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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】演色
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20240501BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240501BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G06T11/80 A
G06Q30/0601 340
G06T1/00 510
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022541824
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021014784
(87)【国際公開番号】W WO2021151015
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】62/964,571
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/155,076
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522270262
【氏名又は名称】コルビー リディア エー.
(73)【特許権者】
【識別番号】522270273
【氏名又は名称】コルビー マイケル ケー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルビー リディア エー.
(72)【発明者】
【氏名】コルビー マイケル ケー.
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-096333(JP,A)
【文献】特開2004-015522(JP,A)
【文献】特開2019-179432(JP,A)
【文献】特開2006-254309(JP,A)
【文献】特開2002-135604(JP,A)
【文献】特開2018-106268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
G06Q 30/0601
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取るユーザーインタフェースを提供することであり、物的色基準をとらえた画像は、第1の周囲光でとらえられ、ユーザーインタフェースは、物的色基準をとらえた画像と物的色基準に基づく特定の場所の物理的物体との肉眼での比較に基づいて、物的色基準をとらえた画像に対する変更を受け取るように構成されている、提供することと、
該ユーザーインタフェースを介して、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取ることであり、ユーザ選択を、物的色基準をとらえた画像と特定の場所の物理的物体との肉眼での比較に基づいて受け取り、特定の場所の物理的物体は第2の周囲光にあり、第2の周囲光は第1の周囲光と異なっている、受け取ることと、
該ユーザーインタフェース又は別のユーザーインタフェースを介して、受け取った該ユーザ選択に基づいて、物的色基準をとらえた変更済画像を提示することであり、物的色基準をとらえた変更済画像は、該ユーザ選択を介して、物的色基準をとらえた画像よりも正確であるか又は第2の周囲光に似つかわしいことが可能にされる、提示することと、
該受け取った選択又は該物的色基準をとらえた画像への変更に基づいて、該物的色基準をとらえた画像を取り込んだ場所柄と同じ場所柄で取り込んだ品物や場面の画像に変更を加えることと、
該品物や場面の変更済画像を、拡張現実インタフェース内でリアルタイムに提示又は記録することと、
を含む方法。
【請求項2】
該ユーザーインタフェースを提供することにより複数の選択可能な制御要素を提供し、該複数の選択可能な制御要素のそれぞれが、該物的色基準の異なる表現で提示されることを特徴とし、該ユーザ選択を受け取ることに、複数の選択可能な該制御要素のいずれかの選択が含まれることを特徴とし、且つ物的色基準の様々な表現を決定することを更に含む方法であり、該決定には、
物的色基準をとらえた画像の一部分を、以前記録した物的色基準の画像又は物的色基準の写しの中の一致する色であり、該以前記録した物的色基準の画像又は該物的色基準の写しにおける位置が既知であ色と相互に関連付けることと、
該既知の位置について記録された色情報に基づいて、該物的色基準をとらえた画像の該部分の実際の色が決定されることと、
該部分の実際の色に基づいて該物的色基準の異なる表現が決定されることが含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以前に記録した物的色基準の画像又は該物的色基準の写しが較正によって決定され、該較正が、該ユーザーインタフェースを提示する表示部の較正を目的とした選択可能な比較に基づくことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
物的色基準をとらえた画像と品物や場面の画像が、同一の取り込み画像内に存在することを特徴とし、且つ、該物的色基準をとらえた画像への変更と該品物や場面の画像への変更が同時期に行われる同一の工程であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ユーザが物的色基準をとらえた画像の色の変更に関する選択を制御要素の操作を通じて手動で行ったときにそのユーザ選択を受け取ることが、ユーザーインタフェースにより可能となることを特徴とし、且つ該物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取ることには、物的色基準をとらえた画像の色相や彩度(鮮彩度・飽和度)や明度又は輝度の変更が含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
該物的色基準の変更による色の変化を記録することを更に含み、該変化の記録が、将来画像をより正確に又はより似つかわしい状態で提示するために行う該将来の画像に対する将来の変更において効果を奏することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
別の品物や場面の別の画像、同じ場所柄で取り込んだ他の品物や場面の他の画像に対して自動的に変更を加えることを更に含み、該自動変更が、物的色基準をとらえた画像又はユーザの選択と該物的色基準をとらえた画像の変更後の状態との間の違いに基づくことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
品物や場面が化粧品であり、その物的色基準が人間の皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が衣料製品であり、その物的色基準が人間の髪の毛や皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が風景であり、その物的色基準が屋外の場所に見られる色の範囲を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特定の場所の物理的物体は、物的色基準である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
特定の場所の物理的物体は、ユーザの解剖学的組織の一部であり、ユーザの解剖学的組織の一部は、物的色基準の特定の位置に関連付けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ユーザの解剖学的組織の一部は、ユーザの肌である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
物的色基準内の既知の位置における既知の色を含む物的色基準の画像を受け取ることと、
品物や場面の画像と物的色基準の画像を同一の画像、又は同時期に取り込んだ別々の画像、又は同じ場所柄でとらえた別々の画像であることを特徴とする品物や場面の画像を受け取ることと、
該品物や場面の画像に示されている品物や場面の一部分を、物的色基準内の一致する色であり該物的色基準上の位置が既知であ色と相互に関連付けることと、
既知の位置について記録した色情報に基づいて品物や場面の該部分の実際の色を決定することと、
記録した色情報と、品物や場面の該部分の位置を記録すること、またかかる記録を使って、該品物や場面の画像の将来的な演出において、拡張現実インタフェース内でリアルタイムに正確な又は似つかわしい色を正しく表す際に効果を奏することと、
を含む方法。
【請求項13】
該品物の相互関連付けが、品物や場面の画像の複数の部分を物的色基準の既知の色と共にサンプリングすることを含み、且つ、該サンプリングに基づき一致するものが見つかったときにそれに対応する部分が相互関連付けの対象となることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
品物や場面の画像を受け取ることと、
記録されている色情報と品物や場面の一部分の位置を受け取ることであり、該記録されている色情報により且つ該品物や場面上の一部分の位置において、該品物や場面の該位置における該部分の正確な色又はそれに似つかわしい色が示されることを特徴とすることと、
該品物や場面の画像内の品物や場面の該部分の色と、該記録されている色情報の色との違いを判定することと、
判定された色の違いに基づいて該品物や場面の画像に変更を加えることと、
該品物や場面の変更済画像を記録又は演出することと、
を含む方法。
【請求項15】
該記録されている色情報により及び該位置において、該品物や場面の該位置における該部分の正確な色が示されていることを特徴とし、且つユーザが自分から見える地点の特定の場所における物的色基準に基づいて該地点の周囲照明条件に対する該品物や場面の変更済画像の似つかわしさを改善するのに効果的である更なる変更を、該品物や場面の変更済画像の演出に加えるために行うユーザの選択をユーザーインタフェースを介して受け取ることを更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該品物や場面の変更済画像の演出に自動的に加えることを更に含み、該自動的な変更が、該変更済画像を演出する表示部の較正に基づいて行われ、該品物や場面の変更済画像を表示部に演出したときに当該演出の精度又は似つかわしさを改善するのに効果的であることを特徴とし、且つ該表示部の較正が該ユーザーインタフェースを提示する表示部の較正を目的として先に行った選択可能な比較に基づくことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該品物や場面の該部分は、ユーザの解剖学的組織の一部であり、該記録されている色情報は、特定の場所における物的色基準に基づいている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ユーザの解剖学的組織の一部は、ユーザの肌である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該品物や場面の画像を記録することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
該受け取った記録されている色情報は、ユーザの解剖学的組織の画像を含み、該品物や場面の該部分の位置は、該ユーザの該解剖学的組織を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
色の違いを判定することと、該品物や場面の画像に変更を加えることと、該品物や場面の変更済画像を記録又は演出することとを、ユーザデバイス上で行う、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
該ユーザデバイスは、ラップトップコンピュータ、タブレット式コンピュータデバイス、スマートフォン、デスクトップコンピュータおよび電子書籍リーダのうちの一つである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該品物や場面の画像に変更を加えることを、全てまたは部分的に、ユーザによる操作を伴わずに自動的に行う、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法を行う手段を備えるシステム。
【請求項25】
コンピューターデバイスであり、
表示部と、
プロセッサと、
プロセッサにより実行されると、それに応じて請求項1から23のいずれか一項に記載の方法を該コンピューターデバイスに行わせる諸指示を含むコンピュータ可読記憶媒体と、
を備えるコンピューターデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
品物をオンラインで表示したり、郵便物として送付されるカタログの紙面で見たりするときに、品物の真の姿が正しく演出されていないことがある。例えば、紙面によるカタログで販売されているオフホワイトの椅子があるとする。買手が、当該の椅子をオフホワイトの色で購入したいと考えているが、表示されている色が自分の現在のオフホワイトの室内装飾に一致するか確信がないために、結局購入しない、という状況が発生する。これは売手にとって収益の機会を逃すことになるだけでなく、買手もその椅子を所有することで得られる利点を享受する機会を逃すことになる。それどころか、買手が自分の室内装飾に一致すると思い込んで椅子を購入したが、配送後に一致しないことに気付く、といった状況に陥る場合もある。このような場合、該買手又は売手が返品の送料を支払わなければならず、また、両者ともが返品の処理を行うために時間と労力を費やさなければならない。カタログや同類の紙面上での品物の演色が正確でないために生じる上記のような不具合は高額な出費につながる。
【0002】
演出(例えば、品物の画像の描写など)の精度については、通常、カタログでの演出よりもオンライン販売での演出の方が低い。多くの場合、色の演出は画像取込装置と画像演出装置に依存しており、かかる装置はいずれもが色の誤差を伴い得るため、結果として演色が不正確になりがちである。このように演出が正確でないために、品物が実際の色と僅か又は大幅に異なる色調で表示されることがよくある。このような不具合にのみ基づく返品問題が頻繁に発生し、買手への商品の送料と買手からの返品の送料による膨大な額の損失や、買手の不満、更には買手と売手の両者にとって時間と金銭の損失をもたらしている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ウェブサイトや印刷冊子(色付きカタログなど)を通じて販売される商品などの品物や場面の演色を向上するように構成された方法やシステム且つ又はソフトウェアに関するものである。この演色の向上は、ユーザのノートパソコンやスマートフォン又はデスクトップコンピュータなどでウェブページを表示して品物をオンラインで演出する際の精度を向上させることで実現できる。また、本開示は、品物の正確な演出や買手の意図する品物の用途に合わせてカスタマイズした演出などが望まれるオンライン販売の分野における多くの問題を解決する方法に関するものである。更にまた、本開示は、印刷された状態の品物の画像をユーザのデバイスのカメラで取り込んでから元の印刷表示状態よりも正確に又は似つかわしい状態で表示するなど、印刷された状態の品物の演色をユーザのデバイスの使用を通じて向上させる方法についても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本出願書には色付きの図面が少なくとも1つ含まれている。色付き図面(複数可)の写しは、依頼に応じ且つ所要手数料の支払を以って、米国特許商標庁より入手可能である。機械学習による絞り込み検索を可能にする技術とデバイスの態様について、以下の図を参照しながら説明する。各図面を通じて同様の特徴や構成部分に対しては同じ参照符号を付している。
図1】演色技法を実装できる環境の例を示す図である。
図2】品物の画像と物的色基準を備えるユーザーインタフェースの例を示す図である。
図3】一式のスライダ式制御要素の初期状態と、その下に連続して行われる2種類のユーザ選択、及びそれによる品物と物的色基準の変化を示す図である。
図4】品物や場面の精度又は似つかわしさを向上させる方法の例を示す図である。
図5】ユーザーインタフェースを使って選択できる様々な輝度の選択肢を示す図である。
図6】9種類の色相・輝度レベルの範囲をユーザーインタフェースで表示した状態を示す図である。
図7】本技法により、カラーマッチング法を用いて、品物や場面の現在又は将来の演出の精度や似つかわしさを向上させる方法の例を示す図である。
図8】品物、及び該品物上又はその近くで取り込んだ物的色基準、並びに既知の色とその位置を示す正確な又は補正済みの色基準を示す図である。
図9】当該技法により、品物や場面の演出をより正確に又は似つかわしい状態で行う方法の例を示す図である。
図10】品物の画像と物的色基準を表示した拡張現実インタフェースと、ユーザの地点を示す図である。
図11】当該技法により、売手が商品などの品物や場面の画像をより正確に演出できるようにする方法の例を示す図である。
図12】当該技法により、買手や他の視聴者が品物や場面を含む画像を電子形式(電子メール、テキストメッセージ、ソーシャル媒体、ウェブページなど)にて、或いは印刷したときに、より正確に又はより似つかわしく演出できるようにする方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の概観
本開示は、演色の向上を図るように構成された方法やシステム且つ又はソフトウェアに関する。例えば、カメラで撮った家族などの写真や、ウェブサイトを通じて提供される商品やプレゼンテーション、又は色付きカタログなどの印刷冊子に掲載される商品やプレゼンテーションなどにおける演色が挙げられる。本技法では、ウェブページを表示するユーザのノートパソコンやスマートフォン又はデスクトップコンピュータなどの様々な手段による演出を向上させ、それによってオンラインで品物を演出する際の精度を向上することが可能になる。また、本開示は、品物や場面の正確な描写が望まれるオンライン演出の分野における多くの問題を解決する方法に関する。更にまた、本開示の技法によって、買手の意図する品物の用途に合わせてカスタマイズした演出なども可能になる。また、本開示は、印刷された状態の品物の画像をユーザのデバイスのカメラで取り込んでから元の印刷表示状態よりも正確に該デバイスの表示部に表示するなど、ユーザのデバイスの使用を通じて、印刷された画像に含まれる品物の描写を向上させる方法についても説明する。
原画像が正しく取り込まれていない場合
【0006】
品物や場面の原画像が正確に取り込まれていない場合がある。そのため、商品を販売するためにウェブサイトに表示したり、商品の画像を印刷用に提供したりする前にその商品の画像が既に不正確な場合がある。本開示に記載の技法は物的色基準を利用して精度を向上させる。この物的色基準は、取り込んだ画像の色を照合する手段を提供する。このように物的色基準を利用するには、品物の画像をその物的色基準と共に取り込む。これは、品物を撮った画像内、又はそれと同時期に撮った画像内、若しくは同一の又は類似した周囲条件で撮った画像内の物的色基準を使用して行うことができる。売手などの画像提供者は、物的色基準を採用することにより、表示されている物的色基準と、自分の目で知覚できる該物的色基準とを比較しながら取り込まれた画像に変更を加えることができる。これは、人間が行うものであるため、新たな誤差が追加される可能性があるものの、物体から実際に放たれる反射光(反射光の測定可能な実際の物理特性)と人間の知覚によるものとの間の誤差並びに差異を補正することも可能である。
【0007】
物的色基準は、複写したり標準化したりできるものであり、実のところ、品物と共に撮像した実際の物的色基準と同じものであり得る。或いは、物的色基準に関する演出やデータを保存するコンピュータプログラムを用いても物的色基準を取り込むことができる。いずれにせよ、又はどちらの場合においても、物的色基準を採用すると、品物や場面の画像の精度を向上できる。その結果、売手などの画像を撮影する側のエンティティ(実在する者又は物)は変更・改善済みの画像をウェブページやプリンタに提供できるようになる。本開示に記載の技法により、品物や場面の描写の精度が向上するので、以降、最終的にその他のエンティティ(例えば、該場面の視聴者や該品物の買手など)に対して表示する際にも該品物の演出を自然に向上し得る。
【0008】
更に、本技法による物的色基準の採用では、物的色基準用に記録されている色情報を利用して自動的に品物や場面の画像を補正できる。以下、これらの技法について更に詳しく説明する。
不正確な又は似つかわしくない演出
【0009】
カラー画像を紙面や表示部に演出する際、正確に演出されない理由が数多く存在する。前述したように、品物や場面の画像が正確に取り込まれなかったことが元の原因となることもあるが、それが唯一の問題とは限らない。
【0010】
売手が、色を正確に取り込めないカメラで、又は通常の周囲光とは異なる色で商品が写し出される周囲光(例えば、蛍光灯に照らされたスタジオで画像を撮影したときや、屋外での使用を予定する商品を屋内で撮影したときなど、普通とは異なる自宅の照明や太陽光など)で商品の原画像を撮影したとする。
【0011】
このような場合、原画像に写っている商品は、別の周囲条件で見た場合を想定した該商品の外観に似つかわしくない。例えば、買手がその商品の利用を予定している場所(例えば、屋外家具の場合は屋外、屋外・屋内用衣類、絵画やクッションやじゅうたんの場合は屋内など)で見た状態の外観と異なる。前述したように、原画像は、たとえ照明の違いによる誤差がなくても、表面上更に精度を損なう場合がある。
【0012】
本開示に記載の技法では、この欠陥を是正する手段として物的な色基準を提供する。この物的色基準は、演出される画像の色を、画像の演出と同時期に、又は事前に行った較正(これについては後述で詳しく説明する)を通じて照合する手段を提供する。この物的色基準を利用するために、売手などの撮影する側のエンティティは、品物の画像を物的色基準と共に取り込む。前述のように、これは品物を撮った画像内に含まれる物的色基準を使って行い得る。(但し、品物の描写空間が込み合わないように、物的色基準を伴う演出要求があるまで物的色基準を表示せず、ウェブページからの要求に応じて画像から摘出して提供することもできる)。
【0013】
更に詳しく説明するために、明るい青緑色のシャツの場合を想定する。シャツの色は、必ずと言ってよいほど買手にとって重要な要素である。従って、売手が当該シャツの正確な画像又はそれに似つかわしい画像を撮影できたかどうかを推測したり、若しくは買手自身の表示部が色を正確に表示できるかどうかを推測したりするのではなく、むしろ売手が物的色基準を使ってシャツの画像を取り込み、その後、正確な演出を試みる機会が買手に更に与えられる。なお、本開示で用いられている「正確」・「精度」(accurate)という用語は、品物を画像として演出した際に、当該品物の色が、撮影時点における該品物の実際の外観と比較して正確に表されていることを指す。一方、「似つかわしい」(congruent)とは、原画像を撮影した所と同じ又は異なる別の地点で当該の品物がどのように見えるかに関する言葉である。かくして、ユーザは精度や似つかわしさ、時には両者の組合せを求める場合がある。買手は、商品を購入する際、カタログやウェブサイトに正確な商品の画像が提示されていることを望む。また、品物の画像は、ユーザがカタログや表示部を見ている場所柄を想定した姿と同じように表示することが望ましい。本開示で詳述するように、ユーザは、自分の周りの環境や照明、更には照明角度などが品物に反映されるように該品物や場面の画像に変更を加えて表示することを望む場合がある。また、似つかわしさはあまり重要でないが正確な演色を望むこともよくある。
【0014】
前述のように、(物的色基準は複写又は標準化可能であるため、コンピュータプログラム又は人或いはその両者の助けを借りて取り込んだ画像の較正に使用できるので、)売手は物的色基準に基づいて取り込み画像に変更を加えることができ、よって、変更・改善済みの画像をウェブページ又はカタログ用プリンタに供給できる。これは、最終的に買手に対して演出する画像を改善する一環における部分的な解決策である。前述したように、これは、ウェブサイトや色付きカタログその他での演出において画像(ここでは青緑色のシャツ)の色をより正確に表示する場合などに当てはまる。
【0015】
第二に、売手は、物的色基準に基づいて取り込み画像に変更を加えるか否にかかわらず、物的色基準をシャツやその他品物の画像と共に取り込み提供することができる。従って、最終的に買手に対して演出する画像では、たとえ買手側の表示部(例えば、買手のスマートフォンに表示されるウェブサイト内の品物の表示や、買手のカメラでとらえたカタログ内の品物の表示)であっても、その物的色基準を表示したり、それにアクセスしたりできる。画像を撮影した時とは別の時点で物的色基準用の画像を取り込むと、潜在的な誤差が発生してしまうため、物的色基準を画像内に同時に且つ又は該画像を取り込んだ時と同じ又は類似した条件下で取り込んだ方が、撮った画像を補正する機能が高まる(但し、前者の場合でも、同じ又は類似した周囲光で、且つ同じ又はほぼ同じ画像取込装置を使って行った場合は、物的色基準により演色を改善できる。)
【0016】
この例において、本技法では、品物の画像と物的色基準(同じ取り込み画像内の物的色基準など)を使用して、品物のトゥルーカラー(真の色彩)を正確に示すように画像を補正できる。ここで、トゥルーカラーには少なくとも正しい色相(赤、緑、青など)が含まれるが、本技法では補正を通じて、正確な明度や彩度(クロミナンス、鮮彩度、飽和度)及び輝度もトゥルーカラーに含み得る。そうするために、買手のコンピュータ上のアプリケーションなどによって、画像内の物的色基準を別の物的色基準(演出装置からアクセス可能な色基準や、物的色基準を物的媒体に正確に複写したコピーなど)と比較することも可能である。本技法では、品物の色(例えば、色相や彩度〈鮮彩度・飽和度〉や明度且つ又は輝度など)及びその他属性の演色も同様に、該品物と共に撮像して取り込んだ物的色基準を買手の物的色基準(買手自身の場所柄を想定した物的色基準など)に一致する又はほぼ一致するように演出するための補正に基づいて変更を加える。
【0017】
例えば、画像の物的色基準が正しく(正確に又は似つかわしい状態で)描写されていない場合など、画像を演出する側の者のデバイス上のアプリケーション(買手のスマートフォンなど)により画像の物的色基準に一致するように画像の色を変更し得る。これは、買手のスマートフォンで演出される物的色基準が、演出する側の場所柄で品物を見た場合を想定した画像内の物的色基準と一致するまで、品物全体の画像と色基準に変更を加え、それによって品物の色を補正する際に効果を奏する。撮像した物的色基準を、実際の物的色基準に応じて適切に描写できれば、品物の描写も適切になる。これは、品物と撮像物的色基準の両方に対して色の変更を一度に行えるからである(必須ではないが、個別に実行するよりも容易になる)。かくして、撮像した品物と物的色基準の赤/緑のバランスが悪い又は青が少なすぎる場合を想定した場合、該アプリケーションを使って、撮像した物的色基準が適切に描写されるまで(例えば、視聴者に対して同じように見えるまで)、特定の場所の物的色基準に一致するようにバランスを取り戻すことができる。撮像した物的色基準が適切に描写されている場合は、品物の色も(以前より更に)適切に描写される。
【0018】
更に、本技法では、表示部の種類や年齢並びに各設定などの情報に基づいて、ユーザの表示部に正しい色が表示されるかどうかを確認できる。本技法では、その後、正しい物的色基準と買手のデバイスでの色の一致状態に基づいて、表示されている画像に変更を加えることも可能である。物的色基準の画像(例えば、デバイス自体のカメラを使用して得た、又は提供されたものを受け取ることにより得たもの)を演出してから、デバイスの設定又は前述の如く肉眼での目視比較により該基準に一致するように表示部を較正することによって、かかる買手のデバイスの誤較正も補正可能である。このようにすることで、本技法では、場面や品物の適切な描写が望まれる場合に、表示部の設定をどのように変更すればよいかを記録できる。なお、多くのデバイスは、ブルーライト削減や、夜間表示用の減光、消費電力の節約を目的とした表示部の変更など、意図的に場面の正確又は適切な描写を妨げるように較正されていることに留意されたい。
【0019】
更に詳細に説明すると、本技法では、ある色(ここでは物的色基準の一部又は全ての色)の画像を撮り、デバイスのユーザに表示して、表示された色を一致するようにユーザに較正させる、などの較正シーケンスも実行する。画像のより正確な演出を実現するには、この処理を異なる色や照明で数回行えばよい(品物や場面の演出ごとに物的色基準の比較を行わなくてもよい)。
周囲光の色に合わせた調整
【0020】
本開示の技法は、異なる周囲光(の色や角度など)の問題も解決する。例えば、撮影する側のエンティティが画像を正確にとらえ、且つ他者の表示部上の画像が正確に表示されているとしても、これは、撮影する側のエンティティ(売手自身の目など)で品物を結像したときにその品物が通常の人間の目に見える姿と一致することを意味するのであって、その後で演出を行うエンティティによる同品物の演出(買手による買手の表示部での演出など)が、該買手の現在の周囲条件下における姿に似つかわしいとは限らない。
【0021】
買手がある商品をスマートフォンで検討しているとする。この例では、かかる商品が買手の表示部に正確に演出されていると仮定する。但し、正確に演出されていても、買手が当該商品の配置を検討している状況とは異なり得る。以下、オフホワイトの椅子の例に戻って説明する。品物の画像を撮影したときの光は、明るい青白色の光(つまり、自然光ではない光)であった、又は、自然光の波長光で品物の画像を取り込んだが、買手の家は白熱電球(淡黄色)や蛍光灯又は発光ダイオード(LED)の光で照明されていると仮定する。いずれの場合も、買手のスマートフォンの演出では、買手が現在位置する場所又は買手が品物(この例ではオフホワイトの椅子)を配置したい場所の実際の周囲条件で該品物を見た場合を想定した色で適切に描写できない。このような場合、品物を適切に描写するには、撮影時点における品物や場面の色の精度ではなく、むしろ周囲の条件に基づいて描写する。
【0022】
本技法では、買手の表示部に演出される画像を、買手の場所柄で見た場合を想定した姿を示すように適切に描写できる。そのための方法の一つとして、カメラ(スマートフォンなど)によって周囲の条件を検知する(光の波長や強度などの色成分について周囲光のスペクトル分析を行う)方法が挙げられる。これは、スマートフォンのカメラ又はその他のセンサーを使用して、現在の周囲光の波長特性(波長、エネルギーなど)や色特性を求めることにより行える。本技法では、かかる情報を用い、現在の周囲光と画像を撮影した周囲光(既知の場合)との違い、又は少なくとも品物の画像が撮影されたと推定・予測される周囲光との違いを考慮してスマートフォンでの品物の演出に変更を加える。
【0023】
例えば、ブルーライトの強い環境で品物の画像を撮影したために特に青色が多く染み込んだ画像になってしまった場合、本技法によって青色の強度を弱めた状態で該品物の画像を演出できる。同様に、周囲光が蛍光灯によるものである場合(ここでは、演色評価数〈CRT:Color Rendering Index〉が比較的低いと仮定する)、本技法によって、スペクトル差(一部の蛍光灯による光によって画像中の物体の赤が薄すぎる状態など)を補正できる。また、白熱灯による照明の場合は、演出後の画像から黄色を減らすように調整する(相関する色温度CCTが2700Kと仮定した場合)。スマートフォンや他のデバイスのセンサーを使用することも可能であるとともに、品物の画像に関する情報(原画像の取込時の画像や以後変更を加えた画像における品物の既知の又は想定できる周囲環境)を使用することもできるが、本開示に記載のその他の方法も周囲条件に合わせて演出に変更を加える際に役立つ。
【0024】
但し、品物に関する画像を物的色基準と共に取り込むと、演出を行う側のエンティティ(買手など)が物的色基準を有する(又は有していた)と仮定した場合、品物の画像の現在の演出に対して、物的色基準(品物の原画像と共に取り込まれたもの並びに買手が有するもの)が一致するように変更を加えることができる。そうすることで、買手の条件に似つかわしい状態で品物を買手に対して演出できる(但し、かかる似つかわしさは、厳密に言うと、その他の演出状況では精度が低いと見なされる場合もある)。例えば、買手のスマートフォンでの演出により、撮影した品物を正確に表すことができても、それは買手が望むものではない場合がある。買手は、例えば実際に見た場合や、少なくとも自分を取り巻く周囲の条件に合わせて演出した姿など、その場で商品を見た場合を想定した姿を確認したいと願うことがある。
【0025】
本技法によると、(買手のカメラ且つ又は表示部が本開示に記載の如く正しく較正されていることを前提とした場合、)かかる調整を、買手のデバイスによる物的色基準の実際の演出に基づいて自動的に行える。或いは、本技法によってユーザに提供されるインタフェースにより、ユーザは、品物及び該品物と共に取り込まれた物的色基準を、撮像された物的色基準と目視比較するための他の物的色基準と一緒に見ながら、それに基づいて(又は本開示に記載の如く自動的に)、演出されている品物の画像に変更を加えることができる。かくして、該ユーザーインタフェースは赤・黄・青の色相、並びに彩度(飽和度)や輝度(及び色のその他の属性)を提示できるので、ユーザはそれぞれを変更して、当該買手の目による知覚に基づいて該2種類の基準が一致するまで調節できる。(但し、かかる属性は、本技法によって選択・変更可能な数ある色の要素のほんの一部にすぎない)。また、人間の目による知覚は、光に関する技術的実測値といささか線形的には一致しないこともあるため、本技法では、各個人による色の知覚の仕方における違いも補正する。
周囲の輝度且つ又は光度に合わせた調整
【0026】
本技法では、画像を取り込んで又はそれに変更を加えて演出したときの光と周囲光の色相との差があるために周辺光の色相を補正することに加えて、周辺の輝度を補正することもできる。同様に、前述の如く、この技法では、品物の画像を周辺の輝度に一致するように演出できる。販売されている多くの商品の撮影は、買手がその品物を使用する予定の条件と比べた場合に極めて明るい照明で行われる。よって、その画像は、正確に取り込めたか又は演出できたかどうかにかかわらず、買手の現在の輝度に似つかわしくない状態で提示されるが、上記同様、本技法では輝度の違いも補正する。ここでは、買手の既存のソファで使用するクッションなどの装飾品の例を挙げて説明する。かかるクッションは、通常、高輝度の環境で、多くの場合白色の背景を使って撮像される。よって、本技法では、演出されるクッションの画像の輝度(及びその他の光の指標)を、周辺光の輝度と一致するように低減し得る。そうすることで、演出を行う側のエンティティ(ここでは買手)が、品物や場面の演出を適切に描写できるようになる。
拡張現実
【0027】
引き続き上記クッションの例を使って説明する。周辺光の色相に青が若干強すぎる高輝度環境で、買手の茶色のソファと一致しない別のソファの上に当該クッションをおいて、クッションの原画像を撮影したとする。従来の慣例によると、買手がクッションを購入する決定を下す前に、通常、1)画像が正確に撮影されたものであることを信頼すること、2)買手のデバイスによって画像が正確に演出されていることを信頼すること、3)頭の中で周囲の照明の違い(赤、緑、青など)を補正しながら実際の状況において「大体どのように見えるかを推測」すること、且つ又は4)頭の中で輝度を補正しながら実際の状況において「大体どのように見えるかを推測」することが要求される。従って、買手は、目の前に表示されている画像が正確であることを信頼する以外にも、青色や輝度を減らした場合のクッションの姿を把握していなければならない。更にまた、自分の室内装飾(ここでは茶色のソファ)に設置した場合どのように見えるか確認したいと思う買手も多い。上記のような難関が1つだけでも発生すると、買手にとって問題となる可能性があるが、多くの事例に見られるように難関の数が2つ、3つ、4つ、若しくは5つとなると快適な購入体験の妨げとなる。
【0028】
本技法では、かかる5つの問題点の1つ又は全てを解決することもできるので、より正確で、且つ又はより似つかわしい演出が可能になり、品物や場面をより適切に描写することで、カタログや書籍、ウェブサイトを利用するユーザの体験を向上できる。例えば、買手の体験、並びに買手が購入するかどうかを決定する際の自信を高めることができる。
【0029】
これは、本技法によって拡張現実を利用することで実現できる。本技法では、本開示の解決手段の1つ又は複数に加えて、又はその代わりとして、品物の画像を買手自身の状況の上に重ねて提示できる。スマートフォンの多くは、それに搭載されているカメラで撮ったユーザやユーザの場所柄の現在の画像をリアルタイム又はほぼリアルタイムに(例えば、スマートフォンの表示部などにリアルタイムに)演出できる。以前に補正対象となった品物の画像を、演出した現実空間の上に重ねて表示できる。この品物に関する画像は、前述のように事前に補正することもできるし、拡張現実インタフェース内で補正することもできる。これを行うための1つの方法としては、幾分3次元性を有する物的色基準を使用する方法が挙げられる(この方法は、照明角度や、該照明角度に合わせて品物の演出をカスタマイズしたり、品物を様々な照明角度で撮影した複数の画像から最適な角度の画像を選択したりする際に役立つ)。3次元性を持つ物的色基準の例としては、立方体、四面体、球体、半球体などが挙げられる。
【0030】
引き続き上記の例を参照しながら説明する。買手が、秋の室内装飾のためのサーモン色のクッションに興味があるとする。茶色のソファを持っている買手は、自分の茶色のソファの上にクッションを置いたとき、実際どのように見えるかを確認したいと思っている。拡張現実を用いることで、買手はタブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスに表示される自分の周囲環境や室内装飾を見ながら、関心のある品物(この例では買手のソファの上に置いた場合のサーモン色のクッションを)を動かしたり重ねて表示したりできる。そのためには、品物が既に補正されており、特定の場所の状態の拡張現実空間を正確に演出すれば、買手は、品物がどのように見えるかについて大体把握できる。その後、買手は、自分の表示部に撮像したソファ及びそれの物的色基準と、買手の地点から肉眼で見たソファの実物とを自分自身の目で見て比較しながら、該表示部に提示されている画像を補正できる。但し、品物の画像の不正確な点や似つかわしくない点の多くは、拡張現実技術を使用して補正できる。買手が物的色基準を有しており、それを自分のソファの上に置いてみる場合を想定する。買手は、音声指示やタッチインタフェイス又はその他の方法により、肉眼で見た基準を自分の表示部に表示されている基準と一致させるように、表示されているソファの色(色相や輝度、彩度〈鮮彩度・飽和度〉など)を調整できる。かくして、買手の場所柄を、買手のデバイス上で正確に演出できる。更に、同じ品物を見ながら演出を行うため、かかる基準は国際規格や一貫した基準である必要はない。かくして、本技法により、ユーザは、ユーザーインタフェースを介して、演出するソファの画像が買手の肉眼で見たソファと一致するように色や輝度を調整できるので、物的色基準を使用せずに済む場合さえもある。
【0031】
例えば上述の如く、現在の状況を表すように画像を重ねて品物が適切に描写されるようにしたり、若しくは拡張現実空間において物的色基準を使用して品物の画像がそれに一致するように変更を加えたりできる。かくして、買手は、品物の画像とその画像と共に撮像した物的色基準を見ながら、赤・緑・青の色相や輝度、照明角度、彩度(飽和度)などの色調整を行うことで、実際の部屋において且つ実際の照明の色相や照明の輝度、更には照明の角度を考慮した品物の姿に更に一層似つかわしい状態で品物の画像を演出できる。
【0032】
拡張現実空間を組み込んだ表示部では、似つかわしいサーモン色のクッションを特定の場所の状態(ソファや照明など)と一緒に表示できるので、買手は、クッションの画像をソファの画像の上に置いたり、単に中央に配置若しくは固定したりすることもでき、また、デバイス且つ又はカメラを動かすことにより、クッションを所望の配向でソファの上に置いた状態を表示することも可能である。この拡張現実によって、買手は、既に説明した様々な利点に加え、「ウォークアラウンド」(歩き回れる感覚)の機能を利用できるので、品物の感じや適合性をより良く把握できる。本技法では、ユーザが「歩き回りながら」品物の照明角度を変更できる(但し、これは、当該品物について異なる照明角度による複数の画像が設けられていることを前提とする)。また、本技法では、品物に陰影を付けたりハイライトをあてたりして、(買手が左、右、後ろなど、色々な方向に歩き回った場合の)異なる照明角度での見た目に近似するように品物の画像を編集できる。本技法では、これを実現する一環として、ユーザが移動する際の照明角度の違いを、例えばユーザの位置における3次元物的色基準について検知する。
【0033】
ここでは家具の例を挙げて説明しているが、衣類やその他品物を適切に描写することもできる。本技法によると、物的色基準がなくても、買手は、拡張現実空間において又はスナップショットを使って、例えば、人の腕の色を撮像してから、演出した腕の画像を、買手の肉眼で見た腕と一致させることができる。そうすることによって、買手の現在の状況(腕や光など)の演出を一致させることができる。本技法では、その上で、本開示に記載の方法のいずれかによって品物の画像を一層似つかわしいものにし、当該の品物を特定の場所の状態に合わせて提示する。例としては、インターネットで販売されているスカーフが、ある個人のお気に入りのジャケットや髪の毛の色、肌の色調にぴったり合うかどうかを確認する場合が挙げられる。別の例としては、買手の肌の色調や髪の毛や化粧品の色などに対して、シャツの色がぴったり合うか、若しくはどのように干渉するか又は引き立たせるかなどを確認する場合が挙げられる。更にまた、化粧品の色も、撮像対象の品物となり得る。化粧品の色を一層似つかわしい状態で演出することにより、購入の意思決定を促進することが可能になる。
【0034】
本技法では、撮像した場面や品物をより適切に描写できるので、ウェブサイトやカタログ、ソーシャル媒体などを見るユーザの体験を向上できる。ユーザが買手である場合は、購入の意思決定の促進につながり得る。例えば、ある程度3次元性を有する小型の物的色基準の使用を検討してみる。口紅やファンデーション又は頬紅などの化粧品を撮像してから、(静止画像や拡張現実の演出の有無を問わず)本技法を採用して、品物の色と、その色が特定の個人の肌に適用した場合どのように見えるかをより正確に、又は似つかわしい状態で描写できる。例えば、化粧品販売業者では、折りたたみ式の小さな物的色基準を購入ごとに提供したり、オンライン店舗や実店舗にて単に無料で提供したりしてもよい。そして、買手がカタログやオンライン店舗で表示されている品物が自分の肌でどのように見えるかを確認したいときは、当該の物的色基準を何らかの3次元形状に折ってから、本技法を使って当該化粧品の色や明度、更には照明角度などを補正する、つまり一層似つかわしい状態にする。買手は、当該化粧品とそれと共に表示される物的色基準の画像を買手の手元の物的色基準と比較しながら変更を加え、それによって当該の画像を、手元の物的色基準が存在する状況に似つかわしい状態になるように変更を加えることができる。なお、これによって、普段は本人が直接店舗を訪れて行わなければならない購入過程を遠隔から行えるようになる。これは、特に健康上の懸念(COVID-19の蔓延など)や経済的又は生態学的配慮(環境を保護するため、又は買手の出費を節約するために店舗まで車を運転したくないなど)により移動に制限がある買手が多々存在するので、買手と売手の両者にとって有用である。
サイズの調整
【0035】
上記の技法に加えて、又はその代わりとして、品物の画像のサイズを正しく設定し得る。これは上記されるいくつかの手順に従って行えるが、以下の手順によっても行える。本技法では、まず、高さ・幅・奥行きなどの品物に関する情報を用いて画像(該画像が提示されている角度を含む)を補正し、その寸法を画像に関連付ける。場所柄やその他諸条件(買手の身体や室内装飾など)のサイズは、寸法を直接入力するか、画像内の物を測定できるモバイルデバイスの機能を利用して確認できる。なお、かかる測定機能の例としては、特定の場所の状態や物体などの拡張現実又はスナップショットを使って演出した品物の寸法を測定できるApple(登録商標) Measure(メジャー)アプリなどが挙げられる。本技法では、上記の手順を用いる代わりに、又はそれに加えて、物的色基準の寸法を利用し得る。撮像した品物の画像内の物的色基準と買手の地点に存在する物的色基準の寸法が同じであるか異なっているが分かっていると仮定した場合、本技法では、ウェブページ(或いは紙面によるカタログ)で販売する品物の画像を拡大又は縮小することができるので、正しい尺度で買手のモバイルデバイスに表示できる。(例えば、サーモン色のクッションをソファのサイズに応じて適切なサイズで表示し、それによって買手の意思決定を更に促進することができる。)
【0036】
これは、家具や室内装飾、宝石類、装身具、及び衣類の場合に特に有用であり得る。(但し、衣類に関しては、モデルやマネキンに着せた状態で撮像した場合をいう。これは、衣料品を平らに置いたり、折り畳んだ状態では、尺度を変更して表示してもあまり意味がないからである。)買手が特定のブレスレットを腕に着用したときに見栄えが良いか確認したいと思っているとする。本技法では、商品の演出を改善することで、買手の購入決定を促進できる。ブレスレットを、買手の手首のスナップショットやリアルタイムの拡張現実に重ね、似つかわしい色、似つかわしい輝度、似つかわしい照明角度で、且つ正確な尺度で表示できる。これは、カタログなど、ウェブサイト以外の販売においても、買手と売手の両者にとって大きな改善をもたらす。
環境例
【0037】
図1は、撮像した品物のより正確な且つ又はより似つかわしい演出を行うための技法を具現化できるシステム100の例を示す図である。システム100は、コンピューターデバイス102を含み、該コンピューターデバイス102は、ノートパソコン102-1と、タブレット式コンピューターデバイス102-2と、スマートフォン102-3と、電子書籍リーダー102-4という4種類のモバイル機器を例として図示されているが、デスクトップコンピュータやネットブックなど、他のコンピューターデバイスやシステムも使用し得る。
【0038】
コンピューターデバイス102には、コンピュータプロセッサ104と、コンピュータ可読記憶媒体106(以下、「媒体106」)、表示部108(複数可)、及び入力機構110が含まれている。媒体106には、コンピュータで実行可能な指示が含まれており、かかる指示は、コンピュータプロセッサ104で実行されると、オペレーティングシステム112や画像モジュール114などの操作を実行する。
【0039】
画像モジュール114は、例えば、画像を撮影する場所(本開示で前述した売手など)又は最終的に画像を演出する場所(買手など)での画像の精度や似つかわしさを向上するなど、本開示に記載の技法を有効にしたり補助したりする機能を有する。
【0040】
また、画像モジュール114は、履歴116と、ユーザーインタフェース118と、3次元モジュール120(以下、「3Dモジュール120」)を含み得る、又はそれにアクセスし得る。ユーザーインタフェース118は、画像モジュール114によって、演出画像(例えば、品物を含む拡張現実として演出されるユーザの現在の地点)を表示部108上のユーザーインタフェース118に提示することを可能にする。また、ユーザーインタフェース118は、入力機構110を介して、コンピューターデバイス102のユーザが演出画像に変更を加えることを可能にする。3Dモジュール120によって、画像モジュール114は、拡張現実に表される状況に応じて品物を異なる角度や異なる照明角度且つ又は異なる尺度で示すように画像に変更を加えられるようになる。3Dモジュール120は、デバイスの地点に存在する物的色基準と一緒に品物が表示されている画像内の物的色基準を使って、該品物の尺度を決定・変更できる。或いは、測定センサーを使用して3Dモジュール120により当該地点の寸法を測定することで、品物の尺度を適切に調整できる。
【0041】
画像モジュール114は、例えば、後述のように、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取るユーザーインタフェースを提供できる。画像モジュール114は、ユーザの選択を受け取り、物的色基準をとらえた画像と品物や場面をとらえた画像に変更を加える。それに加えて、又はその代わりとして、画像内の品物や場面の一部分に一致する物的色基準内の色の当該物的色基準上の個所が分かっている場合(又はその個所を特定できる場合)、画像モジュール114は、画像内の品物や場面の当該の一部分を、物的色基準内の当該一致する色と相互に関連付けることも可能である。また、そうすることによって、既知の個所について記録された色情報に基づいて、該品物の当該の一部分の実際の色を記録できる。これにより、より正確に又はより似つかわしい状態で演出できるようになる。更に、当該一部分の色をむしろ該記録された色情報に一致させるための変更を、品物や場面又は画像の全てに適用し、それによって品物や場面全体の精度又は似つかわしさを向上することもできる。
【0042】
履歴116には、本開示に記載されている様々なデータを含み得る。例えば、ユーザの位置における周囲光に関する情報、ユーザ(買手や売手など)が以前行った選択、現在の表示部に関する情報(本開示に従って生成した較正データなど)、更には他のユーザの選択や表示部データをはじめとする他の情報源からのデータなども含み得る。
【0043】
コンピューターデバイス102は、1つ又は複数の表示部108と入力機構110を含む、又はそれにアクセスできる。図1に4種類の表示部の例を示すが、これらは全て、銘々のデバイスと一体に構成されている(但し、必ずしも一体に構成する必要はない)。入力機構110としては、ほんの数例を挙げれば、タッチセンサーや動作追跡センサー(カメラを活用したものなど)、並びにマウス(独立型又はキーボードと一体に構成されているもの)、トラックパッドやタッチパッド、静電容量センサー(コンピューターデバイス102の表面に設置されたものなど)、及び音声認識ソフトウェアを伴うマイクなど、ジェスチャー感知式のセンサーやデバイスを含み得る。入力機構110は、表示部108とは別に又は一体に構成し得る。一体構成の例としては、一体となったタッチ感知式又は動作感知式を備えるジェスチャー感知式表示部が挙げられる。
【0044】
撮像部122は、カメラやIRカメラ(及びプロジェクタ)などの可視光センサー又は不可視光センサーを含み得る。また、撮像部122は、必ずしも画像を取り込めないとしても、周囲条件を感知し得るものである。更にまた、撮像部122は他の部材と共に機能して、上記の拡張現実やその他演出を提供できる。
画像の手動変更例
【0045】
図2は、ユーザが品物の画像に変更を加える技法の例を示す図である。この変更作業により、特定の場所の周囲条件に合わせて品物の演出画像に変更を加えたり似つかわしさを向上したり、若しくは単に原画像における不正確な部分や画像の演出を補正したりなどをユーザのデバイスで行うことができる。
【0046】
図に示すように、画像モジュール114は、品物204の画像202を、撮像した物的色基準206と共にユーザデバイス210のユーザーインタフェース208に提示する。ユーザーインタフェース208は、音声制御やジェスチャー制御、その他色相環制御又はスライダ式制御212(赤・緑・青の色相、輝度など)といった様々な制御要素を通じて画像に手動でなされる変更を受け取るように構成されている。本開示における手動での変更は、撮像した物的色基準206と特定の場所に実在する物的色基準214との肉眼での比較に基づいて行われる。
【0047】
例として、一式のスライダ式制御要素212の初期状態と、その下に2種類の連続的なユーザ選択(212-1及び212-2を参照)を示す図3を参照して説明する。当該2種類のユーザ選択は第1の選択302と第2の選択304として示されている。第1のユーザ選択では、青色のスライダバー308上の灰色の線306(スライダ式制御要素の初期状態)を下げて青の色相を減らす。灰色の線310は、青の色相を下げた状態の灰色の線を示す。第2のユーザ選択では更に青の色相を下げており、その状態が灰色の線310よりも下側に位置する灰色の線312で示されている。なお、画像202の初期演出では、ピンクがかった青っぽいサーモン色から青が減り、橙色がかったサーモンの色に変わる。ちなみに、物的色基準206には、品物と同時に変更が加わる(但し、これは品物の色を変更する前に行っておいてもよい)。物的色基準の元の演出では、線314で示す青色低減状態から更に青を減らして、線316で示す青色低減状態になる。なお、ここで、青色低減状態の基準316が、実在する物的色基準214と一致することになる。よって、第1選択による改善に基づく演出318と第2選択による更なる改善に基づく演出320を見ても分かるように、演出される基準が実際の基準に近くなるほど、品物204も、ユーザの地点における状態に一層近くなる、且つ又はより正確になる。
【0048】
かくして、画像モジュール114はユーザーインタフェース208を介して手動の変更を受け取り、受け取った手動の変更に基づいて画像202に変更を加える。変更後、該画像を演出したり、又は後で使用するために保存したりできるが、かかる変更はリアルタイムで実行しても、遅延して実行しても、若しくは単に別のインタフェース(図10中の拡張現実インタフェース216など)に提供するようにしてもよい。なお、このユーザーインタフェース208は、(撮像した品物と物的色基準と共にユーザの地点を示すカラー画像を提示することにより)拡張現実として構成してもよいし、又はユーザの地点を表示しないインタフェースであってもよい。
演色方法の例
【0049】
以下、本技法により品物や場面(例えば、撮像できる如何なるもの)の現在又は将来の演出の精度や似つかわしさを向上させる方法を、図4に示す方法400を例として説明する。本開示に記載の各方法について、前後関係に問題が生じない範囲で、各工程を再編成(例えば、図示されている順序とは異なる順序で実行)したり、反復的に実行したり、繰り返したり、組合せたりすることができる。図示されている順序は、本開示に別途定めなき限り、必須ではない。
【0050】
工程402において、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取るユーザーインタフェースが提供される。ユーザーインタフェースの例を、図2図3(部分的)、図5図6図9、並びに上記技法の説明を参照しながら説明する。例えば、図2図3図9において、ユーザーインタフェース208は、画像の色を変更するためのスライダ式制御要素212を備える。
【0051】
また、この方法では、上述のように、物的色基準の異なる表現でそれぞれ提示される複数の選択可能な制御要素を備えるユーザーインタフェースを提供できる。これにより、ユーザは素早く又は反復的に選択し易くなる。例えば、スマートフォン102-3のユーザーインタフェース502(ユーザーインタフェース118の一例)を介して選択できる5種類の輝度を示す図5の例を検討してみる。
【0052】
工程404では、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を、ユーザーインタフェースを介して受け取る。ユーザーインタフェースを介した選択の例については、上記の通りであり、例えば、ユーザが、物的色基準をとらえた画像の色の変更に関する選択を制御要素の操作を通じて手動で行ったときに、そのユーザ選択をユーザーインタフェースで受け取る。前述したように、色の変更とは、物的色基準をとらえた画像の色相や彩度(鮮彩度や飽和度)、明度又は輝度の変更を指し得る。手動による色変更の選択については、上記にて図3を参照しながら、ユーザが取り込み画像の青の色相を下げる選択を行う例を使って説明した通りである。
【0053】
引き続き図5の例を参照すると、ユーザーインタフェース502では、例えば、夫々異なる輝度を持つ5つの物的色基準の画像のいずれかを表示部上でタップ操作して選択するだけで、輝度504-1から輝度504-5までの大幅な(肉眼領域の)選択を行える。上記のように、図5は、ユーザの地点における物的色基準506も示している。これらの各動作を反復したり、再実行したり、変更して実行したりなどできる。この例では、図5にも示されているように、本技法によって、より微細な階調選択肢(例えば、選択可能な輝度510-1、510-2、510-3、510-4、510-5の5段階の微細なグラデーションを伴う微細な輝度範囲510)や、例えば、輝度の選択後に異なる変色分類によって、異なる色相の選択肢や異なる彩度(飽和度)などを、選択された輝度又はそれに近い輝度で提示し得る。
【0054】
工程406では、物的色基準をとらえた変更済画像が、ユーザーインタフェース又は別のユーザーインタフェースを介して、且つ受け取ったユーザ選択に基づいて提示される。この例の多くを本開示で説明するが、例えば、図3に示すように、物的色基準をとらえた変更済画像314に更に変更を加えて、画像314や画像206よりも青の少ない画像316とする。引き続き図5の例を参照すると、輝度範囲の1つ(ここでは504-3)の選択により、微細に階調の異なる物的色基準(510-1と510-2と510-4と510-5の符号で示すもの)が(選択した輝度504-3の複製と共に)提示されることになる。この方法を採用したり、上記特定の要素を使ったりする必要はないが、遠隔エンティティや画像モジュール114など、工程406での提示前に画像に変更を加えるエンティティもある。
【0055】
工程408では、物的色基準の画像をとらえた地点と同じ場所でとらえた品物や場面の画像に変更を加える。かかる変更は、当該品物や場面と同じ地点でとらえた物的色基準の画像の変更に関して(図3図5を参照して前述したように)受け取った一つ又は多数の選択に基づいて行える。かかる品物や場面の画像への変更、且つそれによる品物や場面のより正確な又はより似つかわしい演出を、個別に、又は同時に、若しくは同時期に行うことができる。図3に示す例では、画像モジュール114が、品物や場面を物的色基準と同じ画像内に取り込む場合などに、同時期に一回の動作で物的色基準をとらえた画像と品物や場面の画像に変更を加える。このため、図3に示すように物的色基準に変更が加えられるとともに品物にも変更が加えられ、その際、両者ともがユーザーインタフェース208に表示される(図3には視覚的な描写を簡潔にするために図示せず)。
【0056】
工程410では、品物や場面の変更済画像が記録又は表示される。図3において、品物や場面の変更済画像は320の符号を付して示す。それに加えて、又はその代わりに、変更内容を記録し、それにより物的色基準の変更による色の変更を記録することもできる。かかる変更の記録は、将来の画像に対して今後変更を加えることによって当該将来の画像をより正確に又はより似つかわしい状態で提示する際に有用となる。かくして、品物や場面の画像を該記録と共に別の視聴者に送信すれば、その記録に基づいて画像又は場面のより正確な演出が可能になる。これにより、もし最終的に品物や場面の演出に使用される表示部が類似する設定や表示方式のものであれば、演出の精度又は似つかわしさを更に向上し易くなる。本開示に記載の如く、更なる変更を加えることもできる。
【0057】
かかる記録又はかかる記録の組合せが、ユーザに関連付けられている表示部を対象として該ユーザが選択した画像に対する変更を示すようにしておけば、後でその記録を利用して、将来受け取る又は取り込む画像を自動的に補正できる。これは、ユーザの表示部の補正に基づいて、また該ユーザが画像の撮影者である場合は該ユーザの画像122と表示部108の較正に基づいて、自動的に変更を加える一形態である。これは図1の履歴116に保存できる。そうすることによって、方法400では、同じ地点でとらえた別の品物や場面の別の画像に対して自動的に変更を加え得る。この自動変更は、物的色基準をとらえた画像又は本開示に記載のユーザ選択と物的色基準をとらえた変更済画像との間の違いに基づいて行われる。
【0058】
物的色基準を、大幅な色相範囲を有する3Dの箱形で示しているが、他の物的色基準も使用できる。例えば、品物や場面が化粧品の場合、物的色基準としては、高解像度の人間の皮膚の色の範囲や、該基準の物理的な寸法を縮小したものであり得る。別の例としては、図示される物的色基準よりも解像度の高い人間の髪や肌の色調や輝度、更には彩度(飽和度)を有する物的色基準の使用が挙げられる。更にまた、品物が装飾用品の場合は、自宅の環境条件に応じた別の基準を使用できる。また、場面が人物の写真である場合、物的色基準に髪の毛や肌の色調、更には衣類の様々な色の範囲を含むことにより、一層精度の高い演出が可能になる。場面が景観画像の場合、屋外の場所に存在する色の範囲を物的色基準で表してもよい。
【0059】
上記において図5を参照しながらある程度説明したように、本手法では、異なる表し方で提示される物的色基準からなる複数の選択可能な制御要素を提供できる。一般的に、工程412において、該物的色基準の異なる表し方が決定される。これは、次のような諸工程をはじめとする様々な方法で決定できる。工程414において、物的色基準をとらえた画像の一部分が、以前記録した物的色基準の画像又は物的色基準の写しの中の一致する色と相互に関連付けられる(但し、該一致する色の、該以前記録した物的色基準の画像内又は該物的色基準の写し内の位置が分かっていることを前提とする)。一致する色としては、一致する色相、一致する彩度(鮮彩度や飽和度)、一致する明度、又は一致する輝度のいずれかであり得る。工程416において、該既知の位置について記録された色情報に基づいて、物的色基準をとらえた画像の該部分の実際の色が決定される。更に、工程418では、該部分の実際の色に基づいて、該物的色基準の異なる表し方(例えば、より細かい範囲で色の選択肢を提供する複数の表現など)が決定されるため、より素早くより精密な選択が可能になる。従って、画像モジュール114は、一致する可能性の高い、より充実した各種の選択肢を提示できる。
【0060】
例えば、図6を見ると、スマートフォン102-3のユーザーインタフェース602(これはユーザーインタフェース118の一例にすぎない)を介して提示される9種類の色相と輝度レベルの範囲が示されている。ここでは、夫々異なる色と輝度を有する9つの物的色基準の画像がユーザーインタフェース602に提示されるので、単に表示部でタップ操作などを行うだけで、9つの色/輝度範囲604のいずれかを選択できるようになっている。図に示すように、左側の列の方において赤が強く、右側の列の方において青が強く、そして上段に向かうにつれて輝度が高くなる。これらの例では、代替工程412によって夫々異なる選択可能な表現を決定し、その結果として、9つの異なる表現が実際の色の決定に基づいて作成され、類似する色相バランスや輝度や彩度(飽和度;図示せず)などを用いて該実際の色に近い又はその周りの色の選択肢を提示する。
【0061】
上記のように、本開示に記載の方法は繰り返し又は反復形式などで実施できる。例えば、ユーザが1つのインタフェースで異なる特性、若しくは複数種の特性(例えば、図6に示す輝度と色相の格子)を選択することにより、物的色基準(例えば、506)に一致するまで画像に変更が加えられる。前述のように、ユーザは、それに加えて、又はその代わりに、インタフェースによって手動で(例えば、音声入力で「輝度を上げて赤を減らす」と指示したり、スライダ式制御要素212などを使ったりして)色を変更することもできる。
【0062】
再び工程412の動作を参照しながら説明すると、工程414と工程416と工程418を実行する代わりに、又はそれに加えて、工程412では、事前に行った較正によって異なる表現を決定する。この較正は、ユーザーインタフェースを表示する表示部を較正するべく明らかに人間により選択可能な比較に基づいて、又は以前に物的色基準の画像の色に対してなされた1つ又は複数の変更を同じ又は類似した表示部に演出の記録に基づいて行うことができる。その一例として、画像モジュール114が撮像部122によってユーザの地点に存在する物的色基準の画像を取り込む例が挙げられる。次に、ユーザは、方法400の諸工程に従って、実在する物的色基準を見ながら、それに一致するように画像の演出を手動で変更する。そのため、該変更は表示部較正の一種と言える。但し、かかる変更では、撮像部122の不正確さを考慮に入れる場合もあるため、較正が必ずしも完璧とは言えないときもある。
カラーマッチング法による演色方法の例
【0063】
以下、本技法によりカラーマッチング法を利用して品物や場面の現在又は将来の演出の精度や似つかわしさを向上させる方法を、図7に示す方法700を例として説明する。本開示に記載の各方法について、前後関係に問題が生じない範囲で、各動作を再編成(例えば、図示されている順序とは異なる順序で実行)したり、反復的に実行したり、繰り返したり、組合せたりすることができる。図示されている順序は、本開示に別途定めなき限り、必須ではない。なお、方法700では、その全て又は一部をユーザの操作を伴わずに実行できるため、図1に示す画像モジュール114などによって自動的に実行することも可能である。(但し、ユーザの操作が明示的に記載されている場合は除く。)
【0064】
工程702において、物的色基準の画像を受け取る。該物的色基準には、特定の物的色基準内の既知の位置における既知の色が含まれる。この物的色基準は、較正済みのもの、若しくは後述する図8の正確な基準800のように、正確であることが分かっているもの、又は機械で使用可能な形式で該基準を表すデータであり得る。図8には、正確な基準800上の既知の色802と位置804を示す。これをユーザに表示する必要はなく、むしろ非表示にしたり、且つ又は該既知の位置と色を含むデータファイル又は画像を使用するコンピュータプロセス(例えば、プロセッサ104に方法700の動作を実行させる諸指示を備える画像モジュール114など)のみによって実行したりできる。該位置はデカルト座標などであり得る。
【0065】
既知の色802は、少なくとも1つの色相が分かっているものであり、更にその他の色の属性が分かっている場合もある。位置804も分かっており、既知の色802と相互に関連付けられている。必須ではないが、基準800内の既知の位置804に存在する既知の色802は、ユーザーインタフェースを提示する表示部の較正を目的として、人間選択可能な比較に基づく較正によって決定できる。
【0066】
工程704において、品物や場面の画像を受け取る。該品物や場面の画像と物的色基準の画像は、同一の画像、同時期に取り込んだ別々の画像、又は同じ場所若しくは同じ周囲条件などを有する同じ場所柄でとらえた別々の画像である。
【0067】
工程706では、品物や場面の画像に表示される品物や場面の一部分が、物的色基準内の一致する色と相互に関連付けられる(但し、当該一致する色の、物的色基準上の位置が分かっていることを前提とする)。当該物的色基準は、品物や場面と同一の画像内など、同じ又は類似する地点で取り込まれたものにおける物的色基準である。品物の一部分の相互関連付けには、品物や場面の画像の複数の部分を物的色基準の既知の色と共にサンプリングすることも、またその逆も含み得、また、該サンプリングに基づき一致するものが見つかったときにそれに対応する部分が相互関連付けの対象となる。更に、この相互関連付けは、当該部分の色相や彩度(鮮彩度・飽和度)や明度又は輝度を一致させるように行い得る。
【0068】
以下、例として、図2において同じ画像202内に物的色基準206と一緒に表示されている品物204の画像202を示す図8に基づいて説明する。工程706では、画像モジュール114が、品物204の一部分806(つまり、物的色基準206の画像の一部分808内の色と一致する色を有する部分)の相互関連付けを行う。なお、物的色基準206の画像において演出される色は、正しく演出される場合とされない場合があるが、品物204と物的色基準206の画像のいずれもが同じように正しく演出されない場合は、品物の色を補正することも可能である。
【0069】
工程708では、既知の位置について記録した色情報に基づいて、品物や場面の該部分の実際の色を決定する。ここでは、部分808の位置は、物的色基準206の画像内の位置810であり、この位置810は、既知の色802と相互に関連付けられている正確な基準800の位置804にマッピングされている。既知の色802は、実際に品物204の部分806の演出に使用したい色である。
【0070】
工程710では、記録した色情報と、品物や場面の当該部分の位置を記録する。このように記録しておくことで、該品物や場面の画像の将来的な演出において、正確な又は似つかわしい色を正しく表す際に効果を奏する。図の例において、かかる色情報として、既知の色802と品物204の一部分806が記録される。
【0071】
工程712では、本技法により、記録しておいた色情報と品物や場面の該部分の位置に基づいて、正確な又は似つかわしい色を有する品物や場面の画像を演出し得る。必須ではないが、この正確な又は似つかわしい色を有する品物や場面が演出された時点で、ユーザは、その精度や似つかわしさを照合し、上記の様々な手法(例えば、方法400の工程404)に従って変更を加えることができる。
記録された色情報を用いる演色方法の例
【0072】
以下、本技法により品物や場面の演出の精度や似つかわしさを向上させる方法を、図9に示す方法900を例として説明する。本開示に記載の各方法について、前後関係に問題が生じない範囲で、各動作を再編成(例えば、図示されている順序とは異なる順序で実行)したり、反復的に実行したり、繰り返したり、組合せたりすることができる。図示されている順序は、本開示に別途定めなき限り、必須ではない。なお、方法900では、その全て又は一部をユーザによる操作を伴わずに実行できるため、図1に示す画像モジュール114などによって自動的に実行することも可能である。(但し、ユーザの操作が明示的に記載されている場合は除く。)
【0073】
工程902において、品物や場面の画像を受け取る。必須ではないが、記録しておく色情報と品物や場面の一部分の位置が、方法700の動作の結果として生成されるように構成することも可能である。このような場合、方法700を実行した遠隔デバイスから画像を受け取るようにすることも可能であるし、(例えば方法700を同じコンピューターデバイス102などの同じユーザデバイスで実行した場合)方法900を実行するのと同じデバイスから画像を受け取るようにすることも可能である。
【0074】
工程904では、記録されている色情報と、品物や場面の一部分の位置を受け取る。該記録されている色情報と品物や場面の該部分の位置では、該品物や場面の当該の位置にある部分の正確な色又はそれに似つかわしい色を示す。該記録されている色情報と位置では、品物や場面の該部分の色を、ユーザの周囲条件に似つかわしい色ではなく、むしろ該位置での正確な色で示し、更に、品物や場面の変更済画像の演出に関して更に変更を加えるためにユーザが行う選択をユーザーインタフェースを介して受け取ることが関与する。このような場合、該更なる変更は、ユーザから見える地点の特定の場所における物的色基準に基づいたものであり得、該地点の周囲照明条件に対する品物や場面の変更済画像の似つかわしさを改善するために効果的である。
【0075】
工程906では、画像内の品物や場面の一部分の色と、記録されている色情報の違いを判定する。
【0076】
工程908では、品物や場面の画像に対して、記録されている色又は色の違いに基づいて変更を加える。なお、記録されている色に一致するようにこの部分の色に対してなされる変更を、品物や場面の当該の一部分にのみ、又は品物や場面の全体、若しくはその中間の任意の部分に対しても行うことができる。かくして、記録された色に一致するように品物の一部の赤の色相を減らし、彩度(飽和度)を上げるといった変更を、該部分以外にも適用できる。これにより、品物や場面の各部分の詳細な分析をせずに変更を行うことができる。本開示において、「変更を加える」(alter)という言葉は、例えば、画像の新規作成や、画像のファイルに対する変更、更には変更済画像の使用など、画像に対してなされる様々な変更を意味する。但し、「変更を加える」という言語は、必ずしも同じ画像やデータファイルを使用しなければならないという意味で用いられていると解釈すべきではなく、むしろ別の画像やデータファイルを新規作成することもできるので、その場合、変更を加えた画像は新しい画像になる。
【0077】
工程910では、品物や場面の変更済画像を記録又は演出する。前述のように、変更済みの画像を、コンピューターデバイス102のユーザーインタフェース118を使用して表示部108上に演出できる。但し、ユーザーインタフェースは、3Dモジュール120により生成可能な拡張現実インタフェースであり得る。
【0078】
上記において幾分説明したように、本技法では、画像をより正確に描写するべく表示部を較正できる。このような場合、該較正に基づいて、画像に対する更なる変更を自動的に加えることができる。或いは、変更済画像を演出する表示部の較正に関する選択をユーザが手動で行うことにより、変更を受け取るようにしてもよい。この更なる変更により、品物や場面の変更済画像を表示部に演出する際の似つかわしさ又は精度が向上する。
拡張現実の例
【0079】
図10は、拡張現実インタフェースの一例を示す図である。ここでは、拡張現実インタフェース216を介して、品物204と、撮像した物的色基準206(任意選択で、例えば図2に示すような補正が以前なされたものであり得る)と、物的に存在する地点220を撮像した該地点の画像218を提示できる。品物204の画像202と物的色基準206は、地点の画像218の上に重ねて表示されている。この例には、スライダ式制御要素212も含まれており、ユーザは、このスライダ式制御要素212を操作して、地点の画像218(及び、それとは別に、本技法により以前に補正がなされたものであり得る品物の画像204)の明度と色を変更し得る。前述のように、特定の場所の物的色基準222を、拡張現実インタフェース216において拡張現実画像224として撮像できる。該特定の場所の物的色基準222をユーザが肉眼で知覚しながら、その状態と一致するまで拡張現実画像224に変更を加えることができる。そうすることにより、撮像した品物204と撮像した地点220(つまり、地点の画像218)を、ユーザの地点220に似つかわしい状態とすることができる。かくして、ユーザは、サーモン色のクッション商品が自分の室内装飾(ここでは、物的に存在する地点220に備えられているソファとテーブル)に合っているかどうかを目で見て確認できる。従って、本技法によって、商品の画像や、商品を使用する予定の地点の画像に変更を加えて、不正確な点や似つかわしくない点を補正することが可能になる。或いは、その代わりとしてユーザは、画像202と品物204に変更を加えるとともに、ユーザの表示部をソファの上においてもよい(図示せず)。但し、この場合は、似つかわしい彩色を行い易くなるが、(ほとんどのクッションはスマートフォンやタブレットの表示部よりも大きいため)品物204を正しいサイズに調整することが困難になり得る。
売手及び買手の別の例
【0080】
以下、本技法によって、売手が販売対象品などの品物の画像をより正確に演出できるようにする方法を、図11に示す方法1100を例として説明する。本開示に記載の各方法において、各手順を組合せたり、再編成(例えば、図示されている順序とは異なる順序で実行)したり、反復的に実行したり、繰り返したり、組合せたりすることができる。図示されている順序は、本開示に別途定めなき限り、必須ではない。
【0081】
工程1102では、物的色基準と共に品物の画像を取り込む。これは、ユーザが撮像部122を使って取り込むなど、上記の如何なる方法によって行うことができる。
【0082】
工程1104において、アプリケーション(例えば、画像モジュール114など)は、取り込まれた品物の画像と物的色基準を受け取る。
【0083】
工程1106において、該アプリケーションは、該取り込み画像内に撮像した物的色基準を、記録されている物的色基準に関する画像、若しくは該撮像した物的色基準の精度判定に使用できるデータと比較する。
【0084】
工程1108では、該アプリケーションが、該比較に基づいて品物の画像と物的色基準に変更を加える。かかる画像への変更は、品物の画像の精度を向上させるのに効果的である。なお、かかる精度の向上は、画像を取り込んだときの周囲光の色に合わせて精度を向上することにより、演出時のカメラによる誤差を補正したり、且つ又は好ましい周囲照明(例えば、太陽光に基づく白色光)で撮った物的色基準の記録されている画像などを撮った別の周囲光の色に合わせて画像を補正したりすることに関し得る。
【0085】
その代わりとして、又はそれに加えて、該アプリケーションは、工程1110において、ユーザーインタフェースに品物を提示し得るので、これにより、売手は、肉眼で目視しながら、自分の目に見えるものと一致するように画像を調整できるようになる。(例えば、撮像した画像を物的に存在する品物に合わせて調整したり、又は撮像した物的色基準を物的に存在する色基準に合わせて調整したりできるようになる。)工程1112において、該アプリケーションは、手動による(例えば、画像内の物的色基準と特定の場所に実際に存在する物的色基準のユーザによる肉眼での比較に基づく)画像への変更を受け取る。そうすることにより、該アプリケーション(画像モジュール114など)は、ユーザの入力に応じて品物の画像に変更を加え、変更した画像を工程1114で記録する。これは、当該方法における他の工程の後、前、又はそれと併せて実行できる。
【0086】
本技法では、その代わりとして、又はそれに加えて工程1116で、売手が品物の画像を補正する目的で複数の変更済物的色基準を選択する際の手伝いも提供できる。図5図6及び図12の事例に関して後述するように、売手は本技法によって同様に一層適した物的色基準の画像、よって、関連する品物のより正確な画像を選択し易くなる。変更を加える各物的色基準を、工程1116で決定し、工程1118で提示し、且つその選択を工程1120で受け取る。これらの画像の決定方法、選択方法、及び該方法の各手順の反復・配列方法については、同様に図5図6を参照しながら図12に関する記載において説明する。例えば、売手自身のデバイス又はカメラのシステム設定や個人設定の過去の変更履歴が分かっていれば、本技法によって、物的色基準の正確で肉眼的視覚に近いと思われる状態になるように画像を変更して提示し易くなる、或いはそれよりも大幅な基準を提示し、反復的に選択を行うことで、正確な変更の判断が可能となる。
【0087】
工程1114に戻って説明すると、変更した画像や、画像を変更するためになされた入力が、図2(及び図3)に示すユーザーインタフェース208や図10に示す拡張現実インタフェース及び図5に示すユーザーインタフェース502に関して上述したように表示部において提供又は記録される。
方法例(買手側)
【0088】
以下、本技法によって、買手が販売対象品などの品物や場面の電子形式(電子メール、テキストメッセージ、ソーシャル媒体、ウェブページなど)の又は印刷された状態の画像をより正確に又はより似つかわしい状態で演出できるようにする方法を、図12に示す方法1200を例として説明する。本開示に記載の各方法において、各手順を組合せたり、再編成(例えば、図示されている順序とは異なる順序で実行)したり、反復的に実行したり、繰り返したり、組合せたりすることができる。図示されている順序は、本開示に別途定めなき限り、必須ではない。
【0089】
販売対象の品物の電子形式(電子メール、テキストメッセージ、ソーシャル媒体、ウェブページなど)の又は印刷された状態の画像をより正確な又はより似つかわしい状態にする技法を簡易化して示す方法例1200を図12に示し、以下、それを参照しながら説明する。
【0090】
工程1202では、取り込まれた画像をアプリケーションによって受け取る。この取り込み画像は、売手側の方法について説明したように改善済みのものでも、未改善のものでもよい。この方法では(つまり、本開示で説明するその他一部の方法以外で)、品物の画像を物的色基準と共に取り込む。カタログや広告などの印刷物に含まれる画像の場合、買手が自分のデバイスを使って、当該印刷された状態の品物の画像と物的色基準を取り込み(例えば、その写真を撮り)、その画像を受け取るようにしてもよい。
【0091】
また、工程1204において、該取り込み画像内に撮像した物的色基準と、当該品物と共に撮像した物的色基準と同タイプの物的色基準(例えばその写し)を特定の場所で撮像した写しとを、該アプリケーションによって比較することを任意に選択できる。取り込まれた画像と、特定の場所で(例えば画像モジュール114により)撮像した物的色基準に関する画像との比較により、両者の違いを、特定の場所で撮像した画像を取り込んだときの周囲光に応じて判断してから品物の画像と物的色基準を自動的に調整できる。これにより、品物に関する色相や輝度、明度、彩度(飽和度)など、色の精度且つ又は似つかわしさが向上する。例としては、少し暗い周囲の明度に合わせるために輝度を下げたり、現状に一層近い状態又はそれから一層離れた状態にするために赤や緑又は青の色相に変更を加えたりすることが挙げられる。本技法では、本開示に記載の品物の画像の改善を図るために、この工程において履歴データを使用することも可能である。
【0092】
工程1206では、該アプリケーションが該比較に基づいて品物の画像に変更を加える。工程1208では、品物の画像を、買手のデバイスなどに提供する。なお、デバイスの表示部に正確な演出ができないなどの欠陥がある場合は、かかる欠陥を補正することも可能であるし、又は、ユーザが提供されているユーザーインタフェースに演出されている変更済画像を物的色基準と肉眼で比較して、工程1212と工程1214において(又は工程1206と工程1208の一部として)品物の画像に更なる変更を手動で加えることもできる。
【0093】
ちなみに、周囲条件に変化が生じた場合や、物的色基準に対する買手の視点が変わった場合などに、この方法を反復的に実行することも、リアルタイムで繰り返し実行することもできる。
【0094】
また、場合によっては、画像を取り込んだ時点で売手側のアプリケーションによって光のスペクトル分析を実行するように構成できる。また、かかる構成を、買手側のアプリケーション(売手側のアプリケーションと同じ又は異なるアプリケーションであり得る)に適用して品物の画像を補正する際に役立ててもよい。
【0095】
また、本技法では、場合によって、例えば、買手が品物に関する画像に対して何らかの調整を随意に行う前などに画像に変更を加える際に、買手の表示部のタイプや年齢及び欠陥などに関する情報を役立てることができる。更に、画像モジュール114を使用すると、該方法の実施前などに、視聴者(買手など)が、本技法により物的色基準の画像(買手が取得又は撮影した画像)に基づいて表示部を較正した後に、特定の場所で物的色基準を肉眼で見ながらユーザーインタフェースを使用して表示部の較正に変更を加えることができるようになる。これにより、表示を全般的に改善したり、較正データを提供できるようになるので、買手が画像(販売対象の商品の画像など)を色選択のためにインポートするなどして受け取った際、本技法ではかかる較正を用いることで(例えば、工程1216と工程1218にて自動的に、又は本開示に記載のその他の方法で)該商品の演出を改善できる。この手順は他の手順と共に又は別々に実行することもできる。その例として、まずこの手順を実行してから、ユーザーインタフェースを介して画像に変更を加えて更に改善又は変更するように買手に求める方法などが挙げられる。
【0096】
その代わりとして、又はそれに加えて、工程1216において、複数の変更済み物的色基準を決定する。これら複数の物的色基準は前述の様々なやり方で決定できるが、その例として、デバイスの設定(例えば一部の表示部ではデバイスの既知の特徴として、目の疲れを防ぐことを目的とした青色の低減などによる黄色の「夜間用」演色の設定や、デバイスの色相に関するユーザの個人設定などを伴う)や、ユーザ履歴(例えば、ユーザの事前選択により、デバイスの表示部が彩度(クロミナンス)・色相・光度などのバランスのとれていない色で演出するように設定されているなどの履歴情報)や、売手に関連する履歴(例えば、当該の売手は品物を特定の周囲光で撮像することで知られているなど)、更にはセンサーで検知した現在の周囲条件(例えば、暗室、蛍光灯、LED照明など)を用いるやり方が挙げられる。これらに基づいて、工程1216においてある程度色相の範囲(又はその他の特性)が決定される。これらは、買手がデバイスで撮像した物的色基準のうち、当該地点にある物的色基準の買手による肉眼的視覚に近いものを選択する際の最終的な又は最初の手順であり得る。但し、場合によっては、分析をほとんど又は全く含まずに大幅な範囲となるが、むしろ買手側で選択できる大幅な選択肢を提供しておいて、(買手が更に粒度や精度且つ又は似つかわしさを向上したい場合に)以前の選択に基づいて絞り込むようにすることも可能である。
【0097】
本技法では、工程1218において、上記決定された変更済物的色基準の演出のいくつかを選択肢として提示する。例えば、スマートフォン102-3のユーザーインタフェース502(ユーザーインタフェース118の一例)を介して選択できる5種類の輝度を示す図5の例を検討してみる。ここで、ユーザーインタフェース502を使って、例えば、夫々異なる輝度を持つ5つの物的色基準の画像のいずれかを表示部上でタップ操作して選択するだけで、輝度504-1から輝度504-5までの大幅な(肉眼領域の)選択を行える。
【0098】
本技法では、工程1220において、決定された変更済物的色基準の演出のうちから選択された一つの演出を受け取る。この例では、ユーザーインタフェース502を介して、各種輝度504の画像のいずれかの選択を受け取り続ける。図5において、買手が、買手の地点508にある物的色基準506の肉眼での観察に基づいて、それに最も近いものとして輝度504-3を選択したとする。この時点で、更に微細な階調の選択(例えば、より微細な5段階の階調から輝度を選択できる微細輝度範囲510)又は異なる選択で、工程1216と工程1218と工程1220及び工程1208を一回以上反復的に実行できるので、例えば、本技法では、輝度が選択された後に、異なる色相バランス(又はその他の特性)などで異なる彩色のなされた選択肢を、当該選択された輝度又はそれに近い輝度で提示し得る。
【0099】
例えば、再び図6を見ると、スマートフォン102-3のユーザーインタフェース602(これはユーザーインタフェース118の一例にすぎない)を介して提示される9種類の異なる色相/輝度範囲が示されている。ここでは、夫々異なる色相と輝度を有する9つの物的色基準の画像がユーザーインタフェース602に提示されるので、単に表示部でタップ操作などを行うだけで、9つの色相/輝度範囲604のいずれかを選択できるようになっている。図に示すように、左側の列の方において赤が強く、右側の列の方において青が強く、そして上段に向かうにつれて輝度が高くなる。
【0100】
買手は、1つのインタフェースで異なる特性、若しくは複数種の特性(例えば、図6に示す輝度と色相の格子)を選択することにより、物的色基準(例えば、214、222、506)との一致状態に満足するまでこの操作を続けることができる。買手は、その代わりに、インタフェースによって手動で(例えば、音声入力で「輝度を上げて赤を減らす」と指示したり、スライダ式制御要素212などを使って)特性を変更したりすることもできる。
【0101】
図12の方法に戻って参照すると、本技法では、工程1210において任意選択で、買手が買手のデバイスで行った色相や輝度に関する入力且つ又はそれに対する変更の如何なるものを記録するようにしてもよい。これは、アプリケーションが今後の品物について後々奏するパフォーマンスを更に向上させるのに役立つ。かくして、買手が画像に変更を加えると、アプリケーションは、今後何を変更すべきかを学ぶことができる。例えば、買手が、画像の赤を増やすとともにこの赤の増加を品物の画像に関するデータと周囲条件に関するデータと相互に関連付けるという選択を行った場合、かかる変更をアプリケーションに学ばせることができる。このように買手による画像への変更を継続的に記録しておくことで、更なる画像を該買手の表示部に演出する際により適切に変更する方法をアプリケーションに学ばせることができる。この同じデータを、アプリケーションの他のインスタンスに提供したり、他のインスタンスから受け取ったりして、アプリケーションによる自動補正を改善するために使用できる。例えば、別の買手のデバイスの周囲光が特定の特性を有する条件下で該別の買手が品物の画像(同じ又は異なる品物)の青の色相を特定量変更したとする。この際、該買手のデバイスの周囲光が類似している場合(又は、原画像を取り込んだときの周囲光との間でコントラストが類似している場合)は、かかる色相の変更が記録されて、該買手のアプリケーションへの受渡し且つ又は該アプリケーションによる使用を以って自動的に画像に変更を加えることが可能である。但し、このデータは、買手の選択に応じて随意共有することも可能である。
追加情報の開示
【0102】
本技法によって提供される機能により、場面の画像を、確立されている物的色基準(人間の目は約一千万の異なる色を区別できるため、例えば数十~数百万の色を示す色相環やカラーバーや3D物的色基準など)とともに取り込むことが可能となるので、実物を真に表す色彩で画像を生成できる。例えば、オンライン又はカタログを介して商品を販売する売手などの画像提供者の場合、画像モジュール114を使用すると、品物の画像を調整することで当該品物の真の又はそれに似つかわしい色調や光度並びにその他の因子と一致させることができる。
【0103】
そのために、画像モジュール114は、取り込まれた画像の物的色基準の値と、コンピューターデバイス102に保存されている又はそれによりアクセスできる正しい物的色基準の値との差を計算する。例えば、所望の製品と物的色基準を含む場面を取り込んだとする。その場合、本技法により画像を分析して物的色基準を特定できる。画像に現れる物的色基準の色は、画像取り込み時の周囲の因子によって異なり得る。例えば、場面の照明が暗かったり、コンピューターデバイスのオートホワイトバランス(AWB)機能が歪んでいたりするかもしれない。物的色基準の画像に現れる色を、本技法を実行するべく構成したアプリケーション(画像モジュール114など)に保存されている、又はそれによりアクセス可能な、確立されている物的色基準の色と比較できる。該比較により、色相値の差が判明する。その代わりとして、又はそれに加えて、かかる差を、画像に演出される各ピクセルの色に関する情報を含む演出用アプリケーションや、更には画像処理装置(GPU)などの演出用ハードウェアによって認識又は決定する。物的色基準の補正済画像のピクセルの色に関する情報を、物的色基準をとらえた画像の画像を演出するピクセルと比較することにより、演出レベルでの色特性の違いが決定される。なお、これらのピクセルは、デカルト座標でのマッピングなどによって、これら各基準の諸部分との間で相互に関連付けることができる。
【0104】
例えば、画像内の物的色基準は、特定の場所(又はピクセル)に赤色の色相値R231を含み得る一方、アプリケーションで確立された(又は補正された)物的色基準では、当該場所の対応する赤色の色相をR220に指定し得る。かくして、該アプリケーションでは、画像内(よって、品物や場面)のトゥルーカラーの赤の色相として-11の差を生じさせる。また、該アプリケーションでは、代表する画像が生成されるまで、全ての物的色基準値について色相の違いを生じさせる。また、トゥルーカラーの色相バーと光度をリアルタイムで表示したり、ユーザがこれらのバーによって色相を調整したりできる。更に、光のスペクトル分析を(光センサーなどで)行い、色相や輝度などが正しい又は似つかわしいことを確認できる。
【0105】
本技法が見込み客側に提供する機能により、ユーザは品物の色のより正確な表現且つ又はそれに似つかわしい表現を視覚化できる。本技法では、デバイスの表示部の指標(画面のタイプや、年齢、設定など)を読み出したうえで、売手提供の物的色基準を分析できる。デバイスの表示部の指標と売手提供の物的色基準を比較することで、画像の色を正確に表すことができる。例えば、画像モジュール114では、デバイスの青の色相が赤や緑の色相よりも低い輝度で表示されるかどうかを判断できる。かくして、本技法を実行するように構成したアプリケーションでは、デバイスの表示部の設定と売手提供の物的色基準を考慮に入れて画像の計算と表示を行える。或いは、該アプリケーションによって、例えば色の写真を撮って表示したうえで、表示されている色をユーザに調整・一致させるなどの較正シーケンスによって画面の色を決定することもできる。較正シーケンスは、代表する色が描写されるまで繰り返すことができる。この較正は、本開示に記載の方法で画像を変更するために使用できる。更に、該アプリケーションをワイヤレス通信デバイス(スマートフォン、タブレットなど)で使用する場合、それによってユーザは品物(販売用製品など)が表示されている画面の画像を取り込むことができる。また、該アプリケーションをワイヤレス通信デバイス(スマートフォン、タブレットなど)で使用することによって、画像と共に提供される物的色基準とアプリケーションで確立された物的色基準に基づいて(又は、アプリケーションによる初期補正の代わりに又はその後に買手の目視観察による物的色基準に基づいて)取り込んだ画像に変更を加えることができる。
【0106】
なお、色とは多くの特性を備えており、ほんの数例を挙げれば、色相や彩度(鮮彩度や飽和度)、明度、輝度などの属性が存在する。色相は「カラーアピアランス(色の見え方)のパラメータ」とも言われ、色刺激の度合い、又は色度図(色度座標)や色相環(図2を参照)に関連する1つの数値に基づいて定義できる。或いは、色相を、主波長又はその補色の波長に基づいても定義できる。彩度(鮮彩度や飽和度)は、知覚色の有彩色強度に関連する属性である。これらは国際照明委員会によって正式に定義されているが、かかる正式な定義は必須ではない。更に詳しく言うと、色の鮮彩度は、スペクトル反射と照明強度の両方に依存し得る。飽和度とは、輝度に比例して判断される所与の領域の色の鮮彩度を示す。輝度も色の属性であり、放射光や反射光の視覚的な認識に関連する。よって、低光度の物体はあまり輝度が高くない、ということになる。明度は、「色の値」とか「色調」と呼ばれることもあり、輝度の現れを指す。マンセルやHSL又はHSVカラーモデルをはじめとする様々な明度モデルが当技術分野に存在する。色彩学の分野に精通する当事者にとっては明らかなように、色の特性は時に重複することもあり、多くの場合ユーザの知覚に基づいているため、ユーザによる差異が生じ得る。但し、この差異は、本開示に記載の技法によって対処し、(たとえ他の者が見たときに似つかわしいと思えなくても)特定のユーザに対して似つかわしい品物や場面の画像を作成できる。
【0107】
また、前述の通り、また本項でも詳しく説明したように、本技法では色の特性を1つ又は複数利用してカラー画像の演出を変更及び改善できる。
【実施例
【0108】
以下、種々の実施例について説明する。
実施例1:
物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取るユーザーインタフェースを提供することと、
該ユーザーインタフェースを介して、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取ることと、
該ユーザーインタフェース又は別のユーザーインタフェースを介して、受け取った該ユーザ選択に基づいて、物的色基準をとらえた変更済画像を提示することと、
該受け取った選択又は該物的色基準をとらえた画像への変更に基づいて、該物的色基準をとらえた画像を取り込んだ場所柄と同じ場所柄で取り込んだ品物や場面の画像に変更を加えることと、
該品物や場面の変更済画像を提示又は記録することと、
を含む方法。
【0109】
実施例2:
特定の場所に実在する物的色基準と該撮影した物的色基準の肉眼による比較に基づいて手動でなされる画像への変更を受け取るように構成されているユーザーインタフェースにより、該変更済みの品物の画像を該物的色基準と共に提示することと、
該ユーザーインタフェースを介して手動での変更を受け取ることと、
受け取った手動変更に基づいて、該変更済みの品物の画像に更なる変更を加えることとを更に含み、
該変更済画像の記録が、該変更済画像を該手動変更と共に記録することであることを特徴とする実施例1の方法。
【0110】
実施例3:1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、それに応じて実施例1又は実施例2の方法の諸工程を行う諸指示を含む1つ又は複数のコンピュータ可読媒体。
【0111】
実施例4:
表示部と、
1つ又は複数のコンピュータプロセッサと、
該1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、それに応じて実施例1又は実施例2の方法の該諸工程を行う諸指示を含み、更に該変更済画像を該表示部に演出する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体と、を備えるモバイルコンピューターデバイス。
【0112】
実施例5:実施例1、実施例2、又は実施例3の該諸工程を行う手段を備えるモバイルコンピューターデバイス。
【0113】
実施例6:品物を示す画像の精度又は似つかわしさを向上させる方法であり、
品物の画像を物的色基準と共に受け取ることと、
該物的色基準の画像を、特定の場所で撮像した物的色基準の写しと比較することと、
該物的色基準の画像と該特定の場所で撮像した該物的色基準の写しとの比較に基づいて該品物の画像に変更を加えることと、
変更済画像を演出用に提供することと、を含む方法。
【0114】
実施例7:品物を示す画像の精度又は似つかわしさを向上させる方法であり、
品物の画像を物的色基準と共に受け取ることと、
特定の場所に実在する物的色基準と該撮影した物的色基準の肉眼による比較に基づいて手動でなされる画像への変更を受け取るように構成されているユーザーインタフェースにより、該品物の画像を該物的色基準と共に提示することと、
該ユーザーインタフェースを介して手動での変更を受け取ることと、
変更済画像を保存用又は演出用に提供することと、を含む方法。
【0115】
実施例8:1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、それに応じて実施例6又は実施例7の方法の該諸工程を行う諸指示を含む1つ又は複数のコンピュータ可読媒体。
【0116】
実施例9:
表示部と、
1つ又は複数のコンピュータプロセッサと、
該1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、それに応じて該実施例6又は実施例7の方法の該諸工程を行う諸指示を備えるとともに、該変更済画像を該表示部に演出することを更に含む1つ又は複数のコンピュータ可読媒体と、を備えるモバイルコンピューターデバイス。
【0117】
実施例10:実施例6、実施例7又は実施例8の諸工程を行う手段を備えるモバイルコンピューターデバイス。
【0118】
実施例11:
物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取るユーザーインタフェースを提供することと、
該ユーザーインタフェースを介して、物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取ることと、
該ユーザーインタフェース又は別のユーザーインタフェースを介して、受け取った該ユーザ選択に基づいて、該物的色基準をとらえた変更済画像を提示することと、
該受け取った選択又は該物的色基準をとらえた画像への変更に基づいて、該物的色基準をとらえた画像を取り込んだ場所柄と同じ場所柄で取り込んだ品物や場面の画像に変更を加えることと、
該品物や場面の変更済画像を提示又は記録することと、を含む方法。
【0119】
実施例12:該ユーザーインタフェースの提供により複数の選択可能な制御要素を提供し、該複数の選択可能な制御要素のそれぞれが、該物的色基準の異なる表現で提示されることを特徴とし、且つ該ユーザ選択を受け取ることには、該制御要素のいずれかの選択が含まれることを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0120】
実施例13:物的色基準の様々な表現を決定することを更に含む実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法であり、該決定には、
物的色基準をとらえた画像の一部分を、以前記録した物的色基準の画像又は物的色基準の写しの中の一致する色(該以前記録した物的色基準の画像又は該物的色基準の写しにおける位置が分かっている色)と相互に関連付けることと、
該既知の位置について記録された色情報に基づいて、該物的色基準をとらえた画像の該部分の実際の色が決定されることと、
該部分の実際の色に基づいて該物的色基準の異なる表現が決定されることと、が含まれることを特徴とする方法。
【0121】
実施例14:該一致する色が、一致する色相や彩度(鮮彩度・飽和度)や明度又は輝度であることを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0122】
実施例15:以前に記録した物的色基準の画像又は該物的色基準の写しが、該ユーザーインタフェースを提示する表示部の較正を目的として、人間選択可能な比較に基づく較正によって決定されることを特徴とする実施例14の方法。
【0123】
実施例16:該物的色基準をとらえた変更済画像を提示する前に、該受け取った選択に基づいて該物的色基準をとらえた画像に変更を加えることを更に含む実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0124】
実施例17:物的色基準をとらえた画像と品物や場面の画像が、同一の取り込み画像内に存在することと、また、該物的色基準をとらえた画像への変更と該品物や場面の画像への変更が同時期に行われる同一の工程であることを特徴とする実施例16の方法。
【0125】
実施例18:ユーザが物的色基準をとらえた画像の色の変更に関する選択を制御要素の操作を通じて手動で行ったときにそのユーザ選択を受け取ることが、ユーザーインタフェースにより可能となることと、該物的色基準をとらえた画像に変更を加えるためのユーザ選択を受け取ることには、物的色基準をとらえた画像の色相や彩度(鮮彩度・飽和度)や明度又は輝度の変更が含まれることを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0126】
実施例19:該物的色基準の変更による色の変化を記録することを更に含み、該変化の記録が、将来画像をより正確に又はより似つかわしい状態で提示するために行う該将来の画像に対する将来の変更において効果を奏することを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0127】
実施例20:別の品物や場面の別の画像、同じ場所柄で取り込んだ他の品物や場面の他の画像に対して自動的に変更を加えることを更に含み、該自動変更が、物的色基準をとらえた画像又はユーザの選択と該物的色基準をとらえた画像の変更後の状態との間の違いに基づくことを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0128】
実施例21:品物や場面が化粧品であり、その物的色基準が人間の皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が衣料製品であり、その物的色基準が人間の髪の毛や皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が風景であり、その物的色基準が屋外の場所に見られる色の範囲を含むことを特徴とする実施例11又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0129】
実施例22:
物的色基準内の既知の位置における既知の色を含む物的色基準の画像を受け取ることと、
品物や場面の画像と物的色基準の画像を同一の画像、又は同時期に取り込んだ別々の画像、又は同じ場所柄でとらえた別々の画像であることを特徴とする品物や場面の画像を受け取ることと、
該品物や場面の画像に示されている品物や場面の一部分を、物的色基準内の一致する色(該物的色基準上の位置が分かっている色)と相互に関連付けることと、
既知の位置について記録した色情報に基づいて品物や場面の該部分の実際の色を決定することと、
記録した色情報と、品物や場面の当該部分の位置を記録すること、またかかる記録を使って、該品物や場面の画像の将来的な演出において、正確な又は似つかわしい色を正しく表す際に効果を奏することと、を含む方法。
【0130】
実施例23:該品物の相互関連付けが、品物や場面の画像の複数の部分を物的色基準の既知の色と共にサンプリングすることを含み、且つ、該サンプリングに基づき一致するものが見つかったときにそれに対応する部分が相互関連付けの対象となることを特徴とする実施例22の方法。
【0131】
実施例24:ユーザとの対話型処理なく自動的に実行されることを特徴とする実施例22又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0132】
実施例25:記録しておいた色情報と品物や場面の該部分の位置に基づいて、正確な又は似つかわしい色を有する品物や場面の画像を演出することを更に含む実施例22又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0133】
実施例26:該品物や場面の画像に示されている品物や場面の該部分と物的色基準内の一致する色との相互関連付けが、色相や彩度(鮮彩度・飽和度)や明度又は輝度を一致させることである、ことを特徴とする実施例22又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0134】
実施例27:該物的色基準内の既知の位置に存在する既知の色が、ユーザーインタフェースを提示する表示部の較正を目的として、人間選択可能な比較に基づく較正によって決定されることを特徴とする実施例22又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0135】
実施例28:品物や場面が化粧品であり、その物的色基準が人間の皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が衣料製品であり、その物的色基準が人間の髪の毛や皮膚の色調範囲を含む、又は品物や場面が風景であり、その物的色基準が屋外の場所に見られる色の範囲を含むことを特徴とする実施例22又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0136】
実施例29:
品物や場面の画像を受け取ることと、
記録されている色情報と品物や場面の一部分の位置を受け取ることであり、該記録されている色情報と該品物や場面上の一部分の位置が、該品物や場面の該位置における該部分の正確な色又はそれに似つかわしい色を示すことを特徴とすることと、
該品物や場面の画像内の品物や場面の該部分の色と、該記録されている色情報の色の違いを判定することと、
判定された色の違いに基づいて該品物や場面の画像に変更を加えることと、
該品物や場面の変更済画像を記録又は演出することと、を含む方法。
【0137】
実施例30:該品物や場面の変更済画像の記録又は演出が、該変更済画像の拡張現実インタフェースにおける演出であることを特徴とする実施例29の方法。
【0138】
実施例31:該記録されている色情報により及び該位置において、該品物や場面の該位置における該部分の正確な色が示されていることを特徴とし、且つユーザが自分から見える地点の特定の場所における物的色基準に基づいて該地点の周囲照明条件に対する該品物や場面の変更済画像の似つかわしさを改善するのに効果的である更なる変更を、該品物や場面の変更済画像の演出に加えるために行うユーザの選択を、ユーザーインタフェースを介して受け取ることを更に含む実施例29又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0139】
実施例32:該変更済画像が演出される表示部の較正に基づいて、該品物や場面の変更済画像を表示部に演出したときに当該演出の精度又は似つかわしさを改善するのに効果的である更なる変更を、該品物や場面の変更済画像の演出に加えるために行うユーザの選択を、ユーザーインタフェースを介して受け取ることを更に含む実施例29又はそれに先行する他の実施例の方法。
【0140】
実施例33:該変更済画像が演出される表示部の較正に基づいて、該品物や場面の変更済画像を表示部に演出したときに当該演出の精度又は似つかわしさを改善するのに効果的である変更を、該品物や場面の変更済画像の演出に自動的に加えることを更に含む実施例29又はそれに先行する他の実施例の方法。
結び
【0141】
演色の諸態様を特定の機能特性且つ又は方法に基づく文言で説明したが、添付される各請求項の対象が、必ずしも上記される特定の機能特性や方法に限定されるとは限らない。むしろ、当該特定の機能特性や方法は、演色の実施例として開示されているにすぎない。よって、その他の同等の機能特性や方法も、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。更に、種々異なる態様について説明したが、上記の各態様を個別に、又は上記されるその他の態様の1つ又は複数と関連して実施できることは言うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12