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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびセパレータ部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20240501BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/293
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021198341
(22)【出願日】2021-12-07
(65)【公開番号】P2023084271
(43)【公開日】2023-06-19
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏彦
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/158341(WO,A1)
【文献】特開2015-138753(JP,A)
【文献】特開2020-057597(JP,A)
【文献】特開2016-072198(JP,A)
【文献】特開2016-115481(JP,A)
【文献】特開2015-011919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20- 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの間に設けられた絶縁性のセパレータ部材とを備え、
前記セパレータ部材は、
板状部を含む第1部分と、
前記第1部分の前記板状部から前記複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により前記複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを含み、
前記第2部分が相対的に密に形成された第1領域と、前記第2部分が相対的に粗に形成された第2領域とが前記セパレータ部材上に形成され、
前記電池セルの膨張に伴って前記第1領域に位置する複数の前記第2部分の外周面が互いに当接する、電池モジュール。
【請求項2】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの間に設けられた絶縁性のセパレータ部材とを備え、
前記セパレータ部材は、
板状部を含む第1部分と、
前記第1部分の前記板状部から前記複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により前記複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを含み、
前記第2部分の前記第1の方向に沿う高さが相対的に大きく形成された第1領域と、前記第2部分の前記第1の方向に沿う高さが相対的に小さく形成された第2領域とが前記セパレータ部材上に形成され、
前記電池セルの膨張に伴って前記第1領域に位置する複数の前記第2部分の外周面が互いに当接する、電池モジュール。
【請求項3】
前記第1領域は、前記第1部分の前記板状部の外周側に位置し、前記第2領域は、前記第1部分の前記板状部の中央側に位置する、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第1の方向に沿って一定の断面形状を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第2部分は、前記第1の方向に沿って変化する断面形状を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第2部分は、前記第1部分よりも軟質の素材により構成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記複数の電池セルは、電極体を収容するケース本体と、溶接部において前記ケース本体に溶接接合される封口板とを各々含み、
前記第1部分は、前記溶接部に相当する位置において前記電池セルに当接し、前記第2部分よりも硬質の当接部分を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルの間に設けられる絶縁性のセパレータ部材であって、
板状部を含む第1部分と、
前記第1部分の前記板状部から前記複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により前記複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを備え、
前記第2部分が相対的に密に形成された第1領域と、前記第2部分が相対的に粗に形成された第2領域とを有し、
前記電池セルの膨張に伴って前記第1領域に位置する複数の前記第2部分の外周面が互いに当接する、セパレータ部材。
【請求項9】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルの間に設けられる絶縁性のセパレータ部材であって、
板状部を含む第1部分と、
前記第1部分の前記板状部から前記複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により前記複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを備え、
前記第2部分の前記第1の方向に沿う高さが相対的に大きく形成された第1領域と、前記第2部分の前記第1の方向に沿う高さが相対的に小さく形成された第2領域とを有し、
前記電池セルの膨張に伴って前記第1領域に位置する複数の前記第2部分の外周面が互いに当接する、セパレータ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールおよびセパレータ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを積層した電池モジュールが従来から知られている。複数の電池セルの間に設けられるセパレータ部材には、隣接する電池セルの間の電気的絶縁性を確保するとともに、電池セルが膨張したときには、その膨張を吸収する機能が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-207553号公報
【文献】特開2015-225700号公報
【文献】特開2016-091871号公報
【文献】特開2014-072055号公報
【文献】特開2019-128991号公報
【文献】特開2017-212120号公報
【文献】特開2020-057597号公報
【文献】特開2009-187781号公報
【文献】特開2007-165698号公報
【文献】特開2013-191422号公報
【文献】特開2017-183071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高出力の電池セルにおいては、膨化力が大きくなる傾向にある。隣接する電池セル間の電気的絶縁性を安定して確保しながら大きな膨化力を吸収するという観点から、従来のセパレータ部材は依然として十分な構造を備えていない。
【0005】
本技術の目的は、隣接する電池セル間の電気的絶縁性を安定して確保しながら大きな膨化力を吸収することが可能な電池モジュールおよびセパレータ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る電池モジュールは、第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、複数の電池セルの間に設けられた絶縁性のセパレータ部材とを備える。
【0007】
セパレータ部材は、板状部を含む第1部分と、第1部分の板状部から複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを含む。
【0008】
1つの局面において、第2部分が相対的に密に形成された第1領域と、第2部分が相対的に粗に形成された第2領域とがセパレータ部材上に形成される。
【0009】
他の局面において、第2部分の第1の方向に沿う高さが相対的に大きく形成された第1領域と、第2部分の第1の方向に沿う高さが相対的に小さく形成された第2領域とがセパレータ部材上に形成される。
【0010】
本技術に係るセパレータ部材は、第1の方向に沿って配列された複数の電池セルの間に設けられる絶縁性のセパレータ部材であって、板状部を含む第1部分と、第1部分の板状部から複数の電池セルに向かって突出し、弾性変形により複数の電池セルの膨化力を吸収可能な第2部分とを備える。
【0011】
1つの局面において、セパレータ部材は、第2部分が相対的に密に形成された第1領域と、第2部分が相対的に粗に形成された第2領域とを有する。
【0012】
他の局面において、セパレータ部材は、第2部分の第1の方向に沿う高さが相対的に大きく形成された第1領域と、第2部分の第1の方向に沿う高さが相対的に小さく形成された第2領域とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、セパレータ部材の第2部分の変形を制御することにより、セパレータ部材本来の役割である電池セル間の絶縁性を確保しながら、電池セルの膨化力を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
図2図1に示す電池モジュールに含まれるセパレータ部材を示す斜視図である。
図3】セパレータ部材における突起の配置の一例を示す図である。
図4】第1領域における突起の配置の一例を示す図である。
図5図4に示す突起が圧縮されて変形した状態を示す図である。
図6】第1領域における突起の変形を説明するための図である。
図7】実施の形態2に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図8】セパレータ部材における突起の配置の一例を示す図である。
図9】セパレータ部材における突起の配置の変形例を示す図(その1)である。
図10】セパレータ部材における突起の配置の変形例を示す図(その2)である。
図11】セパレータ部材における突起の形状の変形例を示す図(その1)である。
図12】セパレータ部材における突起の形状の変形例を示す図(その2)である。
図13】セパレータ部材における突起の形状の変形例を示す図(その3)である。
図14図13に示すセパレータ部材の断面図である。
図15】セパレータ部材における突起の形状の変形例を示す図(その4)である。
図16図15に示すセパレータ部材の断面図である。
図17】実施の形態3に係る電池モジュールのセパレータ部材を示す斜視図である。
図18図17に示すセパレータ部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0016】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0017】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0018】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0019】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュール1の斜視図である。図1に示すように、電池モジュール1は、電池セル100と、セパレータ部材200とを含む。
【0021】
電池セル100は、角形の電池セルであって、Y軸方向(第1の方向)に沿って複数設けられる。複数の電池セル100は、図示しないバスバーを介して互いに電気的に接続される。
【0022】
セパレータ部材200は、複数の電池セル100の間に設けられる。セパレータ部材200は、隣接する電池セル100の意図しない電気的導通を防止する。セパレータ部材200は、隣接する電池セル100の電気的絶縁性を確保する。
【0023】
図2は、セパレータ部材200を示す斜視図である。図2に示すように、セパレータ部材200は、ベース210(第1部分)と、突起220(第2部分)とを含む。
【0024】
ベース210は、突起220よりも硬質の素材により構成され得る。ベース210は、セパレータ部材200のフレーム部分を構成し得る。ベース210は、たとえば硬質樹脂、金属などにより構成することができる。
【0025】
電池セル100は、電極体を収容するケース本体110と、溶接部においてケース本体110に溶接接合される封口板120とを各々含む。ベース210は、溶接部に相当する部分(溶接部およびその近傍)において電池セル100に当接する当接部分211を含む。
【0026】
突起220は、ベース210の板状部からY軸方向に沿って突出する。突起220は、ベース210よりも軟質の素材によって構成され得る。突起220は、セパレータ部材200の変形吸収部(電池セル100の膨化力吸収部)を構成し得る。突起220は、たとえば軟質樹脂、ゴム、ウレタン、シリコンなどの絶縁性の素材により構成することができる。突起220は、弾性変形により電池セル100の膨化力を吸収し得る。
【0027】
図3は、突起220の配置の一例を示す図である。図3に示すように、ベース210は、X軸方向(第2の方向)が長辺、Z軸方向(第3の方向)が短辺となる略矩形形状を有する。ベース210の板状部上において、突起220が相対的に密に形成された第1領域10と、突起220が相対的に粗に形成された第2領域20とが形成されている。第1領域10は、ベース210の板状部の外周側に位置し、第2領域20は、ベース210の板状部の中央側に位置する。
【0028】
図4は、第1領域10における突起220の配置の一例を示す図である。図5は、図4に示す突起220が圧縮されて変形した状態を示す図である。図6は、第1領域10における突起220の変形を説明するための図である。
【0029】
図4は、電池セル100が膨張していない状態を示す。図4に示す状態から、電池セル100が膨張すると、突起220が圧縮され、その断面が拡大するように変形する。その結果、図5に示すように、突起220の外周面が互いに当接する。突起220の外周面が互いに当接すると、突起220のそれ以上の圧縮変形が抑制される。図6(a)は図4の状態に対応し、図6(b)は図5の状態に対応する。
【0030】
このように、ベース210の外周部分に位置する第1領域10においては、電池セル100が膨張したとき、突起220の圧縮変形量が一定値以上に達すると、隣接する突起220の外周面が互いに当接し、それ以上の突起220の圧縮変形が抑制される。この結果、第1領域10においては、それ以上の電池セル100の膨張が抑制され、隣接する電池セル100間の所定の距離を確保することが可能である。
【0031】
他方、ベース210の中央部分に位置する第2領域20においては、突起220が相対的に粗に形成されているため、突起220が圧縮変形しても、隣接する突起220の外周面どうしが当接するという事象は生じない、または、第1領域10よりも生じにくい状況にある。したがって、第2領域20における突起220は、第1領域10における突起よりも大きな膨張を吸収することが可能である。
【0032】
電池モジュール1における電池セル100のY軸方向の膨張は、ケース本体110の中央部においてより大きく生じやすい。本実施の形態に係るセパレータ部材200においては、外周部分に位置する第1領域10においては突起220の圧縮変形量を小さく、中央部分に位置する第2領域20においては突起220の圧縮変形量を大きくするように制御することができるので、セパレータ部材200の本来の役割である電池セル100間の絶縁性を確保しながら、電池セル100の膨化力を吸収することができる。
【0033】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る電池モジュール1の分解斜視図である。図7に示すように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、実施の形態1と同様に、電池セル100と、セパレータ部材200とを備える。
【0034】
図8は、セパレータ部材200における突起220の配置の一例を示す図であり、図9図10は、その変形例を示す図である。
【0035】
図8図10に示すように、本実施の形態においても、ベース210の板状部上において、突起220が相対的に密に形成された第1領域10と、突起220が相対的に粗に形成された第2領域20とが形成されている。第1領域10は、ベース210の板状部の外周側に位置し、第2領域20は、ベース210の板状部の中央側に位置する。
【0036】
図11図12は、突起の形状の変形例を示す図である。図8図10に示す突起220が円形の断面形状を有するのに対し、図11の変形例において、突起220は四角形形状を有する。突起220は、たとえば八角形形状など、他の多角形形状を有してもよい。また、突起220は、円形形状と多角形形状とを組み合わせた断面形状を有してもよい。
【0037】
図12の変形例においては、複数の突起220の大きさが互いに異なる。具体的には、ベース210の外周部分において突起220の断面が相対的に大きく、ベース210の中央部分において突起220の断面が相対的に小さく形成される。
【0038】
突起の断面形状には特に制限はなく、楕円形状、直線と曲線とを組み合わせた輪郭の形状であってもよい。突起の配置についても、上述の例に限定されるものではなく、その他の格子配置、千鳥配置とすることもあり得る。
【0039】
図13図16は、突起220の形状のさらなる変形例を示す図である。なお、図14は、図13に示すセパレータ部材200の断面図であり、図16は、図15に示すセパレータ部材200の断面図である。
【0040】
図13図16に示す変形例は、突起220の断面形状がY軸方向沿って変化する断面形状を有することを特徴とする。図13図14の例では、突起220の先端に向かって突起220の径が縮小するテーパ形状を有し、図15図16の例では、突起220の根元から先端に向かって突起220の径が増大した後、さらに先端に向かって縮小する樽形状を有する。
【0041】
さらに、1つのベース210上において、複数の突起220が互いに異なる形状を有していてもよい。また、Y軸方向に配列される複数のセパレータ部材200において、突起220の配置および形状が互いに異なるものであってもよい。
【0042】
本実施の形態に係るセパレータ部材200においても、ベース210の外周部分に位置する第1領域10においては、圧縮変形時に突起220どうしを積極的に当接させ、ベース210の中央部分に位置する第2領域20においては、圧縮変形時にも突起220どうしを当接させにくくすることで、第1領域10においては突起220の圧縮変形量を小さく、第2領域20においては突起220の圧縮変形量を大きくするように制御することができるので、セパレータ部材200の本来の役割である電池セル100間の絶縁性を確保しながら、電池セル100の膨化力を吸収することができる。
【0043】
(実施の形態3)
図17は、実施の形態3に係るセパレータ部材200を示す斜視図である。図18は、図17に示すセパレータ部材200の断面図である。図17に示すように、本実施の形態に係るセパレータ部材200も、実施の形態1,2と同様に、ベース210と、突起220とを含む。
【0044】
本実施の形態に係るセパレータ部材200は、第1領域10において突起220のY軸方向に沿う高さが相対的に大きく形成され、第2領域20において突起220のY軸方向に沿う高さが相対的に小さく形成されることを特徴する。
【0045】
図17図18の例では、突起220の断面形状はY軸方向に沿って一定であるが、突起220の断面形状はY軸方向に沿って変化してもよい。
【0046】
本実施の形態に係るセパレータ部材200においては、突起220の高さを調整することにより、第1領域10においては電池セル100の膨張を抑制し、第2領域20においては電池セル100の比較的大きな膨張を吸収することができるので、セパレータ部材200の本来の役割である電池セル100間の絶縁性を確保しながら、電池セル100の膨化力を吸収することができる。
【0047】
なお、実施の形態1,2の特徴部分(突起220の配置、形状)と、実施の形態3の特徴部分(突起220の高さ)とを組み合わせて用いてもよい。
【0048】
突起220の径に差を設ける場合、最大径と最小径との比は、たとえば約2倍程度である。突起220の高さに差を設ける場合、最大高さと最小高さとの比は、たとえば約2倍程度である。突起220の間隔に差を設ける場合、最大間隔と最小間隔との比は、たとえば約1.5倍程度である。突起220どうしを積極的に当接させて剛性を増加させたい第1領域10においては、たとえば図8(千鳥配置)に示す第1領域10(二点鎖線)の正方形の一辺の長さは、各々の突起220の半径の3倍以下程度であり、図9(格子配置)に示す第1領域10(二点鎖線)の正方形の一辺の長さは、各々の突起220の半径の2.25倍以下程度である。また、互いに当接する突起220の外周面に摩擦力を増大させるスパイク部を設けてもよい。
【0049】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
1 電池モジュール、10 第1領域、20 第2領域、100 電池セル、110 ケース本体、120 封口板、200 セパレータ部材、210 ベース、211 当接部分、220 突起。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
図17
図18