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特許7481314電子機器及び光源制御方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電子機器及び光源制御方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/11 20200101AFI20240501BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20240501BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240501BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20240501BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240501BHJP
   F21L 4/00 20060101ALI20240501BHJP
   F21W 131/20 20060101ALN20240501BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240501BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/165
H05B47/19
H05B45/20
F21V23/00 113
F21V23/00 115
F21V23/00 140
F21L4/00 600
F21W131:20
F21Y115:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021183541
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070998
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梅津 正和
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/124036(WO,A1)
【文献】特開2016-140376(JP,A)
【文献】特開2017-225628(JP,A)
【文献】特開2020-202907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00 - 39/10
H05B 45/00 - 45/58
H05B 47/00 - 47/29
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 99/00
F21L 2/00 - 27/00
A61M 36/10 - 36/14
A61N 5/00 - 5/10
A61H 1/00 - 5/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器であって、
バイオレットライトを照射する光源と、
前記光源のオンオフを制御する光源制御部と、
前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する算出部と、
照度センサと、
前記照度センサの検出値を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する推定部と、
前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する評価値算出部と、
予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
ユーザを撮影するカメラと、
を備え、
前記判定部は、前記カメラにより撮影したユーザの画像に基づいてユーザが眼鏡を装着していない状態か否かを判定し、少なくとも前記ユーザが眼鏡を装着していない状態か否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定するユーザ状態判定部を備え、
前記光源制御部は、前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする電子機器。
【請求項2】
ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器であって、
バイオレットライトを照射する光源と、
前記光源のオンオフを制御する光源制御部と、
前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する算出部と、
照度センサと、
前記照度センサの検出値を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する推定部と、
前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する評価値算出部と、
予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
電波を受信する電波受信モジュールと、
を備え、
前記判定部は、前記電波受信モジュールが受信した電波の状況に基づいて利用環境が屋内であるか否かを判定し、少なくとも利用環境が屋内であるか否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定する利用環境判定部を備え、
前記光源制御部は、前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする電子機器。
【請求項3】
前記推定部は、前記照度センサによって検出された照度が規定値以上である時間を特定し、特定した時間とその時間に検出された照度とに基づいて、前記屋外積算量を算出する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記推定部は、ユーザの位置情報からユーザが屋外にいた時間を特定し、特定した時間と、特定した時間に前記照度センサによって検出された照度とに基づいて、前記屋外積算量を算出する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記判定部は、利用環境が屋内であるか否かを判定し、少なくとも利用環境が屋内であるか否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定する利用環境判定部を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記利用環境判定部は、前記照度センサの検出値に基づいて前記利用環境が屋内であるか否かを判定する請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
電波を受信する電波受信モジュールを備え、
前記利用環境判定部は、前記電波受信モジュールが受信した電波の状況に基づいて前記利用環境が屋内であるか否かを判定する請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
ユーザの位置を検出する位置検出部を備え、
前記利用環境判定部は、前記位置検出部によって検出された位置情報に基づいて前記利用環境が屋内であるか否かを判定する請求項5に記載の電子機器。
【請求項9】
計時手段を備え、
前記判定部は、前記計時手段による時刻情報に基づいて現在時刻が所定の時間帯であるか否かを判定する時間判定部を備え、少なくとも前記所定の時間帯であるか否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定する請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
バイオレットライトを照射する光源と、ユーザを撮影するカメラとを有し、ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器の光源制御方法であって、
コンピュータが、
前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する算出工程と、
周辺環境の照度を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する推定工程と、
前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する評価値算出工程と、
予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する判定工程と、
前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする光源制御工程と
を実し、
前記判定工程は、前記カメラにより撮影したユーザの画像に基づいてユーザが眼鏡を装着していない状態か否かを判定し、少なくとも前記ユーザが眼鏡を装着していない状態か否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定する光源制御方法。
【請求項11】
バイオレットライトを照射する光源と、電波を受信する電波受信モジュールとを有し、ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器の光源制御方法であって、
コンピュータが、
前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する算出工程と、
周辺環境の照度を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する推定工程と、
前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する評価値算出工程と、
予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する判定工程と、
前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする光源制御工程と
を実行し、
前記判定工程は、前記電波受信モジュールが受信した電波の状況に基づいて利用環境が屋内であるか否かを判定し、少なくとも利用環境が屋内であるか否かによって前記照射条件を満たしているか否かを判定する光源制御方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の光源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び光源制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、360nm以上400nm以下の波長の光(以下、「バイオレットライト」という。)を眼球に照射すると、近視の発症抑制や進行抑制などの効果が得られるとの研究結果が発表され、注目を集めている。
上記波長帯の光は、太陽光には含まれているが、屋内に設置されている一般的な照明にはほとんど含まれていない。そのため、例えば、特許文献1では、バイオレットライトを屋内でも受けられるように、バイオレットライトを照射する光源を備える室内設置型バイオレットライト装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-202907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、バイオレットライト装置の光源からユーザに照射したバイオレットライトのドース量(=放射照度×時間)のデータ等を管理することが記載されている。
ところで、上述したように、バイオレットライトは、太陽光に含まれているため、ユーザが外出した際には、バイオレットライトを受けることになる。しかしながら、特許文献1に記載のバイオレットライト装置は、当該装置がユーザに照射したバイオレットライトの照射量しか考慮しておらず、ユーザが屋外で受けたバイオレットライトについては考慮していなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ユーザが屋外で受けたバイオレットライトを考慮した光源のオンオフ制御を行うことのできる電子機器及び光源制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様は、ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器であって、バイオレットライトを照射する光源と、前記光源のオンオフを制御する光源制御部と、前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する算出部と、照度センサと、前記照度センサの検出値を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する推定部と、前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する評価値算出部と、予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する判定部と、を備え、前記光源制御部は、前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする電子機器である。
【0007】
本発明の第二態様は、バイオレットライトを照射する光源を有し、ユーザが携帯可能な携帯型の電子機器の光源制御方法であって、前記光源から照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する工程と、周辺環境の照度を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する工程と、前記放射積算量と前記屋外積算量とを用いて、屋内外で前記ユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための光量評価値を算出する工程と、予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する工程と、前記光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、前記照射条件を満たしている場合に、前記光源をオンにする工程とをコンピュータが実行する光源制御方法である。
【0008】
本発明の第三態様は、上記記載の光源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが屋外で受けたバイオレットライトを考慮した光源のオンオフ制御を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の概略外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電子機器が有する各種機能のうち、光源制御機能に関する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電子機器によって実行される光源制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る電子機器及び光源制御方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、電子機器として、ノートPCを例示して説明するが、この例に限られない。電子機器は、ユーザが携帯できる汎用の電子機器であればよく、例えば、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型の情報処理装置、ビデオカメラ、音響機器、ICレコーダ、ゲーム機等が一例として挙げられる。また、電子機器は、特許文献1に開示されているようなバイオレットライトを照射するための専用の装置であってもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の概略外観図である。電子機器1は、図1に示すように、一例として、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、キーボード、タッチパッド等の入力デバイス4を備える。ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するディスプレイ5を備える。
【0013】
本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で一対の連結部6によって連結されている。連結部6は、例えば、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉可能に支持している。
【0014】
ディスプレイ側筐体3には、カメラ7、光源8、照度センサ9などが設けられている。カメラ7は、例えば、ディスプレイ側筐体3に設けられた表示画面の上方(連結部6で連結された側部と反対側の側部)の中央部に配置され、前方の被写体(例えば、ユーザの顔)を撮像可能とされている。光源8は、例えば、バイオレットライト(360nm以上400nm以下の波長の光)を照射するLED(Light Emitting Diode)である。光源8は、例えば、ディスプレイ側筐体3においてカメラ7の近傍に設けられ、前方に対してバイオレットライトを照射する。光源8のオンオフは、後述する光源制御部26(図3参照)によって制御される。また、光源8は、放射照度を可変に制御できるものでもよいし、放射照度が固定とされたものであってもよい。なお、図1では1つの光源8を例示しているが、光源8の設置数についてはこれに限られない。例えば、複数の光源が電子機器1の異なる位置に設置されていてもよい。また、光源8の一例として、特許文献1に開示される光源を適用することが可能である。
照度センサ9は、例えば、ディスプレイ側筐体3においてカメラ7の近傍に設けられ、周囲の明るさ(lux)を検出する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図2に示すように、電子機器1は、上述した入力デバイス4、ディスプレイ5、カメラ7、光源8、照度センサ9の他、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、記憶部13、通信インターフェース14、タイマ15などを備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0016】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)により電子機器1全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0017】
メインメモリ12は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等であり、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の電子機器1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0019】
通信インターフェース14は、例えば、3GやLTE、5G回線を含むワイヤレスネットワークや、有線/無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のネットワークに接続し、他のデバイスとの通信を確立させ、情報の相互通信を実現させる。
タイマ15は、例えば、CPU11によって制御され、光源8がオンしている時間を計時する。
また、電子機器1は、位置を特定するための位置検出部を備えていてもよい。位置検出部の一例として、GPSなどが挙げられる。
【0020】
図3は、本実施形態に係る電子機器1が有する各種機能のうち、光源制御機能に関する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。
【0021】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、光源制御プログラム)の形式で記憶部13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0022】
図3に示されるように、電子機器1は、例えば、タイマ制御部21、算出部22、推定部23、評価値算出部24、判定部25及び光源制御部26を備えている。
タイマ制御部21は、タイマ15を制御する。タイマ制御部21は、光源8がオンされたタイミングでタイマ15の計時を開始し、光源8がオフされたタイミングでタイマ15を停止する。また、所定のタイミング(例えば、予め決められた時刻)において、タイマ15の値をリセットする。これにより、例えば、24時間毎にリセットするように設定されていた場合には、一日にバイオレットライトを照射した積算時間を計時することが可能となる。
【0023】
算出部22は、光源8が照射したバイオレットライトの放射照度と照射時間とからバイオレットライトを照射した積算の量に相当する値である放射積算量を算出する。バイオレットライトの放射照度は、ユーザの目に入る又は届く光の強度を意味する。バイオレットライトの放射照度については、公知の手法によって測定することが可能である。例えば、光源8に与える電流と放射照度との変換テーブルを有しており、光源8に与えた電流から変換テーブルを用いて放射照度を演算することが可能である。算出部22は、例えば、以下の(1)式で表される演算式に基づいて放射積算量を算出する。
【0024】
放射積算量=放射照度(W/m)×照射時間(h) (1)
【0025】
算出部22は、所定の時間間隔で放射積算量を算出する。放射積算量は、所定のメモリ領域に格納されており、算出部22によって随時更新される。また、所定のメモリ領域に格納されている放射積算量は、所定のタイミングでリセットされる。所定のタイミングは、例えば、上記タイマ15のリセットと連動しており、同じタイミングでリセットされてもよい。
【0026】
推定部23は、照度センサ9の検出値を用いて、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出する。例えば、推定部23は、照度センサ9によって検出された照度(周辺照度)が規定値上である時間を特定し、特定した時間とその時間に検出された輝度とに基づいて、屋外積算量を算出する。このように、本実施形態では、周辺照度が規定値上である場合に、ユーザが屋外にいるとみなし、その時間に基づいて屋外積算量を算出する。
【0027】
なお、ユーザが屋外にいるか否かを判定する手法は、上記照度に基づいて行う場合に限られない。例えば、ユーザの位置情報からユーザが屋外にいるのか否かを判定することとしてもよい。例えば、電子機器1がGPSなどの位置検出機能を備えている場合には、自身が搭載する位置検出機能から位置情報を取得してもよい。また、ユーザが携帯する機器(例えば、スマートフォン、スマートウォッチなど)に位置検出機能が搭載されている場合には、それらの機器との相互通信によって、位置情報を取得することとしてもよい。このように、ユーザの位置情報については、公知の様々な手法を適用することが可能である。
【0028】
また、放射照度については、照度センサ9によって検出される照度と放射照度との変換テーブルを有しており、その変換テーブルを用いて照度センサ9の検出値から放射照度を演算により取得すればよい。
推定部23は、照度センサ9によって検出された照度から放射照度を取得し、取得した放射照度を屋外にいる時間において積算することにより、屋外積算量を算出する。
推定部23は、所定の時間間隔で屋外積算量を算出する。屋外積算量は、所定のメモリ領域に格納されており、推定部23によって随時更新される。また、所定のメモリ領域に格納されている屋外積算量は、所定のタイミングでリセットされる。所定のタイミングは、例えば、上記タイマ15のリセットと連動しており、同じタイミングでリセットされてもよい。
【0029】
評価値算出部24は、算出部22によって算出された放射積算量と推定部23によって算出された屋外積算量とを用いて屋内外でユーザが受けたバイオレットライトの積算量を評価するための評価値を算出する。具体的には、評価値算出部24は、所定の時間間隔で、放射積算量の最新値と屋外積算量の最新値とを加算することにより、光量評価値を算出する。なお、光量評価値の算出方法は上記例に限られない。例えば、評価値算出部24は、放射積算量及び屋外積算量のそれぞれに所定の重みづけ係数を乗じた値を加算することにより、光量評価値を算出することとしてもよい。このように、光量評価値は、放射積算量と屋外積算量との両方が反映された評価値である。
【0030】
判定部25は、予め設定された照射条件を満たしているか否かを判定する。
例えば、照射条件として、以下の条件が挙げられる。なお、以下の条件は、一例であり、この例に限定されない。例えば、以下の条件のうち、少なくともいずれか1つを採用することとしてもよい。
(条件1)ユーザが眼鏡を装着していない状態であること。
(条件2)利用環境が屋内であること。
(条件3)現在時刻が所定の時間帯であること。
判定部25は、例えば、上記各条件を満たしているか否かを判定するために、ユーザ状態判定部25a、利用環境判定部25b、及び時間判定部25cを備えている。
【0031】
ユーザ状態判定部25aは、例えば、カメラ7により撮影したユーザの画像に基づいて、ユーザが眼鏡を装着していない状態であるか否かを判定する。例えば、ユーザ状態判定部25aは、カメラ7によって取得された画像を解析することにより、ユーザの顔が電子機器1の光源8(ディスプレイ5)の方向を向いており、かつ、ユーザが眼鏡を装着していないかを判定する。ユーザの顔が光源8の方向を向いているか否か、及び、眼鏡を装着しているか否かの判定については、公知の画像解析技術を適宜用いることが可能である。
「眼鏡」には、いわゆる近眼、遠視、乱視などの視力障害を補正する目的で用いる矯正眼鏡の他、紫外線を防ぐ目的のサングラス、風よけのゴーグル、花粉などから目を守るための保護メガネなどが含まれる。ユーザが眼鏡をかけている場合、バイオレットライトを照射してもユーザの目には届かない。このため、ユーザの目にバイオレットライトが到達可能な状態である場合に、光源8をオンすることとしている。
【0032】
利用環境判定部25bは、利用環境が屋内であるか否かを判定する。例えば、利用環境判定部25bは、照度センサ9の検出値に基づいて利用環境が屋内であるか否かを判定する。具体的には、利用環境判定部25bは、照度センサ9によって検出された照度(周辺照度)が規定値未満である場合に、利用環境が屋内であると判定する。
【0033】
また、利用環境判定部25bは、例えば、ユーザの位置情報から利用環境が屋内であるか否かを判定してもよい。例えば、電子機器1が位置を検出する位置検出部を備える場合、利用環境判定部25bは、位置検出部によって検出された位置情報を用いて利用環境が屋内であるか否かを判定してもよい。
【0034】
位置検出部の一例として、GPSなどが挙げられる。また、ユーザが携帯する機器(例えば、スマートフォン、スマートウォッチなど)に位置検出機能が搭載されている場合には、それらの機器との相互通信によって、位置情報を取得することとしてもよい。
【0035】
また、利用環境判定部25bは、電波を受信する電波受信モジュールが受信した電波に基づいて、利用環境が屋内であるか否かを判定してもよい。電波受信モジュールの一例として、LTE通信モジュールやWiFi通信モジュールなどの無線通信モジュールが挙げられる。利用環境判定部25bは、例えば、無線通信モジュールにおける無線電波状況(信号強度)から利用環境が屋内であるか否かを判定する。具体的には、利用環境判定部25bは、無線通信モジュールの信号強度が所定値以上の場合に、利用環境が屋内であると判定する。
【0036】
例えば、利用環境が屋外の場合、換言すると、ユーザが屋外にいる場合、ユーザは太陽光に含まれているバイオレットライトを受けることができる。このため、光源8からバイオレットライトを照射する必要がない。したがって、ユーザが屋内にいるときに限って、光源8をオンすることとしている。
【0037】
時間判定部25cは、例えば、現在時刻が所定の時間帯であるか否かを判定する。時間判定部25cは、例えば、時計部(計時手段)から現在時刻を取得し、取得した現在時刻が所定の時間帯であるか否かを判定する。
例えば、寝る前にバイオレットライトが目に入ると睡眠のリズムを乱す可能性がある。このため、例えば、バイオレットライトを照射してもよい時間帯を予め設定しておき、その時間帯に限って光源8をオンさせる。このとき、時間帯に応じてバイオレットライトの照度を変えてもよい。例えば日中(例えば、午前9時~午後3時)は、第1放射照度とし、夕方から夜の時間帯(例えば、午後3時~午後9時)は第1放射照度よりも低い放射照度である第2放射照度に設定し、寝る前及び夜間(例えば、午後9時以降)は、光源8をオフとする。
また、光源8をオンとする時間帯をユーザが設定できるような構成としてもよい。
【0038】
光源制御部26は、光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、上記照射条件、例えば、上記3つの条件を満たしている場合に、光源8をオンにする。また、光源制御部26は、光量評価値が所定の閾値以上である場合、又は、予め設定された照射条件を満たしていない場合に、光源8をオフにする。
「所定の閾値」は、例えば、ある程度の効果を見込めるとして決められている一日におけるバイオレットライトの必要量に基づいて決定してもよいし、バイオレットライトの照射量の上限値に応じて決定されてもよい。すなわち、「所定の閾値」は、目的に応じて適宜設定することが可能であり、また、所定の範囲内において、ユーザによって設定される値であってもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係る電子機器1によって実行される光源制御方法について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る光源制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下に説明する各処理は、CPU11が記憶部13に格納されているプログラムを実行することにより実現される。また、本実施形態に係る光源制御方法は、例えば、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
【0040】
まず、ユーザが眼鏡を装着していない状態であるか否かを判定する(SA1)。この結果、肯定判定の場合には(SA1:YES)、続いて、利用環境が屋内であるか否かを判定する(SA2)。この結果、肯定判定の場合には(SA2:YES)、現在時刻が所定の時間帯(例えば、午前9時~午後9時の間)であるか否かを判定する(SA3)。この結果、肯定判定の場合には(SA3:YES)、続いて、光量評価値(評価値算出部24によって算出された最新の光量評価値)が規定値以下であるか否かを判定する(SA4)。
この結果、肯定判定の場合には(SA4:YES)、光源8をオンする(SA5)。このとき、光源8がオン状態であった場合は、オン状態を維持することとなる。
【0041】
一方、ステップSA1~SA4のいずれかにおいて否定判定であった場合(SA1~SA4のいずれかにおいてNO)、光源8をオフする(SA6)。このとき、光源8がオフ状態であった場合は、オフ状態を維持することとなる。
【0042】
以上説明してきたように、本実施形態に係る電子機器1及び光源制御方法並びにプログラムによれば、ユーザが屋外で浴びたバイオレットライトの積算光量を推定した屋外積算量を算出し、算出した屋外積算量と光源8の放射積算量とを用いて光量評価値を算出し、光量評価値が所定の閾値以下であり、かつ、予め設定された照射条件を満たしている場合に、光源8をオンに制御する。
これにより、ユーザが光源8から受けたバイオレットライトの積算量だけでなく、屋外で受けたバイオレットライトの積算量を加味して、光源8のオンオフ制御を行うことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、ユーザの顔が検出され、かつ、眼鏡を装着していない状態にある場合に光源8がオンされる。これにより、ユーザの目にバイオレットライトが到達可能な状態にある場合に限って光源8をオンすることが可能となる。よって、バイオレットライトの無駄な照射を避けることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、利用環境が屋内である場合に、光源8をオンする。これにより、バイオレットライトの無駄な照射を避けることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、現在時刻が所定の時間帯である場合に、光源8をオンする。これにより、寝る前などのあまり好ましくない時間帯におけるバイオレットライトの照射を避けることが可能となる。
【0046】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 :電子機器
4 :入力デバイス
5 :ディスプレイ
7 :カメラ
8 :光源
9 :照度センサ
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :記憶部
14 :通信インターフェース
15 :タイマ
21 :タイマ制御部
22 :算出部
23 :推定部
24 :評価値算出部
25 :判定部
25a :ユーザ状態判定部
25b :利用環境判定部
25c :時間判定部
26 :光源制御部
図1
図2
図3
図4