(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】その上に潤滑性コーティングを有するコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20240501BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F212/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142732
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2020537530の分割
【原出願日】2019-01-29
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スティーブ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ダーチン
(72)【発明者】
【氏名】ブライトコプフ,リチャード・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ラン,ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】グゥー,ジュンハオ
(72)【発明者】
【氏名】グビトーシ・ラスピーノ,マリーア・エフ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】モイ,トーマス・エム
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド,トロイ・バーノン
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508908(JP,A)
【文献】特表2010-523763(JP,A)
【文献】特開2015-230342(JP,A)
【文献】特表2015-528586(JP,A)
【文献】国際公開第2011/004808(WO,A1)
【文献】特表2011-500898(JP,A)
【文献】特開2016-102089(JP,A)
【文献】特開2011-197196(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102617787(CN,A)
【文献】特表平11-503767(JP,A)
【文献】特表2013-505157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
C08F 212/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、
(1)予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程であって、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズは、
(a)少なくとも75モル%のビニルアルコールの繰り返し単位を含むか、(b)それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有し、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも
10%の1,2-及び1,3-ジオール部分を有する
ジオール含有繰り返し単位を含むポリマー物質から製造され、ここで、1,2-及び1,3-ジオール部分の繰り返し単位当量の百分率
【数1】
は、以下の式
【数2】
に従って算出され、式中、「n」は、異なる種類のジオール含有繰り返し単位の合計数であり、
【数3】
は、ジオール含有繰り返し単位の1つの特定のタイプ「i」のモル百分率であり、
【数4】
は、それぞれのタイプiの繰り返し単位中の1,2-ジオール及び1,3-ジオールの数であり、
前記ジオール含有繰り返し単位は、(i)N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのジオール含有ビニルモノマーの繰り返し単位及び/又は
(ii)N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、N,N’-(2,3-ジヒドロキシブチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、それぞれメチル置換基及び1つのジオール含有置換基を有するシロキサン単位を含むポリジメチルシロキサンビニル架橋剤並びにその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのジオール含有ビニル架橋剤の繰り返し単位
である、工程と、
(2)親水性コポリマーが(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)ホスホリルコリン含有ビニルモノマーを含む少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含み、
且つ少なくとも125,000ダルトンの重量平均分子量を有し、親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に環式ボロン酸エステル結合のそれぞれが形成される時間にわたり、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを親水性コポリマーの水溶液と接触させることにより、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの
層を環式ボロン酸エステル結合を介して共有結合させる工程と
を含み、
予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、第1の表面潤滑性を有し、ソフトコンタクトレンズは、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズの第1の表面潤滑性より良好である第2の表面潤滑性を
有し、且つ1.5以下の摩擦等級を有する、
方法。
【請求項2】
水溶液は、6.8~8.0のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水溶液は、0.01重量%~2.5重量%の親水性コポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
接触時間は、少なくとも10分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
接触工程は、レンズパッケージ中の水溶液中に予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを直接浸漬することによって行われ、水溶液は、pHを維持するための緩衝剤を含有するパッケージング溶液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
パッケージング溶液は、200~450ミリオスモル(mOsm)の張性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
レンズパッケージを密封し、且つ密封されたレンズパッケージを20~90分間、115℃~125℃の温度でオートクレーブ処理する工程をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ形成組成物を再利用可能な型中に導入し、化学線の空間的制限下、再利用可能な型中でレンズ形成組成物を硬化することによって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レンズ形成組成物が、ビニルアルコールの繰り返し単位、及び
2モル%~15モル%の式(I)
【化1】
(式中、
R
3は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、
R
4は、C
1~C
6アルキレンの二価のラジカルであり、
R
5は、水素又はC
1~C
6アルキルであり、
R
6は、
【化2】
(式中、q1及びq2は、互いに独立して、ゼロ又は1であり、且つR
7及びR
8は、互いに独立して、C
2~C
8アルキレンの二価のラジカルであり、R
9は、C
2~C
8アルケニルである)
のエチレン性不飽和基である)
の繰り返し単位を含む、水溶性の化学線で架橋可能なポリビニルアルコールプレポリマーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ形成組成物を使い捨て可能な型中に導入し、使い捨て可能な型中でレンズ形成組成物を硬化することによって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
レンズ形成組成物が、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのジオール含有ビニルモノマー及び/又はN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、N,N’-(2,3-ジヒドロキシブチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、それぞれメチル置換基及び1つのジオール含有置換基を有するシロキサン単位を含むポリジメチルシロキサンビニル架橋剤並びにその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのジオール含有ビニル架橋剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アリールボロノ含有繰り返し単位が、
式(II)
【化15】
(式中、R
1は、H、NO
2、F、Cl又はCF
3であり、Qは、
【化16】
の一価のラジカルであり、Lは、直接結合、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、
【化17】
の二価のラジカルであり、ここで、Y
1は、CH(OH)又はC
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、Y
2は、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、且つR
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
のビニルモノマーである、少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーから誘導される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アリールボロノ含有繰り返し単位が、3-ビニルフェニルボロン酸、4-ビニルボロン酸、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、4-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーから誘導される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アリールボロノ含有繰り返し単位が、アミノ含有フェニルボロン酸誘導体と(メタ)アクリル酸ハライドとの反応生成物、カルボジイミド及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるアミノ含有フェニルボロン酸誘導体とカルボキシ含有ビニルモノマーとの反応生成物、カルボジイミド及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるカルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体とアミノ含有ビニルモノマーとの反応生成物並びにその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーから誘導され、
前記カルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体は、3-カルボキシフェニルボロン酸、4-カルボキシフェニルボロン酸、3-ボロノフェニル酢酸、4-ボロノフェニル酢酸、2-(4-ボロノフェニル)-2-メチルプロパン酸、3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸、3-(3-ボロノフェニル)プロパン酸、5-(3-ボロノフェニル)ペンタン酸、5-(4-ボロノフェニル)ペンタン酸、4-(2-カルボキシエチル)-3-ニトロフェニルボロン酸、3-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)フェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
前記アミノ含有フェニルボロン酸誘導体は、3-アミノフェニルボロン酸、4-アミノフェニルボロン酸、4-アミノ-3-ニトロフェニルボロン酸、4-アミノ-4-フルオロフェニルボロン酸、2-(アミノメチル)-5-ニトロフェニルボロン酸、3-(アミノメチル)-フェニルボロン酸、3-アミノ-5-ニトロフェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
前記カルボキシ含有ビニルモノマーは、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択され、
前記アミノ含有ビニルモノマーは、アミノ-C
2~C
4アルキル(メタ)アクリレート、C
1~C
3アルキルアミノ-C
2~C
4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ-C
2~C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1~C
3アルキルアミノ-C
2~C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せからなる群から選択される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記親水性コポリマーは、(a)0.5モル%~25モル%の前記アリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)75モル%~99.5モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの前記繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記親水性コポリマーは、(a)
2モル%~
15モル%の前記アリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)
70モル%~
95モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)
3モル%~
15モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、C
1~C
12アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリレート、NH
2置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリレート、メチルアミノ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリレート、エチルアミノ置換C
2~C
10アルキル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ置換C
2~C
8アルキル(メタ)アクリレート、C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、カルボキシ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、NH
2置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ置換C
2~C
12アルキル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノ置換C
2~C
10アルキル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノ置換C
2~C
8アルキル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ホスホリルコリン含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びその組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含み、
前記親水性コポリマーは、少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する、
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上に潤滑性のコーティングをそれぞれ有するソフトコンタクトレンズに関する。加えて、本発明は、そのようなコンタクトレンズを製造する方法、ヒドロゲルコンタクトレンズ上に潤滑性コーティングを形成するための水溶液及び本発明のソフトコンタクトレンズを含有する眼科的製品を提供する。
【背景技術】
【0002】
市場で最も入手可能な非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、使い捨てのプラスチック成形型及びビニル系モノマーと架橋剤との混合物を使用することを含む従来の注型成形技術に従って製造される。従来の注型成形技術にはいくつかの欠点がある。例えば、従来の注型成形製作プロセスは、多くの場合、レンズ抽出工程を含み、そこで、有機溶媒を用いてレンズから未重合のモノマーを除去しなければならない。有機溶媒の使用は、コストが高くなり得、環境に優しくない。加えて、使い捨てのプラスチック成形型は、本来、寸法的なばらつきを有し、なぜなら、プラスチック成形型を射出成形する際、製造プロセス(温度、圧力、材料の性質)における変動の結果として成形型の寸法に変動が起こり得、且つさらにそのようにして得られた成形型が射出成形後に不均質な収縮を起こし得るためである。成形型におけるこれらの寸法の変化は、製造されたコンタクトレンズのパラメーター(ピーク屈折率、直径、基本曲線、中央の厚さなど)の変動及び二重複合レンズにおける設計への忠実度の低下を招き得る。
【0003】
従来の注型成形技術における上述のような欠点は、いわゆるLightstream Technology(商標)(Alcon)を使用することによって克服することができ、その方法は、(1)実質的にモノマーを含まず、且つ実質的に精製された水溶性のエチレン性不飽和基を有するポリビニルアルコールプレポリマーを含むレンズ形成性組成物、(2)高い精度で製造された再使用可能な成形型及び(3)化学照射線(例えば、UV又は可視光)の空間的制限下での硬化を含み、これらについては、米国特許第5,508,317号明細書、米国特許第5,583,163号明細書、米国特許第5,789,464号明細書、米国特許第5,849,810号明細書、米国特許第6,800,225号明細書及び米国特許第8,088,313号明細書に記載されている。Lightstream Technology(商標)に従って製造された非シリコーンヒドロゲルレンズ、例えばDAILIES(登録商標)AquaComfort Plus(登録商標)は、再使用可能な高精度の成形型を使用するために、高い一致性及び元のレンズ設計に対する高い忠実度を有することができる。加えて、高い光学的特性を有するコンタクトレンズを、硬化時間が短く、製造収率が高く、且つレンズ抽出工程が不要であるために比較的低コストで製造することが可能であり、レンズの配合物を調製するための溶媒として水を使用するために環境に優しい。しかしながら、DAILIES(登録商標)AquaComfort Plus(登録商標)レンズは、良好な光学的特性及び良好な表面の濡れ性を有するものの、それらは、優れた着用快適性を確保するために必要とされる表面潤滑性を有さないことがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、優れた表面潤滑性を有する新規なヒドロゲルコンタクトレンズ、特にPVAをベースとするヒドロゲルコンタクトレンズ及びそのようなコンタクトレンズを製造することを可能にする方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本発明は、ヒドロゲルレンズ体及びその上のコーティングを含むソフトコンタクトレンズであって、ヒドロゲルレンズ体は、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造され、コーティングは、(a)それぞれボロン酸基を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの層を含み、コーティングは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルレンズ体に共有結合される、ソフトコンタクトレンズを提供する。ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルレンズ体の表面潤滑性より良好な表面潤滑性を有する。
【0006】
別の態様では、本発明は、ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程であって、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズは、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、工程と、(2)それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通して、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層(又はコーティング)を共有結合させるための時間にわたり、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの水溶液と接触させる工程とを含む方法を提供する。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルコンタクトレンズを処理、貯蔵又はパッケージングするための水溶液であって、約6~約8のpHを維持するために十分な量の1つ以上の緩衝剤と、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位、及び(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む親水性コポリマーとを含み、親水性コポリマーは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルコンタクトレンズ上に共有結合することが可能であり、それによりヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層又はコーティングが形成される、水溶液を提供する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、パッケージング溶液と、密封されたパッケージ中のパッケージング溶液中で含浸及びオートクレーブ処理されたソフトヒドロゲルコンタクトレンズとを含む密封及び殺菌されたパッケージを含む眼科的製品であって、パッケージング溶液は、約6.0~約8.0のpH、約200~約450mOsm/kgの張性及び25℃において約5.0センチポアズまでの粘度を有し、ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルレンズ体及びその上のコーティングを含み、ヒドロゲルレンズ体は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造され、コーティングは、(a)それぞれボロン酸基を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの層を含み、コーティングは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルレンズ体に共有結合される、眼科的製品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別に定義をしない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び学術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が普通に理解するのと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用される命名法及び実験室手順は、当業者に公知であり、一般的に採用されている。それらの手順では、従来の方法、例えば当業者により実施され、各種の一般的に引用される方法が使用される。用語が単数で与えられている場合でも、本発明者らは、その用語の複数形も考慮に入れている。一般的に、本明細書において使用される命名法及び以下で記載される実験室手順は、当業者に公知であり、一般的に採用されているものである。
【0010】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、「約」を用いられた数が、引用された数プラス又はマイナス引用された数の1~10%を含むことを意味する。
【0011】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、それに続けて記載される事象又は状況が起きることも起きないこともあり得ること、及びその記述が、事象又は状況が起きる場合とそれが起きない場合とを含むことを意味する。
【0012】
「コンタクトレンズ」という用語は、着用者の眼の上、すなわち内部に位置さし得る構造物を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を補正、改良又は変化させることができるが、必ずしもそうでなければならないわけではない。
【0013】
「ソフトコンタクトレンズ」は、2.5MPa未満の弾性率(すなわちヤング率)を有するコンタクトレンズを指す。
【0014】
本出願において使用するとき、ソフトコンタクトレンズに関する「ヒドロゲルレンズ体」又は「バルク物質」という用語は、ソフトコンタクトレンズの三次元形状を有し、且つ(前面を含有する一方と後面を含有する他方との二部にコンタクトレンズを分割する)中央曲面を含み、且つ可変的な厚さを有するヒドロゲル物質の層を交換可能に意味する。
【0015】
本出願において使用するとき、「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル物質」という用語は、水に不溶性であるが、それが完全に水和される場合、三次元ポリマーネットワーク(すなわちポリマーマトリックス)中に少なくとも10重量パーセントの水を保持することが可能な架橋ポリマー物質を指す。ヒドロゲル物質は、(理論的にいずれのシリコーンも含まない)非シリコーンヒドロゲル物質又は(ヒドロゲル物質含有シリコーンである)シリコーンヒドロゲル物質であり得る。
【0016】
「ビニル系モノマー」という用語は、1つの単独のエチレン性不飽和基を有する化合物を指す。
【0017】
「可溶性」という用語は、溶媒中での化合物又は物質に関連して、化合物又は物質が溶媒中に溶解されて、室温(すなわち約20℃~約30℃)で少なくとも約0.1重量%の濃度を有する溶液を与え得ることを意味する。
【0018】
「不溶性」という用語は、溶媒中での化合物又は物質に関連して、化合物又は物質が溶媒中に溶解されて、室温(先に定義)で約0.005重量%未満の濃度を有する溶液を与え得ることを意味する。
【0019】
「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含む各種の基を包含することが意図されている。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル
【化1】
、アリル、ビニル(-CH=CH
2)、1-メチルエテニル
【化2】
、スチレニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0021】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0022】
「親水性ビニル系モノマー」という用語は、本明細書で使用するとき、重合されて、水溶性であるか、又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することが可能なホモポリマーを形成することが可能なビニル系モノマーを指す。
【0023】
「疎水性ビニル系モノマー」という用語は、重合されて、水に不溶性であるか、又は10重量パーセント未満の水のみを吸収できるホモポリマーを形成することが可能なビニル系モノマーを指す。
【0024】
「アクリル系モノマー」は、1つの単独の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系モノマーを指す。
【0025】
本出願において使用するとき、「マクロマー」又は「プレポリマー」という用語は、2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する中程度及び高分子量化合物又はポリマーを指す。中程度及び高分子量は、典型的に700ダルトンよりも高い平均分子量を意味する。
【0026】
本出願において使用するとき、「ビニル系架橋化剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物を指す。「ビニル系架橋剤」という用語は、約700ダルトン以下の分子量を有するビニル系架橋化剤を指す。
【0027】
本出願において使用するとき、「ポリマー」という用語は、1つ又は複数のモノマー、又はマクロマー、又はプレポリマーを重合/架橋させることにより形成される物質を意味する。
【0028】
本出願において使用するとき、ポリマー物質(モノマー物質又はマクロマー物質も含む)の「分子量」という用語は、特に断らない限り又は別の試験条件を示さない限り、重量平均分子量を指す。
【0029】
「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルカン化合物から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を作る。
【0030】
「アルキレンの二価のラジカル」、又は「アルキレンジラジカル」、又は「アルキルジラジカル」という用語は、相互に言い換え可能であり、アルキルから1つの水素原子を除去することにより得られる二価のラジカルを指す。アルキレンの二価の基は、有機化合物中で他の基と2つの結合を作る。
【0031】
「アルキルトリラジカル」という用語は、アルキルから2つの水素原子を除去することにより得られる三価のラジカルを指す。アルキルトリラジカルは、有機化合物中で他の基と3つの結合を作る。
【0032】
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を作る。
【0033】
本出願において、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルに関連した「置換された」という用語は、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルが、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルの1つの水素原子を置き換える、ヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、ハロゲン原子(Br又はCl)及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0034】
本出願では、「アリールボロノ含有ビニルモノマー」は、1つの結合を通してその単独のエチレン性不飽和基に結合する1つの単独のアリールボロノ基を含むビニルモノマーを指す。
【0035】
本出願では、「アリールボロノ」基は、1つのボロン酸基(すなわち-B(OH)2)基及び任意選択的に1つ以上の他の基を置換基として有し、それぞれフェニル基の1つの水素原子を置換する置換フェニル基を指す。
【0036】
本出願において使用するとき、「ホスホリルコリン」という用語は、
【化3】
(式中、t1は、1~5の整数であり、且つR
2、R
2’及びR
2’’は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルである)
の一価の双性イオン基を指す。
【0037】
「開始剤」は、フリーラジカル架橋/重合反応を開始することができる化学物質を指す。
【0038】
「化学照射線の空間的制限」という用語は、化学線の形態のエネルギーの照射線を例えばマスク若しくはスクリーン又はそれらの組合せによって方向付けて、空間的に制限された方法で、明瞭な辺縁境界を有する領域に衝突させる動作又はプロセスを指す。UV照射線の空間的制限は、照射線(例えば、UV及び/又は可視光線)透過領域、照射透過領域を囲む照射線(例えば、UV及び/又は可視光線)不透過領域並びに照射線不透過領域と照射線透過領域との間の境界である投影輪郭を有するマスク又はスクリーンを使用することによって得られ、それらは、米国特許第6800225号明細書(
図1~11)及び米国特許第6627124号明細書(
図1~9)、米国特許第7384590号明細書(
図1~6)及び米国特許第7387759号明細書(
図1~6)の図面に概略的に示されている。マスク又はスクリーンにより、マスク又はスクリーンの投影輪郭によって決められる横断プロファイルを有する照射線(例えば、UV照射線及び/又は可視光線照射)のビームを空間的に投影することが可能となる。投影された照射線(例えば、UV照射線及び/又は可視光照射線)のビームは、成形型の第一の成形表面から第二の成形表面への投影されたビームの経路内に位置するレンズの配合物に衝突する照射線を限定する。そのようにして得られたコンタクトレンズは、第一の成形表面によって画定される前側表面、その反対に位置する第二の成形表面によって画定される後側表面並びに投影されたUV及び/又は可視光ビームの断面プロファイルによって画定されるレンズ端面を含む(すなわち照射線の空間的制限)。架橋のために使用される照射線は、照射線エネルギー、特にUV照射線(及び/又は可視光照射線)、ガンマ照射線、電子照射線又は熱的照射線であり、照射線エネルギーは、実質的に平行なビームの形態であることが好ましく、それは、一方では良好な制限を与えるため、他方ではエネルギーを効率的に使用するためである。
【0039】
コンタクトレンズ又は物質に関して「モジュラス」又は「弾性モジュラス」という用語は、引張モジュラス、すなわちヤング率を意味し、これは、コンタクトレンズ又は物質の剛性の尺度である。モジュラスは、ANSI Z80.20標準に従った方法を使用して測定することができる。シリコーンヒドロゲル物質又はコンタクトレンズの弾性モジュラスの測定法は、当業者によく知られている。例えば、全て市販のコンタクトレンズは、報告された弾性モジュラス値を有する。
【0040】
一般に、本発明は、それぞれ1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質(例えば、架橋されたポリビニルアルコール又はそれぞれ1,2-若しくは1,3-ジオールを有するジオール含有繰り返し単位を含むポリマー物質)を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルレンズ体と、ヒドロゲルレンズ体上の共有結合された潤滑性コーティングとを含むソフトコンタクトレンズを製造する方法及びそのようなソフトコンタクトレンズに関する。本発明は、部分的に、そのようなヒドロゲルコンタクトレンズ(例えば、ポリビニルアルコールベースのヒドロゲルコンタクトレンズ)が、水ベースコーティングプロセスにおいて、スキームIに示すように、それぞれヒドロゲルレンズ体中の1,2-ジオール又は1,3-ジオール部分の1つと反応して可逆性の共有結合(すなわち環式ボロン酸エステル結合)を形成し、ヒドロゲルコンタクトレンズの表面上に親水性コポリマーの層(又はコーティング)を付着することが可能である、アリールボロノ含有繰り返し単位を有する親水性コポリマーによってコーティングされることが可能であるという発見に基づくものである。形成された環式ボロン酸エステル結合は、典型的なレンズパッケージ溶液のpH範囲において密封及びオートクレーブ処理されたパッケージ中で安定であり得る。その上に親水性コポリマーのコーティングを有する得られたヒドロゲルコンタクトレンズは、ヒドロゲルコンタクトレンズの表面潤滑性を強化することができる。さらに、水ベースコーティングプロセスが、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ(例えば、予備形成されたポリビニルアルコールベースのヒドロゲルコンタクトレンズ)の特性にわずかな影響を及ぼすか又は影響を及ぼすことがなく、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ(例えば、予備形成されたポリビニルアルコールベースのヒドロゲルコンタクトレンズ)の全ての有益な特質、例えば柔軟性、平衡含水量、伸長などが維持されることが発見された。
【化4】
【0041】
1つの態様では、本発明は、ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程であって、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズは、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、工程と、(2)それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通して、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層(又はコーティング)を共有結合させるための時間にわたり、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの水溶液と接触させる工程とを含む方法を提供する。
【0042】
それらが1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される限り、いずれの適切な予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズも本発明において使用可能である。好ましい一実施形態では、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、さらにより好ましくは少なくとも75モル%の、ビニルアルコールの繰り返し単位を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造される。別の好ましい実施形態では、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも5%(好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも20%)の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される。
【0043】
本発明によると、1,2-及び1,3-ジオール部分の繰り返し単位当量の百分率
【数1】
は、以下の式
【数2】
に従って算出可能であり、式中、「n」は、異なる種類のジオール含有繰り返し単位の合計数であり、
【数3】
は、ジオール含有繰り返し単位の1つの特定のタイプ「i」のモル百分率であり、
【数4】
は、それぞれのタイプiの繰り返し単位中の1,2-ジオール及び1,3-ジオールの数である。
【0044】
本発明によると、ヒドロゲルコンタクトレンズのポリマー物質中のそれぞれのタイプの繰り返し単位のモル百分率は、ヒドロゲルコンタクトレンズを形成するためのレンズ形成組成物中の、このタイプの繰り返し単位が重合中に誘導されるビニルモノマー又は架橋剤のモル百分率に基づいて決定することができる。
【0045】
本発明によると、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、当業者に周知のレンズ形成プロセス後にいずれの表面変性も受けていないコンタクトレンズである。例えば、予備形成されたコンタクトレンズは、例えば、米国特許第3408429号明細書に記載の従来の「スピンキャスティング成形」において、又は米国特許第4347198号明細書;同第5508317号明細書;同第5583463号明細書;同第5789464号明細書;及び同第5849810号明細書に記載の静的形態でのフルキャスト成形プロセスにより、又はカスタマイズされたコンタクトレンズの製造において使用されるボタンのレースカッティングにより製造され得る。キャスト成形プロセスにおいて、レンズ配合物は、典型的に使い捨て又は再利用可能な型中に分配され、コンタクトレンズを製造のための型中で硬化(すなわち重合及び/又は架橋)される。
【0046】
本発明において使用される予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズの製造に関して、ヒドロゲルレンズ配合物(組成物)は、ヒドロゲルレンズ配合物(組成物)が、少なくとも1つの1,2-又は1,3ジオール部分を含有する少なくとも1つの重合性成分を含む必要がある限り、当業者に既知の全ての必要な重合性成分及び少なくとも1つのフリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)を含む。ヒドロゲルレンズ配合物は、潤滑剤(若しくはレンズ配合物中に組み込まれたいわゆる内部湿潤剤)、UV吸収剤、可視性着色剤(例えば、染料、顔料若しくはその混合物)、抗微生物性剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤及びその組合せなどの他の重合性成分又は非重合性成分も含有することが可能であることが理解されるべきである。
【0047】
予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための重合性成分は、当業者に周知である。典型的に、コンタクトレンズを製造するためのヒドロゲルレンズ配合物は、1つ以上の親水性ビニルモノマー、1つ以上の疎水性ビニルモノマー、1つ以上のシリコーン含有ビニルモノマー、1つ以上のビニル架橋剤/架橋薬剤、1つ以上のエチレン性架橋性プレポリマー及びその組合せからなる群から選択される重合性成分を含む。
【0048】
次いで、当業者に知られているように、得られた予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、抽出溶媒による抽出、水和プロセス並びに得られたレンズから未重合成分を除去すること及び他の成形後プロセスを受け得る。
【0049】
好ましい実施形態では、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、好ましくは、
ビニルアルコールの繰り返し単位
【化5】
式(I)の繰り返し単位、及び
【化6】
(式中、
R
3は、水素又はC
1~C
6アルキル基(好ましくは水素)であり得、
R
4は、C
1~C
6アルキレンの二価のラジカル(好ましくはC
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、より好ましくはメチレン又はブチレンの二価のラジカル、さらにより好ましくはメチレンの二価のラジカル)であり、
R
5は、水素又はC
1~C
6アルキル(好ましくは水素又はC
1~C
4アルキル、より好ましくは水素、又はメチル、又はエチル、さらにより好ましくは水素又はメチル)であり、
R
6は、
【化7】
(式中、q1及びq2は、互いに独立して、ゼロ又は1であり、且つR
7及びR
8は、互いに独立して、C
2~C
8アルキレンの二価のラジカルであり、R
9は、C
2~C
8アルケニルである)
のエチレン性不飽和基である)
を含む、水溶性の化学線で架橋可能なポリビニルアルコールプレポリマーを重合することによって得られるポリビニルアルコールベースのヒドロゲルコンタクトである。
【0050】
別の好ましい実施形態では、R
4は、メチレンの二価のラジカルであり、R
5は、H又はC
1~C
4アルキルであり、R
3は、Hであり、及びR
6は、
【化8】
(式中、q2は、ゼロであり、R
9は、ビニル(
*-CH=CH
2)又は1-メチルエテニル(
*-C(CH
3)=CH
2)である)
のラジカルである。
【0051】
別の好ましい実施形態では、ポリビニルアルコールプレポリマーは、少なくとも約2,000ダルトンの重量平均分子量を有し、且つ約1モル%~約25モル%、好ましくは約2モル%~約15モル%の、式(I)の繰り返し単位を含む。
【0052】
水溶性の化学線で架橋可能なポリビニルアルコールプレポリマーは、当業者公知の方法、例えば米国特許第5583163号明細書及び米国特許第6303687号明細書に開示されているような方法で調製することができる。
【0053】
ポリビニルアルコールプレポリマーは、それ自体公知の方法、例えば有機溶媒、例えばアセトンを用いた沈殿、濾過及び洗浄法、抽出及び洗浄法、適切な溶媒中での抽出法、透析法又は限外濾過法で精製することが好ましく、限外濾過法が特に好ましい。そのような精製プロセスの手段により、プレポリマーを極めて純粋な形態、例えば反応生成物、例えば塩及び出発物質、例えば非ポリマー性の構成成分を含まないか又は少なくとも実質的に含まない濃縮された水溶液の形態で得ることができる。
【0054】
好ましい精製プロセスの限外濾過法は、それ自体公知の方法で実施することができる。限外濾過を例えば2~10回繰り返して実施することも可能である。別の方法として、選択される程度の純度になるまで限外濾過を連続的に実施することもできる。選択される純度は、原理的には、望む限り高いことができる。純度についての好適な尺度は、例えば、副生物として得られる溶解塩の濃度であり、それは、公知の方法で簡単に求めることができる。
【0055】
化学線で架橋可能な水溶性のポリビニルアルコールプレポリマーを(例えば、限外濾過法によって精製して、プレポリマーを形成するために使用した反応剤をほとんど除去して)実質的に純粋な形態にすることが有利であろう。そのようにすれば、化学照射線によって架橋させた後、事実上、コンタクトレンズをさらなる精製、例えば特に未重合成分を複雑な抽出にかける必要はない。さらに、架橋を水溶液中で起こさせて、それに続く溶媒の置き換え又は水和工程を必要としないようにし得る。
【0056】
予備成形されたポリビニルアルコールベースのヒドロゲルコンタクトレンズを以下の工程によって得ることが好ましい:先に述べた水溶性の化学線で架橋可能なポリビニルアルコールプレポリマーを含む水性のレンズ形成性組成物を再使用可能な成形型内に導入する工程及び化学照射線の空間的制限下で水性レンズ形成性組成物を硬化させる工程。
【0057】
本発明では、照射線を空間的に制限するのに適した再使用可能な成形型を使用することが好ましく、照射線(例えば、360nm~550nmの領域の光線を含む光源からの照射線)の投影されたビームが、照射線(例えば、UV/可視照射線)が再使用可能な成形型の第一の成形表面から第二の成形表面への投影されたビームの行路に位置するレンズ形成性物質の混合物を照射することを制限する。そのようにして得られたコンタクトレンズは、第一の成形表面によって画定される前側表面、その反対に位置する第二の成形表面によって画定される後側表面及び投影された照射線ビームの断面プロファイルによって画定される(切れがよく高品質の)レンズ端面を含む(すなわち照射線の空間的制限)。照射線の空間的制限に適した再使用可能な成形型の例としては、以下の特許に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない:米国特許第6627124号明細書、米国特許第6800225号明細書、米国特許第7384590号明細書及び米国特許第7387759号明細書。
【0058】
例えば、好ましい再使用可能な成形型は、第一の成形表面を有する第一の半割型及び第二の成形表面を有する第二の半割型を含む。好ましい再使用可能な成形型の2つの半割型は、相互に接触しないが、2つの半割型間に配置された環状に設計された狭いギャップが存在する。ギャップは、第一の成形表面と第二の成形表面との間に形成された成形型キャビティにつながっており、それにより過剰の混合物がギャップ内に流れ込むことができる。本発明では、いかなる設計を有するギャップも使用することが可能であることを理解されたい。
【0059】
好ましい実施形態では、第一の成形表面及び第二の成形表面の少なくとも一方は、架橋照射線を透過させることができる。より好ましくは、第一の成形表面及び第二の成形表面の一方は、架橋照射線透過性であるのに対し、他の成形表面が、架橋照射線をほとんど透過させない。
【0060】
再使用可能な成形型は、照射線透過性成形表面を有する半割型内に、半割型に又は半割型上に構築又は配列されたマスクを含むことが好ましい。マスクは、非透過性であるか、又は照射線透過可能な成形表面の透過性と比べて少なくとも透過性が低い。マスクは、内向きに成形型キャビティに向けて広がって成形型キャビティを囲み、成形型キャビティ以外の全ての領域をマスクの陰に遮蔽するようになっている。
【0061】
マスクは、好ましくは、例えば光及びUVリソグラフィーにおいて公知のプロセスで形成され得る薄いクロム層であり得る。他の金属又は金属酸化物も適切なマスク物質であり得る。マスクは、保護層、成形型又は半割型に使用される物質が石英である場合、例えば二酸化ケイ素を用いてさらにコーティングされ得る。
【0062】
別の方法として、米国特許第7387759号明細書に記載されているようにして、マスクは、UV/可視光線を含む物質から作られたマスキングカラーであり、それを通過する硬化エネルギーを実質的に阻止し得る。この好ましい実施形態では、マスクを有する半割型は、一般的に、円板形状の透過部分と、透過部分と密接にかみ合うように合わせた内径を有するマスキングカラーとを含み、前記透過部分は、光学的に明澄な物質で作られており、その中を硬化エネルギーが通過することを可能にし、マスキングカラーは、光阻止剤を含む物質から作製されており、硬化エネルギーがその中を通過することを実質的に阻止し、マスキングカラーは、一般的に、透過部分を受けるために中央に穴を有してワッシャー又はドーナッツに類似しており、透過部分は、マスキングカラーの中央の開口部に圧入され、マスキングカラーは、ブッシングのスリーブの内部に取り付けられる。
【0063】
再使用可能な成形型は、以下から作ることができる:石英、ガラス、サファイア、CaF2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(透明で非晶質なエチレンとノルボルネンとのコポリマー(Ticona GmbH(Frankfurt,Germany)及びSummit(New Jersey)製)、Zeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標)(Zeon Chemical LP(Louisville,KY)製))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシメチレン(DuPont製(Delrin))、Ultem(登録商標)(ポリエーテルイミド、G.E.Plastics製)、PrimoSpire(登録商標)など。半割型が再使用できるため、極端に高精度で再現性の高い成形型を製造する目的でそれらを製造するときに比較的高い経費を支出することが可能である。レンズが製造される領域、すなわちキャビティ又は実際の成形表面では、半割型が相互に接触しないため、接触の結果としての損傷が排除される。これにより、成形型の使用寿命を長くすることができ、これは、具体的には、製造されるコンタクトレンズに高い再現性を与え、レンズの設計に対して高い忠実度を与えることもできる。
【0064】
別の好ましい実施形態では、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも5%(好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも20%)の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される。ジオール含有繰り返し単位は、重合において、少なくとも1つの1,2-ジオール及び/若しくは1,3-ジオール部分を有する少なくとも1つのジオール含有ビニルモノマーから、又は少なくとも1つの1,2-ジオール及び/若しくは1,3-ジオール部分を有する少なくとも1つのジオール含有ビニル架橋剤から誘導可能であることが理解される。
【0065】
それらがそれぞれ少なくとも1つの1,2-ジオール及び/又は1,3-ジオール部分を含む限り、本発明ではいずれのジオール含有ビニルモノマーも使用可能である。好ましいジオール含有ビニルモノマーの例としては、限定されないが、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-グルコンアミドエチル(メタ)アクリルアミド、3-グルコンアミドプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、グルコシル(メタ)アクリレート、グルコシルオキシエチル(メタ)アクリレート、米国特許出願公開第2012/0264214号明細書及び米国特許第4721760号明細書などに開示される糖アクリルモノマー、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(すなわちトリメチロールプロパンアリルエーテル)、アリルα-D-マンノプラノシド、アリルα-D-ガラクトピラノシド、アリル6-デオキシヘキソピラノシド、アリル6-デオキシ-2-O-メチルヘキソピラノシド並びにその組合せが含まれる。
【0066】
それらがそれぞれ少なくとも1つの1,2ジオール及び/又は1,3ジオール部分を含む限り、いずれのジオール含有ビニル架橋剤も本発明において使用することができる。好ましいジオール含有ビニル架橋剤の例としては、限定されないが、米国特許出願公開第2017/01666673号明細書に開示されるように、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、N,N’-(2,3-ジヒドロキシブチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、それぞれメチル置換基及び1つのジオール含有置換基を有するシロキサン単位を含むそれらのポリジメチルシロキサンビニル架橋剤並びにその組合せを含む。
【0067】
本発明によると、本発明のヒドロゲルコンタクトレンズをコーティングするための親水性コポリマーは、水溶性でなければならない。
【0068】
好ましい実施形態では、親水性コポリマーは、(a)約0.5モル%~約25モル%(好ましくは約1モル%~約20モル%、より好ましくは約2モル%~約18モル%、さらにより好ましくは約3モル%~約15モル%)の、それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約75モル%~約99.5モル%(好ましくは約80モル%~約99モル%、より好ましくは約82モル%~約98モル%、さらにより好ましくは約85モル%~約97モル%)の、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である。
【0069】
別の好ましい実施形態では、親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%(好ましくは約1モル%~約20モル%、より好ましくは約2モル%~約15モル%)の、それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約60モル%~約98モル%(好ましくは約60モル%~約97モル%、より好ましくは約70モル%~約95モル%)の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約1モル%~約20モル%(好ましくは約2モル%~約20モル%、より好ましくは約3モル%~約15モル%)の、3~16個(好ましくは3~14個、より好ましくは3~12個、さらにより好ましくは3~10個)の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である。
【0070】
本発明によると、親水性コポリマーの繰り返し単位(すなわちモノマー単位)のそれぞれの種類のモル百分率は、親水性コポリマーを形成するための重合性組成物中の、この種類の繰り返し単位が誘導されるビニルモノマーのモル百分率に基づいて決定することができる。
【0071】
本発明によると、それぞれの種類のアリールボロノ含有繰り返し単位は、アリールボロノ含有ビニルモノマーから、好ましくは式(II)
【化9】
(式中、R
1は、H、NO
2、F、Cl又はCF
3であり、Qは、
【化10】
の一価のラジカルであり、Lは、直接結合、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、
【化11】
の二価のラジカルであり、ここで、Y
1は、CH(OH)又はC
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、Y
2は、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、且つR
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
のアリールボロノ含有ビニルモノマーから直接誘導され得る。
【0072】
好ましい式(II)のアリールボロノ含有ビニルモノマーの例としては、限定されないが、3-ビニルフェニルボロン酸、4-ビニルボロン酸、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、4-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、アミノ含有フェニルボロン酸誘導体と(メタ)アクリル酸ハライドとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるアミノ含有フェニルボロン酸誘導体とカルボキシ含有ビニルモノマーとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるカルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体とアミノ含有ビニルモノマーとの反応生成物並びにその組合せが含まれる。
【0073】
好ましいカルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体の例としては、限定されないが、3-カルボキシフェニルボロン酸、4-カルボキシフェニルボロン酸、3-ボロノフェニル酢酸、4-ボロノフェニル酢酸、2-(4-ボロノフェニル)-2-メチルプロパン酸、3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸、3-(3-ボロノフェニル)プロパン酸、5-(3-ボロノフェニル)ペンタン酸、5-(4-ボロノフェニル)ペンタン酸、4-(2-カルボキシエチル)-3-ニトロフェニルボロン酸、3-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)フェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せが含まれる。
【0074】
好ましいアミノ含有フェニルボロン酸誘導体の例としては、限定されないが、3-アミノフェニルボロン酸、4-アミノフェニルボロン酸、4-アミノ-3-ニトロフェニルボロン酸、4-アミノ-4-フルオロフェニルボロン酸、2-(アミノメチル)-5-ニトロフェニルボロン酸、3-(アミノメチル)-フェニルボロン酸、3-アミノ-5-ニトロフェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せが含まれる。
【0075】
好ましいカルボキシ含有ビニルモノマーの例としては、限定されないが、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せが含まれる。
【0076】
好ましいアミノ含有ビニルモノマーの例としては、限定されないが、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せが含まれる。
【0077】
いずれの適切な親水性ビニルモノマーも親水性コポリマーの調製において使用可能である。適切な親水性ビニルモノマーの例としては、限定されないが、カルボキシル含有ビニルモノマー、一級アミン含有ビニルモノマー、二級アミン含有ビニルモノマー、非反応性親水性ビニルモノマー、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー及びその組合せが含まれる。
【0078】
好ましい親水性ビニルモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(以下に記載の通り)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(以下に記載の通り)、アミノ含有アクリルモノマー(以下に記載の通り)、カルボキシル含有アクリルモノマー(以下に記載の通り)、N-ビニルアミドモノマー(以下に記載の通り)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわちそれぞれ3位又は5位においてピロリドン環に連結したメチレン基を有するピロリドン誘導体)(以下に記載の通り)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(以下に記載の通り)、ビニルエーテルモノマー(以下に記載の通り)、アリルエーテルモノマー(以下に記載の通り)、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(以下に記載の通り)、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せである。
【0079】
アルキル(メタ)アクリルアミドの例としては、限定されないが、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びその組合せが含まれる。
【0080】
ヒドロキシル含有アクリルモノマーの例としては、限定されないが、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せが含まれる。
【0081】
アミノ含有アクリルモノマーの例としては、限定されないが、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその組合せが含まれる。
【0082】
カルボキシル含有アクリルモノマーの例としては、限定されないが、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せが含まれる。
【0083】
好ましいN-ビニルアミドモノマーの例としては、限定されないが、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物が含まれる。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド又はその組合せである。
【0084】
好ましいメチレン含有(=CH2)ピロリドンモノマーとしては、限定されないが、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びその組合せが含まれる。
【0085】
C1~C4アルコキシエトキシ基を有する好ましいアクリルモノマーの例としては、限定されないが、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せが含まれる。
【0086】
好ましいビニルエーテルモノマーの例としては、限定されないが、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びその組合せが含まれる。
【0087】
好ましいアリルエーテルモノマーの例としては、限定されないが、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びその組合せが含まれる。
【0088】
好ましいホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの例としては、限定されないが、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(別名、MPC又は2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン(別名、3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチル-ホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びそれらの組合せが挙げられる。
【0089】
3~16個の炭素原子を有する好ましいアクリルモノマーの例としては、限定されないが、C1~C12アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリレート、C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート及びその組合せが含まれる。
【0090】
本発明によると、本発明のヒドロゲルコンタクトレンズをコーティングするための親水性コポリマーは、少なくとも約100,000ダルトン、好ましくは少なくとも約125,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約250,000ダルトン、さらにより好ましくは少なくとも約400,000ダルトンの重量平均分子量を有する。高分子量親水性コポリマーが相対的に安定且つより厚いコーティングを形成するためにより適切であり、それにより、コーティングされたコンタクトレンズにより高い潤滑性を提供するであろうことが考えられる。
【0091】
本発明によると、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズと親水性コポリマーの水溶液との接触は、それを水溶液中に浸漬することにより、又はそれを水溶液で噴霧することにより生じることができる。1つの接触プロセスには、一定期間にわたり、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを水溶液の浴中に単に浸漬すること、又はそれぞれの浴に関して固定されたより短い期間にわたり、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを一連の水溶液の浴中に連続的に浸漬することを伴う。別の接触プロセスは、水溶液を単に噴霧することを伴う。しかしながら、当業者により、噴霧及び浸漬工程の種々の組合せを伴う複数の代替が設計され得る。好ましくは、接触工程は、レンズパッケージ中の水溶液中に予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを浸漬することによって行われ、水溶液は、パッケージング溶液である。
【0092】
水溶液は、約6.5~約9.0のpHを有する。
【0093】
上記の好ましい実施形態のいずれか1つにおいて、水溶液は、約0.01重量%~約2.5重量%(好ましくは約0.02重量%~約2.0重量%、より好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、さらにより好ましくは約0.1重量%~約1重量%)の少なくとも1つの親水性コポリマー(上記で記載されるもののいずれか)を含む。
【0094】
接触時間は、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも10分、さらにより好ましくは約20分~5時間である。
【0095】
ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し保存するためのレンズパッケージ(又は容器)は、当業者に周知である。本発明では、いかなるレンズパッケージも使用し得る。レンズパッケージは、ベース及びカバーを含むブリスターパッケージであることが好ましく、カバーは、ベースに対して取り外し可能に密封されており、ベースは、滅菌されたパッケージング溶液及びコンタクトレンズを納めるためのキャビティを含む。
【0096】
レンズは、個別のパッケージ中に充填、密封、滅菌(例えば、加圧下において約120℃以上で少なくとも30~90分にわたるオートクレーブ処理)した後、使用者に届けられる。レンズパッケージの密封及び滅菌法は、当業者によく理解されている。
【0097】
好ましい実施形態では、水溶液は、少なくとも1つの緩衝剤と1つ又は複数の当業者に公知の他の成分とを含むパッケージング溶液である。他の成分の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:張性剤、界面活性剤、抗菌剤、保存剤及び潤滑剤(例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)。
【0098】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲に維持するのに十分な量で緩衝剤を含む。各種の公知の生理学的に適合性のある緩衝剤を使用することができる。本発明におけるコンタクトレンズケア組成物の成分として好適な緩衝剤は、当業者に公知である。例としては、以下が挙げられる:ホウ酸、ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、例えばクエン酸カリウム、重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、トリス(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、ビス-トリス(ビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)-メタン)、ビス-アミノポリオール、トリエタノールアミン、ACES(N-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3-[N-モルホリノ]-プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)、TES(N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、それらの塩、リン酸塩緩衝剤、例えばNa2HPO4、NaH2PO4及びKH2PO4又はそれらの混合物。緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤又はそれらの組合せであることが好ましい。パッケージング溶液中のそれぞれの緩衝剤の量は、好ましくは、0.001重量%~2重量%、より好ましくは0.01重量%~1重量%、最も好ましくは約0.05重量%~約0.30重量%である。
【0099】
パッケージング溶液は、約200~約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250~約350mOsmの張性を有する。パッケージング溶液の張性は、張性に影響を与える有機又は無機の物質を添加することによって調節することができる。眼に許容される好適な張性剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本発明のパッケージング溶液は、25℃で約1センチポワズ~約5センチポワズの粘度を有する。
【0101】
好ましい実施形態では、パッケージング溶液は、好ましくは、約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、さらにより好ましくは約0.1重量%~約1重量%、最も好ましくは約0.2重量%~約0.5重量%の親水性コポリマーを含む。
【0102】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、レンズパッケージ中の水溶液中に含浸された予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを密封し、且つ密封されたレンズパッケージを約20~90分間、約115℃~約125℃の温度でオートクレーブ処理する工程をさらに含む。
【0103】
別の態様では、本発明は、ヒドロゲルレンズ体及びその上のコーティングを含むソフトコンタクトレンズであって、ヒドロゲルレンズ体は、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造され、コーティングは、(a)それぞれボロン酸基を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの層を含み、コーティングは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとヒドロゲルレンズ体の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルレンズ体に共有結合され、ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルレンズ体の表面潤滑性より良好な表面潤滑性を有する、ソフトコンタクトレンズを提供する。
【0104】
ヒドロゲルレンズ体は、三次元形状のヒドロゲルコンタクトレンズを有する。本発明によると、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ(上記で記載されるもののいずれか1つ)は、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ(すなわちヒドロゲルレンズ体)上に親水性コポリマー(上記で記載されるもののいずれか1つ)のコーティング(又は層)を形成するための(上記で記載される)表面処理を受けた後、ヒドロゲルレンズ体になる。
【0105】
本発明によると、ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、(室温、約22℃~28℃において)好ましくは約15重量%~約80重量%、より好ましくは約30重量%~約70重量%の水分含有量、約0.2MPa~約1.5MPa(好ましくは約0.3MPa~約1.3MPa、より好ましくは約0.4MPa~約1.1MPa、さらにより好ましくは約0.5MPa~約1.0MPaの弾性率を有する。さらに、ソフトコンタクトレンズは、約2.5以下(好ましくは約2.0以下、より好ましくは約1.5以下、さらにより好ましくは約1.0以下)の摩擦等級を有する。
【0106】
本発明のソフトコンタクトレンズは、着用快適性の改善を提供するために改善された表面潤滑性を有する、毎日使い捨てヒドロゲルコンタクトレンズとしての特定の使用を見出すことができる。本発明のソフトコンタクトレンズの表面上に潤滑性コーティングを固定することができる環式ボロン酸エステル結合の可逆性のために、そのようなソフトコンタクトレンズは、ビルドイン(build-in)着用順応性を有すると考えられる。そのようなレンズを患者が着用するとき、pHの変化及び涙液中の糖類の存在によって環式ボロン酸エステル結合が長時間かけて(例えば10~16時間かけて)徐々に分解することが可能であり、親水性コポリマーが潤滑剤として徐々に患者の眼中に放出されることが可能であることが考えられる。1日着用後のソフトコンタクトレンズの表面潤滑性の悪化は、ビルドイン毎日着用順応性として役割を果たすことができる。
【0107】
さらに別の態様では、本発明は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質から製造されるヒドロゲルコンタクトレンズを処理、貯蔵又はパッケージングするための水溶液であって、約6~約8のpHを維持するために十分な量の1つ以上の緩衝剤と、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位、及び(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む親水性コポリマーとを含み、親水性コポリマーは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルコンタクトレンズ上に共有結合することが可能であり、それによりヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層又はコーティングが形成される、水溶液を提供する。
【0108】
上記で記載される親水性コポリマー、緩衝剤、張性剤、張性及び粘度の全ての種々の実施形態が本発明の本態様に組み込まれる。
【0109】
本発明の水溶液は、ヒドロゲルコンタクトレンズの表面潤滑性を改善するように、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質から製造されたヒドロゲルコンタクトレンズを処理、特に貯蔵又はパッケージングするための特定の用途を見出すことができる。
【0110】
さらなる態様では、本発明は、パッケージング溶液と、密封されたパッケージ中のパッケージング溶液中で含浸及びオートクレーブ処理されたソフトヒドロゲルコンタクトレンズとを含む密封及び殺菌されたパッケージを含む眼科的製品であって、パッケージング溶液は、約6.0~約8.0のpH、約200~約450mOsm/kgの張性及び25℃において約5.0センチポアズまでの粘度を有し、ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルレンズ体及びその上のコーティングを含み、ヒドロゲルレンズ体は、1,2-ジオール及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造され、コーティングは、(a)それぞれボロン酸基を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの層を含み、コーティングは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルレンズ体に共有結合される、眼科的製品を提供する。
【0111】
上記で記載されるソフトコンタクトレンズ、親水性コポリマー、パッケージング溶液、緩衝剤、張性剤、張性及び粘度の全ての種々の実施形態が本発明の本態様に組み込まれる。
【0112】
本発明の眼科用製品は、着用快適性の改善性を提供するために改善された表面潤滑性を有する、毎日使い捨てヒドロゲルコンタクトレンズとしての特定の使用を見出すことができる。
【0113】
本発明の各種の実施形態を特定の用語、デバイス、方法を使用して記述してきたが、そのような記述は、単に説明のためのみのものである。使用した用語は、限定のための用語というよりも説明のための用語である。当業者により、以下の請求項で示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく変更形態及び変形形態がなされ得ることを理解されたい。さらに、以下で説明するように、各種の実施形態の態様は、全面的若しくは部分的のいずれで相互に置き換えられ得るか、又は各種の方式で組み合わされ且つ/若しくは同時に使用され得ることも理解されたい。
【0114】
1.ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、
(1)予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程であって、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズは、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、工程と、
(2)それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通して、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層又はコーティングを共有結合させるための時間にわたり、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズを、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの水溶液と接触させる工程と
を含む方法。
【0115】
2.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、第1の表面潤滑性を有し、ソフトコンタクトレンズは、予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズの第1の表面潤滑性より良好である第2の表面潤滑性を有する、実施形態1の方法。
【0116】
3.水溶液は、約6.5~約9.0のpHを有する、実施形態1又は2の方法。
【0117】
4.水溶液は、約6.5~約8.5のpHを有する、実施形態1又は2の方法。
【0118】
5.水溶液は、約6.8~約8.0のpHを有する、実施形態1又は2の方法。
【0119】
6.水溶液は、約0.01重量%~約2.5重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態1~5のいずれか一項の方法。
【0120】
7.水溶液は、約0.02重量%~約2.0重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態1~5のいずれか一項の方法。
【0121】
8.水溶液は、約0.05重量%~約1.5重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態1~5のいずれか一項の方法。
【0122】
9.水溶液は、約0.05重量%~約1重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態1~5のいずれか一項の方法。
【0123】
10.接触時間は、少なくとも1分である、実施形態1~9のいずれか一項の方法。
【0124】
11.接触時間は、少なくとも5分である、実施形態1~9のいずれか一項の方法。
【0125】
12.接触時間は、少なくとも10分である、実施形態1~9のいずれか一項の方法。
【0126】
13.接触時間は、約20分~約5時間である、実施形態1~9のいずれか一項の方法。
【0127】
14.接触工程は、レンズパッケージ中の水溶液中に予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズを直接浸漬することによって行われ、水溶液は、パッケージング溶液である、実施形態1~13のいずれか一項の方法。
【0128】
15.パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを維持するための緩衝剤を含有する、実施形態14の方法。
【0129】
16.パッケージング溶液は、約200~約450ミリオスモル(mOsm)の張性を有する、実施形態14又は15の方法。
【0130】
17.パッケージング溶液は、約250~約350mOsmの張性を有する、実施形態14又は15の方法。
【0131】
18.レンズパッケージを密封し、且つ密封されたレンズパッケージを約20~90分間、約115℃~約125℃の温度でオートクレーブ処理する工程をさらに含む、実施形態14~17のいずれか一項の方法。
【0132】
19.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ形成組成物(又は配合物)を再利用可能な型中に導入し、化学線の空間的制限下、再利用可能な型中でレンズ形成組成物(又は配合物)を硬化することによって得られる、実施形態1~18のいずれか一項の方法。
【0133】
20.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ形成組成物(又は配合物)を使い捨て可能な型中に導入し、使い捨て可能な型中でレンズ形成組成物(又は配合物)を硬化することによって得られる、実施形態1~18のいずれか一項の方法。
【0134】
21.ヒドロゲルレンズ体及びその上のコーティングを含むソフトコンタクトレンズであって、
ヒドロゲルレンズ体は、1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造され、
コーティングは、(a)それぞれボロン酸基を有するアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む親水性コポリマーの層を含み、コーティングは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルレンズ体に共有結合される、ソフトコンタクトレンズ。
【0135】
22.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、少なくとも50モル%の、ビニルアルコールの繰り返し単位を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20のいずれか一項の方法又は実施形態21のソフトコンタクトレンズ。
【0136】
23.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、少なくとも60モル%の、ビニルアルコールの繰り返し単位を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20のいずれか一項の方法又は実施形態21のソフトコンタクトレンズ。
【0137】
24.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、少なくとも70モル%の、ビニルアルコールの繰り返し単位を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20のいずれか一項の方法又は実施形態21のソフトコンタクトレンズ。
【0138】
25.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、少なくとも75モル%の、ビニルアルコールの繰り返し単位を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20のいずれか一項の方法又は実施形態21のソフトコンタクトレンズ。
【0139】
26.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、ビニルアルコールの繰り返し単位、及び式(I)
【化12】
(式中、
R
3は、水素又はC
1~C
6アルキル基(好ましくは水素)であり得、
R
4は、C
1~C
6アルキレンの二価のラジカル(好ましくはC
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、より好ましくはメチレン又はブチレンの二価のラジカル、さらにより好ましくはメチレンの二価のラジカル)であり、
R
5は、水素又はC
1~C
6アルキル(好ましくは水素又はC
1~C
4アルキル、より好ましくは水素、又はメチル、又はエチル、さらにより好ましくは水素又はメチル)であり、
R
6は、
【化13】
(式中、q1及びq2は、互いに独立して、ゼロ又は1であり、且つR
7及びR
8は、互いに独立して、C
2~C
8アルキレンの二価のラジカルであり、R
9は、C
2~C
8アルケニルである)
のエチレン性不飽和基である)
の繰り返し単位を含む、水溶性の化学線で架橋可能なポリビニルアルコールプレポリマーの重合生成物であるポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0140】
27.式(I)中、R
4は、メチレンの二価のラジカルであり、R
5は、水素又はC
1~C
4アルキルであり、R
3は、水素であり、且つR
6は、
【化14】
(式中、q2は、ゼロであり、R
9は、ビニル(
*-CH=CH
2)又は1-メチルエテニル(
*-C(CH
3)=CH
2)である)
のラジカルである、実施形態26の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0141】
28.ポリビニルアルコールプレポリマーは、少なくとも約2,000ダルトンの重量平均分子量を有し、且つ約1モル%~約25モル%(好ましくは約2モル%~約15モル%)の、式(I)の繰り返し単位を含む、実施形態26又は27の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0142】
29.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも5%の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0143】
30.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも10%の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0144】
31.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも15%の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0145】
32.予備形成されたヒドロゲルコンタクトレンズ又はヒドロゲルレンズ体は、それぞれ1つ以上の1,2-及び/又は1,3-ジオール部分を有する、少なくとも1つの種類のジオール含有繰り返し単位を含み、且つ繰り返し単位当量によって少なくとも20%の1,2-及び1,3-ジオール部分を有するポリマー物質を含むか又はそれから製造される、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0146】
33.ポリマー物質は、少なくとも1つのジオール含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態1~20及び22~25のいずれか一項の方法又は実施形態21~25のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0147】
34.前記少なくとも1つのジオール含有ビニルモノマーは、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-グルコンアミドエチル(メタ)アクリルアミド、3-グルコンアミドプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、グルコシル(メタ)アクリレート、グルコシルオキシエチル(メタ)アクリレート、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-アリルオキシメチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(すなわちトリメチロールプロパンアリルエーテル)、アリルα-D-マンノプラノシド、アリルα-D-ガラクトピラノシド、アリル6-デオキシヘキソピラノシド、アリル6-デオキシ-2-O-メチルヘキソピラノシド及びその組合せからなる群から選択される、実施形態33の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0148】
35.ポリマー物質は、少なくとも1つのジオール含有ビニル架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態1~20、22~25、33及び34のいずれか一項の方法又は実施形態21~25、33及び34のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0149】
36.前記少なくとも1つのジオール含有ビニル架橋剤は、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、N,N’-(2,3-ジヒドロキシブチレン)ビス-(メタ)アクリルアミド、それぞれメチル置換基及び1つのジオール含有置換基を有するシロキサン単位を含むポリジメチルシロキサンビニル架橋剤並びにその組合せからなる群から選択される、実施形態35の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0150】
37.親水性コポリマーは、(a)約0.5モル%~約25モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約75モル%~約99.5モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~36のいずれか一項の方法又は実施形態21~36のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0151】
38.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約80モル%~約99モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~36のいずれか一項の方法又は実施形態21~36のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0152】
39.親水性コポリマーは、(a)約2モル%~約18モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約82モル%~約98モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~36のいずれか一項の方法又は実施形態21~36のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0153】
40.親水性コポリマーは、(a)約3モル%~約15モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約85モル%~約97モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~36のいずれか一項の方法又は実施形態21~36のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0154】
41.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、式(II)
【化15】
(式中、R
1は、H、NO
2、F、Cl又はCF
3であり、Qは、
【化16】
の一価のラジカルであり、Lは、直接結合、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、
【化17】
の二価のラジカルであり、ここで、Y
1は、CH(OH)又はC
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、Y
2は、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、且つR
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
のビニルモノマーである、実施形態1~20及び22~40のいずれか一項の方法又は実施形態21~40のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0155】
42.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、3-ビニルフェニルボロン酸、4-ビニルボロン酸、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、4-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸及びその組合せからなる群から選択される、実施形態1~20及び22~40のいずれか一項の方法又は実施形態21~40のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0156】
43.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、アミノ含有フェニルボロン酸誘導体と(メタ)アクリル酸ハライドとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるアミノ含有フェニルボロン酸誘導体とカルボキシ含有ビニルモノマーとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるカルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体とアミノ含有ビニルモノマーとの反応生成物並びにその組合せからなる群から選択される、実施形態1~20及び22~40のいずれか一項の方法又は実施形態21~40のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0157】
44.カルボキシ含有フェニルボロン酸誘導は、3-カルボキシフェニルボロン酸、4-カルボキシフェニルボロン酸、3-ボロノフェニル酢酸、4-ボロノフェニル酢酸、2-(4-ボロノフェニル)-2-メチルプロパン酸、3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸、3-(3-ボロノフェニル)プロパン酸、5-(3-ボロノフェニル)ペンタン酸、5-(4-ボロノフェニル)ペンタン酸、4-(2-カルボキシエチル)-3-ニトロフェニルボロン酸、3-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)フェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
アミノ含有フェニルボロン酸誘導体は、3-アミノフェニルボロン酸、4-アミノフェニルボロン酸、4-アミノ-3-ニトロフェニルボロン酸、4-アミノ-4-フルオロフェニルボロン酸、2-(アミノメチル)-5-ニトロフェニルボロン酸、3-(アミノメチル)-フェニルボロン酸、3-アミノ-5-ニトロフェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
カルボキシ含有ビニルモノマーは、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択され、
アミノ含有ビニルモノマーは、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せからなる群から選択される、実施形態43の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0158】
45.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、ホスホリルコリン含有ビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0159】
46.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0160】
47.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0161】
48.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0162】
49.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0163】
50.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0164】
51.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0165】
52.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0166】
53.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0167】
54.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態45の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0168】
55.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約60モル%~約98モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約1モル%~約20モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0169】
56.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約60モル%~約97モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約2モル%~約20モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0170】
57.親水性コポリマーは、(a)約2モル%~約15モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約70モル%~約95モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約3モル%~約15モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0171】
58.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~14個の炭素原子を有する、実施形態55~57のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0172】
59.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~12個の炭素原子を有する、実施形態55~57のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0173】
60.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~10個の炭素原子を有する、実施形態55~57のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0174】
61.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、C1~C12アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリレート、C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群から選択される、実施形態55~57のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0175】
62.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、n-ブチル(メタ)アクリレート及び/又はジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートである、実施形態55~57のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0176】
63.ホスホリルコリン含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びその組合せからなる群から選択される、実施形態45~62のいずれか一項の方法又はソフトコンタクトレンズ。
【0177】
64.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0178】
65.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0179】
66.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0180】
67.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0181】
68.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0182】
69.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド又はその組合せである。
【0183】
70.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0184】
71.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0185】
72.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0186】
73.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態1~20及び22~44のいずれか一項の方法又は実施形態21~44のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0187】
74.ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、(室温、約22℃~28℃において)約15重量%~約80重量%の平衡含水量を有する、実施形態1~20及び22~73のいずれか一項の方法又は実施形態21~73のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0188】
75.ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率を有する、実施形態1~20及び22~74のいずれか一項の方法又は実施形態21~74のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0189】
76.ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、約0.3MPa~約1.3MPaの弾性率を有する、実施形態1~20及び22~74のいずれか一項の方法又は実施形態21~74のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0190】
77.ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、約0.4MPa~約1.1MPaの弾性率を有する、実施形態1~20及び22~74のいずれか一項の方法又は実施形態21~74のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0191】
78.ソフトコンタクトレンズは、完全に水和される場合、約0.5MPa~約1.0MPaの弾性率を有する、実施形態1~20及び22~74のいずれか一項の方法又は実施形態21~74のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0192】
79.親水性コポリマーは、少なくとも約100,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態1~20及び22~78のいずれか一項の方法又は実施形態21~78のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0193】
80.親水性コポリマーは、少なくとも約125,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態1~20及び22~78のいずれか一項の方法又は実施形態21~78のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0194】
81.親水性コポリマーは、少なくとも約250,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態1~20及び22~78のいずれか一項の方法又は実施形態21~78のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0195】
82.親水性コポリマーは、少なくとも約400,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態1~20及び22~78のいずれか一項の方法又は実施形態21~78のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0196】
83.ソフトコンタクトレンズは、約2.5以下の摩擦等級を有する、実施形態1~20及び22~82のいずれか一項の方法又は実施形態21~82のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0197】
84.ソフトコンタクトレンズは、約2.0以下の摩擦等級を有する、実施形態1~20及び22~82のいずれか一項の方法又は実施形態21~82のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0198】
85.ソフトコンタクトレンズは、約1.5以下の摩擦等級を有する、実施形態1~20及び22~82のいずれか一項の方法又は実施形態21~82のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0199】
86.ソフトコンタクトレンズは、約1.0以下の摩擦等級を有する、実施形態1~20及び22~82のいずれか一項の方法又は実施形態21~82のいずれか一項のソフトコンタクトレンズ。
【0200】
87.パッケージング溶液と、密封されたパッケージ中のパッケージング溶液中で含浸及びオートクレーブ処理された実施形態21~86のいずれか一項のソフトコンタクトレンズとを含む密封及び殺菌されたパッケージを含む眼科的製品であって、パッケージング溶液は、約6.0~約8.0のpH、約200~約450mOsm/kgの張性及び25℃において約5.0センチポアズまでの粘度を有する、眼科的製品。
【0201】
88.1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルレンズコンタクトレンズを処理、貯蔵又はパッケージングするための水溶液であって、
約6~約8のpHを維持するために十分な量の1つ以上の緩衝剤と、親水性コポリマーとを含み、
親水性コポリマーは、(a)それぞれボロン酸を有するアリールボロノ含有繰り返し単位、及び(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含み、
ヒドロゲルコンタクトレンズとの接触時、親水性コポリマーは、それぞれ親水性コポリマーのボロン酸基の1つとポリマー物質の1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分の1つとの間に形成される結合を通してヒドロゲルコンタクトレンズ上に共有結合し、それによりヒドロゲルコンタクトレンズ上に親水性コポリマーの層又はコーティングが形成され、
水溶液は、約200~約450ミリオスモル(mOsm)の張性を有する、水溶液。
【0202】
89.水溶液は、約0.01重量%~約2.5重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態88の水溶液。
【0203】
90.水溶液は、約0.02重量%~約2.0重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態88の水溶液。
【0204】
91.水溶液は、約0.05重量%~約1.5重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態88の水溶液。
【0205】
92.水溶液は、約0.05重量%~約1重量%の親水性コポリマーを含む、実施形態88の水溶液。
【0206】
93.親水性コポリマーは、(a)約0.5モル%~約25モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約75モル%~約99.5モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態88~92のいずれか一項の水溶液。
【0207】
94.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約80モル%~約99モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態88~92のいずれか一項の水溶液。
【0208】
95.親水性コポリマーは、(a)約2モル%~約18モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約82モル%~約98モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態88~92のいずれか一項の水溶液。
【0209】
96.親水性コポリマーは、(a)約3モル%~約15モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約85モル%~約97モル%の、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むが、ただし、成分(a)及び(b)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態88~92のいずれか一項の水溶液。
【0210】
97.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、式(II)
【化18】
(式中、R
1は、H、NO
2、F、Cl又はCF
3であり、Qは、
【化19】
の一価のラジカルであり、Lは、直接結合、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカル、
【化20】
の二価のラジカルであり、ここで、Y
1は、CH(OH)又はC
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、Y
2は、C
1~C
4アルキレンの二価のラジカルであり、且つR
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
のビニルモノマーである、実施形態88~96のいずれか一項の水溶液。
【0211】
98.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、3-ビニルフェニルボロン酸、4-ビニルボロン酸、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、4-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸及びその組合せからなる群から選択される、実施形態88~96のいずれか一項の水溶液。
【0212】
99.前記少なくとも1つのアリールボロノ含有ビニルモノマーは、アミノ含有フェニルボロン酸誘導体と(メタ)アクリル酸ハライドとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるアミノ含有フェニルボロン酸誘導体とカルボキシ含有ビニルモノマーとの反応生成物、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はその混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下におけるカルボキシ含有フェニルボロン酸誘導体とアミノ含有ビニルモノマーとの反応生成物並びにその組合せからなる群から選択される、実施形態88~96のいずれか一項の水溶液。
【0213】
100.カルボキシ含有フェニルボロン酸誘導は、3-カルボキシフェニルボロン酸、4-カルボキシフェニルボロン酸、3-ボロノフェニル酢酸、4-ボロノフェニル酢酸、2-(4-ボロノフェニル)-2-メチルプロパン酸、3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸、3-(3-ボロノフェニル)プロパン酸、5-(3-ボロノフェニル)ペンタン酸、5-(4-ボロノフェニル)ペンタン酸、4-(2-カルボキシエチル)-3-ニトロフェニルボロン酸、3-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)フェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
アミノ含有フェニルボロン酸誘導体は、3-アミノフェニルボロン酸、4-アミノフェニルボロン酸、4-アミノ-3-ニトロフェニルボロン酸、4-アミノ-4-フルオロフェニルボロン酸、2-(アミノメチル)-5-ニトロフェニルボロン酸、3-(アミノメチル)-フェニルボロン酸、3-アミノ-5-ニトロフェニルボロン酸、3-アミノ-3-(4-ボロノフェニル)プロパン酸及びその組合せからなる群から選択され、
カルボキシ含有ビニルモノマーは、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択され、
アミノ含有ビニルモノマーは、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、C1~C3アルキルアミノ-C2~C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せからなる群から選択される、実施形態99の水溶液。
【0214】
101.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、ホスホリルコリン含有ビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0215】
102.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0216】
103.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0217】
104.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0218】
105.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0219】
106.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せである。
【0220】
107.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0221】
108.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0222】
109.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0223】
110.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーをさらに含む、実施形態101の水溶液。
【0224】
111.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約60モル%~約98モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約1モル%~約20モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態101の水溶液。
【0225】
112.親水性コポリマーは、(a)約1モル%~約20モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約60モル%~約97モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約2モル%~約20モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態101の水溶液。
【0226】
113.親水性コポリマーは、(a)約2モル%~約15モル%のアリールボロノ含有繰り返し単位と、(b)約70モル%~約95モル%の、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニルモノマーの繰り返し単位と、(c)約3モル%~約15モル%の、3~16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリルモノマーのアクリルモノマー単位とを含むが、ただし、成分(a)、(b)及び(c)並びに上記で列挙されない他の成分のモル百分率の合計は、100%である、実施形態101の水溶液。
【0227】
114.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~14個の炭素原子を有する、実施形態111~113のいずれか一項の水溶液。
【0228】
115.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~12個の炭素原子を有する、実施形態111~113のいずれか一項の水溶液。
【0229】
116.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、3~10個の炭素原子を有する、実施形態111~113のいずれか一項の水溶液。
【0230】
117.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、C1~C12アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリレート、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリレート、C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、カルボキシ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、NH2置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ置換C2~C12アルキル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノ置換C2~C10アルキル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノ置換C2~C8アルキル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群から選択される、実施形態111~113のいずれか一項の水溶液。
【0231】
118.前記少なくとも1つのアクリルモノマーは、n-ブチル(メタ)アクリレート及び/又はジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートである、実施形態111~113のいずれか一項の水溶液。
【0232】
119.ホスホリルコリン含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びその組合せからなる群から選択される、実施形態101~118のいずれか一項の水溶液。
【0233】
120.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタン酸、5-(メタ)アクリロイルオキシペンタン酸、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~119のいずれか一項の水溶液。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びその組合せである。
【0234】
121.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0235】
122.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0236】
123.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアミン、アリルアミン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0237】
124.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、2-アクリルアミドグリコール酸、3-アクリルアミドプロピオン酸、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸、3-アクリロイルオキシプロパン酸、4-アクリロイルオキシブタン酸、5-アクリロイルオキシペンタン酸及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0238】
125.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド又はその組合せである。
【0239】
126.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0240】
127.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0241】
128.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0242】
129.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む、実施形態88~100のいずれか一項の水溶液。
【0243】
130.親水性コポリマーは、少なくとも約100,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態88~129のいずれか一項の水溶液。
【0244】
131.親水性コポリマーは、少なくとも約125,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態88~129のいずれか一項の水溶液。
【0245】
132.親水性コポリマーは、少なくとも約250,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態88~129のいずれか一項の水溶液。
【0246】
133.親水性コポリマーは、少なくとも約400,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態88~129のいずれか一項の水溶液。
【0247】
134.水溶液は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルレンズコンタクトレンズをパッケージングするためのパッケージング溶液である、実施形態88~133のいずれか一項の水溶液。
【0248】
135.水溶液は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルレンズコンタクトレンズを貯蔵するための貯蔵溶液である、実施形態88~133のいずれか一項の水溶液。
【0249】
136.水溶液は、1,2-ジオール及び1,3-ジオール部分を含むポリマー物質を含むか又はそれから製造されるヒドロゲルレンズコンタクトレンズ上にコーティングを形成するための処理溶液である、実施形態88~133のいずれか一項の水溶液。
【0250】
当業者であれば、上記の本開示により、本発明を実施することが可能となるであろう。本明細書に記載された各種の実施形態に対する各種の修正形態、変更形態及び組合せが可能である。読者が具体的な実施形態及びその利点をより良く理解できるようにするために、以下の実施例を参照することが提案される。本明細書及び実施例が例示的なものであることを理解されたい。
【実施例】
【0251】
実施例1
表面の濡れ性試験
コンタクトレンズ上での水接触角(WCA)は、コンタクトレンズの表面の濡れ性の一般的な尺度である。具体的には、水接触角が小さいことは、より濡れやすい表面に対応する。
【0252】
コンタクトレンズの動的キャプティブバブル接触角は、FDS Future Digital Scientific Corp.からのFDS計測器デバイスを使用して測定される。FDS装置により、前進及び後退接触角を測定することができる。測定は、室温において、水和されたコンタクトレンズ上で実行される。別途指定されない限り、コンタクトレンズをバイアルから取り出して、約40mLの新鮮なリン酸緩衝食塩水(PBS)に浸漬し、少なくとも30分間震動し、次いで新鮮なPBSで置き換え、浸漬し、さらに30分間震動する。次いで、コンタクトレンズをレンズペーパー上に配置し、軽くたたいて表面の水を除去し、その後、フロントカーブを上にしてレンズホルダーの上部に配置し、次いでレンズホルダー上部をねじ留めする。PBSが充填されたガラスセルキュベット中に安全レンズホルダーを配置する。FDS計測器のステージにガラスセルキュベットを配置する。レンズ表面に気泡を分配するためにステージ高さ及びシリンジニードルを調節する。前進及び後退接触角を得るために、全てのレンズに対して分配/回収の3サイクルを繰り返す。以下の実施例では後退接触角が報告される。
【0253】
コンタクトレンズの平均接触角(Sessile Drop法)は、AST,Inc.(Boston,Massachusetts)製のVCA 2500 XE接触角測定デバイスを使用して測定する。この装置は、前進若しくは後退接触角又は静止(sessile)(静的)接触角を測定することができる。その測定は、完全に水和されたコンタクトレンズについて、下記のブロット乾燥の直後に実施する。コンタクトレンズをバイアルから取り出し、約200mlの新鮮なDI水を用いて3回洗浄して、緩く付着しているパッケージ添加物をレンズ表面から取り除く。次いで、そのレンズをほとんど毛羽立ちのないクリーンクロス(Alpha Wipe TX1009)上にのせ、十分に軽く押さえて表面の水を除き、接触角装置の測定台上にのせ、乾燥空気を吹き付けてブロー乾燥させ、且つ最後に液滴接触角を、製造業者によって提供されたソフトウェアを使用して自動的に計測する。接触角を測定するために使用するDI水は、18MΩcmより高い抵抗率を有し、その液滴の容積は、2μlである。ピンセット及び試験台は、イソプロパノールを用いて十分に洗浄し、DI水で濯いでからコンタクトレンズと接触させる。
【0254】
潤滑性の評価
コンタクトレンズの潤滑性は、指触感触潤滑性試験を使用して評価し、この試験は、レンズ表面の滑りやすさを定性的に0~4の摩擦等級スケールで特徴付ける。摩擦等級が高いほど、滑りやすさ(すなわち潤滑性)が低い。
【0255】
市販されているレンズ:DAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)、ACCUVUE(登録商標)OASYS(商標)、ACCUVUE(登録商標)ADVANCE PLUS(商標)、DAILIES(登録商標)Aqua Comfort Plus(登録商標)及びAIR OPTIX(登録商標)をそれぞれ0、1、2、3及び4の摩擦等級(以下ではFRと表記する)に割り当てる。それらを、試験にかけているレンズの摩擦等級を決定するための標準レンズとして使用する。
【0256】
サンプルをPBS中に入れ、それぞれ30分ずつ少なくとも2回濯ぎ、その後、新鮮なPBSに移してから評価にかける。評価前に石鹸溶液を用いて両手を洗い、DI水を用いて確実に濯ぎ、次いでKimWipe(登録商標)タオルで乾かす。指間でサンプルを扱い、先に記載した上記の標準レンズと比較してそれぞれのサンプルに数字を割り当てる。例えば、レンズがAIR OPTIX(登録商標)レンズよりもごくわずかに良好であると判断したら、それらに3の数字を割り当てる。摩擦等級の数値は、2人以上による1つのコンタクトレンズについての少なくとも2つの摩擦等級の結果を平均し、且つ/又は1人による2つ以上のコンタクトレンズ(レンズの製造バッチが同じもの)の摩擦等級を平均化することによって得る。
【0257】
コンタクトレンズの指潤滑性(すなわち摩擦等級)は、パックから取り出し、次いでPBSに30分以上浸漬させた後又はiサイクル(例えば7、14、21又は30サイクル)の上記手順に従う指擦り処理後に直接アウト-オブ-パック(OOP)で決定することができる。
【0258】
化学物質
以下の実施例では、以下の略語を使用する:NVPは、N-ビニルピロリドンを表し、VPBAは、4-ビニルフェニルボロン酸を表し、PVAは、ポリビニルアルコールを表し、MPCは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを表し、PBSは、25℃において7.2±0.2のpHを有し、且つ約0.044重量%のNaH
2PO
4・H
2O、約0.388重量%のNa
2HPO
4・2H
2O及び約0.79重量%のNaClを含有するリン酸緩衝食塩水を表し、且つ重量%は、重量パーセントを表し、TAAは、tert-アミルアルコールを表し、PrOHは、1-プロパノールを表し、IPAは、イソプロパノールを表し、PEG
200MAは、200ダルトンの数平均分子量、Mnを有するポリエチレングリコールモノメタクリレートを表し、PEG
300MAは、300ダルトンの数平均分子量、Mnを有するポリエチレングリコールモノメタクリレートを表し、PEG
950MAは、950ダルトンの数平均分子量、Mnを有するポリエチレングリコールモノメタクリレートを表し、DMAは、N,N-ジメチルアニリンアクリルアミドを表し、BMAは、n-ブチルメタクリレートを表し、DGMEMAは、ジ(エチレングリコール)メタクリレートを表し、AAPH(Vazo-56)は、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパンガスジヒドロクロリドを表し、DI水は、脱イオン水を表し、βMEは、β-メルカプトエタノールを表し、HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを表し、PEG400は、400ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコールを表し、D9は、モノブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsuから、Mw約984g/モル)を表し、MMAは、メチルメタクリレートを表し、TEGDMAは、トリエチレングリコールジメタクリレートを表し、VAZO 64は、2,2’-ジメチル-2,2’アゾジプロピオノニトリルを表し、Noblocは、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートであり、UV28は、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾールを表し、「G4」マクロマーは、式(A)のジ-メタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約13.5Kg/モル、OH含有量約1.8meq/g)を表す。
【化21】
【0259】
実施例2
Alcon(登録商標)からのDAILIES(登録商標)AquaComfort Plus(登録商標)(DACP)コンタクトレンズは、ポリビニルアルコールコンタクトレンズである。それらは、国際公開第2002071106号パンフレットの実施例8-8dに記載の自動化されたレンズ製造プロセスに従い、式(I)の繰り返し単位を有するポリビニルアルコールプレポリマーを含み、且つ国際公開第02/071106号パンフレットの実施例3に記載の手順に従って調製される水性レンズ配合物から製造される。DACPコンタクトレンズは、それらのプロピレンレンズパッケージから取り出されて、本出願の以下の実施例で使用される一晩以上前に脱イオン水(DI水)中に浸漬される。
【0260】
実施例3
重合性組成物の調製
レンズ配合物(重合性組成物)III~VIは、表1に示される(単位部での)組成を有するように調製される。
【0261】
【0262】
撹拌バーを有する清潔なボトル中に、列挙された成分をそれらの標的量で添加し、室温で30分間、600rpmで混合することによって配合物を調製する。全ての固体が溶解した後、2.7μmガラスマイクロファイバーフィルターを使用することによって配合物の濾過を実行する。
【0263】
キャスト成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
レンズ配合物に室温で30~35分間、窒素パージする。N2パージされたレンズ配合物をポリプロピレン型中に導入し、以下の硬化条件下においてオーブン中で熱硬化する:室温から第1の温度まで温度上昇、次いで第1の硬化時間中に第1の温度で保持;第1の温度から第2の温度まで温度上昇、第2の硬化時間中に第2の温度で保持;第2の温度から第3の温度まで任意選択的に温度上昇、第3の硬化時間中に第3の温度で保持;及び第3の温度から第4の温度まで任意選択的に温度上昇、第4の硬化時間中に第4の温度で保持。
【0264】
プッシュピンを有する離型機を使用することにより、レンズ型を開放する。プッシュピンを用いてレンズをベースカーブ型上に押し、次いで型をベースカーブ型半体部分及びフロントカーブ型半体部分に分離する。その上にレンズを有するベースカーブ型半体部分を超音波デバイス(例えば、Dukaneのシングルホーン超音波デバイス)中に配置する。特定のエネルギー力を用いて、乾燥状態のレンズを型から取り出す。乾燥状態のレンズを、設計された抽出トレイに装填する。代わりに、浮かせることによってレンズをベースカーブ型半体部分から取り出すことができる(すなわち超音波を用いずに有機溶媒、例えばIPA中に浸漬させる)。
【0265】
レンズの特徴決定前に、得られたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズに以下の成形後プロセスを受けさせる。離型後、上記で調製されたSiHyレンズを室温で100%のIPAによって15分間抽出し、50%/50%のIPA/水混合物中に30分間、次いでDI水中に30分間含浸し、最後に室温においてPBS食塩水で約60分間濯ぐ。PBS中で5分間濯いだ後、レンズは本出願の以下の実施例での使用に関して用意ができている。
【0266】
得られたSiHyレンズは、式(A)のポリジメチルシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含み、且つ式(A)のポリジメチルシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位のそれぞれ1個のグリセロール含有有機置換基を有するシロキサン単位を含むため、グリセロール含有SiHyレンズと示される。
【0267】
実施例4
NVP-VPBAコポリマーの調製
100mlの丸底フラスコ中において、0.32gの1-フェニルビニルボロン酸、4.47gのNVP及び0.047gのVazo 64を添加する。窒素インレットをフラスコ及び水冷却管に接続する。磁気撹拌機を備えた油浴中にフラスコを設置し、75℃において5時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却した後、それを20mlのガラスバイアル中に移す。窒素を一晩、ニードルによって液体中に吹き込み、琥珀色の非常に粘性の液体が得られる。得られた生成物の水溶液(2重量%)は、完全に透明である。水相GPC試験によると、2.6の多分散性で367KDaの数平均分子量が示される。
【0268】
ポリ(NVP-co-VPBA)の水溶液の調製
約2重量%の濃度を有するようにDI水中に上記で調製されたNVP-VPBAコポリマーを溶解することによってコーティング溶液を調製し、次いでpHを約9に調節する。
【0269】
ポリ(NVP-co-VPBA)がコーティングされたPVAコンタクトレンズの調製
実施例2で調製されたPVAコンタクトレンズを室温で一晩、上記で調製されたコーティング溶液中に浸漬した。得られたPVAコンタクトレンズをXPS試験によって試験する。表1のXPSの結果は、得られたPVAコンタクトレンズが、未コーティングのレンズと比較して、レンズ表面上で相対的に高いN含有量を有することを示し、これは、レンズ表面上のポリ(NVP-co-VPBA)の層(又はコーティング)の存在を示す。
【0270】
【0271】
実施例5
二成分コポリマー-ポリ(PEG200MA-co-VPBA)の合成
約1.133gのVPBAを25.0gのPrOH中に溶解し、VPBA溶液を得る。これを、5μmナイロンフィルターを備えたシリンジを通して、N2インレット、オーバーヘッド撹拌機、熱電対、冷却管及びバブラーを備えた500mL反応器中に導入する。約18.88gのPEG200MAを20.0gのDI水中に溶解し、反応器に流し入れ、追加の2×20.0gのDI水を用いて濯ぐ。約00693gのAAPHを5.0gのDI水中に溶解し、反応器に流し入れ、追加の2×5.0gのDI水、続いて15.0gのDI水及び65.0gのPrOHを用いて濯ぐ。マイクロピペットを用いて、約3.65mLのメルカプトエタノール(βME)溶液(100mLのDI水中の0.274gのβME)を添加する。
【0272】
150rpmで撹拌しながら、20℃において反応溶液に30分間窒素パージする(200mL/分)。窒素流をブランケットまで低下させ、共重合溶液は、以下のスケジュールに従って加熱される:61℃に達するまでに2時間;61℃に約8時間維持;20℃まで冷却するために2時間。
【0273】
ターポリマー-ポリ(PEG200MA-co-MPC-co-VPBA)ターポリマーの合成
約1.011gのVPBAを25.0gのPrOH中に溶解し、VPBA溶液を得る。これを、5μmナイロンフィルターを備えたシリンジを通して、N2インレット、オーバーヘッド撹拌機、熱電対、冷却管及びバブラーを備えた500mL反応器中に導入する。約12.278gのPEG200MAを20.0gのDI水中に溶解し、反応器に流し入れ、追加の15.0gのDI水を用いて濯ぐ。約6.714gのMPCを20.0gのDI水中に溶解し、反応器に流し入れ、追加の15.0gのDI水を用いて濯ぐ。約00693gのAAPHを5.0gの脱イオン水中に溶解し、反応器に流し入れ、追加の2×5.0gの脱イオン水、続いて5.0gの脱イオン水及び65.0gのn-プロパノールを用いて濯ぐ。マイクロピペットを用いて、約3.65mLのメルカプトエタノール(βME)溶液(100mLのDI水中の0.274gのβME)を添加する。
【0274】
150rpmで撹拌しながら、20℃において反応溶液に30分間窒素パージする(200mL/分)。窒素流をブランケットまで低下させ、共重合溶液は、以下のスケジュールに従って加熱される:61℃に達するまでに2時間;61℃に約8時間維持;20℃まで冷却するために2時間。
【0275】
表3に示される異なる量及び種類のビニルモノマー以外、上記の手順に従って(二成分又は三成分の)種々のコポリマーが調製される。
【0276】
【0277】
実施例6
実施例5において調製されたVPBA、DMA、PEG200MA及びMPCのコポリマー及びターポリマーを0.05~1重量%の様々な濃度で(約0.15重量%のHPMC、約1.0重量%のPEG400、約0.294重量%のクエン酸ナトリウム二水和物、約0.19重量%のNaCl、約1.157重量%のリン酸水素二ナトリウム二水和物、約0.0034重量%のポロキサマー及び約97.2056重量%の水からなる)パッケージング食塩溶液に添加する。パッケージング食塩水のpHは、8~9.5で様々であり、且つ緩衝体NaH2PO4・2H2Oは、46~92mmol/Lで様々である。
【0278】
実施例2で調製されたPVAコンタクトレンズ、実施例3で調製されたグリセロール含有SiHyコンタクトレンズ及びシリコンウエハをコーティングのための基材として使用して、約0.55~0.65mlの上記で調製されたコーティング溶液又は対照として約0.65mlのPBSを含有するポリプロピレンパッケージングシェル中に個々にパッケージする。シェルをAIホイルで密封し、オートクレーブ処理する(30~45分;121℃;2気圧)。
【0279】
上記で処理された基材をパッケージから取り出し、徹底的にDI水で濯ぎ、次に乾燥させる。乾燥させた処理基材の表面原子組成をXPSで分析する。
【0280】
表4は、試験されたレンズ及びSiウエハの両方上にコポリマーが存在する場合及び存在しない場合の比較のXPS結果を示す。レンズを用いない純粋なコポリマーをシリコンウエハ上で試験し、表面組成に関しても試験する。
【0281】
【0282】
PVAレンズ表面上のリンレベルは、理論値及び実験値(純粋なコポリマーからのSiウエハ)の両方に相当することが分かる。これは、標準的な濯ぎ及び乾燥後にもレンズ上に組み込まれることを示す。有意なホウ素の組み込みも観察され、表面フィルムの存在を証明する。
【0283】
グリセロール含有SiHyレンズ上では、リン及びホウ素レベルは、実際に無視できることも分かり、レンズにほとんど組み込まれていないことを示す。これは、おそらく表面上のより低いOH濃度の結果である。
【0284】
未コーティング及びコーティングされたPVAコンタクトレンズに関して観察された低レベルのSiは、XPS実験での偶発的なケイ素混入の人為現象によるものであると考えられる。
【0285】
実施例7
実施例5で調製されたコポリマー2[すなわちポリ(VPBA-co-DMA)]、実施例5で調製されたターポリマー3[すなわちポリ(VPBA-co-PEG200MA-co-MPC)]及び実施例5で調製されたターポリマー4[すなわちポリ(VPBA-co-PEG200MA-co-MPC)]を1重量%の濃度でパッケージング食塩溶液に添加する。パッケージング食塩水のpHは、約9.0であり、且つNaH2PO4・2H2Oの濃度は、約92mmol/Lである。
【0286】
実施例2で調製されたPVAコンタクトレンズ及び実施例3で調製されたグリセロール含有SiHyコンタクトレンズを、いずれのコポリマーも含有しない(対照)か、又は0.5重量%の上記で調製されたコポリマーを含有する約0.65mlのパッケージング食塩水を含有するポリプロピレンパッケージングシェル中に個々にパッケージする。シェルをAIホイルで密封し、オートクレーブ処理する(30~45分;121℃;2気圧)。
【0287】
得られたコンタクトレンズの潤滑性(摩擦等級)及び水接触角(静的液滴)を直接アウト-オブ-パック(OOP)で決定するが、PBS中30分以上浸漬後のものである。これを表5に報告する。
【0288】
【0289】
実施例8
二成分及び三成分コポリマーの合成
ポリ(MPC0.9-co-VPBA0.1)
20mlのバイアル中において、2.66g(9mmol)のMPC及び0.148g(1mmol)のVPBA及び10mlのエタノール、1.64mg(0.01mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。
【0290】
ポリ(MPC0.4-co-NVP0.5-co-VPBA0.1)
20mlのバイアル中において、1.18g(4mmol)のMPC、0.556g(5mmol)のNVP及び0.148g(1mmol)のVPBA及び10mlのエタノール、1.64mg(0.01mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。
【0291】
ポリ(MPC0.6-co-BMA0.3-co-VPBA0.1)
20mlのバイアル中において、1.77g(6mmol)のMPC、0.426g(3mmol)のBMA及び0.148g(1mmol)のVPBA及び10mlのエタノール、1.64mg(0.01mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。得られたコポリマーは、150KDaの重量平均分子量、Mwを有することが決定される。
【0292】
ポリ(MPC0.8-co-BMA0.1-co-VPBA0.1)
20mlのバイアル中において、2.36g(8mmol)のMPC、0.142g(1mmol)のBMA及び0.148g(1mmol)のVPBA及び10mlのエタノール、1.64mg(0.01mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行した。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。得られたコポリマーは、160KDaの重量平均分子量、Mwを有することが決定される。
【0293】
ポリ(MPC0.8-co-BMA0.1-co-VPBA0.1)
40mlのバイアル中において、4.72g(16mmol)のMPC、0.285g(2mmol)のBMA及び0.296g(2mmol)のVPBA及び20mlのエタノール、3.2mg(0.02mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。得られたコポリマーは、286KDaの重量平均分子量、Mwを有することが決定される。
【0294】
ポリ(MPC0.8-co-BMA0.1-co-VPBA0.1)
40mlのバイアル中において、4.72g(16mmol)のMPC、0.285g(2mmol)のBMA及び0.296g(2mmol)のVPBA及び20mlのエタノール、1.3mg(0.01mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。得られたコポリマーは、386KDaの重量平均分子量、Mwを有することが決定される。
【0295】
ポリ(MPC0.8-co-BMA0.1-co-VPBA0.1)
40mlのバイアル中において、4.72g(16mmol)のMPC、0.285g(2mmol)のBMA及び0.296g(2mmol)のVPBA及び10mlのエタノール、3.2mg(0.02mmol)のvazo 64を添加する。溶液中に5分間、窒素ガスを穏やかにバブリングして、酸素を排除し、次いでバイアルを密封する。重合は、6時間60℃で実行する。バイアルを冷却した後、含有物を大量のジエチルエーテル及びクロロホルム(体積比8/2)の混合物に注ぎ入れ、いずれの残留モノマーでも排除し、ポリマーを沈殿させる。ガラスフィルターを使用して沈殿物を濾去し、減圧下で乾燥させる。得られたコポリマーは、688KDaの重量平均分子量、Mwを有することが決定される。
【0296】
パッケージング食塩水の調製
リン酸緩衝食塩水(PBS)
PBSは、以下の組成:約0.044重量%のNaH2PO4・H2O、約0.388重量%のNa2HPO4・2H2O及び約0.79重量%のNaCl並びに25℃においてpH7.2±0.2を有するように全ての必要とされる成分を溶解することによって調製される。
【0297】
ベースパッケージング食塩水(BPS)
ベース食塩水は、以下の組成:約0.15重量%のHPMC、約1.0重量%のPEG400、約0.294重量%のクエン酸ナトリウム二水和物、約0.19重量%のNaCl、約1.157重量%のリン酸水素二ナトリウム二水和物、約0.0034重量%のポロキサマー及び約97.2056重量%の水を有するように全ての必要とされる成分を溶解することによって調製される)。
【0298】
試験パッケージング食塩水(TPS)
いくつかの試験パッケージング溶液(TPS1~TPS8)は、表6に示される以下の組成を有するように、上記で調製されたコポリマーを、上記で調製されたBPSに溶解することによって調製される。
【0299】
【0300】
レンズ調製及びパッケージング:
実施例2で調製されたPVAコンタクトレンズを、約0.65mlのパッケージング食塩水(上記で調製されたPBS、BPS及びTPS1~TPS8の1つ)を含有するポリプロピレンパッケージングシェル中に個々にパッケージする。シェルをAIホイルで密封し、オートクレーブ処理する(30~45分;121℃;2気圧)。
【0301】
得られたコンタクトレンズの潤滑性(摩擦等級)を直接アウト-オブ-パック(OOP)で決定するが、PBS中に少なくとも約30分浸漬させた後のものである。結果を表7に報告する。
【0302】
オートクレーブ処理されたレンズをパッケージから取り出し、脱塩して、次いで室温で乾燥させる。脱塩化は、1回の洗浄につき最小限10分間、DI水中において3回連続洗浄でレンズを濯ぐことによって行われる。次いで、流動窒素を用いて最小限12時間、室温デシケーター中にレンズを配置し、XPSのために十分な乾燥度を達成する。試料を表面元素分析のためにSage-Sun XPS(電源10kV、ステップサイズ0.2eV、パスエネルギー20eV、スポットサイズ3mm)に装填する。レンズ表面上のリン原子百分率を表7に報告する。XPSによるリンの検出は、レンズ表面上のMPC含有コポリマーの層の存在を示す。
【0303】
【0304】
実施例9
二成分及び三成分コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器中に2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)(Mw=295.27)、4-ビニルフェニルボロン酸(VPBA、Mw=147.97)及び任意選択的に第3のモノマー(n-ブチルメタクリレート(BMA、Mw=142.20)又はジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(DGMEMA、Mw=188.22)、エタノール及びDI水を表8に示される量で添加する。250mL/分の窒素フローレートで30分間、溶液を脱気する。Vazo-56を20~30gのDI水中に溶解する。滴下漏斗中において、約50mL/分の窒素フローレートで30分間、開始剤溶液を脱気する。反応器中の溶液を49℃まで加熱する。開始剤溶液を添加し、16時間、溶液温度を維持する。
【0305】
精製:
DI水を用いて、反応後の溶液を約10%固体まで希釈する。合成ステップからの溶液を、コースフリット(course-fritted)フィルターを通して濾過する。30kDa分子量分離によるポリエーテルスルホン膜を使用する限外濾過による精製のために、溶液を7.5~5.0%固体まで希釈する。8~10ベッドボリュームの水を使用して、残留モノマー及び溶媒を除去する。
【0306】
ポリマー特徴決定:
コポリマーのボロン酸含有量は、マンニトールの存在下で酸塩基滴定を実行することによって決定される。結果を表8に報告する。
【0307】
コポリマーの重量平均分子量は、RI検出器及びPEG標準を用いるGPCを使用して決定される。結果を表8に報告する。
【0308】
【0309】
実施例10
パッケージング食塩水の調製
本実施例では、実施例8で調製されたリン酸緩衝食塩水(PBS)及びベースパッケージング食塩水(BPS)を使用する。
【0310】
14の試験パッケージング溶液(TPS1~TPS8)は、表9に示される以下の組成を有するように、実施例9で調製されたコポリマー9A~9Dの1つを、実施例8で調製されたBPSに溶解することによって調製される。
【0311】
【0312】
レンズ調製及びパッケージング:
実施例2で調製されたPVAコンタクトレンズを、約0.65mlのパッケージング食塩水(上記で調製されたベースパッケージング食塩水及び14の試験パッケージング食塩水の1つ)を含有するポリプロピレンパッケージングシェル中に個々にパッケージする。シェルをAIホイルで密封し、オートクレーブ処理する(30~45分;121℃;2気圧)。
【0313】
得られたコンタクトレンズの潤滑性(摩擦等級)を直接アウト-オブ-パック(「OOP」として指定される)及びPBS中に少なくとも約30分浸漬させた後(「PBS]として指定される)で決定する。結果を表10に報告する。
【0314】
オートクレーブ処理されたレンズをパッケージから取り出し、脱塩して、次いで室温で乾燥させる。脱塩化は、1回の洗浄につき最小限10分間、DI水中において3回連続洗浄でレンズを濯ぐことによって行われる。次いで、流動窒素を用いて最小限12時間、室温デシケーター中にレンズを配置し、XPSのために十分な乾燥度を達成する。試料を表面元素分析のためにSage-Sun XPS(電源10kV、ステップサイズ0.2eV、パスエネルギー20eV、スポットサイズ3mm)に装填する。レンズ表面上のリン原子百分率を表10に報告する。XPSによるリンの検出は、レンズ表面上のMPC含有コポリマーの層の存在を示す。
【0315】
【0316】
実施例11
二成分及び三成分コポリマー
二成分及び三成分コポリマーは、重合反応を52℃において実行することを除き、実施例9に記載の手順に従い、表11に示される反応組成物から合成する。実施例9に記載の手順に従い、得られたコポリマーを精製し、特徴決定する。結果を表11に報告する。
【0317】
【0318】
本出願において上記で本明細書中に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願公開は、参照によって本明細書に組み込まれる。