(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】クッション及びカバー
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
A47C27/00 K
A47C27/00 B
A47C27/00 C
A47C27/00 M
A47C27/00 Z
(21)【出願番号】P 2023044041
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元紀
(72)【発明者】
【氏名】洞口 茉弓
(72)【発明者】
【氏名】三鴨 賢一
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-345599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な直方体状又は四角形の板状のクッションであって、
平面形状である四角形の4辺のうち互いに対向する1対の対向辺からそれぞれ張り出す第1結合片と、残りの1対の対向辺からそれぞれ張り出す第2結合片とからなる曲げ変形可能な複数の結合片と、
前記クッションの表裏の両面に設けられ、各前記結合片が重ねられて着脱可能に係合する被係合部と、を備え、
前記第1結合片は、前記クッションのうち表裏の一方側
のみに配置される一方、前記第2結合片は他方側
のみに配置され、複数の前記クッションが行列状に並べられた場合に、全ての隣り合う前記クッション同士間を、表裏の両側で前記結合片と前記被係合部との係合により連結可能なクッション。
【請求項2】
前記第1結合片は、前記1対の対向辺の各辺全体から張り出し、
前記第2結合片は、前記残りの1対の対向辺の各辺全体から張り出している請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記第1結合片は、前記1対の対向辺の各辺に複数ずつ設けられ、
前記第2結合片は、前記残り1対の対向辺の各辺に複数ずつ設けられている請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
前記複数の結合片は、先端側に向かうに従って幅狭になっている請求項1に記載のクッション。
【請求項5】
前記複数の結合片は、略多角形になっている請求項4に記載のクッション。
【請求項6】
前記複数の結合片は、略三角形になっている請求項5に記載のクッション。
【請求項7】
前記複数の結合片は、略四角形になっている請求項5に記載のクッション。
【請求項8】
前記複数の結合片は、略台形になっている請求項7に記載のクッション。
【請求項9】
前記複数の結合片は、半円形状になっている請求項4に記載のクッション。
【請求項10】
前記クッションの表裏の両面には、複数の前記クッションが行列状に並べられたときに隣りの前記クッションの結合片が重なる範囲内のみに、前記被係合部が配置されている請求項1に記載のクッション。
【請求項11】
前記結合片と前記被係合部とは、前記結合片の先端部分でのみ係合する請求項10に記載のクッション。
【請求項12】
前記クッション全体のうち、複数の前記クッションが行列状に並べられたときに隣りの前記クッションの結合片が重なる範囲内のみに、前記被係合部が配置されている請求項10に記載のクッション。
【請求項13】
前記被係合部は、前記クッションの表裏の両面と側面とに設けられている請求項1に記載のクッション。
【請求項14】
前記クッションの側面には、折り畳まれた前記結合片が重なる範囲内のみに、前記被係合部が配置されている請求項13に記載のクッション。
【請求項15】
前記複数の結合片には、面ファスナーの雄が備えられ、
前記被係合部は、面ファスナーの雌である請求項1に記載のクッション。
【請求項16】
前記クッションの外面全体が、面ファスナーの雌になり得る表皮材で覆われている請求項15に記載のクッション。
【請求項17】
前記結合片の基端から先端に亘って前記面ファスナーの雄が配置されている請求項15に記載のクッション。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1の請求項に記載のクッションの一部を構成するカバーであって、
扁平な直方体状又は四角形の板状のクッション本体を収容する袋部と、
前記袋部に設けられる前記複数の結合片と前記被係合部と、を備えるカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、扁平な直方体状又は四角形の板状のクッション及びカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1のクッションが有する結合片を第2のクッションの被係合部に係合させてクッション同士を連結可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願では、今までにはない連結構造でクッション同士を連結する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本開示の第1の態様は、扁平な直方体状又は四角形の板状のクッションであって、平面形状である四角形の4辺のうち互いに対向する1対の対向辺からそれぞれ張り出す第1結合片と、残りの1対の対向辺からそれぞれ張り出す第2結合片とからなる曲げ変形可能な複数の結合片と、前記クッションの表裏の両面に設けられ、各前記結合片が重ねられて着脱可能に係合する被係合部と、を備え、前記第1結合片は、前記クッションのうち表裏の一方側のみに配置される一方、前記第2結合片は他方側のみに配置され、複数の前記クッションが行列状に並べられた場合に、全ての隣り合う前記クッション同士間を、表裏の両側で前記結合片と前記被係合部との係合により連結可能なクッションである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の第1の態様のクッションには、平面形状である四角形の4辺のうち互いに対向する1対の対向辺から張り出す第1結合片と、残りの1対の対向辺から張り出す第2結合片とが備えられ、第1結合片は、クッションのうち表裏の一方側に配置される一方、第2結合片は他方側に配置されている。また、クッションの表裏の両面には、各結合片が重ねられて着脱可能に係合する被係合部が備えられている。これらにより、複数の前記クッションが行列状に並べられた場合に、全ての隣り合うクッション同士間の表裏の両側で結合片と被係合部とが係合し、今までにはない連結構造でクッション同士が連結される。また、2つ以上のクッション同士が連結される場合においても同様に、今までにはない連結構造でクッション同士が連結される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係るクッションの斜視図
【
図4】行列状に並べられて連結した複数のクッションの正面図
【
図5】一列に並べられて連結した複数のクッションの側面図
【
図6】(A),(B)他の実施形態に係るクッションの連結構造を示す図
【
図7】他の実施形態に係るクッションの連結構造を示す図
【
図8】他の実施形態に係るクッションの(A)斜視図、(B)結合片を折り畳んだ状態の斜視図
【
図9】(A),(B),(C),(D)他の実施形態に係るクッションの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施形態に係るクッション10について、
図1~
図5を参照して説明する。クッション10は、
図1に示すように、クッション本体11と、クッション本体11を収容してクッション10の外装となるカバー12と、を有する。
【0009】
クッション本体11は、平面形状が正方形の扁平な直方体状をなし、例えば、ウレタンフォームの成形品である。クッション本体11の一辺の長さは、例えば、30~100cmとなっている。なお、クッション本体11は、綿や羽毛、粒状の充填物等のようにそれ自体に一定の形状が無く、後述する袋部13内に収容されることで扁平な直方体状となるものであってもよい。さらには、コイルスプリングを平板上に連結したスプリング体であってもよい。
【0010】
カバー12は、クッション本体11と略同じ外形の袋状をなし、内部にクッション本体11を収容する袋部13を備える。袋部13は、生地によって形成されていて、後述する面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材によって構成されている。そのような素材として、例えば、不織布や、起毛素材等が挙げられる。また、袋部13は、面ファスナーの雄部材30と係合可能な合成樹脂シートによって形成されていてもよい。袋部13が、特許請求の範囲の「表皮材」に相当する。
【0011】
なお、本実施形態では、袋部13の側面に、その周方向に沿って延在するスライドファスナー13Aが備えられている。スライドファスナー13Aが開いたときに形成される開口部がクッション本体11の出し入れ口となっていて、カバー12が汚れたり破損したりした場合に開口部からクッション本体11を取り出して、カバー12を洗ったり補修したりできるようになっている。また、開口部には、スライドファスナー13Aの代わりにスナップボタンや面ファスナーが備えられていてもよいし、袋部13内にクッション本体11を収容後、開口部を縫製により閉じて出し入れできないようになっていてもよい。
【0012】
また、カバー12には、
図3に示すように、袋部13の平面形状の正方形の4辺から複数の結合片14S,15Sが外方に張り出している。具体的には、
図1,2に示すように、袋部13のうち、表裏の一方の面を第1面14、他方の面を第2面15ということとすると(例えば、
図1に示す上面を第1面14、下面を第2面15とする)、第1面14のうち第1方向H1で対向する1対の辺部14Eから、複数の第1結合片14Sが張り出し、第2面15のうち第1方向H1と直交する第2方向H2で対向する1対の辺部15Eから、複数の第2結合片15Sが張り出している。つまり、表裏の方向から見た場合、複数の第1結合片14Sと複数の第2結合片15Sとは、表裏の方向で互いに対向しない辺部14E,15Eに配置される(
図3参照)。ここで、1対の辺部14Eが特許請求の範囲の「1対の対向辺」に相当し、1対の辺部15Eが特許請求の範囲の「残りの1対の対向辺」に相当する。
【0013】
各結合片14S、15Sは、各辺部14E,15Eに1対ずつ設けられていて、それら1対の結合片14S、15Sが各辺部14E,15E全体から張り出している。また、各結合片14S、15Sは、先端側に向かうに従って幅狭となる台形状をなしている。なお、各結合片14S、15Sの先端側の角部は、R面取りされていてもよい。
【0014】
各結合片14S、15Sは、生地によって形成され、
図2(A),(B)に示すように、各結合片14S、15Sのうち袋部13の側面側を向く面全体に、面ファスナーの雄部材30が備えられている。この結合片14S、15Sの面ファスナーの雄部材30を、クッション10の袋部13の外面に係合させることで、クッション10同士が連結可能になっている。また、各結合片14S、15Sは、合成樹脂シートによって形成されていてもよい。また、袋部13と結合片14S、15Sは、同じ素材で構成されていてもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
なお、カバー12は、例えば、第1面14の生地片と、第1の結合片14Sの生地片と、側面の生地片とが一纏めにして縫い合わされ、側面の生地片と、第2の結合片15Sの生地片と、第2面15の生地片とが一纏め縫い合わされ、各切れ端を袋部13の内側に折り返すようにして形成される。これにより、本実施形態では、結合片14S,15Sは、第1面14と側面との間、第2面15と側面との間から張り出している。
【0016】
本実施形態のクッション10の構成に関する説明は以上である。次に、複数のクッション10を連結させた場合の作用効果について説明する。
【0017】
図4に、複数のクッション10を扁平方向に配置し、行列状に並べて連結させた状態の一例が示されており、
図5は、それら行列状の連結の一方向(以下、第1連結方向R1ということとする)に並ぶ複数のクッション10を側面方向から見た図が示されている。各クッション10は、カバー部12の第1面14が上面側を向くように配置され、第1連結方向R1において、第1面14の第1結合片14Sが第1連結方向R1に張り出すクッション10と、第2面15の第2結合片15Sが第1連結方向R1に張り出すクッション10が交互に配置される。つまり、第1連結方向R1において、結合片14S,15Sがクッション10の上面側と下面側とに互い違いに張り出すように複数のクッション10が並べられる。この状態で、結合片14S,15Sの面ファスナーの雄部材30が、隣りのクッション10の上面又は下面に係合している。つまり、隣り合うクッション10同士間は上下の両側で連結される。同様にして、行列状の連結の他方向(以下、第2連結方向R2ということとする)においても、隣り合うクッション10同士間は上下の両側で連結される。つまり、本実施形態のクッション10は、複数のクッション10が行列状に並べられた場合に、全ての隣り合うクッション10間が上下の両側で連結されるという今までにない連結構造で連結することが可能となっている。ここで、カバー部12の第1面14及び第2面15のうち、面ファスナーの雄部材30が重ねられる部分は、特許請求の範囲の「被係合部」に相当する。
【0018】
また、隣り合うクッション10間が上下の両側で連結されるので、例えば、上面側から荷重がかかった場合に、下面側でクッション10同士が離間しにくくなり、クッション10間の隙間を拡がりにくくしてクッション10上面の凹凸を軽減し、良い座り心地や寝心地を提供することができる。
【0019】
また、本実施形態のクッション10は、平面形状の四角形の全ての辺で連結することができるので、上述したように行列状に連結したり、一列に並べて連結したり、用途に合わせて様々な形状に連結することができる。
【0020】
ここで、
図4では、全てのクッション10において、カバー12の第1面14が上面側を向くように配置していたが、本実施形態のクッション10は、カバー12の第2面15を上面側に配置しても連結させることができる。よって、各クッション10の上面を第1面14又は第2面15のどちらか一方に統一させる必要はなく、連結させる際にクッション10の表裏を考慮する手間を省くことができる。この場合、各クッション10の結合片14S及び結合片15Sが、表裏に関係なく、第1と第2の連結方向R1,R2それぞれにおいて、クッション10の上面側と下面側とに互い違いに張り出すように並べればよい。
【0021】
さらに、本実施形態では、カバー12の1対の結合片14S,15Sが、それぞれ各辺部14E,15E全体から張り出すように設けられているので、クッション10間の隙間全体が覆われ、クッション10間にかかる荷重を面で受けて荷重を受ける面積を大きくすることできる。これにより、荷重が分散され、クッション10間の隙間を拡がりにくくしてクッション10上面の凹凸を一層軽減してフラットに保持することができる。
【0022】
また、各結合片14S,15Sには、カバー12の側面側を向く面全体に、面ファスナーの雄部材30が備えられているので、クッション10の第1面14又は第2面15への係合作業が容易になる。しかも、各結合片14S,15Sは、先端側に向かうに従って幅狭になっているので、結合片14S,15Sと第1面14又は第2面15との連結状態を解除する際の最初の抵抗を小さくすることができ、取り外し作業も容易になる。
【0023】
また、本実施形態のクッション10は、カバー12の側面も、面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材によって構成されているので、各結合片14S,15Sをカバー12の側面に折り畳んで固定することができる。従って、複数のクッション10を連結させると、端部に配置されるクッション10に連結に使用されない結合片14S,15Sが存在するが、このような不要な結合片14S,15Sを、邪魔にならないように折り畳んで固定することができる(
図4,5参照)。なお、本実施形態では、結合片14S,15Sの張出長さが袋部13の厚み方向の幅よりも大きくなっているが、結合片14S,15Sの先端部分をさらに折り畳んで第1面14又は第2面15に重ねて固定することで、結合片14S,15S全体を邪魔にならないようにして固定することができる。ここで、カバー12の側面のうち、結合片14S,15Sが折り畳まれたときに面ファスナーの雄部材30が重ねられる部分は、特許請求の範囲の「被係合部」に相当する。
【0024】
また、本実施形態のクッション10は、カバー12の袋部13を、面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材で構成したので、袋部13の外面に面ファスナーの雌部材を取り付ける必要がなく、クッション10の作成工程を簡略化できる。
【0025】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、袋部13がクッション本体11と略同じ外形をなして1つの袋部13にクッション本体11が1つ収容される構成であるが、1つの袋部13に、複数のクッション本体11が、扁平方向に並べて収容される構成であってもよいし、厚み方向に重ねて収容される構成であってもよい。
【0026】
(2)
図6(A)に示すように、結合片14S,15Sの全てを袋部13の外面に沿って折り畳んで固定し、クッション10を単体で使用してもよい。
【0027】
また、
図6(B)に示すように、結合片14S,15Sを、面ファスナーの雄部材30がカバー12の第1面14又は第2面15側を向くように折り畳むことで、クッション10を厚み方向に連結した状態で固定することもできる。
【0028】
また、
図7に示すように、クッション10の側面とクッション10の表裏の一方の面を対向させて連結することもできる。これを利用して、座面と背もたれを備える椅子に取り付けたり、クッション10で周囲を囲繞して構成される箱や、簡易のベビーサークル等として利用することもできる。
【0029】
(3)前記実施形態のカバー12では、結合片14S、15Sは、各辺部14E,15Eに1対ずつ設けられていたが、1つずつ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0030】
(4)前記実施形態のカバー12では、各結合片14S、15Sは、先端側に向かうに従って幅狭になる台形状をなしていたが、先端側に向かうに従って幅狭となる形状であれば、これに限らず、多角形状、例えば、三角形状であってもよい。この場合、角部はR面取りされていてもよい。また、
図8に示すカバー12Uのように、半円形状であってもよい。
【0031】
(5)前記実施形態では、クッション10の平面形状は正方形であったが、
図8に示すように、長方形であってもよい。この場合、各結合片44S、45Sの数を平面形状の短辺と長辺とで異ならせてもよい(
図8参照)。
【0032】
(6)前記実施形態では、カバー12の結合片14S、15Sの張出長さが、袋部13の厚み方向の幅よりも大きくなっていたが、
図8(A)に示すように、袋部13の厚み方向の幅よりも小さくしてもよい。この場合、結合片44S、45Sをカバー12の側面側に折り畳むと、
図8(B)に示すように、結合片44S、45Sは、カバー12の側面にのみ重なるので、折り畳み作業を容易にすることができる。
【0033】
(7)前記実施形態では、クッション10は、扁平な直方体状であったが、多角形状であってもよい。また、扁平でなくてもよい。
【0034】
(8)前記実施形態では、カバー12の袋部13全体が、面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材によって構成されていたが、袋部13のうち第1面14と第2面15を面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材によって構成し、側面は素材を限定しなくてもよい。
【0035】
また、袋部13全体の素材を限定せず、袋部13の外面に面ファスナーの雌部材を取り付ける構成であってもよい。この場合、袋部13の外面全体に面ファスナーの雌部材を取り付けてもよいし、袋部13の第1面14と第2面15にのみ取り付け、側面に面ファスナーの雌部材を取り付けなくてもよい。
【0036】
また、袋部13の第1面14と第2面15のうち、複数のクッション10が行列状に並べられたときに隣りのクッション10の結合片14S、15Sが重なる範囲内のみにファスナーの雌部材を取り付けてもよい。同様に、袋部13の側面においても、折り畳まれた結合片14S、15Sが重なる範囲内のみにファスナーの雌部材を取り付けてもよい。
【0037】
(9)前記実施形態では、1対の結合片14S、15Sがカバー12の各辺部14E,15E全体から張り出すように設けられていたが、各辺部14E,15Eの一部から張り出すように設けられていてもよい。
【0038】
具体的には、
図9(A)に示すカバー12Vのように、短冊状の結合片50,51が各辺部14E,15Eから1対ずつ張り出していてもよい。このとき、袋部13全体が面ファスナーの雄部材30と係合可能な素材によって構成されていてもよいし、
図9(A)に示すように、袋部13に面ファスナーの雌部材60が備えられていてもよい。この構成によっても、行列状に並べられた複数のクッション10において、全ての隣り合うクッション10の表裏の両側でクッション10同士を連結することができる。
【0039】
(10)
図9(B),(C)に示すカバー12W,12Xのように、結合片52が、平面形状の四角形の4辺全てから張り出すのではなく、第1方向H1(又は第2方向H2でもよい)で対向する2辺からのみ張り出していてもよい。この場合、
図9(B)に示すように、第1方向H1で対向する2辺の一方に設けられる結合片52は、カバー12Wの第1面14から張り出し、他方に設けられる結合片52は、第2面15から張り出す構成であってもよいし、
図9(C)に示すように、結合片52は全て、カバー12Xの第1面14又は第2面15のどちらか一方から張り出す構成であってもよい。どちらの構成においても、一列に並べられた複数のクッション10において、全ての隣り合うクッション10の表裏の両側でクッション10同士を連結することができる。
【0040】
(11)
図9(D)に示すカバー12Yのように、結合片53が、平面形状の四角形の1辺からのみ張り出していてもよい。この構成によれば、2つのクッション10の表裏の両側でクッション10同士を連結することができる。
【0041】
また、
図10に示すカバー12Zのように、結合片54が、平面形状の四角形の1辺からのみ1対張り出し、かつ、それらが表裏の方向で対向しないように配置されていてもよい。この構成によっても、2つのクッション10の表裏の両側でクッション10同士を連結することができる。
【0042】
(12)前記実施形態では、各結合片14S、15Sは、カバー12の側面側を向く面全体に面ファスナーの雄部材30が備えられていたが、カバー12の側面側を向く面の一部、例えば、先端部分のみに備えられていてもよい。
【0043】
また、各結合片14S、15Sは、面ファスナーの雄部材30を、カバー12の側面側を向く面の一部として先端部を除く位置に備えれば、各結合片14S,15Sと袋部13との連結状態を解除する際に、結合片14S、15Sを摘まみやすくなり、取り外し作業が一層容易になる。
【0044】
(13)前記実施形態では、各結合片14S,15Sは、袋部13の第1面14と側面との間、第2面15と側面との間から張り出していたが、各結合片14S,15Sの基端部が第1面14又は第2面15の各辺部14E,15E寄り位置に取り付けられていてもよいし、側面のうち第1面14寄り位置又は第2面寄り位置15に取り付けられていてもよい。
【0045】
(14)前記実施形態では、各結合片14S、15Sに備えられた面ファスナーの雄部材30と袋部13を係合させる構成であったが、磁石やスナップボタンにより各結合片14S、15Sと袋部13を係合させる構成であってもよい。
【0046】
(15)前記実施形態では、クッション本体11を収容するカバー12を備え、カバー12に設けられた結合片14S、15Sにより、カバー12同士を連結する構成であったが、カバー12を備えず、クッション本体11に各結合片14S、15Sを設けてクッション本体11同士を連結する構成であってもよい。
【0047】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0048】
本願出願には、後述する複数の特徴が含まれている。なお、これら特徴の記載においてカッコ内の数字は、上記実施形態において対応する符号である。
【0049】
[特徴1]
扁平な直方体状又は四角形の板状のクッション(10)であって、
平面形状である四角形の4辺のうち互いに対向する1対の対向辺(14E)からそれぞれ張り出す第1結合片(14S,50)と、残りの1対の対向辺(15E)からそれぞれ張り出す第2結合片(15S,51)とからなる曲げ変形可能な複数の結合片(14S,15S,50,51)と、
前記クッション(10)の表裏の両面(14,15)に設けられ、各前記結合片(14S,15S,50,51)が重ねられて着脱可能に係合する被係合部(60)と、を備え、
前記第1結合片(14S,50)は、前記クッション(10)のうち表裏の一方側(14)に配置される一方、前記第2結合片(15S,51)は他方側(15)に配置され、複数の前記クッション(10)が行列状に並べられた場合に、全ての隣り合う前記クッション(10)同士間を、表裏の両側(14,15)で前記結合片(14S,15S,50,51)と前記被係合部(60)との係合により連結可能なクッション(10)である。
【0050】
特徴1のクッション(10)によれば、平面形状である四角形の4辺のうち互いに対向する1対の対向辺(14E)から張り出す第1結合片(14S,50)と、残りの1対の対向辺(15E)から張り出す第2結合片(15S,51)とが備えられ、第1結合片(14S)は、クッション(10)のうち表裏の一方側(14)に配置される一方、第2結合片(15S)は他方側(15)に配置されている。また、クッション(10)の表裏の両面(14,15)には、各結合片(14S,15S,50,51)が重ねられて着脱可能に係合する被係合部(60)が備えられている。これらにより、複数の前記クッション(10)が行列状に並べられた場合に、全ての隣り合うクッション(10)同士間の表裏の両側(14,15)で結合片(14S,15S,50,51)と被係合部(60)とが係合し、今までにはない連結構造でクッション(10)同士が連結される。
【0051】
[特徴2]
前記第1結合片(14S)は、前記1対の対向辺(14E)の各辺全体から張り出し、
前記第2結合片(15S)は、前記残りの1対の対向辺(15E)の各辺全体から張り出している特徴1に記載のクッション(10)である。
【0052】
特徴2のクッション(10)によれば、第1と第2の結合片(14S,15S)が、それぞれ、1対の対向辺(14E)、残りの1対の対向辺(15E)の各辺全体から張り出すように設けられているので、クッション(10)間の隙間全体が覆われ、クッション(10)間にかかる荷重を面で受けて荷重を受ける面積を大きくすることできる。これにより、荷重が分散され、クッション(10)間の隙間を拡がりにくくしてクッション(10)上面の凹凸を軽減してフラットに保持することができる。
【0053】
[特徴3]
前記第1結合片(14S,50)は、前記1対の対向辺(14E)の各辺に複数ずつ設けられ、
前記第2結合片(15S,51)は、前記残り1対の対向辺(14E)の各辺に複数ずつ設けられている特徴1又は2に記載のクッション(10)である。
【0054】
特徴3のように、第1と第2の結合片(14S,15S,50,51)は、1対の対向辺(14E)又は残り1対の対向辺(14E)の各辺に対して、複数ずつ設けられていてもよい。
【0055】
[特徴4]
前記複数の結合片(14S,15S)は、先端側に向かうに従って幅狭になっている特徴1から3の何れか1の特徴に記載のクッション(10)である。
【0056】
特徴4のクッション(10)によれば、複数の結合片(14S,15S)の着脱作業が容易になる。
【0057】
[特徴5]
前記複数の結合片(14S,15S)は、略多角形になっている特徴4に記載のクッション(10)である。
【0058】
先端側に向かうに従って幅狭になる形状として、特徴5のように多角形が挙げられる。
【0059】
[特徴6]
前記複数の結合片(14S,15S)は、略三角形になっている特徴5に記載のクッション(10)である。
【0060】
先端側に向かうに従って幅狭になる形状として、特徴6のように三角形状が挙げられる。
【0061】
[特徴7]
前記複数の結合片(14S,15S)は、略四角形になっている特徴5に記載のクッション(10)である。
【0062】
先端側に向かうに従って幅狭になる形状として、特徴7のように四角形状が挙げられる。
【0063】
[特徴8]
前記複数の結合片(14S,15S)は、略台形になっている特徴7に記載のクッション(10)である。
【0064】
先端側に向かうに従って幅狭になる形状として、特徴8のように台形状が挙げられる。
【0065】
[特徴9]
前記複数の結合片(14S,15S)は、半円形状になっている特徴4に記載のクッション(10)である。
【0066】
先端側に向かうに従って幅狭になる形状として、特徴9のように半円形状が挙げられる。
【0067】
[特徴10]
前記クッション(10)の表裏の両面には、複数の前記クッション(10)が行列状に並べられたときに隣りの前記クッション(10)の結合片(50,51)が重なる範囲内のみに、前記被係合部(60)が配置されている特徴1から9の何れか1の特徴に記載のクッション(10)である。
【0068】
特徴10のクッション(10)のように、クッション(10)の表裏の両面において、被係合部(60)は、複数のクッション(10)が行列状に並べられたときに隣りのクッション(10)の結合片(50,51)が重なる範囲内のみに備えられてもよい。
【0069】
[特徴11]
前記結合片(50,51)と前記被係合部とは、前記結合片(50,51)の先端部分でのみ係合する特徴10に記載のクッション(10)である。
【0070】
特徴11のクッション(10)のように、結合片(50,51)と被係合部とは、結合片(50,51)の先端部分でのみ係合するように備えられてもよい。
【0071】
[特徴12]
前記クッション(10)全体のうち、複数の前記クッション(10)が行列状に並べられたときに隣りの前記クッション(10)の結合片(50,51)が重なる範囲内のみに、前記被係合部(60)が配置されている特徴10又は11に記載のクッション(10)である。
【0072】
特徴12のクッション(10)のように、被係合部(60)は、複数のクッション(10)が行列状に並べられたときに隣りのクッション(10)の結合片(50,51)が重なる範囲内のみに備えられ、クッション(10)の側面に備えられていなくてもよい。
【0073】
[特徴13]
前記被係合部は、前記クッション(10)の表裏の両面(14,15)と側面とに設けられている特徴1から11の何れか1の特徴に記載のクッション(10)である。
【0074】
特徴13のクッション(10)のように、被係合部は、クッション(10)の表裏の両面(14,15)と側面とに設けられていてもよい。
【0075】
[特徴14]
前記クッション(10)の側面には、折り畳まれた前記結合片(14S,15S)が重なる範囲内のみに、前記被係合部が配置されている特徴13に記載のクッション(10)である。
【0076】
特徴14のクッション(10)のように、クッション(10)の側面には、折り畳まれた結合片(14S,15S)が重なる範囲内のみに、被係合部が配置されていてもよい。
【0077】
[特徴15]
前記複数の結合片(14S,15S,50,51)には、面ファスナーの雄(30)が備えられ、
前記被係合部は、面ファスナーの雌(60)である特徴1から14の何れか1の特徴に記載のクッション(10)である。
【0078】
特徴15のクッション(10)のように、複数の結合片(14S,15S,50,51)には、面ファスナーの雄(30)が備えられ、被係合部は、面ファスナーの雌(60)であってもよい。
【0079】
[特徴16]
前記クッション(10)の外面全体が、面ファスナーの雌になり得る表皮材(13)で覆われている特徴15に記載のクッション(10)である。
【0080】
特徴16のクッション(10)のように、クッション(10)の外面全体が、面ファスナーの雌になり得る表皮材(13)で覆われていてもよい。
【0081】
[特徴17]
前記結合片(14S,15S,50,51)の基端から先端に亘って前記面ファスナーの雄(30)が配置されている特徴15又は16に記載のクッション(10)である。
【0082】
特徴17のクッション(10)のように、面ファスナーの雄(30)を、前記複数の結合片(14S,15S,50,51)の基端から先端に亘って配置させれば、複数の結合片(14S,15S,50,51)の被係合部(60)への係合作業が容易になる。
【0083】
[特徴18]
扁平な直方体状又は四角形の板状のクッション(10)であって、
前記クッション(10)のうち表裏の一方の面の一辺から張り出す結合片(53)と、
前記クッション(10)のうち表裏の他方の面に設けられ、前記結合片(53)が重ねられて着脱可能に係合する被係合部(60)と、を備え、
2つの前記クッション(10)が並べられた場合に、前記クッション(10)同士間が、表裏の両側で前記結合片(53)と前記被係合部(60)との係合により連結可能なクッション(10)である。
【0084】
特徴18のクッション(10)のように、表裏の一方の面の一辺から張り出す結合片(53)と、表裏の他方の面に設けられ、結合片(53)が重ねられて着脱可能に係合する被係合部(60)とが備えられている。これらにより、2つのクッション(10)が並べられた場合に、クッション(10)同士間が表裏の両側で結合片(53)と被係合部(60)との係合により連結される。
【0085】
[特徴19]
特徴1から18の何れか1の特徴に記載のクッション(10)の一部を構成するカバー(12)であって、
扁平な直方体状又は四角形の板状のクッション(10)本体を収容する袋部(13)と、
前記袋部(13)に設けられる前記複数の結合片(14S,15S,50,51)と前記被係合部(60)と、を備えるカバー(12,12V)である。
【0086】
特徴19のように、クッション(10)の一部を構成するカバー(12,12V,12Y)に、複数の結合片(14S,15S,50,51,53)と被係合部(60)を備えてもよい。
【0087】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0088】
10 クッション
14E 1対の辺部(1対の対向辺)
14S 第1結合片(結合片)
15E 1対の辺部(残りの1対の対向辺)
15S 第2結合片(結合片)
12,12V,12Y カバー
13 表皮材(袋部)
30 面ファスナーの雄
50 第1結合片(結合片)
51 第2結合片(結合片)
53 結合片
60 被係合部
【要約】
【課題】今までにはない連結構造でクッション同士を連結する技術を開示する。
【解決手段】本実施形態のクッション10は、表裏の一方の面である第1面14のうち第1方向H1で対向する1対の辺部14Eから複数の第1結合片14Sが張り出し、表裏の他方の面である第2面15のうち第1方向H1と直交する第2方向H2で対向する1対の辺部15Eから、複数の第2結合片15Sが張り出している。また、第1面14及び第2面15は、各結合片14S,15Sに設けられた面ファスナーの雄部材30と係合可能となっている。これらにより、複数のクッション10が行列状に並べられた場合に、全ての隣り合うクッション10同士間が表裏の両側で連結されるという今までにない連結構造で連結することが可能となっている。
【選択図】
図4