(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】シート元材供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/18 20060101AFI20240502BHJP
B65H 19/20 20060101ALI20240502BHJP
B65H 16/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65H19/18
B65H19/20
B65H16/00
(21)【出願番号】P 2020075417
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】中村 壽
(72)【発明者】
【氏名】和泉 純一
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-119555(JP,A)
【文献】特開2014-114165(JP,A)
【文献】特開2016-079032(JP,A)
【文献】特開2001-114457(JP,A)
【文献】特開2018-104105(JP,A)
【文献】特開平03-259853(JP,A)
【文献】特開2017-121985(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0042758(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00-16/10
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板に重ねられる保護シート用のシート元材を元材ロールから供給するシート元材供給装置であって、
前記元材ロールは、第一シート元材が巻き取られてなる第一元材ロールと、第二シート元材が巻き取られてなる第二元材ロールと、を含み、
前記第一元材ロール及び前記第二元材ロールを支持する支持装置と、前記第一シート元材の一部と前記第二シート元材の端部とを重ねた状態で接合する接合装置と、
前記第一シート元材を切断する切断装置と、を備え、
前記接合装置は、前記第二シート元材の前記端部を保持する端部保持部と、前記第一シート元材の前記一部を前記第二シート元材の前記端部に押し付ける第一押圧部材と、
前記第一押圧部材から離れた位置で、前記第一シート元材を前記支持装置の一部に固定する第二押圧部材と、を備え、
前記第一押圧部材が、前記第一シート元材の前記一部と前記第二シート元材の前記端部とを前記端部保持部に押し付けて挟持することで、前記第一シート元材と前記第二シート元材とを接合
し、
前記支持装置は、前記第一元材ロール及び前記第二元材ロールを支持する支持体を備え、
前記支持体は、前記第一シート元材が前記第二シート元材と重なることなく前記第一元材ロールから前記第一シート元材を引き出すことが可能な第一姿勢と、前記第一シート元材と前記第二シート元材の前記端部とを重ねる第二姿勢とに前記支持体の回転に伴って姿勢変更可能に構成されており、
前記端部保持部は、前記支持体が前記第一姿勢にあるときに前記第二シート元材の前記端部を前記第一シート元材に重ねることなく保持する第一の位置と、前記支持体が前記第二姿勢にあるときに前記第二シート元材の端部を前記第一シート元材に重ねた状態で保持する第二の位置とに前記端部保持部の回転に伴って位置変更可能に構成され、
前記切断装置は、前記第一押圧部材と前記第二押圧部材との間で前記第一シート元材を切断する切断刃を備え、
前記支持装置は、前記支持体を構成する支持板を備え、
前記支持板の長手方向に対して直交する方向に突出するガイド部を備え、
前記第二押圧部材は、前記第一シート元材を前記ガイド部に押し付けることで前記第一シート元材を固定することを特徴とするシート元材供給装置。
【請求項2】
前記端部保持部は、前記第二シート元材の前記端部を吸着保持する保持面を備える請求項1に記載のシート元材供給装置。
【請求項3】
前記支持装置は、前記支持体を回転可能に支持する支持軸を備え、
前記端部保持部は、前記支持体の回転と独立して、前記支持軸まわりに回転可能に構成される請求項
1又は2に記載のシート元材供給装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記第一シート元材を案内する第一ガイド部及び第二ガイド部と、第一ガイド部及び第二ガイド部の突出方向とは反対の方向に突出し、前記第二シート元材を案内する第三ガイド部及び第四ガイド部と、を備える請求項
1から3のいずれか一項に記載のシート元材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板に重ねられる保護シート用のシート元材を供給するシート元材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ディスプレイ用のガラス基板、太陽電池用のガラス基板等の各種ガラス板を輸送するための形態として、ガラス板梱包体が多用されている。ガラス板梱包体は、元材ロールから引き出されたシート元材を切断して矩形状の保護シートを形成し、この保護シートを重ねたガラス板をパレットに積載することにより製造される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ガラス板梱包体を効率良く製造するためには、元材ロールの交換を効率良く行う必要がある。例えば特許文献2には、樹脂シートを巻き取ることより構成される二つの元材ロール(ロール部)を保持するとともに、一方の元材ロール(以下「第一元材ロール」という)における樹脂シートと、他方の元材ロール(以下「第二元材ロール」という)における樹脂シートとを接着することが可能な供給装置が開示されている。
【0004】
供給装置は、各元材ロールを回転可能に保持する保持部材と、各元材ロールの樹脂シート同士を接着する接着装置(接着部)とを備える。
【0005】
供給装置の接着装置は、第一元材ロールにおける使用中の樹脂シートを、第二元材ロールにおける樹脂シートの端部(巻き終わり部分)に設けられる接着層に押し当てることで、樹脂シート同士を接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-114165号公報
【文献】特開2017-121985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の供給装置において、保持部材は、第二元材ロールに係る樹脂シートの端部を保持することなく、当該第二元材ロールを回転可能に保持している。このため、接着装置が樹脂シートの接着を行う際に、第二元材ロールの樹脂シートが垂れ下がり、その端部に形成される接着層が供給装置の他の構成部材に付着してしまい、元材ロールの交換作業を阻害するおそれがあった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、ロール交換を確実に行うことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、ガラス板に重ねられる保護シート用のシート元材を元材ロールから供給するシート元材供給装置であって、前記元材ロールは、第一シート元材が巻き取られてなる第一元材ロールと、第二シート元材が巻き取られてなる第二元材ロールと、を含み、前記第一元材ロール及び前記第二元材ロールを支持する支持装置と、前記第一シート元材の一部と前記第二シート元材の端部とを接合する接合装置と、を備え、前記接合装置は、前記第二シート元材の前記端部を保持する端部保持部と、前記第一シート元材の前記一部を前記第二シート元材の前記端部に押し付ける第一押圧部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、接合装置は、端部保持部によって第二元材ロールに係る第二シート元材の端部を保持した状態で、第一押圧部材によって第一元材ロールに係る第一シート元材の一部を第二シート元材の端部に押し付けることができる。これにより、第二シート元材の端部が不測に引き出されてシート元材供給装置の構成部材に触れることを防止できる。これより、第一元材ロールと第二元材ロールとの交換を確実に行うことが可能となる。
【0011】
前記端部保持部は、前記第二シート元材の前記端部を吸着保持する保持面を備えてもよい。これにより、端部保持部による第二シート元材の端部の保持及びその解除を容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
前記支持装置は、前記第一元材ロール及び前記第二元材ロールを支持する支持体を備え、前記支持体は、前記第一シート元材が前記第二シート元材と重なることなく前記第一元材ロールから前記第一シート元材を引き出すことが可能な第一姿勢と、前記第一シート元材と前記第二シート元材の前記端部とを重ねる第二姿勢とに前記支持体の回転に伴って姿勢変更可能に構成されており、前記端部保持部は、前記支持体が前記第一姿勢にあるときに前記第二シート元材の前記端部を前記第一シート元材に重ねることなく保持する第一の位置と、前記支持体が前記第二姿勢にあるときに前記第二シート元材の端部を前記第一シート元材に重ねた状態で保持する第二の位置とに前記端部保持部の回転に伴って位置変更可能に構成されてもよい。
【0013】
上記のように端部保持部を位置変更可能に構成することで、支持体の姿勢変更に応じて、第二シート元材の端部を適切な位置へと配することができる。
【0014】
前記端部保持部は、前記支持体の回転と独立して回転可能に構成されてもよい。かかる構成によれば、第二元材ロールの残量が少なくなって第二元材ロールを別の元材ロールと交換する際に端部保持部が第二シート元材と接触するのを防止できる。また、第二元材ロールを別の元材ロールと交換する際に別の端部保持部を用いる必要がなくなり、第一元材ロールと第二元材ロールの交換時と共通の端部保持部で第二元材ロールを別の元材ロールを交換可能となる。このため、設備コストを削減できる。
【0015】
前記接合装置は、前記第一押圧部材から離れた位置で、前記第一シート元材を前記支持装置の一部に固定する第二押圧部材を備え、前記第一シート元材を切断する切断装置を備え、前記切断装置は、前記第一押圧部材と前記第二押圧部材との間で前記第一シート元材を切断する切断刃を備えてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、第一シート元材の一部と第二シート元材の端部との接合が終了した直後に、接合装置の第一押圧部材と第二押圧部材によって第一シート元材を固定した状態で、切断刃によって第一シート元材を切断することができる。これにより、接合装置によるシート元材の接合作業と、切断装置による第一シート元材の切断作業とを効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ロール交換を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ガラス板梱包体の製造装置を示す側面図である。
【
図2】
図1のII-II矢視線に係るシート元材供給装置の底面図である。
【
図4】ロール交換方法を示すフローチャートである。
【
図5】ロール交換方法の姿勢変更工程を示す側面図である。
【
図6】ロール交換方法の接合工程を示す側面図である。
【
図7】ロール交換方法の接合工程及び切断工程を示す側面図である。
【
図8】ロール交換方法の一工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、ガラス板梱包体の製造装置を示す。製造装置1は、元材ロールR1,R2から引き出されたシート元材OS1,OS2を切断することにより保護シートPSを形成する。また、製造装置1は、ガラス板Gをこの保護シートPSに重ねてパレットPに積載する。これらにより、製造装置1は、ガラス板梱包体GPを製造する。
【0021】
ガラス板Gは、例えばオーバーフローダウンドロー法によって形成される長尺状のガラスリボンを矩形状に切断することにより構成される。オーバーフローダウンドロー法は、断面が略くさび形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側壁部に沿って流下させながら、成形体の下端部で融合一体化し、ガラスリボンを連続成形するというものである。ガラス板Gは、オーバーフローダウンドロー法に限らず、フロート法やその他の各種の成形法により製造され得る。
【0022】
元材ロールR1,R2は、シート元材OS1,OS2を巻き芯に巻き取ることにより構成されている。シート元材OS1,OS2としては、例えばポリエチレンを主成分とする樹脂により構成される発泡樹脂シートが使用されるが、この構成に限定されるものではない。シート元材OS1,OS2として、ガラス合紙を使用してもよい。
【0023】
製造装置1は、ガラス板Gを搬送する搬送部2と、ガラス板GをパレットPに梱包する梱包部3とを備える。
【0024】
搬送部2は、ガラス板Gを移動させる複数のガラス保持部4を備える搬送装置として構成される。各ガラス保持部4は、ロボットアームその他の各種移動機構により三次元的に移動し得る。各ガラス保持部4は、ガラス板Gを把持可能なクランプ機構5を有する。搬送部2は、ガラス保持部4のクランプ機構5によってガラス板Gの上部を把持するとともに、ガラス板Gの一方の表面がその移動方向に面するように、当該ガラス板Gを搬送する。
【0025】
梱包部3は、シート元材供給装置6と、当該シート元材供給装置6より供給されるシート元材OS1,OS2から保護シートPSを形成するシート形成装置7とを備える。
【0026】
シート元材供給装置6は、元材ロールR1,R2を交換するロール交換の機能を備えている。シート元材供給装置6は、第一元材ロールR1及び第二元材ロールR2を支持する支持装置8と、第一元材ロールR1に係る第一シート元材OS1と第二元材ロールR2に係る第二シート元材OS2とを連結する接合装置9と、各シート元材OS1,OS2を切断するための切断装置10と、各元材ロールR1,R2における各シート元材OS1,OS2の残量を測定するセンサ11と、を備える。
【0027】
また、シート元材供給装置6からシート形成装置7に至るまでの経路には、シート元材OS1,OS2の送り移動を円滑に行うための各種ローラが配列されている。
【0028】
支持装置8は、第一元材ロールR1と第二元材ロールR2を離間させて支持する支持体12と、支持体12を回転可能に支持する支持軸13とを備える。
【0029】
図2に示すように、支持体12は、一対の支持板14と、支持板14同士を連結する連結部材15とを備える。各支持板14は、例えば長尺状の金属板により構成される。各支持板14は、その中間部に支持軸13を挿通可能な孔16を有する。連結部材15は、金属製であり、溶接等その他の手段によって一対の支持板14を連結している。
【0030】
支持体12は、第一元材ロールR1を支持する第一支持部17と、第二元材ロールR2を支持する第二支持部18と、各元材ロールR1,R2から引き出されるシート元材OS1,OS2を案内するガイド部19a~19dと、を備える。
【0031】
各支持部17,18は、元材ロールR1,R2の巻き芯を回転可能に支持する。各支持部17,18は、支持体12を構成する支持板14における長手方向に各端部に形成される。
【0032】
ガイド部19a~19dは、支持体12を構成する支持板14の長手方向に対して直交する方向に突出する第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bと、第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bの突出方向とは反対の方向に突出する第三ガイド部19c及び第四ガイド部19dと、を含む。各ガイド部19a~19dは、ローラ部材20と、ローラ部材20を回転可能に支持するブラケット21とを備える。なお、第二ガイド部19b及び第四ガイド部19dは、省略してもよいが、ブラケット21の長さを短くして装置を小型化する観点では、第二ガイド部19b及び第四ガイド部19dを備えることが好ましい。
【0033】
支持体12は、第一元材ロールR1の第一シート元材OS1をシート形成装置7に供給可能な第一姿勢(
図1参照)と、第一元材ロールR1と第二元材ロールR2とを交換可能な第二姿勢(後述の
図6参照)とに姿勢を変更することができる。支持体12が第一姿勢にある場合、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2の端部OSaとは重なることがない。第一シート元材OS1は、第一姿勢にある支持体12に支持されている第一元材ロールR1から引き出され、シート形成装置7に供給される。支持体12は、第一姿勢から第二姿勢に姿勢を変更することで、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2の端部OSaとを重ねることができる。
【0034】
支持軸13は、支持体12の支持板14に形成される孔16に挿通されることで、支持体12を回転可能に支持する。支持体12は、図示しない駆動装置に駆動されることで、この支持軸13まわりに回転する。
【0035】
接合装置9は、第一シート元材OS1を所定位置に固定する押圧部材22a,22bと、第二シート元材OS2の端部OSaを保持する保持部材23とを備える。
【0036】
押圧部材22a,22bは、第一シート元材OS1の一部を第二シート元材OS2の端部OSaに押し付ける第一押圧部材22aと、第一押圧部材22aから離れた位置で、第一シート元材OS1を支持装置8の一部に固定する第二押圧部材22bとを含む。各押圧部材22a,22bは、待機位置と、第一シート元材OS1を所定位置に固定する固定位置とに位置変更可能に構成される。
【0037】
保持部材23は、第二シート元材OS2の端部OSaを保持する端部保持部24と、当該端部保持部24を支持する支持部25とを備える。
【0038】
端部保持部24は、第二シート元材OS2の幅寸法よりも大きな長さ寸法を有する長尺状の部材である。端部保持部24は、第二シート元材OS2の端部OSaを吸着することにより保持する。端部保持部24は、中空状に構成されるとともに、図示しない吸引ポンプに接続されている。
図3に示すように、端部保持部24は、第二シート元材OS2の端部OSaを吸着保持する保持面26と、当該保持面26を構成する壁部を貫通するように形成される複数の吸引孔27を有する。
【0039】
端部保持部24は、支持体12が第一姿勢にあるときに、第二シート元材OS2の端部OSaを第一シート元材OS1に重ねることなく保持する第一の位置と、支持体12が第二姿勢にあるときに、第二シート元材OS2の端部OSaを第一シート元材OS1に重ねた状態で保持する第二の位置とに位置変更可能に構成される。
【0040】
支持部25は、端部保持部24の長手方向における各端部を支持する一対の長尺状の部材により構成される、支持部25は、支持装置8の支持軸13に連結される連結部28をする。連結部28は環状に構成されている。連結部28の内側には、支持軸13が挿通されている。この構成により、保持部材23は、支持軸13によって回転可能に支持されている。
【0041】
保持部材23は、第二シート元材OS2の端部OSaを保持した状態で待機する第一姿勢(
図1参照)と、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2とを接合するための第二姿勢(後述の
図6参照)とに姿勢変更可能に構成されている。保持部材23は、図示しない駆動装置によって駆動され、支持軸13まわりに回転することで、その姿勢を変更する。保持部材23が第一姿勢にあるとき、端部保持部24は、第一の位置に配される。保持部材23が第二姿勢にあるとき、端部保持部24は、第二の位置に配される。
【0042】
切断装置10は、支持体12に対して接近・離反可能に構成される切断刃10aを有する。切断刃10aは、待機位置と、第一シート元材OS1を切断するための切断位置とに位置変更可能に構成される。切断刃10aは、第一押圧部材22aと第二押圧部材22bとの間の位置でシート元材OS1,OS2を切断する。
【0043】
センサ11は、第一姿勢にある支持体12の第一支持部17の近傍位置に設けられている。センサ11は、例えば透過型又は反射型のレーザセンサにより構成されるが、この構成に限定されるものではない。センサ11は、元材ロールR1,R2におけるシート元材OS1,OS2の残量が所定量未満となったことを検出する。
【0044】
図1に示すように、シート形成装置7は、元材ロールR1,R2から引き出されたシート元材OS1,OS2を切断して保護シートPSを形成する切断装置29と、切断装置29の下方に配置され、かつ切断後の保護シートPSを保持する一対の第一保持部30及び一対の第二保持部31と、各保持部30,31を移動可能に支持するガイド部材32,33と、を備える。
【0045】
切断装置29は、各保持部30,31によってシート元材OS1,OS2の一部を保持した状態で、その切断刃29aにより、当該シート元材OS1,OS2を切断する。
【0046】
一対の第一保持部30は、保護シートPSの上部における幅方向の両端部をそれぞれ保持するように構成される。一対の第二保持部31は、保護シートPSの下部における幅方向の両端部をそれぞれ保持するように構成される。各保持部30,31は、シート元材OS1,OS2を切断してなる保護シートPSの幅方向の端部を保持するクランプ機構を有する。
【0047】
ガイド部材32,33は、各保持部30,31をパレットPに対して前後に接近・離反させる第一ガイド部材32と、この第一ガイド部材32を上下に移動させる第二ガイド部材33とを含む。
【0048】
第一ガイド部材32は、第二ガイド部材33から前方に突出する長尺体である。第一ガイド部材32は、水平方向に対して所定の角度で下方に傾斜している。第一ガイド部材32は、その上面側で、各保持部30,31をその長手方向(前後方向)にスライド自在に支持する。第一ガイド部材32は、各保持部30,31を前後に移動させるための駆動機構を備える。
【0049】
第二ガイド部材33は、上下方向に延びる長尺体である。第二ガイド部材33は、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜している。第二ガイド部材33は、第一ガイド部材32の一端部を上下移動可能に支持する。第一ガイド部材32は、第二ガイド部材33に対して直角を為すように、当該第二ガイド部材33に支持される。第二ガイド部材33は、第一ガイド部材32を上下に移動させるための駆動機構を有する。
【0050】
第二ガイド部材33は、パレットPの上方に配置された基台部34に吊り下げ支持されている。基台部34は、第一基台部35と第二基台部36の上下二つに分割されている。第一基台部35は、建物の構造物である梁に固定されている。第二基台部36は、前後方向に移動可能となるように、第一基台部35の下面に支持されている。
【0051】
梱包部3に配置されるパレットPは、ガラス板Gの表面を支持する第一支持面Paと、ガラス板Gの下端部を支持する第二支持面Pbとを有する。第一支持面Paと第二支持面Pbとは、90°を為すように交差している。搬送部2及びシート形成装置7の動作により、パレットPには、ガラス板Gと保護シートPSとが縦姿勢で交互にパレットPに積層される。
【0052】
以下、上記の製造装置1を使用して、ガラス板梱包体GPを製造する方法及び当該方法の実施中に元材ロールR1,R2を交換する方法について説明する。ガラス板梱包体GPの製造方法は、シート元材供給装置6及びシート供給装置によって保護シートPSをパレットPに供給するシート供給工程と、搬送部2によってガラス板GをパレットPに載置する載置工程とを含む。本方法では、このシート供給工程と載置工程とが同時に進行する。
【0053】
シート供給工程において、シート元材供給装置6において支持体12に支持される第一元材ロールR1からシート元材が引き出される。第一シート元材OS1は、所定の搬送経路を通じてシート形成装置7へと連続的に移送される。
【0054】
シート元材供給装置6の支持体12は、第一姿勢(
図1参照)を維持しており、第一シート元材OS1の引き出しによって回転する第一元材ロールR1を第一支持部17によって支持する。この第一姿勢において、第二支持部18は、待機位置にて第二元材ロールR2を支持する。
【0055】
この場合において、接合装置9は、保持部材23を第一姿勢(
図1参照)で待機させる。この場合において、端部保持部24は、第二支持部18側の第一の位置にある。端部保持部24は、第二支持部18に支持される第二元材ロールR2から引き出された第二シート元材OS2の端部OSaを保持した状態で待機する。端部保持部24は、保持面26を下方に向けた状態で、第二シート元材OS2の端部OSaを吸着している。この端部OSaには、接着材37が設けられている。
【0056】
シート供給工程において、支持装置8の各ガイド部19a~19dは、シート元材OS1,OS2に接触することなく待機する。支持体12が第一姿勢(
図1参照)にある場合において、第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bは、下方に向いており、第三ガイド部19c及び第四ガイド部19dは、上方に向いている。
【0057】
シート供給工程において、シート形成装置7は、第一シート元材OS1を所定の寸法に切断して矩形状の保護シートPSを形成する。シート形成装置7は、各保持部30,31により保持した保護シートPSをパレットPの所定位置に配置する。
【0058】
載置工程において、搬送部2は、ガラス保持部4がパレットPに接近すると、このガラス保持部4を一時停止させる。その後、ガラス保持部4は、ガラス板GをパレットPに配置された保護シートPSに重ね合わせる。ガラス板GがパレットPの第二支持面Pbに載置されると、ガラス保持部4は、クランプ機構5によるガラス板Gの把持を解除し、次のガラス板Gを搬送するために、その受け取り位置へと移動する。
【0059】
シート供給工程及び載置工程が繰り返し実行されることで、複数のガラス板Gが保護シートPSを介してパレットPに積載される。所定数のガラス板GがパレットPに載置されると、ガラス板梱包体GPが完成する。
【0060】
ガラス板梱包体GPの製造中において、第一元材ロールR1における第一シート元材OS1の残量が少なくなったことをセンサ11が検出すると、第一元材ロールR1を第二元材ロールR2に交換する工程(ロール交換工程)が実行される。
【0061】
図4に示すように、ロール交換工程は、支持体12の姿勢を変更する姿勢変更工程S1と、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2とを接合する接合工程S2と、第一シート元材OS1を切断する切断工程S3とを備える。
【0062】
姿勢変更工程S1では、支持体12の姿勢が第一姿勢から第二姿勢に変更される。
図5に示すように、支持装置8は、支持軸13を中心として、支持体12を、実線で示す第一姿勢の状態から二点鎖線で示すように反時計回りに回転させる。支持体12は、第一姿勢から180°回転することで、第二姿勢となる。
【0063】
この場合において、接合装置9の保持部材23は、支持体12と一体となって反時計回りに180°回転する。これにより、保持部材23は、第一姿勢から第二姿勢へと姿勢を変更する。保持部材23が第二姿勢になると、端部保持部24は、第二の位置へと移動する。
図6に示すように、端部保持部24は、第二の位置において、保持面26が上方を向いた状態で第二シート元材OS2の端部OSaを保持する。
【0064】
この状態において、端部保持部24は、待機位置にある第一押圧部材22aの下方に位置する。
図6に示すように、支持体12及び保持部材23が第二姿勢となり、端部保持部24が第二の位置へと移動すると、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2の端部OSaとが重なった状態となる。
【0065】
支持体12の姿勢変更に伴い、各ガイド部19a~19dもその位置を変更する。支持体12が第二姿勢になると、第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bは上方に向き、第三ガイド部19c及び第四ガイド部19dは下方に向いた状態となる。
【0066】
第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bは、支持体12が第一姿勢から第二姿勢へと姿勢を変更している間に、第一元材ロールR1から引き出されている第一シート元材OS1に接触する。第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bは、支持体12が第二姿勢になった後も、第一シート元材OS1を支持し続ける。第一ガイド部19a及び第二ガイド部19bは、ローラ部材20の回転により、第一シート元材OS1をその送り出し方向に案内する。
【0067】
これにより、支持体12の姿勢変更中及び姿勢変更後における第一シート元材OS1の弛みの発生が防止される。また、第一シート元材OS1が第二シート元材OS2の端部OSaやその他の部材と接触することも防止される。
【0068】
接合工程S2では、接合装置9の第一押圧部材22a及び第二押圧部材22bによって第一シート元材OS1を固定する。
図6及び
図7に示すように、第一押圧部材22aは、待機位置から下方に移動し、第一シート元材OS1の一部に接触する。第一押圧部材22aは、さらに下方へと移動し、第一シート元材OS1の一部を、下方に位置する第二シート元材OS2の端部OSaに押し付ける。
【0069】
図7に示すように、第二押圧部材22bは、待機位置から第一ガイド部19aに向かって接近し、第一シート元材OS1の一部を第一ガイド部19aのローラ部材20に押し付ける。このように、接合工程S2では、第一シート元材OS1の一部は、第一押圧部材22a及び第二押圧部材22bによって、第一ガイド部19aと、保持部材23の端部保持部24とに固定される。
【0070】
この場合において、第一シート元材OS1の一部と、第二シート元材OS2の端部OSaとは、接着材37を介して第一押圧部材22aと保持部材23の端部保持部24とにより挟持される。これにより、接着材37は、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2とを接着して接合する。
【0071】
切断工程S3では、第一押圧部材22aと第二押圧部材22bとによって第一シート元材OS1を固定した状態で、切断刃10aによって当該第一シート元材OS1を切断する。切断刃10aは、待機位置から下降し、第一押圧部材22aと第二押圧部材22bとの間に位置する第一シート元材OS1の一部に接触する。切断刃10aが第一シート元材OS1を切断することで、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2の連結が完了する。
【0072】
その後、切断刃10a、第一押圧部材22a及び第二押圧部材22bは、待機位置に向かって退避する。また、保持部材23の端部保持部24は、第二シート元材OS2の端部OSaの吸着保持を解除する。これにより、第一シート元材OS1に連結された第二シート元材OS2が第二元材ロールR2から引き出され、シート形成装置7に供給される。支持体12は、第二姿勢を維持しつつ、第二元材ロールR2を次回のロール交換工程まで支持し続ける。
【0073】
その後、次回のロール交換工程に対する準備工程が実行される。この準備工程では、使用済みの第一元材ロールR1が第一支持部17から取り外される。次に、
図8において二点鎖線で示すように、第一支持部17には新たな第三元材ロールR3が取り付けられる。
【0074】
準備工程において、接合装置9の保持部材23は、第二姿勢から第一姿勢へと姿勢を変更する。この場合において、保持部材23は、ロール交換工程における支持体12及び当該保持部材23の回転の方向とは逆の方向に回転する。具体的には、保持部材23は、
図8において一点鎖線及び二点鎖線で示すように、支持体12から独立して時計回りに回転する。保持部材23が180°回転し、第一姿勢へと姿勢を変更すると、新たな第三元材ロールR3から第三シート元材が引き出され、その端部が引き出され、保持部材23の端部保持部24に吸着保持される。この端部OSaには、接着材37が塗布される。
【0075】
次回のロール交換工程では、前回のロール交換工程と同様に、支持体12を第二姿勢から第一姿勢に変更し(姿勢変更工程S1)、使用中の第二シート元材OS2と、第三元材ロールR3の第三シート元材とを重ね合わせる。このとき、第二シート元材OS2は第三ガイド部19c及び第四ガイド部19dに支持される。
【0076】
その後、第一押圧部材22aによって第二シート元材OS2を保持部材23に固定し、第二押圧部材22bによって第二シート元材OS2を第三ガイド部19cに固定する(接合工程S2)。その後、切断装置10の切断刃10aによって第二シート元材OS2の一部を切断する(切断工程S3)。これにより、第二シート元材OS2と第三シート元材とが連結される。
【0077】
以上説明した本実施形態によれば、接合装置9は、保持部材23の端部保持部24によって第二シート元材OS2の端部OSaを保持した状態で待機し、ロール交換工程中においても当該端部OSaを保持し続ける。したがって、第二シート元材OS2の端部OSaがシート元材供給装置6の他の構成部材に触れてロール交換工程を阻害するといった事態を未然に防止できる。
【0078】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
上記の実施形態では、接着材37を介して第一シート元材OS1と第二シート元材OS2とを接合する例を示したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。接合装置9は、接着以外の接合手段によって、第一シート元材OS1と第二シート元材OS2とを連結することができる。また、接着材37で接合する場合であっても、接着材37は塗布に限らず、例えば両面テープを貼り着けることで接着材37を設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
6 シート元材供給装置
8 支持装置
9 接合装置
10 切断装置
10a 切断刃
12 支持体
22a 第一押圧部材
22b 第二押圧部材
24 端部保持部
26 保持面
G ガラス板
OS1 第一シート元材
OS2 第二シート元材
OSa 第二シート元材の端部
PS 保護シート
R1 第一元材ロール
R2 第二元材ロール