(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】排気装置、電池セル、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/35 20210101AFI20240501BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
H01M50/35 101
H01M50/15
(21)【出願番号】P 2022567227
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021121368
(87)【国際公開番号】W WO2023050069
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】蒙 万秋
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲倩▼
(72)【発明者】
【氏名】叶 永煌
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 于▲煉▼
(72)【発明者】
【氏名】薛 ▲竜▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 小▲細▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1999/036975(WO,A1)
【文献】特開2003-323877(JP,A)
【文献】中国実用新案第208507798(CN,U)
【文献】特開平11-086820(JP,A)
【文献】国際公開第1997/030483(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルに用いられる排気装置であって、
排気本体と、
前記排気本体に設けられたコネクタと通気部品とを含む排気機構であって、前記コネクタは、前記排気本体を接続するために用いられ、前記コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、前記通気部品は、複数の前記第一のスルーホールを覆い、前記通気部品は、前記電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、前記気体を複数の前記第一のスルーホールを介して前記電池セルの外部に排出するために用いられる排気機構とを含み、
前記コネクタは、隣接する二つの前記第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、前記接続部は、前記通気部品に付設されることで、前記通気部品の変形を制限するために用いら
れ、
複数の前記第一のスルーホールは、間隔を置いて分布し、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dと前記通気部品の前記第一のスルーホールの軸方向での厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たす、排気装置。
【請求項2】
前記通気部品は、前記コネクタの前記電池セルの内部に面する側に設けられ、前記接続部は、前記通気部品が前記電池セルの外部へ変形した時、前記通気部品に支持力を提供するために用いられる、請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
複数の前記第一のスルーホールの形状が同じであり且つ面積が等しい、請求項1又は2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記第一のスルーホールの形状は、円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つである、請求項1から
3のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項5】
前記第一のスルーホールの形状は、円形であり、且つ前記第一のスルーホールの穴径dと隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dとは、0.1≦d/D≦4を満たす、請求項1から
4のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項6】
隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dは、D≧0.5mmを満たす、請求項
4又は
5に記載の排気装置。
【請求項7】
前記第一のスルーホールの軸方向で、各前記第一のスルーホールの正投影の面積の面積和S1と前記通気部品の正投影の面積S2とは、S1/S2≦0.8を満たす、請求項1から
6のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項8】
前記排気本体と前記排気機構とは別々に提供され、前記排気機構は、前記コネクタにより前記排気本体に接続される、請求項1から
7のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項9】
前記排気本体に第一の凹部が設けられ、前記第一の凹部は、前記排気機構の少なくとも一部を収容するために用いられる、請求項
8に記載の排気装置。
【請求項10】
前記コネクタは、本体領域と排気領域とを含み、前記本体領域は、前記排気本体を接続するために用いられ、前記排気領域は、前記接続部と複数の前記第一のスルーホールとを含み、前記通気部品の一部は、前記本体領域に付設され、別の一部は、前記排気領域の前記接続部に付設され、
前記排気本体は、前記第一の凹部の底部に遮蔽部と第二のスルーホールが設けられ、前記遮蔽部は、前記排気領域の少なくとも一部を遮蔽するために用いられ、前記第二のスルーホールは、前記第一の凹部により画定された空間と連通させるために用いられる、請求項
9に記載の排気装置。
【請求項11】
前記第一のスルーホールの軸方向で、前記遮蔽部は、前記排気領域を完全に遮蔽し、前記第二のスルーホールは、前記排気領域と完全にずれる、請求項
10に記載の排気装置。
【請求項12】
前記遮蔽部に第二の凹部が設けられ、前記第二の凹部は、前記第一の凹部の底面から、前記通気部品から離反する方向へ凹んでおり、前記第二の凹部の底面と前記排気機構との間に退避空間が形成されることで、前記排気領域を退避する、請求項
10又は
11に記載の排気装置。
【請求項13】
前記排気装置は、通気ストッパをさらに含み、前記通気ストッパの少なくとも一部は、前記第二の凹部内に位置し、且つ、前記排気領域の変形を制限するために用いられる、請求項
12に記載の排気装置。
【請求項14】
前記通気ストッパは、前記排気領域に付設され、且つ前記排気領域に支持される、請求項
13に記載の排気装置。
【請求項15】
前記第一の凹部は、前記排気本体の外面から、前記電池セルの内部に面する方向に沿って凹んでおり、前記遮蔽部は、前記排気機構の前記電池セルの内部に面する側に位置し、前記第二のスルーホールは、前記電池セルの内部空間を前記第一の凹部と連通させるために用いられる、請求項
10から
14のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項16】
前記第一の凹部は、前記排気本体の内面から、前記電池セルの内部から離反する方向に沿って凹んでおり、前記遮蔽部は、前記排気機構の前記電池セルの内部から離反する側に位置し、前記第二のスルーホールは、前記電池セルの外部空間を前記第一の凹部と連通させるために用いられる、請求項
10から
14のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項17】
前記通気部品は、前記コネクタと化学結合により一体に接続される、請求項1から
16のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項18】
前記排気本体の内部に収容キャビティが形成され、前記排気本体は、前記収容キャビティを画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁に前記排気機構が設置される、請求項1から
17のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項19】
前記排気本体は、前記電池セルのエンドキャップである、請求項1から
17のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項20】
前記排気装置は、絶縁材をさらに含み、前記絶縁材は、前記排気本体の前記電池セルの内部に面する側に位置し、前記絶縁材に第三のスルーホールが設置され、前記第三のスルーホールは、電池セルの内部空間を前記第一のスルーホールと連通させるために用いられる、請求項
19に記載の排気装置。
【請求項21】
前記第一のスルーホールの軸方向で、前記第三のスルーホールは、前記第一のスルーホールと完全にずれて設けられる、請求項
20に記載の排気装置。
【請求項22】
電池セルであって、請求項1から
21のいずれか1項に記載の排気装置を含む、電池セル。
【請求項23】
電池であって、
請求項
22に記載の電池セルと、
前記電池セルを収容するための筐体とを含む、電池。
【請求項24】
電力消費装置であって、請求項
23に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【請求項25】
排気装置の製造方法であって、
排気本体を提供することと、
排気機構を提供し、排気機構を排気本体に接続することであって、前記排気機構は、コネクタと通気部品とを含み、前記コネクタは、前記排気本体を接続するために用いられ、前記コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、前記通気部品は、複数の前記第一のスルーホールを覆い、前記通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、前記気体を複数の前記第一のスルーホールを介して前記電池セルの外部に排出するために用いられ、前記コネクタは、隣接する二つの前記第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、前記接続部は、前記通気部品に付設されることで、前記通気部品の変形を制限するために用いられ
、複数の前記第一のスルーホールは、間隔を置いて分布し、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dと前記通気部品の前記第一のスルーホールの軸方向での厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たすこととを含む、ことを特徴とする排気装置の製造方法。
【請求項26】
排気装置の製造機器であって、
排気本体を提供するように構成されている提供装置と、
排気機構を提供し、排気機構を排気本体に接続するように構成されている組み立て装置とを含み、
ここで、前記排気機構は、コネクタと通気部品とを含み、前記コネクタは、前記排気本体を接続するために用いられ、前記コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、前記通気部品は、複数の前記第一のスルーホールを覆い、前記通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、前記気体を複数の前記第一のスルーホールを介して前記電池セルの外部に排出するために用いられ、前記コネクタは、隣接する二つの前記第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、前記接続部は、前記通気部品に付設されることで、前記通気部品の変形を制限するために用いられ
、複数の前記第一のスルーホールは、間隔を置いて分布し、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dと前記通気部品の前記第一のスルーホールの軸方向での厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たす、排気装置の製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の技術分野に関し、具体的には、排気装置、電池セル、電池、電力消費装置及び排気装置の製造方法並びに製造機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、電子機器、例えば携帯電話、ノートパソコン、バッテリーカー、電気自動車、電気飛行機、電気汽船、電動玩具自動車、電動玩具汽船、電動玩具飛行機及び電動工具などに広く使用されている。
【0003】
電池技術の発展では、電池セルの性能向上に加えて、安全問題も考慮すべき問題である。そのため、どのように電池セルの安全性を向上させるかは、電池技術における早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施例は、排気装置、電池セル、電池、電力消費装置、方法及び機器を提供し、排気装置は、電池セルの内部気体のリリース要求を満たすことができるとともに、電池セルの安全性能を保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルに用いられる排気装置を提供し、この排気装置は、排気本体と、排気本体に設置されるコネクタと通気部品とを含む排気機構であって、コネクタは、排気本体を接続するために用いられ、コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、通気部品は、複数の第一のスルーホールを覆い、通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出するために用いられる排気機構とを含み、コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部は、通気部品に付設されることで、通気部品の変形を制限するために用いられる。
【0006】
上記技術案では、排気装置は、排気本体と排気機構とを含み、排気機構は、排気本体に設置されるコネクタと通気部品とを含み、コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、通気部品は、複数の第一のスルーホールを覆い、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を通気部品及び複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出することで、電池セルの内部の気体を排出する目的を達成する。コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部により通気部品に付設できるため、電池セルの内部の気体が通気部品を介して電池セルの外部に排出される過程で、通気部品に作用する時、接続部により通気部品に電池セルの内部気体圧力とは逆の作用力を提供でき、通気部品の変形を減少させ、排気装置全体の耐内圧能力を向上させ、さらに電池セルの安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記通気部品は、前記コネクタの前記電池セルの内部に面する側に設けられ、前記接続部は、前記通気部品が前記電池セルの外部へ変形した時、前記通気部品に支持力を提供するために用いられる。
【0008】
上記技術案では、通気部品は、コネクタの電池セルの内部に面する側に設けられ、排気過程では、コネクタは、通気部品に支持力を提供することができ、十分な排気面積を有することを保証するとともに、電池セルの内部の圧力が大きすぎることによる通気部品の変形又は変位を回避し、通気部品の完全性を保証し、安全性を向上させる。そして、通気部品は、コネクタの電池セルの内部に面する側に設けられ、このような位置設置方式により、エンドキャップの外部空間の利用率を向上させ、他の部材を容易に配置する。
【0009】
いくつかの実施例では、複数の前記第一のスルーホールの形状が同じであり且つ面積が等しい。
【0010】
上記技術案では、複数の第一のスルーホールの形状が同じであり且つ面積が等しく、排気過程では、気体が複数の第一のスルーホールを均一且つ迅速に通過することが容易になる。通気部品の受けた気体圧力と、それに対応する部分の受けた気体圧力とを同じにすることによって、複数の第一のスルーホールの分布ムラにより、通気部品が気体作用下で変形することを回避する。また、複数の第一のスルーホールは、プレス方式又はミリング方式で加工することができ、複数の第一のスルーホールの形状を同じにし且つ面積を等しくすることによって、同じ加工工程を用いて各第一のスルーホールを加工することができ、加工工程を簡略化し、機械加工コストを低減させることができ、成形効率を高めることができる。
【0011】
いくつかの実施例では、複数の前記第一のスルーホールは、間隔を置いて分布し、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dと前記通気部品の前記第一のスルーホールの軸方向での厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たす。
【0012】
上記技術案では、隣接する二つの第一のスルーホール間の最小距離Dと通気部品の第一のスルーホールの軸方向での厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たすことは、接続部の機械的強度及び通気部品との間の付設面積を保証できるとともに、通気部品が電池セルの内部圧力の作用下で変形する確率を減少できる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第一のスルーホールの形状は、円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つである。
【0014】
上記技術案では、第一のスルーホールの形状は、円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つであり、排気過程では、排気効率を保証することができるとともに、第一のスルーホールを規則的な幾何形状又は略規則的な幾何形状とすることができ、第一のスルーホールの加工成形に有利である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第一のスルーホールの形状は、円形であり、且つ前記第一のスルーホールの穴径dと隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dとは、0.1≦d/D≦4を満たす。
【0016】
第一のスルーホールの穴径dが小さすぎ、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dが大きすぎ、即ちd/D<0.1であれば、通気面積が変わらない場合に、複数の第一のスルーホール全体の分布に占有される面積が大きすぎて、他のアセンブリの組み立てに不利である一方、第一のスルーホールの穴径dが大きすぎ、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dが小さすぎ、即ちd/D>4であれば、接続部と通気部品との結合面積が小さすぎ、それに応じて、接続部と通気部品との間の接続力が小さすぎるため、通気部品と接続部が分離する可能性があり、それによって、通気部品の性能に影響を与え、電池セルの内部圧力が大きすぎると、通気部品が変形するリスクが生じやすくなる。上記技術案では、第一のスルーホールの形状を円形にし、且つ第一のスルーホールの穴径dと隣接する二つの第一のスルーホール間の最小距離Dとが0.1≦d/D≦4を満たすことによって、第一のスルーホールの穴径dと隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dとの比例を適度にすることができ、両者間の比例が大きすぎ又は小さすぎるため、複数の第一のスルーホールの占有面積が大きすぎたり、通気部品と接続部との間の付設強度が不足したりして分離することを回避する。
【0017】
いくつかの実施例では、隣接する二つの前記第一のスルーホール間の最小距離Dは、D≧0.5mmを満たす。
【0018】
上記技術案では、隣接する二つの第一のスルーホール間の最小距離Dは、D≧0.5mmを満たすことは、接続部と通気部品との係合部位の有効接触面積を保証し、通気部品との付設強度需要を確保することができる。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第一のスルーホールの軸方向で、各前記第一のスルーホールの正投影の面積の面積和S1と前記通気部品の正投影の面積S2とは、S1/S2≦0.8を満たす。
【0020】
上記技術案では、第一のスルーホールの軸方向で、各第一のスルーホールの正投影の面積の面積和S1と通気部品の正投影の面積S2とは、S1/S2≦0.8を満たすことは、接続部と通気部品との係合部位の有効接触面積を保証し、通気部品と通気部品との間の付設強度を向上させ、通気部品が変形する確率を低減させることで、通気部品の完全性と信頼性を保証することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記排気本体と前記排気機構とは別々に提供され、前記排気機構は、前記コネクタにより前記排気本体に接続される。
【0022】
上記技術案では、排気本体は、排気機構と別体に成形され、排気機構は、コネクタにより排気本体に接続されることで、排気本体と排気部品は、それぞれ独立した部品となり、加工組み立てが容易になる。そして、別体成形の方式により、排気本体と排気機構は、異なる材料で別々に加工製造することができ、これによって、排気装置全体は、排気機構の構造的特徴と使用要求に応じて適切な材料及び加工プロセスを選択することができるようにする。
【0023】
いくつかの実施例では、前記排気本体に第一の凹部が設けられ、前記第一の凹部は、前記排気機構の少なくとも一部を収容するために用いられる。
【0024】
上記技術案では、第一の凹部は、排気機構の少なくとも一部を収容するために用いられ、排気装置全体の占有空間を減少させることができるとともに、第一の凹部の設置により、排気機構の取り付けを位置決めし、排気機構と排気本体との間の組み立て難易度を低減させることができる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記コネクタは、本体領域と排気領域とを含み、前記本体領域は、前記排気本体を接続するために用いられ、前記排気領域は、前記接続部と複数の前記第一のスルーホールとを含み、前記通気部品一部は、前記本体領域に付設され、別の一部は、前記排気領域の前記接続部に付設され、前記排気本体は、前記第一の凹部の底部に遮蔽部と第二のスルーホールが設けられ、前記遮蔽部は、前記排気領域の少なくとも一部を遮蔽するために用いられ、前記第二のスルーホールは、前記第一の凹部により画定された空間と連通させるために用いられる。
【0026】
上記技術案では、コネクタは、本体領域と排気領域とを含み、本体領域により排気本体に接続し、コネクタと排気本体との間の接続強度を保証することができる。排気領域を介して電池セル内の気体を排出し、電池セルの安全性能を保証することができる。通気部品の一部が本体領域に付設され、且つ別の一部が排気領域に付設され、つまり、通気部品が接続部に付設されるだけでなく、本体領域に付設されるため、通気部品とコネクタとの間の付設強度を保証し、通気部品とコネクタが分離するリスクを低減させることができる。遮蔽部は、排気領域の少なくとも一部を遮蔽するために用いられ、遮蔽部によって、複数の第一のスルーホールへの不純物の少なくとも一部の侵入を阻止し、さらに通気部品に対する影響を回避し、通気部品の性能を保証することができる。第二のスルーホールは、第一の凹部により画定された空間と連通させるために用いられることで、電池セルの内部の気体を正常に排出でき、電池セルの安全性を保証する。
【0027】
いくつかの実施例では、前記第一のスルーホールの軸方向で、前記遮蔽部は、前記排気領域を完全に遮蔽し、前記第二のスルーホールは、前記排気領域と完全にずれる。
【0028】
上記技術案では、第一のスルーホールの軸方向で、遮蔽部は、排気領域を完全に遮蔽し、第二のスルーホールは、排気領域と完全にずれることは、電池セルの内部の排気需要を保証することができるとともに、遮蔽部によってコネクタ及び通気部品を効果的に保護し、通気部品が外部の不純物又は内部の電解液によって損傷又は浸食される確率を低減させることができる。
【0029】
いくつかの実施例では、前記遮蔽部に第二の凹部が設けられ、前記第二の凹部は、前記第一の凹部の底面から、前記通気部品から離反する方向へ凹んでおり、前記第二の凹部の底面と前記排気機構との間に退避空間が形成されることで、前記排気領域を退避する。
【0030】
上記技術案では、遮蔽部に第二の凹部を設け、且つ第二の凹部の底面と排気機構との間に退避空間を形成することによって、第一のスルーホールの軸方向で、少なくとも一部の数の第一のスルーホールの正投影が遮蔽部により覆われた時、遮蔽部とコネクタの排気領域との接触を回避することができ、さらに遮蔽部がその覆った第一のスルーホールを密閉することを回避し、電池セルの内部の排気需要を保証し、電池セルの安全性能を向上させることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、前記排気装置は、通気ストッパをさらに含み、前記通気ストッパの少なくとも一部は、前記第二の凹部内に位置し、且つ、前記排気領域の変形を制限するために用いられる。
【0032】
上記技術案では、排気装置は、通気ストッパをさらに含み、通気ストッパの少なくとも一部は、第二の凹部内に位置し、排気領域の変形を制限し、さらに通気部品が変形する確率を低減させ、排気装置の安全性能を向上させる。
【0033】
いくつかの実施例では、前記通気ストッパは、前記排気領域に付設され、且つ前記排気領域に支持される。
【0034】
上記技術案では、通気ストッパは、排気領域に付設され、且つ排気領域に支持され、排気領域の気圧抵抗能力を高め、排気領域が変形する確率を低減させることができ、さらに通気部品とその付設領域が変形する確率を低減させることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、前記第一の凹部は、前記排気本体の外面から、前記電池セルの内部に面する方向に沿って凹んでおり、前記遮蔽部は、前記排気機構の前記電池セルの内部に面する側に位置し、前記第二のスルーホールは、前記電池セルの内部空間を前記第一の凹部と連通させるために用いられる。
【0036】
上記技術案では、第一の凹部は、排気本体の外面から、電池セルの内部に面する方向に沿って凹んでおり、遮蔽部は、排気機構の電池セルの内部に面する側に位置し、第二のスルーホールは、電池セルの内部空間を第一の凹部と連通させるために用いられ、排気機構の取り付けと位置決めを容易にする。
【0037】
いくつかの実施例では、前記第一の凹部は、前記排気本体の内面から、前記電池セルの内部から離反する方向に沿って凹んでおり、前記遮蔽部は、前記排気機構の前記電池セルの内部から離反する側に位置し、前記第二のスルーホールは、前記電池セルの外部空間を前記第一の凹部と連通させるために用いられる。
【0038】
上記技術案では、第一の凹部は、排気本体の内面から、電池セルの内部から離反する方向に沿って凹んでおり、遮蔽部は、排気機構の電池セルの内部から離反する側に位置し、第二のスルーホールは、電池セルの外部空間を第一の凹部と連通させるために用いられることで、電池セルの内部の気体は、通気機構を介して順に第二のスルーホール、第一のスルーホールを通過して排出することができる。遮蔽部の位置により、第一のスルーホールへの外部の不純物の侵入を効果的に遮断し、通気部品が破損するリスクを低減させることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、前記通気部品は、前記コネクタと化学結合により一体に接続される。
【0040】
上記技術案では、通気部品は、コネクタと化学結合により一体に接続され、化学結合により二つの部材を接続することで、通気部品とコネクタとの接続をより強固にし、両者の接続強度を保証するとともに、通気部品の性能に対する影響が比較的小さく、通気部品の性能を保証することができる。
【0041】
いくつかの実施例では、前記排気本体の内部に収容キャビティが形成され、前記排気本体は、前記収容キャビティを画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁に前記排気機構が設置される。
【0042】
上記技術案では、排気本体の内部に収容キャビティが形成され、排気本体は、収容キャビティを画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁に排気機構が設置され、つまり、排気装置は、電極アセンブリを収容できるハウジング構造であってもよく、排気装置は、収容機能と排気機能を一体として統合する。
【0043】
いくつかの実施例では、排気本体は、電池セルのエンドキャップである。
【0044】
上記技術案では、排気本体は、電池セルのエンドキャップであり、つまり、排気機構は、電池セルに設置されるエンドキャップであってもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、排気装置は、絶縁材をさらに含み、絶縁材は、排気本体の電池セルの内部に面する側に位置し、絶縁材に第三のスルーホールが設置され、第三のスルーホールは、電池セルの内部空間を第一のスルーホールと連通させるために用いられる。
【0046】
上記技術案では、絶縁材を設置することにより、電極アセンブリとエンドキャップとの金属接触による短絡現象を防止することができ、且つ絶縁材に設けられた第三のスルーホールにより、電池セルの内部空間を第一のスルーホールと連通させ、電池セルの内部気体の排出需要を保証することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、第一のスルーホールの軸方向で、第三のスルーホールは、第一のスルーホールと完全にずれて設けられる。
【0048】
上記技術案では、絶縁材により、液体又は不純物粒子を遮断し、通気部品の性能を保証することができ、上記設置により、電池セルの内部の気体が第三のスルーホールを通過して直接に第一のスルーホールに作用することを回避し、第一のスルーホールに対する衝撃力を減少させ、通気部品が変形する確率を低減させ、さらに電池セルの安全性を保証することができる。
【0049】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、第一の態様のいずれか一つの実施例による排気装置を含む電池セルを提供する。
【0050】
第三の態様によれば、本出願の実施例は、電池を提供し、この電池は、第二の態様のいずれか一つの実施例による電池セルと、前記電池セルを収容するための筐体とを含む。
【0051】
第四の態様によれば、本出願の実施例は、電気エネルギーを提供するための第三の態様のいずれか一つの実施例による電池を含む電力消費装置を提供する。
【0052】
第五の態様によれば、本出願の実施例は、排気装置の製造方法を提供し、この方法は、排気本体を提供することと、排気機構を提供し、排気機構を排気本体に接続することであって、排気機構は、コネクタと通気部品とを含み、コネクタは、排気本体を接続するために用いられ、コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、通気部品は、複数の第一のスルーホールを覆い、通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出するために用いられ、コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部は、通気部品に付設されることで、通気部品の変形を制限するために用いられることとを含む。
【0053】
第六の態様によれば、本出願の実施例は、排気装置の製造機器を提供し、この機器は、排気本体を提供するように構成されている提供装置と、排気機構を提供し、排気機構を排気本体に接続するように構成されている組み立て装置とを含み、ここで、排気機構は、コネクタと通気部品とを含み、コネクタは、排気本体を接続するために用いられ、コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、通気部品は、複数の第一のスルーホールを覆い、通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出するために用いられ、コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部は、通気部品に付設されることで、通気部品の変形を制限する。
【0054】
上記説明は、本出願の技術案の概要に過ぎず、本出願の技術手段をより明瞭に理解するために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の上記と他の目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下は、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の構造概略図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例による電池セルの分解図である。
【
図4】本出願のいくつかの実施例による排気装置の平面図である。
【
図5】
図4においてA-A方向に沿う断面図である。
【
図6】本出願のいくつかの実施例による排気装置の分解図である。
【
図7】本出願のいくつかの実施例による排気装置のコネクタの平面図である。
【
図8】本出願の別のいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図9】本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置の平面図である。
【
図10】
図9においてB-B方向に沿う断面図である。
【
図11】本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置の分解図である。
【
図12】本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図13】本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図14】本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図15】本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図16】本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置の断面図である。
【
図17】本出願のさらなるいくつかの実施例の排気装置の平面図である。
【
図20】本出願のまた別のいくつかの実施例の排気装置の断面図である。
【
図21】本出願のいくつかの実施例の排気装置の製造方法のフローチャートである。
【
図22】本出願のいくつかの実施例の排気装置の製造機器の概略的なブロック図である。
【0056】
図面において、同じ部材は、同じ符号で説明される。図面は、実際のスケールで描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0058】
特に定義されない限り、本出願に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本出願では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものである。
【0059】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。
【0060】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付設」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0061】
本出願における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBという3つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0062】
本出願の実施例では、同じ符号は、同じ部材を表し、また、簡潔のために、異なる実施例では、同じ部材に対する詳細な説明を省略する。理解すべきこととして、図面に示される本出願の実施例における様々な部材の厚さ、長さ、幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ、幅などの寸法は、例示的な説明に過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0063】
本出願に出現された「複数」は、二つ以上(二つを含む)を指す。
【0064】
本出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例は、これについても限定しない。電池セルは、一般的にはパッケージングの方式によって、柱形電池セル、四角形電池セル及びパウチ電池セルという3種類に分けられ、本出願の実施例は、これについても限定しない。
【0065】
本出願の実施例に言及された電池は、より高い電圧と容量を提供するための一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを意味する。例えば、本出願で言及された電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的には、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0066】
電池セルは、電極アセンブリと電解液とを含み、電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、セパレータとからなる。電池セルは、主に金属イオンが正極極板と負極極板との間を移動することによって動作する。正極極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗布された正極集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極活物質層が塗布された負極集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はケイ素などであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は、複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層されている。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。なお、電極アセンブリは、捲回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例は、これに限らない。
【0067】
電池技術の発展は、多岐にわたる設計因子、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0068】
電池セルでは、充放電サイクルを複数回経て、副反応が存在し、気体を発生し続けるため、電池セルの内部に一定の気圧を発生させ、気圧の上昇に伴い、極板間の気体をタイムリーに排除できなくなり、それによって、リチウムイオンの吸蔵と放出に影響を与え、ひいてはリチウム析出のリスクを招く。電池セルの安全性を保証するために、一般的には、電池セルに排気装置を設置し、排気装置によって電池セルの内部で発生した気体を排出することで、電池セルの安全性を保証する。
【0069】
発明者らは、電池セルに排気装置を設置しても、依然として電池セルが発火し、爆発するリスクがあることを発見した。発明者らはさらに研究した上で、現在の排気装置では、一般的には排気本体に比較的大きいスルーホールを設置し、且つスルーホールに通気部品を覆って、電池セル内の気圧が予め設定される閾値に達する時、気体が通気部品を介して電池セルから排出され、気体が外に排出する過程で、通気部品に作用することで、通気部品が変形しやすくなり、通気部品の老化を加速させ、電池セルに安全上の危険性をもたらすことを発見した。
【0070】
そこで、本出願の実施例は、排気装置を提供し、排気本体にコネクタと通気部品が設置され、コネクタは、排気本体を接続するために用いられ、コネクタに複数の第一のスルーホールが設けられ、通気部品は、複数の第一のスルーホールを覆い、通気部品は、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出するために用いられる。コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部は、通気部品の変形を制限するために通気部品に付設されることに用いられる。
【0071】
このような排気装置が電池セルに用いられる場合、電池セルの内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、通気部品は、気体を複数の第一のスルーホールを介して電池セルの外部に排出することで、電池セルの内部の気体を排出する目的を達成する。コネクタは、隣接する二つの第一のスルーホール間に形成される接続部を含み、接続部により通気部品に付設できるため、電池セルの内部の気圧が通気部品に比較的大きく作用する時、接続部により通気部品に電池セルの内部圧力とは逆の作用力を提供でき、通気部品の変形を減少させ、排気装置全体の耐内圧強度を向上させ、通気部品の老化レートを低減させ、さらに電池セルの安全性を向上させる。
【0072】
本出願の実施例に記述された放圧装置は、電池セル、電池及び電池を用いる電力消費装置及び機器に適用される。
【0073】
電力消費装置及び機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙航空機、電動玩具及び電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含み、電動玩具は、据置式又は移動式の電動玩具、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具及び電気飛行機玩具などを含み、電動工具は、金属切削電動工具、研削電動工具、組立用電動工具及び鉄道用電動工具、例えば電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ及び電気フライスなどを含む。本出願の実施例は、上記電力消費機器を特に制限しない。
【0074】
以下の実施例は、説明の便宜上、電力消費装置を車両とした例で説明する。
【0075】
図1を参照すると、
図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1000の構造概略図であり、車両1000の内部に電池100が設置され、電池100は、車両1000の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池100は、車両1000の給電に用いられてもよく、例えば電池100は、車両1000の操作電源とすることができる。
【0076】
車両1000は、コントローラ200とモータ300とをさらに含んでもよく、コントローラ200は、モータ300への給電、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力消費需要に用いるように電池100を制御するために用いられる。
【0077】
本出願のいくつかの実施例では、電池100は、車両1000の操作電源とすることができるだけでなく、車両1000の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1000に駆動動力を提供することもできる。
【0078】
図2を参照すると、
図2は、本出願のいくつかの実施例による電池100の構造概略図であり、電池100は、筐体10と電池セル20とを含み、筐体10は、電池セル20を収容するために用いられる。
【0079】
ここで、筐体10は、電池セル20を収容する部材であり、筐体10は、電池セル20に収容空間を提供し、筐体10は、様々な構造を採用することができる。いくつかの実施例では、筐体10は、第一の部分11と第二の部分12とを含んでもよく、第一の部分11と第二の部分12とが互いに被せられることで、電池セル20を収容する収容空間を画定する。第一の部分11と第二の部分12は、様々な形状、例えば、直方体、円柱体などであってもよい。第一の部分11は、一側が開放された中空構造であってもよく、第二の部分12は、一側が開放された中空構造であってもよく、第二の部分12の開放側が第一の部分11の開放側に被せられると、収容空間を有する筐体10を形成する。第一の部分11は、一側が開放された中空構造であり、第二の部分12は、板状構造であってもよく、第二の部分12が第一の部分11の開放側に被せられると、収容空間を有する筐体10を形成する。第一の部分11と第二の部分12は、シール素子によりシールを実現することができ、シール素子は、シールリング、シーラントなどであってもよい。
【0080】
電池100では、電池セル20は一つであってもよいし、複数であってもよい。電池セル20が複数である場合、複数の電池セル20同士は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、複数の電池セル20に直列接続も並列接続も含まれることを意味する。複数の電池セル20をまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体を構成し、且つ筐体10内に収容してもよい。すべての電池セル20同士を直接に直列接続又は並列接続又は直並列接続し、そしてすべての電池セル20からなる全体を筐体10内に収容してもよい。
【0081】
図3を参照すると、
図3は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の分解図であり、電池セル20は、エンドキャップ23と、電極アセンブリ22と、ハウジング21と、排気装置24とを含む。
【0082】
ハウジング21は、電極アセンブリ22を収容するための部材であり、ハウジング21は、一端に開口が形成された中空構造であってもよい。ハウジング21は、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。ハウジング21の材質は、種々のものが可能であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などであってもよい。
【0083】
ハウジング21内の電極アセンブリ22は、一つであってもよく、複数であってもよい。例えば、
図3に示すように、電極アセンブリ22は、複数であり、複数の電極アセンブリ22は、積層して配置される。
【0084】
電極アセンブリ22は、電池セル20における電気化学反応が発生する部材である。電極アセンブリ22は、正極極板と、負極極板と、セパレータとを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極極板と、セパレータと、負極極板とを捲回して形成された捲回型構造であってもよく、正極極板と、セパレータと、負極極板とを積層して配置して形成された積層型構造であってもよい。
【0085】
正極極板は、正極集電体と、正極集電体の対向する両側に塗布された正極活物質層を含んでもよい。負極極板は、負極集電体と、負極集電体の対向する両側に塗布された負極活物質層とを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極タブ221と負極タブ222とを有し、正極タブ221は、正極極板における正極活物質層が塗布されていない部分であってもよく、負極タブ222は、負極極板における負極活物質層が塗布されていない部分であってもよい。
【0086】
エンドキャップ23は、ハウジング21の開口に被せられることで、電池セル20の内部環境を外部環境から隔離する部材を意味する。エンドキャップ23は、ハウジング21の開口に被せられ、エンドキャップ23とハウジング21は共同で、電極アセンブリ22、電解液及び他の部材を収容するためのシール空間を画定する。エンドキャップ23の形状は、ハウジング21の形状とマッチしてもよく、例えば、ハウジング21は、直方体構造であり、エンドキャップ23は、ハウジング21とマッチする矩形板状構造であり、また例えば、ハウジング21は、円柱体構造であり、エンドキャップ23は、ハウジング21とマッチする円形板状構造である。エンドキャップ23の材質は、種々のものが可能であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などであってもよく、エンドキャップ23の材質は、ハウジング21の材質と同じであってもよく、異なってもよい。
【0087】
エンドキャップ23に電極端子が設置されてもよく、電極端子は、電極アセンブリ22に電気的に接続されることで、電池セル20の電気エネルギーを出力するために用いられる。電極端子は、正極電極端子231と負極電極端子232とを含んでもよく、正極電極端子231は、正極タブ221に電気的に接続されるために用いられ、負極電極端子232は、負極タブ222に電気的に接続されるために用いられる。正極電極端子231と正極タブ221は、直接接続されてもよく、間接接続されてもよく、負極電極端子232と負極タブ222は、直接接続されてもよく、間接接続されてもよい。
【0088】
排気装置24は、電池セル20の内部の気体を排出する部材であり、電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、排気装置24によって電池セル20の内部の気体を排出する。以下に、図面を結び付けながら排気装置24の具体的な構造について詳細に説明する。
【0089】
図4~
図6を参照すると、
図4は、本出願のいくつかの実施例による排気装置24の平面図であり、
図5は、
図4においてA-A方向に沿う断面図であり、
図6は、本出願のいくつかの実施例による排気装置24の分解図である。本出願の実施例による排気装置24は、電池セル20に用いられ、排気装置24は、排気本体241と排気機構242とを含む。排気機構242は、排気本体241に設置されるコネクタ2421と通気部品2422とを含み、コネクタ2421は、排気本体241を接続するために用いられ、コネクタ2421に複数の第一のスルーホール2421aが設けられ、通気部品2422は、複数の第一のスルーホール2421aを覆い、通気部品2422は、電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホール2421aを介して電池セル20の外部に排出するために用いられる。ここで、コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bは、通気部品2422に付設されることで、通気部品2422の変形を制限するために用いられる。
【0090】
排気本体241は、エンドキャップ23に取り付けられる部材であってもよく、例えば、排気装置24は、エンドキャップ23に取り付けられる板状構造である。排気本体241全体は、電極アセンブリ22を覆うためのエンドキャップ23であってもよい。例示的には、エンドキャップ23は、排気本体241である。排気本体241は、電極アセンブリ22を収容するためのハウジング21であってもよく、例示的には、ハウジング21は、排気本体241であり、排気機構242のコネクタ2421は、ハウジング21に接続されてもよい。
【0091】
コネクタ2421と排気本体241とは一体式構造を採用してもよく、無論、別体式構造を採用してもよく、別体式構造を採用する場合、両者は、溶接などの方式によって固定接続されることができる。
【0092】
コネクタ2421に設置された第一のスルーホール2421aの数は、二つ、三つ又はそれ以上であってもよく、本出願では、具体的な数を制限しない。
【0093】
第一のスルーホール2421aの形状は、規則的な幾何形状、例えば円形、楕円形、正多角形であってもよい。無論、不規則的な幾何形状であってもよく、本出願では、具体的な形状を制限せず、電池セル20内の気体排出需要を満たすことができればよい。
【0094】
複数の第一のスルーホール2421aのうちの各第一のスルーホール2421aの形状は、同じであってもよく、例えば複数の第一のスルーホール2421aは、いずれも円形、楕円形又はくびれ円形などであってもよい。無論、複数の第一のスルーホール2421aのうちの各第一のスルーホール2421aの形状は異なっていてもよく、又は少なくとも一部の数の第一のスルーホール2421aの形状は、異なってもよく、例えば複数の第一のスルーホール2421aのうちの一部の数の第一のスルーホール2421aを円形とし、他の一部の数の第一のスルーホール2421aを楕円形、くびれ円形又は多角形などとしてもよい。
【0095】
第一のスルーホール2421aは、様々な方式、例えばプレス成形、ミリング加工成形などにより成形することができ、本出願の実施例では、特に制限をしない。
【0096】
コネクタ2421における複数の第一のスルーホール2421aの分布パターンに対して具体的に限定せず、例えば行列分布又はアレイ分布であってもよく、環状軌跡に沿って順に分布してもよく、無論、直線軌跡又は曲線軌跡に沿って順に分布してもよい。
【0097】
隣接する二つの第一のスルーホール2421aの穴壁の間は少なくとも部分的に間隔を置いて設置され、接続部2421bは、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間にコネクタ2421が位置する領域である。第一のスルーホール2421aの軸方向と垂直な方向において、隣接する二つの第一のスルーホール2421aの間にいずれも接続部2421bが形成されてもよい。
【0098】
接続部2421bは、通気部品2422に付設され、通気部品2422は、接続部2421bに接触して当接することができる。通気部品2422と接続部2421bとの間は、接着、化学結合接続の方式により相互に接続されることができる。通気部品2422の変形は、電極アセンブリ22から離れる方向に少なくとも部分的に膨らむことによって引き起こされ得る。
【0099】
通気部品2422は、コネクタ2421の電池セル20の内部に面する側に設置されてもよく、この場合、接続部2421bは、通気部品2422が電池セル20の外部へ変形した時に通気部品2422に支持力を提供するために用いられる。無論、通気部品2422は、コネクタ2421の電池セル20の内部から離反した側に設置されてもよく、この場合、接続部2421bは、通気部品2422が電池セル20の外部へ変形した時に通気部品2422に引張応力を提供するために用いられる。
【0100】
通気部品2422は、複数の第一のスルーホール2421aを覆い、具体的に通気部品2422の正投影は、第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの各第一のスルーホール2421aの正投影を覆うことができる。通気部品2422は、電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時に気体を複数の第一のスルーホール2421aを介して電池セル20の外部に排出するために用いられる。
【0101】
通気部品2422は、通気機能を有し、その材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)、PE(polyethylene、ポリエチレン)及びPU(polyurethane、ポリウレタン)などであってもよく、電池セル20の内部の気体は、排出時に通気部品2422を通過する必要がある。通気部品2422により、電池セル20の内部の気体を外部に流すことができ、且つ電池セル20の内部への電池セル20の外部の水蒸気などの侵入を遮断することができる。
【0102】
上記技術案では、排気機構242は、排気本体241と、排気本体241に設置される排気機構242とを含み、排気機構242は、コネクタ2421と通気部品2422とを含み、コネクタ2421に複数の第一のスルーホール2421aが設けられ、通気部品2422は、複数の第一のスルーホール2421aを覆う。電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体が通気部品2422及び複数の第一のスルーホール2421aを介して電池セル20の外部に排出されることで、電池セル20の内部の気体を排出する目的を達成する。コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bにより通気部品2422に付設できるため、電池セル20の内部の気体は、通気部品2422を介して電池セル20の外部に排出される過程で通気部品2422に作用する時、接続部2421bにより通気部品2422に電池セル20の内部圧力とは逆の作用力を提供でき、通気部品2422の変形を減少させ、排気装置24全体の耐内圧能力を向上させ、さらに電池セル20の安全性を向上させる。
【0103】
いくつかの実施例では、通気部品2422は、コネクタ2421の電池セル20の内部に面する側に設けられ、接続部2421bは、通気部品2422が電池セル20の外部へ変形した時に通気部品2422に支持力を提供するために用いられる。
【0104】
コネクタ2421が電池セル20の内部に面する側は、コネクタ2421が第一のスルーホール2421aの軸方向Xに電池セル20の内部に面する側であってもよい。接続部2421bは、通気部品2422が電池セル20の外部へ変形した時、通気部品2422に第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの支持力を提供できることで、通気部品2422の変形を制限する。
【0105】
通気部品2422は、コネクタ2421の電池セル20の内部に面する側に設けられ、排気過程では、コネクタ2421は、通気部品2422に支持力を提供することができ、十分な排気面積を有することを保証するとともに、電池セル20の内部の圧力が大きすぎることによる通気部品2422の変形又は変位を回避し、通気部品2422の完全性を保証し、安全性を向上させる。そして、通気部品2422は、コネクタ2421の電池セル20の内部に面する側に設けられ、このような位置設置方式により、エンドキャップ23の外部空間の利用率を向上させ、スプレーコードやより多くの機能の実現を容易にする。
【0106】
いくつかの実施例では、複数の第一のスルーホール2421aは、形状が同じであり且つ面積が等しい。複数の第一のスルーホール2421aの形状は、お互いに同じであってもよく、例えば複数の第一のスルーホール2421aは、いずれも円穴であってもよい。無論、複数の第一のスルーホール2421aは、いずれも楕円穴又は多角形穴であってもよく、選択的には、正多角形穴であってもよい。複数の第一のスルーホール2421aの面積が同じであることは、いずれか二つの第一のスルーホール2421aの面積が同じであることを意味する。例えば、複数の第一のスルーホール2421aがいずれも円穴である場合、いずれか二つの第一のスルーホール2421aの直径が同じであり、複数の第一のスルーホール2421aがいずれも楕円穴である場合、いずれか二つの第一のスルーホール2421aの長軸寸法が等しく且つ短軸寸法が等しい。
【0107】
複数の第一のスルーホール2421aの形状を同じにし且つ面積を等しくすることによって、排気過程では、気体が複数の第一のスルーホール2421aを均一且つ迅速に通過することが容易になる。通気部品2422の受けた気体圧力と、それに対応する部分の受けた気体圧力とを同じにすることによって、複数の第一のスルーホール2421aを通過した気体の分布ムラにより、通気部品2422が気体作用下で変形することを回避する。また、複数の第一のスルーホール2421aは、プレス方式又はミリング方式で加工することができ、複数の第一のスルーホール2421aの形状を同じにし且つ面積を等しくすることによって、同じ加工工程を用いて各第一のスルーホール2421aを加工することができ、加工工程を簡略化し、機械加工コストを低減させることができ、成形効率を高めることができる。
【0108】
引き続き
図4~
図7を参照すると、
図7は、本出願のいくつかの実施例による排気装置24のコネクタ2421の平面図である。いくつかの実施例では、複数の第一のスルーホール2421aは、間隔を置いて分布し、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dと通気部品2422の第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの厚さLとは、1.2≦D/L≦5を満たす。
【0109】
複数の第一のスルーホール2421aは、間隔を置いて分布することで、隣接する二つの第一のスルーホール2421aの穴壁の各箇所は、いずれも間隔を置いて設置される。隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dは、隣接する二つの第一のスルーホール2421aの穴壁の、第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの正投影の間の最小距離であってもよい。例えば、隣接する二つの第一のスルーホール2421aのうちの一方の正投影の一点aを取り、他方の正投影の一点bを取り、aとbとを接続して形成された線分のうちの、長さが最も短いのは、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dである。
【0110】
上記設置により、接続部2421bの機械的強度及び通気部品2422との間の付設面積を保証し、通気部品2422が電池セル20の内部圧力の作用下で変形する確率を低減させることができる。
【0111】
いくつかの実施例では、第一のスルーホール2421aの形状は、円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つである。
【0112】
第一のスルーホール2421aの形状は、第一のスルーホール2421aのその自身の軸方向Xでの正投影の形状であってもよく、円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つであってもよい。各第一のスルーホール2421aの形状は、いずれも円形、楕円形、くびれ円形及び多角形のうちの一つであってもよい。
【0113】
上記設置により、電池セル20は、排気過程では、排気効率を保証することができるとともに、第一のスルーホール2421aを規則的な幾何形状又は略規則的な幾何形状とすることができ、第一のスルーホール2421aの加工成形に有利である。
【0114】
いくつかの実施例では、第一のスルーホール2421aの形状は、円形であり、且つ第一のスルーホール2421aの穴径dと隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dとは、0.1≦d/D≦4を満たす。
【0115】
第一のスルーホール2421aの穴径dが小さすぎ、隣接する二つの前記第一のスルーホール2421a間の最小距離Dが大きすぎ、即ちd/D<0.1であれば、通気面積が変わらない場合に、複数の第一のスルーホール2421a全体の分布に占有される面積が大きすぎて、他のアセンブリの組み立てに不利である一方、第一のスルーホール2421aの穴径dが大きすぎ、隣接する二つの前記第一のスルーホール2421a間の最小距離Dが小さすぎ、即ちd/D>4であれば、接続部2421bと通気部品2422との結合面積が小さすぎ、接続力が小さすぎるため、通気部品2422と接続部2421bが分離する可能性があり、それによって、通気部品2422の性能に影響を与え、電池セル20の内部圧力が大きすぎると、通気部品2422が変形するリスクが生じやすくなる。上記技術案では、第一のスルーホール2421aの形状を円形にし、且つ第一のスルーホール2421aの穴径dと隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dとが0.1≦d/D≦4を満たすことによって、第一のスルーホール2421aの穴径dと隣接する二つの前記第一のスルーホール2421a間の最小距離Dとの比例を適度にすることができ、両者間の比例が大きすぎ又は小さすぎるため、複数の第一のスルーホール2421aの占有面積が大きすぎたり、通気部品と接続部との間の付設強度が不足したりして分離することを回避する。
【0116】
いくつかの実施例では、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の最小距離Dと、D≧0.5mmを満たす。
【0117】
隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の距離が小さすぎれば、第一のスルーホール2421aが変形し、ひいては隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の接続部2421bが破断し、それによって、通気部品2422が変形し、ひいては故障するおそれがある。上記設置により、接続部2421bと通気部品2422との係合部位の有効接触面積がより大きくなることを保証し、通気部品2422との付設強度の需要を確保し、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間の距離が小さすぎるため接続部2421bが破断して故障することを回避することができる。
【0118】
いくつかの実施例では、前記第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、各前記第一のスルーホール2421aの正投影の面積の面積和S1と前記通気部品2422の正投影の面積S2とは、S1/S2≦0.8を満たす。
【0119】
各第一のスルーホール2421aのその自体の軸方向Xでの正投影の面積は、この第一のスルーホール2421aの穴壁の軸方向Xでの正投影輪廓で囲まれた面積である。例えば、第一のスルーホール2421aが円穴である場合、第一のスルーホール2421aのそれ自体軸方向Xでの正投影は、円形であり、第一のスルーホール2421aの正投影の面積は、この円形の内部領域の面積である。第一のスルーホール2421aのそれ自体の軸方向Xでの正投影が多角形である場合、第一のスルーホール2421aの正投影の面積は、この多角形の内部領域の面積である。
【0120】
第一のスルーホール2421aの数が8個である場合、各前記第一のスルーホール2421aの正投影の面積の面積和S1は、8個の第一のスルーホール2421aのそれ自体の軸方向Xでの正投影の面積を加算した数値に等しい。第一のスルーホール2421aの数が16個である場合、各前記第一のスルーホール2421aの正投影の面積の面積和S1は、16個の第一のスルーホール2421aのそれ自体の軸方向Xでの面積を加算した数値に等しい。
【0121】
第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、通気部品2422の正投影の面積S2は、各前記第一のスルーホール2421aの正投影の面積の面積和S1よりも大きい。
【0122】
上記設置により、接続部2421bと通気部品2422との係合部位の有効接触面積を保証し、通気部品2422と接続部2421bとの間の付設強度を向上させ、通気部品2422が変形する確率を低減させることで、通気部品2422の完全性と信頼性を保証することができる。
【0123】
引き続き
図4~
図7を参照すると、いくつかの実施例では、排気本体241と排気機構242とは別々に提供され、排気機構242は、コネクタ2421により排気本体241に接続される。
【0124】
排気本体241と排気機構242とが別々に提供されることは、排気本体241と排気機構242とが組み立てられる前に、二つの独立した部品であり、別々に製造及び加工され、組み立てられる時、排気機構242がコネクタ2421により排気本体241に接続されることであってもよい。
【0125】
上記設置により、排気本体241と排気機構242は、それぞれ独立した部品となることで、加工及び組み立てが容易になる。そして、別体成形の方式により、排気本体241と排気機構242は、異なる材料で別々に加工及び製造することができる。これによって、排気装置全体は、排気機構242の構造的特徴と使用要求に応じて適切な材料及び加工プロセスを選択することができるようにする。
【0126】
いくつかの実施例では、排気本体241に第一の凹部2411が設けられ、第一の凹部2411は、排気機構242の少なくとも一部を収容するために用いられる。
【0127】
第一の凹部2411は、排気本体241から一部の材料を除去することにより形成されているのである。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第一の凹部2411の底壁の厚さは、排気本体241の他の領域に対応する厚さよりも小さい。排気装置24が電池セル20に用いられる場合、第一の凹部2411は、電極アセンブリ22に面して設置されてもよく、無論、電極アセンブリ22から離反して設置されてもよい。
【0128】
第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第一の凹部2411の正投影形状は、円形、楕円形及び多角形などであってもよく、本出願では、具体的に限定しない。
【0129】
排気機構242は、部分的に第一の凹部2411内に位置してもよく、無論、排気機構242は、完全に第一の凹部2411内に位置してもよく、排気機構242が完全に第一の凹部2411内に位置する場合、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、排気機構242の第一の凹部2411の底壁から離反する側は、排気本体241と面一となることができる。
【0130】
排気本体241に第一の凹部2411を設置し、且つ排気機構242を少なくとも部分的に第一の凹部2411に収容することにより、排気装置24全体の占有空間を減少させることができ、そして、第一の凹部2411の設置により、排気機構242の取り付けを位置決めし、排気機構242と排気本体241との間の組み立て難易度を低減させることができる。
【0131】
いくつかの実施例では、コネクタ2421は、本体領域24211と排気領域24212とを含み、本体領域24211は、排気本体241を接続するために用いられ、排気領域24212は、接続部2421bと複数の第一のスルーホール2421aとを含み、通気部品2422の一部は、本体領域24211に付設され、別の一部は、排気領域24212の接続部2421bに付設される。排気本体241は、第一の凹部2411の底部に遮蔽部2412と第二のスルーホール2413が設けられ、遮蔽部2412は、排気領域24212の少なくとも一部を遮蔽するために用いられ、第二のスルーホール2413は、第一の凹部2411により画定された空間と連通させるために用いられる。
【0132】
コネクタ2421の本体領域24211と排気領域24212は、一体式構造であってもよく、無論、別体式構造であってもよく、選択的に一体式構造であり、両者間の接続強度を保証でき且つコネクタ2421の成形に有利である。
【0133】
コネクタ2421の本体領域24211は、排気領域24212を囲んで設置されてもよく、本体領域24211の外周は、排気本体241に接続されてもよく、選択的に溶接などの方式で排気本体241と相互に固定接続される。
【0134】
複数の第一のスルーホール2421a及び接続部2421bは、いずれも排気領域24212に設置され、通気部品2422は、排気領域24212の接続部2421bに付設されるとともに、本体領域24211にも付設される。
【0135】
第一の凹部2411は、底部と、底部を囲んで設置される側壁とを含む。遮蔽部2412は、第一の凹部2411の底部に位置し、第二のスルーホール2413は、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで第一の凹部2411の底部を貫通して設置されてもよい。
【0136】
第二のスルーホール2413の数は、一つであってもよいし、複数であってもよく、第二のスルーホール2413の直径は、第一のスルーホール2421aの穴径に等しくてもよく、第一のスルーホール2421aの穴径に等しくなくてもよい。選択的に、第二のスルーホール2413の穴径は、いずれか一つの第一のスルーホール2421aの穴径よりも大きくてもよい。
【0137】
第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第二のスルーホール2413の位置は、第一のスルーホール2421aに対向して設置されてもよく、無論、いくつかの実施例では、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、両者は、ずれて設けられるように配置されてもよい。
【0138】
コネクタ2421が本体領域24211と排気領域24212とを含むように限定することによって、本体領域24211により排気本体241に接続し、コネクタ2421と排気本体241との間の接続強度を保証することができる。排気領域24212を介して電池セル20内の気体を排出し、電池セル20の安全性能を保証することができる。通気部品2422の一部が本体領域24211に付設され、且つ別の一部が排気領域24212に付設され、つまり、通気部品2422が接続部2421bに付設されるだけでなく、本体領域24211に付設されるため、通気部品2422とコネクタ2421との間の付設強度を保証し、通気部品2422とコネクタ2421が分離するリスクを低減させることができる。遮蔽部2412は、排気領域24212の少なくとも一部を遮蔽するために用いられ、遮蔽部2412によって、複数の第一のスルーホール2421aへの不純物の少なくとも一部の侵入を阻止し、さらに通気部品2422に対する影響を回避し、通気部品2422の性能を保証することができる。第二のスルーホール2413は、第一の凹部2411により画定された空間と連通させるために用いられることで、電池セル20の内部の気体を排出でき、電池セル20の安全性を保証する。
【0139】
いくつかの実施例では、遮蔽部2412に第二の凹部2414が設けられ、第二の凹部2414は、第一の凹部2411の底面から、通気部品2422から離反する方向へ凹んでおり、第二の凹部2414の底面と排気機構242との間に退避空間2415が形成されることで、排気領域24212を退避する。
【0140】
第二の凹部2414の第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの正投影形状は、種々のものが可能であり、例えば円形、楕円形又は多角形などであってもよい。選択的に、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第二の凹部2414の正投影の面積は、第一の凹部2411の正投影の面積よりも小さい。選択的に、第二の凹部2414の正投影は、第一の凹部2411の正投影の内部に位置する。
【0141】
第二のスルーホール2413は、第二の凹部2414の底面から、第一のスルーホール2421aの軸方向Xに沿って延在し且つ排気本体241を貫通することができる。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第二の凹部2414の底面と排気機構242は、間隔を置いて分布し且つ退避空間2415を形成する。
【0142】
遮蔽部2412に第二の凹部2414を設け、且つ第二の凹部2414の底面と排気機構242との間に退避空間2415を形成することによって、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、少なくとも一部の数の第一のスルーホール2421aの正投影が遮蔽部2412により覆われた時、遮蔽部2412とコネクタ2421の排気領域24212との接触を回避することができ、さらに遮蔽部2412がその覆った第一のスルーホール2421aを密閉することを回避し、電池セル20の内部の排気需要を保証し、電池セル20の安全性能を向上させることができる。
【0143】
図8を参照すると、
図8は、本出願の別のいくつかの実施例による排気装置24の断面構造の概略図である。いくつかの実例では、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、遮蔽部2412は、排気領域24212を完全に遮蔽し、第二のスルーホール2413は、排気領域24212と完全にずれる。
【0144】
つまり、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、遮蔽部2412の正投影は、排気領域24212の正投影を完全に覆い、第二のスルーホール2413の正投影は、排気領域24212の正投影と完全にずれて設けられる。
【0145】
上記設置により、電池セル20の内部の排気需要を保証することができるとともに、遮蔽部2412によってコネクタ2421及び通気部品2422を効果的に保護し、通気部品2422が外部の不純物又は内部の電解液によって損傷又は浸食される確率を低減させることができる。
【0146】
引き続き
図4~
図8を参照すると、いくつかの実施例では、第一の凹部2411は、排気本体241の内面から、電池セル20の内部から離反する方向に沿って凹んでおり、遮蔽部2412は、排気機構242の電池セル20の内部から離反する側に位置し、第二のスルーホール2413は、電池セル20の外部空間を第一の凹部2411と連通させるために用いられる。
【0147】
第一の凹部2411は、排気本体241の内面から、電池セル20の外部へ凹んで形成されてもよく、第一の凹部2411は、第一のスルーホール2421aの軸方向のX方向に沿って凹んでもよい。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、排気機構242は、遮蔽部2412と電極アセンブリ22との間に位置する。遮蔽部2412の第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの正投影が少なくとも一部の数の第一のスルーホール2421aを覆った時、遮蔽部2412に第二の凹部2414が設置され、この例では、第二の凹部2414は、第一の凹部2411の底面から、軸方向のX方向に沿って通気部品2422から離れる方向へ凹んでおり、排気機構242は、第二のスルーホール2413と電極アセンブリ22との間に位置する。
【0148】
上記技術案では、第一の凹部2411は、排気本体241の内面から、電池セル20の内部から離反する方向に沿って凹んでおり、遮蔽部2412は、排気機構242の電池セル20の内部から離反する側に位置し、第二のスルーホール2413は、電池セル20の外部空間を第一の凹部2411と連通させるために用いられることで、電池セル20の内部の気体は、通気機構を介して順に第二のスルーホール2413、第一のスルーホール2421aを通過して排出することができる。遮蔽部2412の位置により、第一のスルーホール2421aへの外部の不純物の侵入を効果的に遮断し、通気部品2422が破損するリスクを低減させることができる。
【0149】
図9~
図11を参照すると、
図9は、本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置24の平面図であり、
図10は、
図9においてB-B方向に沿う断面図であり、
図11は、本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置24の分解図である。
【0150】
いくつかの実施例では、第一の凹部2411は、排気本体241の外面から、電池セル20の内部に面する方向に沿って凹んでもよく、遮蔽部2412は、排気機構242の電池セル20の内部に面する側に位置し、第二のスルーホール2413は、電池セル20の内部空間を第一の凹部2411と連通させるために用いられる。
【0151】
第一の凹部2411は、排気本体241の外面から、第一のスルーホール2421aの軸方向のX方向に沿って電池セル20の内部の方向へ凹んでもよい。遮蔽部2412の第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの正投影が少なくとも一部の数の第一のスルーホール2421aを覆った時、遮蔽部2412に第二の凹部2414が設置される。この例では、第二の凹部2414は、第一の凹部2411の底面から、軸方向のX方向に沿って通気部品2422に近い方向へ凹んでもよく、第二のスルーホール2413は、排気機構242と電極アセンブリ22との間に位置する。
【0152】
上記技術案では、電池セル20の生じた気体は、まず、第二のスルーホール2413を通過し、そして通気部品2422を通過してから複数の第一のスルーホール2421aを介して排出される。第一の凹部2411は、通気部品2422を支持保護する役割を果たすことができ、第一の凹部2411内への通気部品2422の取り付けと位置決めを容易にする。
【0153】
図12及び
図13を参照すると、
図12は、本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置24の断面図であり、
図13は、本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置24の断面図である。
【0154】
いくつかの実施例では、排気装置24は、通気ストッパ243をさらに含み、通気ストッパ243の少なくとも一部は、第二の凹部2414内に位置し、且つ、排気領域24212の変形を制限するために用いられる。
【0155】
通気ストッパ243は、通気機能を有する。選択的に、通気ストッパ243は、部分的に第二の凹部2414内に位置してもよく、無論、完全に第二の凹部2414内に位置してもよい。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、通気ストッパ243は、遮蔽部2412と排気機構242との間に挟持され、さらに排気機構242に支持力を提供し、排気領域24212の変形を制限することができ、具体的に、排気領域24212の第一のスルーホール2421aの軸方向Xでの変形を制限することができる。
【0156】
選択的に、通気ストッパ243は、所定の厚さを有するフィルム層構造であってもよく、選択的に、通気ストッパ243は、さらに、防水機能を有してもよい。
【0157】
選択的に、通気ストッパ243は、排気機構242及び遮蔽部2412に接触されるが接続されなくてもよく、無論、通気ストッパ243は、排気機構242に接触され且つ相互に接続されてもよく、又は、通気ストッパ243は、さらに、同時に排気機構242及び遮蔽部2412に接触され且つ接続されてもよい。
【0158】
排気装置24が通気ストッパ243をさらに含み、且つ通気ストッパ243の少なくとも一部が第二の凹部2414内に位置するようにすることによって、通気ストッパ243によって排気機構242に支持を提供し、排気領域24212の変形を制限し、さらに通気部品2422が変形する確率を低減させ、排気装置24の安全性能を向上させることができる。
【0159】
いくつかの実施例では、通気ストッパ243は、前記排気領域24212に付設され、且つ前記排気領域24212に支持される。
【0160】
通気ストッパ243は、排気領域24212に付設され、排気領域24212の第一のスルーホール2421aを覆い且つ接続部2421bと当接することができる。通気ストッパ243と排気領域24212は、直接に接着、化学結合接続などにより相互に接続されることができる。
【0161】
上記設置により、排気領域24212の気圧抵抗能力を高め、排気領域24212が変形する確率を低減させ、さらに通気部品2422とその付設領域が変形する確率を低減させることができる。
【0162】
いくつかの実施例では、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、通気ストッパ243は、複数の第一のスルーホール2421a及び接続部2421bを覆ってもよい。
【0163】
上記設置により、排気領域24212の変形を制限することができるとともに、通気部品2422の軸方向Xでの一側を保護し、外部の不純物又は内部の電解液が通気部品2422に作用して損傷を与えることを回避し、さらに排気機構242の安全性能を保証することができる。
【0164】
いくつかの実施例では、通気部品2422は、コネクタ2421と化学結合により一体に接続される。
【0165】
化学結合は、純物質分子内又は結晶内の隣接する二つ又は複数の原子(又はイオン)間の強い相互作用力の総称である。イオン又は原子を結合させる作用力は、化学結合と総称される。
【0166】
化学結合により通気部品2422をコネクタ2421に接続することで、通気部品2422とコネクタ2421との接続はより強固となり、両者の接続強度を保証するとともに、通気部品2422の性能への影響を最小限に低減させ、通気部品2422の性能を保証することができる。
【0167】
図14及び
図15に示すように、
図14は、本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置24の断面図であり、
図15は、本出願のまた別のいくつかの実施例による排気装置24の断面図である。
【0168】
いくつかの実施例では、排気装置24は、絶縁材244をさらに含み、絶縁材244は、排気本体241の電池セル20の内部に面する側に位置し、絶縁材244に第三のスルーホール2441が設置され、第三のスルーホール2441は、電池セル20の内部空間を第一のスルーホール2421aと連通させるために用いられる。
【0169】
絶縁材244は、エンドキャップ23と電極アセンブリ22とを仕切りする部材であり、絶縁材244によって、エンドキャップ23と電極アセンブリ22との絶縁分離を実現する。絶縁材244は、絶縁材質であり、絶縁材244は、例えば、プラスチック、ゴムなどの絶縁材質であってもよい。例示的には、絶縁材244は、エンドキャップ23と電極アセンブリ22との間に設けられ、電極アセンブリ22が複数である場合に、絶縁材244は、複数の電極アセンブリ22全体の上方を覆うことが理解されることができる。
【0170】
絶縁材244は、板状として設置されもよい。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第三のスルーホール2441は、第一のスルーホール2421aに対応して設置されてもよく、対応して設置されなくてもよく、第三のスルーホール2441の穴径は、第一のスルーホール2421aの穴径と等しくてもよく、等しくなくてもよい。
【0171】
絶縁材244を設置することにより、電極アセンブリ22とエンドキャップ23との金属接触による短絡現象を防止することができ、且つ絶縁材244にも第三のスルーホール2441が設けられ、電池セル20の内部空間を第一のスルーホール2421aと連通させ、電池セル20の内部気体の排出需要を保証することができる。
【0172】
図16に示すように、
図16は、本出願のさらなるいくつかの実施例による排気装置24の断面図である。いくつかの実施例では、第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第三のスルーホール2441は、第一のスルーホール2421aと完全にずれて設けられてもよい。第一のスルーホール2421aの軸方向Xで、第三のスルーホール2441は、第一のスルーホール2421aと重ならない。
【0173】
上記設置により、液体又は不純物粒子を遮断し、通気部品2422の性能を保証することができる。また、上記設置により、電池セル20の内部の気体が第三のスルーホール2441を通過して直接に第一のスルーホール2421aに作用することを回避し、第一のスルーホール2421aに対する衝撃力を減少させ、通気部品2422が変形する確率を低減させ、さらに電池セル20の安全性を保証することができる。
【0174】
【0175】
いくつかの実施例では、排気本体241は、電池セル20のエンドキャップ23である。つまり、排気装置24は、電池セル20のエンドキャップ23の位置に設置されてもよい。
【0176】
上記設置により、電池セル20のエンドキャップ23全体に排気機能を統合し、電池セル20の安全性能を保証することができる。
【0177】
理解できるように、上記各実施例は、いずれも排気本体241が電池セル20のエンドキャップ23であることを例に挙げて説明する。
【0178】
図20に示すように、
図20は、本出願のまた別のいくつかの実施例の排気装置24の断面図である。いくつかの実施例では、排気本体241は、さらに、内部に収容キャビティ2416が形成され、排気本体241は、収容キャビティ2416を画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁に排気機構242が設置されてもよい。
【0179】
排気本体241の少なくとも一つの壁に排気構造が設置されるが、一つの壁のみに排気構造が設置されてもよく、複数の壁にいずれも排気構造が設けられてもよい。排気構造は、壁の外面に設置されてもよく、壁の内面に設置されてもよい。
【0180】
排気本体241は、様々な形状、例えば、直方体、円柱体であってもよい。排気本体241が直方体であることを例として、排気本体241は、五つの壁を有してもよく、一つの底壁2417aと四つの側壁2417bは、共同で囲んで、一端が開口した収容キャビティ2416を形成し、底壁2417aに排気構造が設置される。排気本体241が円柱体であることを例として、排気本体241は、一つの底壁2417aと一つの円周壁という二つの壁を有してもよく、円周壁は、底壁2417aのエッジを囲んで設けられ、円周壁と底壁2417aは、共同で囲んで、一端が開口した収容キャビティ2416を形成し、底壁2417aに排気本体241が設置される。
【0181】
本実施例では、排気本体241の内部には、電極アセンブリ22を収容するための収容キャビティ2416が形成され、排気本体241の複数の壁は、収容キャビティ2416を画定することで、排気装置24は、電極アセンブリ22を収容できるハウジング21となり、排気装置24は、収容機能と放圧機能を一体として統合する。
【0182】
本出願の実施例は、上記いずれかの実施例による排気装置24を含む電池セル20を提供する。
【0183】
本出願の実施例は、電池を提供し、この電池は、筐体と、上記いずれか一つの実施例による電池セル20とを含み、筐体は、電池セル20を収容するために用いられる。
【0184】
本出願の実施例は、電気エネルギーを提供するための上記いずれかの実施例による電池を含む電力消費装置を提供する。
【0185】
図21を参照すると、
図21は、本出願のいくつかの実施例の排気装置24の製造方法のフローチャートである。本出願の実施例は、排気装置24の製造方法を提供し、方法は、以下のステップを含む。
【0186】
S100:排気本体241を提供する。
【0187】
S200:排気機構242を提供し、排気機構242を排気本体241に接続する。
【0188】
ここで、排気機構242は、コネクタ2421と通気部品2422とを含み、コネクタ2421は、排気本体241を接続するために用いられ、コネクタ2421に複数の第一のスルーホール2421aが設けられ、通気部品2422は、複数の第一のスルーホール2421aを覆い、通気部品2422は、電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホール2421aを介して電池セル20の外部に排出するために用いられ、コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bは、通気部品2422に付設されることで、通気部品2422の変形を制限するために用いられる。
【0189】
本出願の実施例による排気装置24の製造方法は、上記各実施例による排気装置24の成形に用いることができ、その製造される排気装置24では、コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bにより通気部品2422に付設できるため、電池セル20の内部の気体が通気部品2422を介して電池セル20の外部に排出される過程で、通気部品2422に作用する時、接続部2421bにより通気部品2422に電池セル20の内部圧力とは逆の作用力を提供でき、通気部品2422の変形を減少させ、排気装置24全体の耐内圧能力を向上させ、さらに電池セル20の安全性を向上させる。
【0190】
図22を参照すると、
図22は、本出願のいくつかの実施例の排気装置24の製造機器の概略的なブロック図である。本出願の実施例は、排気装置24の製造機器を提供し、機器は、提供装置2100と組み立て装置2200とを含み、提供装置2100は、排気本体241を提供するように構成されており、組み立て装置2200は、排気機構242を提供し、排気機構242を排気本体241に接続するように構成されており、ここで、排気機構242は、コネクタ2421と通気部品2422とを含み、コネクタ2421は、排気本体241を接続するために用いられ、コネクタ2421に複数の第一のスルーホール2421aが設けられ、通気部品2422は、複数の第一のスルーホール2421aを覆い、通気部品2422は、電池セル20の内部の気体圧力が第一の閾値に達する時、気体を複数の第一のスルーホール2421aを介して電池セル20の外部に排出するために用いられ、コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bは、通気部品2422に付設されることで、通気部品2422の変形を制限するために用いられる。
【0191】
本出願の実施例による排気装置24の製造機器は、上記各実施例による排気装置24の製造に用いることができ、その製造される排気装置24では、コネクタ2421は、隣接する二つの第一のスルーホール2421a間に形成される接続部2421bを含み、接続部2421bにより通気部品2422に付設できるため、電池セル20の内部の気体が通気部品2422を介して電池セル20の外部に排出される過程で、通気部品2422に作用する時、接続部2421bにより通気部品2422に電池セル20の内部圧力とは逆の作用力を提供でき、通気部品2422の変形を減少させ、排気装置24全体の耐内圧能力を向上させ、さらに電池セル20の安全性を向上させる。
【0192】
説明すべきこととして、矛盾がない限り、本出願における実施例と実施例における特徴を相互に組み合わせることができる。
【0193】
以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、本出願を限定するためのものではない。当業者にとって、本出願は、様々な変更と変化が可能である。本出願の精神と原則の範囲内で行われた任意の修正、同等置き換え、改良などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0194】
発明を実施するための形態における図面の符号は、以下のとおりである。
【符号の説明】
【0195】
1000 車両
100 電池
200 コントローラ
300 モータ
10 筐体
11 第一の部分
12 第二の部分
20 電池セル
21 ハウジング
22 電極アセンブリ
221 正極タブ
222 負極タブ
23 エンドキャップ
231 正極電極端子
232 負極電極端子
24 排気装置
241 排気本体
2411 第一の凹部
2412 遮蔽部
2413 第二のスルーホール
2414 第二の凹部
2415 退避空間
2416 収容キャビティ
2417a 底壁
2417b 側壁
242 排気機構
2421 コネクタ
2421a 第一のスルーホール
2421b 接続部
24211 本体領域
24212 排気領域
2422 通気部品
243 通気ストッパ
244 絶縁材
2441 第三のスルーホール
2100 提供装置
2200 組み立て装置
X 軸方向