IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特許-ロボットの操作装置 図1
  • 特許-ロボットの操作装置 図2
  • 特許-ロボットの操作装置 図3
  • 特許-ロボットの操作装置 図4
  • 特許-ロボットの操作装置 図5
  • 特許-ロボットの操作装置 図6
  • 特許-ロボットの操作装置 図7
  • 特許-ロボットの操作装置 図8
  • 特許-ロボットの操作装置 図9
  • 特許-ロボットの操作装置 図10
  • 特許-ロボットの操作装置 図11
  • 特許-ロボットの操作装置 図12
  • 特許-ロボットの操作装置 図13
  • 特許-ロボットの操作装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ロボットの操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04845 20220101AFI20240502BHJP
   G06F 3/04886 20220101ALI20240502BHJP
【FI】
G06F3/04845
G06F3/04886
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021061394
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157270
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松堂 杏菜
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-030060(JP,A)
【文献】特開2008-090487(JP,A)
【文献】特開2004-181959(JP,A)
【文献】特開2008-306646(JP,A)
【文献】特開2019-191730(JP,A)
【文献】国際公開第2013/029658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置であって、
緑色ボタン画像、赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付けるタッチスクリーンと、
前記タッチスクリーンにより、前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作開始状態に設定し、前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を非常停止状態に設定し、前記青色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態をリセット状態に設定する状態設定部と、
前記緑色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる画像制御部と、
を備える、ロボットの操作装置。
【請求項2】
前記タッチスクリーンは、さらに黄色ボタン画像を表示し、
前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより、前記黄色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作中断状態に設定し、
前記画像制御部は、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる、請求項1に記載のロボットの操作装置。
【請求項3】
前記画像制御部は、前記動作状態が前記動作開始状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記赤色ボタン画像へタッチ操作されると予測する、請求項1又は2に記載のロボットの操作装置。
【請求項4】
前記画像制御部は、前記動作状態が前記非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記青色ボタン画像へタッチ操作されると予測する、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項5】
前記画像制御部は、前記動作状態が初期状態又は前記リセット状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記緑色ボタン画像へタッチ操作されると予測する、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項6】
前記状態設定部は、前記固定位置に前記緑色ボタン画像が表示されている場合は、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられ、且つ前記ユーザにより所定の確認操作が実行されたことを条件として前記動作状態を動作開始状態に設定する、請求項5に記載のロボットの操作装置。
【請求項7】
前記画像制御部は、前記タッチスクリーンの前記固定位置に前記緑色ボタン画像を表示させることを禁止する、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項8】
前記画像制御部は、前記タッチスクリーンの外縁部に前記固定位置を設ける、請求項1~7のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項9】
前記画像制御部は、前記固定位置に表示させるボタン画像以外のボタン画像を、前記固定位置から離れた位置に表示させる、請求項1~8のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項10】
前記画像制御部は、前記固定位置に表示させるボタン画像を他のボタン画像よりも大きく表示させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置において、ロボットを動作させる動作ボタンをタッチスクリーンに表示し、動作ボタンの入力が継続して検出されている間、ロボットに動作を実行させるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-183845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、機械安全の国際規格の1つである電気設備安全規格(IEC60204-1)には、オペレータインターフェイスに関する要求として、押しボタンの色と意味とが規定されている。この規格によれば、非常停止ボタンは赤色、中断ボタンは黄色、リセットボタンは青色、開始ボタンは緑色で表示すると規定されている。この規格に従ってタッチスクリーンにボタンを表示した場合、色覚異常者は、例えば赤色と緑色とを見分けることができず、緊急を要する場合に非常停止ボタンを速やかに押すことができないおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、色覚異常者であってもボタンを見分けやすくすることができるロボットの操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置であって、
緑色ボタン画像、赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付けるタッチスクリーンと、
前記タッチスクリーンにより、前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作開始状態に設定し、前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を非常停止状態に設定し、前記青色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態をリセット状態に設定する状態設定部と、
前記緑色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる画像制御部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、ロボットの動作状態を設定するために、ユーザにより操作装置が操作される。
【0008】
ここで、タッチスクリーンは、緑色ボタン画像、赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付ける。状態設定部は、前記タッチスクリーンにより、前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作開始状態に設定し、前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を非常停止状態に設定し、前記青色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態をリセット状態に設定する。ロボットの動作状態は、最初に動作開始状態に設定され、その後に緊急を要する場合に非常停止状態に設定され、その後に非常停止状態を解除するためにリセット状態に設定されることが多い。
【0009】
この点、画像制御部は、前記緑色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる。したがって、ユーザは、常に固定位置に表示されたボタン画像をタッチ操作することにより、次にタッチ操作する可能性が高いボタン画像をタッチ操作することができ、色覚異常者であってもボタンを見分けやすくすることができる。
【0010】
第2の手段では、前記タッチスクリーンは、さらに黄色ボタン画像を表示し、前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより、前記黄色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作中断状態に設定し、前記画像制御部は、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる。
【0011】
上記構成によれば、前記タッチスクリーンは、さらに黄色ボタン画像を表示し、前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより、前記黄色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に前記動作状態を動作中断状態に設定する。このため、ユーザは、黄色ボタン画像をタッチ操作することにより、ロボットの動作状態を動作中断状態に設定することができる。そして、前記画像制御部は、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、前記赤色ボタン画像、及び青色ボタン画像のうち、次に前記ユーザにより前記タッチ操作されると予測したボタン画像を、前記タッチスクリーンの固定位置に表示させる。したがって、さらに黄色ボタン画像を含めて、次にユーザがタッチ操作する可能性が高いボタン画像を固定位置に表示させることができる。
【0012】
第3の手段では、前記画像制御部は、前記動作状態が前記動作開始状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記赤色ボタン画像へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボットの動作開始状態が動作開始状態に設定されている場合は、赤色ボタン画像がタッチスクリーンの固定位置に表示される。このため、色覚異常者であっても、緊急を要する場合に赤色ボタン画像を速やかに押すことができる。
【0013】
第4の手段では、前記画像制御部は、前記動作状態が前記非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記青色ボタン画像へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボットの動作開始状態が非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合は、青色ボタン画像がタッチスクリーンの固定位置に表示される。このため、色覚異常者であっても、ロボットの動作状態をリセットする必要がある場合に青色ボタン画像を押しやすくなる。
【0014】
第5の手段では、前記画像制御部は、前記動作状態が初期状態又は前記リセット状態に設定されている場合に、次に前記ユーザにより前記緑色ボタン画像へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボットの動作開始状態が初期状態又はリセット状態に設定されている場合は、緑色ボタン画像がタッチスクリーンの固定位置に表示される。このため、ユーザがロボットの動作状態を動作開始状態に設定する可能性が高い場合に、ユーザは緑色ボタン画像を押しやすくなる。
【0015】
タッチスクリーンの固定位置に緑色ボタン画像が表示されている場合は、色覚異常者が意図せずロボットの動作状態を動作開始状態に設定するおそれがあり、意図せずロボットが動作するおそれがある。
【0016】
この点、第6の手段では、前記状態設定部は、前記固定位置に前記緑色ボタン画像が表示されている場合は、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられ、且つ前記ユーザにより所定の確認操作が実行されたことを条件として前記動作状態を動作開始状態に設定する。こうした構成によれば、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられたとしても、前記ユーザにより所定の確認操作が実行されていない場合は、ロボットの動作状態が動作開始状態に設定されない。したがって、前記固定位置に前記緑色ボタン画像が表示されている場合であっても、意図せずロボットが動作することを抑制することができる。一方、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられ、且つ前記ユーザにより所定の確認操作が実行された場合は、ロボットの動作状態を動作開始状態に設定することができる。
【0017】
第7の手段では、前記画像制御部は、前記タッチスクリーンの前記固定位置に前記緑色ボタン画像を表示させることを禁止する。こうした構成によれば、色覚異常者が意図せずロボットの動作状態を動作開始状態に設定することを抑制することができ、意図せずロボットが動作することを抑制することができる。
【0018】
第8の手段では、前記画像制御部は、前記タッチスクリーンの外縁部に前記固定位置を設ける。こうした構成によれば、タッチスクリーンにおいて固定位置に表示されるボタン画像以外の画像が、固定位置に表示されるボタン画像により遮られることを抑制することができる。さらに、タッチスクリーンにおける固定位置の位置をユーザが覚えやすくなる。
【0019】
第9の手段では、前記画像制御部は、前記固定位置に表示させるボタン画像以外のボタン画像を、前記固定位置から離れた位置に表示させる。こうした構成によれば、ユーザは、固定位置に表示されたボタン画像を他のボタン画像と区別して認識しやすくなる。その結果、緊急を要する場合に、ユーザは固定位置に表示されたボタン画像を速やかに押しやすくなる。
【0020】
第10の手段では、前記画像制御部は、前記固定位置に表示させるボタン画像を他のボタン画像よりも大きく表示させる。こうした構成によれば、固定位置に表示されたボタン画像の大きさと他のボタン画像の大きさとの違いによっても、ユーザはボタンを見分けやすくなる。さらに、固定位置に表示されるボタン画像が他のボタン画像よりも大きく表示されるため、ユーザは固定位置に表示されるボタン画像を押しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ロボット及び操作装置のブロック図。
図2】押しボタン色と意味とを示す表。
図3】一般色覚者によるボタン画像の見え方。
図4】P型色覚者によるボタン画像の見え方。
図5】D型色覚者によるボタン画像の見え方。
図6】T型色覚者によるボタン画像の見え方。
図7】A型色覚者によるボタン画像の見え方。
図8】各色のボタン画像の表示態様の変化を示す模式図。
図9】各色のボタン画像の表示態様の変化を示す模式図。
図10】各色のボタン画像の表示態様の変化を示す模式図。
図11】各色のボタン画像の表示態様の変更例を示す模式図。
図12】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
図13】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
図14】所定の確認操作の態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、機械組立工場などで用いられるロボットの操作装置に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、操作装置20は、ロボット10に接続されている。ロボット10は、例えば6軸の垂直多関節型のロボットである。なお、ロボット10は、5軸や7軸の垂直多関節型のロボットでもよいし、水平多関節型のロボットでもよい。
【0023】
操作装置20は、タッチスクリーン21、画像制御部22、状態設定部23等を備えている。操作装置20は、各種のキースイッチを備えたティーチングペンダント(専用装置)であってもよいし、画像制御部22及び状態設定部23の機能を実現するプログラムがインストールされた汎用のタブレット端末(汎用装置)であってもよい。操作装置20は、ロボット10の動作状態を設定するために、ユーザにより操作される。
【0024】
タッチスクリーン21は、表示部とタッチセンサとを備えている。表示部は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等により構成されている。タッチセンサは、抵抗膜型タッチセンサ、静電容量型タッチセンサ、電磁誘導型タッチセンサ等である。タッチスクリーン21は、画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付ける(検出する)。
【0025】
画像制御部22は、緑色のボタン画像、黄色のボタン画像、青色のボタン画像、及び赤色のボタン画像を、タッチスクリーン21により表示させる。さらに、画像制御部22は、緑色のボタン画像、黄色のボタン画像、赤色のボタン画像、及び青色ボタン画像のうち、次にユーザによりタッチ操作されると予測したボタン画像を、タッチスクリーン21の固定位置に表示させる。画像制御部22の詳細な機能については後述する。
【0026】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により各色ボタン画像へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を各色ボタン画像に対応した動作状態に設定する。状態設定部23の詳細な機能については後述する。
【0027】
図2は、押しボタン色と意味とを示す表である。図2の表は、機械安全の国際規格の1つである電気設備安全規格(IEC60204-1)に、オペレータインターフェイスに関する要求として規定されている。この規格によれば、非常停止ボタンは赤色、中断ボタン(一時停止ボタン)は黄色、リセットボタンは青色、動作開始ボタン(始動ボタン)は緑色で表示すると規定されている。なお、ロボット10を上記以外の動作状態に設定するボタンは、白色、灰色、黒色等で表示すると規定されている。
【0028】
この規格に従ってタッチスクリーン21にボタン画像を表示した場合、色覚異常者(色弱者)は、例えば赤色と緑色とを見分けることができず、緊急を要する場合に非常停止ボタンを速やかに押すことができないおそれがある。
【0029】
図3は、一般色覚者(C型色覚者、色覚正常者)によるボタン画像の見え方である。同図に示すように、一般色覚者は、ボタン画像41が緑色に見え、ボタン画像42が黄色に見え、ボタン画像43が青色に見え、ボタン画像44が赤色に見える。
【0030】
図4は、P型色覚者によるボタン画像の見え方である。P型色覚者は、赤色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約1.5[%]が該当する。P型色覚者は、緑色のボタン画像41が薄茶色に見え、赤色のボタン画像44が濃い茶色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像44とを見分けにくい。
【0031】
図5は、D型色覚者によるボタン画像の見え方である。D型色覚者は、緑色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約3.5[%]が該当する。D型色覚者は、緑色のボタン画像41が薄茶色に見え、赤色のボタン画像44が茶色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像44とを見分けにくい。
【0032】
図6は、T型色覚者によるボタン画像の見え方である。T型色覚者は、青色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約0.001[%]が該当する。T型色覚者は、緑色のボタン画像41が青緑色に見え、青色のボタン画像43が青緑色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像43とを見分けにくい。また、T型色覚者は、黄色のボタン画像42が桃色に見え、赤色のボタン画像44が赤色に見えるため、ボタン画像42とボタン画像44とを見分けにくい。
【0033】
図7は、A型色覚者によるボタン画像の見え方である。A型色覚者は、赤色錐体細胞、緑色錐体細胞、及び青色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約0.001[%]が該当する。A型色覚者は、緑色のボタン画像41が灰色に見え、黄色のボタン画像42が薄灰色に見え、青色のボタン画像43が灰色に見え、赤色のボタン画像44が濃い灰色に見えるため、ボタン画像41~44を見分けにくい。
【0034】
図8に示すように、画像制御部22は、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、青色のボタン画像43、及び赤色のボタン画像44を、タッチスクリーン21により表示させる。緑色のボタン画像41には「動作開始」の文字が表示され、黄色のボタン画像42には「中断」又は「一時停止」の文字が表示され、青色のボタン画像43には「リセット」の文字が表示され、赤色のボタン画像44には「非常停止」の文字が表示されている。しかし、緊急を要する場合には、これらの文字を読んでボタン画像を押そうとすると、ボタン画像を押すことが遅れるおそれがある。このため、上記電気設備安全規格では、ボタン画像41~44を直感的に判断可能なように色分けしている。
【0035】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により緑色のボタン画像41(他色ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を動作開始状態に設定する。動作開始状態は、ロボット10の動作を開始させる状態である。ロボット10の動作状態が動作開始状態に設定されると、ロボット10は動作を開始する。
【0036】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により黄色のボタン画像42(他色ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を動作中断状態に設定する。動作中断状態は、ロボット10の動作を中断させる状態である。ロボット10の動作状態が動作中断状態に設定されると、ロボット10は実行中の動作命令を所定時間(所定段階)実行した後に停止する。
【0037】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により青色のボタン画像43(他色ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態をリセット状態に設定する。リセット状態は、ロボット10の異常状態をリセット(解除)する状態である。ロボット10の動作状態がリセット状態に設定されると、ロボット10は異常状態(中断状態、非常停止状態等)をリセットして正常状態に復帰する。
【0038】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により赤色のボタン画像44(赤色ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を非常停止状態に設定する。非常停止状態は、ロボット10の動作を直ちに停止させる状態である。ロボット10の動作状態が非常停止状態に設定されると、ロボット10は動作を最短時間で停止する。
【0039】
本実施形態では、図8に示すように、画像制御部22は、位置P1~P4に、ボタン画像41~44を1つずつ表示させる。画像制御部22は、タッチスクリーン21の上部(外縁部)に位置P1~P4を設ける。画像制御部22は、タッチスクリーン21の上部において、右端から左へ順に、位置P1、位置P2、位置P3、位置P4を設ける。そして、画像制御部22は、緑色のボタン画像41(緑色ボタン画像)、黄色のボタン画像42(黄色ボタン画像)、赤色のボタン画像44(赤色ボタン画像)、及び青色のボタン画像43(青色ボタン画像)のうち、次にユーザによりタッチ操作されると予測したボタン画像を、位置P1(固定位置)に表示させる。
【0040】
ロボット10の動作状態は、最初に動作開始状態に設定され、その後に緊急を要する場合に非常停止状態に設定され、その後に非常停止状態を解除するためにリセット状態に設定されることが多い。その他、ロボットの動作状態は、中断状態に適宜設定される。
【0041】
そこで、画像制御部22は、動作状態が初期状態又はリセット状態に設定されている場合に、次にユーザにより緑色のボタン画像41へタッチ操作されると予測する。そして、図8に示すように、画像制御部22は、緑色のボタン画像41を位置P1に表示させる。初期状態は、ロボット10を起動した時の状態である。すなわち、画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が最も高いと予測した緑色のボタン画像41を、位置P1に表示させる。画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が、2番目に高いと予測した赤色のボタン画像44を位置P2に表示させ、3番目に高いと予測した黄色のボタン画像42を位置P3に表示させ、4番目に高いと予測した青色のボタン画像43を位置P4に表示させる。なお、位置P2~P4に表示させるボタン画像は、任意でもよい。
【0042】
また、画像制御部22は、動作状態が動作開始状態に設定されている場合に、次にユーザにより赤色のボタン画像44へタッチ操作されると予測する。そして、図9に示すように、画像制御部22は、赤色のボタン画像44を位置P1に表示させる。すなわち、画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が最も高いと予測した赤色のボタン画像44を、位置P1に表示させる。画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が、2番目に高いと予測した黄色のボタン画像42を位置P2に表示させ、3番目に高いと予測した青色のボタン画像43を位置P3に表示させ、4番目に高いと予測した緑色のボタン画像41を位置P4に表示させる。なお、位置P2~P4に表示させるボタン画像は、任意でもよい。
【0043】
また、画像制御部22は、動作状態が非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合に、次にユーザにより青色のボタン画像43へタッチ操作されると予測する。そして、図10に示すように、画像制御部22は、青色のボタン画像43を位置P1に表示させる。すなわち、画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が最も高いと予測した青色のボタン画像43を、位置P1に表示させる。画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が、2番目に高いと予測した緑色のボタン画像41を位置P2に表示させ、3番目に高いと予測した赤色のボタン画像44を位置P3に表示させ、4番目に高いと予測した黄色のボタン画像42を位置P4に表示させる。なお、位置P2~P4に表示させるボタン画像は、任意でもよい。
【0044】
変化画像31は、ユーザによる操作装置20の操作に応じて変化する画像である。画像制御部22は、タッチスクリーン21において、位置P1~P4以外の部分に変化画像31を表示させる。変化画像31が変化しても、次にユーザによりタッチ操作されると予測されたボタン画像は、常に位置P1に表示される。
【0045】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0046】
・画像制御部22は、緑色のボタン画像41、赤色のボタン画像44、及び青色のボタン画像43のうち、次にユーザによりタッチ操作されると予測したボタン画像を、タッチスクリーン21の位置P1に表示させる。したがって、ユーザは、常に位置P1に表示されたボタン画像をタッチ操作することにより、次にタッチ操作する可能性が高いボタン画像をタッチ操作することができ、色覚異常者であってもボタンを見分けやすくすることができる。
【0047】
・タッチスクリーン21は、さらに黄色のボタン画像42を表示し、状態設定部23は、タッチスクリーン21により、黄色のボタン画像42へのタッチ操作が受け付けられた場合に動作状態を動作中断状態に設定する。このため、ユーザは、黄色のボタン画像42をタッチ操作することにより、ロボット10の動作状態を動作中断状態に設定することができる。そして、画像制御部22は、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、赤色のボタン画像44、及び青色のボタン画像43のうち、次にユーザによりタッチ操作されると予測したボタン画像を、タッチスクリーン21の位置P1に表示させる。したがって、さらに黄色のボタン画像42を含めて、次にユーザがタッチ操作する可能性が高いボタン画像を位置P1に表示させることができる。
【0048】
・画像制御部22は、動作状態が動作開始状態に設定されている場合に、次にユーザにより赤色のボタン画像44へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボット10の動作開始状態が動作開始状態に設定されている場合は、赤色のボタン画像44がタッチスクリーン21の位置P1に表示される。このため、色覚異常者であっても、緊急を要する場合に赤色のボタン画像44を速やかに押すことができる。
【0049】
・画像制御部22は、動作状態が非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合に、次にユーザにより青色のボタン画像43へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボット10の動作開始状態が非常停止状態又は動作中断状態に設定されている場合は、青色のボタン画像43がタッチスクリーン21の位置P1に表示される。このため、色覚異常者であっても、ロボット10の動作状態をリセットする必要がある場合に青色のボタン画像43を押しやすくなる。
【0050】
・画像制御部22は、動作状態が初期状態又はリセット状態に設定されている場合に、次にユーザにより緑色のボタン画像41へタッチ操作されると予測する。こうした構成によれば、ロボット10の動作開始状態が初期状態又はリセット状態に設定されている場合は、緑色のボタン画像41がタッチスクリーン21の位置P1に表示される。このため、ユーザがロボット10の動作状態を動作開始状態に設定する可能性が高い場合に、ユーザは緑色のボタン画像41を押しやすくなる。
【0051】
・画像制御部22は、タッチスクリーン21の上部(外縁部)に位置P1~P4を設ける。こうした構成によれば、タッチスクリーン21において位置P1~P4に表示されるボタン画像以外の画像が、位置P1~P4に表示されるボタン画像により遮られることを抑制することができる。さらに、タッチスクリーン21における位置P1~P4の位置をユーザが覚えやすくなる。
【0052】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0053】
図11に示すように、画像制御部22は、タッチスクリーン21において、位置P1(固定位置)を右下隅に設け、位置P2を右上隅に設け、位置P3を左下隅に設け、位置P4を左上隅に設けてもよい。そして、画像制御部22は、次にユーザによりタッチ操作される可能性が最も高い(タッチ操作される)と予測したボタン画像を位置P1に表示させ、次にユーザによりタッチ操作される可能性が、2番目に高いと予測したボタン画像を位置P2に表示させ、3番目に高いと予測したボタン画像を位置P3に表示させ、4番目に高いと予測したボタン画像を位置P4に表示させてもよい。なお、位置P2~P4に表示させるボタン画像は、任意でもよい。
【0054】
図12,13に示すように、画像制御部22は、位置P1に表示させるボタン画像以外のボタン画像を、位置P1から離れた位置に表示させてもよい。こうした構成によれば、ユーザは、位置P1に表示されたボタン画像を他のボタン画像と区別して認識しやすくなる。その結果、緊急を要する場合に、ユーザは位置P1に表示されたボタン画像を速やかに押しやすくなる。
【0055】
・画像制御部22は、位置P1に表示させるボタン画像を他のボタン画像よりも大きく表示させてもよい。こうした構成によれば、位置P1に表示されたボタン画像の大きさと他のボタン画像の大きさとの違いによっても、ユーザはボタンを見分けやすくなる。さらに、位置P1に表示されるボタン画像が他のボタン画像よりも大きく表示されるため、ユーザは位置P1に表示されるボタン画像を押しやすくなる。なお、画像制御部22は、位置P1に表示させるボタン画像を他のボタン画像よりも小さく表示させることもできる。
【0056】
・タッチスクリーン21において位置P1~P4を、ユーザが任意の位置に設定することができるようにしてもよい。
【0057】
・タッチスクリーン21の位置P1(固定位置)に緑色のボタン画像41が表示されている場合は、色覚異常者が意図せずロボット10の動作状態を動作開始状態に設定するおそれがあり、意図せずロボット10が動作するおそれがある。
【0058】
そこで、状態設定部23は、位置P1に緑色のボタン画像41が表示されている場合は、タッチスクリーン21により緑色のボタン画像41へのタッチ操作が受け付けられ、且つユーザにより所定の確認操作が実行されたことを条件として動作状態を動作開始状態に設定してもよい。所定の確認操作は、例えば図14に示すように、「処理を開始します」という表示に対して、「はい」のボタン画像にタッチ操作することである。
【0059】
こうした構成によれば、タッチスクリーン21により緑色のボタン画像41へのタッチ操作が受け付けられたとしても、ユーザにより所定の確認操作が実行されていない場合は、ロボット10の動作状態が動作開始状態に設定されない。したがって、位置P1に緑色のボタン画像41が表示されている場合であっても、意図せずロボット10が動作することを抑制することができる。一方、タッチスクリーン21により緑色のボタン画像41へのタッチ操作が受け付けられ、且つユーザにより所定の確認操作が実行された場合は、ロボット10の動作状態を動作開始状態に設定することができる。なお、所定の確認操作は、上記タッチ操作に限らず任意である。
【0060】
・画像制御部22は、タッチスクリーン21の位置P1(固定位置)に、緑色のボタン画像41を表示させることを禁止してもよい。こうした構成によれば、色覚異常者が意図せずロボット10の動作状態を動作開始状態に設定することを抑制することができ、意図せずロボット10が動作することを抑制することができる。
【0061】
・操作装置20は、ロボット10に接続されてロボット10の動作状態を直接設定するものでもよいし、ロボット10のコントローラに接続されてコントローラを介してロボット10の動作状態を設定するものでもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…ロボット、20…操作装置、21…タッチスクリーン、22…画像制御部、23…状態設定部、31…変化画像、41…ボタン画像(緑色ボタン画像)、42…ボタン画像(黄色ボタン画像)、43…ボタン画像(青色ボタン画像)、44…ボタン画像(赤色ボタン画像)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14