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▶ マルツォーリ・マシーンズ・テキスタイル・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

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  • 特許-モジュール式ロービングフレーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】モジュール式ロービングフレーム
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/16 20060101AFI20240501BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
D01H1/16
D01H13/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021547200
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 IB2020050926
(87)【国際公開番号】W WO2020165696
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102019000002101
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518115263
【氏名又は名称】マルツォーリ・マシーンズ・テキスタイル・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MARZOLI MACHINES TEXTILE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】アッセンツァ,ロザリオ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/072641(WO,A1)
【文献】特開昭54-142343(JP,A)
【文献】特開昭60-052632(JP,A)
【文献】国際公開第2016/097930(WO,A1)
【文献】特開平03-061269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/16
D01H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績ライン用の装置であって、
上流から供給されたウェブをロービングに加工して、前記ロービングを下流の紡績機に送るロービングフレーム(1)であって、前記ロービングフレーム(1)は、上流から下流に向かう方向と交差する方向である長手方向(X)に沿って延び、前記長手方向(X)に沿って並列に整列および配置された複数のモジュール(6a~6d)を有し、前記複数のモジュール(6a~6d)が、クリール(12)と、前記クリールの下流に配置される延伸装置(16)と、前記延伸装置の下流に配置されるレール(20)と、フライヤー(30)と、キャリッジ(40)と、スピンドル(42)と、を含む、ロービングフレーム(1)と、
前記ロービングフレーム(1)が載置される接地面(T)と、
前記クリール(12)が配置される後部領域(P)と、
前記延伸装置(16)に対して前記後部領域(P)と反対側の前部領域(A)と、
を備え、
前記複数のモジュール(6a~6d)は、それぞれ通路(90)を介して互いに長手方向(X)に離れて配置され、
オペレータは、少なくとも1つの前記通路(90)を通過して、前記装置の前記前部領域(A)から前記後部領域(P)まで、またはその逆を行くことができ、
それぞれのモジュール(6a~6d)は、電動モータと、前記延伸装置(16)の延伸シリンダを作動させるための運動伝達手段と、を含む制御ボックスを備え、所定のモジュール(6b、6c、6d)の制御ボックス(80)は、前記所定のモジュール(6b、6c、6d)と前の(または後続の)モジュール(6a、6b、6c)との間の前記通路(90)に、前記接地面(T)に対して所定の高さ(H1)で配置される、
装置。
【請求項2】
それぞれの前記通路(90)で、前記接地面(T)の下方に形成され、前記オペレータの移動を容易にする少なくとも1つの下部コンパートメント(110)、
を備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロービングフレーム(1)は、すべてのモジュール(6a~6d)を操作するよう構成された単一の制御ヘッド(70)、を備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ヘッド(70)は、前記ロービングフレーム(1)の長手方向端部に配置される、
請求3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御ヘッド(70)は、制御パネル、を備える、
請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ヘッド(70)は、変圧器および/または空気圧式空気供給システム、を含む、
請求項3から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ロービングフレーム(1)は、複数のシェルフ(100)、を備え、それぞれのシェルフは、所定のモジュール(6a、6b、6c)と後続のモジュール(6b、6c、6d)との間の通路(90)を挟んで配置され、それぞれの制御ボックス(80)を所望の高さ(H1)で支持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープルファイバーを糸巻き(spool)に巻き付けられた糸に変換する繊維機械の分野に関する。特に、本発明の目的は、通常、練条機(drawing frame)からの繊維ウェブを処理し、紡績機で処理されることを意図した糸巻きに巻き付けられたロービングを得るためのロービングフレームである。
【0002】
フレーム構成の分野(sector)では、主に、紡績工場の全体的な寸法を縮小し、性能を最大限に引き出すために、スピンドルの数を増加させた機械を製造する傾向にある。
【0003】
多くのスピンドルを有するフレームは、明らかにかなりの長さに達する。例えば、230個のスピンドルを有するロービングフレームは、37メートルの長さに到達することがある。
【0004】
つまり、オペレータが機械の一方側、例えばロービングフレームの前方にいて、反対側に到達する必要がある、例えば缶やクリールが置かれている後方に介入する必要がある場合、オペレータはかなりの距離を移動しなければならず、結果として時間の無駄である。
【0005】
本発明の目的は、多数のスピンドルを有するロービングフレームを提供することであり、先行技術を参照して上述した欠点を解消するようなものである。
【0006】
そのような目的は、請求項1に記載のロービングフレームにより達成される。従属請求項には、本発明のさらに有利な実施の形態が記載されている。
【0007】
本発明にかかるロービングフレームの特徴および利点は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として、以下の説明からより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかるロービングフレームのレイアウトを示す概略図
図2】本発明のさらなる実施の形態にかかるロービングフレームを示す図
図3】さらに別の実施の形態にかかる本発明のロービングフレームを示す正面図
【0009】
本発明によると、紡績ライン用の装置は、主に長手方向Xに沿って、左端2と右端4との間に展開するロービングフレーム1を備える。
【0010】
一般的に、ロービングフレーム1の上流には、ロービングフレームに供給される延伸繊維ウェブ(drawn fiber web)を生成する練条機がある。ロービングフレームは、ウェブを加工し、スプールに巻き付けられたロービングを生成する。これは、後続の処理のために紡績機に移送することを目的としている。
【0011】
ロービングフレーム1は、例えば、2つ、3つ、(図示されているように)4つ、またはそれ以上の、複数のモジュール6a~6dからなる。それぞれは、長手方向Xに沿って主に延びている。
【0012】
モジュール6a~6dは、長手方向Xに沿って並んで配置され、後続のモジュール6b、6c、6dの左端が、それぞれの前のモジュール6a、6b、6cの右端に面している。
【0013】
それぞれのモジュール6a~6dは、装置の後部Pに位置するストック領域8を有する。ストック領域において、練条機からのウェブが堆積され、巻き取られ、缶10に保管される。
【0014】
このストック領域8では、主に長手方向Xに沿って延びるローラを備えるフレームからなるクリール12もまた配置されている。クリール12は、六角形の断面を有し、通常は電動式であり、それぞれの缶10の上方に配置される。
【0015】
それぞれのモジュール6a~6dは、さらに、缶10を出たベルト(belt)が向けられる延伸装置16を備える。延伸装置16は、上流から下流に向かって周辺回転速度が上昇する一対の重なった圧力シリンダからなり、一対のシリンダの間を通過するウェブを徐々に延伸する。
【0016】
好ましくは、延伸装置16は、それぞれがモジュール全体に沿って長手方向Xに延びる、例えば3つの下部電動シリンダを備える。それぞれの下部シリンダは、圧力アームにより通常一対で支持された、複数の別個の上部アイドルローラと協働する。
【0017】
好ましくは、圧力アームは、機械的に押されて、下部シリンダと上部ローラとの間で圧力結合を確実にする。
【0018】
ロービングフレーム1を構成するモジュール6a~6dは、長手方向Xに沿って整列される。すなわち、延伸装置16のシリンダは、長手方向Xに平行に配置されたそれぞれの回転軸を有する。
【0019】
延伸装置16の下流では、それぞれのモジュール6a~6dは、モジュール6a~6dの全長に沿って、長手方向Xに沿って延び、上部で上部領域を画定し、下部で下部領域を画定するレール20を備える。
【0020】
レール20は、長手方向に2列に配置され、長手方向に位相がずれて配置され、レール20のレール面21から突出した、複数のネック22を収容する。
【0021】
それぞれのモジュール6a~6dは、それぞれのネック22の下部領域に配置され、レール20により支持されたフライヤー30をさらに備える。フライヤー30は、それぞれの垂直軸Zの周りを回転するのに適している。
【0022】
それぞれのモジュール6a~6dは、下部に配置され、それぞれのフライヤー30に対して同軸に配置された複数のスピンドル42を運ぶキャリッジ40さらに備える。キャリッジ40は、糸巻きを形成するために交互に動いて垂直に平行移動することができる。
【0023】
さらに、キャリッジ40は、糸巻きを除去する操作、および空のチューブを装着する操作のために、水平に平行移動または回転することもできる。
【0024】
長手方向Xに沿って整列したスピンドル42は、フライヤー30と同軸に回転することもできる。
【0025】
好ましくは、フライヤー30は、さらに、ロービングをそれぞれのスピンドルに挿入されたチューブに堆積させるための形成手段を備えている。
【0026】
クリール12からのウェブは、延伸装置16を通過し、次にそれぞれのネック22に入り、そこを通過してフレームの下部領域に入る。
【0027】
ここで、ネック22を通って、ウェブはそれぞれのフライヤー30に入り、下端から出てくる。キャリッジ40が交互に垂直に動くことにより、ウェブは、スピンドルに挿入されたチューブのまわりに巻き取られ、糸巻きが形成される。
【0028】
糸巻きが形成されると、それらは、後続の処理のために、自動でまたは手動でピックアップされて紡績機に移送される。
【0029】
この目的のために、キャリッジ40は、フレームの下部領域に位置するスプールを形成する位置と、ピッキング位置との間で移動可能である。
【0030】
好ましくは、さらに、それぞれのモジュール6a~6dは、ダッシュボードフレーム50と、延伸装置10のかなり上方でダッシュボードフレーム50により支持され、キャリッジからスプールをピックアップし、空のチューブを敷設するピッキングダッシュボード60と、を備える。
【0031】
モジュール6a~6dのレール20と反対側で、後部領域Pの反対側に位置する領域は、装置の前部領域Aとして画定される。
【0032】
ロービングフレーム1は、さらに、機械全体を管理する単一の制御ヘッド70を備える。制御ヘッド70は、例えば、オペレータが使用可能な制御パネルを備える。
【0033】
特に、ロービングフレーム1の一端、例えば左端2に配置された制御ヘッド70は、例えば、変圧器、空気圧式空気供給システム、などを含む。
【0034】
それぞれのモジュール6a~6dは、モジュールの一端、例えば左端に配置された制御ボックス80をさらに備える。
【0035】
制御ボックス80は、延伸装置16の延伸シリンダを作動させるための延伸モータ、延伸装置16のそれぞれの延伸シリンダに接続されるのに適した運動伝達手段、伝達手段と伝動軸との間の接続のためのキネマティックトランスミッション、などを含む。
【0036】
制御ヘッドおよび制御ボックスの実施の形態の例は、本出願人の名義で国際公開第2017/072641号に記載されており、制御ヘッドおよび制御ボックスの構造的および機能的な特徴に関する教示が、本明細書に組み込まれている。
【0037】
第1モジュール6aについては、その左端がロービングフレームの左端2と一致し、制御ボックス80は、制御ヘッド70の上方に配置される。
【0038】
モジュール6a~6dは、長手方向に間隔をあけて配置され、モジュール6a、6b、6cと、後続のモジュール6b、6c、6dとの間に、装置の前方領域Aと後方領域Pとを連通し、オペレータの移動に適する通路90がある。
【0039】
好ましくは、所定のモジュール6b、6c、6dの制御ボックス80は、モジュール6b、6c、6dと前の(または次の)モジュール6a、6b、6cとの間の通路90に、例えば、装置の接地面Tに対して所定の高さH1で配置される。
【0040】
ロービングフレーム1は、例えば、1つのモジュール6a、6b、6cと後続のモジュール6b、6c、6dとの間の通路をまたいでそれぞれ配置され、通路90の開口する2つのモジュールのうち少なくとも一方に固定され、所望の高さH1でそれぞれの制御ボックス80を支持するための複数のシェルフ100をさらに備える。
【0041】
好ましくは、装置は、モジュール6a~6dの間に存在する少なくとも1つの通路90に、例えば掘削作業により接地面Tの下に得られた下部コンパートメント110をさらに備える。下部コンパートメント110は、特に、シェルフが接地面から所定の高さに配置される場合、前部領域Aと後部領域Pとをより容易に連通するよう配置させることができる。
【0042】
革新的には、本発明によるロービングフレームは、多数のスピンドルを備えているにもかかわらず、オペレータが機械の一方側から他方側へ移動することができ、接地面の下方に部分的に掘削された、モジュールの間に得られる通路を利用することができるため、先行技術を参照して述べた欠点を克服している。
【0043】
当業者が、付随的なニーズを満たすために、上述のフレームに変更を加えることができ、すべてが以下の特許請求の範囲に定義される保護の範囲内に収まることは明らかである。
図1
図2
図3