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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A41B11/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024503424
(86)(22)【出願日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2023039813
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2023167880
(32)【優先日】2023-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524109418
【氏名又は名称】株式会社PEAK EAZY
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 英生
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-74519(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100624(WO,A1)
【文献】特開2019-2080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0053430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B11/00-11/14
A41D13/06
A61F13/06-13/08
A61F5/00-5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下着用者の着用時に前記靴下着用者の足裏が接する靴下底面の外側面、および/または、前記靴下底面の外側面の反対側の面である内側面に滑り止め部を有しており、
前記滑り止め部は、
前記足裏における足底腱膜の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第1滑り止め部を含む、
靴下。
【請求項2】
前記滑り止め部は、
前記足裏における長足底靭帯の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第2滑り止め部をさらに含む、
請求項1に記載の靴下。
【請求項3】
前記第2滑り止め部の厚みは、前記第1滑り止め部の厚みよりも厚い、または、
前記第2滑り止め部が形成されている前記靴下底面の部分の厚みが、当該靴下底面の部分の周囲の厚みよりも厚い、
請求項2に記載の靴下。
【請求項4】
前記滑り止め部は、
前記足裏における浅横中足靭帯の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第3滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項5】
前記滑り止め部は、
前記靴下着用者の母趾における種子骨に対応する種子骨位置を靴下前後方向から挟むように前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第4滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項6】
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記足裏の足底弓蓋に対応する領域に、前記滑り止め部が形成されていない滑り止め未形成領域を有する、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項7】
前記靴下着用者の足の下伸筋支帯および下腓骨筋支帯に対応する領域がテーピング編みにより形成されてなる第1テーピング編み部を有する、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項8】
前記第1テーピング編み部から延びており、テーピング編みにより形成されてなる第2テーピング編み部を有しており、
前記第2テーピング編み部は、
前記靴下着用者の足の下伸筋支帯から前記靴下着用者の足の外果の上方を通って前記靴下着用者のアキレス腱の頭外側を周回し、前記靴下着用者の足の内果の上方を通って前記下伸筋支帯に戻るルートに対応する領域に形成されている、
請求項7に記載の靴下。
【請求項9】
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆う先丸形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆う足袋形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指および小指とを分けて覆う四つ叉形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆う5本指形態に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項10】
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆う先丸形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域に形成された先丸形態用滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項11】
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆う足袋形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との2つ領域にそれぞれ形成された足袋形態用滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項12】
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指および小指とを分けて覆う四つ叉形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指および小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との4つ領域にそれぞれ形成された四つ叉形態用滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【請求項13】
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆う5本指形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指の腹部分に対応する領域と、小指の腹部分に対応する領域との5つ領域にそれぞれ形成された5本指形態用滑り止め部をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2023年9月28日に出願された日本出願番号2023-167880号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、靴下に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、足裏の滑りを防止するために靴下底面に滑り止め部が形成された靴下が知られている。
【0004】
例えば、先行する特許文献1には、足裏の外面側に滑り止め部材を有する靴下であって、母趾球部に複数の第1滑り止め部材を有する靴下が開示されている。この靴下においては、靴下着用者の運動能力を向上させるために、第1滑り止め部材は、第1滑り止め部材の内方側端が第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-2080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
靴下着用者の運動能力を向上させるためには、足の動きに関わる靭帯の力をできる限り少ないロスで大地に伝えることが重要である。しかしながら、従来知られる靴下は、このような視点に欠けるため、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることが困難である。
【0007】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることが可能な靴下を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、
靴下着用者の着用時に前記靴下着用者の足裏が接する靴下底面の外側面、および/または、前記靴下底面の外側面の反対側の面である内側面に滑り止め部を有しており、
前記滑り止め部は、
前記足裏における足底腱膜の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第1滑り止め部を含む、
靴下にある。
【発明の効果】
【0009】
上記靴下は、上記構成を有している。そのため、上記靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1の靴下の底面図である。
図2図2は、実施形態1の靴下のII-II線矢視断面図である。
図3図3は、図1に示した実施形態1の靴下のつま先部(先丸形態)の変形例を示した図であり、(a)はつま先部が足袋形態、(b)はつま先部が四つ叉形態、(c)はつま先部が五本指形態である場合について示した図である。
図4図4は、実施形態1の靴下の正面図である。
図5図5は、実施形態1の靴下の背面図である。
図6図6は、実施形態1の靴下の左側面図である。
図7図7は、実施形態1の靴下の右側面図である。
図8図8は、実施形態1の靴下の平面図である。
図9図9は、実施形態1の靴下を、靴下外側斜め方向から見た斜視図である。
図10図10は、実施形態1の靴下を、靴下内側斜め方向から見た斜視図である。
図11図11は、靴下着用者の右足の足裏側から見た(a)足底腱膜、(b)長足底靭帯の形状および位置を模式的に示した図である。
図12図12は、靴下着用者の右足の足裏側から見た(a)長足底靭帯、(b)短母指屈筋、(c)母趾内転筋(斜頭)、(d)短小趾屈筋、(e)小趾対立筋、(f)短腓骨筋の形状および位置を模式的に示した図である。
図13図13は、靴下着用者の右足の足裏側から見た(a)浅横中足靭帯、(b)浅横中足靭帯(拡大)、(c)母趾内転筋(横頭)の形状および位置を模式的に示した図である。
図14図14は、靴下着用者の右足の足裏側から見た(a)母趾における外側種子骨、(b)外側趾節種子骨靭帯、(c)外側中足種子骨靭帯の形状および位置を模式的に示した図である。
図15図15は、靴下着用者の右足の足裏側から見た(a)母趾における内側種子骨、(b)内側趾節種子骨靭帯、(c)内側中足種子骨靭帯の形状および位置を模式的に示した図である。
図16図16は、靴下着用者の右足の(a)長趾屈筋、(b)長母趾屈筋、(c)長趾屈筋、(d)長母趾屈筋を、種々の方向から見たときの各部位の形状および位置を模式的に示した図である。
図17図17は、靴下着用者の右足の(a)下伸筋支帯、(b)下伸筋支帯、(c)下腓骨筋支帯、(d)下伸筋支帯、(e)下伸筋支帯、(f)下伸筋支帯を、種々の方向から見たときの各部位の形状および位置を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
はじめに本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]
靴下着用者の着用時に前記靴下着用者の足裏が接する靴下底面の外側面、および/または、前記靴下底面の外側面の反対側の面である内側面に滑り止め部を有しており、
前記滑り止め部は、
前記足裏における足底腱膜の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第1滑り止め部を含む、
靴下。
【0012】
図11(a)に示される足裏における足底腱膜f1は、足裏全体に及ぶ靭帯であり、足運動のバランスを取るための役割を有している。上記[1]に記載の靴下における滑り止め部は、足裏における足底腱膜の走行に沿って靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第1滑り止め部を含んでいる。そのため、上記[1]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることが可能になる。
【0013】
[2]
前記滑り止め部は、
前記足裏における長足底靭帯の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第2滑り止め部をさらに含む、
[1]に記載の靴下。
【0014】
図11(b)および図12(a)に示される足裏における長足底靭帯f2には、歩行や走る際に足底が地面に接したときに後方へ運動エネルギーを伝えるために重要な、短母指屈筋f3、母趾内転筋(斜頭)f4、短小趾屈筋f5、小趾対立筋f6、短腓骨筋f7が接続(付着)している(図12(b)~(f)参照)。これらは足の縦アーチ(足底弓蓋)の構成および安定に強く関わっている。上記[2]に記載の靴下における滑り止め部は、足裏における長足底靭帯の走行に沿って靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第2滑り止め部をさらに含んでいる。そのため、上記[2]に記載の靴下では、靴下底面の外側面および/または内側面における長足底靭帯に対応する領域に重なるよう形成された第2滑り止め部による厚み増大により、足の土踏まずを持ち上げる効果を生じさせることができるため、足の縦アーチの安定性を向上させることが可能になる。さらに、上記[2]に記載の靴下では、縦アーチの安定性が向上することにより、前途筋群の運動も改善することができる。それ故、上記[2]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力をさらに効率よく地面に伝えることが可能になる。
【0015】
[3]
前記第2滑り止め部の厚みは、前記第1滑り止め部の厚みよりも厚い、または、
前記第2滑り止め部が形成されている前記靴下底面の部分の厚みが、当該靴下底面の部分の周囲の厚みよりも厚い、
[2]に記載の靴下。
【0016】
上記[3]に記載の靴下において、第2滑り止め部の厚みが第1滑り止め部の厚みよりも厚く構成されている場合には、厚みを持たせた第2滑り止め部による足の土踏まずを持ち上げる上述の効果が高まり、足の縦アーチの安定性をより向上させることができる。一方、上記[3]に記載の靴下において、第2滑り止め部が形成されている靴下底面の部分の厚みが、当該靴下底面の部分の周囲の厚みよりも厚く構成されている場合には、第2滑り止め部の厚みを第1滑り止め部の厚みと同等に形成した場合でも、第2滑り止め部が形成されている靴下底面の部分に厚みを持たせているために、第2滑り止め部による足の土踏まずを持ち上げる上述の効果が高まり、足の縦アーチの安定性をより向上させることができる。そのため、上記[3]に記載の靴下によれば、上記[2]に記載の靴下の効果を確実なものとすることができる。
【0017】
[4]
前記滑り止め部は、
前記足裏における浅横中足靭帯の走行に沿って前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第3滑り止め部をさらに含む、
[1]から[3]のいずれか1つに記載の靴下。
【0018】
図13に示される足裏における浅横中足靭帯f8は、母趾内転筋(横頭)f9に接続しており、足の母趾から小趾までの稼働に不可欠な足の横アーチを保つ役割を有している。上記[4]に記載の靴下における複数の滑り止め部は、足裏における浅横中足靭帯の走行に沿って靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第3滑り止め部をさらに含んでいる。そのため、上記[4]に記載の靴下では、第3滑り止め部による反発力により浅横中足靭帯を足背側に押し上げる力が生じ、その結果、足の横アーチが保たれ、かつ、全ての足の趾が伸びやすくなり、指が地面をしっかり掴むことが可能になる。それ故、上記[4]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力をさらに効率よく地面に伝えることが可能になる。
【0019】
[5]
前記滑り止め部は、
前記靴下着用者の母趾における種子骨に対応する種子骨位置を靴下前後方向から挟むように前記靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第4滑り止め部をさらに含む、
[1]から[4]のいずれか1つに記載の靴下。
【0020】
図14(a)および図15(a)に示される母趾における種子骨f10は、腱の滑車としての役割を有しており、関節や靭帯の動きを円滑にしている。上記[5]に記載の靴下における複数の滑り止め部は、靴下着用者の母趾における種子骨に対応する種子骨位置を靴下前後方向から挟むように靴下底面の外側面および/または内側面に形成された第4滑り止め部をさらに含んでいる。そのため、上記[5]に記載の靴下によれば、第4滑り止め部により、母趾における種子骨が靴下前後方向から挟まれて安定し、種子骨の役割が改善される。それ故、上記[5]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力をさらに効率よく地面に伝えることが可能になる。また、上記[5]に記載の靴下によれば、種子骨炎等を予防できる効果も期待できる。
【0021】
[6]
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記足裏の足底弓蓋に対応する領域に、前記滑り止め部が形成されていない滑り止め未形成領域を有する、
[1]から[5]のいずれか1つに記載の靴下。
【0022】
足裏の足底弓蓋は、図16に示されるように、腱(長趾屈筋f12と長母趾屈筋f13)がクロスする場所である。この場所が圧迫されると、足の動きが制限される。上記[6]に記載の靴下では、靴下底面の外側面および/または内側面における足裏の足底弓蓋に対応する領域に、滑り止め部が形成されていない滑り止め未形成領域を有している。そのため、上記[6]に記載の靴下では、滑り止め未形成領域の存在により、滑り止め部によって腱がクロスする場所が圧迫され難くなる。それ故、上記[6]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力をさらに効率よく地面に伝えることが可能になる。
【0023】
[7]
前記靴下着用者の足の下伸筋支帯および下腓骨筋支帯に対応する領域がテーピング編みにより形成されてなる第1テーピング編み部を有する、
[1]から[6]のいずれか1つに記載の靴下。
【0024】
図17に示される足の下伸筋支帯f14および下腓骨筋支帯f15は、足の縦アーチを上方から吊り下げる役割を有している。上記[7]に記載の靴下は、靴下着用者の足の下伸筋支帯および下腓骨筋支帯に対応する領域がテーピング編みにより形成されてなる第1テーピング編み部を有する。そのため、上記[7]に記載の靴下によれば、第1テーピング編み部により、足の下伸筋支帯および下腓骨筋支帯を保護し、足の縦アーチの安定性を高めることができる。それ故、上記[7]に記載の靴下によれば、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力をさらに効率よく地面に伝えることが可能になる。
【0025】
[8]
前記第1テーピング編み部から延びており、テーピング編みにより形成されてなる第2テーピング編み部を有しており、
前記第2テーピング編み部は、
前記靴下着用者の足の下伸筋支帯から前記靴下着用者の足の外果の上方を通って前記靴下着用者のアキレス腱の頭外側を周回し、前記靴下着用者の足の内果の上方を通って前記下伸筋支帯に戻るルートに対応する領域に形成されている、
[7]に記載の靴下。
【0026】
人間の足関節は捻挫を起こす際に内反して受傷することがほとんどである。上記[8]に記載の靴下は、第1テーピング編み部に加え、上述の第2テーピング編み部を有している。そのため、上記[8]に記載の靴下によれば、第1テーピング編み部による足の縦アーチ形成が促進され、足関節の内反を抑制しやすくなるうえ、第2テーピング編み部が、靴下着用者の運動時に動きの多いアキレス腱付着部を外して少し頭側へ終点を持ってくるように構成されているため、アキレス腱自体の運動も妨げ難くなる。
【0027】
[9]
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆う先丸形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆う足袋形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指および小指とを分けて覆う四つ叉形態に形成されている、または、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆う5本指形態に形成されている、
[1]から[8]のいずれか1つに記載の靴下。
【0028】
[9]に記載の靴下において、靴下先端のつま先部が、靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆う先丸形態に形成されている場合には、足の趾がしっかり伸びるようになる。そのため、この場合には、本来人間が持つ「地面を握って歩く」というような足趾の力を効率よく地面に伝えることができるため、ウォーキングや散歩、ランニングなどのスポーツ時に特に効果を発揮することができる。
【0029】
[9]に記載の靴下において、靴下先端のつま先部が、靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆う足袋形態に形成されている場合には、母趾を自由にすることにより、足の動きの速い競技への適応性を高めることができる。また、例えば、卓球やバトミントンなど、また、登山などのように地面に凹凸がある場合や、スキーなどの母趾に圧力をかけるスポーツにも有用である。
【0030】
特にラグビー、短距離走、幅跳びなどの前に向かって突進するスポーツにおいては、通常の靴下だと地面を蹴る際に小趾が外側に逃げていく現象が起こる。これに対し、[9]に記載の靴下において、靴下先端のつま先部が、靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指(環趾)および小指と分けて覆う四つ叉形態に形成されている場合には、小指が薬指と固定されることにより、縦方向運動エネルギーを地面に効率よく伝えることができる。そのため、この場合には、特にラグビー、短距離、幅跳びなどの前に向かって突進するスポーツへの適応性を高めることができる。
【0031】
[9]に記載の靴下において、靴下先端のつま先部が、靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆う5本指形態に形成されている場合には、多汗症の人に多い趾間の蒸れの防止や足の爪に嵌入爪などの弊害がある場合に、それぞれの指を庇護しつつも、スポーツにおける靭帯の力学伝導を妨げることなく、地面に伝えることができる。
【0032】
[10]
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆うように先丸形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域に形成された先丸形態用滑り止め部をさらに含む、
[1]から[8]のいずれか1つに記載の靴下。
【0033】
[10]に記載の靴下によれば、先丸形態用滑り止め部により、上述した靴下先端のつま先部が先丸形態に形成されていることによる効果を高めることができる。
【0034】
[11]
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆う足袋形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との2つ領域にそれぞれ形成された足袋形態用滑り止め部をさらに含む、
[1]から[8]のいずれか1つに記載の靴下。
【0035】
[11]に記載の靴下によれば、足袋形態用滑り止め部により、上述した靴下先端のつま先部が足袋形態に形成されていることによる効果を高めることができる。
【0036】
[12]
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指および小指とを分けて覆う四つ叉形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指および小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との4つ領域にそれぞれ形成された四つ叉形態用滑り止め部をさらに含む、
[1]から[8]のいずれか1つに記載の靴下。
【0037】
[12]に記載の靴下によれば、四つ叉形態用滑り止め部により、上述した靴下先端のつま先部が四つ叉形態に形成されていることによる効果を高めることができる。
【0038】
[13]
靴下先端のつま先部は、
前記靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆う5本指形態に形成されており、
前記滑り止め部は、
前記靴下底面の外側面および/または内側面における前記靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指の腹部分に対応する領域と、小指の腹部分に対応する領域との5つ領域にそれぞれ形成された5本指形態用滑り止め部をさらに含む、
[1]から[8]のいずれか1つに記載の靴下。
【0039】
[13]に記載の靴下によれば、5本指形態用滑り止め部により、上述した靴下先端のつま先部が5本指形態に形成されていることによる効果を高めることができる。
【0040】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態に係る靴下の具体例を、図面を用いて詳細に説明する。本開示は、以下の例示によって限定されるものではない。例えば、以下においては、説明の簡略化などのため、上述した構成を全て備える靴下を例に用いて説明を行うが、上述した各構成は、任意に組み合わせることが可能なものである。
【0041】
(実施形態1)
実施形態1の靴下について、図1図17を用いて説明する。なお、実施形態1においては、靴下1のつま先側を靴下前方、靴下1の踵側を靴下後方、靴下1の足の幅方向を靴下幅方向、靴下1の足の甲側を靴下上方、靴下1の足裏側を靴下下方、靴下の土踏まず側を靴下の内側、靴下の内側の反対側を靴下の外側として説明する。また、以下の例示では、靴下着用者の右足に適用される靴下1を例に用いて説明を行う。靴下着用者の左足に適用される靴下1の構成については、右足用の靴下1の構成を左右反対にすればよい。また、図1および図2は、理解促進などのため、靴下着用者の右足の足底腱膜f1、浅横中足靭帯f8、母趾の種子骨f10を、靴下底面11に簡略化して投影した図とされている。また、図1図3は、図4図10に対して拡大して示してある。また、図11図17は、人の右足における各種靭帯、骨格、筋肉などを模式的に示した図であり、これらは適宜参酌することができる。
【0042】
図1図10に例示されるように、実施形態1の靴下1は、靴下着用者の着用時に靴下着用者の足裏が接する靴下底面11の外側面11o、および、靴下底面11の内側面11iの両面に滑り止め部12を有している。
【0043】
この種の滑り止め部12は、公知の靴下や手袋などに使用される公知のポリマ材料(ゴム、エラストマー、樹脂など、より具体的には、シリコーンゴム、シリコーンエラストマーなど)からなる滑り止め材料を靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに滑り止め加工することにより形成することができる。ここでは、滑り止め材料として、例えば、シリコーンゴムを用いることができるが、滑り止め機能を発揮することができる滑り止め材料であれば特に限定されない。なお、靴下底面11の内側面11iは、靴下底面11の外側面11oの反対側の面である。つまり、靴下底面11の外側面11oは、靴下底面11の内側面11iの反対側の面であるということもできる。また、靴下底面11の内側面11iは、靴下着用者の足裏の肌が接する面ということもできる。
【0044】
図1および図2に例示されるように、滑り止め部12は、図11(a)に示される足裏における足底腱膜f1の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに形成された第1滑り止め部121を含んでいる。
【0045】
第1滑り止め部121は、具体的には、足底腱膜f1の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに滑り止め加工を施すことにより構成することができる。なお、足底腱膜f1の走行に沿うとは、靴下底面11に投影した足底腱膜f1と重なるようにという意味であり、靴下底面11に投影した足底腱膜f1の形状に厳密に沿っていることまでを要求するものではない。以降の説明における「走行に沿う」についてもこれと同様に解釈される。第1滑り止め部121は、より具体的には、多角形状(ここでは四角形状)を呈する複数の足底腱膜用角形滑り止め部121aと、丸形状を呈する複数の足底腱膜用丸形滑り止め部121bとを含む構成とすることができる。足底腱膜用角形滑り止め部121aは、角形状に形成されているため、足底腱膜f1と重なる領域を確保しやすい利点がある。また、足底腱膜用丸形滑り止め部121bは、丸形状(ドット状)に形成されているため、靴下着用者の運動時における靴下1の位置ずれを抑制しやすい利点がある。
【0046】
第1滑り止め部121は、足底腱膜f1と重なるように配置された滑り止め部位を含んでおれば、足底腱膜f1からはみ出した滑り止め部位を含んでいてもよい。例えば、図1および図2では、靴下前後方向の約半分の位置よりも靴下前方側において、足底腱膜f1と重なり、かつ、足底腱膜f1からはみ出さないように配置された足底腱膜用角形滑り止め部121aや、足底腱膜f1と重なり、かつ、足底腱膜f1からはみ出して配置された足底腱膜用角形滑り止め部121aなどが例示されている。
【0047】
また、図1および図2では、靴下前後方向の約半分の位置よりも靴下後方側において、足底腱膜f1と重なり、かつ、足底腱膜f1からはみ出さないように配置された足底腱膜用丸形滑り止め部121bが例示されている。図1および図2では、足底腱膜用丸形滑り止め部121b以外にも、靴下1の踵側の領域において、滑り止め効果を高めるなどの観点から、複数の足底腱膜用丸形滑り止め部121bの外周を囲むように、足底腱膜f1と重ならない足底腱膜外丸形滑り止め部121cが複数配置されている例が示されている。なお、足底腱膜外丸形滑り止め部121cは、靴下底面11外、例えば、靴下1の踵部分後方において靴下上方に延びるように配置されることもできる。
【0048】
図1および図2に例示されるように、滑り止め部12は、図11(b)および図12(a)に示される足裏における長足底靭帯f2の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに形成された第2滑り止め部122をさらに含むことができる。
【0049】
第2滑り止め部122は、具体的には、長足底靭帯f2の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに滑り止め加工を施すことにより構成することができる。第2滑り止め部122は、より具体的には、長足底靭帯f2に対応する領域と重なるように、長足底靭帯f2の外形に似た形状に形成されることができる。実施形態1において、第2滑り止め部122は、単一の滑り止め部位から構成されている。
【0050】
図12に示すように、長足底靭帯f2には、短母指屈筋f3、母趾内転筋(斜頭)f4、短小趾屈筋f5、小趾対立筋f6、短腓骨筋f7が接続(付着)しており、これらは足の縦アーチ(足底弓蓋)の構成および安定に強く関わっている。第2滑り止め部122の厚みは、厚みを持たせた第2滑り止め部122による足の土踏まずを持ち上げる効果を高め、足の縦アーチの安定性を向上させるなどの観点から、第1滑り止め部121の厚みよりも厚い構成とされていることが好ましい。もっとも、第2滑り止め部122の厚みは、第1滑り止め部121の厚みと同等とすることもできる。この場合に、第2滑り止め部122が形成されている靴下底面11の部分の厚みは、当該靴下底面11の部分の周囲の厚みよりも厚く形成されていることが好ましい。この構成によれば、第2滑り止め部122を形成したことによる厚みに加え、第2滑り止め部122が形成されている靴下底面11の部分の厚み増大効果により、第2滑り止め部122の厚みを第1滑り止め部121の厚みと同等とした場合であっても、足の土踏まずを持ち上げる効果を高め、足の縦アーチの安定性を向上させることができる。この場合において、さらに、第2滑り止め部122の厚みを第1滑り止め部121の厚みよりも厚く形成した場合には、上述の効果をより高めることができる。
【0051】
なお、足底腱膜f1および長足底靭帯f2を靴下底面11に投影すると、両者は重複する。実施形態1の靴下1においては、靴下底面11において足底腱膜f1に対応する領域のうち、長足底靭帯f2の走行に沿う第2滑り止め部122を形成すべき部分については、第1滑り止め部121は形成されておらず、第2滑り止め部122が優先して形成されている。
【0052】
図1および図2に例示されるように、滑り止め部12は、図13に示される足裏における浅横中足靭帯f8の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに形成された第3滑り止め部123をさらに含むことができる。
【0053】
第3滑り止め部123は、具体的には、浅横中足靭帯f8の走行に沿って靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに滑り止め加工を施すことにより構成することができる。なお、図13に示すように、浅横中足靭帯f8は、母趾内転筋(横頭)f9に接続しており、これらは足の横アーチの構成および安定に強く関わっている。第3滑り止め部123は、より具体的には、丸形状を呈する複数の浅横中足靭帯用丸形滑り止め部123bを含む構成とすることができる。第3滑り止め部123において、浅横中足靭帯用丸形滑り止め部123bは、足裏により第3滑り止め部123を押さえつける方向や角度が変化した場合でも、反発力を作用させて浅横中足靭帯f8を持ち上げやすくし、横アーチを保ちやすくする利点がある。
【0054】
浅横中足靭帯用丸形滑り止め部123bは、靴下1の内側から靴下1の外側に向かって、漸次または段階的に外径が小さくなる構成とすることができる。この構成によれば、浅横中足靭帯f8の走行に沿いやすくなる利点がある。図1および図2では、具体的には、靴下底面11における足の中指の付け根当たりに対応する部分を境にして、靴下1の外側の方が靴下1の内側よりも外径を小さく形成してある例が示されている。つまり、図1および図2では、浅横中足靭帯用丸形滑り止め部123bは、靴下1の内側から靴下1の外側に向かって段階的に(ここでは1段階で)外径が小さくなる構成とされている。図1および図2では、上記境よりも靴下1の内側に配置される浅横中足靭帯用丸形滑り止め部123bの外径は、第1滑り止め部121における足底腱膜用丸形滑り止め部121bの外径と同等に形成した例を示しているが、これに限定されるものではない。
【0055】
なお、足底腱膜f1および浅横中足靭帯f8を靴下底面11に投影すると、両者は重複する。実施形態1の靴下1においては、靴下底面11において足底腱膜f1に対応する領域のうち、浅横中足靭帯f8の走行に沿う第3滑り止め部123を形成すべき部分については、第1滑り止め部121は形成されておらず、第3滑り止め部123が優先して形成されている。
【0056】
図1および図2に例示されるように、滑り止め部12は、靴下着用者の母趾における種子骨f10(図14(a)および図15(b)参照)に対応する種子骨位置Pを靴下前後方向から挟むように靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iに形成された第4滑り止め部124をさらに含むことができる。
【0057】
第4滑り止め部124は、具体的には、図14(a)に示される母趾における外側種子骨f10oに対応する外側種子骨位置Poを靴下前後方向から挟む一対の外側種子骨用滑り止め部124oと、図15(a)に示される母趾における内側種子骨f10iに対応する内側種子骨位置Piを靴下前後方向から挟む一対の内側種子骨用滑り止め部124iとにより構成することができる。外側種子骨用滑り止め部124oは、靴下底面11における、図14(b)および図14(c)に示される外側趾節種子骨靭帯f11o1および外側中足種子骨靭帯f11o2に対応する領域と重なるように配置されることができる。同様に、内側種子骨用滑り止め部124iは、靴下底面11における、図15(b)および図15(c)に示される内側趾節種子骨靭帯f11i1および内側中足種子骨靭帯f11i2に対応する領域と重なるように配置されることができる。
【0058】
なお、足底腱膜f1と、外側趾節種子骨靭帯f11o1、外側中足種子骨靭帯f11o2、内側趾節種子骨靭帯f11i1、および、内側中足種子骨靭帯f11i2とを靴下底面11に投影すると、これらは重複する。実施形態1の靴下1においては、靴下底面11において足底腱膜f1に対応する領域のうち、種子骨位置Pを靴下前後方向から挟む第4滑り止め部124を形成すべき部分については、第1滑り止め部121は形成されておらず、第4滑り止め部124が優先して形成されている。
【0059】
図1および図2に例示されるように、実施形態1の靴下1は、靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iにおける足裏の足底弓蓋(土踏まず)に対応する領域に、滑り止め部12が形成されていない滑り止め未形成領域13を有する構成とすることができる。
【0060】
靴下1は、靴下底面11における足底弓蓋に対応する領域の一部に滑り止め未形成領域13を有していてもよいし、靴下底面11における足底弓蓋に対応する領域の全体に滑り止め未形成領域13を有していてもよい。
【0061】
図4から図10に例示されるように、実施形態1の靴下1は、図17に示される靴下着用者の足の下伸筋支帯f14および下腓骨筋支帯f15に対応する領域がテーピング編みにより形成されてなる第1テーピング編み部141を有する構成とすることができる。なお、テーピング編みにより形成されてなるとは、テーピング作用を発揮することができるように靴下生地が編み込み形成されていることを意味する。以下同様である。第1テーピング編み部141は、靴下甲部分のみに形成されていてもよいし、靴下甲部分のみならず、その端部が靴下底面11に配置されるように形成されていてもよい。
【0062】
図4から図10に例示されるように、実施形態1の靴下1は、さらに、第1テーピング編み部141から延びており、テーピング編みにより形成されてなる第2テーピング編み部142を有する構成とすることができる。第2テーピング編み部142は、具体的には、図17に示される靴下着用者の足の下伸筋支帯f14から靴下着用者の足の外果f16oの上方を通って靴下着用者のアキレス腱f17の頭外側を周回し、靴下着用者の足の内果f16iの上方を通って下伸筋支帯f14に戻るルートに対応する領域に形成されている。なお、図7における星印Siは、靴下着用者の足の内果f16iに対応する位置を示した印であり、図8における星印Soは、靴下着用者の足の外果f16oに対応する位置を示した印である。
【0063】
図4から図10に例示されるように、実施形態1の靴下1は、靴下1の靴下幅方向周りに対応する領域、つまり、靴下1の足の甲側から靴下1の裏側へ、そして靴下1の裏側から靴下1の足の甲側へ1周する領域がテーピング編みにより形成されてなる第3テーピング編み部143を有する構成とすることができる。この構成によれば、第1テーピング編み部141によるテーピング作用を高めることができる利点がある。
【0064】
実施形態1の靴下1において、靴下1先端のつま先部15は、図1および図2に例示されるように、靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指を一括して覆うように形成されている。以下、この形態を先丸形態という。靴下1先端のつま先部15は、先丸形態に限定されるものではなく、他にも例えば、図3(a)に例示されるように、靴下着用者の足の親指と、人差し指、中指、薬指、および、小指とを分けて覆うように形成されていてもよい。以下、この形態を足袋形態という。靴下1先端のつま先部15は、他にも例えば、図3(b)に例示されるように、靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指および小指とを分けて覆うように形成されていてもよい。以下、この形態を四つ叉形態という。靴下1先端のつま先部15は、他にも例えば、図3(c)に例示されるように、靴下着用者の足の親指と、人差し指と、中指と、薬指と、小指とを分けて覆うように形成されていてもよい。以下、この形態を5本指形態という。
【0065】
図1および図2に例示される先丸形態の場合、滑り止め部12は、上述した先丸形態による効果を高める観点から、靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iにおける靴下着用者の足の親指、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域に形成された先丸形態用滑り止め部125を含んでいるとよい。
【0066】
また、図3(a)に例示される足袋形態の場合、滑り止め部12は、上述した足袋形態による効果を高める観点から、靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iにおける靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指、中指、薬指、および、小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との2つ領域にそれぞれ形成された足袋形態用滑り止め部125aを有しているとよい。
【0067】
また、図3(b)に例示される四つ叉形態の場合、滑り止め部12は、上述した四つ叉形態による効果を高める観点から、靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iにおける靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指および小指の腹部分に対応する各領域の全てを含む単一の領域との4つ領域にそれぞれ形成された四つ叉形態用滑り止め部125bを有しているとよい。
【0068】
また、図3(c)に例示される5本指形態の場合、滑り止め部12は、上述した5本指形態による効果を高める観点から、靴下底面11の外側面11oおよび内側面11iにおける靴下着用者の足の親指の腹部分に対応する領域と、人差し指の腹部分に対応する領域と、中指の腹部分に対応する領域と、薬指の腹部分に対応する領域と、小指の腹部分に対応する領域との5つ領域にそれぞれ形成された5本指形態用滑り止め部125cを有しているとよい。
【0069】
なお、上述した設計、仕様に係る靴下1は、公知の製造方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。
【0070】
(実施形態2)
実施形態2の靴下について説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0071】
実施形態2の靴下1は、靴下着用者の着用時に靴下着用者の足裏が接する靴下底面11の外側面11oに滑り止め部12を有しており、靴下底面11の内側面11iには滑り止め部12を有していない点において、実施形態1の靴下1とは異なっている。つまり、上述した実施形態1の靴下1は、靴下底面11の外側面11oおよびの内側面11iの両面に滑り止め部12を有している例であったのに対し、実施形態2の靴下1は、靴下底面11の外側面11oのみに上述した滑り止め部12を有している例である。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0072】
実施形態2の靴下1は、実施形態1の靴下1よりも効果が小さくなるものの、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることができる。また、実施形態2の靴下1は、靴下底面11の内側面11iに滑り止め部12を有していないので、その分、実施形態1の靴下1に比べ、靴下製造性が向上する。そのため、実施形態2の靴下1は、生産性が高く、かつ、より低廉な靴下1とすることができる。また、実施形態2の靴下1は、靴下底面11の外側面11oのみに滑り止め部12を有しているため、後述の実施形態3の靴下1に比べ、滑り止め部12の滑り加工性に優れる利点がある。その他の効果は、実施形態1と同様である。
【0073】
(実施形態3)
実施形態3の靴下について説明する。
【0074】
実施形態3の靴下1は、靴下着用者の着用時に靴下着用者の足裏が接する靴下底面11の内側面11iに滑り止め部12を有しており、靴下底面11の外側面11oには滑り止め部12を有していない点において、実施形態1の靴下1とは異なっている。つまり、上述した実施形態1の靴下1は、靴下底面11の外側面11oおよびの内側面11iの両面に滑り止め部12を有している例であったのに対し、実施形態3の靴下1は、靴下底面11の内側面11iのみに上述した滑り止め部12を有している例である。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0075】
実施形態3の靴下1は、実施形態1の靴下1よりも効果が小さくなるものの、靴下着用者が運動するときの足の動きに関わる靭帯の力を効率よく地面に伝えることができる。また、実施形態3の靴下1は、靴下底面11の外側面11oに滑り止め部12を有していないので、靴下底面11の外側面11oの外観を、通常の靴下と同様にすることができる。その他の効果は、実施形態1と同様である。
【0076】
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記各実施形態に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【要約】
靴下(1)は、靴下着用者の着用時に靴下着用者の足裏が接する靴下底面(11)の外側面(11o)および/または内側面(11i)に滑り止め部(12)を有している。滑り止め部(12)は、足裏における足底腱膜(f1)の走行に沿って靴下底面(11)の外側面(11o)および/または内側面(11i)に形成された第1滑り止め部(121)を含んでいる。滑り止め部(12)は、足裏における長足底靭帯(f2)の走行に沿って靴下底面(11)の外側面(11o)および/または内側面(11i)に形成された第2滑り止め部(122)や、足裏における浅横中足靭帯(f8)の走行に沿って靴下底面(11)の外側面(11o)および/または内側面(11i)に形成された第3滑り止め部(123)などをさらに含んでいるとよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17