(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】白くて明るい外観を有するたばこ用の包装材料
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20240501BHJP
D21H 17/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A24D1/02
D21H17/00
(21)【出願番号】P 2021518197
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054693
(87)【国際公開番号】W WO2020072902
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518100443
【氏名又は名称】エスダブリュエム・ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アコウ、ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ホタリング、ドウェイン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス、スーザン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-228059(JP,A)
【文献】特表2006-517391(JP,A)
【文献】米国特許第05322076(US,A)
【文献】米国特許第05261425(US,A)
【文献】米国特許第05271419(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
D21H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品用の包装材料であって、
たばこ材料を少なくとも10重量%の量で含有するウェブを含み、
前記たばこ材料は、たばこ粒子またはたばこ繊維を含み、該たばこ材料の80%超が0.03048cm(0.012インチ)超の最大径を有するような粒度分布を有し、かつ、漂白パルプ繊維及び充填剤と混合され、
前記漂白パルプ繊維は、前記ウェブ中に20重量%超の量で含有され、
前記充填剤は、白色粒子を含み、かつ、前記ウェブ中に10重量%超の量で含有され
、
前記包装材料は、燃焼制御剤をさらに含むことを特徴とする包装材料。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記包装材料の少なくとも一方の面は、65超のL値を有する白色を有することを特徴とする包装材料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材料であって、
前記ウェブは、前記たばこ材料を、10重量%~60重量%の量、または20重量%~40重量%の量で含有することを特徴とする包装材料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の包装材料であって、
前記たばこ材料の50%超は、煙道硬化茎を含むことを特徴とする包装材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、前記漂白パルプ繊維を、20重量%~50重量%の量、または20重量%~40重量%の量で含有することを特徴とする包装材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、前記充填剤を、10重量%~30重量%の量、または15重量%~25重量%の量で含有することを特徴とする包装材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の包装材料であって、
前記充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含むことを特徴とする包装材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の包装材料であって、
前記充填剤は、0.1μm~2μmの粒径を有することを特徴とする包装材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の包装材料であって、
当該包装材料は、保湿剤をさらに含むことを特徴とする包装材料。
【請求項10】
請求項9に記載の包装材料であって、
前記保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする包装材料。
【請求項11】
請求項
1に記載の包装材料であって、
前記燃焼制御剤は、クエン酸塩を含むことを特徴とする包装材料。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、30コレスタ単位~80コレスタ単位の多孔度、または40コレスタ単位~60コレスタ単位の多孔度を有し、かつ、30gsm~50gsmの坪量を有することを特徴とする包装材料。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、1500cN/15mm超の引張強度を有することを特徴とする包装材料。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、カレンダー加工され
たウェブであることを特徴とする包装材料。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれかに記載の包装材料であって、
前記たばこ材料の90%超は、0.0381cm(0.015インチ)超の最大径を有することを特徴とする包装材料。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、前記たばこ材料から水性溶媒によって抽出したたばこ可溶性部分で処理されており、
前記たばこ可溶性部分は、前記ウェブに局所的に塗布されていることを特徴とする包装材料。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれかに記載の包装材料であって、
前記たばこ材料は、該たばこ材料の80%超が0.0635cm(0.025インチ)超の最大径を有するような粒度分布を有することを特徴とする包装材料。
【請求項18】
請求項1~
17のいずれかに記載の包装材料であって、
前記包装材料の一方の面は、70超のL値を有することを特徴とする包装材料。
【請求項19】
請求項1~
18のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、ウェットレイドウェブを含むことを特徴とする包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年10月5日出願の米国特許出願第62/741、898号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
シガレット(紙巻きたばこ)やリトルシガーなどの喫煙物品は、従来、シガレットペーパーや均質化されたたばこから作られた包装材料でたばこのカラムを包装することに製造される。喫煙物品の一端部は、通常、喫煙物品を喫煙するためのフィルタまたはチップを含む。フィルタは、包装材料(包装紙)に接着されたチップ紙を使用して、喫煙物品に取り付けられる。喫煙物品を喫煙すると、フィルタを通して吸い込まれる主流煙が発生する。主流煙は、喫煙物品に特定の味を与える多数の成分を含むことができ、その味は、喫煙者の味覚だけでなく、喫煙者の嗅覚によっても検出される感覚を含む。
【0003】
良質な製品を製造するためには、一般的に、包装材料がシガレットペーパーで作られている場合には、白くて「清潔」な外観を有するべきである。また、包装材料は、十分な燃焼性とユーザが望む味を有する主流煙を生成する材料と多孔度を有するべきである。加えて、包装材料は、白色の外観を有する凝集性灰を生成することが望ましい。
【0004】
従来、当業者は、喫煙物品の全般的な喫煙体験を改善する包装材料を製造することを試みてきた。たばこの包装材料は、一般的に、木材または亜麻繊維などのパルプ繊維と、充填剤粒子とを組み合わせて製造される。たばこの包装材料(包装紙)は白色を有するように製造することができるが、そのような包装紙は、「紙のような」味がする。一方、均質化されたたばこの包装材料は一般的に、該材料の50%超の量が、加工されたたばこ副産物から作られており、そのため、満足のいく灰の外観や燃焼性を実現することができなかった。
【0005】
上記に鑑み、喫煙物品の味を向上させることができる喫煙物品用の包装材料が求められている。特に、従来のシガレットペーパー材料の紙のような味を少なくすることができる包装材料が求められている。加えて、様々な種類の喫煙物品に使用することができ、かつ、白色の外観を有することができる包装材料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的に、本開示は、独特の自然な外観を有し、かつ、従来の包装材料と比べて紙のような味が少ない喫煙物品用の包装材料に関する。本開示によれば、本開示の包装材料は、その一部が、たばこ材料から構成される。たばこ材料は、パルプ繊維(セルロース繊維)及び充填材と組み合わされる。本開示によれば、たばこ材料は、パルプ繊維(セルロース繊維)と組み合わせたときに、比較的未精製の状態であり、多くの利益及び利点をもたらすことが分かっている比較的大きな粒径を有する。
【0007】
一実施形態では、例えば、本開示は、喫煙物品用の包装材料に関する。本開示の包装材料は、たばこ材料を少なくとも10重量%の量で含有するウェブから製造される。たばこ材料は、実質的に精製されていなくてもよく、及び/または、該たばこ材料の80%超が約0.03048cm(約0.012インチ)、例えば0.0381cm(約0.015インチ)超の最大径を有するような粒度分布を有する。たばこ材料は、たばこ繊維、たばこ粒子、またはそれらの混合物を含む。一実施形態では、たばこ材料の50%超、例えばたばこ材料の60%超が、煙道硬化茎を含む。たばこ材料は、一般的に約10重量%超の量、例えば約10%~約60重量%、例えば約20%~約40重量%の量でウェブに含有される。
【0008】
本開示によれば、上記のたばこ材料は、ウェブを製造するときに、漂白されたパルプ繊維及び充填材と組み合わされる。漂白されたパルプ繊維は、ウェブ中に約20重量%超の量、例えば約20%~約50重量%の量、または例えば約20%~約40重量%の量で含有される。一方、充填剤は、白色粒子を含み、ウェブ中に約10重量%超の量、例えば約10%~約30重量%の量、または例えば約15%~約25重量%の量で含有される。一実施形態では、充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含む。
【0009】
本開示に従って製造された包装材料は、明るい白色の外観を有する。例えば、本開示の包装材料の少なくとも一方の面は、約65超の、例えば約70超の、例えば約78超のL値(白色度値)を示す。本開示の包装材料は、優れた白色を有する。また、本開示の包装材料は、比較的高い強度を有し、約1500cN/15mm超の引張強度を有する。
【0010】
たばこ材料、漂白されたパルプ繊維(漂白されたセルロース繊維)、及び充填材に加えて、本開示の包装材料は、様々な他の添加物及び構成要素を含むことができる。例えば、一実施形態では、本開示の包装材料は、保湿剤及び/または燃焼制御剤を含有する。保湿剤としては、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの混合物が挙げられる。一方、燃焼制御剤としては、クエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムなどのクエン酸塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0011】
製造された包装材料またはウェブは、一般的に、約30コレスタ単位~約80コレスタ単位、例えば約40コレスタ単位~約60コレスタ単位の固有の多孔度を有する。ウェブは、一般的に、約30gsm~約50gsmの坪量を有する。一実施形態では、滑らかで均一な仕上げを提供するために、本開示の包装材料はカレンダー加工される。
【0012】
本開示の包装材料は、様々な種類の喫煙用品に組み込むことができる。一実施形態では、喫煙物品は、喫煙可能なたばこ充填材のカラムを、本開示の包装材料で包装することによって形成される。喫煙物品としては、例えば、シガレット(巻きたばこ)、またはシガリロが挙げられる。
【0013】
本発明の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0015】
【
図1】
図1は、本開示の包装材料を組み込んだ喫煙物品の一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示に従って製造された包装材料を組み込んだ喫煙物品の別の実施形態である。
【0016】
本明細書及び図面において繰り返し用いられる参照符号は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示が例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解されるであろう。
【0018】
一般的に、本開示は、シガレット(紙巻きたばこ)、リトルシガー、シガリロ、及びより大きなシガーなどの喫煙物品用の包装材料に関する。本開示の包装材料は、比較的大きな粒子または繊維サイズを有する比較的未精製の状態のたばこ材料を包装する。たばこ材料は、他の材料と組み合わされて、従来のたばこ包装紙よりも紙のような味が少ない全体的な包装紙を提供する。特に有利なことに、本開示の包装材料は、改善された味を有するだけでなく、自然な外観及び明るい白色を有する。また、本開示の包装材料は、凝集性を有する白色の灰を生成し、かつ、過去に作られた多くの再構成型のたばこ包装紙よりも優れた燃焼特性を有する。
【0019】
本開示によれば、抽出されたたばこ材料は、漂白されたパルプ繊維及び充填剤と組み合わされて、包装材料を製造する。任意選択で、本開示の包装材料は、様々な他の添加物及び構成要素を含むことができる。例えば、一実施形態では、保湿剤を、本開示の包装材料に加えることができる。別の実施形態では、燃焼制御剤を、本開示の包装材料に加えることができる。
【0020】
本開示の包装材料に組み込まれるたばこ材料は、まず、たばこ材料から水溶性成分を除去する抽出処理を受ける。例えば、一実施形態では、たばこの製造プロセスで得られたたばこの茎(例えば、煙道で硬化された茎)、微粉、及び/または他のたばこの副産物を含有するたばこ完成紙料(tobacco furnish)を、まず、溶媒(例えば、水及び/または他の化合物)と混合する。一実施形態では、溶媒は、水のみを含む。別の実施形態では、アルコール(例えば、エタノール)などの水混和性を有する様々な溶媒を水と組み合わせて、水性溶媒を形成する。水性溶媒の含水率は、いくつかの例では、溶媒の50重量%超、とりわけ、溶媒の90重量%超であり得る。脱イオン水、蒸留水、または水道水などを使用してもよい。懸濁液中の溶媒の量は幅広い範囲をとることができるが、一般的には、懸濁液の約50重量%~約99重量%の量、いくつかの実施形態では約60重量%~約95重量%の量、いくつかの実施形態では約75重量%~約90重量%の量であり得る。しかしながら、溶媒の量は、溶媒の性質、抽出を行う温度、及びたばこ完成紙料の種類によって様々であり得る。
【0021】
溶媒とたばこ完成紙料との混合物を作製した後、その混合物の可溶性画分の一部または全部を混合物から分離する。水性溶媒とたばこ完成紙料との混合物は、可溶化速度を増加させるために、撹拌、振盪、または他の混合方法を用いてかき混ぜる。一般的に、このプロセスは、約30分~約6時間実施される。プロセス温度は、約10℃~約100℃の範囲、例えば約40℃~約80℃の範囲であり得る。
【0022】
たばこ材料を抽出剤中に浸漬させた後、プレス機を使用して、たばこ液からたばこ材料を機械的に分離する。可溶性画分をたばこ完成紙料または不溶性画分から分離した後、可溶性画分を濃縮する。可溶性画分は、真空蒸発器などの任意の既知のタイプの濃縮器を使用して濃縮される。本開示の一実施形態では、可溶性画分は、高濃度であり得る。一実施形態では、例えば、たばこ可溶性画分は、約20%~約40%、例えば約25%~約35%の最終ブリックス(final brix)を有するように蒸発させる。
【0023】
得られた濃縮されたたばこ可溶性画分は、廃棄してもよいし、別のプロセスで使用してもよいし、または、以下でより詳細に説明するように、後で本開示の包装材料上にコーティングしてもよい。
【0024】
得られたたばこ不溶性画分は、一般的に、未精製の状態にある。たばこ材料は、たばこ粒子及びたばこ繊維を含み得る。たばこ材料には、例えば、茎、スクラップ、ダスト、たばこの葉などが含まれる。一実施形態では、たばこ材料は、煙道硬化茎(煙道で硬化させた茎)をかなりの量で含む。例えば、一実施形態では、たばこ材料は、煙道硬化茎を、約50重量%超の量、例えば約60重量%超の量、例えば約70重量%超の量、例えば約80重量%超の量、または例えば約90重量%超の量で含む。大量の煙道硬化茎の存在は、製造された包装材料の外観を改善するだけでなく、機械的特性や味を含む様々な他の特性を改善すると考えられる。
【0025】
次に、不溶性画分または抽出されたたばこ材料を、木材パルプ繊維などのパルプ繊維(セルロース繊維)と混合する。より詳細には、水不溶性のたばこ材料を、漂白パルプ繊維(漂白されたパルプ繊維)と組み合わせる。漂白パルプ繊維(漂白セルロース繊維)は、例えば、亜麻、針葉樹、または広葉樹から取得することができる。パルプ繊維を漂白するのは、繊維の色を薄くして最終製品の白さを高めるためである。また、漂白パルプ繊維を使用することにより、包装材料の明るさを向上させることもできる。
【0026】
たばこ材料は、一般的に、約1:5~約3:1の重量比で、漂白パルプ繊維と組み合わせることができる。例えば、たばこ材料と漂白パルプ繊維との重量比は、一般的に約2:5超、例えば約4:5重量%超、かつ、一般的に約2:1未満、例えば約3:2未満、例えば約5:4未満であり得る。
【0027】
たばこ材料に漂白パルプ繊維を混合した後、得られた混合物は、任意選択で、ディスクリファイナ(disc refiner)を使用して精製することができる。例えば、得られた混合物は、包装材料の最終的な多孔度を制御するために精製することができる。
【0028】
本開示によれば、たばこ材料及び漂白パルプ繊維を精製することに加えて、たばこ材料及び漂白パルプ繊維をスクリーニングすることにより、たばこ材料の粒径を制御することができる。例えば、より大きなサイズのたばこ粒子及びたばこ繊維を除去するために、混合物またはたばこ材料のいずれか一方のみをスクリーニングプロセスを通して供給する。一実施形態では、例えば、たばこ材料、または、たばこ材料と漂白パルプ繊維との混合物を、約0.03048cm~約0.0381cm(約0.012インチ~約0.015インチ)の開口サイズを有するスクリーニング装置を通して供給する。
【0029】
得られたたばこ材料は、それに含まれるたばこ粒子及びたばこ繊維の70%超が0.03048cm(0.012インチ)超の最大径を有するような粒度分布を有する。例えば、たばこ材料は、たばこ粒子及びたばこ繊維の約80%超、例えば約90%超が、約0.03048cm(約0.012インチ)超の最大の粒子寸法を有するような粒度分布を有する。別の実施形態では、たばこ材料は、たばこ粒子及びたばこ繊維の約70%超、例えば約80%超、または例えば約90%超が、約0.0381cm(約0.015インチ)超の最大寸法を有するような粒度分布を有する。さらに別の実施形態では、たばこ材料は、たばこ粒子及びたばこ繊維の約70%超、例えば約80%超、または例えば約90%超が、約0.0635cm(約0.025インチ)超の最大寸法を有するような粒度分布を有する。
【0030】
一般的に、たばこ材料に含まれるたばこ粒子及びたばこ繊維は、約0.254cm(約0.1インチ)未満、例えば約0.2032cm(約0.08インチ未満)、または例えば約0.127cm(約0.05インチ未満)の最大寸法を有する。例えば、一実施形態では、たばこ粒子及びたばこ繊維の約80%超、例えば約90%超、または例えば約95%超は、約0.127cm(約0.05インチ未満)の最大寸法を有する。
【0031】
たばこ材料の上記の粒度分布は、様々な利益及び利点を提供すると考えられる。上記の粒度分布は、パルプ繊維と組み合わせたときに、精製されたたばこ材料の使用と併せて、改善された感覚的特性及び改善された外観を有する包装材料を生成すると考えられる。たばこ材料の上記の粒度分布は、例えば、自然な外観を有し、かつ、白色を呈する包装材料を作り出す。
【0032】
本開示の包装材料を製造するとき、漂白パルプ繊維と混合された上述のたばこ材料に、充填剤が組み込まれる。充填剤は、一般的に、白色の粒子を含む。充填剤の粒子としては、例えば、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子、粘土粒子、酸化マグネシウム粒子、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0033】
充填剤粒子は、任意の適切な粒径及び形状を有することができる。例えば、一実施形態では、充填剤の粒子は、約0.1μm(マイクロメートル)超、例えば約0.2μm超、または例えば約0.3μm超の粒径を有する。充填剤粒子の粒径は、一般的に約2μm以下、例えば約1.5μm以下、例えば約1μm以下、または例えば約0.8μm以下である。一実施形態では、充填剤粒径の中央値は、約0.1μm~約0.5μm、例えば約0.2μm~約0.4μmである。充填剤粒子は、製造された包装材料の白さ(白色度)及び明るさをさらに向上させることができる。加えて、充填剤粒子は、包装材料の最終的な多孔性及び燃焼性を調節することもできる。
【0034】
一実施形態では、本開示の包装材料に組み込まれる充填剤は、炭酸カルシウム粒子から成る。一実施形態では、炭酸カルシウム粒子は、沈殿した粒子を含み得る。炭酸カルシウム粒子は、一実施形態では、菱面体形状を有することができる。別の実施形態では、炭酸カルシウム粒子は、約50nm(ナノメートル)~約3μmの平均直径を有する非等尺性形状を有することができる。この粒子は、例えば、一般的に約1超、例えば約2超、または例えば約5超、一般的に約15未満、例えば約12未満、または例えば約10未満のアスペクト比を有することができる。
【0035】
充填剤を、水の存在下でたばこ材料及び漂白パルプ繊維と組み合わせて、スラリーを形成する。次いで、形成された繊維スラリーを使用して、連続シートを形成する。例えば、一実施形態では、繊維スラリーは、成形ワイヤ、重力ドレイン、吸引ドレイン、フェルトプレス、及び、ヤンキー乾燥機やドラム乾燥機などの乾燥機を含むことができる製紙プロセスに供給される。例えば、一実施形態では、繊維スラリーは、フォードリニアテーブル(Fourdrinier table)上で連続シートに形成される。
【0036】
一実施形態では、例えば、繊維スラリーは、多孔質形成表面上に置かれ、シート(ウェットレイドウェブ)に形成される。余分な水は、重力ドレイン及び/または吸引ドレインによって除去される。加えて、水の除去を容易にするために、様々なプレスを使用することができる。形成されたシートを乾燥させた後、さらなる処理を施すことができる。
【0037】
一実施形態では、例えば、保湿剤を包装材料に組み込むことができる。保湿剤としては、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
保湿剤に加えて、1以上の燃焼制御剤を、製造された包装材料または包装紙に組み込むことができる。燃焼制御剤としては、例えば、カルボン酸の塩、アルカリ金属の塩、及び/またはアルカリ土類金属の塩が挙げられる。例えば、燃焼制御剤としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、炭酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、硝酸、リン酸、またはそれらの任意の組み合わせの塩が挙げられる。使用可能な特定の燃焼制御剤としては、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0039】
任意選択で、製造された包装材料はまた、不溶性画分から分離された濃縮されたたばこ可溶性部分(tobacco soluble portion)などのたばこ可溶性部分で処理することができる。たばこ可溶性部分は、スプレー、サイズプレスの使用、サチュレート(saturating)などの様々な塗布方法を用いてウェブに塗布することができる。一実施形態では、たばこ可溶性部分は、形成されたウェブに、該ウェブの乾燥重量に基づいて、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、または例えば約18重量%超の量で塗布することができる。一般的に、たばこ可溶性部分またはたばこ抽出物は、ウェブの乾燥重量に基づいて、約20%以下の量で包装材料に塗布される。
【0040】
保湿剤、燃焼制御剤、及び/またはたばこ抽出物に加えて、本開示に従って、製造された包装材料は、様々な他の薬剤及び成分で処理することができる。例えば、一実施形態では、1以上の香味剤をウェブに加えることができる。
【0041】
完成したウェブまたは包装材料は、乾燥させた後、ロールに巻かれる。例えば、一実施形態では、乾燥したシートは、約15mm~約54mm、例えば約19mm~約28mmの幅を有するボビンに巻き取られる。ボビンに巻き取る前に、包装材料の平滑性及び走行性を高めるために、ウェブをカレンダー加工してもよい。一実施形態では、例えば、マルチニップカレンダー装置を使用してもよい。
【0042】
本開示に従って製造された包装材料は、一般的に、約10重量%超の量のたばこ材料を含有する。例えば、たばこ材料は、約15重量%超の量、例えば約20重量%超の量、または例えば約25重量%超の量で包装材料に含有される。たばこ材料は、一般的に約60重量%未満の量、例えば約50重量%未満、例えば約40重量%未満、または例えば約30重量%未満の量で包装材料に含有される。
【0043】
漂白パルプ繊維及び充填材は、特定の用途及び所望の結果に応じて、様々な濃度で本開示の包装材料に含有される。例えば、漂白パルプ繊維は、一般的に約20重量%超の量、例えば約25重量%超の量で、そして、一般的に約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量、または例えば約35重量%未満の量で、包装材料に含有される。充填剤は、一般的に約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、または例えば約20重量%超の量で、そして、一般的に約35重量%未満の量、例えば約30重量%未満の量、または例えば約25重量%未満の量で、包装材料に含有される。
【0044】
保湿剤及び/または燃焼制御剤が本開示の包装材料に含有される場合、保湿剤及び/または燃焼制御剤は、一般的に約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満、例えば約2重量%未満、例えば約1.5重量%未満、または例えば約1重量%未満の量で、包装材料に含有される。保湿剤及び/または燃焼制御剤は、一般的に約1重量%超の量、例えば約1.5重量%超の量で、包装材料に含有される。
【0045】
本開示に従って製造された包装材料は、優れた機械的特性を有し、かつ、非常に好ましい美的外観を有する。一般的に、本開示の包装材料は、約30gsm、例えば約35gsm、または例えば約40gsm超の坪量を有する。本開示の包装材料の坪量は、一般的に約55gsm未満、例えば約50gsm未満、または例えば約45gsm未満である。上記の坪量の範囲内で、本開示の包装材料は、非常に高い強度を有し、約1、000cN/15mm超、例えば約1,500cN/15mm超、かつ、一般的には約3、000cN/15mm未満の引張強度を有する。引張強度は、ASTM試験D828-97を用いて測定することができる。
【0046】
上記の物理的特性に加えて、本開示に従って製造された包装材料は、独特の自然な外観を呈することができる。加えて、本開示の包装材料(包装紙)は、均質化されたたばこ材料から製造された多くの従来のたばこ包装紙よりも、より明るい、かつより白い外観を有することができる。
【0047】
一実施形態では、本開示の包装材料の少なくとも一方の面の色を特徴付けするために、本開示の包装材料の少なくとも一方の面の色は、ハンターLabカラースケールを使用して、L、a、及びbの値を指定することによって、客観的に表現することができる。ハンターLabカラースケールは、1948年にリチャード・S・ハンター氏によって作成されたものであり、「The Measurement of Appearance," 2nd Addition, John Wiley and Sons, New York, New York, 1987」に記載されている。このカラースケールは、人間の目に見えるすべての色を記載しており、デバイスに依存しないモデルとしての役割を果たすように作成され、基準として使用される。
【0048】
ハンターLabスケールの3つの座標は、色の明度(L=0は黒、L=100は拡散した白を示す;鏡面反射白色の方が高い場合もある)、赤/マゼンタと緑との間の位置(a、負の値は緑、正の値はマゼンタを示す)、黄と青の間の位置(b、負の値は青、正の値は黄を示す)を表す。
【0049】
本開示によれば、本開示の包装材料(包装紙)の少なくとも一方の一面は、一般的に約60超、例えば約70超、例えば約75超、または例えば約78超のL値(白色度値)を有する。本開示の包装材料をたばこ可溶性部分またはたばこ抽出物で処理すると、包装材料のL値は、若干低下する。例えば、本開示の包装材料をたばこ可溶性部分で処理した場合、本開示の包装材料は、約65超、例えば約70超のL値を有することができる。一方、本開示の包装材料をたばこ可溶性部分で処理しない場合、本開示の包装材料のL値は、一般的に約75超であり、例えば約78超である。また、本開示の包装材料のL値は、一般的に約98未満、例えば約95未満である。
【0050】
本開示の包装材料は、明るい白色を示すことに加えて、より大きなたばこ粒子及び繊維の存在に起因して、斑点状(まだら模様)の外観を有する。たばこ材料の存在に起因する斑点状の外観は、白さが増した外観と併せて、独特の自然な外観を作り出す。
【0051】
本開示の包装材料はまた、より優れた味覚特性を有する喫煙物品を作り出す。例えば、本開示の包装材料は、従来のシガレットペーパーと比べて、紙のような味が少なくなる。加えて、本開示の包装材料は、より滑らかな煙を生成する。さらに、本開示の包装材料は、従来のたばこ包装材料に対して改善された外観を有する凝集性の灰を生成する。
【0052】
本開示に従って製造された包装材料は、様々な種類の喫煙物品に組み込むことができる。例示のみを目的として、そのような喫煙物品の一例を
図1及び
図2に示す。図示のように、喫煙物品10は、喫煙可能なカラム12を含む。喫煙物品10はまた、喫煙可能なカラム12の周りに巻かれたときに外周面16を画定する包装材料14を含む。喫煙物品10はまた、チップ紙で囲まれたフィルタ26を含み得る。
【0053】
図1及び
図2に示す喫煙物品10は、一般的に、シガレット(巻きたばこ)を含む。しかしながら、他の実施形態では、本開示の包装材料は、シガリロ及びリトルシガーを製造するために使用することができる。例えば、
図3を参照すると、シガリロ30の一例が示されている。シガリロ30は、本開示に従って製造された包装材料34によって囲まれた喫煙可能な充填材32のカラムを含む。任意選択で、シガリロ30は、プラスチックチップ36を含むことができる。
【0054】
本発明はその趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明及び実施例は説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。