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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】フライス及びその刃部
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/06 20060101AFI20240501BHJP
   B23C 5/28 20060101ALI20240501BHJP
   B23C 5/00 20060101ALI20240501BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B23C5/06 A
B23C5/28
B23C5/00 A
B23C5/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021548928
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 JP2020035781
(87)【国際公開番号】W WO2021060271
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2019177998
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000165398
【氏名又は名称】兼房株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 直也
(72)【発明者】
【氏名】成田 大興
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特許第3974175(JP,B2)
【文献】米国特許第04995767(US,A)
【文献】米国特許第02805469(US,A)
【文献】特開2002-307404(JP,A)
【文献】特開平09-024504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/00,5/06,5/22,5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底刃及び外周刃が刃付された複数のチップと、前記複数のチップが外周に固定された板状体であり、前記チップの位置に合わせて溝が形成される刃本体部とをもつ刃部と、
前記刃本体部の後端面が密着及び脱離可能に固定可能な先端面と、前記刃本体部の外径を基準(100/100)として外径が100/100~97/100であり、密着した前記刃本体部の前記溝に連なるボデー側溝が形成された先端外周部とを備える先端部をもち、回転軸線周りに回転可能であり、外部から回転駆動力が伝達され前記刃本体部に伝達するボデーと、
前記先端面側から前記刃本体部を貫通して前記ボデーに締結された締結ボルトと、
を有し、
前記刃本体部は、
後端面が1つの平面からなり、
前記ボデーの先端に形成された円柱状の外周面をもつ取付座の周囲に嵌合して固定する取付穴と、前記取付穴の周囲には前記先端面から前記ボデーに向けて固定する前記締結ボルトを貫通する締結ボルト穴とが形成されているフライス。
【請求項2】
底刃及び外周刃が刃付された複数のチップと、前記複数のチップが外周に固定された板状体であり、前記チップの位置に合わせて溝が形成される刃本体部とをもつ刃部と、
前記刃本体部の後端面が密着及び脱離可能に固定可能な先端面と、前記刃本体部の外径を基準(100/100)として外径が100/100~97/100であり、密着した前記刃本体部の前記溝に連なるボデー側溝が形成された先端外周部とを備える先端部をもち、回転軸線周りに回転可能なボデーと、
を有し、
前記ボデー側溝は、前記先端面に隣接する部位に吐出口をもつ切削液供給路が形成されているフライス。
【請求項3】
前記チップは、正のねじれ角を有し、
前記刃部又は前記ボデーは、前記チップよりも後端側に固定され、負のねじれ角を有する外周刃が刃付された第2チップが固定された第2刃部をもつ請求項1又は2に記載のフライス。
【請求項4】
前記後端面及び前記先端面の前記回転軸方向の投影形状が同一である請求項1~3の何れか1項に記載のフライス。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のフライスに用いられる前記刃部であって、
前記刃本体部は厚みが4mm以上の平板状であり、
前記刃本体部の前記後端面の振れと、前記底刃の振れとの和が15μm以下であるフライス用の刃部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライス及びその刃部に関する。
【背景技術】
【0002】
フライスは、超硬合金、多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、その他セラミックスからなるチップが円板や円筒の外周に付けられている。これらのチップは必要に応じて、被加工物に適したねじれ角やすくい角に設定されており、木材、木質ボード、窯業系材料、金属、これらの複合材料などの被加工物を切削加工することができる。
【0003】
従来のフライスは、高速加工に対応するため、刃数を増やした多刃仕様を採用することがある(特許文献1)。このようなフライスは高価であるため、これらのチップは、刃先がチッピングや摩耗などにより使用に適さなくなったときに交換可能になるように個別に固定されることがある。交換されるチップは、加工精度を確保するためにすくい角やねじれ角が適正になるように調整する。しかしながら、フライスに付けられたチップの交換に伴う調整は煩雑であり、できるだけ簡略化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-030916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上説明したように、フライスのチップについて安価且つ容易に交換できることが求められており、本発明では、この課題を解決できるフライス及びフライス用の刃部を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のフライスは、底刃及び外周刃が刃付された複数のチップと、前記複数のチップが外周に固定された板状体であり、前記チップの位置に合わせて溝が形成される刃本体部とをもつ刃部と、前記刃本体部の後端面が密着及び脱離可能に固定可能な先端面と、前記刃本体部の外径を基準(100/100)として外径が100/100~97/100であり、密着した前記刃本体部の前記溝に連なるボデー側溝が形成された先端外周部とを備える先端部をもち、回転軸線周りに回転可能なボデーと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフライスは、フライスの先端に交換可能な刃部を設けることで、フライスを全て交換する場合よりも安価で、チップを個別に交換する場合よりも交換が容易になった。また、交換可能な刃部の刃本体部の外径が、当接するボデーの先端外周部の外径と同等か又は僅かに大きい程度にすることで刃部をボデーの先端部で保持することが可能になり、フライス加工に伴う刃部の変形を抑制して精度の良いフライス加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のフライスの斜視図である。
図2】実施形態1のフライスの平面図である。
図3】実施形態1のフライスの正面図である。
図4】実施形態1のフライスの分解組立図である。
図5図2のA-A断面図である。
図6】実施形態2のフライスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のフライス及びその刃部について図面を参照しながら実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。本実施形態のフライスは、刃数を増やした多刃仕様のフライスであり、特に正面フライスに好適である。特に軽金属加工に用いることが好ましい。なお、本明細書中におけるフライスの回転軸方向における被加工物に接する側を先端、先端の反対側を後端と称する。
【0010】
本実施形態のフライスは、刃部とボデーとを有する。刃部とボデーは刃部を構成する刃本体部の後端面がボデーの先端面に密着、当接するように固定される。両者の固定方法は特に限定しないが、ボデーの先端面に形成したネジ穴と締結ボルト(皿ボルトなど)による固定方法が例示できる。
【0011】
刃部は、複数のチップとそれらのチップが固定された刃本体部とをもつ。チップは、底刃及び外周刃が刃付されている。チップを構成する材料は特に限定しないが、超硬合金、多結晶ダイヤモンド、CBN、その他セラミックスから構成することが例示できる。特に切れ刃とそれ以外の部位とで素材を変更することもできる。チップの数は特に限定されず、2以上であれば幾つでも良い。
【0012】
チップが摩耗や破損した場合にはボデーから刃部を取り外して使用可能な刃部に取り替えることで使用を継続することができる。刃部の取替はチップの取替、調節よりも簡単である。取り外した刃部は再研磨又は修理をすることができる。
【0013】
刃本体部は、板状体であり、全体として円板に近い形状をもつ。刃本体部を形成する材料は特に限定しないが、合金工具鋼が好ましい。刃本体部の厚みは4mm以上あることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、6mm以上であることが更に好ましい。厚みが厚くなると刃本体部の変形が抑制できるため本実施形態のフライスを用いた加工の精度が向上できる。刃本体部のボデーと当接する面である後端面は、後述するボデーの先端面と密着できることが望ましく、特に平面であることが望ましい。刃本体部の後端面とボデーの先端面との間で密着する部位としてはチップが固定されている部位近傍にすることが好ましい。ボデー先端面が密着することで刃本体部の撓みが抑制できるからである。
【0014】
刃本体部の外周には複数のチップが固定される。チップの固定はろう付、溶接、接着剤による接着などの方法が採用できる。チップは外周刃が固定される。チップは正のねじれ角を形成して固定することができる。正のねじれ角を大きくすることで切屑の排出性及び切削性が向上し、小さくすることでチップに形成された切れ刃の耐久性が向上する。正のねじれ角は、回転軸に対して下限値が1°、3°、5°程度、上限値が10°、15°、20°程度とすることができ、これらの値は任意に組み合わせることができる。底刃及び外周刃は任意のすくい角を形成することができる。特に正のすくい角を形成することが好ましい。
【0015】
刃本体部の外周に複数のチップを固定する配置については特に限定しない。例えば、回転軸を中心に回転対称の位置に配設したり、回転対称で無い不均等な位置に配設したりすることができる。刃本体部はチップが固定された部位に合わせて溝が形成される。
【0016】
刃本体部の外周にチップを固定する場合には、刃本体部の後端面の振れと、底刃の振れとの和Sが15μm以下であるように固定することで高い精度でのフライス加工が実現できるため好ましい。本明細書中においての「振れ」とは、刃部を回転軸にて一回転させたときの振れ幅の最大値である。和Sは10μm以下が好ましく、5μm以下が更に好ましい。
【0017】
ボデーは、刃部が固定される先端部をもつ。ボデーを形成する材料は特に限定しないが、合金工具鋼が好ましい。ボデーは2以上に分割して形成することができ、それぞれ異なる材料から形成することもできる。先端部には刃本体部の後端面の少なくとも一部が密着及び脱離可能に固定される先端面をもつ。特に、刃本体部の外周部近傍にて密着するようにすることが望ましい。更に先端面は、刃部の後端面の全面に密着できるように設けることが望ましい。この先端面は刃本体部の後端面と相補的な形状をもち、後端面が平面である場合には先端面も平面である。平面である場合には回転軸回りの振れが少ないことが好ましく、上限値を5μm、3μm、0μm程度にすることが好ましい。
【0018】
先端部の外周(先端外周部)の形状は、回転軸方向の投影形状が刃本体部の回転軸方向の投影形状と同等であり、詳しくは、刃本体部の外径を基準(100/100)として外径が100/100~97/100である。特に先端面の形状も刃本体部の外径を基準として外径が100/100~97/100であることが好ましい。先端部及び先端面の外径の下限値は、それぞれ98/100であることが好ましい。刃本体部の外径は特に限定しないが、25mm~300mm程度にすることができる。
【0019】
先端外周部は、密着した刃本体部の溝に連なるボデー側溝が形成されている。加工により生じた切屑は、刃本体部の溝、次いでボデー側溝を通じて排出される。ボデー側溝の回転軸方向の投影形状は概ね刃本体部の溝の投影形状と同形状である。
【0020】
ボデーには、ボデー側溝に切削液を供給する吐出口が開口する切削液供給路を形成することができる。吐出口の開口径は特に限定しないが、0.5mm~3mm程度にすることができる。吐出口は、ボデー側溝内のできるだけ刃部に近い側に形成される。特に先端面に隣接する部位に開口するように形成される。吐出口から刃部に固定されたチップに向けて切削液が吐出されるように、切削液供給路は、切削液の吐出方向が回転軸の先端方向に向くようにできるだけ回転軸と平行に近い方向に形成される。本実施形態のフライスの回転軸方向の長さが充分で無い場合には切削液供給路が屈曲して形成されていても良い。吐出口は、チップが固定されている部位に対応する溝に連なるボデー側溝の全てに開口することが好ましい。
【0021】
刃本体部に固定されたチップが正のねじれ角をもつ場合、そのチップよりも後端側の外周に第2外周刃をもつことができる。第2外周刃は負のねじれ角をもつ。正のねじれ角をもつ外周刃で切削されることで、後端方向に切屑が付勢され、いわゆるバリが生じることがあるが、そのバリは負のねじれ角をもつ第2外周刃で先端方向に付勢することで除去することができる。第2外周刃は、第2チップに刃付されている。第2チップは、刃本体部の後端側に固定しても良いし、ボデーの先端側に固定しても良い。更には、刃本体部及びボデーとは異なる部材である第2刃本体部に固定して第2刃部を構成しても良い。
【0022】
第2刃本体部は、回転軸方向の投影形状が刃本体部と同じであることが好ましく、厚みも同程度であることが好ましい。第2チップは、刃部がもつチップよりも少ない数であっても十分な場合が多い。
【0023】
(実施形態1)
図1~5に示すように、本実施形態のフライス1は、刃部10とボデー20とを有する。刃部10は、刃本体部11と16個のチップ12とをもつ。刃部10はボデー20に皿ボルト30にて締結される。皿ボルト30により簡単に脱着でき、その後の調節は必要無いため、チップ12が摩耗したり欠けたりした場合でも刃部10を全体として交換することですぐに加工を再開できる。刃部10だけの交換であるため、予備のフライスを用意してフライス全体を交換する場合よりもコストが低くできる。
【0024】
本実施形態のフライス1は、図2の中心を紙面表裏方向に延びる回転軸をもつ。図2における紙面表方向及び図3における上方向が先端方向であり、図2における紙面裏方向及び図3における下方向が後端方向である。
【0025】
刃本体部11は合金工具鋼から形成されている。刃本体部11は、5mmの厚みで直径が79mm、略円盤状の形態をもち、中央部に取付穴118、取付穴118の周囲には、皿ボルト30が貫通できる4つのネジ穴119が形成されている。
【0026】
刃本体部11には、16個のチップ12が外周部に固定されている。刃本体部11の外周を22.5°毎に16の部位に分割し、その16の部位にチップ座112を設けている。その16個のチップ座112は、16個のチップ12がそれぞれ固定されている。刃本体部11は、16分割したそれぞれのチップ座112が設けられた位置に対応して溝113と逃げ114が形成されている。
【0027】
チップ12は、底刃121及び外周刃122が刃付されている。底刃121と外周刃122の角には面取り刃が刃付けされている。チップ12は、底刃121が刃本体部11の先端面111側に突出するよう、外周刃122が刃本体部11の外径方向に突出するよう、チップ座112に固定される。チップ座112への固定はろう付にて行うことができる。チップ12の固定は、外周刃122が正のねじれ角を有する。底刃121についてはすくい角を有する。
【0028】
刃本体部11は、先端面111と、先端面111と反対側の後端面(図略)は回転軸方向の投影形状が同一の平面である。先端面111と後端面とは全面で密着できるため、刃本体部11の変形が抑制される。従って後端面の精度が加工精度に影響されるために、振れが小さく製造されている。具体的には、チップ12に刃付された底刃121の振れと、後端面の振れとの和Sが4μm以下に設定されている。また、刃本体部11の厚みが厚いため外力の影響や熱変動の影響による撓みが発生し難くなり加工精度が高くできる。
【0029】
ボデー20は、先端部21と先端部21の後端側に嵌合して固定される基端部22とをもつ。先端部21は、合金工具鋼又はアルミニウム合金から形成され、基端部22は、アルミニウム合金から形成される。基端部22は外形が略円筒形であり、後端側で加工装置に接続できるような嵌合溝222が切り欠かれている。
【0030】
先端部21の回転軸方向で投影したときの外形は刃本体部11の外形と同じである。先端部21の先端面212は平面であり、刃本体部11の後端面と密着する。従って、刃本体部11の後端面は、先端部21の先端面212により全体として支持されることになり、刃本体部11の撓みが切削加工時に発生することが抑制できる。切削加工時の撓み発生を抑制する観点からは、特にチップ12が固定されるチップ座112近傍について先端面212が存在するような回転軸方向の投影形状を先端面212がもつことが好ましい。
【0031】
先端面212には皿ボルト30が締結されるネジ穴214が形成されている。先端部21の外周である先端外周部には、刃本体部11に形成された溝113から溝113と同断面形状で延設されるボデー側溝211が形成される。
【0032】
基端部22の先端側には凸部221が形成され、その中心に回転軸方向に貫通するボア228が形成される。先端部21の後端側には凹部216が形成され、その中心に回転軸方向に貫通する中心孔218が形成される。
【0033】
先端部21の先端側における中心孔218の周囲には、刃本体部11の取付穴118が嵌合する取付座219が形成される。取付座219は、取付穴118に嵌合したときに刃本体部11の先端面と面一になっている。
【0034】
凹部216に凸部221が嵌合することで先端部21と基端部22とが固定される。本実施形態では、基端部22の後端側からボルト(図略)にて先端部21と基端部22を締結して着脱可能に固定している。凸部221の後端側には周状の周溝221aが形成されており、凹部216の後端側には周状の面取り部216aが形成されている。凹部216と凸部221が嵌合すると、周溝221aと面取り部216aとで周状溝(221a、216a)が形成される。
【0035】
凸部221には、ボア228の内面に供給口229aが開口するように凸部221の外周面の周溝221aに向けて放射状に8本形成された第1切削液供給路229が形成されている。先端部21には、凹部216の内面の面取り部216aから後端側からボデー側溝211の先端側に開口する吐出口213aに連通する第2切削液供給路213が形成されている。つまり、基端部22のボア228から、供給口229a、第1切削液供給路229、周状溝(221a、216a)、第2切削液供給路213、ボデー側溝211に開口する吐出口213aが連通しており、ボア228から供給される切削液が吐出口213aから吐出される。吐出口213aから吐出される切削液は、第2切削液供給路213が回転軸に対して平行に近い方向に設定されているため、吐出口213aから先端側に向けて吐出される。その結果、チップ12に多くの切削液が到達することになる。そのため、第2切削液供給路213の向きはできるだけ回転軸と平行に近い方向にすることが望ましい。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態のフライスについて図面に基づき説明を行う。本実施形態のフライスは、実施形態1のフライスと概ね同じ要素から構成されており、同等の構成要素については同じ符号を付している。なお、刃部10について刃本体部11の厚みが実施形態1のフライスと比べて半分になっているが、基本的な機能は同等であるため同じ符号を付している。
【0037】
本実施形態のフライス5は、図6に示すように、実施形態1のフライスにおける、刃部10とボデー20との間に第2刃部50を有する。
【0038】
刃本体部11には、12個のチップ12が外周部に固定されている。刃本体部11の外周を22.5°毎に16の部位に分割し、その16の部位にチップ座112を設けている。その16個のチップ座112(112a及び112b)は、チップ12が固定された3つのチップ座112a、チップ12が固定されていないチップ座112bがこの順で並ぶ組を形成し、この組が4組合わさって、16のチップ座112となる。
【0039】
第2刃部50は、刃部10における刃本体部11のチップ座112のうち、チップ12が固定されていない部位に第2チップ52が固定されている。具体的には、4つの第2チップ52が固定されている。第2チップ52は、外周刃が刃付されており、負のねじれ角をもつようにチップ座112に固定されている。
【0040】
負のねじれ角をもつ第2チップ52を備えることで、チップ12により被加工物表面のバリの発生を効果的に抑制することができる。更に、第2チップ52に刃付された切れ刃が摩耗した場合でも第2刃部50を交換することは容易である。また、刃部10の交換とは別に交換を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、5…フライス 10…刃部
11…刃本体部 12…チップ 111…先端面
112(a,b)…チップ座 113…溝 114…逃げ
118…取付穴 119…ネジ穴 121…底刃
122…外周刃
20…ボデー 21…先端部 22…基端部 211…ボデー側溝
212…先端面 213…第2切削液供給路 213a…吐出口
214…ネジ穴 216…凹部 216a…面取り部
218…中心孔 219…取付座 221…凸部
221a…周溝 228…ボア 229…第1切削液供給路
229a…供給口 222…嵌合溝
30…皿ボルト
50…第2刃部 52…第2チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6