(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】吸引装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240501BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20240501BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/30
A24F40/60
(21)【出願番号】P 2022532187
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2020025061
(87)【国際公開番号】W WO2021260894
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】手塚 寛
(72)【発明者】
【氏名】芹田 和俊
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141358(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/224823(WO,A1)
【文献】特表2019-535242(JP,A)
【文献】特表2019-534023(JP,A)
【文献】国際公開第2020/101258(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、
第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部による加熱開始後、エアロゾルを吸引する吸引動作が行われるか否かを問わずに加熱を継続するよう前記第1の加熱部の動作を制御し、1回の
前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する制御部と、
を備える吸引装置。
【請求項2】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電する時間が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
請求項2に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電される単位時間当たりの給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
請求項2又は3に記載の吸引装置。
【請求項5】
前記制御部は、1回の
前記吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記吸引動作の回数が多くなるほど増加するよう制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第1の加熱部の温度との関係を定義した加熱プロファイルに沿って前記第1の加熱部による加熱が行われるよう制御する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するまでの間、
前記吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達した後、
前記吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記加熱プロファイルを、ユーザによる入力に基づいて制御する、
請求項7に記載の吸引装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの生成量との関係を、前記第1の基材の種類に基づいて制御する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1の基材に付与された識別情報に基づいて前記第1の基材の種類を識別する、
請求項11に記載の吸引装置
【請求項13】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの生成量との関係を、前記第2の基材の種類に基づいて制御する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの生成量との関係を、ユーザによる入力に基づいて制御する、
請求項1~13のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項15】
前記第1の基材は、香味源を含有する、
請求項1~14のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項16】
前記第2の基材は、液体である
エアロゾル源を含有する、
請求項1~15のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項17】
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するための制御方法であって、
前記第1の加熱部による加熱開始後、エアロゾルを吸引する吸引動作が行われるか否かを問わずに加熱を継続するよう前記第1の加熱部の動作を制御し、1回の
前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、
を含む制御方法。
【請求項18】
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するコンピュータに、
前記第1の加熱部による加熱開始後、エアロゾルを吸引する吸引動作が行われるか否かを問わずに加熱を継続するよう前記第1の加熱部の動作を制御し、1回の
前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部により生成される
エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、
を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、
第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部による加熱開始後、エアロゾルを吸引する吸引動作が行われるか否かを問わずに加熱を継続するよう前記第1の加熱部の動作を制御し、前記吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでの間、前記吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないように制御する吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引する(以下、パフとも称する)ことで、香味を味わうことができる。
【0003】
吸引装置がエアロゾルを生成する方式には、大きく分けて、液体霧化方式とスティック加熱方式とがある。液体霧化方式では、液体状のエアロゾル源を霧化することでエアロゾルが生成される。スティック加熱方式では、エアロゾル源を含むスティックを加熱することでエアロゾルが生成される。さらに、下記特許文献1では、液体霧化方式とスティック加熱方式とを併用する、ハイブリッド型の吸引装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ハイブリッド型の吸引装置は、開発されてから未だ日が浅く、十分な性能が発揮されるに至っているとは言い難い。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吸引装置の性能を向上させることが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する制御部と、を備える吸引装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、1回の前記エアロゾルを吸引する吸引動作当たりに前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。
【0009】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電する時間が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。
【0011】
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電される単位時間当たりの給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。
【0012】
前記制御部は、1回の前記エアロゾルを吸引する吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記吸引動作の回数が多くなるほど増加するよう制御してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第1の加熱部の温度との関係を定義した加熱プロファイルに沿って前記第1の加熱部による加熱が行われるよう制御してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するまでの間、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達した後、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御してもよい。
【0017】
前記制御部は、前記加熱プロファイルを、ユーザによる入力に基づいて制御してもよい。
【0018】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、前記第1の基材の種類に基づいて制御してもよい。
【0019】
前記制御部は、前記第1の基材に付与された識別情報に基づいて前記第1の基材の種類を識別してもよい。
【0020】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、前記第2の基材の種類に基づいて制御してもよい。
【0021】
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、ユーザによる入力に基づいて制御してもよい。
【0022】
前記第1の基材は、香味源を含有してもよい。
【0023】
前記第2の基材は、液体である前記エアロゾル源を含有してもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するための制御方法であって、前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、を含む制御方法が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するコンピュータに、前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでの間、前記吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないように制御する吸引装置が提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が終了した後に前記吸引動作が行われた場合に、前記第2の加熱部による加熱が行われないように制御する吸引装置が提供される。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、吸引装置の性能を向上させることが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る吸引装置に設定される加熱プロファイル及び霧化設定の一例を示すグラフである。
【
図3】本実施形態に係る吸引装置により実行されるカートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る吸引装置により実行されるカートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る吸引装置における基材の種類に応じた霧化設定の切り替えの一例を示すグラフである。
【
図6】本実施形態に係る吸引装置におけるユーザ入力に応じた加熱プロファイルの切り替えの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
<1.吸引装置の構成例>
吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。以下では、吸引装置により生成される物質が、エアロゾルであるものとして説明する。他に、吸引装置により生成される物質は、気体であってもよい。以下では、吸引装置により生成された物質をユーザが吸引することを、単に「吸引」又は「パフ」とも称する。以下、吸引装置の各構成例を説明する。
【0032】
本構成例に係る吸引装置は、液体としてのエアロゾル源を加熱すること、及びエアロゾル源を含む基材を加熱することにより、エアロゾルを生成する。以下、
図1を参照しながら、本構成例を説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100は、電源部111、センサ部112、通知部113、記憶部114、通信部115、制御部116、液誘導部122、液貯蔵部123、加熱部121-1、加熱部121-2、保持部140、及び断熱部144を含む。また、吸引装置100には、空気流路180が形成される。
【0034】
加熱部121-1、液誘導部122、及び液貯蔵部123は、カートリッジ120に含まれる。カートリッジ120は、吸引装置100から着脱可能に構成される。吸引装置100にカートリッジ120が装着され、且つ保持部140にスティック型基材150が保持された状態で、ユーザによる吸引が行われる。以下、各構成要素について順に説明する。
【0035】
電源部111は、電力を蓄積する。そして、電源部111は、吸引装置100の各構成要素に、電力を供給する。電源部111は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。電源部111は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により外部電源に接続されることで、充電されてもよい。また、電源部111は、ワイヤレス電力伝送技術により送電側のデバイスに非接続な状態で充電されてもよい。他にも、電源部111のみを吸引装置100から取り外すことができてもよく、新しい電源部111と交換することができてもよい。
【0036】
センサ部112は、吸引装置100に関する各種情報を検出する。そして、センサ部112は、検出した情報を制御部116に出力する。一例として、センサ部112は、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサにより構成される。そして、センサ部112は、ユーザによる吸引に伴う数値を検出した場合に、ユーザによる吸引が行われたことを示す情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。とりわけ、センサ部112は、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンを含み得る。そして、センサ部112は、ユーザにより入力された情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、加熱部121-2の温度を検出する温度センサにより構成される。かかる温度センサは、例えば、加熱部121-2の導電トラックの電気抵抗値に基づいて加熱部121-2の温度を検出する。センサ部112は、加熱部121-2の温度に基づいて、保持部140により保持されたスティック型基材150の温度を検出してもよい。
【0037】
通知部113は、情報をユーザに通知する。一例として、通知部113は、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置により構成される。その場合、通知部113は、電源部111の状態が要充電である場合、電源部111が充電中である場合、及び吸引装置100に異常が発生した場合等に、それぞれ異なる発光パターンで発光する。ここでの発光パターンとは、色、及び点灯/消灯のタイミング等を含む概念である。通知部113は、発光装置と共に、又は代えて、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、及び振動する振動装置等により構成されてもよい。他にも、通知部113は、ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報を通知してもよい。ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報は、加熱部121-2により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、通知される。
【0038】
記憶部114は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部114は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部114に記憶される情報の一例は、制御部116による各種構成要素の制御内容等の、吸引装置100のOS(Operating System)に関する情報である。記憶部114に記憶される情報の他の一例は、吸引回数、吸引時刻、吸引時間累計等の、ユーザによる吸引に関する情報である。
【0039】
通信部115は、吸引装置100と他の装置との間で情報を送受信するための、通信インタフェースである。通信部115は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。一例として、通信部115は、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに表示させるために、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに送信する。他の一例として、通信部115は、記憶部114に記憶されているOSの情報を更新するために、サーバから新たなOSの情報を受信する。
【0040】
制御部116は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部116は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部116は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。吸引装置100は、制御部116による制御に基づいて、各種処理を実行する。電源部111から他の各構成要素への給電、電源部111の充電、センサ部112による情報の検出、通知部113による情報の通知、記憶部114による情報の記憶及び読み出し、並びに通信部115による情報の送受信は、制御部116により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、吸引装置100により実行されるその他の処理も、制御部116により制御される。
【0041】
液貯蔵部123は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、加熱されることによって香味成分を放出する、たばこ原料又はたばこ原料由来の抽出物をさらに含んでいてもよい。エアロゾル源は、ニコチンをさらに含んでいてもよい。吸引装置100がネブライザなどの医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。
【0042】
液誘導部122は、液貯蔵部123に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部123から誘導し、保持する。液誘導部122は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。液誘導部122は液貯蔵部123と液体連通している。そのため、液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源は、毛細管効果によって、液誘導部122の全体に行き渡る。
【0043】
加熱部121-1は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部121-1は、コイル状、フィルム状又はブレード状等の任意の形状に、金属又はポリイミド等の任意の素材で構成される。加熱部121-1は、液誘導部122に近接して配置される。
図1に示した例では、加熱部121-1は、金属製のコイルにより構成され、液誘導部122に巻き付けられる。よって、加熱部121-1が発熱すると、液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121-1は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。他の一例として、所定のユーザ入力(例えば、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンの押下)が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。その後、所定のユーザ入力(例えば、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンの再度の押下)が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電が停止されてもよい。
【0044】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。保持部140は、筒状体の高さ方向の少なくとも一部において、内径がスティック型基材150の外径よりも小さくなるように構成され、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を外周から圧迫するようにしてスティック型基材150を保持し得る。保持部140は、スティック型基材150を通る空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路内への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0045】
スティック型基材150は、スティック型の部材である。スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。
【0046】
基材部151は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、刻みたばこ又はたばこ原料を、粒状、シート状、又は粉末状に成形した加工物などの、たばこ由来のものであってもよい。また、エアロゾル源は、たばこ以外の植物(例えばミント及びハーブ等)から作られた、非たばこ由来のものを含んでいてもよい。一例として、エアロゾル源は、メントール等の香料成分を含んでいてもよい。吸引装置100が医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。なお、エアロゾル源は固体に限られるものではなく、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体であってもよい。基材部151の少なくとも一部は、スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、保持部140の内部空間141 に収容される
【0047】
吸口部152は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。吸口部152の少なくとも一部は、スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から保持部140の内部に空気が流入する。流入した空気は、保持部140の内部空間141を通過して、すなわち、基材部151を通過して、基材部151から発生するエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0048】
加熱部121-2は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部121-2は、金属又はポリイミド等の任意の素材で構成される。例えば、加熱部121-2は、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121-2が発熱すると、スティック型基材150に含まれるエアロゾル源がスティック型基材150の外周から加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121-2は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。加熱部121-2により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、ユーザによる吸引が可能となる。その後、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電が停止されてもよい。他の一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。
【0049】
ここで、保持部140の底部143には、空気流路180の空気流出孔182が配置される。空気流出孔182を介して、保持部140の内部空間141と空気流路180とが連通される。
【0050】
空気流路180は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路180は、空気流路180内への空気の入り口である空気流入孔181と、空気流路180からの空気の出口である空気流出孔182と、を両端とする管状構造を有する。ユーザによる吸引に伴い、空気流入孔181から空気流路180内に空気が流入し、空気流出孔182から保持部140の内部空間141に空気が流出する。一例として、空気流入孔181は、吸引装置100の任意の位置に配置される。他方、空気流出孔182は、保持部140の底部143に配置される。空気流路180の途中には、液誘導部122が配置される。加熱部121-1により生成されたエアロゾルは、空気流入孔181から流入した空気と混合される。次いで、ユーザによる吸引に伴い、エアロゾルと空気との混合流体は、矢印190に示すように、空気流出孔182を経由して保持部140の内部空間141へ輸送される。そして、保持部140の内部空間141へ輸送されたエアロゾルと空気との混合流体は、加熱部121-2により生成されたエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0051】
なお、本構成例において、加熱部121-1による加熱に代えて、振動又は誘導加熱により、エアロゾルの生成が行われてもよい。
【0052】
振動によりエアロゾルの生成が行われる場合、吸引装置100は、加熱部121-1に代えて、振動部を備える。例えば、振動部は、超音波振動子として機能する圧電セラミックスを含む板状の部材により構成される。そして、振動部が振動すると、液誘導部122により振動部の表面に誘導されたエアロゾル源が、振動部による振動に伴い発生した超音波により霧化され、エアロゾルが生成される。
【0053】
誘導加熱によりエアロゾルの生成が行われる場合、吸引装置100は、加熱部121-1に代えて、サセプタ及び電磁誘導源を備える。サセプタは、電磁誘導により発熱する。サセプタは、金属等の導電性の素材により構成される。サセプタは、液誘導部122に近接して配置される。例えば、サセプタは、金属製の導線により構成され、液誘導部122に巻き付けられる。電磁誘導源は、電磁誘導によりサセプタを発熱させる。電磁誘導源は、例えば、コイル状の導線により構成される。電磁誘導源は、電源部111から交流電流が供給されると、磁界を発生させる。電磁誘導源は、発生させた磁界にサセプタが重畳する位置に配置される。よって、磁界が発生すると、サセプタにおいて渦電流が発生して、ジュール熱が発生する。そして、かかるジュール熱により液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。
【0054】
同様に、本構成例において、加熱部121-2による加熱に代えて、誘導加熱により、エアロゾルの生成が行われてもよい。
【0055】
その場合、スティック型基材150は、サセプタをさらに含む。サセプタは、電磁誘導により発熱する。サセプタは、金属等の導電性の素材により構成される。一例として、サセプタは、金属片である。サセプタは、エアロゾル源に近接して配置される。例えば、サセプタは、スティック型基材150の基材部151に含まれる。
【0056】
また、吸引装置100は、加熱部121-2に代えて、電磁誘導源を備える。電磁誘導源は、例えば、コイル状の導線により構成され、保持部140の外周に巻き付くように配置される。電磁誘導源は、電源部111から交流電流が供給されると、磁界を発生させる。電磁誘導源は、発生させた磁界に保持部140の内部空間141が重畳する位置に配置される。よって、保持部140にスティック型基材150が保持された状態で磁界が発生すると、サセプタにおいて渦電流が発生して、ジュール熱が発生する。そして、かかるジュール熱によりスティック型基材150に含まれるエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。
【0057】
以上、吸引装置100の構成例を説明した。もちろん吸引装置100の構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0058】
一例として、加熱部121-2は、ブレード状に構成され、保持部140の底部143から内部空間141に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部121-2は、スティック型基材150の基材部151に挿入され、スティック型基材150の基材部151を内部から加熱する。他の一例として、加熱部121-2は、保持部140の底部143を覆うように配置されてもよい。また、加熱部121-2は、保持部140の外周を覆う加熱部、ブレード状の加熱部、及び保持部140の底部143を覆う加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0059】
他の一例として、保持部140は、内部空間141を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部140は、外殻を開閉することで、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を挟持してもよい。その場合、加熱部121-2は、保持部140における当該挟持箇所に設けられ、スティック型基材150を押圧しながら加熱してもよい。
【0060】
また、エアロゾルを生成する手段は、加熱に限定されない。例えば、エアロゾルを生成する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0061】
<2.技術的特徴>
(1)吸引装置100の基本的な動作
吸引装置100は、ユーザにより吸引される物質であるエアロゾルを生成する。ユーザが吸引装置100を用いて、吸引装置100により生成されたエアロゾルを吸引しようとする動作を、以下では単に吸引(パフ)又は吸引動作とも称する。パフの一例は、吸引装置100に挿入されたスティック型基材150の吸口部152を咥えて吸引することである。ユーザは、パフを行うことで、吸引装置100により生成されたエアロゾルを吸引することができる。
【0062】
加熱部121-2は、第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部の一例である。スティック型基材150は、第1の基材の一例である。スティック型基材150は、加熱されることによって香味成分を放出する香味源を含有する。香味成分の一例は、たばこ葉の抽出物である。以下では、加熱部121-2を、スティック加熱部121-2とも称する。
【0063】
加熱部121-1は、第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部の一例である。カートリッジ120は、液体であるエアロゾル源を含有する第2の基材の一例である。カートリッジ120は、加熱されることによって香味成分を放出する香味源を含有し得る。香味成分の一例は、メントールである。以下では、加熱部121-1を、カートリッジ加熱部121-1とも称する。
【0064】
スティック加熱部121-2により生成されるエアロゾルを、スティック側エアロゾルとも称する。他方、カートリッジ加熱部121-1により生成されるエアロゾルを、カートリッジ側エアロゾルとも称する。スティック側エアロゾル及びカートリッジ側エアロゾルを特に区別する必要がない場合、これらを単にエアロゾルとも総称する。
【0065】
パフが行われると、カートリッジ側エアロゾルはスティック型基材150を通過して、ユーザの口内に到達する。カートリッジ側エアロゾルは、スティック型基材150を通過する際に、スティック型基材150に含有された香味源から香味成分を取り込む。さらに、カートリッジ側エアロゾルは、スティック型基材150を通過する際に、スティック側エアロゾルと混合される。そのため、ユーザは、スティック型基材150由来の香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することができる。
【0066】
スティック型基材150に含まれるエアロゾル源が枯渇した場合には、古いスティック型基材150は取り外され、新たなスティック型基材150に交換される。
【0067】
同様に、カートリッジ120に含まれるエアロゾル源が枯渇した場合には、古いカートリッジ120は取り外され、新たなカートリッジ120に交換される。
【0068】
-スティック加熱部121-2の制御
制御部116は、加熱プロファイルに沿ってスティック加熱部121-2による加熱が行われるよう制御する。加熱プロファイルとは、スティック加熱部121-2による加熱開始からの経過時間とスティック加熱部121-2の温度との関係を定義する情報である。制御部116は、加熱プロファイルにおける温度変化と同様の温度変化がスティック加熱部121-2において実現されるよう、加熱部121-2を制御する。スティック加熱部121-2は、抵抗器を含む導電トラックを含んでいてもよく、センサ部112は、導電トラックの電気抵抗に基づいてスティック加熱部121-2の温度を検出してもよい。スティック加熱部121-2の制御は、例えば電源部111からスティック加熱部121-2への給電を制御することにより、実現され得る。給電の制御は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御により行われてもよい。
【0069】
スティック加熱部121-2により実行される加熱は、予備加熱と本加熱とに分類され得る。予備加熱とは、加熱プロファイルに沿った加熱を開始してから所定時間が経過するまで、又はスティック加熱部121-2の温度が所定の温度に到達するまでに実行される加熱である。本加熱とは、予備加熱の後に実行される加熱である。なお、予備加熱と本加熱とで、PWM制御の内容は同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、予備加熱と本加熱とで、DUTY比は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
予備加熱が終了するタイミングにおいては、スティック型基材150からエアロゾルが十分に発生することが想定される。そのため、ユーザは、予備加熱後(即ち、本加熱時)にスティック型基材150を咥えて吸引することで、十分な量のエアロゾルを吸引することができる。なお、予備加熱時にも、スティック型基材150からエアロゾルは発生し得る。
【0071】
制御部116は、所定の条件が満たされた場合に、スティック加熱部121-2の加熱を開始する。所定の条件の一例は、所定のユーザ操作が行われたことが、センサ部112により検出されたことである。所定のユーザ操作の一例は、吸引装置100に設けられたボタンを押下する操作である。かかるボタンを、以下では電源ボタンとも称する。
【0072】
-カートリッジ加熱部121-1の制御
制御部116は、予め定められた霧化設定に沿って加熱するようカートリッジ加熱部121-1を制御する。霧化設定とは、パフ1回当たりの霧化量を定義する情報である。ここでの霧化量とは、カートリッジ側エアロゾルの生成量である。霧化量は加熱量(即ち、給電量)に依存する。そこで、カートリッジ加熱部121-1の制御は、例えば電源部111からカートリッジ加熱部121-1への給電を制御することにより、実現され得る。給電の制御は、例えば、パフ1回当たりの給電量を制御することにより、行われる。パフ1回当たりの給電量は、給電時間と単位時間当たりの給電量との積により計算される。そのため、霧化設定は、パフ1回当たりの、給電時間及び単位時間当たりの給電量により定義されてもよい。
【0073】
制御部116は、所定の条件が満たされた場合にカートリッジ加熱部121-1による加熱が行われるよう制御する。例えば、制御部116は、所定の条件が満たされた場合にカートリッジ加熱部121-1への給電を行う。所定の条件の一例は、パフが行われたことである。かかる構成によれば、パフが行われたタイミングに限定して、効率的にエアロゾルを生成することができる。さらに、所定の条件は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達してから第2の所定時間に達するまでであることを含んでいてもよい。かかる構成については、後に詳しく説明する。
【0074】
パフが行われたことは、例えば、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により取得された、ユーザによる吸引に伴う値に基づいて、センサ部112により検出され得る。
【0075】
(2)技術的課題
加熱プロファイルの後半においては、即ち、スティック加熱部121-2による加熱(即ち、予備加熱)が開始されてからの経過時間が長くなるほど、スティック型基材150に含有される香味源が減少する。なぜならば、予備加熱が開始されてから時間が経過するほどに、スティック側エアロゾルの生成量の累計が増加し、それに伴いスティック側エアロゾルに取り込まれる香味成分の累計も増加するためである。さらに、予備加熱が開始されてから時間が経過するほどに、ユーザにより行われたパフの回数も増加し、それに伴いカートリッジ側エアロゾルに取り込まれる香味成分の累計も増加する。そして、エアロゾルに取り込まれた香味成分の累計が増加するほど、スティック型基材150に含有される香味源は減少する。
【0076】
スティック型基材150に含有される香味源が減少すると、ユーザがパフを1回行った際に吸引するエアロゾルに含まれる香味成分の量が減少するので、ユーザは十分な香味を味わえなくなっていた。上記特許文献1では、エアロゾルに含まれる香味成分の量を一定にするよう制御する旨が開示されているが、その具体的な実現方法は何ら言及されていない。そこで、本実施形態では、加熱プロファイルの後半においても、ユーザが十分な香味を味わうことを可能にする具体的な仕組みを提供する。
【0077】
(3)カートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御
制御部116は、カートリッジ加熱部121-1により生成されるエアロゾルの量が、予備加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する。かかる構成によれば、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど、カートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることができる。スティック型基材150に含有される香味源の減少に起因して、カートリッジ側エアロゾルの単位量当たりに付与されるスティック型基材150由来の香味成分は減少する。しかし、かかる構成によれば、カートリッジ側エアロゾルの総量を増加させることができる。従って、その増加した分だけカートリッジ側エアロゾルがスティック型基材150を通過する際に取り込むスティック型基材150由来の香味成分が増加することとなる。その結果、カートリッジ側エアロゾル全体では香味成分の減少を抑制することができる。つまり、エアロゾルの単位量当たりに含有されるスティック型基材150由来の香味成分の減少を、エアロゾルの総量を増加させることで相殺し、ユーザの口内に到達する香味成分の減少を抑制することができる。そのため、加熱プロファイルの後半においても、ユーザは十分に香味を味わうことが可能となる。
【0078】
とりわけ、制御部116は、1回のパフ当たりにカートリッジ加熱部121-1により生成されるエアロゾルの量が、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する。かかる構成によれば、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど、1回のパフ当たりのカートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることができる。スティック型基材150に含有される香味源の減少に起因して、1回のパフ当たりに生成されるカートリッジ側エアロゾルの単位量当たりに付与されるスティック型基材150由来の香味成分は減少する。しかし、かかる構成によれば、1回のパフ当たりに生成されるカートリッジ側エアロゾルの総量を増加させることができる。従って、その増加した分だけカートリッジ側エアロゾルがスティック型基材150を通過する際に取り込むスティック型基材150由来の香味成分が増加することとなる。その結果、1回のパフ当たりに生成されるカートリッジ側エアロゾル全体では香味成分の減少を抑制することができる。つまり、エアロゾルの単位量当たりに含有されるスティック型基材150由来の香味成分の減少を、エアロゾルの総量を増加させることで相殺し、1回のパフ当たりにユーザの口内に到達する香味成分の減少を抑制することができる。そのため、加熱プロファイルの後半においても、各々のパフにおいてユーザは十分に香味を味わうことが可能となる。
【0079】
具体的には、制御部116は、1回のパフ当たりのカートリッジ加熱部121-1への給電量が、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する。給電量が増加するほど、加熱量が増加し、それに伴いカートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることができる。
【0080】
一例として、制御部116は、1回のパフ当たりにカートリッジ加熱部121-1に給電する時間が、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。パフ1回当たりの給電量は、給電時間と単位時間当たりの給電量との積により決まる。その点、かかる構成によれば、給電時間を増加させることで、パフ1回当たりの給電量を増加させ、それに伴いカートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることが可能となる。
【0081】
他の一例として、制御部116は、1回のパフ当たりにカートリッジ加熱部121-1に給電される単位時間当たりの給電量が、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。パフ1回当たりの給電量は、給電時間と単位時間当たりの給電量との積により決まる。その点、かかる構成によれば、単位時間当たりの給電量を増加させることで、パフ1回当たりの給電量を増加させ、それに伴いカートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることが可能となる。
【0082】
なお、制御部116は、給電時間と単位時間当たりの給電量との、いずれか一方を制御してもよいし、双方を制御してもよい。双方を制御する場合、制御部116は、給電時間と単位時間当たりの給電量との双方を、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど増加するよう制御してもよい。他にも、制御部116は、給電時間と単位時間当たりの給電量との積が増加するのであれば、給電時間と単位時間当たりの給電量の一方を減少させ、他方を増加させてもよい。
【0083】
制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するまでの間、パフが行われてもカートリッジ加熱部121-1による加熱が行われないように制御してもよい。つまり、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するまでの間、パフが行われてもカートリッジ加熱部121-1への給電を行わなくてもよい。予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するタイミングの一例は、予備加熱が終了するタイミングである。かかる構成によれば、スティック型基材150の温度が高まるまで、カートリッジ側エアロゾルが生成されないこととなる。よって、カートリッジ側エアロゾルがスティック型基材150を通過する際に冷却されて凝縮してしまい、スティック型基材150が濡れて劣化するような事態を防止することが可能である。さらに、消費電力を抑制することが可能となる。
【0084】
制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達した後、パフが行われてもカートリッジ加熱部121-1による加熱が行われないように制御してもよい。つまり、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達した後、パフが行われてもカートリッジ加熱部121-1への給電を行わなくてもよい。予備加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達するタイミングの一例は、本加熱が終了するタイミングである。つまり、制御部116は、スティック加熱部121-2による加熱が終了した後にパフが行われた場合に、カートリッジ加熱部121-1による加熱が行われないように制御する。かかる構成によれば、本加熱が終了し、スティック型基材150の香味源が枯渇し切った後に、香味成分の含有量が極端に少ないエアロゾルがユーザに吸引されてしまうような事態を防止することが可能である。さらに、消費電力を抑制することが可能となる。
【0085】
以上から、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達してから第2の所定時間に達するまでの間、パフが行われた場合にカートリッジ加熱部121-1による加熱が行われるように制御してもよい。つまり、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達してから第2の所定時間に達するまでの間、パフが行われた場合にカートリッジ加熱部121-1への給電を行ってもよい。かかる構成により、スティック型基材150の劣化を防止しつつ、香味成分を十分に含有するエアロゾルを、ユーザに提供することが可能となる。
【0086】
また、センサ部112がパフを検出する機能は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達してから第2の所定時間に達するまでの間において有効化されてもよい。換言すると、センサ部112がパフを検出する機能は、予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達する前及び第2の所定時間に達した後において、無効化されてもよい。予備加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達する前及び第2の所定時間に達した後においては、パフが検出されてもカートリッジ加熱部121-1による加熱は実行されないためである。かかる構成により、消費電力を抑制することが可能となる。
【0087】
以下、
図2を参照しながら、加熱プロファイル及び霧化設定の具体例を説明する。
図2は、本実施形態に係る吸引装置100に設定される加熱プロファイル及び霧化設定の一例を示すグラフである。本グラフの横軸は、予備加熱開始からの経過時間を示す。線10は、加熱プロファイルを示す。線10に関して言えば、本グラフの縦軸は、スティック加熱部121-2の温度を示す。線20は、霧化設定を示す。線20に関して言えば、本グラフの縦軸は、パフ1回当たりの霧化量を示す。t
1は、第1の所定時間の一例である。t
2は、第2の所定時間の一例である。
【0088】
図2に示すように、予備加熱開始からの経過時間がt
1に達するまで予備加熱が行われる。線10を参照すると、かかる期間において、スティック加熱部121-2の温度はTMP
MAXまで上昇する。線20を参照すると、かかる期間においては、カートリッジ加熱部121-1によるカートリッジ側エアロゾルの生成は行われない。
【0089】
予備加熱開始からの経過時間がt1に達してからt2に達するまで、本加熱が行われる。線10を参照すると、かかる期間において、スティック加熱部121-2の温度はTMPMAXに一定に保たれる。線20を参照すると、かかる期間においては、カートリッジ加熱部121-1によるカートリッジ側エアロゾルの生成が行われる。とりわけ、予備加熱開始からの経過時間が長くなるほど、パフ1回当たりの霧化量は増加している。例えば、パフ1回当たりの霧化量は、本加熱開始時の初期値GMINから本加熱終了時のGMA
Xにまで増加している。
【0090】
予備加熱開始からの経過時間がt2に達した後は、スティック加熱部121-2の温度は徐々に低下し、加熱が終了する。かかる期間においては、カートリッジ加熱部121-1によるカートリッジ側エアロゾルの生成は行われない。
【0091】
以下、
図3及び
図4を参照しながら、カートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御に関する処理の流れの一例を説明する。
【0092】
図3は、本実施形態に係る吸引装置100により実行されるカートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
図3に示すように、まず、制御部116は、センサ部112により電源ボタンの押下が検出されたか否かを判定する(ステップS102)。電源ボタンの押下が検出されていないと判定された場合(ステップS102:NO)、制御部116は、電源ボタンの押下が検出されるまで待機する。
【0094】
電源ボタンの押下が検出されたと判定された場合(ステップS102:YES)、制御部116は、スティック加熱部121-2への給電を開始することで、予備加熱を開始する(ステップS104)。
【0095】
次いで、制御部116は、予備加熱が開始されてから時間t1が経過したか否かを判定する(ステップS106)。予備加熱が開始されてから時間t1が経過していないと判定された場合(ステップS106:NO)、制御部116は、予備加熱が開始されてから時間t1が経過するまで待機する。
【0096】
予備加熱が開始されてから時間t1が経過したと判定された場合(ステップS106:YES)、制御部116は、本加熱を開始する(ステップS108)。
【0097】
次いで、制御部116は、センサ部112によりパフが検出されたか否かを判定する(ステップS110)。
【0098】
パフが検出されていないと判定された場合(ステップS110:NO)、処理はステップS114に進む。
【0099】
他方、パフが検出されたと判定された場合(ステップS110:YES)、制御部116は、カートリッジ加熱部121-1に対し、TA+TB秒間給電を行うよう電源部111を制御する(ステップS112)。ここで、TAは正の定数(例えば、2秒)である。他方、TBは、予備加熱が開始されてからの経過時間に応じて増加する値である。一例として、TB=TC(t-t1)であってもよい。「TC」は正の定数である。「t」は、予備加熱が開始されてからの経過時間である。「t-t1」は、本加熱が開始されてからの経過時間である。その後、処理はステップS114に進む。
【0100】
ステップS114において、制御部116は、予備加熱が開始されてから時間t2が経過したか否かを判定する。予備加熱が開始されてから時間t2が経過していないと判定された場合(ステップS114:NO)、処理は再度ステップS110に戻る。他方、予備加熱が開始されてから時間t2が経過したと判定された場合(ステップS114:YES)、処理は終了する。
【0101】
図4は、本実施形態に係る吸引装置100により実行されるカートリッジ側エアロゾルの霧化量の制御処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートにおけるステップS202~ステップS210及びステップS214は、
図3に示したフローチャートにおけるステップS102~ステップS110及びステップS114と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0102】
ステップS212において、制御部116は、カートリッジ加熱部121-1に対し、単位時間当たりにWA+WBワットの給電を行うよう電源部111を制御する。ここで、WAは正の定数(例えば、1ワット)である。他方、WBは、予備加熱が開始されてからの経過時間に応じて増加する値である。一例として、WB=Wc(t-t1)であってもよい。「Wc」は正の定数である。「t」は、予備加熱が開始されてからの経過時間である。「t-t1」は、本加熱が開始されてからの経過時間である。その後、処理はステップS214に進む。
【0103】
(4)基材の種類に応じた設定
スティック型基材150の種類に応じて、スティック型基材150を通過するカートリッジ側エアロゾルの適正な量は異なり得る。そこで、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間とカートリッジ側エアロゾルの生成量との関係を、スティック型基材150の種類に基づいて制御してもよい。予備加熱が開始されてからの経過時間とカートリッジ側エアロゾルの生成量との関係とは、上述した霧化設定を指す。一例として、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間に応じたカートリッジ側エアロゾルの生成量の増加量(即ち、
図2に示した線20の傾き)を制御してもよい。他の一例として、制御部116は、本加熱開始時のカートリッジ側エアロゾルの生成量(即ち、
図2に示した初期値G
MIN)を制御してもよい。かかる構成によれば、スティック型基材150の種類に応じた適切な霧化設定を採用することが可能となる。
【0104】
以下、
図5を参照しながら、基材の種類に応じた霧化設定の切り替えの具体例を説明する。
図5は、本実施形態に係る吸引装置100における基材の種類に応じた霧化設定の切り替えの一例を示すグラフである。グラフ30Aは、メントール成分を含まないスティック型基材150が吸引装置100に挿入されている場合に設定される、加熱プロファイル及び霧化設定の一例である。グラフ30Bは、メントール成分を含むスティック型基材150が吸引装置100に挿入されている場合に設定される、加熱プロファイル及び霧化設定の一例である。
【0105】
各グラフの横軸は、予備加熱開始からの経過時間を示す。線10A及び線10Bは、加熱プロファイルを示す。線10A及び線10Bに関して言えば、本グラフの縦軸は、スティック加熱部121-2の温度を示す。線20A及び線20Bは、霧化設定を示す。線20A及び線20Bに関して言えば、本グラフの縦軸は、パフ1回当たりの霧化量を示す。t1は、第1の所定時間の一例である。t2は、第2の所定時間の一例である。
【0106】
図5を参照すると、線10Aに示す加熱プロファイルと線10Bに示す加熱プロファイルとは同一である。他方、線20Aに示す霧化設定と線20Bに示す霧化設定とは、初期値G
MINが同一である一方で、傾きが異なっている。具体的には、線20Aの傾きよりも、線20Bの傾きの方が小さい。かかる構成によれば、メントール成分を含むスティック型基材150では、ユーザに吸引されるメントール成分の量が過度に増加しないようにすることが可能である。
【0107】
スティック型基材150の種類の識別方法は多様に考えられる。例えば、スティック型基材150には、スティック型基材150の種類を示す識別情報が付与されていてもよい。その場合、制御部116は、スティック型基材150に付与された識別情報に基づいて、スティック型基材150の種類を識別し得る。識別情報としては、色が付された線、及びバーコード等が挙げられる。センサ部112は、識別情報を読み取るための画像センサを含んでいてもよく、制御部116は、画像センサにより得られた画像に含まれる識別情報に基づいて、スティック型基材150の種類を識別する。かかる構成によれば、スティック型基材150の種類を自動的に識別することが可能となる。
【0108】
同様に、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間とカートリッジ側エアロゾルの生成量との関係を、カートリッジ120の種類に基づいて制御してもよい。かかる構成によれば、カートリッジ120の種類に応じた適切な霧化設定を採用することが可能となる。カートリッジ120の種類は、例えば、カートリッジ120に付与された識別情報に基づいて識別されてもよい。
【0109】
(5)ユーザ入力に応じた設定
ユーザごとに、エアロゾルに含まれる香味成分の量の好みは異なり得る。そこで、制御部116は、予備加熱が開始されてからの経過時間とカートリッジ側エアロゾルの生成量との関係を、ユーザによる入力に基づいて制御してもよい。ユーザによる入力の一例は、吸引装置100に設けられたボタンの押下である。ユーザによる入力は、スマートフォン等の他の装置を介して行われてもよい。かかる構成によれば、ユーザの好みに応じた適切な霧化設定を採用することが可能となる。そして、ユーザに与える満足感を向上させることが可能となる。
【0110】
同様の理由で、制御部116は、加熱プロファイルを、ユーザによる入力に基づいて制御してもよい。かかる構成によれば、ユーザの好みに応じた適切な加熱プロファイルを採用することが可能となる。そして、ユーザに与える満足感を向上させることが可能となる。
【0111】
以下、
図6を参照しながら、ユーザ入力に応じた加熱プロファイルの切り替えの具体例を説明する。
図6は、本実施形態に係る吸引装置100におけるユーザ入力に応じた加熱プロファイルの切り替えの一例を示すグラフである。各グラフの横軸は、予備加熱開始からの経過時間を示す。各グラフの縦軸は、スティック加熱部121-2の温度を示す。線10A、10B及び10Cの各々は、加熱プロファイルを示す。ユーザ入力により、これらの加熱プロファイルのうちいずれか一つが設定される。
【0112】
線10Aに示すように、本加熱が行われる期間において、スティック加熱部121-2の温度が一定である加熱プロファイルが設定されてもよい。線10Bに示すように、本加熱が行われる期間の途中で、スティック加熱部121-2の温度が低下する加熱プロファイルが設定されてもよい。線10Cに示すように、本加熱が行われる期間の途中で、スティック加熱部121-2の温度が向上する加熱プロファイルが設定されてもよい。他にも、t1及びt2の少なくともいずれかが変更されてもよい。
【0113】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば、上記実施形態では、予備加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほどカートリッジ加熱部121-1への給電量が増加するよう制御する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本制御と共に、又は代えて、制御部116は、カートリッジ加熱部121-1への給電量が、パフの回数が多くなるほど増加するように制御してもよい。さらに言えば、制御部116は、1回のパフ当たりのカートリッジ加熱部121-1への給電量が、パフの回数が多くなるほど増加するように制御してもよい。かかる構成によれば、パフ回数が増加するほど、1回のパフ当たりのカートリッジ側エアロゾルの生成量を増加させることができる。パフ回数が増加するほど、スティック型基材150に含有される香味源が減少する。そして、香味源の減少に起因して、カートリッジ側エアロゾルの単位量当たりに付与される香味成分が減少する。しかし、かかる構成によれば、エアロゾルの単位量当たりに含有される香味成分の減少を、エアロゾルの総量を増加させることで相殺し、1回のパフ当たりにユーザの口内に到達する香味成分の減少を抑制することができる。そのため、多数のパフが行われた後であっても、ユーザは十分に香味を味わうことが可能となる。
【0115】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0116】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0117】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、
第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、
前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する制御部と、
を備える吸引装置。
(2)
前記制御部は、1回の前記エアロゾルを吸引する吸引動作当たりに前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
前記(1)に記載の吸引装置。
(3)
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
前記(2)に記載の吸引装置。
(4)
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電する時間が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
前記(3)に記載の吸引装置。
(5)
前記制御部は、1回の前記吸引動作当たりに前記第2の加熱部に給電される単位時間当たりの給電量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御する、
前記(3)又は(4)に記載の吸引装置。
(6)
前記制御部は、1回の前記エアロゾルを吸引する吸引動作当たりの前記第2の加熱部への給電量が、前記吸引動作の回数が多くなるほど増加するよう制御する、
前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(7)
前記制御部は、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する、
前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(8)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第1の加熱部の温度との関係を定義した加熱プロファイルに沿って前記第1の加熱部による加熱が行われるよう制御する、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(9)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第1の所定時間に達するまでの間、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御する、
前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(10)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が第2の所定時間に達した後、前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないよう制御する、
前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(11)
前記制御部は、前記加熱プロファイルを、ユーザによる入力に基づいて制御する、
前記(8)に記載の吸引装置。
(12)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、前記第1の基材の種類に基づいて制御する、
前記(1)~(11)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(13)
前記制御部は、前記第1の基材に付与された識別情報に基づいて前記第1の基材の種類を識別する、
前記(12)に記載の吸引装置
(14)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、前記第2の基材の種類に基づいて制御する、
前記(1)~(13)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(15)
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間と前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの生成量との関係を、ユーザによる入力に基づいて制御する、
前記(1)~(14)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(16)
前記第1の基材は、香味源を含有する、
前記(1)~(15)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(17)
前記第2の基材は、液体である前記エアロゾル源を含有する、
前記(1)~(16)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(18)
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するための制御方法であって、
前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、
を含む制御方法。
(19)
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部、及び第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部を有する吸引装置を制御するコンピュータに、
前記第2の加熱部により生成される前記エアロゾルの量が、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が長くなるほど増加するよう制御すること、
を実行させるためのプログラム。
(20)
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、
第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、
前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでの間、前記吸引動作が行われても前記第2の加熱部による加熱が行われないように制御する吸引装置。
(21)
第1の基材に含有されるエアロゾル源を加熱する第1の加熱部と、
第2の基材に含有されるエアロゾル源を加熱し、前記第1の基材を通過するエアロゾルを生成する第2の加熱部と、
前記エアロゾルを吸引する吸引動作が行われた場合に前記第2の加熱部による加熱が行われるよう制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の加熱部による加熱が終了した後に前記吸引動作が行われた場合に、前記第2の加熱部による加熱が行われないように制御する吸引装置。
【符号の説明】
【0118】
100 吸引装置
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
120 カートリッジ
121-1 加熱部(カートリッジ加熱部)
121-2 加熱部(スティック加熱部)
122 液誘導部
123 液貯蔵部
140 保持部
141 内部空間
142 開口
143 底部
144 断熱部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
180 空気流路
181 空気流入孔
182 空気流出孔