(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】適合可能なタワープラットフォーム装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20240501BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20240501BHJP
F03D 80/50 20160101ALI20240501BHJP
【FI】
F03D13/20
E04H12/00 A
F03D80/50
(21)【出願番号】P 2022572590
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(86)【国際出願番号】 EP2021061221
(87)【国際公開番号】W WO2021239381
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520084180
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー イノヴェーション アンド テクノロジー エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy Innovation & Technology S.L.
【住所又は居所原語表記】Avenida Ciudad de la Innovacion 9-11, 31621 Sarriguren (Navarra), Spain
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-ヒンリヒ アーレンス
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ブラウアー
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ゴドフーセン
(72)【発明者】
【氏名】ミレン イリアルテ リサラガ
(72)【発明者】
【氏名】アシエル イリサリ マルティアレーナ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ヴェルナー
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0031668(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0174509(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368473(US,A1)
【文献】特開2007-138943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0125037(US,A1)
【文献】国際公開第2014/122767(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/070084(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
E04H 12/00
F03D 80/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー(2)のタワー内部(20)に使用するための適合可能なタワープラットフォーム装置(1)であって、
-
それぞれが実質的に同一のプラットフォーム直径(D10)を有する1つ以上の円形のプラットフォーム(10)と、
- それぞれ
が実質的に同一の内径(Di)
と、それぞれの外径(Do_1,…,Do_n)
とを有する複数の環状のアダプタリング(11_1,…,11_n)であって、それぞ
れの前記外径(Do_1,…,Do_n)は、前記プラットフォーム直径(D10)を上回っていて、それぞれ異なるタワー内部直径(D1,…,Dn)に対応している、アダプタリング(11_1,…,11_n)と、
- アダプタリング(11_1,…,11_n)へのプラットフォーム(10)の接続を容易にして、当該アダプタリング(11_1,…,11_n)の前記外径を有するプラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)を得るように構成されたアセンブリ境界面と
を備える、適合可能なタワープラットフォーム装置(1)。
【請求項2】
前記アセンブリ境界面は、アダプタリング内径(Di)と、前記プラットフォーム直径(D10)との間に環状の重なり(12o)を有する、請求項1記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項3】
1つのプラットフォーム(10)は、複数のプラットフォーム区分(10s)から構成されており、プラットフォーム区分(10s)は、互いに直角に交わる少なくとも2つの真っ直ぐな縁部を有する、請求項1または2記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項4】
前記プラットフォーム区分(10s)の前記真っ直ぐな縁部に沿って下向きに折り曲げられた延在部(10e)同士の間に、任意の2つの隣接したプラットフォーム区分(10s)の間の接合部が形成されている、請求項3記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項5】
前記アダプタリング(11_1,…,11_n)の前記外径(Do_1,…,Do_n)は、最大の前記
タワー内部直径が7mのオーダーにあるタワー(2)に基づき選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項6】
前記アダプタリング(11_1,…,11_n)の前記外径(Do_1,…,Do_n)は、最小の前記
タワー内部直径が3mのオーダーにあるタワー(2)に基づき選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項7】
前記プラットフォーム直径(D10)は、前記タワー(2)の最小の前記
タワー内部直径の最大99%である、請求項1から6までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項8】
前記タワー内部(20)における所定のレベル(2L_1,…,2L_n)にプラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)を設置するための設置境界面(13,14,15,16)を備える、請求項1から7までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項9】
前記設置境界面
(13,14,15,16)は、前記プラットフォーム(10)と前記タワー
(2)の壁との間に延在するように適合させられた多数のステー(15)を備える、請求項
8記載の適合可能なタワープラットフォーム装置
(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置(1)が備え付けられたタワー(2)であって、
前記タワー(2)の前記タワー内部(20)におけるそれぞれ異なるレベル(2L_1,…,2L_n)に設置された複数のプラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)を備え、各々のプラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)は、前記適合可能なタワープラットフォーム装置(1)の円形のプラットフォーム(10)を備え、該プラットフォーム(10)は、前記適合可能なタワープラットフォーム装置(1)の、当該レベル(2L_1,…,2L_n)における前記タワー内部直径に対応する外径(Do_1,…,Do_n)を有するアダプタリング(11_1,…,11_n)に組み付けられている、タワー(2)。
【請求項11】
少なくとも1つの円錐台形のタワー区分(23,24)と、該タワー区分(23,24)のそれぞれ異なるレベル(2L_4,2L_7)に設置された2つ以上のプラットフォームアセンブリ(12_2,12_5)とを備える、請求項10記載のタワー
(2)。
【請求項12】
少なくとも1つの真っ直ぐな円形のタワー区分(21,22)と、該タワー区分(21,22)のそれぞれ異なるレベル(2L_1,…,2L_3)に設置された2つ以上のプラットフォームアセンブリ(12_1)とを備え、各々のプラットフォームアセンブリ(12_1)は、それぞれ同一のアダプタリング(11_1)を有する、請求項10または11記載のタワー
(2)。
【請求項13】
プラットフォーム(10)は、前記タワー内部(20)におけるそれぞれ異なるレベル(2L_1,…,2L_n)の間での点検作業員の通過を可能にするためのアクセス開口(10a)および/または前記タワー(2)の最も上側のレベルと前記タワー(2)の基礎との間での電力ケーブル(28)の通過を可能にするための開口(10a)および/または昇降機を収容するように成形されたアクセス開口(10a)を有する、請求項10から
12までのいずれか1項記載のタワー
(2)。
【請求項14】
請求項1から9までのいずれか1項記載の適合可能なタワープラットフォーム装置(1)を用いてタワー内部(20)における所定のレベル(2L_1,…,2L_n)へのアクセスを提供する方法であって、
- 所定のタワー内部レベル(2L_1,…,2L_n)における前記タワー内部直径(D1,…,Dn)を特定するステップと、
- 当該レベル(2L_1,…,2L_n)における前記タワー内部直径に対応する外径(Do_1,…,Do_n)を有するアダプタリング(11_1,…,11_n)を選択し、選択された前記アダプタリング(11_1,…,11_n)に1種類のプラットフォーム(10)を組み付けることによって、プラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)を準備するステップと、
- 当該タワー内部レベル(2L_1,…,2L_n)に前記プラットフォームアセンブリ(12_1,…,12_n)を配置するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適合可能なタワープラットフォーム装置、このような適合可能なタワープラットフォーム装置が備え付けられたタワーおよびタワー内部レベルへのアクセスを提供する方法を説明する。
【0002】
背景
高い風力タービンタワーは、通常、徐々に先細になるタワー区分を含むように構成されており、これによって、上側のタワーレベルにおける(ヨー境界面における)直径が、下側のタワーレベルにおける直径よりも大幅に小さくなっている。
【0003】
様々な理由のために、例えば、タワー内で保守手順を行うかまたはナセルへのアクセスを提供するために、タワーの内側のそれぞれ異なるレベルへのアクセスが必要となる。安全要件を満たすためには、プラットフォームが、プラットフォームレベルにおける円形の領域を実質的に完全に封止するように延在していることが求められる。大きく変化するジオメトリを有する多くの風力タービンタワーの設計が存在するため、特定のタワー設計の要件を満たすように内部プラットフォームを設計することが常例である。1つのタワータイプで使用するように設計されたプラットフォームは、通常、異なるタワータイプに使用することはできない。したがって、アクセスプラットフォームは、風力タービンの全体的なコストを大幅に増加させる。
【0004】
このようなコストを回避するための1つのアプローチでは、より高い(より狭幅の)タワーレベルに設置するために、基本的なプラットフォームの設計が考えられていてよく、より低い(より広幅の)タワーレベルに設置する際には、この基本的なプラットフォームを取り囲むように、可撓性の材料の付加的な外周体が配置されてよい。このアプローチの欠点は、付加的な外周体が、プラットフォームからの物体または人の落下の防止に有効でない場合があることである。別のアプローチでは、基本的なプラットフォームが、このプラットフォームからの物体の落下の防止により効果的である剛性的な柵またはキックプレートによって拡張されてよい。しかしながら、このような適合は高価であり、厳格な安全要件を常に満たしているとは限らない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、タワー内部における様々なレベルへのアクセスを提供する改善された方法を提供することである。
【0006】
この目的は、請求項1記載の適合可能なタワープラットフォーム装置と、請求項10記載のタワーと、タワー内部レベルへのアクセスを提供する請求項15記載の方法とによって達成される。
【0007】
本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置は、少なくとも1つの円錐台形の区分を有するタワーの内部に使用することを想定している。つまり、タワーは、円錐台形の区分の基礎における広幅の直径から、円錐台形の区分の頂上における狭幅の直径に先細りになっている。
【0008】
本発明によれば、適合可能なタワープラットフォーム装置は、プラットフォーム直径を有する少なくとも1つの円形のプラットフォームと、それぞれ内径および外径を有する複数の環状のアダプタリングであって、それぞれアダプタリングの外径は、プラットフォーム直径を上回っていて、それぞれ異なるタワー内部直径に対応している、アダプタリングと、アダプタリングへのプラットフォームの接続を容易にして、当該アダプタリングの外径を有するプラットフォームアセンブリを得るように構成されたアセンブリ境界面とを備えている。
【0009】
本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置は、1セットの構成要素、つまり、少なくとも1つのプラットフォームと幾つかのアダプタリングとを備えていてよい。本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置の利点は、1つのタイプのプラットフォームしか必要とならない、つまり、プラットフォームを多種のアダプタリングのうちのいずれか1つに組み付けることができる点にある。アダプタリングは全て異なる外径を有していてよいので、各々のアダプタリングは、円錐台形のタワー区分の内側の特定のレベルにおいてフィットする。前提として、複数のプラットフォームが1セットの一部である場合、プラットフォームは実質的に同一である(少なくとも同一の直径を有している)、つまり、任意のプラットフォームを複数のアダプタリングのうちのいずれか1つに組み付けることができる。当然ながら、任意のアダプタリングは、対応する内部直径を有する真っ直ぐな円筒形のタワー区分の内側に使用されてよい。
【0010】
したがって、本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置は、それぞれ異なる内部直径を有する1つ以上のタワーにおける様々なレベルに設置するために、カスタムメイドのプラットフォームを必要とする解決手段よりも大幅に経済的となり得る。また、タワーの設置時間を短縮することもできる。なぜならば、様々なタワーレベルへのプラットフォームアセンブリの組付けが、好ましくは簡単であるからである。
【0011】
本発明によれば、タワー、例えば、中空の風力タービンタワーは、タワー内部におけるそれぞれ異なるレベルに設置された複数のプラットフォームアセンブリを備えている。各々のプラットフォームアセンブリは、1種類の円形のプラットフォームを備えており、このプラットフォームは、当該レベルにおけるタワー内部直径に対応する外径を有するアダプタリングに組み付けられている。
【0012】
本発明によれば、本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置の実施形態を用いてタワー内部レベルへのアクセスを提供する方法は、所定のタワー内部レベルにおける直径を特定するステップと、当該レベルにおけるタワー内部直径に対応する外径を有するアダプタリングを選択し、選択されたアダプタリングに1種類のプラットフォームを組み付けることによって、プラットフォームアセンブリを準備するステップと、当該タワー内部レベルにプラットフォームアセンブリを配置するステップとを含んでいる。
【0013】
本発明の特に有利な実施形態および特徴は、以下の記載において明らかになるように、従属請求項によって提供される。それぞれ異なる請求項のカテゴリーの特徴は、本明細書に記載していない更なる実施形態を提供するために適切に組み合わされてよい。
【0014】
以下では、前提として、タワーは高い構造体、例えば風力タービンタワーである。また、前提として、タワーは、少なくとも1つの円錐台形のタワー区分も有している、つまり、タワーがその高さの少なくとも一部にわたって円錐台形の形状である。また、タワーは、1つ以上の真っ直ぐな円筒形の区分、つまり、実質的に一定の直径を有するタワー区分を備えていてもよい。タワー区分同士は、当業者に周知であるようなフランジを用いて接続されていてよい。
【0015】
プラットフォームは、任意の適切な形態で構成されていてよい。例えば、プラットフォームは、強力な材料、例えば鋼の円形のディスクを形成されていてよい。しかしながら、タワー、例えば風力タービンタワーの内部直径は数メートルを有していることがあり、このような直径を有する円形のプラットフォームは高価であり、構造的な安定性を欠く恐れがある。したがって、本発明の好適な実施形態では、1つのプラットフォームが、複数のプラットフォーム区分から構成されている。好ましくは、各々の区分は実質的に方形であり、少なくとも2つの真っ直ぐな縁部を有している。外周にまで延在するプラットフォーム区分は、外周の円弧に対応する湾曲させられた縁部を有している。
【0016】
互いに隣接したプラットフォーム区分は、好ましくは、例えば溶接および/または締結具によって頑強に接合されている。本発明の特に好適な実施形態では、任意の2つのプラットフォーム区分は、それらの共通の縁部が、直角に折り曲げられて互いに接合される側方の延在部を有しているように成形されている。好ましくは、縁部は、鉛直方向下向きに折り曲げられており、これによって、上側のプラットフォーム面が平らなままとなっている。これらの下向きに折り曲げられた縁部同士を接続することにより形成された接合部は、プラットフォームのための剛性的な構造部として作用する。こうして、頑強かつ経済的なプラットフォームを簡単に提供することができる。
【0017】
プラットフォームアセンブリのプラットフォームは、アダプタリングに任意の適切な形態で接続されてよい。本発明の好適な実施形態では、アセンブリ境界面は、アダプタリング内径と、プラットフォーム直径との間に環状の重なりを有している。好ましくは、プラットフォームとアダプタリングとの間の重なりは、少なくとも50mmを有している。
【0018】
プラットフォームアセンブリは、好ましくは、適切な設置境界面によってタワー壁に固定されている。本発明の好適な実施形態では、プラットフォームは、タワー壁から外向きに延在する1セットのブラケットとして提供された設置境界面に接続するために適合させられていてよい。例えば、4mのオーダー内の外径を有するプラットフォームアセンブリは、当該組付けレベルにおいてタワー内部を取り囲むように均等に分配されて環状に配置された10個のブラケットによって支持されていてよい。プラットフォームは、ブラケット、磁石、直接的な締結具または別の類似の解決手段によってタワー壁に固定されていてよい。例えば、幾つかのブラケットは、タワー壁に取り付けられていてもよいし、2つのタワー区分の接合部に設けられたフランジに固定されていてもよい。ブラケットは、プラットフォームアセンブリに固定されていてよく、例えば、ブラケットは、プラットフォーム区分同士の間の接合部にねじ締結または溶接されていてよい。このような実施形態では、ブラケットの位置は、プラットフォーム区分の設計によって決定される。
【0019】
代替的または付加的には、プラットフォームアセンブリは、タワー壁における複数の点から吊されていてよい。例えば、設置境界面は、タワー壁に固定されていてよい環状に配置された適切な壁金具と、この壁金具と、プラットフォームの外周の近くに設けられた取付け金具との間にそれぞれ延在する対応する数のケーブル、ステーまたはロッドとを備えていてよい。例えば、4mのオーダー内の外径を有するプラットフォームアセンブリは、タワー内部を取り囲むように均等に分配されて環状に配置された8個、10個またはそれ以上の個数の壁金具から吊されていてよい。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、アダプタリングの外径は、3m~7mの範囲内の内部直径を有するタワーに基づき選択されている。当然ながら、本発明は、より小さなかつ/またはより大きなタワー直径で使用されてよく、こういった値は、本発明を備え付けることができるタワータイプの寸法の表示を提供するために言及しているにすぎない。所望の構造的な安定性を確保するために、アダプタリングの幅は、好ましくは少なくとも100mmである。プラットフォーム直径は、好ましくは、所望の重なり量だけアダプタリング内径を上回っているので、プラットフォーム直径は、タワーの最小の内部直径にも実質的に起因していて、好ましくは、最小の内部直径の最大99%である。各々のアダプタリングの内径は、プラットフォーム直径から好適な重なり幅を差し引くことによって決定される。
【0021】
上述したように、中空のタワーの最小の直径と最大の直径との間の差は、特に、区分を互いに積み重ねることによって組み立てられたタワーの場合、大きく変化してよい。このような実現では、下側のタワー区分の最大の直径が、別のタワー区分の最大の直径よりも大幅に大きくてよい。したがって、本発明の好適な実施形態では、2種類以上の本発明の適合可能なタワープラットフォーム装置を使用することによって、タワーの内側の様々なレベルへのアクセスが提供される。各々の適合可能なプラットフォーム装置は、タワー内部直径の範囲をカバーしている。例えば、第1の適合可能なプラットフォーム装置は、最大の直径を有する下側の領域に使用され、第2の適合可能なプラットフォーム装置は、より小さな直径の範囲を有する上側のタワー領域に使用される。第1の種類の円形のプラットフォームは、第2の種類の最大のプラットフォームアセンブリのアダプタリングの外径よりも大きくてよい。風力タービンタワーの内部は、通常、様々な目的のために利用される。発電機からの電力ケーブルは、通常、ナセルからタワーの基礎にまで通っていて、ヨーリングのレベルでタワーに進入している。したがって、本発明の好適な実施形態では、タワー内部におけるあらゆるプラットフォームアセンブリが、電力ケーブルの通過を可能にするための開口を有している。このような開口は、例えば、方形のプラットフォーム区分を省略することによって、プラットフォームに提供されてよい。代替的には、開口は、例えば、アダプタリングの一部を省略することによって、プラットフォームアセンブリの縁部に切欠きとして提供されてよい。
【0022】
通常では、例えば、タワーに設けられた航空障害灯における保守手順を実施するため、ヨーシステムにおける保守手順を実施するため等、作業員にタワーにおける様々なレベルへのアクセスを提供することも必要となる。このために、本発明の更なる好適な実施形態では、タワー内部におけるあらゆるプラットフォームアセンブリは、梯子を収容しかつ/または昇降機を収容するためのアクセス開口を有している。
【0023】
好ましくは、プラットフォームアセンブリは、このプラットフォームアセンブリからの工具または別の物体の落下のリスクを回避するために、プラットフォームとアダプタリングとを備えた表面に重大な間隙が実質的に存在しないように構成されている。このためには、アクセス開口を使用していないときに閉鎖するために、ハッチが使用されてよい。
【0024】
本発明の別の目的および特徴は、添付の図面と併せて考慮する以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、当然ながら、図面は、単に例示の目的のために設計したものでしかなく、本発明の限定を定義するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の適合可能なプラットフォーム装置の原理を示す図である。
【
図2】本発明の適合可能なプラットフォーム装置のプラットフォームの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】本発明の適合可能なプラットフォーム装置の多数のアダプタリングを示す図である。
【
図4】タワー内に設置された本発明の適合可能なプラットフォーム装置のプラットフォームアセンブリの断面図である。
【
図5】本発明の適合可能なプラットフォーム装置の実施形態が備え付けられた風力タービンタワーの概略的な断面図である。
【
図6】風力タービンタワーの別の概略的な断面図である。
【
図7】風力タービンタワーのさらに別の概略的な断面図である。
【0026】
図中、同一の数字は全体を通して同一の対象を指している。図中の対象は、必ずしも正確な縮尺率で示していない。
【0027】
図1には、本発明の適合可能なプラットフォーム装置1の原理が示してある。この適合可能なプラットフォーム装置1は、徐々に減少する直径と、複数の所望のアクセスレベル2L_1,…,2L_nとを有するタワー2に対して、1つのタイプのプラットフォーム10と、複数のアダプタリング11_1,…,11_nとを備えている。これらのアダプタリング11_1,…,11_nは、それぞれタワー2のアクセスレベル2L_1,…,2L_nにおけるタワー内径D1,…,Dnに対応する外径Do_1,…,Do_nを有している。1種類のプラットフォーム10をアダプタリング11_1,…,11_nに取り付けることによって、プラットフォームアセンブリ12_1,…,12_nが構成されている。アダプタリング11_1,…,11_nは、プラットフォームアセンブリが設置されるレベルにおけるタワー直径に従って選択されている。
【0028】
タワー2に複数のプラットフォームアセンブリ12_1,…,12_nを備え付けるコストは、好ましくは低い。なぜならば、プラットフォーム10が、各々のアセンブリ12_1,…,12_nにおいて同一であり、アダプタリング11_1,…,11_nだけが寸法に関して異なっているからである。
【0029】
図2には、プラットフォーム10の例示的な実施形態が示してある。図示の構成では、プラットフォーム10は、複数のプラットフォーム区分10sを接合することによって形成されている。幾つかの区分10sは方形であり、その真っ直ぐな辺に沿って互いに隣接した区分10sを備えている。別の区分10sは方形の形状に基づいていて、3つの真っ直ぐな辺と、プラットフォーム10の外周における湾曲させられた縁部とを備えている。プラットフォーム10の全体形状は、直径D10を有する円形である。
【0030】
図面には、また、プラットフォーム区分10s同士が接合された形態が示してある。区分10sの表面はその真っ直ぐな辺を越えて延在し、この付加的な領域が直角下向きに曲げられ、これによって、接続面10eとして働く鉛直方向の平らな延在部が形成されている。互いに隣接したプラットフォーム区分10sは、それらの鉛直方向の平らな接続面10eを溶接するかまたは別の形態で接続することによって接合されている。結果的に生じる接合部が、プラットフォーム10に構造的な剛性を提供している。
【0031】
1つ以上のプラットフォーム区分を省略することによって、プラットフォーム10には、例えば、ケーブル装置への通路を提供する、作業員によるアクセスを可能にする、梯子を収容する、昇降機を収容する等のためのアクセス開口10aが設けられていてよい。図面には、アクセス開口10aを閉鎖するプラットフォーム区分10sの下向きに曲げられた平らな延在部10eが示してある。
【0032】
図3には、多数のアダプタリング11_1,…,11_nが示してある。内径Diは、全てのアダプタリング11_1,…,11_nに対して実質的に等しい。外径Do_1,…,Do_nは、各々のアダプタリング11_1,…,11_nに対して異なっており、これによって、各々のアダプタリング11_1,…,11_nが、円錐台形のタワーの内部のそれぞれ異なるレベルにおいてフィットする。アダプタリング11_1,…,11_nの幅11wは、15cm~30cmのオーダー内にあってよい。内径Diは、好ましくは、プラットフォーム直径D10の最大98%であり、これによって、1種類のプラットフォーム10がアダプタリング11_1,…,11_nに載置されたときに十分な重畳が存在している。図面には、アダプタリングが、溶接および/または適切な締結具によって接続されてよい複数のセグメントから形成されてよいことが示してある。
図2に示したプラットフォーム区分10sの下向きに曲げられた延在部10eの位置に対応する特定の位置に切欠き11cが設けられている。
【0033】
図4には、タワー2内に設置されたプラットフォームアセンブリ12_1の断面図が示してある。図面には、プラットフォーム10の外側の縁部が、アダプタリング11_1の上面にどのように載置されているのかが示してある。なお、アダプタリング11_1は、タワー区分同士の間のフランジ(図示せず)に載置されてよいかまたはボルト固定されてよい。鉛直方向下向きに延在するプラットフォーム区分10sの縁部10eは、タワー壁に組み付けられたブラケット13に固定されている。アダプタリング11_1は、
図3に示したように、鉛直方向下向きに延在する縁部10eにフィットするように成形かつ位置決めされた切欠き11cを備えている。
【0034】
図5には、風力タービンタワー2の概略的な断面図が示してある。このタワー2には、複数のアクセスレベル2L_1,…,2L_7の各々にプラットフォームアッセンブリ12_1,…,12_5を備えた本発明の適合可能なプラットフォーム装置1の実施形態が備え付けられている。タワー2は、2つの真っ直ぐな円筒形の区分21,22と2つの円錐台形の区分23,24とから構成されている。
【0035】
解りやすくするために、プラットフォームアセンブリは、極めて簡単に示してあるものの、当然ながら、各々のプラットフォームアセンブリは、上述したように、プラットフォームとアダプタリングとを備えている。
【0036】
実質的に同一の3つのプラットフォームアセンブリ12_1が、アクセスレベル2L_1~2L_3における下側の2つのタワー区分21,22内に設置されている。つまり、これらのプラットフォームアセンブリ12_1の各々は、等しい外径を有するアダプタリングを使用している。最も低いプラットフォームアセンブリ12_1は、タワー基礎に設置された支持構造体16に載置されていて、タワー2に入る作業員用の床として働く。次のプラットフォームアセンブリ12_1は、タワー区分フランジ27に接続された支持ブラケット13に載置されている。次のプラットフォームアセンブリ12_1は、タワー壁に組み付けられた吊り金具14に固定されたステー15によって吊されている。
【0037】
次のタワー区分23では、プラットフォームアセンブリ12_2,12_3が、次の2つのアクセスレベル2L_4,2L_5に設置されている。これによって、アクセスレベル2L_4におけるプラットフォームアセンブリ12_2のアダプタリングの外径が、アクセスレベル2L_5におけるプラットフォームアセンブリ12_3のアダプタリングの外径よりも広幅になっている。
【0038】
これらのプラットフォームアセンブリ12_4,12_5は、上述したように、例えば、タワー壁に組み付けられた吊り金具14に固定されたステー15によって吊されてまたは支持ブラケット13に載置されて設置されていてよい。
【0039】
次のタワー区分24では、プラットフォームアセンブリ12_4,12_5が、次の2つのアクセスレベル2L_6,2L_7に設置されている。これによって、アクセスレベル2L_6におけるプラットフォームアセンブリ12_4のアダプタリング11_4の外径が、アクセスレベル2L_7におけるプラットフォームアセンブリ12_5のアダプタリング11_5の外径よりも広幅になっている。
【0040】
これらのプラットフォームアセンブリ12_6,12_7は、上述したように、例えば、タワー壁に組み付けられた吊り金具14に固定されたステー15によって吊されてまたは支持ブラケット13に載置されて設置されていてよい。
【0041】
図面には、タワー2の上側のレベルから(ナセル内の発電機から)プラットフォーム10における開口を通って延在する電力ケーブルを備えたケーブル吊り装置28も示してあり、これによって、ケーブルがタワー2の基礎に達することができる。タワー2には、プラットフォーム10における開口を通過することができる昇降機または1つのプラットフォームから次のプラットフォームに延びる様々な梯子が備え付けられていてもよい。
【0042】
図6には、風力タービンタワー2の別の概略的な断面図が示してある。このタワー2には、2種類の本発明の適合可能なプラットフォーム装置1A,1Bが備え付けられている。
【0043】
上側のプラットフォーム装置1Aによって、4つのアクセスレベルが設置されている。最も上側のレベルは、適合可能な装置1Aのプラットフォーム10Aを単独で使用しており、別の3つのレベルは、アダプタリング11_1A,11_2A,11_3Aを使用している。
【0044】
下側のプラットフォーム装置1Bによって、更なるアクセスレベルが提供されている。この広幅の方のタワー領域における最も上側のレベルは、適合可能な装置1Bのプラットフォーム10Bをアダプタリング11_1Bと共に使用している。タワー2の円筒形の基礎の近くの別の2つのレベルは、いずれの場合にも、プラットフォーム10Bを単独で使用している。
【0045】
図7には、風力タービンタワー2の別の概略的な断面図が示してある。この場合にも、タワー2には、2種類の本発明の適合可能なプラットフォーム装置1A,1Bが備え付けられている。
【0046】
上側のプラットフォーム装置1Aによって、4つのアクセスレベルが設置されている。最も上側のレベルは、適合可能な装置1Aのプラットフォーム10Aを単独で使用しており、別の3つのレベルは、アダプタリング11_1A,11_2A,11_3Aを使用している。
【0047】
下側のプラットフォーム装置1Bによって、更なるアクセスレベルが提供されている。この広幅の方のタワー領域における最も上側のレベルは、適合可能な装置1Bのプラットフォーム10Bだけによって提供されており、別の2つのレベルは、アダプタリング11_1B,11_2Bを使用している。
【0048】
本発明を好適な実施形態およびその変化形態の形で開示してきたが、当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に対して数多くの付加的な変更および変形が行われてもよい。例えば、本発明の適合可能な装置のプラットフォームは、例えば、タワーの直径がプラットフォームの直径に近い特別な場合には、アダプタリングなしで使用されてよい。この場合、プラットフォームは、タワー壁にじかに(何らかの適切な形態で)取り付けられていてもよく、プラットフォームとアダプタリングとの別の組合せが、より大きな内部直径を有するタワーの下側の領域に使用されている。
【0049】
解りやすくするために、当然ながら、この出願を通しての「a」または「an」の使用は、複数を除外するものではなく、「comprising」は、別のステップまたは要素を除外するものではない。