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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】光軸調整治具
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G01B11/06 101Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022067830
(22)【出願日】2022-04-15
(65)【公開番号】P2023157740
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀場 圭人
(72)【発明者】
【氏名】浦上 太一
(72)【発明者】
【氏名】石津 誠二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 尚也
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-203866(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039341(WO,A1)
【文献】特開2019-002721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297774(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110926397(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラで搬送されるシート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されることによって前記シート状体の厚みを測定することが可能な一対のヘッドユニットの各々の光軸を調整するために用いられる光軸調整治具であって、
前記一対のヘッドユニット間に配置されることが可能でかつ平板状に形成された本体部を有し、
前記本体部は、
前記一対のヘッドユニット間の距離と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸の傾きと、を調整するための基準部と、
前記一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させるためのスクリーン部と、を有し、
前記基準部及び前記スクリーン部は、前記本体部の厚み方向と直交する方向に並ぶように配置されており、
前記基準部は、
第1基準要素と、
前記搬送ローラの回転軸と平行な方向に前記第1基準要素から離間した位置に形成された第2基準要素と、を有し、
前記スクリーン部は、
第1スクリーン要素と、
前記搬送ローラの回転軸と平行な方向に前記第1スクリーン要素から離間した位置に形成された第2スクリーン要素と、を有し、
前記第1基準要素、前記第1スクリーン要素、前記第2基準要素、前記第2スクリーン要素は、この順に一直線状に並ぶように配置されている、光軸調整治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光軸調整治具及び光軸調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2019-2721号公報には、互いに対向するように配置された一対のヘッドユニットにより、これらヘッドユニット間を通過するシート状の計測対象物の厚さを計測することが開示されている。ヘッドユニットは、共焦点変位計の一部を構成している。一対のヘッドユニットによってシート状の計測対象物の厚さを正確に計測するためには、一方のヘッドユニットの光軸と他方のヘッドユニットの光軸とを一致させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-2721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2019-2721号公報に記載される一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させるために、通常、2つの専用治具、すなわち、一対のヘッドユニット間の距離と各光軸の傾きとを調整するための第1の専用治具と、各光軸を一致させるための第2の専用治具と、が用いられる。
【0005】
しかしながら、搬送ローラによってシート状体を搬送しながら当該シート状体の厚みを一対のヘッドユニットによって計測する場合、前記専用治具が搬送ローラに干渉する場合がある。
【0006】
本開示の目的は、搬送ローラに干渉することなく一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させることが可能な光軸調整治具及びそれを用いた光軸調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従った光軸調整治具は、搬送ローラで搬送されるシート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されることによって前記シート状体の厚みを測定することが可能な一対のヘッドユニットの各々の光軸を調整するために用いられる光軸調整治具であって、前記一対のヘッドユニット間に配置されることが可能でかつ平板状に形成された本体部を有し、前記本体部は、前記一対のヘッドユニット間の距離と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸の傾きと、を調整するための基準部と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させるためのスクリーン部と、を有し、前記基準部及び前記スクリーン部は、前記本体部の厚み方向と直交する方向に並ぶように配置されている。
【0008】
また、本開示の一局面に従った光軸調整方法は、搬送ローラで搬送されるシート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されることによって前記シート状体の厚みを測定することが可能な一対のヘッドユニットの各々の光軸を調整する光軸調整方法であって、前記光軸調整治具を準備する準備工程と、前記一対のヘッドユニット間に前記基準部が位置するように前記光軸調整治具を配置する配置工程と、前記一対のヘッドユニットの各々から前記基準部に向けて光を照射することにより、前記一対のヘッドユニット間の距離と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸の傾きと、を調整する第1調整工程と、前記一対のヘッドユニット間に前記スクリーン部が位置するように前記光軸調整治具をスライドさせるスライド工程と、前記一対のヘッドユニットの各々から前記スクリーン部に向けて光を照射することにより、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させる第2調整工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、搬送ローラに干渉することなく一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させることが可能な光軸調整治具及びそれを用いた光軸調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態における測定装置でシート状体の厚みを測定している様子を概略的に示す斜視図である。
図2】測定装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図3】測定装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図4】測定装置の構成を概略的に示す正面図である。
図5】光軸調整治具の正面図である。
図6】配置工程及び第1調整工程を概略的に示す図である。
図7】スライド工程及び第2調整工程を概略的に示す図である。
図8】ゼロ点合わせ工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態における測定装置でシート状体の厚みを測定している様子を概略的に示す斜視図である。図2及び図3は、測定装置の構成を概略的に示す斜視図である。測定装置100は、薄膜状のシート状体Sを搬送しながら当該シート状体Sの厚みを測定することが可能な装置である。シート状体Sとして、例えば、蓄電セルに用いられる電極が挙げられる。
【0013】
図1図3に示されるように、測定装置100は、一対の搬送ローラ110と、ローラ保持部120と、一対の測定用ヘッドユニット130と、一対の補正用ヘッドユニット140と、支持体150と、スライドレール160、制御部170と、を有している。
【0014】
一対の搬送ローラ110は、シート状体Sを搬送可能である。各搬送ローラ110は、回転軸まわりに回転可能である。一対の搬送ローラ110は、互いに平行となるように配置されている。図4に示されるように、一対の搬送ローラ110の中心軸間距離Lは、例えば、150mmに設定される。
【0015】
ローラ保持部120は、各搬送ローラ110を保持している。ローラ保持部120は、第1保持部121と、第2保持部122と、を有している。
【0016】
第1保持部121は、搬送ローラ110の回転軸と平行な方向における一対の搬送ローラ110の一方側に配置されており、各搬送ローラ110の一端を保持している。第1保持部121は、後述の光軸調整治具200を保持する第1治具保持部121aを有している。第1治具保持部121aは、一対の搬送ローラ110の各々の回転軸同士を結ぶ方向(図4における上下方向)及び搬送ローラ110の回転軸の双方と直交する直交方向(図4における左右方向)に延びる形状を有している。本実施形態では、第1治具保持部121aは、ボルトで構成されている。
【0017】
第2保持部122は、搬送ローラ110の回転軸と平行な方向における一対の搬送ローラ110の他方側に配置されており、各搬送ローラ110の他端を保持している。第2保持部122は、光軸調整治具200を保持する第2治具保持部122aを有している。第2治具保持部122aは、直交方向に延びる形状を有している。本実施形態では、第2治具保持部122aは、ボルトで構成されている。
【0018】
一対の測定用ヘッドユニット130は、シート状体Sの厚みを測定する機器である。一対の測定用ヘッドユニット130は、シート状体Sをその厚み方向に挟む位置に配置されている。具体的に、一対の測定用ヘッドユニット130は、一対の搬送ローラ110に搬送されるシート状体Sのうち一対の搬送ローラ110間に位置する部位をその厚み方向における両側から挟む位置に配置されている。一対の測定用ヘッドユニット130は、いわゆる共焦点変位計を構成している。
【0019】
一対の補正用ヘッドユニット140は、温度変化等に起因する各部位の形状やシート状体Sの厚み等の変化を補正するために用いられる。一対の補正用ヘッドユニット140は、一対の測定用ヘッドユニット130と同じ構成を有している。一対の補正用ヘッドユニット140は、搬送ローラ110の回転軸と平行な方向に一対の測定用ヘッドユニット130から離間した位置に配置されている。一対の補正用ヘッドユニット140は、一対の測定用ヘッドユニット130によるシート状体Sの測定中に、ダミーワークD(図1を参照)の厚みを測定する。ダミーワークDの厚みは、予め測定されている。ダミーワークDは、金属膜等からなる。
【0020】
支持体150は、一対の測定用ヘッドユニット130及び一対の補正用ヘッドユニット140の相対位置が決定されるように一対の測定用ヘッドユニット130と一対の補正用ヘッドユニット140とを支持している。
【0021】
支持体150は、一対の搬送ローラ110に対して搬送ローラ110の回転軸と平行なスライド方向に沿って相対移動可能である。支持体150は、通常位置(図1及び図2に示される位置)と設定位置(図3に示される位置)との間をスライド方向に沿って移動可能である。通常位置は、一対の搬送ローラ110の各々の回転軸同士を結ぶ方向(図4における上下方向)及び搬送ローラ110の回転軸の双方と直交する直交方向(図4における左右方向)に各測定用ヘッドユニット130がシート状体Sと対向し、かつ、各補正用ヘッドユニット140がシート状体Sと対向せずにダミーワークDと対向する位置である。設定位置は、直交方向に各測定用ヘッドユニット130がシート状体Sと対向せずにダミーワークDと対向し、かつ、各補正用ヘッドユニット140がシート状体S及びダミーワークDの双方と対向しない位置である。支持体150は、一対の搬送ローラ110の各々の回転軸同士を結ぶ方向にも直交方向にも移動可能である。
【0022】
スライドレール160は、搬送ローラ110の回転軸と平行な方向(スライド方向)に延びる形状を有している。スライドレール160は、スライド方向に沿った支持体150の通常位置及び設定位置間での移動を案内する。
【0023】
制御部170は、一対の補正用ヘッドユニット140によるダミーワークDの厚みの測定結果に基づいて一対の搬送用ヘッドユニット130間の距離等を調整する。具体的に、制御部170は、一対の補正用ヘッドユニット140によるダミーワークDの厚みの測定結果に基づいて支持体150の位置を制御する。
【0024】
次に、図5を参照しながら、光軸調整治具200について説明する。光軸調整治具200は、一対のヘッドユニット(一対の測定用ヘッドユニット130及び一対の補正用ヘッドユニット140)の各々の光軸を調整するために用いられる治具である。
【0025】
光軸調整治具200は、一対のヘッドユニット間に配置されることが可能でかつ平板状に形成された本体部210を有している。本体部210には、第1治具保持部121aに着脱可能に保持される第1被保持部210aと、第2治具保持部122aに着脱可能に保持される第2被保持部210bと、が設けられている。本実施形態では、第1被保持部210a及び第2被保持部210bは、スライド方向に長く延びる長孔で構成されている。このため、光軸調整治具200は、第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aに保持された状態において、第1調整位置(図6に示される位置)と第2調整位置(図7に示される位置)との間でスライド方向に沿って移動可能である。
【0026】
第1調整位置は、第1治具保持部121aがスライド方向における第1被保持部210aの一端部に接するとともに、第2治具保持部122aがスライド方向における第2被保持部210bの一端部に接する位置である。
【0027】
第2調整位置は、第1治具保持部121aがスライド方向における第1被保持部210aの他端部に接するとともに、第2治具保持部122aがスライド方向における第2被保持部210bの他端部に接する位置である。
【0028】
本体部210は、基準部212と、スクリーン部214と、を有している。
【0029】
基準部212は、一対のヘッドユニット130,140間の距離と、一対のヘッドユニット130,140の各々の光軸の傾きと、を調整するための部位である。基準部212は、第1基準要素212aと、第2基準要素212bと、を有している。
【0030】
第1基準要素212aは、一対の測定用ヘッドユニット130間の距離と、一対の測定用ヘッドユニット130の各々の光軸の傾きと、を調整するための部位である。第1基準要素212aは、各測定用ヘッドユニット130から照射された光を反射させる鏡で構成されている。図6に示されるように、光軸調整治具200が第1調整位置において第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aに保持された状態において、第1基準要素212aは、通常位置における各測定用ヘッドユニット130と直交方向に対向する位置に配置されている。
【0031】
第2基準要素212bは、一対の補正用ヘッドユニット140間の距離と、一対の補正用ヘッドユニット140の各々の光軸の傾きと、を調整するための部位である。第2基準要素212bは、各補正用ヘッドユニット140から照射された光を反射させる鏡で構成されている。第2基準要素212bは、搬送ローラ110の回転軸と平行な方向(スライド方向)に第1基準要素212aから離間した位置に設けられている。図6に示されるように、光軸調整治具200が第1調整位置において第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aに保持された状態において、第2基準要素212bは、通常位置における各補正用ヘッドユニット140と直交方向に対向する位置、換言すれば、設定位置(図3に示される位置)における各測定用ヘッドユニット130と直交方向に対向する位置に配置されている。
【0032】
スクリーン部214は、一対のヘッドユニット130,140の各々の光軸を一致させるための部位である。スクリーン部214は、スライド方向に基準部212と並ぶように配置されている。スクリーン部214は、第1スクリーン要素214aと、第2スクリーン要素214bと、を有している。
【0033】
第1スクリーン要素214aは、一対の測定用ヘッドユニット130の各々の光軸を一致させるための部位である。第1スクリーン要素214aは、各測定用ヘッドユニット130から照射された光の一部を透過させる。第1スクリーン要素214aは、スライド方向に第1基準要素212aと隣接する位置に設けられている。図7に示されるように、光軸調整治具200が第2調整位置において第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aに保持された状態において、第1スクリーン要素214aは、通常位置における各測定用ヘッドユニット130と直交方向に対向する位置に配置されている。
【0034】
第2スクリーン要素214bは、一対の補正用ヘッドユニット140の各々の光軸を一致させるための部位である。第2スクリーン要素214bは、各補正用ヘッドユニット140から照射された光の一部を透過させる。第2スクリーン要素214bは、スライド方向に第2基準要素212bと隣接する位置に設けられている。図7に示されるように、光軸調整治具200が第2調整位置において第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aに保持された状態において、第2スクリーン要素214bは、通常位置における各補正用ヘッドユニット140と直交方向に対向する位置に配置されている。すなわち、本実施形態では、第1基準要素212a、第1スクリーン要素214a、第2基準要素212b及び第2スクリーン要素214bは、この順に一直線状に並ぶように配置されている。
【0035】
続いて、図6図8を参照しながら、光軸調整方法について説明する。光軸調整方法は、準備工程と、配置工程と、第1調整工程と、スライド工程と、第2調整工程と、取外し工程と、ゼロ点合わせ工程と、を備えている。
【0036】
準備工程では、測定装置100が準備される。準備工程では、光軸調整治具200が準備される。
【0037】
配置工程では、一対のヘッドユニット130,140間に基準部212が位置するように光軸調整治具200が配置される。具体的には、図6に示されるように、配置工程では、一対の測定用ヘッドユニット130間に第1基準要素212aが位置するとともに一対の補正用ヘッドユニット140間に第2基準要素212bが位置するように、光軸調整治具200が第1調整位置において第1治具保持部121a及び第2治具保持部122aによって保持される。
【0038】
第1調整工程では、一対のヘッドユニット130,140の各々から基準部212に向けて光を照射することにより、一対のヘッドユニット130,140間の距離と、一対のヘッドユニット130,140の各々の光軸の傾きと、が調整される。本実施形態では、第1調整工程では、一対の測定用ヘッドユニット130の各々から第1基準要素212aに向けて光を照射することにより、一対の測定用ヘッドユニット130間の距離と、一対の測定用ヘッドユニット130の各々の光軸の傾きと、が調整されるとともに、一対の補正用ヘッドユニット140の各々から第2基準要素212bに向けて光を照射することにより、一対の補正用ヘッドユニット140間の距離と、一対の補正用ヘッドユニット140の各々の光軸の傾きと、が調整される。
【0039】
スライド工程では、一対のヘッドユニット130,140間にスクリーン部214が位置するように光軸調整治具200をスライドさせる。具体的には、図7に示されるように、スライド工程では、一対の測定用ヘッドユニット130間に第1スクリーン要素214aが位置するとともに、一対の補正用ヘッドユニット140間に第2スクリーン要素214bが位置するように、光軸調整治具200が第1調整位置から第2調整位置にスライドされる。
【0040】
第2調整工程では、一対のヘッドユニット130,140の各々からスクリーン部214に向けて光を照射することにより、一対のヘッドユニット130,140の各々の光軸を一致させる。具体的には、第2調整工程では、一対の測定用ヘッドユニット130の各々から第1スクリーン要素214aに向けて光を照射することにより、一対の測定用ヘッドユニット130の各々の光軸を一致させるとともに、一対の補正用ヘッドユニット140の各々から第2スクリーン要素214bに向けて光を照射することにより、一対の補正用ヘッドユニット140の各々の光軸を一致させる。
【0041】
取外し工程では、測定装置100から光軸調整治具200が取り外される。
【0042】
ゼロ点合わせ工程では、図8に示されるように、第2保持部122にダミーワークDが取り付けられた後、まず、一対の補正用ヘッドユニット140によってダミーワークDの厚みが測定される。このときの測定値を予め取得されたダミーワークDの厚みと比較することにより、一対の補正用ヘッドユニット140がゼロ点合わせされるように制御部170が支持体150を制御する。
【0043】
続いて、支持体150が通常位置から設定位置(図3に示される位置)に移動され、一対の測定用ヘッドユニット130によってダミーワークDの厚みが測定される。このときの測定値を予め取得されたダミーワークDの厚みと比較することにより、一対の測定用ヘッドユニット130がゼロ点合わせされるように制御部170が支持体150を制御する。
【0044】
その後、一対の測定用ヘッドユニット130及び一対の補正用ヘッドユニット140は、設定位置から通常位置に戻される。
【0045】
以上に説明したように、本実施形態における光軸調整治具200では、平板状に形成された本体部210が基準部212及びスクリーン部214の双方を有しているため、一対のヘッドユニット130,140間に本体部210を配置して基準部212とスクリーン部214とを結ぶ方向(スライド方向)に本体部210をスライドさせることにより、本体部210が搬送ローラ110に干渉するのを回避しつつ一対のヘッドユニット130,140の各々の光軸を一致させること、及び、基準部212を備える専用治具からスクリーン部214を備える専用治具に取り替える操作を省略することの双方を達成することが可能となる。
【0046】
なお、上記実施形態において、1ロール分のシート状体Sの厚みの測定が終了した後、ゼロ点合わせ工程が実施されてもよい。
【0047】
上述した例示的な実施形態は、以下に記載される態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0048】
[態様1]
搬送ローラで搬送されるシート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されることによって前記シート状体の厚みを測定することが可能な一対のヘッドユニットの各々の光軸を調整するために用いられる光軸調整治具であって、
前記一対のヘッドユニット間に配置されることが可能でかつ平板状に形成された本体部を有し、
前記本体部は、
前記一対のヘッドユニット間の距離と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸の傾きと、を調整するための基準部と、
前記一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させるためのスクリーン部と、を有し、
前記基準部及び前記スクリーン部は、前記本体部の厚み方向と直交する方向に並ぶように配置されている、光軸調整治具。
【0049】
この位置調整治具では、平板状に形成された本体部が基準部及びスクリーン部の双方を有しているため、一対のヘッドユニット間に本体部を配置して基準部とスクリーン部とを結ぶ方向に本体部をスライドさせることにより、搬送ローラに干渉することなく一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させること、及び、基準部を備える専用治具からスクリーン部を備える専用治具に取り替える操作を省略することの双方を達成することが可能となる。
【0050】
[態様2]
前記基準部は、
第1基準要素と、
前記搬送ローラの回転軸と平行な方向に前記第1基準要素から離間した位置に形成された第2基準要素と、を有し、
前記スクリーン部は、
第1スクリーン要素と、
前記搬送ローラの回転軸と平行な方向に前記第1スクリーン要素から離間した位置に形成された第2スクリーン要素と、を有し、
前記第1基準要素、前記第1スクリーン要素、前記第2基準要素、前記第2スクリーン要素は、この順に一直線状に並ぶように配置されている、態様1に記載の光軸調整治具。
【0051】
この態様では、例えば、一対の補正用ヘッドユニットでダミーワークを測定しつつ、一対の測定用ヘッドユニットでシート状体の厚みを測定することが可能となる。
【0052】
[態様3]
搬送ローラで搬送されるシート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されることによって前記シート状体の厚みを測定することが可能な一対のヘッドユニットの各々の光軸を調整する光軸調整方法であって、
態様1又は2に記載の前記光軸調整治具を準備する準備工程と、
前記一対のヘッドユニット間に前記基準部が位置するように前記光軸調整治具を配置する配置工程と、
前記一対のヘッドユニットの各々から前記基準部に向けて光を照射することにより、前記一対のヘッドユニット間の距離と、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸の傾きと、を調整する第1調整工程と、
前記一対のヘッドユニット間に前記スクリーン部が位置するように前記光軸調整治具をスライドさせるスライド工程と、
前記一対のヘッドユニットの各々から前記スクリーン部に向けて光を照射することにより、前記一対のヘッドユニットの各々の光軸を一致させる第2調整工程と、を備える、光軸調整方法。
【0053】
[態様4]
互いに平行となるように配置されており、シート状体を搬送することが可能な一対の搬送ローラと、
前記一対の搬送ローラで搬送される前記シート状体をその厚み方向に挟む位置に配置されており、前記シート状体のうち前記一対の搬送ローラ間に位置する部位の厚みを測定するための一対の測定用ヘッドユニットと、
予め厚みが測定されたダミーワークをその厚み方向に挟む位置に配置されており、前記ダミーワークの厚みを測定するための一対の補正用ヘッドユニットと、
前記一対の補正用ヘッドユニットによる前記ダミーワークの厚みの測定結果に基づいて前記一対の測定用ヘッドユニット間の距離を調整する制御部と、を備える、測定装置。
【0054】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0055】
100 測定装置、110 搬送ローラ、120 ローラ保持部、121 第1保持部、121a 第1治具保持部、122 第2保持部、122a 第2治具保持部、130 測定用ヘッドユニット、140 補正用ヘッドユニット、150 支持体、160 スライドレール、170 制御部、200 光軸調整治具、210 本体部、210a 第1被保持部、210b 第2被保持部、212 基準部、212a 第1基準要素、212b 第2基準要素、214 スクリーン部、214a 第1スクリーン要素、214b 第2スクリーン要素、D ダミーワーク、S シート状体。
図1
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図3
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図5
図6
図7
図8