(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】非燃焼系エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240501BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240501BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/465
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022538093
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2020053337
(87)【国際公開番号】W WO2021123842
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】グリスチェンコ、アンドレイ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/081905(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109497618(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20、3/00~3/18
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル変性部材と、エアロゾル発生材と、使用時にエアロゾル発生材がエアロゾルを供するようにエアロゾル発生材を加熱するように動作可能なヒーターとを含む非燃焼系エアロゾル供給システムであって、エアロゾル変性部材は、エアロゾル発生材の下流にあり、
エアロゾルを発生させるためにヒーターを作動させている間に第1の温度に加熱されるエアロゾル変性部材の第1の部分にある第1カプセルと、
この第1の部分の下流に位置するエアロゾル変性部材の第2の部分にある第2カプセルとを含み、第2の部分は、エアロゾルを発生させるためにヒーターを作動させている間に第2の温度に加熱され、第2の温度は、第1の温度より少なくとも4℃低い非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項2】
第2の温度は、第1の温度より少なくとも5℃低く、好ましくは少なくとも6℃、少なくとも7℃または少なくとも8℃低いことを特徴とする請求項1記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項3】
第1および/または第2カプセルは、1~5mmの範囲内、好ましくは2~4mmの範囲内の直径を有することを特徴とする請求項1または2記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項4】
第1および第2カプセルは、少なくとも7mm、好ましくは少なくとも8mmの距離によって間隔が空けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項5】
第1および/または第2カプセルは、繊維材内、好ましくはセルロースアセテート内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項6】
第1および第2カプセルは、異なるエアロゾル変性様式を有するエアロゾル変性剤カプセルであることを特徴とする請求項1乃至
5いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項7】
第1および第2カプセルは、異なるエアロゾル変性剤および/または異なる量のエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項
6記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項8】
第1および第2カプセルは、異なる量のエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項
6または
7記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項9】
該または各エアロゾル変性剤は、風味剤を含むことを特徴とする請求項
6乃至
8いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項10】
第2カプセルは、第1カプセルのエアロゾル変性剤より高い蒸気圧を有するエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項
6乃至
9いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項11】
第1および第2カプセルは、同じエアロゾル変性様式を有するエアロゾル変性剤カプセルであることを特徴とする請求項1乃至
5いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項12】
第1および第2カプセルは、同じエアロゾル変性剤と同じ量のエアロゾル変性剤を含むことを特徴とする請求項
11記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項13】
エアロゾル変性部材は、材料体を含み、第1および第2カプセルは材料体内に位置していることを特徴とする請求項1乃至
12いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項14】
材料体は、材料からなる連続したセクションであることを特徴とする請求項
13記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項15】
材料体はトウを含むことを特徴とする請求項
13または
14記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項16】
トウは、少なくとも5、好ましくは少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8の単糸繊度を有することを特徴とする請求項
15記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項17】
トウは、14以下、好ましくは13以下、12以下、11以下、10以下または9以下の単糸繊度を有することを特徴とする請求項
15または
16記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項18】
トウは、最大で30000、好ましくは最大で28000、最大で25000、最大で23000、最大で22000または最大で21000の総繊度を有することを特徴とする請求項
15乃至
17いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項19】
トウは、少なくとも8000、好ましくは少なくとも10000、少なくとも12000、少なくとも15000、少なくとも17000、少なくとも19000、少なくとも20000または少なくとも21000の総繊度を有することを特徴とする請求項
15乃至
18いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項20】
材料体からなるトウは、少なくとも20mg、好ましくは少なくとも25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mgまたは60mgの重量を有することを特徴とする請求項
15乃至
19いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項21】
材料体からなるトウは、最大で100mg、好ましくは最大で95mg、90mg、85mg、80mg、75mg、70mgまたは65mgの重量を有することを特徴とする請求項
15乃至
20いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項22】
材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、少なくとも1mg/mm、好ましくは少なくとも1.25mg/mm、1.5mg/mm、1.75mg/mm、2mg/mm、2.25mg/mm、2.5mg/mm、2.75mg/mmまたは3mg/mmであることを特徴とする請求項
15乃至
21いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項23】
材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、最大で5mg/mm、好ましくは最大で4.75mg/mm、4.5mg/mm、4.25mg/mm、4mg/mm、3.75mg/mm、3.5mg/mmまたは3.25mg/mmであることを特徴とする請求項
15乃至
22いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項24】
材料体は可塑剤を含むことを特徴とする請求項
15乃至
23いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項25】
材料体は、少なくとも3mgの可塑剤、好ましくは少なくとも3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、7.6mgまたは7.7mgの可塑剤を含むことを特徴とする請求項
24記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項26】
材料体は、最大で12mgの可塑剤、好ましくは最大で11.5mg、11mg、10.5mg、10mg、9.5mg、9mg、8.5mg、8mg、7.9mgまたは7.8mgの可塑剤を含んでもよいことを特徴とする請求項
24または
25記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項27】
材料体は、10~30mmの範囲内、好ましくは15~25mmの範囲内または18~22mmの範囲内の軸方向長さを有することを特徴とする請求項
13乃至
26いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項28】
エアロゾル変性部材は、78%~93%の範囲内、好ましくは83%~88%の範囲内または84%~87%の範囲内の硬度を有することを特徴とする請求項1乃至
27いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項29】
第1および第2カプセルが壊されていないときのエアロゾル変性部材の圧力降下は、少なくとも15mmH
2O、好ましくは少なくとも20、25、30または35mmH
2Oであることを特徴とする請求項1乃至
28いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項30】
第1および第2カプセルが壊されていないときのエアロゾル変性部材の圧力降下は、65mmH
2O未満、好ましくは60、55、50、45または40mmH
2O未満であることを特徴とする請求項1乃至
29いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項31】
タバコ加熱システムであることを特徴とする請求項1乃至
30いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項32】
エアロゾル変性部材とエアロゾル発生材とを含む物品を含むことを特徴とする請求項1乃至
31いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項33】
エアロゾル発生材は、第1のエアロゾル発生材を含み、物品は、第1のエアロゾル発生材の下流に部材をさらに含み、この部材は管状部分を含み、管状部分は、第2のエアロゾル発生材を含む壁を含むことを特徴とする請求項
32記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項34】
エアロゾル発生材は、約2000コレスタ単位超の通気度を有するラッパーによって包まれ、物品は、少なくとも1つの換気領域を含むエアロゾル発生材の下流の下流部分を含むことを特徴とする請求項
32または
33記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項35】
物品は、1つ以上の換気孔を含み、その1つ以上の換気孔によって供される換気レベルは、物品を通過するエアロゾルの容量の45%~75%の範囲内、または物品を通過するエアロゾルの容量の40%~70%または60%~70%の範囲内であることを特徴とする請求項
32乃至
34いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項36】
物品の吸い口端から延びた中空の管状構成部品を含み、この中空の管状構成部品は、約10mm超または約12mm超の長さを含むことを特徴とする請求項
32乃至
35いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項37】
エアロゾル発生材の下流の下流部分を含み、下流部分は、紙の管によって囲まれたキャビティを含み、前記紙の管は、少なくとも325ミクロンの壁厚および/または少なくとも100コレスタ単位の通気度の壁を有することを特徴とする請求項1乃至
36いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は非燃焼系エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ産業製品は、使用時にユーザーによって吸入されるエアロゾルを発生させる。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。そのようなタバコ産業製品は、共通してエアロゾルがユーザーの口に到達するように通過するマウスピースを含む。
【発明の概要】
【0003】
エアロゾル変性部材と、エアロゾル発生材と、使用時にエアロゾル発生材がエアロゾルを供するようにエアロゾル発生材を加熱するように動作可能なヒーターとを含み、エアロゾル変性部材は、エアロゾル発生材の下流にあり、エアロゾルを発生させるためにヒーターを作動させている間に第1の温度に加熱されるエアロゾル変性部材の第1の部分にある第1カプセルと、この第1の部分の下流に位置するエアロゾル変性部材の第2の部分にある第2カプセルとを含み、第2の部分は、エアロゾルを発生させるためにヒーターを作動させている間に第2の温度に加熱され、第2の温度は、第1の温度より少なくとも4℃低い非燃焼系エアロゾル供給システムが提供される。
【0004】
一部の実施態様では第2の温度は、第1の温度より少なくとも5℃低く、好ましくは少なくとも6℃、少なくとも7℃または少なくとも8℃低い。
【0005】
一部の実施態様では第1および/または第2カプセルは、1~5mmの範囲内、好ましくは2~4mmの範囲内の直径を有する。
【0006】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、少なくとも7mm、好ましくは少なくとも8mmの距離によって間隔が空けられている。
【0007】
一部の実施態様では第1および/または第2カプセルは、繊維材内、好ましくはセルロースアセテート内に配置されている。
【0008】
一部の実施態様では材料密度は、0.1~0.2gms/cm3の範囲内である。
【0009】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、異なるエアロゾル変性様式を有するエアロゾル変性剤カプセルである。
【0010】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、異なるエアロゾル変性剤および/または異なる量のエアロゾル変性剤を含む。
【0011】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、異なる量のエアロゾル変性剤を含む。
【0012】
一部の実施態様では該または各エアロゾル変性剤は、風味剤を含む。
【0013】
一部の実施態様では第2カプセルは、第1カプセルのエアロゾル変性剤より高い蒸気圧を有するエアロゾル変性剤を含む。
【0014】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、同じエアロゾル変性様式を有するエアロゾル変性剤カプセルである。
【0015】
一部の実施態様では第1および第2カプセルは、同じエアロゾル変性剤と同じ量のエアロゾル変性剤を含む。
【0016】
一部の実施態様ではエアロゾル変性部材は、材料体を含み、第1および第2カプセルは材料体内に位置している。
【0017】
一部の実施態様では材料体は、材料からなる連続したセクションである。
【0018】
一部の実施態様では材料体はトウを含む。
【0019】
一部の実施態様ではトウは、少なくとも5、好ましくは少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8の単糸繊度を有する。
【0020】
一部の実施態様ではトウは、14以下、好ましくは13以下、12以下、11以下、10以下または9以下の単糸繊度を有する。
【0021】
一部の実施態様ではトウは、最大で30000、好ましくは最大で28000、最大で25000、最大で23000、最大で22000または最大で21000の総繊度を有する。
【0022】
一部の実施態様ではトウは、少なくとも8000、好ましくは少なくとも10000、少なくとも12000、少なくとも15000、少なくとも17000、少なくとも19000、少なくとも20000または少なくとも21000の総繊度を有する。
【0023】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、少なくとも20mg、好ましくは少なくとも25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mgまたは60mgの重量を有する。
【0024】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、最大で100mg、好ましくは最大で95mg、90mg、85mg、80mg、75mg、70mgまたは65mgの重量を有する。
【0025】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、20~100mgの範囲内、好ましくは30~90mg、40~80mg、50~70mgまたは55~65mgの範囲内の重量を有する。
【0026】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、約60mgの重量を有する。
【0027】
一部の実施態様では材料体の軸方向の長さは約20mmである。
【0028】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、少なくとも1mg/mm、好ましくは少なくとも1.25mg/mm、1.5mg/mm、1.75mg/mm、2mg/mm、2.25mg/mm、2.5mg/mm、2.75mg/mmまたは3mg/mmである。
【0029】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、最大で5mg/mm、好ましくは最大で4.75mg/mm、4.5mg/mm、4.25mg/mm、4mg/mm、3.75mg/mm、3.5mg/mmまたは3.25mg/mmである。
【0030】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、1~5mg/mmの範囲内、好ましくは1.5~4.5mg/mm、2~4mg/mm、2.5~3.5mg/mmまたは2.75~3.25mg/mmの範囲内である。
【0031】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、約3mg/mmである。
【0032】
一部の実施態様では材料体は可塑剤を含む。
【0033】
一部の実施態様では材料体は、少なくとも3mgの可塑剤、好ましくは少なくとも3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、7.6mgまたは7.7mgの可塑剤を含んでもよい。
【0034】
一部の実施態様では材料体は、最大で12mgの可塑剤、好ましくは最大で11.5mg、11mg、10.5mg、10mg、9.5mg、9mg、8.5mg、8mg、7.9mgまたは7.8mgの可塑剤を含んでもよい。
【0035】
一部の実施態様では材料体は、3~12mgの範囲内の可塑剤、好ましくは5~10mg、6~9mgまたは7~8mgの範囲内の可塑剤を含む。
【0036】
一部の実施態様では材料体は、約7.7mgの可塑剤を含む。
【0037】
一部の実施態様では材料体(トウと可塑剤を含む)、第1および第2のエアロゾル放出部材、材料体を囲む第1のプラグラッパーおよび第1のプラグラッパーを所定の位置に固定する接着剤の総重量は、少なくとも40mg、好ましくは少なくとも50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、115mgまたは120mgである。
【0038】
一部の実施態様では材料体(トウと可塑剤を含む)、第1および第2のエアロゾル放出部材、材料体を囲む第1のプラグラッパーおよび第1のプラグラッパーを所定の位置に固定する接着剤の総重量は、最大で200mg、好ましくは最大で190mg、180mg、170mg、160mg、150mg、140mg、135mg、130mgまたは125mgである。一部の実施態様では前記総重量は、40~200mgの範囲内、好ましくは60~180mg、80~160mg、100~140mg、110~130mgまたは115~125mgの範囲内である。一部の実施態様では前記総重量は、約120mgである。
【0039】
一部の実施態様では材料体は、10~30mmの範囲内、好ましくは15~25mmの範囲内の軸方向長さを有する。
【0040】
一部の実施態様ではエアロゾル変性部材は、78%~93%の範囲内、好ましくは83%~88%の範囲内または84%~87%の範囲内の硬度を有する。
【0041】
一部の実施態様では中に第1および第2カプセルを有する材料体の硬度は、75%~90%の範囲内、好ましくは80%~85%の範囲内または81%~83%の範囲内である。
【0042】
一部の実施態様では第1および第2カプセルが壊されていないときのエアロゾル変性部材の圧力降下は、少なくとも15mmH2O、好ましくは少なくとも20、25、30または35mmH2Oである。
【0043】
一部の実施態様では第1および第2カプセルが壊されていないときのエアロゾル変性部材の圧力降下は、65mmH2O未満、好ましくは60未満、55、50、45または40mmH2Oである。
【0044】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、タバコ加熱システムである。
【0045】
一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、第1のエアロゾル発生材を含み、物品は、第1のエアロゾル発生材の下流に部材をさらに含み、この部材は管状部分を含み、管状部分は、第2のエアロゾル発生材を含む壁を含む。
【0046】
一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、約2000コレスタ単位超の通気度を有するラッパーによって包まれ、物品は、少なくとも1つの換気領域を含むエアロゾル発生材の下流の下流部分を含む。
【0047】
一部の実施態様では物品は、物品が非燃焼系エアロゾル供給デバイスに挿入された際に非燃焼系エアロゾル供給デバイスのヒーターと物品の管状セクションとの最小距離が少なくとも約3mmになるように構成されている。
【0048】
一部の実施態様では1つ以上の換気孔によって供される換気レベルは、部材を通過するエアロゾルの容量の45%~75%の範囲内、または部材を通過するエアロゾルの容量の40%~70%または60%~70%の範囲内である。
【0049】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、物品の吸い口端から延びた中空の管状構成部品を含み、中空の管状構成部品は、約10mm超または約12mm超の長さを含む。
【0050】
一部の実施態様では繊維材はフィラメント状のトウを含み、フィラメント状のトウは、フィラメント状のトウに発生したトウ容量曲線の最小と最大の重量間の範囲の約10%~約30%の間である材料体の1mm当たりの重量を含む。
【0051】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材の下流の下流部分を含み、下流部分は、紙の管によって囲まれたキャビティを含み、前記紙の管は、少なくとも325ミクロンの壁厚および/または少なくとも100コレスタ単位の通気度の壁を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の実施態様を添付図面を参照して例示のみを目的として説明する。
【
図1】非燃焼系エアロゾル供給
デバイスに使用するための物品の側部断面図であり、物品はマウスピースを含み、マウスピースは管状部分を含む。
【
図2】
図1に示すカプセル含有マウスピースの断面図である。
【
図3】
図1および2の物品のエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
【
図4】外方カバーが取り除かれ、物品の無い
図3のデバイスを示している。
【
図5】
図3のデバイスを一部断面にて示した側面図である。
【
図6】外方カバーが省略されている
図3のデバイスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示では「燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するまたは燃やすシステムである。
【0054】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル発生材を燃焼させないまたは燃やさないシステムである。
【0055】
一部の実施態様では送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0056】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、ベイピング装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル発生材中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0057】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材加熱システムであり、非燃焼加熱システムとしても知られている。このようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0058】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル発生材のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル発生材および固体のエアロゾル発生材を含む。固体エアロゾル発生材は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0059】
通常は非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための消耗品とを含んでもよい。
【0060】
一部の実施態様では本開示は、エアロゾル発生材を含み、非燃焼系エアロゾル発生デバイスに使用するように構成された消耗品に関する。これらの消耗品は、時には本開示を通して物品と言う。
【0061】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システム、例えばその非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、動力源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は、例えば電源または発熱動力源であってもよい。一部の実施態様では発熱動力源は、炭素基材を含み、これは動力を熱の形体で発熱動力源に近接したエアロゾル発生材または熱伝導材に分配するように励起される。
【0062】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、消耗品を収容するための領域と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域、ハウジング、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤とを含んでもよい。
【0063】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための消耗品は、エアロゾル発生材と、エアロゾル発生材貯蔵領域と、エアロゾル発生材移送部品と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域と、ハウジングと、ラッパーと、フィルターと、マウスピースおよび/またはエアロゾル変性剤とを含んでもよい。
【0064】
一部の実施態様では供給される物質は、活性物質を含む。
【0065】
本発明で使用する活性物質は生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は自然に発生したものまたは合成で得られたものであってもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質はタバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0066】
一部の実施態様では活性物質はニコチンを含む。一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0067】
本明細書で説明するように活性物質は1つ以上のカンナビノイドまたはテルペンなどの大麻の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0068】
本明細書で説明するように活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物を含むまたはそれらから派生したものであってもよい。ここで言う「植物」なる用語は抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。これとは別に材料は植物に天然に存在するまたは合成して得られる活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉体、塵、粉砕された粒子、粒、ペレット、小片、ストリップ、シートなどの形体であってもよい。植物の例としてはタバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせがある。ミントは次のミント種から選択されてもよい、ハッカ、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミントおよびマルバハッカ。
【0069】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はタバコである。
【0070】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよびオオアサから選択される。
【0071】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0072】
一部の実施態様では物質は、風味料を含む。
【0073】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味、匂いまたは他の体性感覚刺激を生じさせるために使用される。それらは自然発生の風味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたもの(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、橙花、サクランボ花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、オオアサ、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、トウシミキ、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物または息消臭剤などのその他の添加剤を含む。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、例えば油などの液体、粉などの固体または気体などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0074】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。一部の実施態様では風味料は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0075】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を与える薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0076】
エアロゾル発生材は、例えば加熱、照射または何らかの他の方法で励起された際にエアロゾルを発生することができる材料である。エアロゾル発生材は、例えば活性物質および/または風味剤を含んでも含まなくてもよい固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、約50wt%、60wt%または70wt%の非晶質固体から約90wt%、95wt%または100wt%の非晶質固体を含む。
【0077】
エアロゾル発生材は、1つ以上の活性物質および/または風味料、1つ以上のエアロゾル形成材および必要であれば1つ以上の他の機能材を含んでもよい。
【0078】
エアロゾル形成材は、エアロゾルを形成できる1つ以上の成分を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0079】
1つ以上の機能材は、pHレギュレーター、着色剤、保存料、バインダー、充填材、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0080】
形成材は、基材を形成するために支持体上または内にあってもよい。支持体は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生材、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。一部の実施態様では支持体はサセプタを含む。一部の実施態様ではサセプタは、上記材料に埋め込まれている。一部の別の実施態様ではサセプタは材料の一方または両側にある。
【0081】
消耗品は、一部またはすべてが使用中にユーザーによって消費されることを意図したエアロゾル発生材を含むまたはそのような発生材からなる物品である。消耗品は、エアロゾル発生材貯蔵領域、エアロゾル発生材移送構成部品、エアロゾル発生領域、ハウジング、ラッパー、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤などの1つ以上の他の構成部品を含んでもよい。また消耗品は、使用時にエアロゾル発生材がエアロゾルを発生するように熱を放射するヒーターなどのエアロゾル発生器を含んでもよい。ヒーターは、例えば燃焼系材、電気伝導によって加熱可能な材料またはサセプタを含んでもよい。
【0082】
サセプタは、交番磁界などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の誘導加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の磁気ヒステリシス加熱を生じさせるようにしてもよい。サセプタは、導電性および磁力の両方によるものであってもよく、これにより加熱材は両方の加熱機構で加熱可能になる。変動磁場を発生させるように構成されている装置を本明細書では磁場発生器と言う。
【0083】
エアロゾル変性剤は、典型的にはエアロゾル発生領域の下流に位置し、発生したエアロゾルを例えばエアロゾルの味、風味、酸度または別の特徴を変えることによって変性するように構成された物質である。エアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル変性剤放出構成部品内に設けてもよい。
【0084】
エアロゾル変性剤は、例えば添加剤または吸着剤であってもよい。エアロゾル変性剤は、例えば風味剤、着色剤、水および炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル変性剤は、例えば固体、液体またはゲルであってもよい。エアロゾル変性剤は、粉、糸または粒体であってもよい。エアロゾル変性剤はろ過材を含まなくてもよい。
【0085】
エアロゾル発生器は、エアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成された装置である。一部の実施態様ではエアロゾル発生器は、エアロゾル発生材を熱エネルギーに晒し、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生材から1つ以上の揮発性物質を放出するように構成されたヒーターである。ヒーターは、電動ヒーター、例えば抵抗および/またはインダクタンスヒーターであってもよい。電動ヒーターは、選択的にバッテリーを動力源としてもよい。しかしながら、ヒーターは別の構造のものであってもよい。例えば、ヒーターは、発熱動力源であってもよく、例えばエアロゾル発生材または発熱動力源に近接する熱伝達材に動力を熱の形で配するためにエネルギーが与えられる炭素基材を含んでもよい。
【0086】
例えばロッド状の物品などの物品は、しばしば、製品の長さに従って次のように命名される。「標準」(通常は68~75mm、例えば約68mm~約72mmの範囲)、「ショート」または「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常は75~91mm、例えば約79mm~約88mmの範囲)、「ロング」または「スーパーキング」(通常は91~105mm、例えば約94mm~約101mmの範囲)、および「超ロング」(通常、約110mm~約121mmの範囲)。
【0087】
それらはまた、タバコの円周に従って次のように命名される。「標準」(約23~25mm)、「ワイド」(25mmを超える)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、「マイクロスリム」(約16mm未満)。
【0088】
従って、キングサイズの超細型規格の紙巻きタバコは、例えば、長さが約83mm、円周が約17mmである。
【0089】
各フォーマットは、選択的にマウスピースを含んでもよい。各フォーマットは異なる長さのマウスピースが設けられてもよい。マウスピースの長さは約30mm~50mmになる。チッピング紙はマウスピースをエアロゾル発生材に接続し、通常は例えば3~10mmの長さでマウスピースより長く、これによりチッピング紙がマウスピースを覆い、例えば基材からなるロッドの形体のエアロゾル発生材に重なり、マウスピースをロッドに接続する。
【0090】
本明細書に記載の物品、エアロゾル発生材およびマウスピースは上記フォーマットのいずれかで作製できるがこれらに限定されない。
【0091】
本明細書で使用する「上流」および「下流」なる用語は、使用の際物品またはデバイスを介して引き込まれる主流煙エアロゾル発生材の方向に対して定義される相対的な用語である。
【0092】
本明細書で説明するフィラメント状のトウ材料はセルロースアセテート繊維トウを含んでもよい。フィラメント状のトウ材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4-ブタンジオールスクシナート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、スターチ系材料、紙、脂肪族ポリエステル材および多糖ポリマーまたはこれらを組み合わせたものなどの繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成してもよい。フィラメント状のトウ材料は、フィルター材がセルロースアセテートトウである場合、トリアセチンなどのフィルター材に適した可塑剤で可塑化してもよく、または可塑化されなくてもよい。トウは、「Y」字状または「X」字状などの他の断面、2.5~15の単糸繊度、例えば8.0~11.0の単糸繊度の繊維のデニール値および5,000~50,000、例えば10,000~40,000の総繊度値を有する繊維のようにあらゆる好適な仕様を使用することができる。
【0093】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物または代替品を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0094】
本明細書で図面において同等の特徴、物品または部材を示す場合には同じ参照番号が使用されている。
【0095】
図1は非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品1の側部断面図である。
【0096】
物品1は、本例ではマウスピース2であるエアロゾル変性部材2を含む。しかしながら、これとは別の実施態様ではエアロゾル変性部材は、マウスピースではなく、例えば代わりにマウスピース2の上流に位置してもよいことを認識すべきである。
【0097】
物品1は、マウスピース2に接続されたエアロゾル発生材3、本例ではタバコ材からなる円筒状のロッドをさらに含む。エアロゾル発生材3は、例えばシステムを形成する例えばコイルを含む非燃焼系エアロゾル供給デバイスなどの本明細書で説明したような非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱された際にエアロゾルを供する。他の実施態様では物品1は、別個のエアロゾル供給デバイスを必要とせずにエアロゾル供給システムを形成し、該システムで使用される独自の熱源を含んでもよい。
【0098】
本明細書ではエアロゾル発生基材3とも言うエアロゾル発生材3は、少なくとも1つのエアロゾル形成材を含む(標準的な定義のエアロゾル形成材と対照的に)。本例ではエアロゾル形成材はグリセロールである。これとは別の例ではエアロゾル形成材は、ここで説明する別の材料またはその組み合わせであってもよい。エアロゾル形成材は、エアロゾル発生材から消費者への風味化合物などの化合物を移動させやすくすることによって物品の知覚性能を向上させることがわかっている。
【0099】
本例ではマウスピースは、本例では中空の管よって形成され、また冷却部材とも言われる管状部分4aを含む。マウスピース2は、本例では管状部分4aの下流、この例では管状部分4aに隣接し、当接関係にある材料体6を含む。材料体6および管状部分4aは、それぞれ実質的に円筒状の全体外形を画定し、共通の長手方向軸を共有する。
【0100】
材料体6は第1のプラグラッパー7に包まれている。本例では管状部分4aと材料体6は、これら両方のセクションに巻かれる第2のプラグラッパー9を使用して組み合わされる。チッピング紙5がマウスピース2の全長およびエアロゾル発生材のロッド3の一部に亘って巻かれ、その内面に接着剤を有し、マウスピース2とロッド3を接続する。
【0101】
本例では管状部分4aは、中空の管を形成するために接合した継ぎ目を有して平行に巻かれた紙の複数の層から形成される。本例では第1および第2の紙の層は二重の管に供されるが、他の例では3、4またはそれ以上の層を使用して3重、4重またはそれ以上重ねた管を形成してもよい。他の構造、例えば螺旋状に巻かれた紙の層、ボール紙管、混凝紙型工程を使用して形成された管、成型または押し出しされたプラスチック管または類似するものも使用できる。
【0102】
管状部分4aは、本明細書に記載の第2のプラグラッパー9および/またはチッピング紙5として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成してもよく、これは別個の管状構成部品を必要としないことを意味する。この硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、製造中そして物品1が使用されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有するように製造される。例えば、硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、70gsm~120gsm、より好ましくは80gsm~110gsmの坪量を有してもよい。さらにまたはこれとは別に硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、80μm~200μm、より好ましくは100μm~160μmまたは120μm~150μmの厚さを有してもよい。第2のプラグラッパー9およびチッピング紙5の両方において管状部分4aのための許容できる全般的なレベルの剛性を達成するためにこれらの範囲の値を有するのが望ましい。
【0103】
一部の実施態様では管状部分は、少なくとも約325μmで約2mm以下、好ましくは500μm~1.5mm、より好ましくは750μm~1mmの壁厚を有する。本例では管状部分の壁厚は約1mmである。管状部分の「壁厚」は、半径方向の管状部分の壁の厚さに対応する。これは例えばノギスを使用して測定してもよい。
【0104】
一部の実施態様では管状部分の壁の厚さは、少なくとも325ミクロン、好ましくは少なくとも400、500、600、700、800、900または1000ミクロンである。一部の実施態様では管状部分の壁の厚さは、少なくとも1250または1500ミクロンである。
【0105】
一部の実施態様では管状部分の壁の厚さは、2000ミクロン未満、好ましくは1500ミクロン未満である。
【0106】
管状部分の壁の厚さを厚くすることは、それがより大きな熱質量を持つことを意味し、これは管状部分を通過するエアロゾルの温度を下げることに役立ち、管状部分の下流の位置でマウスピースの表面温度を下げることに役立つことがわかっている。これは管状部分のより大きな熱質量により管状部分が薄い壁厚の管状部分と比較してより多くの熱を吸収できるようにするからであると考えられている。管状部材の厚みを厚くすることでエアロゾルから少ない熱が材料体などのマウスピースの外方部分へ移行するようにマウスピース内の中央にエアロゾルを向かわせる。
【0107】
一部の実施態様では管状部分4aの壁の材料の通気度は、少なくとも100コレスタ単位、好ましくは少なくとも500または1000コレスタ単位である。
【0108】
管状部分の比較的高い通気度はエアロゾルから管状部分へ移行する熱の量を増大させ、したがってエアロゾルの温度を下げることがわかっている。また管状部分の通気度は、エアロゾルから管状部分へ移行する水分量を増加させることがわかっており、これはユーザーの口でのエアロゾルの感覚を向上させることがわかっている。管状部分の高い通気度は、レーザーを使用して換気孔を切りやすくし、レーザーのパワーを小さくして使用できる。
【0109】
物品1は物品を介して引き込まれるエアロゾルの約75%の換気レベルを有する。別の実施態様では物品は物品を介して引き込まれるエアロゾルの50%~80%、例えば65%~75%の換気レベルを有してもよい。これらのレベルの換気は、マウスピース2を介して引き込まれるエアロゾルの流れの減速を補助し、これによりエアロゾルをそれがマウスピース2の下流端部2bの到達する前に冷ますことができる。換気は、物品1のマウスピース2内に直接設けられる。本例では換気は管状部分4a内に設けられ、これはエアロゾル発生工程を補助するという点で特に有益であることがわかっている。換気は、マウスピース2の下流吸い口端部2bからそれぞれ17.925mmおよび18.625mmの位置で、この場合レーザーによる穿孔として形成された第1および第2の平行な列の換気孔12を介して設けられる。これらの換気孔は、チッピング紙5、第2のプラグラッパー9および管状部分4aを通る。別の実施態様では換気は他の位置でマウスピース内に設けることができる。例えば、換気を材料体6に設けてもよい。
【0110】
これとは別に換気を管状部分4aが位置する物品の部分内に例えばレーザーによるミシン目などの換気孔の単独の列を介して設けてもよい。これにより結果としてエアロゾルが良好に形成され、これは所定の換気レベルの場合に複数の換気孔の列より換気孔を介した空気流がより均一になることによると考えられる。
【0111】
エアロゾル温度は、一般に換気レベルが降下するほど高くなることがわかっている。しかしながら、エアロゾル温度と換気レベルの関係は、直線的ではなく、例えば製造公差による換気の違いを伴い、低い目標換気レベルでは影響がない。例えば、75%の目標換気レベルの場合の±15%の換気公差ではエアロゾル温度は、低い換気リミット(60%換気)では約6℃上昇し得る。しかしながら、60%の目標換気レベルの場合、エアロゾル温度は、低い換気リミット(45%換気)で約3.5℃しか上昇しない。本発明の物品の目標換気レベルは、したがって40%~70%、例えば45%~65%の範囲内である。これは少なくとも20の物品の平均換気レベルが40%~70%、例えば45%~70%または51%~59%になり得る。
【0112】
一部の例では本明細書で説明するエアロゾル発生材3は、第1のエアロゾル発生材であり、管状部分4aは、第2のエアロゾル発生材を含んでもよい。1つの例では管状部分4aの壁4bは、第2のエアロゾル発生材を含む。例えば、第2のエアロゾル発生材は、管状部分4aの内面に配置することができる。
【0113】
第2のエアロゾル発生材は、少なくとも1つのエアロゾル形成材を含み、また少なくとも1つのエアロゾル変性剤または他の知覚材料を含む。エアロゾル形成材および/またはエアロゾル変性剤は、本明細書で説明するエアロゾル形成材またはエアロゾル形成材のいずれかまたはその組み合わせであってもよい。
【0114】
本明細書では第1のエアロゾルとも言われるエアロゾル発生材3から発せられたエアロゾルは、マウスピースの管状部分4aを介して引き込まれると、第1のエアロゾルからの熱が第2のエアロゾル発生材のエアロゾル形成材をエアロゾル化して第2のエアロゾルを発生させる。第2のエアロゾル発生材は、第1のエアロゾル発生材の風味に加えてまたはこれを補うために風味料を含んでもよい。
【0115】
管状部分4aに第2のエアロゾル発生材を設けることで第1のエアロゾルの風味または見た目を良くし、補うことになる。
【0116】
本例では物品1は約21mmの外周を有する(即ち、物品はデミ-スリムフォーマットである)。好ましくは物品1は、19mm超の円周を有するエアロゾル発生材のロッドを有する。これは消費者に好まれる通常のエアロゾル発生期間に亘って良好且つ持続したエアロゾルを発生させることに充分な円周を供することがわかっている。物品は熱せられると、熱がエアロゾル発生材のロッド3を通って移動し、ロッドの化合物を揮発させ、19mm超の円周は、このようにエアロゾルを発生させることに特に効果的であるということがわかっている。物品はエアロゾルを放出するために加熱されるので、良好な加熱効率は、23mm未満の円周を有する物品によって達成される。好適な製品長さを維持しつつ、加熱による良好なエアロゾルを得るために19mm超~23mm未満のロッド円周が好ましい。一部の例ではロッド円周は、20mm~22mmであってもよく、これは効果的なエアロゾルの送出と効率的な加熱を良好に両立する。
【0117】
マウスピース2の外周は実質的にエアロゾル発生材のロッド3の外周と同じであり、これによりこれらの部材間が円滑になる。本例ではマウスピース2の外周は約20.8mmである。
【0118】
一部の例ではチッピング紙は、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムなどのクエン酸塩を含む。そのような例ではチッピング紙5のクエン酸塩の含有量は、2重量%以下または1重量%以下であってもよい。チッピング紙5のクエン酸塩の含有量を減らすことは、使用時に起こる焦がし効果を減少させることを補助すると考えられている。
【0119】
本例ではチッピング紙5は、エアロゾル発生材ロッド3上を5mmに亘って延びるが、これとは別にロッド上を3mm~10mm、より好ましくは4mm~6mmに亘って延び、マウスピース2とロッド3を確実に取り付けられるようにしてもよい。チッピング紙5は、物品1に使用されるプラグラッパーの坪量より大きい坪量を有してもよく、例えば40gsm~80gsm、より好ましくは50gsm~70gsm、本例では58gsmの坪量を有してもよい。これらの範囲の坪量は、許容できる引張強度を有しつつ、物品1を包むのに充分な可撓性があり、紙の長手方向の抑え継ぎ目に沿ってそれ自体に接着するチッピング紙が結果として得られることが分かっている。チッピング紙5の外周は、マウスピース2に巻かれると約21mmになる。
【0120】
好ましくは材料体6の長さは、約30mm未満、好ましくは約25mm未満または20mm未満である。本例では材料体6の長さは20mmである。
【0121】
一部の実施態様では材料体6は、10~30mmの範囲内、好ましくは15~25mmの範囲内の軸方向長さを有する。
【0122】
一部の実施態様では材料体6は、少なくとも10、12、14、16、18または20mmの軸方向長さを有する。
【0123】
一部の実施態様では材料体6は、36mm未満、34、32、30、28、24または22mmの軸方向長さを有する。
【0124】
本例では材料体6はフィラメント状のトウから形成される。本例では材料体6に使用されるトウは、8.4の単糸繊度(d.p.f.)および21,000の総繊度を有する。これとは別にトウは、例えば9.5の単糸繊度(d.p.f.)と12,000の総繊度を有してもよい。本例ではトウは可塑化されたセルロースアセテートトウを含む。トウに使用される可塑剤は約7重量%のトウを含む。一部の実施態様ではトウに使用される可塑剤は、トウの重量で少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%または少なくとも9%を含む。一部の実施態様ではトウに使用される可塑剤は、トウの重量で約9%を含む。
【0125】
一部の実施態様ではトウに使用される可塑剤は、トウの重量で2%~10%の範囲で含む。
【0126】
本例では可塑剤はトリアセチンである。他の例では、異なる材料を材料体6を形成するために使用することができる。トウはセルロースアセテートから形成されるのが好ましい。セルロースアセテートまたは他の材料から形成されるに関係無くトウは、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6およびさらにより好ましくは少なくとも7のd.p.f.を有する。単糸繊度のこれらの値は、比較的粗く、厚く、これより小さいd.p.f.値を有するトウよりマウスピース2の圧力降下を小さくする狭い表面積の繊維を有するトウを供する。好ましくは充分に均一な材料体6を得るためにトウは12d.p.f.以下、好ましくは11d.p.f.以下そしてさらに好ましくは10d.p.f.以下の単糸繊度を有する。
【0127】
材料体6を形成するトウの総繊度は、好ましくは最大で30,000、より好ましくは最大で28,000およびさらにより好ましくは最大で25,000である。総繊度のこれらの値によってマウスピース2の断面積の占める割合が少ないトウが供され、結果としてこれより高い総繊度値を有するトウよりマウスピース2の圧力降下が低くなる。材料体6の適した硬度のためにトウは、好ましくは少なくとも8,000、より好ましくは少なくとも10,000の総繊度を有する。好ましくは単糸繊度は、5~12であり、総繊度は、10,000~25,000である。より好ましくは単糸繊度は、6~10であり、総繊度は、11,000~22,000である。1つの実施態様では単糸繊度は、約9.5であり、総繊度は約12,000である。好ましくはトウのフィラメントの断面形状は、「Y」形状であるが、他の実施態様では本明細書に記載したものと同じd.p.f.および総繊度値を有する「X」形状または「O」形状などの他の形状のフィラメントを使用することができる。
【0128】
一部の実施態様ではトウは、5~9の範囲内の単糸繊度を有する。
【0129】
一部の実施態様ではトウは、12000~24000の範囲内の総繊度を有する。
【0130】
一部の実施態様ではトウは約8.4の単糸繊度と約21,000の総繊度を有し、選択的に「Y」形状の断面を有してもよい。トウは、8.4Y21000トウであってもよい。
【0131】
一部の実施態様ではトウは約6の単糸繊度と約17,000の総繊度を有し、選択的に「Y」形状の断面を有してもよい。トウは、6.0Y17000HKトウであってもよい。
【0132】
トウのフィラメントの断面の等周定理比L2/Aは、25以下、20以下または15以下であり、ここでLは断面の外周の長さであり、Aは断面積である。トウのこのようなフィラメントは、単糸繊度が一定の値の場合、比較的小さい表面積を有し、これにより消費者へ良好にエアロゾルが送出される。
【0133】
所定のトウの仕様(8.4Y21000)の場合、トウを使用して形成されたロッドの長さを介した圧力降下を表すトウ容量曲線を、重量の範囲のそれぞれの場合について、生成することが知られている。ロッド長さおよび円周、ラッパーの厚さおよびトウの可塑化材の量などのパラメータが特定され、これらはトウ容量曲線を得るためにトウの仕様と組み合わされ、この曲線は、標準的なロッド形成機械を使用して達成される最大および最小重量の間の異なるトウ重量によって供されるであろう圧力降下の指標を与える。このようなトウ容量曲線は、例えばトウの供給元から入手可能なソフトウェアを使用して計算することができる。フィラメント状のトウの場合について生成されたトウ容量曲線の最大および最小重量間の範囲の約10%~約30%である材料体の長さ1mm当たりの重量を有するフィラメント状のトウを含む材料体6を使用することは特に有利であることがわかっている。これは、本明細書に記載の大きさのカプセルの場合にカプセルをトウ内に配置しやすくしつつ、材料体6が形成された後の収縮を避けるために充分なトウ重量を供し、許容できる圧力降下を供することを許与できるバランスで供することができる。
【0134】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、少なくとも20mg、好ましくは少なくとも25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mgまたは60mgの重量を有する。
【0135】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、最大で100mg、好ましくは最大で95mg、90mg、85mg、80mg、75mg、70mgまたは65mgの重量を有する。
【0136】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、20~100mgの範囲内、好ましくは30~90mg、40~80mg、50~70mgまたは55~65mgの範囲内の重量を有する。
【0137】
一部の実施態様では材料体からなるトウは、約60mgの重量を有する。
【0138】
一部の実施態様では材料体の軸方向の長さは約20mmである。
【0139】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、少なくとも1mg/mm、好ましくは少なくとも1.25mg/mm、1.5mg/mm、1.75mg/mm、2mg/mm、2.25mg/mm、2.5mg/mm、2.75mg/mmまたは3mg/mmである。
【0140】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、最大で5mg/mm、好ましくは最大で4.75mg/mm、4.5mg/mm、4.25mg/mm、4mg/mm、3.75mg/mm、3.5mg/mmまたは3.25mg/mmである。
【0141】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、1~5mg/mmの範囲内、好ましくは1.5~4.5mg/mm、2~4mg/mm、2.5~3.5mg/mmまたは2.75~3.25mg/mmの範囲内である。
【0142】
一部の実施態様では材料体の軸方向長さ1mm当たりの材料体からなるトウの平均重量は、約3mg/mmである。
【0143】
一部の実施態様では材料体は可塑剤を含む。
【0144】
一部の実施態様では材料体は、少なくとも3mgの可塑剤、好ましくは少なくとも3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、7.6mgまたは7.7mgの可塑剤を含んでもよい。
【0145】
一部の実施態様では材料体は、最大で12mgの可塑剤、好ましくは最大で11.5mg、11mg、10.5mg、10mg、9.5mg、9mg、8.5mg、8mg、7.9mgまたは7.8mgの可塑剤を含んでもよい。
【0146】
一部の実施態様では材料体は、3~12mgの範囲内の可塑剤、好ましくは5~10mg、6~9mgまたは7~8mgの範囲内の可塑剤を含む。
【0147】
一部の実施態様では材料体は、約7.7mgの可塑剤を含む。
【0148】
一部の実施態様では材料体(トウと可塑剤を含む)、第1および第2のエアロゾル放出部材、材料体を囲む第1のプラグラッパーおよび第1のプラグラッパーを所定の位置に固定する接着剤の総重量は、少なくとも40mg、好ましくは少なくとも50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、115mgまたは120mgである。
【0149】
一部の実施態様では材料体(トウと可塑剤を含む)、第1および第2のエアロゾル放出部材、材料体を囲む第1のプラグラッパーおよび第1のプラグラッパーを所定の位置に固定する接着剤の総重量は、最大で200mg、好ましくは最大で190mg、180mg、170mg、160mg、150mg、140mg、135mg、130mgまたは125mgである。一部の実施態様では前記総重量は、40~200mgの範囲内、好ましくは60~180mg、80~160mg、100~140mg、110~130mgまたは115~125mgの範囲内である。
【0150】
好ましくは管状部分4aの長さは、約50mm未満である。より好ましくは管状部分4aの長さは約40mm未満である。さらにより好ましくは管状部分4aの長さは約30mm未満である。さらにまたは別例として管状部分4aの長さは、好ましくは少なくとも約10mmである。好ましくは管状部分4aの長さは、少なくとも約15mmである。一部の好ましい実施態様では管状部分4aの長さは、約15mm~約25mm、より好ましくは約18mm~約24mm、さらにより好ましくは約20~約22mm、最も好ましくは約21mmである。本例では管状部分4aの長さは21mmである。
【0151】
好ましくは第2のプラグラッパー9は、50gsm未満、より好ましくは約20gsm~45gsmの坪量を有する。好ましくは第2のプラグラッパー9は、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第2のプラグラッパー9は、好ましくは100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気性を有する非孔性プラグラッパーである。しかしながら、別の実施態様では第2のプラグラッパー9は、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0152】
管状部分4aは、マウスピース2の周囲に位置し、マウスピース内に空隙を画定し、これは冷却セグメントとして作用する。空隙は、エアロゾル発生材3によって発生させた加熱された揮発成分が流れるチェンバーを供する。管状部分4aは、エアロゾルの堆積のためのチェンバーを供するために中空であり、それでも製造中そして物品1が使用されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有する。管状部分4aは、エアロゾル発生材3と材料体6の間を物理的に移動する。管状部分4aによる物理的移動は、管状部分4aの長さに亘って温度勾配を供する。
【0153】
好ましくはマウスピース2は450mm3超の内部容積を有するキャビティを含む。少なくともこの容積のキャビティを設けることで良好なエアロゾルを形成できることが分かっている。加熱された揮発成分は温かくなりすぎたエアロゾルになってしまうので、このようなキャビティの大きさによってその揮発成分を冷やせる充分な空間をマウスピース2内に設けることができ、従ってもしそうでなければそれより高い温度にエアロゾル発生材3が晒されることになる。本例ではキャビティは管状部分4aによって形成されるが、別の構成ではマウスピース2の異なる部分内に形成することも可能である。より好ましくはマウスピース2は、例えば500mm3超、さらにより好ましくは550mm3超の内部容積を有する管状部分4a内に形成されたキャビティを含み、さらにエアロゾルを改善する。一部の例では内部キャビティは、約550mm3~約750mm3、例えば約600mm3または700mm3の容積を含む。
【0154】
管状部分4aは、管状部分4aの第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と管状部分4aの第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも40℃の温度差を設けるように構成することができる。管状部分4aは、好ましくは管状部分4aの第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と管状部分4aの第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃およびより好ましくは少なくとも100℃の温度差を供するように構成される。管状部分4aの長さに亘るこの温度差は、加熱された際のエアロゾル発生材3の高温から温度感受性の材料体6を保護する。
【0155】
別の実施態様では管状部分4aは、別の冷却構成部品、例えばエアロゾルを長手方向に通過させ、エアロゾルの冷却機能も行う材料体から形成された構成部品に置き換えることもできる。
【0156】
物品1のマウスピース2は、エアロゾル発生材3に隣接する上流端部3aと、エアロゾル発生材から遠位にある下流端部2bとを含む。
【0157】
本例ではエアロゾル発生材3はラッパー10に包まれている。ラッパー10は、例えば紙または紙に支持された箔のラッパーであってもよい。本例ではラッパー10は実質的に空気を通さない。別の実施態様ではラッパー10は、好ましくは100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気度を有する。低通気性、例えば100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性のラッパーは、結果としてエアロゾル発生材3でのエアロゾルの形成を向上させることになることが分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはラッパー10を介したエアロゾル化合物の損失が少なくなることによると推定される。ラッパー10の通気性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラッパーおよびフィルター接合ペーパーとして使用される材料の空気透過度の測定に関するISO 2965:2009に従って測定することができる。
【0158】
本実施態様ではラッパー10はアルミニウム箔を含む。アルミニウム箔は、エアロゾル発生材3内でエアロゾルの形成を高める上で特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミニウム箔は厚さが約6μmの金属層を有する。本例ではアルミニウム箔は台紙を有する。しかしながら、別の構成ではアルミニウム箔は、他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。またアルミニウム箔は、台紙を必要としないが、例えば箔に適度な引っ張り強度を供するのに役立つ他の材料から形成された裏当て材を有することも可能であり、あるいは裏当て材を持たなくてもよい。アルミニウム以外の金属層または箔も使用可能である。ラッパーの厚さの合計は、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~50μmで、適した構造的完全性および伝熱特性を有するラッパーを供することができる厚さである。ラッパーが破れるまでのラッパーに加えることができる張力は、3,000グラム重量超、例えば3,000~10,000グラム重量または3,000~4,500グラム重量である。
【0159】
一部の例ではエアロゾル発生材3を囲むラッパー10は高いレベルの通気度、例えば約1000コレスタ単位超または約1500コレスタ単位超または約2000コレスタ単位超の通気度を有する。ラッパー10の通気性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラッパーおよびフィルター接合ペーパーとして使用される材料の空気透過度の測定に関するISO 2965:2009に従って測定することができる。
【0160】
ラッパー10は、固有の高いレベルの通気度を有する材料、本質的に多孔性の材料から形成されてもよく、あるいは通気度の最終的なレベルが通気性の区間または領域を有するラッパー10を供することによって得られる場合、あらゆるレベルの固有の通気度を有する材料から形成してもよい。通気性ラッパー10を設けることで空気が物品に入る経路が得られる。ラッパー10にはエアロゾル発生材のロッドを介して入る空気の量がマウスピースの換気孔12を介して物品に入る空気の量より相対的に多くなるように通気性を付与してもよい。この構成の物品はより風味に満ちたエアロゾルを発生させ、ユーザーの満足度が高くなる。
【0161】
本例ではエアロゾル発生基材3に加えられるエアロゾル形成材は、エアロゾル発生基材3の14重量%を占める。好ましくはエアロゾル形成材は、エアロゾル発生基材3の少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%を占める。好ましくはエアロゾル形成材は、エアロゾル発生基材3の25重量%未満、より好ましくは20重量%未満、例えば10重量%~20重量%、12重量%~18重量%または13重量%~16重量%を占める。
【0162】
好ましくはエアロゾル発生材3はエアロゾル発生材からなる円筒状ロッドとして提供される。エアロゾル発生材の形に関係無く、エアロゾル発生材は約10mm~100mmの長さを有する。一部の実施態様ではエアロゾル発生材の長さは、好ましくは約25mm~50mmの範囲内、より好ましくは約30mm~45mmの範囲内およびさらにより好ましくは約30mmから40mmである。
【0163】
一部の例では物品1は、非燃焼系エアロゾル供給デバイス100のヒーターと管状部分4aの間が離れる(即ち、最小距離)ように構成してもよい。これによりヒーターの熱が管状部分4aを形成する材料を損傷することを防ぐ。
【0164】
非燃焼系エアロゾル供給デバイス100のヒーターと管状部分4a間の最小距離は、3mm以上であってもよい。一部の例では非燃焼系エアロゾル供給デバイス100のヒーターと管状部分4a間の最小距離は、3mm~10mmの範囲内であってもよく、例えば3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mmであってもよい。
【0165】
非燃焼系エアロゾル供給デバイス100のヒーターと管状部分4aの間は、例えばエアロゾル発生材3のロッドの長さを調節して離してもよい。
【0166】
設けられるエアロゾル発生材3の容積は、約200mm3~約4300mm3、好ましくは約500mm3~1500mm3、より好ましくは約1000mm3~約1300mm3で異なってもよい。例えば約1000mm3~約1300mm3といったエアロゾル発生材のこれらの容積を設けることは、その範囲の下方端部から選択された容積で達成される視認性および知覚性能より良好な視認性および知覚性能を有する優れたエアロゾルを達成することが有利に示されている。
【0167】
設けられるエアロゾル発生材3の質量は、200mg超、例えば約200mg~400mg、好ましくは約230mg~360mg、より好ましくは約250mg~360mgであってもよい。より質量の大きいエアロゾル発生材を供することは、結果として質量の小さいタバコ材から発生するエアロゾルと比較して良好な知覚性能が得られるという有利なことが分かっている。
【0168】
好ましくはエアロゾル発生材または基材は、タバコ成分を含む本明細書に記載したタバコ材から形成される。
【0169】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ成分は紙再生タバコを含む。タバコ成分は、葉タバコ、押し出しされたタバコおよび/またはバンドキャストされたタバコを含む。
【0170】
エアロゾル発生材3は、1立方センチメートル当たり約700ミリグラム(mg/cc)未満の密度を有する再生タバコ材を含んでもよい。そのようなタバコ材は、高密な材料と比較してエアロゾルを放出するために速く加熱することができるエアロゾル発生材を供するという点で特に有効であることが分かっている。例えば、本発明者は、バンドキャストされた再生タバコ材および紙再生タバコ材などの種々のエアロゾル発生材の加熱した際の特性を試験した。各所与のエアロゾル発生材の場合、熱を材料に加えている間、特定のゼロ熱流温度が存在し、それ以下では正味熱流が吸熱性になり、言い換えれば材料から出るより、より多くの熱が材料に入り、それ以上では正味熱量が発熱性になり、言い換えれば材料に入るより材料から出る熱が多くなる。700mg/cc未満の密度の材料は低いゼロ熱流温度であった。材料から出る熱流のかなりの部分がエアロゾルの形成を介しているので、低いゼロ熱流温度を有することはエアロゾル発生材から最初にエアロゾルを放出するためにかかる時間に亘って有益な効果を有する。例えば、700mg/cc未満の密度を有するエアロゾル発生材は、700mg/ccを超える密度を有し、ゼロ熱流温度が164℃超だった材料と比較して、ゼロ熱流温度が164℃未満であることを発見した。
【0171】
エアロゾル発生材の密度は、材料を伝わる熱の速度にも影響を与え、低い密度、例えば700mg/cc未満の密度では材料を伝わる熱の速度が遅くなり、従ってより持続性のあるエアロゾルの放出を可能にする。
【0172】
好ましくはエアロゾル発生材3は約700mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材、例えば紙再生タバコ材を含む。より好ましくはエアロゾル発生材3は、約600mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材を含む。これとは別にまたは加えてエアロゾル発生材3は、好ましくは材料を介した充分な量の熱伝導を可能にすると考えられている少なくとも350mg/ccの密度を有する再生タバコ材料を含む。
【0173】
タバコ材は刻みくずタバコの形体で供されてもよい。刻みくずタバコは1インチ当たり少なくとも15切断片の切断幅(1センチ当たり5.9切断部、約1.7mmの切断幅に等しい)に有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも18切断片の切断幅(1センチ当たり約7.1切断片、約1.4mmの切断幅に等しい)、より好ましくは1インチ当たり少なくとも20切断片(1センチ当たり7.9切断片、約1.27mmの切断幅に等しい)の切断幅を有する。1つの例では刻みくずタバコは、1インチ当たり22切断片の切断幅(1センチ当たり8.7切断片、約1.15mmの切断幅に等しい)を有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも40切断片以下の切断幅(1センチ当たり約15.7切断片、約0.64mmの切断幅に等しい)を有する。0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~1.5mmまたは0.6mm~1.7mmの切断幅は、特に加熱された際の表面積対体積比および発生材3の総合密度および圧力降下の点で好ましいタバコ材が結果として得られることが判明している。刻みくずタバコはタバコ材の形の混合物、例えば紙再生タバコ、葉タバコ、押し出しタバコおよびバンドキャストされたタバコのうちの1つ以上との混合物から形成することができる。好ましくはタバコ材は、紙再生タバコまたは紙再生タバコと葉タバコの混合物を含む。
【0174】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材は充填材成分を含んでもよい。充填材成分は、一般に非タバコ成分、即ちタバコ由来の成分を含まない成分である。充填材成分は、木繊維またはパルプまたは小麦繊維などの非タバコ繊維であってもよい。充填材成分は、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機材料であってもよい。充填材成分は、非タバコキャスト材または非タバコ押し出し材であってもよい。充填材成分は、タバコ材の重量で0~20%または組成物の重量で1~10%の量で存在してもよい。一部の実施態様では充填材成分は含まれない。
【0175】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材は、エアロゾル形成材を含む。本文脈において「エアロゾル形成材」は、エアロゾルの発生を促進させる化学物質である。エアロゾル形成材は、気体の初期の気化および/または吸入可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、エアロゾル発生材からの風味の供給を向上させてもよい。一般にあらゆる好適なエアロゾル形成材または形成剤を本明細書で説明したものを含む本開示のエアロゾル発生材に含有させてもよい。他の好適なエアロゾル形成材としては、ソルビトール、グリセロールおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセロール、プロピレングリコールまたはグリセロールとプロピレングリコールの混合物であってもよい。グリセロールは、タバコ材の重量で10~20%、例えば組成物の重量で13~16%、または組成物の重量で約14%または15%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、もし含まれるのであれば、組成物の重量で0.1~0.3%の量で存在してもよい。
【0176】
エアロゾル形成材は、あらゆる部材、例えばタバコ材からなるあらゆる部材および/またはもしあれば充填材成分に含有されてもよい。これとは別にまたは加えてエアロゾル形成材はタバコ材に別個に加えられてもよい。いずれの場合においてタバコ材中のエアロゾル形成材の総量は本明細書に記載のものであってもよい。
【0177】
タバコ材は、10~90重量%のタバコ葉を含んでもよく、エアロゾル形成材は葉タバコの約10重量%の量で供される。タバコ材の重量で10%~20%のエアロゾル形成材の総量を達成するためにこれを再生タバコ材などのタバコ材別の成分に高い重量パーセンテージに加えると有利であることが分かっている。
【0178】
本明細書に記載のタバコ材はニコチンを含む。ニコチン含有量は、タバコ材の重量で0.5~1.75%であり、例えば、タバコ材の重量で0.8~1.5%であってもよい。さらにまたはこれとは別にタバコ材は、タバコ葉の重量の1.5%超のニコチン含有量を有するタバコ葉を10~90重量%含む。ニコチン含有量が1.5%超のタバコ葉を紙再生タバコなどの低ニコチンベース材料と組み合わせて使用することで適当な量のニコチンを含むが、紙再生タバコ単独で使用するより良好な知覚性能を有するタバコ材を得られるという有利なことが分かっている。タバコ葉、例えば刻みくずタバコは、例えばタバコ葉の重量で1.5%~5%のニコチン含有量を有してもよい。
【0179】
本明細書に記載のタバコ材は本明細書に記載のような風味料のいずれかのようなエアロゾル変性剤を含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は、メンソール化された物品を形成するメンソールを含む。タバコ材は、3mg~20mgのメンソール、好ましくは5mg~18mg、そしてより好ましくは8mg~16mgのメンソールを含んでもよい。本例ではタバコ材は16mgのメンソールを含む。タバコ材は、2重量%~8重量%のメンソール、好ましくは3重量%~7重量%のメンソール、そしてより好ましくは4重量%~5.5重量%のメンソールを含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は4.7重量%のメンソールを含む。メンソールのこのような高い充填量は、例えば重量で50%超のタバコ材などの高いパーセンテージの再生タバコ材を使用することで達成される。これとは別にまたはこれに加えて高い容量のエアロゾル発生材、例えばタバコ材を使用することで例えば約500mm3超、または好適には1000mm3超のタバコ材などのエアロゾル発生材が使用される場合に達成されるメンソール充填量を増加させることができる。
【0180】
本明細書に記載の組成において、量を重量%で示した場合、誤解を避けるためにこれは、特段の記載がない限り乾燥重量基準を意味する。従って、タバコ材またはそのあらゆる成分中に存在するすべての水は、重量%の測定の目的のために完全に無視する。本明細書で説明するタバコ材の水分量は異なってもよく、例えば5~15重量%であってもよい。本明細書で説明するタバコ材の水分量は、例えばその組成物が維持される温度、圧力および湿度条件に応じて異なってもよい。水分量は、当業者に知られているようなKarl-Fisher分析によって測定してもよい。一方、誤解を避けるためにエアロゾル形成材がグリセロールまたはプロピレングルコールなどの液相にある成分の場合であっても水以外のあらゆる成分はタバコ材の重量に含まれる。しかしながら、エアロゾル形成材がタバコ材に別個に加えられる代わりにまたは加えることに加えて、タバコ材のタバコ成分またはタバコ材の充填部材(ある場合)に供される場合、エアロゾル形成材はタバコ組成物または充填部材の重量に含まれず、本明細書で規定する重量%で「エアロゾル形成材」の重量に含まれる。タバコ組成物に存在する全ての他の成分は、非タバコ由来であっても(例えば紙再生タバコの場合の非タバコ繊維)タバコ成分の重量に含まれる。
【0181】
ある実施態様ではタバコ材は、本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とを含む。ある実施態様ではタバコ材は、本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とから実質的になる。ある実施態様ではタバコ材は本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とからなる。
【0182】
紙再生タバコは、タバコ成分の重量で10%~100%の量で本明細書に記載したタバコ材のタバコ成分中に存在する。いくつかの実施態様では紙再生タバコはタバコ成分の重量で10%~80%または20%~70%の量で存在する。別の実施態様ではタバコ成分は紙再生タバコから実質的になるまたは紙再生タバコからなる。好ましい実施態様では葉タバコは、タバコ成分の重量で少なくとも約10%の量でタバコ材のタバコ成分中に存在する。例えば、葉タバコはタバコ成分の重量で少なくとも10%の量で存在してもよく、タバコ成分の残りは、紙再生タバコ、バンドキャストされたタバコまたはバンドキャストされた再生タバコおよびタバコ粒などの別の形体のタバコの組み合わせを含む。
【0183】
紙再生タバコとは、タバコ原料が可溶分の抽出物と繊維材を含む残渣となるように溶媒で抽出され、次に抽出物(通常濃縮した後、そして任意にさらなる処理をした後)を残渣からの繊維材(通常、繊維材から不純物の除いた後、そして任意に非タバコ繊維を僅かに加えて)と抽出物を繊維材に堆積させることによって再結合する工程によって形成されるタバコ材を意味する。再結合工程は製紙工程に似ている。
【0184】
紙再生タバコは、当業界で知られているあらゆる種類の紙再生タバコであってもよい。特定の実施態様では紙再生タバコは、タバコ条片、タバコ葉柄、および全葉タバコのうちの1つ以上を含む原料から製造される。別の実施態様では紙再生タバコはタバコ条片および/または全葉タバコおよびタバコ葉柄からなる原料から製造される。しかしながら、他の実施態様ではくず、微粉およびもみ殻をこれとは別にまたは加えて原料に採用してもよい。
【0185】
本明細書に記載のタバコ材に使用するための紙再生タバコは、紙再生タバコの調製のための当業者に知られている方法で調製してもよい。
【0186】
一部の実施態様では約10mm、例えば約10mm~約30mmまたは約12mm~約25mmの長さを有する中空の管状構成部品8を使用することは特に有利である。場合によっては消費者の唇は、物品1からエアロゾルを吸引する際、物品1の吸い口端から約12mmの所まで延びる傾向があり、したがって少なくとも10mmまたは少なくとも12mmの長さを有する中空の管状構成部品8は、消費者の唇の殆どがこの部材8を囲むことがわかっている。
【0187】
エアロゾル変性剤は、材料体6内に本例ではカプセル11の形体で供され、第1のプラグラッパー7は、材料体6を囲む。
【0188】
エアロゾル変性部材は、第1および第2カプセル11A、11Bを含む。本実施態様ではエアロゾル変性部材は、マウスピース2を含み、したがって、マウスピース2は、第1および第2カプセル11A、11Bを含む。別の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bは、マウスピース2の上流のエアロゾル変性部材に設けられている。
【0189】
第1および第2カプセル11A、11Bは、材料体6に設けられている。第1のプラグラッパー7が材料体6を囲む。本実施態様では第1のプラグラッパー7は、耐油性の第1のプラグラッパー7である。
【0190】
一部の実施態様では第1のプラグラッパー7は、27gsm超、好ましくは30超、35、40、45または50gsmの坪量を有する。1つのこのような実施態様において第1のプラグラッパー7の坪量は、約50gsmである。第1のプラグラッパー7はコーティングされてもよい。
【0191】
各カプセル11A、11Bは、破壊可能なカプセル、例えば液体ペイロードを囲む硬質な壊れやすいシェルを有するカプセルを含んでもよい。第1および第2カプセル11A、11Bは、材料体6内に完全に埋め込まれてもよい。言い換えれば、各カプセル11A、11Bは、材料体を形成する材料に完全に囲まれる。他の例では、少なくとも3つのカプセル、例えば3つまたは4つの破壊可能なカプセルを材料体6内に配置してもよい。材料体6の長さは、必要とされる数のカプセルを収容するために長くできる。
【0192】
第1および第2カプセル11A、11Bは、互いに同じであってもよく、あるいは大きさおよび/またはカプセルペイロードが異なってもよい。他の例では、それぞれが1つ以上のカプセルを含む複数の材料体6を設けてもよい。即ち、エアロゾル変性部材は、それぞれが1つ以上のカプセルを含む2つ以上の材料体を含んでもよい。
【0193】
第1および第2カプセル11A、11Bは、それぞれコア-シェル構造を有する。言い換えれば各カプセル11A、11Bは、液剤、例えば本明細書で説明した風味剤またはエアロゾル変性剤のいずれかであってもよい風味剤または他の物質をカプセル化するシェルを含んでもよい。カプセルのシェルは風味剤または他の物質を材料体6内に放出するためにユーザーが破裂させることができる。第1プラグラッパー7は、プラグラッパーの材料をカプセル11の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。これとは別にまたは加えて第2のプラグラッパー9および/またはチッピング紙5は、プラグラッパーおよび/またはチッピング紙の材料をカプセル11の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。
【0194】
一部の実施態様では第1のプラグラッパー7は、50gsm未満、より好ましくは約20gsm~40gsmの坪量を有する。好ましくは第1プラグラッパー7は、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。好ましくは第1プラグラッパー7は、例えば100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気性を有する非孔性プラグラッパーである。しかしながら、他の実施態様では第1プラグラッパー7は、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0195】
本例では各カプセル11A、11Bは、球体であり、約3mmの直径を有する。他の例では、他の形状および大きさのものも使用可能である。各カプセル11A、11Bの総重量は、約5mg~約50mgの範囲内、好ましくは約10~30mgの範囲内であってもよい。本例では各カプセル11A、11Bの重量は、約14mgである。
【0196】
図1のA-A’線を介したマウスピース2の断面を
図2に示す。
図2は、第1カプセル11A、材料体6、第1および第2のプラグラッパー7、9およびチッピング紙5を示している。本例では第1カプセル11Aは、マウスピース2の長手方向軸(図示せず)の中心にある。本例では第2カプセル11Bもマウスピース2の長手方向軸の中心にある。第1および第2のプラグラッパー7、9およびチッピング紙5は材料体6の周囲に同心に配置されている。
【0197】
破壊可能な第1および第2カプセル11A、11Bは、それぞれコア-シェル構造を有する。即ち、カプセル化材またはバリアー材はエアロゾル変性剤を含むコアの周囲にシェルを形成する。シェル構造は物品1の貯蔵時のエアロゾル変性剤の移動を妨げるが、使用時にはエアロゾル改質剤とも言われるエアロゾル変性剤の放出の制御を可能にする。
【0198】
場合によってはバリアー材(カプセル化剤とも言われる)は脆弱である。各カプセル11A、11Bは、ユーザーによって潰されるあるいはそうでなければ砕かれるまたは壊されてカプセル化されているエアロゾル変性剤を放出する。典型的にはカプセル11A、11Bの一方は加熱が開始される直前に壊されるが、ユーザーが前記カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤をいつ放出させるかを選択することができる。その後、ユーザーは、後で、例えば加熱が開始された後に第1および第2カプセル11A、11Bのもう一方を壊すことを選択できる。ユーザーは、エアロゾルの一部がエアロゾル発生材から放出されたら第1および第2カプセル11A、11Bの前記もう一方を壊すことを選択して、残りのエアロゾル発生材が第1および第2カプセルの前記もう一方のエアロゾル変性剤によって変性してもよい。これとは別にユーザーはカプセル11A、11Bの両方を同時に壊すことを選択してもよい。
【0199】
「壊れやすいカプセル」なる用語は、シェルがコアを放出するための圧力によって壊れるカプセルを意味し、例えばシェルは、ユーザーがカプセルのコアを放出させたいときにユーザーの指によって加えられる圧力によって破裂させることができる。
【0200】
場合によってはバリアー材は耐熱性である。即ち、場合によってはバリアーは、破裂せず、エアロゾル供給デバイスの作動中にカプセルが到達する温度で溶けるまたは機能しなくなる。具体的にはマウスピース内に位置するカプセルを例えば30℃~100℃の範囲内の温度に露して、バリアー材は少なくとも約50℃~120℃まで液体コアを保持し続けるようにしてもよい。
【0201】
他の場合には各カプセル11A、11Bは、加熱時に例えばバリアー材を溶かすまたはバリアー材を破裂させるカプセルの膨潤によってコア組成物を放出する。
【0202】
各カプセル11A、11Bの総重量は、約1mg~約100mgの範囲内、好適には約5mg~約60mg、約8mg~約50mg、約10mg~約20mgまたは約12mg~約18mgであってもよい。
【0203】
コア製剤の総重量は、約2mg~約90mg、好適には約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mgまたは約10mg~約15mgの範囲であってもよい。
【0204】
一部の実施態様では各カプセル11A、11Bは、上述したようなコアと、シェルとを含む。カプセル11A、11Bは、約4.5N~約40N、より好ましくは約5N~約30Nまたは約28N(例えば、約9.8N~約24.5N)の破砕強度を呈してもよい。各カプセル11A、11Bのカプセル破砕強度は、カプセル11A、11Bを材料体6から取り除き、カプセル11A、11Bが2つの平らな金属プレートの間でプレスされた際に破裂した力を測定するゲージを使用して測定することができる。好適な測定装置は、平らな頭部があるアタッチメントを有するSauter FK 50フォールゲージであり、これはそのアタッチメントに類似する面を有する平らな硬い面に対してカプセルを砕くために使用することができる。
【0205】
カプセル11A、11Bは、実質的に球体であってもよく、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mmまたは3.0mmの直径を有してもよい。カプセル11A、11Bの直径は、約10.0mm未満、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mmまたは3.2mmであってもよい。事例的にはカプセル11A、11Bの直径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mmまたは約2.8mm~約3.2mmの範囲内であってもよい。場合によっては各カプセル11A、11Bは、約3.0mmの直径を有してもよい。これらの大きさは、カプセル11A、11Bを物品に組み込む上で特に好適である。
【0206】
カプセル11A、11Bのその最も大きい断面領域での断面積は、カプセル11A、11Bが設けられているマウスピース2の部分の断面積の28%未満、より好ましくは27%未満、さらにより好ましくは25%未満である。例えば、直径が3.0mmの球体のカプセル11A、11Bの場合、カプセルの最大断面積は、7.07mm2である。ここに記載の円周が21mmのマウスピース2の場合、材料体6は20.8mmの外周を有し、この部材の半径は3.31mmになり、34.43mm2の断面積に相当する。カプセルの端面積は、この例ではマウスピース2の断面積の20.5%である。別の例としてカプセル11A、11Bの直径が3.2mmの場合、その最大断面積は8.04mm2になる。この場合カプセル11A、11Bの断面積は材料体6の断面積の23.4%になる。カプセル11A、11Bが設けられているマウスピース2の部分の断面積の28%未満の最大断面積を有するカプセル11A、11Bは、マウスピース2の圧力降下がそれより大きい断面積を有するカプセル11A、11Bと比較して減少し、エアロゾルのための適当な空間がカプセルの周囲に残り、エアロゾルがマウスピース2を通過する際にかなりの量のまとまったエアロゾルを材料体6が除去することなくエアロゾルが通過できるという利点がある。一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bは同じ大きさである。他の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bは大きさが異なる。
【0207】
好ましくは物品の開放圧力降下(即ち、換気開口部が開いている)として測定される圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、カプセル11A、11Bの一方が壊されたときに10mmH2O未満減少する。より好ましくは開放圧力降下は、8mmH2O未満減少し、より好ましくは約6mmH2O未満または約5mmH2O未満減少する。これらの値は同じ設計で作製された少なくとも80の物品によって得られる平均として測定される。そのような小さい圧力降下の変化は、所与の製品圧力降下の正しい換気レベルの設定などの製品設計の他の態様を消費者がカプセル11A、11Bの一方を壊すことを選択するかしないかに関係無く達成できることを意味する。
【0208】
好ましくは物品の開放圧力降下(即ち、換気開口部が開いている)として測定される圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、カプセル11A、11Bの両方が壊されたときに20mmH2O未満減少する。より好ましくは開放圧力降下は、16mmH2O未満減少し、より好ましくは約12mmH2O未満または約10mmH2O未満減少する。これらの値は同じ設計で作製された少なくとも80の物品によって得られる平均として測定される。そのような小さい圧力降下の変化は、所与の製品圧力降下の正しい換気レベルの設定などの製品設計の他の態様を消費者がカプセル11A、11Bの両方を壊すことを選択するかしないかに関係無く達成できることを意味する。
【0209】
マウスピース、例えばエアロゾル発生材3の下流の物品1の部分の圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、第1および第2カプセル11A、11Bの両方が壊されていないときで好ましくは約50mmH2O未満、好ましくは40mmH2O未満である。このような圧力降下は、風味化合物などのを含む充分なエアロゾルがマウスピース2を介して消費者に移動できるようにすることが分かっている。
【0210】
一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bが壊されていないときのマウスピース2の圧力降下は、最大で65mmH2O、好ましくは最大で60、55、50、45または40mmH2Oである。一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bが壊されていないときのマウスピース2の圧力降下は、少なくとも15mmH2O、好ましくは少なくとも20、25、30または35mmH2Oである。圧力降下のこれらの値によりマウスピース2がエアロゾルがマウスピース2を通過する際にエアロゾルを減速させ、これによりエアロゾルの温度がマウスピース2の下流端部2bに到達する前に低下する時間がある。
【0211】
一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bが壊されていないときのマウスピース2の圧力降下は、15~65mmH2O、好ましくは20~55mmH2Oの範囲内であり、好ましくは25~50mmH2Oの範囲内、好ましくは30~45mmH2Oの範囲内、好ましくは35~40mmH2Oの範囲内である。
【0212】
一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bが壊されていないときのマウスピース2の圧力降下は、約38.5mmH2Oである。
【0213】
一部の実施態様では中にカプセル11A、11Bを有する材料体6は、約75%~90%の範囲内、好ましくは約80%~85%または81%~83%の範囲内の硬度を有する。一部の実施態様では中にカプセル11A、11Bを有する材料体6は、約82%の硬度を有する。これは材料体6が物品1内に組み込まれる前のカプセル11A、11Bを有する材料体6の硬度を意味する。
【0214】
一部の実施態様では材料体6が物品1に組み込まれ、物品1の残りの部分にチッピング紙によって取り付けられた際の材料体6でのマウスピース2の硬度は、約78%~93%の範囲内、好ましくは約83%~88%または84%~87%の範囲内である。
【0215】
材料体6の硬度は、次のプロトコルに従って測定してもよい。あるセクションの硬度を本明細書で言及する場合、その硬度は、次の測定工程によって測定されるものである。Borgwaldt Hardness Tester H10などの任意の好適な装置を使用して測定を行ってもよい。
【0216】
硬度は、材料体の高さh0と所定の荷重下の材料体の高さh1との比として定義され、h0のパーセンテージとして記載される。硬度は、次のように表される、
硬度 = (h1/h0)×100
個別の材料体または複数のセクションからなるロッドに含まれる材料体の場合、硬度測定は、材料体の長手方向中央のポイントで行われる。
【0217】
荷重バーを使用して所定の荷重を材料体にかける。荷重バーの長さは、測定される試料より極めて長くなければならない。硬度測定の前に測定される材料体は、最短で48時間、ISO3402に従って調整され、測定中はISO3402による環境条件に維持される。
【0218】
硬度測定を行うために材料体は、Hardness Tester H10内に入れられ、2gの予備荷重が材料体にかけられ、1秒後、2gの予備荷重下の材料体の初期高さh0が記録される。次に予備荷重が解除され、150gの荷重を積載した荷重バーを0.6mm/秒の速度でサンプル上に降下させ、5秒後、150gの荷重下の材料体の高さh1を測定する。
【0219】
材料体6の硬度は、このプロトコルに従って測定される少なくとも20の材料体の平均硬度として決定される。
【0220】
第1カプセル11Aは、エアロゾル変性部材の第1の部分P1に位置し、第2カプセル11Bは、エアロゾル変性部材の第2の部分P2に位置する。即ち、本実施態様では第1カプセル11Aは、マウスピース2の第1の部分P1に位置し、第2カプセル11Bは、マウスピース2の第2の部分P2に位置する。
【0221】
一部の実施態様ではエアロゾル形成材3が例えば本明細書に記載の非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱されてエアロゾルを供する際、第1カプセル11Aが位置するマウスピース2の第1の部分P1は、エアロゾルを発生させるためにシステムを使用している間、58~70℃の温度に到達する。この温度に到達した結果として第1カプセル11Aの内容物は、充分に温められ、第1カプセル11Aの内容物、例えば第1のエアロゾル変性剤をシステムによって形成されたエアロゾルがマウスピース2を通過する際にこのエアロゾル内に蒸発させやすくする。第1カプセル11Aの内容物は、例えば第1カプセル11Aが壊される前に温めることができ、第1カプセル11Aが壊された際にその内容物は、マウスピース2を通過するエアロゾル内により簡単に放出されることになる。これとは別に第1カプセル11Aの内容物は、第1カプセル11Aが壊された後にこの温度に温めることができ、再度の結果として内容物がエアロゾルに多く放出される。58~70℃の範囲内のマウスピース温度は、第1カプセル11Aの内容物がより簡単に放出されるようにするために充分に高いので有利であることがわかっているが、第1カプセル11Aが位置するマウスピース2の部分の外面は充分低くマウスピース2を押しつぶすことによって第1カプセル11Aを破裂させるために消費者が触れる場合に不快になる温度に達しない。
【0222】
58℃~70℃の範囲内、好ましくは59℃~65℃の範囲内より好ましくは60℃~65℃の範囲内の最大温度は、第1カプセル11Aの内容物を揮発させやすくし、マウスピース2の好適な外面温度を維持する上で特に有利であることが分かっている。
【0223】
58℃~70℃の範囲内、好ましくは59℃~65℃の範囲内より好ましくは60℃~65℃の範囲内の最大温度は、第2カプセル11Bの内容物を揮発させやすくし、マウスピース2の好適な外面温度を維持する上で特に有利であることが分かっている。
【0224】
一部の実施態様では第1カプセル11Aの最大温度は、62℃~70℃の範囲内および/または第2カプセル11Bの最大温度は、58℃~66℃の範囲内である。好ましくは第1カプセル11Aの最大温度は、65℃~68℃の範囲内および/または第2カプセル11Bの最大温度は、60℃~63℃の範囲内である。
【0225】
第1カプセル11Aは、例えば消費者によって指またはマウスピース2を押しつぶすための他の機構を使用してマウスピース2に加えられる外力によって破壊可能である。上述のように第1カプセル11Aが位置するマウスピース2の第1の部分P1は、エアロゾル供給システムを使用してエアロゾル発生させている間、58℃超の温度に到達するように配置されている。好ましくはマウスピース2内に位置しているときでエアロゾル発生材3を加熱する前の第1カプセル11Aの破裂強度は、1500~4000グラム重量である。好ましくはマウスピース2内に位置しているときでエアロゾル供給システムを使用してエアロゾルを発生させている30秒間の第1カプセル11Aの破裂強度は、1000~4000グラム重量である。したがって、58℃超、例えば58℃~70℃の温度に晒されているにもかかわらず、第1カプセル11Aは、カプセル11が消費者によって簡単に潰されるとわかっている範囲の破裂強度を維持することができかつ消費者に第1のカプセル11Aが破壊されたことの触覚的に充分なフィードバックを供することができる。そのような破裂強度は、例えばアラビアゴム、ジェランガム、アカシアゴム、キサンタンガムまたはカラギーナン単独またはゼラチンとの組み合わせを含む多糖類などの本明細書で説明した第1カプセル11Aのための適したゲル化剤を選択することによって維持される。加えてカプセルシェルの好適な壁厚も選択すべきである。
【0226】
好適にはマウスピース2内に位置しているときでエアロゾル発生材を加熱する前の第1カプセル11Aの破裂強度は、2000~3500グラム重量または2500~3500グラム重量である。マウスピース2内に位置しているときでエアロゾル供給システムを使用してエアロゾルを発生させている30秒間の第1カプセル11Aの破裂強度は、1500~4000グラム重量または1750~3000グラム重量である。一例ではマウスピース2内に位置しているときでエアロゾル発生材を加熱する前の第1カプセル11Aの平均破裂強度は、約3175グラム重量であり、マウスピース2内に位置しているときでエアロゾル供給システムを使用してエアロゾルを発生させている30秒間の第1カプセル11Aの平均破裂強度は、約2345グラム重量である。
【0227】
エアロゾル形成材3が例えば本明細書に記載の非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱されてエアロゾルを供する際、第2カプセル11Bが位置するマウスピース2の第2部分P2は、システムを使用してエアロゾル発生させている間、マウスピース2の第1の部分P1の温度より少なくとも4℃低い温度に達する。好ましい例では温度は、少なくとも5℃低い。即ち、第1の部分P1がシステムを使用してエアロゾルを発生させている間、58~70℃の温度に加熱され、第2の部分P2は、それより少なくとも5℃低い温度に加熱される。例えば、マウスピース2の第1の部分P1がシステムを使用してエアロゾルを発生させている間、70℃の温度に加熱されると、第2の部分P2は65℃以下の温度に加熱される。別例としてマウスピース2の第1の部分P1がシステムを使用してエアロゾルを発生させている間、58℃の温度に加熱されると、第2の部分P2は、53℃以下の温度に加熱される。
【0228】
一部の好ましい実施態様では第2の部分P2の温度は、システムを使用してエアロゾルを発生させている間、第1の部分P1の温度より少なくとも7℃または少なくとも8℃低い。
【0229】
この温度の結果として第2カプセル11Bの内容物は、第2カプセル11Bの内容物、例えば第2のエアロゾル変性剤をシステムによって形成されたエアロゾルがマウスピース2を通過する際にこのエアロゾル内に蒸発させやすくする。第2カプセル11Bの内容物は、例えば第2カプセル11Bが壊される前に温めることができ、第2カプセル11Bが壊された際にその内容物は、マウスピース2を通過するエアロゾル内により簡単に放出されることになる。これとは別に第2カプセル11Bの内容物は、第2カプセル11Bが壊された後にこの温度に温めることができ、この場合でも結果として内容物がエアロゾルに多く放出される。58~70℃の範囲内のマウスピース温度は、第2カプセル11Bの内容物がより簡単に放出されるようにするために充分に高いので有利であることがわかっているが、第2カプセル11Bが位置するマウスピース2の部分の外面は充分低くマウスピース2を押しつぶすことによって第2カプセル11Bを破裂させるために消費者が触れる場合に不快になる温度に達しない。
【0230】
第1および第2カプセル11A、11Bがそれぞれ位置するマウスピース2の第1および第2の部分P1、P2の温度は、貫通プローブを有するデジタル温度計を使用して測定でき、このデジタル温度計はプローブがマウスピース2の壁を介してマウスピース内に入り(プローブの周囲でマウスピース内に漏出する外気の量を減らすために封止しながら)、カプセル11の位置の近くになるように配置される。同様に温度プローブが外面の温度を測定するためにマウスピース2の外面上に置かれる。
【0231】
一部の実施態様ではヒーターがエアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生材3を加熱し、ヒーターは、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも220、240または250℃の温度に加熱される。
【0232】
システムを使用してエアロゾルを発生させる間のエアロゾル変性部材2の第1および第2の部分P1、P2間の温度降下は、カプセル11A、11B間の距離D1、エアロゾル変性部材2の材料およびエアロゾル変性部材2での換気流の追加によって影響を受ける。
【0233】
第1および第2カプセル11A、11B間の距離D1が長くなるほど、したがってカプセル11A、11Bが設けられているエアロゾル変性部材2の第1および第2の部分P1、P2間の距離D1が長くなるほど、第1および第2の部分P1、P2間の温度降下が結果として大きくなる。一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bは、少なくとも7mm、好ましくは少なくとも8mm、少なくとも9mmまたは少なくとも10mmの距離D1によって間隔をおいて配されている。第1および第2カプセル11A、11B間の距離D1は、第1および第2カプセル11A、11Bの中心間の距離D1を言う。本例では第1および第2カプセル11A、11Bは、本例ではマウスピース2であるエアロゾル変性部材の長手方向に間隔をおいて配されている。
【0234】
1つの実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bの中心は、約9mmの距離D1によって間隔をおいて配されている。
【0235】
一部の実施態様では第2カプセル11Bの中心は、マウスピース2の下流端部2bから少なくとも5mm、好ましくは少なくとも6mm、少なくとも7mmまたは少なくとも8mmの間隔をおいて配されている。
【0236】
1つの実施態様では第2カプセル11Bの中心は、管状部分4aの下流端部から約6mmの間隔をおいて配されている。
【0237】
一部の実施態様では第2カプセル11Bの中心は、マウスピース2の上流端部2Aから少なくとも10mm、好ましくは少なくとも11mm、少なくとも12mm、少なくとも13mmまたは少なくとも14mmの間隔をおいて配されている。一部の実施態様では第2カプセル11Bの中心は、マウスピース2の上流端部2Aから39mm以下または37mm以下または35mm以下の間隔をおいて配されている。
【0238】
一部の実施態様では第2カプセル11Bの中心は、管状部分4aの下流端部から少なくとも10mm、好ましくは少なくとも11mm、少なくとも12mm、少なくとも13mmまたは少なくとも14mmの間隔をおいて配されている。
【0239】
一部の実施態様では第2カプセル11Bの中心は、材料体6の上流端部から少なくとも10mm、好ましくは少なくとも11mm、少なくとも12mm、少なくとも13mmまたは少なくとも14mmの間隔をおいて配されている。
【0240】
一部の実施態様では第1カプセル11Aの中心は、マウスピース2の下流端部2Bから少なくとも12mm、好ましい少なくとも13mm、少なくとも14mmまたは少なくとも15mmの間隔を置いて配されている。
【0241】
一部の実施態様では第1カプセル11Aの中心は、マウスピース2の上流端部2Aから少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、少なくとも4mmまたは少なくとも5mmの間隔を置いて配されている。一部の実施態様では第1カプセル11Aの中心は、マウスピース2の上流端部2Aから30mm以下、28mm以下、26mm以下の間隔をおいて配されている。
【0242】
一部の実施態様では第1カプセル11Aの中心は、管状部分4aの下流端部から少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、少なくとも4mmまたは少なくとも5mmの間隔をおいて配されている。
【0243】
一部の実施態様では第1カプセル11Aの中心は、材料体6の上流端部から少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、少なくとも4mm、または少なくとも5mmの間隔をおいて配されている。
【0244】
1つの実施態様では第1カプセル11Aの中心は、管状部分4aの下流端部から約5mmの間隔をおいて配されている。
【0245】
一部の実施態様では第1および第2のカプセル11A、11Bは、第1および第2の材料体(図示せず)にそれぞれ設けられ、これら材料体は、当接する、隙間が空けられているまたは管または第3の材料体などの別の部材によって分離され、これは第1および第2カプセル11A、11B間でエアロゾルの冷却を促進させることに役立つ。しかしながら、他の実施態様ではこのような冷却特性は省略され、代わりに冷却は、マウスピース内の第1および第2のカプセル11A、11Bの間隔で充分に達成される。
【0246】
他の実施態様では第1および第2のカプセル11A、11Bは、単独の材料体6に設けられ、カプセルが別個の材料体に設けられる実施態様より簡単且つ安価に製造されることが証明されている。
【0247】
エアロゾル変性部材2内に換気流を供することでも第1および第2の部分P1、P2間の温度降下を大きくしてもよい。例えば、換気流は第1カプセル11Aの下流であるが第2カプセル11Bの上流でエアロゾル変性部材内に供されてもよい。
【0248】
換気流は、当業者には自明なミシン目によって設けてもよい。他の実施態様では換気のミシン目が材料体6に重なるラッパーに設けられず、これは一部の実施態様ではそうでなければ換気のミシン目によって供される換気流が非燃焼系エアロゾル供給システム内で流れ特性を変えてしまうので有利であり、例えば代わりに材料体6の上流部品に換気流を供することが望ましい。例えば上述したように本例では換気は管状部分4aに設けられる。
【0249】
1つの実施態様では換気流は、換気が管状部分4a内に流れるように吸い口端2bから軸方向に測定して20~24mm、好ましくは22mmの所に設けられる。換気流は、換気孔からなる単独または二重線であってもよい。一部の実施態様では換気率は、55%~75%、好ましくは60%~70%、好ましくは約65%または約70%である。これは特に第1のプラグラッパー7の坪量が27gsm超、好ましくは30超、35、40、45または50gsmの時に有利な硬度とマウスピースの圧力降下の組み合わせに貢献することがわかっている。1つのこのような実施態様において第1のプラグラッパー7の坪量は、約50gsmである。
【0250】
本例では第1カプセル11Aは、その中心が材料体6の上流端部から5mmの所になるように配置される。本例では第2カプセル11Bは、その中心が材料体6の下流端部から6mmの所になるように配置される。他の例では第1および第2カプセル11A、11Bは、材料体6の他の位置に配置できる。
【0251】
第1および第2カプセル11A、11Bの破裂強度は、Texture Analyserなどの荷重測定機器を使用して試験することができる。本件の破裂強度の場合、Type TA.XTPlus Texture Analyserをカプセルの位置(即ち、マウスピース2の吸い口端部から12mm)の中心に据えた直径6mmの円形金属プローブと共に使用可能である。プローブの試験速度は0.3mm/秒であり、5.00mm/秒の予備テスト速度を使用し、事後テスト速度は10mm/秒であってもよい。使用した荷重は5000gである。試験した物品をBorgwaldt A14 注射器駆動ユニットを使用し、公知のHealth Canada Intenseパフ様式(30秒ごとに2秒間55mlパフ容量)に従い、標準的な試験装置を使用して吸引する。3回のパフをこのパフ様式を使用して行い、カプセル11A、11Bの破裂強度を3回目のパフの30秒以内に測定した。
【0252】
バリアー材は、ゲル化剤、増量剤、バッファー、着色剤および可塑剤の1つ以上を含んでもよい。
【0253】
好適には、ゲル化剤は、例えば多糖またはセルロース系ゲル化剤、ゼラチン、ゴム、ゲル、ワックスまたはそれらの混合物であってもよい。好適な多糖類は、アルギン酸塩類、デキストラン類、マルトデキストリン類、シクロデキストリン類およびペクチン類を含む。好適なアルギン酸塩類は、例えばアルギン酸の塩、エステル化されたアルギン酸塩またはアルギン酸グリセリルを含む。アルギン酸の塩としてはアルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミンおよびアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸マグネシウムのようなIまたはII族金属イオンのアルギン酸塩などが挙げられる。エステル化アルギン酸塩としてはアルギン酸プロピレングリコールおよびアルギン酸グリセリルが挙げられる。ある実施態様ではバリアー材はアルギン酸ナトリウムおよび/またはアルギン酸カルシウムである。好適なセルロース系材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートおよびセルロースエーテル類などである。ゲル化剤は1つ以上の加工でんぷんを含んでもよい。ゲル化剤はカラギーナンを含んでもよい。好適なゴムは、寒天、ジェランガム、アラビアゴム、プルランゴム、マンナンガム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメ、アカシアゴム、グァー、マルメロ種子ゴムおよびキサンタンガムなどである。好適なゲルは寒天、アガロース、カラギーナン、フロイダンおよびファーセレランなどである。好適なワックスはカルナウバワックスを含む。場合によってはゲル化剤はカラギーナンおよび/またはジェランゴムを含んでもよく、これらのゲル化剤は、得られるカプセルを壊すのに必要とされる圧力が特に適している際のゲル化剤として含有させるのに特に好適である。
【0254】
バリアー材は、スターチ、加工スターチ(酸化スターチなどの)およびマルチトールなどの糖アルコールなどの増量剤を1つ以上含んでもよい。
【0255】
バリアー材は、エアロゾル変性部材の製造時にエアロゾル変性部材内にカプセル11A、11Bの配置を簡単にする着色剤を含んでもよい。着色剤は、好ましくは着色料および顔料の中から選択される。
【0256】
バリアー材は、クエン酸塩化合物またはリン酸化合物などの少なくとも1つのバッファーをさらに含んでもよい。
【0257】
バリアー材は少なくとも1つの可塑剤をさらに含んでもよく、これはグリセロール、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたは可塑性を有する別の多価アルコールそして特にクエン酸、フマル酸、リンゴ酸等の任意の一酸、二酸または三酸型の内の1つの酸などである。可塑剤の量は、シェルの合計乾式重量の1~30重量%、好ましくは2~15重量%、さらにより好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0258】
またバリアー材は1つ以上の充填材料を含む。好適な充填材料は、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータまたはガンマ)などのスターチ誘導体またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシ-メチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオールまたはこれらの混合物などである。デキストリンは好ましい充填材である。シェル中の充填材量は、シェルの総乾式重量で最大で98.5重量%、好ましくは25~95重量%、より好ましくは40~80重量%、さらにより好ましくは50~60重量%である。
【0259】
第1および/または第2カプセル11A、11Bのシェルは、疎水性の外層を追加で含んでもよく、これはカプセル11A、11Bが水分によって崩壊しないようにするためのものである。疎水性の外層は、好適にはワックス、特にカルナウバワックス、カンデリラワックスまたは蜜ろう、カルボワックス、セラック(アルコール溶液または水性溶液に入った)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、またはこれらを組み合わせたものを含む群から選択される。より好ましくはその少なくとも1つの水分バリアー剤は、エチルセルロースまたはエチルセルロースとセラックの混合物である。
【0260】
第1カプセル11Aの芯は、エアロゾル変性剤を含む。第2のカプセル11Bの芯は、エアロゾル変性剤を含む。第1カプセル11Aのエアロゾル変性剤は、第2カプセル11Bのエアロゾル変性剤と同じまたは異なってもよい。
【0261】
エアロゾル変性剤は、発生したエアロゾルを例えばエアロゾルの味、風味、酸度または別の特徴を変えることによって変性するように構成された物質である。各カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤は、例えば添加剤または吸着剤であってもよい。各カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤は、例えば風味剤、着色剤、水および炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。各カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤は、例えば固体、液体またはゲルであってもよい。各カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤は、粉、糸または粒体であってもよい。各カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤は、ろ過材を含まなくてもよい。
【0262】
場合によっては第1および/または第2のカプセル11A、11Bは、少なくとも約25%w/wの風味剤(カプセルの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。
【0263】
場合によっては第1および/または第2カプセル11A、11Bの芯は、少なくとも約25%w/wの風味剤(コアの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。場合によっては第1および/または第2カプセル11A、11Bの芯は、約75%w/w以下の風味剤(コアの総重量基準で)、好適には約65%w/w以下の風味剤、55%w/wの風味剤、または50%w/wの風味剤を含んでもよい。具体的には、カプセルは25~75%w/w(コアの総重量基準で)、約35~60%w/wまたは約40~55%w/wの範囲内の量で風味剤を含んでもよい。具体的には、第1および/または第2カプセル11A、11Bは25~75%w/w(コアの総重量基準で)、約35~60%w/wまたは約40~55%w/wの範囲内の量で風味剤を含んでもよい。
【0264】
第1および/または第2カプセル11A、11Bは、それぞれ少なくとも約2mg、3mgまたは4mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約4.5mgのエアロゾル変性剤、5mgのエアロゾル変性剤、5.5mgのエアロゾル変性剤または6mgのエアロゾル変性剤を含んでもよい。
【0265】
場合によっては消耗品は、少なくとも約7mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約8mgのエアロゾル変性剤、10mgのエアロゾル変性剤、12mgのエアロゾル変性剤または15mgのエアロゾル変性剤を含む。第1および/または第2カプセル11A、11Bのコアは、エアロゾル変性剤を溶かす溶媒も含んでもよい。
【0266】
あらゆる好適な溶媒を使用してもよい。
【0267】
第1および/または第2カプセル11A、11Bのエアロゾル変性剤が風味剤を含む場合、溶媒は好適には短鎖または中鎖油脂を含んでもよい。例えば、溶媒は、C2-C12トリグリセリドなどのグリセロールのトリエステル類、好適にはC6-C10トリグリセリドまたはCs-C12トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、中鎖トリグリセリド(MCT-C8-C12)を含んでもよく、これはパーム油および/またはココナッツ油由来のものであってもよい。
【0268】
エステル類はカプリル酸および/またはカプリン酸で形成してもよい。例えば、溶媒はカプリル酸トリグリセリドおよび/またはカプリン酸トリグリセリドである中鎖トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、Nos.73398-61-5、65381-09-1、85409-09-2によってCAS登録に特定されている化合物を含んでもよい。そのような中鎖トリグリセリドは、無味無臭である。
【0269】
溶媒の親水性親油性バランス(HLB)は、9~13、好適には10~12の範囲内であってもよい。カプセル11A、11Bの製造方法は、押し出しなどであり、選択的にその後遠心分離そして硬化および/または乾燥を行ってもよい。国際出願公開2007/010407A2の内容をその全体において参照することにより組み込まれる。
【0270】
上述したようにエアロゾル形成材3が例えば本明細書に記載の非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱されてエアロゾルを供する際、第2カプセル11Bが位置するマウスピース2の第2部分P2は、システムを使用してエアロゾル発生させている間、マウスピース2の第1の部分P1の温度より少なくとも4℃低い温度に達する。一部の実施態様では第2の部分P2は、システムを使用してエアロゾルを発生させる間、マウスピース2の第1の部分P1の温度より少なくとも5、6、7、8、9または10℃低い温度に達する。
【0271】
したがって、第2カプセル11Bのエアロゾル変性剤は、第1カプセル11Aのエアロゾル変性剤より低い温度に加熱される。
【0272】
第1および第2カプセル11A、11Bは、同じエアロゾル変性様式を有し、これはカプセル11A、11Bの両方が同じ量および種類のエアロゾル変性剤をカプセル11A、11Bの両方が同じ温度に加熱され、破壊されたら、カプセル11A、11Bの両方が同じエアロゾルの変性を生じさせるような同じ量で含むことを意味する。しかしながら、第1カプセル11Aは、第2カプセル11Bより高い温度に加熱されるので、例えば第1カプセル11Aのエアロゾル変性剤の方が第2カプセル11Bの変性剤と比較して揮発し、したがって第2カプセル11Bよりエアロゾルをより顕著に変性する。したがって、エアロゾル変性部材の製造を簡単および/または安価にする両方のカプセル11A、11Bが同じであるということにかかわらず、ユーザーは第1カプセル11Aを壊してエアロゾルをより顕著に変性するか、第2のカプセル11Bを破壊してエアロゾルを控えめに変性するか、カプセル11A、11Bを壊してエアロゾルを最も変性するかを決めることができる。
【0273】
例えば、第1および第2カプセル11A、11Bの両方が同じ風味剤を同じ量で有してもよい。ユーザーが第1カプセル11Aを壊すと、風味剤が第2カプセル11Bを壊した場合と比較して高い温度によってより速く気化される。これとは別にユーザーは、エアロゾルにより多量の風味剤を送出するためにカプセル11A、11Bの両方を壊すことを決定してもよい。
【0274】
一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bは、両方とも第1のおよび第2のエアロゾル変性剤を含む。第1のエアロゾル変性剤は、第2のエアロゾル変性剤より低い蒸気圧を有する。したがって、第2カプセル11Bが壊されると、より熱い第1カプセル11Aがシステムを使用してエアロゾルを発生させている間に壊されるときと比較して第1のエアロゾル変性剤に対して多くの割合の第2のエアロゾル変性剤が揮発する。したがって、同じカプセル11A、11Bを使用してマウスピース2の第1または第2の部分P1、P2内のカプセル11A、11Bに基づいて異なる変性のエアロゾルを発生させることができる。
【0275】
一部の実施態様では第1カプセル11Aは、第1のエアロゾル変性剤を含み、第2カプセル11Bは、異なる第2のエアロゾル変性剤を含む。選択的に第1のエアロゾル変性剤は、第2のエアロゾル変性剤より低い蒸気圧を有する。第1および第2カプセル11A、11Bが同じ温度に加熱された場合、第2のエアロゾル変性剤の高い蒸気圧力は、より多量の第2のエアロゾル変性剤が第1のエアロゾル変性剤に対して揮発することを意味する。しかしながら、第2カプセル11Bは低い温度に加熱されるので、この効果は、より均一な量の第1および第2のエアロゾル変性剤が第1および第2カプセルがそれぞれ破壊された際に揮発するようにそれほど顕著ではない。
【0276】
一部の実施態様ではカプセル11A、11Bの一方または両方が少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのエアロゾル変性剤を含む。一部の実施態様では第1および第2カプセル11A、11Bの一方のエアロゾル変性剤のうちの1つ以上は、第1および第2カプセル11A、11Bのもう一方のエアロゾル変性剤と異なる蒸気圧を有する。
【0277】
上記の例ではマウスピース2は単独の材料体6を含む。他の例ではマウスピース2は複数の材料体を含む。マウスピース2は、材料体の間にキャビティを含んでもよい。
【0278】
一部の例ではエアロゾル発生材3の下流のマウスピース2は、ラッパー、例えば第1または第2のプラグラッパー7、9またはチッピング紙5を含んでもよく、これは本明細書で説明したエアロゾル変性剤または他の知覚材料を含む。エアロゾル変性剤は、マウスピースラッパーの内方または外方に向いた面に配置してもよい。例えば、エアロゾル変性剤または他の知覚材料は、使用時に消費者の唇と接触するチッピング紙の外方に向いた面などのラッパーの領域に設けてもよい。マウスピースラッパーの外方に面した表面にエアロゾル変性剤または他の知覚材料を配置することによってエアロゾル変性剤または他の知覚材料を使用時に消費者の唇に移行させてもよい。エアロゾル変性剤または他の知覚材料を物品の使用時に消費者の唇に移行させることでエアロゾル発生基材によって発せられるエアロゾルの感覚刺激特性(例えば味)を変性させてもよく、またそうでなければ消費者に別の知覚経験を提供するようにしてもよい。例えば、エアロゾル変性剤または他の知覚材料は、エアロゾル発生基材3によって発せられるエアロゾルに風味を付与してもよい。エアロゾル変性剤または他の知覚材料は、それが消費者の唾液を介してユーザーに移行するように少なくとも部分的に水に可溶であってもよい。エアロゾル変性剤または他の知覚材料は、エアロゾル供給システムによって発せられる熱によって揮発するものであってもよい。これによりエアロゾル発生基材3によって発せられたエアロゾルにエアロゾル変性剤が移行しやすくなる。好適な知覚材料は、本明細書で説明した風味剤、スクラロースまたはメンソールまたはそれに類するものなどの冷却剤であってもよい。
【0279】
一部の実施態様ではエアロゾル変性部材および使用時、エアロゾル発生材3がエアロゾルを供するようにエアロゾル発生材3を加熱するように動作可能なヒーターを含む非燃焼系エアロゾル供給システムが提供される。エアロゾル変性剤は、カプセルを含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性部材は、第1および第2のカプセルを含む。第1のカプセルは、エアロゾル変性部材の第1の部分に配され、第2のカプセルは、第1の部分の下流のエアロゾル変性部材の第2の部分に配される。
【0280】
エアロゾル変性部材の第1の位置は、エアロゾルを発生させるためにヒーターの作動中に第1の温度に加熱され、第2の部分は、エアロゾルを発生させるためにヒーターの作動中に第2の温度に加熱され、第2の温度は、第1の温度より少なくとも4℃低い。好ましくは第2の温度は、第1の温度より少なくとも5、6、7、8、9または10℃低い。
【0281】
エアロゾル変性部材は、物品1の1つ以上の部品を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性部材は、材料体6を含み、第1および第2のカプセルは、材料体6に配される。材料体6はセルロースアセテートを含んでもよい。別の実施態様ではエアロゾル変性部材は2つの材料体(図示せず)を含み、第1および第2のカプセルは、それぞれ第1および第2の材料体内に配置される。一部の実施態様ではエアロゾル変性部材は、これとは別にまたは加えてこのまたはこれら材料体の上流および/または下流に1つ以上の管状部材を含む。エアロゾル発生部品は、マウスピース2を含んでもよい。
【0282】
一部の実施態様では第2のカプセルは、第1および第2のカプセル間の距離として測定して、少なくとも7mm、第1のカプセルから離れている。好ましくは第2のカプセルは、少なくとも8、9または10mm、第1のカプセルから離れている。第1と第2のカプセル間の距離を長くすることで第1および第2の温度間の差を大きくするということがわかっている。
【0283】
第1のカプセルは、エアロゾル変性剤を含む。第2のカプセルは、第1のカプセルのエアロゾル変性剤と同じまたは異なるエアロゾル変性剤を含む。一部の実施態様ではユーザーは、各カプセルからエアロゾル変性剤を放出するためにエアロゾル変性部材に外力を加えることによって第1および第2のカプセルを選択的に破裂させてもよい。
【0284】
第2のカプセルのエアロゾル変性剤は、第1および第2の温度の差により第1のカプセルのエアロゾル変性剤より低い温度に加熱される。
【0285】
第1および第2のカプセルのエアロゾル変性剤は、この温度差に基づいて選択できる。例えば、第1のカプセルは、第2のカプセルのエアロゾル変性剤より低い蒸気圧を有する第1のエアロゾル変性剤を含む。カプセルが両方とも同じ温度に加熱されると、第2のエアロゾル変性剤のより高い蒸気圧は、より多くの第2のエアロゾル変性剤が第1のカプセルのエアロゾル変性剤に対して揮発することを意味する。しかしながら、第2のカプセルは、低い温度に加熱されるので、この影響は、より均一の量の第1および第2のカプセルのエアロゾル変性剤が第1および第2のカプセルをそれぞれ壊した際に揮発するように目立たなくなる。
【0286】
一部の実施態様では第1および第2のカプセルは、同じエアロゾル変性様式を有し、これは両方のカプセルが同じ種類のエアロゾル変性剤を同じ量で含み、両方のカプセルが同じ温度に加熱され、壊されたならば、両方のカプセルがエアロゾルを同じように変性することを意味する。しかしながら、第1のカプセルが第2のカプセルより高い温度に加熱されるので、第2のカプセルの変性剤と比較して第1のカプセルのエアロゾル変性剤がより多く揮発し、第2のカプセルよりより顕著にエアロゾルを変性することになる。したがって、エアロゾル変性部材をより簡単におよび/またはより安価に製造できるようにする両方のカプセルが同じであるということにもかかわらず、ユーザーはより顕著にエアロゾルを変性する第1のカプセルを壊すか、あまりエアロゾルを変性しない第2のカプセルを壊すか、あるいはエアロゾルをより顕著に変性するために両方のカプセルを壊すかを決定できる。
【0287】
一部の実施態様では、第1および第2のカプセルは、両方とも第1および第2のエアロゾル変性剤を含む。第1の変性剤は、第2のエアロゾル変性剤より低い蒸気圧を有する。したがって、第2のカプセルが壊されると、エアロゾルを発生させるためにシステムを使用している際により熱い第1のカプセルが壊された場合と比較して第1のエアロゾル変性剤に対してより多くの割合の第2のエアロゾル変性剤が蒸発する。したがって、同じカプセルを使用するとエアロゾル変性部材の第1または第2の部分のカプセルの位置に基づいて変性の異なるエアロゾルを発生させる。
【0288】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、本明細書に記載の物品1のエアロゾル発生材3を加熱するために使用される。非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、好ましくはコイルを含み、これは他の構成と比較して物品1への熱伝導を向上させることが分かっている。
【0289】
一部の例ではコイルは、使用時、少なくとも1つの導電性加熱素子を加熱するように構成され、これにより熱エネルギーがその少なくとも1つの導電性加熱素子からエアロゾル発生材へと伝導可能になり、これによりエアロゾル発生材の加熱を引き起こす。
【0290】
一部の例ではコイルは、使用時少なくとも1つの加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させるように構成されており、これにより少なくとも1つの加熱素子の誘導加熱および/または磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。このような構成では該または各加熱素子は、本明細書で定義されるように「サセプタ」と言ってもよい。使用時に1つの導電性加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させ、これにより少なくとも1つの導電性加熱素子の誘導加熱を引き起こすように構成されているコイルは、「誘導コイル」または「インダクタコイル」と言ってもよい。
【0291】
本デバイスは、例えば1つ以上の導電性加熱素子などの1つ以上の加熱素子を含み、これら1つ以上の加熱素子はこれら1つ以上の加熱素子の加熱ができるように好適にはコイルに対して配置するまたは配置可能であってもよい。1つ以上の加熱素子はコイルに対して固定されてもよい。これとは別に少なくとも1つの加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子は、デバイスの加熱領域への挿入のために物品1に含まれてもよく、物品1は、エアロゾル発生材3を含み、使用後加熱領域から取り除かれる。これとは別にデバイスとそのような物品1は、少なくとも1つのそれぞれ用の加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子を含んでもよく、コイルは、物品が加熱領域にあるとき、デバイスと物品それぞれの1つ以上の加熱素子の加熱を引き起こす。
【0292】
一部の例ではコイルは螺旋形である。一部の例ではコイルは、エアロゾル発生材を収容するように構成されたデバイスの加熱領域の少なくとも一部を囲む。一部の例ではコイルは加熱領域の少なくとも一部を囲む螺旋コイルである。
【0293】
一部の例ではデバイスは、加熱領域を少なくとも部分的に囲む導電性加熱素子を含み、コイルは、導電性加熱素子の少なくとも一部を囲む。一部の例では導電性加熱素子は管状である。一部の例ではコイルはインダクタコイルである。
【0294】
一部の例ではコイルを使用することによって非燃焼系エアロゾル供給デバイスを非コイルエアロゾル供給デバイス装置より速く作動温度に到達させることができる。例えば、上述のようにコイルを含む非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、最初にパフがデバイス加熱プログラムの起動から30秒未満、好ましくは25秒未満で提供できるように作動温度に到達することができる。一部の例ではデバイスは、デバイス加熱プログラムの起動から約20秒で作動温度に到達することができる。
【0295】
エアロゾル発生材の加熱を引き起こすためにデバイスに本明細書に記載したようなコイルを使用することは生成されるエアロゾルを向上させることが分かっている。例えば、消費者は本明細書に記載したもののようなコイルを含むデバイスによって発せられたエアロゾルは、他の非燃焼系エアロゾル供給システムによって製せられたエアロゾルより工場製紙巻きタバコ(factory made cigarette、FMC)に感覚的に近いと報告している。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはコイルを使用した際に必要とされる加熱温度に到達する時間の短縮、コイルを使用した際に達成される高い加熱温度および/またはコイルによってそのようなシステムが比較的多量のエアロゾル発生材を同時に加熱することを可能にし、結果としてFMCのエアロゾル温度に似た温度のエアロゾルが得られると推定される。FMC製品では、燃えている燃えさしがエアロゾルがロッドを通して引き込まれる際にその燃えさしの後のタバコロッドのタバコを加熱する熱いエアロゾルを発生させる。この熱いエアロゾルが燃えている燃えさしの後のロッドのタバコから風味化合物を放出させていると理解されている。本明細書に記載したようなコイルを含むデバイスは、本明細書に記載したようなタバコ材などのエアロゾル発生材を加熱して、風味化合物を放出させることもでき、結果としてFMCエアロゾルにより類似していると報告されたエアロゾルが得られると考えられている。円周が19mm超、例えば約19mm~23mmのエアロゾル発生材ロッドを含む物品を加熱するコイルを含むデバイスを使用することによってエアロゾルの特定の改善が達成される。
【0296】
本明細書に記載したようなコイル、例えばエアロゾル発生材の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することでFMC製品のエアロゾルにより類似すると考えられている特定の特性を有するエアロゾルをエアロゾル発生材から発生させることができる。例えば、ニコチンを含むエアロゾル発生材を2秒間少なくとも250℃に誘導ヒーターを使用して加熱した場合、次の特徴のうちの1つ以上が観察された、
少なくとも10μgのニコチンがエアロゾル発生材からエアロゾル化される、
発生させたエアロゾルのニコチンに対するエアロゾル形成材の重量比は少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である、
エアロゾル形成材の少なくとも100μgをエアロゾル発生材からエアロゾル化できる、
発生したエアロゾル中の平均粒径または滴径は約1000nm未満である、
エアロゾル密度は少なくとも0.1μg/ccである。
【0297】
場合によっては少なくとも10μgのニコチン、好適には少なくとも30μgまたは40μgのニコチンが、その2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。場合によっては約200μg未満、好適には約150μg未満または約125μg未満のニコチンがその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。
【0298】
場合によっては少なくとも100μgのエアロゾル形成材、好適には少なくとも200μg、500μgまたは1mgのエアロゾル形成材がその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。好適にはエアロゾル形成材は、グリセロールを含むまたはグリセロールからなる。
【0299】
本明細書で定義される「平均粒径または滴径」なる用語は、エアロゾルの固体または液体成分(即ち、気体中に懸濁している成分)の大きさの平均を意味する。エアロゾルが懸濁した液滴および懸濁した固体粒子を含む場合、その用語はすべての成分を合わせた大きさの平均を意味する。
【0300】
場合によっては発生したエアロゾルの平均粒径または滴径は、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nmまたは400nm未満であってもよい。場合によっては平均粒径または滴径は約25nm、50nmまたは100nm超であってもよい。
【0301】
場合によっては上記期間の間に発生するエアロゾルの密度は、少なくとも0.1μg/ccであってもよい。場合によってはエアロゾル密度は少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/ccまたは0.4μg/ccである。場合によってはエアロゾル密度は約2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/ccまたは1.0μg/cc未満である。
【0302】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、物品1のエアロゾル発生材3を好ましくは少なくとも160℃の最大温度に加熱するように構成されている。好ましくは非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスによる加熱工程中に少なくとも一度、物品1のエアロゾル形成材3を少なくとも約200℃、または少なくとも約220℃または少なくとも約240℃、より好ましくは少なくとも約270℃の最大温度に加熱するように構成されている。
【0303】
本明細書中で説明したようなコイル、例えば少なくともエアロゾル発生材の一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することで、エアロゾルがマウスピース2の吸い口端部を出る際にFMC製品により近いと考えられているエアロゾルの発生に貢献する以前の装置より本明細書に記載した物品1のエアロゾル発生材からより高い温度のエアロゾルを発生させることができる。
【0304】
一部の実施態様では物品1の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、62℃未満、より好ましくは60℃未満、さらにより好ましくは55℃未満または50℃未満または47.5℃未満である。一部の実施態様では物品1の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは35℃~55℃、より好ましくは40℃~55℃または40℃~50℃である。
【0305】
図3は、本明細書に記載した物品1のエアロゾル発生材3などのエアロゾル発生媒体/材料からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイス100の一例を示している。大筋においてデバイス100は、デバイス100のユーザーによって吸入されるエアロゾルまたは他の吸入可能な媒体を発生させるためにエアロゾル発生媒体を含む交換可能な物品110、例えば本明細書に記載の物品1を加熱するために使用してもよい。デバイス100と交換可能な物品110は共にシステムを形成する。
【0306】
デバイス100は、デバイス100の種々の部品を囲み、収容するハウジング102(外方カバーの形体)を含む。デバイス100は、一端部に開口部104を有し、それを介して物品110が加熱集合体による加熱のために挿入される。使用時、物品110は、加熱集合体に完全にまたは部分的に挿入され、そこで加熱集合体の1つ以上の部品によって加熱される。
【0307】
物品110がデバイス100に挿入された際、ヒーター装置の1つ以上の部品と管状部分4aとの間の最小距離は、3mm~10mmの範囲内、例えば3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mmであってもよい。
【0308】
この例のデバイス100は、第1端部部材106を含み、これは蓋108を含み、この蓋は、物品110が所定の位置に無いときに開口部104を閉じるために第1端部部材106に対して可動である。
図3では蓋108は開放構造で示されているが、蓋108は閉鎖構造に移動してもよい。例えば、ユーザーは矢印「B」の方向に蓋108をスライドさせてもよい。
【0309】
デバイス100は、押されるとデバイス100を作動させるボタンまたはスイッチなどのユーザーが操作できる調整部材112を含んでもよい。例えば、ユーザーはスイッチ112を操作してデバイス100の電源を入れてもよい。
【0310】
またデバイス100は、ソケット/ポート114などの電機部品を含み、これらはデバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを収容してもよい。ソケット114はUSB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0311】
図4は、外方カバー102が外され、物品110が存在しない
図3のデバイス100の状態を示している。デバイス100は長手方向軸134を画定する。
【0312】
図4に示すように第1端部部材106は、デバイス100の一端に配され、第2端部部材116は、デバイス100の反対の端部に配置されている。第1および第2の端部部材106、116は、共にデバイス100の端部面を少なくとも部分的に画定している。例えば、第2端部部材116の底部面は、少なくとも部分的にデバイス100の底部面を画定している。外方カバー102の縁部も端部面の一部を画定している。この例では蓋108もデバイス100の上面の一部を画定している。
【0313】
開口部104に近い方のデバイスの端部は、使用時にユーザーの口に近くなるのでデバイス100の近位端(または吸い口端部)としても知られている。使用時、ユーザーは、開口部104に物品110を挿入し、ユーザー制御部を操作してエアロゾル発生材の加熱を開始し、デバイスに発生したエアロゾルを吸い込む。これによりデバイス100の近位端に向かう流路に沿ってデバイス100内にエアロゾルが流れるようにする。
【0314】
開口部104から離れている装置の他端部は、使用時にユーザーの口から離れる方の端部となるので、デバイス100の遠位端としても知られている。ユーザーがデバイスに発生したエアロゾルを吸い込むと、エアロゾルはデバイス100の遠位端から離れるように流れる。
【0315】
デバイス100は動力源118をさらに含む。動力源118は、例えば充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなどの)、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)およびアルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリーは加熱集合体に電気的に接続され、エアロゾル発生材を加熱するために必要に応じてそしてコントローラ(図示せず)の制御の下電力を供給する。この例ではバッテリーはバッテリー118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0316】
デバイスは少なくとも1つの電子モジュール122をさらに含む。電子モジュール122は、例えば印刷回路板(PCB)を含んでもよい。PCB122は、少なくとも1つのプロセッサーおよびメモリーなどのコントローラを支持してもよい。またPCB122は、デバイス100の種々の電子部品を共に電気的に接続する1つ以上の電気トラックを含んでもよい。例えば、バッテリー端子がPCB122に電気的に接続され、電力をデバイス100全体に配分することができるようになっている。またソケット114は電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0317】
デバイス100の例では加熱集合体は、誘導加熱集合体であり、誘導加熱工程を介して物品110のエアロゾル発生材を加熱するための種々の部材を含む。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性の物体(サセプタなどの)を加熱する工程である。誘導加熱集合体は、誘導部材、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流電流などの変動電流を誘導部材に通すためのデバイスとを含んでもよい。誘導部材内の変動電流は変動磁場を発生させる。変動磁場は、好適に誘導部材に対して位置決めされたサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を発生させる。サセプタは渦電流に対して電気抵抗を有し、従って、この抵抗に対する渦電流の流れによってサセプタがジュール加熱によって加熱されるようにする。サセプタが鉄、ニッケルまたはコバルトなどの強磁性材を含む場合、熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、即ち変動磁場と合致することの結果として磁性材の磁気双極子の向きの変化によって発せられてもよい。誘導加熱では例えば伝導による加熱に比べて熱がサセプタの内側に発せられ、素早い加熱を可能にする。さらに誘電ヒーターとサセプタとの間になんら物理的な接触の必要が無く、構造および用途の自由度を高めることができる。
【0318】
デバイス100の例の誘導加熱集合体は、サセプタ構造体132(以下、「サセプタ」とする)、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを含む。第1および第2インダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、リッツ線/ケーブルから作製され、これは螺旋状に巻かれ、ヘリカルインダクタコイル124、126を供する。リッツ線は、複数の個別の線を含み、これらは個別に絶縁され、一緒にねじられて1本の線を形成する。リッツ線は、導体中の表皮効果損失を減らすように設計されている。デバイス100の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、矩形断面の銅リッツ線から作製される。他の例ではリッツ線は円形などの他の形状の断面を有してもよい。
【0319】
第1インダクタコイル124は、サセプタ132の第1セクションを加熱するための第1の変動磁場を発生させるように構成され、第2インダクタコイル126は、サセプタ132の第2セクションを加熱するための第2の変動磁場を発生させるように構成されている。この例では第1インダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向に第2インダクタコイル126と隣接する(即ち、第1および第2インダクタコイル124、126は、重ならない)。サセプタ構造体132は、単独のサセプタまたは2つ以上のサセプタを含んでもよい。第1および第2インダクタコイル124、126の端部130はPCB122に接続される。
【0320】
当然のことながら一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、少なくとも1つの互いに異なる特徴を有してもよい。例えば、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは少なくとも1つの異なる特徴を有してもよい。例えば1つの例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なるインダクタンスの値を有してもよい。
図4において、第1および第2インダクタコイル124、126は、第1インダクタコイル124が第2インダクタコイル126よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれるように長さが異なる。従って、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは巻き数が異なってもよい(個々の巻き間の間隔は実質的に同じだと仮定して)。さらに別の例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なる材料から作製されてもよい。一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、実質的に同じであってもよい。
【0321】
この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、反対方向に巻かれて示されている。これはインダクタコイルが異なる時間にアクティブである時に役に立つ。例えば、最初に第1インダクタコイル124が物品110の第1セクション/部分を加熱するために作動させて、その後に第2インダクタコイル126は物品110の第2セクション/部分を加熱するために作動させてもよい。異なる方向にコイルを巻くことは、特定の種類の制御回路と使用する場合にインダクタコイルに誘導される電流の減少の補助をする。
図4において、第1インダクタコイル124が右巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施態様ではインダクタコイル124、126は同じ方向に巻かれてもよく、あるいは第1インダクタコイル124は、左巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は、右巻き螺旋であってもよい。
【0322】
この例のサセプタ132は中空であり、従って中にエアロゾル発生材が収容される受け部を画定する。例えば、物品110はサセプタ132内に挿入される。この例ではサセプタ132は管状で円形の断面を有する。
【0323】
サセプタ132は1つ以上の材料から作製されてもよい。好ましくはサセプタ132はニッケルまたはコバルトのコーティングを有する炭素鋼を含む。
【0324】
一部の例ではサセプタ132は、少なくとも2つの材料を含んでもよく、これはその少なくとも2つの材料の選択的なエアロゾル化のための2つの異なる周波数で加熱することが可能である。例えば、サセプタ132の第1セクション(第1インダクタコイル124によって加熱される)は、第1の材料を含んでもよく、第2インダクタコイル126によって加熱されるサセプタ132の第2セクションは、異なる第2の材料を含んでもよい。別の例では第1セクションは第1および第2の材料を含んでもよく、第1および第2の材料は第1インダクタコイル124の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第1および第2の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。同様に第2セクションは第3および第4の材料を含んでもよく、これら第3および第4の材料は第2インダクタコイル126の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第3および第4の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。例えば、第3の材料は第1の材料と同じでもよく、第4の材料は第2の材料と同じであってもよい。これとは別にこれら材料のそれぞれは異なってもよい。サセプタは、例えば炭素鋼またはアルミニウムを含んでもよい。
【0325】
図4のデバイス100は、一般に管状であり、少なくとも部分的にサセプタ132を囲む絶縁部材128をさらに含む。絶縁部材128は、例えばプラスチックなどの任意の絶縁材から構成されてもよい。この特定の例では絶縁部材はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。絶縁部材128は、デバイス100の種々の部品をサセプタ132内に発せられる熱から絶縁するのに役立つ。
【0326】
また絶縁部材128は、完全にまたは部分的に第1および第2インダクタコイル124、126を支持してもよい。例えば、
図5に示すように第1および第2インダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周囲で位置決めされ、絶縁部材128の半径方向外方の面と接触する。一部の例では絶縁部材128は第1および第2インダクタコイル124、126と当接しない。例えば、小さい隙間が絶縁部材128の外面と第1および第2インダクタコイル124、126の内面の間に存在してもよい。
【0327】
具体的な例ではサセプタ132、絶縁部材128および第1および第2インダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸を中心に同軸である。
【0328】
図5はデバイス100の一部断面にて示した側面図である。外方カバー102がこの例では示されている。第1および第2インダクタコイル124、126の矩形の断面形状がより明らかに視認できる。
【0329】
デバイス100は、サセプタ132を所定の位置に保持するためにサセプタ132の一端と係合する支持体136をさらに含む。支持体136は第2端部部材116に接続されている。
【0330】
またデバイスは調整部材112に関連付けられた第2プリント基板138を含む。
【0331】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140およびバネ142をさらに含む。バネ142は第2の蓋140を開けて、サセプタ132に触れられるようにする。ユーザーは第2の蓋140を開けてサセプタ132および/または支持体136を掃除してもよい。
【0332】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口部104の方に延びた膨張チェンバー144をさらに含む。少なくとも部分的に膨張チェンバー144内に配置されているのは、デバイス100内に収容された際に物品110と当接し、保持する保持クリップ146である。膨張チェンバー144は端部部材106に接続されている。
【0333】
図6は、外方カバー102が取り除かれている
図5のデバイス100の分解図である。
【0334】
図7Aは、
図5のデバイス100の一部の断面を示している。
図7Bは
図7Aのある領域の拡大図である。
図7Aおよび7Bは、サセプタ132内に収容された物品110を示し、物品110は、その外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法になっている。これにより加熱が最も効率的になる。この例の物品110はエアロゾル発生材110aを含む。エアロゾル発生材110aはサセプタ132内に位置決めされる。また物品110は、フィルター包装材および/または冷却構造体などの他の部材を含んでもよい。
【0335】
図7Bはサセプタ132の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離150の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることを示している。1つの特定の例では距離150は約3mm~4mm、約3~3.5mmまたは約3.25mmである。
【0336】
図7Bは絶縁部材128の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離152の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では距離152は約0.05mmである。別の例ではその距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128と当接し、触れるように実質的には0mmである。
【0337】
1つの例ではサセプタ132の壁厚154は、約0.025mm~1mm、または約0.05mmである。
【0338】
1つの例ではサセプタ132の長さは、約40mm~60mm、約40mm~45mmまたは約44.5mmである。
【0339】
1つの例では絶縁部材128の壁厚156は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mmまたは約0.5mmである。
【0340】
使用時、本明細書に記載の物品1は、
図3~7Bを参照して説明したデバイス100などの非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入される。物品1のマウスピース2の少なくとも一部は、非燃焼系エアロゾル供給デバイス100から突出し、ユーザーの口の中に入れられる。エアロゾルがデバイス100を使用してエアロゾル発生材3を加熱することによって生成される。エアロゾル発生材3によって生成されたエアロゾルは、マウスピース2を通ってユーザーの口へと移動する。
【0341】
下記表1.0は、
図3~7Bを参照して説明したデバイス100を使用して加熱した際の
図1を参照して説明した物品1の外面の温度を示している。本例では材料体6の軸方向長さは、20mmであり、管状部分4aの長さは、21mmである。
【0342】
第1、第2および第3温度測定プローブを物品1のマウスピース2に沿った対応する第1、第2および第3の位置として使用した。第1の位置(表1.0では1と番号付けされている)は、マウスピース2の下流端部2bから4mmの所で、第2の位置(表1.0では2と番号付けされている)は、マウスピース2の下流端2bから8mmの所であり、第3の位置(表1.0では3と番号付けされている)は、マウスピース2の下流端2bから12mmの所である。
【0343】
したがって、第1の位置は、第1および第2カプセル11A、11Bの軸方向下流のマウスピース2の部分の外面上であり、第2および第3の位置は、第1および第2カプセル11A、11B間の軸方向の位置のマウスピース2の部分の外面上であった。
【0344】
試験を60%相対湿度、22℃の環境条件で標準的な装置を使用して物品の最初9回のパフで行った。
【0345】
【0346】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。