(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20240501BHJP
B60P 1/44 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B60P1/46 Z
B60P1/46 B
B60P1/44 E
(21)【出願番号】P 2023126530
(22)【出願日】2023-08-02
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻濱 康雄
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-163438(JP,U)
【文献】実公平05-015194(JP,Y2)
【文献】実開平03-015789(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B62D 33/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に対して回動して、略水平の状態から略垂直の状態に起立し、昇降手段によって昇降する荷受台と、
前記荷受台に取り付けられた係合部材と、前記荷台側に取り付けられる固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記係合部材が係合される被係合部材と、を有し、前記係合部材を前記被係合部材に係合させることで、前記荷受台を略垂直の起立状態でロックするロック機構と、
を備える荷受台昇降装置において、
前記固定部材は、前記被係合部材が取り付けられる被係合部材取付部位と、前記荷台側に取り付けられる荷台側取付部位とが、互いに直交して一体で形成されており、
前記固定部材の前記被係合部材取付部位には第1ボルト孔が設けられ、前記固定部材の前記荷台側取付部位には第2ボルト孔が設けられ、前記被係合部材には第3ボルト孔が設けられており、
前記固定部材と前記被係合部材とは、前記第1ボルト孔および前記第3ボルト孔に挿入されたボルトによって互いに固定され、
前記荷台側取付部位は、前記第2ボルト孔に挿入されたボルトによって、前記荷台側に固定され、
前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔のうちいずれか1つ以上が長孔である、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の荷受台昇降装置であって、
前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔は、いずれか2つ以上が長孔であり、
2つ以上の前記長孔には、前記車両の上下方向を長手方向とする長孔と、前記車両の前後方向を長手方向とする長孔が含まれる、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の荷受台昇降装置であって、
前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔は、いずれも長孔であり、
3つの前記長孔は、前記車両の上下方向を長手方向とする長孔、前記車両の前後方向を長手方向とする長孔、および、前記車両の左右方向を長手方向とする長孔である、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の荷受台昇降装置であって、
前記被係合部材の上端には、前記係合部材が係合される溝部が設けられており、
前記係合部材は、前記溝部に入り込んで前記車両の前後方向に係合する係合部位を有するロックハンドルであり、
前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材の前記荷受台の側面と対向する面に、前記荷受台の側面に向かって突出する第1ストッパ部が形成され、
前記荷受台には、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材に向かって突出し、前記第1ストッパ部の上方に配される第1当接部が形成されており、
前記第1ストッパ部および前記第1当接部は、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記第1当接部と前記第1ストッパ部との間隙寸法が、前記被係合部材の前記溝部と前記ロックハンドルとの間隙寸法よりも小さくなる位置にそれぞれ配設されている、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の荷受台昇降装置であって、
前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材の前記荷受台の側面と対向する面に、前記荷受台の側面に向かって突出する第2ストッパ部が形成され、
前記荷受台には、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材に向かって突出し、前記第2ストッパ部の後方に配される第2当接部が形成されており、
前記第2当接部が前記第2ストッパ部と当接することにより、前記第2当接部とともに回動する前記荷受台の略水平の状態からの起立角度が規制される、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部に取り付けられて地面と荷台との間で荷受台が昇降する荷受台昇降装置は、走行時に荷受台を起立させた状態で格納する形態の場合、荷受台を起立した状態で保持するためにロック機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-22208号公報
【文献】特開2007-203906号公報
【文献】特開2014-101087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロック機構は、荷台側に固定される被係合部材と、荷受台に取り付けられ、被係合部材に係合される係合部材とで構成される。被係合部材を荷台側に固定するために溶接が一般的に用いられる。例えば、引用文献1の荷受台昇降装置は、被係合部材(特許文献1では「係合片」と称している。)が荷台の側方ゲート上に設けられており、係合部材(特許文献1では「回動レバー」と称している。)が荷受台の側方に設けられている。この場合、被係合部材を側方ゲートへ取り付ける際に溶接が用いられる。特許文献3の荷受台昇降装置は、被係合部材(特許文献3では「被ロック部材」と称している。)が、荷箱の後面における側方端部に設けられており、係合部材(特許文献3では「スライドバー」と称している。)が車両の幅方向にスライド可能に取り付けられている。この場合、被係合部材を荷箱に取り付ける際に溶接が用いられる。
【0005】
荷受台昇降装置を車両に取り付ける際に、溶接を用いて被係合部材を荷台に固定すると、被係合部材が係合部材と適切に係合できない位置に固定されてしまうこと(以下「溶接時の位置ずれ」ともいう。)がある。溶接時の位置ずれが生じると、被係合部材の溶接をやり直す、あるいは、被係合部材の一部を削る等の作業が余分に必要となる。特に、荷受台昇降装置を製品として出荷し、その後、出荷先で荷受台昇降装置をトラック車両に架装する場合は、このような溶接による被係合部材の取り付け作業を行うことになり、その結果、溶接時の位置ずれが生じやすくなる。
【0006】
特許文献2の荷受台昇降装置は、被係合部材であるフックがポストに固定されていることから、フックはポストを介して荷台と固定関係にあり、係合部材(特許文献2では「ロックハンドル」と称している。)が荷受台の側部に取り付けられている。特許文献2のように、被係合部材を荷台に直接取り付けるのではなく、荷台に固定された、荷受台昇降装置の部材(ポスト)等に取り付ける場合は、荷受台昇降装置の組み立ての際に工場において被係合部材の取り付けを行うことができる。しかしながら、被係合部材を荷受台昇降装置の部材に溶接により取り付け、更に、その他の部品の組み立てを行った後で、係合部材と被係合部材とを係合させた際に、被係合部材の溶接時の位置ずれ、または、その他の部品の組み立て精度等、様々な要因によって、係合部材が適切に被係合部材に係合できない場合がある。このように、工場において溶接によって被係合部材の取付を行ったとしても、係合部材が適切に被係合部材に係合できない場合が発生し、ロック機構の被係合部材の溶接をやり直す、あるいは、係合部材の一部を削る等の作業が必要となる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みて創案されたものであり、ロック機構の被係合部材の位置を簡単に調節することができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る荷受台昇降装置は、車両の荷台に対して回動して、略水平の状態から略垂直の状態に起立し、昇降手段によって昇降する荷受台と、前記荷受台に取り付けられた係合部材と、前記荷台側にボルトを用いて取り付けられた被係合部材とを有し、前記係合部材を前記被係合部材に係合させることで、前記荷受台を略垂直の起立状態でロックするロック機構と、を備える荷受台昇降装置において、前記被係合部材は、前記荷台側に前記ボルトを用いて取り付けられる際に使用されるボルト孔が設けられており、前記ボルト孔は長孔である。
【0009】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、被係合部材を、荷台側に取り付ける際に使用するボルト孔が長孔であることから、一度、被係合部材を荷台側に固定した後でも、被係合部材の位置を調整することが可能となり、被係合部材と係合部材との位置ずれが生じたとしても、ロック機構における係合部材と被係合部材の位置関係を、ボルトを緩めるだけで簡単に調整して修正することができるようになる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る荷受台昇降装置は、車両の荷台に対して回動して、略水平の状態から略垂直の状態に起立し、昇降手段によって昇降する荷受台と、前記荷受台に取り付けられた係合部材と、前記荷台側に取り付けられる固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記係合部材が係合される被係合部材と、を有し、前記係合部材を前記被係合部材に係合させることで、前記荷受台を略垂直の起立状態でロックするロック機構と、を備え、前記固定部材は、前記被係合部材が取り付けられる被係合部材取付部位と、前記荷台側に取り付けられる荷台側取付部位とが、互いに直交して一体で形成されており、前記固定部材の前記被係合部材取付部位には第1ボルト孔が設けられ、前記固定部材の前記荷台側取付部位には第2ボルト孔が設けられ、前記被係合部材には第3ボルト孔が設けられており、前記固定部材と前記被係合部材とは、前記第1ボルト孔および前記第3ボルト孔に挿入されたボルトによって互いに固定され、前記荷台側取付部位は、前記第2ボルト孔に挿入されたボルトによって、前記荷台側に固定され、前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔のうちいずれか1つ以上が長孔である。
【0011】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、第1ボルト孔、第2ボルト孔および第3ボルト孔のうちいずれか1つ以上が長孔であることから、一度、被係合部材を固定部材を介して荷台側に固定した後でも、被係合部材の位置を調整することが可能となり、被係合部材と係合部材との位置ずれが生じたとしても、ロック機構における係合部材と被係合部材の位置関係を、ボルトを緩めるだけで簡単に調整して修正することができるようになる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る荷受台昇降装置は、第2の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔は、は、いずれか2つ以上が長孔であり、2つ以上の前記長孔には、前記車両の上下方向を長手方向とする長孔と、前記車両の前後方向を長手方向とする長孔が含まれる。
【0013】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、被係合部材の位置を、ボルトを緩めるだけで互いに直交する2方向に調整することができるので、ロック機構における係合部材と被係合部材の位置関係を、ボルトを緩めるだけで簡単に、かつ、より正確に調整することができるようになる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る荷受台昇降装置は、第3の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記第1ボルト孔、前記第2ボルト孔および前記第3ボルト孔は、いずれも長孔であり、3つの前記長孔は、前記車両の上下方向を長手方向とする長孔、前記車両の前後方向を長手方向とする長孔、および、前記車両の左右方向を長手方向とする長孔である。
【0015】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、被係合部材の位置を、係合部材に対して直交する3方向に調整することが可能となり、ロック機構における係合部材と被係合部材との位置関係を、ボルトを緩めるだけで簡単に、かつ、より正確に調整することができるようになる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る荷受台昇降装置は、第2から第4のいずれかの態様に係る荷受台昇降装置であって、前記被係合部材の上端には、前記係合部材が係合される溝部が設けられており、前記係合部材は、前記溝部に入り込んで前記車両の前後方向に係合する係合部位を有するロックハンドルであり、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材の前記荷受台の側面と対向する面に、前記荷受台の側面に向かって突出する第1ストッパ部が形成され、前記荷受台には、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材に向かって突出し、前記第1ストッパ部の上方に配される第1当接部が形成されており、前記第1ストッパ部および前記第1当接部は、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記第1当接部と前記第1ストッパ部との間隙寸法が、前記被係合部材の前記溝部と前記ロックハンドルとの間隙寸法よりも小さくなる位置にそれぞれ配設されている。
【0017】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、何らかの事情(例えば油圧回路装置において圧油のリークが生じること)により、荷受台とともにロックハンドルが下がっても、ロックハンドルが被係合部材の溝部の底部に当たる前に、第1ストッパ部と第1当接部とが互いに当接することで、ロックハンドルが被係合部材の溝部の底部に当たることが防止される。ロックハンドルが被係合部材の溝部の底部に当たると、ロックハンドルの回転操作を行うことが難しくなるが、本態様に係る荷受台昇降装置によれば、そのような問題が解消される。
【0018】
本発明の第6の態様に係る荷受台昇降装置は、第5の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材の前記荷受台の側面と対向する面に、前記荷受台の側面に向かって突出する第2ストッパ部が形成され、前記荷受台には、前記荷受台が起立状態にあるときに、前記被係合部材に向かって突出し、前記第2ストッパ部の後方に配される第2当接部が形成されており、前記第2当接部が前記第2ストッパ部と当接することにより、前記第2当接部とともに回動する前記荷受台の略水平の状態からの起立角度が規制される。
【0019】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、荷受台の起立角度の限界を規制するために用いていた、ロック機構とは別の部品が不要となり、部品数の削減、部品の取り付け作業の省力化等の効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロック機構の被係合部材の位置を簡単に調節することができる荷受台昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって荷受台を格納状態にした図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の背面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の固定部材および被係合部材の斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の被係合部材の背面斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置のロック機構の一部の斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって荷受台を格納状態にした図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の背面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の固定部材および被係合部材の斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置のロック機構の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置10について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、前後上下左右の方向は、荷受台昇降装置10が取り付けられるトラック車両(不図示)を基準として定義する。
【0023】
図1および
図2に示すように、荷受台昇降装置10は、トラック車両(不図示)の荷台1に取り付けられている。荷受台昇降装置10は、荷受台20、平行リンク機構、ロック機構100、油圧シリンダ40、パワーユニット50等により構成されている。荷受台昇降装置10は、昇降手段である平行リンク機構および油圧シリンダ40を用いて荷受台20を昇降させ、ロック機構100を用いて、荷受台20を略垂直の起立状態でロックさせる装置である。
【0024】
平行リンク機構は、支柱31、第1アーム32、第2アーム33およびアーム間連結部材34により構成されている。
図3に示すように、支柱31は、左右一対に互いに平行に配され、トラック車両の荷台1の後端両側部に立設されている。すなわち、支柱31は、トラック車両側に固定されている。支柱31は、第1アーム32および第2アーム33をそれぞれ回動可能に支持する支持部材である。支柱31は、中空になっており、上側が略四角筒状に形成され、下側が後方に開口した断面略コ字状に形成されている。
【0025】
第1アーム32は、左右一対に設けられている。第1アーム32の基端部は、左右一対の支柱31に対してそれぞれ回動可能に支柱31の内部に連結されている。第2アーム33は、第1アーム32より低い位置に、左右一対に設けられている。第2アーム33の基端部は、左右一対の支柱31に対してそれぞれ回動可能に支柱31の内部に連結されている。
【0026】
アーム間連結部材34が、左右一対に設けられ、その上端部側が第1アーム32の先端部側に軸部材を介して回動可能に連結され、その下端部側が第2アーム33の先端部側に軸部材を介して回動可能に連結されている。このようにして、支柱31、第1アーム32、第2アーム33およびアーム間連結部材34は、平行リンク機構を構成している。
【0027】
荷受台20は、その基端部がアーム間連結部材34に回動可能に連結されている。荷受台20は、格納状態である略垂直の起立状態から展開状態である略水平の状態までの範囲内でアーム間連結部材34に対して回動できるように構成されている。油圧シリンダ40は、
図2に示すように、高さ方向に延在した状態で、支柱31の内部に配置されている。パワーユニット50は、図示しない配管を介して油圧シリンダ40に作動油を給排する。
【0028】
ロック機構100は、荷台1に対して左右一対に配されており、
図4、
図5、
図6に示すように、荷台1側に取り付けられた固定部材120、固定部材120に取り付けられ、係合部材150が係合される被係合部材130、および、荷受台20に取り付けられた係合部材150により構成されている。但し、片側だけで十分な安全性が確保できる場合はロック機構100を片側1つに省略することもできる。
【0029】
図4、
図5、
図6に示すように、固定部材120は、支柱31を介して荷台1側に固定されている。固定部材120は、被係合部材130が取り付けられる被係合部材取付部位121、および、荷台1側に取り付けられる荷台側取付部位122を有している。そして、固定部材120は、
図7に示すように、被係合部材取付部位121の一部と荷台側取付部位122とが、互いに直交した状態で一体に形成されている。
【0030】
被係合部材取付部位121には、被係合部材130を固定する際に使用する2つの第1ボルト孔123が設けられている。第1ボルト孔123はトラック車両の前後方向を長手方向とする長孔である。第1ボルト孔123をトラック車両の前後方向を長手方向とする長孔とすることにより、被係合部材130の位置をトラック車両に対して前後方向に調整しながら固定することができる。また、被係合部材取付部位121の上部には、後方に突出した凸部124が設けられている。
【0031】
本実施形態では、荷台側取付部位122は、荷台1に固定されている支柱31にボルト112で取り付けられている。荷台側取付部位122には、2つの第2ボルト孔125が設けられている。第2ボルト孔125はトラック車両の左右方向を長手方向とする長孔である。支柱31は、荷台側取付部位122が取り付けられる面に、ボルト孔(図示せず)が設けられており、支柱31の内面のボルト孔の周囲にはナット111が溶接で固定されている。ボルト112を第2ボルト孔125および支柱31のボルト孔に挿入してナット111と螺合させることで、固定部材120は、荷台1側の支柱31に取り付けられて固定される。第2ボルト孔125をトラック車両の左右方向を長手方向とする長孔とすることにより、被係合部材130の荷台1に対する取付位置を左右方向に調整することができる。固定部材120は、本実施形態のように、荷台1に直接固定する必要はなく、支柱31等の部品を介して荷台1側に固定部材120が固定されていればよい。
【0032】
被係合部材130の上端には、
図7,
図8に示すように、係合部材150が係合される溝部131が設けられている。溝部131は底が円弧状で上方に向かって幅が広くなった形状を有しており、係合部材150が挿入される。溝部131に挿入された係合部材150は、車両の前後方向に係合される。更に、被係合部材130には、固定部材120の被係合部材取付部位121と当接する部分に第3ボルト孔132が設けられている。第3ボルト孔132は、トラック車両の上下方向を長手方向とする長孔である。このような第3ボルト孔132によって、被係合部材130を固定部材120に取り付ける際に、被係合部材130の上下方向の位置を調整することができる。
【0033】
図9に示すように、固定部材120と被係合部材130とを、ボルト113およびナット114を用いて互いに固定する。そして、固定部材120を、ボルト112によって、荷台1に固定されている支柱31に取り付けることにより、被係合部材130を、荷台1側に固定することができる。固定部材120を、支柱31にボルト112で固定する際に、トラック車両の左右方向を長手方向とする長孔(第2ボルト孔125)を用いることから、被係合部材130の荷台1側への固定位置は、左右方向に調整することができる。更に、固定部材120と被係合部材130をボルトで固定する際に、トラック車両の前後方向を長手方向とする長孔(第1ボルト孔123)および上下方向を長手方向とする長孔(第3ボルト孔132)を用いることから、固定部材120に対して被係合部材130を固定する位置を、前後方向および上下方向に調整することができる。以上のことから、本実施形態の荷受台昇降装置10は、係合部材150が係合される溝部131の位置を、トラック車両に対して前後、左右、および、上下の互いに直交する3方向に調整することができる。これにより、固定部材120を支柱31に固定し、被係合部材130に係合部材150を係合させた時に、係合が不十分であっても、ボルト112,113を緩めて、固定部材120または被係合部材130を動かすことで、被係合部材130に係合部材150が適切な状態で係合できるように被係合部材130の位置を簡単に、そして正確に調整することができる。
【0034】
本実施形態では、第1ボルト孔123、第2ボルト孔125および第3ボルト孔132を全て長孔とした場合を用いて説明した。しかしながら、第1ボルト孔、第2ボルト孔および第3ボルト孔の全てを長孔にするのではなく、少なくとも1つのボルト孔を長孔にしてもよい。例えば、1つのボルト孔を長孔とするだけでも、係合部材に対する被係合部材の位置を調整する構成とすることは可能である。また、長孔の長手方向についても本実施形態に限定するものではなく、例えば、第1ボルト孔と第2ボルト孔は、長孔の長手方向を入れ替えること等も可能である。
【0035】
更に、2つのボルト孔(例えば、第1ボルト孔および第3ボルト孔)を長孔にすることで、固定部材に対して被係合部材を固定する位置を2方向に調整可能とし、これにより、被係合部材の位置を2方向に調整することができる構成とすることもできる。また、本実施形態では、第1ボルト孔123、第2ボルト孔125および第3ボルト孔132の長孔の方向をそれぞれ3方向に特定しているが、例えば、第1ボルト孔および第3ボルト孔の長孔の方向を入れ替えることも可能である。どのボルト孔を長孔とするか、また、どの方向の長孔とするかは、ロック機構の構成、荷受台昇降装置の構成等に応じて、被係合部材と係合部材の位置ずれが発生しやすい方向等を考慮して選択することができる。長孔を用いることによって、被係合部材の位置を調整できるのであれば、様々な変更、組み合わせが可能である。
【0036】
また、本実施形態では、固定部材120を用いた形態で説明したが、固定部材を用いない形態も可能である。例えば、固定部材を用いないで被係合部材を直接ボルトで荷台側に固定する形態も可能である。この場合、被係合部材の荷台側に固定するためのボルト孔を長孔とすることで、荷台に対する被係合部材の位置を、1方向ではあるが、ボルトを緩めることで簡単に調整することができる。このような固定部材を用いない形態の場合、被係合部材の形状を、固定する荷台側に合わせて変更することが可能であり、長孔の方向についても、特に限定するものではなく、様々な条件に合わせて適切な方向の長孔とすればよい。
【0037】
本実施形態では、被係合部材130は、荷受台20が起立状態にあるときに、荷受台20側と対向する面(固定部材120と当接する面とは反対側の面)から、荷受台20の側面に向かって突出する第1ストッパ部133および第2ストッパ部134を有する。第1ストッパ部133と第2ストッパ部134とは曲面で接続されて略L字状をなしている。第1ストッパ部133は第2ストッパ部134との接続部分から後方に向かって斜め下方向に延伸しており、第2ストッパ部134は、第1ストッパ部133との接続部分から垂直方向(上方向)に延伸している。
【0038】
本実施形態では、
図9に示すように、係合部材150は、支軸152と支軸152と所定の角度(本実施形態ではほぼ直角)で接続された操作部としてのハンドル部153とで構成されたロックハンドル151を有する。ロックハンドル151は、丸棒等を略L字状に折り曲げ形成したものである。ロックハンドル151は、支軸152を回転軸として、ハンドル部153が回動自在に取り付けられている。
【0039】
ロックハンドル151の支軸152の周囲には、ガイド部材154が設けられている。ガイド部材154は、荷受台20が起立状態にあるときに、被係合部材130に向かって突出し、第1ストッパ部133の上方に配されるように、荷受台20の側部に固定されている。支軸152は、ガイド部材154によってガイドされて、荷受台20の幅方向に進退可能である。
【0040】
図6、
図7に示すように、支軸152の荷受台20の内側に位置する部分(ハンドル部153と反対側)の端部にはナット155が螺着されている。そして、支軸152を内部に通したスプリング156を、ナット155と荷受台20の側面の内面との間に挟みこんでいる。ロックハンドル151は、スプリング156によってハンドル部153を荷受台20側に引き寄せる向きに付勢されている。
【0041】
ガイド部材154は、筒状のガイド部154aと、U字状の保持部154bとを備えている。ガイド部154aの内側には、ロックハンドル151の支軸152が挿通されている。保持部154bは、ガイド部154aの一端側を内包するように形成され、保持部154bの端部は、ガイド部154aの端部よりも被係合部材130側に突出している。また、保持部154bは、荷受台20が格納状態である起立状態にある時に、被係合部材130の溝部131と同方向(上方向)に開口したU字状を形成する。
【0042】
荷受台20が起立状態でロックされた状態(溝部131にロックハンドル151が係合されている状態)から、当該ロックを解除する場合は、ハンドル部153の先端側が回動操作により上方に向けられる。ハンドル部153の先端側が上方に向けられると、溝部131と保持部154bが同じ方向に開口していることから、ハンドル部153は、スプリング156の付勢力によって保持部154bのU字状の溝内部に入り込み、その結果、ロックハンドル151と溝部131との係合が解除される。なお、ハンドル部153が保持部154bのU字状の溝内部に入り込むと、ハンドル部153は、保持部154bの内壁面によって回動動作が拘束される。
【0043】
一方、荷受台20を起立状態でロックする場合は、荷受台20を略水平の状態から回動させて起立状態とし、ロックハンドル151を被係合部材130側に引き出してハンドル部153を下方に回動させる。これにより、ロックハンドル151の係合部位である支軸152を被係合部材130の溝部131に入れ込んでトラック車両の前後方向に係合させることで、荷受台20が起立状態でロックされる。ハンドル部153を下方に回動させた時、ハンドル部153は、固定部材120の凸部124と当接すると回動が停止される。
【0044】
荷受台20を使用するときには、前述したように、ハンドル部153を上方に回動させて、ハンドル部153と、溝部131との係合状態を解き、その後、ロックハンドル151を荷受台20側に水平方向に移動させる。これによりロックが解除されて荷受台20が回動可能な状態となるため、荷役作業時、荷受台20を水平に展開し、荷受台20を油圧シリンダ40によって昇降させることができる状態となる。
【0045】
荷受台昇降装置10は、油圧シリンダ40によって荷受台20を昇降させることから、荷受台20が起立位置でロックされているときも荷受台20等の重量が油圧シリンダ40を伸長させようとする力として作用する。通常、油圧シリンダ40を駆動するための油圧回路装置の油圧配管の途中に設けられたチェック弁等によって、油圧シリンダ40に対する作動油の出入りが阻止されるため、油圧シリンダ40がそのような荷重によって伸長することはない。
【0046】
しかしながら、荷受台20を使用しない期間が続くと荷受台20等の重量によってチェック弁等に微小な圧油のリークが生じる場合がある。もし、圧油のリークにより、油圧シリンダ40が伸長するとともに、起立状態の荷受台20が若干展開方向(荷受台20が起立状態近傍にあるときは、展開方向は略下方向となる。)に移動して、ロック機構100のロックハンドル151(支軸152)が被係合部材130の溝部131と当接すると、荷受台20等の昇降部分の重量の一部がロックハンドル151を介して溝部131にかかった状態となる。そして、この状態では、ロックハンドル151と溝部131との間に作用する押付力によってロックハンドル151を回動操作することが困難となり、ロック機構100によるロックをスムーズに解除できなくなる可能性がある。
【0047】
このようなロックハンドル151と溝部131との間に作用する押圧力を解消するために、本実施形態では、
図8に示すように、被係合部材130に第1ストッパ部133を設けている。第1ストッパ部133は、荷受台20が起立状態にあるときに、油圧シリンダ40の圧油のリークが発生し、荷受台20とともに、ロックハンドル151が若干展開方向に動いても、ロックハンドル151と溝部131とが当接する前に、荷受台20に設けられたガイド部材154の保持部154bと当接することで、ロックハンドル151が溝部131に当接することを阻止するように設けられている。なお、本明細書において、ガイド部材154の保持部154bが第1ストッパと当接する部分を第1当接部ともいう。
【0048】
したがって本実施形態では、第1ストッパ部133と、第1当接部を含むガイド部材154の位置関係は、荷受台20の動作方向に沿って対向する位置関係にある。荷受台20が起立状態にあるとき、油圧シリンダ40によって荷受台20は上下方向に動作するので、ガイド部材154の第1当接部の直下に第1ストッパ部133が位置するような配置となっていれば良い。また、ガイド部材154の第1当接部の下面と第1ストッパ部133の上面(つまり互いに対向する面)との間の間隔寸法S2は、荷受台20が起立状態のとき、溝部131とロックハンドル151の支軸152との間の間隙寸法S1よりも小さくなるように設定されている。なお、荷受台20の回動によって、ガイド部材154の保持部154bが回動しながら、第1ストッパ部133上へと移動することから、ガイド部材154の保持部154bの軌跡に合わせて、第1ストッパ部133は後方に向かって斜め下方向に延伸している。本実施形態では、ガイド部材154に第1当接部が含まれているが、ガイド部材154と別の部材(荷受台20が起立状態にあるときに、被係合部材130に向かって突出し、第1ストッパ部133の上方に配される荷受台20の側部に固定された別の部材)を第1当接部としてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、荷受台20の略水平の状態からの起立角度を規制するために、
図8に示すように、被係合部材130に第2ストッパ部134を設けている。第2ストッパ部134は、荷受台20が回動して起立状態となった時に、ガイド部材154が当接する位置に配置する。つまり、荷受台20が起立状態となったとき、第2ストッパ部134はガイド部材154の前方に位置し、ガイド部材154の前側の側面が第2ストッパ部134と当接する位置にあればよい。このように第2ストッパ部134を配置することで、荷受台20とともにガイド部材154が回動し、荷受台20が起立状態になると、ガイド部材154の保持部154bが第2ストッパ部134と当接し、荷受台20がさらに前方へ回動することが規制される。なお、本明細書において、ガイド部材154の保持部154bが第2ストッパ部134と当接する部分を第2当接部ともいう。第2当接部は、荷受台20が起立状態にあるときに、被係合部材に向かって突出し、第2ストッパ部134の後方に配されるように、荷受台20に固定された部材であればよい。なお、ガイド部材154以外の別の部材を第2当接部として設けることも可能である。
【0050】
第1ストッパ部133および第2ストッパ部134を被係合部材130に設けたことによって奏される作用効果を纏めると以下の通りである。
【0051】
本実施形態では、
図6に示すように、荷受台20が起立姿勢のとき、ロックハンドル151の支軸152と溝部131の間隙寸法S1よりも小さな間隙寸法S2を隔てて、荷受台20と固定関係にあるガイド部材154の直下に荷台1と固定関係にある第1ストッパ部133を配置している。第1ストッパ部133を配置することにより、仮に起立状態の荷受台20が圧油のリーク等によって下降するようなことがあったとしても、ロックハンドル151が溝部131に接触する前に、第1当接部であるガイド部材154が第1ストッパ部133と当接する。そのため、ロックハンドル151と溝部131との間に余計な力が作用することを防止でき、ロックハンドル151をフリーな状態に維持することができる。よって、本実施形態の荷受台昇降装置は、たとえ油圧回路装置において圧油のリークがあっても簡単にロック機構100を操作してロック解除することができるので、荷受台20をスムーズに使用することができる。
【0052】
更に、本実施形態では、
図8に示すように、被係合部材130には、第1ストッパ部133に加えて、第2ストッパ部134が設けられている。従来、荷受台20を回動させて略垂直の起立状態とする際に、荷受台20の起立角度の限界を規制するための部材を支柱等に別途に設けていた。従来のロック機構の構成では、上述のように、被係合部材を取り付ける際に係合部材の一部を削る等の作業を行う場合があった。そのため、もし、被係合部材に荷受台の起立角度の限界を規制するための部材を予め取り付けると、起立角度の限界を規制するための部材の位置も調整しなければならなくなり、このような構成は実現できなかった。しかしながら、本実施形態の荷受台昇降装置10のように、被係合部材130の位置調整が容易になると、被係合部材に第2ストッパ部134を設けたとしても、荷受台20を適切な位置で停止させることができる。このように、本実施形態の荷受台昇降装置10は、第2ストッパ部134を被係合部材130に設けることにより、荷受台20の起立角度の限界を規制するための部材が不要となり、部品数の削減等の効果を奏する。
【0053】
本実施形態では、第1ストッパ部133および第2ストッパ部134を1つの部材として設けているが、いずれか一方のストッパ部だけを設けること、あるいは、第1ストッパ部133および第2ストッパ部134を2つの部材に分けて設けることも可能である。第1ストッパ部133および第2ストッパ部134については、必要に応じて選択することができ、様々な形態が可能である。また、ガイド部材154を第1当接部および第2当接部として用いているが、別の部材を第1当接部および第2当接部として用いること、あるいは、別の2つの部材を第1当接部および第2当接部としてそれぞれ用いることも可能である。
【0054】
本実施形態の荷受台昇降装置10は、被係合部材130の取り付けに固定部材120を用い、更に、被係合部材130と固定部材120との組み立ておよび固定部材120の固定にボルトおよび長孔を用いることによって、被係合部材130を簡単に正確に位置決めすることができるようになった。更に、第1ストッパ部133および第2ストッパ部134を用いることによって、圧油のリークが生じた場合でもスムーズにロック解除することができ、荷受台20の起立角度の限界を規制するための部材も正確に取り付けることができる。
【0055】
荷受台昇降装置の構成に関しては、ロック機構100以外については、特に限定するものではなく、平行リンク機構、油圧シリンダ、パワーユニット等は様々な構成を用いることができ、また、その他の構成を追加することも可能である。
【0056】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る荷受台昇降装置10Aについて、図面を参照しつつ説明する。
図10、
図11、
図12に示すように、第2実施形態の荷受台昇降装置10Aは、第1実施形態の荷受台昇降装置10の支柱31のような部材を用いておらず、トラック車両の後部となる位置で荷台1Aの下方に架装されており、平行リンク機構および油圧シリンダ40Aによって荷受台20Aが地面と荷台高さとの間を昇降される構成を有している。更に、
図10に示すように、本実施形態の荷受台昇降装置10Aのロック機構100Aは、係合部材操作装置158の操作によって係合部材150Aがトラック車両の幅方向にスライドし、荷台側に設けられた被係合部材130Aと係合状態または非係合状態をなす構造となっている。
【0057】
本実施形態の荷受台昇降装置10Aは、昇降手段である平行リンク機構および油圧シリンダ40Aを用いて荷受台20Aを昇降させ、ロック機構100Aを用いて、荷受台20Aを略垂直な状態の起立状態でロックさせる装置である。荷受台昇降装置10Aは、荷受台20A、平行リンク機構、ロック機構100A、油圧シリンダ40A、パワーユニット等により構成されている。
【0058】
平行リンク機構は、
図11に示すような取付部材35A、第1アーム32A、第2アーム33Aおよびアーム間連結部材34Aにより構成されている。荷台1Aは、トラック車両の前後方向を長手方向とする左右一対の車体枠上に搭載されており、それぞれの車体枠には左右一対の回動アーム(第1アーム32Aおよび第2アーム33A)を支持する取付部材35Aが連結されている。
【0059】
アーム間連結部材34Aが、左右一対に設けられ、その上端部側が第1アーム32Aの先端部側に軸部材を介して回動可能に連結され、その下端部側が第2アーム33Aの先端部側に軸部材を介して回動可能に連結されている。このようにして、取付部材35A、第1アーム32A、第2アーム33Aおよびアーム間連結部材34Aは、平行リンク機構を構成している。平行リンク機構は、取付部材35Aに設けられた油圧シリンダ40Aの伸縮を利用して駆動される。
【0060】
荷受台20Aは、その基端部がアーム間連結部材34Aに回動可能に連結されている。荷受台20Aは、格納状態である略垂直の起立状態から展開状態である略水平の状態までの範囲内でアーム間連結部材34Aに対して回動できるように構成されている。
【0061】
ロック機構100Aは、
図12に示すように、荷台1Aに対して左右一対に配されており、荷箱の側壁部1aに取り付けられた固定部材120A、固定部材210Aに取り付けられ、係合部材150Aが係合される被係合部材130A、および、荷受台20Aに設けられた係合部材操作装置158により構成されている。荷受台20Aが起立状態となった際に係合部材操作装置158を手動操作することで係合部材150Aが被係合部材130Aに閂状に係合される。但し、片側だけで十分な安全性が確保できる場合はロック機構100Aを片側1つに省略することもできる。
【0062】
図12に示すように、固定部材120Aは荷箱の側壁部1aに直接固定されている。固定部材120Aは、被係合部材取付部位121A、および、荷箱の側壁部1aの上端面に取り付けられる荷台側取付部位122Aを有している。そして、
図13に示すように、固定部材120Aは、被係合部材取付部位121Aと荷台側取付部位122Aとが、互いに直交した状態で接続されており、L字状となっている。
【0063】
被係合部材取付部位121Aには、
図13に示すように、トラック車両の前後方向を長手方向とする長孔である第1ボルト孔123Aが設けられている。第1ボルト孔123Aをトラック車両の前後方向を長手方向とする長孔とすることにより、ボルト113Aを用いて、固定部材120Aと被係合部材130Aとを固定する際に、被係合部材130Aの位置をトラック車両に対して前後方向に調整しながら固定することができる。
【0064】
本実施形態では、荷台側取付部位122Aは、トラック車両の荷箱の側壁部1aの後端上端面にボルト112Aを用いて固定される。そのために、荷箱の側壁部1aの後端上端面には、ボルト孔が設けられ、ボルト孔の周囲にはナットが溶接されている。荷台側取付部位122Aには、2つの第2ボルト孔125Aが設けられている。第2ボルト孔125Aはトラック車両の左右方向を長手方向とする長孔である。ボルト112Aを第2ボルト孔125Aおよび荷箱の側壁部1aのボルト孔に挿入してナットと螺合させることで、固定部材120Aは、荷箱の側壁部1aの後端上端面に取り付けられて固定される。第2ボルト孔125Aをトラック車両の左右方向を長手方向とする長孔とすることにより、被係合部材130Aの荷台1Aに対する位置をトラック車両の左右方向に調整することができる。
【0065】
被係合部材130Aは、係合部材150Aが係合される矩形の孔135が設けられている。矩形の孔135に係合部材150Aが水平方向に挿入されて閂状に係合される。更に、被係合部材130Aは、トラック車両の上下方向を長手方向とする長孔である第3ボルト孔132Aが設けられている。第3ボルト孔132Aによって、被係合部材130Aを固定部材120Aに取り付ける際に、被係合部材130Aの位置をトラック車両の上下方向に調整することができる。
【0066】
図14に示すように、固定部材120Aおよび被係合部材130Aは、ボルト113Aとナット114Aで互いに締結される。そして、固定部材120Aは、荷箱の側壁部1aに直接、ボルト112Aを用いて取り付けられることとなるが、固定部材120Aを、荷箱の側壁部1aにボルト112Aで固定する際に、トラック車両の左右方向を長手方向とする長孔(第2ボルト孔125A)を利用することで、固定部材120Aの荷箱の側壁部1aへの固定位置をトラック車両の左右方向に調整することができる。これにより、固定部材120Aに固定される被係合部材130Aのトラック車両に対する位置もトラック車両の左右方向に調整することができる。更に、固定部材120Aと被係合部材130Aをボルト113Aとナット114Aを用いて固定する際に、トラック車両の前後方向を長手方向とする長孔(第1ボルト孔123A)と、トラック車両の上下方向を長手方向とする長孔(第3ボルト孔132A)とを利用することによって、固定部材120Aに対して被係合部材130Aを固定する位置を、トラック車両の前後方向および上下方向に調整することができる。以上のことから、本実施形態の荷受台昇降装置10Aは、係合部材150Aが係合される矩形の孔135の位置を、トラック車両の前後方向、左右方向および上下方向に調整することができる。これにより、被係合部材130Aを荷台1A側に固定した後であっても、矩形の孔135と係合部材150Aとの位置関係を簡単にかつ正確に調整し修正することができる。
【0067】
本実施形態においても、第1ボルト孔123A、第2ボルト孔125Aおよび第3ボルト孔132Aを全て長孔とした場合を用いて説明したが、第1ボルト孔、第2ボルト孔および第3ボルト孔の全てを長孔にする必要はなく、少なくとも1つのボルト孔を長孔とすることができる。また、長孔の方向についても本実施形態に限定するものではなく、長孔の数、配置などに合わせて適宜変更可能である。
【0068】
また、本実施形態では、被係合部材130Aを、固定部材120Aを用いて荷台1A側に取り付ける形態を用いて説明したが、被係合部材を、固定部材を用いないで荷台側(荷箱の側壁部1a)に取り付ける形態とすることも可能である。この場合、被係合部材の荷台側に固定するためのボルト孔を長孔とすることで、荷台側に対する被係合部材の位置を、1方向に調整する構成とすることも可能である。また、固定部材と被係合部材とを一体とし、1つの被係合部材とすることも可能である。この場合、固定部材の荷台側に固定するためのボルト孔を残して、長孔とすることができる。このように被係合部材だけを用いた場合、荷台側に固定するためのボルト孔を長孔とすることで、少なくとも1方向に被係合部材を調整することは可能となる。
【0069】
本実施形態の係合部材150Aは、
図12に示すように、トラック車両の幅方向(左右方向)に延び、同方向にスライド可能に設けられた鉄製の矩形断面の棒状の部材からなる。係合部材150Aは、荷受台20Aを構成するパネル部材の中空部に配置されている。係合部材150Aは、荷受台20Aに設けられた係合部材操作装置158の操作に連動し、荷受台20Aが起立状態にあるときに、被係合部材130Aの孔135に対して係合状態(ロック状態)または非係合状態(ロック解除状態)をなす。なお、係合部材操作装置158を操作することにより、2つの係合部材150Aは左右方向に、かつ、互いに逆方向にスライドする。
【0070】
第1実施形態および第2実施形態では、アーム式の荷受台昇降装置を用いて説明したが、垂直式の荷受台昇降装置でも実施可能である。垂直式の荷受台昇降装置の場合、第1実施形態の荷受台昇降装置10と同様に、支柱にロック機構の被係合部材を取り付ける構成を用いることで対応可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば、荷受台昇降装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 荷台
1a 荷箱の側壁部
10,10A 荷受台昇降装置
20,20A 荷受台
31 支柱
32,32A 第1アーム
33,33A 第2アーム
34,34A アーム間連結部材
40,40A 油圧シリンダ
50 パワーユニット
100,100A ロック機構
120,120A 固定部材
121,121A 被係合部材取付部位
122,122A 荷台側取付部位
123,123A 第1ボルト孔
124 凸部
125,125A 第2ボルト孔
130,130A 被係合部材
131 溝部
132,132A 第3ボルト孔
133 第1ストッパ部
134 第2ストッパ部
135 矩形の孔
150,150A 係合部材
151 ロックハンドル
152 支軸
153 ハンドル部
154 ガイド部材
154a ガイド部
154b 保持部
155 ナット
156 スプリング
158 係合部材操作装置
【要約】
【課題】ロック機構の被係合部材の荷台に対する位置ずれを簡単に修正することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台に対して回動して、略水平の状態から略垂直の状態に起立し、昇降手段によって昇降する荷受台20と、荷受台20に取り付けられた係合部材150と、荷台1側にボルトを用いて取り付けられた被係合部材130とを有し、係合部材150を被係合部材130に係合させることで、荷受台20を略垂直の起立状態でロックするロック機構100とを備えた荷受台昇降装置10であって、被係合部材130は、荷台1側にボルトを用いて取り付けられる際に使用されるボルト孔が設けられており、ボルト孔は長孔である。
【選択図】
図1