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特許7481474安全キャッチシステムおよび安全キャッチシステムを備えるリフト装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】安全キャッチシステムおよび安全キャッチシステムを備えるリフト装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 17/00 20060101AFI20240501BHJP
   B66F 7/08 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B66F17/00 H
B66F7/08 F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022554802
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021053605
(87)【国際公開番号】W WO2021180423
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】16/818,245
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コーデイ ティー. ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー ノーランド
(72)【発明者】
【氏名】コーリー シュリクター
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0030778(KR,A)
【文献】実開平06-076300(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105776061(CN,A)
【文献】実開平07-040687(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0218157(US,A1)
【文献】実開平04-010659(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 17/00
B66F 7/00 - 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全ラッチシステムであって、
ピストンのハウジングに取付け可能な取付け具と、
前記取付け具に連結された、爪を有する爪部材と、
前記ピストンのピストンロッドの端部分に接続可能である第1の接続部分と、前記爪に係合するように構成された歯部分と、を含む第1の側壁を有するラチェット部材と、
前記爪部材に動作可能に接続されていて、前記爪部材と前記ラチェット部材との間の係合状態および前記爪部材と前記ラチェット部材との間の係合解除状態を提供するように構成された解除アセンブリと、
を備え、
前記係合状態のとき、前記爪部材は、前記ラチェット部材に係合しており、前記安全ラッチシステムは、
(i)前記ピストンロッドが前記ハウジングから外向きに前進するときに、前記ラチェット部材が前記爪部材に対して可動であるロック解除状態を、および
(ii)前記ピストンロッドが前記ハウジングに向かって動くのを阻止するために、前記爪部材が、前記ラチェット部材におけるセットの互いに隣り合った歯の間の窪みにロックされるように構成されたロック状態を、
提供するように構成されており、
前記係合解除状態のとき、前記爪部材は、前記ラチェット部材から係合解除されていて、前記ピストンロッドが、前記ハウジングから外向きに前進することができ、前記ピストンロッドが、前記ハウジングに向かって後退することができ
前記取付け具に連結された案内部材であって、(a)前記取付け具に対する前記ラチェット部材の動きを案内し、(b)前記ピストンロッドに対する前記ラチェット部材の位置合わせを支持するように構成された案内部材をさらに備え、
前記ラチェット部材は、前記案内部材と前記取付け具との間に配置されており、
前記案内部材は、第1の側面、第2の側面、および第3の側面を含むU字状の3面構造であり、前記第1の側面、前記第2の側面、および前記第3の側面によって、前記ラチェット部材および前記取付け具が包囲されている、
安全ラッチシステム。
【請求項2】
前記ラチェット部材は、中央壁によって接続された前記第1の側壁と第2の側壁とによって画定された構造通路を含み、
前記ラチェット部材は、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に前記取付け具を収容するように構成されている、
請求項1記載の安全ラッチシステム。
【請求項3】
前記爪部材は、別の爪を含み、
前記第2の側壁は、前記別の爪に相互作用するように構成された別の歯部分を含み、
前記解除アセンブリは、前記解除アセンブリが前記爪を前記窪みから外すのと同時に、前記別の爪を前記別の歯部分における別のセットの互いに隣り合った歯の間の別の窪みから外すように構成されている、
請求項2記載の安全ラッチシステム。
【請求項4】
前記爪部材と前記取付け具とに接続されたばねをさらに備え、
前記ばねは、前記ラチェット部材が前記ピストンとともに前記ハウジングに向かって動き始めたとき、前記セットの互いに隣り合った歯の間の前記窪みに前記爪を付勢して、前記ロック状態を提供するように構成されている、
請求項1記載の安全ラッチシステム。
【請求項5】
前記解除アセンブリは、
前記爪部材に接続されたケーブルと、
前記ケーブルを介して前記爪部材に動作可能に接続されたレバーであって、前記レバーの作動により前記ケーブルが前記爪部材を動かして、前記爪が前記歯部分における前記セットの互いに隣り合った歯の間の前記窪みから外れる、レバーと、
を備える、請求項1記載の安全ラッチシステム。
【請求項6】
前記歯部分は、複数の歯を含み、それぞれの歯は、第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも急峻である第2の傾斜面とを有る、
請求項1記載の安全ラッチシステム。
【請求項7】
リフト装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームを鉛直軸線に沿った様々な位置に支持するための可動脚部を有するシザーリフトアセンブリと、
ピストンおよびピストンロッドを含むアクチュエータであって、前記シザーリフトアセンブリを動かして、前記プラットフォームを前記様々な位置に提供するように構成されたアクチュエータと、
前記シザーリフトアセンブリ用の安全キャッチを提供するように構成された安全ラッチシステムであって、
前記ピストンのハウジングに取付け可能な取付け具と、
前記取付け具に連結された、爪を有する爪部材と、
前記ピストンロッドの端部分に接続された第1の接続部分と、前記爪に係合する歯部分とを含む第1の側壁を有するラチェット部材であって、(i)前記ピストンロッドが前記ハウジングから外向きに前進するときに、ロック解除状態において前記爪に対して動き、(ii)前記ピストンロッドが前記ハウジングに向かって動くのを阻止するためのロック状態において、前記爪に対してロックされるように構成されたラチェット部材と、
前記爪部材に動作可能に接続されていて、前記爪部材と前記ラチェット部材との間の係合状態および前記爪部材と前記ラチェット部材との間の係合解除状態を提供するように構成された解除アセンブリと、
を含み、
前記係合状態のとき、前記爪部材は、前記ラチェット部材に係合しており、前記安全ラッチシステムが、前記ロック解除状態および前記ロック状態を提供するように構成されており、
前記係合解除状態のとき、前記爪部材は、前記ラチェット部材から係合解除されていて、前記ピストンロッドが、前記ハウジングから外向きに前進することができ、前記ピストンロッドが、前記ハウジングに向かって後退することができる、
安全ラッチシステムと、
を備え
前記取付け具に連結された案内部材であって、(a)前記取付け具に対する前記ラチェット部材の動きを案内し、(b)前記アクチュエータに対する前記ラチェット部材の位置合わせを支持するように構成された案内部材をさらに備え、
前記ラチェット部材は、前記案内部材と前記取付け具との間に配置されており、
前記案内部材は、第1の側面、第2の側面、および第3の側面を含むU字状の3面構造であり、前記第1の側面、前記第2の側面、および前記第3の側面によって、前記ラチェット部材および前記取付け具が包囲されている、
リフト装置。
【請求項8】
前記ラチェット部材は、中央壁によって接続された前記第1の側壁と第2の側壁とによって画定された構造通路を含み、
前記ラチェット部材は、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に前記取付け具を収容するように構成されている、
請求項記載のリフト装置。
【請求項9】
前記爪部材は、別の爪を含み、
前記第2の側壁は、前記別の爪に相互作用するように構成された別の歯部分を含み、
前記解除アセンブリは、前記爪を前記歯部分におけるセットの互いに隣り合った歯の間の窪みから外し、前記別の爪を前記別の歯部分における別のセットの互いに隣り合った歯の間の別の窪みから外すように構成されている、
請求項記載のリフト装置。
【請求項10】
前記爪部材と前記取付け具とに接続されたばねをさらに備え、
前記ばねは、前記ピストンロッドが前記ハウジングに向かって動く際に、前記ラチェット部材が前記ピストンロッドとともに動き始めたとき、前記爪をセットの互いに隣り合った歯の間の窪みに入れ込んで、ロック状態を提供するように構成されている、請求項記載のリフト装置。
【請求項11】
前記解除アセンブリは、
前記爪部材に接続されたケーブルと、
前記ケーブルを介して前記爪部材に動作可能に接続されたレバーであって、前記レバーの作動により前記ケーブルが前記爪部材を動かして、前記爪が前記歯部分におけるセットの互いに隣り合った歯の間の窪みから外れる、レバーと、
を備える、請求項記載のリフト装置。
【請求項12】
前記歯部分は、複数の歯を含み、それぞれの歯は、第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも急峻である第2の傾斜面とを有る、
請求項記載のリフト装置。
【請求項13】
リフト装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームを鉛直軸線に沿った様々な位置に支持する脚部と、
ピストンおよびピストンロッドを含むアクチュエータであって、前記プラットフォームが前記様々な位置に動くように、前記脚部を動かすように構成されたアクチュエータと、
ロック解除状態およびロック状態を提供するための安全ラッチシステムであって、
前記ピストンのハウジングに取付け可能な取付け具と、
前記取付け具に接続されていて、第1の爪および第2の爪を含む爪部材であって、係合状態および係合解除状態に動くことができる爪部材と、
第1の歯部分を有する第1の側壁および第2の歯部分を有する第2の側壁を含むラチェット部材であって、
(i)前記ピストンロッドが前記脚部を動かして前記プラットフォームを上昇させるように構成された、前記係合状態のときの前記爪部材とのロック解除状態を、および、
(ii)前記ピストンロッドが前記脚部を動かして前記プラットフォームを下降させることが阻止される、前記係合状態のときの前記爪部材とのロック状態を、
提供するように構成されたラチェット部材と、
前記爪部材を前記係合状態から前記係合解除状態に移行させて、前記爪部材が前記ラチェット部材から係合解除され、前記ピストンロッドが前記脚部を動かして前記プラットフォームを下降させることができるように構成された解除アセンブリと、
を含む、安全ラッチシステムと、
を備え
前記取付け具に連結された案内部材であって、(a)前記取付け具に対する前記ラチェット部材の動きを案内し、(b)前記アクチュエータに対する前記ラチェット部材の位置合わせを支持するように構成された案内部材をさらに備え、
前記ラチェット部材は、前記案内部材と前記取付け具との間に配置されている、
前記案内部材は、第1の側面、第2の側面、および第3の側面を含むU字状の3面構造であり、前記第1の側面、前記第2の側面、および前記第3の側面によって、前記ラチェット部材および前記取付け具が包囲されている、
リフト装置。
【請求項14】
前記ラチェット部材は、中央壁によって接続された前記第1の側壁と前記第2の側壁とによって画定された構造通路を含み、
前記ラチェット部材は、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に前記取付け具を収容するように構成されている、
請求項13記載のリフト装置。
【請求項15】
前記爪部材に接続されていて、前記取付け具に固定されているばねをさらに備え、
前記ばねは、前記解除アセンブリが作動しない限り、前記爪部材が前記ラチェット部材に相互作用するように、前記爪部材を前記ラチェット部材に対して前記係合状態にするように構成されている、
請求項13記載のリフト装置。
【請求項16】
前記解除アセンブリは、
前記爪部材に接続されたケーブルと、
レバーであって、前記ケーブルを介して前記爪部材に動作可能に接続されており、それにより、前記レバーの作動により前記ケーブルが前記爪部材を動かし、それにより、前記第1の爪が前記第1の歯部分における第1のセットの互いに隣り合った歯の間の第1の窪みから外れ、前記第2の爪が前記第2の歯部分における第2のセットの互いに隣り合った歯の間の第2の窪みから外れる、レバーと、
を備える、請求項13記載のリフト装置。
【請求項17】
前記脚部が、シザーリフトアセンブリの一部である、請求項13記載のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、安全キャッチシステムに関する。
【0002】
背景
概して、シザーリフトは、例えば液圧式または空気圧式のシステムによって制御される折畳み式の支持体を介して、それぞれ異なる高さまで移動可能なプラットフォームを提供するように構成されている。しかしながら、そのようなシザーリフトが不本意にかつ/または危険な状態で下降してしまう事例が生じることがある。例えば、液圧式または空気圧式のシステムが故障した場合、シザーリフトは不意に音を立てて落下することがあり、このことは、物体がプラットフォーム上にあるときに、その物体に対して危険な状況および/または破損を引き起こすおそれがある。
【0003】
概要
以下は、下記に詳細に説明する特定の実施形態の概要である。説明する態様は、これら特定の実施形態の簡単な概要を読者に提供するためだけに提示されており、これらの態様の説明は、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際、本開示は、以下に明示的に述べていないことがある様々な態様を包含してもよい。
【0004】
少なくとも1つの態様によれば、安全ラッチシステムは、取付け具と、爪部材と、ラチェット部材と、解除アセンブリとを含む。取付け具は、ピストンのハウジングに取付け可能である。爪部材は、取付け具に連結されている。爪部材は、爪を含む。ラチェット部材は、ピストンのピストンロッドの端部分に接続可能である第1の接続部分を含む第1の側壁を有する。第1の側壁は、爪に係合するように構成された歯部分を含む。解除アセンブリは、爪部材とラチェット部材との間の係合状態を提供するように構成されている。解除アセンブリは、爪部材とラチェット部材との間の係合解除状態を提供するようにも構成されている。係合状態のとき、爪部材は、ラチェット部材に係合しており、それにより、安全ラッチシステムは、(i)ピストンロッドがハウジングから外向きに前進するときに、ラチェット部材が爪部材に対して可動であるロック解除状態および(ii)ピストンロッドがハウジングに向かって動くのを阻止するために、爪部材が、ラチェット部材の互いに隣り合った歯の間の窪みにロックされるように構成されたロック状態を提供するように構成されている。係合解除状態のとき、爪部材は、ラチェット部材から係合解除されていて、ピストンロッドが、ハウジングから外向きに前進することができ、ピストンロッドが、ハウジングに向かって後退することができる。
【0005】
少なくとも1つの態様によれば、リフト装置は、プラットフォームと、シザーリフトアセンブリと、アクチュエータと、安全ラッチシステムとを含む。シザーリフトアセンブリは、プラットフォームを鉛直軸線に沿った様々な位置に支持する可動脚部を含む。アクチュエータは、ピストンおよびピストンロッドを含む。アクチュエータは、脚部を動かして、プラットフォームを鉛直軸線に沿った様々な位置に提供するように構成されている。安全ラッチシステムは、脚部用の安全キャッチを提供するように構成されている。安全ラッチシステムは、取付け具と、爪部材と、ラチェット部材と、解除アセンブリとを含む。取付け具は、ピストンのハウジングに取付け可能である。爪部材は、取付け具に連結されている。爪部材は、爪を含む。ラチェット部材は、ピストンロッドの端部分に接続された第1の接続部分を含む第1の側壁を有する。第1の側壁は、爪に係合する歯部分を含む。ラチェット部材は、(i)ピストンロッドがハウジングから外向きに前進するときに、ロック解除状態において爪に対して動き、(ii)ピストンロッドがハウジングに向かって動くのを阻止するためのロック状態において、爪に対してロックされるように構成されている。解除アセンブリは、爪部材に動作可能に接続されている。解除アセンブリは、爪部材とラチェット部材との間の係合状態および爪部材とラチェット部材との間の係合解除状態を提供するように構成されている。係合状態のとき、爪部材は、ラチェット部材に係合しており、それにより、安全ラッチシステムが、ロック解除状態およびロック状態を提供するように構成されている。係合解除状態のとき、爪部材は、ラチェット部材から係合解除されていて、ピストンロッドが、ハウジングから外向きに前進することができ、ピストンロッドが、ハウジングに向かって後退することができる。
【0006】
少なくとも1つの態様によれば、リフト装置は、少なくとも、プラットフォームと、脚部と、アクチュエータと、安全ラッチシステムとを含む。脚部は、プラットフォームを鉛直軸線に沿った様々な位置に支持する。アクチュエータは、ピストンおよびピストンロッドを含む。アクチュエータは、プラットフォームが鉛直軸線に沿った様々な位置に動くように、脚部を動かすように構成されている。安全ラッチシステムは、ロック解除状態およびロック状態を提供するように構成されている。安全ラッチシステムは、取付け具と、爪部材と、ラチェット部材と、解除アセンブリとを含む。取付け具は、ピストンのハウジングに取付け可能である。爪部材は、取付け具に接続されていて、第1の爪および第2の爪を含む。爪部材は、係合状態および係合解除状態に動くことができる。ラチェット部材は、第1の歯部分を有する第1の側壁および第2の歯部分を有する第2の側壁を含む。ラチェット部材は、(i)ピストンロッドが脚部を動かしてプラットフォームを上昇させるように構成されているような、係合状態のときの爪部材とのロック解除状態および(ii)ピストンロッドが脚部を動かしてプラットフォームを下降させることが阻止されるような、係合状態のときの爪部材とのロック状態を提供するように構成されている。解除アセンブリは、爪部材を係合状態から係合解除状態に移行させ、それにより、爪部材がラチェット部材から係合解除されて、ピストンロッドが脚部を動かしてプラットフォームを下降させることができるように構成されている。
【0007】
本発明の上記その他の特徴、態様、および利点は、添付図面により、以下の詳細な説明において考察され、添付図面全体を通して、同様の符号は類似したまたは同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的な実施形態による、安全ラッチシステムを有するリフト装置の例を示す図である。
図2A】本開示の例示的な実施形態による、最下位置にプラットフォームがある安全ラッチシステムを有するリフト装置の例を示す図である。
図2B】本開示の例示的な実施形態による、中間位置にプラットフォームがある安全ラッチシステムを有するリフト装置の例を示す図である。
図2C】本開示の例示的な実施形態による、最上位置にプラットフォームがある安全ラッチシステムを有するリフト装置の例を示す図である。
図3A】例示的な実施形態による、ラチェット部材の例を示す斜視図である。
図3B】例示的な実施形態による、ラチェット部材の例を示す側面図である。図3Bは、例示的な実施形態による、ラチェット部材の幾つかの歯の拡大図も示す。
図4A】例示的な実施形態による、爪アセンブリの例を示す斜視図である。
図4B】例示的な実施形態による、図4Aの爪アセンブリの1つの側面を示す図である。
図4C】例示的な実施形態による、図4Aの爪アセンブリの別の側面を示す図である。
図4D】例示的な実施形態による、図4Aの爪アセンブリの構成要素の分解図である。
図5A】例示的な実施形態による、爪アセンブリに関連したラチェット部材を示す側面図である。
図5B】例示的な実施形態による、図5Aのラチェット部材および爪アセンブリの別の側面図である。
図6】例示的な実施形態による、爪アセンブリに関連した解除アセンブリの幾つかの構成要素を示す斜視図および拡大図である。
図7A】例示的な実施形態による、レバーが作動していないときの安全ラッチシステムの状態を示す概念図である。
図7B】例示的な実施形態による、レバーが作動したときの安全ラッチシステムの状態を示す概念図である。
【0009】
詳細な説明
本明細書に記載の実施形態は、例として図示および説明されており、それらの利点のうちの多くは、先の説明によって理解され、開示される主題から逸脱することなくまたはその利点のうちの1つもしくは複数を犠牲にすることなく、構成要素の形態、構成、および配置に様々な変更が加えられてもよいことが明らかである。実際、これらの実施形態の説明する形態は、単に例示であるに過ぎない。これらの実施形態は、様々な修正および代替形態の影響を受けやすく、添付の特許請求の範囲は、そのような変更を包含し含むことを意図しており、開示された特定の形態に限定されるのではなく、むしろ本開示の趣旨および範囲に含まれる全ての修正形態、等価物、および代替形態を網羅することを意図している。
【0010】
図1および図2A図2Cは、例示的な実施形態による、安全ラッチシステム200を有するリフト装置100の様々な図を示している。リフト装置100は、プラットフォーム110と、支持アセンブリ120と、ベースアセンブリ130と、アクチュエータ140と、安全ラッチシステム200とを含んでいる。例えば、非限定的な例として、図1においてリフト装置100は、推進システムリフトであり、この推進システムリフトは、様々な構成要素、例えば電気車両のバッテリ、エンジン、トランスアクスル、燃料タンク、サスペンション、クレードル、シャーシシステム構成要素、パワートレイン、任意の適切な物体、またはこれらの任意の組合せのための可動作業面として、プラットフォーム110を提供するように構成されている。
【0011】
プラットフォーム110は、作業面を提供する構造になっている。例えば図1において、作業面は、第1の部分112と第2の部分114とを含んでいる。作業面は、第1の軸線10に沿って異なる長さに調整可能である。この例において、第1の部分112は定位置に固定されている。一方で、第2の部分114は、レールまたは任意の適切な機械的デバイスを介して、第1の軸線10に沿って異なる位置に可動であり、所望の位置において所定の位置にロックされるように構成されている。またプラットフォーム110は、第1の軸線10に対して垂直な第2の軸線20に沿って可動である。例えば、図1において、第2の軸線20は鉛直軸線である。有利には、プラットフォーム110は、それぞれ異なる長さおよびそれぞれ異なる高さに調整可能な作業面を提供する構造になっており、それにより、様々な物体および/またはタスクに適している。
【0012】
支持アセンブリ120は、第2の軸線20に沿った様々な位置にプラットフォーム110を支持する構造になっている。例えば図1において、支持アセンブリ120は、4節リンク構造を含んでいる。支持アセンブリ120は、脚部122を有する折畳み式の支持体を含むシザーリフトアセンブリを含んでおり、脚部122は、第2の軸線20に沿ったそれぞれ異なる高さにプラットフォーム110を支持するために、それぞれ異なる位置まで可動である。非限定的な例として、例えばシザーリフトアセンブリは、交差脚部122の第1の対と、交差脚部122の第2の対とを含んでおり、これらの対は、交差部分および接続部分の接合部において可動である。シザーリフトアセンブリは、下降状態および上昇状態ならびに下降状態と上昇状態との間に位置する中間状態など、様々な状態を提供するように構成されている。図2Aに示してある下降状態において、シザーリフトアセンブリの脚部122は、低い高さにプラットフォーム110を提供するように位置決めされている。図2Cに示してある上昇状態において、シザーリフトアセンブリの脚部122は、低い高さよりも大きい高い高さにプラットフォーム110を提供するよう位置決めされている。また、シザーリフトアセンブリは、下降状態と上昇状態との間の様々な中間位置に脚部122が位置決めされる様々な状態を提供するように構成されている。図2Bは、低い高さと高い高さとの間の中間位置にあるシザーリフトアセンブリの例を示している。
【0013】
ベースアセンブリ130は、リフト装置100の他の構成要素に支持を提供する任意の適切な構造を含んでいる。例えば非限定的な例として、図1において、ベースアセンブリ130はフレーム構造体132を含んでいる。フレーム構造体132は、アクチュエータ140の端部に接続される構造になっているフランジのセット134を含んでいる。またこの例において、フレーム構造体132は、車輪136(例えば、キャスター車輪)と操舵ハンドル138とを含んでおり、これらは、リフト装置100を様々な場所に容易に動かす際に有利である。別の例(図示せず)として、ベースアセンブリ130は、リフト装置100の他の構成要素を支持するように構成された静止ベースまたは任意の適切なフレーム構造体である。
【0014】
アクチュエータ140は、液圧式システム、空気圧式システム、電子式システム、または本明細書に記載の機能を提供することが可能な任意の適切な作動システムである。例えば図1において、アクチュエータ140は液圧式シリンダであり、この液圧式シリンダは、ベースアセンブリ130に接続された端部と、支持アセンブリ120に接続された反対側の端部とを有している。例えば図1において、液圧式シリンダは、ベースアセンブリ130のフランジのセット134に固定された、そのハウジング142の端部にある第1の取付け具と、支持アセンブリ120の脚部122のフランジのセット124に固定された、そのピストンロッド144の端部にある第2の取付け具とを有している。液圧式シリンダのこの取付けは、ハウジング142の一方の端部において液圧式シリンダが支持されることを可能にし、その一方で、脚部122を様々な位置に駆動するようにピストンロッド144を動かして、プラットフォーム110を様々な高さにすることを可能にする。任意の適切な簡単な機械であってもよい作動デバイスにより、プラットフォーム110が所望の高さまで容易に上昇または下降するように、アクチュエータ140は、支持アセンブリ120を駆動するように構成されている。例えば図1において、作動デバイスは、ケーブル148を介してアクチュエータ140に動作可能に接続されたペダル146(またはレバー)である。
【0015】
安全ラッチシステム200は、アクチュエータ140および/または支持アセンブリ120用の安全キャッチを提供するように構成されている。安全ラッチシステム200は、少なくとも、ラチェット部材202と、爪アセンブリ204と、解除アセンブリ206とを含んでいる。安全ラッチシステム200は、リフト装置100の組立て中に装着され、かつ/またはリフト装置100の組立て後に後付けされるように構成されている。装着されたとき、安全ラッチシステム200は、ラチェット部材202に爪アセンブリ204が係合した係合状態と、ラチェット部材202から爪アセンブリ204が係合解除された係合解除状態とを提供するように構成されている。例えば図1において、安全ラッチシステム200は、解除アセンブリ206がレバー230を介して作動していない(またはデフォルト状態にある)ときには係合状態であり、解除アセンブリ206がレバー230を介して作動したときには係合解除状態である。
【0016】
さらに、係合状態にあるとき、安全ラッチシステム200は、有利には、ロック解除状態およびロック状態を提供するように構成されている。ロック解除状態において、安全ラッチシステム200は、アクチュエータ140が脚部122を駆動できるようにし、それにより、プラットフォーム110を上昇可能にするように構成されている。ロック状態において、安全ラッチシステム200は、アクチュエータ140および/または脚部122が下降することを阻止し、それにより、安全対策として、プラットフォーム110が下降しないようにまたは閾値量(例えば、所定のバックラッシ量)を超えて下降し続けないようにするように構成されている。対照的に、係合解除状態のとき、安全ラッチシステム200は、ロック状態とロック解除状態との間で切換可能である。例えば係合解除状態において、安全ラッチシステム200は、ロック状態からロック解除状態に移行するように構成されており、それにより、爪アセンブリ204がラチェット部材202から係合解除されるので、脚部122および/またはピストンロッド144は、様々な高さまで自由にプラットフォーム110を動かす(例えば上昇および下降させる)ことができる。
【0017】
図3Aおよび図3Bは、例示的な実施形態による、ラチェット部材202の様々な図を示している。ラチェット部材202は、細長い部材である。この例において、ラチェット部材202は、長手方向軸線30を中心として対称である。ラチェット部材202は、第1の部分202Aと第2の部分202Bとを含んでいる。第1の部分202Aは、支持アセンブリ120およびアクチュエータ140にラチェット部材202を接続することができるようにする接続機構を含んでいる。この例において、ラチェット部材202は貫通穴202Cを含んでおり、この貫通穴202Cは、少なくとも1つの締め具がラチェット部材202を支持アセンブリ120およびアクチュエータ140に固定することができるようにする接続機構として機能する。
【0018】
例えば図1に示してあるように、ラチェット部材202は、その内側側壁同士の間にフランジ124のセットを収容する構造になっている。さらに、フランジのセット124は、その内面同士の間にピストンロッド144の端部分を収容する構造になっている。また、図1に示してあるように、ピストンロッド144、脚部122、およびラチェット部材202は、同じ機械的締め具、例えばピン、保持リング、任意の適切な機械的締め具、またはそれらの任意の組合せによって、互いに固定されている。この構成により、アクチュエータ140は、ピストンロッド144の動きにより、脚部122およびラチェット部材202を駆動して動かすように構成されている。一方で、第2の部分202Bは自由端部を含んでおり、これにより、ラチェット部材202は、第1の部分202Aでピストンロッド144および脚部122に取り付けられることにより動くことができるようになる。さらに、ラチェット部材202は、切欠き部分202Dを含んでいてもよい。例えば図3Bに示してあるように、これらの切欠き部分202Dは、近隣の構成要素に対するラチェット部材202のクリアランスを提供するのに有利である。さらに、切欠き202Dは、材料節約およびコスト節約の利点を提供する。
【0019】
例示的な実施形態において、ラチェット部材202は、U字形またはC字形の断面を有する通路形の構造である。例えば図3Aに示してあるように、ラチェット部材202は3面構造体であり、この3面構造体は、中央壁部分202Eを含んでおり、この中央壁部分202Eが、第1の側壁部分202Fと第2の側壁部分202Gとの間に延在している。この3面構成は、ラチェット部材202に強度および剛性を付与する。図3Aにおいて、ラチェット部材202は単体構造であるが、ラチェット部材202は、一体構造を形成する複数の要素を含んでいてもよい。ラチェット部材202は、引張強度の高い材料を含んでいる。例えば、少なくとも図1および図3A図3Bにおいて、ラチェット部材202は、ラチェット部材202が本明細書に記載の機能を提供することができるようにする鋼または任意の適切な材料を含んでいる。
【0020】
中央壁部分202Eは、第1の側壁部分202Fと第2の側壁部分202Gとの間にある。中央壁部分202Eは、第1の側壁部分202Fと第2の側壁部分202Gとの間に接続部を提供して、第1の側壁部分202Fが第2の側壁部分202Gと位置合わせされることを確保する。また、中央壁部分202Eは、下方にある構成要素を異物(例えば破片、液体、他の物体など)から保護して覆い、それにより、安全ラッチシステム200の適切な機能を確保する構造にもなっている。
【0021】
第1の側壁部分202Fは、第1の歯部分202Hを含んでいる。第1の歯部分202Hは、歯の第1のセットを含んでいる。さらに、第2の側壁部分202Gは、第2の歯部分202Iを含んでいる。この場合、第2の歯部分202Iの各歯は、第1の歯部分202Hの各歯に対応している。また、この場合、第1の歯部分202Hは、例えば歯の個数、歯の輪郭、歯の位置などに関して、第2の歯部分202Iと同一または同様である。第2の歯部分は、歯の第2のセットを含んでいる。第2の歯部分202Iは、中央壁部分202Eを介して第1の歯部分202Hに位置合わせされ、対応している。さらに、図3Bの拡大図に示してあるように、各歯は、第1の傾斜面202Jと第2の傾斜面202Kとを含んでおり、これらが先端202Lを形成している。第1の傾斜面202Jは、歯の基線40に対して第1の角度θ1を形成している。第2の傾斜面202Kは、歯の基線40に対して第2の角度θ2を形成している。第2の角度θ2は、第1の角度θ1よりも大きい。これに関して、第2の傾斜面202Kは、第1の傾斜面202Jよりも急峻である。各セットの互いに隣り合った歯の間には、窪み202Mが存在しており、この窪み202Mにおいて、ロック状態のときに、それぞれの爪が定位置にロックされることが可能である。
【0022】
図4A図4Dは、例示的な実施形態による、爪アセンブリ204の様々な図を示している。爪アセンブリ204は、少なくとも取付け具208を含んでいる。例えば図4A図4Dにおいて、取付け具208は、鋼、または本明細書に記載の機能を取付け具208が提供できるようにする任意の適切な材料を含んでいる。取付け具208は、ピストンロッド144がハウジング142から延在および後退する開口に隣り合った位置でピストンのハウジング142に取付け可能である。例えば図4A図4Dに示してあるように、取付け具208は、矩形の断面または実質的に矩形の断面を有するブロックである。取付け具208は、第1の表面208Bから第2の表面208Cまで延在した貫通穴208Aを含んでいる。取付け具208は、アクチュエータ140の一部を貫通穴208Aに収容して、この貫通穴208Aに通せるようにすることによって、ハウジング142の外側部分に取付け可能である。取付け具208は、締め具(例えば止めねじなど)を介してハウジング142に固定されるように構成されている。さらに、図4Dに示してあるように、取付け具208は、ロッド222を取付け具208に固定する止めねじまたは任意の適切な締結デバイスなどの締め具224を収容するための穴208Eを有する表面208Dを含んでいる。
【0023】
取付け具208は、ばね固定具210に接続されるように構成されている。例えば、取付け具208の第1の表面208Bは、ばね固定具210を収容するための穴208Fを含んでいる。ばね固定具210は、ばね212を取付け具208に取り付けられるようにする。ばね固定具210は、ばね212を容易に調整することができるようにする。例えば図6に示してあるように、ばね固定具210は、ばね212の一方の端部を取付け具208に固定するように構成されており、ばね212の他方の端部は、爪部材214に接続されている。この構成により、ばね212を取付け具208に固定し、爪部材214とともに可動にすることができる。したがって、ばね212は、レバー230が作動しない限り、ラチェット部材202に相互作用するように爪部材214を付勢するかまたは押圧するように構成されている。図4A図4Dにおいて、ばね212は、引張ばねである。他の例として、ばね212は、少なくとも1つのねじりばねまたは本明細書に記載の機能を提供する任意の適切な機械的デバイスを含んでもよい。
【0024】
取付け具208は、ケーブルホルダ216に接続されるように構成されている。例えば第2の表面208Cにおいて、取付け具208は、ケーブルホルダ216を取付け具208に固定する締め具218を収容するための穴208Gを含んでいる。少なくとも図4Aに示してあるように、ケーブルホルダ216は、取付け具208に取り付けられたとき、ケーブルホルダ216を取付け具208に固定する締め具218を収容する第1の部分216Aを有している。さらに図4Aに示してあるように、ケーブルホルダ216は、取付け具208の表面を越えて延在した第2の部分216Bを含んでいる。第2の部分216Bは、ケーブルコネクタ220を収容する構造になっている。したがって、この例において、第2の部分216Bは、図4Dに示してあるように、第1の部分216Aよりも厚く、それにより、取付け具208の角隅部分がケーブルホルダ216に接触および/または嵌合する張出し部が与えられる。また、図4A図4C図4D、および図6に示してあるように、ケーブルホルダ216は、取付け具208に取り付けられると、ケーブルコネクタ220を定位置に保持し、それにより、爪部材214のバー214Eにケーブル232を接続することができるようになる。
【0025】
取付け具208は、少なくとも爪部材214を支持するように構成されたロッド222を収容するようにも構成されている。ロッド222は、案内部材226を支持するようにも構成されている。これに関して、例えばロッド222は、引張強度の高い材料を含んでいる。例えば、ロッド222は、冷間引抜き1144鋼または本明細書に記載の機能を提供することができる任意の適切な材料を含んでいる。少なくとも図4Dに示してあるように、取付け具208は、第1の横方向面208Iから第2の横方向面208Jまで延在した貫通穴208Hを有している。この構成により、ロッド222の長手方向軸線は、アクチュエータ140の長手方向軸線に対して垂直に延在するように構成されている。ロッド222の第1の端部分が、取付け具208の第1の横方向面208Iを越えて延在し、ロッド222の第2の端部分が、取付け具208の第2の横方向面208Jを越えて延在するように、ロッド222は、取付け具208よりも長い構造になっている。ロッド222は、ロッド222を取付け具208に固定するように構成された締め具224、例えば止めねじまたは任意の適切な締め具デバイスを収容する構造になっている。例えば図4Dにおいて、締め具224がロッド222を取付け具208に安定して固定することができるようにするために、ロッド222は、ロッド222の中央領域に貫通穴222Aを含んでいる。ロッド222は、円筒形である大きな部分と、少なくとも1つの端部分に平坦面222Bを有する小さな部分とを含んでいて、D字形の断面を提供している。円筒部分により、爪部材214は様々な位置、例えば係合状態を提供する第1の位置および係合解除状態を提供する第2の位置に回転することができる。平坦面222Bは、ロッド222および/または案内部材226が互いに回転するのを防止するための当接面を提供する。
【0026】
取付け具208は、ロッド222の端部分を介して爪部材214を支持するように構成されており、ロッドの端部分は、丸みのある断面を含み、取付け具208から露出している。爪部材214は、鋼、または本明細書に記載の機能を爪部材214が提供できるようにする任意の適切な材料を含んでいる。爪部材214は、少なくとも1つの爪を含んでいる。例えば、図4A図4Dにおいて、爪部材214は、第1の爪214Aおよび第2の爪214Bを含む複数の爪を有している。例えば図4Dに示してあるように、第1の爪214Aは、第2の爪214Bと同一であるかまたは実質的に同一である。
【0027】
例示的な実施形態において、第1の爪214Aは、第1のアームと第2のアームとを含むL字形を有している。第1の爪214Aは、第1のアームが第2のアームに接合された箇所に、ロッド222を収容するための第1の貫通穴214Cを含んでいる。さらに、第1のアームは先端部分を含んでおり、この先端部分は、第1の爪214Aが窪み202Mのうちのいずれか1つにおいて第1の歯部分202Hに嵌合して噛み合うことを可能にする形状を有している。第1の爪214Aの第2のアームは端部分を含んでおり、この端部分は、バー214Eに接続または接合されている。第2の爪214Bも、第1のアームと第2のアームとを含むL字形を有している。第2の爪214Bは、第1のアームが第2のアームに接合された箇所に、ロッド222を収容するための第2の貫通穴214Dを含んでいる。さらに、第1のアームは先端部分を含んでおり、この先端部分は、第2の爪214Bが窪み202Mのうちのいずれか1つにおいて第2の歯部分202Iに嵌合して噛み合うことを可能にする形状を有している。第2の爪214Bの第2のアームは端部分を含んでおり、この端部分は、バー214Eに接続または接合されている。
【0028】
第1の爪214Aと第2の爪214Bは、互いに離間させられているが、バー214Eを介して互いに接続されている。これに関して、第1の爪214Aは、取付け具208の片側に位置決めされる構造になっており、その一方で、第2の爪214Bは、取付け具208の反対側に位置決めされるように構成されている。より具体的には、図4A図4Dに示してあるように、第1の爪214Aは、第1の横方向面208Iの外側に隣接して位置決めされており、その一方で、第2の爪214Bは、第2の横方向面208Jの外側に隣接して位置決めされている。
【0029】
第1の爪214Aおよび第2の爪214Bのそれぞれは、ラチェット部材202に相互作用するように構成されている。少なくとも図4Aに示してあるように、第1の爪214Aおよび第2の爪214は、取付け具208に接続されたとき、それぞれ取付け具208の第1の表面208Bを越えて延在する構造になっている。例えば、図4Aおよび図7Aに示してあるように、係合状態のとき、爪部材214は少なくとも第1の位置まで回転するように構成されており、この第1の位置において、第1の爪214Aの第1の縁部214Gおよび第2の爪214Bの第2の縁部214Hは、少なくとも第1の表面208Bに対して傾斜しており、それにより、これらの縁部は、ラチェット部材202の第1の歯部分202Hおよび第2の歯部分202Iに相互作用することができる。少なくとも図7Bに示してあるように、係合解除状態にあるとき、爪部材214は少なくとも第2の位置まで回転するように構成されており、この第2の位置において、第1の縁部214Gおよび第2の縁部214Hは、少なくとも第1の表面208Bに対して垂直(または実質的に垂直)であり、それにより、これらの縁部は、ラチェット部材202の第1の歯部分202Hおよび第2の歯部分202Iから離れて係合解除される。
【0030】
この例において、第1の爪214Aおよび第2の爪214Bは、一緒に揃って動く構造になっている。爪部材214は、第1の爪214Aと第2の爪214Bとの間に延在したバー214E(または任意の適切な機械的デバイス)を含んでいる。バー214Eは、第1の爪214Aと第2の爪214Bとを互いに接続している。また、バー214Eは、第1の爪214Aを第2の爪214Bに位置合わせしている。バー214Eは、解除アセンブリ206を爪部材214に接続してその状態(例えば係合状態および係合解除状態)を制御することができるようにするための構造を提供する。例えば図4Dにおいて、バー214Eは、解除アセンブリ206のケーブル232(図6)を収容するための貫通穴214Fを含んでいる。また、バー214Eは、ばね212を爪部材214に接続して爪部材214を制御することができるようにするための溝214Gも含んでいる。図4A図4Cに示してあるように、爪部材214が取付け具208に取り付けられたとき、爪部材214は、それぞれ解除システム206およびばね212に従ってバー214Eが動くことができる十分なクリアランスのある状態で、取付け具208の下方にそのバー214Eを延在させる構造になっている。さらに、爪部材214は、爪部材214が第2の位置にあり、係合解除状態にあるときよりも、爪部材214が第1の位置にあり、係合状態にあるときのほうが、バー214Eがばね固定具210の近くに位置決めされているように構成されている。
【0031】
爪アセンブリ204は、案内部材226を含んでいる。ラチェット部材202がアクチュエータ140および/または脚部122とともに動くときに、案内部材226は、爪部材214に関連してラチェット部材202を案内するように構成されている。案内部材226は、それぞれ第1の歯部分202Hが第1の爪214Aに相互作用し、第2の歯部分201Iが第2の爪214Bに相互作用するように、ラチェット部材202を案内して爪部材214に位置合わせする構造になっている。案内部材226は、鋼、または本明細書に記載の機能を案内部材226が提供できるようにする任意の適切な材料を含んでいる。
【0032】
案内部材226は、第1の側面226A、第2の側面226B、および第3の側面226Cを含む3面構造である。案内部材226は、丸みのある内部角隅部分を含んでおり、この内部角隅部分は、ラチェット部材202に多少のクリアランスを提供する構造になっており、それにより、ラチェット部材202は、干渉することなく案内部材226に対して動くように構成されている。さらに取付け具208も、ラチェット部材202に多少のクリアランスを提供するための面取り縁部208Kを含む構造になっており、それにより、ラチェット部材202は、取付け具208からの干渉を受けることなく案内部材226に対して動くように構成されている。
【0033】
案内部材226は、第1の接続部分226Dおよび第2の接続部分226Eを含んでいる。例えば、図4Dに示してある例において、第1の接続部分226Dは、ロッド222の円筒部分に対応した丸い形状の貫通穴を含んでいる。第1の接続部分226Dはこの形状に限定されず、ロッド222の対応部分に応じた任意の適切な形状を備えていてもよい。第2の接続部分226Eは、ロッド222のD字形に対応するようにD字形の貫通穴を含んでいる。D字形は、第3の側面226Cに平坦面226Fを提供し、この平坦面226Fは、ロッド222の平坦面222Bに平坦面226Fが当接したときに、案内部材226の回転を防止する構造になっている。さらに、図示してある例において、爪部材214および案内部材226は、締め具228を介してロッド222に固定されている。代替的に、本明細書に記載の機能と同じ機能を提供するように案内部材214が構成される限り、案内部材226は、爪部材214とは別々に取付け具208に固定されてもよい。
【0034】
図5Aおよび図5Bは、爪アセンブリ204に関連したラチェット部材202の図を示している。先に述べたように、ラチェット部材202は、爪部材214に対して動くように構成されている。例えば、ピストンロッド144がハウジング142から外向きに前進するときに、ラチェット部材202はピストンロッド144とともに動くように構成されている。これに関して、例えばラチェット部材202は、爪アセンブリ204に対して少なくとも第1の方向50に動くように構成されている。ピストンロッド144がハウジング142から外向きに前進する際に、ラチェット部材202がピストンロッド144によって駆動されるとき、第1の爪214Aは、第1の歯部分202Hの傾斜縁部を上向きに滑ってそれを乗り越え、第1の歯部分202Hの各歯の先端部分(または頂点)を第1の爪214Aが通過するときに、ばね212が、第1の爪214Aをセットの互いに隣り合った歯の間の窪み202Mに進入させる(多くの場合、可聴「クリック音」が生じる)。さらに、ピストンロッド144がハウジング142から外向きに前進する際に、ラチェット部材202がピストンロッド144によって駆動されるとき、第2の爪214Bは、第2の歯部分202Iの傾斜縁部を上向きに滑ってそれを乗り越え、第2の歯部分202Iの各歯の先端部分(または頂点)を第2の爪214Bが通過する際に、ばね212が、第2の爪214Bをセットの互いに隣り合った歯の間の窪み202Mに進入させる(多くの場合、可聴「クリック音」が生じる)。
【0035】
さらに、レバー230を介して安全ラッチシステム200が係合解除状態にあるとき、ラチェット部材202は、ピストンロッド144がハウジング142に向かって後退するときにピストンロッド144とともに動くように構成されている。これに関して、ラチェット部材202は、少なくとも第1の方向50の反対の少なくとも第2の方向60に動くように構成されている。対照的に、第1の爪214Aは、レバー230を介して安全ラッチシステム200が係合状態にある際に、ピストンロッド144がハウジング142および取付け具208に向かって後退または移動し始めたとき、第1の爪214Aが第1の歯部分202Hにおいて遭遇した最初の歯の第1の傾斜面202Jに引っかかるかまたは当接するように構成されている。さらに、第2の爪214Bは、ハウジング142および取付け具208に向かってピストンロッド144が後退または移動し始めたとき、第2の爪214Bが第2の歯部分202Iにおいて遭遇した最初の歯の第1の傾斜面202Jに引っかかるかまたは当接するように構成されている。より具体的には、ばね212は、第1の歯部分202Hおよび第2の歯部分202Iにおけるセットの互いに隣り合った歯の間の窪み202Mにそれぞれ第1の爪214Aおよび第2の爪214Bを付勢して進入させるように構成されており、それにより、第1の爪214Aおよび第2の爪214Bは、ラチェット部材202(ひいてはピストンロッド144)がハウジング142および取付け具208に向かって後退または移動することを阻止する。この状況において、第1の爪214Aは、第1の歯部分202Hにおけるセットの互いに隣り合った歯の間に噛み合い、その一方で、第2の爪214Bは、第2の歯部分202Iにおけるセットの互いに隣り合った歯の間に噛み合う。ラチェット部材202および爪部材214による噛合または嵌合を含むこのロック状態は、少なくともアクチュエータ140、支持アセンブリ120、およびプラットフォーム110の下降または継続的な下降を阻止することにより安全対策を提供している。
【0036】
さらに、爪部材214に対するラチェット部材202の動きが、例えば少なくとも図2A図2Cに示してある。より具体的には、図2A図2Cにおいて先に述べたように、ラチェット部材202の一方の端部は、ピストンロッド144および脚部122に接続されているが、反対側の端部は自由であり、それにより、ラチェット部材202は、ピストンロッド144および/または脚部122とともに動くことができる。その一方で、爪部材214は、取付け具208を介してピストンのハウジング142に取り付けられており、したがって、アクチュエータ140に沿って位置固定されているが、ラチェット部材202に爪部材214が係合した係合状態を提供するための第1の位置と、ラチェット部材202から爪部材214が係合解除された係合解除状態を提供するための第2の位置とに少なくとも回転可能である。
【0037】
この構成により、ラチェット部材202は、爪アセンブリ204(ひいては爪部材214)に対して動くように構成されている。例えば図2Aにおいて、爪アセンブリ204は、ラチェット部材202の端部分に位置決めされている。この場合、ピストンロッド144はハウジング142内に配置されかつ/または後退しており、それにより、ラチェット部材202の第1の部分202Aの端部が、ハウジング142上の取付け具208の固定位置の近くに位置している。別の例として、図2Bは、ピストンロッド144の第1の方向50への動き(またはハウジング142からのピストンロッド144の伸長)に応じて、ラチェット部材202が図2Aの位置から図2Bの位置に動いたときに、ラチェット部材202に沿った中間位置に爪アセンブリ204が位置決めされた例を示している。さらに別の例として、図2Cは、ピストンロッド144の第1の方向50への更なる動き(またはハウジング142からのピストンロッド144の更なる伸長)に応じて、ラチェット部材202が図2Bのその位置から図2Cのその位置に動いたときに、ラチェット部材202の反対の端部分に爪アセンブリ204が位置決めされた例を示している。
【0038】
解除アセンブリ206は、少なくとも、レバー230と、ケーブル232と、ケーブルストッパ234とを含んでいる。ユーザがレバー230を容易に作動または停止させることができるように、レバー230は、取付けデバイス236(図7A図7B)を介してリフト装置100の任意の適切な部分に接続されるように構成されている。例えば図1に示してあるように、レバー230は、取付けデバイス236の一部として提供される磁石を介して、リフト装置100の任意の強磁性部分(例えば操舵ハンドル138)に取外し可能に連結されるように構成されている。レバー230は、ケーブル232に動作可能に接続されている。
【0039】
図6は、例示的な実施形態による、ケーブル232および爪アセンブリ204への接続部の図を示している。この例において、ケーブル232は、レバー230に接続された第1の部分(図1)と、ケーブルコネクタ220に接続された第2の部分(図6)とを有している。図6は、レバー230とケーブルコネクタ220との間に保護シースを有しているが、ケーブルコネクタ220とバー214Eとの間には保護シースがない状態のケーブル232を示している。レバー230は、作動したときにケーブル232を引き寄せるように構成されている。また、レバー230は、作動していないときにケーブル232の引寄せを解除するように構成されている。ケーブルホルダ216は、取付け具208に対するケーブル232の安定した支持を提供する構造になっている。レバー230が作動したときに、爪部材214に対してケーブル232の引寄せを伝達し(図7B)、レバー230が停止したときに、爪部材214に対してケーブル232の引寄せを解除する(図7A)ように、ケーブル232は爪部材214に動作可能に接続されている。例えば図6において、ケーブル232は、バー214Eの貫通穴214Fを通過し、締め具234(例えばケーブルストッパ)によって締め付けられることにより、バー214Eの中央区分に接続されている。したがって、ケーブル232を介したレバー230は、バー214Eの動きを制御するように構成されており、それにより、爪部材214はロッド222を中心として、少なくともラチェット部材202に対する係合状態を提供する位置と、ラチェット部材202に対する係合解除状態を提供する別の位置とに回転する。
【0040】
図7Aおよび図7Bは、例示的な実施形態による解除アセンブリ206の異なる状態を示している。レバー230が停止したとき(すなわち、作動していない状態またはデフォルト状態)、図7Aに示すように、レバー230は、ケーブル232を介して爪部材214に対する引寄せを解除するように構成されており、それにより、ばね212が、ラチェット部材202に係合するよう爪部材214を付勢する。この係合状態のとき、爪部材214はロッド222を中心として回転し、それにより、第1の爪214Aおよび第2の爪214Bは、ラチェット部材202のそれぞれ第1の歯部分202Hおよび第2の歯部分202Iに相互作用する。この係合状態のときに、安全ラッチシステム200は、シザーリフトアセンブリが(i)上昇して、プラットフォーム110を上昇させること、(ii)プラットフォーム110の高さを維持すること、(iii)プラットフォーム110の下降を阻止する安全キャッチを提供することを可能にする。
【0041】
対照的に、レバー230が作動したとき、図7Bに示してあるように、レバー230は、ケーブル232を介して爪部材214を引っ張るように構成されており、それにより、爪部材214は、ラチェット部材202から係合解除される。より具体的には、図7Bに示してあるように、例えば爪部材214は回転するように構成されており、それにより、その第1の縁部214Gおよびその第2の縁部214Hが、それぞれ第1の歯部分202Hおよび第2の歯部分202Iの基線40に対して平行または実質的に平行になる。バー214Eのケーブル232の引寄せを介して爪部材214が前向きに回転してこの位置に到来したとき、第1の爪214Aの先端および第2の爪214Bの先端は、それぞれのセット互いに隣り合った歯の間の窪みから引き出される。ロッド222を中心とした爪部材214のこの回転により、第1の爪214Aと第1の歯部分202Hとの間の空間および第2の爪214Bと第2の歯部分202Iとの間の空間が形成され、これにより、安全ラッチシステム200が係合解除され、リフト装置100が自由に動けるようになる。この係合、解除状態のときに、安全ラッチシステム200は、シザーリフトアセンブリが(i)上昇して、プラットフォーム110を上昇させること、(ii)下降して、プラットフォーム110を下降させることを可能にする。
【0042】
本明細書において考察したように、安全ラッチシステム200は、複数の有利な特徴および利点を含んでいる。例えば安全ラッチシステム200は、リフト装置100の継続的な下降を防止するための安全キャッチ機構を提供するように構成されている。安全ラッチシステム200は、アクチュエータ140が故障した場合またはピストンロッド144が予期せず後退した場合に、支持アセンブリ120(例えば、シザーリフトアセンブリ)の継続的な下降を阻止するために、アクチュエータ140に接続されている。有利には、安全ラッチシステム200はモジュール式であり、様々なシザーリフトシステムまたは他の適切なリフトシステムに後付けされるように構成されている。
【0043】
つまり、上記の説明は、例示的であって限定的でないことが意図されており、特定の用途およびその要件の文脈で提供されている。本発明は様々な形態で実装可能であり、様々な実施形態は、単体でまたは組合せで実装されてもよいことを、先の説明から当業者は理解することができる。したがって、本発明の実施形態は特定の例に関連して説明されてきたが、本明細書において規定した全般的な原理は、説明した実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用されてもよく、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を研究すると、様々な修正形態が当業者にとって明らかになることから、本発明の実施形態および/または方法の真の範囲は、図示および説明した実施形態に限定されない。例えば、構成要素および機能は、説明した様々な実施形態とは異なる方法で分離されてもよいし組み合わされてもよく、異なる用語を使用して説明されてもよい。上記その他の変形形態、修正形態、付加形態、および改善形態は、添付の特許請求の範囲において規定される本開示の範囲内に含まれてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7A
図7B