(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ロボットコントローラ
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240502BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B25J19/00 J
H03K17/687 A
(21)【出願番号】P 2020115655
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高浪 新平
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-051317(JP,A)
【文献】特開昭60-169219(JP,A)
【文献】特開2008-042422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の負荷が接続される複数の出力端子と、一対の共通電源線から供給される電力を用いて前記負荷を駆動する負荷駆動回路と、を備えたロボットコントローラであって、
前記負荷駆動回路は、
複数の前記出力端子のそれぞれに対応して設けられ、一対の個別電源線と、前記一対の個別電源線間に前記出力端子を挟んで接続される相補的な2つのトランジスタと、を含む複数の出力回路と、
前記一対の共通電源線のうち高電位側である高電位側共通電源線に接続される高電位側電源端子と複数の前記出力回路の前記一対の個別電源線のうち高電位側である高電位側個別電源線との間を開閉する高電位側イネーブルスイッチと、
前記一対の共通電源線のうち低電位側である低電位側共通電源線に接続される低電位側電源端子と複数の前記出力回路の前記一対の個別電源線のうち低電位側である低電位側個別電源線との間を開閉する低電位側イネーブルスイッチと、
共通の制御信号に基づいて前記出力回路の2つの前記トランジスタを相補的にオンオフするとともに、前記高電位側イネーブルスイッチおよび前記低電位側イネーブルスイッチのオンオフを制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、
前記高電位側電源端子および前記出力端子の間に接続される前記負荷を前記負荷駆動回路により駆動するNPNモードと、前記出力端子および前記低電位側電源端子の間に接続される前記負荷を前記負荷駆動回路により駆動するPNPモードと、の2つの動作モードのいずれかに設定可能であり、
前記NPNモードに設定されると、前記高電位側イネーブルスイッチをオフするとともに前記低電位側イネーブルスイッチをオンし、前記負荷をオン駆動する場合には2つの前記トランジスタのうち高電位側に設けられた第1トランジスタをオフさせるとともに低電位側に設けられた第2トランジスタをオンさせる前記制御信号を出力し、前記負荷をオフ駆動する場合には前記第1トランジスタをオンさせるとともに前記第2トランジスタをオフさせる前記制御信号を出力し、
前記PNPモードに設定されると、前記高電位側イネーブルスイッチをオンするとともに前記低電位側イネーブルスイッチをオフし、前記負荷をオン駆動する場合には前記第1トランジスタをオンさせるとともに前記第2トランジスタをオフさせる前記制御信号を出力し、前記負荷をオフ駆動する場合には前記第1トランジスタをオフさせるとともに前記第2トランジスタをオンさせる前記制御信号を出力するロボットコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力端子に接続される外部の負荷を駆動する負荷駆動回路を備えたロボットコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットコントローラには、その制御対象となるロボット、そのロボットに関連するプログラマブルロジックコントローラなどの機器が備える負荷を駆動するための負荷駆動回路が搭載されている。なお、本明細書では、プログラマブルロジックコントローラのことをPLCと省略することがある。負荷駆動回路は、一対の共通電源線から供給される電力を用いて負荷を駆動する。
【0003】
上記した負荷は、NPN仕様およびPNP仕様があり、ロボットコントローラのメーカ側ではなく、ユーザ側において用意されることになる。NPN仕様の負荷とは、一対の共通電源線のうち高電位側である高電位側共通電源線、つまりプラスコモンとロボットコントローラが備える出力端子との間に接続されるものである。PNP仕様の負荷とは、ロボットコントローラが備える出力端子と一対の共通電源線のうち低電位側である低電位側共通電源線、つまりマイナスコモンとの間に接続されるものである。
【0004】
このような事情から、いずれの仕様の負荷にも対応できるようにするため、ロボットコントローラとしては、NPN仕様の負荷を駆動するための負荷駆動回路を備えた構成と、PNP仕様の負荷を駆動するための負荷駆動回路を備えた構成と、の2種類の構成をそれぞれ準備しておく必要があった。なお、NPN仕様の負荷を駆動するための負荷駆動回路としては、特許文献1、2に開示されているような構成を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-224021号公報
【文献】特開2011-113225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように2種類の構成のロボットコントローラを準備する場合、次のような課題が生じる。すなわち、ロボットコントローラを製造するための基板などが増えることになるため、作業工数が増加したり、誤組付けなどの作業ミスが生じる可能性が増加したりするおそれがある。また、この場合、サービス在庫が増加するとともに、負荷の仕様を容易に変更することができない、といった課題も生じる。
【0007】
これに対し、NPN仕様の負荷駆動回路およびPNP仕様の負荷駆動回路の両方をロボットコントローラに組み込むような構成を採用すれば、NPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応することが可能となる。しかしながら、このような構成では、負荷を駆動するための回路規模が大幅に増加することから、構成の大型化、製造コストの増加など、別の課題が生じることになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路規模の大幅な増加を招くことなくNPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応することができる負荷駆動回路を備えたロボットコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のロボットコントローラは、外部の負荷が接続される複数の出力端子と、一対の共通電源線から供給される電力を用いて負荷を駆動する負荷駆動回路と、を備える。負荷駆動回路は、複数の出力端子のそれぞれに対応して設けられた複数の出力回路、高電位側イネーブルスイッチ、低電位側イネーブルスイッチおよび駆動制御部を備える。複数の出力回路は、一対の個別電源線と、一対の個別電源線間に出力端子を挟んで接続される相補的な2つのトランジスタと、を含む。
【0010】
高電位側イネーブルスイッチは、一対の共通電源線のうち高電位側である高電位側共通電源線に接続される高電位側電源端子と複数の出力回路の一対の個別電源線のうち高電位側である高電位側個別電源線との間を開閉する。低電位側イネーブルスイッチは、一対の共通電源線のうち低電位側である低電位側共通電源線に接続される低電位側電源端子と複数の出力回路の一対の個別電源線のうち低電位側である低電位側個別電源線との間を開閉する。
【0011】
出力回路の2つのトランジスタは、具体的には、例えばPチャネル型MOSFETとNチャネル型MOSFETとの組み合わせ、PNP形バイポーラトランジスタとNPN形バイポーラトランジスタとの組み合わせなどが想定される。このような相補的な2つのトランジスタは、同じ制御信号に基づいて一方をオンさせるとともに他方をオフさせることができる。そこで、駆動制御部は、共通の制御信号に基づいて出力回路の2つのトランジスタを相補的にオンオフする。また、駆動制御部は、高電位側イネーブルスイッチおよび低電位側イネーブルスイッチのオンオフを制御する。
【0012】
上記構成において、駆動制御部は、高電位側共通電源線および出力端子の間に接続される負荷、つまりNPN仕様の負荷を負荷駆動回路により駆動するNPNモードと、出力端子および低電位側共通電源線の間に接続される負荷、つまりPNP仕様の負荷を負荷駆動回路により駆動するPNPモードと、の2つの動作モードのいずれかに設定可能である。駆動制御部は、NPNモードに設定されると、高電位側イネーブルスイッチをオフするとともに低電位側イネーブルスイッチをオンする。これにより、負荷駆動回路において、高電位側個別電源線が高電位側電源端子から切り離されるとともに、低電位側個別電源線が低電位側電源端子に接続された状態となる。
【0013】
このような状態において、駆動制御部は、負荷をオン駆動する場合には2つのトランジスタのうち高電位側に設けられた第1トランジスタをオフさせるとともに低電位側に設けられた第2トランジスタをオンさせる制御信号を出力する。これにより、「高電位側共通電源線→負荷→出力端子→第2トランジスタ→低電位側個別電源線→低電位側電源端子→低電位側共通電源線」という通電経路が形成され、一対の共通電源線から負荷に対する電力供給が行われて負荷がオン駆動される。また、上記した状態において、駆動制御部は、負荷をオフ駆動する場合には第1トランジスタをオンさせるとともに第2トランジスタをオフさせる制御信号を出力する。これにより、上記通電経路が形成されなくなることから負荷に対する電力供給が停止されて負荷がオフ駆動される。
【0014】
駆動制御部は、PNPモードに設定されると、高電位側イネーブルスイッチをオンするとともに低電位側イネーブルスイッチをオフする。これにより、負荷駆動回路において、高電位側個別電源線が高電位側電源端子に接続されるとともに、低電位側個別電源線が低電位側電源端子から切り離された状態となる。このような状態において、駆動制御部は、負荷をオン駆動する場合には第1トランジスタをオンさせるとともに第2トランジスタをオフさせる制御信号を出力する。
【0015】
これにより、「高電位側共通電源線→高電位側電源端子→高電位側個別電源線→第1トランジスタ→出力端子→負荷→低電位側共通電源線」という通電経路が形成され、一対の共通電源線から負荷に対する電力供給が行われて負荷がオン駆動される。また、上記した状態において、駆動制御部は、負荷をオフ駆動する場合には第1トランジスタをオフさせるとともに第2トランジスタをオンさせる制御信号を出力する。これにより、上記通電経路が形成されなくなることから負荷に対する電力供給が停止されて負荷がオフ駆動される。
【0016】
このような構成の負荷駆動回路によれば、駆動制御部の動作モードの設定によりNPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応することが可能となる。この場合、出力回路には2つの相補的なトランジスタが含まれることから、NPN仕様またはPNP仕様の負荷だけに対応した構成の負荷駆動回路の出力回路に比べるとトランジスタが1つ増加することになり、出力回路の数、つまり出力チャンネルの数だけトランジスタが増加することになる。ただし、この場合、2つの相補的なトランジスタは、共通の制御信号に基づいて相補的にオンオフされるようになっている。そのため、この場合、出力回路のトランジスタをオンオフするための制御信号の数、出力回路のトランジスタを駆動するための駆動回路の数については、NPN仕様またはPNP仕様の負荷だけに対応した構成の負荷駆動回路と同じ数に抑えられる。
【0017】
このように、上記構成によれば、回路規模の大幅な増加を招くことなくNPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応することができるという優れた効果が得られる。なお、この場合、NPN仕様またはPNP仕様の負荷だけに対応した構成の負荷駆動回路に対し、高電位側イネーブルスイッチ、低電位側イネーブルスイッチおよびそれらをオンオフ駆動する駆動回路が追加的に設けられることになるが、これらイネーブルスイッチなどは、出力回路の数に関係なく、それぞれ1つずつ設ければよいことから、これらの追加により回路規模が大幅に増加することはない。
【0018】
なお、上記構成の負荷駆動回路から高電位側イネーブルスイッチおよび低電位側イネーブルスイッチを省いた構成によっても、上記構成と同様にNPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応することができる。しかし、上記構成において、これらイネーブルスイッチは、ロボットコントローラの動作、ひいては制御対象のロボットの動作の信頼性を良好にするための重要な役割を担っている。すなわち、上記構成の負荷駆動回路によれば、NPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応できるように回路の共通化が図られているが、ロボットコントローラに搭載される負荷駆動回路としては、単に共通化ができればよいわけではなく、その共通化に伴い負荷が誤動作する可能性が生じるということは絶対に避けなければならない。なぜなら、ロボットコントローラの制御対象であるロボットは、人であるユーザと協働する可能性があるため、負荷の誤動作に起因してロボットが誤動作した場合には極めて重要な問題となるからである。
【0019】
仮に、上記構成の負荷駆動回路から2つのイネーブルスイッチを省いた場合、次のようなケースにおいて負荷の誤動作が生じるおそれがある。すなわち、負荷の接続および駆動制御部の動作モードの設定はユーザ側で行われることから、誤接続または誤設定が発生する可能性はゼロとはならない。そのため、誤接続または誤設定により動作モードがNPNモードに設定された状態でPNP仕様の負荷が接続された場合、駆動制御部が負荷をオフ駆動するための制御信号を出力しているにもかかわらずPNP仕様の負荷に対する通電経路が形成されてしまい、負荷がオン駆動されるという誤動作が生じる。また、誤接続または誤設定により動作モードがPNPモードに設定された状態でNPN仕様の負荷が接続された場合、駆動制御部が負荷をオフ駆動するための制御信号を出力しているにもかかわらずNPN仕様の負荷に対する通電経路が形成されてしまい、負荷がオン駆動されるという誤動作が生じる。
【0020】
これに対し、上記構成の負荷駆動回路では、誤接続または誤設定により動作モードがNPNモードに設定された状態でPNP仕様の負荷が接続された場合であっても、高電位側イネーブルスイッチがオフされることから、PNP仕様の負荷に対する通電経路が形成されることはなく、駆動制御部が負荷をオフ駆動するための制御信号を出力しているにもかかわらず負荷がオン駆動されるという誤動作が生じることはない。また、誤接続または誤設定により動作モードがPNPモードに設定された状態でNPN仕様の負荷が接続された場合であっても、低電位側イネーブルスイッチがオフされることから、NPN仕様の負荷に対する通電経路が形成されることはなく、駆動制御部が負荷をオフ駆動するための制御信号を出力しているにもかかわらず負荷がオン駆動されるという誤動作が生じることはない。このように、上記構成の負荷駆動回路によれば、NPN仕様およびPNP仕様の負荷の両方に対応できるように回路の共通化を図りつつ、その共通化に伴う負荷の誤動作を防止することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係るロボットコントローラおよびNPN仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【
図2】一実施形態に係るロボットコントローラおよびPNP仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【
図3】一実施形態に係る制御回路の動作モードおよび各部の動作状態を表す図
【
図4】一実施形態に係るNPNモードに設定されるとともにNPN仕様の負荷が接続された状態で負荷をオン駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図5】一実施形態に係るNPNモードに設定されるとともにPNP仕様の負荷が接続された状態で負荷をオン駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図6】一実施形態に係るNPNモードに設定されるとともにNPN仕様の負荷が接続された状態で負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図7】一実施形態に係るNPNモードに設定されるとともにPNP仕様の負荷が接続された状態で負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図8】一実施形態に係るPNPモードに設定されるとともにPNP仕様の負荷が接続された状態で負荷をオン駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図9】一実施形態に係るPNPモードに設定されるとともにNPN仕様の負荷が接続された状態で負荷をオン駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図10】一実施形態に係るPNPモードに設定されるとともにPNP仕様の負荷が接続された状態で負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図11】一実施形態に係るPNPモードに設定されるとともにNPN仕様の負荷が接続され状態負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図12】第1比較例に係るロボットコントローラおよびNPN仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【
図13】第1比較例に係るロボットコントローラおよびPNP仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【
図14】第1比較例に係るNPNモードに設定されるとともにPNP仕様の負荷が接続された状態で負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図15】第1比較例に係るPNPモードに設定されるとともにNPN仕様の負荷が接続された状態で負荷をオフ駆動する場合の回路状態を模式的に示す図
【
図16】第2比較例に係るロボットコントローラおよびNPN仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【
図17】第2比較例に係るロボットコントローラおよびPNP仕様の負荷を備えたPLCの構成を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ロボットコントローラの実施形態について図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態のロボットコントローラ1は、外部の負荷が接続される複数の出力端子Poと、一対の共通電源線L1、L2から供給される電力を用いて上記負荷を駆動する負荷駆動回路2を備えている。なお、
図1および
図2では、ロボットコントローラ1の一部の構成、具体的には、ロボットコントローラ1のI/O基板に搭載される構成だけが図示されている。
【0023】
一対の共通電源線L1、L2は、所定の直流電圧Vaを生成する直流電源の両端にそれぞれ接続されている。一対の共通電源線L1、L2のうち、高電位側である共通電源線L1は高電位側共通電源線に相当するとともに、低電位側である共通電源線L2は低電位側共通電源線に相当する。ロボットコントローラ1は、一対の共通電源線L1、L2にそれぞれ接続される電源端子PH、PLを備えている。
【0024】
ロボットコントローラ1は、通常、20程度の出力端子Poを備えているが、
図1および
図2などでは、それら出力端子Poのうち5つの出力端子Poが示されており、それら5つの出力端子Poを区別するために、符号の末尾に「A」、「B」、「C」、「D」および「E」を付している。また、出力端子Poのそれぞれに対応して設けられる各構成および各信号などについても、符号の末尾に同様のアルファベットを付して区別することとする。ただし、これら各構成について、区別する必要がない場合には、末尾のアルファベットを省略して総称することとする。
【0025】
負荷駆動回路2の駆動対象となる負荷としては、
図1に示すPLC3が備えるNPN仕様の入力回路4A、4B、4C、4Dおよび4Eに含まれる負荷5と、
図2に示すPLC6が備えるPNP仕様の入力回路7A、7B、7C、7Dおよび7Eに含まれる負荷8と、が想定される。つまり、本実施形態のロボットコントローラ1は、NPN仕様およびPNP仕様の両仕様のPLC3、6を接続することが可能となっている。この場合、負荷5、8は、例えばフォトカプラの1次側のフォトダイオードとなっている。
【0026】
PLC3、6では、上記フォトカプラの2次側のフォトトランジスタのオンオフ、つまりフォトカプラの出力に応じて所定の動作が行われる。
図1に示すように、NPN仕様の入力回路4A~4Eの各負荷5の高電位側の端子は、PLC3が備える端子P1に接続されている。端子P1は、共通電源線L1に接続されている。入力回路4A~4Eの各負荷5の低電位側の端子は、PLC3が備える端子P2A、P2B、P2C、P2DおよびP2Eにそれぞれ接続されている。端子P2A~P2Eは、信号線を介してロボットコントローラ1の出力端子PoA~PoEにそれぞれ接続されている。
【0027】
図2に示すように、PNP仕様の入力回路7A~7Eの各負荷8の高電位側の端子は、PLC6が備える端子P3A、P3B、P3C、P3DおよびP3Eにそれぞれ接続されている。端子P3A~P3Eは、信号線を介してロボットコントローラ1の出力端子PoA~PoEにそれぞれ接続されている。入力回路7A~7Eの各負荷8の低電位側の端子は、PLC6が備える端子P4に接続されている。端子P4は、共通電源線L2に接続されている。
【0028】
負荷駆動回路2は、出力端子PoA、PoB、PoC、PoDおよびPoEのそれぞれに対応して設けられた複数の出力回路9A、9B、9C、9Dおよび9E、スイッチSWH、SWL、駆動回路10、11および制御回路12を備えている。出力回路9は、一対の個別電源線L3、L4、相補的な2つのトランジスタQ1、Q2および駆動回路13を備えている。一対の個別電源線L3、L4のうち、高電位側である個別電源線L3は高電位側個別電源線に相当するとともに、低電位側である個別電源線L4は低電位側個別電源線に相当する。
【0029】
トランジスタQ1は、Pチャネル型MOSFETであり、そのドレインは個別電源線L3に接続され、そのソースはノードN1に接続されている。ノードN1は、出力端子Poに接続されている。トランジスタQ2は、Nチャネル型MOSFETであり、そのドレインはノードN1に接続され、そのソースは個別電源線L4に接続されている。このように、出力回路9は、2つの相補的なトランジスタQ1、Q2が一対の個別電源線L3、L4間に出力端子Poを挟んで接続されたプッシュプル回路の構成となっている。上記構成において、高電位側に設けられたトランジスタQ1は第1トランジスタに相当し、低電位側に設けられたトランジスタQ2は第2トランジスタに相当する。
【0030】
このようなプッシュプル回路の構成の出力回路9において、トランジスタQ1、Q2は、同じ駆動信号をゲートに与えることで、一方をオンさせるとともに他方のをオフさせることができる。そこで、出力回路9において、トランジスタQ1、Q2の各ゲートには、駆動回路13から出力される1つの駆動信号Saが与えられている。そのため、トランジスタQ1、Q2は、共通の駆動信号Saにより相補的にオンオフされる。
【0031】
具体的には、駆動信号Saがハイレベルである場合、トランジスタQ1がオフ駆動されるとともにトランジスタQ2がオン駆動される。また、駆動信号Saがロウレベルである場合、トランジスタQ1がオン駆動されるとともにトランジスタQ2がオフ駆動される。本実施形態では、ハイレベルは、例えば共通電源線L1の電位に対応するレベルであり、ロウレベルは、例えば共通電源線L2の電位に対応するレベルとなっている。
【0032】
出力回路9A~9Eの各駆動回路13は、制御回路12から与えられる制御信号SbA、SbB、SbC、SbDおよびSbEに基づいて駆動信号Saを生成して出力する。具体的には、駆動回路13は、トランジスタQ1のオフおよびトランジスタQ2のオンを指令する制御信号Sbが与えられると、ハイレベルの駆動信号Saを生成して出力する。また、駆動回路13は、トランジスタQ1のオンおよびトランジスタQ2のオフを指令する制御信号Sbが与えられると、ロウレベルの駆動信号Saを生成して出力する。
【0033】
スイッチSWHは、共通電源線L1に接続される電源端子PHと複数の出力回路9の個別電源線L3との間に接続されている。スイッチSWHは、電源端子PHと複数の出力回路9の個別電源線L3との間を開閉する高電位側イネーブルスイッチとして機能する。スイッチSWLは、複数の出力回路9の個別電源線L4と共通電源線L2に接続される電源端子PLとの間に接続されている。スイッチSWLは、複数の出力回路9の個別電源線L4と電源端子PLとの間を開閉する低電位側イネーブルスイッチとして機能する。
【0034】
本実施形態では、スイッチSWH、SWLは、リレーにより構成されている。スイッチSWHは、駆動回路10から出力される駆動信号Scによりオンオフされる。駆動回路10は、制御回路12から与えられる制御信号Sdに基づいて駆動信号Scを生成して出力する。スイッチSWLは、駆動回路11から出力される駆動信号Seによりオンオフされる。駆動回路11は、制御回路12から与えられる制御信号Sfに基づいて駆動信号Seを生成して出力する。
【0035】
制御回路12は、例えばFPGAなどの集積回路として構成されたものであり、制御信号Sb、SdおよびSfを生成して出力する。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。本実施形態では、制御回路12は、共通の制御信号Sbに基づいて出力回路9の2つのトランジスタQ1、Q2を相補的にオンオフするとともに、スイッチSWH、SWLのオンオフを制御する駆動制御部として機能する。制御回路12は、電源端子PHおよび出力端子Poの間に接続される負荷5を負荷駆動回路2により駆動するNPNモードと、出力端子Poおよび電源端子PLの間に接続される負荷8を負荷駆動回路2により駆動するPNPモードと、の2つの動作モードのいずれかに設定可能となっている。
【0036】
このような動作モードの設定は、ロボットコントローラ1におけるパラメータにより設定することができる。したがって、本実施形態において、動作モードの設定は、ロボットコントローラ1のユーザが、使用する負荷の仕様に合うように容易に設定することができるようになっている。この場合、制御回路12は、ロボットコントローラ1に対する電源が投入された起動時には、上記動作モードの設定に関係なくスイッチSWH、SWLをオフするようになっており、その後、所定時間が経過すると、動作モードの設定に応じてスイッチSWH、SWLのオンオフを制御するようになっている。
【0037】
次に、上記構成の作用について説明する。
[1]NPNモード設定時
制御回路12の動作モードがNPNモードに設定されたときの各部の動作状態について、
図3~
図7を参照して説明する。なお、
図3などでは、スイッチSWH、SWLがオンされること、トランジスタQ1、Q2がオン駆動されることおよび負荷5、8がオン駆動されることを「ON」と表し、スイッチSWH、SWLがオフされること、トランジスタQ1、Q2がオフ駆動されることおよび負荷5、8がオフ駆動されることを「OFF」と表している。
【0038】
制御回路12は、NPNモードに設定されると、スイッチSWHをオフさせるとともにスイッチSWLをオンさせる制御信号Sd、Sfを出力する。これにより、負荷駆動回路2において、個別電源線L3が電源端子PHから切り離されるとともに、個別電源線L4が電源端子PLに接続された状態、つまり出力回路9への電力供給が許可された状態となる。このような状態において、制御回路12は、負荷5をオン駆動する場合にはトランジスタQ1をオフさせるとともにトランジスタQ2をオンさせる制御信号Sbを出力する。
【0039】
このとき、
図4に示すように、動作モードの設定に合致した仕様のPLC、つまりNPN仕様のPLC3がロボットコントローラ1に接続されている場合、負荷駆動回路2により負荷5がオン駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図4に示すような回路状態となっている。そのため、「共通電源線L1→負荷5→出力端子Po→トランジスタQ2→個別電源線L4→電源端子PL→共通電源線L2」という通電経路が形成され、一対の共通電源線L1、L2から負荷5に対する電力供給が行われて負荷5がオン駆動される。
【0040】
これに対し、このとき、
図5に示すように、動作モードの設定に合致していない仕様のPLC、つまりPNP仕様のPLC6がロボットコントローラ1に接続されている場合、負荷駆動回路2により負荷8がオン駆動されることはなく、負荷8はオフ駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図5に示すような回路状態であり、スイッチSWHがオフされていることから、PNP仕様の負荷8に対する通電経路が形成されることはなく、負荷8がオン駆動されることはない。
【0041】
また、上記した状態において、制御回路12は、負荷5をオフ駆動する場合にはトランジスタQ1をオンさせるとともにトランジスタQ2をオフさせる制御信号Sbを出力する。このとき、
図6に示すようにNPN仕様のPLC3がロボットコントローラ1に接続されている場合および
図7に示すようにPNP仕様のPLC6がロボットコントローラ1に接続されている場合のいずれにおいても、負荷駆動回路2により負荷5、8がオフ駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図6または
図7に示すような回路状態となっている。そのため、NPN仕様の負荷5またはPNP仕様の負荷8に対する通電経路が形成されることはなく、負荷5、8がオフ駆動される。
【0042】
[2]PNPモード設定時
制御回路12の動作モードがPNPモードに設定されたときの各部の動作状態について、
図3および
図8~
図11を参照して説明する。制御回路12は、PNPモードに設定されると、スイッチSWHをオンさせるとともにスイッチSWLをオフさせる制御信号Sd、Sfを出力する。これにより、負荷駆動回路2において、個別電源線L3が電源端子PHに接続されるとともに、個別電源線L4が電源端子PLから切り離された状態、つまり出力回路9への電力供給が許可された状態となる。このような状態において、制御回路12は、負荷8をオン駆動する場合にはトランジスタQ1をオンさせるとともにトランジスタQ2をオフさせる制御信号Sbを出力する。
【0043】
このとき、
図8に示すように、動作モードの設定に合致した仕様のPLC、つまりPNP仕様のPLC6がロボットコントローラ1に接続されている場合、負荷駆動回路2により負荷8がオン駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図8に示すような回路状態となっている。そのため、「共通電源線L1→電源端子PH→個別電源線L3→トランジスタQ1→出力端子Po→負荷8→共通電源線L2」という通電経路が形成され、一対の共通電源線L1、L2から負荷8に対する電力供給が行われて負荷8がオン駆動される。
【0044】
これに対し、このとき、
図9に示すように、動作モードの設定に合致していない仕様のPLC、つまりNPN仕様のPLC3がロボットコントローラ1に接続されている場合、負荷駆動回路2により負荷5がオン駆動されることはなく、負荷5はオフ駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図9に示すような回路状態であり、スイッチSWLがオフされていることから、NPN仕様の負荷5に対する通電経路が形成されることはなく、負荷5がオン駆動されることはない。
【0045】
また、上記した状態において、制御回路12は、負荷8をオフ駆動する場合にはトランジスタQ1をオフさせるとともにトランジスタQ2をオンさせる制御信号Sbを出力する。このとき、
図10に示すようにPNP仕様のPLC6がロボットコントローラ1に接続されている場合および
図11に示すようにNPN仕様のPLC3がロボットコントローラ1に接続されている場合のいずれにおいても、負荷駆動回路2により負荷8、5がオフ駆動される。すなわち、この場合、負荷駆動回路2は、
図10または
図11に示すような回路状態となっている。そのため、PNP仕様の負荷8またはNPN仕様の負荷5に対する通電経路が形成されることはなく、負荷8、5がオフ駆動される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のロボットコントローラ1が備える負荷駆動回路2によれば、制御回路12の動作モードの設定によりNPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応することが可能となる。この場合、出力回路9には2つの相補的なトランジスタQ1、Q2が含まれることから、NPN仕様またはPNP仕様の負荷だけに対応した従来の構成の負荷駆動回路の出力回路に比べるとトランジスタが1つ増加することになり、出力回路9の数、つまり出力チャンネルの数だけトランジスタが増加することになる。なお、以下の説明では、NPN仕様またはPNP仕様の負荷だけに対応した従来の構成の負荷駆動回路のことを従来構成と称することとする。
【0047】
ただし、この場合、2つの相補的なトランジスタQ1、Q2は、共通の制御信号Sbに基づいて相補的にオンオフされるようになっている。そのため、この場合、出力回路9のトランジスタQ1、Q2をオンオフするための制御信号Sbの数、言い換えると制御回路12の回路規模およびピン数、出力回路9のトランジスタQ1、Q2を駆動するための駆動回路13の数については、従来構成と同じ数に抑えられる。
【0048】
このように、上記構成によれば、回路規模の大幅な増加を招くことなくNPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応することができるという優れた効果が得られる。なお、この場合、従来構成に対し、スイッチSWH、SWLおよびそれらをオンオフ駆動する駆動回路10、11が追加的に設けられることになるが、これらの構成は、出力回路9の数、つまり出力チャンネルの数に関係なく、それぞれ1つずつ設ければよいことから、これら構成の追加により回路規模が大幅に増加することはない。
【0049】
また、本実施形態の構成によれば、従来構成に対し、ロボットコントローラ1を製造するための基板の種類が少なくなるため、作業工数が削減されるとともに誤組付けなどの作業ミスが生じる可能性が低く抑えられる。また、本実施形態の構成によれば、NPN仕様の負荷5またはPNP仕様の負荷8のいずれを使用するユーザに対しても同一仕様のロボットコントローラ1を販売可能となることから、サービス在庫を低減することができる。また、この場合、ロボットコントローラ1のパラメータ設定によりNPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応することが可能であることから、ユーザ側において負荷の仕様を容易に変更することができる。
【0050】
図12および
図13に示すように、本実施形態の負荷駆動回路2からスイッチSWH、SWLおよび駆動回路10、11を省いた構成の負荷駆動回路21によっても、本実施形態の構成と同様にNPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応することができる。なお、以下の説明では、負荷駆動回路21のことを第1比較例と称することとする。しかし、本実施形態の構成において、スイッチSWH、SWLは、ロボットコントローラ1の動作の信頼性、ひいては制御対象のロボットの動作の信頼性および安全性を良好にするための重要な役割を担っている。
【0051】
すなわち、本実施形態の負荷駆動回路2によれば、NPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応できるように回路、基板の共通化が図られているが、ロボットコントローラ1に搭載される負荷駆動回路2としては、単に共通化ができればよいわけではなく、その共通化に伴い負荷5、8が誤動作する可能性が生じるということは絶対に避けなければならない。なぜなら、ロボットコントローラ1の制御対象であるロボットは、人であるユーザと協働する可能性があるため、負荷5、8の誤動作に起因してロボットが誤動作した場合には極めて重要な問題となるからである。第1比較例の構成では、次のようなケースにおいて負荷5、8の誤動作が生じるおそれがある。すなわち、負荷5、8の接続および制御回路12の動作モードの設定はユーザ側で行われることから、誤接続または誤設定が発生する可能性はゼロとはならない。
【0052】
そのため、第1比較例の構成では、
図14に示すように、誤接続または誤設定により動作モードがNPNモードに設定された状態でPNP仕様の負荷8が接続された場合、制御回路12が負荷をオフ駆動するための制御信号Sbを出力しているにもかかわらずPNP仕様の負荷8に対する通電経路が形成されてしまい、負荷8がオン駆動されるという誤動作が生じる。また、第1比較例の構成では、
図15に示すように、誤接続または誤設定により動作モードがPNPモードに設定された状態でNPN仕様の負荷5が接続された場合、制御回路12が負荷をオフ駆動するための制御信号Sbを出力しているにもかかわらずNPN仕様の負荷5に対する通電経路が形成されてしまい、負荷5がオン駆動されるという誤動作が生じる。
【0053】
これに対し、本実施形態の負荷駆動回路2では、誤接続または誤設定により動作モードがNPNモードに設定された状態でPNP仕様の負荷8が接続された場合であっても、スイッチSWHがオフされることから、PNP仕様の負荷8に対する通電経路が形成されることはなく、制御回路12が負荷をオフ駆動するための制御信号Sbを出力しているにもかかわらず負荷8がオン駆動されるという誤動作が生じることはない。
【0054】
また、本実施形態の負荷駆動回路2では、誤接続または誤設定により動作モードがPNPモードに設定された状態でNPN仕様の負荷5が接続された場合であっても、スイッチSWLがオフされることから、NPN仕様の負荷5に対する通電経路が形成されることはなく、制御回路12が負荷をオフ駆動するための制御信号Sbを出力しているにもかかわらず負荷5がオン駆動されるという誤動作が生じることはない。このように、本実施形態の負荷駆動回路2によれば、NPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応できるように回路、基板の共通化を図りつつ、その共通化に伴う負荷5、8の誤動作を防止することができるという優れた効果が得られる。
【0055】
図16および
図17に示すように、第1比較例の構成に対し、2つの制御信号Sb1、Sb2により2つのトランジスタQ1、Q2をそれぞれ独立してオンオフさせるような変更が加えられた負荷駆動回路31によれば、本実施形態の構成と同様、誤接続または誤設定による負荷5、8の誤動作を防止することができると考えられる。なお、以下の説明では、負荷駆動回路31のことを第2比較例と称することとする。すなわち、第2比較例の負荷駆動回路31は、第1比較例の構成に対し、出力回路9に代えて出力回路32が設けられている点、制御回路12に代えて制御回路33が設けられている点などが異なっている。
【0056】
出力回路32は、トランジスタQ1を駆動する駆動回路34およびトランジスタQ2を駆動する駆動回路35を備えている。駆動回路34は、制御回路33から与えられる制御信号Sb1に基づいて駆動信号Sa1を生成して出力する。駆動回路35は、制御回路33から与えられる制御信号Sb2に基づいて駆動信号Sa2を生成して出力する。制御回路33は、制御信号Sb1、Sb2を生成して出力する。このような構成により、第2比較例の負荷駆動回路31では、トランジスタQ1、Q2をそれぞれ独立してオンオフすることができる。
【0057】
したがって、第2比較例によれば、負荷5、8をオフ駆動する際、トランジスタQ1、Q2の双方をオフ駆動することが可能となり、このようにすれば、誤接続または誤設定により動作モードとは異なる仕様の負荷が接続された場合であっても、制御回路33が負荷をオフ駆動するための制御信号Sb1、Sb2を出力しているにもかかわらず負荷がオン駆動されるという誤動作が生じることはない。しかし、第2比較例の構成では、次のような問題が生じる。
【0058】
すなわち、第2比較例の構成では、従来構成に対し、出力チャンネルの数だけ出力回路32のトランジスタが増加するだけでなく、さらに、出力回路32のトランジスタQ1、Q2をオンオフするための制御信号の数、つまり制御回路33の回路規模およびピン数、出力回路32のトランジスタQ1、Q2を駆動するための駆動回路の数が倍増するというデメリットがある。しかも、このようなデメリットは、出力チャンネル数が多くなるほど一層顕著なものとなる。
【0059】
これに対し、本実施形態の構成によれば、制御回路12の回路規模およびピン数、出力回路2のトランジスタQ1、Q2を駆動するための駆動回路13の数については、従来構成と同じ数に抑えられる。したがって、本実施形態の構成によれば、NPN仕様の負荷5およびPNP仕様の負荷8の両方に対応できるように回路、基板の共通化を図ることを実現しつつ、第1比較例において生じる誤動作の発生を抑制するとともに、第2比較例に比べて回路規模を大幅に低減することができる。
【0060】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
負荷駆動回路2の駆動対象となる負荷は、PLC3、6に設けられるものに限らずともよく、例えばロボットコントローラ1の制御対象となるロボットに設けられる負荷であってもよい。
【0061】
出力回路9に含まれる2つの相補的なトランジスタQ1、Q2は、MOSFETに限らず、バイポーラトランジスタでもよい。つまり、出力回路9に含まれる2つの相補的なトランジスタQ1、Q2は、PNP形バイポーラトランジスタおよびNPN形バイポーラトランジスタの組み合わせでもよい。
スイッチSWH、SWLは、例えばMOSFETなどのトランジスタ、または、フォトカプラなどにより構成することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1…ロボットコントローラ、2…負荷駆動回路、5A~5E、8A~8E…負荷、9A~9E…出力回路、12…制御回路、L1…共通電源線、L2…共通電源線、L3…個別電源線、L4…個別電源線、PoA~PoE…出力端子、PH…電源端子、PL…電源端子、Q1…トランジスタ、Q2…トランジスタ、SWH…スイッチ、SWL…スイッチ。