を前記第1描画領域321に描画するとともに、当該第1素材と対をなす前記第2素材を前記第2描画領域322に描画することにより、立体視表示態様で前記特定表示を前記表示手段32に表示させ、
前記第2演出と重複して前記第1演出を実行する場合に、前記特定表示に係る前記第1素材を前記第1描画領域321に描画し、前記キャプチャ領域324に記憶した前記中間画像を利用して前記フレーム画像を作成することにより、通常表示態様で前記特定表示の前記少なくとも一部を前記表示手段32に表示させることとしてもよい。
本構成によれば、第2演出と重複して第1演出を実行する場合に、キャプチャ領域324に記憶させる中間画像の作成において第2描画領域322への描画を行うことなく特定表示を表示させることが可能となる。したがって、表示手段32での表示に係る処理負荷が軽減できる。
【0174】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0175】
3D表示演出に係る描画素材には、立体視素材(一対の左目用立体視素材(左目用素材)と右目用立体視素材(右目用素材)と)が含まれる。本実施形態では、アフターエフェクト(登録商標)等のオーサリングソフト(オーサリングツール)を用いて、立体視素材が生成されている。オーサリングソフトでは、仮想的な透明のレイヤがM枚存在しており、1枚のレイヤに1個の素材を配置することができ、全ての素材をレイヤに配置し終えた段階でレイヤを上位側からみた合成画像を出力可能である。また、オーサリングソフトによる立体視素材の生成では、図15に示すように、左目用のカメラの位置および右目用のカメラの位置を設定可能であり、また、所定の素材について前後方向におけるどの位置に立体的な表示物を視認させるかを設定可能である。オーサリングソフト上で各設定値を入力し、演算を実行させると、左目用のカメラでみた合成画像が左目用立体視素材(左目用動画素材)として出力され、右目用のカメラでみた合成画像が右目用立体視素材(右目用動画素材)として出力される。
【0176】
本実施形態では、上記のように生成された左目用立体視素材および右目用立体視素材が遊技機に搭載されており、3D表示演出が実行されると、それぞれが各フレームバッファに描画され、左目用合成画像と右目用合成画像とが合成されて合成画像(3次元画像)が生成される。そして、当該合成画像が液晶ディスプレイ32に表示され、レンチキュラーレンズを介して視認されると、遊技者の左目に左目用立体視素材に係る表示物が視認され、遊技者の右目に右目用立体視素材に係る表示物が視認され、立体的な表示物が視認されるようになっている。ここで、図16図18を用いて、所定の3D表示演出が実行され(所定の3次元画像が表示され)、遊技者の左目LEに左目用立体視素材Lに係る表示物が視認され、遊技者の右目REに右目用立体視素材Rに係る表示物が視認される場合について説明する。
【0177】
図16(a)は、表示領域32aの中央に右目用立体視素材Rに係る表示物が位置し、図16(b)は、表示領域32aの中央に左目用立体視素材Lに係る表示物が位置している場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図16(c)に示すとおりとなる。すなわち、遊技者は、左目LEで左目用立体視素材Lに係る表示物を視認し、右目REで右目用立体視素材Rに係る表示物を視認する。このとき、左目用立体視素材Lに係る表示物と右目用立体視素材Rに係る表示物とが、表示領域32aにおける同じ位置に配されているため、左目用立体視素材Lに係る表示物に対する左目LEの視線と、右目用立体視素材Rに係る表示物に対する右目REの視線とが交差する交点Wの位置が、表示領域32aの表面上に位置する。交点Wが表示領域32aの表面上に位置する場合、表示物は平面的に視認され、立体視させない表示物(通常表示物)を視認している場合と殆ど差異がない。表示領域32aの表面上(表示面上)における交点Wの位置を基準位置(0位置:Z軸方向の±0位置)と呼ぶ。0位置は、左目用立体視素材Lに係る表示物と右目用立体視素材Rに係る表示物との視差が0となる位置とも言うことができる。
【0178】
図17(a)は、表示領域32aの中央よりも左側に右目用立体視素材Rに係る表示物が位置し、図17(b)は、表示領域32aの中央よりも右側に左目用立体視素材Lに係る表示物が位置している場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図17(c)に示すとおりとなる。すなわち、左目LEの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも右側となり、右目REの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも左側となる。このため、左目用立体視素材Lに係る表示物に対する左目LEの視線と、右目用立体視素材Rに係る表示物に対する右目REの視線とが交差する交点Wが、表示領域32aよりも正面側(前方側)に位置する。このように、交点Wが表示領域32aよりも前方側に位置する場合、表示物が立体的に視認される。換言すると、表示物が交点Wに位置している、すなわち、表示物が表示領域32aの手前側に浮き出て(飛び出て)いるように視認される。以下、表示領域32aよりも前方側における交点Wの位置、すなわち、基準位置(0位置)よりも前方側(手前側)にある交点Wの位置を手前位置(-位置:Z軸方向の手前位置)と呼ぶ。図17の例では、左目用立体視素材Lに係る表示物と右目用立体視素材Rに係る表示物とが所定の差異(視差)を有しており、-位置に立体表示物が視認されるようになっている。
【0179】
図18(a)は、表示領域32aの中央よりも右側に右目用立体視素材Rに係る表示物が位置し、図18(b)は、表示領域32aの中央よりも左側に左目用立体視素材Lに係る表示物が位置する場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図18(c)に示すとおりとなる。すなわち、左目LEの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも左側となり、右目REの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも右側となる。このため、左目用立体視素材Lに係る表示物に対する左目LEの視線と、右目用立体視素材Rに係る表示物に対する右目REの視線とが交差する交点Wが、表示領域32aよりも奥側(後方側)に位置する。このように、交点Wが表示領域32aよりも後方側に位置する場合、表示物が立体的に視認される。換言すると、表示物が交点Wに位置している、すなわち、表示物が表示領域32aの奥側にあるように(奥側に引っ込んでいるように)視認される。以下、表示領域32aよりも後方側における交点Wの位置、すなわち、基準位置(0位置)よりも後方側(奥側)にある交点Wの位置を奥位置(+位置:Z軸方向の奥位置)と呼ぶ。図18の例では、左目用立体視素材Lに係る表示物と右目用立体視素材Rに係る表示物とが所定の差異(視差)を有しており、+位置に立体表示物が視認されるようになっている。
【0180】
上記の説明では、3D表示演出に係る表示物(オブジェクト)を演出ボタン26とし、3D表示演出が実行されると、演出ボタン26に係る立体表示物が視認されるものとしたが、第1の実施の形態で述べたように、オブジェクトは、人物(キャラクタ)、動物、乗り物、建造物、自然物(例えば岩、木など)、文字、背景、模様、図柄などであってもよい。
【0181】
本実施形態の遊技機は、3D表示演出の1つとして、特定3D表示演出を実行可能である。特定3D表示演出は、特別図柄抽選の大当りの期待度(特典が付与される期待度)を示唆する演出であってもよく、特定3D表示演出が実行された場合、特定3D表示演出が実行されなかった場合よりも、特別図柄抽選の大当りに対する期待度が高くなっていてもよい。
【0182】
本実施形態では、特定3D表示演出に係る描画素材(動画素材)として、-位置に視認される第1立体表示物511および+位置に視認される第2立体表示物512の視認を可能とする第1立体視素材(左目用第1立体視素材および右目用第1立体視素材)が設けられている。第1立体視素材は、サブメモリ302のROMに記憶されている。第1立体視素材は、第1立体表示物511に係るデータと、第2立体表示物512に係るデータと、を含んでいると言うことができる。
【0183】
第1立体視素材は、第1立体表示物511および第2立体表示物512に加え、図16で示した、基準位置(0位置)における表示物の視認を可能とするものであってもよい。換言すると、第1立体視素材は、-位置から+位置までの間における表示物の視認を可能とするように構成されていてもよい。
【0184】
特定3D表示演出が実行されると、第1立体視素材に基づき、特定3D表示演出に係る3次元画像(特定3D表示)が生成されて表示され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される(図19参照)。図19は、特定3D表示演出が実行された状態を示す概略図(イメージ図)であるが、第1立体表示物511としての表示物は本実施形態では隕石となっており、基準位置よりも手前側において隕石が飛び交う様子が視認される。また、第2立体表示物512としての表示物は本実施形態では岩石となっており、基準位置よりも奥側において岩石が漂流する様子が視認される。
【0185】
本実施形態では、第1立体視素材に係る表示物は、表示領域32aの全体を覆うように視認される。換言すると、第1立体視素材は、全画面素材となっている。なお、第1立体視素材に係る表示物が、表示領域32aの一部を覆うように視認されるものであってもよい。換言すると、第1立体視素材は、表示領域32aの全体を覆わない大きさ(表示領域32aの大きさよりも小さい大きさ)を有する素材であってもよい。
【0186】
(特定3D表示演出を単独で実行する場合)
VDP314は、サブメモリ302のROMから、左目用第1立体視素材を取得し、第1フレームバッファ321(左目用フレームバッファ)に描画していく。また、これと並行して、VDP314は、サブメモリ302のROMから、右目用第1立体視素材を取得し、第2フレームバッファ322(右目用フレームバッファ)に描画していく。そして、第1フレームバッファ321への左目用第1立体視素材(1フレーム分の左目用素材)の描画と、第2フレームバッファ322への右目用第1立体視素材(1フレーム分の右目用素材)の描画とが終了した後、VDP314は、合成処理を実行し、3次元画像を生成する。特定3D表示演出が(単独で)実行されると、第1立体視素材が描画(再生)され、当該3次元画像が生成されて表示され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認されるとともに、基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される。
【0187】
このように特定3D表示演出は、1つの第1立体視素材に基づき実行可能となっているが、本実施形態では、第1立体視素材とは別に2つの立体視素材(第2立体視素材および第3立体視素材)が設けられている。第2立体視素材および第3立体視素材は、サブメモリ302のROMに記憶されている。特定3D表示演出は、第2立体視素材および第3立体視素材に基づいても実行可能となっている。
【0188】
第2立体視素材(左目用第2立体視素材および右目用第2立体視素材)は、-位置に視認される第1立体表示物511の視認を可能とし、+位置に視認される第2立体表示物512の視認を可能としない素材となっている。換言すると、第2立体視素材は、第1立体表示物511に係るデータを含み、第2立体表示物512に係るデータを含んでいない素材となっている。本実施形態では、第2立体視素材に基づき、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511を視認させる第1特定3D表示演出を実行可能である。換言すると、第1特定3D表示演出が実行され、第2立体視素材が再生されると、所定の3次元画像が生成されて表示され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認される。
【0189】
第3立体視素材(左目用第3立体視素材および右目用第3立体視素材)は、+位置に視認される第2立体表示物512の視認を可能とし、-位置に視認される第1立体表示物511の視認を可能としない素材となっている。換言すると、第3立体視素材は、第2立体表示物512に係るデータを含み、第1立体表示物511に係るデータを含んでいない素材となっている。本実施形態では、第3立体視素材に基づき、基準位置よりも奥側において第2立体表示物512を視認させる第2特定3D表示演出を実行可能である。換言すると、第2特定3D表示演出が実行され、第3立体視素材が再生されると、所定の3次元画像が生成されて表示され、基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される。
【0190】
第2立体視素材および第3立体視素材は、第1立体視素材を分割した素材と言うことができ、第1立体視素材と見た目が類似している(一部が共通している)素材と言うことができる。
【0191】
(特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行する場合)
本実施形態では、特定3D表示演出が所定の演出(シェイクビジョン演出:通常表示演出の1つである特定演出)と重複して実行される場合には、第1立体視素材ではなく、第2立体視素材および第3立体視素材が用いられるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0192】
特定3D表示演出およびシェイクビジョン演出が重複して実行される前(直前)に、図20(a)および図20(b)に示す、背景に係る描画素材としての背景素材(背景画像)500-1と、キャラクタに係る描画素材としてのキャラクタ素材(キャラクタ画像)500-2と、が液晶ディスプレイ32に表示されているものとする。キャラクタ素材500-2のプライオリティは、背景素材500-1のプライオリティよりも高くなっている。また、背景素材500-1とキャラクタ素材500-2とは通常素材である。また、背景素材500-1は、表示領域32aの全体を覆う大きさを有する全画面素材である。また、キャラクタ素材500-2は、表示領域32aの全体を覆わない大きさ(表示領域32aの大きさよりも小さい大きさ)を有する素材である。
【0193】
また、本実施形態では、シェイクビジョン演出に係る描画素材として、図21に示すダミー素材(ダミー画像)500-3と、枠素材(枠画像)500-4と、が設けられ、サブメモリ302のROMに記憶されている。枠素材500-4のプライオリティは、ダミー素材500-3のプライオリティよりも高くなっている。また、ダミー素材500-3および枠素材500-4は通常素材である。また、ダミー素材500-3および枠素材500-4は、表示領域32aの全体を覆わない大きさ(表示領域32aの大きさよりも小さい大きさ)を有する素材である。
【0194】
シェイクビジョン演出に係る通常素材のプライオリティは、第3立体視素材のプライオリティよりも高くなっており、第2立体視素材のプライオリティは、シェイクビジョン演出に係る通常素材のプライオリティよりも高くなっている。特定3D表示演出およびシェイクビジョン演出が開始されると、図22に示すように、シェイクビジョン演出に係る通常素材はそれぞれ、第3立体視素材(+位置)が配置されるレイヤ(レイヤ3)よりも上位のレイヤに配置され、第2立体視素材(-位置)は、シェイクビジョン演出に係る通常素材が配置されるレイヤよりも上位のレイヤ(レイヤ6)に配置される。なお、この状態を、シェイクビジョン演出に係る通常素材が、特定3D表示演出に係る立体視素材によって挟み込まれている状態と表現することができる。
【0195】
VDP314は、サブメモリ302のROMから背景素材500-1を取得し、第1フレームバッファ321に描画する。次に、VDP314は、サブメモリ302のROMからキャラクタ素材500-2を取得し、第1フレームバッファ321に描画する。次に、VDP314は、背景素材500-1と、キャラクタ素材500-2とを重ね合わせた合成画像としての中間画像500-5(通常素材)を生成する。次に、VDP314は、この中間画像500-5をキャプチャし、VRAM320のキャプチャ領域324に格納する。なお、キャプチャ領域324は、1フレームのフレーム画像を作成している途中の中間画像(フレーム画像として完成する前の画像)を一時的に記憶するVARM320内の領域である。
【0196】
次に、VDP314は、サブメモリ302のROMから左目用第3立体視素材を取得し、第1フレームバッファ321に描画する。また、これと並行して、VDP314は、サブメモリ302のROMから右目用第3立体視素材を取得し、第2フレームバッファ322に描画する。次に、VDP314は、ダミー素材500-3をサブメモリ302のROMから取得するとともに、中間画像500-5をVRAM320のキャプチャ領域324から取得し、ダミー素材500-3を中間画像500-5に置き換えて(キャプチャした画像を投影して)、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とに描画する。なお、VDP314は、毎フレーム、キャプチャした中間画像500-5をダミー素材500-3と置き換えて第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とに描画する。
【0197】
次に、VDP314は、サブメモリ302のROMから、枠画像500-4を取得し、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とに描画する。次に、VDP314は、サブメモリ302のROMから左目用第2立体視素材を取得し、第1フレームバッファ321に描画する。また、これと並行して、VDP314は、サブメモリ302のROMから右目用第2立体視素材を取得し、第2フレームバッファ322に描画する。
【0198】
次に、VDP314は、第1フレームバッファ321への1フレーム分の素材の描画と、第2フレームバッファ322への1フレーム分の素材の描画とが終了した後、合成処理を実行し、3次元画像を生成する。この3次元画像が表示され、レンチキュラーレンズを介して視認されると、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認され、かつ基準位置においてシェイクビジョン演出に係る表示物(シェイクビジョン演出表示)が視認される(図23参照)。図23に示すように、シェイクビジョン演出表示(特定表示)は、中間画像500-5に係る表示物と枠画像500-4に係る表示物とにより構成されている。
なお、図22においてレイヤ1およびレイヤ2に配置された通常素材(背景素材500-1およびキャラクタ素材500-2)は、上位のレイヤに配置された立体視素材(全画面素材)によって覆い隠されている。
【0199】
本実施形態では、第1立体視素材を分割した素材としての第2立体視素材および第3立体視素材が設けられており、第3立体視素材の再生と、シェイクビジョン演出に係る通常素材の再生と、第2立体視素材の再生と、を同時に行うことが可能となっている。具体的には、第3立体視素材、シェイクビジョン演出に係る通常素材および第2立体視素材を、開始タイミングを揃えて再生し、かつ再生時間を同じ時間とすることが可能となっている。換言すると、第3立体視素材の描画を行い、次にシェイクビジョン演出に係る通常素材の描画を行い、次に第2立体視素材の描画を行って、フレーム画像(3次元画像)を生成することが可能となっている。このように、第2立体視素材と第3立体視素材とを用いることで、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行することができるようになっている。
【0200】
ここで、第1立体視素材を分割した素材としての第2立体視素材および第3立体視素材が用意されておらず、第1立体視素材のみが用意されている場合に、仮に、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行した場合に生じ得る問題について説明する。
【0201】
シェイクビジョン演出に係る通常素材のプライオリティが、第1立体視素材のプライオリティよりも高く、シェイクビジョン演出に係る通常素材が、第1立体視素材が配置されるレイヤよりも上位のレイヤに配置される場合、0位置に表示される通常素材(中間画像500-5と枠画像500-4)のプライオリティが、-位置における立体表示物の視認を可能とする第1立体視素材のプライオリティよりも高くなる。このため、3次元画像が表示された際に視認される表示物について、奥行きの矛盾が生じ、立体表示物の視認が困難となる(立体視が破綻する)。
【0202】
シェイクビジョン演出に係る通常素材のプライオリティが、第1立体視素材のプライオリティよりも低く、シェイクビジョン演出に係る通常素材が、第1立体視素材が配置されるレイヤよりも下位のレイヤに配置される場合、0位置に表示される通常素材(中間画像500-5と枠画像500-4)のプライオリティが、+位置における立体表示物の視認を可能とする第1立体視素材のプライオリティよりも低くなる。このため、3次元画像が表示された際に視認される表示物について、奥行きの矛盾が生じ、立体表示物の視認が困難となる(立体視が破綻する)。
【0203】
このような問題が生じるため、第1立体視素材のみが用意されている場合には、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行することができない。これに対し本実施形態によれば、第2立体視素材および第3立体視素材が設けられているため、上記のような奥行きの矛盾が生じることのないように各素材を配置することができる。これにより、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行することが可能となっている。
なお、第1立体視素材が用意されていることにより、特定3D表示演出を単独で行う場合には第1立体視素材のみを描画すればよいので、特定3D表示演出を単独で行う場合に第2立体視素材と第3立体視素材とを描画する場合に比べて描画に係る処理負荷を軽減できる。
【0204】
なお、本実施形態では、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とが重複して実行される場合に、第2立体視素材および第3立体視素材の両方が用いられるものとしたが、必ずしも両方が用いられる必要はなく、第2立体視素材のみが用いられるように構成されていてもよい。換言すると、第1立体視素材を分割した素材としての第2立体視素材のみが設けられていて、第3立体視素材は設けられていなくてもよい(少なくとも第2立体視素材が設けられていればよい)。第2立体視素材のみが設けられている場合に特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とが重複して実行されると、第2立体視素材が描画され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置においてシェイクビジョン演出に係る表示物(シェイクビジョン演出表示)が視認される。
【0205】
また、本実施形態では、第1立体視素材が設けられているものとしたが、第1立体視素材が設けられておらず、第2立体視素材および第3立体視素材が設けられているように構成されていてもよい。この場合、特定3D表示演出が単独で実行される場合であっても、第2立体視素材および第3立体視素材が用いられる。
【0206】
本実施形態において、特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とは、同時に開始されるものに限らず(同じ再生時間となっているものに限らず)、例えば次のように構成されていてもよい。まず、第2立体視素材を用いての第1特定3D表示演出(一方の特定3D表示演出)が実行され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認される状態となる。そして、第1特定3D表示演出が開始されてから所定時間経過後にシェイクビジョン演出が開始されると、それに伴い第3立体視素材を用いての第2特定3D表示演出(他方の特定3D表示演出)が開始され、基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される状態となる(つまり、第1特定3D表示演出と第2特定3D表示演出とが両方実行された状態となる)。そして、シェイクビジョン演出が終了すると、それに伴い第2特定3D表示演出(他方の特定3D表示演出)が終了し、再び第1特定3D表示演出(一方の特定3D表示演出)のみが実行された状態となる。このように、各演出の開始タイミングおよび再生時間を異なるものとすることで、演出の多様化を実現することができる。
【0207】
また、次のように構成されていてもよい。まず、第1立体視素材を用いての特定3D表示演出が実行され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される状態となる。次に、特定3D表示演出が開始されてから所定時間経過後にシェイクビジョン演出が開始されると、(当該特定3D表示演出は終了し)それに伴い第2立体視素材および第3立体視素材を用いての特定3D表示演出が開始され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される状態となる)。そして、シェイクビジョン演出が終了すると、再び、第1立体視素材を用いての特定3D表示演出が実行され、基準位置よりも手前側において第1立体表示物511が視認され、かつ基準位置よりも奥側において第2立体表示物512が視認される状態となる。このように構成することで演出の多様化を実現することができる。
【0208】
本実施形態では、シェイクビジョン演出に係る中間画像500-5が、背景素材500-1とキャラクタ素材500-2とを重ね合わせて生成されるものとしたが、これに限らず、2以上の描画素材(2以上のレイヤに配置された描画素材)を重ね合わせて生成されるものであってもよい。また、中間画像500-5は、キャプチャして生成されるものに限らず、サブメモリ302のROMに記憶されている所定の画像が中間画像500-5として用いられる場合があってもよい。
【0209】
また、本実施形態では、シェイクビジョン演出に係る枠素材500-4を通常素材としたが、枠素材500-4は立体視素材であってもよい。換言すると、シェイクビジョン演出実行時に、枠素材500-4に係る立体表示物が視認される(枠が立体的に視認される)ようになっていてもよい。この場合、シェイクビジョン演出に係る描画素材としての立体視素材は、第2立体視素材によって視認可能となる表示物(第1立体表示物511)のうちZ軸方向の最も奥側に表示される表示物よりも奥側の表示物であって、第3立体視素材によって視認可能となる表示物(第2立体表示物512)のうちZ軸方向の最も手前側に表示される表示物よりも手前側の表示物のみ、を視認可能とするものとなっていてもよい。
【0210】
本実施形態の遊技機は、
表示手段(液晶ディスプレイ32)と、
前記表示手段での表示に関する制御を行う表示制御手段(表示制御手段312)と、
前記表示制御手段からの情報に基づき、前記表示手段に表示させる画像を生成する描画手段(VDP314)と、を備え、
前記描画手段は、前記画像を構成する複数の描画素材を、描画素材に設定された優先度に基づいて描画領域に描画することにより前記画像を生成し、
前記表示手段は、表示物を立体視させ得る立体視表示態様で表示する立体表示演出と、表示物を前記立体視表示態様とは異なる通常表示態様で表示する通常表示演出と、を表示可能であり、
前記通常表示演出が実行されると、通常表示物が基準位置に表示され、
前記描画素材として、前記立体視表示態様での表示に用いられる立体視素材を有しており、
前記立体視素材として、前記基準位置よりも手前側に視認される第1立体表示物と前記基準位置よりも奥側に視認される第2立体表示物との視認を可能とする第1立体視素材と、前記第1立体表示物の視認を可能とするが前記第2立体表示物の視認を可能としない第2立体視素材と、を有しており、
前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認されるようになっている。
【0211】
前記第1立体視素材と前記第2立体視素材とを有しており、前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出(シェイクビジョン演出)と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置(0位置)に前記通常表示物(シェイクビジョン表示)が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認されるようになっている。換言すると、前記第1立体視素材とは別に前記第2立体視素材が設けられていることで、奥行きの矛盾が生じることのないように素材を配置(描画)することができるようになっており、前記立体表示演出と所定の前記通常表示演出(シェイクビジョン演出)とを重複して実行することができる。これにより、演出の多様化を実現することができる。
【0212】
また、本実施形態の遊技機は、
記憶手段を備え、
前記立体視素材として、前記第1立体視素材と、前記第2立体視素材と、前記第2立体表示物の視認を可能とするが前記第1立体表示物の視認を可能としない第3立体視素材と、を有しており、
前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出と重複して実行される場合には、前記第2立体視素材および前記第3立体視素材を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認され、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物が視認されるようになっており、
前記記憶手段に記憶されているデータの数は、前記第3立体視素材の方が前記第2立体視素材よりも少なくなっている。
【0213】
前記第1立体視素材と前記第2立体視素材と前記第3立体視素材とを有しており、前記立体表示演出が所定の前記通常表示演出(シェイクビジョン演出)と重複して実行される場合に、前記第2立体視素材および前記第3立体視素を用いて前記画像が生成され、前記基準位置に前記通常表示物が表示されるとともに、前記基準位置よりも手前側に前記第1立体表示物が視認され、かつ前記基準位置よりも奥側に前記第2立体表示物が視認されるようになっている。このため、前記立体表示演出と所定の前記通常表示演出(シェイクビジョン演出)とを重複して実行することができる。また、前記基準位置よりも手前側および奥側の両方において立体表示物を視認させ、より奥行きのある感覚を遊技者に体感させることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
【0214】
本実施形態では、サブメモリ302のROM(記憶手段)に記憶されているデータの数は、前記第3立体視素材の方が前記第2立体視素材よりも少なくなっている。前記第2立体視素材によって視認可能となる表示物(第1立体表示物511)は、手前側に飛び出るように視認され、迫力感を実現できることから、前記第3立体視素材によって視認可能となる表示物(第2立体表示物512)よりも演出効果が高いと言える。換言すると、前記第3立体視素材の方が前記第2立体視素材よりも演出効果が低い。前記立体表示演出と所定の前記通常演出(シェイクビジョン演出)とを重複して実行する場合に立体視の破綻(奥行きの矛盾)が生じないようにするため、前記第2立体視素材および前記第3立体視素材を用意しつつ、演出効果の低い前記第3立体視素材のデータ数を、第2立体視素材のデータ数よりも少なくすることで(抑えることで)、限られた記憶手段の容量を、より有効に使用することができる。
【0215】
(第3の実施の形態)
本発明はスロットマシン等のその他の遊技機にも適用できる。以下、本発明が適用されるスロットマシンの一例を示す。図24に示すように、スロットマシン(遊技機)100は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体111と、当該筐体111の前面側開口を開閉する前面扉(前扉)112とを備えている。筐体111には、回転自在な第1リール131、第2リール132および第3リール133がユニット化されたリールユニット130と、メダルの払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉112は、上扉112aと下扉112bとに分割されており、これら上扉112aおよび下扉112bはそれぞれ筐体111に対して開閉自在となっている。
【0216】
上扉112aには、液晶ディスプレイ113、スピーカー114等の演出用の装置、および表示窓115が設けられている。液晶ディスプレイ113には、各種演出用の画像(動画、静止画)が表示される。スピーカー114からは、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)が出力される。なお、演出用の装置としては、液晶ディスプレイ113やスピーカー114の他にランプ(LED)等の電飾装置(照明装置)、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等を設けてもよい。
【0217】
表示窓115の奥には、リールユニット130が、その一部が表示窓115の外から視認可能となるように配置されている。第1リール131、第2リール132、および第3リール133の外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配置されており、各リール131,132,133が停止すると、表示窓115を介して1リール当たり3個の連続する図柄が表示される。また、表示窓115には、各リール131,132,133の図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール131,132,133の表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施の形態の遊技機では、第1リール131の中段と、第2リール132の中段と、第3リール133の中段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施の形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。
【0218】
スロットマシン100では、遊技開始に伴って各リール131,132,133が回転を開始するとともに当選役抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、各リール131,132,133が停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0219】
下扉112bには、メダルを投入するメダル投入口121、クレジットされたメダルをベットするためのMAXベットボタン(ベットボタン)122、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー123、回転している各リール131,132,133を停止させるためのストップボタン124、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口125、払い出し口125から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿126等が設けられている。また、メダル投入口121の奥には、メダル投入口121から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサが設けられている。また、下扉112bには、演出ボタン128が設けられている。演出ボタン128は、例えばプッシュスイッチおよびロータリースイッチ(ジョグダイヤル)を備えており、押下操作および回転操作が可能に構成されている。演出ボタン128は、操作されると演出の態様が変化するようになっており、これにより、遊技の興趣が向上する。
【0220】
スロットマシン100では、メダル投入口121にメダルが投入、または、MAXベットボタン122が操作されて規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー123の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー123が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール131,132,133が回転を開始し、各リール131,132,133の回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン124の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン124が操作されると、操作されたストップボタン124に対応する各リール131,132,133が停止する。
【0221】
スロットマシン100の内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)とが設けられている。主制御基板は、MAXベットボタン122、スタートレバー123、ストップボタン124、メダルセンサ等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット130や、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ113およびスピーカー114等の演出用の装置の制御を行う。
【0222】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0223】
そして、この主制御基板および副制御基板が、第1の実施の形態の主制御基板200および副制御基板202が有する機能と同様の機能を有し、同様の制御を行い得ることとしてもよい。換言すると、本実施形態の遊技機(スロットマシン100)は、第1の実施の形態の遊技機が有する各構成を有していてもよく、第1の実施の形態の遊技機が実行する各種処理を実行してもよい。具体的には、例えば、スロットマシン100は、副制御基板が演出制御手段300を有し、図10図13に示す液晶描画処理を実行可能であってもよい。また、スロットマシン100は、液晶ディスプレイ113を用いて前述の特定演出やシェイクビジョン演出や、特定3D表示演出と同様の演出を実行してもよい。また、スロットマシン100は、前述の第1立体視素材や第2立体視素材や、第3立体視素材を用いた前述の各種表示を実行可能であってもよい。また、スロットマシン100は、特定表示について、所定の状況(例えば特定演出を単独で実行する場合)においては立体視表示態様で表示させ、他の状況(例えば特定演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行する場合)においては通常表示態様で表示させることとしてもよい。また、スロットマシン100は、所定の状況においては特定3D表示演出を単独で実行し、他の状況においては特定3D表示演出とシェイクビジョン演出とを重複して実行してもよい。
【0224】
なお、本発明は、前述した各実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、ぱちんこ遊技機やスロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。
【0225】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の各構成要素の自由な組み合わせ、あるいは各構成要素の任意の変形、もしくは各構成要素の省略等が可能である。
【符号の説明】
【0226】
32,113 液晶ディスプレイ(表示手段)
312 表示制御手段
314 VDP(描画手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24