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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/84 20060101AFI20240502BHJP
   B65G 47/86 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65G47/84 E
B65G47/86 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020094387
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021187623
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 光正
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】辻田 和彦
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-195241(JP,A)
【文献】特開2010-089848(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102730415(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/84
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を直線に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に隣接して設けられ、前記搬送手段で搬送される物品を把持する第1グリッパと、
前記搬送手段に隣接して配置された回転ホイールと、
前記回転ホイールの円周方向に沿って設けられ、物品を把持する第2グリッパと、
前記第1グリッパを前記搬送手段の搬送方向に沿って移動させる移動手段と、
前記第1グリッパを開閉させる開閉手段とを備え、前記第1グリッパと前記第2グリッパとの間で物品を受け渡す物品搬送装置において、
前記第1グリッパは、物品の後方に係合する第1フィンガと、物品の前方に係合する第2フィンガを備え、
前記開閉手段は、前記第1フィンガを開閉させる第1開閉手段と、前記第2フィンガを開閉させる第2開閉手段とを備え、
前記第1および第2フィンガは、前記第1および第2開閉手段により個別に開閉され
前記第1および第2開閉手段は、前記第1グリッパと前記第2グリッパとの間で物品を受け渡すとき、前記第1および第2フィンガと前記第2グリッパが把持する物品とが干渉しないように、前記第1および第2フィンガの開度を個別に変更する
ことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記移動手段が、前記第1フィンガを移動させる第1移動手段と、前記第2フィンガを移動させる第2移動手段とを備え、前記第1および第2フィンガが、前記第1および第2移動手段により同期して搬送されることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をグリッパで把持して移送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールの周囲に把持力を調整可能な一対のグリップアーム(フィンガ)からなるグリッパを多数設け、容器を各グリッパで把持して搬送するグリップ式容器搬送装置が知られている(特許文献1)。同グリップ式容器搬送装置において、一対のグリップアームは、各回転軸のピニオンの噛み合いにより、互いに反対方向に同じ角度だけ開閉するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-322067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2台のグリップ式物品搬送装置の間において物品を受け渡す際には、物品受渡後に受渡側のグリッパが受渡後の物品に干渉することを防止する必要がある。ホイール式の搬送装置間であれば、両ホイールのグリッパは、互いに逆向きの円弧を描いて離間する方向へと移動するので、物品を受け渡し開放された状態のグリッパが受渡後の物品に干渉することは通常ない。
【0005】
しかし、例えば、直線に沿って物品を搬送するグリップ式搬送装置からグリップ式搬送ホイールへと物品を受け渡す場合、前縁側のグリップアームが受渡後の物品に干渉し得る。受渡側前縁グリップアームの物品への干渉を防ぐには、受渡側のグリッパを大きく開く必要があり、その場合、前後のグリッパの干渉を防止するためグリッパ間の間隔が広くなり処理能力が低下する。
【0006】
本発明は、グリッパを用いた物品の搬送において、グリッパ間の距離を広げることなく安定した物品の受け渡しを可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明である物品搬送装置は、物品を直線に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段に隣接して設けられ、前記搬送手段で搬送される物品を把持する第1グリッパと、前記搬送手段に隣接して配置された回転ホイールと、前記回転ホイールの円周方向に沿って設けられ、物品を把持する第2グリッパと、前記第1グリッパを前記搬送手段の搬送方向に沿って移動させる移動手段と、前記第1グリッパを開閉させる開閉手段とを備え、前記第1グリッパと前記第2グリッパとの間で物品を受け渡す物品搬送装置において、前記第1グリッパは、物品の後方に係合する第1フィンガと、物品の前方に係合する第2フィンガを備え、前記開閉手段は、前記第1フィンガを開閉させる第1開閉手段と、前記第2フィンガを開閉させる第2開閉手段とを備え、前記第1および第2フィンガは、前記第1および第2開閉手段により個別に開閉され、前記第1および第2開閉手段は、前記第1グリッパと前記第2グリッパとの間で物品を受け渡すとき、前記第1および第2フィンガと前記第2グリッパが把持する物品とが干渉しないように、前記第1および第2フィンガの開度を個別に変更することを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の発明である物品搬送装置は、第1の発明において、前記移動手段が、前記第1フィンガを移動させる第1移動手段と、前記第2フィンガを移動させる第2移動手段とを備え、前記第1および第2フィンガが、前記第1および第2移動手段により同期して搬送されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グリッパを用いた物品の搬送において、グリッパ間の距離を広げることなく安定した物品の受け渡しを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を示す平面図である。
図2】処理装置周辺における搬送コンベヤとグリッパの構成を示す平面図である。
図3】グリッパの動作機構を図2の上側から見た縦断面図である。
図4】上流側フィンガの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
図5】下流側フィンガの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
図6】搬送コンベヤを駆動するチェーンおよびフィンガを移動する第1、第2チェーンの原動部の構成を示す水平断面図である。
図7】搬送コンベヤを駆動するチェーンおよびフィンガを移動する第1、第2チェーンの原動部の構成を示す縦断面図である。
図8】供給ホイールから物品受け取る区間におけるグリッパの開閉動作を示す平面図である。
図9】排出ホイールへ物品を受け渡す区間におけるグリッパの開閉動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を示す平面図である。
【0012】
本実施形態の物品搬送装置10では、供給ホイール12から供給される物品Mが、例えばトップチェーンを用いた搬送コンベヤ(搬送手段)14の搬送面(トッププレート)上に載せられて搬送され、下流側において排出ホイール16へと受け渡される。また、搬送コンベヤ14上を搬送される物品Mは、例えば転倒を防止するために、搬送コンベヤ14と並走する移動装置18により移動される多数のグリッパ20によって把持される。また、搬送コンベヤ14を搬送される物品Mは、途中搬送コンベヤ14に隣接して配置される処理装置22において所定の処理が施される。
【0013】
グリッパ20は、一対のフィンガ20A、20Bを備える(上流側フィンガ(第1フィンガ)20A、下流側フィンガ(第2フィンガ)20B)。また、本実施形態のフィンガ20A、20Bは個別に回動可能(開閉動作可能)とされる。図2図5を参照して、本実施形態のグリッパ20の構成について説明する。
【0014】
なお、図2は、処理装置22周辺における搬送コンベヤ14とグリッパ20の構成を示す平面図である。図3は、1つのグリッパ20の動作機構を図2の上側から見た縦断面図である。図4は、上流側のフィンガ20Aの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図であり、図5は、下流側のフィンガ20Bの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
【0015】
フィンガ20A、20Bは、搬送コンベヤ14のチェーン14Aに並列に掛け回される第1チェーン(第1移動手段)22A、第2チェーン(第2移動手段)22Bにより、それぞれ搬送コンベヤ14に沿って同期して移送される。上流側フィンガ20Aは、第1チェーン22Aに取り付けられたトッププレート24Aに設けられた垂直な軸26Aの周りに揺動自在に支持される。上流側フィンガ20Aは、軸26Aに回転自在に取り付けられ、径方向へ延出するレバー28Aにより回動される。レバー28Aの先端には第1カム30Aと係合するカムフォロワ32Aが設けられる。レバー28Aには、一端がトッププレート24Aに固定された付勢部材34Aの他端が取り付けられ、上流側フィンガ20Aを閉じる方向に付勢する(第1開閉手段)。
【0016】
一方、下流側フィンガ20Bは、第2チェーン22Bに取り付けられたトッププレート24Bに設けられた垂直な軸26Bの周りに揺動自在に支持される。下流側フィンガ20Bは、軸26Bに回転自在に取り付けられ、径方向へ延出するレバー28Bにより回動される。レバー28Bの先端には、第2カム30Bと係合するカムフォロワ32Bが設けられる。レバー28Bには、一端がトッププレート24Bに固定された付勢部材34Bの他端が取り付けられ、下流側フィンガ20Bを閉じる方向に付勢する(第2開閉手段)。
【0017】
フィンガ20A、20Bは、搬送コンベヤ14のチェーン14Aと同期駆動される第1、第2チェーン22A、22Bの移動により、物品Mとともに搬送方向へと移動され、カムフォロワ32A、32Bが係合する第1、第2カム30A、30Bの形状に応じて軸26A、26Bを中心に各々回転される。本実施形態において、搬送コンベヤ14に並走するグリッパ20は、供給ホイール12、排出ホイール16との間で物品Mの受け渡しを行う区間A、B(後述)と、処理装置22が設けられた処理区間Cにおいて開放される。本実施形態の処理装置22は、例えば上流側における検査において不良と判定された物品Mをラインからリジェクトする装置である。
【0018】
図6図7は、搬送コンベヤ14を駆動するチェーン14Aおよびフィンガ20A、20Bを移動する第1、第2チェーン22A、22Bの原動部の構成を示す水平断面図および縦断面図である。なお、図6において、各チェーン14A、22A、22Bは、図6の上側に向けて架設され、図7は、図6において原動部を下側から見た断面図である。
【0019】
搬送コンベヤ14の無端チェーン14Aは、原動スプロケット36に掛け回され、原動スプロケット36は搬送コンベヤ用モータ38の回転軸に取り付けられたシャフト40と一体的に回転される。一方、第1、第2チェーン22A、22Bは、各々原動スプロケット42A、42Bに掛け回され、原動スプロケット42A、42Bは、ベアリングを介してシャフト40に回転自在に支持される。原動スプロケット42A、42Bには、それぞれギア44A、44Bが一体的に設けられ、ギア44A、44Bは、それぞれ第1チェーン用モータ46A、第2チェーン用モータ46Bの回転軸に取り付けられたギア48A、48Bと噛み合う。
【0020】
第1、第2チェーン用モータ46A、46Bは、第1、第2チェーン22A、22Bが、搬送コンベヤ14のチェーン14Aと同じ速度で移動するように、ギア比やスプロケット径を考慮して搬送コンベヤ用モータ38と同期して駆動される。
【0021】
次に図1図8図9を参照して、区間A、Bにおける本実施形態のグリッパ開閉動作について説明する。図8は、供給ホイール12から物品Mを受け取る区間Aにおけるグリッパ20の開閉動作を示す平面図であり、図9は、排出ホイール16へ物品Mを受け渡す区間Bにおけるグリッパ20の開閉動作を示す平面図である。
【0022】
前述したように、グリッパ20は搬送コンベヤ14に伴走して移動するが、左右のフィンガ20A、20Bの開閉動作は独立して行わる。供給ホイール12において、物品Mは外周に沿って設けられた各グリッパ12Aにより把持されて搬送される。グリッパ12Aに把持される物品Mは、供給ホイール12と搬送コンベヤ14の接点P1(供給ホイール12の外周円が搬送コンベヤ14の搬送方向に沿って移動する位置)において、搬送コンベヤ14へと受け渡される。
【0023】
グリッパ20は、接点P1の上流側の区間Aにおいて開放された状態に維持され、接点P1において閉じられる。また、同時に、物品Mを把持していた供給ホイール12のグリッパ12Aは接点P1において開かれる。本実施形態では、その後、処理装置22による物品Mのリジェクト処理が行われる処理区間Cに至るまで、グリッパ20は閉じられたままの状態に維持される。処理区間Cにおいてグリッパ20は開放され、検査結果に応じて不良と判定された物品Mのリジェクト処理が行われる。処理区間Cが終了するとグリッパ20は再び閉じられ、物品Mはグリッパ20に把持された状態で搬送される。
【0024】
その後、グリッパ20は、搬送コンベヤ14と排出ホイール16の接点P2(排出ホイール16の外周円が搬送コンベヤ14の搬送方向に沿って移動する位置)において開かれる。また同時に、排出ホイール16のグリッパ16Aは接点P2において閉じられ、物品Mは排出ホイール16へと受け渡される。また、本実施形態において、グリッパ20は、接点P2から下流側の区間Bに亘って開放された状態に維持される。
【0025】
グリッパを備える搬送ホイール間において物品Mを受け渡す場合、両ホイールのグリッパの移動軌跡は隣接する円弧を描くため、開放された受け渡した側のグリッパは、受渡後の物品Mから速やかに離接する。一方、図8図9に図示されるように、直線に沿って移動する本実施形態のグリッパ20の場合、グリッパ20を大きく開かないと、供給ホイール12から物品Mを受け取る際には、接点P1の上流側の区間Aにおいて上流側のフィンガ20Aが、排出ホイール16へ物品Mを受け渡す際には、接点P2の下流側の区間Bにおいて下流側のフィンガ20Bがホイールのグリッパ12A、16Aに保持される物品Mと干渉する。
【0026】
従来のグリッパのように一対フィンガを対称に開閉する構成では、グリッパを大きく開くには、グリッパ同士の間の距離を広くとる必要があり、搬送能力が低下する。本実施形態では、上述したように、搬送コンベヤ14の上流側フィンガ20Aと下流側フィンガ20Bを独立して開閉可能としている。これにより、受け渡し時に物品Mと干渉する側のフィンガの開度のみを広げることで、フィンガと物品Mの干渉を防止しつつ、グリッパ間の距離の拡大を防止して搬送能力を高めている。
【0027】
図8のように、供給ホイール12から物品Mを受け取る際、区間Aにおいて上流側フィンガ20Aを下流側フィンガ20Bよりも大きく開方向に開き物品Mとの干渉を防止し、逆に排出ホイール16へ物品Mを排出する際、区間Bにおいて下流側フィンガ20Bを上流側フィンガ20Aよりも大きく開方向に開き物品Mとの干渉を防止する。なお、本実施形態において、各フィンガ20A、20Bの開度は第1、第2カム30A、30Bの形状により設定される。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、グリッパの一対のフィンガを独立に開閉動作可能としたことにより、グリッパを用いた物品の搬送において、グリッパ間の距離を広げずに、フィンガと物品との干渉を防止し、処理能力の低下させることなく安定した物品の受け渡しができる。
【0029】
なお、第1グリッパおよび第2グリッパは、各グリッパを移動するチェーンの間の位相をずらすことで両グリッパ間の間隔を変更可能である。これにより、チェーンの位相をずらすだけで容器の形状や径の大きさに合わせて両グリッパ間の間隔を調整できる。
【0030】
また、本実施形態では、第1グリッパおよび第2グリッパを個別のチェーン(個別の移動手段)で移動したが、これを1つのチェーンなど単独または一体的な移動手段により移動する構成としてもよい。この場合、両グリッパ間の間隔は、移動手段への各グリッパの取り付け位置を変更することにより調整される。
【符号の説明】
【0031】
10 物品搬送装置
12 供給ホイール
14 搬送コンベヤ(搬送手段)
16 排出コンベヤ
20 グリッパ
20A 上流側フィンガ(第1フィンガ)
20B 下流側フィンガ(第2フィンガ)
22A 第1チェーン(第1移動手段)
22B 第2チェーン(第2移動手段)
30A 第1カム
30B 第2カム
32A 第1カムフォロワ
32B 第2カムフォロワ
34A、34B 付勢部材
A、B、C 受渡区間
M 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9