(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】切断エッジに対する切断パラメータの影響を明らかにするための方法、コンピュータプログラム製品及びデバイス
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240501BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240501BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240501BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 P
G06T7/00 350C
G06T7/00 610
G06N3/02
(21)【出願番号】P 2022537848
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2021077086
(87)【国際公開番号】W WO2022069702
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】102020212510.4
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レオニー フェリカ タッツェル
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121338(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018129425(DE,A1)
【文献】SEBASTIAN BACH; ET AL,ON PIXEL-WISE EXPLANATIONS FOR NON-LINEAR CLASSIFIER DECISIONS BY LAYER-WISE RELEVANCE PROPAGATION,PLOS ONE,米国,2015年,VOL:10, NO:7,PAGE(S):E0130140(1-46),https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0130140&type=printable
【文献】J STAHL; ET AL,QUICK ROUGHNESS EVALUATION OF CUT EDGES USING A CONVOLUTIONAL NEURAL NETWORK,PROCEEDINGS OF SPIE,SPIE,2019年07月16日,VOL:11172,PAGE(S):111720P(1-7),https://doi.org/10.1117/12.2519440
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
B23K 26/00
G06N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(10)によって作成された切断エッジ(16)を分析するための方法であって、
A)前記工作機械(10)により、前記切断エッジ(16)を作成する方法ステップ、
C)前記切断エッジ(16)の少なくとも1つの記録(32、32a~c)を読み込む方法ステップであって、前記記録(32、32a~c)は、複数の記録ピクセル(42)を有する、方法ステップ、
D)少なくとも1つの切断パラメータ(18)を判定するために、訓練されたニューラルネットワーク(36)によって前記記録(32、32a~c)を分析する方法ステップ、
E)前記判定された切断パラメータ(18)を確認するために
、分析された前記記録ピクセル(42)の、前記判定された切断パラメータ(18)によって前記切断エッジ(16)のいずれの領域が影響を受けたかという関連性を判定するために、前記ニューラルネットワーク(36)の逆伝播(40)を行う方法ステップ、
F)方法ステップE)で確認され
た関連性のある記録ピクセル(42a)及び/又
は関連性のない記録ピクセル(42b)の識別を用いて、再生成された記録(32、32a~c)を出力する方法ステップ
を含み、
前記工作機械(10)は、レーザ切断機の形態で構成され
、
切断パラメータ(18)のうち、材料パラメータ
におけるガス純度の程度及びワークピース(14)の融点は、方法ステップD)において判定される、方法。
【請求項2】
方法ステップD)における前記分析は、複数の層(46a~l
)ごとに複数のフィルタ(48a~e)を有する畳み込みニューラルネットワークによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法ステップE)における前記逆伝播(40)は、
LRP法によって行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
方法ステップE)における前記関連性の割り当ては、ディープテイラー分解に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法ステップF)における前記出力は、ヒートマップの形態で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
方法ステップC)における前記記録(32、32a~c)は、RGB写真又は3D点群の形態で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
B
)前記工作機械(10)のカメラ(30)により、前記記録(32、32a~c)を作成する方法ステップ
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
以下の切断パラメータ(18):
・ビームパラメータ
における、焦点直径及び/若しくはレーザ出力、
・搬送パラメータ
における、焦点位置(28)、ノズル-焦点距離(26)及び/若しくはフィード(22)、
・ガスダイナミクスパラメータ
における、ガス圧(20)及び/若しくはノズル-ワークピース距離(24)
のうち、任意のパラメータが方法ステップD)において判定される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法ステップC)~F)を実行するためのコンピュータプログラム製品であって、前記ニューラルネットワーク(36)を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行するため
のレーザ切断機の形態の工作機械(10)、コンピュータ及び請求項
9に記載のコンピュータプログラム製品を含むデバイス。
【請求項11】
カメラを含む、請求項10に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械によって作成された切断エッジを分析するための方法に関する。本発明は、その方法を実行するためのコンピュータプログラム製品及びデバイスに更に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースの切断を最適化することは、既知である。例として、(特許文献1)は、レーザ切断プロセスを調整するためのニューラルネットワークの使用を開示している。
【0003】
しかしながら、大部分の切断プロセス又は切断エッジに対する切断パラメータの影響は、完全には理解されていない。これは、例えば、以下の記事から推測することができる。
【0004】
(非特許文献1)。
【0005】
(非特許文献2)。
【0006】
(非特許文献3)。
【0007】
切断装置の経験豊富なユーザでさえ、一般に、切断パラメータが切断エッジの外観にどのように影響を及ぼすかを予測することはできない。したがって、切断エッジの外観を改善するために、特に材料品質の変化による問題の場合及び/又は新しいレーザ源、新しい板金の厚さなどを使用する新しいプロセスの場合、切断パラメータを様々な方法で変化させて、複雑な一連のテストを定期的に実行する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102017105224号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3654248号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Huegel,H.,Graf,T.Laser in der Fertigung:Strahlquellen,Systeme,Fertigungsverfahren[Lasers in manufacturing:beam sources,systems,manufacturing methods].Wiesbaden:Vieweg+Teubner,2009
【文献】Petring,D.,Schneider,F.,Wolf,N.Some answers to frequently asked questions and open issues of laser beam cutting.In:International Congress on Applications of Lasers & Electro-Optics.ICALEOR 2012,Anaheim,California,USA:Laser Institute of America,2012,43-48
【文献】Steen,W.M.,Mazumder,J.Laser Material Processing.London:Springer London,2010
【文献】LeCun Y,Bengio Y,Hinton G(2015)Deep learning;Nature 521:436{444,DOI 10.1038/nature14539
【文献】Lin H,Li B,Wang X,Shu Y,Niu S(2019);Automated defect inspection of LED chip using deep convolutional neural network;J Intell Manuf;30:2525{2534,DOI 10.1007/s10845-018-1415-x
【文献】Fu G,Sun P,Zhu W,Yang J,Cao Y,Yang MY,Cao Y(2019);A deep-learning-based approach for fast and robust steel surface defects classification;Opt Laser Eng 121:397{405,DOI 10.1016/j.optlaseng.2019.05.005
【文献】Lee KB,Cheon S,Kim CO(2017)A Convolutional Neural Network for Fault Classification and Diagnosis in Semiconductor Manufacturing Processes;IEEE T Semiconduct M 30:135{142,DOI 10.1109/TSM.2017.2676245
【文献】Goncalves DA,Stemmer MR,Pereira M(2020)A convolutional neural network approach on bead geometry estimation for a laser cladding system;Int J Adv Manuf Tech 106:1811{1821,DOI 10.1007/s00170-019-04669-z
【文献】Karatas A,Koelsch D,Schmidt S,Eier M,Seewig J(2019)Development of a convolutional autoencoder using deep neuronal networks for defect detection and generating ideal references for cutting edges;Munich,Germany,DOI 10.1117/12.2525882
【文献】Stahl J,Jauch C(2019)Quick roughness evaluation of cut edges using a convolutional neural network;In:Proceedings SPIE 11172,Munich,Germany,DOI 10.1117/12.2519440
【文献】Bach S,Binder A,Montavon G,Klauschen F,Mueller KR,Samek W(2015)On Pixel-Wise Explanations for Non-Linear Classifier Decisions by Layer-Wise Relevance Propagation;PLoS ONE 10:e0130140,DOI 10.1371/journal.pone.0130140
【文献】W Samek,A Binder,G Montavon,S Lapuschkin,K Mueller(2017)Evaluating the Visualization of What a Deep Neural Network Has Learned.IEEE T Neur Net Lear 28:2660{2673,DOI 10.1109/TNNLS.2016.2599820
【文献】Montavon G,Lapuschkin S,Binder A,Samek W,Mueller KR(2017)Explaining NonLinear Classification Decisions with Deep Taylor Decomposition;Pattern Recognition 65:211{222,DOI 10.1016/j.patcog.2016.11.008
【文献】Montavon G,Lapuschkin S,Binder A,Samek W,Mueller KR(2015)Explaining NonLinear Classification Decisions with Deep Taylor Decomposition;arXiv preprint URL https://arxiv.org/pdf/1512.02479.pdf
【文献】Montavon G,Binder A,Lapuschkin S,Samek W,Mueller KR(2019)Layer-Wise Relevance Propagation:An Overview.In:Samek W,Montavon G,Vedaldi A,Hansen LK,Mueller KR(eds)Explainable AI:Interpreting,Explaining and Visualizing Deep Learning,Springer,Cham,Switzerland,pp193{209
【文献】Abadi M,Agarwal A,Barham P,Brevdo E,Chen Z,Citro C,Corrado G,Davis A,Dean J,Devin M,Ghemawat S,Goodfellow I,Harp A,Irving G,Isard M,Jia Y,Jozefowicz R,Kaiser L,Kudlur M,Zheng X(2016)TensorFlow:Large-Scale Machine Learning on Heterogeneous Distributed Systems.arXiv preprint URL https://arxiv.org/pdf/1603.04467.pdf) and Keras 2.2.4
【文献】Chollet F(2015)Keras.URL https://keras.io
【文献】Alber,M.,et al.:iNNvestigate neural networks!.J.Mach.Learn.Res.20(93),1-8(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に対して、本発明の目的は、切断パラメータが切断エッジに及ぼす影響を分析することができる方法、コンピュータプログラム製品及びデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の方法、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品及び請求項11に記載のデバイスによって達成される。従属請求項は、好ましい発展形態を提示する。
【0012】
したがって、本発明による目的は、工作機械によって作成された切断エッジの記録であって、複数の記録ピクセルを有する記録が読み込まれる方法によって達成される。ニューラルネットワークを有するアルゴリズムを使用して、記録から少なくとも1つの切断パラメータ、特に複数の切断パラメータを判定する。これに続いて、ニューラルネットワークにおいて逆伝播が行われて、以前に判定された切断パラメータを確認するために個々の記録ピクセルの関連性が確認される。次いで、記録は、少なくともいくつかの記録ピクセルがマーク付けされた状態で出力され、マークは、以前に確認された記録ピクセルの関連性を反映している。好ましくは、全ての記録ピクセルは、それらの関連性に従って出力及びマーク付けされる。
【0013】
その結果、ユーザは、マーク付けされた出力から、切断エッジのそれぞれの領域が1つ又は複数のそれぞれの切断パラメータによって影響を受けた程度を直ちに識別し、次いでその1つ又は複数の切断パラメータの適合を実行して、標的化された方式で切断エッジの特定の領域を変更することができる。
【0014】
ニューラルネットワークの逆伝播は、例えば、(特許文献2)によって開示されており、その内容は、参照によりその全体が本説明に組み込まれる。
【0015】
そのような逆伝播(「逆伝播ベースのメカニズム」)は、通常、ニューラルネットワークが正しい関係性を学習したかどうかをチェックするためにのみ使用される。これに関連しては、「超人的パフォーマンス」を有しないニューラルネットワークが存在する。この場合、人間には、正しい情報がどのようなものであるかを評価することができることにおいて問題はない。したがって、例えば、犬と猫とを区別することができるニューラルネットワークが犬の存在を示すとき、犬が立っている牧草地を考慮せずに、画像内の犬を実際に認識するかどうかを調べることが可能である。例として、画像内の特定の動物(例えば、馬)を認識する代わりに、ニューラルネットワークが、馬の全ての画像に見られ得る画像内の文字を認識することが起こり得る(いわゆる「賢馬ハンス問題」)。対照的に、この場合、逆伝播は、切断プロセス中の製造プロセス又は物理的関係性を理解するか又は少なくとも予測できるように使用される。
【0016】
この場合、ニューラルネットワークは、少なくとも1つのデータ集約ルーチン、特に複数のデータ集約ルーチンを有するアーキテクチャを意味すると理解される。データ集約ルーチンは、複数の「判定されたデータ」を集約して新しいデータパケットを形成するように設計することができる。新しいデータパケットは、1つ以上の数値又はベクトルを含み得る。更なるデータ集約ルーチンにより、「判定されたデータ」として完全に又は部分的に新しいデータパケットで利用可能にされ得る。「判定されたデータ」は、特に、データ集約ルーチンの1つによって利用可能にされた切断パラメータ又はデータパケットであり得る。特に好ましくは、アーキテクチャは、複数の接続されたデータ集約ルーチンで構成される。特に、数百、特に数千のそのようなデータ集約ルーチンが互いに接続され得る。その結果、ニューラルネットワークの品質が大幅に向上する。
【0017】
この場合、アーキテクチャは、重み付け変数を備えた関数を有し得る。1つのデータ集約ルーチン、特に複数のデータ集約ルーチン、特に好ましくは全てのデータ集約ルーチンは、複数の「判定されたデータ」の各々を重み付け変数と組み合わせるか又はそれによって乗算して、「判定されたデータ」を「結合されたデータ」に変換し、次いでそれによって「結合されたデータ」を集約、特に追加して、新しいデータパケットを形成するように設計することができる。ニューラルネットワークでは、データは、重みによって乗算され得る。複数のニューロンの情報が追加され得る。更に、ニューラルネットワークは、非線形活性化関数を有し得る。
【0018】
記録に含まれる切断エッジの特徴は、この場合、それら自体がデータパケット、特に複数の構造化データ、特にデータベクトル又はデータ配列であり得、それら自体が、特にデータ集約ルーチンのために、再び「判定されたデータ」を構成することができる。
【0019】
適切な重み付け変数を判定する、すなわちニューラルネットワークを訓練するために、データ、特に記録との関連付けが各場合において既知である切断パラメータを用いて方法を実行することが可能である。
【0020】
このニューラルネットワークは、好ましくは、複数の層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の形態で構成される。畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層及びプーリング層を有し得る。プーリング層は、通常、2つの連続する畳み込み層間に配置される。代替として又はそれに加えて、各畳み込み後にプーリングが実行され得る。
【0021】
畳み込み層及びプーリング層に加えて、CNNは、特にニューラルネットワークの最後に、完全に接続された層を有し得る。畳み込み層及びプーリング層は、特徴を抽出し、完全に接続された層は、その特徴を切断パラメータに割り当てることができる。
【0022】
ニューラルネットワークは、層ごとに複数のフィルタを有し得る。畳み込みニューラルネットワークの構造については、例えば、以下の記事、特に以下で説明する最初の記事から収集することができる。
【0023】
(非特許文献4)。
【0024】
(非特許文献5)。
【0025】
(非特許文献6)。
【0026】
(非特許文献7)。
【0027】
(非特許文献8)。
【0028】
(非特許文献9)。
【0029】
(非特許文献10)。
【0030】
逆伝播の場合、層ごとの関連性の伝播(LRP)は、特に標的化して、同時に簡単な方式で実施可能であることがわかっている。層ごとの関連性の伝播については、特に以下の記事から収集することができる。
【0031】
(非特許文献11)。
【0032】
(非特許文献12)。
【0033】
(非特許文献13)。
【0034】
(非特許文献14)。
【0035】
(非特許文献15)。
【0036】
特に層ごとの関連性の伝播の形態での逆伝播は、好ましくは、ディープテイラー分解(DTD)に基づく。ディープテイラー分解については、特に以下の記事から収集することができる。
【0037】
(非特許文献13)。
【0038】
実施は、例えば、PythonにおいてライブラリTensorFlow 1.13.1の形態で実行され得る((非特許文献16)を参照されたい((非特許文献17)を参照されたい)。更に、Pythonライブラリ「iNNvestigate」(非特許文献18)を使用することが可能である。
【0039】
更に好ましくは、出力は、ヒートマップの形態で行われる。ヒートマップは、特に関連性のある記録ピクセル及び特に関連性のない記録ピクセルをそれぞれ識別する2つの色、特に赤色及び青色を有し得る。平均的な関連性の記録ピクセルは、2つの色間の中間の色合い又は灰色で識別され得る。その結果、出力は、特に直感的に理解可能である。
【0040】
記録は、好ましくは、写真、特に好ましくはカラー写真、特にRGB写真の形態又は3D点群である。3D点群は、深度情報を含むため、作成がやや複雑である。深度情報は、特にライトセクション又は異なる角度からの三角測量により、記録の作成中に取得され得る。しかしながら、様々な切断パラメータがニューラルネットワークによって主に切断エッジの異なる色から認識されるため、カラー写真が特に適切又は十分であることが見出された。
【0041】
記録は、写真及び/又はビデオカメラによって作成され得る。好ましくは、カメラは、一定の記録状況を確実にするために工作機械の一部である。代替として又はそれに加えて、カメラは、記録の作成中の周囲の影響を低減するために、写真ブースの一部であり得る。
【0042】
更に好ましくは、本発明による方法は、工作機械によって切断エッジを作成することを含む。工作機械の切断方法は、熱切断方法、特にプラズマ切断方法、好ましくはレーザ切断方法であり得る。
【0043】
レーザ切断方法の場合に判定される切断パラメータには、好ましくは、ビームパラメータ、特に焦点直径及び/若しくはレーザ出力、搬送パラメータ、特に焦点位置、ノズル-焦点距離及び/若しくはフィード、ガスダイナミクスパラメータ、特にガス圧及び/若しくはノズル-ワークピース距離並びに/又は材料パラメータ、特にガス純度の程度及び/若しくはワークピースの融点が含まれる。これらの切断パラメータは、切断エッジの外観に対して特に形成可能であることがわかっている。
【0044】
本発明による目的は、本明細書に記載の計算操作を実行するためのコンピュータプログラム製品によって更に達成される。コンピュータプログラム製品は、複数のユーザがコンピュータプログラム製品にアクセスできるようにするために、部分的に、特に完全にクラウドベースの方式で構成することができる。更に、ニューラルネットワークのより包括的な訓練は、複数のユーザによって実行され得る。
【0045】
最後に、本発明による目的は、本明細書に記載の方法を実行するためのデバイスによって達成され、デバイスは、特にレーザ切断機の形態の工作機械を含む。
【0046】
この場合、デバイスは、本明細書に記載のカメラを含み得る。
【0047】
本発明の更なる利点は、本明細書及び図面から明らかである。同様に、本発明によれば、上記の特徴及びなおも更に説明される特徴は、それぞれの場合において、それら自体で個別に又は任意の所望の組み合わせにおいて複数として使用することができる。図示及び説明される実施形態は、網羅的な列挙として理解されるべきではなく、むしろ本発明を概説するための例示的な特徴のものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】重要な切断パラメータを明瞭にするためのレーザ切断機の形態の工作機械の概略図を示す。
【
図2】本発明による方法であって、A)複数の切断パラメータを用いて切断エッジを作成する方法ステップ、B)切断エッジの記録を作成する方法ステップ、C)記録を読み込む方法ステップ、D)切断パラメータを判定するために、ニューラルネットワークによって記録を分析する方法ステップ、E)判定された切断パラメータに対する記録ピクセルの関連性を判定するために、ニューラルネットワークの逆伝播を行う方法ステップ、及び、F)関連性のある記録ピクセル及び/又は関連性のない記録ピクセルの表現を識別する方法ステップを含む方法の概要を概略的に示す。
【
図4】ニューラルネットワークの機能又はより具体的には逆伝播の機能を概略的に示す。
【
図5】左側の列に、2つの切断エッジの記録を示し、更なる列に、判定された切断パラメータ及び判定された切断パラメータに関連する記録ピクセルを強調表示した記録の出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、レーザ切断機の形態の工作機械10の一部を示す。この場合、切断ヘッド12は、ワークピース14を通過し、ワークピース14は、レーザ照射及びガスに対する曝露を受ける。そのプロセスにおいて、切断エッジ16が生成される。切断エッジ16は、特に、以下の切断パラメータ18:ガス圧20、フィード22、ノズル-ワークピース距離24、ノズル-焦点距離26及び/又は焦点位置28によって影響を受ける。
【0050】
得られた切断エッジ16の外観に対する個々の切断パラメータ18の影響は、専門家でさえ非常に不明確である。例えば、条痕が切断エッジ16上に発生する場合、条痕が消えるまで切断パラメータ18を変化させる必要があり、その場合、第1に、その変化は、材料及びエネルギーの大量消費並びに時間の浪費に関連付けられ、第2に、多くの場合、その変化によって新しいアーティファクトの生成が発生する。したがって、切断パラメータ18が、標的化された方式で切断エッジ16の特徴に割り当てられる方法及びデバイスを提供する必要性が存在する。次いで、これらの切断パラメータ18は、切断エッジ16の特徴を変化させるために変更され得る。したがって、本発明は、問題の複雑さ(「超人的パフォーマンス」)のために人間のユーザが解決できない問題を解決する。
【0051】
図2は、本発明による方法の概要を示す。方法ステップA)では、切断エッジ16が工作機械10によって切断パラメータ18を使用して生成される。方法ステップB)では、切断エッジ16(方法ステップA)を参照されたい)がカメラ30を使用して記録される。カメラ30は、写真用カメラ及び/又はビデオカメラの形態で構成され得る。方法ステップC)では、作成された記録32が読み込まれる。方法ステップD)では、記録32がアルゴリズム34によって分析される。アルゴリズム34は、ニューラルネットワーク36を有する。ニューラルネットワーク36は、切断パラメータ18を判定する(38)のに役立つ。判定された切断パラメータ18は、例えば、工作機械10の欠陥を判定するために(方法ステップA)を参照されたい)、設定された切断パラメータ18(方法ステップA)を参照されたい)と比較され得る。
【0052】
方法ステップE)では、アルゴリズム34は、ニューラルネットワーク36において逆伝播40を実行する。記録32に対する切断パラメータ18の逆伝播40は、方法ステップD)において切断パラメータ18を判定する際、記録40の個々の記録ピクセル42a、42bの関連性を確立する。方法ステップF)では、記録ピクセル42a、bが表され(明確にするために、記録ピクセル42a、bのみが
図2の参照記号で提供されている)、それらのそれぞれの関連性が識別される。この場合、特に関連性のある記録ピクセル42aは、第1の色(例えば、赤色)を使用して識別され、特に関連性のない記録ピクセル42bは、第2の色(例えば、青色又は灰色)を使用して識別される。正式な規定により、本明細書では、異なる色は、異なるパターン(ハッチング)で表されている。特に関連する記録ピクセル42aに基づいて、ユーザは、記録された切断エッジ16(方法ステップA)を参照されたい)のいずれの領域が、それぞれ判定された切断パラメータ18(方法ステップD)を参照されたい)によって特に影響を受けるかを直接認識することができる。
【0053】
図3は、例として、3つの記録32a、32b、32cを示し、記録32a~cは、異なる切断パラメータ18(
図1を参照されたい)を用いて作成されている。
記録32a:ガス圧20 15bar
フィード22 21m/分
ノズル-ワークピース距離24 1.5mm
ノズル-焦点距離26 -2mm
これと比較して、記録32bは、ノズル-焦点距離26を増加して作成された。記録32cは、記録32aと比較してフィード22を低減して作成された。
図3から、切断パラメータ18(
図1を参照されたい)の影響は、人間のユーザにとって記録32a~cから直接推測可能でないことが明らかである。
【0054】
図4は、アルゴリズム34又はより具体的にはニューラルネットワーク36を概略的に示す。ニューラルネットワーク36は、複数のブロック44a、44b、44c、44d、44eを有する畳み込みニューラルネットワークの形態で構築される。この場合、入力ブロック44aが提供される。ブロック44b~eは、それぞれ3つの畳み込み層46a、46b、46c、46d、46e、46f、46g、46h、46i、46j、46k、46lを有する。ブロック44a~eは、フィルタ48a、48b、48c、48d、48eを有する。入力ブロック44aの各層は、32個のフィルタ48aを有する。ブロック44bの層は、同様に、32個のフィルタ48bを有する。ブロック44cの層は、64個のフィルタ48cを有する。ブロック44dの層は、128個のフィルタ48dを有し、ブロック44eの層は、256個のフィルタ48eを有する。フィルタ48a~eは、記録32の解像度の(例えば、200ピクセル×200ピクセルから7ピクセル×7ピクセルへの)低下をもたらし得ると同時に、深度(又はチャネル数)の増加をもたらし得る。各ブロック44a~eの第3の層のフィルタ48a~eは、解像度の低下をもたらす。ここでは、畳み込み層がプーリングにも使用されている。深度は、1つのブロック44a~eから次のブロックに対して増加する。例として、ブロック44bは、3つの畳み込み層からなり、各々が32個のフィルタを有する。第1の2つでは、空間解像度は、112×112ピクセルである。第2から第3では、空間解像度は、112×112ピクセルから56×56ピクセルに減少する。ブロック44b(最後の層)からブロック44c(最初の層)に遷移すると、深度は、32から64に増加する。空間分解能は、一定のままである。
【0055】
それにより、ニューラルネットワーク36は、切断パラメータ18を判定する(38)ことを可能にする。この場合、層ごとの関連性の伝播が逆伝播40において使用される。この結果が
図5に示されている。
【0056】
図5は、上の列の記録32a及び下の列の記録32bを示す。記録32a、bは、各列で何度も再生成され、記録ピクセル42a、bは、第2の列で強調表示されているフィード22によって大きく又はわずかに影響を受け、記録ピクセル42a、bは、第3の列で強調表示されている焦点位置28によって大きく又はわずかに影響を受け、記録ピクセル42a、bは、第4の列で強調表示されているガス圧20によって大きく又はわずかに影響を受けている。この場合、出力50は、ヒートマップの形態で存在し得る。
【0057】
それぞれの切断パラメータ18(
図1を参照されたい)によって特にほとんど影響を受けない記録ピクセル42bは、主に出力50の妥当性をチェックするのに役立つ。好ましくは、出力50において、ユーザに対する出力50の取り扱いを容易にするために、それぞれの切断パラメータ18(
図1を参照されたい)によって特に大きく影響を受ける記録ピクセル42aのみが強調表示される。
【0058】
図面の全ての図を一緒に考慮に入れて、本発明は、要約すると、切断エッジ16の特定の特徴にとって特に重要である切断パラメータ18を認識するための方法に関する。この場合、切断エッジ16の記録32、32a~cは、切断パラメータ18を判定する(38)ために、ニューラルネットワーク36を有するアルゴリズム34によって分析される。切断パラメータ18を確認するために重要な役割を果たすこれらの記録ピクセル42a、bは、この分析の逆伝播40によって識別される。これらの重要な記録ピクセル42a、bの表現の形態、特にヒートマップの形態の出力50は、切断エッジ16を改善するために、いずれの切断パラメータ18を変更する必要があるかを方法のユーザに対して明らかにする。本発明は、その方法を実行するためのコンピュータプログラム製品及びそれぞれのデバイスに更に関する。
【符号の説明】
【0059】
10 工作機械
12 切断ヘッド
14 ワークピース
16 切断エッジ
18 切断パラメータ
20 ガス圧
22 フィード
24 ノズル-ワークピース距離
26 ノズル-焦点距離
28 焦点位置
30 カメラ
32、32a~c 記録
34 アルゴリズム
36 ニューラルネットワーク
38 切断パラメータ18の判定
40 逆伝播
42a、b 記録ピクセル
44a~e ニューラルネットワーク36のブロック
46a~l ニューラルネットワーク36の層
48a~e ニューラルネットワーク36のフィルタ
50 出力