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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】作業システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240501BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022556759
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2020038797
(87)【国際公開番号】W WO2022079839
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 茂人
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003581(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/239679(WO,A1)
【文献】特開2016-117124(JP,A)
【文献】特開2021-185637(JP,A)
【文献】国際公開第2012/049917(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00- 13/08
B23Q 1/00- 41/08
B25J 5/00- 15/12
G05B 19/18- 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装処理を行うための実装関連設備および実装制御装置を備える実装システムと、前記実装処理に用いられる部材を自動搬送する自動搬送車および搬送制御装置を備える搬送システムと、を備える作業システムであって、
前記実装関連設備の周辺の所定エリアでは、前記実装制御装置が前記自動搬送車の走行制御を行い、前記所定エリア以外の他のエリアでは、前記搬送制御装置が前記自動搬送車の走行制御を行う
作業システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業システムであって、
前記実装関連設備には、前記部材の自動交換と移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、該自動交換装置および前記自動搬送車が共用して作業を行う共用作業エリアとを含み、
前記実装制御装置は、前記自動交換装置および前記自動搬送車のうち一方が前記共用作業エリアで作業中の場合、該共用作業エリアに移動しないように前記自動交換装置および前記自動搬送車のうち他方を制御する
作業システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業システムであって、
前記実装関連設備には、前記部材の自動交換と移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、該自動交換装置および前記自動搬送車が共用して作業を行う共用作業エリアとを含み、
前記実装制御装置は、前記自動交換装置が前記共用作業エリアで作業中に前記自動搬送車が同一エリアで作業を必要とした場合、所定の区切りで作業を中断させて前記自動交換装置を移動させてから前記自動搬送車に前記共用作業エリアで作業を行わせ、前記自動搬送車の作業が終了すると該自動搬送車を移動させてから前記自動交換装置が作業を再開するように前記自動交換装置と前記自動搬送車とを制御し、前記自動搬送車が前記共用作業エリアで作業中の場合、該共用作業エリアに移動しないように前記自動交換装置を制御する
作業システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の作業システムであって、
前記所定エリアと前記他のエリアには、互いに重複する重複エリアが設けられており、
前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち一方は、前記自動搬送車の走行制御を行って前記重複エリアに前記自動搬送車が到着すると、前記重複エリアに到着した旨の通知を前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち他方に送信し、
前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち他方は、前記通知を受信すると、前記重複エリアから前記自動搬送車の走行制御を行う
作業システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の作業システムであって、
前記実装関連設備には、前記部材が交換可能に取り付けられ所定方向に並んで配置された複数の実装装置と、前記複数の実装装置に対して前記部材の自動交換と前記所定方向に沿った移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、を含み、
前記所定エリアは、前記実装関連設備の周辺のうち、前記自動交換装置の移動および該自動交換装置との接触の防止に必要なエリアに定められている
作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、作業システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する実装装置などの実装関連設備を含む実装システムと、部品を供給する部品供給ユニットなどの部材を自動搬送する自動搬送車を含む自動搬送システムと、を備える作業システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この作業システムでは、自動搬送システム側で自動搬送車を制御して実装装置前の所定位置に自動搬送車が到着すると、到着通知を実装システムへ通知し、到着通知を受けた実装システム側で自動搬送車を制御して部品供給ユニットなどの部材の交換に関する作業を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2020/003581A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した作業システムでは、実装装置前の所定位置まで自動搬送車の走行を制御する際に、実装関連設備の作動の状況などを考慮することは記載されていない。このため、移動中の自動搬送車が、実装関連設備の作動箇所や移動設備などに衝突するおそれがあり好ましくない。一方で、実装システム側で自動搬送車の走行制御を全て行うことも考えられるが、そのためには各自動搬送車の配車や自動搬送車同士の衝突の回避などの処理も行う必要が生じるため、現実的ではない。
【0005】
本開示は、実装処理に用いられる部材を自動搬送する自動搬送車の制御をより適切に行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の作業システムは、
実装処理を行うための実装関連設備および実装制御装置を備える実装システムと、前記実装処理に用いられる部材を自動搬送する自動搬送車および搬送制御装置を備える搬送システムと、を備える作業システムであって、
前記実装関連設備の周辺の所定エリアでは、前記実装制御装置が前記自動搬送車の走行制御を行い、前記所定エリア以外の他のエリアでは、前記搬送制御装置が前記自動搬送車の走行制御を行う
ことを要旨とする。
【0008】
本開示の作業システムでは、実装関連設備の周辺の所定エリアでは、実装制御装置が自動搬送車の走行制御を行い、所定エリア以外の他のエリアでは、搬送制御装置が自動搬送車の走行制御を行う。これにより、所定エリア内で自動搬送車が実装関連設備の作動箇所などに衝突しないように適切に制御することができる。一方、実装制御装置は、他のエリアで自動搬送車を走行制御する必要はないから、制御負担が過大となるのを防止することができる。したがって、実装処理に用いられる部材を自動搬送する自動搬送車の制御をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業システム1の一例を示す説明図。
図2】実装ライン11の構成の概略を示す説明図。
図3】実装装置20の構成の概略を示す説明図。
図4】作業システム1の制御に関する構成を示すブロック図。
図5】AGVの走行制御の受け渡しの一例を示すシーケンス。
図6】AGV・ローダ制御の一例を示すフローチャート。
図7】変形例のAGV・ローダ制御を示すフローチャート。
図8】変形例の作業システム1Bを示す説明図。
図9】変形例の作業システム1Cを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は、作業システム1の一例を示す説明図である。図2は、実装ライン11の構成の概略を示す説明図である。図3は、実装装置20の構成の概略を示す説明図である。図4は、作業システム1の制御に関する構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図2,3に示した通りとする。
【0011】
作業システム1は、基板Sへの部品の実装処理(実装作業)を行うための実装システム10と、実装処理に用いられる各種部材の搬送(搬送作業)を行うための搬送システム50とを備える。実装システム10は、2つの実装ライン11と、実装制御装置38とを備える。また、搬送システム50は、複数台の自動搬送車55(以下、AGV55)と、充電ステーション57と、搬送制御装置58とを備える。
【0012】
各実装ライン11には、実装処理に関連する実装関連設備が複数配置されている。実装関連設備には、例えば、印刷装置12、印刷検査装置14、保管庫16、実装装置20、実装検査装置28、リフロー装置30、リフロー検査装置32などのうち1以上が含まれている。これらは、基板Sの搬送方向(X軸方向)に沿って並べて配置されている。また、本実施形態の実装関連設備には、ローダ18を含む。なお、各実装ライン11は、同じ構成でもよいし、異なる構成でもよい。本実施形態では、後述するように、実装ライン11の周辺のエリアである実装システム10側のエリアでは、AGV55の走行制御が実装システム10側で行われる。このエリアを実装側制御エリアA1(所定エリア)という(図1の点線参照)。また、実装側制御エリアA1以外の搬送システム50側のエリア(非実装側制御エリア,段取りエリア)では、AGV55の走行制御が搬送システム50側で行われる。このエリアを搬送側制御エリアA2という(図1の一点鎖線参照)。
【0013】
印刷装置12は、スクリーンマスクに形成されたパターン孔にはんだを押し込むことで基板S(図3参照)に印刷する。印刷検査装置14は、印刷装置12で印刷されたはんだの状態を検査する。実装検査装置28は、実装装置20で基板Sに実装された部品の実装状態を検査する。リフロー装置30は、はんだ上に部品が配置された基板Sを加熱することによりはんだを溶融し、その後冷却することにより各部品を基板S上に電気的に接続、固定する。リフロー検査装置32は、リフロー後の基板S上の部品の状態を検査する。
【0014】
実装装置20は、基板Sの搬送方向に沿って複数配置されており、基板Sに部品を実装する。実装装置20は、図3に示すように、実装ユニット22と、フィーダ24とを備える。実装ユニット22は、ノズルなどの採取部材を装着した実装ヘッドにより、部品を採取して基板S上に実装するユニットである。フィーダ24は、部品を所定ピッチで保持するテープが巻回されたリールが着脱可能に取り付けられ、リールを回転させることによりテープを送り出して部品を供給するテープフィーダとして構成されている。
【0015】
ローダ18は、複数の実装装置20および保管庫16の前面側において、基板Sの搬送方向に沿った移動エリア内で移動可能に構成されている。ローダ18は、移動エリア内で移動して、実装処理に用いられる部材の交換(回収や補給)を自動で行う。例えば、ローダ18は、実装装置20に対して交換可能な作業ユニットであるフィーダ24を自動で交換するが、実装ユニット22が備えるヘッド、ノズルなどの採取部材、はんだの収容部材、スクリーンマスクなど、実装処理に用いられる部材を自動で交換すればよい。
【0016】
保管庫16は、実装処理で使用される各種部材を各実装ライン11内で保管するライン内保管庫であり、例えばフィーダ24を保管する。保管庫16では、作業者Mがフィーダ24を補給したり回収したりする。また、ローダ18は、保管庫16に対してフィーダ24を自動で交換可能であり、必要なフィーダ24を保管庫16から取り出して実装装置20に補給したり、使用したフィーダ24を実装装置20から取り出して保管庫16に回収したりする。また、保管庫16では、AGV55もフィーダ24を補給したり回収したりすることができる。即ち、保管庫16は、作業者Mとローダ18とAGV55とにより共用され、フィーダ24の出し入れ作業が行われる。
【0017】
実装制御装置38は、CPUやROM、RAM、HDDなどを含む汎用のコンピュータであり、キーボードやマウスなどの入力デバイスやディスプレイなどの出力デバイスが接続される。実装制御装置38のHDDなどの記憶装置には、基板Sの生産プログラムや、基板Sの生産に関連した生産情報が記憶される。生産プログラムは、基板Sへの部品の実装順や、基板Sの生産数等を規定する。また、生産情報は、基板Sにおけるはんだの印刷位置を示す情報や、基板Sに実装される部品の情報、各部品の実装位置などが含まれる。部品の情報には、各実装装置20で実装される部品種の他、部品の在庫状況として、各実装装置20や保管庫16へのフィーダ24の配置状況などを示す。実装制御装置38は、基板Sの生産に際し、生産プログラムおよび生産情報に基づいて、印刷装置12や印刷検査装置14、ローダ18、実装装置20、実装検査装置26、リフロー装置30、リフロー検査装置32などに各種指令信号を与える。また、実装制御装置38は、無線によりAGV55と通信接続が可能に構成されており、AGV55の走行制御が可能となっている。また、実装制御装置38は、搬送制御装置58と通信可能に接続されており、基板Sの生産状況や生産に必要なフィーダ24に関する情報、AGV55の制御に関する情報などをやり取りする。
【0018】
AGV55は、図示は省略するが、車輪を回転駆動させるモータや電力を供給するバッテリなどを備え、フィーダ24などの実装処理に用いられる部材を、倉庫60と保管庫16との間などで自動搬送する。AGV55は、例えば、保管庫16から使用済みのフィーダ24を取り出して倉庫60に自動搬送して収容したり、倉庫60から必要なフィーダ24を取り出して保管庫16に自動搬送して収容したりする。なお、AGV55は、フィーダ24を自動で搬送するが、実装ユニット22が備えるヘッド、ノズルなどの採取部材、はんだの収容部材、スクリーンマスクなど、実装処理に用いられる部材を自動で搬送するものであればよい。なお、倉庫60には、作業者Mにより収容されたフィーダ24などの各種部材が保管されている。充電ステーション57は、所定の充電位置に駐車した1または複数台のAGV55のバッテリを充電する設備である。なお、充電ステーション57は、所定の充電位置にAGV55が駐車すると、コネクタが接続されて給電可能となる構成でもよいし、非接触で給電可能となる構成でもよい。
【0019】
また、本実施形態では、倉庫60から保管庫16までの間に各種部材を保管可能な中間保管庫62も設けられている。AGV55は、中間保管庫62に対してもフィーダ24などの部材を自動で出し入れすることができる。なお、倉庫60や中間保管庫62では、使用済みのフィーダ24から作業者Mがリールを取り外したり、フィーダ24へ新たなリールを取り付けたりするなどの段取り作業も行われる。充電ステーション57や倉庫60、中間保管庫62などは、搬送側制御エリアA2に配設されている。
【0020】
搬送制御装置58は、CPUやROM、RAM、HDDなどを含む汎用のコンピュータであり、キーボードやマウスなどの入力デバイスやディスプレイなどの出力デバイスが接続される。搬送制御装置58は、無線によりAGV55と通信接続が可能に構成されており、AGV55の走行制御を行ったり、AGV55のバッテリ残量などの状態を取得したりする。また、搬送制御装置58は、充電ステーション57におけるAGV55の充電制御なども行う。また、搬送制御装置58は、実装制御装置38から送信された基板Sの生産状況や生産に必要なフィーダ24に関する情報、AGV55のバッテリ残量などに基づいて、各AGV55の搬送予定や充電予定、配車予定などを含むAGV55の走行計画を作成する。
【0021】
こうして構成された作業システム1では、上述したように、実装側制御エリアA1におけるAGV55の走行制御を実装制御装置38が行い、搬送側制御エリアA2におけるAGV55の走行制御を搬送制御装置58が行う。図1に示すように、実装側制御エリアA1と搬送側制御エリアA2とは、互いに重複する重複エリアDAを有する(図1中斜線部分)。重複エリアDAでは、実装制御装置38および搬送制御装置58のいずれもAGV55の走行制御を行うことができ、AGV55の制御主体を両制御装置間で切り替えることもできる。実装側制御エリアA1と搬送側制御エリアA2との間でAGV55を行き来させる場合には、重複エリアDA内に定められた所定の切替位置までAGV55を移動させて制御主体を切り替えることになる。そのため、AGV55の目的地を重複エリアDA内の切替位置として走行制御が行われる。なお、所定の切替位置は、例えば図1のAGV55(1)の位置であり、この他に複数の位置が定められていてもよい。以下、AGV55の制御に関する処理の詳細を説明する。図5は、AGVの走行制御の受け渡しの一例を示すシーケンスである。
【0022】
まず、搬送制御装置58は、実装側制御エリアA1へ移動させるAGV55が重複エリアDA内の切替位置に到着したか否かを判定する(S100)。搬送制御装置58は、AGV55が重複エリアDA内の切替位置に到着したと判定すると、そのAGV55の識別情報や搬送しているフィーダ24の情報など、制御の切り替えに必要な情報を含む到着通知を実装制御装置38に送信する(S110)。また、搬送制御装置58は、重複エリアDA内の切替位置に到着したAGV55との通信接続を解除して走行制御を終了し(S120)、S130に進む。なお、搬送制御装置58は、S100でAGV55が切替位置に到着していないと判定すると、S110,S120をスキップしてS130に進む。
【0023】
一方、実装制御装置38は、搬送制御装置58から送信される到着通知を受信したか否かを判定する(S200)。実装制御装置38は、到着通知を受信したと判定すると、到着通知に含まれるAGV55の識別情報などの情報を取得してAGV55との通信接続を確立し(S210)、実装側制御エリアA1でAGV55の走行制御を行う(S220)。なお、実装制御装置38は、S200で到着通知を受信していないと判定すると、S210,S220をスキップしてS230に進む。なお、S220の走行制御の詳細は後述するが、AGV55が保管庫16などの目的地に到達して必要な作業を終了すると、実装制御装置38は、重複エリアDA内の切替位置までAGV55を走行制御する。
【0024】
そして、実装制御装置38は、重複エリアDA内の切替位置にAGV55が到着したか否かを判定する(S230)。実装制御装置38は、AGV55が切替位置に到着したと判定すると、そのAGV55の識別情報や搬送しているフィーダ24の情報など、制御の切り替えに必要な情報を含む到着通知を搬送制御装置58に送信する(S240)。また、実装制御装置38は、重複エリアDA内の切替位置に到着したAGV55との通信接続を解除して走行制御を終了し(S250)、S200に戻る。なお、実装制御装置38は、S230でAGV55が切替位置に到着していないと判定すると、S240,S250をスキップしてS200に戻る。
【0025】
一方、搬送制御装置58は、実装制御装置38から送信される到着通知を受信したか否かを判定する(S130)。搬送制御装置58は、到着通知を受信したと判定すると、到着通知に含まれるAGV55の識別情報などの情報を取得してAGV55との通信接続を確立し(S140)、搬送側制御エリアA2でAGV55の走行制御を行う(S150)。また、搬送制御装置58は、S130で到着通知を受信していないと判定すると、S140,S150をスキップしてS100に戻る。搬送制御装置58による走行制御では、上述した走行計画に基づいてAGV55を倉庫60や中間保管庫62へ移動させてフィーダ24を出し入れさせたり、充電ステーション57へ移動させて充電させたりする。
【0026】
続いて、実装制御装置38が行うAGV55の走行制御について、ローダ18の移動制御と合わせて説明する。図6は、AGV・ローダ制御の一例を示すフローチャートである。実装制御装置38は、まず、ローダ18が保管庫16で作業中であるか否か(S300)、ローダ18が保管庫16を目的地として移動中であるか否か(S310)、をそれぞれ判定する。実装制御装置38は、ローダ18が保管庫16で作業中または保管庫16を目的地として移動中であると判定すると、AGV55を所定位置で待機させて(S320)、ローダ18の作業が終了するのを待つ(S330)。この所定位置は、保管庫16前でローダ18が作業中であってもAGV55が干渉しない位置であり、上述した切替位置でもよいし、切替位置から移動した位置でもよい。
【0027】
また、実装制御装置38は、ローダ18の作業が終了したと判定すると、ローダ18を保管庫16から移動(退避)させると共に(S340)、保管庫16以外でのローダ18の作業を許可する(S350)。即ち、実装制御装置38は、保管庫16でのローダ18の作業を禁止して近付かないようにする。また、実装制御装置38は、実装装置20に対するフィーダ24の自動交換などの作業をローダ18に行わせて、保管庫16で作業するAGV55にローダ18が干渉しないようにする。
【0028】
次に、実装制御装置38は、AGV55が保管庫16まで走行するように走行制御を行う(S360)。実装制御装置38は、保管庫16にAGV55が到着すると、保管庫16に対しフィーダ24を出し入れするなどの作業をAGV55に行わせる(S370)。そして、実装制御装置38は、AGV55の作業が終了すると、作業が終了したAGV55を保管庫16から重複エリアDA内の切替位置へ退避させ(S380)、ローダ18に対し保管庫16での作業を許可して(S390)、AGV・ローダ制御処理を終了する。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装システム10が本開示の実装システムに相当し、AGV55が自動搬送車に相当し、搬送システム50が搬送システムに相当し、作業システム1が作業システムに相当し、実装制御装置38が実装制御装置に相当し、搬送制御装置58が搬送制御装置に相当する。ローダ18が自動交換装置に相当し、保管庫16(保管庫16前の作業エリア)が共用作業エリアに相当する。実装装置20が実装装置に相当する。
【0030】
以上説明した作業システム1では、実装関連設備の周辺の実装側制御エリアA1では、実装制御装置38がAGV55の走行制御を行い、搬送側制御エリアA2では、搬送制御装置58がAGV55の走行制御を行う。これにより、実装側制御エリアA1でAGV55がローダ18などに衝突しないように適切に制御することができる。一方、実装制御装置38は、搬送側制御エリアA2でAGV55を走行制御する必要はないから、制御負担が過大となるのを防止することができる。
【0031】
また、実装制御装置38は、ローダ18およびAGV55のうち一方が保管庫16で作業中の場合、保管庫16に移動しないようにローダ18およびAGV55のうち他方を制御するから、両者が衝突するのを適切に防止することができる。
【0032】
また、実装側制御エリアA1と搬送側制御エリアA2との重複エリアDA内の切替位置で、実装制御装置38と搬送制御装置58とがAGV55の制御の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0033】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、ローダ18が保管庫16で作業中の場合やローダ18が保管庫16へ移動中の場合にはAGV55を待機させ、AGV55に保管庫16で作業をさせる場合にはローダ18を保管庫16を目的地とする移動を禁止させるものとした。即ち、ローダ18およびAGV55の一方が保管庫16で作業中の場合には、他方が保管庫16を目的地として移動しないようにしたが、これに限られるものではない。図7は、変形例のAGV・ローダ制御を示すフローチャートである。変形例では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付してその説明を省略する。
【0035】
図7の変形例では、実装制御装置38は、S310でローダ18が保管庫16に移動中であると判定すると、ローダ18の移動を中止して(S322)、S350へ進む。即ち、ローダ18が保管庫16を目的地として移動中でも、AGV55の作業を優先させるために、ローダ18の移動を一旦中止してAGV55に保管庫16で作業を行わせる。
【0036】
また、図7の変形例では、実装制御装置38は、S320でAGV55を待機させると、ローダ18の作業の区切りとなったか否かを判定し(S324)、作業の区切りと判定すると、ローダ18の作業を中断して(S326)、ローダ18を保管庫16から移動させる。例えば、ローダ18が回収した複数のフィーダ24を保管庫16に収容してから、新たに複数のフィーダ24を保管庫16から取り出す場合、フィーダ24を収容する作業と、新たなフィーダ24を取り出す作業とに区切ることができる。また、一度に出し入れ可能なフィーダ24の所定数よりも多いフィーダ24を保管庫16に出し入れする場合、所定数のフィーダ24を出し入れする毎に、作業の区切りとすることができる。このように、変形例では、ローダ18が保管庫16で作業中にAGV55が保管庫16(同一エリア)で作業を必要とした場合、作業の区切りでローダ18の作業を中断させて保管庫16から移動させてから、AGV55に保管庫16で作業を行わせる。
【0037】
そして、実装制御装置38は、S380で作業が終了したAGV55を保管庫16から移動させた後、S322で中止またはS326で中断したローダ18の作業があるか否かを判定し(S392)、中止または中断した作業があれば、ローダ18の保管庫16への移動および作業を許可して(S394)、AGV・ローダ制御処理を終了する。このように、変形例では、AGV55の作業を優先させてAGV55の作業待ち(待機時間)を減らすことができるから、AGV55を搬送側制御エリアA2に速やかに戻してフィーダ24の搬送効率を高めることができる。また、ローダ18は、保管庫16以外でフィーダ24の自動交換を行えばよいから、AGV55の作業を優先させたとしても、作業効率が大きく低下することはない。なお、図6の実施形態のAGV・ローダ制御と、図7の変形例のAGV・ローダ制御とを、作業者などがモード選択などを介して切替可能としてもよい。例えば、実装制御装置38は、通常モードでは実施形態のAGV・ローダ制御を実行し、AGV優先モードでは変形例のAGV・ローダ制御を実行してもよい。
【0038】
上述した実施形態では、各実装ライン11の周辺のエリアを実装側制御エリアA1として実装制御装置38がAGV55を制御したが、これに限られるものではない。例えば、実装ライン11の周辺以外でも、実装制御装置38が制御する実装関連設備の周辺のエリアを実装側制御エリアとしてもよい。図8は、変形例の作業システム1Bを示す説明図である。作業システム1Bでは、中間保管庫62にもローダ18Bが配設されており、中間保管庫62内でフィーダ24を移動可能となっている。また、このローダ18Bは、実装制御装置38に制御される。この変形例では、実装ライン11の周辺エリアに加えて中間保管庫62の周辺のエリアを含めて実装側制御エリアA1bとし、この実装側制御エリアA1bでは実装制御装置38がAGV55の走行制御を行う。このため、実装ライン11以外の中間保管庫62に配設されたローダ18Bと、AGV55とが衝突するのを適切に防止することができる。なお、この変形例では、搬送制御装置58は、実施形態の搬送側制御エリアA2から、中間保管庫62の周辺のエリアを除いた搬送側制御エリアA2bでAGV55の走行制御を行う。
【0039】
また、実装制御装置38がAGV55を制御する実装側制御エリアA1を次のようにしてもよい。図9は、変形例の作業システム1Cを示す説明図である。この変形例では、実装ライン11のローダ18の移動に必要なエリアと、ローダ18の移動方向に沿ってAGV55が走行した際に多少蛇行してもローダ18との接触を防止するのに必要なエリアとが、実装側制御エリアA1cに定められている。この実装側制御エリアA1cでは、実装制御装置38がAGV55の走行制御を行う。また、実装ライン11の周辺であっても実装側制御エリアA1c以外は、搬送側制御エリアA2cとして搬送制御装置58がAGV55の走行制御を行う。これにより、実装側制御エリアA1cをできるだけ小さくして、実装制御装置38の制御負担が過大となるのを抑制することができる。
【0040】
実施形態では、実装システム10がローダ18を備えたが、これに限られず、ローダ18を備えなくてもよい。実装システム10がローダ18を備えなくても、ローダ18以外の作動装置や実装関連設備の開閉箇所などの作動箇所との干渉を防止する必要がある。また、AGV55は、ローダ18との共用の作業エリア(保管庫16)で作業するものに限られず、ローダ18があっても共用の作業エリア以外で作業してもよい。また、実装制御装置38が、実装ライン11の周辺の作業者の位置情報などを取得可能な構成として、作業者の位置を避けるようにAGV55を走行制御すれば、周辺の作業者にAGV55が衝突するのを適切に防止することができる。また、実装制御装置38は、作業者の作業と、AGV55の作業とのうちいずれかを優先させてAGV55を走行制御してもよい。さらに、実装制御装置38は、作業者の作業と、AGV55の作業と、ローダ18の作業とのうち優先順位を設定して、AGV55を走行制御してもよい。
【0041】
実施形態では、AGV55が搬送側制御エリアA2から実装側制御エリアA1に進入する場合と、実装側制御エリアA1から搬送側制御エリアA2に進入する場合のいずれも、重複エリアDA内の同じ切替位置で制御を受け渡したが、これに限られるものではない。前者の場合と後者の場合で、重複エリアDA内の異なる切替位置でAGV55の制御を受け渡してもよいし、異なる重複エリア内でAGV55の制御を受け渡してもよい。また、制御を受け渡すための重複エリアを設定するものに限られず、AGV55の走行先(目的地)や他のAGV55の走行状況などを考慮しながら、毎回異なるエリアや位置で制御を受け渡してもよい。
【0042】
ここで、本開示の作業システムは、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の作業システムにおいて、前記実装関連設備には、前記部材の自動交換と移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、該自動交換装置および前記自動搬送車が共用して作業を行う共用作業エリアとを含み、前記実装制御装置は、前記自動交換装置および前記自動搬送車のうち一方が前記共用作業エリアで作業中の場合、該共用作業エリアに移動しないように前記自動交換装置および前記自動搬送車のうち他方を制御するものとしてもよい。こうすれば、自動交換装置および自動搬送車のうち一方が共用作業エリアで作業中の場合に、両者が衝突するのを適切に防止することができる。なお、自動交換装置および自動搬送車の他方は、共用作業エリアに移動しなければ共用作業エリア以外で作業を行うことができる。
【0043】
本開示の作業システムにおいて、前記実装関連設備には、前記部材の自動交換と移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、該自動交換装置および前記自動搬送車が共用して作業を行う共用作業エリアとを含み、前記実装制御装置は、前記自動交換装置が前記共用作業エリアで作業中に前記自動搬送車が同一エリアで作業を必要とした場合、所定の区切りで作業を中断させて前記自動交換装置を移動させてから前記自動搬送車に前記共用作業エリアで作業を行わせ、前記自動搬送車の作業が終了すると該自動搬送車を移動させてから前記自動交換装置が作業を再開するように前記自動交換装置と前記自動搬送車とを制御し、前記自動搬送車が前記共用作業エリアで作業中の場合、該共用作業エリアに移動しないように前記自動交換装置を制御するものとしてもよい。こうすれば、共用作業エリアでは自動搬送車の作業を優先させて作業待ちを減らすから、自動搬送車を他のエリアに速やかに戻して部材の搬送効率を高めることができる。なお、自動交換装置は、共用作業エリア以外で部材の自動交換を行えばよいから、自動搬送車の作業を優先させたとしても、作業効率が大きく低下することはない。
【0044】
本開示の作業システムにおいて、前記所定エリアと前記他のエリアには、互いに重複する重複エリアが設けられており、前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち一方は、前記自動搬送車の走行制御を行って前記重複エリアに前記自動搬送車が到着すると、前記重複エリアに到着した旨の通知を前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち他方に送信し、前記実装制御装置および前記搬送制御装置のうち他方は、前記通知を受信すると、前記重複エリアから前記自動搬送車の走行制御を行うものとしてもよい。こうすれば、実装制御装置と搬送制御装置とが自動搬送車の制御の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0045】
本開示の作業システムにおいて、前記実装関連設備には、前記部材が交換可能に取り付けられ所定方向に並んで配置された複数の実装装置と、前記複数の実装装置に対して前記部材の自動交換と前記所定方向に沿った移動が可能に構成され実装制御装置により制御される自動交換装置と、を含み、前記所定エリアは、前記実装関連設備の周辺のうち、前記自動交換装置の移動および該自動交換装置との接触の防止に必要なエリアに定められているものとしてもよい。こうすれば、実装制御装置が自動搬送車を制御するエリアをできるだけ小さくして、実装制御装置の制御負担が過大となるのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示は、実装システムと、搬送システムとを備える作業システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1B,1C 作業システム、10 実装システム、11 実装ライン、12 印刷装置、14 印刷検査装置、16 保管庫、18,18B ローダ、20 実装装置、22 実装ユニット、24 フィーダ、28 実装検査装置、30 リフロー装置、32 リフロー検査装置、38 実装制御装置、50 搬送システム、55 自動搬送車(AGV)、57 充電ステーション、58 搬送制御装置、60 倉庫、62 中間保管庫、A1,A1b,A1c 実装側制御エリア、A2,A2b,A2c 搬送側制御エリア、DA 重複エリア、M 作業者、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9