(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240501BHJP
H04N 25/46 20230101ALI20240501BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/46
H01L27/146 A
(21)【出願番号】P 2021546521
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2020026890
(87)【国際公開番号】W WO2021053940
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019168130
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】山岸 克己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真也
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130723(WO,A1)
【文献】特開2019-041018(JP,A)
【文献】特開2014-107835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像素子を有し、
各撮像素子は、
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有し、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する撮像装置。
【請求項2】
M=2,N=2であり、
各撮像素子は、
第1の方向に並置された第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域、並びに、第2の方向に第1の光電変換領域に隣接して配置された第3の光電変換領域、及び、第2の光電変換領域と第3の光電変換領域に隣接して配置された第4の光電変換領域、
第1の光電変換領域、第2の光電変換領域、第3の光電変換領域及び第4の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
第1の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第1の転送制御用電極、
第2の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第2の転送制御用電極、
第3の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第3の転送制御用電極、
第4の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第4の転送制御用電極、
第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極、
第3の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Bの電荷移動制御電極、
第1の光電変換領域と第3の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Aの電荷移動制御電極、並びに、
第2の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Bの電荷移動制御電極、
を有する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
制御回路を更に備えており、
制御回路は、撮像時、第2の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第1の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第1モード、及び、第1の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第2モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
制御回路は、更に、撮像時、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第3モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
制御回路は、撮像装置の姿勢情報に基づいて第1モードと第2モードとを切り替える請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像装置の姿勢情報は、撮像装置が横方向に位置することを示す情報及び縦方向に位置することを示す情報である請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度の最大値は、光電変換領域における不純物濃度の最大値よりも低い請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度が最大値を示す深さは、光電変換領域における不純物濃度が最大値を示す深さよりも浅い請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域の幅は、光電変換領域の幅よりも狭い請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は同じである請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は異なる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有し、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子、及び、係る撮像素子を、複数、有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元マトリクス状に配列された複数の撮像素子、及び、これらの撮像素子に光を集光する1つのレンズを有する撮像装置において、1つの撮像素子に含まれる光電変換領域を2×2の光電変換領域に分割し、分割された光電変換領域から得られる画像信号の位相差に基づいて焦点検出を行う技術が知られている(例えば、特開2014-107835号公報参照)。この特許公開公報の請求項7に記載された撮像素子は、
第一のマイクロレンズを共有する第一の画素及び第二の画素、
第二のマイクロレンズを共有する第三の画素及び第四の画素、
第一の画素と第二の画素との間に設けられた第一の境界部、並びに、
第三の画素と第四の画素との間に設けられた第二の境界部、
を有し、
第一の画素及び第三の画素の電荷量が飽和した場合、第一の画素から第一の境界部を介して第二の画素へ移動する第一の電荷量は、第三の画素から第二の境界部を介して第四の画素へ移動する第二の電荷量よりも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この特許公開公報に開示された撮像装置において、或る撮像素子にあっては、4つに分割された画素の内、上側に位置する2つの画素からの画像の加算と、下側に位置する2つの画素からの画像の加算とによって、垂直方向の焦点検出を行う。また、別の撮像素子にあっては、4つに分割された画素の内、右側に位置する2つの画素からの画像の加算と、左側に位置する2つの画素からの画像の加算とによって、水平方向の焦点検出を行う。従って、垂直方向の焦点検出を行う撮像素子及び水平方向の焦点検出を行う撮像素子は、焦点検出を行う撮像素子全体の半分ずつしか過ぎない。また、画素間の電荷の移動制御は、画素間に位置する境界部の不純物濃度に基づいており、画素間の電荷の移動制御の自由度が低い。
【0005】
従って、本開示の目的は、撮像装置の位置(横方向の位置及び縦方向の位置)によっても、より正確に焦点検出を可能とする撮像装置、及び、係る撮像装置への組み込みに適した撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の撮像装置は、複数の撮像素子を有し、
各撮像素子は、次に述べる本開示の撮像素子から構成されている。
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の撮像素子は、
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有し、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1A並びに
図1Bは、それぞれ、実施例1の撮像素子における光電変換領域、浮遊拡散層、転送制御用電極、電荷移動制御電極及び境界領域の配置を模式的に示す図、並びに、光電変換領域、浮遊拡散層及び境界領域の配置を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1の撮像素子(表面照射型の撮像素子)の模式的な一部断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の撮像素子の等価回路図である。
【
図5】
図5は、実施例1の撮像装置の概念図である。
【
図6】
図6A並びに
図6Bは、それぞれ、横位置にある実施例1の撮像装置における撮像素子の転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を模式的に示す図である。
【
図7】
図7A並びに
図7Bは、それぞれ、縦位置にある実施例1の撮像装置における撮像素子の転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を模式的に示す図である。
【
図8】
図8A並びに
図8Bは、それぞれ、4倍密度駆動にある実施例2の撮像素子における転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施例3の撮像素子(裏面照射型の撮像素子)の模式的な一部断面図である。
【
図10】
図10A並びに
図10Bは、それぞれ、実施例1の撮像素子の変形例における転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、M×N=3×3の光電変換領域を有する撮像素子における光電変換領域及び電荷移動制御電極の配置を模式的に示す図である。
【
図12】
図12A及び
図12Bは、それぞれ、M×N=3×3の光電変換領域を有する撮像素子を備えた撮像装置が横位置及び縦位置にある場合に得られる画像信号を模式的に示す図である。
【
図13】
図13A並びに
図13Bは、それぞれ、実施例1の撮像装置の変形例において、M×N=8×8の光電変換領域の配置を模式的に示す図、及び、得られる画像信号の一例を模式的に示す図である。
【
図14】
図14A及び
図14Bは、それぞれ、実施例1の撮像素子において、第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極を作動状態としたときの、光電変換領域及び境界領域における電位分布を示す図、及び、第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極を不作動状態としたときの、光電変換領域及び境界領域における電位分布を示す図である。
【
図15】
図15A及び
図15Bは、それぞれ、実施例1の撮像素子において、第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極を作動状態としたときの、光電変換領域及び境界領域における電位分布を示す図、及び、第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極を不作動状態としたときの、光電変換領域及び境界領域における電位分布を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例1の撮像素子において、光電変換領域及び境界領域における不純物濃度分布を示す図である。
【
図17】
図17は、実施例1~実施例3の撮像装置の概念図である。
【
図18】
図18は、実施例1~実施例3の撮像装置を電子機器に適用したときの撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、本開示の撮像装置を電子機器(カメラ)を用いた例の概念図である。
【
図20】
図20は、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22は、内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の撮像装置及び本開示の撮像素子、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の撮像装置及び本開示の撮像素子)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1~実施例2の変形)
5.その他
【0010】
〈本開示の撮像装置及び本開示の撮像素子、全般に関する説明〉
本開示の撮像装置において、M=2,N=2であり、
各撮像素子は、
第1の方向に並置された第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域、並びに、第2の方向に第1の光電変換領域に隣接して配置された第3の光電変換領域、及び、第2の光電変換領域と第3の光電変換領域に隣接して配置された第4の光電変換領域、
第1の光電変換領域、第2の光電変換領域、第3の光電変換領域及び第4の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
第1の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第1の転送制御用電極、
第2の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第2の転送制御用電極、
第3の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第3の転送制御用電極、
第4の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第4の転送制御用電極、
第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極、
第3の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Bの電荷移動制御電極、
第1の光電変換領域と第3の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Aの電荷移動制御電極、並びに、
第2の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Bの電荷移動制御電極、
を有する形態とすることができる。
【0011】
上記の好ましい形態を含む本開示の撮像装置にあっては、
制御回路を更に備えており、
制御回路は、撮像時、第2の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第1の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第1モード、及び、第1の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第2モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する構成とすることができ、この場合、制御回路は、更に、撮像時、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第3モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する構成とすることができる。そして、これらの構成において、制御回路は、撮像装置の姿勢情報に基づいて第1モードと第2モードとを切り替える構成とすることができるし、更には、この場合、撮像装置の姿勢情報は、撮像装置が横方向に位置することを示す情報及び縦方向に位置することを示す情報である構成とすることができる。尚、第1モードと第2モードの切替えは、即ち、撮像装置が横方向に位置するか、縦方向に位置するかは、例えば、撮像装置に組み込まれた周知の姿勢センサによって検出することができる。あるいは、撮像装置の操作者が撮像装置に設けられたスイッチ等を操作することで、第1モードと第2モードの切替えを行うことができるし、第1モード、第2モードから第3モードへの切替え、第3モードから第1モード、第2モードへの切替えを行うこともできる。
【0012】
第1の方向と第2の方向とは、直交していることが好ましい。尚、撮像装置が横方向に位置する場合、第1モードでの動作となり、撮像装置が縦方向に位置する場合、第2モードでの動作となる。
【0013】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置、あるいは又、本開示の撮像素子において、光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度の最大値は、光電変換領域における不純物濃度の最大値よりも低い形態とすることができるし、あるいは又、光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度が最大値を示す深さは、光電変換領域における不純物濃度が最大値を示す深さよりも浅い形態とすることもできるし、あるいは又、これらの2つの形態を組み合わせることもできる。
【0014】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置あるいは撮像素子において、光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域の幅は、光電変換領域の幅よりも狭い形態とすることができる。
【0015】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置において、(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は同じである形態とすることができるし、あるいは又、(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は異なる形態とすることができる。
【0016】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置あるいは撮像素子において、撮像素子としてCMOSイメージセンサを挙げることができる。また、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置あるいは撮像素子において、撮像装置、撮像素子を、表面照射型の撮像装置、撮像素子とすることができるし、裏面照射型の撮像装置、撮像素子とすることもできる。撮像装置から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ、監視カメラ、車両搭載用カメラ、スマートホン用カメラ、ゲーム用のユーザーインターフェースカメラ、生体認証用カメラを構成することができる。また、撮像装置によって、単板式カラー固体撮像装置を構成することができる。
【0017】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置、あるいは又、本開示の撮像素子において、撮像素子はオンチップ・マイクロレンズ(OCL)を備えている形態とすることができる。
【0018】
また、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置は、複数の撮像素子に入射光を集光させる1つの集光手段を備えている形態とすることができる。
【0019】
光電変換領域や浮遊拡散層、境界領域(以下、これらを総称して、便宜上、『光電変換領域等』と呼ぶ場合がある)は、半導体層に形成されていてもよいし、半導体基板に形成されていてもよい。尚、光電変換領域や浮遊拡散層、境界領域が形成された半導体層や半導体基板を、便宜上、総称して、『基体』と呼ぶ場合がある。半導体層としてシリコン半導体層を挙げることができるし、半導体層を得るために、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いればよい。また、半導体基板としてシリコン半導体基板を挙げることができる。
【0020】
光電変換領域や浮遊拡散層の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。転送制御用電極は駆動回路に接続されており、駆動回路から転送制御用電極に適切な電圧を印加することで、光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送することができる。このような転送制御用電極は、光電変換領域と浮遊拡散層との間に位置する基体の領域と、絶縁膜を挟んで対向して設けられている。電荷移動制御電極は制御回路に接続されており、制御回路から電荷移動制御電極に適切な電圧を印加することで、隣接する光電変換領域の間での電荷の移動を制御することができる。このような電荷移動制御電極は、隣接する光電変換領域の間に位置する基体の領域(境界領域の一部)と、絶縁膜を挟んで対向して設けられている。転送制御用電極や電荷移動制御電極の平面形状は、本質的に任意であり、撮像素子に要求される仕様に応じて、適宜、決定すればよい。
【0021】
転送制御用電極や電荷移動制御電極は、周知の導電材料(透明導電材料あるいは不透明導電材料)から構成すればよい。透明導電材料として、導電性を有する金属酸化物を挙げることができ、具体的には、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn2O3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、酸化ガリウムにドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-ガリウム酸化物(IGO)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムとガリウムを添加したインジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO,In-GaZnO4)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムと錫を添加したインジウム-錫-亜鉛酸化物(ITZO)、IFO(FドープのIn2O3)、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(他元素をドープしたZnOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてアルミニウムを添加したアルミニウム-亜鉛酸化物(AZO)、酸化亜鉛にドーパントとしてガリウムを添加したガリウム-亜鉛酸化物(GZO)、酸化チタン(TiO2)、酸化チタンにドーパントとしてニオブを添加したニオブ-チタン酸化物(TNO)、酸化アンチモン、CuI、InSbO4、ZnMgO、CuInO2、MgIn2O4、CdO、ZnSnO3、スピネル型酸化物、YbFe2O4構造を有する酸化物を例示することができる。あるいは又、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明電極を挙げることができる。
【0022】
また、不透明導電材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、不純物を含有したポリシリコン、炭素系材料、酸化物半導体材料、カーボン・ナノ・チューブ、グラフェン等の導電性材料を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。また、これらの導電性材料をバインダー(高分子)に混合してペースト又はインクとしたものを硬化させ、電極として用いてもよい。
【0023】
転送制御用電極や電荷移動制御電極の成膜方法として、乾式法あるいは湿式法を用いることが可能である。乾式法として、物理的気相成長法(PVD法)及び化学的気相成長法(CVD法)を挙げることができる。PVD法の原理を用いた成膜方法として、抵抗加熱あるいは高周波加熱を用いた真空蒸着法、EB(電子ビーム)蒸着法、各種スパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECRスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法)、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、分子線エピタキシー法、レーザ転写法を挙げることができる。また、CVD法として、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属(MO)CVD法、光CVD法を挙げることができる。一方、湿式法として、電解メッキ法や無電解メッキ法、スピンコート法、インクジェット法、スプレーコート法、スタンプ法、マイクロコンタクトプリント法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ディップ法等の方法を挙げることができる。パターニング法として、シャドーマスク、レーザ転写、フォトリソグラフィー等の化学的エッチング、紫外線やレーザ等による物理的エッチング等を挙げることができる。
【0024】
撮像素子を駆動する駆動回路それ自体は、周知の回路構成とすることができ、例えば、周知の構成、構造を有する増幅トランジスタ、リセット・トランジスタ及び選択トランジスタを含んでいるし、例えば、各種レジスタやアナログ・デジタル変換回路を含んでいる。集光手段は、周知のレンズあるいはレンズ群から構成することができる。また、例えば光電変換領域等の上方(光入射側)には、撮像素子を駆動するために、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等から構成された配線層が、例えば、複数層、形成されている。
【0025】
制御回路や駆動回路は、光電変換領域等が半導体層あるいは半導体基板に形成されている場合、半導体基板に設けられており、あるいは又、光電変換領域等が形成された半導体層あるいは半導体基板とは別の半導体基板に設けられている。駆動回路が制御回路を含む構成とすることができる。
【0026】
絶縁膜、後述する層間絶縁層や絶縁層(以下、これらを総称して、『絶縁膜等』と呼ぶ場合がある)は、入射光に対して透明であり、光吸収特性を有していないことが要求される。絶縁膜等を構成する材料として、具体的には、酸化ケイ素系材料;窒化ケイ素(SiNY);酸化アルミニウム(Al2O3)等の金属酸化物高誘電絶縁材料に例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリビニルフェノール(PVP);ポリビニルアルコール(PVA);ポリイミド;ポリカーボネート(PC);ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリスチレン;N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤);ノボラック型フェノール樹脂;フッ素系樹脂;オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の一端に制御電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率絶縁材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。絶縁膜等は、単層構成とすることもできるし、複数層(例えば、2層)が積層された構成とすることもできる。絶縁膜等は、各種CVD法、塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。
【0027】
撮像素子は、必要に応じて、光入射側に波長選択手段(具体的には、例えば、周知のカラーフィルタ層)を備えている構成とすることができる。1つの波長選択手段が、M×N個の光電変換領域を覆っている。オンチップ・マイクロレンズが、主オンチップ・マイクロレンズと副オンチップ・マイクロレンズ(OPA)から構成されており、副オンチップ・マイクロレンズ(OPA)の上方に主オンチップ・マイクロレンズが配設されている場合には、副オンチップ・マイクロレンズと主オンチップ・マイクロレンズとの間に、波長選択手段(周知のカラーフィルタ層)が配置されている構成とすることができる。
【0028】
カラーフィルタ層として、赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンダ色、黄色等の特定波長を透過させるフィルタ層を挙げることができる。カラーフィルタ層を、顔料や染料等の有機化合物を用いた有機材料系のカラーフィルタ層から構成するだけでなく、フォトニック結晶や、プラズモンを応用した波長選択素子(導体薄膜に格子状の穴構造を設けた導体格子構造を有するカラーフィルタ層。例えば、特開2008-177191号公報参照)、アモルファスシリコン等の無機材料から成る薄膜から構成することもできる。
【0029】
撮像素子と撮像素子との間に、導波路構造を設けてもよいし、集光管構造を設けてもよく、これによって、光学的クロストークの低減を図ることができる。ここで、導波路構造は、撮像素子を覆う層間絶縁層の撮像素子と撮像素子との間に位置する領域(例えば、筒状の領域)に形成された、層間絶縁層を構成する材料の屈折率の値よりも大きな値の屈折率を有する薄膜から構成されており、撮像素子の上方から入射した光は、この薄膜で全反射され、撮像素子に到達する。即ち、基体に対する撮像素子の正射影像は、導波路構造を構成する薄膜の基体に対する正射影像の内側に位置し、基体に対する撮像素子の正射影像は、導波路構造を構成する薄膜の基体に対する正射影像によって囲まれている。また、集光管構造は、撮像素子を覆う層間絶縁層の撮像素子と撮像素子との間に位置する領域(例えば、筒状の領域)に形成された、金属材料あるいは合金材料から成る遮光性の薄膜から構成されており、撮像素子の上方から入射した光が、この薄膜で反射され、撮像素子に到達する。即ち、基体に対する撮像素子の正射影像は、集光管構造を構成する薄膜の基体に対する正射影像の内側に位置し、基体に対する撮像素子の正射影像は、集光管構造を構成する薄膜の基体に対する正射影像によって囲まれている。
【0030】
撮像素子と撮像素子との間には、周知の構成、構造を有する素子分離構造が形成されている。撮像素子と撮像素子との間には、更に、遮光性の溝部が形成されていてもよい。
【0031】
撮像素子の配列として、ベイヤ配列の他、インターライン配列、GストライプRB市松配列、GストライプRB完全市松配列、市松補色配列、ストライプ配列、斜めストライプ配列、原色色差配列、フィールド色差順次配列、フレーム色差順次配列、MOS型配列、改良MOS型配列、フレームインターリーブ配列、フィールドインターリーブ配列を挙げることができる。ここで、1つの撮像素子(撮像素子)によって1つの画素(あるいは副画素)が構成される。例えば、ベイヤ配列の場合、2×2の副画素領域の内の4つの副画素領域のそれぞれに、赤色、緑色、緑色、青色のカラーフィルタ層を配置すればよい。色分離や分光を目的としない場合、若しくは、撮像素子それ自体が特定波長に感度を有するような撮像素子にあっては、カラーフィルタ層は不要な場合がある。また、カラーフィルタ層を配置しない副画素領域にあっては、カラーフィルタ層を配置した副画素領域との間の平坦性を確保するために、カラーフィルタ層の代わりに透明な樹脂層を形成してもよい。即ち、撮像素子は、赤色光に感度を有する赤色光用撮像素子、緑色光に感度を有する緑色光用撮像素子、青色光に感度を有する青色光用撮像素子の組合せから構成されていてもよいし、これらに加えて、赤外線に感度を有する赤外線撮像素子の組合せから構成されていてもよいし、単色の画像を得る撮像装置としてもよいし、単色の画像と赤外線に基づく画像の組合せを得る撮像装置としてもよい。
【実施例1】
【0032】
実施例1は、本開示の撮像素子及び撮像装置に関する。実施例1の撮像素子における光電変換領域、浮遊拡散層、転送制御用電極、電荷移動制御電極及び境界領域の配置を模式的に
図1Aに示し、光電変換領域、浮遊拡散層及び境界領域の配置を模式的に
図1Bに示す。また、
図1Aの矢印A-A、矢印B-B、矢印C-C及び矢印D-Dに沿った撮像素子の模式的な端面図を、それぞれ、
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dに示す。更には、撮像素子の模式的な一部断面図を
図3に示し、撮像素子の等価回路図を
図4に示し、撮像装置の概念図を
図5に示し、転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動並びに得られる画像信号を、模式的に、
図6A、
図6B、
図7A、
図7Bに示す。尚、
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dにおいては、ハッチング線を省略した。
【0033】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3の撮像装置は、複数の撮像素子10を有しており、各撮像素子10は、以下の実施例1の撮像素子から成る。尚、撮像装置は、更に、複数の撮像素子10に入射光を集光させる1つの集光手段(図示せず)を有している。
【0034】
即ち、実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3における撮像素子10は、
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域PD、
M×N個の光電変換領域PDにおいて共有される浮遊拡散層FD、
各光電変換領域PDに対応して設けられ、各光電変換領域PDにおいて生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する転送制御用電極TG、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域PDの間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極CG、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域PDの間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極CG、
を有している。そして、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域PDにおいて、第m番目の第1の電荷移動制御電極CG[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域PDと第(m+1)番目の光電変換領域PDとの間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域PDにおいて、第n番目の第2の電荷移動制御電極CG[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域PDと第(n+1)番目の光電変換領域PDとの間での電荷の移動を制御する。
【0035】
ここで、実施例1の撮像素子10において、M=2,N=2であり、
各撮像素子10は、
第1の方向に並置された第1の光電変換領域PD1及び第2の光電変換領域PD2、並びに、第2の方向に第1の光電変換領域PD1に隣接して配置された第3の光電変換領域PD3、及び、第2の光電変換領域PD2と第3の光電変換領域PD3に隣接して配置された第4の光電変換領域PD4、
第1の光電変換領域PD1、第2の光電変換領域PD2、第3の光電変換領域PD3及び第4の光電変換領域PD4において共有される浮遊拡散層FD、
第1の光電変換領域PD1において生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する第1の転送制御用電極TG1、
第2の光電変換領域PD2において生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する第2の転送制御用電極TG2、
第3の光電変換領域PD3において生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する第3の転送制御用電極TG3、
第4の光電変換領域PD4において生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する第4の転送制御用電極TG4、
第1の光電変換領域PD1と第2の光電変換領域PD2との間での電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極CG12、
第3の光電変換領域PD3と第4の光電変換領域PD4との間での電荷の移動を制御する第1-Bの電荷移動制御電極CG34、
第1の光電変換領域PD1と第3の光電変換領域PD3との間での電荷の移動を制御する第2-Aの電荷移動制御電極CG13、並びに、
第2の光電変換領域PD2と第4の光電変換領域PD4との間での電荷の移動を制御する第2-Bの電荷移動制御電極CG24、
を有する。
【0036】
第1の方向と第2の方向とは、直交していることが好ましい。また、撮像素子10はCMOSイメージセンサから成るし、撮像装置、撮像素子10は、表面照射型の撮像装置、撮像素子である。
【0037】
また、実施例1の撮像装置にあっては、制御回路30を更に備えている。そして、制御回路30は、撮像時、第2の電荷移動制御電極CG13,CG24が作動状態のとき、第1の電荷移動制御電極CG12,CG34が不作動状態とされる第1モード、及び、第1の電荷移動制御電極CG12,CG34が作動状態のとき、第2の電荷移動制御電極CG13,CG24が不作動状態とされる第2モードに、第1の電荷移動制御電極CG12,CG34及び第2の電荷移動制御電極CG13,CG24の作動を制御する。
【0038】
制御回路30は、撮像装置の姿勢情報に基づいて第1モードと第2モードとを切り替える。この場合、撮像装置の姿勢情報は、撮像装置が横方向に位置することを示す情報及び縦方向に位置することを示す情報である。尚、撮像装置が横方向に位置する場合、第1モードでの動作となり、撮像装置が縦方向に位置する場合、第2モードでの動作となる。第1モードと第2モードの切替えは、即ち、撮像装置が横方向に位置するか、縦方向に位置するかは、例えば、撮像装置に組み込まれた周知の姿勢センサによって検出することができる。あるいは、撮像装置の操作者が撮像装置に設けられたスイッチ等を操作することで、第1モードと第2モードの切替えを行うこともできる。
【0039】
また、光電変換領域間の電荷の移動、あるいは、移動の抑制を確実なものとするために、光電変換領域PDと光電変換領域PDとの間に位置する境界領域22における不純物濃度の最大値は、光電変換領域PDにおける不純物濃度の最大値よりも低い。あるいは又、光電変換領域PDと光電変換領域PDとの間に位置する境界領域22における不純物濃度が最大値を示す深さは、光電変換領域PDにおける不純物濃度が最大値を示す深さよりも浅い。また、光電変換領域PDと光電変換領域PDとの間に位置する境界領域22の幅は、光電変換領域PDの幅よりも狭い。尚、図面においては、光電変換領域PD1と光電変換領域PD2との間に位置する境界領域を境界領域2212で示し、光電変換領域PD1と光電変換領域PD3との間に位置する境界領域を境界領域2213で示し、光電変換領域PD2と光電変換領域PD4との間に位置する境界領域を境界領域2224で示し、光電変換領域PD3と光電変換領域PD4との間に位置する境界領域を境界領域2234で示す。
【0040】
境界領域22の一部には、必要に応じて、制御回路30や駆動回路を構成する各種トランジスタ、後述するスイッチ回路を設けてもよい。
【0041】
実施例1の撮像装置において、(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極CG及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極CGの動作電圧は同じである。これによって、撮像装置の回路構成の簡素化を図ることができる。
【0042】
撮像素子の模式的な一部断面図を
図3に示すように、光電変換領域PD等の上には層間絶縁層24が形成されている。光入射側には波長選択手段が備えられている。具体的には、層間絶縁層24の上には、周知のカラーフィルタ層CFが形成されている。カラーフィルタ層CFの上には(場合によっては、カラーフィルタ層CFの上に形成された平滑化層の上には)、オンチップ・マイクロレンズ(OCL)が設けられている。層間絶縁層24には、撮像素子を駆動するために各種の配線層25が設けられている。
【0043】
光電変換領域PD、浮遊拡散層FD、境界領域22は、半導体基板から成る基体20に形成されている。光電変換領域PDや浮遊拡散層FDの構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。基体20は、シリコン半導体基板から成る。撮像素子10と撮像素子10との間の基体20には、周知の構成、構造を有する素子分離構造21が形成されている。
【0044】
転送制御用電極TGは駆動回路に接続されており、駆動回路から転送制御用電極TGに適切な電圧を印加することで、光電変換領域PDにおいて生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送することができる。転送制御用電極TGは、光電変換領域PDと浮遊拡散層FDとの間に位置する基体20の領域と、絶縁膜23を挟んで対向して設けられている。電荷移動制御電極CGは制御回路30に接続されており、制御回路30から電荷移動制御電極CGに適切な電圧を印加することで、隣接する光電変換領域PDの間での電荷の移動を制御することができる。電荷移動制御電極CGは、隣接する光電変換領域PDの間に位置する基体20の領域(境界領域22の一部)と、絶縁膜23を挟んで対向して設けられている。転送制御用電極TGや電荷移動制御電極CGの平面形状は、本質的に任意であり、撮像素子10に要求される仕様に応じて、適宜、決定すればよい。図示した例では、電荷移動制御電極CGの平面形状を、一部を切り欠いたリング状(半リング状)とした。制御回路30や駆動回路は、基体20に設けられている。駆動回路は制御回路30を含んでいる。
【0045】
第1の光電変換領域PD
1と第2の光電変換領域PD
2との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極CG
24を作動状態としたときの、光電変換領域PD及び境界領域22における電位分布を、
図14A及び
図15Aに示す。また、第1の光電変換領域PD
1と第2の光電変換領域PD
2との電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極CG
12を不作動状態としたときの、光電変換領域PD及び境界領域22における電位分布を、
図14B及び
図15Bに示す。尚、
図14A、
図14B、
図15A及び
図15Bは、
図1Aの矢印D-Dに沿ったと概ね同様の断面における電位分布である。
【0046】
図14A及び
図15Aから、第1-Aの電荷移動制御電極CG
24を作動状態としたとき、第1の光電変換領域PD
1の表面領域と第2の光電変換領域PD
2の表面領域との間には弱いバリアが形成されていることが判る。一方、
図14B及び
図15Bから、第1-Aの電荷移動制御電極CG
24を不作動状態としたとき、第1の光電変換領域PD
1の表面領域と第2の光電変換領域PD
2の表面領域との間には強いバリアが形成されていることが判る。尚、
図14Aと
図15Aとの相違点は以下の点にある。即ち、
図14Aでは、深さ1.5μm付近での電荷の移動ができないのに対して、
図15Aでは、深さ1.5μm付近での電荷の移動が可能となっている。つまり、
図14Aと
図15Aとを比較すると、
図15Aの方がより電荷が移動し易い。また、
図14Bと
図15Bとの相違点は以下の点にある。即ち、
図14Bでは、深さ1.5μm付近での電荷の移動ができないのに対して、
図15Bでは、深さ1.5μm付近での電荷の移動が可能となっている。つまり、
図14Bと
図15Bとを比較すると、
図14Bのほうがより電荷の移動が少ない(強いバリアが形成されている)。更には、光電変換領域PD及び境界領域22における不純物濃度分布を
図16に示す。
【0047】
実施例1の撮像素子は、シリコン半導体基板から成る基体20に素子分離構造21を形成し、更に、基体20に駆動回路を構成する各種トランジスタを形成する。また、基体20に、光電変換領域PD、境界領域22及び浮遊拡散層FDを、例えば、イオン注入法に基づき形成する。そして、全面に絶縁膜23を形成した後、周知の方法に基づき、光電変換領域PDと浮遊拡散層FDとの間に位置する基体20の領域と、絶縁膜23を挟んで対向した転送制御用電極TGを設ける。併せて、周知の方法に基づき、隣接する光電変換領域PDの間に位置する基体20の領域(境界領域22の一部)と、絶縁膜23を挟んで対向した電荷移動制御電極CGを設ける。その後、全面に層間絶縁層24を形成し、層間絶縁層24に配線層25を形成する。そして、層間絶縁層24の上にカラーフィルタ層CFを形成し、カラーフィルタ層CFの上にオンチップ・マイクロレンズ(OCL)を設ける。こうして、実施例1の表面照射型の撮像素子を得ることができる。
【0048】
等価回路図を
図4に示すように、第1-Aの電荷移動制御電極CG
12と制御回路30との間には、第1-Aの電荷移動制御電極CG
12の作動を制御するためのスイッチ回路SW
12が配設されている。また、第1-Bの電荷移動制御電極CG
34と制御回路30との間には、第1-Bの電荷移動制御電極CG
34の作動を制御するためのスイッチ回路SW
34が配設されている。更には、第2-Aの電荷移動制御電極CG
13と制御回路30との間には、第2-Aの電荷移動制御電極CG
13の作動を制御するためのスイッチ回路SW
13が配設されている。また、第2-Bの電荷移動制御電極CG
24と制御回路30との間には、第2-Bの電荷移動制御電極CG
24の作動を制御するためのスイッチ回路SW
24が配設されている。スイッチ回路SWは、周知のFETから成る。スイッチ回路SWは、例えば、制御回路30に含まれる。
【0049】
以下、横位置にある撮像装置における撮像素子の撮像時の作動、即ち、撮像素子の駆動方法を説明するが、この駆動方法(画像信号の取得方法)は、具体的には、
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域PD、
M×N個の光電変換領域PDにおいて共有される浮遊拡散層FD、
各光電変換領域PDに対応して設けられ、各光電変換領域PDにおいて生成した電荷を浮遊拡散層FDに転送する転送制御用電極TG、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域PDの間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極CG、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域PDの間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極CG、
を有する撮像素子の駆動方法であって、
光電変換に基づき、M×N個の光電変換領域PDに電荷を蓄積させた後、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域PDにおいて、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]を作動させ、第m番目の光電変換領域PD(m,n)と第(m+1)番目の光電変換領域PD(m+1,n)との間で電荷を移動させ、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域PDにおいて、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]を不作動として、第n番目の光電変換領域PD(m,n)と第(n+1)番目の光電変換領域PD(m,n+1)との間での電荷の移動を抑制し、次いで、第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域PDのN個の集合から、順次、転送制御用電極TG及び浮遊拡散層FDを介して画像信号を求め、又は、
光電変換に基づき、M×N個の光電変換領域PDに電荷を蓄積させた後、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域PDにおいて、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]を不作動とし、第m番目の光電変換領域PD(m,n)と第(m+1)番目の光電変換領域PD(m+1,n)との間での電荷を抑制し、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域PDにおいて、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]を作動させ、第n番目の光電変換領域PD(m,n)と第(n+1)番目の光電変換領域PD(m,n+1)との間で電荷を移動させ、次いで、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域PDのM個の集合から、順次、転送制御用電極TG及び浮遊拡散層FDを介して画像信号を求める。
【0050】
具体的には、先ず、横位置にある撮像装置における撮像素子の撮像時の作動(第1モード)を説明する。
【0051】
[光電変換領域における電荷の蓄積]
撮像にあっては、先ず、光電変換領域PDに光を受光させ、光電変換領域PDに電荷を蓄積させる。
【0052】
[第1回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、あるいは、光電変換領域PDにおける電荷の蓄積と同時に、あるいは、光電変換領域PDにおける電荷の蓄積開始以前に、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0053】
[第1回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第1モードの撮像においては、スイッチ回路SW
13,SW
24がオン状態とされ、第2の電荷移動制御電極CG
13,CG
24が作動状態とされる。一方、スイッチ回路SW
12,SW
34がオフ状態とされ、第1の電荷移動制御電極CG
12,CG
34が不作動状態とされる。その結果、第1の光電変換領域PD
1と第3の光電変換領域PD
3との間での電荷の移動、及び、第2の光電変換領域PD
2と第4の光電変換領域PD
4との間での電荷の移動が生じる。得られる画像信号を模式的に
図6Bに示す。尚、画像信号を斜線で概念的に示す。以下においても同様である。次いで、横位置にある実施例1の撮像素子における転送制御用電極TG及び電荷移動制御電極CGの作動を模式的に
図6Aに示すように、第1の転送制御用電極TG
1及び第3の転送制御用電極TG
3をオン状態とすることで、第1の光電変換領域PD
1及び第3の光電変換領域PD
3に蓄積された電荷を浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTR
amp及び選択トランジスタTR
selの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0054】
[第2回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、再び、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0055】
[第2回目の画像信号の送出]
その後、
図6Aに示すように、第2の転送制御用電極TG
2及び第4の転送制御用電極TG
4をオン状態とすることで、第2の光電変換領域PD
2及び第4の光電変換領域PD
4に蓄積された電荷を浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTR
amp及び選択トランジスタTR
selの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0056】
[画像信号との位相差に基づく焦点検出]
そして、第1の光電変換領域PD1及び第3の光電変換領域PD3に蓄積された電荷に基づく画像信号と、第2の光電変換領域PD2及び第4の光電変換領域PD4に蓄積された電荷に基づく画像信号との位相差に基づき、周知の方法によって、横位置にある撮像装置における焦点検出が行われる。尚、第1の光電変換領域PD1及び第3の光電変換領域PD3に蓄積された電荷の転送を先に行うか、第2の光電変換領域PD2及び第4の光電変換領域PD4に蓄積された電荷の転送を先に行うかは、本質的に任意である。
【0057】
次に、縦位置にある撮像装置における撮像素子の撮像時の作動(第2モード)を説明する。
【0058】
[光電変換領域における電荷の蓄積]
上述したと同様に、光電変換領域PDにおける電荷の蓄積を行う。
【0059】
[第1回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、上述したと同様に、第1回目の浮遊拡散層FDの電荷排出を実行する。
【0060】
[第1回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第2モードの撮像においては、スイッチ回路SW
12,SW
34がオン状態とされ、第1の電荷移動制御電極CG
12,CG
34が作動状態とされる。一方、スイッチ回路SW
13,SW
24がオフ状態とされ、第2の電荷移動制御電極CG
13,CG
24が不作動状態とされる。その結果、第1の光電変換領域PD
1と第2の光電変換領域PD
2との間での電荷の移動、及び、第3の光電変換領域PD
3と第4の光電変換領域PD
4との間での電荷の移動が生じる。得られる画像信号を模式的に
図7Bに示す。次いで、縦位置にある実施例1の撮像素子における転送制御用電極TG及び電荷移動制御電極CGの作動を模式的に
図7Aに示すように、第1の転送制御用電極TG
1及び第2の転送制御用電極TG
2をオン状態とすることで、第1の光電変換領域PD
1及び第2の光電変換領域PD
2に蓄積された電荷を浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTR
amp及び選択トランジスタTR
selの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0061】
[第2回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、再び、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0062】
[第2回目の画像信号の送出]
その後、
図7Aに示すように、第3の転送制御用電極TG
3及び第4の転送制御用電極TG
4をオン状態とすることで、第3の光電変換領域PD
3及び第4の光電変換領域PD
4に蓄積された電荷を浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTR
amp及び選択トランジスタTR
selの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0063】
[画像信号との位相差に基づく焦点検出]
そして、第1の光電変換領域PD1及び第2の光電変換領域PD2に蓄積された電荷に基づく画像信号と、第3の光電変換領域PD3及び第4の光電変換領域PD4に蓄積された電荷に基づく画像信号との位相差に基づき、周知の方法によって、縦位置にある撮像装置における焦点検出が行われる。尚、第1の光電変換領域PD1及び第2の光電変換領域PD2に蓄積された電荷の転送を先に行うか、第3の光電変換領域PD3及び第4の光電変換領域PD4に蓄積された電荷の転送を先に行うかは、本質的に任意である。
【0064】
以上のとおり、実施例1にあっては、撮像装置の位置(横方向の位置及び縦方向の位置)に拘わらず、第1の方向及び第2の方向に配列された光電変換領域を備えた撮像素子の全てにおいて、画像信号との位相差に基づき撮像装置が焦点検出を行うことができるので、より正確に焦点検出を可能とする撮像装置、及び、係る撮像装置への組み込みに適した撮像素子を提供することができる。
【0065】
電荷移動制御電極を配設することなく、単に、例えば、第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域に蓄積された電荷を同時に浮遊拡散層に転送することを想定すると、例えば、第1の光電変換領域に過剰な電荷が生成し、第1の光電変換領域における電荷蓄積にオーバーフローが生じた場合、第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域に蓄積された電荷を同時に浮遊拡散層に転送すると、浮遊拡散層に転送される電荷量は、第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域において生成した電荷量の合計よりも少なくなってしまう。一方、本開示にあっては、第1の電荷移動制御電極CG12の作動によって、第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域における電荷の蓄積は、一種、平均化される。従って、例えば、第1の光電変換領域に過剰な電荷が生成しても、第1の光電変換領域における電荷蓄積にオーバーフローが生じ難いので、第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域において生成した電荷量を確実に浮遊拡散層に転送することができる結果、画像信号との位相差に基づき撮像装置の焦点検出の精度向上を図ることができる。また、暗い所での撮像装置の焦点検出を確実に行うことが可能となる。
【実施例2】
【0066】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2において、制御回路30は、更に、撮像時、第1の電荷移動制御電極CG
12,CG
34及び第2の電荷移動制御電極CG
13,CG
24が不作動状態とされる第3モードに、第1の電荷移動制御電極CG
12,CG
34及び第2の電荷移動制御電極CG
13,CG
24の作動を制御する。撮像装置の操作者が撮像装置に設けられたスイッチ等を操作することで、第1モード、第2モードから第3モードへの切替え、第3モードから第1モード、第2モードへの切替えを行うことができる。尚、第3モードにおいては、画像信号との位相差に基づく焦点検出は行わない。4倍密度駆動にある実施例2の撮像素子における転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を、
図8A並びに
図8Bに模式的に示す。
【0067】
具体的には、先ず、上述したと同様に、光電変換領域PDにおける電荷の蓄積を行う。尚、スイッチ回路SW12,SW34、SW13,SW24を全てオフ状態のままとする。
【0068】
[第1回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、上述したと同様に、第1回目の浮遊拡散層の電荷排出を実行する。
【0069】
[第1回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第1回目の画像信号の送出の操作を行うが、この場合、第1の光電変換領域PD1で生成した電荷を、第1の転送制御用電極TG1をオン状態とすることで、浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTRamp及び選択トランジスタTRselの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0070】
[第2回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、再び、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0071】
[第2回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第2回目の画像信号の送出の操作を行うが、この場合、第2の光電変換領域PD2で生成した電荷を、第2の転送制御用電極TG2をオン状態とすることで、浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTRamp及び選択トランジスタTRselの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0072】
[第3回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、再び、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0073】
[第3回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第3回目の画像信号の送出の操作を行うが、この場合、第3の光電変換領域PD3で生成した電荷を、第3の転送制御用電極TG3をオン状態とすることで、浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTRamp及び選択トランジスタTRselの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0074】
[第4回目の浮遊拡散層の電荷排出]
次いで、再び、リセット・トランジスタTRRSTをオン状態とし、浮遊拡散層FDに残存していた電荷を系外に排出する。
【0075】
[第4回目の画像信号の送出]
その後、制御回路30の制御下、第4回目の画像信号の送出の操作を行うが、この場合、第4の光電変換領域PD4で生成した電荷を、第4の転送制御用電極TG4をオン状態とすることで、浮遊拡散層FDに転送する。浮遊拡散層FDに転送された電荷は、駆動回路の制御下、周知の方法に基づき、増幅トランジスタTRamp及び選択トランジスタTRselの作動に基づき、画像信号として信号線(データ出力線)VSLに送出される。
【0076】
以上の点を除き、実施例2の撮像装置、撮像素子10は、実施例1の撮像装置、撮像素子10と同様の構成、構造とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、どの光電変換領域PDから浮遊拡散層FDへの電荷の転送を行うかの順序は、本質的に任意である。
【実施例3】
【0077】
実施例3は、実施例1~実施例2の変形である。実施例1~実施例2においては、撮像装置、撮像素子10を、表面照射型の撮像装置、撮像素子とした。一方、実施例3においては、撮像素子の模式的な一部断面図を
図9に示すように、撮像装置、撮像素子10’を、裏面照射型の撮像装置、撮像素子とした。
【0078】
このような裏面照射型の撮像素子は、例えば、以下の方法で作製することができる。即ち、先ず、SOI基板を準備する。そして、SOI基板の表面側に位置するシリコン層(基体20に相当する)に、光電変換領域PD、境界領域22及び浮遊拡散層FDを形成する。また、基体20に、撮像素子の制御回路や駆動回路を構成する各種トランジスタ等(図示せず)を形成する。次いで、シリコン層(基体20)の表面(おもてめん)20Aに絶縁膜23を形成し、絶縁膜23の上に転送制御用電極TG、電荷移動制御電極CGを形成する。そして、更にその上に、各種配線や絶縁層26を形成した後、絶縁層26と支持基板27とを貼り合わせる。その後、SOI基板を除去してシリコン層(基体20)の裏面20Bを露出させる。そして、基体20の裏面20Bの上に層間絶縁層24を形成し、層間絶縁層24に配線層25を形成する。そして、層間絶縁層24の上にカラーフィルタ層CFを形成し、カラーフィルタ層CFの上にオンチップ・マイクロレンズ(OCL)を設ける。こうして、実施例3の裏面照射型の撮像素子を得ることができる。
【0079】
以上の点を除き、実施例3の撮像装置、撮像素子10’は、実施例1~実施例2の撮像装置、撮像素子10と同様の構成、構造とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0080】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。撮像素子、撮像装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0081】
実施例1の撮像素子の変形例における転送制御用電極及び電荷移動制御電極の作動、並びに、得られる画像信号を模式的に
図10A並びに
図10Bに示すが、例えば第1モードの撮像においては、第1の光電変換領域PD
1と第2の光電変換領域PD
2とによって位相差に基づく焦点検出を行い、第2の光電変換領域PD
2、第3の光電変換領域PD
3及び第4の光電変換領域PD
4によって加算された画像信号(あるいは、第3の光電変換領域PD
3及び第4の光電変換領域PD
4によって加算された画像信号)を得るといった構成を採用することもできる。尚、第2モードの撮像においては、第1の光電変換領域PD
1と第3の光電変換領域PD
3とによって位相差に基づく焦点検出を行い、第2の光電変換領域PD
2、第3の光電変換領域PD
3及び第4の光電変換領域PD
4によって加算された画像信号(あるいは、第2の光電変換領域PD
2及び第4の光電変換領域PD
4によって加算された画像信号)を得るといった構成を採用すればよい。
【0082】
また、(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極CG及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極CGの動作電圧は異なる形態とすることができ、これによって、光電変換領域間の電荷の移動の最適化を図ることができる。
【0083】
M×N=3×3の光電変換領域を有する実施例1の撮像素子における光電変換領域PD及び電荷移動制御電極CGの配置を模式的に
図11に示す。また、この撮像素子を有する撮像装置が横位置及び縦位置にある場合に得られる画像信号を模式的に
図12A及び
図12Bに示すが、撮像装置が横位置及び縦位置にある場合、3つの画像信号を得ることができる。そして、例えば、3つの画像信号の内、位相差が最も大きい2つの画像信号に基づき焦点検出を行えばよい。
【0084】
M×N=8×8の光電変換領域を有する実施例1の撮像素子における光電変換領域PDの配置を模式的に
図13Aに示す。また、この撮像素子を有する撮像装置における画像信号の分割の一例を
図13Bに示す。尚、
図13Aにおいて、光電変換領域PD
(m,n)光電変換領域PD
(m,n+1)との間には第1の電荷移動制御電極CGが配置されており、光電変換領域PD
(m,n)光電変換領域PD
(m+1,n)との間には第2の電荷移動制御電極CGが配置されているが、これらの電荷移動制御電極CGの図示は省略した。また、
図13Bにおいて、アルファベットA,B,C,D,E,F,G,Hは、分割された画像信号のグループを示す。
【0085】
図17に、実施例1~実施例3の撮像装置の概念図を示す。実施例1~実施例3の撮像装置100は、撮像素子101が2次元アレイ状に配列された撮像領域111、並びに、その駆動回路(周辺回路)としての垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113、水平駆動回路114、出力回路115及び駆動制御回路116等から構成されている。これらの回路は周知の回路から構成することができるし、また、他の回路構成(例えば、従来のCCD撮像装置やCMOS撮像装置にて用いられる各種の回路)を用いて構成することができることは云うまでもない。
図17において、撮像素子101における参照番号「101」の表示は、1行のみとした。
【0086】
駆動制御回路116は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスター・クロックに基づいて、垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113及び水平駆動回路114の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、生成されたクロック信号や制御信号は、垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113及び水平駆動回路114に入力される。
【0087】
垂直駆動回路112は、例えば、シフトレジスタによって構成され、撮像領域111の各撮像素子101を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各撮像素子101における受光量に応じて生成した電流(信号)に基づく画素信号(画像信号)は、信号線(データ出力線)117,VSLを介してカラム信号処理回路113に送られる。
【0088】
カラム信号処理回路113は、例えば、撮像素子101の列毎に配置されており、1行分の撮像素子101から出力される画像信号を撮像素子毎に黒基準画素(図示しないが、有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅の信号処理を行う。カラム信号処理回路113の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線118との間に接続されて設けられる。
【0089】
水平駆動回路114は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路113の各々を順次選択し、カラム信号処理回路113の各々から信号を水平信号線118に出力する。
【0090】
出力回路115は、カラム信号処理回路113の各々から水平信号線118を介して順次供給される信号に対して、信号処理を行って出力する。
【0091】
図18に、実施例1~実施例3の撮像装置の構成例の一例を示すブロック図を示す。ここで、撮像装置120は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等である。撮像装置120は、レンズ群121、撮像素子122、DSP(Digital Signal Pocessor)回路123、フレームメモリ124、表示部125、記録部126、操作部127、及び、電源部128から構成されている。DSP回路123、フレームメモリ124、表示部125、記録部126、操作部127、及び、電源部128は、バスライン129を介して相互に接続されている。
【0092】
レンズ群121は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像素子122の撮像面上に結像させる。撮像素子122は、上述した各種撮像素子から構成されている。撮像素子122は、レンズ群121によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して、画素信号としてDSP回路123に供給する。DSP回路123は、撮像素子122から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画素信号をフレーム単位でフレームメモリ124に供給し、一時的に記憶させる。
【0093】
表示部125は、例えば、液晶パネルや有機EL(ElectroLuminescence)パネル等のパネル型表示装置から成り、フレームメモリ124に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、画像を表示する。記録部126は、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリ等から成り、フレームメモリ124に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出し、記録する。操作部127は、ユーザによる操作の下、撮像装置120が有する様々な機能について操作指令を発する。電源部128は、電源を、DSP回路123、フレームメモリ124、表示部125、記録部126、及び、操作部127に対して、適宜、供給する。
【0094】
電子機器は、画像取込部(光電変換部)に以上に説明した撮像装置を有すればよく、電子機器として、撮像装置120の他、撮像機能を有する携帯端末装置、画像取込部(画像読取部)に撮像装置120を有する複写機等を挙げることができる。
【0095】
また、本開示の撮像素子から構成された固体撮像装置131を電子機器(カメラ)130に用いた例を、
図19に概念図として示す。電子機器130は、固体撮像装置131、光学レンズ140、シャッタ装置141、駆動回路142、及び、信号処理回路143を有する。光学レンズ140は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置131の撮像面上に結像させる。これにより固体撮像装置131内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。シャッタ装置141は、固体撮像装置131への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路142は、固体撮像装置131の転送動作等及びシャッタ装置141のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路142から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置131の信号転送を行う。信号処理回路143は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、あるいは、モニタに出力される。このような電子機器130では、固体撮像装置131における画素サイズの微細化及び転送効率の向上を達成することができるので、画素特性の向上が図られた電子機器130を得ることができる。固体撮像装置131を適用できる電子機器130としては、カメラに限られるものではなく、デジタルスチルカメラ、携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置に適用可能である。
【0096】
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0097】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0098】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0099】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0100】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0101】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0102】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0103】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0104】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0105】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0107】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0108】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0109】
図21では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0110】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0111】
なお、
図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0112】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0113】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0116】
また、例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0117】
図22は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0118】
図22では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0119】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0120】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0121】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0122】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0123】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0124】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0125】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0126】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0127】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタ層を設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0128】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0129】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0130】
図23は、
図22に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0131】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0132】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0133】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0134】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0135】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0136】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0137】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0138】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0139】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0140】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0141】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0142】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0143】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0144】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0145】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0146】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0147】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0148】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《撮像装置》
複数の撮像素子を有し、
各撮像素子は、
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有し、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する撮像装置。
[A02]M=2,N=2であり、
各撮像素子は、
第1の方向に並置された第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域、並びに、第2の方向に第1の光電変換領域に隣接して配置された第3の光電変換領域、及び、第2の光電変換領域と第3の光電変換領域に隣接して配置された第4の光電変換領域、
第1の光電変換領域、第2の光電変換領域、第3の光電変換領域及び第4の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
第1の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第1の転送制御用電極、
第2の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第2の転送制御用電極、
第3の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第3の転送制御用電極、
第4の光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する第4の転送制御用電極、
第1の光電変換領域と第2の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Aの電荷移動制御電極、
第3の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第1-Bの電荷移動制御電極、
第1の光電変換領域と第3の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Aの電荷移動制御電極、並びに、
第2の光電変換領域と第4の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する第2-Bの電荷移動制御電極、
を有する[A01]に記載の撮像装置。
[A03]制御回路を更に備えており、
制御回路は、撮像時、第2の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第1の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第1モード、及び、第1の電荷移動制御電極が作動状態のとき、第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第2モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する[A01]又は[A02]に記載の撮像装置。
[A04]制御回路は、更に、撮像時、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極が不作動状態とされる第3モードに、第1の電荷移動制御電極及び第2の電荷移動制御電極の作動を制御する[A03]に記載の撮像装置。
[A05]制御回路は、撮像装置の姿勢情報に基づいて第1モードと第2モードとを切り替える[A03]又は[A04]に記載の撮像装置。
[A06]撮像装置の姿勢情報は、撮像装置が横方向に位置することを示す情報及び縦方向に位置することを示す情報である[A05]に記載の撮像装置。
[A07]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度の最大値は、光電変換領域における不純物濃度の最大値よりも低い[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A08]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度が最大値を示す深さは、光電変換領域における不純物濃度が最大値を示す深さよりも浅い[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A09]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域の幅は、光電変換領域の幅よりも狭い[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A10](M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は同じである[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A11](M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極及び(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極の動作電圧は異なる[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B01]《撮像素子》
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有し、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]は、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御し、
第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]は、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を制御する撮像素子。
[B02]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度の最大値は、光電変換領域における不純物濃度の最大値よりも低い[B01]に記載の撮像装置。
[B03]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域における不純物濃度が最大値を示す深さは、光電変換領域における不純物濃度が最大値を示す深さよりも浅い[B01]又は[B02]に記載の撮像装置。
[B04]光電変換領域と光電変換領域との間に位置する境界領域の幅は、光電変換領域の幅よりも狭い[B01]乃至[B03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[C01]《撮像素子の駆動方法》
第1の方向にM個、第1の方向とは異なる第2の方向にN個、配列されたM×N個の光電変換領域、
M×N個の光電変換領域において共有される浮遊拡散層、
各光電変換領域に対応して設けられ、各光電変換領域において生成した電荷を浮遊拡散層に転送する転送制御用電極、
第1の方向に配列されたM個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(M-1)×N個の第1の電荷移動制御電極、並びに、
第2の方向に配列されたN個の光電変換領域の間での電荷の移動を制御する(N-1)×M個の第2の電荷移動制御電極、
を有する撮像素子の駆動方法であって、
光電変換に基づき、M×N個の光電変換領域に電荷を蓄積させた後、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]を作動させ、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間で電荷を移動させ、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]を不作動として、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間での電荷の移動を抑制し、次いで、第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域のN個の集合から、順次、転送制御用電極及び浮遊拡散層を介して画像信号を求め、又は、
光電変換に基づき、M×N個の光電変換領域に電荷を蓄積させた後、
第1の方向に沿って配列されたM個の光電変換領域において、第m番目の第1の電荷移動制御電極[但し、mは1乃至(M-1)のいずれかの整数]を不作動とし、第m番目の光電変換領域と第(m+1)番目の光電変換領域との間での電荷を抑制し、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域において、第n番目の第2の電荷移動制御電極[但し、nは1乃至(N-1)のいずれかの整数]を作動させ、第n番目の光電変換領域と第(n+1)番目の光電変換領域との間で電荷を移動させ、次いで、第2の方向に沿って配列されたN個の光電変換領域のM個の集合から、順次、転送制御用電極及び浮遊拡散層を介して画像信号を求める撮像素子の駆動方法。
【符号の説明】
【0149】
10,10’・・・撮像素子、20・・・基体、20A・・・シリコン層(基体)の表面(おもてめん)、20B・・・シリコン層(基体)の裏面、21・・・素子分離構造、22,2212,2213,2224,2234・・・境界領域、23・・・絶縁膜、24・・・層間絶縁層、25・・・配線層、26・・・絶縁層、27・・・支持基板、30・・・制御回路、PD,PD1,PD2,PD3,PD4・・・光電変換領域、FD・・・浮遊拡散層、TG,TG1,TG2,TG3,TG4・・・転送制御用電極、CG・・・電荷移動制御電極、CG12・・・第1の電荷移動制御電極(第1-Aの電荷移動制御電極)、CG34・・・第1の電荷移動制御電極(第1-Bの電荷移動制御電極)、CG13・・・第2の電荷移動制御電極(第2-Aの電荷移動制御電極)、CG24・・・第2の電荷移動制御電極(第2-Bの電荷移動制御電極)、CF・・・カラーフィルタ層、OCL・・・オンチップ・マイクロレンズ