(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】物理混合HA-コラーゲン皮膚充填剤
(51)【国際特許分類】
A61L 27/20 20060101AFI20240501BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240501BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240501BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20240501BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20240501BHJP
C08L 5/08 20060101ALI20240501BHJP
C08L 89/06 20060101ALI20240501BHJP
C08K 5/16 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61L27/20
A61L27/24
A61L27/50
A61L27/54
A61L27/52
C08L5/08
C08L89/06
C08K5/16
(21)【出願番号】P 2022539293
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020067232
(87)【国際公開番号】W WO2021134084
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストレヒン、イオシフ
(72)【発明者】
【氏名】ユー、シャオジェ
(72)【発明者】
【氏名】メッシーナ、ダリン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モレル、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリュー、フローラン
(72)【発明者】
【氏名】ロカ、マルチネス、ジャン - グザヴィエ
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-265970(JP,A)
【文献】特表2014-513988(JP,A)
【文献】J. Microbiol. Biotechnol.,2015年,25(3),pp.399-406
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子マトリックスを調製する方法であって、
架橋ヒアルロン
酸を提供すること、
コラーゲンを
含む溶液を提供すること、
ここでコラーゲン溶液は酸性pHを有する、
並びに
前記コラーゲン
溶液を前記架橋
ヒアルロン酸に物理的に混合すること、ここで、前記コラーゲン
溶液が前記架橋
ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合され、それによって前記高分子マトリックスが形成され
る、
を含む、
上記方法。
【請求項2】
前記コラーゲン
溶液が
約2.0~約5.5のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コラーゲン溶液が、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを
有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記コラーゲン
溶液及び前記架橋
ヒアルロン酸が、緩衝液と物理的に混合され
る、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記緩衝液が、
リン酸緩衝生理食塩水を含む、請求
項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、リドカインを前記高分子マトリックスに添加することをさらに含
む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リドカインが、前記
高分子マトリックスの約0.15%(w/w
)~約0.45%(w/w)の濃
度である、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記コラーゲン
溶液を前記架橋
ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、前記高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記
高分子マトリックス
に非架橋
ヒアルロン酸を追加することをさらに
含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記非架橋
ヒアルロン酸が、前記マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む、請求
項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コラーゲンが、ウシコラーゲン、マリンコラーゲン、ヒトコラーゲン又はブタコラーゲン
である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記高分子マトリックスが、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa
、約3000Pa、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の値の弾性率(G’)を
有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記高分子マトリックスが、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を
有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸が、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒアルロン酸が、約5mg/ml~約28mg/mlの濃度である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コラーゲンが、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml若しくは約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記架橋ヒアルロン酸が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量を有するヒアルロン酸成分を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月26日に出願された米国特許出願第62/953,925号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、充填剤として使用するための、コラーゲンと混合されたヒアルロン酸を含む組成物及び組成物の製造方法に関する。さらなる方法には、組織内の容積欠損を処置する方法が含まれる。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の実施形態は、皮膚充填剤組成物に関し、より具体的には、コラーゲンと物理的に混合されたヒアルロン酸を含む皮膚充填剤組成物に関する。
【0004】
皮膚の老化は経時的に起こり、例えば、日光曝露(UVA線及びUVB線)、遺伝並びに喫煙、飲酒及び貧しい食生活などの悪い個人的習慣などの様々な要因によって悪化し得る。皮膚が老化するにつれて、皮膚はより粗く感じられ、より粗く見えることがあり、皮膚はまた薄くなり始め、弾力性が低下することがある。
【0005】
ヒアルロン酸(HA)としても知られるヒアルロナンは、結合組織、上皮組織及び神経組織において人体全体に広く分布する非硫酸化グリコサミノグリカンである。ヒアルロナンは、皮膚の異なる層に豊富に存在し、そこで、それは、良好な水和を確実にし、細胞外マトリックスの組織化を補助し、空間充填剤として作用し、組織修復機構に関与するように機能する。しかしながら、年齢と共に、皮膚に存在するヒアルロナン、コラーゲン、エラスチン及び他のマトリックスポリマーの量は減少する。例えば、太陽からの紫外線への反復曝露は、皮膚細胞にヒアルロナンの産生を減少させるだけでなく、その分解速度を増加させる。このヒアルロナンの損失は、皮膚の乾燥、しわ、不完全性、欠損及び皮膚の厚さの減少などの様々な皮膚状態に寄与する。
【0006】
身体はまた、腱、筋肉、骨、皮膚及び靭帯に見られる内因性コラーゲンを有する。しかしながら、経時的に、体内のコラーゲン成分は、紫外線、タバコ、アルコールへの曝露、及び加齢過程のために失われる可能性がある。皮膚のコラーゲンの減少は、皮膚の弾力性の損失、皮膚の厚さの減少、しわの形成、及びたるみをもたらし得る。
【0007】
したがって、加齢に対処するための外科的及び非外科的処置に対する関心が高まっている。非外科的処置には、ボツリヌス毒素注入、及び顔の若返りのために最も頻繁に行われる手技である軟組織充填剤の注入が含まれる。
【0008】
皮膚充填剤は、容積欠損の処置、しわの外観の平滑化、顔の非対称性の補正、並びに顔及び身体の他の部分の輪郭形成に使用されてきた。結果は、充填剤注入の位置及び患者に応じて、数ヶ月から2年続く場合がある。しかしながら、充填剤の効果は一時的であり、所望の審美的効果を維持するためにその後の処置を必要とする。
【0009】
ヒアルロン酸(HA)ベースの充填剤はほぼ20年前に開発され、そのような充填剤による処置は、美容皮膚科学の実務において最も一般的に行われている手技の1つである。HA充填剤の主な利点は、生物工学的方法によって生成されたHAは、人体によって天然に生成されるHAと化学的に同一であり得、したがって、アレルギー反応を生じさせにくいことである。HAは、内因性酵素及び身体によるクリアランスのために組織における酵素分解を受けやすいため、HAを架橋又は他の方法で修飾して充填剤の滞留時間を増加させることができる。さらに、HAはヒアルロニダーゼ酵素による酵素分解を受けやすいため、HA充填剤は迅速に分解することができ、有害事象の場合には外因性ヒアルロニダーゼによる処置によって充填効果を逆転させることができる。したがって、HA充填剤は、HA処置からの補正が長く持続し、HA充填剤が良好な安全性プロファイルを有するため、多くの患者にとって魅力的な選択肢である。
【0010】
多くの利点とは別に、HA充填剤にはいくつかの欠点もある。そのような欠点の1つは、チンダル効果であり、特定の表面HA充填剤注入部位で見ることができる青みがかった色相である。HAは親水性であり、水を吸収するため、注入部位での膨潤も起こり得る。架橋度が高いほど、HAは炎症及び肉芽腫形成のリスクが高くなる可能性があることにも留意されたい。
【0011】
市場にHA充填剤が登場する前に入手可能であったが、コラーゲン充填剤は1980年代に市場に導入された。コラーゲンは、充填剤材料としていくつかの好ましい特性を有する。例えば、コラーゲン充填剤は不透明であり、したがって、皮膚下へのこれらの材料の注入は、HA充填剤で見られるようなチンダル効果をもたらさない。さらに、コラーゲンは、足場として作用し、組織内殖を充填剤材料内に支持することができる。しかしながら、コラーゲン充填剤には欠点がないわけではない。充填剤配合物中の高いコラーゲン濃度は、所望の充填効果を達成するために必要であり、これらの高いコラーゲン濃度にもかかわらず、材料の容積充填能力及びしわ充填能力は、HA充填剤のそれらの能力よりも低い。さらに、しわ補正の期間はわずか3~6ヶ月であることが示されており、コラーゲン材料を分解するために利用可能な酵素処理がないため、これらの充填剤は可逆的ではない。
【0012】
したがって、HAとコラーゲン充填剤の両方の利点を提供する皮膚充填剤の必要性が望まれている。本明細書の実施形態に記載されるように、コラーゲン及びHA充填剤の利益を与えながら、注入時にリフト及び容積を提供する組成物である。
【発明の概要】
【0013】
したがって、新しい皮膚充填剤組成物及びその製造方法が提供される。いくつかの実施形態は、ヒアルロン酸及びコラーゲンから調製された均質なヒドロゲル組成物を含む。いくつかの実施形態はまた、全体にわたって均等に混合されたHA及び/又はコラーゲンの粒子を含有するヒドロゲル組成物を含む。いくつかの実施形態はまた、コラーゲン原線維などのHA又はコラーゲンの粒子を含有する部分的に均質又は不均質な生成物を含んでもよい。これらの組成物は、ヒアルロン酸を架橋し、それによって架橋ヒアルロン酸を生成した後、架橋ヒアルロン酸をコラーゲンと混合することを含む方法によって調製してもよい。
【0014】
第1の態様において、高分子マトリックスを調製する方法が提供される。本方法は、架橋ヒアルロン酸を提供すること、コラーゲンを提供すること、並びにコラーゲンを架橋ヒアルロン酸に物理的に混合することであって、コラーゲンが架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合され、それによって高分子マトリックスが形成され、高分子マトリックスが、架橋ヒアルロン酸及び物理的に混合されたコラーゲンを含む、混合することを含む。
【0015】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、溶液として可溶性状態で提供される。
【0016】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、溶液として提供され、コラーゲン溶液は、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、5.5、約6.0、約6.5、約7.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、コラーゲンは、酸性pHで可溶性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、酸性pHの溶液として提供され、コラーゲン溶液は、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、コラーゲンは、酸性pHで可溶性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは中性pHの溶液として提供される。
【0017】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲン及び架橋ヒアルロン酸は緩衝液と物理的に混合される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、緩衝液はPBSを含む。
【0018】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む。
【0019】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸と物理的に混合する前に、コラーゲンを約7のpHに中和することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸に物理的に混合する前にコラーゲンを中和することにより、コラーゲンはコラーゲンの原線維又は粒子に沈殿し、コラーゲンの原線維又は粒子は架橋ヒアルロン酸にさらに混合され、原線維又は粒子は架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される。
【0020】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維として提供される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲンとして提供され、コラーゲンは中性又は塩基性pHで調製され、それによってコラーゲン線維のフィブリル化コラーゲンが生成された。
【0021】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維を得るために少なくとも1つの塩を用いて調製された。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩は、約20mM、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM若しくは約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩はアニオンを含み、アニオンはH2PO4-、SO4
2-、Cl-又はSCN-を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩は、NaCl、Na2SO4又はLi2SO4を含む。
【0022】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは高分子マトリックス全体にわたって均質に混合される。
【0023】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋ヒアルロン酸は、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、約4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約9万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の分子量を含むヒアルロン酸成分を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋ヒアルロン酸は、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む。
【0024】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、リドカインを高分子マトリックスに添加することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の0.15%(w/w)~0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の0.27%(w/w)~0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.3%(w/w)の濃度である。
【0025】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、非架橋HAをマトリックスに添加することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0026】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、針を通じた向上した押出性を有し、針は、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む。
【0027】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは少なくとも6ヶ月間安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約6、約9、約12、約15、約18、約21、約24、約27、約30、約33若しくは約36ヶ月間、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約4℃~約25℃の温度で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約4℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃の温度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、4℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約25℃で安定である。
【0028】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約3、約6、約9、約12、約15、約18、約21、約24、約27、約30、約33、約36ヶ月、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の時間で最小の分解を有する。
【0029】
第2の態様において、高分子マトリックスを調製する方法が提供される。本方法は、ヒアルロン酸を水溶液に溶解して、反応前水溶液を形成すること、並びに第2の溶液を調製することであって、第2の溶液が、水溶性カルボジイミド、及びN-ヒドロキシスクシンイミド若しくはN-ヒドロキシスルホスクシンイミド、又は水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含む、調製すること、並びに第2の溶液を反応前水溶液に添加して、架橋反応混合物を形成すること、ヒアルロン酸を架橋することであって、ヒアルロン酸を架橋することにより、架橋反応混合物が反応し、それによって架橋ヒアルロン酸が形成される、架橋すること、並びにコラーゲンを提供すること、並びにコラーゲンを架橋ヒアルロン酸に物理的に混合することであって、それによって架橋ヒアルロン酸とコラーゲンとを含む高分子マトリックスが生成され、コラーゲンが、架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される、混合することを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水溶性カルボジイミド及びN-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、ヒアルロン酸は天然に存在するアミンで架橋され、それによって架橋ヒアルロン酸が形成される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水溶性カルボジイミド及びN-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、架橋はMESの存在下で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、BDDEは、エポキシド化学を用いてヒアルロン酸を架橋するために使用される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、物理的混合工程は緩衝液の存在下で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、緩衝液はPBSを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、コラーゲン溶液として提供され、コラーゲン溶液は、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5若しくは約7.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、コラーゲンは、酸性pHで可溶性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、酸性pHの溶液として提供され、コラーゲン溶液は、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、コラーゲンは、酸性pHで可溶性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、コラーゲン溶液として提供され、コラーゲン溶液は、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5若しくは約7.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、コラーゲンは、酸性pHで可溶性である。
【0030】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、酸性から中性のpHで提供される。
【0031】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む。
【0032】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む。
【0033】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、プレフィブリル化のために約pH5~pH7の溶液中で提供される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、プレフィブリル化のために、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5若しくは約7のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のpHを含む溶液中で提供される。
【0034】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む。
【0035】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸と物理的に混合する前に、コラーゲンを約7のpHに中和することを含むことをさらに含み、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸に物理的に混合する前にコラーゲンを中和することにより、コラーゲンはコラーゲンの原線維又は粒子に沈殿し、コラーゲンの原線維又は粒子は架橋ヒアルロン酸にさらに混合され、原線維又は粒子は架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される。
【0036】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維として提供される。
【0037】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは塩基性pHで調製され、それによってフィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維が生成された。
【0038】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維を得るために少なくとも1つの塩を用いて調製された。
【0039】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維を得るために少なくとも1つの塩を用いて調製された。
【0040】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩は、約20mM、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM若しくは約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。
【0041】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩はアニオンを含み、アニオンはH2PO4-、SO4
2-、Cl-又はSCN-を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの塩は、NaCl、Na2SO4又はLi2SO4を含む。
【0042】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む。
【0043】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、溶解工程は、ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を水溶液に溶解して、ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を含む反応前水溶液を形成することをさらに含み、架橋反応は、ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を架橋してHA-コラーゲン結合ゲルにすることによって反応し、混合工程は、HA-コラーゲン結合ゲルを追加のコラーゲンと物理的に混合することを含み、コラーゲンは可溶性状態にあり、コラーゲンは溶液中にあり、溶液は酸性pHにあり、それによって、物理的に混合されたコラーゲンと共にHA-コラーゲン結合ゲルを含む高分子マトリックスが生成される。
【0044】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物は、コラーゲンとの混合工程後に形成され、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物は、架橋ヒアルロン酸内で均質に混合される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物は、コラーゲンとの混合工程中に形成され、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物は、架橋ヒアルロン酸内で均質に混合される。
【0045】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋ヒアルロン酸全体にわたって混合した後、高分子マトリックスの容積オスモル濃度(osmolarity)を調整することをさらに含む。
【0046】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、混合工程は室温で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、混合工程は約4℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は約4℃で行われる。
【0047】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを精製することをさらに含み、精製はコラーゲンとの混合工程の前に行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、精製は透析精製を用いて行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋反応混合物のpHは、架橋が完了した後に調整され、pHの調整は、精製工程の前に行われ、pHは、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のpHに調整される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、精製は、約2℃~約8℃の範囲で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、精製は、約2℃、約4℃、約6℃若しくは約8℃、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。
【0048】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンと混合する前に架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを滅菌することをさらに含み、滅菌工程は精製工程の後に行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、滅菌工程は、滅菌のために、架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを容器に移すこと、及び架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを滅菌することを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、容器はシリンジである。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、滅菌は、熱(乾熱、蒸気熱、湿熱滅菌)放射(すなわち、非イオン化、UV)、イオン化(微粒子(例えば、ベータ線、ガンマ線、X線)、電磁(例えば、電子ビーム)、濾過)又は最終滅菌によって行われる。
【0049】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋高分子マトリックス又はHA-コラーゲン結合ゲルを透析することをさらに含み、透析は、約1000ダルトン~約10万ダルトンの範囲内の分画分子量を有する膜を介して行われ、透析は滅菌前に行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、透析は緩衝液中で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、透析は、リン酸緩衝生理食塩水又はリン酸ナトリウム緩衝液中で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、緩衝液はNaCl及び/又はKClをさらに含む。
【0050】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋反応が完了した後に、架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルのpHを中性pHに上昇させることをさらに含み、pHの上昇は滅菌工程の前に行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋反応が完了した後に、架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルのpHを約7.0、約7.2若しくは約7.4、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のpHに上昇させることをさらに含み、pHの上昇は滅菌工程の前に行われる。
【0051】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水溶性カルボジイミド及びN-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、添加及び架橋工程は約2℃~約22℃の温度で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、添加及び架橋工程は、約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約18℃、約20℃、約22℃の温度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。
【0052】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋は約22℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋は約4℃で行われる。
【0053】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、添加及び架橋工程は約45℃~約75℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、添加及び架橋工程は、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃の温度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、添加及び架橋工程は約50℃の温度で行われる。
【0054】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋工程を停止することをさらに含み、停止工程は、塩基を架橋反応混合物に約8~約10のpHまで少なくとも約10分間添加し、次いで、約7のpHに達するまで酸性溶液を架橋混合物に添加することを含む。
【0055】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋反応混合物は約4.0~約10.0のpHを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋反応混合物のpHは約4.0~約6.0である。
【0056】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、第2の溶液は、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、架橋はアルカリ性条件下で行われる。
【0057】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、反応前溶液は塩を含み、塩は、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、325mM、約350mM、約375mM、約400mM、約425mM、約450mM、約475mM、約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意の濃度を含む。
【0058】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、水溶性カルボジイミドは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、水溶性カルボジイミドは架橋反応混合物中の約20mM~約300mMの濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、水溶性カルボジイミドの濃度は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約120mM、約140mM、約160mM、約180mM、約200mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸は、約0.3~約3.0の水溶性カルボジイミド:ヒアルロン酸繰返し単位のモル対モル比である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸は、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9若しくは約3.0の水溶性カルボジイミド:ヒアルロン酸繰返し単位のモル対モル比、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のモル対モル比である。
【0059】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リシン及びヒアルロン酸は、約0.01~約0.6のモル:モル(リシン:HA繰返し単位)比である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リシン及びヒアルロン酸は、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.3、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.4、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.5、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、約0.6のモル:モル(リシン:HA繰返し単位)比、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のモル対モル比である。
【0060】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、反応前溶液中のヒアルロン酸は、第2の溶液を添加する前に少なくとも約60分間水和する。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋反応混合物は約4時間~約24時間行われる。
【0061】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、リドカインを高分子マトリックスに添加することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.3%(w/w)の濃度である。
【0062】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、非架橋HAをマトリックスに添加することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0063】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、架橋ヒアルロン酸及びコラーゲンを含む高分子マトリックスを形成した後、又は物理的に混合されたコラーゲンと共にHA-コラーゲン結合ゲルを形成した後に行われる中和工程を含み、中和工程は、高分子マトリックスを生理学的pH及び生理学的塩濃度に調整することを含む。
【0064】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、中和は、pHを調整するために無菌条件下で混合工程の後に塩基性溶液又は緩衝溶液を添加することを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、pH及び生理学的塩濃度を調整することにより、コラーゲンの原線維又は粒子への沈殿が生じ、コラーゲン原線維又は粒子は高分子マトリックス中に均質に分布している。
【0065】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、針を通じた向上した押出性を有し、針は、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む。
【0066】
第3の態様において、高分子マトリックスが提供され、高分子マトリックスは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによって調製される。
【0067】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは架橋ヒアルロン酸を含み、コラーゲンは架橋ヒアルロン酸と物理的に混合され、コラーゲンは高分子複合体全体にわたって均質である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは高分子複合体全体にわたって均等に混合される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスはHA-コラーゲン結合ゲルを含み、HA-コラーゲン結合ゲルは、HA-コラーゲン結合ゲルに架橋されていない物理的に混合されたコラーゲンも含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスはリドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.3%(w/w)の濃度である。
【0068】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、マトリックスは非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0069】
第4の態様において、高分子マトリックスが提供され、高分子マトリックスは、上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかの実施形態のいずれか1つによって記載されるプロセスによって作製される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、コラーゲンを架橋HAに添加する前に、コラーゲンを濃縮することをさらに含む。
【0070】
第5の態様において、高分子マトリックスが提供され、高分子マトリックスは、ヒアルロン酸であって、ヒアルロン酸が架橋されている、ヒアルロン酸、及びコラーゲンであって、コラーゲンが、架橋ヒアルロン酸と物理的に混合されている、コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスはリドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の0.3%(w/w)の濃度である。
【0071】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、マトリックスは非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%約(w/w)、5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0072】
第6の態様において、高分子マトリックスが提供され、高分子マトリックスは、HA-コラーゲン結合ゲルであって、HA-コラーゲン結合ゲルが、コラーゲンで架橋されたヒアルロン酸を含む、HA-コラーゲン結合ゲル、及び物理的に混合されたコラーゲンであって、物理的に混合されたコラーゲンが、HA-コラーゲン結合ゲルに架橋されておらず、物理的に混合されたコラーゲンが、HA-コラーゲン結合ゲル内で均質に混合されている、物理的に混合されたコラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスはリドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w))、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.3%(w/w)の濃度である。
【0073】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、マトリックスは非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0074】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は天然に存在するアミンで架橋されている。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、天然に存在するアミンはリシンに由来する。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、ウシコラーゲン、マリンコラーゲン、ヒトコラーゲン又はブタコラーゲンに由来する。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは組換えヒトコラーゲンである。
【0075】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa若しくは約3000Pa、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の値の弾性率(G’)を含む。
【0076】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を含む。
【0077】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。
【0078】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸対コラーゲンの重量比は、約20:3、約24:2.3、約24:10、約24:12、約24:4、約24:6、約28:6又は約28:11である。
【0079】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸はヒアルロン酸の混合物を含み、混合物は、2つの異なる分子量を含むHAの50:50ブレンドを含む。
【0080】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンはI型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む。
【0081】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml若しくは約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。
【0082】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、250mOsm/kg~350mOsm/kgの重量オスモル濃度を含む。
【0083】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約250mOsm/kg、約275mOsm/kg、約300mOsm/kg、約325mOsm/kg若しくは約350mOsm/kgの間の重量オスモル濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量オスモル濃度を含む。
【0084】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は直鎖状である。
【0085】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約10Pa、約20Pa、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa若しくは約1000Paの粘性率(G’’)、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の粘性率(G’’)を含む。
【0086】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.12、約0.14、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.24、約0.26、約0.28、約0.30、約0.32、約0.34、約0.36、約0.38、約0.40、約0.42、約0.44、約0.46、約0.48、約0.50のタンデルタ(G’’/G’)、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間のタンデルタ(G’’/G’)を含む。
【0087】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含む。
【0088】
第7の態様において、ヒトの解剖学的特徴の審美的質を改善する方法が提供される。本方法は、ヒトの組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、組成物が、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの方法によって調製された高分子マトリックス又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの高分子マトリックスを含む、改善することを含む。
【0089】
第8の態様において、ヒトの解剖学的特徴の審美的質を改善する方法が提供され、本方法は、ヒトの組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、組成物が、架橋ヒアルロン酸、リシン、及びコラーゲンを含む高分子マトリックスを含み、コラーゲンが架橋ヒアルロン酸に物理的に混合されている、改善することを含む。
【0090】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンはI型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む。
【0091】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、注入部位に青みがかった変色を引き起こさない。
【0092】
第9の態様では、組成物をヒトの組織に注入することによってヒトの外観を改善する方法であって、それによって、組成物が、それが注入された周囲組織から組成物への細胞浸潤及びコラーゲン沈着を促進する、方法が提供される。本方法は、ヒトの組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、組成物が、ヒアルロン酸、リシン、及びコラーゲンを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲンと物理的に混合された架橋ヒアルロン酸を含み、かつ組成物によって注入された組織が、組成物と一体化することが示される、改善することを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスはリドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、リドカインは、マトリックス中の0.3%(w/w)の濃度である。
【0093】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、マトリックスは非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、マトリックスの押出性を改善する。
【0094】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸成分は、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、架橋ヒアルロン酸のヒアルロン酸は、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む。
【0095】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンはI型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む。
【0096】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物によって注入された組織は、周囲組織からの細胞に浸潤することによって、組成物内のコラーゲン沈着と共に組成物と一体化することが示される。
【0097】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物によって注入された組織は、組成物の注入後に注入組成物内のコラーゲン沈着と共に組成物と一体化することが示される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】様々な量のコラーゲン及びヒアルロン酸を有するヒドロゲルの異なる組成のいくつかの例を示す図である。ヒドロゲルの不透明度は、約6.5mg/ml HAを含有するゲル及び約12.7mg/mlヒアルロン酸を含有するゲルについて、コラーゲン濃度の増加と共に増加する。
【0099】
【
図2】直径25mm及びギャップ長1mmの2つの平行プレート間での周波数5Hz及び歪み0.8%での25℃におけるHA-コラーゲンヒドロゲルのG’、G’’及びタンデルタを示す図である。
【0100】
【0101】
【
図4】HA-コラーゲン配合物に関する2.5から0.9mmのギャップの圧縮力の変化を示す図である。
【0102】
【
図5】1mL BDツベルクリンシリンジを用いた27G-1/2インチ針を通じたHA-コラーゲンヒドロゲルの平均押出力を示す図である。
【0103】
【
図6】HA濃度の増加に伴うNOA架橋配合物のリフトを示すラットモデルに埋め込まれたBDDE架橋及び天然に存在するアミン(NOA)架橋HAヒドロゲル試料の経時的な平均高さを示す図である。
【0104】
【
図7】リフト能力に対するコラーゲン混合(3mg/mL未満)の効果を示す、ラットモデルに埋め込まれたBDDE架橋及びNOA架橋HA-コラーゲンヒドロゲル試料の経時的な平均高さを示す図である。
【0105】
【
図8】リフト能力に対するコラーゲン混合(最大11mg/mL)の効果を示す、ラットモデルに埋め込まれたBDDE架橋及びNOA架橋HA-コラーゲンヒドロゲル試料の経時的な平均高さを示す図である。
【0106】
【
図9】BDDE架橋及びNOA架橋HA-コラーゲンヒドロゲル上で培養したヒト皮膚線維芽細胞の細胞生存率を示す図である。*p<0.05、Tukey事後検定によるANOVA。
【0107】
【
図10】NOAヒドロゲル又はNOA架橋HA-コラーゲンヒドロゲル(24mg/mL HA、6mg/mLコラーゲン)上で培養したヒト皮膚線維芽細胞の細胞形態解析を示す図である。*p<0.05、スチューデントt検定。
【0108】
【
図11】3mg/mLコラーゲンを含有する20mg/mL HAヒドロゲルボーラス中のコラーゲン沈着の増加を示すラットI型コラーゲンの免疫組織化学を示す図である。
【0109】
【
図12】28mg/mL HAを含有するヒドロゲルボーラスの中心の封入を示すラットI型コラーゲンの免疫組織化学を示す図である。最大11mg/mLのコラーゲンの添加は、ヒドロゲルボーラスの周囲に沿ったコラーゲン沈着の中程度の改善をもたらす。
【0110】
【
図13】コラーゲン濃度の増加(2.3mg/mL~6mg/mL)に伴う24mg/mL HAヒドロゲルボーラス内のコラーゲン沈着の増加を示すラットI型コラーゲンの免疫組織化学を示す図である。24mg/mL HA及び6mg/mLコラーゲン(24NOA6CN)を含有する配合物は、最も堅固な組織一体化を示す。
【0111】
【
図14】ラットへの皮下埋込み後4~12週のBDDE架橋HA及びNOA架橋HA-コラーゲンヒドロゲル内のコラーゲン沈着/組織一体化を示すラットI型コラーゲンの免疫組織化学を示す図である。24mg/mL HA及び6mg/mLコラーゲン(24NOA6CN)を含有する配合物は、BDDE架橋HAのみのゲルよりも4週及び12週でより堅固な組織一体化を示す。組織一体化は、24NOA6CN配合物において4週~12週で改善するようである。
【0112】
【
図15】BDDE架橋HAのみのヒドロゲル及び24NOA6CNヒドロゲルへの組織一体化の半定量的組織病理スコアリングを示す図である。スコアリングシステム:最良の一体化=10、最悪の一体化=-5。(A)24NOA6CNヒドロゲルボーラスへの組織一体化の増強及び関連する組織病理スコアを示すコロイド鉄染色。(B)ラットへの4及び12週の皮下埋込み後のHAのみのBDDE架橋ヒドロゲル及び24NOA6CNの組織病理学的スコアリングを示す棒グラフである。24NOA6CNゲルは、12週後に最も高い組織一体化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
日光曝露、遺伝、疾患、傷害及び生活習慣などの要因は、我々の根底にある組織を破壊し、組織のしわ、ひだ及びたるみをもたらし、老化の目に見える影響をもたらす我々の皮膚の望ましくない変化をもたらし得る。これらの変化は、大部分が脂肪組織並びにコラーゲン及びエラスチンなどの細胞外マトリックスタンパク質の損失に起因し得る。これらの成分の損失は、皮膚の層の薄層化に寄与し得、これは骨及び筋肉構造の変化と共に、容積の損失及び線の形成をもたらし得る。皮膚をその以前の若い外観に戻すために、現在のアプローチは、皮膚の容積を回復させ、厚さを増加させることを目的としている。
【0114】
皮膚充填剤は、線の消去及び容積の回復に利用可能な多くの処置の1つである。注入後、皮膚充填剤は、失われたコラーゲン及びエラスチンの代わりをするように働き、したがって皮膚を厚くし、組織を持ち上げ、最終的に線を除去する。皮膚充填剤の効果は一時的であり、経時的に徐々に失われる。その結果、その後の注入は、若い外観を維持するために必要とされる。
【0115】
ヒアルロン酸(HA)皮膚充填剤は、線の除去に非常に効果的であり、いくつかの理由で市場を独占している。皮膚充填剤は、組織中の充填剤の持続時間に影響を及ぼすように修飾されてもよい。限定するものではないが、皮膚充填剤の架橋を変化させるなどの修飾は、例えば、組織中の充填剤の持続時間に影響を及ぼす可能性がある。
【0116】
その長く持続する利益とは別に、HA皮膚充填剤は可逆的でもある。可逆性は、特に充填剤が誤って配置された場合、又は閉塞した血管などの有害事象(AE)が発生した場合に重要な利益である。例えばAEの場合には、患部にヒアルロニダーゼを注入することにより、皮膚充填剤を迅速に分解することができる。ヒアルロニダーゼは、HAを分解し、ゲル充填剤を患部から拡散し得る液体溶液に変換する酵素である。これらの利益が、HA皮膚充填剤を今日の市場で最も人気のある充填剤の1つにした。
【0117】
HA皮膚充填剤の利益にもかかわらず、それらの性能を改善することができる。例えば、HA充填剤は、コラーゲンなどの若さに関連する細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の合成を補充及び/又は有意に刺激しない。さらに、表面的に注入された場合、HA皮膚充填剤は、チンダル効果として知られる皮膚の表面で青みがかった変色として現れるAEをもたらす場合がある(Cohenら、Understanding,avoiding,and managing dermal filler complications.Dermatol Surg,2008.34補遺1:第S92-9頁、参照により本明細書に組み込まれる)。これは、皮膚充填剤中の透明粒子が青みがかった色合いをもたらすように光を散乱させる結果である。注入されたHA製品及び注入の解剖学的領域は両方とも、チンダル効果を示す確率に影響を及ぼし得る(Baileyら、Etiology,prevention,and treatment of dermal filler complications.Aesthet Surg J、2011.31(1):第110-21頁、参照により本明細書に組み込まれる)。HAは極めて親水性であり、水を強く引き付けるため、膨潤もHA充填剤の懸念となり得る。したがって、ヒドロゲル中のHAの濃度が増加するか、又は架橋度が低下するにつれて、水の吸収も増加する。例えば、いくつかのHA充填剤は、塩水に曝露された場合、それらの開始重量の6倍超を吸収することができる。水の吸収は、特に充填剤が表面的に注入されるか、又は皮膚が薄い領域に注入される場合に、膨潤をもたらし得る。さらに、HAのみを含む市場で入手可能な充填剤は、組織一体化を可能にすることが示されなかった。これらの懸念にもかかわらず、HA皮膚充填剤は、その性能のために依然として市場で最も人気のある充填剤である。
【0118】
コラーゲン皮膚充填剤は1981年に市場に導入された。コラーゲンは、皮膚の天然成分であり、皮膚に強度、ふんわり感及び質感を与えるため、この用途に理想的な材料である。注入されると、これらの充填剤はコラーゲンを皮膚に戻し、したがって若さに関連するECMタンパク質を補充する。さらに、ゲルはチンダル効果をもたらさない。例えば、Zyderm(登録商標)1及びCosmoderm(登録商標)1のようなコラーゲン皮膚充填剤が、真皮乳頭層への注入に推奨された(Goldら、Use of hyaluronic acid fillers for the treatment of the aging face.Clinical Interventions in Aging、2007.2(3):第369~376頁、参照により本明細書に組み込まれる)。それらが表面的に注入されたとしても、材料の不透明な外観が、チンダル効果の観察を妨げた。したがって、コラーゲン充填剤は、HA系充填剤よりもいくつかの利益を提供する。
【0119】
これらの利益にもかかわらず、コラーゲン充填剤には、HA充填剤を好ましいものにするいくつかの欠点がある。例えば、コラーゲン充填剤は、HA充填剤と同様に、注入可能な市販の酵素溶液を使用して逆転させることができない。コラーゲン皮膚充填剤は、所望の結果を達成するために高いコラーゲン濃度(35~65mg/mLコラーゲン)で提供され、この高いコラーゲン濃度は、有害反応の場合に除去することが困難であり得る。さらに、コラーゲン皮膚充填剤は、限られた期間、平均して3~6ヶ月の補正を示した。コラーゲンの架橋は、皮膚のより深くに配置することができるより堅固なヒドロゲルをもたらし、持続時間の改善をもたらすことができる。しかしながら、架橋コラーゲンゲルは、非架橋コラーゲン充填剤よりも体内に存在するコラーゲンに類似しておらず、したがって天然性が低い。
【0120】
以下の実施形態では、物理的に混合されたコラーゲンを含有するHA充填剤で作製されたハイブリッド材料の調製及び特性評価を記載する。材料は、各材料が単独で示す懸念を排除しながら、コラーゲン及びHA充填剤の両方によって提供される利益を利用する。
【0121】
材料のハイブリッドの性質により、HA皮膚充填剤の利益が保持される一方で、コラーゲンの包含がこれらの懸念に積極的に対処する。例えば、HAゲルへのコラーゲンの添加は、チンダル効果の懸念に対処することができる不透明な配合物をもたらす(例2及び
図1参照)。さらに、コラーゲンを含めることにより、膨潤特性を変えることなく高いゲル剛性が可能になる。HA充填剤単独では、G’(すなわち、剛性)は、HA濃度を増加させるか、又はヒドロゲルネットワークの架橋密度を増加させることによって増加させることができる。しかしながら、HA濃度の増加は膨潤の増加をもたらすが、より高度に架橋されたゲルはより低い膨潤を示す。したがって、物理的に混合されたHAコラーゲンヒドロゲルは、膨潤特性に影響を及ぼすことなく、G’/剛性がコラーゲン濃度と共に増加するという点で独特である(例3及び4)。最後に、コラーゲンは若い皮膚に関連するので、コラーゲンと混合したHA充填剤の組成物の注入は、若い皮膚に関連するECMタンパク質を補充することができる。コラーゲンと混合されたHA充填剤は、注入後の組織内殖及び新たなコラーゲン沈着のための足場としても機能する。この増強された組織一体化は、より自然で長く持続する効果につながる可能性がある。したがって、コラーゲンをHA皮膚充填剤に組み込んだ場合、驚くべきことに、最終製品の物理的特性及び生物学的性能が改善される。
【0122】
同様に、コラーゲン皮膚充填剤の欠点は、配合物中にHA皮膚充填剤を含めることによって対処することができる。例えば、コラーゲンと混合されたより長く持続するHA皮膚充填剤を使用することによって、コラーゲン充填剤の短い持続時間を改善することができる。さらに、所望の生物学的効果を達成するためにコラーゲンと混合されたHA充填剤の配合物に必要なコラーゲンは有意に少なく、したがって、注入されたヒアルロニダーゼを使用して組成物のHA部分を分解することができるため、配合物の可逆性はコラーゲンのみの皮膚充填剤よりも向上する。HA-コラーゲンゲルでは、充填効果はHA皮膚充填剤に起因する。AEに遭遇した場合、ヒアルロニダーゼを使用してHAを分解し、したがって材料を液体にし、患者の安全性を保証することができる。したがって、コラーゲン配合物との混合HA皮膚充填剤は、HA又はコラーゲンを単独で使用するよりも実質的な利益を提供する。
【0123】
本明細書の実施形態に記載されるように、混合HA及びコラーゲン組成物は、驚くべき有益な特性を有するヒドロゲルをもたらした。HAとコラーゲンの異なる組合せ濃度は、リフト及び組織一体化を可能にするヒドロゲルをもたらすことが見出された。いくつかの実施形態において、20mg/ml HA又は24mg/ml HAを含む組成物は、組織の良好なリフトをもたらした。しかしながら、濃度が少なくとも28mg/mlに増加したいくつかの組成物は、改善されたリフトをもたらしたが、注入部位への組織一体化を改善しなかった。いくつかの実施形態において、組成物は、24mg/mlのHA及び6mg/mlのコラーゲンを含んでいた。いくつかの実施形態において、組成物は、20mg/mlのHA及び10mg/mlのコラーゲンを含んでいた。いくつかの実施形態において、組成物は、組織リフト及び組成物注入部位への組織一体化の増強をもたらした。いくつかの実施形態において、組成物は、HAのみのゲルと比較して、良好なリフト及びより高い組織一体化を有していた。
【0124】
注入の容易さもまた、皮膚充填剤の重要な特性であり、押出力(EF)測定を使用して定量化することができる。本質的に、EFは、特定のゲージ針を通じてゲルを押し出すためにプランジャに加えられる必要がある力である。容易に注入される皮膚充填剤は、大きさがより小さい押出力と、シリンジの長さにわたって滑らかで均一な押出プロファイルとを特徴とするであろう。40N未満の力が許容可能であると考えられ、注入中の注入の容易さ、並びに制御及び精度を可能にする。HAコラーゲン配合物の平均押出力は、実質的に40N未満である(例6参照)。本明細書のいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは40N未満の押出力を有する。さらに、押出力曲線は滑らかに見え、材料が均質であることを示唆する。したがって、HAコラーゲン皮膚充填剤は、細ゲージ針を通じて容易に注入される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子複合体は非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、1%、2%又は5%の高分子複合体中の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、非架橋HAは、押出性を容易にし、組成物の押出力を低下させる。
【0125】
本明細書のこれらの実施形態は、コラーゲンと物理的に混合されたHA皮膚充填剤を具体的に記載する。あるいは、コラーゲンをHAと化学的に架橋して、異なる種類のHAコラーゲンゲルを形成することができる。しかしながら、化学的に架橋されたゲルと比較した場合、物理的に混合されたゲルは、天然の組織に見られるコラーゲンによりよく似たコラーゲンを含有する。
【0126】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、皮膚の水和、弾力性の改善及び皮膚の細い線の減少などの皮膚の質の改善をもたらす。
【0127】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0128】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味する場合がある。測定可能な値に言及するときに本明細書で使用される「約」は、指定された値から+20%又は+10%、より好ましくは+5%、さらにより好ましくは+1%、さらにより好ましくは+0.1%の変動を包含することを意味する。
【0129】
本明細書で使用される場合、文脈がそうでないことを要求する場合を除いて、「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「含まれる(comprised)」などの用語の変形は、さらなる付加物、構成要素、整数又は工程を排除することを意図しない。
【0130】
「ヒアルロン酸」又は「HA」という用語は、結合組織、上皮組織及び神経組織において人体全体に広く分布する非硫酸化グリコサミノグリカンである。限定するものではないが、このヒアルロン酸ナトリウムも使用してもよい。ヒアルロナンは、皮膚の異なる層に豊富に存在し、そこで、それは、例えば、良好な水和を確実にするため、細胞外マトリックスの組織化を補助するため、充填剤材料として作用するため、組織修復機構に関与するためなどの複数の機能を有する。しかしながら、年齢と共に、皮膚に存在するヒアルロナン、コラーゲン、エラスチン及び他のマトリックスポリマーの量は減少する。例えば、例えば太陽からの紫外線への反復曝露は、皮膚細胞にヒアルロナンの産生を減少させるだけでなく、その分解速度を増加させる。このヒアルロナンの損失は、例えば、不完全性、欠損、疾患及び/又は障害などの様々な皮膚状態をもたらす。例えば、皮膚中の含水量と皮膚組織中のヒアルロナンのレベルとの間には強い相関関係がある。皮膚が老化するにつれて、皮膚中のヒアルロナンの量及び質が低下する。これらの変化は、皮膚の乾燥及びしわをもたらす。
【0131】
HAは、ヒアルロン酸、並びに、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム(ナトリウム塩)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム及びヒアルロン酸カルシウムを含む、そのヒアルロン酸塩のいずれかを含んでもよい。様々な供給源からのヒアルロン酸を本明細書で使用してもよい。例えば、ヒアルロン酸は、動物組織から抽出してもよく、細菌発酵の産物として回収してもよく、又はバイオプロセス技術によって市販量で製造されてもよい。本明細書に記載の実施形態において、架橋ヒアルロン酸は、約1万ダルトン~約1000万ダルトンの分子量を含む。
【0132】
「高分子マトリックス」は、コラーゲンと物理的に混合された架橋HAによって形成されたマトリックスを指す。いくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、HAに架橋されたコラーゲンをさらに含む。
【0133】
本明細書に記載の「コラーゲン」は、体内の様々な結合組織に見られる構造タンパク質である。任意の種類のコラーゲンを、本明細書に記載の方法及び組成物において使用してもよい。いくつかの実施形態において、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、又はそれらの組合せを使用してもよい。コラーゲンは、細胞培養物、動物組織又は組換え手段に由来してもよく、例えば、ヒト、ブタ、組換え又はウシの供給源に由来してもよい。いくつかの実施形態は、ヒト線維芽細胞培養物に由来するコラーゲンを含む。いくつかの実施形態は、ゼラチンに変性されたコラーゲンを含む。高分子複合体のいくつかの実施形態において、高分子複合体は、I型及び/又はIII型コラーゲンを含む。
【0134】
当業者は、コラーゲンの異なる供給源についての考慮事項を理解するであろう。組織病理学的に、ウシコラーゲン線維は、ヒトコラーゲンよりも厚く、それらの間にほとんど空間がなく、線維芽細胞が少ない均質な外観を有し、偏光を屈折させることができない場合がある。皮膚試験は、ウシ又は他の動物コラーゲン製品の注入の前に必要とされる場合がある。ウシコラーゲンに対する異物肉芽腫及び柵状肉芽腫を含むまれな過敏反応が報告されている。まれな全身性合併症には、インフルエンザ様症状、知覚異常又は呼吸困難が含まれ、ウシコラーゲンの注入後に重度のアナフィラキシーショックが報告されている。したがって、注入前の皮膚試験が、アレルギー反応のリスクがある患者及びその短時間の効果を特定するために必要とされる場合がある。当業者は、本明細書の実施形態で使用されるコラーゲンの種類を考慮し、コラーゲンの供給源間の違いを理解するであろう。
【0135】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、HAの粒子又はコラーゲンの粒子若しくは原線維をさらに含む。
【0136】
本明細書に記載される場合、「局所送達」は、治療用組成物を必要とする組織内又はその近くへの組成物の投与を指す。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、容積欠損を有する患者の身体上の領域に局所送達される。
【0137】
処置方法
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、顔の軟組織への注入として投与されて、唇、頬又は目の領域のサイズ、形状及び/又は輪郭の増加のような、顔の特徴のサイズ、形状及び/又は輪郭の増加、唇、頬又は目の領域の形状のサイズ、形状及び/又は輪郭の変更のような、顔の特徴のサイズ、形状及び/又は輪郭の変更、皮膚のしわ、ひだ又は線の減少又は除去、皮膚のしわ、ひだ又は線に対する抵抗性、皮膚の再水和、皮膚に対する弾力性の増加、皮膚の荒れの低減又は解消、皮膚の張りの増加及び/又は改善をもたらす。限定するものではないが、これらの領域は、例えば、目の領域、頬の領域及び/又は首の領域を含んでもよい。
【0138】
当業者は、投与前に、2~4%クロルヘキシジン又は70%イソプロピルアルコール溶液による適切な皮膚滅菌及び患者の皮膚を洗浄した後の処置領域の汚染の回避などの無菌技術を使用してもよいことを理解するであろう。皮膚穿刺の回数を減らし、注入に可能な最小ゲージ針を使用する注入アプローチを使用すべきである。炎症を起こした又は感染した皮膚への注入を避けることも重要である。
【0139】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、コラーゲンを送達及び捕捉しながら、注入時に即時のリフト及び容積を提供する。本明細書に記載の実施形態において、本方法は、注入を受けている患者に自然な外観効果を提供する。
【0140】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは、架橋HAネットワークに化学的に結合していない。
【0141】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、HA成分は直鎖状HAである。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、HAは、EDC及びNHS化学又はBDDE架橋HAを用いて、天然に存在するアミンで架橋される。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、天然に存在するアミンはリシンである。
【0142】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、ECMタンパク質などの皮膚の必須構成要素の合成を刺激する。限定するものではないが、コラーゲン産生などのタンパク質は、組成物が注入された組織から刺激される場合がある。
【0143】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、処置方法は、ヒアルロニダーゼ処置時に可逆的である。有害反応中又は結果が好ましくない場合、ヒアルロニダーゼ処置を行ってもよい。
【0144】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物を使用して、頬の増強のための細い線及び深い(皮下及び/又は骨膜上)を表面的に除去して、顔の中央の加齢性容積欠損を補正してもよい。
【0145】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、処置方法は、注入部位においてチンダル効果をもたらさない。
【0146】
当業者は、高分子マトリックスを必要とする患者に投与してもよい異なる方法を理解するであろう。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、針又はカニューレを用いて投与される。
【0147】
本明細書の実施形態で使用されるコラーゲンは、任意の供給源から提供されてもよい。限定するものではないが、例えば、ブタ、ウシ、組換え及びヒトのコラーゲンを使用してもよい。いくつかの実施形態において、記載される組成物は、アレルギー試験を必要としない。
【0148】
本明細書に記載されるように、HAコラーゲン皮膚充填剤は、同時にコラーゲンを送達及び捕捉しながら、注入時に即時のリフト及び容積を提供する可能性がある。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、若い外観の健康な皮膚をもたらす必須構成要素の合成を刺激する可能性がある。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、ヒアルロニダーゼ処置時に可逆的である。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、充填剤の膨潤特性に有意に影響を及ぼさずに、率(剛性)の増加を可能にする。
【0149】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、頬の増強のための細い線及び深い(皮下及び/又は骨膜上の)線を表面的に除去して、顔の中央の加齢性容積欠損を補正する可能性がある。
【0150】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、充填剤の寿命を通じて肉芽腫をほとんど又は全く生成しない。したがって、充填剤は、皮膚上又は注入領域内に「敷石状」の外観をもたらさない。
【0151】
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、皮膚の水和及び若返りなどの利益を提供する。
【0152】
ヒドロゲルの作製方法
上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒドロゲルを作製する方法は、HA、コラーゲン、水及びPBSを提供すること、並びに酸性pHで混合することを含む。本方法で使用されるHAは架橋されていてもよい。コラーゲンは、任意の供給源によって提供されてもよい。限定するものではないが、コラーゲンは、ブタコラーゲン、ヒトコラーゲン又はコラーゲンの組換え形態であってもよい。
【0153】
コラーゲンをヒアルロン酸又は上記混合物に混合する異なる方法がある。当業者は、ヒドロゲルを作製するための様々な方法を理解するであろう。限定するものではないが、コラーゲンは、例えば、シンキーミキサ、音響ミキサ、反応器、シリンジ-シリンジ混合、ステンレス鋼カートリッジを用いて架橋ヒアルロン酸に混合されてもよい。
【0154】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、混合物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、約24mg/ml、約28mg/mlのHA濃度、又は任意の2つの前述の値の間の範囲内の任意の濃度を含む。上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、混合物は、約5mg/mlのHA濃度を含む。上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、混合物は、約25mg/mlのHA濃度を含む。
【0155】
HA濃度が約20mg/mlを含むいくつかの実施形態において、組成物はリフト及び組織一体化を提供する。
【0156】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物は、24mg/mlのHA及び約6mg/mlのコラーゲンを含む。
【0157】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物は、20mg/mlのHA及び約10mg/mlのコラーゲンを含む。
【0158】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本方法は、組成物を滅菌することをさらに含む。ヒドロゲルを滅菌する多くの方法があり、これらの方法は当業者によって理解される可能性がある。限定するものではないが、組成物は、例えば、熱(乾熱、蒸気熱)放射(非イオン化、イオン化(微粒子(例えば、ガンマ線)、電磁(例えば、電子ビーム)、濾過)又は最終滅菌(例えば、シリンジなどの最終容器内の製品の滅菌)によって滅菌されてもよい。上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物は、熱(乾熱、蒸気熱)放射(非イオン化、イオン化(微粒子(例えば、ガンマ線)、電磁(例えば、電子ビーム)、濾過)又は最終滅菌(シリンジなどの最終容器内の製品の滅菌)によって滅菌されてもよい。
【0159】
蒸気熱を使用して、例えば、圧力下で組成物を飽和蒸気に曝露することによって製品を滅菌してもよい。例えば、これは、121~124℃で15分間行ってもよい。いくつかの代替実施形態において、例えば、異なる時間及びより高い温度を使用してもよい。
【0160】
乾熱を使用してもよく、乾熱は、より高い温度及びより長い曝露時間を必要とする場合がある(Galanteら、2017)。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、架橋HAヒドロゲルが提供され、コラーゲンが提供され、コラーゲンが溶液中で可溶性状態にあり、コラーゲンが架橋HAヒドロゲルに物理的に混合される、高分子マトリックスを調製する方法が提供される。
【0161】
上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは溶液中で提供され、溶液は酸性である。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは溶液状態で提供される。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲンは可溶性状態である。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスを作製する方法は、架橋ヒアルロン酸を含み、コラーゲンに混合された混合物を中和することをさらに含む。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物が、混合後に形成される。しかしながら、コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物は、HAヒドロゲルに均質に混合される。上記又は下記の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、可溶性コラーゲンを架橋HAと混合した後に、ヒドロゲルの容積オスモル濃度(osmolarity)を調整することをさらに含む。いくつかの実施形態において、調整工程は、コラーゲンに沈殿物又は原線維を形成させる可能性があるが、コラーゲン沈殿物又は原線維は、架橋ヒアルロン酸の周りで均質に混合される。
【0162】
本明細書に記載の実施形態において、HAが架橋され、コラーゲンが溶液として添加されることが重要である。混合物は、混合物が十分に混合され、均質になるように混合されるべきである。次いで、混合物は中和され、高分子マトリックスが正しいpH/容積オスモル濃度(osmolarity)になるように容積オスモル濃度(osmolarity)が調整される。本質的には、組成物がリフト能力及び組織一体化を可能にすることなどの特性を有する充填剤としての機能を果たし得るように、組成物は均一かつ均質であることが重要である。
【0163】
いくつかの実施形態において、架橋ヒアルロン酸に混合する前に、コラーゲン(酸性溶液中)は中和される。いくつかの実施形態において、約7のpHへの中和は、異なるコラーゲン構造、例えばコラーゲンのフィブリル化をもたらす。いくつかの実施形態において、これらの原線維は、架橋ヒアルロン酸に均質に混合される。
【0164】
いくつかの実施形態では、架橋ヒアルロン酸及びコラーゲンを酸性pHで一緒に混合する。混合後、塩基を添加し、2回目の混合をすることによって、溶液のpHを7.0~7.5のpHに上昇させてもよい。いくつかの実施形態において、pHの上昇は、コラーゲンネットワークの自己集合を開始させる可能性がある。いくつかの実施形態において、混合物は、混合後にオートクレーブ処理されてもよい。
【0165】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0166】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味する場合がある。測定可能な値に言及するときに本明細書で使用される「約」は、指定された値から+20%又は+10%、より好ましくは+5%、さらにより好ましくは+1%、さらにより好ましくは+0.1%の変動を包含することを意味する。
【0167】
本明細書で使用される場合、文脈がそうでないことを要求する場合を除いて、「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「含まれる(comprised)」などの用語の変形は、さらなる付加物、構成要素、整数又は工程を排除することを意図しない。
【0168】
「ヒアルロン酸」又は「HA」という用語は、結合組織、上皮組織及び神経組織において人体全体に広く分布する非硫酸化グリコサミノグリカンである。ヒアルロナンは、皮膚の異なる層に豊富に存在し、そこで、それは、例えば、良好な水和を確実にするため、細胞外マトリックスの組織化を補助するため、充填剤材料として作用するため、組織修復機構に関与するためなどの複数の機能を有する。しかしながら、年齢と共に、皮膚に存在するヒアルロナン、コラーゲン、エラスチン及び他のマトリックスポリマーの量は減少する。例えば、例えば太陽からの紫外線への反復曝露は、皮膚細胞にヒアルロナンの産生を減少させるだけでなく、その分解速度を増加させる。このヒアルロナンの損失は、例えば、不完全性、欠損、疾患及び/又は障害などの様々な皮膚状態をもたらす。例えば、皮膚中の含水量と皮膚組織中のヒアルロナンのレベルとの間には強い相関関係がある。皮膚が老化するにつれて、皮膚中のヒアルロナンの量及び質が低下する。これらの変化は、皮膚の乾燥及びしわをもたらす。
【0169】
HAは、ヒアルロン酸、並びに、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム(ナトリウム塩)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム及びヒアルロン酸カルシウムを含む、そのヒアルロン酸塩のいずれかを含んでもよい。様々な供給源からのヒアルロン酸を本明細書で使用してもよい。例えば、ヒアルロン酸は、動物組織から抽出してもよく、細菌発酵の産物として回収してもよく、又はバイオプロセス技術によって市販量で製造されてもよい。
【0170】
本明細書に記載の「コラーゲン」は、体内の様々な結合組織に見られる構造タンパク質である。提供されるコラーゲンは、任意の供給源に由来してもよい。限定するものではないが、コラーゲンは、例えば、マリンコラーゲン、ウシコラーゲン、ブタコラーゲン、ヒトコラーゲン、細胞培養由来のヒトコラーゲン又は組換えコラーゲンであってもよい。
【0171】
本明細書に記載される場合、「局所送達」は、治療用組成物を必要とする組織内又はその近くへの組成物の投与を指す。上記又は下記の実施形態のそれぞれのいずれか1つ又はいずれかのいくつかの実施形態において、高分子マトリックスは、容積欠損を有する患者の身体上の領域に局所送達される。
【0172】
「物理的に混合する」とは、混合のために別の物質を加えるか、又は混ぜ入れることである。限定するものではないが、物理的混合は、例えば、撹拌、撹拌棒、音響ミキサ、オービタルミキサによって行ってもよい。
【0173】
条項としての主題技術の例示
本開示の態様の様々な例は、便宜上番号付きの条項(1、2、3など)として記載されている。これらは例として提供されており、主題技術を限定するものではない。図面及び参照番号の特定は、単に例として、例示を目的として以下に提供されており、条項はそれらの特定によって限定されない。
【0174】
条項1.高分子マトリックスを調製する方法であって、架橋ヒアルロン酸を提供すること、コラーゲンを提供すること、並びに前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸に物理的に混合することであって、前記コラーゲンが前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合され、それによって前記高分子マトリックスが形成され、前記高分子マトリックスが、架橋ヒアルロン酸及び物理的に混合されたコラーゲンを含む、混合することを含む、方法。
【0175】
条項2.前記コラーゲンが、溶液として可溶性状態で提供される、条項1に記載の方法。
【0176】
条項3.前記コラーゲンが、酸性pHの溶液として提供され、前記コラーゲン溶液が、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、前記コラーゲンが、前記酸性pHで可溶性である、条項1又は2に記載の方法。
【0177】
条項4.前記コラーゲンが、酸性pHの溶液として提供され、前記コラーゲン溶液が、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、前記コラーゲンが、前記酸性pHで可溶性である、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
条項5.前記コラーゲンが、中性pHの溶液として提供される、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
条項6.前記コラーゲン及び前記架橋ヒアルロン酸が、緩衝液と物理的に混合される、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
条項7.緩衝溶液がPBSを含む、条項6に記載の方法。
【0181】
条項8.前記方法が、前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、前記高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
条項9.前記方法が、前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸と物理的に混合する前に、前記コラーゲンを約7のpHに中和することをさらに含む、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
条項10.前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸に物理的に混合する前に前記コラーゲンを中和することにより、前記コラーゲンがコラーゲンの原線維又は粒子に沈殿し、前記コラーゲンの原線維又は粒子が前記架橋ヒアルロン酸にさらに混合され、前記原線維又は粒子が架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される、条項9に記載の方法。
【0184】
条項11.前記コラーゲンが、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維として提供される、条項1に記載の方法。
【0185】
条項12.前記コラーゲンが塩基性pHで調製され、それによって前記フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維が生成された、条項11に記載の方法。
【0186】
条項13.前記コラーゲンが、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維を得るために少なくとも1つの塩を用いて調製された、条項11又は12に記載の方法。
【0187】
条項14.前記少なくとも1つの塩が、約20mM、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM若しくは約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項13に記載の方法。
【0188】
条項15.前記少なくとも1つの塩がアニオンを含み、前記アニオンがH2PO4-、SO42-、Cl-又はSCN-を含む、条項13又は14に記載の方法。
【0189】
条項16.前記少なくとも1つの塩が、NaCl、Na2SO4又はLi2SO4を含む、条項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
条項17.前記コラーゲンが、前記高分子マトリックス全体にわたって均質に混合される、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
条項18.前記コラーゲンが、前記高分子マトリックス全体にわたって均等に混合される、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
条項19.前記架橋ヒアルロン酸が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、約4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約9万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の分子量を含むヒアルロン酸成分を含む、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0193】
条項20.前記架橋ヒアルロン酸が、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
条項21.前記方法が、リドカインを前記高分子マトリックスに添加することをさらに含む、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
条項22.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
条項23.前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w))、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項21又は22に記載の方法。
【0197】
条項24.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
条項25.前記マトリックスが、非架橋HAをさらに含む、条項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
条項26.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む、条項25に記載の方法。
【0200】
条項27.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項25又は26に記載の方法。
【0201】
条項28.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む、条項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
条項29.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む、条項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【0203】
条項30.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む、条項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【0204】
条項31.前記高分子マトリックスが、針を通じた向上した押出性を有し、前記針が、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む、条項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
条項32.前記高分子マトリックスが、少なくとも6ヶ月間安定である、条項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
条項33.前記高分子マトリックスが、約6、約9、約12、約15、約18、約21、約24、約27、約30、約33若しくは約36ヶ月間、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である、条項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
条項34.前記高分子マトリックスが、約4℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃の温度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で安定である、条項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
条項35.前記高分子マトリックスが約4℃で安定である、条項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
条項36.前記高分子マトリックスが約25℃で安定である、条項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
条項37.前記高分子マトリックスが、約3、約6、約9、約12、約15、約18、約21、約24、約27、約30、約33若しくは約36ヶ月、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の時間で最小の分解を有する、条項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
条項38.高分子マトリックスを調製する方法であって、ヒアルロン酸を水溶液に溶解して、反応前水溶液を形成すること、並びに第2の溶液を調製することであって、前記第2の溶液が、a)水溶性カルボジイミド、及びN-ヒドロキシスクシンイミド若しくはN-ヒドロキシスルホスクシンイミド、又はb)水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含む、調製すること、並びに前記第2の溶液を前記反応前水溶液に添加して、架橋反応混合物を形成すること、前記ヒアルロン酸を架橋することであって、前記ヒアルロン酸を架橋することにより、前記架橋反応混合物が反応し、それによって前記架橋ヒアルロン酸が形成される、架橋すること、並びに
【0212】
コラーゲンを提供すること、並びに前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸に物理的に混合することであって、それによって架橋ヒアルロン酸とコラーゲンとを含む高分子マトリックスが生成され、前記コラーゲンが、前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される、混合することを含む、方法。
【0213】
条項39.前記第2の溶液が、前記水溶性カルボジイミド及び前記N-ヒドロキシスクシンイミド又は前記N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、前記ヒアルロン酸が天然に存在するアミンで架橋され、それによって前記架橋ヒアルロン酸が形成される、条項38に記載の方法。
【0214】
条項40.前記第2の溶液が、前記水溶性カルボジイミド及び前記N-ヒドロキシスクシンイミド又は前記N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、前記架橋がMESの存在下で行われる、条項38又は39に記載の方法。
【0215】
条項41.前記第2の溶液が、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の前記1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、前記BDDEが、エポキシド化学を用いて前記ヒアルロン酸を架橋するために使用される、条項38に記載の方法。
【0216】
条項42.前記コラーゲンが溶液として可溶性状態で提供される、条項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
条項43.物理的混合工程が、緩衝液の存在下で行われる、条項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【0218】
条項44.前記緩衝液がPBSを含む、条項43に記載の方法。
【0219】
条項45.前記コラーゲンが、コラーゲン溶液として提供され、前記コラーゲン溶液が、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、前記コラーゲンが、酸性pHで可溶性である、条項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
条項46.前記コラーゲンが、酸性pHの溶液として提供され、前記コラーゲン溶液が、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含み、前記コラーゲンが、前記酸性pHで可溶性である、条項38~45のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
条項47.前記コラーゲンが、酸性から中性のpHで提供される、条項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
条項48.前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合した後、前記高分子マトリックスを約7のpHに中和することをさらに含む、条項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
条項49.前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸と物理的に混合する前に、前記コラーゲンを約7のpHに中和することをさらに含み、前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸に物理的に混合する前に前記コラーゲンを中和することにより、前記コラーゲンがコラーゲンの原線維又は粒子に沈殿し、前記コラーゲンの原線維又は粒子が前記架橋ヒアルロン酸にさらに混合され、前記原線維又は粒子が前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって均質に混合される、条項38~48のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
条項50.前記コラーゲンが、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維として提供される、条項49に記載の方法。
【0225】
条項51.前記コラーゲンが塩基性pHで調製され、それによって前記フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維が生成された、条項50に記載の方法。
【0226】
条項52.前記コラーゲンが、フィブリル化コラーゲン又はコラーゲン線維を得るために少なくとも1つの塩を用いて調製された、条項50又は51に記載の方法。
【0227】
条項53.前記少なくとも1つの塩が、約20mM、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM若しくは約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項52に記載の方法。
【0228】
条項54.前記少なくとも1つの塩がアニオンを含み、前記アニオンがH2PO4-、SO42-、Cl-又はSCN-を含む、条項52又は53に記載の方法。
【0229】
条項55.前記少なくとも1つの塩が、NaCl、Na2SO4又はLi2SO4を含む、条項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
条項56.前記ヒアルロン酸が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約9万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の分子量を含む、条項38~55のいずれか一項に記載の方法。
【0231】
条項57.前記ヒアルロン酸が、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む、条項38~56のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
条項58.前記溶解工程が、ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を水溶液に溶解して、ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を含む反応前水溶液を形成することをさらに含み、前記架橋反応が、前記ヒアルロン酸とコラーゲンの両方を架橋してHA-コラーゲン結合ゲルにすることによって反応し、前記混合工程が、前記HA-コラーゲン結合ゲルを追加のコラーゲンと物理的に混合することを含み、前記コラーゲンが可溶性状態にあり、前記コラーゲンが溶液中にあり、前記溶液が酸性pHにあり、それによって、物理的に混合されたコラーゲンと共にHA-コラーゲン結合ゲルを含む高分子マトリックスが生成される、条項38~57のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
条項59.コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物が、コラーゲンとの前記混合工程後に形成され、前記コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物が、前記架橋ヒアルロン酸内で均質に混合される、条項38~58のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
条項60.コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物が、コラーゲンとの前記混合工程中に形成され、前記コラーゲン原線維又はコラーゲン沈殿物が、前記架橋ヒアルロン酸内で均質に混合される、条項38~58のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
条項61.前記方法が、前記コラーゲンを前記架橋ヒアルロン酸全体にわたって混合した後、前記高分子マトリックスの容積オスモル濃度(osmolarity)を調整することをさらに含む、条項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
条項62.前記混合工程が室温で行われる、条項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
条項63.前記混合工程が約4℃で行われる、条項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
条項64.前記方法が約4℃で行われる、条項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
条項65.前記方法が、前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを精製することをさらに含み、前記精製が前記コラーゲンとの前記混合工程の前に行われる、条項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
条項66.前記精製が、透析精製を用いて行われる、条項65に記載の方法。
【0241】
条項67.前記架橋反応混合物のpHが、前記架橋が完了した後に調整され、前記pHの調整が、前記精製工程の前に行われ、前記pHが、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のpHに調整される、条項65又は66に記載の方法。
【0242】
条項68.前記精製が、約2℃~約8℃の範囲で行われる、条項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【0243】
条項69.前記精製が、約2℃、約4℃、約6℃若しくは約8℃、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる、条項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
条項70.前記方法が、コラーゲンと混合する前に前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを滅菌することをさらに含み、前記滅菌工程が前記精製工程の後に行われる、条項65~69のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
条項71.前記滅菌工程が、滅菌のために、前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを容器に移すこと、及び前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルを滅菌することを含む、条項70に記載の方法。
【0246】
条項72.前記容器がシリンジである、条項71に記載の方法。
【0247】
条項73.前記滅菌が、熱(乾熱、蒸気熱、湿熱滅菌)放射(非イオン化、UV)、イオン化(微粒子(ベータ線、ガンマ線、X線)、電磁(電子ビーム)、濾過又は最終滅菌によって行われる、条項70~72のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
条項74.前記方法が、前記架橋高分子マトリックス又はHA-コラーゲン結合ゲルを透析することをさらに含み、透析が、1000ダルトン~約10万ダルトンの範囲内の分画分子量を有する膜を介して行われ、前記透析が滅菌前に行われる、条項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
条項75.前記透析が緩衝液中で行われる、条項74に記載の方法。
【0250】
条項76.前記緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水又はリン酸ナトリウム緩衝液を含む、条項75に記載の方法。
【0251】
条項77.前記緩衝液が、NaCl及び/又はKClをさらに含む、条項75又は76のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
条項78.前記方法が、前記架橋反応が完了した後に、前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルのpHを中性pHに上昇させることをさらに含み、前記pHの上昇が滅菌工程の前に行われる、条項38~75のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
条項79.前記方法が、前記架橋反応が完了した後に、前記架橋ヒアルロン酸又はHA-コラーゲン結合ゲルのpHを約7.0、約7.2若しくは約7.4、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のpHに上昇させることをさらに含み、前記pHの上昇が滅菌工程の前に行われる、条項38~75のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
条項80.前記第2の溶液が、前記水溶性カルボジイミド及び前記N-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドを含み、前記添加及び架橋工程が約4℃~約22℃の温度で行われる、条項38~78のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
条項81.前記架橋が約22℃で行われる、条項80に記載の方法。
【0256】
条項82.前記架橋が約4℃で行われる、条項80に記載の方法。
【0257】
条項83.前記第2の溶液が、水酸化ナトリウムの存在下での前記ヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の前記1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、前記添加及び架橋工程が約45℃~約75℃で行われる、条項38~78のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
条項84.前記第2の溶液が、水酸化ナトリウムの存在下での前記ヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の前記1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、前記添加及び架橋工程が、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃の温度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる、条項38~83のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
条項85.前記第2の溶液が、水酸化ナトリウムの存在下での前記ヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の前記1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、前記添加及び架橋工程が約50℃の温度で行われる、条項38~84のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
条項86.前記方法が、前記架橋ヒアルロン酸及びコラーゲンを含む前記高分子マトリックスを形成した後、又は物理的に混合されたコラーゲンと共に前記HA-コラーゲン結合ゲルを形成した後に行われる中和工程を含み、前記中和工程が、前記高分子マトリックスを生理学的pH及び生理学的塩濃度に調整することを含む、条項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
条項87.前記中和が、前記pHを調整するために無菌条件下で前記混合工程の後に塩基性溶液又は緩衝溶液を添加することを含む、条項86に記載の方法。
【0262】
条項88.前記pH及び生理学的塩濃度を調整することにより、前記コラーゲンの原線維又は粒子への沈殿が生じ、前記コラーゲン原線維又は粒子が前記高分子マトリックス中に均質に分布している、条項86又は87に記載の方法。
【0263】
条項89.前記方法が、前記架橋工程を停止することをさらに含み、前記停止工程が、塩基を前記架橋反応混合物に約8~約10のpHまで少なくとも10分間添加し、次いで、約7のpHに達するまで酸性溶液を前記架橋混合物に添加することを含む、条項38~88のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
条項90.前記天然に存在するアミンがリシンに由来する、条項38~89のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
条項91.前記架橋反応混合物が約4.0~約10.0のpHを含む、条項38~90のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
条項92.前記架橋反応混合物のpHが約4.0~約6.0である、条項91に記載の方法。
【0267】
条項93.前記第2の溶液が、水酸化ナトリウムの存在下でのヒアルロン酸ナトリウムの溶液中の1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を含み、前記架橋がアルカリ性条件下で行われる、条項38~78又は83~92のいずれか一項に記載の方法。
【0268】
条項94.前記反応前溶液が塩を含み、前記塩が、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、325mM、約350mM、約375mM、約400mM、約425mM、約450mM、約475mM、約500mMの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意の濃度を含む、条項38~93のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
条項95.前記水溶性カルボジイミドが1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、前記水溶性カルボジイミドが前記架橋反応混合物中の約20mM~約300mMの濃度である、条項38~81、86~92又は94のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
条項96.前記水溶性カルボジイミドの濃度が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約120mM、約140mM、約160mM、約180mM、約200mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300mM、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項95に記載の方法。
【0271】
条項97.前記水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸が、約0.3~約3.0の水溶性カルボジイミド:ヒアルロン酸繰返し単位のモル対モル比である、条項38~81、86~92又は94~96のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
条項98.前記水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸が、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9若しくは約3.0の水溶性カルボジイミド:ヒアルロン酸繰返し単位のモル対モル比、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のモル対モル比である、条項97に記載の方法。
【0273】
条項99.前記リシン及びヒアルロン酸が、約0.01~約0.6のモル:モル(リシン:HA繰返し単位)比である、条項38~98のいずれか一項に記載の方法。
【0274】
条項100.前記リシン及びヒアルロン酸が、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.3、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.4、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.5、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、約0.6のモル:モル(リシン:HA繰返し単位)比、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意のモル対モル比である、条項99に記載の方法。
【0275】
条項101.前記反応前溶液中の前記ヒアルロン酸が、前記第2の溶液を添加する前に少なくとも約60分間水和する、条項38~100のいずれか一項に記載の方法。
【0276】
条項102.前記架橋反応混合物が約4時間~約24時間行われる、条項38~101のいずれか一項に記載の方法。
【0277】
条項103.前記方法が、リドカインを前記高分子マトリックスに添加することをさらに含む、条項38~102のいずれか一項に記載の方法。
【0278】
条項104.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.15%(w/w)~約0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項103に記載の方法。
【0279】
条項105.前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項103又は104に記載の方法。
【0280】
条項106.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項103~105のいずれか一項に記載の方法。
【0281】
条項107.前記マトリックスが非架橋HAをさらに含む、条項38~106のいずれか一項に記載の方法。
【0282】
条項108.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む、条項107に記載の方法。
【0283】
条項109.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項107~108に記載の方法。
【0284】
条項110.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む、条項107~109のいずれか一項に記載の方法。
【0285】
条項111.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む、条項107~109のいずれか一項に記載の方法。
【0286】
条項112.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む、条項107~109のいずれか一項に記載の方法。
【0287】
条項113.前記高分子マトリックスが、針を通じた向上した押出性を有し、前記針が、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む、条項38~112のいずれか一項に記載の方法。
【0288】
条項114.前記方法が、前記コラーゲンを前記架橋HAに添加する前に、前記コラーゲンを濃縮することをさらに含む、条項1~113のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
条項115.条項1~114のいずれか一項に記載の方法によって作製された、高分子マトリックス。
【0290】
条項116.前記高分子マトリックスが架橋ヒアルロン酸を含み、前記コラーゲンが架橋ヒアルロン酸と物理的に混合され、前記コラーゲンが高分子複合体全体にわたって均質である、条項115に記載の高分子マトリックス。
【0291】
条項117.前記高分子マトリックスがHA-コラーゲン結合ゲルを含み、前記HA-コラーゲン結合ゲルが、前記HA-コラーゲン結合ゲルに架橋されていない物理的に混合されたコラーゲンも含む、条項115に記載の高分子マトリックス。
【0292】
条項118.高分子マトリックスであって、ヒアルロン酸であって、前記ヒアルロン酸が架橋されている、ヒアルロン酸、及びコラーゲンであって、前記コラーゲンが、前記架橋ヒアルロン酸と物理的に混合されている、コラーゲンを含む、高分子マトリックス。
【0293】
条項119.高分子マトリックスであって、HA-コラーゲン結合ゲルであって、前記HA-コラーゲン結合ゲルが、コラーゲンで架橋されたヒアルロン酸を含む、HA-コラーゲン結合ゲル、及び物理的に混合されたコラーゲンであって、前記物理的に混合されたコラーゲンが、HA-コラーゲン結合ゲルに架橋されておらず、前記物理的に混合されたコラーゲンが、前記HA-コラーゲン結合ゲル内で均質に混合されている、物理的に混合されたコラーゲンを含む、高分子マトリックス。
【0294】
条項120.前記ヒアルロン酸が天然に存在するアミンで架橋されている、条項115~119のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0295】
条項121.前記天然に存在するアミンがリシンに由来する、条項120に記載の高分子マトリックス。
【0296】
条項122.前記コラーゲンが、ウシコラーゲン、マリンコラーゲン、ヒトコラーゲン又はブタコラーゲンに由来する、条項115~121のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0297】
条項123.前記コラーゲンが組換えヒトコラーゲンである、条項115~122のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0298】
条項124.前記高分子マトリックスが、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa若しくは約3000Pa、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の値の弾性率(G’)を含む、条項115~123のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0299】
条項125.前記高分子マトリックスが、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を含む、条項115~124のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0300】
条項126.前記ヒアルロン酸が、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項115~125のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0301】
条項127.約20:3、約24:2.3、約24:10、約24:12、約24:4、約24:6、約28:6又は約28:11のヒアルロン酸対コラーゲンの重量比を有する、条項115~126のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0302】
条項128.前記架橋ヒアルロン酸が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量を含むヒアルロン酸成分を含む、条項115~127のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0303】
条項129.前記ヒアルロン酸成分が、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む、条項128に記載の高分子マトリックス。
【0304】
条項130.前記ヒアルロン酸がヒアルロン酸の混合物を含み、前記混合物が、2つの異なる分子量を含むHAの50:50ブレンドを含む、条項115~129のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0305】
条項131.前記コラーゲンが、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、条項115~130のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0306】
条項132.前記コラーゲンが、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml若しくは約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/mlの濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項115~131のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0307】
条項133.前記高分子マトリックスが、約250mOsm/kg~約390mOsm/kgの重量オスモル濃度を含む、条項115~132のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0308】
条項134.前記高分子マトリックスが、約250mOsm/kg、約275mOsm/kg、約300mOsm/kg、約325mOsm/kg若しくは約390mOsm/kgの間の重量オスモル濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量オスモル濃度を含む、条項115~133のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0309】
条項135.前記ヒアルロン酸が直鎖状である、条項115~134のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0310】
条項136.前記高分子マトリックスが、約10Pa、約20Pa、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa若しくは約1000Paの粘性率(G’’)、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の粘性率(G’’)を含む、条項115~135のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0311】
条項137.前記高分子マトリックスが、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.12、約0.14、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.24、約0.26、約0.28、約0.30、約0.32、約0.34、約0.36、約0.38、約0.40、約0.42、約0.44、約0.46、約0.48、約0.50のタンデルタ(G’’/G’)、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間のタンデルタ(G’’/G’)を含む、条項115~136のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0312】
条項138.前記高分子マトリックスが、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0のpH、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲内の任意のpHを含む、条項115~137のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0313】
条項139.前記高分子マトリックスがリドカインをさらに含む、条項115~138のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0314】
条項140.前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項139に記載の高分子マトリックス。
【0315】
条項141.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項139又は140のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0316】
条項142.前記マトリックスが非架橋HAをさらに含む、条項115~141のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0317】
条項143.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む、条項142に記載の高分子マトリックス。
【0318】
条項144.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項142~143に記載の高分子マトリックス。
【0319】
条項145.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む、条項142~144のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0320】
条項146.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む、条項142~144のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0321】
条項147.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む、条項142~144のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0322】
条項148.前記高分子マトリックスが、針を通じた向上した押出性を有し、前記針が、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む、条項115~147のいずれか一項に記載の高分子マトリックス。
【0323】
条項149.ヒトの解剖学的特徴の審美的質を改善する方法であって、前記ヒトの組織に組成物を注入し、それによって前記解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、前記組成物が、条項1~102のいずれか一項に記載の方法によって調製された高分子マトリックス又は条項115~139のいずれか一項に記載の高分子マトリックスを含む、改善することを含む、方法。
【0324】
条項150.ヒトの解剖学的特徴の審美的質を改善する方法であって、前記ヒトの組織に組成物を注入し、それによって前記解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、前記組成物が、架橋ヒアルロン酸、リシン、及びコラーゲンを含む高分子マトリックスを含み、前記コラーゲンが前記架橋ヒアルロン酸に物理的に混合されている、改善することを含む、方法。
【0325】
条項151.前記組成物がリドカインをさらに含む、条項150に記載の方法。
【0326】
条項152.前記リドカインが、前記マトリックス中の0.15%(w/w)~0.45%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項151に記載の方法。
【0327】
条項153.前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、条項151又は152に記載の方法。
【0328】
条項154.前記リドカインが、前記マトリックス中の約0.27%(w/w)~約0.33%(w/w)の範囲の間の濃度である、条項151~153のいずれか一項に記載の方法。
【0329】
条項155.前記組成物が非架橋HAをさらに含む、条項150~154のいずれか一項に記載の方法。
【0330】
条項156.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の最大約5%(w/w)の濃度を含む、条項155に記載の方法。
【0331】
条項157.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度を含む、条項155又は156に記載の方法。
【0332】
条項158.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約1%(w/w)の濃度を含む、条項155~157のいずれか一項に記載の方法。
【0333】
条項159.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約2%(w/w)の濃度を含む、条項155~157のいずれか一項に記載の方法。
【0334】
条項160.前記非架橋HAが、前記マトリックス中の約5%(w/w)の濃度を含む、条項155~157のいずれか一項に記載の方法。
【0335】
条項161.前記架橋ヒアルロン酸が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量を含むヒアルロン酸成分を含む、条項150~160のいずれか一項に記載の方法。
【0336】
条項162.前記架橋ヒアルロン酸の前記ヒアルロン酸が、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む、条項150~161のいずれか一項に記載の方法。
【0337】
条項163.前記コラーゲンが、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、条項150~162のいずれか一項に記載の方法。
【0338】
条項164.前記方法が、注入部位に青みがかった変色を引き起こさない、条項150~163のいずれか一項に記載の方法。
【0339】
条項165.前記組成物が、針を通じた向上した押出性を有し、前記針が、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む、条項150~164のいずれか一項に記載の方法。
【0340】
条項166.組成物をヒトの組織に注入することによってヒトの外観を改善する方法であって、それによって、前記組成物が、それが注入された周囲組織から前記組成物への細胞浸潤及びコラーゲン沈着を促進し、前記方法が、前記ヒトの組織に組成物を注入し、それによって前記解剖学的特徴の審美的質を改善することであって、前記組成物が、ヒアルロン酸、リシン、及びコラーゲンを含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲンと物理的に混合された架橋ヒアルロン酸を含み、かつ前記組成物によって注入された前記組織が、組織一体化を有することが示される、改善することを含む、方法。
【0341】
条項167.前記組成物がリドカインをさらに含む、条項166に記載の方法。
【0342】
条項168.前記ヒアルロン酸成分が、約1万ダルトン、約2万ダルトン、約3万ダルトン、4万ダルトン、約5万ダルトン、約6万ダルトン、約7万ダルトン、約8万ダルトン、約10万ダルトン、約20万ダルトン、約30万ダルトン、約40万ダルトン、約50万ダルトン、約60万ダルトン、約70万ダルトン、約80万ダルトン、約90万ダルトン、約100万ダルトン、約110万ダルトン、約120万ダルトン、約130万ダルトン、約140万ダルトン、約150万ダルトン、約160万ダルトン、約170万ダルトン、約180万ダルトン、約190万ダルトン、約200万ダルトン、約210万ダルトン、約220万ダルトン、約230万ダルトン、約240万ダルトン、約250万ダルトン、約260万ダルトン、約270万ダルトン、約280万ダルトン、約290万ダルトン、約300万ダルトン、約310万ダルトン、約320万ダルトン、約330万ダルトン、約340万ダルトン、約350万ダルトン、約360万ダルトン、約370万ダルトン、約380万ダルトン、約390万ダルトン、約400万ダルトン、約410万ダルトン、約420万ダルトン、約430万ダルトン、約440万ダルトン、約450万ダルトン、約460万ダルトン、約470万ダルトン、約480万ダルトン、約490万ダルトン、約500万ダルトン、約510万ダルトン、約520万ダルトン、約530万ダルトン、約540万ダルトン、約550万ダルトン、約560万ダルトン、約570万ダルトン、約580万ダルトン、約590万ダルトン、約600万ダルトン、約610万ダルトン、約620万ダルトン、約630万ダルトン、約640万ダルトン、約650万ダルトン、約660万ダルトン、約670万ダルトン、約680万ダルトン、約690万ダルトン、約700万ダルトン、約710万ダルトン、約720万ダルトン、約730万ダルトン、約740万ダルトン、約750万ダルトン、約760万ダルトン、約770万ダルトン、約780万ダルトン、約790万ダルトン、約800万ダルトン、約810万ダルトン、約820万ダルトン、約830万ダルトン、約840万ダルトン、約850万ダルトン、約860万ダルトン、約870万ダルトン、約880万ダルトン、約890万ダルトン、約900万ダルトン、約910万ダルトン、約920万ダルトン、約930万ダルトン、約940万ダルトン、約950万ダルトン、約960万ダルトン、約970万ダルトン、約980万ダルトン、約990万ダルトン若しくは約1000万ダルトンの平均分子量、又は任意の2つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の重量を有する、条項166又は167に記載の方法。
【0343】
条項169.前記架橋ヒアルロン酸の前記ヒアルロン酸が、少なくとも2つの異なる分子量を含むヒアルロン酸成分の混合物を含む、条項166~168のいずれか一項に記載の方法。
【0344】
条項170.前記コラーゲンが、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、条項166~169のいずれか一項に記載の方法。
【0345】
条項171.前記組成物によって注入された前記組織が、周囲組織からの細胞に浸潤することによって、前記組成物への組織一体化及び前記組成物内のコラーゲン沈着を有することが示される、条項166~170のいずれか一項に記載の方法。
【0346】
条項172.前記組成物によって注入された前記組織が、前記組成物の注入後に前記組成物への組織一体化及び前記組成物内のコラーゲン沈着を有することが示される、条項166~171のいずれか一項に記載の方法。
【0347】
条項173.前記組成物が、針を通じた向上した押出性を有し、前記針が、27G、28G、29G、30G、31G又は32Gのゲージサイズを含む、条項166~172のいずれか一項に記載の方法。
【0348】
さらなる考察
いくつかの実施形態において、本明細書の条項のいずれかは、独立条項のいずれか1つ又は従属条項のいずれか1つに依存してもよい。一態様において、条項(例えば、従属条項又は独立条項)のいずれかは、任意の他の1つ以上の条項(例えば、従属条項又は独立条項)と組み合わせてもよい。一態様において、請求項は、節、文、句又は段落に列挙された単語(例えば、工程、動作、手段又は構成要素)の一部又は全部を含んでもよい。一態様において、請求項は、1つ以上の節、文、句又は段落に列挙された単語の一部又は全部を含んでもよい。一態様において、各節、文、句又は段落の単語の一部が削除されてもよい。一態様において、追加の単語又は要素が、節、文、句又は段落に追加されてもよい。一態様において、主題技術は、本明細書に記載の構成要素、要素、機能又は動作の一部を利用することなく実施されてもよい。一態様において、主題技術は、追加の構成要素、要素、機能又は動作を利用して実施されてもよい。
【0349】
例
実施された実験及び達成された結果を含む以下の例は、例示目的のみで提供されており、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0350】
例1-ヒドロゲルの調製
ヒドロゲル配合物を調製するために、最初に、HA皮膚充填剤、ブタコラーゲン、水及び10倍PBSを酸性pHで一緒に混合した。10倍PBSを添加して、溶液を等張及び緩衝条件に調整した。次いで、9.1重量%のNaOHを添加し、2回目の混合をすることによって、溶液のpHを約7.4に上昇させた。pHの上昇は、コラーゲンネットワークの自己集合を開始させた(表1)。いくつかの配合物は、混合後にオートクレーブ処理もした。
【表1】
【0351】
例2-不透明度
コラーゲンの添加により、ヒドロゲルは外観が白色になり、次第により不透明になった(
図1)。コラーゲンの自己集合は、光を散乱させてゲルに不透明な外観を与える線維の物理的に架橋したネットワークをもたらした。したがって、ヒドロゲルの不透明度は、患者の注入部位でチンダル効果を生じさせないという透明なHAのみのヒドロゲルを超える利点を提供した。
【0352】
例3-レオロジー特性
HA/コラーゲンヒドロゲルの粘弾性(G’、G’’)を測定するために用いたレオロジー設定は、1mmのギャップ高さに設定された直径25mmの平行プレートからなった。測定温度は、発振周波数5Hz、歪み0.8%で25℃に設定した。弾性率(G’)は、コラーゲン及びHA濃度の増加と共に増加した。G’値は、コラーゲンの存在下ではオートクレーブ処理後に減少したが、コラーゲンの非存在下では減少しなかった(
図2)。
【0353】
例4-膨潤
各ヒドロゲル配合物の膨潤を定量化した。簡潔に述べると、2つの接続されたシリンジを使用して、ヒドロゲル試料(1部)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(7部)と混合した。混合は少なくとも1時間行った。1時間後、ゲル及びPBSを1つのシリンジに移し、遠心分離した(750RCF、10分、室温)。色素を含有するポリマービーズを上清に添加し、シリンジを再びスピンダウンして(50RCF、2分、室温)、ゲル/上清界面を可視化した。総容積に対するゲル容積の変化を使用して、ヒドロゲル材料の膨潤を計算した(
図3)。より高いコラーゲン濃度を有する配合物は、コラーゲンを含有しない同様のゲルと比較して膨潤の減少を示した。
【0354】
例5-凝集性
HA-コラーゲン材料の圧縮力を測定することによって凝集性を定量化し、平行な直径25mmのプレートとしての垂直力の差は、0.8mm/分で2.5mmから0.9mmのギャップ高さに低下した。より高い圧縮力(2.5~0.9mmのギャップ高さの垂直力の変化)を有するゲルは、より凝集性が高いと考えられる。凝集性は、コラーゲンの添加及びより高いHA濃度で増加した(
図4)。コラーゲンを含有するオートクレーブ配合物は、同様のHA濃度を有するがコラーゲンを含有しない配合物と同等の凝集性値をもたらした。
【0355】
例6-押出力
押出力は、27G、1/2インチ針を備えた1mL BDツベルクリンシリンジを用いて100mm/分の速度で測定した。押出力は、コラーゲン含有量と共に増加した(
図5)。オートクレーブ処理後、押出力は、オートクレーブ処理前の同じ配合物よりも低いことが分かった。
【0356】
例7-インビボリフト能力
組織突出(リフト)を支持するヒドロゲルの能力を、ラットの皮下埋込みモデルを用いてインビボで評価した。125μLのヒドロゲル(n=10)を頭蓋骨の上に皮下ボーラスとして注入した。臨床3Dイメージングシステム(Canfield Vectra)を使用して、12週にわたってボーラスの3D再構築を生成した。ボーラスの平均高さは、医用イメージングソフトウェア(Canfield Mirror)を用いて解析した。
【0357】
4~12週の間に測定された一連のNOA架橋HA配合物(コラーゲンなし)及び増加する[HA]のインビボリフト能力は、20mg/mL~24mg/mLのHA濃度と正の相関を示した(
図6)。24mg/mLを超える[HA]を含有する配合物は、リフト能力の増加を示さなかった。さらに、24NOAゲルのリフト能力は、HAのみのBDDE架橋ゲルに匹敵する。
【0358】
4~12週の間に測定された20mg/mL又は24mg/mLのHA及び低濃度のコラーゲン(2.3mg/mL~3.0mg/mL)を含有する一連のNOA架橋HA配合物のインビボリフト能力は、HAゲルへのコラーゲンの混合はリフト能力に影響を及ぼさないことを示した(
図7)。さらに、24NOA2.3ゲルのリフト能力は、HAのみのBDDE架橋ゲルに匹敵する。
【0359】
4~52週の間に測定された24mg/mL HA又は28mg/mL及び高濃度のコラーゲン(6mg/mL~11mg/mL)を含有する一連のNOA架橋HA配合物のインビボリフト能力は、NOAで架橋され、コラーゲンと混合されたゲルは、HAのみの比較対照と同等又はそれより良好な長期リフト能力を示すことを示した(
図8)。さらに、NOA架橋HAゲル又はHA-コラーゲンゲルのリフト能力は、BDDE架橋HAのみのゲルと同等である。
【0360】
例8-ヒドロゲルに対する細胞応答のインビトロ試験
HA-コラーゲンヒドロゲルと密接に接触している線維芽細胞の生存率を定量化した。このアッセイは、細胞酵素によるテトラゾリウム塩の着色ホルマザン生成物への還元を監視することによって、細胞活性を測定する。より高い生存率を示す細胞は、特定の波長でより高い吸光度を示すが、より低い生存率/増殖を示す細胞は、より低い吸光度を示す。吸光度を測定し、陽性対照(組織培養プレート)及び陰性対照(HAのみのヒドロゲル)と比較して、相対増殖値を得ることができる。より大きな細胞生存率を支持するヒドロゲルは、それらの細胞がゲルマトリックス内にECMを沈着させてゲル内により多くの細胞浸潤を誘導すると予想される可能性があり、ヒドロゲルデポーへのインビボ組織一体化に有益である可能性がある。逆に、より低い細胞増殖値をもたらす配合物は、より不活性に挙動し、より少ない組織浸潤及び一体化を可能にするであろう。
【0361】
100μLのヒドロゲル(n=3)を、低接着表面コーティングを有する24ウェル細胞培養プレートの底部に重層し、37℃の加湿インキュベータに30分間入れた。500μLの細胞培養培地中の5万個の成体ヒト皮膚線維芽細胞をヒドロゲル床の上に加え、37℃でインキュベートした。48時間のインキュベーション後、各ウェルにXTT試薬250μLを添加し、37℃で4時間インキュベートした。次いで、プレートを300×gで5分間回転させ、各ウェルからの200μLの上清を20μmメッシュの96ウェルフィルタプレートのウェルに移した。XTT上清を含むフィルタプレートを300×gで5分間回転させた。各ウェルからの100μLの濾過上清を清浄な96ウェルプレート(黒壁、透明底)に移し、上清の吸光度をマイクロプレートリーダで読み取った(630nmバックグラウンド補正で450nm)。陽性対照の組織培養ポリスチレン(TCPS)上で培養した線維芽細胞のXTT細胞生存率に対してデータを正規化した。
【0362】
コラーゲンをHAマトリックスに混合した配合物では、コラーゲンを含有しない配合物よりも細胞活性が高いことが分かった(
図9)。例えば、HAのみから構成されるヒドロゲル(BDDE架橋又はNOA架橋)は、18.9%~21%の細胞生存率値を示した。6mg/mL又は11mg/mLのコラーゲンを添加したヒドロゲルは、28.7%(28NOA11CN)、29.2%(24NOA6CN)又は30.4%(28NOA6CN)の細胞生存率値を示した。
【0363】
上記の細胞活性アッセイに加えて、細胞のサイズ、形状及び細胞骨格組織化に対する特定の配合物の効果をよりよく理解するために、細胞形態解析を実施した。HAのみ又はHA/コラーゲン架橋ヒドロゲル上で培養した線維芽細胞のアクチンフィラメント・アラインメント・インデックス及び形態を画像化し、定量化した。アクチンフィラメントのアラインメントの増加は、細胞の基質への接着の増加と相関する可能性がある。長さ対幅の比の増加は、基質上の細胞伸展の増加と相関する。より大きな細胞接着及び伸展を支持するヒドロゲルは、それらの細胞がゲルマトリックス内にECMを沈着させてゲル内により多くの細胞浸潤を誘導すると予想されるであろう。細胞浸潤及びECM沈着の増加は、ヒドロゲルデポーへのインビボ組織一体化に有益であり得る。逆に、より低い細胞接着及び伸展の値をもたらす配合物は、より不活性に挙動し、より少ない組織浸潤及び一体化を可能にするであろう。
【0364】
典型的な手順において、細胞培養培地中のヒドロゲル(n=3)及びヒト皮膚線維芽細胞を、低接着表面コーティングを有する96ウェル細胞培養プレートに添加した。48時間のインキュベーション後、細胞をホルマリンで固定し、Hoechst、WGA-488及びAlexa Fluor-ファロイジンで染色した。ウェルを共焦点顕微鏡で画像化し、アクチンフィラメント・アラインメント(ファロイジン)及び細胞形態(WGA-488)を画像解析ソフトウェアを用いて解析した。
【0365】
ヒドロゲルを含有するコラーゲンは、ヒドロゲル材料上での改善された細胞接着及び伸展を示す(
図10)。アクチンフィラメント・アラインメント・インデックスは、HAのみ(0.016)と比較して24NOA6CNゲル(0.026)に対してより高い傾向がある。細胞の長さ対幅の比(細胞伸展)は、HAのみのヒドロゲル(1.28)よりも24NOA6CNヒドロゲル(1.41)において有意に高い。
【0366】
細胞形態解析は、活性アッセイにおいてHAのみのゲルよりも高い活性を示した24NOA6CN配合物が、形態アッセイにおいて細胞接着及び伸展の増強の証拠も示したという点で、XTT細胞活性アッセイと良好に相関した。
【0367】
例9-インビボ組織一体化
ラットの皮下埋込みモデルを用いて、一連の配合物のインビボ組織一体化を評価した。典型的な手順において、125μLのヒドロゲルをラットの背側面に皮下ボーラスとして送達した。4又は12週後に、ボーラスを外植し、ホルマリンで固定し、組織学的検査のためにパラフィンに包埋した。組織切片をヘマトキシリン&エオシン(H&E)及びコロイド鉄で染色した。外因性ブタコラーゲンと反応しない抗体を用いて、ラットI型コラーゲンの免疫組織化学染色を行った。
【0368】
20mg/mLのHA(20NOA)及び3mg/mLの添加されたコラーゲンを含有する配合物は、注入したヒドロゲルボーラスに見られる線維芽細胞による新たな宿主コラーゲン沈着によって判断されるように、4週後に注入した充填剤への細胞浸潤及び組織一体化の増強を示した(
図11)。
【0369】
28mg/mL HA(28NOA)を含有する配合物は、4週後にヒドロゲルボーラスの内部の封入を示した(
図12)。最大11mg/mLのコラーゲンの添加は、ヒドロゲルボーラスの周囲の組織一体化/コラーゲン沈着を改善したが、封入を妨げなかった。これは、組織一体化を妨げる可能性があるHA濃度に上限があることを示している可能性がある。
【0370】
24mg/mL HA(24NOA)を含有する配合物は、4週後にヒドロゲルボーラスの大部分を通して組織内殖及びコラーゲン沈着を示した(
図13)。コラーゲンの添加は、用量依存的に組織一体化を改善するようであった。24NOA6CNゲルは、ヒドロゲル粒子を取り囲む堅固な新しいコラーゲン沈着を示した。
【0371】
24mg/mL HA及び6mg/mLコラーゲン(24NOA6CN)を含有する配合物は、皮下埋込みの4~12週で組織一体化/コラーゲン沈着の改善を示した(
図14)。24NOA6CN配合物の組織一体化は、BDDE架橋HAのみのゲルよりも実質的に改善されたようであった。重要なことに、この混合ゲル配合物(24NOA6CN)はまた、高リフトBDDE架橋HAのみのゲルと同様のリフト能力を示した。24NOA6CN配合物は、容積損失の補正及び組織一体化の増強に適したリフト能力の組合せを示した。これは、最初の容積補正に次いで、自然な外観/感触及び効果の持続時間の増加という臨床的利益をもたらす可能性がある。
【0372】
ラットへの皮下注入後のヒドロゲルボーラスの組織一体化を評価するために、半定量的組織病理学的スコアリングシステムを開発した。簡潔に述べると、盲検病理学者が、H&E染色切片に基づいて、組織内殖の密度(0=最悪、5=最良)、組織帯の厚さ(0=最悪、5=最良)、及びボーラスの組織充填(-5=充填なし、0=組織で充填されたボーラス)をスコア化した。これらの3つのスコアを組み合わせて、最も高度に一体化された配合物については10、最も一体化されていない配合物については-5の合計スコアを付した。このスコアリングシステムを用いて24NOA6CNゲルの組織一体化を定量化し、BDDE架橋HAのみのゲルと比較した(
図15)。24NOA6CNの一体化は、4週目のHAのみのゲルと同等であった(それぞれ2.33及び2.5)。24NOA6CNゲルの一体化は、12週間後にHAのみのゲルよりもスコアが高かった(それぞれ5.17対2.83)。HAのみのゲルは本質的に同じままであったが、24NOA6CNゲルの一体化は経時的に改善されたことに留意することも重要である。これは、HA-コラーゲン混合ゲルによる経時的な改善効果を示している可能性がある。
【0373】
本明細書における複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切であるように、複数から単数へ、及び/又は単数から複数へと変換することができる。様々な単数/複数の置換は、明確にするために本明細書に明示的に記載される場合がある。
【0374】
一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、一般に「オープン」用語(例えば、「含む(including)」という用語は「限定されるものではないが、~を含む」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも、~を有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「限定されるものではないが、~を含む」と解釈されるべきである、など)として意図されることが当業者によって理解されよう。特定の数の導入された請求項の列挙が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の列挙の導入が、そのような導入された請求項の列挙を含む任意の特定の請求項を、同じ請求項が導入句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び「a」若しくは「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合であっても、1つのそのような列挙のみを含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用についても同じことが当てはまる。さらに、特定の数の導入された請求項の列挙が明示的に列挙されている場合でも、当業者は、そのような列挙が少なくとも列挙された数を意味する(例えば、他の修飾語を含まない「2つの列挙」の無修飾の列挙は、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)と解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその慣例を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、及び/又はAとBとCとを一緒に有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその慣例を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、及び/又はAとBとCとを一緒に有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の離接的な単語及び/又は句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれかにかかわらず、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきであることが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びBの可能性を含むと理解されるであろう。
【0375】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されていることを認識するであろう。
【0376】
第1~第6の態様の実施形態の特徴のいずれも、本明細書で特定されるすべての態様及び実施形態に適用可能である。さらに、第1~第6の態様の実施形態の特徴のいずれも、任意の方法で本明細書に記載の他の実施形態と独立して、部分的に又は全体的に組み合わせることができ、例えば、1つ、2つ、又は3つ以上の実施形態を、全体的に又は部分的に組み合わせることができる。さらに、第1~第9の態様の実施形態の特徴のいずれも、他の態様又は実施形態に対して任意選択的にすることができる。