(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電気バッテリアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/287 20210101AFI20240501BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20240501BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240501BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240501BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
H01M50/287
H01M50/202 401D
H01M50/202 501S
H01M50/55 101
H01M50/209
H01M50/569
(21)【出願番号】P 2021540238
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2020050734
(87)【国際公開番号】W WO2020144384
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520054770
【氏名又は名称】デューコシ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート カニンガム
(72)【発明者】
【氏名】ジョッシュ レワージー
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジョール シルベスター
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-504645(JP,A)
【文献】特開2012-123934(JP,A)
【文献】国際公開第2018/002667(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/085344(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/115602(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0181705(US,A1)
【文献】特開2013-179072(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0002044(KR,A)
【文献】特表2014-504440(JP,A)
【文献】特開2012-003953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/202-50/569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気バッテリアセンブリであって、
陽極端子と陰極端子を有する角柱形バッテリセルであって、前記陽極と陰極端子は、端部表面上の間隔をおいて離れている位置において、前記角柱形バッテリセルの同じ端部表面から突出しており、前記陽極と陰極端子は、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面と共に端子間空間を画定し、前記端子間空間は、前記端部表面の全体にわたる方向において前記陽極と陰極端子との間で境界が定められ、前記端部表面に直交する方向において、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面と、前記陽極と陰極端子の末端表面との間で境界が定められる、角柱形バッテリセルと、
測定装置と無線送信機を備える電子ユニットと、
前記端子間空間に収容されて、前記角柱形バッテリセルへの取付けのために構成される支持構造体であって、前記支持構造体は架台を有し、前記架台は、前記架台の第1および第2端部に対して形成され、前記架台は、前記第1および第2端部との間で支持表面を画定し、前記支持表面は、前記架台内で少なくとも部分的に前記電子ユニットを固定するように構成され、前記支持構造体は、前記電子ユニットを前記陽極と陰極端子に電気的に結合し、それにより電力を前記無線送信機と前記測定装置に提供するように配置されている少なくとも1つの伝導素子を備えている、支持構造体と、
カバーであって、前記カバーと前記架台は、前記カバーを前記架台上に取り付けて前記電子ユニットを取り囲み、それにより前記角柱形バッテリセルの前記端部表面に関する前記電子ユニットの動きを制限する協働表面形状を有している、カバーと、を備え、
前記測定装置は、前記角柱形バッテリセルの特質を測定するように構成されており、前記無線送信機は、前記測定された特質を無線で送信するように構成されて
おり、
前記カバーは、前記カバーが前記架台に取り付けられると前記架台に対して向けられる第1表面と、前記カバーが前記架台に取り付けられると、前記架台から離れるように向けられる第2平面表面を画定し、少なくとも1つのアンテナ構成が前記第2平面表面上に画定され、前記アンテナ構成は、前記電子ユニットの前記無線送信機の中に備えられる電子ユニットアンテナと無線通信するように構成されているアンテナを保持する、電気バッテリアセンブリ。
【請求項2】
前記無線送信機は、狭域通信のために構成されている近距離無線通信装置である、請求項1に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項3】
前記支持構造体は、前記角柱形バッテリセルに取外し可能に取り付けられる、請求項1または2に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項4】
前記架台の前記第1および第2端部は、前記陽極と陰極端子にそれぞれ取り付けられるように構成されている、請求項1~
3の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項5】
前記支持構造体が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記架台は、前記陽極と陰極端子の末端部を超えて突出する前記架台の部分を例外として、前記陽極と陰極端子上を延伸せず、前記架台の前記部分は、前記カバーを前記架台に取り付けるための前記カバーの表面形状と協働する表面形状を画定する、請求項
1または4に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項6】
前記支持構造体が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記架台は、前記陽極と陰極端子が突出している前記角柱形バッテリセルの前記端部表面の周辺を超えては延伸せず、前記カバーは、前記架台に取り付けられると、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面の前記周辺を超えては延伸しない、請求項
1~5の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項7】
前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つが延伸する開口部を画定し、それにより、前記架台は、前記陽極と陰極端子に取り付けられる、請求項1~
6の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項8】
前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結し、それにより、前記架台が端子から外れることに対する抵抗をもたらす形状を画定し、選択的に、前記端子により画定される前記形状は、前記端子の底部に向かう凹部を備え、前記架台により画定される前記形状は、前記端子における前記凹部に収容される形状にされている、請求項1~
7の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項9】
前記架台の端部は、前記端子へのスナップフィット取付けを提供する形状にされている、請求項
8に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項10】
前記架台は、前記電子ユニットが支持される前記支持表面を画定する架台底部を備え、前記架台の形状が決められた第1および第2端部は、前記架台底部の対向する端部から延伸している、請求項1~
9の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項11】
前記架台底部は、前記架台が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面における通気孔と位置が整合する、前記架台底部を貫通する通気孔開口部を画定し、選択的に、前記通気孔開口部を例外とする前記架台底部は、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面への連続表面をもたらす、請求項
10に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項12】
前記架台は更に、第1および第2壁を備え、前記第1および第2壁は、それぞれが前記陽極と陰極端子の間を延伸するように、前記架台底部のそれぞれの対向する縁部から上方に延伸し、前記第1および第2壁の高さは、それらの末端部が、前記陽極と陰極端子の末端部を超えて延伸しないような高さであり、選択的に、前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つが延伸する開口部を画定し、それにより前記架台は前記陽極と陰極端子に取り付けられ、前記開口部は境界壁により画定され、前記境界壁は、前記第1および第2壁とほぼ同じ高さである、請求項
10または
11に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項13】
前記架台底部と前記第1および第2壁は、前記電子ユニットを収容するための架台空間を画定し、前記電子ユニットは、前記第1および第2壁の間で滑りばめとなる形状にされている、請求項
12に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの伝導素子は、前記電子ユニットの対向する端部から延伸する第1および第2電気伝導体を備え、前記第1および第2電気伝導体は、前記陽極と陰極端子それぞれからの電気伝導を提供し、それにより電力を前記無線送信機に提供し、選択的に、前記第1および第2電気伝導体の少なくとも1つは、前記陽極と陰極端子のそれぞれの1つの周りで嵌合し、それにより、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つに固定される形状にされている伝導性留め具に電気的に結合され、前記伝導性留め具は、端子に対してもたれかかる歯状部を画定し、それにより、前記伝導性留め具は、前記端子との締まりばめを提供する、請求項1~
13の何れか一項に記載の電気バッテリアセンブリ。
【請求項15】
各伝導性留め具は、前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれ1つの中に備えられ、各伝導性留め具は、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結する形状を画定し、それにより、前記伝導性留め具は、電気伝導を更に提供するために、前記架台を前記陽極と陰極端子に取り付ける、請求項
1または14に記載の電気バッテリアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリセルと、バッテリセルの特質を測定する測定装置を備えている電子ユニットを備えている電気バッテリアセンブリに関する。本発明はまた、そのような電気バッテリアセンブリを形成および操作する方法にも関する。
【発明の概要】
【0002】
発明の態様に従えば、電気バッテリアセンブリが提供され、電気バッテリアセンブリは、陽極端子と陰極端子を有しているバッテリセルと、測定装置と無線送信機を備えている電子ユニットと、バッテリセルへの取付けのためであって、電子ユニットを格納するように配置されている支持構造体を備えており、支持構造体は、電子ユニットを陽極と陰極端子に電気的に結合し、それにより電力を無線送信機と測定装置に提供するように配置されている少なくとも1つの伝導素子を備えており、測定装置は、バッテリセルの特質を測定するように構成されており、無線送信機は、測定された特質を無線で送信するように構成されている。電子ユニットの測定装置は、電流、電圧、または温度などのような、角柱形バッテリセルの特質を測定するように構成でき、無線送信機は、測定された特質を無線で送信するように構成できる。有利なことであるが、支持構造体は、バッテリセルの既存の製造プロセスに対して如何なる修正も要求することなく、製造後に個々のバッテリセルに後付けすることができる。更に、幾つかの実施形態においては、2つ以上のバッテリアセンブリは、相互に交換可能にバッテリパックと称されるバッテリを形成するために組み合せることができ、バッテリにおいては、各バッテリセルは、測定装置と無線送信機を備えている電子ユニットと関連付けられている。このようにして、バッテリパック内に備えられている各バッテリセルの個々の特質を測定できる。測定されたバッテリセルの情報は、個々のバッテリセルの動作を制御するためにバッテリ管理システム(BMS)により使用できる。幾つかの実施形態においては、支持構造体は2つ以上のバッテリセルに取り付けることができる。そのような実施形態においては、電子ユニットを、そして具体的には測定装置を、支持構造体が取り付けられている2つ以上のバッテリセルの特質を測定するように構成できる。代替的に、支持構造体は2つ以上の電子ユニットを備えることができ、各電子ユニットは、支持構造体が取り付けられているバッテリセルの異なる1つの特質を測定するように構成されている測定装置を備えている。更なる実施形態においては、電子ユニットは2つ以上の測定装置を備えることでき、各測定装置は、異なるバッテリセルの特質を測定するように構成されているということが考えられる。電子ユニットは、2つ以上の測定装置の各1つにより測定されるような測定特質を無線で送信するように構成されている単一の無線送信機を備えることができる。BMSなどのような受信機が、受信した測定特質と関連付けられているバッテリセルを識別することを容易にするために、固有の識別子を、無線送信機からの各データ送信と関連付けることができる。固有の識別子は、測定された特質と関連付けられている特定のバッテリセルが固有に識別されることを可能にする。これは、個々のバッテリセル管理を容易にする。
【0003】
ある実施形態に従えば、無線送信機は、狭域通信のために構成されている近距離無線通信(NFC)装置である。無線送信機から出射される信号は、関連NFC規格に準拠しており、その詳細はこの技術においては知られている。無線送信機としてのNFC装置の使用は、近接して位置している異なるバッテリアセンブリ間の信号干渉のリスクを削減することを支援する。信号干渉を削減することは、複数のバッテリアセンブリがバッテリパックにおいて互いに組み合わされ、複数の無線送信機が近傍において測定されたデータを互いに送信する場合には特に重要である。そのような適用においては、信号干渉の重大なリスクがある。狭域通信信号の使用はそのような干渉を軽減する。加えて、狭域通信信号の使用はセキュリティを向上し、送信されたデータ信号に不正な第三者がアクセスするリスクを削減する。
【0004】
幾つかの実施形態においては、支持構造体は取外し可能にバッテリセルに取り付けることができる。これは、保守の目的のためにバッテリセルにアクセスする必要があるとき、および/または、保守の理由のために支持構造体および/または電子ユニットにアクセスする必要があるときの両者の場合において、保守の目的のために利点であり得る。
【0005】
支持構造体は、その第1および第2端部に向く形状にされている架台を備えることができる。架台は第1および第2端部の間で支持表面を画定でき、支持表面は、電子ユニットを架台内で少なくとも部分的には固定するように構成できる。バッテリアセンブリはカバーを備えることができる。カバーと架台は、協働表面形状を有することができ、協働表面形状はカバーを架台上に取り付けて電子ユニットを取り囲み、それにより、バッテリセルの表面に対する電子ユニットの動きを制限する。架台とカバーのこの構成は、電子ユニットへのアクセスを可能にしながら、電子ユニットを格納するための有利な機構を提供する。これは、保守の目的のために利点である。
【0006】
ある実施形態に従えば、電気バッテリアセンブリは円筒形バッテリセルを備えることができる。陽極と陰極端子は、円筒形バッテリセルの対向する端部表面上に位置することができ、支持構造体は、バッテリセルの円筒形表面上に位置することができる。支持構造体は、円筒形バッテリセルの高さの少なくとも一部に沿う方向において延伸できる。特に、支持構造体の長さは、円筒形バッテリセルの高さに平行な方向において延伸できる。支持構造体は、円筒形バッテリセルの円筒形表面と接触するように配置されている接触表面を備えることができる。接触表面は、円筒形バッテリセルの円筒形表面の形状に対して補完的な表面形状を有することができる。これは、支持構造体の、円筒形バッテリセルへの向上された人間工学的取付けという結果となる。幾つかの実施形態においては、接触表面形状は、弧形状であってよい。幾つかの実施形態においては、支持構造体の幅は、円筒形バッテリセルの長手方向対称軸に直交する平面において延伸できる。円筒形バッテリの断面は、長手方向対称軸に直交する方向において取ることができ、支持構造体の幅は、円筒形バッテリセルの円形断面に周囲の一部に沿って延伸でき、円形断面の、90°未満である中心角θに対向する円弧の長さを形成する。中心角θは、円形断面の中心に位置している。有利なことに、これは、円筒形セルを備えている2つ以上のバッテリアセンブルを、各アセンブリの支持構造体が互いに干渉しないように組み合わせ且つ配置することを可能にする。
【0007】
幾つかの実施形態に従えば、接触表面は、支持構造体を円筒形バッテリセルの円筒形表面に取り付けるための取付け手段を備えることができる。取付け手段は留め具を備えることができる。取付け手段は接着剤を備えることができ、支持構造体を、円筒形バッテリセルの円筒形表面に取り付けることを可能にする。幾つかの実施形態においては、接着剤は、支持構造体を反復的に円筒形支持表面から取り外し、そこに再び取り付けることを可能にする。
【0008】
ある実施形態においては、支持構造体は把持アームを備えることができ、把持アームは、支持構造体から外側に向けて延伸しており、円筒形バッテリセルの陽極と陰極端子を把持し、それにより支持構造体を、円筒形バッテリセルの端子との締りばめを形成することにより円筒形バッテリセルに取り付けるように配置されている。把持アームは、支持構造体の末端部において構成できる。
【0009】
幾つかの実施形態においては、把持アームは、バッテリ端子の把持を容易にするために、支持構造体の長さに直交する面において延伸するように構成できる。
【0010】
幾つかの実施形態においては、電気バッテリアセンブリは、角柱形バッテリセルを備えることができる。陽極と陰極端子は、端部表面上の間隔をおいた離れた位置において、角柱形バッテリセルの同じ端部表面から突出することができる。角柱形バッテリセルの端部表面は実質的に平面であってよい。陽極と陰極端子は、角柱形バッテリセルの対向する側に向かう端部表面上に位置させることができる。陽極と陰極端子は、角柱形バッテリセルの平面状端部表面から突出できる。陽極と陰極端子は、断面が長方形または円形であってよい。端子間空間は、端部表面全体にわたる方向において陽極と陰極端子との間で画定且つ境界を定めることができ、端部表面に直交する方向において、角柱形バッテリセルの端部表面と、陽極と陰極端子の末端表面との間において境界を定めることができる。
【0011】
架台の第1および第2端部はそれぞれ、角柱形バッテリセルの陽極と陰極端子に取り付けられるように構成できる。架台は、第1および第2端部の間で支持表面を画定し、電子ユニットは、支持表面上に支持できる。支持表面は、端子間空間に収容できる。電子ユニットは、陽極と陰極端子のそれぞれに電気的に結合でき、それにより、無線送信機に対して電力を提供する。バッテリセルが角柱形バッテリセルを備えている幾つかの実施形態に従えば、カバーが架台に取り付けられると、架台とカバーは電子ユニットを取り囲み、それにより、角柱形バッテリセルの端部表面全体にわたる、および端部表面に直交する方向における電子ユニットの動きを制限する。端部表面全体にわたる電子ユニットに動きは、端部表面全体にわたり陽極と陰極端子が分離している方向に直交する方向と、端部表面全体にわたり陽極と陰極端子が分離している方向の、端部表面全体にわたり陽極と陰極端子が分離している方向に直交する方向において制限される。
【0012】
架台とカバーは、電子ユニットを端子間空間に保持し、電子ユニットの、角柱形バッテリセルに対する動きを制限するために協働できる。従って、電子ユニットは、自身が連携して動作する角柱形バッテリセルに関して保持されることができる。更に、そして、下記に記述されるように、電子ユニットは、電子ユニット自身の向上された動作、および電子ユニットと無線通信する更なる電子機器との電子ユニットの向上された動作を提供するために保持できる。これだけでなく、電子ユニットは、角柱形バッテリセル自身を修正する必要なく、角柱形バッテリセルに取り付けることができる。更に、端子間空間における電子ユニットの位置は、角柱形バッテリセルの占有面積が増大する範囲を最小にすることができる。電気バッテリアセンブリの、電気車両またはバッテリパックなどのような、より大きな電気バッテリ構造における収容の容易さはこのようにして提供される。
【0013】
ある実施形態においては、支持構造体が角柱形バッテリセルに取り付けられると、架台は、陽極と陰極端子上を延伸することはできない。この点に関する例外は、陽極と陰極端子の末端部を超えて突出し、カバーの協働表面形状と係合する表面形状を画定する部分に関することであってよい。そのため、支持構造体により角柱形バッテリセルの占有面積が増大される範囲は最小化される。
【0014】
幾つかの実施形態においては、支持構造体が角柱形バッテリセルに取り付けられると、架台は、陽極と陰極端子が突出している角柱形バッテリセルの端部表面の周辺を超えて延伸できない。そのため、角柱形バッテリセルの占有面積は、端部表面の周辺を超えて増大することはできず、それにより、支持構造体が取り付けられている角柱形バッテリセルを、支持構造体がない角柱形バッテリセルを収容するのに十分な空間に収容することができる。
【0015】
架台の第1および第2端部のそれぞれは、角柱形バッテリセルの陽極と陰極端子のそれぞれの周りに嵌合するような形状にすることができる。より具体的には、架台の第1および第2端部のそれぞれは開口部を画定でき、より具体的には、陽極と陰極端子のそれぞれが延伸する取り囲まれた開口部を画定できる。開口部は、境界壁により画定できる。境界壁は、端子の末端部を超えて延伸することはできない。
【0016】
幾つかの実施形態に従えば、架台の第1および第2端部のそれぞれは、陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結する形状を画定できる。そのような連結は、架台が端子から外れることに対する抵抗をもたらす。端子により画定される形状が、端子の底部に向かう凹部などのような凹部を備えていると、架台の端部による画定される形状は、端子における凹部に収容される形状にすることができる。架台の端部は、端子へのスナップフィット取付けを提供するような形状にすることができる。
【0017】
架台は、電子ユニットが支持される支持表面を画定する架台底部を備えることができる。架台の、形状を決められた第1および第2端部は、架台底部の対向する端部から延伸できる。架台底部は、そこを通る通気孔開口部を画定でき、通気孔開口部は、架台が角柱形バッテリセルに取り付けられると、角柱形バッテリセルの端部表面における通気孔と位置が整合する。角柱形バッテリセルは典型的には、角柱形バッテリセルの内部における圧力の増大を引き起こす、角柱形バッテリセルの動作不良の場合に、角柱形バッテリセルの減圧を可能にする通気孔を有している。架台底部における通気孔開口部は、通気を支援することにより、角柱形バッテリセルにおける通気孔が機能することを可能にする。別の場合においては、架台底部は、角柱形バッテリセルの端部表面への連続表面をもたらす。
【0018】
ある実施形態においては、架台は更に第1および第2壁を備えることができ、第1および第2壁は、架台底部のそれぞれの対向する縁部から上方に延伸し、それにより、第1および第2壁のそれぞれは、陽極と陰極端子との間を延伸する。第1および第2壁の高さは、それらの末端部が、陽極と陰極端子の末端部よりも延伸しないような高さであることができる。開口部を収容する端子が境界壁により画定される実施形態においては、上記のように、境界壁は、第1および第2壁と実質的に同じ高さであることができる。架台底部と第1および第2壁は、電子ユニットを収容するための架台空間を画定できる。電子ユニットは、それが第1および第2壁との間の滑りばめとなるような形状にすることができる。そのため、角柱形バッテリセルの端部表面全体にわたる電子ユニットの動きは、陽極と陰極端子が分離している方向に直交する方向において制限される。
【0019】
幾つかの実施形態においては、架台は更に、架台底部から、および第1および第2壁との間を上方に延伸する横方向の壁を備えることができる。横方向の壁は、架台の第1および第2端部に隣接する架台底部の端部から間隔をおいて離して配置できる。横方向の壁は、陽極と陰極端子が分離している方向において、角柱形バッテリセルの端部表面全体にわたる電子ユニットの動きに対する障壁をもたらすことができる。そのため、第1および第2壁と横方向の壁は、端部表面全体にわたる電子ユニットの動きを、2つの互いに直交する方向において制限できる。上記のように、開口部を収容する端子が境界壁で画定される場合は、境界壁は、陽極と陰極端子が分離している方向において端部表面全体にわたる電子ユニットの動きに対する更なる障壁をもたらすことができる。
【0020】
上記のように、電子ユニットは、陽極と陰極端子のそれぞれに、少なくとも1つの伝導素子を介して電気的に結合でき、それにより、無線送信機と測定装置に電力を供給する。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの伝導素子は、電子ユニットから延伸する第1および第2電気伝導体を備えることができ、第1および第2電気伝導体は、陽極と陰極伝導体それぞれからの電気伝導を提供する。幾つかの実施形態においては、第1および第2電気伝導体は、電子ユニットの対向する端部から延伸できる。
【0021】
幾つかの実施形態においては、支持構造体は、電子ユニットを格納するときに、第1および第2電気伝導体を保持する構成を画定できる。
【0022】
第1および第2電気伝導体は、異なる手段により陽極と陰極端子に電気的に結合できる。幾つかの実施形態によれば、第1および第2電気伝導体の少なくとも1つの末端部は、陽極と陰極端子のそれぞれ1つの上に位置している伝導体端子を備えることができる。幾つかの実施形態においては、伝導体端子は端子に溶接できる。幾つかの実施形態においては、伝導体端子は、端子に溶接されることなく、端子と単に接触することができる。使用においては、伝導体端子は、端子とバスバーとの間に挟むことができ、それにより電力を、電子ユニットにより端子から引き出すことができる。
【0023】
実施形態に従えば、第1および第2電気伝導体のそれぞれは、伝導性留め具に電気的に結合でき、伝導性留め具は端子に固定される。伝導性留め具は、第1および第2電気伝導体のそれぞれの末端部に位置することができる。伝導性留め具は、端子の周りに嵌合するような形状にすることができ、端子の断面は長方形または円形であってよい。更に、伝導性留め具は、使用中は端子に隣接する歯状部を画定できる。伝導性留め具は、端子との締まりばめを提供するための形状およびサイズにすることができ、それにより、端子からの良好な伝導経路を形成する。
【0024】
実施形態によれば、伝導性留め具は架台の一部を形成でき、電気伝導を提供することに加えて、架台を陽極と陰極端子に取り付けることができる。上記のように、架台の第1および第2端部のそれぞれは、陽極と陰極端子のそれぞれにより画定される形状と連結する形状を画定できる。幾つかの実施形態に従えば、各伝導性留め具は、架台の第1および第2端部それぞれ1つの中に備えることができ、陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結する形状を画定できる。架台は、下記に記述するようにプラスチック材料からなどのように、その形成後に架台に嵌合される伝導性留め具と共に形成できる。代替的に、伝導性留め具は、架台の形成中に架台に組み込むことができる。幾つかの実施形態においては、電子ユニットは、第1および第2電気伝導体それぞれの、2つの伝導性留め具のそれぞれ1つへの溶接または半田付けにより、架台の伝導性留め具に電気的に結合できる。
【0025】
幾つかの実施形態に従えば、カバーは、それが架台に取り付けられたときに、陽極と陰極端子が突出している角柱形バッテリセルの端部表面の周囲を超えてカバーが延伸しないようなサイズにすることができる。そのため、角柱形バッテリセルの占有面積は端部表面を超えては増大できず、それにより、カバーが取り付けられている角柱形バッテリセルを、カバーのない角柱形バッテリセルを収容するために十分な空間に収容できる。
【0026】
幾つかの実施形態においては、カバーは、それが架台に取り付けられたときに、カバーが第1端部においては陽極端子まで、対向する第2端部においては陰極端子まで延伸するようなサイズにすることができる。従って、陽極と陰極端子はカバーにより覆われることはなく、それにより、陽極と陰極端子を、バスバーのようなものに電気的に結合できる。別の場合においては、カバーは、角柱形バッテリセルの通気孔が機能することを可能にするために、カバーを通して延伸している少なくとも1つの開口部を例外として架台空間を覆うことができる。
【0027】
上記のように、カバーと架台は、カバーを架台上に取り付ける協働表面形状を有することができる。カバーにおける表面形状は、カバーの周辺に向かう開口部により画定でき、架台から上方に延伸しているそれぞれの突出部を収容するような形状にされている。各開口部およびそれぞれの突出部は、カバーの架台へのスナップフィット取付けを提供するために連結できる。
【0028】
幾つかの実施形態においては、カバーは、カバーが架台に取り付けられたときに架台に向けられている第1表面と、カバーが架台に取り付けられたときに架台から離れるように向けられている第2平面表面を画定できる。少なくとも1つのアンテナ構成を、第2平面表面上に画定できる。アンテナ構成は、電子ユニットの無線送信機と無線通信するアンテナを保持するような形状にすることができる。アンテナは、バッテリアセンブリの中に備えることができる。無線送信機は電子ユニットアンテナを備えることができる。そのため、架台とカバーは、電子ユニットを保持し、アンテナ構成においてカバーにより保持されている無線送信機とアンテナの適切な相対的配置を提供するために協働できる。アンテナ構成は、アンテナを収容する溝を画定できる。幾つかの実施形態においては、溝は、陽極と陰極端子が分離している方向と直交する方向においてカバー全体にわたって延伸できる。ここにおいて記述されているように、複数の電気バッテリアセンブリがある場合は、複数の電気バッテリアセンブリを互いに隣接するように位置させることができ、それにより、それらのアンテナ収容溝は位置を整合することができ、それにより、アンテナとして動作する送信線などのような単一のアンテナは、単一アンテナが、複数の電気バッテリアセンブリ上を延伸するように溝において収容できる。従って、電気バッテリアセンブリのそれぞれのカバーは、各無線送信機と単一のアンテナ間の無線通信を提供でき、分離、従って、隔離、および向きの少なくとも1つに関して、各無線送信機に対する単一アンテナの適切な配置を提供できる。
【0029】
電子ユニットはプリント回路基板を、より具体的には、剛性プリント回路基板を備えることができる。ある実施形態においては、プリント回路基板は柔軟性があってよい。無線送信機は、プリント回路基板に搭載された電子構成要素により構成できる。更なる電子構成要素をプリント回路基板に搭載できる。そのような更なる電子構成要素は、測定装置の少なくとも一部を形成でき、マイクロプロセッサのようなものを含むことができる
【0030】
ある実施形態に従えば、支持構造体は、ポリプロピレンなどのようなプラスチック材料から一体的に形成でき、プラスチック材料は、10~20%の範囲でガラスを充填できる。カバーは、ポリプロピレンなどのようなプラスチック材料から一体的に形成できる。
【0031】
バッテリセルはコンテナを、より具体的には、剛性コンテナを備えることができる。角柱形バッテリセルを備えているそれらの実施形態においては、コンテナは1つ以上のパウチセルを備えることができる。コンテナが複数のパウチセルを備えている場合は、複数のパウチセルの陽極端子は電気的に結合でき、複数のパウチセルの陰極端子は電気的に結合できる。角柱形バッテリセルを備えているそれらの実施形態においては、コンテナは、全体的に、そして、より具体的には、実質的に長方形直方体形状であってよい。コンテナは、対向する方向に向けられている第1および第2端部表面と、第1および第2端部表面間を延伸し、コンテナの周りを延伸している側部表面を画定できる。陽極と陰極端子は、第1および第2端部表面の1つのそして同じ1つから突出できる。コンテナが直方体形状の場合、より具体的には、長方形直方体形状の場合は、側部表面は、対向する方向に向けられている第1および第3表面と、対向する方向に向けられている第2および第4表面を有する第1から第4側部表面を備えることができる。第1および第3表面は、第2および第4表面よりもはるかに広い範囲であってよい。円筒形バッテリセルを備えているそれらの実施形態においては、コンテナは円筒形形状であり、それぞれが陽極または陰極バッテリ端子の異なる1つ表わしている2つの端部表面を有している円筒形表面を備えている。2つの端部表面はほぼ平行に配置され、円筒形表面は、その間で長さ方向に延伸している。
【0032】
バッテリセルは、少なくとも1つの電気化学的装置を備えることができる。電気化学的装置は、リチウムイオン電気化学的装置を、より具体的には、リチウムイオンポリマ電気化学的装置を備えることができる。バッテリセルが角柱形バッテリセルを備えている場合、各少なくとも1つの電気化学的装置は、パウチセルコンテナ内に、より具体的には、柔軟性を有することができる密封パウチセルコンテナ内に収容でき、それにより、パウチセルコンテナの膨張が可能となる。
【0033】
発明の他の態様によれば、電気車両が提供され、電気車両は、発明の上記の態様およびその実施形態の任意の1つ以上に係る少なくとも1つの電気バッテリアセンブリと、その少なくとも1つの電気バッテリアセンブリから受け取る電力に依存して電気車両を駆動する電気モータを備えている。
【0034】
発明の更なる態様によれば、無停電電源装置などのような据置型または携帯型発電機が提供され、発電機は、発明の上記の態様およびその実施形態の任意の1つ以上に係る少なくとも1つの電気バッテリアセンブリと、その少なくとも1つの電気バッテリアセンブリを充電するための充電器入力を備えている。
【0035】
発明の更なる態様によれば、電気バッテリアセンブリを形成および操作する方法が提供され、電気バッテリアセンブリは、陽極端子と陰極端子を有しているバッテリセル、測定装置と無線送信機を備えている電子ユニット、およびバッテリセルへの取付けのために構成されている支持構造体を備えており、方法は、支持構造体をバッテリセルに、陽極と陰極端子のそれぞれに取り付けられるような形状にされている、支持構造体の第1および第2端部により取り付けることと、支持されると、陽極と陰極端子のそれぞれに電気的に結合され、それにより、無線送信機と測定装置に電力を提供する電子ユニットを、第1および第2端部の間で支持構造体により画定される支持表面上に支持することと、測定装置でバッテリセルの特質を測定することと、測定された特質を、無線送信機により無線で送信することを備えている。
【0036】
幾つかの実施形態においては、支持構造体は架台を備えることができ、架台はその第1および第2端部に向かうような形状にされており、架台は、第1および第2端部の間に支持表面を画定し、方法は、カバーを、カバーと架台の協働表面形状により架台上に取り付けて、電子ユニットを取り囲み、それにより、バッテリセルの表面に対する電子ユニットの動きを制限することを備えることができる。
【0037】
発明の任意の態様の実施形態は、発明の他の態様の1つ以上の特徴を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の更なる特徴と利点は、例としての目的のみのために与えられている下記の具体的な記述から、付随する図面を参照することにより明確になるであろう。
【0039】
【
図1】電子ユニットが、取外し可能支持構造体を介して角柱形バッテリセルに取り付けられている、実施形態に係る電気バッテリアセンブリの分解透視図面である。
【
図2】電気バッテリアセンブリの取外し可能支持構造体が取り付けられている、
図1の角柱形バッテリセルの透視図である。
【
図3A】取外し可能支持構造体が取り付けられ、電子ユニットが支持構造体上の定位置に収まっている角柱形バッテリセルの図である。
【
図3B】
図3Aの装置の角柱形バッテリセルの1つの端子の周りの詳細図である。
【
図4A】実施形態に係る、角柱形バッテリセルの端子と電子ユニットとの間の電気的接続をどのようにして確立するかを示している。
【
図4B】他の実施形態に係る、角柱形バッテリセルの円形端子と電子ユニットとの間の電気的接続をどのようにして確立するかを示している。
【
図4C】更なる実施形態に係る、端子と電子ユニットとの間の電気的接続をどのようにして確立するかを示している。
【
図5】電気バッテリアセンブリのカバーが支持構造体に取り付けられている角柱形バッテリセルを示している。
【
図6A】電子ユニットが取外し可能支持構造体を介して円筒形バッテリセルに取り付けられている、実施形態に係る電気バッテリアセンブリの透視図面である。
【
図6C】バッテリセルの長手方向軸に直交する平面における、
図6Aのバッテリアセンブルの断面図である。
【
図7A】複数の円筒形バッテリセルを備えているバッテリアセンブリの透視図面である。
【
図8】実施形態に係る、単一支持構造体を共有している複数の円筒形バッテリセルを備えているバッテリの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の発明者は、複数の電気バッテリセルと、それぞれが、複数の電気バッテリセルのそれぞれ1つの特質を測定する複数の電子ユニットを備えることができる電気バッテリを設計した。そのような電気バッテリにおいては、各電子ユニットを、それが動作する電気バッテリセルに取り付けることが望ましい。更に、各電子ユニットを、電気バッテリセルの容易な使用法への影響を削減しながら、電子ユニットの適切な動作を提供するようにそれぞれの電気バッテリセルに取り付けることが望ましい。また、各電子ユニットを、電気バッテリセルを修正することなくそれぞれの電気バッテリセルに取り付けることが望ましい。
【0041】
従って、ここにおいて開示される実施形態の少なくとも幾つかの目的は、バッテリセルと、バッテリセルの特質を測定する測定装置を備えている電子ユニットを備えている電気バッテリアセンブリを提供することであり、電気バッテリアセンブリにおいては、電子ユニットはバッテリセルに取り付けられている。ここにおいて開示される実施形態の少なくとも幾つかの更なる目的は、そのような電気バッテリアセンブリを形成および操作する方法を提供することである。
【0042】
発明の実施形態に従えば、バッテリセルへの取付けのための支持構造体が提供される。支持構造体は、取外し可能に、そしてバッテリセルに後付けできるように構成できる。支持構造体は電子ユニットを格納するように構成でき、電子ユニットを、電気バッテリセルの陽極と陰極端子に電気的に結合するように配置されている少なくとも1つの伝導素子を備えており、電力が電子ユニットに提供されることを可能にする。電子ユニットは、バッテリセルの特質を測定するように構成されている測定装置と、測定された特質を無線で送信するように構成されている無線送信機を備えている。無線送信機は、狭域無線通信のために構成されている近距離無線通信(NFC)装置を備えることができる。NFC装置の動作特性はこの技術においてはよく知られているので、ここにおいては更なる詳細は提供せず、無線送信機は、すべての関連NFC動作規格に準拠しているということを述べるだけにしておく。近距離無線通信の使用は、近接して位置している無線送信機間の信号干渉のリスクを削減する。
【0043】
取外し可能支持構造体は、それ自身をバッテリセルに取り付けるための異なる方法を備えることができ、それは、バッテリセルの形状ファクタに依存し得る。特に、ある実施形態に従えば、支持構造体は、角柱形状ファクタを有するバッテリセルへの取付けのための手段で構成でき、そのようなバッテリセルはこの技術においては、角柱形バッテリセルとしばしば称される。同様に、代替の実施形態においては、支持構造体は、円筒形バッテリセルへの取付けのための手段で構成できる。本開示の状況においては、角柱形および円筒形という用語は、その格納により決定されるバッテリセルの幾何学的形状に関連するのみで、その内部の化学的性質には関連しない。
【0044】
本発明の読者の理解を容易にするために、支持構造体が、角柱形バッテリセルと円筒形バッテリセルへの取付けのために構成されている実施形態を順番に記述する。両者の場合において、バッテリセルの占有面積に関して、支持構造体の取付けの影響を削減することは、バッテリセルの既存の占有面積への影響を最小にすることを支援する。この状況内において、バッテリ占有面積という用語は、バッテリセルにより占有される空間の体積を示すために使用される。支持構造体の取付けが有している、バッテリセルの占有面積への影響を削減することは、支持構造体が後付け可能であること、そして、支持構造体をバッテリセルの既存の適用に組み込むことができることを確実にすることを支援する。特に、開示される支持構造体は、バッテリまたはバッテリパックを形成するために、複数のバッテリセルを組み合わせることに対して、如何なる幾何学的、および/または体積的支障をもたらすことはない。これは、バッテリセルの既存の有用な幾何学的占有面積に如何なる重大な影響も有していないバッテリセルに近接している空間の体積に支持構造体を位置させることにより達成される。例えば、共有されているバッテリ表面から延伸している、間隔をおいて離して配置されている陽極と陰極端子を備えている角柱形バッテリセルに関しては、そのような空間の体積は端子間に画定できる。この実施形態に従う更なる詳細を下記に記述する。ほとんどの実際に適用においては、角柱形バッテリセルの端子間の空間は、如何なる目的のためにも使用されていない。特に、この空間は、バッテリパックを形成するために複数の角柱形バッテリセルを一緒にするときに使用されない。そのため、支持構造体をこの空間の体積に位置させることにより、角柱形バッテリセルを一緒に組み合わせる能力は影響を受けない。円筒形バッテリセルに関しては、同様な効果が、複数の円筒形セルがバッテリパックを形成するために組み合わされるときに、支持構造体が、隣接する円筒形セル間に形成される隙間に位置するように円筒形表面の部分に支持構造体を位置させることにより達成できる。再び、この実施形態の更なる詳細も下記に開示される。ここにおいて開示される実施形態の更なる利点は、支持構造体を収容するために、既存のバッテリセル製造プロセスの修正が必要でないとうことである。
【0045】
発明の実施形態に係る電気バッテリアセンブリ10の分解図面が
図1において示されている。電気バッテリアセンブリ10は、角柱形バッテリセル12、支持構造体14、電子ユニット16、およびカバー18を備えている。支持構造体14は、架台のような形状にすることができ、下記の記述においては、相互に交換可能に、単に架台14と称される。形状を決められた架台により、支持構造体が、凹部などのような、電子ユニット16を収容するために適切な空間の体積を備えることが意図されている。角柱形バッテリセル12は既知の形状および機能を有しており、従って、それぞれがリチウムイオンポリマ電気化学的装置を備えることができる複数のパウチセルを備えることができる剛性コンテナを備えている。複数のパウチセルの陽極端子は、一緒に接続でき、角柱形バッテリセルの陽極端子20に引き出すことができ、複数のパウチセルの陰極端子は、一緒に接続でき、角柱形バッテリセルの陰極端子20に引き出すことができる。陽極と陰極端子20は、角柱形バッテリセル12の同じ端部表面から上方に突出している。端子間空間は、端部表面全体にわたる方向において陽極と陰極端子20との間で、および、端部表面に直交する方向において、角柱形バッテリセルの端部表面と、陽極と陰極端子の末端部表面との間で画定且つ境界が定められている。通気孔22は、陽極と陰極端子20との間で、角柱形バッテリセル12の端部表面に設けることができる。大まかに言えば、架台14は角柱形バッテリセル12に取り付けられ、電子ユニット16は架台14上に置かれる。電子ユニット16は、陽極と陰極端子20に電気的に結合される。カバー18は、電子ユニット16がカバーと架台の間で取り囲まれるように架台14に取り付けることができる。
【0046】
電気バッテリアセンブリの架台14が取り付けられている角柱形バッテリセル12の透視図が
図2において示されている。架台は、架台底部32を備えており、架台底部32は、電子ユニット16が支持される支持表面34を画定している。架台底部32は、そこを貫いている通気孔開口部36を画定し、通気孔開口部36は、角柱形バッテリセルの通気を支援するために、角柱形バッテリセル12の端部表面において通気孔22と位置を整合することができる。架台14は更に、第1および第2壁38を備えることができ、第1および第2壁38は、架台底部32のそれぞれの対向する縁部から上方に向けて、第1および第2壁のそれぞれが、陽極と陰極端子20との間を延伸するように延伸している。第1および第2壁38の高さは、その末端部が、陽極と陰極端子20の末端部を超えて更に延伸しないような高さである。架台14は更に横方向の壁40を備えることができ、横方向の壁40は、架台底部32から上方に延伸し、第1および第2壁38の間を延伸している。横方向の壁40は、架台底部32のそれぞれの端部から間隔をおいて離して配置できる。
【0047】
架台14の第1および第2端部の各1つは、陽極と陰極端子20のそれぞれ1つの周りに嵌合するような形状にすることができる。架台14の第1および第2端部を更に考察すると、架台の第1および第2端部のそれぞれは、陽極と陰極端子20のそれぞれ1つが延伸できる開口部を画定できる。開口部は境界壁42により画定され、境界壁42の高さは、境界壁42が端子20の末端部を超えて更に延伸しない高さとなっており、第1および第2壁38と同様である。架台底部32、第1および第2壁38、および、第1および第2端部のそれぞれにおける境界壁42の一部は、電子ユニット16を収容するための、架台空間として等価に称される凹部を画定する。更に、下記の記述から明白になるように、第1および第2端部の1つにおける境界壁42の一部と、横方向の壁40は、陽極と陰極端子20が分離している方向において、角柱形バッテリセルの端部表面全体にわたる電子ユニット16の動きに対する障壁をもたらす。
【0048】
架台14が取り付けられている角柱形バッテリセル12と、架台上の適切な位置に収まっている電子ユニット16の図が
図3Aにおいて示されている。電子ユニット16は、剛性プリント回路基板44上に搭載されている電子構成要素により構成される測定装置と無線送信機を備えている。電子ユニットの測定装置は、電流、電圧、または温度などのような、角柱形バッテリセルの特質を測定するように構成されており、無線送信機は、測定された特質を無線で送信する。例えば、ある実施形態においては、測定された特質は、バッテリ管理システム(BMS)に無線で送信できる。ある実施形態に従えば、無線送信機は、狭域通信のために構成されている近距離無線通信(NFC)装置である。これは、近接して位置している無線送信機間の干渉を削減することを支援し、この干渉は、それぞれが別個の無線送信機を備えている複数のバッテリアセンブリが近接して動作するとき、例えば、複数のバッテリアセンブリを備えているバッテリ内で起こり得る。そのような適用においては、干渉を削減することはデータの正確な送信を確実にするためには不可欠である。電流、電圧、または温度の測定は従来の実践に従う。無線送信機の形状と機能は、WO 2018/002667 A1において記述されているようなものであってよく、WO 2018/002667 A1はここにおいて参照により組み込まれる。プリント回路基板44は更に、従来の形状と機能の支持回路と共にマイクロプロセッサを備えている。マイクロプロセッサは、測定装置による測定値を処理し、電子ユニット16からのデータの無線送信のためのデータパケットを形成する。
【0049】
図3Aから分かるように、プリント回路基板44は、架台14により画定される架台空間に収容され、プリント回路基板が、第1および第2壁38の間、および架台の1つの端部の境界壁42の一部と横方向の壁40との間で滑りばめとなるようになっている。そのため、電子ユニット16の、角柱形バッテリセル12の端部表面全体にわたる動きは、2つの相互に直交する方向において制限される。第1および第2電気伝導体46は、プリント回路基板44の対向する端部から延伸している。架台14は、第1および第2電気伝導体それぞれを保持する第1および第2構成を画定できる。第1および第2構成のそれぞれは、架台底部32から間隔をおいて離して配置されている単純な梁48の形状を有しており、第1または第2壁38の何れからの第1端部において支持されており、架台底部からの第2端部において支持されている。電気伝導体46は、電気伝導体を定位置に保ちし、それをそれぞれの端子20に向けて導くために単純な梁48の下で嵌合できる。
【0050】
図3Aの配置の角柱形バッテリセルの1つの端子の詳細な図が
図3Bにおいて示されている。
図3Bから分かるように、境界壁42は、その内部表面上およびその下方縁部において唇状部50を画定している。更に、端子20はその周辺部の周りで、そしてその底部に向かう凹部52を画定している。架台14を、陽極と陰極端子20が、境界壁42により画定されるそれぞれの開口部を通して収容されるように、角柱形バッテリセル12上に位置させることにより、架台14は角柱形バッテリセル12に取り付けられる。そして、架台14は、唇状部が端子20における凹部52に収容されるまで、それぞれの端子20に対して唇状部50によりもたらされる抵抗に対して押下される。そのため、唇状部50と凹部52は、架台14を角柱形バッテリセル12に取り付けるスナップフィットを提供する。
【0051】
第1および第2電気伝導体46は、異なる手段の1つにより、陽極と陰極端子20に電気的に結合できる。例えば、
図3Bと4A(
図4Aは、
図3Bを180度回転したもの)を参照し、実施形態によれば、第1および第2電気伝導体46のそれぞれの末端部は、陽極と陰極端子20のそれぞれ1つの上に位置し、それと接触する伝導体端子54を備えている。電気伝導体46を、それぞれの端子20と接触している状態に維持するために、伝導体端子54を端子20に溶接できる。使用においては、電気バッテリアセンブリが外部装置に電気的に結合されていると、伝導体端子54を端子20とバスバーの間に挟むことができる。第1および第2電気伝導体46の両者が陽極と陰極端子20に電気的に結合されると、電子ユニット16に対する電力が、陽極と陰極端子20により角柱形バッテリセル12から引き出される
【0052】
溶接の使用は、電気伝導体を、それぞれの端子との接触状態に維持するための1つの非制限的方法を表わしているということは認識されるべきである。電気伝導体を、それぞれの端子との接触状態に維持するための代替手段もまた考えられる。例えば、
図4Bを参照すると、他の実施形態に従えば、伝導性留め具62を、第1および第2電気伝導体46の各1つの端部に設けることができる。伝導性留め具62は、端子20の周りに嵌合し、端子20との接触を維持するような形状にされている。これは、伝導性留め具62が端子20の周りに置かれたときに、端子20との締まりばめが形成されることを可能にするために、伝導性留め具62の寸法を、形状とサイズにおいて、端子20の断面形状とサイズに対して補完的になるように決めることにより達成できる。端子20は、断面が長方形または円形であってよいが、他の断面形状もまた考えられる。端子20が円形断面を有しているある実施形態においては、伝導性留め具62は、例えば、Springmasters Ltd Arthur Street,Redditch,B98 8LF,United Kingdomにより提供されるようなプッシュオンフィクシングワッシャ(push on fixing washer)を備えることができる。ある実施形態においては、長方形または円形断面を有する端子に対する伝導性留め具62は、歯状部を画定でき、歯状部は、使用中は端子20に隣接し、伝導性留め具は、端子20との締まりばめを提供するような形状およびサイズにされ、それにより、端子からの良好な伝導経路を形成する。
【0053】
更なる実施形態によれば、
図4Cを参照すると、伝導性留め具72は、電気伝導性を提供することに加えて、架台14の一部を形成でき、架台を陽極と陰極端子20に取り付けることができる。
図3Bの実施形態を参照して上述したように、境界壁42により画定された唇状部50は、陽極と陰極端子20における凹部52と連結する。本実施形態によれば、各伝導性留め具72は、架台14の第1および第2端部のそれぞれ1つに備えることができ、陽極と陰極端子20のそれぞれ1つにおける凹部52と連結する突出部を画定する。
図4Cの架台14は、上述した実施形態を参照して、特には、
図3Aの実施形態を参照して記述した方法と同じ方法で角柱形バッテリセル12に取り付けることができ、それにより、伝導性留め具72により画定される突出部は、陽極と陰極端子20における凹部52とのスナップフィットを提供する。架台14は、下記に記述されるようにプラスチック材料から鋳造などにより形成でき、その形成後に伝導性留め具72は架台に嵌合される。代替的に、伝導性留め具72を、架台の鋳造中に架台に組み込むことができる。電子ユニット16は、第1および第2電気伝導体のそれぞれを、2つの伝導性留め具72のそれぞれ1つの露出された部分74に溶接または半田付けすることにより、架台の伝導性留め具に電気的に結合できる。
【0054】
実施形態に従う、電気バッテリアセンブリのカバー18が架台に取り付けられている角柱形バッテリセル12が
図5において示されている。カバー18のサイズは、それが架台14に取り付けられると、カバーが、角柱形バッテリセル12の端部表面の周辺を超えて更に延伸せず、第1および第2壁38の上方を延伸しないようになっている。更に、カバー18のサイズは、それが架台14に取り付けられると、カバーが、第1端部において陽極端子まで、そして対向する第2端部において陰極端子まで延伸するようなサイズにすることができる。従って、陽極と陰極端子20はカバー18により覆われず、それにより、陽極と陰極端子を、バスバーなどのようなものに電気的に結合できる。別の場合においては、カバー18は、角柱形バッテリセル12の通気孔22が機能することを可能にするために、カバーを通して延伸する少なくとも1つの開口部82を例外として、架台空間を覆うように構成できる。
【0055】
カバー18と架台14は、カバーを架台に取り付ける協働表面形状を備えることができる。カバー18における表面形状は、カバーの周辺部へ向かう開口部84により画定され、架台の中に備えられ、架台から上方に延伸するそれぞれの突出部86を収容するような形状にされている。各開口部84とそれぞれの突出部86は、カバーの架台へのスナップフィット取付けを提供するために連結する。カバー18は、カバーが架台14に取り付けられると、架台の方に向けられる第1表面と、カバーが架台に取り付けられると、架台から離れるように向けられる第2平面表面88を画定する。2つの平行な溝90は、第2平面表面88上で画定されている。溝90は、陽極と陰極端子20が互いに分離されている方向に直交する方向において、カバー全体にわたり延伸している。各溝90は、ツインケーブルアンテナ(示されていない)のそれぞれのケーブルを収容且つ保持する。使用においては、ツインケーブルアンテナは、電子ユニット16の無線送信機の中に備えられている電子ユニットアンテナと無線通信状態にある。
【0056】
ある実施形態に従えば、架台は、10~20%のガラスが充填されたポリプロピレンから一体的に形成できる。カバーは、ポリプロピレンから一体的に形成できる。
【0057】
前述したように、代替の実施形態に従えば、支持構造体100は、
図6Aのバッテリアセンブリ103において例示されているように、円筒形バッテリセル102への取付けのために構成できる。角柱形バッテリセルとは対照的に、円筒形バッテリセルの端子は、円筒形の形状にされたバッテリセルの対向する端部表面上に備えられている。
図6Bは、
図6Aのバッテリアセンブリ103の分解透視図である。本実施形態の支持構造体100は、前述した実施形態においてと同様に架台形状にでき、前述した実施形態と同様に、相互に交換可能に架台と称される。本実施形態の架台100と前記に開示した実施形態の架台との間の注目すべき違いは、架台の第1および第2端部の各1つが、陽極と陰極円筒形バッテリセル端子106のそれぞれ1つを把持するように配置されている把持アーム104を備え、架台100が、円筒形バッテリセル102に取り付けられることを可能にしていることである。架台100は、前記の実施形態と関連して前述した方法とほぼ同じ方法で、電子ユニット16を支持するように配置されている。
【0058】
別途そうでないと記述されない限り、円筒形バッテリセルと一緒の使用が考えられる支持構造体は、角柱形バッテリセルと一緒の使用に対して記述された、前記に開示した支持構造体と同じ特徴を共有しているということは認識されるべきである。例えば、支持構造体は前記に開示したように、カバーとアンテナ構成を備えることができる。反復を回避するために、共有されている特徴をすべて列挙することはせず、円筒形バッテリセルを備えている実施形態の下記の記述は、角柱形バッテリセル実施形態に関しての注目すべき差異を記述することに焦点を当てる。
【0059】
ある実施形態に従えば、架台100は、バッテリセル102に取り付けられると、円筒形バッテリセル102の円筒形表面108の少なくとも一部と接触するように配置される接触表面を備えることができる。接触表面は、円筒形表面108の形状の少なくとも一部に対して補完的な表面形状を有することができる。特に、接触表面の表面形状は、円筒形バッテリセル102の円筒形表面108の曲率半径に対して補完的な曲率半径を備えることができる。円筒形バッテリセル102に取り付けられると、架台100は、
図6Aにおいて例示されているように、バッテリセルの高さの少なくとも一部に沿う方向において延伸している。
【0060】
図6Cは、円筒形バッテリセル102の長手方向軸zに直交する平面における、
図6Aのバッテリアセンブリ103の断面平面図である。長手方向軸zは、円筒形バッテリセル102の長手方向対称軸である。接触表面110は
図6Cにおいては明確に見ることができる。接触表面110の幅は、円筒形バッテリセル102の半径rと、角度θに比例する弧の長さを画定する。角度θは、弧の長さに対向する角度を表わしており、接触表面の幅、そして等価的に架台100の幅を表わしている。本開示の実施形態に従えば、架台100の幅は、それが90°未満の角度θと対向することを確実にするために選択される。これは、複数の円筒形バッテリセルがバッテリパックに組み合わされるときに、他の隣接する円筒形バッテリセルへの如何なる支障も最小にすることを支援する。
【0061】
図6Aと6Bにおいて例示されているように、把持アーム104は、支持構造体100の長さに直交する方向において延伸している。幾つかの実施形態に従えば、把持アーム104間の分離距離d(
図6B参照)は、各把持アーム104が、円筒形バッテリセル102の端子106とのぴったりする締まりばめを形成するために十分な力でそのそれぞれのバッテリセル端子106を把持することを確実にするために選択される。これを達成できる1つの方法は、分離距離dを、円筒形バッテリの高さhよりもわずかに短い寸法にすることである。把持アーム104は、アームの何らかの屈曲を可能にする材料から構築できる。把持アーム104が、それぞれのバッテリ端子の周りに嵌合するために曲げられると、回復力が曲がりの方向に対抗して働き、ぴったりする締まりばめがそれぞれの端子106に対して形成されることを確実にすることを支援する。
【0062】
代替の実施形態においては、支持構造体100に、支持構造体100を、円筒形バッテリセル102の円筒形表面108に取り付けるための取付け手段を設けることができるということが考えられる。例えば、1つのそのような取付け手段は接着性細片を備えることができる。接着性細片は接触表面110に置くことができ、支持構造体100が、バッテリセル102の円筒形表面108に接着されることを可能にする。代替の取付け手段もまた考えることができ、それは、支持構造体100が、バッテリセル102の円筒形表面108に固定されることを可能にする。
【0063】
前記に開示した実施形態と共通して、支持構造体100は、電子ユニット16をバッテリセル端子106に電気的に結合するように配置されている少なくとも1つの伝導素子を備えることができる。
図6Aと6Bにおいて例示されている実施形態においては、少なくとも1つの伝導素子は、第1および第2電気伝導体110を備えており、第1および第2電気伝導体110は、電子ユニット16の対向する端部から延伸し、具体的には、先行する実施形態と関連して記述したのと類似の方法で、電子ユニット16の中に備えられているプリント回路基板の対向する端部から延伸している。第1および第2電気伝導体110は把持アーム104まで延伸し、把持アーム104は、第1および第2電気伝導体110の末端部の少なくとも一部が、それぞれのバッテリ端部106との電気的接触を形成することを可能にするように配置されている。幾つかの実施形態においては、第1および第2電気伝導体110の末端部は、それぞれのバッテリ端子106と接触している把持アーム104の内部表面上に位置させることができる。このようにして、把持アーム104とバッテリ端子との間に形成された締まりばめはまた、第1および第2電気伝導体110とバッテリ端子106との間の電気的接続を確立することを支援する。例えば、把持アームはそれぞれ、第1および第2電気伝導体110の末端部が把持アーム104の内部表面上に位置することを可能にするために、第1および第2電気伝導体110が通過できる空洞(示されていない)を備えることができる。ある実施形態においては、把持アーム104に、第1および第2電気伝導体110の末端部を収容するように構成され、そこを通して、それぞれのバッテリ端子106との電気的接続を確立できる孔を設けることができる。
【0064】
図7Aは、相互に交換可能に単にバッテリと称されるバッテリパック112の透視図であり、
図6A~6Cにおいて例示されているような複数のバッテリアセンブリ103を備えている。
図7Bは、
図7Aのバッテリパック112の平面図である。各バッテリアセンブリ103は、円筒形バッテリセル102に取り付けられている支持構造体100を備えている。
図7Aと7Bは、支持構造体の幅を、90°未満の角度に対向する弧の長さに制限することにより、どのようにして、バッテリアセンブリ103を、互いに干渉する隣接するアセンブリの支持構造体100なしに、互いに関して配置できるかを分かり易く強調して示している。これは、
図7Bにおいて例示されているように、一緒にされ、それらの円筒形表面と接触するときに、円筒形形状のバッテリセル間に自然に形成される隙間114を考慮することにより理解できる。
【0065】
図8は、支持構造体100の代替構成であり、3つの異なる円筒形バッテリセル102が、バッテリパック115を形成するために同じ支持構造体116を共有している。1つの円筒形バッテリセル102aは、共有されている支持構造体116の形状をより良好に見えるようにするために透明にされている。そのような実施形態においては、共有されている支持構造体116は複数の電子ユニット(示されていない)を備えることができると考えることができ、各電子ユニットは、共有されている支持構造体116に取り付けられている円筒形バッテリセルの異なる1つの特質を測定するために割り当てられている。代替的に、共有されている支持構造体116は、結合されている円筒形バッテリセル102の各1つの特質を測定するように配置されている単一の電子ユニットを備えることができると考えられる。
【0066】
例としての実施形態がここにおいて記述されてきたが、本出願の範囲は、本開示に基づく、等価な要素、修正、省略、組み合わせ(例えば、種々の実施形態全体にわたる態様の組み合わせ)、適合、または変形を有する如何なる、およびすべての実施形態を備えている。請求項に列挙されている要素は、請求項において採用されている用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書において、または適用の実行の間に記述されている例に制限されず、そのような例は非排他的として解釈されるべきである。更に、開示された方法におけるステップは、ステップを挿入し、またはステップを削除することにおいてステップの順序を変えるなどによることを含む任意の方法で修正できる。従って、明細書と例は、例としてのみと考えられるべきであり、真の範囲と精神は、下記の請求項と、それらの等価物の全範囲により示されている。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
<態様1>
電気バッテリアセンブリであって、
陽極端子と陰極端子を有するバッテリセルと、
測定装置と無線送信機を備える電子ユニットと、
前記バッテリセルへの取付けのために構成され、前記電子ユニットを格納するように配置されている支持構造体であって、前記電子ユニットを前記陽極と陰極端子に電気的に結合し、それにより電力を前記無線送信機と前記測定装置に提供するように配置されている少なくとも1つの伝導素子を備えている支持構造体を備えており、
前記測定装置は、前記バッテリセルの特質を測定するように構成されており、前記無線送信機は、前記測定された特質を無線で送信するように構成されていることを特徴とする電気バッテリアセンブリ。
<態様2>
前記無線送信機は、狭域通信のために構成されている近距離無線通信装置であることを特徴とする態様1に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様3>
前記支持構造体は、前記バッテリセルに取外し可能に取り付けられることを特徴とする何れかの先行する態様の電気バッテリアセンブリ。
<態様4>
前記支持構造体は、その第1および第2端部に向かう形状にされている架台を備え、前記架台は、前記第1および第2端部の間の支持表面を画定し、前記支持表面は、前記電子ユニットを、少なくとも部分的には前記架台内に固定するように構成されていることを特徴とする何れかの先行する態様に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様5>
カバーを備え、前記カバーと前記架台は、前記カバーを前記架台上に取り付けて前記電子ユニットを取り囲み、それにより前記バッテリセルの前記表面に関する前記電子ユニットの動きを制限する協働表面形状を有していることを特徴とする態様4に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様6>
前記バッテリセルは円筒形バッテリセルであり、前記陽極と陰極端子は、前記円筒形バッテリセルのそれぞれ対向する端部表面上に位置し、前記支持構造体は、前記バッテリセルの前記円筒形表面上に位置していることを特徴とする何れかの先行する態様に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様7>
前記支持構造体は、前記円筒形バッテリセルの高さの少なくとも一部に沿う方向において延伸していることを特徴とする態様6に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様8>
前記支持構造体は、前記円筒形バッテリセルの前記円筒形表面と接触するように配置されている接触表面を備え、前記接触表面は、前記円筒形バッテリセルの前記円筒形表面の前記形状に対して補完的な表面形状を有していることを特徴とする態様6または7の電気バッテリアセンブリ。
<態様9>
前記接触表面は、前記支持構造体を、前記円筒形バッテリセルの前記円筒形表面に取り付けるための取付け手段を備えていることを特徴とする態様8の電気バッテリアセンブリ。
<態様10>
前記取付け手段は接着剤を備えていることを特徴とする態様9の電気バッテリアセンブリ。
<態様11>
前記支持構造体は、前記支持構造体から外側に向けて延伸し、前記円筒形バッテリセルの前記陽極と陰極端子を把持し、それにより、前記支持構造体を前記円筒形バッテリセルに、前記円筒形バッテリセルの前記端子との締まりばめを形成することにより取り付けるように配置されている把持アームを備えていることを特徴とする態様6から8の何れか1項の電気バッテリアセンブリ。
<態様12>
前記バッテリセルは角柱形バッテリセルであり、前記陽極と陰極端子は、前記端部表面上の間隔をおいて離れている位置において、前記角柱形バッテリセルの同じ端部表面から突出していることを特徴とする態様1から5の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様13>
前記架台の前記第1および第2端部は、前記陽極と陰極端子にそれぞれ取り付けられるように構成されていることを特徴とする態様4と12、または5と12に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様14>
前記支持構造体が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記架台は、前記陽極と陰極端子の前記末端部を超えて突出する前記架台の部分を例外として、前記陽極と陰極端子上を延伸せず、前記架台の前記部分は、前記カバーを前記架台に取り付けるための前記カバーの前記表面形状と協働する前記表面形状を画定することを特徴とする態様4と12、5と12、または13に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様15>
前記支持構造体が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記架台は、前記陽極と陰極端子が突出している前記角柱形バッテリセルの前記端部表面の周辺を超えては延伸せず、前記カバーは、前記架台に取り付けられると、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面の前記周辺を超えては延伸しないことを特徴とする態様5と12、13または14に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様16>
前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つが延伸する開口部を画定し、それにより、前記架台は、前記陽極と陰極端子に取り付けられることを特徴とする態様4と12、5と12、または態様13から15の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様17>
前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結し、それにより、前記架台が前記端子から外れることに対する抵抗をもたらす形状を画定することを特徴とする態様4と12、5と12、または態様13から16の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様18>
前記端子により画定される前記形状は、前記端子の底部に向かう凹部を備え、前記架台により画定される前記形状は、前記端子における前記凹部に収容される形状にされていることを特徴とする態様17に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様19>
前記架台の前記端部は、前記端子へのスナップフィット取付けを提供する形状にされていることを特徴とする態様18に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様20>
前記架台は、前記電子ユニットが支持される前記支持表面を画定する架台底部を備え、前記架台の前記形状が決められた第1および第2端部は、前記架台底部の対向する端部から延伸していることを特徴とする態様4と12、5と12、または態様13から19の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様21>
前記架台底部は、前記架台が前記角柱形バッテリセルに取り付けられると、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面における通気孔と位置が整合する、前記架台底部を貫通する通気孔開口部を画定することを特徴とする態様20に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様22>
前記通気孔開口部を例外とする前記架台底部は、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面への連続表面をもたらすことを特徴とする態様21に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様23>
前記架台は更に、第1および第2壁を備え、前記第1および第2壁は、それぞれが前記陽極と陰極端子の間を延伸するように、前記架台底部のそれぞれの対向する縁部から上方に延伸し、前記第1および第2壁の高さは、それらの前記末端部が、前記陽極と陰極端子の末端部を超えて延伸しないような高さであることを特徴とする態様20から22の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様24>
前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれは、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つが延伸する開口部を画定し、それにより前記架台は前記陽極と陰極端子に取り付けられ、前記開口部は境界壁により画定され、前記境界壁は、前記第1および第2壁とほぼ同じ高さであることを特徴とする態様23に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様25>
前記架台底部と前記第1および第2壁は、前記電子ユニットを収容するための架台空間を画定し、前記電子ユニットは、前記第1および第2壁の間で滑りばめとなる形状にされていることを特徴とする態様23または24に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様26>
前記架台は更に、前記架台底部から上方に延伸し、前記第1壁から前記第2壁に延伸する横方向の壁を備え、前記横方向の壁は、前記第1または第2端子に隣接する前記架台底部の端部から間隔をおいて離して配置され、それにより、前記角柱形バッテリセルの前記端部表面全体にわたる前記電子ユニットの動きに対する障壁をもたらすことを特徴とする態様25に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様27>
前記少なくとも1つの伝導素子は、前記電子ユニットの対向する端部から延伸する第1および第2電気伝導体を備え、前記第1および第2電気伝導体は、前記陽極と陰極端子それぞれからの電気伝導を提供し、それにより電力を前記無線送信機に提供することを特徴とする先行する態様の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様28>
前記支持構造体は、前記電子ユニットを格納するときに、前記第1および第2電気伝導体を保持する構成を画定することを特徴とする態様27に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様29>
前記第1および第2電気伝導体少なくとも1つの末端部は、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つの上に位置している伝導体端子を備えていることを特徴とする態様27または28に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様30>
前記第1および第2電気伝導体の少なくとも1つは、前記陽極と陰極端子のそれぞれの1つの周りで嵌合し、それにより、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つに固定される形状にされている伝導性留め具に電気的に結合され、前記伝導性留め具は、前記端子に対してもたれかかる歯状部を画定し、それにより、前記伝導性留め具は、前記端子との締まりばめを提供することを特徴とする態様27から29の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様31>
各伝導性留め具は、前記架台の前記第1および第2端部のそれぞれ1つの中に備えられ、各伝導性留め具は、前記陽極と陰極端子のそれぞれ1つにより画定される形状と連結する形状を画定し、それにより、前記伝導性留め具は、電気伝導を更に提供するために、前記架台を前記陽極と陰極端子に取り付けることを特徴とする態様5から30に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様32>
前記カバーは、前記カバーが前記架台に取り付けられると前記架台に対して向けられる第1表面と、前記カバーが前記架台に取り付けられると、前記架台から離れるように向けられる第2平面表面を画定し、少なくとも1つのアンテナ構成が前記第2平面表面上に画定され、前記アンテナ構成は、前記電子ユニットの前記無線送信機の中に備えられる電子ユニットアンテナと無線通信するように構成されているアンテナを保持することを特徴とする態様5と、態様6から31の何れか1項に記載の電気バッテリアセンブリ。
<態様33>
それぞれが態様32に記載の前記複数の電気バッテリアセンブリの1つである複数の電気バッテリアセンブリを備えている電気バッテリであって、各電気バッテリアセンブリの前記アンテナ構成は、前記カバー全体にわたり延伸し、前記アンテナを保持するアンテナ保持溝を画定し、前記複数の電気バッテリアセンブリは互いに隣接して位置し、それにより、それらの前記アンテナ保持溝は位置が整合され、それにより、単一のアンテナが前記複数のアンテナ保持溝に、前記単一のアンテナが前記複数の電気バッテリアセンブリ上を延伸するように収容されることを特徴とする電気バッテリ。
<態様34>
前記アンテナ保持溝は、前記陽極と陰極端子が分離している方向に直交する方向において前記カバー全体にわたり延伸していることを特徴とする態様33の電気バッテリ。