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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】決済システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240502BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20240502BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/32
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022552082
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2021035184
(87)【国際公開番号】W WO2022065453
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020159993
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 千晶
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史典
(72)【発明者】
【氏名】深津 美映子
【審査官】木村 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】韓国特許第10-2088623(KR,B1)
【文献】特開2020-061039(JP,A)
【文献】特開2014-059855(JP,A)
【文献】特表2020-523653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/325286(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード表示部と、携帯端末と、を備える、売買取引のための決済システムであって、
前記コード表示部の表示面には、第1の情報と、当該売買取引における購入対象の代金の送金先を示す送金先情報と、を記録する特定の情報コードが表示されており、
前記コード表示部は、
前記第1の情報を認証するための第2の情報と、前記代金の決済を請け負う特定の決済先を示す決済先情報と、を記憶するメモリと、
外部から電波を受信して起電力を発生し、当該起電力を前記メモリに供給し、前記メモリに記録されている前記第2の情報を送信可能なアンテナコイルと、
を備え、
前記携帯端末は、
情報コードを撮像可能な撮像部と、
前記電波の送信と、前記電波に対する応答の受信と、を実行可能な送受信機と、
前記情報コードを前記撮像部に撮像させる撮像制御部と、
前記電波を前記送受信機に送信させる送信制御部と、
前記撮像部によって撮像された前記情報コードが前記特定の情報コードであることに起因して、前記特定の情報コードから読み取られた前記第1の情報と、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として受信した前記第2の情報と、を利用した認証が成功する場合に、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として受信した前記決済先情報によって示される前記特定の決済先を指定して、前記特定の情報コードから読み出される前記送金先情報を利用した決済処理を実行する処理制御部と、
を備え、
前記処理制御部は、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として前記第2の情報を受信するものの、前記撮像部が前記特定の情報コードとは異なる情報コードを撮像することに起因して、前記認証が失敗する場合に、前記決済処理は実行されないように構成したことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
コード表示部と、携帯端末と、を備える、売買取引のための決済システムであって、
前記コード表示部の表示面には、第1の情報と、当該売買取引における購入対象の代金の送金先を示す送金先情報と、を記録する特定の情報コードが表示されており、
前記コード表示部は、
前記第1の情報を認証するための第2の情報を記憶するメモリと、
外部から電波を受信して起電力を発生し、当該起電力を前記メモリに供給し、前記メモリに記録されている前記第2の情報を送信可能なアンテナコイルであって、前記特定の情報コードを取り囲むように配置されている前記アンテナコイルと、
を備え、
前記携帯端末は、
情報コードを撮像可能な撮像部と、
前記電波の送信と、前記電波に対する応答の受信と、を実行可能な送受信機と、
前記情報コードを前記撮像部に撮像させる撮像制御部と、
前記電波を前記送受信機に送信させる送信制御部と、
前記撮像部によって撮像された前記情報コードが前記特定の情報コードであることに起因して、前記特定の情報コードから読み取られた前記第1の情報と、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として受信した前記第2の情報と、を利用した認証が成功する場合に、前記特定の情報コードから読み出される前記送金先情報を利用した決済処理を実行する処理制御部と、
を備え、
前記処理制御部は、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として前記第2の情報を受信するものの、前記撮像部が前記特定の情報コードとは異なる情報コードを撮像することに起因して、前記認証が失敗する場合に、前記決済処理は実行されないように構成したことを特徴とする決済システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、さらに、
ディスプレイと、
前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合に、問合せ画面を前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備え、
前記処理制御部は、前記問合せ画面において第1の指示が行われる場合に、前記決済処理を実行し、
前記問合せ画面において前記第1の指示とは異なる第2の指示が行われる場合に、前記決済処理は実行されない、請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
コード表示部と、携帯端末と、を備える、売買取引のための決済システムであって、
前記コード表示部の表示面には、第1の情報と、当該売買取引における購入対象の代金の送金先を示す送金先情報と、を記録する特定の情報コードが表示されており、
前記コード表示部は、
前記第1の情報を認証するための第2の情報を記憶するメモリと、
外部から電波を受信して起電力を発生し、当該起電力を前記メモリに供給し、前記メモリに記録されている前記第2の情報を送信可能なアンテナコイルと、
を備え、
前記携帯端末は、
ディスプレイと、
情報コードを撮像可能な撮像部と、
前記電波の送信と、前記電波に対する応答の受信と、を実行可能な送受信機と、
前記情報コードを前記撮像部に撮像させる撮像制御部と、
前記電波を前記送受信機に送信させる送信制御部と、
前記撮像部によって撮像された前記情報コードが前記特定の情報コードであることに起因して、前記特定の情報コードから読み取られた前記第1の情報と、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として受信した前記第2の情報と、を利用した認証が成功する場合に、前記特定の情報コードから読み出される前記送金先情報を利用した決済処理を実行する処理制御部と、
前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合に、問合せ画面を前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備え、
前記処理制御部は、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として前記第2の情報を受信するものの、前記撮像部が前記特定の情報コードとは異なる情報コードを撮像することに起因して、前記認証が失敗する場合に、前記決済処理は実行されないように構成され、
前記処理制御部は、前記問合せ画面において第1の指示が行われる場合に、前記決済処理を実行するように構成され、
前記問合せ画面において前記第1の指示とは異なる第2の指示が行われる場合に、前記決済処理は実行されない、
ことを特徴とする決済システム。
【請求項5】
前記特定の情報コードは、所定の指示情報を記録しており、
前記撮像制御部は、前記送受信機が前記電波を送信する前に、前記情報コードを前記撮像部に撮像させ、
前記送信制御部は、撮像済みの前記情報コードから前記指示情報が読み取られたときに、前記電波を前記送受信機に送信させ、
前記処理制御部は、さらに、
前記撮像部によって撮像された前記情報コードから前記指示情報が読み取られない場合に、前記電波を前記送受信機に送信させることなく、前記決済処理を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項6】
前記コード表示部は、前記表示面を備える表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、
前記アンテナコイルは、少なくとも前記設置パーツに配置されており、
前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合に、前記決済処理は実行されない、請求項1からのいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項7】
前記コード表示部は、前記表示面を備える表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、
前記アンテナコイルは、前記表示パーツと前記設置パーツのうちの少なくとも一方に配置されており、
前記表示パーツと前記設置パーツは、相互に物理的に結合及び分離可能であり、
前記処理制御部は、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合でも、前記決済処理を実行可能である、請求項1からのいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項8】
前記アンテナコイルは、前記表示パーツと前記設置パーツの双方に跨っている、請求項又はに記載の決済システム。
【請求項9】
前記メモリは、前記設置パーツに配置されている、請求項に記載の決済システム。
【請求項10】
前記コード表示部は、前記表示面を備える表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、
前記表示パーツは前記設置パーツに物理的に結合及び分離可能に、設置可能であり、
前記アンテナコイルは、前記表示パーツの一部と前記設置パーツの一部とを一巡するように当該表示パーツ及び当該設置パーツの一部に配置され、かつ、前記表示パーツが前記設置パーツに物理的に結合するように載置された場合、当該アンテナコイルのループは完成するが、前記表示パーツが前記設置パーツから分離された場合、当該アンテナコイルのループが途中で断絶するように配置され、
前記処理制御部は、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合、前記決済処理を実行させないように構成した、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項11】
前記コード表示部は、前記表示面を備える表示パーツと、前記コード表示部を台に設置し且つ当該台に係止される設置パーツと、を備え、
前記アンテナコイルは、前記設置パーツに配置されており、
前記設置パーツの前記アンテナコイルが通る一部又は当該アンテナコイルの一部に、当該設置パーツを前記係止の力以上の外力を加えて移動させるときに、当該設置パーツの前記一部又は当該アンテナコイルの前記一部の破断又は破壊を容易化する手段を設けた、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項12】
前記情報コードは、QRコード(登録商標)であり、
前記第1の情報は、前記QRコードを前記撮像部を介して読み取って解読した当該QRコードに固有の固有情報であり、
前記第2の情報は、前記コード表示部からの受信情報から抽出した、前記第1の情報を認証するための固有情報であり、
前記処理制御部は、
前記QRコードから読み取られた前記固有情報と前記コード表示部から受信した前記固有情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記両固有情報が一致したときに、前記QRコードに記録された決済情報に応じた決済を許容する決済許容手段と、
前記判断手段により前記両固有情報が一致しないときに、前記QRコードに記録された決済情報に応じた決済を禁止する決済禁止手段と、
を備えたことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項13】
前記撮像部による前記QRコードの読取りは、前記コード表示部からの前記受信情報の受信に先行するように構成し、
前記処理制御部は、
前記QRコードの読取り結果に基づき、前記コード表示部からの前記受信情報の受信の必要性を判断する別の判断手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の決済システム。
【請求項14】
前記コード表示部からの前記受信情報の受信は、前記撮像部による前記QRコードの読取りに先行するように構成し、
前記処理制御部は、
前記コード表示部に予め保存された前記売買取引の決済法を自動的に選択するように構成した、ことを特徴とする請求項12に記載の決済システム。
【請求項15】
前記コード表示部は、台に係止状態で設置される設置パーツの部分を有し、
少なくとも前記設置パーツの部分に前記受信情報の送信のためのアンテナを埋設させ、
前記設置パーツの前記係止状態が強制的に消失された場合に、前記アンテナの機能を喪失するように構成したことを特徴とする請求項12に記載の決済システム。
【請求項16】
前記コード表示部は、台に係止状態で設置される設置パーツの部分と、当該設置パーツから一体に連続し且つ折れ曲がって前記QRコードを表示又は提示する表示パーツの部分とを有し、
前記コード表示部は、前記受信情報の送信を担うループ状のアンテナを前記設置パーツから前記表示パーツを周回し且つ両部分に跨って配置され、
前記ループ状のアンテナは、前記設置パーツの部分にて当該アンテナに流れる誘導電流の向きと前記表示パーツの部分にて当該アンテナに流れる誘導電流の向きとが同じになるように、前記周回の途中にて空間的に交差して配置されたことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項17】
携帯端末と、表示端末と、端末スタンドとを備える、売買取引のための決済システムであって、
前記表示端末の表示面には、少なくとも当該売買取引における購入対象の代金の送金先を示す送金先情報及び設置場所を記録するQRコード(登録商標)が表示可能に構成され、
前記端末スタンドは、少なくとも設置場所を記憶し且つNFC通信が可能な構成を有し、
前記表示端末は、前記端末スタンドとの間で前記NFC通信を介して前記両設置場所が一致するか否か判断する手段と、当該両設置場所が一致したときに前記QRコードを前記表示面に表示させる手段と、を備え、
前記携帯端末は、前記表示端末の前記表示面に表示された前記QRコードを撮影して前記売買取引に伴う決済情報を得るように構成した、
ことを特徴とする決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、売買取引に係る決済システムに係り、とくに、コード表示部の表示面に表示されている情報コードを利用した決済を実行するための決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報コード(例えば2次元バーコード)を利用した売買取引の決済として、MPM(Merchant Presented Modeの略)方式の決済が開示されている。MPM方式では、例えば、紙媒体によって、店舗に紐づいた識別コードが記録されている情報コードが顧客に提示される。顧客の端末が当該情報コードを読み取ることにより、購入対象の代金が店舗に支払らわれる。即ち、購入対象の代金が決済される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-052825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、情報コードは、印刷可能である。例えば、悪意ある第三者が、正規の情報コードが印刷された紙媒体を、別の情報コードが記載されている紙媒体に不正にすり替えると、代金が店舗に支払われず、代金が第三者に不正に支払われる等の不正行為に繋がるおそれがある。
【0005】
本明細書では、QRコード(登録商標)などの情報コードと通信技術とを融合させた、売買取引に係る決済システムにおいて、購入対象の代金が不正に決済されることを防止するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する、売買取引に係る決済システムは、コード表示部と、携帯端末と、を備える。前記コード表示部の表示面には、第1の情報と、購入対象の代金の送金先を示す送金先情報と、を記録する特定の情報コードが表示されており、前記コード表示部は、前記第1の情報を認証するための第2の情報を記憶するメモリと、外部から電波を受信して起電力を発生し、当該起電力を前記メモリに供給し、前記メモリに記録されている前記第2の情報を送信可能なアンテナコイルと、を備え、前記携帯端末は、情報コードを撮像可能な撮像部と、前記電波の送信と、前記電波に対する応答の受信と、を実行可能な送受信機と、前記情報コードを前記撮像部に撮像させる撮像制御部と、前記電波を前記送受信機に送信させる送信制御部と、前記撮像部によって撮像された前記情報コードが前記特定の情報コードであることに起因して、前記特定の情報コードから読み取られた前記第1の情報と、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として受信した前記第2の情報と、を利用した認証が成功する場合に、前記特定の情報コードから読み出される前記送金先情報を利用した決済処理を実行する処理制御部と、を備え、前記送受信機が前記アンテナコイルから前記電波に対する前記応答として前記第2の情報を受信するものの、前記撮像部が前記特定の情報コードとは異なる情報コードを撮像することに起因して、前記認証が失敗する場合に、前記決済処理は実行されない。
【0007】
このような構成によれば、例えば、第三者によりコード表示部の特定の情報コードが異なる情報コードにすり替えられたとしても、上記の認証が失敗することにより、決済処理が実行されない。購入対象の代金が不正に決済されることを防止することができる。
【0008】
前記特定の情報コードは、所定の指示情報を記録しており、前記撮像制御部は、前記送受信機が前記電波を送信する前に、前記情報コードを前記撮像部に撮像させ、前記送信制御部は、撮像済みの前記情報コードから前記指示情報が読み取られたときに、前記電波を前記送受信機に送信させ、前記処理制御部は、さらに、前記撮像部によって撮像された前記情報コードから前記指示情報が読み取られない場合に、前記電波を前記送受信機に送信させることなく、前記決済処理を実行してもよい。
【0009】
例えば、上記の特定のコード表示部と、メモリとアンテナコイルとを備えないコード表示部(以下では、「他のコード表示部」と記載)が混在する状況が想定される。上記の構成によれば、携帯端末は、送受信機が電波を送信する前に、情報コードを撮像して、情報コードが所定の指示情報を記録しているのか否かを判断する。情報コードが所定の指示情報を記録していないことは、当該情報コードが、他のコード表示部の情報コードであることを意味する。この場合に、携帯端末は、他のコード表示部の情報コードを利用して、決済処理を実行する。特定のコード表示部と他のコード表示部が混在する状況において、他のコード表示部を利用した決済処理を適切に実行することができる。
【0010】
前記メモリは、さらに、前記代金の決済を請け負う特定の決済先を示す決済先情報を記憶し、前記送受信機は、前記アンテナコイルから前記決済先情報を受信し、前記処理制御部は、前記決済先情報によって示される前記特定の決済先を指定して、前記決済処理を実行してもよい。
【0011】
近年、複数の決済サービスが存在する。例えば、ユーザが、複数の決済先から特定の決済先を指定する比較例が想定される。この比較例では、ユーザは、特定の決済先を指定する操作を煩わしく感じ得る。これに対して、上記の構成によれば、コード表示部のメモリ内に特定の決済先を示す決済先情報が記憶されており、携帯端末は、当該決済先情報を利用して、特定の決済先を指定することができる。ユーザは特定の決済先を指定しなくてもよい。ユーザの利便性が向上する。
【0012】
前記携帯端末は、さらに、ディスプレイと、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合に、問合せ画面を前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、を備え、前記処理制御部は、前記問合せ画面において第1の指示が行われる場合に、前記決済処理を実行し、前記問合せ画面において前記第1の指示とは異なる第2の指示が行われる場合に、前記決済処理は実行されなくてもよい。
【0013】
このような構成によれば、何らかの原因(例えばアンテナコイルの破損)によって、アンテナコイルから第2の情報が受信されない場合であっても、問合せ画面において第1の指示が行われることにより、決済処理が実行される。メモリ内の第2の情報を利用できない場合であっても、ユーザは、特定の情報コードを利用した決済を利用することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0014】
前記コード表示部は、前記表示面を含む表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、前記アンテナコイルは、少なくとも前記設置パーツに配置されており、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合に、前記決済処理は実行されなくてもよい。
【0015】
例えば、第三者が情報コードのすり替えのために、特定のコード表示部を台から取り外そうとする状況が想定される。この場合、設置パーツが破損して、設置パーツに配置されているアンテナコイルも破損し得る。アンテナコイルが破損すると、アンテナコイルから第2の情報を受信できず、決済処理が実行されない。不正な行為が行われたと推測される場合において決済処理が実行されることを防止することができる。
【0016】
前記コード表示部は、前記表示面を含む表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、前記アンテナコイルは、前記表示パーツと前記設置パーツのうちの少なくとも一方に配置されており、前記表示パーツと前記設置パーツは、結合及び分離可能であり、前記処理制御部は、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合でも、前記決済処理を実行可能であってもよい。
【0017】
このような構成によれば、特定の情報コードが表示されている表示面を含む表示パーツのみを台から任意に移動可能である。ユーザの利便性を向上することができる。
【0018】
前記アンテナコイルは、前記表示パーツと前記設置パーツの双方に跨っていてもよい。
【0019】
表示パーツが設置パーツから分離されることにより、アンテナコイルを無効にすることができる。
【0020】
前記メモリは、前記設置パーツに配置されていてもよい。
【0021】
特定のコード表示部が台から取り外される場合には、設置パーツが台に残され、表示パーツが取り外される可能性が高い。メモリが表示パーツに配置されている比較例では、第三者が表示パーツを取得することにより、表示パーツ内のメモリが第三者に取得され、メモリ内の情報が第三者に盗まれる可能性がある。これに対して、上記の構成によれば、メモリは設置パーツとともに台に残される可能性が高い。メモリ内の情報が第三者に盗まれる可能性が低い。メモリ内の情報が第三者に盗まれることを防止することができる。
【0022】
さらに、本開示の特徴的な構成の一態様として、前記コード表示部は、前記表示面を備える表示パーツと、前記コード表示部を台に設置するための設置パーツと、を備え、前記表示パーツは前記設置パーツに物理的に結合及び分離可能に、載置可能であり、
前記アンテナコイルは、前記表示パーツの一部と前記設置パーツの一部とを一巡するように当該表示パーツ及び当該設置パーツの一部に配置され、かつ、前記表示パーツが前記設置パーツに物理的に結合するように設置された場合、当該アンテナコイルのループは完成するが、前記表示パーツが前記設置パーツから分離された場合、当該アンテナコイルのループが途中で断絶するように配置され、
前記処理制御部は、前記送受信機が、前記電波を送信したにも関わらず、前記アンテナコイルから前記第2の情報を受信しない場合、前記決済処理を実行させないように構成してもよい。
【0023】
これにより、設置パーツ、即ち、コード表示部を例えば不正に無理やり移動させようとすると、アンテナコイルのループが積極的に破損され、又は、そのアンテナ機能が消失してしまう。これにより、情報コードを盗む、入れ替えることなどの不正行為を抑制又は防止することができる。
【0024】
さらに別の態様として、携帯端末と、表示端末と、端末スタンドとを備える、売買取引のための決済システムであって、
前記表示端末の表示面には、少なくとも当該売買取引における購入対象の代金の送金先を示す送金先情報及び設置場所を記録するQRコード(登録商標)が表示可能に構成され、
前記端末スタンドは、少なくとも設置場所を記憶し且つNFC通信が可能な構成を有し、
前記表示端末は、前記端末スタンドとの間で前記NFC通信を介して前記両設置場所が一致するか否か判断する手段と、当該両設置場所が一致したときに前記QRコードを前記表示面に表示させる手段と、を備え、
前記携帯端末は、前記表示端末の前記表示面に表示された前記QRコードを撮影して前記売買取引に伴う決済情報を得るように構成してもよい。
【0025】
これにより、表示端末と端末スタンドで設置場所に関する認証がとれたときにのみQRコードが表示端末に表示され、携帯端末による決済行為が可能になる。一方で、そのような認証が確立しないときには、QRコードは表示されないので、この態様もQRコードへの不正アクセスを抑制できる。さらに、設置場所(固有情報)を表示端末に複数持たせることによって、表示端末の設置場所の選択による認証が可能になり、表示端末の汎用性が高まる。
なお、本開示の更なる特徴的な構成及びその作用効果は、添付の図面と共に、後述する各種の実施例により詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付図面において:
図1】は、第1実施例に係る決済システムに搭載する携帯端末とコード表示部との概要を示す。
図2】は、第1実施例に係る決済システム全体のブロック図を示す。
図3】は、第1実施例に係る携帯端末で実行される処理のフローチャート示す。
図4】は、第2実施例に係る携帯端末で実行される処理のフローチャート示す。
図5】は、第3実施例に係る携帯端末で実行される処理のフローチャート示す。
図6】は、第4実施例に係る携帯端末で実行される処理のフローチャート示す。
図7】は、第5実施例に係るコード表示部の概念図を示す。
図8】は、第6実施例に係る決済システムに搭載する携帯端末とコード表示部との概要を示す。
図9】は、第6実施例に係るコード表示部に設けたアンテナを、非正常時に積極的に機能消失に至らすことを促進する促進構造の複数種例示する図である。
図10】は、第7実施例に係る携帯端末で実行される処理のフローチャート示す。
図11】は、第8実施例に係る決済システムに搭載する携帯端末とコード表示部との概要、及び、コード表示部に設けるアンテナの交差配置を説明する図である。
図12】は、第8実施例におけるアンテナの交差配置の機能を説明する図である。
図13】は、第9実施例に係る決済システムの概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施例)
(決済システム2の構成;図1図2
図面を参照して、第1実施例に係る、売買取引のための決済システム2について説明する。決済システム2は、携帯端末10と、コード表示部100と、管理サーバ500と、決済サーバ600と、を備える。決済サーバ600は、購入対象の代金の決済を請け負うサービスを提供するサーバである。決済サーバ600は、当該サービスを提供する事業者によってインターネット8上に設置される。
【0028】
携帯端末10は、スマートフォン、タブレットPC等の端末である。コード表示部100は、MPM(Merchant Presented Modeの略)方式に従った決済を実行するための情報コードを表示する媒体である。コード表示部100は、例えば、紙媒体によって作成され、店舗に設置される。
【0029】
MPM方式では、ユーザは、携帯端末10を操作して、コード表示部100に表示されている情報コード110を撮像する。携帯端末10は、撮像済みの情報コード110から当該情報コードに記録されている送金先情報を読み取る。ここで、送金先情報は、購入対象の代金の送金先を示す情報であり、例えば、店舗を識別するためのID、店舗が有する銀行口座の番号等である。携帯端末10は、読取り済みの送金先情報と代金とを決済サーバ600に送信する。決済サーバ600は、代金を送金先情報によって示される送金先に送金する。これにより、当該代金の決済が完了する。
【0030】
(携帯端末10の構成)
携帯端末10は、カメラ12と、ディスプレイ14と、操作部16と、NFC(Near Field Communicationの略)インターフェース20と、ネットワークインターフェース30と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0031】
カメラ12は、携帯端末10の背面に配置される。ディスプレイ14と操作部16は、携帯端末10の前面に配置される。変形例では、カメラ12は、携帯端末10の前面に配置されてもよい。
【0032】
ディスプレイ14は、様々な情報を表示するための表示装置である。操作部16は、ユーザから様々な指示を受け付けるための装置である。ディスプレイ14は、タッチパネルであり、操作部16としても機能する。なお、変形例では、ディスプレイ14は、操作部16として機能しなくてもよい。
【0033】
NFCI/F20は、NFCタグ(例えば120)に記録されている情報を読み取るためのI/Fである。NFCI/F20は、電波をNFCタグに送信して、NFCタグから当該電波に対する応答を受信可能である。別言すれば、NFCI/F20は、NFC方式に従った通信をNCタグと実行可能である。NFCI/F20とNCタグとの間の通信可能距離は、例えば、10cm以内である。
【0034】
ネットワークI/F30は、インターネット8上のサーバ(例えば600)との通信を実行するためのI/Fである。ネットワークI/F30は、インターネット8に接続されている。
【0035】
制御部40は、各部12-30を制御する装置である。制御部40は、CPU42と、メモリ44と、を備える。CPU42は、メモリ44に記憶されているプログラム50、52に従って、様々な処理を実行する。メモリ44は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。OSプログラム50は、携帯端末10の基本的な動作を制御するためのプログラムである。アプリケーションプログラム52(以下では「アプリ52」と記載)は、決済サーバ600及び後述する管理サーバ500との通信を実行するためのプログラムである。アプリ52は、インターネット8上のアプリサーバ(図示省略)から携帯端末10にインストールされる。アプリ52は、例えば、管理サーバ500の事業者によってアプリサーバにアップロードされる。
【0036】
(コード表示部100の構成)
図1に示すように、コード表示部100は、表示パーツ101と、設置パーツ103と、を備える。表示パーツ101は、情報コード110を表示する表示面102を有する。設置パーツ103は、コード表示部100を店舗の、例えば販売に使う台BDに設置するための設置面104を有する。表示パーツ101は、設置パーツ103から折り曲げられており、情報コード110がユーザに見えるように立ち上がっている。例えば、設置面104を台BDに接着することにより、コード表示部100が台BD上に固定される。
【0037】
従来のコード表示部は、情報コード110を表示するのみの媒体である。本明細書で開示するコード表示部100は、さらに、NFCタグ120を備える。NFCタグ120は、アンテナコイル122と、ICチップ124と、を備える。
【0038】
ICチップ124は、NFC情報を記憶する。ICチップ124は、いわゆるメモリである。NFC情報は、所定の認証文字列を含む。
【0039】
アンテナコイル122は、NFCI/F(例えば20)から電波を受信して起電力を発生し、当該起電力をICチップ124に供給する。また、アンテナコイル122は、当該起電力により動作するICチップ124からNFC情報を取得して、NFCI/Fからの電波に対する応答としてNFC情報をNFCI/Fに送信する。
【0040】
図1に示すように、アンテナコイル122は、表示パーツ101と設置パーツ103の双方に跨っている。なお、変形例では、アンテナコイル122は、表示パーツ101と設置パーツ103のうちのいずれかのみに配置されていてもよい。
【0041】
また、ICチップ124は、設置パーツ103に配置されている。例えば、ICチップ124が表示パーツ101に配置されている比較例が想定される。この比較例では、悪意ある第三者が表示パーツ101を設置パーツ103から引き離し、表示パーツ101のみを取得することにより、ICチップ124が第三者に取得され、ICチップ124内のNFC情報が第三者に盗まれる可能性がある。これに対して、本実施例の構成によれば、ICチップ124は設置パーツ103とともに台BDに残される可能性が高い。ICチップ124内のNFC情報が第三者に盗まれる可能性が低い。ICチップ124内のNFC情報が第三者に盗まれることを防止することができる。なお、変形例として、上記の比較例の構成が採用されてもよい。
【0042】
また、本明細書で開示するコード表示部100の情報コード110は、上記の送金先情報に加えて、所定の認証情報を記録する。所定の認証情報は、ICチップ124に記憶さえている所定の認証文字列と同じ文字列を含む。
【0043】
(管理サーバ500の構成)
図2に示すように、管理サーバ500は、管理テーブル510を記録する。管理テーブル510は、複数のユーザのそれぞれについて、アプリ52を利用した決済に関する情報を記憶する。管理テーブル510は、ユーザを識別するためのユーザ名と、当該ユーザによって支払われる代金と、当該代金の決済の結果を示す結果情報と、を関連付けて記憶する。結果情報は、代金の決済が成功したことを示す「成功」と、代金の決済が失敗したことを示す「失敗」と、のうちのいずれかの値を示す。
【0044】
(携帯端末10の処理;図3
図3を参照して、携帯端末10のCPU42がアプリ52に従って実行する処理について説明する。図3の処理は、アプリ52が起動することをトリガとして実行される。
【0045】
S10では、CPU42は、操作部16がユーザから開始指示を受けることを監視する。開始指示は、コード表示部100を利用したMPM方式の決済を開始するための指示である。CPU42は、操作部16が開始指示を受ける場合(S10でYES)に、S12において、カメラ12を起動する。なお、変形例では、アプリ52の起動をトリガとして、後述するS12、S14の処理を実行してもよい。また、他の変形例では、アプリ52の起動をトリガとしてS12の処理を実行し、情報コードの読取が成功する場合(後述するS20参照)に、S14の処理を実行してもよい。また、他の変形例では、アプリ52の起動をトリガとしてS14の処理を実行し、NFC情報が受信される場合(後述するS30参照)に、S12の処理を実行してもよい。即ち、これら変形例では、S10の開始指示を省略可能である。
【0046】
続くS14では、CPU42は、電波送信指示をNFCI/F20に供給する。これにより、NFCI/F20は、電波の送信を開始する。
【0047】
続くS20では、CPU42は、情報コードの読取が成功したのか否かを判断する。CPU42は、カメラ12によって撮像された画像が何ら情報コードを含まないこと、当該画像が不鮮明な情報コードを含むこと等に起因して、情報コードの読取が失敗したと判断する場合(S20でNO)に、S52に進む。
【0048】
S52では、CPU42は、エラー処理を実行する。具体的には、CPU42は、決済が失敗したことを示すエラー画面をディスプレイ14に表示させる。さらに、CPU42は、携帯端末10のユーザを識別するユーザ名と、購入対象の代金と、決済が失敗したことを示すエラー通知と、管理サーバ500に送信する。これにより、携帯端末10のユーザにおいて代金の決済が失敗したことを示す結果情報が管理テーブル510に記憶される。S52が終了すると、S10の監視に戻る。
【0049】
また、CPU42は、カメラ12によって撮像された画像が何らかの情報コードを含み、当該情報コードの読取が成功したと判断する場合(S20でYES)に、S30に進む。
【0050】
S30では、CPU42は、NFCI/F20がS14で送信した電波に対する応答としてICチップ124内のNFC情報を受信したのか否かを判断する。CPU42は、NFCI/F20を介して、ICチップ124からNFC情報を受信したと判断する場合(S30でYES)に、S40に進む。
【0051】
S40では、CPU42は、撮像済みの情報コードから読み出された情報が、S30で受信したNFC情報内の所定の認証文字列と一致するのか否かを判断する(即ち認証文字列を利用した認証を実行する)。撮像済みの情報コード110から読み出された情報が所定の認証情報であることに起因して、当該情報がNFC情報内の所定の認証文字列と一致すると判断する場合(S40でYES)に、S50に進む。
【0052】
S50では、CPU42は、撮像済みの情報コードから読み出された送金先情報を利用した決済処理を実行する。具体的には、CPU42は、ネットワークI/F30を介して、携帯端末10のユーザを識別するユーザ名と、送金先情報と、購入対象の代金と、を決済サーバ600に送信する。これにより、決済サーバ600は、ユーザ名に関連付けて決済サーバ600に記憶されている決済情報(例えばクレジットカード番号、ポイント情報)を利用して、ユーザの代金の支払いを請け負う。決済サーバ600は、支払い済みの代金を送金先情報によって示される送金先に振り込む。これにより、購入対象の代金の決済が成功する。
【0053】
さらに、決済処理において、CPU42は、ネットワークI/F30を介して、決済サーバ600から決済が成功したことを示す成功通知を受信する。CPU42は、成功通知を受信すると、ユーザ名と、代金と、成功通知と、を管理サーバ500に送信する。これにより、携帯端末10のユーザにおいて代金の決済が成功したことを示す結果情報が管理テーブル510に記憶される。なお、仮に、決済処理において決済が失敗する場合には、CPU42は、S52のエラー処理と同様に失敗通知を管理サーバ500に送信する。これにより、携帯端末10のユーザにおいて代金の決済が失敗したことを示す結果情報が管理テーブル510に記憶される。S50が終了すると、S10の監視に戻る。
【0054】
また、CPU42は、NFCI/F20を介して、ICチップ124からNFC情報を受信しないと判断する場合(S30でNO)に、S52に進む。ここで、ICチップ124からNFC情報を受信しない状況は、例えば、NFCI/F20とコード表示部100のNFCタグ120との間の距離が遠い(例えば10cm以上)状況、何らかの原因によりNFCタグ120が破損している状況等である。この場合には、エラー処理が実行されて、決済処理は実行されない。
【0055】
また、CPU42は、撮像済みの情報コードから読み出された情報が、S30で受信したNFC情報内の所定の認証文字列と一致しないと判断する場合(S40でNO)に、S52に進む。即ち、エラー処理が実行されて、決済処理が実行されない。
【0056】
(本実施例の効果)
従来のコード表示部は、NFCタグ120を備えない。例えば、従来のコード表示部において、悪意ある第三者が、コード表示部の情報コードを別の情報コードにすり替えると、代金が店舗に支払われず、代金が第三者に不正に支払われるおそれがある。
【0057】
本実施例のコード表示部100は、NFCタグ120を備える。本実施例において、コード表示部100の情報コード110が別の情報コードにすり替えられる状況を想定する。この状況では、携帯端末10は、S20で撮像された情報コードが情報コード110と異なる情報コードであることに起因して、当該情報コードから読み出された情報がNFCタグ120内の所定の認証文字列と一致しないと判断し(S40でNO)、決済処理を実行せずに、エラー処理を実行する(S52)。情報コード110が別の情報コードにすり替えられたとしても、購入対象の代金が不正に決済されることを防止することができる。
【0058】
また、例えば、NFCタグ120が破損している状況では、ICチップ124からNFC情報が受信されず(S30でNO)、エラー処理が実行される(S52)。例えば、第三者が情報コードのすり替えのために、コード表示部100を台BDから取り外そうとする状況が想定される。この場合、設置パーツ103が破損して、設置パーツ103に配置されているアンテナコイル122も破損し得る。アンテナコイル122が破損すると、アンテナコイル122からNFC情報を受信できず、決済処理が実行されない。不正な行為が行われたと推測される場合において決済処理が実行されることを防止することができる。
【0059】
また、第三者は、コード表示部100を台BDから取り外す際に、設置パーツ103ではなく表示パーツ101を持ちことが想定される。設置パーツ103に対して表示パーツが引っ張られることにより、表示パーツ101と設置パーツ103の双方に跨っているアンテナコイル122に負荷が加わる。当該負荷により、アンテナコイル122の破損を促すことができる。
【0060】
(対応関係)
決済システム2、コード表示部100、携帯端末10が、それぞれ、「決済システム」、「コード表示部」、「携帯端末」の一例である。表示面102、情報コード110が、ICチップ124、アンテナコイル122が、それぞれ、「表示面」、「特定の情報コード」、「メモリ」、「アンテナコイル」の一例である。表示パーツ101、設置パーツ103が、それぞれ、「表示パーツ」、「設置パーツ」の一例である。情報コード110に記録されている所定の認証情報、ICチップ124に記憶されている所定の認証文字列が、それぞれ、「第1の情報」、「第2の情報」の一例である。カメラ12、NFCI/F20が、それぞれ、「撮像部」、「送受信機」の一例である。制御部40が、機能的に「撮像制御部」、「送信制御部」、「処理制御部」の一例である。
【0061】
(第2実施例)例えば、NFCタグを備えない従来のコード表示部と、NFCタグ120を備えるコード表示部100と、が混在する状況が想定される。第2実施例では、このような2種類のコード表示部が混在する状況でも適切に決済処理を実行するための技術を開示する。
【0062】
第2実施例のコード表示部100は、情報コード110が送金先情報と所定の認証情報に加えて「NFC読取要」を示す情報を記録している点を除いて、第1実施例と同様である。なお、従来のコード表示部の情報コードは、「NFC読取要」を示す情報を記録していない。
【0063】
(携帯端末10の処理;図4
図4を参照して、第2実施例において、携帯端末10のCPU42がアプリ52に従って実行する処理について説明する。図4の処理のトリガは、第1実施例に係る図3の処理のトリガと同様である。
【0064】
S110、S112、S120は、図3のS10、S12、S20と同様である。CPU42は、情報コードの読取が成功したと判断する場合(S120でYES)に、S122に進み、情報コードの読取が失敗したと判断する場合(S120でNO)に、S152に進む。S152は、図3のS52と同様である。S152が終了すると、S110の監視に戻る。
【0065】
S122では、CPU42は、撮像済みの情報コードから読み出された情報が「NFC読取要」を示す情報を含むのか否かを判断する。CPU42は、撮像済みの情報コードがコード表示部100の情報コード110であることに起因して、撮像済みの情報コードから読み出された情報が「NFC読取要」を示す情報を含むと判断する場合(S122でYES)に、S124以降の処理に進む。S124、S130、S140、S150は、図3のS14、S30、S40、S50と同様である。即ち、CPU42は、撮像済みの情報コードから読み出された情報が、S30で受信したNFC情報内の所定の認証文字列と一致することを条件(S140でYES)として決済処理を実行する(S150)。S150が終了すると、S110の監視に戻る。
【0066】
また、CPU42は、撮像済みの情報コードが従来のコード表示部の情報コードであることに起因して、撮像済みの情報コードから読み出された情報が「NFC読取要」を示す情報を含まない判断する場合(S122でNO)に、S124~S130の処理をスキップして、S152に進む。そして、CPU42は、S150において、従来のコード表示部の情報コード内の送金先情報を利用した決済処理を実行する。
【0067】
本実施例の構成によれば、携帯端末10は、NFCI/F20が電波を送信する前に、情報コードを撮像して(S112)、情報コードが「NFC読取要」を示す情報を記録しているのか否かを判断する(S122)。情報コードが「NFC読取要」を示す情報を記録していないことは、当該情報コードが、従来のコード表示部の情報コードであることを意味する。この場合(S122でNO)に、携帯端末10は、従来のコード表示部の情報コードを利用して決済処理を実行する(S150)。従来のコード表示部とNFCタグ120を備えるコード表示部100が混在する状況において、従来のコード表示部を利用した決済処理を適切に実行することができる。
【0068】
また、情報コードが「NFC読取要」を示す情報を記録していないと判断される場合(S122でNO)に、S124の処理がスキップされて、NFCI/F20は、電波を送信しない。撮像済みの情報コードが従来のコード表示部の情報コードである場合に、電波が不必要に送信されることを抑制することができる。ここで、「NFC読取要」を示す情報が、「所定の指示情報」の一例である。
【0069】
(第3実施例)
近年、複数の決済サービスが存在する。第3実施例では、複数の決済サービスから特定の決済サービスを適切に指定するための技術を開示する。
【0070】
第3実施例のコード表示部100は、ICチップ124が所定の認証文字列と特定の決済先を示す決済先情報とを含むNFC情報を記憶している点を除いて、第1実施例と同様である。
【0071】
(携帯端末10の処理;図5
図5を参照して、第3実施例において、携帯端末10のCPU42がアプリ52に従って実行する処理について説明する。図5の処理のトリガは、第1実施例に係る図3の処理のトリガと同様である。
【0072】
S210、S214、S230は、図3のS10、S14、S30と同様である。CPU42は、NFCI/F20を介して、ICチップ124からNFC情報を受信したと判断する場合(S230でYES)に、S232に進む。
【0073】
S232では、CPU42は、受信済みのNFC情報から決済先情報を取得する。続くS234では、CPU42は、カメラ12を起動する。S320は、S232で取得した決済先情報によって示される決済先に特有のプログラムを利用して、情報コードの読取が実行される点を除いて、図3のS20と同様である。なお、変形例では、S234の処理は、S230の処理の前に実行されてもよい。この場合、S320は、図3のS20と同様であり、S320では、上記の特有のプログラムが利用されなくてよい。
【0074】
CPU42は、情報コードの読取が成功したと判断する場合(S320でYES)にS340に進む。S340は、図3のS40と同様である。S350は、CPU42がS232で取得した決済先情報によって示される特定の決済先(例えば決済サーバ600のURL)を自動で指定して、決済処理を実行する点を除いて、図3のS50と同様である。また、S352は、図3のS52と同様である。
【0075】
例えば、ユーザが、操作部16を操作して、複数の決済先から特定の決済先を指定する比較例が想定される。この比較例では、ユーザが操作部16の操作を煩わしく感じ得る。これに対して、本実施例の構成によれば、携帯端末10は、ICチップ124内の決済先情報を利用して、特定の決済先を指定することができる。ユーザは操作部16を操作しなくてもよい。ユーザの利便性が向上する。ここで、ICチップ124内の決済先情報が、「決済先情報」の一例である。
【0076】
(第4実施例)
第4実施例では、NFCタグ120の破損等により、NFCI/F20がNFCタグ120内のNFC情報を受信できない場合であってもユーザからの指示に応じて決済処理が実行可能である。
【0077】
第4実施例の管理サーバ500の管理テーブル510は、ユーザ名と代金と結果情報とに加えて、NFC受信情報を各情報と関連付けて記憶する。NFC受信情報は、NFCタグ120内のNFC情報が受信されたことを示す「有」と、NFCタグ120内のNFC情報が受信されなかったことを示す「無」と、のうちのいずれかの値を示す。
【0078】
(携帯端末10の処理;図6
S410~S440は、図3のS10~S40と同様である。ここで、CPU42は、ICチップ124からNFC情報を受信しないと判断する場合(S430でNO)に、S442に進む。
【0079】
S442では、CPU42は、問合せ画面をディスプレイ14に表示させる。問合せ画面は、決済処理を実行するのか否かをユーザに問合せるための画面である。問合せ画面は、決済処理を実行する指示を受けるためのYESボタンと、決済処理を実行しない指示を受けるためのNOボタンと、を含む。
【0080】
続くS444では、CPU42は、問合せ画面においてYESボタンが選択されたのか否かを判断する。CPU42は、YESボタンが選択されたと判断する場合(S444でYES)に、S446に進む。
【0081】
S446では、CPU42は、ネットワークI/F30を介して、携帯端末10のユーザを識別するユーザ名と、問合せ画面においてYESボタンが選択されたことを示す情報と、を管理サーバ500に送信する。これにより、管理サーバ500は、S446の後に実行されるS450の決済処理において、NFCタグ120内のNFC情報が受信されることなく決済が実行されると判断して、NFC受信情報「無」を管理テーブル510に記憶する。これにより、管理サーバ500の管理者は、NFCタグ120内のNFC情報が受信されることなく決済が実行された事実を把握することができる。
【0082】
S446が終了すると、CPU42は、S450に進む。S450は、図3のS50と同様である。
【0083】
また、CPU42は、S412で撮像された情報コードから読み出された情報が、S430で受信したNFC情報内の所定の認証文字列と一致しないと判断する場合(S440でNO)にも、S442に進む。即ち、問合せ画面においてYESボタンが選択される場合に、管理サーバ500への通知が実行される(S446)とともに、決済処理が実行される。これにより、管理サーバ500の管理者は、撮像済みの情報コードから読み出された情報がNFC情報内の所定の認証文字列と一致しない状況において決済が実行された事実を把握することができる。なお、変形例では、CPU42は、S440でNOと判断する場合に、S442、S444の処理をスキップして、S452でエラー処理を実行してもよい。
【0084】
また、CPU42は、情報コードの読取が失敗したと判断する場合(S420でNO)、及び、問合せ画面においてNOボタンが選択されたと判断する場合(S444でNO)に、S450の処理をスキップして、S452に進む。S452は、図3のS52と同様である。
【0085】
本実施例の構成によれば、何らかの原因(例えばNFCタグ120の破損)によって、NFCタグ120からNFC情報が受信されない場合であっても、問合せ画面においてYESボタンが選択される場合(S444でYES)に、決済処理が実行される(S450)。ICチップ124内のNFC情報を利用できない場合であっても、ユーザは、コード表示部100の情報コード110内の送金先情報を利用した決済を利用することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0086】
(対応関係)
図6のS442の問合せ画面、YESボタンの選択、NOボタンの選択が、それぞれ、「問合せ画面」、「第1の指示」、「第2の指示」の一例である。
【0087】
(第5実施例)
第5実施例は、コード表示部100に代えて、図7に示すコード表示部200が利用される点を除いて、第4実施例と同様である。このため、図6に示すフローチャートの一部も参照して説明する。
【0088】
コード表示部200は、情報コード110が表示されている表示面202を有する表示パーツ201と、表示パーツ201を支持する設置パーツ203と、を備える。表示パーツ201と設置パーツ203は、例えば、樹脂製である。設置パーツ203の下面204は、例えば、店舗の台BDに接着される。設置パーツ203の下面204は、設置面として機能する。
【0089】
また、設置パーツ203の上面には、その一方向に沿って溝203aが形成されている。表示パーツ201の下部が溝203aに挿入されることにより、表示パーツ201が設置パーツ203に支持される。即ち、表示パーツ201と設置パーツ203は、物理的に結合及び分離可能である。
【0090】
第5実施例では、NFCタグ120は、アンテナコイル222とICチップ224で構成される。表示パーツ201の内側には、アンテナコイル222の一部222aが埋め込まれている。一方、設置パーツ203の内側にも、アンテナコイル222の一部222bが埋め込まれている。表示パーツ201の下部が溝203aに挿入されることにより、アンテナコイル222の一部222aとアンテナコイル222の一部222bとが接触して電気的に接続され、アンテナコイル222が完成する。別言すれば、表示パーツ201が設置パーツ203から分離している状態では、アンテナコイル222は途中で切断されて完成せず、アンテナコイル222の機能は無効である。
【0091】
また、ICチップ224は、設置パーツ203の内側に埋め込まれている。なお、変形例では、ICチップ224は、表示パーツ201の内側に埋め込まれていてもよい。
【0092】
表示パーツ201が設置パーツ203から分離している状態において、図6の処理が実行されると、携帯端末10は、アンテナコイル222が無効であることに起因して、問合せ画面を表示する(S442)。ユーザは、問合せ画面においてYESボタンを選択することにより、コード表示部100の情報コード110内の送金先情報を利用した決済を利用することができる(S444でYES、S450)。ユーザは、表示パーツ201を設置パーツ203から分離して、表示パーツ201を店舗の台BDから任意に移動可能である。ユーザの利便性が向上する。
【0093】
(対応関係)
コード表示部200が、「コード表示部」の一例である。表示面202、ICチップ224、アンテナコイル222(222a及び222b)が、それぞれ、「表示面」、「メモリ」、「アンテナコイル」の一例である。表示パーツ201、設置パーツ203が、それぞれ、「表示パーツ」、「設置パーツ」の一例である。
【0094】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0095】
(変形例1)「第2の情報」は、情報コード110内の認証情報と一致する認証文字列に限らず、例えば、認証情報を暗号化した情報、認証情報を復号するための鍵情報、認証情報を外部(例えばインターネット8上のサーバ)から取得するための情報であってもよい。一般的に言えば、「第2の情報」は、「第1の情報」を認証するための情報であればよい。
【0096】
(変形例2)第1実施例において、第5実施例のコード表示部200が利用されてもよい。この場合において、アンテナコイル222は分割されず、表示パーツ201に埋め込まれてもよい。この場合には、設置パーツ203から表示パーツが分離されても、S40の認証が成功するので、決済処理が実行可能である。
【0097】
(変形例3)「送受信機」は、NFCI/F20に限らず、例えば、RFID(radio frequency identifierの略)タグとの通信を実行するためのI/Fであってもよい。
【0098】
(第6実施例)
次いで、第6の実施例を図8図9を参照して説明する。ここで、前述した各実施例と同様の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0099】
この第6の実施例に係る、売買取引に対する決済システム300は、前述した第1実施例と同様に構成された携帯端末10と、コード表示部190とを備える。さらに、この決済システム300は、前述した図2と同様のシステム構成を有し、情報コード110と通信システムとを用いたオンラインでの決済ができるように構成されている。
【0100】
携帯端末10は、一例として、第1実施例と同様に構成されており、内蔵する制御部40のCPU42による、ユーザとのインターラクティブな処理を実行する。これにより、後述するコード表示部190との間で正常な情報通信が実現できたときにのみ、前述したと同様な決済処理を指令することができる。
【0101】
これに対して、コード表示部190は、プラスチックや厚紙によって、側面視、「くの字状」に折り曲げられた表示パーツ101と、台DB上に設置される設置パーツ103とが形成されている。表示パーツ101の前面、即ち表示面102には、前述と同様に、2次元コード110(QRコード(登録商標)など)が印刷、貼付けなどにより表示されている。
【0102】
さらに、表示パーツ101と、それに対して折れ曲がるも連続する設置パーツ103には、それらの周囲を巡るアンテナコイル122が内蔵した状態で張設されている。このアンテナコイル122にICチップ124が電気的に接続されている。以上の構成は、前述した第1実施例と同様である。
【0103】
本実施例に係るコード表示部190は更に、以下のような特徴的な構造を有する。
【0104】
このコード表示部190の設置パーツ103は、図8に示すように、例えば店舗の台BDに設置されることで、その表示パーツ101の表示面102が斜め前方を向いて、携帯端末10との間のNFC送受信ができるように配置される。設置パーツ103の裏面は、その一部又は全部に接着剤、両面テープ、鋲などの貼付け(係止)手段によって、台BDの上面に貼付け又は係止されている。
【0105】
さらに、この設置パーツ103の端部の必要箇所(1か所又は複数個所)には、図9(A)、(B)、(C)に示すように、その端部を介して周回するアンテナコイル122の一部に、i)残りの部分よりも幅細の部分122Hが複数形成される(同図(A)参照)、ii)切込み122K(コイルの接続を残す)が複数形成される(同図(B)参照)、又は、そのアンテナコイル122が通る設置パーツ103の一部に切込み103Kを形成している。勿論、図示していないが、上述した幅細の部分122H、コイル切込み122K、及び台紙切込み103Kを同一の設置パーツ103に備えていてもよい。
上述した幅細の部分122H、切込み122K、及び、切込み103Kは、設置パーツの一部又はアンテナコイルの一部の破断又は破壊を容易化する手段に相当する。それらの手段は、単独で形成されてもよく、又は、複数、組み合わされて形成されてもよい。組み合わせることで、その積極的な破断又は破壊の機能は強化される。
【0106】
以上の構成により、この決済システム300は、前述した第1実施例のそれと同様の決済機能を有する。
【0107】
これに加えて、コード表示部190を盗もうとしたり、不正な入れ替えを行おうしたりして当該コード表示部190を必要以上の外力を加えると、設置パーツ103が台DBから剥がれる。このとき、上述した幅細の部分122H又はコイル切込み122Kに必要以上の外力が加わり、アンテナコイル122が殆どの場合、切断されたり破壊されたりして、電波送受機能を失うことになる。また、台紙切込み103Kが施されている場合にも、その切込み103Kからアンテナコイル122に力が加わって、同コイル122が壊れるか機能喪失に至る。
【0108】
このようにして、コード表示部190が盗難や不正な入れ替え(不正な複製など)に遭遇したとしても、アンテナコイル122の積極的な破壊に進むので、コード表示部190に対するそのような悪質な行為を抑制する機能を発揮できる。
【0109】
この作用効果は、例えば特開2019-28596号に記載の、2次元コードとNFCとを組み合わせた盗難防止とは違って、より簡単な構造ながら、NFCの積極的な機能喪失を伴って不正行為の防止及び抑制を図ることができる。
【0110】
(第7実施例)
次に、第7実施例を図10を参照して説明する。ここで、前述した第1実施例と同様の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0111】
この第7実施例に係る、売買取引に対する決済システム301(図10参照)は、前述した第1実施例と同様に構成された携帯端末10と、コード表示部190とを備える。さらに、この決済システム301は、前述した図2と同様のシステム構成を有し、QRコード110と通信システムとを用いたオンラインでの決済ができるように構成されている。
【0112】
ただし、この決済は、情報コードとしてQRコード(登録商標)110及びNFC(Near Field Communication)通信を担う、コード表示部100のNFCタグ120との間で実行可能に構成されている。このうち、NFCタグ120のICチップ124には、そのNFCタグ120、つまり、コード表示部100を一意に特定する番号などから成る固有情報(NFC情報:第2の情報)を予め記憶させている。この固有情報は例えば所定の認証文字列である。QRコード110には、送金先情報(店舗名、送金口座番号など)、及び、対応するNFC情報が符号化されてデータ化されている。
【0113】
図10を参照して携帯端末10のCPU42がアプリ52に従って実行する処理について説明する。この処理は、第1実施例と同様に、アプリ52が起動することをトリガとして実行開始される(ステップS10)。
【0114】
この処理が開始されると、S12にてカメラ12が先に起動され、次いでS14にて電波送信指示が行われる。次いで、図3の処理と同様に、QRコード110の読取判断、コード表示部100からの受信判断、読み取ったQRコード110から解読したNFC情報(固有情報:第1の情報)が、コード表示部100からの受信情報から抽出したNFC情報(固有情報:第2の情報)に一致するか否かを判断する(ステップS20´,S30´,S40´)。ここで、ステップS40´は判断手段を機能的に構成する。
【0115】
この判断で、一致する場合は、コード表示部100は、その設置したときから移動していない真正なコード表示部、即ち、QRコード110の入れ替えの無い真正な決済情報を記憶した情報コードであり、決済を実行できると判断できる。反対に、一致しない場合は、不審な内容を伴ったQRコードであり、決済を許容できないと判断できる。勿論、QRコードの読取りができない(デコードが成功しない)場合も決済不可の状況であるとは判断できる。
【0116】
このような判断結果に基づいて、第1実施例と同様に、送金先情報、送金元情報、決済に係る金額情報とに基づく決済サーバ600との間での決済処理(S50)、又は、決済不可(決済禁止)であることの表示や管理会社への通知を伴う管理サーバ500との間でのエラー処理(S52)が実行される。ここで、ステップS50は決済許容手段を機能的に構成し、ステップD52は決済禁止手段を機能的に構成する。
【0117】
以上のように、現在、急速に普及しているQRコード110と容易に構成できるNFCとの組み合わせで、予め設定したNFC固有の情報(NFC情報)を用いて、盗難防止やQRコードの入替などの、第1実施例と同等の作用効果を得ることができる。本実施例では、情報コードとしてQRコード110を採用しているので、QRコード110が潜在的に有している様々な優位性を有効に活用した決済システムを提供できる。
(変形例)
上記実施例では、送金先情報をQRコード110に持たせたが、これに代えて、表示コード部100のICチップ124に持たせてもよい。
【0118】
また、QRコードとして、公開データと非公開データをもつことができるQRコードであるSQRC(登録商標)を用いても良い。その場合、SQRC読取りのための鍵情報を表示コード部100のICチップ124に持たせておいて、その鍵情報を用いてSQRCを解読するようにしてもよい。これにより、セキュリティがより一層向上する。
【0119】
さらに、QRコード110にICチップ124の読取り(NFC読取り)の要否情報を設定しておいて、QRコード110からの読取り情報にNFC読取り要の情報があるときにのみ、かかるNFC読取りを行うようにしてもよい。これにより、無駄な通信を無くすことができる。
【0120】
さらに、上述した図10のフローチャートで示す処理に、前述した図6のフローチャートで説明した、決済不可判定時における、顧客の意思による決済継続を指示するステップS442,S444,S446の手順を埋め込んでもよい。これにより、顧客の利便性が一層向上する。ここで、ステップS442,S444,S446は別の判断手段を機能的に構成する。
【0121】
さらに、図10の処理において、カメラ起動のステップS12と電波送信指示のステップS14の順序は入れ替えてもよい。
【0122】
さらに、第6実施例と同様の趣旨で、コード表示部100を盗もうとするなどの不正行為があった場合に、その外力の具合によっては、表示パーツ101や設置パーツ103が台BDから外れたとしても、アンテナ122やICチップ124などの主要要素が全部又は一部が分離して残るように、設置パーツ103を貼り付ける又は係止させるようにしてもよい。窃盗等の不正行為の抑制に有効である。
【0123】
さらになお、この決済システムにおいて、決済行為が携帯端末10内の処理で完結する場合には、管理サーバ500(管理者)に通報しないようにしてもよい。
【0124】
(第8実施例)
図11及び図12を参照して、第8実施例を説明する。
【0125】
この第8実施例は、これまで説明してきた様々な決済システムのコード表示部に適用可能な構造を有する。詳しくは、コード表示部に設置するループアンテナの形状に関するもので、それ以外の構造は、これまで説明してきた実施例の構成と同じである。
【0126】
この第8実施例に係るコード表示部210は、図11(A)、(B)に示すように、表示面211Aと載置面212Bとをそれぞれ呈する板状の表示パーツ211及び設置パーツ212が連結し且つ途中で折れ曲げられて形成されている。この点は、これまでの実施例に記載のコード表示部と同じである。
【0127】
相違する点は、表示パーツ211と設置パーツ212との双方の端部周囲を複数回、周回するように両パーツ内部にループ状の通信用アンテナコイル213が配置されていること、及び、このアンテナコイル213の上記折り曲げ部付近で、相互に空間的にしていることである(図11の参照符号CR)。
【0128】
このため、携帯端末10のNFCI/F20に接続された送受信用のループアンテ21から照射された電磁波の磁束成分は、表示パーツ211のアンテナコイル213を貫通する(図12(A)参照)。このとき、表示パーツ211と設置パーツ212との表示を考えると、表示パーツ211の側では磁束成分は表面から裏面に向けて貫通し、設置パーツ212の側では磁束成分は裏面から表面に向けて貫通する(図12(B)参照)。ここで、表示パーツ221の側と設置パーツ212の側とでアンテナコイル213が交差しているので、このコイル213に誘起される電流は、両パーツ211,212それぞれの側で周回経路が形成され、それぞれの側で電磁誘導に相当した電流の流路が確保される(つまり経路中を同じ向き流れる)。これにより、相応のNFC読取り距離を確保できる。
【0129】
これに対して、交差していない場合には、両パーツ211,212それぞれの側で誘起される電流の向きは、経路全体で見ると互いに逆向きになるので、NFCの読取り距離は低下する。しかし、本実施形態によれば、そのような不都合は発生しない。
(第9実施例)
さらに、図13を参照して、第9実施例を説明する。
【0130】
この第9実施例に係る決済システム303は、前述と同様に構成される携帯端末(読取端末)10(図8参照)と、別の要素として設ける表示端末304と、前述と同様に構成され、端末スタンド195とを備える。
【0131】
端末スタンド195は、前述した図8に記載のコード表示部100の構成のうちの表示パーツ101に構造的に相当する、フロントパーツ101Aの面にQRコードを配置しておらず、表示端末304を当接して又は所定距離離間させて立て掛ける又は支持可能に構成されている。
【0132】
このため、使用時に、携帯端末10と対面する表示端末304は、端末スタンド195に立て掛けるように着脱自在に係止又は保持させ、又は、所定距離離間させて配置させる。この表示端末304は、その既知の構成の通信用IC305の処理によって、端末スタンド195のICチップ124とNFC通信によって認証されている間だけQRコード(登録商標)110をその表示面に表示させることができる。
【0133】
このために、通信用IC305は、そのメモリ領域(図示せず)に、表示端末304の設置場所を一意に指定した特定情報(例えば店舗識別ID)を予め記憶している。そこで、表示端末304のIC305は、NFC通信によって端末スタンド195のICチップ124が固有的に記憶している特定情報を受信し、両者の特定情報が一致したときにのみ認証がとれたと判断する。この認証がとれたときにのみ、表示端末304のIC305は決済用のQRコードを表示させる。つまり、表示端末304のIC305は、図示しないが、かかる受信、判断及び表示のための処理ステップを実行するように構成されており、機能的に判断手段及び表示手段を構成している。この処理ステップは、前述した図3のフローの一部の処理と類似の流れになり、ステップS30(受信)、S40(判断)、及びS50(決済処理を行うために、決済用のQRコードの表示)と読み替えて同様に処理される。
【0134】
なお、汎用性を持たせるため、通信用IC305のメモリ領域には、予め許容された複数の設置場所をそれぞれ指定する特定情報を記憶していてもよい。この場合には、NFC通信を介して端末スタンド195のICチップ124から読み出した1つの特定情報が、かかる複数の特定情報の何れに該当するのか判断すればよい。これに依り、例えば同一の店舗に配置する複数の端末スタンド195(特定情報が異なる)に同一の表示端末304で対応できる。これにより、例えば表示させるQRコードに含める送金先情報を変えることができ、例えば販売商品の種類に応じて、送金先を変えることも容易にできる。
【0135】
端末スタンド195の設置パーツ103は、前述したと同様に、台BDに一部又は全面の貼付け等に付されている。このため、設置パーツ103を設置場所から移動させようとすると、アンテナ122が破損してNFC機能が失われて盗難等の防止に役立つ。このアンテナ122は、かかる設置パーツ103と前面のフロントパーツ101Aとの間において、例えば、前述した第8実施形態のように交差して配置されている。
【0136】
本実施例によれば、携帯端末10が読み取る情報コードとしてのQRコード110は、表示端末304を端末スタンド195に立て掛けている間だけ、表示される。したがって、この表示端末304を例えば、店側スタッフが移動させることで、携帯端末10が読み取る情報コードは存在しなくなり、情報コードの盗難やすり替えなどの行為を未然に抑制又は防止できる。
【0137】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0138】
2 :決済システム
8 :インターネット
10 :携帯端末(読取端末)
12 :カメラ
14 :ディスプレイ
16 :操作部
20 :NFCI/F
30 :ネットワークI/F
40 :制御部
42 :CPU
44 :メモリ
50 :OSプログラム
52 :アプリケーションプログラム(アプリ)
100 :コード表示部
101 :表示パーツ
102 :表示面
103 :設置パーツ
104 :設置面
110 :情報コード
120 :NFCタグ
122 :アンテナコイル
124 :ICチップ
200 :コード表示部
201 :表示パーツ
202 :表示面
203 :設置パーツ
203a :溝
204 :下面
222(222a及び222b) :アンテナコイル
224 :ICチップ
500 :管理サーバ
510 :管理テーブル
600 :決済サーバ
300、301、303 :決済システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13