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特許7481621樹脂金属積層体及びこれを備えるバルブプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】樹脂金属積層体及びこれを備えるバルブプレート
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/10 20060101AFI20240502BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20240502BHJP
   B32B 15/082 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F04B39/10 A
B32B3/24 Z
B32B15/082 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020087621
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181194
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】長井 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】上島 弘義
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-014515(JP,A)
【文献】特開平11-165373(JP,A)
【文献】特開平10-100313(JP,A)
【文献】特開昭62-087346(JP,A)
【文献】特開2005-036713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
B29C 63/00-63/48;65/00-65/82
F04B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の貫通孔を有する金属板からなる芯材と、樹脂成分がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、前記芯材の両面に設けられるPTFEシートと、で構成される樹脂金属積層体を備えるバルブプレートであって、
前記PTFEシートの一部が前記芯材の前記貫通孔に充填されて前記芯材の両面に設置されている前記PTFEシート同士が連結され、前記芯材と前記PTFEシートとが一体化されている積層体で構成される樹脂金属積層体を備えるバルブプレート
【請求項2】
前記貫通孔の1つ当たりの開口面積は0.19cm以上である請求項1記載のバルブプレート
【請求項3】
前記PTFEの融点以上で、前記PTFEシートの一部が前記芯材の前記貫通孔に充填される請求項1又は2に記載のバルブプレート
【請求項4】
前記芯材は、パンチングメタル及びエキスパンドメタルから選択される少なくとも一種である請求項1~3の何れか一項に記載のバルブプレート
【請求項5】
前記芯材の両面全体が前記PTFEシートにより被覆されている請求項1~4の何れか一項に記載のバルブプレート
【請求項6】
前記芯材を構成する金属板の両面と前記PTFEシートの間には、樹脂成分がテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)であるPFAシートが設けられ、PFAシートを介して金属板の両面とPTFEシートが接合されている請求項1~5の何れか一項に記載のバルブプレート
【請求項7】
前記PTFEシートが焼結体である請求項1~6の何れか一項に記載のバルブプレート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂金属積層体及びこれを備えるバルブプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等のように原材料等と接して用いられる部材では、原材料等と接する部分にそれらの付着を防止するため、従来は、これらの部材を構成する金属基材上に、非粘着性の高いフッ素樹脂を塗布したり、超高分子量ポリエチレンシートやフッ素樹脂シート等を設置したりしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、開孔率10~80%を有する硬質有孔板よりなる芯材(1)の両面に、表面を焼結させた超高分子量ポリエチレン配合物粉末よりつくられた少なくとも1枚の予成形シート(3)をそれぞれ積層し、これらを加圧、加熱して、一体化し、超高分子量ポリエチレン複合板(10)を得ることを特徴とする、超高分子量ポリエチレン複合板の製造法が開示されている。この方法により製造された超高分子量ポリエチレン複合板は、膨らみや剥がれが生じ難く、寸法精度にすぐれているとされている。
【0004】
特許文献2には、複数の貫通孔が穿設された金属板の少なくとも片面に、熱溶融性フッ素樹脂を介して、フッ素樹脂板を溶着して一体化したフッ素樹脂ライナーを、高温、腐食性雰囲気に曝される構造物の内周壁に添設するとともに、前記構造物の周壁とフッ素樹脂ライナーの金属板の貫通孔を貫通する締結部材を介して、前記構造物の内周壁にフッ素樹脂ライナーを固着したフッ素樹脂ライニング構造物が開示されている。熱溶融性フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、フッ素樹脂板としてPTFE樹脂の樹脂板が例示されている。そして、このようなフッ素樹脂ライナーにより、ライニング本体内が負圧になった時あるいは高温により接着剤が炭化しうるような環境下で使用した場合にも、フッ素樹脂製ライナーの浮き上がりを確実に防止でき、流体のスムーズな流れを阻害してしまうことがなく、フッ素樹脂ライニングが破損に到らず腐食することがないとされている。
【0005】
また、軸受等に適用される摺動用部材として、特許文献3には、適宜の充填剤を充填した又は充填しない四フッ化エチレン樹脂層内に任意の金属製の金網を内蔵させたことを特徴とする摺動部用部材が開示されている。当該摺動用部材は、強度が大で成型性がよく、形状の保持性がすぐれpv値(面圧と表面速度の積の値)が高く、耐摩性がよいとされている。
【0006】
また、例えばコンプレッサ等に用いられるバルブプレートでは、従来、その構成材料として、鉄、アルミニウムなどの金属が用いられている。しかし、金属では、バルブプレート自体が重くなり、弁の開閉における応答動作が鈍くなるうえ、騒音が大きいという問題や、圧縮水の生成により腐食したり、摩耗や割れが発生し、脱落した破片がシリンダ内に入ったりして、ピストン及びシリンダを損傷して故障の原因になるという問題があった。そこで、特許文献4に記載の発明では、金型が装着された押出機を用いて、シリンダ温度400~450℃、金型温度200~250℃において特定のポリイミド樹脂を射出成形し、金型内において結晶化させることで、金属のバルブプレートの前述の問題を解決し、煩雑な工程を経ることなく耐熱性に優れたポリイミド樹脂製バルブプレートを効率良く得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-81014号公報
【文献】特開平10-100313号公報
【文献】特開昭60-34515号公報
【文献】特開2000-265958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等に適用される樹脂金属積層体では、フッ素樹脂を金属基材表面に塗布したものや、特許文献1、2に記載のような先行技術では、耐摩耗性が不足し摩耗による消滅が早かったり、耐熱性が不足し高温の材料での耐久性が低かったり、またホッパーなどの部材の表面への取り付けが手間であったりしていた。特に、特許文献1に記載の発明では、超高分子量ポリエチレンが用いられているため、耐熱性が低い、特許文献2に記載の発明では、PTFE樹脂板の一方の表面全体がPFA樹脂を介して金属板と接合されているため、特にPFA樹脂の軟化温度以上のような高温環境で使用するとPTFE樹脂板とPFA樹脂が剥離し易い、という問題がある。特許文献3に記載の発明では、金網はPTFE樹脂層から露出しているため、金網とPTFE樹脂層が剥離し易く、PTFE樹脂層が存在するとしても相手攻撃性が大きくなることが懸念される、一般に金網は平板より強度が低い傾向にあり、各種の形状に対応させて形状を保持する形状保持性が低い傾向にある、という問題がある。また、特許文献4に記載の特定のポリイミド樹脂は、靭性に乏しく、繰り返し衝撃を受けると割れや欠けが生じやすく、バルブプレートに要求される機械的強度を確保するには金属製より厚みを大きくする必要があるため、繰り返し衝撃を受けるバルブプレートに適用するには改善の余地がある。また、特許文献3に記載の発明をバルブプレートに適用したとすると、金網とPTFE樹脂層が剥離し易く、前述のように表面に露出した金網が騒音の原因となる恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、耐熱性、非粘着性が良好で、軽量化も可能で、高温(例えば、100℃以上)の原材料と接する部材を備える産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等に適用可能な樹脂金属積層体、また、耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、シール性が高く、騒音の発生を抑制可能で、軽量化も可能で、バルブプレートに適用可能な樹脂金属積層体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、騒音の発生を抑制可能で、軽量で、シール性の高いバルブプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討を行った。その結果、多数の貫通孔を有する金属板を芯材として用い、この金属板である芯材の両表面にPTFEの成形体であるシートを設けて、貫通孔の部分でPTFEのシート同士を連結させて形成される芯材とPTFEシートとの樹脂金属積層体により前述の課題が解決可能であることを見出した。
【0011】
本発明の第一は、多数の貫通孔を有する金属板からなる芯材と、樹脂成分がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、前記芯材の両面に設けられるPTFEシートと、で構成される樹脂金属積層体であって、前記PTFEシートの一部が前記芯材の前記貫通孔に充填されて前記芯材の両面に設置されている前記PTFEシート同士が連結され、前記芯材と前記PTFEシートとが一体化されている積層体で構成される樹脂金属積層体に関する。
【0012】
本発明の実施形態では、前記貫通孔の1つ当たりの開口面積は0.19cm2以上であってもよい。
【0013】
本発明の実施形態では、前記PTFEの融点以上で、前記PTFEシートの一部が前記芯材の前記貫通孔に充填されてもよい。
【0014】
本発明の実施形態では、前記芯材は、パンチングメタル及びエキスパンドメタルから選択される少なくとも一種であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態では、前記芯材の両面全体が前記PTFEシートにより被覆されていてもよい。
【0016】
本発明の実施形態では、前記芯材を構成する金属板の両面と前記PTFEシートの間には、樹脂成分がテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)であるPFAシートが設けられ、PFAシートを介して金属板の両面とPTFEシートが接合されていてもよい。
【0017】
本発明の実施形態では、前記PTFEシートが焼結体であってもよい。
【0018】
本発明の第二は、前述の樹脂金属積層体を備えるバルブプレートに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、(1)耐熱性、非粘着性が良好で、軽量化も可能で、高温(例えば、100℃以上)の原材料と接する部材を備える産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等に適用可能な樹脂金属積層体、また、(2)耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、シール性が高く、騒音の発生を抑制可能で、軽量化も可能で、バルブプレートに適用可能な樹脂金属積層体(3)耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、騒音の発生を抑制可能で、軽量で、シール性の高いバルブプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)実施形態に係る樹脂金属積層体の一例の断面を模式的に示した説明図である。(b)実施形態に係る樹脂金属積層体の他の例の断面を模式的に示した説明図である。
図2】実施例1~4及び比較例1~3における「高温雰囲気での耐剥離性」の評価用の試験片の作製方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る樹脂金属積層体は、多数の貫通孔を有する金属板からなる芯材と、樹脂成分がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、前記芯材の両面に設けられるPTFEシートと、で構成される樹脂金属積層体である。そして、前記PTFEシートの一部が前記芯材の前記貫通孔に充填されて前記芯材の両面に設置されている前記PTFEシート同士が連結され、前記芯材と前記PTFEシートとが一体化されている積層体で構成される。
【0022】
このように、前記樹脂金属積層体では、多数の貫通孔にPTFEシートの一部が充填され、当該PTFE同士が連結されている。これは、例えば加熱加圧処理の結果、金属板に設けられた多数の貫通孔の部分に、金属板の両面に設けられている各PTFEシートの一部が溶融して、充填され、各PTFEシートの溶融樹脂同士が加圧下で相溶して連結されることで実現される。このようにして芯材の両面のPTFEシートが貫通孔を介して連結されるため、PTFEシートの間に金属板が強固に固着されている。そのため、樹脂金属積層体は、PTFEの軟化温度程度の高温環境であっても、金属板とPTFEシートの剥離が生じることがなく、耐熱性、非粘着性、耐衝撃性、低相手攻撃性、高シール性、柔軟性に基づく低騒音性等のPTFEの特性を発揮させることができる。また、金属板には多数の貫通孔が設けられているため、貫通孔のないものに比べて軽量化されたものである。そのため、このような特性を利用した各種の用途へ適用が可能になる。
【0023】
前記PTFEシートは、樹脂成分としてPTFEを用いて成形されたものである。
【0024】
PTFEは、優れた耐薬品性を示し、ほぼ全ての薬品に対して溶解や膨潤が見られず、溶融金属ナトリウムや高温高濃度のフッ素ガスに侵されるだけで、優れた安定性を示す。また、優れた耐熱性を有し、融点が約327℃で、連続使用温度は約260℃と有機材料中では極めて高く、250℃で長時間放置しても機械的強度は殆ど低下しない。さらに、その表面特性は、優れた疎水性、疎油性及び非粘着性を示す。加えて、良好な耐衝撃性、柔軟性を有する。
【0025】
このように、PTFEは、耐薬品性、耐熱性に優れ、疎水性、疎油性、非粘着性が高く、良好な耐衝撃性、柔軟性を有するため、PTFEシートが、例えば、ホッパー等や食品加工用フライヤー等の用途において、特に、高温(例えば、100℃以上)の原材料等と接する面に設けられることで、PTFEシートが摺動面となり、原材料等の摺動性が良好になり、摺動面への付着物が大きく成長する前に落下するなどして、摺動面への付着、残存が抑制され得る。或いは付着したとしても容易に除去し得る。また、高温の原材料と接したり、高温環境に設置される等の高温条件で使用されたりしても、非粘着性等の特性を維持可能である。また、バルブプレートの用途においては、繰り返し衝撃を受けても割れや欠けの発生や、騒音の発生が抑制され、良好なシール性を付与可能であり、さらに、圧縮機用のバルブプレートのように高温環境で使用される場合でも、これらの特性を維持可能である。
【0026】
PTFEシートは、予めシート状に成形されたものであればよいが、シートの取り扱い性の観点からは、焼結体であるのが好ましい。PTFEは、加熱してもゲル化するのみで流動性を示さないため、一般的な射出成形や押出成形が容易ではない。そのため、焼成済みの成形体は、例えば、焼結法又はペースト押出法等により成形される。これらの方法は公知の方法を採用することができる。焼結法では、例えばPTFEの成形用粉末を型に投入して加圧し、PTFEの融点以上の温度で焼成する。必要に応じて、全体が透明なゲル状になった時に直ちに別の型に移して二次成形を行ってもよい。また、成型後、所望の形状になるように機械加工を行ってもよい。ペースト押出法では、PTFEの成形用粉末に有機溶媒等を添加してペースト状にし、カレンダでシート状にした後、溶剤を揮散させてから焼成する。焼結法及びペースト押出法以外の方法としては、例えば、前述の焼成法やペースト押出法により得られた円柱状若しくは円筒状又は角柱状若しくは角筒状の焼成した成形体を切削してシートとする方法が挙げられる。このうち、PTFEシートの平滑性の観点からは、前述の焼成した成型体を切削してシートとする方法が好ましく、円柱状若しくは円筒状の焼成した成形体を切削してシートを形成する、いわゆるスカイビング法がより好ましい。
【0027】
PTFEシートの成形に用いられる樹脂組成物には、樹脂成分であるPTFE以外に、必要に応じて添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、充填剤、着色剤等が挙げられる。充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛、金属粉、ガラス粉、炭素粉、無機ウィスカ等が挙げられる。但し、非粘着性の観点からは、添加剤、特に充填剤は含まれないのが好ましい。
【0028】
PTFEシートの厚みは、用途を考慮して設定することができる。PTFEシートによる耐摩耗性、非粘着性等の各種効果を継続して得る観点からは、0.1~5mmが好ましく、0.3~5mmがより好ましい。
【0029】
芯材は、多数の貫通孔を有する金属板からなるものであれば特に限定はない。金属板には、金属線を編組して形成された金網は含まれないが、例えば、単一の圧延金属板に機械加工を施すことで網目状の構造が形成された金属の連続体又は金属粒子若しくは金属粉体の焼結体からなる貫通孔を有する金属体は含まれる。このような金属の連続体又は金属体としては、例えば、エキスパンドメタル、パンチングメタル等が挙げられる。また、金属の線材を溶接して形成された溶接金網は含まれる。
【0030】
金属板に形成される貫通孔としては、PTFEシートの一部が充填され、両PTFEシートが接合可能、例えば、加熱加圧処理時にPTFEシートのゲル状の溶融物が充填され、金属板の両面に設けられたPTFEシート同士が連結可能となるものであれば、形状、構造は、特に限定はない。例えば、円形、楕円形、長丸形、多角形、星形、十文字形等の開口部分の形状を有するものが挙げられる。多数の貫通孔は、全て同一の形状、構造であってもよいし、複数の形状、構造のものを組み合わせてもよい。貫通孔の配置は、特に限定はなく、例えば、碁盤目状、千鳥状、同心円状、渦巻き状、ランダム等が挙げられる。
【0031】
貫通孔の1つ当たりの開口面積は、芯材と両PTFEシートとのより良好な一体化の観点からは、0.19cm2以上であるのが好ましい。また、強度保持の観点から、13cm2以下であるのが好ましい。芯材の開口率は、芯材の材質、貫通孔の形状、構造等に応じて、軽量化と芯材の強度を考慮して適宜設定可能であるが、強度保持の観点から、30~90%が好ましい。また、パンチングメタルの場合は、30~70%がより好ましく、エキスパンドメタルの場合は、60~90%がより好ましい。金属板の厚みも、芯材の材質、貫通孔の形状、構造等に応じて、軽量化と芯材の強度を考慮して適宜設定可能であるが、取り扱いの容易さの観点から、0.5~3mmが好ましい。芯材の材質は、金属であれば特に限定はなく、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミ合金、銅、青銅合金、リン青銅合金等が挙げられる。
【0032】
多数の貫通孔を有する金属板としては、前述の構成を有するものであればよいが、貫通孔の連続性及び均一性の観点から、パンチングメタル及びエキスパンドメタルから選択される少なくとも一種であるのが好ましい。芯材である金属板を、PTFEシートを介して複数積層する場合は、金属板は同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0033】
パンチングメタルとしては、材質が、例えば、ステンレス鋼、青銅合金又はリン青銅合金であり、貫通孔が、例えば、円形、楕円形及び多角形から選択される少なくとも一種の開口部の形状を有し、貫通孔の配置が、例えば、碁盤目又は千鳥であり、貫通孔の孔列のピッチが例えば、5~60mmであり、孔列間距離が例えば、3.5~60mmであり、開口面積が、例えば、0.19cm2以上、13cm2以下であり、開口率が例えば、30~70%であり、金属板の厚みが例えば、0.5~3mmであるものを例示できる。このようなパンチングメタルは市販のものを用いることができる。
【0034】
エキスパンドメタルとしては、材質が、例えば、ステンレス鋼、青銅合金又はリン青銅合金であり、貫通孔が、例えば、菱形、亀甲形、その他の多角形、略楕円形から選択される少なくとも一種の開口部の形状を有し、開口面積が、0.19cm2以上13cm2以下であり、開口率が60~90%であり、金属板全体の厚みが0.5~10mmであり、エキスパンドメタルのメッシュ構造を形成するストランドは、厚みが0.5~5mmであり、幅が0.5~5mmであるものを例示できる。また、貫通孔が菱形の場合は、ストランドの一辺の長さが5mm以上であるのが好ましい。
【0035】
前述のように、金属板には、金属線を編組して形成された金網は含まれないが、金属板の替わりに使用することは可能である。但し、この場合は、金属線が交差した部分が接合されていないため、単一の圧延金属板から形成される金属の連続体である多数の貫通孔を有する金属板より、曲げ剛性が劣り、加熱加圧処理時に金属線の目ずれが生じ、得られる樹脂金属積層体に反りが生じる恐れがある。
【0036】
樹脂金属積層体の構造としては、貫通孔の部分を除き、PTFEシート-芯材-PTFEシートの積層構造を含むものであれば、特に限定はなく、用途等に応じて適宜決定することができる。例えば、芯材の一方又は両方の表面がPTFEシートで被覆されていない部分を含んでもよいし、芯材の両面の全体がPTFEシートで被覆されたものでもよいし、芯材の表面全体、即ち、芯材の両面と側面がPTFEシートで被覆され、PTFEシート内に芯材全体が封入されたものでもよい。このうち、樹脂金属積層体の非粘着性の観点からは、芯材の両面の全体がPTFEシートで被覆されたもの、芯材の表面全体がPTFEシートで被覆されたものが好ましい。また、芯材は単層でも複層であってもよい。複層の場合も、芯材の両面には、PTFEシートが設置された構造を有し、PTFEシートが最外層を形成する。
【0037】
実施形態に係る樹脂金属積層体では、芯材を構成する金属板の両面と前記PTFEシートの間には、樹脂成分がテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)であるPFAシートが設けられていてもよい。これにより、芯材を構成する金属板とPTFEシートとの接着性を向上させることができる。特に、樹脂金属積層体がPFAの軟化温度以下の温度環境で使用される用途に適用される場合に好適である。もっとも、貫通孔においては、PTFEシート同士が連結されているため、PFAの軟化温度以上であっても、PTFEの軟化温度以下であれば、PTFEシートと芯材との一体化が損なわれることはない。
【0038】
PFAは一般に溶融粘度が低く、PTFEの融点まで加熱すると容易に流動するため、前述のように、PTFEシートの一部を溶融し金属板の貫通孔に充填させ、金属板の両面に配置されている両PTFEシートを接合させるようにすると、貫通孔に向かうゲル状のPTFEにより、PFAはPTFEに巻き込まれるか、貫通孔から押し出されてPTFEシートと金属板の間に流出する。そのため、PTFEシートと芯材の間にPFAシートを設けても、貫通孔にPTFEが充填されることで、貫通孔には、PFAの層は形成されることなく、PFAシートを用いない場合(図1(a)参照)とほぼ同様に、PTFEシート同士が融着され(図1(b)参照)、この接合に基づく強度が確保される。図を参照しつつ、説明すると以下のとおりである。図1(a)に模式的に示す実施形態の一例では、樹脂金属積層体3の断面構造は、貫通孔2aを有する金属板である芯材2の両面に設けられたPTFEシート1の一部が貫通孔2aに充填されることで、両PTFEシート1が融着して接合し、PTFEシート1が芯材2と一体化される。図1(b)に模式的に示す実施形態の他の例でも、樹脂金属積層体5の断面構造は、芯材2とPTFEシート1の間にPFAシート4が設けられており、PTFEシート同士が融着される部分近傍にPFAシート4に由来するPFAが巻き込まれているが、貫通孔2aを有する金属板である芯材2の両面に設けられたPTFEシート1の一部が貫通孔2aに充填されることで、両PTFEシート1が融着して接合し、PTFEシート1が芯材2と一体化されている。
【0039】
PFAシートは、樹脂成分として従来公知のPFAを含む樹脂組成物を用いて定法に従ってフィルム状に成形したもの、市販のPFAシートを用いることができる。PFAシートの厚みは、貫通孔へのPTFEの充填が可能であれば特に限定はないが、所定以上の剥離強度を確保する観点から、5~100μmが好ましく、25~100μmがより好ましい。
【0040】
前述のような樹脂金属積層体は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0041】
多数の貫通孔を有する金属板の表面を必要に応じてアセトン等で洗浄する。この必要に応じて洗浄処理した金属板の両面にPTFEシートを設置し、例えば、これを加熱加圧処理する。この時、金属板の多数の貫通孔にPTFEシートの一部が充填されて、金属板の両面に設置されているPTFEシート同士が連結する。加熱加圧処理の条件としては、PTFEを貫通孔に充填させ易くする観点から、加熱温度は、PTFEの融点(327℃)以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。負荷圧力としては、1~8MPaが好ましい。加熱加圧時間は、5~60分間が好ましい。また、加熱加圧処理を行う雰囲気は、接着力の最大化の観点から、減圧下で行うのが好ましい。具体的には、減圧度0.5~5kPaで行うのが好ましい。加熱加圧処理後、室温まで冷却することで、芯材とPTFEシートとが一体化された積層体を含む樹脂金属積層体が得られるが、樹脂と金属板との固着状態を均一化させ保持する観点から、減圧下で、加圧状態を維持したまま冷却するのが好ましい。
【0042】
以上のような樹脂金属積層体は、(a)耐熱性、非粘着性が良好で、軽量化も可能であり、高温(例えば、100℃以上)の原材料と接する部材を備える産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等の用途に好適である、(b)耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、騒音の発生を抑制可能で、軽量化も可能であり、PTFE樹脂の柔軟性により相手材への密着性が高く気体のシール性が高くなって、バルブプレートの用途に好適である、(c)耐熱性、耐薬品性、耐腐食性が良好で、金属板の貫通孔に充填されたPTFEを穿孔することが容易であり、ストレーナ、特に、圧縮機に適用されるストレーナ用途に好適である。圧縮機用のストレーナは、従来は、圧縮機の作動時の高い差圧に対応させるため、セラミック等の高剛性体とPTFE製のメッシュとの二つの部品を組み合わせたものとして提供されきたが、前述の樹脂金属積層体を用いることで単一の部品として提供が可能となる。前述の樹脂金属積層体は、その特性を生かして各種の用途に適用可能であるが、バルブプレート、特に圧縮機用のバルブプレートとして好適である。
【0043】
樹脂金属積層体の各種用途への適用には、例えば、所定の大きさのシート状の樹脂金属積層体を作製した後、各種用途に応じて機械加工により所望の形状に形成してもよいし、所望の形状に対応した芯材及びPTFEシートを作製し、これを積層、加熱加圧処理を行って、必要に応じて後加工を行って形成してもよい。
【実施例1】
【0044】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0045】
(製造例1)
PTFE製の焼結成形体(スターライト工業株式会社製、ALP #31000)を用いて、スカイビングにより、500mm×500mm×1mmのPTFEシートを作製した。
【0046】
(製造例2)
ガラス繊維30%補強ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(ビクトレックス社製、PEEK-450GL30)を用い、定法に従って射出成形を行い、φ207mm×6mmの射出成形品を得た。
【0047】
(実施例1)
芯材として、厚さ0.8mm×縦500mm×横500mmのSUS304製パンチングメタル(孔サイズ:φ5mm(開口部の面積:0.19cm2)、孔の列内ピッチ:8mm、孔列間距離:7mm、開口率:35%、配列:60°千鳥)を用い、その表面をアセトンで洗浄し、製造例1で得られたPTFEシートをパンチングメタルの両面に設置した。これを真空熱プレス(北川精機株式会社製 真空プレス VH2-2283)を用い、温度380℃、加圧力4.5MPa、減圧度1.5kPaで、10分間、減圧下で加熱加圧した後、減圧下で加圧しながら室温まで冷却し、樹脂金属積層体を得した。
【0048】
(実施例2)
芯材を、孔サイズ:φ10mm(開口部面積:0.75cm2)、孔の列内ピッチ:15mm、孔列間距離:12mm、開口率:40%、配列:60°千鳥であるパンチングメタルに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0049】
(実施例3)
芯材を、厚さ0.8mm×縦500mm×横500mmのSUS304製エキスパンドメタル(開口部短目方向長さ7mm×開口部長目方向長さ14mmの菱形の貫通孔のメッシュ構造(格子)、開口部面積:0.49cm2、開口率:74%)に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0050】
(実施例4)
芯材を、厚さ1.2mm×縦500mm×横500mmのSUS304製エキスパンドメタル(開口部短目方向長さ12mm×開口部長目方向長さ30.5mmの菱形の貫通孔のメッシュ構造(格子)、開口部面積:1.83cm2、開口率:77%)に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0051】
(比較例1)
芯材を、開口部面積が0.13cm2(孔サイズ:φ4mm)である以外は実施例1と同様のパンチングメタルに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0052】
(比較例2)
芯材を、縦500mm×横500mmのSUS302製金網(メッシュサイズ:#10(10/1inch)、線径:0.5mm、孔面積:0.04cm2、開口率:65%、格子状のメッシュ構造)とした以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0053】
(比較例3)
芯材を、厚さ1mm×縦500mm×横500mmのSUS304板(ステンレス熱延鋼板、JIS G4304)とした以外は、実施例1と同様にして樹脂金属積層体を得た。
【0054】
(評価1)
<PTFEシートと芯材の固着状態評価(固着状態評価)>
実施例1~4、比較例1~3で得られた樹脂金属積層体について、その芯材の貫通孔部分の中心線に沿って切断した断面における貫通孔内部のPTFEシートの融着の有無を目視判定した。また、切断後の各樹脂金属積層体について、切断方向に沿う方向において、両端部を含む接平面のなす角度が0°から30°になるまで人力でたわませた後0°まで戻す動作を10回繰り返した後、PTFEシートと芯材の固着状態(PTFEシートと芯材の剥離の有無)を評価した。
【0055】
<PTFEシートの非粘着性(非粘着評価)>
実施例1~4、比較例1~3で得られた樹脂金属積層体を用い、PTFEシートの表面をアセトンにて脱脂洗浄したのち、アクリル系スプレー塗料(株式会社ソフト99製、M-537)を塗布し、室温(25℃)で2時間乾燥した後、包装用布粘着テープ(株式会社寺岡製作所製、No.1532、ゴム系粘着剤)を接着面積が50cm2となるように貼り付け、貼り付けた部分全体を900Nの力で圧着した後、180°方向に、速度50mm/秒で引っ張り、剥離試験を行い、PTFE樹脂シート表面の塗料の残存の有無を目視判定した。評価基準は以下のとおりである。
○:残存が殆どない。
△:残存がわずかに認められる(1~2割未満)。
×:残存が多く認められる(2割以上)。
【0056】
(評価2)
<高温雰囲気での耐剥離性(耐剥離性)>
<<サンプルの調製>>
図を参照しつつ説明する。実施例1~4、比較例1~3で用いた洗浄後の各芯材(図2(a)中、符号2。貫通孔は省略。)の一方の表面側に、芯材2の1辺の端から200mmの領域(200mm×500mm)全体を覆うように200mm×500mmの接合防止シート(ポリイミド樹脂製フィルム、厚さ:0.025mm)(図2(a)中、符号6)を載置して、各芯材の両表面側に製造例1で得られたPTFEシート(図2(a)中、符号1)を載置した以外は、実施例1~4、比較例1~3と同様にして加熱加圧処理、室温まで冷却した。その後、接合防止シート6を除去して、接合長さが300mmの試験用の樹脂金属積層体を得た。得られた樹脂金属積層体を、幅16mm、長さ100mmで、接合長さが30mmとなるように切断し、各試験片(図2(b)中、符号7)を作製した。尚、接合防止シート6を設置した部分は、一方のPTFEシート1と芯材2とが接合されず、剥離試験において引張り試験機の把持部となる。
【0057】
<<評価方法>>
得られた試験片を下記(1)又は(2)の条件下で静置する前と静置した後、引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG-X plus、負荷容量:20kN)を用いて、引張速度30mm/minにて行って、評価した。評価基準は以下のとおりである。
(1)熱風条件
200℃の熱風循環炉(エスペック株式会社製、FHH-201M)内に90日間静置した。
(2)熱水条件
98℃の熱水に90日間浸漬した。
(3)評価基準
○:熱風又は熱水中静置前の剥離強度の90%以上。
△:熱風又は熱水中静置前の剥離強度の60%以上。
×:熱風又は熱水中静置前の剥離強度の60%未満。
【0058】
実施例1~4、比較例1~3の樹脂金属積層体の芯材の構成及び評価結果を表1に示す。尚、比較例1~3では、適切な試験片が得られず、非粘着評価及び耐剥離性に関して試験は行わなかったため、表1には「-」として示している。
【0059】
【表1】
【0060】
(評価3)
バルブプレート用途への適用を評価するため下記の耐熱性、耐衝撃性、騒音性、相手攻撃性を評価した。使用したサンプルは、実施例2で得られた樹脂金属積層体、比較対照として、厚さ2mmのSUS304板(ステンレス熱延鋼板、JIS G4304)(比較例4)及び製造例2で得られた射出成形品(比較例5)を用いた。評価結果を表2に示す。
【0061】
<耐熱性(荷重たわみ温度)>
実施例2で得られた樹脂金属積層体、SUS板、製造例2の射出成形品から、80mm×10mmの大きさの試験片(直方体)をそれぞれ作製し、JIS K7191に準じた方法で、荷重たわみ試験を行い、高温におけるたわみ発生の有無を調べた。
【0062】
<耐衝撃性(アイゾット衝撃強さ)>
実施例2で得られた樹脂金属積層体、SUS板及び製造例2の射出成形品を用いて、10mm(縦)×65mm(横)の大きさの試験片(ノッチなし)をそれぞれ作製し、ISO 180/Uに準拠し、常温にてアイゾット衝撃試験を行った。
【0063】
<騒音性(打撃衝撃音レベル)>
実施例2で得られた樹脂金属積層体、SUS板及び製造例2の射出成形品を用いて、10mm(縦)×100mm(横)の大きさの試験片をそれぞれ作製し、15cmの高さから、鋼板製作業台(天板サイズ:800mm×600mm×10mm、SUS304製)の上に各試験片を自然落下させ、生じた衝撃音の大きさを騒音計(リオン株式会社製、騒音計NL-20)で測定した。
【0064】
<相手攻撃性>
実施例2で得られた樹脂金属積層体、SUS板及び製造例2の射出成形品を用いて、切削加工により、外径φ60mm、内径φ20mm、厚み方向にPTFEシートと芯材が積層する試験片を作製した。ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機(スターライト工業株式会社製、オートピンディスク)を用い、SUS304製ピン材料(φ5mm×10mm)を試験片に荷重0.5MPaで押圧しながら常温にて速度1.0m/秒で240時間摺動させた。その後、試験片の表面の傷の有無を目視により確認した。
【0065】
【表2】
【0066】
表1に示すように、実施例1~4では芯材の両面のPTFEシートの一部が貫通孔部分で完全に充填され融着して接合されており、芯材へ固着されているため、高温環境での耐剥離性が良好であり、非粘着性も良好である。一方、比較例1、2では、貫通孔部分に充填されなかったため、また、比較例3は貫通孔が存在しないため、PTFEシートは芯材に固着されなかった。このように、実施例1~4では、芯材とPTFEシートが一体化され、非粘着性が良好で、かつ、高温環境においても耐剥離性が良好であるため、高温環境において非粘着性等の特性の確保が求められる各種の用途、例えば、産業機械の搬送コンベア、ホッパー、バケット等に好適である。
【0067】
また、表2に示すように、実施例2では、比較例4、5に比べて、耐熱性、耐衝撃性が良好で、相手攻撃性が低く、従来の樹脂製成形品と同程度に騒音を抑制することができる。そのため、高温環境において耐衝撃性や柔軟性等のPTFEに基づく特性が求められる各種の用途、例えば、バルブプレート等に好適である。
【符号の説明】
【0068】
1 PTFEシート
2 芯材
2a 貫通孔
3、5 樹脂金属積層体
4 PFAシート
4a 貫通孔に充填されたPTFEに巻き込まれたPFA
6 接合防止シート
7 試験片
図1
図2