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特許7481572車両制御方法、車両制御装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】車両制御方法、車両制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 60/00 20200101AFI20240501BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20240501BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B60W60/00
B60W30/06
G08G1/16 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023506413
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010448
(87)【国際公開番号】W WO2022195689
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 和哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 智也
(72)【発明者】
【氏名】原田 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 康臣
(72)【発明者】
【氏名】一津屋 美岐
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131501(JP,A)
【文献】特開平11-085281(JP,A)
【文献】特開2018-010579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リア内を走行する車両をコントローラが制御する車両制御方法であって、
前記コントローラは、
災害の発生を検知し、かつ、前記車両に人が乗っていないと判断した場合、前記車両を退避場所へ退避させ、
前記退避場所は、
前記退避した車両が避難者の避難経路外への通行を妨げる場所と、前記退避した車両が避難者の危険区域への侵入を妨げる場所の、少なくとも一つである
両制御方法
【請求項2】
前記エリアは建物であり、
前記コントローラは、
通路を前記退避場所に設定する際、前記車両の周辺の視界が良好であると判断した場合には、前記車両を前記通路の壁際に移動させる
求項1に記載の車両制御方法
【請求項3】
前記エリアは建物であり、
前記コントローラは、
通路を前記退避場所に設定する際、前記車両の周辺の視界が不良であると判断した場合には、前記車両を前記通路の壁から離れた位置に移動させる
求項1に記載の車両制御方法
【請求項4】
前記コントローラは、
前記車両が前記退避場所へ移動した後、一時退避の終了条件が成立したと判断した場合、前記車両を最終的な待機場所へ移動させる
求項1記載の車両制御方法
【請求項5】
前記退避場所は避難経路の通路内である
請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記退避場所に移動させた前記車両の照明を点灯させる
請求項5に記載の車両制御方法。
【請求項7】
前記危険区域は、前記災害が発生した箇所である
請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項8】
建物内を走行する車両をコントローラが制御する車両制御方法であって、
前記コントローラは、
災害の発生を検知し、かつ、人の乗っていない車両が建物の通路内に存在すると判断した場合、前記車両を前記通路内の退避場所に退避させ、
前記通路内の視界の良好さに応じて前記通路内の退避場所を変化させる
両制御方法。
【請求項9】
エリア内を走行する車両をコントローラが制御する車両制御装置であって、
前記コントローラは、
災害の発生を検知し、かつ、前記車両に人が乗っていないと判断した場合、前記車両の退避場所の目的地を示す情報を前記車両に送信し、
前記退避場所は、
前記車両が避難者の避難経路外への通行を妨げる場所と、前記車両が避難者の危険区域への侵入を妨げる場所の、少なくとも一つである
車両制御装置。
【請求項10】
建物内を走行する車両をコントローラが制御する車両制御装置であって、
前記コントローラは、
災害の発生を検知し、かつ、人の乗っていない車両が建物の通路内に存在すると判断した場合、前記車両を前記通路内の退避場所に退避させ、
前記通路内の視界の良好さに応じて前記通路内の退避場所を変化させる
車両制御装置。
【請求項11】
エリア内を走行する車両を制御するコンピュータに、
災害の発生を検知し、かつ、前記車両に人が乗っていないと判断した場合、前記車両の退避場所の目的地を示す情報を前記車両に送信する
処理を実行させ、
前記退避場所は、
前記車両が避難者の避難経路外への通行を妨げる場所と、前記車両が避難者の危険区域への侵入を妨げる場所の、少なくとも一つである
プログラム。
【請求項12】
建物内を走行する車両を制御するコンピュータに、
災害の発生を検知し、かつ、人の乗っていない車両が建物の通路内に存在すると判断した場合、前記車両を前記通路内の退避場所に退避させ、
前記通路内の視界の良好さに応じて前記通路内の退避場所を変化させる
処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車両制御装置、車両制御システムおよび車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型商業施設や医療介護施設といった所定のエリア内において、ユーザの移動を支援する車両である超小型モビリティやパーソナルモビリティ(以下、単に「モビリティ」と言う)が知られている。
【0003】
また、このようなモビリティを移動させるユーザの負担を軽減するために、ユーザがモビリティに目的地を入力すると、目的地までの経路を生成し、自動的に目的地までモビリティを経路に従って移動させる車両制御システムも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-010579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、火災や地震などの災害が発生した際のモビリティの車両制御については検討が進んでおらず、安全性の面からもかかる点を充実させる必要がある。たとえば、避難時において、モビリティ自体が避難者の避難行動の妨げになってはならない。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、避難者の避難行動の妨げとなることを防止することができる車両制御装置、車両制御システムおよび車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る車両制御方法は、リア内を走行する車両をコントローラが制御する車両制御方法であって、前記コントローラは、災害の発生を検知し、かつ、前記車両に人が乗っていないと判断した場合、前記車両を退避場所へ退避させる。前記退避場所は、前記退避した車両が避難者の避難経路外への通行を妨げる場所と、前記退避した車両が避難者の危険区域への侵入を妨げる場所の、少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、避難者の避難行動の妨げとなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その1)である。
図4図4は、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その2)である。
図5図5は、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その3)である。
図6図6は、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その4)である。
図7図7は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、災害時モード中の車両の状態を示す図である。
図10図10は、変形例に係る災害時モード中の無人車両の動作説明図(その1)である。
図11図11は、変形例に係る災害時モード中の無人車両の動作説明図(その2)である。
図12図12は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車両制御装置、車両制御システムおよび車両制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、実施形態に係る車両Vが、大型商業施設や医療介護施設、空港施設といった所定のエリア内において、ユーザの移動を支援する車両である超小型モビリティやパーソナルモビリティであるものとする。
【0012】
なお、上記の各施設は、大型デパートのような1つの建物で構成される施設であってもよいし、ショッピングモールのような敷地内に複数の建物が設けられた施設であってもよい。また、建物は、複数の階層からなる建物であってもよいし、階層なしの平屋の建物であってもよい。
【0013】
また、車両Vは、施設の運営側が施設を利用する利用者に貸し出すものであってもよいし、利用者が施設外で普段から使用している私有のものであってもよい。なお、私有の車両Vの場合には、施設への来場前や来場時に、以下に説明する車両V側の情報処理を可能とするアプリケーションを予めダウンロードしてインストールしておけばよい。
【0014】
また、以下では、実施形態に係る車両制御装置が、車両Vに搭載される車載装置10である場合を例に挙げて説明を行う。
【0015】
図1は、実施形態に係る車両Vの概略構成を示す図である。また、図2は、実施形態に係る車両制御システムの構成例を示す図である。また、図3図6は、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その1)~(その4)である。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る車両Vは、超小型モビリティやパーソナルモビリティとして知られる1~2人乗り程度の電動車両である。なお、ここでは、車両Vを動力としてモータを用いる電動車両として記載しているが、動力として内燃機関等、その他の動力を用いる車両であってもよい。車両Vには、同図に示すようなカート型の他、車椅子型や立ち乗り型など様々なタイプのものがある。
【0017】
同図に示すように、車両Vは、車載装置10を備える。車載装置10は、制御部と、通信部とを有する。制御部は、ユーザの運転操作による手動運転制御や、通信部を介して取得した外部装置からの指示、および、図示略の車載センサ部を介して取得した外部状況等に基づく自動運転制御によって、車両Vを制御する。
【0018】
なお、車載装置10は、同図に示すようにユーザが乗車中の有人状態、または、ユーザが乗車中でない無人状態のいずれにおいても、車両Vを自動運転制御により自動走行させることが可能である。以下では、有人状態の車両Vを「有人車両V-m」と、無人状態の車両Vを「無人車両V-u」と言う場合がある。
【0019】
このような車両Vは、近年、大型商業施設や医療介護施設といった施設内におけるユーザの移動の足として導入され始めている。しかしながら、火災や地震などの災害が発生した際のこうした車両Vの車両制御については、まだまだ検討が進んでいない。したがって、安全性の面からも、災害発生時における車両Vの車両制御方法を充実させることが望ましい。
【0020】
そこで、実施形態に係る車両制御方法では、避難が必要となる災害が発生した場合に、車両Vが人の乗っていない状態であるならば、当該車両Vを避難者の避難の妨げとならない退避場所へ移動させることとした。
【0021】
具体的に、実施形態に係る車両制御方法を適用した車両制御システム1について説明する。図2に示すように、実施形態に係る車両制御システム1は、有人車両V-m、無人車両V-uを含む車両Vと、サーバ装置100と、災害情報提供装置200とを含む。有人車両V-mと無人車両V-uとはそれぞれ、施設内での台数は1台でも複数台でもよい。また、有人車両V-mと無人車両V-uとは、基本的に同じ構成の車両Vであって、人が乗っているかいないかだけが異なる。なお、無人車両V-uを有人車両V-mと異なる構成の車両V、たとえば、荷物搬送専用の車両Vで構成してもよい。
【0022】
サーバ装置100は、車両Vを含む施設内の各種装置を管理・制御する装置であり、たとえば施設内に設けられる。なお、サーバ装置100は、クラウドサーバとして実現され、たとえば施設外に設けられてもよい。
【0023】
災害情報提供装置200は、たとえば気象庁等の災害情報提供機関に設けられ、火災や地震等の災害情報を提供する装置である。なお、災害情報提供装置200は、民間の災害情報提供サービスを提供する事業者によって運営・管理される装置であってもよい。
【0024】
車両V、サーバ装置100、および、災害情報提供装置200は、インターネットや携帯電話回線網等であるネットワークNを介して相互に通信可能に設けられる。また、車両V同士も、たとえば車々間通信等によって相互に通信することが可能である。
【0025】
そして、施設内あるいは施設外において避難が必要となる災害が発生した場合、車両Vおよびサーバ装置100は、自身が取得した施設内の状況や災害情報提供装置200から提供された災害情報に基づいてこれを検知する。
【0026】
ここで、災害が発生した場合、有人車両V-mに乗車中のユーザはもちろんのこと、施設内に存在する大半の人々(以下、「避難者」と言う)は、施設の指定避難場所として予め定められている最終避難場所へ移動する避難行動を取ることとなる。最終避難場所とは、災害発生時に施設側が従業員や利用客を避難誘導し向かわせる最終的な場所である。最終避難場所の例としては、火災・地震であれば、たとえば建物の外(屋外)であり、津波であれば、たとえば階上(屋上を含む)であるといった、各施設で予め定められた避難場所である。このような避難行動を支援するため、実施形態に係る車両制御方法では、図3に示すように、まず有人車両V-mは、災害の発生を検知すると、災害時有人モードへと移行する(ステップS1)。
【0027】
これと並行して、サーバ装置100は、カメラ等を含む各種センサである施設内センサ部を介して施設内の状況を取得し、これに基づいて有人車両V-mが移動可能な範囲内における避難に適した避難場所およびそこを目的地とする避難経路を算出する(ステップS2)。
【0028】
なお、ここに言う「避難に適した避難場所」とは、上記の最終避難場所の他、最終避難場所ではないが、避難に向けて待機可能な一時的な避難場所である。一時的な避難場所は、たとえば火災であれば、火元から離れた場所で、外への窓(避難窓)等が設置されている場所である。また、地震であれば、さらに広い空間等を有する場所である。
【0029】
また、階層を移動して避難する際の避難口としては、エレベータと階段(非常口)の他に、停止していても歩いて昇降が可能なエスカレータも含まれる。また、車両Vに乗ったまま走行して、階層移動が可能なスロープが設けられていてもよい。
【0030】
また、災害時における非常口としては、通常時には利用客は進入できないようになっている進入禁止領域(スタッフオンリーの領域)に存在する経路への入り口も含まれる。進入禁止領域の入り口を案内した場合には、利用客向けの領域ではないことから壁等に設けられている案内表示が不十分な場合があるため、進入禁止領域に入った後の経路案内も行うことが好ましい。
【0031】
そして、サーバ装置100は、算出した避難経路を有人車両V-mへ指示する(ステップS3)。避難経路を指示された有人車両V-mは、これに従って避難場所へ移動する(ステップS4)。
【0032】
なお、このとき、サーバ装置100は、避難経路をガイダンスするガイダンス情報を有人車両V-mへ通知し、かかるガイダンス情報に従って、有人車両V-mに乗車中のユーザが自身で運転操作する手動運転制御により有人車両V-mを移動させてもよい。また、サーバ装置100の指示に従って、車載装置10が有人車両V-mを自動運転制御により自動走行させて移動させてもよい。
【0033】
一方、無人車両V-uは、避難者の避難行動の妨げとなってはならない。そのために、図4に示すように、実施形態に係る車両制御方法では、無人車両V-uは、災害の発生を検知すると、災害時無人モードへと移行する(ステップS5)。
【0034】
そして、無人車両V-uは、サーバ装置100が施設内の状況に基づいて算出する一時退避場所の指示を受けると(ステップS6,S7)、これに従って、自動運転により、避難者の避難の妨げとならない一時退避場所へ移動する(ステップS8)。
【0035】
具体的には、図5に示すように、車載センサ部により視界良好であると検知される場合には、一時退避場所において、無人車両V-uは、避難者の避難場所eへと至る通路の端である路肩(建物内であれば通路の壁際)へ退避する。これにより、視界良好な状況において避難者の通行を妨げるのを防止することができる。
【0036】
一方で、図6に示すように、車載センサ部により視界不良であると検知される場合には、一時退避場所において、無人車両V-uは、避難者の避難場所eへと至る通路の中央付近へ退避する。火災による煙や、停電等による照明の非点灯などで視界不良な状況においては、避難者は、壁伝いに移動することが多いためである。これにより、視界不良な状況において避難者の通行を妨げるのを防止することができる。
【0037】
なお、図5および図6に示すように、無人車両V-uは、一時退避中はたとえば通路に沿って縦列に並ぶなど、整列して停車することが好ましい。これにより、避難者の通行を妨げるのを防止する他、避難場所eへと至る避難経路を、無人車両V-uの並びによって避難者へガイドすることが可能となる。また、災害の発生箇所といった危険区域への通行を妨げるように停車してもよい。こうした例は、図11を用いた説明で後述する。また、上記の一時退避状態にある車両Vについては、ライト点灯や音声案内を行って、車両Vのライトを付けることにより、車両Vの存在を示すとともに、避難者の移動を支援してもよい。かかる例については、図9等を用いた説明で後述する。
【0038】
このように、実施形態に係る車両制御方法では、避難が必要となる災害が発生した場合に、車両Vが人の乗っていない状態であるならば、当該車両Vを避難者の避難の妨げとならない退避場所へ移動させることとした。
【0039】
したがって、実施形態に係る車両制御方法によれば、避難者の避難行動の妨げとなることを防止することができる。以下、実施形態に係る車両制御システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0040】
図7は、実施形態に係る車載装置10の構成例を示すブロック図である。また、図8は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示すブロック図である。なお、図7および図8では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0041】
換言すれば、図7および図8に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0042】
また、図7および図8を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0043】
車載装置10は、CAN(Controller Area Network)等を介し、車両機構3と、車載センサ部5と、ライト7と、HMI(Human Machine Interface)部9とが接続される。
【0044】
車両機構3は、車両Vの走行系や電力系等を構成する各種の機構である。車載センサ部5は、車両Vに搭載され、車両Vの内外の状況を示す各種のセンシングデータを出力するセンサ群である。車載センサ部5は、たとえば、カメラや、Gセンサや、レーダや、GPSセンサや、着座センサ等を含む。
【0045】
ライト7は、前照灯や尾灯といった車両Vに搭載される灯火類である。HMI部9は、ユーザと車両Vが情報をやり取りするための各種のインタフェース部品であって、アクセルやブレーキ、ステアリング、表示部、スピーカ、マイクといったハードウェア部品の他、表示部に表示されるソフトウェア部品を含む。
【0046】
車載装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0047】
通信部11は、前述のネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、サーバ装置100および災害情報提供装置200との間で各種情報の送受信を行う。また、通信部11は、V2X通信を介して、他の車両Vや、施設内に設置された路側機、人が携帯する携帯端末装置といった各種装置との間で各種情報の送受信を行うことも可能である。具体的な無線通信方式としては、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を用いることができる。
【0048】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイス、または、ハードディスク装置、光ディスク装置等のディスク装置などによって実現され、図7の例では、記憶部12は、車両制御情報12aと、施設情報12bと、自動運転制御モデル12cとを記憶する。
【0049】
車両制御情報12aは、車両Vの車両制御に関する情報であり、たとえば車両機構3の各種の特性を示すパラメータ等を含む。施設情報12bは、施設に関する情報であり、たとえば車両Vが走行する施設内の地図情報等を含む。
【0050】
自動運転制御モデル12cは、車両Vを自動運転させるための制御モデルであり、たとえば車載センサ部5のセンシングデータに基づく認識内容に応じて車両Vを自動運転制御させるように学習されたDNN(Deep Neural Network)等である。なお、自動運転制御モデル12cは、サーバ装置100側が記憶するようにしてもよい。
【0051】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0052】
制御部13は、車両制御部13aと、取得部13bと、検知部13cと、モード設定部13dと、認識部13eと、自動運転制御部13fとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0053】
車両制御部13aは、HMI部9を介したユーザの運転操作、後述する自動運転制御部13fによる自動運転指示、サーバ装置100からの指示、および、車両制御情報12a等に基づき、車両Vを制御する。
【0054】
取得部13bは、車載センサ部5からの各種のセンシングデータを取得する。また、取得部13bは、通信部11を介して、サーバ装置100および災害情報提供装置200からの各種情報を取得する。
【0055】
検知部13cは、取得部13bによって取得された各種情報に基づいて、災害の発生を検知する。また、検知部13cは、災害の発生を検知した場合に、車両Vにユーザが乗車中であるか否かを検知する。
【0056】
モード設定部13dは、検知部13cによって災害の発生が検知された場合に、車両Vを通常モードから災害時モードへ移行させる。このとき、モード設定部13dは、車両Vにユーザが乗車中である場合には、車両Vを災害時有人モードへ移行させる。また、車両Vにユーザが乗車中でない場合には、車両Vを通常モードから災害時無人モードへ移行させる。なお、通常モードは、ユーザの乗車時には、ユーザの操作に基づいて車両Vを走行させる。また、通常モードは、ユーザの非乗車時等には、サーバ装置100の指示に基づいて車両Vを自動運転で指定された場所まで走行させたり、所定の巡回経路を走行させたりする。
【0057】
図9は、災害時モード中の車両の状態を示す図である。図9に示すように、モード設定部13dは、災害時モード中は、有人車両V-mおよび無人車両V-uのいずれについても、ライト7を自動的に点灯させる。これにより、周辺の避難者に車両Vの存在を分かりやすく示すとともに、周辺の視界を良くし、避難者の避難行動を支援することができる。ライト7の点灯は、特に視界不良時に行うと有効である。また、ライト7の点灯は、災害時には常時点灯させるようにしてもよいし、視界不良や人の接近を検知したときにのみ点灯させるようにしてもよい。
【0058】
なお、HMI部9にスピーカが含まれる場合には、これを通じ、モード設定部13dは、避難に関するガイダンス情報を音声情報により周辺へ通知するようにしてもよい。また、HMI部9に表示部が含まれる場合には、これを通じ、モード設定部13dは、避難に関するガイダンス情報を表示情報により周辺へ通知するようにしてもよい。また、音声情報および表示情報を組み合わせてもよい。また、音声情報や表示情報による案内は、災害発生時には常時行う(所定時間ごとに定期的に行う場合を含む)ようにしてもよいし、人の接近を検知したときにのみ行うようにしてもよい。
【0059】
図7の説明に戻る。認識部13eは、車載センサ部5のセンシングデータ等に基づき、車両Vの周辺の状況を認識する。認識部13eは、周辺の視界の状況を認識し、視界不良である場合には、前述のライト7をたとえば点滅に変更し、周辺の避難者に車両Vの存在を分かりやすくする。
【0060】
自動運転制御部13fは、認識部13eによる認識結果および自動運転制御モデル12cに基づいて、車両Vの自動運転制御を行い、車両制御部13aに車両Vを自動走行させる。
【0061】
また、自動運転制御部13fは、車両Vが災害時無人モードである場合には、サーバ装置100から一時退避場所の指示を受けると、かかる指示に従って、車両Vを避難者の避難の妨げとならない一時退避場所へ移動させる。
【0062】
このとき、自動運転制御部13fは、図5を用いて既に説明したが、視界良好である場合には、一時退避場所において、無人車両V-uを避難者の避難場所eへと至る通路の路肩へ退避させる。これにより、視界良好な状況において避難者の通行を妨げるのを防止することができる。
【0063】
また、自動運転制御部13fは、図6を用いて既に説明したが、視界不良である場合には、一時退避場所において、無人車両V-uを避難者の避難場所eへと至る通路の中央付近へ退避させる。これにより、視界不良な状況において避難者の通行を妨げるのを防止することができる。
【0064】
なお、視界良好であるか否かは、認識部13eによる認識結果に基づくものであってもよいし、後述する施設内センサ部50のセンシングデータに基づいてサーバ装置100が判断したものであってもよい。
【0065】
ここで、災害時モード中の無人車両V-uの動作の変形例について、より具体的に説明する。図10は、変形例に係る災害時モード中の無人車両V-uの動作説明図(その1)および(その2)である。
【0066】
図10に示すように、たとえばサーバ装置100は、1台の無人車両V-u1に対し、一時退避場所およびそこまでの退避経路とともに、退避経路の途中に存在する他の無人車両V-u2,u3…を先導するように指示する。
【0067】
そして、サーバ装置100は、無人車両V-u2,u3…に対しては、無人車両V-u1を先頭に、退避経路の途中に存在する順に、前の無人車両V-uに追従するように指示する。そして、無人車両V-u1の自動運転制御部13fは、無人車両V-u1を自動走行で一時退避場所まで退避させる。
【0068】
一方、無人車両V-u2,u3…の自動運転制御部13fは、自身が追従することとなる無人車両V-uが接近すると、たとえば車々間通信によってこれを検知し、各無人車両V-u2,u3…を、自身の前の無人車両V-uに追従して自動走行で一時退避場所まで退避させる。
【0069】
これにより、一時退避場所において、無人車両V-uをたとえば整列させやすくすることが可能となる。
【0070】
また、無人車両V-uは、一時退避中はこのように整列させることが好ましいことは既に述べたが、整列させた無人車両V-uの並びによって避難経路を避難者へガイドすることができれば、より避難者の安全性に資することができる。
【0071】
たとえば、図11に示すように、無人車両V-uは、無人車両V-u1,u2,u3のように通路の中央付近(あるいは壁伝い)に整列させる他、無人車両V-u4,u5のように、避難者の避難場所eへと至る避難経路外への通行を妨げるように退避させてもよい。
【0072】
また、無人車両V-uは、無人車両V-u6,u7のように、災害が発生した危険区域への通行を妨げるように退避させてもよい。これにより、避難者が避難経路外へ逸れたり、危険区域へ誤って進入したりするのを防ぐことができるので、避難者の安全性を確保するのに資することができる。
【0073】
なお、通路を塞ぐように車両Vを配置する場合、避難者の邪魔にならないように、災害発生時の車両位置に最も近い脇道箇所(移動距離が少ない場所)に配置するとよい。また、火災等が発生している危険な箇所への脇道や、避難者が道を間違えやすい箇所に優先的に配置するようにしてもよい。この際も、避難者の邪魔にならないように、災害発生時の車両位置に近い位置に優先的に配置するようにすることが望ましい。
【0074】
また、図11の場合において、人が近づいてきたことを検知すると、ライト7を点灯・点滅させたり、音声案内を行ったりすることで、避難者に注意を促すようにするとよい。その際、音声情報や表示情報で、進行しようとしている方向は避難経路でないことや、危険なので通路を塞いでいること、正しい避難経路などを案内するようにしてもよい。
【0075】
図7の説明に戻る。また、自動運転制御部13fは、一時退避場所に退避後、周辺に所定時間以上人が居ない状態が続いた場合といった一時退避の終了条件が成立すると、無人車両V-uを車庫等の本来の待機場所へ自動走行で移動させることができる。
【0076】
なお、周辺に所定時間以上人が居ないか否かは、認識部13eによる認識結果に基づくものであってもよいし、後述する施設内センサ部50のセンシングデータに基づいてサーバ装置100が判断したものであってもよい。
【0077】
このように、避難者の避難後に無人車両V-uを本来の待機場所へ移動させることにより、災害の進行によって車両Vそのものが損傷することを防ぐことができる。なお、一時退避の終了条件としては、サーバ装置100から指示がある、災害発生から所定時間が経過した、一時退避完了から所定時間が経過した、等が挙げられる。
【0078】
また、本来の待機場所が災害の影響によって危険な場合や、その場所に移動する経路が災害で走行できなくなっている場合には、代替えの待機場所を選択してその場所に移動する。本来の待機場所や代替えの待機場所は、人を避難させた場所と同じでもよい。なお、本来の待機場所や代替えの待機場所は、車両Vの回収等の事後対応のため、できる限り施設内のすべての無人車両V-uが同じ箇所に集まるように設定することが望ましいが、スペース的に集められる余裕がない、通路が塞がれている等で集まられないといった場合には、複数の箇所に分散させるようにしてもよい。
【0079】
つづいて、サーバ装置100の構成例について説明する。図8に示すように、サーバ装置100は、施設内センサ部50が接続される。
【0080】
施設内センサ部50は、施設内に設置され、施設内の状況を示す各種のセンシングデータを出力するセンサ群である。施設内センサ部50は、たとえば、カメラや、人感センサや、温湿度センサや、Gセンサや、振動センサ等を含む。
【0081】
また、サーバ装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。通信部101は、上述した通信部11と同様に、たとえば、NIC等によって実現される。
【0082】
通信部101は、前述のネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置10および災害情報提供装置200との間で各種情報の送受信を行う。なお、無線接続される場合の具体的な無線通信方式としては、Wi-Fiや、Bluetooth、UWB等を用いることができる。
【0083】
記憶部102は、上述した記憶部12と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の記憶デバイス、または、ハードディスク装置、光ディスク装置等のディスク装置などによって実現され、図8の例では、記憶部102は、施設管理情報102aを記憶する。
【0084】
施設管理情報102aは、サーバ装置100が管理する施設に関する種々の情報である。施設管理情報102aは、たとえば施設内のすべての地図情報や、すべての防災設備の情報、災害発生時の指定避難場所、施設内のモニタ監視情報、車両Vの現在の状態等を含む。車両Vの現在の状態は、車両Vの現在位置や、車両Vの使用状況、使用中のユーザの属性情報等を含む。ユーザの属性情報は、たとえばユーザの自力での移動がどの程度可能なのかといった属性を示す情報である。たとえば、健常者であれば、車両Vから降りても、車両Vを利用していない他のユーザと同じ移動が可能であるという属性となる。また、たとえば、身体障害者であれば、自力での移動は困難で、介護者等のサポートが必要になるといった属性となる。その他、高齢者といった属性も考えられる。
【0085】
制御部103は、上述した制御部13と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、記憶部102に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、上述した制御部13と同様に、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0086】
制御部103は、取得部103aと、監視部103bと、検知部103cと、算出部103dと、指示部103eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0087】
取得部103aは、施設内センサ部50からの各種のセンシングデータを取得する。また、取得部103aは、通信部101を介して、車両Vおよび災害情報提供装置200からの各種情報を取得する。
【0088】
監視部103bは、取得部103aによって取得されたセンシングデータに基づいて、施設内の状況をリアルタイムに監視する。
【0089】
検知部103cは、取得部103aによって取得された各種情報に基づいて、災害の発生を検知する。算出部103dは、検知部103cによって災害の発生が検知された場合に、施設管理情報102aに基づいて各車両Vの移動場所および移動経路を算出する。
【0090】
算出部103dは、有人車両V-mに対しては、有人車両V-mが移動可能な範囲内における避難に適した避難場所およびそこを目的地とする避難経路を算出する。なお、避難経路において、非常階段(非常口)ではない、通常の階段やエスカレータ等を含めてもよい。また、算出部103dは、無人車両V-uに対しては、無人車両V-uが避難者の通行の妨げとならないことに適した一時退避場所およびそこを目的地とする退避経路を算出する。
【0091】
指示部103eは、通信部101を介し、算出部103dによって算出された移動場所および移動経路を車両Vへ指示する。すなわち、指示部103eは、有人車両V-mに対しては、有人車両V-mが移動可能な範囲内における避難に適した避難場所およびそこを目的地とする避難経路を指示する。また、指示部103eは、無人車両V-uに対しては、無人車両V-uが避難者の通行の妨げとならないことに適した一時退避場所およびそこを目的地とする退避経路を指示する。
【0092】
次に、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順について説明する。図12は、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
図12に示すように、検知部13cが、災害が発生したか否かを検知する(ステップS101)。災害が発生した場合(ステップS101,Yes)、検知部13cは、ユーザが乗車中であるか否かを検知する(ステップS102)。災害が発生していなければ(ステップS101,No)、通常モードが維持され、通常モードでの制御が行われつつ、ステップS101を繰り返す。
【0094】
そして、ユーザが乗車中である場合(ステップS102,Yes)、すなわち車両Vが有人車両V-mである場合、モード設定部13dが車両Vを災害時有人モードへ移行させる(ステップS103)。ユーザが乗車中でない場合(ステップS102,No)、後述するステップS107へ遷移する。
【0095】
そして、取得部13bは、サーバ装置100によって指示される避難場所およびそこを目的地とする避難経路を取得する(ステップS104)。そして、車両制御部13aが、車両Vを避難経路に従って避難場所へ移動させる(ステップS105)。なお、このとき、車両Vを手動走行させてもよいし、自動走行させてもよい。
【0096】
そして、検知部13cが、ユーザが降車したか否かを検知する(ステップS106)。ユーザが降車していない場合(ステップS106,No)、ステップS106を繰り返す。ユーザが降車した場合(ステップS106,Yes)、ステップS107へ遷移する。
【0097】
ユーザが乗車中でない場合(ステップS102,No)、また、乗車していたユーザが降車した場合(ステップS106,Yes)、モード設定部13dが車両Vを災害時無人モードへ移行させる(ステップS107)。
【0098】
そして、取得部13bは、サーバ装置100によって指示される一時避難場所を取得する(ステップS108)。そして、自動運転制御部13fが、車両制御部13aに自動走行で車両Vを避難者の避難の妨げとならない一時退避場所へ移動させる(ステップS109)。
【0099】
そして、検知部13cが、一時退避が終了したか否かを検知する(ステップS110)。すなわち、検知部13cは、車両Vが一時退避場所に退避後、周辺に人が居ない状態が所定時間以上続いたか否かを検知する。
【0100】
一時退避が終了していない場合(ステップS110,No)、ステップS110を繰り返す。一時退避が終了した場合(ステップS110,Yes)、自動運転制御部13fが、車両制御部13aに自動走行で車両Vを本来の待機場所へ移動させ(ステップS111)、処理を終了する。
【0101】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、所定の施設(「エリア」の一例に相当)内を走行する車両Vに搭載される車両制御装置であって、制御部13を備える。制御部13は、避難が必要となる災害が発生した場合に、車両Vが人の乗っていない状態であるならば、当該車両Vを避難者の避難の妨げとならない一時退避場所(「退避場所」の一例に相当)へ移動させる。
【0102】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、避難者の避難行動の妨げとなることを防止することができる。
【0103】
また、施設は建物であり、制御部13は、通路を一時退避場所にする際、車両Vの周辺の視界が良好である場合には、車両Vを通路の壁際に移動させる。
【0104】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、車両Vの周辺の視界が良好である場合に、避難者を避難経路に沿って避難しやすくすることができる。
【0105】
また、制御部13は、通路を一時退避場所にする際、車両Vの周辺の視界が不良である場合には、車両Vを通路の壁から離れた位置に移動させる。
【0106】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、車両Vの周辺の視界が不良である場合に、避難者が伝いがちな壁際に沿って避難者を避難しやすくすることができる。
【0107】
また、制御部13は、車両Vが上記退避場所へ移動した後、一時退避の終了条件(たとえば、周辺に人が居ない状態が所定時間以上継続)が成立したならば、車両Vを最終的な待機場所へ移動させる。
【0108】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、災害の進行によって車両Vそのものが損傷することを防ぐことができる。
【0109】
また、制御部13は、避難者の避難経路外への通行を妨げる場所を一時退避場所にする。
【0110】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、避難者が避難経路外へ逸れるのを防ぐことができるので、避難者の安全性を確保することができる。
【0111】
また、制御部13は、避難者の危険区域への進入を妨げる場所を一時退避場所にする。
【0112】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、避難者が危険区域へ誤って進入するのを防ぐことができるので、避難者の安全性を確保することができる。
【0113】
なお、上述した実施形態では、無人車両V-uが、ユーザが乗車可能な車両Vを前提としたが、無人車両V-uは無人に特化した車両であってもよい。たとえば、無人車両V-uは、無人型の自走式掃除ロボットや、自走式ポーターロボット等であってもよい。
【0114】
また、車両Vは、2人以上が乗車可能な車両であってもよい。また、車両Vは、利用客に貸し出すタイプのものではなく、所定の経路を巡回する、複数人が乗車可能な乗り合いバスのようなタイプのものであってもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、施設を所定のエリアの一例としたが、かかるエリアは施設内に限らず、無人のバスやタクシーが走行する営業エリアといった、より広い領域であってもよい。
【0116】
また、車両Vが災害時に行政機関等のサーバ装置の指示に基づいて動作させることが可能に設けられているのであれば、車両Vは所定のエリアに限って走行する車両ではなく、行政区域において個人が所有する車両であってもよい。
【0117】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 車両制御システム
10 車載装置
13 制御部
13a 車両制御部
13b 取得部
13c 検知部
13d モード設定部
13e 認識部
13f 自動運転制御部
100 サーバ装置
103 制御部
103a 取得部
103b 監視部
103c 検知部
103d 算出部
103e 指示部
200 災害情報提供装置
V 車両
V-m 有人車両
V-u 無人車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12