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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】香味吸引器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240501BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240501BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/51
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023512540
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014596
(87)【国際公開番号】W WO2022215153
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 則喜
(72)【発明者】
【氏名】桝田 雄気
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527222(JP,A)
【文献】特表2017-533717(JP,A)
【文献】特開2020-014433(JP,A)
【文献】特開2021-045105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、
前記蓋部と連結し前記本体に対して摺動するように構成されるスライダと、を有し、
前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、
前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成される、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記蓋部が前記閉位置と前記開位置との間を移動するとき、前記凸部は、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体と接触しない、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
前記蓋部は、第1方向において前記開位置と前記閉位置との間を移動可能であり、
前記凸部は、前記閉位置に位置する前記蓋部の前記第1方向における両端部の少なくとも一つと前記本体との間に設けられる、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記凸部は、前記本体に設けられ、
前記蓋部は、前記閉位置に位置する状態において前記凸部と対向する位置に凹部を有する、香味吸引器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記本体は、アウタハウジングと、前記アウタハウジング内に収容される内部部材と、を有し、
前記凸部は、前記アウタハウジングから外部に露出する前記内部部材の一部によって構成される、香味吸引器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記スライダを付勢して前記蓋部を前記開位置又は前記閉位置に付勢するバネを有する、香味吸引器。
【請求項7】
請求項6に記載された香味吸引器において、
前記スライダに設けられる磁石と、
前記蓋部が前記開位置又は前記閉位置に位置するときに前記磁石の磁界を検知するように構成されるホールセンサと、を有する、香味吸引器。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された香味吸引器において、
前記バネは、非磁性材料で構成される、香味吸引器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記本体は、前記消費材の挿入をガイドするガイド部材を有し、
前記開位置に位置する前記蓋部は、前記ガイド部材の少なくとも一部を覆う、香味吸引器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記蓋部は、第1方向において前記本体に対して摺動可能であり、
前記凸部は、前記第1方向と直交する第2方向に延在する突条部である、香味吸引器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記凸部は、前記本体に設けられ、
前記蓋部は、前記閉位置に位置する状態において前記凸部に対向する第1部分と、前記開位置に位置する状態において前記凸部に対向する第2部分と、を有し、
前記蓋部が前記閉位置に位置する状態における前記第1部分と前記凸部との距離は、前記蓋部が前記開位置に位置する状態における前記第2部分と前記凸部との距離よりも小さい、香味吸引器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記蓋部は、前記消費材の挿入方向からみて前記凸部に重なる、香味吸引器。
【請求項13】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記蓋部と連結するスライダと、
前記スライダを付勢して前記蓋部を前記開位置又は前記閉位置に付勢するバネと、を有し、
前記スライダは、スライダ本体と、前記スライダ本体から延びる第1連結部と、前記第1連結部の外周面の一部に設けられる第1つば部と、を有し、
前記バネは、コイル部と、前記コイル部から延びる第1アームと、前記第1アームの一端に形成され、前記第1連結部に巻回される第1巻回部と、を有し、
前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記第1アームは、前記第1連結部の延在方向から見て前記第1つば部と重なり、
前記バネは、前記コイル部から延びる第2アームと、前記第2アームの一端に形成される第2巻回部と、を有し、
前記香味吸引器は、前記第2巻回部が巻回される第2連結部と、前記第2連結部の外周面の一部に設けられる第2つば部と、を有し、
前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記第2アームは、前記第2連結部の延在方向から見て前記第2つば部と重なり、
前記蓋部が前記開位置と前記閉位置との間の中間位置に位置するとき前記第1つば部及び前記第2つば部が互いに対向するように、前記第1つば部及び前記第2つば部がそれぞれ前記第1連結部及び前記第2連結部に設けられる、香味吸引器。
【請求項14】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、を有し、
前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、
前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成され、
前記本体は、前記消費材の挿入をガイドするガイド部材を有し、
前記開位置に位置する前記蓋部は、前記ガイド部材の少なくとも一部を覆う、香味吸引器。
【請求項15】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、を有し、
前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、
前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成され、
前記蓋部は、第1方向において前記本体に対して摺動可能であり、
前記凸部は、前記第1方向と直交する第2方向に延在する突条部である、香味吸引器。
【請求項16】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、を有し、
前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、
前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成され、
前記凸部は、前記本体に設けられ、
前記蓋部は、前記閉位置に位置する状態において前記凸部に対向する第1部分と、前記開位置に位置する状態において前記凸部に対向する第2部分と、を有し、
前記蓋部が前記閉位置に位置する状態における前記第1部分と前記凸部との距離は、前記蓋部が前記開位置に位置する状態における前記第2部分と前記凸部との距離よりも小さい、香味吸引器。
【請求項17】
消費材を加熱可能な香味吸引器であって、
前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、
前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、を有し、
前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、
前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成され、
前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記蓋部は、前記消費材の挿入方向からみて前記凸部に重なる、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する。また、このような香味吸引器では、チャンバに香味発生物品を含む消耗品(タバコスティック等)を挿入するための開口と、この開口に外部からの塵等の侵入を防止するための開閉機構を有することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-14433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような開口及び開閉機構を香味吸引器が有する場合、香味吸引器のハウジングと開閉機構(蓋)との隙間から塵等の異物が、開口を通じて香味吸引器の内部、具体的には香味発生物品を加熱するチャンバ内に侵入する恐れがある。また、このようなハウジングと開閉機構との間に比較的大きな隙間が存在すると、開閉機構が大きくガタつく恐れもある。
【0005】
本発明の目的の一つは、香味吸引器の消耗品を挿入する開口に異物が侵入することを一層抑制することである。また、本発明の他の目的の一つは、香味吸引器の消耗品を挿入する開口を開閉する蓋がガタつくことを一層抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、消費材を加熱可能な香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、前記消費材が挿入される開口部を有する本体と、前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、前記閉位置に位置する前記蓋部と前記本体との間に設けられる凸部と、を有する。前記凸部は、前記蓋部又は前記本体に設けられ、前記凸部と、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体との間に隙間が形成される。
【0007】
第1態様によれば、閉位置に位置する蓋部と本体との間に凸部が存在することにより、閉位置に位置する蓋部と本体との隙間が縮小され得る。その結果、開口部に異物が侵入すること、および蓋部が大きくガタつくことが抑制され得る。また、凸部と凸部が設けられていない蓋部又は本体との間に隙間が形成されるので、凸部と蓋部又は本体とが互いに干渉することが抑制され得る。具体的には、蓋部を開閉する際に、凸部と蓋部又は本体とが摺動することが抑制され得るので、ユーザが蓋部の操作をスムーズに行うことができる。
【0008】
第2態様は、第1態様において、前記蓋部が前記閉位置と前記開位置との間を移動するとき、前記凸部は、前記凸部が設けられていない前記蓋部又は前記本体と接触しない、ことを要旨とする。
【0009】
第2態様によれば、蓋部を開閉する際に、凸部と蓋部又は本体とが摺動しないので、ユーザが蓋部の操作をスムーズに行うことができる。
【0010】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、前記蓋部は、第1方向において前記開位置と前記閉位置との間を移動可能であり、前記凸部は、前記閉位置に位置する前記蓋部の前記第1方向における両端部の少なくとも一つと前記本体との間に設けられる、ことを要旨とする。
【0011】
仮に凸部が蓋部の中央部分と本体との間に設けられる場合において蓋部がガタつくと、凸部を支点としてさらに蓋部がガタつく恐れがある。第3態様によれば、蓋部がガタついても蓋部の少なくとも一つの端部と本体との間の凸部により蓋部のガタつきを効率よく抑制することができる。また、蓋部の少なくとも一つの端部と本体との間に凸部が存在するので蓋部と本体との間に異物が侵入することを抑制することができる。
【0012】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記凸部は、前記本体に設けられ、前記蓋部は、前記閉位置に位置する状態において前記凸部と対向する位置に凹部を有する、ことを要旨とする。
【0013】
第4態様によれば、蓋部が凹部を有するので、閉位置から開位置に蓋部を移動させるときに本体に設けられた凸部が蓋部に摺動することが一層抑制され得るので、ユーザが蓋部の操作をスムーズに行うことができる。
【0014】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記本体は、アウタハウジングと、前記アウタハウジング内に収容される内部部材と、を有し、前記凸部は、前記アウタハウジングから外部に露出する前記内部部材の一部によって構成される、ことを要旨とする。
【0015】
第5態様によれば、凸部は、アウタハウジングとは異なる内部部材の一部によって構成されるので、例えばアウタハウジングを金属とし、凸部及び内部部材を加工が比較的容易な樹脂等で形成することができる。
【0016】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記蓋部と連結するスライダと、前記スライダを付勢して前記蓋部を前記開位置又は前記閉位置に付勢するバネと、を有する、ことを要旨とする。
【0017】
第7態様は、第6態様において、前記スライダに設けられる磁石と、前記蓋部が前記閉位置又は前記開位置に位置するときに前記磁石の磁界を検知するように構成されるホールセンサと、を有する、ことを要旨とする。
【0018】
第7態様によれば、ホールセンサにより、蓋部の開閉状態を検知することができる。
【0019】
第8態様は、第6態様又は第7態様において、前記バネは、非磁性材料で構成される、ことを要旨とする。
【0020】
第8態様によれば、バネが非磁性材料で構成されるので、香味吸引器が磁石及びホールセンサを有する場合において、バネが磁石によって磁化されることが抑制され、ホールセンサが磁化したバネの磁界を検知することが防止され得る。その結果、蓋部の開閉状態の誤検知が発生することが抑制され得る。
【0021】
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、前記本体は、前記消耗材の挿入をガイドするガイド部材を有し、前記開位置に位置する前記蓋部は、前記ガイド部材の少なくとも一部を覆う、ことを要旨とする。
【0022】
第9態様によれば、蓋部が開位置に位置するときでもガイド部材が完全に露出されないので、ユーザが本体の内部にアクセスすることを抑制することができ、例えばガイド部材等の本体の構成部品が分解されたり、本体が改造されたりすることが抑制され得る。
【0023】
第10態様は、第1態様から第9態様のいずれかにおいて、前記蓋部は、第1方向において前記本体に対して摺動可能であり、前記凸部は、前記第1方向と直交する第2方向に延在する突条部である、ことを要旨とする。
【0024】
第10態様によれば、凸部が第2方向に延在するので、蓋部の第2方向における両端部がガタつくことが抑制され得る。
【0025】
第11態様は、第1態様から第10態様のいずれかにおいて、前記凸部は、前記本体に設けられ、前記蓋部は、前記閉位置に位置する状態において前記凸部に対向する第1部分と、前記開位置に位置する状態において前記凸部に対向する第2部分と、を有し、前記蓋部が前記閉位置に位置する状態における前記第1部分と前記凸部との距離は、前記蓋部が前記開位置に位置する状態における前記第2部分と前記凸部との距離よりも小さい、ことを要旨とする。
【0026】
第11態様によれば、蓋部が閉位置に位置する状態では、蓋部(第1部分)と凸部との隙間が相対的に小さいので、蓋部が大きくガタつくことが抑制され得る。他方、蓋部が開位置に位置する状態では、蓋部(第2部分)と凸部との隙間が相対的に大きいので、蓋部と凸部とが互いに干渉することを抑制し、蓋部を閉位置から開位置に移動させるときの蓋部と凸部との摩擦を低減することができる。
【0027】
第12態様は、第1態様から第11態様のいずれかにおいて、前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記蓋部は、前記消費材の挿入方向からみて前記凸部に重なる、ことを要旨とする。
【0028】
第12態様によれば、凸部が蓋部によって覆われ、外部から凸部を見えにくくすることができる。そのため、凸部による香味吸引器のデザイン性への影響を抑制することができる。
【0029】
第13態様によれば、消費材を加熱可能な香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、前記消費材が挿入される開口部と、前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間を移動可能な蓋部と、前記蓋部と連結するスライダと、前記スライダを付勢して前記蓋部を前記開位置又は前記閉位置に付勢するバネと、を有する。前記スライダは、スライダ本体と、前記スライダ本体から延びる第1連結部と、前記第1連結部の外周面の一部に設けられる第1つば部と、を有する。前記バネは、コイル部と、前記コイル部から延びる第1アームと、前記第1アームの一端に形成され、前記第1連結部に巻回される第1巻回部と、を有する。前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記第1アームは、前記第1連結部の延在方向から見て前記第1つば部と重なる。
【0030】
第13態様によれば、第1つば部が第1連結部の外周面の一部に設けられるので、第1連結部の外周面の全周に渡ってつば部が設けられる場合に比べて、第1巻回部を第1連結部に容易に係合することができる。また、コイル部の第1アームが常に第1つば部と重なるので、蓋部が開位置と閉位置との間を移動するときに、バネが第1連結部から外れることを抑制することができる。
【0031】
第14態様は、第13態様において、前記バネは、前記コイル部から延びる第2アームと、前記第2アームの一端に形成される第2巻回部と、を有し、前記香味吸引器は、前記第2巻回部が巻回される第2連結部と、前記第2連結部の外周面の一部に設けられる第2つば部と、を有し、前記蓋部が前記開位置及び前記閉位置に位置するとき、前記第2アームは、前記第2連結部の延在方向から見て前記第2つば部と重なる、ことを要旨とする。
【0032】
第14態様によれば、第2つば部が第2連結部の外周面の一部に設けられるので、第2連結部の外周面の全周に渡ってつば部が設けられる場合に比べて、第2巻回部を第2連結部に容易に係合することができる。また、コイル部の第2アームが常に第2つば部と重なるので、蓋部が開位置と閉位置との間を移動するときに、バネが第2連結部から外れることを抑制することができる。
【0033】
第15態様は、第14態様において、前記蓋部が前記開位置と前記閉位置との間の中間位置に位置するとき前記第1つば部及び前記第2つば部が互いに対向するように、前記第1つば部及び前記第2つば部がそれぞれ前記第1連結部及び前記第2連結部に設けられる、ことを要旨とする。
【0034】
第15態様によれば、第1アームと第2アームが第1連結部と第2連結部との間に位置することになる。この場合、蓋部が閉位置と開位置との間を移動するときに、第1アームと第2アームが、第1連結部と第2連結部に対して応力を加えることができる。このため、第1連結部と第2連結部から第1巻回部及び第2巻回部に対して、バネに起因する力がほとんど加わらないので、第1巻回部及び第2巻回部が破壊されて、バネが第1連結部又は第2連結部から外れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の概略正面図である。
図1B】本実施形態に係る香味吸引器の概略上面図である。
図1C】本実施形態に係る香味吸引器の概略底面図である。
図2】消費材の概略側断面図である。
図3図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器の断面図である。
図4】凸部近傍の香味吸引器の外観図である。
図5】X軸負方向から見た凸部近傍の香味吸引器の外観図である。
図6】スライドカバーを取り外した香味吸引器の外観斜視図である。
図7A図3に示した香味吸引器のスライドカバー付近の拡大図である。
図7B】香味吸引器の開位置にあるスライドカバー付近の拡大図である。
図8】スライダを本体の内側から見た斜視図である。
図9】バネの取り付け状態を示す概略図である。
図10】スライダの拡大断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0037】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略正面図である。図1Bは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略上面図である。図1Cは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略底面図である。本明細書で説明する図面においては、説明の便宜のためにX-Y-Z直交座標系を付することがある。この座標系において、Z軸は鉛直上方を向いており、X-Y平面は香味吸引器100を水平方向に切断するように配置されており、Y軸は香味吸引器100の正面から裏面へ延出するように配置されている。Z軸は、後述する霧化部30のチャンバ50に収容される消費材の挿入方向ということもできる。また、X軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス長手方向、又は加熱部と電源部とが並ぶ方向ということもできる。Y軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス短手方向ということもできる。
【0038】
本実施形態に係る香味吸引器100は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有するスティック型の消費材を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0039】
図1Aから図1Cに示されるように、香味吸引器100は、スライドカバー60(蓋部の一例に相当する)と、本体120とから構成され得る。本体120は、アウタハウジング101と、スイッチ部103と、を有する。アウタハウジング101は、香味吸引器100の最外のハウジングを構成し、ユーザの手に収まるようなサイズを有する。ユーザが香味吸引器100を使用する際は、本体120を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。アウタハウジング101は、複数の部材を組み立てることによって構成されてもよい。
【0040】
図1Bに示すように、アウタハウジング101は、消費材が挿入される開口部101aを有する。スライドカバー60は、この開口部101aを閉じるようにアウタハウジング101にスライド可能に取り付けられる。具体的には、スライドカバー60は、アウタハウジング101の開口部101aを閉じる閉位置(図1Aに示す位置)と、開口部101aを開放する開位置(図1Bに示す位置)との間を、アウタハウジング101の外表面に沿って移動可能に構成される。例えば、ユーザがスライドカバー60を手動で操作することにより、スライドカバー60を閉位置と開位置とに移動させることができる。これにより、スライドカバー60は、香味吸引器100の内部への消費材のアクセスを許可または制限することができる。
【0041】
スイッチ部103は、香味吸引器100の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、ユーザは、消費材を香味吸引器100に挿入した状態でスイッチ部103を操作することで、図示しない加熱部に図示しない電源から電力が供給され、消費材を燃焼させずに加熱することができる。なお、スイッチ部103は、アウタハウジング101の外部に設けられるスイッチを有してもよいし、アウタハウジング101の内部に位置するスイッチを有してもよい。スイッチがアウタハウジング101の内部に位置する場合、アウタハウジング101の表面のスイッチ部103を押下することで、間接的にスイッチが押下される。本実施形態では、スイッチ部103のスイッチがアウタハウジング101の内部に位置する例を説明する。
【0042】
香味吸引器100はさらに、図示しない端子を有してもよい。端子は、香味吸引器100を例えば外部電源と接続するインターフェースであり得る。香味吸引器100が備える電源が充電式バッテリである場合は、端子に外部電源を接続することで、外部電源から電源に電流を流し、電源を充電することができる。また、端子にデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器100の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る香味吸引器100で使用される消費材について説明する。図2は、消費材110の概略側断面図である。本実施形態において、香味吸引器100と消費材110とにより喫煙システムが構成され得る。図2に示す例においては、消費材110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113が省略され、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結されてもよい。筒状部材114及びその筒状部材114を覆う第2の巻紙113には、開孔Vが設けられていてもよい。開孔Vは、通常、使用者の吸引による外部からの空気の流入を促進するための孔であり、この空気の流入により喫煙可能物111から流入する成分や空気の温度を下げることができる。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消費材110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消費材110の吸口として機能する。
【0044】
喫煙可能物111は、例えばたばこ等の香味源と、エアロゾル源とを含み得る。また、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。図示の例では、消費材110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消費材110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116が省略され、筒状部材114とフィルタ部115とを互いに隣接配置されてもよい。
【0045】
次に、香味吸引器100の内部構造について説明する。図3は、図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器100の断面図である。図3においては、スライドカバー60は閉位置に位置する。図3に示すように、香味吸引器100のアウタハウジング101の内部には、インナハウジング10(内部部材の一例に相当する)が収容される。インナハウジング10は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。耐熱性や強度の観点からは、インナハウジング10はPEEKで形成されることが好ましい。しかしながら、インナハウジング10の材料は特に限定されない。インナハウジング10の内部空間には、電源部20と、霧化部30と、が設けられる。また、アウタハウジング101は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。
【0046】
電源部20は、電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、図示しないPCB(Printed Circuit board)等を介して霧化部30と電気的に接続される。これにより、電源21は、消費材110を適切に加熱するように、霧化部30に電力を供給することができる。
【0047】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50と、チャンバ50の一部を囲う加熱部40と、断熱部32と、略筒状の挿入ガイド部材34(ガイド部材の一例に相当する)と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。チャンバ50は、耐熱性を有し、且つ熱膨張率が小さい材料で形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等の金属、PEEK等の樹脂、ガラス、又はセラミック等で形成され得る。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る。底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。
【0048】
加熱部40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。具体的には、加熱部40は、例えばヒーティングトラック等の加熱要素と、加熱要素の少なくとも一方の面を覆う電気絶縁シートと、を有し得る。
【0049】
断熱部32は、全体として略筒状であり、チャンバ50を囲うように配置される。断熱部32は、例えばエアロゲルシートを含み得る。挿入ガイド部材34は、例えばPEEK、PC、又はABS等の樹脂材料により形成され、閉位置にあるスライドカバー60とチャンバ50との間に設けられる。また、香味吸引器100は、断熱部32を保持するための第1保持部37及び第2保持部38を有する。第1保持部37及び第2保持部38は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーで形成することができる。図3に示すように、第1保持部37は、Z軸正方向側の断熱部32の端部を保持する。また、第2保持部38は、断熱部32のZ軸負方向側の端部を保持する。
【0050】
挿入ガイド部材34は、消費材110の挿入をガイドする機能を有する。具体的には挿入ガイド部材34は、スライドカバー60が開位置にあるときに、香味吸引器100の図1Bに示した開口部101aと連通し、消費材110を挿入ガイド部材34に挿入することで、チャンバ50への消費材110の挿入を案内する。本実施形態では、挿入ガイド部材34がチャンバ50と接触し得るので、挿入ガイド部材34は、耐熱性の観点からPEEKで形成されることが好ましい。
【0051】
香味吸引器100は、電源21と霧化部30との間をZ軸方向に延びる第1シャシー22と、電源21のスライドカバー60側を覆うように延びる第2シャシー23とを有する。第1シャシー22及び第2シャシー23は、インナハウジング10内に電源21が収容される空間を区画するように構成される。
【0052】
図3に示すように、スライドカバー60は、第1方向D1において開位置と閉位置との間を移動可能である。スライドカバー60は、第1方向D1において挿入ガイド部材34に近い側の第1端部60aと、第1端部60aと第1方向D1において反対側の第2端部60bとを有する。後述する図7Bに示すように、スライドカバー60が開位置に位置するとき、スライドカバー60は挿入ガイド部材34の少なくとも一部を覆うことが好ましい。これにより、スライドカバー60が開位置に位置するときでも挿入ガイド部材34が完全に露出されないので、ユーザが本体120の内部にアクセスすることを抑制することができ、例えば挿入ガイド部材34等の本体120の構成部品が分解されたり、本体120が改造されたりすることが抑制され得る。
【0053】
香味吸引器100は、さらに、スライドカバー60と連結するスライダ64を有する。スライダ64が本体120のインナハウジング10の一部に対して摺動可能に取り付けられ得る。これにより、スライダ64と連結したスライドカバー60が本体120のアウタハウジング101の外面に沿って摺動することができる。スライドカバー60はビス62によってスライダ64に固定され得る。本実施形態では、スライダ64は、バネ66を介してインナハウジング10の一部に対して固定され得る。バネ66は、スライダ64を付勢してスライドカバー60を開位置又は閉位置に付勢するように構成される。
【0054】
上述したようにスライドカバー60とアウタハウジング101との隙間から塵等の異物が開口部101a(図1B参照)を通じて、香味吸引器100の内部、具体的にはチャンバ50内に侵入する恐れがある。また、スライドカバー60とアウタハウジング101との間に比較的大きな隙間が存在すると、スライドカバー60がビス62による固定箇所を中心にガタつく恐れがある。そこで、本実施形態では、香味吸引器100は、閉位置に位置するスライドカバー60と本体120との間に凸部12を有する。
【0055】
図4は、凸部12近傍の香味吸引器100の外観図である。図5は、X軸負方向から見た凸部12近傍の香味吸引器100の外観図である。図6は、スライドカバー60を取り外した香味吸引器100の外観斜視図である。図示のように、凸部12は、本体120のアウタハウジング101から外側に向けて(スライドカバー60に向けて)わずかに突出する。本実施形態では、凸部12は、本体120側から突出するように本体120に設けられるが、これに限らずスライドカバー60の本体120と対向する面に設けられてもよい。また、本実施形態においては、凸部12とスライドカバー60との間に隙間が形成される。即ち、凸部12は、スライドカバー60に接触していない。具体的には、スライドカバー60が閉位置に位置するとき、凸部12とスライドカバー60との間には隙間が形成される。閉位置に位置するスライドカバー60と本体120との間に凸部12が存在することにより、閉位置に位置するスライドカバー60と本体120との隙間が縮小され得る。その結果、開口部101aに異物が侵入すること、及びスライドカバー60が大きくガタつくことが抑制され得る。また、凸部12と凸部12が設けられていないスライドカバー60又は本体120との間に隙間が形成されるので、凸部12とスライドカバー60又は本体120とが互いに干渉することが抑制され得る。具体的には、スライドカバー60を開閉する際に、凸部12とスライドカバー60又は本体120とが摺動することが抑制され得るので、ユーザがスライドカバー60の操作をスムーズに行うことができる。
【0056】
本実施形態では、スライドカバー60が開閉する際、凸部12とスライドカバー60とが摺動(接触)してもよい。スライドカバー60とアウタハウジング101との隙間を小さくするために、凸部12を設けることなくスライドカバー60とアウタハウジング101の寸法を調整することも考えられる。この場合、スライドカバー60を移動させたときにスライドカバー60とアウタハウジング101とが面接触して、スライドカバー60の開閉動作がしにくくなる恐れ、及びスライドカバー60及びアウタハウジング101の摩耗が生じる恐れがある。これに対して、本実施形態では、凸部12によってスライドカバー60と本体120との隙間が小さくなるので、凸部12がスライドカバー60又はアウタハウジング101とが摺動しても、接触面積を比較的小さくすることができる。その結果、スライドカバー60の開閉動作の悪化、並びにスライドカバー60及びアウタハウジング101の摩耗を抑制することができる。しかしながら、スライドカバー60が閉位置と開位置との間を移動するとき、凸部12は、凸部12が設けられていないスライドカバー60又は本体120と接触しないことが好ましい。これにより、スライドカバー60を開閉する際に、凸部12とスライドカバー60又は本体120とが摺動しないので、ユーザがスライドカバー60の操作を一層スムーズに行うことができる。
【0057】
凸部12は、スライドカバー60の第1端部60a及び第2端部60bの少なくとも一つと、本体120との間に設けられ得る。即ち、凸部12は、第1端部60aと本体120との間に設けられてもよいし、第2端部60bと本体120との間に設けられてもよいし、第1端部60a及び第2端部60bと本体120との間にそれぞれ設けられてもよい。本実施形態では、図3から図6に示すように、凸部12は、スライドカバー60の第2端部60bと本体120との間に設けられる。仮に凸部12がスライドカバー60の中央部分(例えばビス62の近傍)と本体120との間に設けられる場合においてスライドカバー60がガタつくと、凸部12を支点としてさらにスライドカバー60がガタつく恐れがある。本実施形態では、スライドカバー60がガタついてもスライドカバー60の少なくとも一つの端部と本体120との間の凸部12によりスライドカバー60のガタつきを効率よく抑制することができる。また、スライドカバー60の少なくとも一つの端部と本体120との間に凸部12が存在するのでスライドカバー60と本体120との間に異物が侵入することを抑制することができる。
【0058】
図3から図6に示すように、凸部12は、インナハウジング10の一部によって構成されることが好ましい。言い換えれば、インナハウジング10の一部がアウタハウジング101から突出し、それにより凸部12が形成され得る。これにより、凸部12は、アウタハウジング101とは異なる部材によって構成されるので、例えばアウタハウジング101を金属で形成し、凸部12及びインナハウジング10を加工が比較的容易な樹脂等で形成することができる。
【0059】
図5及び図6に示すように、凸部12は、Y軸方向に延在する突条部であることが好ましい。具体的には、凸部12は、第1方向D1と直交する第2方向D2(Y軸方向)に延在する突条部であることが好ましい。これにより、スライドカバー60の第2方向D2における両端部がガタつくことが抑制され得る。なお、凸部12は、対向する面の形状に応じて、スライドカバー60の開閉の際に干渉しないような形状を適宜採用することができる。
【0060】
図4及び図5に示すように、スライドカバー60が閉位置に位置するとき、スライドカバー60は、Z軸方向(消費材110の挿入方向)からみて凸部12と重なることが好ましい。同様に、後述する図7Bに示すように、スライドカバー60が開位置に位置するとき、スライドカバー60は、Z軸方向(消費材110の挿入方向)からみて凸部12と重なることが好ましい。これにより、凸部12がスライドカバー60によって覆われ、外部から凸部12を見えにくくすることができる。そのため、凸部12による香味吸引器100のデザイン性への影響を抑制することができる。具体的に本実施形態では、図5に示すように、凸部12の第2方向D2における長さが、スライドカバー60の第2方向D2における長さよりも小さい。
【0061】
図6に示すように、スライドカバー60は、閉位置に位置する状態において凸部12と対向する位置に第1凹部61(第1部分の一例に相当する)を有することが好ましい。具体的には、本実施形態ではスライドカバー60は、本体120と対向する対向面60cを有する。スライドカバー60の第2端部60bの対向面60cに、凸部12と対応する形状の第1凹部61が形成され得る。これにより、閉位置から開位置にスライドカバー60を移動させるときに本体120に設けられた凸部12がスライドカバー60に摺動することが一層抑制され得るので、ユーザがスライドカバー60の操作をスムーズに行うことができる。
【0062】
図7Aは、図3に示した香味吸引器100のスライドカバー60付近の拡大図である。図7Bは、香味吸引器100の開位置にあるスライドカバー60付近の拡大図である。図6及び図7Aに示すように、スライドカバー60は、閉位置に位置する状態において、凸部12と消費材110の挿入方向において対向する第1凹部61を有する。さらに、図7A及び図7Bに示すように、スライドカバー60は、スライドカバー60が開位置に位置する状態において、凸部12と消費材110の挿入方向において対向する第2凹部63(第2部分の一例に相当する)を有する。図7A及び図7Bに示すように、第2凹部63は、第1凹部61も深い凹部であり、その結果、第2凹部63に対応する部分のスライドカバー60の厚みは、第1凹部61に対応する部分のスライドカバー60の厚みよりも小さくなっている。また、本実施形態では、第2凹部63は第1凹部61に隣接して配置され、第1凹部61とビス62との間のスライドカバー60の本体120に対向する面に位置し得る。
【0063】
図7A及び図7Bに示すように、スライドカバー60が閉位置に位置する状態における第1凹部61と凸部12との距離は、スライドカバー60が開位置に位置する状態における第2凹部63と凸部12との距離よりも小さいことが好ましい。これにより、スライドカバー60が閉位置に位置する状態では、第1凹部61と凸部12との隙間が相対的に小さいので、スライドカバー60が大きくガタつくことが抑制され得る。他方、スライドカバー60が開位置に位置する状態では、第2凹部63と凸部12との隙間が相対的に大きい。このため、スライドカバー60と凸部12とが互いに干渉することを抑制し、スライドカバー60を閉位置から開位置に移動させるときのスライドカバー60と凸部12との摩擦を低減することができる。
【0064】
図8は、スライダ64を本体120の内側から見た斜視図である。図9は、バネ66の取り付け状態を示す概略図である。図10は、スライダ64の拡大断面斜視図である。図8に示すように、スライダ64は、スライダ本体64cと、スライダ本体64cから延びる連結ピン64a(第1連結部の一例に相当する)を有する。連結ピン64aは、スライドカバー60と連結する側と反対側に向かって延在する。また、連結ピン64aには、その外周面の一部に第1つば部64bが設けられる。第1つば部64bは、連結ピン64aの先端側に形成される、連結ピン64aの外周面から突出する部分ということもできる。第1つば部64bは、連結ピン64aの外周面の全周に渡って形成されず、その外周面の一部にのみ形成される。具体的には例えば第1つば部64bは、連結ピン64aの外周面の半周に渡って形成され得る。また、インナハウジング10は、バネ66と連結するための連結ピン14(第2連結部の一例に相当する)を有する。連結ピン14には、その外周面の一部に第2つば部14aが設けられる。第2つば部14aは、連結ピン14の先端側に形成される、連結ピン14の外周面から突出する部分ということもできる。第2つば部14aは、連結ピン14の外周面の全周に渡って形成されず、その外周面の一部にのみ形成される。具体的には例えば、第2つば部14aは、連結ピン14の外周面の半周に渡って形成され得る。
【0065】
バネ66は、コイル部66aと、第1アーム66bと、第2アーム66dと、を有する、いわゆるトーションバネである。第1アーム66bは、コイル部66aの一端から延び、第2アーム66dは、コイル部66aの他端から延びる。第1アーム66bの先端には、連結ピン64aに巻回される第1巻回部66cが形成される。具体的には、第1巻回部66cは、スライダ本体64cと第1つば部64bとの間の連結ピン64aに巻回される。第2アーム66dの先端には、連結ピン14に巻回される第2巻回部66eが形成され得る。具体的には、第2巻回部66eは、インナハウジング10と第2つば部14aとの間の連結ピン14に巻回される。
【0066】
第1つば部64bが連結ピン64aの外周面の全周に渡って設けられると、第1巻回部66cを連結ピン64aに嵌め込みにくくなる。これに対して、本実施形態では、第1つば部64bが連結ピン64aの外周面の一部に設けられるので、連結ピン64aの外周面の全周に渡ってつば部が設けられる場合に比べて、第1巻回部66cを連結ピン64aに容易に係合することができる。同様に、本実施形態では、第2つば部14aが連結ピン14の外周面の一部に設けられるので、連結ピン14の外周面の全周に渡ってつば部が設けられる場合に比べて、第2巻回部66eを連結ピン14に容易に係合することができる。
【0067】
図9には、スライドカバー60が、閉位置P1に位置するとき、開位置P2に位置するとき、及び閉位置P1と開位置P2との間の中間位置P3に位置するときのバネ66の形状が示される。閉位置P1と中間位置P3との間の距離、開位置P2と中間位置P3との間の距離は、それぞれ距離L1である。また、スライドカバー60が閉位置P1、中間位置P3、及び開位置P2に位置するときのコイル部66aの中心は、それぞれ位置O、位置O、位置Oで示される。
【0068】
図9に示すように、スライドカバー60が閉位置P1及び開位置P2に位置するとき、第1アーム66bは、連結ピン64aの延在方向からみて第1つば部64bと重なることが好ましい。これにより、スライドカバー60が開位置P2と閉位置P1との間を移動するとき第1アーム66bが常に第1つば部64bと重なるので、バネ66が連結ピン64aから外れることを抑制することができる。また、図9に示すように、スライドカバー60が閉位置P1及び開位置P2に位置するとき、第2アーム66dは、連結ピン14の延在方向からみて第2つば部14aと重なることが好ましい。これにより、スライドカバー60が開位置P2と閉位置P1との間を移動するとき第2アーム66dが常に第2つば部14aと重なるので、バネ66が連結ピン14から外れることを抑制することができる。
【0069】
さらに、図9に示すように、スライドカバー60が中間位置P3に位置するとき、第1つば部64b及び第2つば部14aが互いに対向するように、第1つば部64b及び第2つば部14aがそれぞれ連結ピン64a及び連結ピン14に設けられることが好ましい。これにより、第1アーム66bと第2アーム66dがそれぞれ第1つば部64b及び第2つば部14aと重なる場合、第1アーム66bと第2アーム66dが、連結ピン64aと連結ピン14との間に位置することになる。この場合、スライドカバー60が閉位置P1と開位置P2との間を移動するときに、第1アーム66bと第2アーム66dが連結ピン64aと連結ピン14に対して応力を加えることができる。このため、連結ピン64aと連結ピン14から第1巻回部66c及び第2巻回部66eに対して、バネ66に起因する力がほとんど加わらないので、第1巻回部66c及び第2巻回部66eが破壊されて、バネ66が連結ピン64aと連結ピン14から外れることを抑制することができる。
【0070】
図10に示すように、スライダ64には磁石72が設けられる。また、第2シャシー23のスライダ64側の面にホールセンサ71が設けられる。ホールセンサ71は、磁石72の磁界を検知するように構成される。これにより、ホールセンサ71によってスライドカバー60の開閉状態を検出することができる。具体的には例えば、ホールセンサ71は、スライドカバー60が閉位置又は開位置に位置するとき、磁石72の磁界を検知し、その磁界を電気信号に変換して図示しないPCBに出力する。図示しないPCBは、この電気信号を受信しているときは、スライドカバー60が閉位置又は開位置に位置するものとして加熱部40への電力の供給を行わないように電源21からの電力を制御することができる。本実施形態では、ホールセンサ71は、スライドカバー60が開位置に位置するときに磁石72の磁界を検知し、スイッチ部103の操作により、香味吸引器100は、加熱部40に電源21からの電力が供給されることを許可する状態に遷移する。一方でスライドカバー60が閉位置に位置するときには、香味吸引器100は、スイッチ部103を操作しても加熱部40に電源21から電力が供給されることを許可しないように構成されている。
【0071】
バネ66の材料は、ピアノ線、銅線、オーステナイト系ステンレス等の金属線から寿命特性を鑑み選択することができる。中でもオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料で構成されることが好ましい。これにより、バネ66が磁石72によって磁化されることが抑制され、ホールセンサ71が磁化したバネ66の磁界を検知することが防止され得る。その結果、スライドカバー60の開閉状態の誤検知が発生することが抑制され得る。
【0072】
バネ66が配置される香味吸引器100内部の空間の高さは、バネ66の厚みの2倍以下であることが好ましい。ここで、バネ66が配置される空間の高さとは、バネ66のコイル部66aの中心軸の軸方向における空間の幅(長さ)であり得る。また、バネ66が配置される空間の高さとは、連結ピン14若しくは連結ピン64aの軸方向における空間の幅(長さ)、又は第1巻回部66c若しくは第2巻回部66eの円の中心軸の軸方向における空間の幅(長さ)であってもよい。また、バネ66の厚みとは、コイル部66aの中心軸の軸方向におけるバネ66の長さ(厚さ)であり得る。このように、バネ66が配置される空間が制限されることにより、バネ66の厚み方向(コイル部66aの中心軸の軸方向)における可動範囲が制限されるので、バネ66の脱落をより確実に防止することができる。
【0073】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【符号の説明】
【0074】
10 :インナハウジング
12 :凸部
14 :第2連結ピン
14a :第2つば部
34 :挿入ガイド部材
60 :スライドカバー
60a :第1端部
60b :第2端部
60c :対向面
61 :第1凹部
63 :第2凹部
64 :スライダ
64a :第1連結ピン
64b :第1つば部
64c :スライダ本体
66 :バネ
66a :コイル部
66b :第1アーム
66c :第1巻回部
66d :第2アーム
66e :第2巻回部
71 :ホールセンサ
72 :磁石
100 :香味吸引器
101 :アウタハウジング
101a :開口部
110 :消費材
120 :本体
D1 :第1方向
D2 :第2方向
P1 :閉位置
P2 :開位置
P3 :中間位置
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10