(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2023158832
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-10-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:2022年9月27日 刊行物:「Sustanaに関する提案書」 発行日:2022年12月12日 刊行物:電気新聞/紙面/面名:産業・技術/記事ID:KIJ2022212_A1004000103000003 掲載日:2023年1月30日 掲載アドレス:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2301/30/news002.html 開催日:2023年9月13日-9月15日 集会名、開催場所:脱炭素経営EXPO秋、幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬二丁目1)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長山 奨尉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 明子
(72)【発明者】
【氏名】関根 徹也
(72)【発明者】
【氏名】田中 巧
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康晴
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-034484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガス排出量削減のための支援システムであって、
建物の特性を表す建物情報と、企業活動情報とを含むデータの入力を利用者端末から受信する受信手段と
、
温室効果ガスの削減施策のレベルを決定するレベル決定手段であって、
前記企業活動情報に基づいてエネルギー使用量の超過率の超過回数を算定し、導入の簡便さ
を基準として予めレベル分け
した前記削減施策が前記超過回数に応じて決定され、前記超過回数が多いほど前記削減施策のレベルが高くなる、レベル決定手段と、
前記建物情報の一部と、施策名とを含むデータを格納した削減情報記憶部を参照し、入力された前記建物情報と、前記レベルとを含むデータに基づいて、前記施策名を含む温室効果ガス排出量削減のための施策データを作成する作成手段と、
を備えた支援システム。
【請求項2】
前記建物情報は、企業の業種、建物用途、所有形態、および設備区分を含む、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記施策データの拠点識別情報に基づいて、施策名と施設とを関連付けた施設情報を示す表示手段をさらに含む、請求項1に記載の支援システム。
【請求項4】
前記施策名と施設とを関連付けた施設情報は、前記施策名が適用できる施設数と、前記施策名が適用できる施設名とを含む、請求項3に記載の支援システム。
【請求項5】
温室効果ガス排出量削減のための支援システムで実行される方法であって、
建物の特性を表す建物情報と、企業活動情報とを含むデータの入力を利用者端末から受信するステップと
、
温室効果ガスの削減施策のレベルを決定するステップであって、
前記企業活動情報に基づいてエネルギー使用量の超過率の超過回数を算定し、導入の簡便さ
を基準として予めレベル分け
した前記削減施策が前記超過回数に応じて決定され、前記超過回数が多いほど前記削減施策のレベルが高くなる、ステップと、
前記建物情報の一部と、施策名とを含むデータを格納した削減情報記憶部を参照し、入力された前記建物情報と、前記レベルとを含むデータに基づいて、前記施策名を含む温室効果ガス排出量削減のための施策データを作成するステップと、
を備える方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガス排出量削減のための支援システム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化防止のための取り組みが世界的に見られ、サプライチェーン全体で発生する温室効果ガス排出量を削減するための努力が多くの企業で行われている。
【0003】
特許文献1では、企業の会計情報を用いて環境コストを集計し、集計した実績値が閾値を超えた場合に温室効果ガス排出量を減少させるための個別事例画面を提供する、企業活動評価システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実際は、企業の業種や、工場やオフィスなどの建物用途、貨物用自動車など建物が保有している設備といった建物の特性に応じて、温室効果ガス排出量削減目標は異なり、削減目標達成のための適切な施策も施設ごとに異なってくる。
【0006】
特許文献1の発明では、会計情報に基づき環境コストを集計して個別事例画面を提供しているため、建物の特性に応じたより適切な個別事例画面を提供することが難しい。したがって、個別事例画面に基づいた温室効果ガス排出量削減事例を施設に適用した場合、施設の特性が考慮されていないため、実際の温室効果ガス排出量削減が非効率かつ不十分なものになるおそれがある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて提案され、建物の特性を用いることで、その建物により適した温室効果ガス排出量削減目標達成のための施策データを提供し、建物の性質に応じた効率的かつ効果的な温室効果ガス排出量削減に資する支援システム、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る支援システムは、温室効果ガス排出量削減のための支援システムであって、建物の特性を表す建物情報と、企業活動情報とを含むデータの入力を利用者端末から受信する受信手段と、企業活動情報から温室効果ガスの削減施策のレベルを決定するレベル決定手段であって、レベルは、削減施策の導入の簡便さでレベル分けした、レベル決定手段と、建物情報の一部と、施策名とを含むデータを格納した削減情報記憶部を参照し、入力された建物情報と、レベルとを含むデータに基づいて、前記施策名を含む温室効果ガス排出量削減のための施策データを作成する作成手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建物の特性を反映した温室効果ガス排出量削減目標達成のための施策が提供されるため、拠点の性質に応じた施策を提供するだけでなく、数々の拠点を含めた企業全体での温室効果ガス排出量削減を効率的にかつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る支援システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る管理施設サーバの構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る削減情報データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る支援システムの受信手段を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る支援システムのレベル決定手段を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る支援システムの作成手段を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態に係る支援システムの表示手段を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る支援システムの受信手段を説明するための画面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る支援システムの受信手段を説明するための別の画面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る支援システムの表示手段を説明するための画面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る支援システムの企業活動情報入力画面を説明するための画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面とともに説明する。
【0012】
図1を参照して、本発明に係る実施形態における支援システム100の全体的な構成の例を説明する。支援システム100は、建物情報を使って温室効果ガス削減の制御等を行う管理者102の管理施設サーバ101と、複数の利用者端末104a、104b・・・(以下、「利用者端末104」)とを含む。
【0013】
図1では便宜上、利用者端末104a、および104bのみ記載しているが、利用者端末104の数が限定されることはない。管理施設サーバ101と、利用者端末104とは、ネットワーク103を介して相互に接続される。ここで、ネットワーク103は、インターネットであっても、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)であってもよく、特に限定されない。
【0014】
管理施設サーバ101は、本実施形態に係る処理を実施するコンピュータデバイスである。管理施設サーバ101は、管理者102によって管理されるサーバコンピュータである。したがって、管理施設サーバ101は、従来から存在する銀行などの管理者のシステムに実装されても良い。管理施設サーバ101は、単独のコンピュータデバイスによって実装されても良く、または複数のコンピュータデバイスによって実装されても良い。管理施設サーバ101の構成要素および機能については後述する。
【0015】
利用者端末104は、支援システム100の利用者が使用する端末を表す。利用者は、利用者端末104から管理施設サーバ101にアクセスし、支援システム100に基づく温室効果ガス排出量削減のためのサービスを受けることができる。
【0016】
利用者端末104は、キーボードやタッチパネルなどのヒューマンインターフェースを持つものであり、具体的には、デスクトップ型のパーソナル・コンピュータや、スマートフォン、タブレット型またはノート型のパーソナル・コンピュータなどがあげられる。
【0017】
次に、
図2を参照して、管理施設サーバ101の詳細な構成要素の例を説明する。
【0018】
管理施設サーバ101は、制御部110、入力部111、出力部112、メモリ部113、送受信部114、および記憶部116を含み、それらの各要素がシステムバス115によって結合されている。記憶部116の各構成要素については後述する。
【0019】
制御部110はプロセッサとも称され、例えばCPUなどを指す。制御部110は、上記各構成要素の制御やデータの演算を実行する。制御部110は、本実施形態に係る各処理を実行するため、プログラムをメモリ部113に読みだして実行する。プログラムとは、支援システム100が実行する機能の一部について実装するためのプログラムであり、記憶部116に格納されている。
【0020】
入力部111は、外部からの操作指示などを受け付ける。入力部111は、例としてキーボードやタッチパネルなどが挙げられる。出力部112は、記憶部116に記憶されたデータや演算処理の結果を出力する。出力部112の例として、ディスプレイやプリンタなどが挙げられる。
【0021】
メモリ部113は、管理施設サーバ101上のデータ、コンピュータ実行可能な命令などを記憶する揮発性データ記憶装置である。メモリ部113は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などのRAMにより実装される。
【0022】
送受信部114は、ネットワーク103を介して、管理施設サーバ101と利用者端末104との間で相互に通信を行う。例えば、送受信部114は利用者端末104に対して管理施設サーバ101で作成した施策データの送信を行う。
【0023】
記憶部116は、例えばROM、HDD、SSDなどの任意の記憶装置によって実装される。記憶部116は、支援システム100で実行される処理に係る受信手段120、レベル決定手段121、作成手段122、および表示手段123を備える。さらに記憶部116は、支援システム100で取り扱うデータを格納する削減情報記憶部130、利用者端末情報記憶部131、および施策情報記憶部132を備える。
【0024】
なお、上記実施形態で説明したハードウェアの構成要素は例示的なものにすぎず、その他の構成も可能である。
【0025】
図2に示したシステム構成要素のうち、管理施設サーバ101の記憶部116内の削減情報記憶部130、利用者端末情報記憶部131、および施策情報記憶部132が格納するデータについてそれぞれ説明する。
【0026】
削減情報記憶部130は、作成手段122で用いられる削減情報データ300が格納されているデータベースである。
図3を参照して、削減情報データ300について説明する。
【0027】
削減情報データ300は、温室効果ガス排出量減少に役立つ施策名が示された施策名データ302(例:冷暖房期間の短縮)、施策名データ302の具体的な内容を示す概要データ303(例:部屋の通風量や保温性を高めることで空調機を停止し、省エネルギー化を図ります。)、温室効果ガスの削減量の程度を示すレベルデータ304(例:1)、概要データ303の内容を詳細に解説した解説ファイルデータ305(例:2222.pdf)、対象となる建物、すなわち施設の業種を示す業種データ306(例:電気機械器具製造業)、対象となる施設の用途を示す建物用途データ307(例:工場(電子、電気、半導体))、対象となる施設の所有形態を示す所有形態データ308(例:自社保有)、所有形態が賃貸の場合に入居の有無を示す賃貸入居データ309(例:なし)、対象となる施設の設備区分を示す設備区分データ310(例:冷暖房設備)、および削減できる資源を表示する評価対象データ311(例:電気、ガス、燃料、熱・蒸気)が、施策コード301(例:1111)に対応づけられたデータである。
【0028】
削減情報データ300のうち、業種データ306、建物用途データ307、所有形態データ308、および設備区分データ310のそれぞれは、以下に説明する受信手段120の業種802b、建物用途902、所有形態903、および設備区分904のそれぞれと同内容であるため、詳細は後述する。同様に、評価対象データは、以下に説明する施策データの評価対象データと同内容であるため、詳細は後述する。
【0029】
利用者端末情報記憶部131は、利用者端末104から送信された建物情報である建物データや企業活動情報である企業活動情報データが格納されたデータベースである。建物データおよび企業活動情報データの詳細については後述する。
【0030】
施策情報記憶部132は、支援システム100内で作成された施策データが格納されたデータベースである。施策データとは、建物の温室効果ガス排出量減少に役立つ施策が記載されたデータを指し、利用者端末104で表示される。
【0031】
次に、
図8、
図9、および
図11を参照しながら、本発明に係る実施形態における支援システム100の処理について説明する。
【0032】
利用者は利用者端末104から支援システム100にログインして、
図8の業種入力画面800を開く。利用者は、本発明の温室効果ガス排出量削減に関するサービスを受けたい企業名801、企業の業種802a、802b(以下、業種802)の項目にそれぞれ入力する。例として、企業名801の項目には「ABC株式会社」が入力されている。
【0033】
業種802aは「日本標準産業分類」の「大分類」に対応し、例として「製造業(業種大分類コード:E)」が入力されている。業種802bは「日本標準産業分類」の「中分類」に対応し、例として「化学工業(業種中分類コード:16)」が入力されている。業種802は「日本標準産業分類」に限定されず、任意の業種であっても良い。
【0034】
利用者が保存ボタン803をクリックして入力内容を保存すると、
図9の建物情報入力画面900が表示される。利用者は、
図8の企業名801の企業が有する施設の名称を施設名901の項目として入力する。施設名901は企業名801の企業が有する任意の拠点を示し、例として「本社」や「アメリカ」、「関西工場」、「大阪支店」などがある。ここでは「関東工場」と入力されており、「ABC株式会社」の「関東工場」が本発明の温室効果ガス排出量削減に関するサービスの対象であることを示す。
【0035】
入力された企業名801と施設名901とに対し、支援システム100上で一意の拠点IDが発行される。拠点IDは、拠点識別情報を示す。
【0036】
利用者は、施設名901の建物の用途を建物用途902の項目のプルダウンメニューから選択して入力する。建物の用途とは建物の種類を示し、例として「オフィス(自社・官公庁)」、「空港」、「工場(機械)」、「工場(電力、ガス)」などが挙げられる。建物用途902には「工場(化学、薬品、化粧)」と入力されており、施設名901「関東工場」の建物の用途は「工場(化学、薬品、化粧)」であることがわかる。
【0037】
利用者は、施設名901の建物の所有形態を所有形態903の項目のプルダウンメニューから選択して入力する。ここで建物の所有形態とは、建物が自社保有または賃貸であることを指す。
【0038】
利用者は、設備区分904a~904m(以下904)から選択して画面上で入力する。設備区分とは、施設名901の建物が利用している設備を示す。設備区分904は、例として、「建物付属給排水・衛生・ガス設備」904aや「建物付属冷暖房・通風・ボイラー設備」904bなどがある。「建物付属給排水・衛生・ガス設備」904aの内訳として、例として「給水設備」904cなどがあり、「建物付属冷暖房・通風・ボイラー設備」904bの内訳として、例として「冷凍設備」904jなどがある。
【0039】
「給水設備」904cには、例として、給水ポンプや自動水栓などが含まれ、「冷凍設備」904jには、例として、プレハブ冷凍冷蔵庫、冷凍冷蔵室などが含まれる。
【0040】
上記した設備区分904の項目の内容は、「民間企業投資・除却調査資産区分表」をベースにしているが、これに限定されず任意の項目であっても良い。
【0041】
入力された項目は、建物データとして利用者端末104から管理施設サーバ101に送信される。建物データは建物の特性を表し、業種802、建物用途902、所有形態903、および設備区分904の項目から入力された、業種データ、建物用途データ、所有形態データ、および設備区分データのそれぞれを含むデータが、拠点IDに対応づけられたデータを指す。
【0042】
利用者は、建物データの入力と同時に企業活動情報データの入力を
図11の企業活動情報入力画面1100から行う。企業活動情報データとは、ガスや電気などエネルギーの当月の使用量を表したエネルギー使用量データが、拠点IDに対応づけられたデータを指す。例えば電気の場合は、拠点IDごとにkWhの単位で入力され、ガスの場合は、拠点IDごとにm
3の単位で入力される。
【0043】
利用者は、入力項目1101a、1101b(以下1100)からエネルギーの当月の使用量を入力できる。当月の使用量などエネルギー使用量の入力は、手入力の他に、エクセルやCSVファイルによる一括取込、請求書などのOCR読み込み、システムによる自動入力など任意の方法が可能である。
【0044】
入力された企業活動情報データも利用者端末104から管理施設サーバ101に送信される。
【0045】
図4~
図7を参照しながら、
図2における管理施設サーバ101の記憶部116内の受信手段120、レベル決定手段121、作成手段122、および表示手段123の各処理について以下に説明する。
【0046】
【0047】
受信手段120は、利用者端末104から送信された建物データと企業活動情報データとを受信する(ステップS401)。
【0048】
受信手段120は、受信した建物データと企業活動情報データとをそれぞれ利用者端末情報記憶部131に格納する(ステップS402)。
【0049】
図5の、レベル決定手段121の処理について説明する。
【0050】
レベル決定手段121では、温室効果ガスの削減施策のレベルを決定する。ここで削減施策のレベルとは、温室効果ガスの削減施策を施設に導入する際の簡便さを基準としてレベル分けしたものを示す。削減施策のレベルは5段階で表され、数字が小さいほどレベルが低くなり導入が簡便となる。例として、最も導入が簡便なレベル1は、エネルギーの「使用時間短縮」など削減施策の導入にコストがかからないものなどを示す。最も導入が簡便でないレベル5は、「熱源設備の改修」など大型な設備機器の改修が必要なものなどを示す。
【0051】
レベル決定手段121は、利用者端末情報記憶部131から企業活動情報データを読み込んで取得する(ステップS501)。
【0052】
レベル決定手段121は、企業活動情報データの電気、ガス、ガス以外の燃料、熱・蒸気、水、CO2のそれぞれのカテゴリに応じて、拠点IDごとの当月分のエネルギー使用量データを集計する(ステップS502)。企業活動情報データのカテゴリはこれらに限定されず、任意の項目であっても良い。
【0053】
レベル決定手段121は、集計した当月分のエネルギー使用量データから拠点IDごとの超過率を算定する。超過率はエネルギー使用量の実績値と目標値との比率として算定される。目標値は、例えば、省エネ法の削減目標基準に準拠して昨年度実績値の1%減の値とするなどいくつかの値を取り得る。
【0054】
レベル決定手段121は、超過率が1を超えた回数である超過回数を月ごとに累積して記憶する(ステップS503)。例として、4月で超過率が1を超えた場合、超過回数は1回となり、7月でも超過率が1を超えた場合は、超過回数は2回となる。
【0055】
さらに、レベル決定手段121は、拠点IDごとに温室効果ガスの年間必要削減量予測値を算定する(ステップS504)。年間必要削減量予測値は、エネルギー使用量の目標値と超過率とを用いて算定される。レベル決定手段121は、算定した年間必要削減量予測値に排出係数を乗じて温室効果ガス発生量(t-CO2)を算出する。
【0056】
レベル決定手段121は、ステップS503で記憶した超過回数に応じて拠点IDごとに温室効果ガス削減施策のレベルを決定してレベルデータとして出力する。超過回数が多いほど、削減施策のレベルは高くなる。
【0057】
さらに、レベル決定手段121は、年間必要削減量予測値(t-CO2/年)と年間必要削減量基準値とを比較することで、拠点IDごとに温室効果ガスの削減施策のレベルの上限を決定することもできる(ステップS505)。温室効果ガス発生量の年間必要削減量基準値は、施設の規模に応じた削減施策のレベルの上限を決定するための基準値であり、具体的な数値は任意に設定できる。
【0058】
なお、レベルの決定の仕方は一例であり、任意の方法を用いて良い。
【0059】
図6の作成手段122の処理について、
図2および
図3を参照して説明する。
【0060】
作成手段122は、利用者端末情報記憶部131から建物データを読み込んで取得する。さらに作成手段122は、建物データの拠点IDをキーとして、建物データに対応するレベルデータを取得する(ステップS601)。
【0061】
作成手段122は、ステップS601で取得した建物データのうちの一部である業種データ、建物用途データ、所有形態データ、設備区分データ、および取得したレベルデータに基づき、削減情報記憶部130を読み込んで対応する削減情報データ300を取得する(ステップS602)。
【0062】
作成手段122は、取得した削減情報データ300に、建物データの拠点IDを加えて施策データを作成して施策情報記憶部132に格納する(ステップS603)。
【0063】
作成手段122が、建物データを用いて施策データを作成する例を
図3を参照して説明する。建物データは、拠点ID(例、A123456:関東工場)、業種データ(例、29:電気機械器具製造業)、建物用途データ(例、018:工場(電子、電気、半導体))、所有形態データ(例、1:自社保有)、設備区分データ(例、015:冷暖房設備)であり、レベルデータは「1」とする。
【0064】
作成手段122は、削減情報記憶部130を読み込んで、上記建物データのうち、業種データ(例、29:電気機械器具製造業)、建物用途データ(例;018、工場(電子、電気、半導体))、所有形態データ(例:1、自社保有)、設備区分データ(例:015、冷暖房設備)、レベルデータ(例:1)に対応する削減情報データ300を取得する。
【0065】
取得した削減情報データ300は、施策コード301(例:1111)、施策名データ302(例:冷暖房期間の短縮)、概要データ303(例:建屋の通風量や保湿性を高めることで空調機を停止し、省エネルギー化を図ります。)、レベルデータ304(例:1)、解説ファイルデータ305(例:2222.pdf)、業種データ306(例:電気機械器具製造業)、建物用途データ307(例:工場(電子、電気、半導体))、所有形態データ308(例:自社保有)、賃貸入居データ309(例:なし)、設備区分データ310(例:冷暖房設備)、評価対象データ311(例:電気、ガス、燃料、熱・蒸気)となる。
【0066】
作成手段122は、取得した削減情報データ300に建物データの拠点ID(A123456)を加えて施策データを作成し、施策情報記憶部132に格納する。
【0067】
施策データの項目のうち、施策コード、施策名データ、概要データ、レベルデータ、解説ファイルデータ、業種データ、建物用途データ、所有形態データ、賃貸入居データ、設備区分データ、および評価対象データは、削減情報データ300の、施策コード301,施策名データ302、概要データ303、レベルデータ304、解説ファイルデータ305、業種データ306、建物用途データ307、所有形態データ308、賃貸入居データ309、設備区分データ310、評価対象データ311にそれぞれ対応する。
【0068】
【0069】
表示手段123は、施策情報記憶部132を読み込んで施策データを取得する(ステップS701)。
【0070】
表示手段123は、取得した施策データを利用者端末104の画面に表示する(ステップS702)。
【0071】
次に、
図10を用いて、利用者端末104の画面に表示された施策データの詳細について説明する。
【0072】
利用者端末104には、施策表示画面1000が表示される。施策表示画面1000の施策表示区画1001a、1001b(以下1001)には、温室効果ガス排出量減少に役立つ施策名などが表示される。
【0073】
施策名表示項目1003a、1003b(以下1003)には、施策データのうち、施策名データが施策名として表示される。例として、1003aでは「冷暖房期間の短縮」、1003bでは「年間冷房の禁止と中間期の設定」が表示されている。
【0074】
概要表示項目1004a、1004b(以下1004)には、施策データの概要データが表示される。例として、1004aでは、施策名データ「冷暖房期間の短縮」の具体的な内容として、概要データの「冷暖房期間の短縮では建屋の通風量や保温性を工夫により高めることで、中間期に空調機を極力停止し、省エネルギー化を図ります」という文言が示されている。1004bでは、施策名データ「年間冷房の禁止と中間期の設定」の具体的な内容として、概要データの「最近のオフィスではオフィス機器等の発熱により春や秋の中間期から冬期にかけても冷房が必要な場合があります。このような場合に、室温より温度の低い外気を活用し、送風運転のみを行う外気冷房を活用することで熱源の運転期間を短縮し、省エネルギー化を図ることができます。」という文言が示されている。
【0075】
評価対象表示項目1005a、1005b(以下1005)には、評価対象データが表示される。例として、1005aでは、削減できる資源として「電気」、「ガス」、「燃料」、「熱・蒸気」がそれぞれ表示されている。1005bでは、削減できる資源として「電気」、「ガス」がそれぞれ表示されている。
【0076】
適用施設数表示項目1002a、1002b(以下1002)には、施策名と施設とを関連付けた施設情報として、同一の施策名が適用できる施設数が示されている。例として、1002aでは「3施設に適用可」と表示されている。これは、3つの施策データの拠点IDはそれぞれ異なるが、施策名データは3つとも同じであることを意味し、施策名「冷暖房期間の短縮」が企業の3施設で適用できることを示す。1002bでは「2施設に適用可」と表示されており、施策名「年間冷房の禁止と中間期の設定」が企業の2施設で適用できることを示す。
【0077】
任意の施策表示区画1001をクリックすると、詳細表示画面1006が表示される。詳細表示画面1006の適用施設表示項目1007では、施策データの拠点IDに基づき、施策名と施設とを関連付けた施設情報として同一の施策名が適用される具体的な施設名が表示される。
【0078】
例として、適用施設表示項目1007には、適用施設数表示項目1002aに示された「3施設に適用可」の具体的な3施設として、「アメリカ」、「関東工場」、「本店」が表示されている。
【0079】
なお、詳細表示画面1006には、解説ファイルデータの内容など任意の項目を追加して表示することもできる。
【0080】
上記実施形態で説明した処理の順序は、必ずしも説明した順序で実行される必要がなく、任意の順序で実行されてもよい。さらに、本発明の基本的な概念から逸脱することなく、追加の処理が新たに加えられてもよい。
【0081】
以上のとおり、本実施形態に係る支援システム100が構成されている。次に、支援システム100の効果を説明する。
【0082】
本実施形態によれば、建物情報は、企業の業種、建物用途、所有形態、および設備区分を含むため、建物情報に基づいて削減情報記憶部130を読み込むことで、それぞれの拠点の性質に応じた温室効果ガス削減目標達成のための効果的な施策を利用者に提供することができる。
【0083】
本実施形態によれば、施策データの拠点識別情報に基づいて、施策名と施設とを関連付けた施設情報を示す表示手段をさらに含むため、施策データが拠点IDを有することで、温室効果ガス削減目標達成のための施策と企業の各施設との関係を利用者が効率的かつ迅速に画面上で把握することができる。
【0084】
本実施形態によれば、施策名と施設とを関連付けた施設情報は、施策名が適用できる施設数と、施策名が適用できる施設名とを含むため、利用者は同一施策が適用できる施設数と施設名とを画面上で瞬時に理解することができる。
【0085】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。例えば、支援システム100や管理施設サーバ101の記憶部116の各手段120乃至123の役割は、上述の例に限定されない。
【符号の説明】
【0086】
100 支援システム
101 管理施設サーバ
102 管理者
103 ネットワーク
104a、104b 利用者端末
110 制御部
111 入力部
112 出力部
113 メモリ部
114 送受信部
115 システムバス
116 記憶部
120 受信手段
121 レベル決定手段
122 作成手段
123 表示手段
130 削減情報記憶部
131 利用者端末情報記憶部
132 施策情報記憶部
800 業種入力画面
900 建物情報入力画面
1000 施策表示画面
1006 詳細表示画面
【要約】
【課題】建物の特性を用いることで、その建物により適した温室効果ガス排出量削減目標達成のための施策データを提供し、建物の性質に応じた効率的かつ効果的な温室効果ガス排出量削減に資する支援システム、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】受信手段120と、レベル決定手段121と、作成手段122とを備える支援システム100により、建物の特性を反映した温室効果ガス排出量削減目標達成のための施策が提供されるため、拠点の性質に応じた施策を提供するだけでなく、数々の拠点を含めた企業全体での温室効果ガス排出量削減を効率的にかつ正確に行うことができる。
【選択図】
図2