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特許7481445無線ネットワークの伝送方法、装置、通信ノード及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】無線ネットワークの伝送方法、装置、通信ノード及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/02 20090101AFI20240501BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20240501BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20240501BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240501BHJP
【FI】
H04W74/02
H04W28/16
H04W76/15
H04W84/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022533572
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2021072996
(87)【国際公開番号】W WO2021147934
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】202010075389.1
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 桑
(72)【発明者】
【氏名】李 楠
(72)【発明者】
【氏名】楊 丹
(72)【発明者】
【氏名】韓 志 強
(72)【発明者】
【氏名】孫 波
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0146469(US,A1)
【文献】Kiseon Ryu (LG Electronics),Consideration on multi-AP coordination for EHT,IEEE 802.11-18/1982r1,2019年01月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法であって、
第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニットPPDUを受信するステップであって、前記第1識別情報は、マルチアクセスポイント伝送動作をトリガするように構成されたステップと、
前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定し、ローカルに記憶されたNAVを更新し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するステップと、
を含み、
前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定することは、
前記PPDUに第1識別情報が含まれている場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードが確立されたマルチAP伝送グループに属する場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードがマルチAP伝送規約に参加している場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1識別情報に従って、前記PPDUを基本サービスセット外のPPDUに分類することを判定し、前記ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記方法は、
前記第2識別情報に基づいて、前記マルチアクセスポイント伝送に参加するか否かを決定するステップと、
前記マルチアクセスポイント伝送に参加する場合、前記ローカルに記憶されたNAVを更新し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行し、且つ、前記マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するステップと、
前記マルチアクセスポイント伝送に参加しない場合、前記ローカルに記憶されたNAVをそのままで、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行するステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1識別情報は、前記PPDU内の無線フレームの媒体アクセス制御MACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示され、
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ローカルに記憶されたNAVは、マルチアクセスポイント伝送NAVである
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法であって、
第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニットPPDUを生成するステップであって、前記第1識別情報は、少なくとも1つの通信ノードがマルチアクセスポイント伝送動作を実行するようにトリガするように構成されたステップと、
前記PPDUを送信するステップと、
を含み、
前記PPDUを受信された第1通信ノードは、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定し、ローカルに記憶されたNAVを更新し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、
前記第1通信ノードが、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定することは、
前記PPDUに第1識別情報が含まれている場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードが確立されたマルチAP伝送グループに属する場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードがマルチAP伝送規約に参加している場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、
を含む方法。
【請求項7】
前記PPDUはさらに、
PPDU内の無線フレームの受信者を示すように構成された第2識別情報を含む
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1識別情報は、前記PPDU内の無線フレームの媒体アクセス制御MACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示され、
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニットPPDUを受信するように構成された受信モジュールであって、前記第1識別情報は、マルチアクセスポイント伝送動作をトリガするように構成された受信モジュールと、
前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定し、ローカルに記憶されたNAVを更新し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するように構成された設定モジュールと、
を含み、
前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定することは、
前記PPDUに第1識別情報が含まれている場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
1通信ノードが確立されたマルチAP伝送グループに属する場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードがマルチAP伝送規約に参加している場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、
を含む無線ネットワークの伝送装置。
【請求項10】
第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニットPPDUを生成するように構成された生成モジュールであって、前記第1識別情報は、少なくとも1つの通信ノードがマルチアクセスポイント伝送動作を実行するようにトリガするように構成された生成モジュールと、
前記PPDUを送信するように構成された送信モジュールと、
を含み、
前記PPDUを受信された第1通信ノードは、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定し、ローカルに記憶されたNAVを更新し、前記第1識別情報に従って前記マルチアクセスポイント伝送動作を実行し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、
前記第1通信ノードが、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類することを判定することは、
前記PPDUに第1識別情報が含まれている場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードが確立されたマルチAP伝送グループに属する場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、或いは、
前記第1通信ノードがマルチAP伝送規約に参加している場合、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類すること、
を含む無線ネットワークの伝送装置。
【請求項11】
通信ノードであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
1つまたは複数のプログラムを記憶するように構成された記憶装置と、
を含み、
前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、前記1つまたは複数のプロセッサに請求項1~5の何れか一項に記載の無線ネットワークの伝送方法または請求項6~8の何れか一項に記載の無線ネットワークの伝送方法を実現させる
通信ノード。
【請求項12】
コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたときに、請求項1~5の何れか一項に記載の無線ネットワークの伝送方法または請求項6~8の何れか一項に記載の無線ネットワークの伝送方法を実現する
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は中国特許庁に2020年01月22日に提出された、出願番号が202010075389.1である中国特許出願の優先権を主張し、その出願の全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は、無線通信ネットワークに関し、例えば、無線ネットワークの伝送方法、装置、通信ノード及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
次世代無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:Wireless Local Area Network)は、1つまたはマルチアクセスポイント(AP:Access Point)と1つまたは複数の無線ステーション(STA:Station)との間のマルチアクセスポイント伝送をサポートする。例えば、特定のAPまたはトリガエンティティは、マルチアクセスポイント伝送を行うように他のアクセスポイントをトリガするために、データパケットを送信することができる。マルチアクセスポイント伝送中において、そのパケットを受信できる他のオーバーヒアステーション(overhear station)は、そのパケットに含まれる情報に応じてネットワーク割り当てベクター(NAV:Network Allocation Vector)を設定し、NAVがゼロでない期間でデータを送信できないようにする必要があり、マルチアクセスポイント伝送に参加する通信ノード間の衝突を回避する。このような場合、もし1つの通信ノードをマルチアクセスポイント伝送の参加者として、且つ、関連メカニズムによってNAVを設定すると、この通信ノードがマルチアクセスポイント伝送に正常に参加できなくなり、伝送過程の正常な実現に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願はNAV設定の合理性を改善し、マルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証することを目的とする無線ネットワークの伝送方法、装置、通信ノード及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、第1通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法を提供し、前記無線ネットワークの伝送方法は、
第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニット(PPDU:Phy Protocal Data Unit)を受信するステップと、
ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視するステップと、を含む。
【0006】
本願の実施例はさらに、第2通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法を提供し、前記無線ネットワークの伝送方法は、
第1識別情報を持つPPDUを生成するステップと、
前記PPDUを送信するステップと、を含む。
【0007】
本願の実施例はさらに、無線ネットワークの伝送装置を提供し、前記無線ネットワークの伝送装置は、
第1識別情報を持つPPDUを受信するように構成された受信モジュールと、
ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視するように構成された設定モジュールと、を含む。
【0008】
本願の実施例はさらに、無線ネットワークの伝送装置を提供し、前記無線ネットワークの伝送装置は、
第1識別情報を持つPPDUを生成するように構成された生成モジュールと、
前記PPDUを送信するように構成された送信モジュールと、を含む。
【0009】
本願の実施例はさらに、通信ノードを提供し、前記通信ノードは、
1つまたは複数のプロセッサと、
1つまたは複数のプログラムを記憶するように構成されたメモリと、
を含み、
前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、前記1つまたは複数のプロセッサに上記の無線ネットワークの伝送方法を実現させる。
【0010】
本願の実施例はさらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プログラムがプロセッサによって実行されたときに、上記の無線ネットワークの伝送方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】隠れノードの模式図である。
図2】一実施例によって提供される無線ネットワークの伝送方法のフローチャートである。
図3】一実施例によって提供されるマルチアクセスポイント伝送をトリガする概略図である。
図4】もう一つの実施例によって提供されるマルチアクセスポイント伝送をトリガする模式図である。
図5】一実施例によって提供される無線ローカルエリアネットワークにおけるフレーム構造の模式図である。
図6】もう一つの実施例によって提供される無線ネットワークの伝送方法のフローチャートである。
図7】一実施例によって提供される無線ネットワークの伝送装置の構造模式図である。
図8】もう一つの実施例によって提供される無線ネットワークの伝送装置の構造模式図である。
図9】一実施例によって提供される通信ノードのハードウェア構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面と実施例を組み合わせて本願を説明する。ここで説明される具体的な実施例は本願を解釈するためのものだけであって、本願に対する限定ではない。矛盾しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は互いと任意に組み合わせてもよい。なお、説明の便宜上、図面には、構造全体ではなく、本願に関連する部分のみが示されている。
【0013】
無線ネットワークにおいて、WLANを例にとると、よく見かける装置としてAPおよび無線ステーションSTAが含まれ、STAおよびAPは、総称して無線通信ノードと呼ぶことができる。次世代WLANは、1つまたは複数のAPと1つまたは複数のSTAとの間のマルチアクセスポイント伝送をサポートする。無線通信ノードがチャネルを共有する場合、無線環境での衝突検出は困難になる。
【0014】
図1は隠れノードの模式図である。図1に示すように、STA1とSTA2は同時にAPにデータを送信するが、STA1とSTA2は互いに相手のカバー範囲外にあるため、両者が同時にAPにデータを送信すると衝突する。STA1に対して、STA2が隠れステーションである。無線フレームの媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)フレームヘッダに、保護されるチャネルアクセス時間(即ち、期間フィールド、Duration Field)を含めることによって、隠れステーションとのコリジョンを回避できる。当該無線フレームの終了後の一定期間内に、保護されるチャネルアクセス時間を含む無線フレームを受信した他のオーバーヒアステーションは、ローカルに記憶されたNAVを設定するので、その時間において、隠れステーションのチャネル競合によるコリジョン問題を回避するために、オーバーヒアステーションはデータを送信しない。オーバーヒアステーションは、NAVがゼロに減少するまでデータを送信できない。
【0015】
マルチアクセスポイント伝送中において、そのパケットを受信できる他のオーバーヒアステーションは、そのパケットに含まれる情報に応じてNAVを設定し、NAVがゼロでない期間でデータを送信できないようにする必要があり、マルチアクセスポイント伝送に参加する通信ノード間の衝突を回避する。このような場合、もし1つの通信ノードが、マルチアクセスポイント伝送のイニシエータではなく、参加者とされる場合も、オーバーヒアステーションと見なされ、関連メカニズムによってNAVを設定すると、この通信ノードがマルチアクセスポイント伝送に正常に参加できなくなり、伝送過程の正常な実現に影響を与えることになる。
【0016】
本願の実施例において、第1通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法を提供する。第1通信ノードはマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガされる通信ノードであり、マルチアクセスポイント伝送の参加者として、NAVを合理的に設定することにより、データ伝送プロセスが影響されないことを保証し、それによってマルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証し、さらにシステムのスループットを向上させる。
【0017】
図2は一実施例によって提供される無線ネットワークの伝送方法のフローチャートである。本実施例における第1通信ノードはAPに相当する。図2に示すように、本実施形態によって提供される方法は、ステップ110およびステップ120を含む。
【0018】
ステップ110において、第1識別情報を持つ物理層プロトコルデータユニットPPDUを受信する。
【0019】
ステップ120において、ローカルに記憶されたネットワーク割り当てベクターNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視する。
【0020】
本実施例において、第1通信ノードはPPDUを受信し、PPDUが第1識別情報を持つことにより、当該PPDUは一回のマルチアクセスポイント伝送をトリガするように構成されたものであると明確に規定される。この場合、第1通信ノードは、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいは、PPDUによって予約された保護される時間に従って、ローカルに記憶されたNAVを更新するが、マルチアクセスポイント伝送中に、当該更新されたNAVを無視する。即ち、第1通信ノードは、NAVに従って一定の時間待つ必要はなく、PPDU内のパラメータに基づいて、第3通信ノードに対する伝送に直ちに参加して実行できるので、マルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証する。
【0021】
一実施例において、各通信ノードにはNAVがローカルに記憶されており、NAVには自身の基本サービスセット(BSS:Basic Server Set)NAVと基本NAV(Basic NAV)との2つの異なるタイプが含まれる。APはBSSを確立し、STAはスキャン認証アソシエーションなどのプロセスによってAPとアソシエーションすることができる。1つのAPおよびそれにアソシエーションされた複数のSTAによって、1つのBSSを構成する。802.11を例として、分散式協調機能(DCF:Distributed Coordination Function)とポイント協調機能(PCF:Point Coordination Function)との2つの動作モードおよびこの2つの動作モードに対する改良である拡張型分散式協調アクセス(EDCA:Enhanced Distributed Channel Access)とハイブリッド協調機能制御チャネルアクセス(HCCA:Hybrid Coordination Function Controlled Channel Access)とが定義されている。DCFは最も基本的な動作モードであり、衝突検出付き搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムを利用して複数のステーションで無線チャネルを共有する。EDCAは拡張型の動作モードであり、上層レイヤのデータを、それぞれ音声アクセスカテゴリ(AC_VO:Access Categories voice)、ビデオアクセスカテゴリ(AC_VI:Access Categories video)、ベストエフォートアクセスカテゴリ(AC_BE:Access Categories best effort)、およびバックグラウンドアクセスカテゴリ(AC_BK:Access Categories background)の4つの異なるキューアクセスカテゴリにマッピングし、各キューカテゴリは、異なる競合チャネルのパラメータを利用して優先順位を区別する。EDCAは、CSMA/CAメカニズムを利用して、複数の異なる優先順位のキューに無線チャネルを共有させ、送信機会(TXOP:Transmission Opportunity)を予約する。第1通信ノードが1つの無線フレームを受信した場合、当該フレームが自BSSに属するか否かを判定し、自BSSに属する場合には、自BSS NAVを設定し、当該フレームが自BSSに属していない場合、または自BSSに属するか否かを判定できない場合には、基本NAVを設定する。一定の条件を満たす場合には、自BSS NAVの値を無視してもよいが、基本NAVの値を無視することはできず、両NAVの値が共に0に減少した場合にのみ、仮想チャネルがアイドルとして検出されたとみなしてデータ伝送を開始することができる。
【0022】
本実施例において、第1通信ノードは、第1識別情報を持つPPDUを受信した後、ローカルに記憶されたNAVを設定しなくてもよく、すなわち、ローカルに記憶された値をそのまま維持してもよいし、ローカルに記憶されたNAV(自BSS NAV)を更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中にNAVを無視して、直ちにマルチアクセスポイント伝送に参加してもよい。
【0023】
一実施例において、第1識別情報は、マルチアクセスポイント伝送動作をトリガするように構成された。前記方法はさらに、第1識別情報に従って、マルチアクセスポイント伝送動作を実行するステップを含む。
【0024】
一実施例において、第2通信ノードは、PPDUを送信することによって、第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガし、第1通信ノードは少なくとも1つであり、マルチアクセスポイント伝送データの受信者は、1つまたは複数の第3通信ノード(例えば、無線ステーション)であってもよい。PPDUには、第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガするように構成された第1識別情報が含まれている。
【0025】
図3は一実施例によって提供されるマルチアクセスポイント伝送をトリガする模式図である。WLAN技術の絶え間ない進化に伴って、複数のAPは、1つまたは複数のSTAと同時または非同時に通信することができ、すなわち、マルチアクセスポイント伝送(Multi-AP Transmission)を行うことができる。複数のAPから1つのSTAへの同時に伝送する場合を例にすると、複数APの同時伝送は通常、特定の機能エンティティによってトリガされ、当該特定のエンティティは、特定のAPまたはネットワーク内の特定の機器であってもよい。図3に示すように、トリガエンティティが第2通信ノードであり、第2通信ノードは、2つの第1通信ノードが同時にSTA1にデータを伝送するようにトリガして、複数の第1通信ノード間の送信時刻が揃っているので、複数の第1通信ノード間の信号が互いに干渉してSTAの受信に影響することはない。このプロセスにおいて、トリガプロセスがエアインターフェースを介して完成する場合、第2通信ノードは通常、伝送をトリガする機能を有する無線フレームを第1通信ノードに送信する必要があり、無線フレームにはマルチアクセスポイント伝送動作をトリガするように構成された第1識別情報を含んでおり、さらに、保護されるチャネルアクセス時間および受信者を含んでもよい。
【0026】
図4はもう一つの実施例によって提供されるマルチアクセスポイント伝送をトリガする模式図である。図4に示すように、第2通信ノードは、第1通信ノードが第2通信ノードと同時にSTA1にデータを伝送するようにトリガし、すなわち、マルチアクセスポイント伝送を行う通信ノードは、トリガエンティティ自体を含んでもよい。
【0027】
上記の実施例において、第2通信ノードは1つのアクセスポイントとすることができ、第1通信ノードは、家庭ネットワーク環境、商用環境または産業環境などの無線ローカルエリアネットワーク環境におけるアクセスポイントとすることができる。第2通信ノードは、自身がマルチアクセスポイント伝送をサポートするか否かを通知することができ、マルチアクセスポイント伝送のモードは、マルチアクセスポイント結合伝送(複数のAPから同時にSTAに伝送する)、マルチアクセスポイント選択的伝送(複数のAPから1つを選んでSTAに伝送させる)、マルチアクセスポイント協調伝送(複数のAPが同時にそれぞれにアソシエーションされたSTAに伝送する)を含む。マルチアクセスポイント協調伝送は、協調直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、協調周波数多重化などを含む。STAは、APに自身がマルチアクセスポイント伝送をサポートするか否か、およびサポートされているマルチアクセスポイント伝送のモードを通知する。
【0028】
一実施例において、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するステップは、第1識別情報に従って、PPDUを基本サービスセット外のPPDUに分類し、且つ、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するステップを含む。
【0029】
本実施例において、第1通信ノードがPPDUを受信すると、第1識別情報に基づいて、当該PPDUが自BSSのPPDUに分類されるか否かを判断し、当該PPDUが自BSSのPPDUに分類されない場合には、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持し、すなわち、ローカルに記憶されたNAVを更新せず、ローカルに記憶されたNAVが0に減少してからデータを送信する必要がある。
【0030】
一実施例において、ローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視するステップは、第1識別情報に従って、PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類するステップと、ローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するステップと、を含む。
【0031】
本実施例において、第1通信ノードは、PPDUを受信すると、第1識別情報に基づいて、当該PPDUが自BSSのPPDUに分類されるか否かを判断し、当該PPDUが自BSSのPPDUに分類される場合には、ローカルに記憶されたNAVを更新するが、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、NAVに従って一定の時間待つ必要がなく、PPDU内のパラメータに基づいて直ちに第3通信ノードに対する伝送に参加して実行することができる。
【0032】
一実施例において、PPDUに第1識別情報が含まれている場合、第1通信ノードは、当該PPDUが自BSSに属すると判定し、或いは、
1つまたは複数のAPがマルチAP伝送グループを確立しており、且つ第1通信ノードが当該マルチAP伝送グループに属する場合、第1通信ノードは、当該PPDUが自BSSに属すると判定し、或いは、
1つまたは複数のAPがマルチAP伝送規約を決めており、且つ、第1通信ノードがマルチAP伝送規約に参加している場合、第1通信ノードは、当該PPDUが自BSSに属すると判定する。
【0033】
一実施例において、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視する前記ステップは、PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、第2識別情報に基づいて、マルチアクセスポイント伝送に参加するか否かを決定するステップと、マルチアクセスポイント伝送に参加する場合、ローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するステップと、マルチアクセスポイント伝送に参加しない場合、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するステップと、を含む。
【0034】
本実施例において、PPDUにはさらに、無線フレームの受信者を示すように構成された第2識別情報が含まれており、第1通信ノードは、PPDUを受信すると、第2識別情報に基づいて、マルチアクセスポイント伝送に参加するか否かを決定し、今回のマルチアクセスポイント伝送に参加する場合には、ローカルに記憶されたNAVを更新するが、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、NAVに従って一定の時間待つ必要はなく、PPDU内のパラメータに基づいて、第3通信ノードに対する伝送に直ちに参加して実行することができ、今回のマルチアクセスポイント伝送に参加しない場合、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持し、NAVが0に減少してからデータを送信する必要がある。
【0035】
一実施例において、ローカルに記憶されたNAVを更新するステップは、ローカルに記憶されたNAV(自BSS NAV)をPPDUに対応する保護されるチャネルアクセス時間と比較し、両者のうち、最大値を新たな自BSS NAVとして設定するステップを含む。
【0036】
一実施例において、第1識別情報は、PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、またはPPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示される。
【0037】
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される。
【0038】
第1識別情報には複数の表現方法があり、例えば、第1識別情報は、PPDU内の無線フレーム内のMACフレームヘッダ内にあり、具体的には、他の無線通信ノードが伝送を行うようにトリガするように構成されたトリガフレーム(Trigger Frame)のMACフレームヘッダ内のフレーム制御(Frame Control)フィールド内の1つまたは複数のビットであってもよく、当該無線フレームは1つまたは複数の第1通信ノードが1回のマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガまたは通知するように構成されたものであることを示す。別の例として、第1識別情報は、トリガフレームのMACフレームヘッダ内のトリガタイプ(Trigger Type)フィールドによって、当該無線フレームは1つまたは複数の第1通信ノードが1回のマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガするように構成されたものであることを示してもよい。別の例として、第1識別情報は、PPDUの物理層シグナリングフィールド内にあり、当該無線フレームが1つまたは複数の第1通信ノードが1回のマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガするように構成されたものであることを示してもよい。
【0039】
一実施例において、PPDUにはさらに、受信者を示すように構成された第2識別情報が含まれてもよく、当該識別は、特定の通信ノードを受信者として指定してもよく、マルチキャストまたはブロードキャストとしてもよい。
【0040】
第2識別情報には複数の表現方法があり、例えば、第2識別情報は、PPDUの無線フレーム内のMACフレームヘッダ内にあり、その形式は、第3通信ノードのMACアドレスまたは識別子等であり、第2識別情報に対応する通信ノードが受信者であり、その形式も、1つのマルチキャストまたはブロードキャストアドレスまたは識別子であってもよく、1つまたは複数の第3通信ノードが受信者であることを示す。別の例として、第2識別情報は、無線ステーションに割り当てられたアソシエーション識別子(AID:Association ID)の取りうる値の範囲内から予め取っておき、各無線通信ノードに割り当てられるいくつかの値である。例えば、AIDの取りうる値の範囲が0~Nであるとすると、その中の0~M番目の値、またはN-M~N番目の値が無線通信ノードに割り当てられ、各無線通信ノードに割り当てられるAIDは、無線通信ノード間の相互ネゴシエーションによって行われてもよく、または中央制御ノードなどのネットワーク内の特定のエンティティによって行われてもよい。
【0041】
図5は一実施例によって提供される無線ローカルエリアネットワークにおけるフレーム構造の模式図である。図5に示すように、物理層(PHY:Physical Layer)フレームヘッダおよび/またはMACフレームヘッダには、第1識別情報に加えて、受信者を示すように構成された第2識別情報が含まれてもよい。
【0042】
一実施例において、ローカルに記憶されたNAVは、マルチアクセスポイント伝送NAVである。
【0043】
本実施例において、第1通信ノードでローカルに記憶されたNAVは、自BSS NAVおよび基本NAVに加えて、マルチアクセスポイント伝送NAVを含む。マルチアクセスポイント伝送NAVが増やされた場合、3つのNAVがすべて0に減少した場合にのみ、第1通信ノードは、仮想チャネルがアイドルとして検出されたとみなして、データを伝送することができる。
【0044】
一実施例において、第1通信ノードは、PPDUを受信すると、第1識別情報に基づいて、当該PPDUがマルチアクセスポイント伝送をトリガするように構成されたものであるか否かを判定し、当該PPDUがマルチアクセスポイント伝送をトリガするように構成されたものではない場合、マルチアクセスポイント伝送NAVをそのまま維持し、当該PPDUがマルチアクセスポイント伝送をトリガするように構成されたものである場合、マルチアクセスポイント伝送NAVを更新するが、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、PPDUのパラメータに基づいてマルチアクセスポイント伝送を実行する。
【0045】
一実施例において、第1通信ノードは、PPDUを受信すると、第2識別情報に基づいて、当該PPDUが今回のマルチアクセスポイント伝送に参加するか否かを判断し、参加しない場合には、マルチアクセスポイント伝送NAVをそのまま維持し、参加する場合には、マルチアクセスポイント伝送NAVを更新するが、マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、PPDUのパラメータに基づいて、マルチアクセスポイント伝送を実行する。
【0046】
一実施例において、マルチアクセスポイント伝送NAVを更新するステップは、ローカルに記憶されたマルチアクセスポイント伝送NAVをPPDUに対応する保護されるチャネルアクセス時間と比較し、両者のうち、最大値を新たなマルチアクセスポイント伝送NAVとして設定するステップを含む。
【0047】
上記実施例の無線ネットワークの伝送方法によれば、第1通信ノードは、マルチアクセスポイント伝送の参加者として、NAVを合理的に設定することにより、自BSSに属する場合や今回のマルチアクセスポイント伝送に参加する場合、データ伝送プロセスが影響されないことを保証し、それによってマルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証し、さらにシステムのスループットを向上させる。
【0048】
本願の実施例において、さらに第2通信ノードに適用される無線ネットワークの伝送方法を提供する。第2通信ノードは、第1識別情報を持つPPDUを送信することによって、少なくとも1つの第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガし、第1通信ノードが第1識別情報に基づいてNAVを合理的に設定することにより、第1通信ノードが直ちに伝送できることを保証し、マルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証する。本実施例における第2通信ノードは、上記実施例における第1通信ノードと対応してインタラクションするので、本実施例では詳細に説明されていない技術的詳細は、上記任意の実施例を参照することが可能である。
【0049】
図6はもう一つの実施例によって提供される無線ネットワークの伝送方法のフローチャートである。図6に示すように、本実施形態によって提供される方法は、ステップ210およびステップ220を含む。
【0050】
ステップ210において、第1識別情報を持つPPDUを生成する。
ステップ220において、前記PPDUを送信する。
【0051】
本実施例において、第2通信ノードは、PPDUを送信することによって、第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガし、第1通信ノードは少なくとも1つであり、マルチアクセスポイント伝送データの受信者は、1つまたは複数の第3通信ノード(例えば、無線ステーション)であってもよい。PPDUには、第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送に参加して実行するのを示すように構成された第1識別情報が含まれている。第2通信ノードは、例えば、図3におけるトリガエンティティであり、マルチアクセスポイント伝送を実行するようにトリガされる通信ノードは、第2通信ノード自体を含んでもよい。
【0052】
一実施例において、第1識別情報は、少なくとも1つの通信ノードがマルチアクセスポイント伝送動作を実行するようにトリガするように構成された。
【0053】
一実施例において、PPDUはさらに、前記無線フレームの受信者を示すように構成された第2識別情報を含む。
【0054】
一実施例において、第1識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、またはPPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示される。
【0055】
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される。
【0056】
本願の実施例はさらに、無線ネットワークの伝送装置を提供する。図7は一実施例によって提供される無線ネットワークの伝送装置の構造模式図である。図7に示すように、前記無線ネットワークの伝送装置は、受信モジュール310と設定モジュール320とを含む。
【0057】
第1識別情報を持つPPDUを受信するように構成された受信モジュール310と、
ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視するように構成された設定モジュール320と、を含む。
【0058】
本実施例の無線ネットワークの伝送装置によれば、NAVを合理的に設定することにより、データ伝送プロセスが影響されないことを保証し、それによってマルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証し、さらにシステムのスループットを向上させる。
【0059】
一実施例において、前記第1識別情報は、マルチアクセスポイント伝送動作をトリガするように構成された。
【0060】
前記装置はさらに、
前記第1識別情報に従って、マルチアクセスポイント伝送動作を実行するように構成された実行モジュールを含む。
【0061】
一実施例において、前記設定モジュール320は、
前記第1識別情報に従って、前記PPDUを基本サービスセット外のPPDUに分類し、且つ、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するように構成された維持ユニットを含む。
【0062】
一実施例において、前記設定モジュール320は、
前記第1識別情報に従って、前記PPDUを基本サービスセット内のPPDUに分類し、
ローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、前記マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視するように構成された更新ユニットを含む。
【0063】
一実施例において、前記設定モジュール320は、具体的には、
前記PPDUに第2識別情報がさらに含まれている場合、前記第2識別情報に基づいて、前記マルチアクセスポイント伝送に参加するか否かを決定し、
前記マルチアクセスポイント伝送に参加する場合、前記ローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、前記マルチアクセスポイント伝送中に、更新されたNAVを無視し、
前記マルチアクセスポイント伝送に参加しない場合、前記ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するように構成された。
【0064】
一実施例において、前記第1識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示される。
【0065】
一実施例において、第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される。
【0066】
一実施例において、前記ローカルに記憶されたNAVは、マルチアクセスポイント伝送NAVである。
【0067】
本実施例で提案された伝送装置は、上記実施例で提案された伝送方法を参照することができ、本実施例では詳しく説明されていない技術的詳細は、上記任意の実施例を参照することができ、本実施例は、伝送方法を実行する場合と同様の有益な効果を有する。
【0068】
本願の実施例はさらに、無線ネットワークの伝送装置を提供する。図8はもう一つの実施例によって提供される無線ネットワークの伝送装置の構造模式図である。図8に示すように、前記無線ネットワークの伝送装置は、生成モジュール410と送信モジュール420とを含む。
【0069】
生成モジュール410は第1識別情報を持つPPDUを生成するように構成された。
送信モジュール420は前記PPDUを送信するように構成された。
【0070】
本実施例の無線ネットワークの伝送装置によれば、第1識別情報を持つPPDUを送信することによって、少なくとも1つの第1通信ノードがマルチアクセスポイント伝送を行うようにトリガし、第1通信ノードが第1識別情報に基づいてNAVを合理的に設定することにより、第1通信ノードが直ちに伝送できることを保証し、マルチアクセスポイント伝送の正常な実現を保証する。本実施例における第2通信ノードは、上記実施例における第1通信ノードと対応してインタラクションするので、本実施例では詳細に説明されていない技術的詳細は、上記任意の実施例を参照することが可能である。
【0071】
一実施例において、前記第1識別情報は、少なくとも1つの通信ノードがマルチアクセスポイント伝送動作を実行するようにトリガするように構成された。
【0072】
一実施例において、前記PPDUはさらに、
前記無線フレームの受信者を示すように構成された第2識別情報を含む。
【0073】
一実施例において、前記第1識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第1設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第2設定フィールドによって示される。
【0074】
一実施例において、第2識別情報は、前記PPDU内の無線フレームのMACフレームヘッダの第3設定フィールドによって示されるか、または前記PPDUの物理層シグナリングフィールドの第4設定フィールドによって示される。
【0075】
本実施例で提案された無線ネットワークの伝送装置は、上記実施例で提案された無線ネットワークの伝送方法を参照することができ、本実施例では詳しく説明されていない技術的詳細は、上記任意の実施例を参照することができ、本実施例は、伝送方法を実行する場合と同様の有益な効果を有する。
【0076】
本願の実施例はさらに、通信ノードを提供する。前記無線ネットワークの伝送方法は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実現でき、且つ、前記通信ノード内に組み込める無線ネットワークの伝送装置によって実行できる。
【0077】
図9は一実施例によって提供される通信ノードのハードウェア構造模式図である。図9に示すように、本実施例によって提供される通信ノードは、プロセッサ510と記憶装置520とを含む。当該通信ノード内のプロセッサ510は、1つまたは複数であってもよく、図9には、1つのプロセッサ510として示されており、前記通信ノード内のプロセッサ510と記憶装置520とは、バスまたは他の方法で接続されることが可能であり、図9には、バスによる接続が例示されている。
【0078】
前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサ510によって実行されたときに、前記1つまたは複数のプロセッサ510に上記の何れか一つの実施例に記載の無線ネットワークの伝送方法を実行させる。
【0079】
当該通信ノード内の記憶装置520は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、1つまたは複数のプログラムを記憶することが可能であり、前記プログラムはソフトウェアプログラム、コンピュータ実行可能なプログラムおよびモジュール、例えば、本発明の実施例における無線ネットワークの伝送方法に対応するプログラム命令/モジュールであってもよい(例えば、図7に示す無線ネットワークの伝送装置内のモジュールは、受信モジュール310と設定モジュール320とを含む)。プロセッサ510は、記憶装置520に記憶されたソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、通信ノードの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上記方法の実施例における無線ネットワークの伝送方法を実現する。
【0080】
記憶装置520は、主に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域とを含み、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、データ記憶領域には、機器の使用によって作成されたデータなど(例えば、上記実施例における第1識別情報、NAVなど)を記憶することができる。さらに、記憶装置520は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、または不揮発性のメモリ、例えば少なくとも1つの磁気ディスクメモリ装置、フラッシュメモリ装置、または他の不揮発性のソリッドステートメモリ装置を含むことができる。いくつかの実例において、記憶装置520はさらに、プロセッサ510に対して遠隔地に配置されたメモリを含んでもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介して通信ノードに接続することができる。上記のネットワークの実例は、インターネット、社内イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0081】
そして、上記通信ノードに含まれる1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサ510によって実行されたときに、第1識別情報を持つPPDUを受信する動作と、ローカルに記憶されたNAVをそのまま維持するか、あるいはローカルに記憶されたNAVを更新し、且つ、マルチアクセスポイント伝送中に前記NAVを無視する動作と、を実現する。この場合、本実施例における通信ノードとは、トリガされる第1通信ノードを指す。
【0082】
あるいは、上記通信ノードに含まれる1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサ510によって実行されたときに、第1識別情報を持つPPDUを生成する動作と、前記PPDUを送信する動作と、を実現する。この場合、本実施例における通信ノードとは、マルチアクセスポイント伝送をトリガするように構成された第2通信ノードを指す。
【0083】
本実施例で提案された通信ノードは、上記実施例で提案された無線ネットワークの伝送方法を参照することができ、本実施例では詳しく説明されていない技術的詳細は、上記任意の実施例を参照することができ、本実施例は、無線ネットワークの伝送方法を実行する場合と同様の有益な効果を有する。
【0084】
本願の実施例はさらに、コンピュータ実行可能な命令を含む記憶媒体を提供し、コンピュータ実行可能な命令は、コンピュータプロセッサによって実行されたとき、上記無線ネットワークの伝送方法を実行するように構成された。
【0085】
以上の実施形態についての説明から、本願はソフトウェアおよび汎用ハードウェアによって実現できるが、ハードウェアによっても実現できることは、当業者であれば理解できるであろう。このような理解に基づいて、本願の技術案は、ソフトウェア製品の形で具現化することができ、このソフトウェア製品は、例えばコンピュータのフロッピー(登録商標)ディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ(FLASH)、ハードディスクまたは光ディスクなどの、1台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバまたはネットワーク機器などでもよく)に本願の任意の実施例に記載の無線ネットワークの伝送方法を実行させるように構成された複数の命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納できる。
【0086】
上記は本願の例示的な実施例にすぎず、本願の保護範囲を限定するためのものではない。
【0087】
本願の添付図面における任意の論理フローのブロック図は、プログラムのステップを表してもよく、または相互に接続された論理回路、モジュール、および機能を表してもよく、あるいは、プログラムのステップと論理回路、モジュール、および機能との組み合わせを表してもよい。コンピュータプログラムはメモリに格納できる。メモリは、ローカル技術環境に適した任意のタイプを有することができ、かつ、任意の適切なデータ記憶技術で実現でき、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、光学メモリ装置及びシステム(デジタルバーサタイルディスク(DVD:Digital Video Disk)、またはポータブルなコンパクトディスク(CD:Compact Disc))などを含むが、それらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な媒体は、不揮発性の記憶媒体を含むことができる。データプロセッサは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processing,)、専用集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブルロジックデバイス(FPGA:Field Programmable Gate Array)、及びマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサなど、ローカル技術環境に適した任意のタイプであってもよいが、これらに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9