(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240502BHJP
B60R 19/54 20060101ALI20240502BHJP
B60R 19/18 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B60R19/54
B60R19/18 M
(21)【出願番号】P 2020085237
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢治
(72)【発明者】
【氏名】川野 慎吾
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-274430(JP,A)
【文献】特開2015-101224(JP,A)
【文献】特開2015-24728(JP,A)
【文献】特開2010-179729(JP,A)
【文献】特開2019-73199(JP,A)
【文献】特開2014-34383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60R 19/54
B60R 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端部に配置されるバンパーフェイシャと、
前記バンパーフェイシャの車両後側に配置され、車幅方向に延びる車両構造物と、
前記車両構造物の下方において、前記バンパーフェイシャの後端部と連ねて車両後方に延伸するアンダーカバーと、
を備え、
前記車両構造物には、
車両前後方向に空いた引掛け穴が形成され、
前記アンダーカバーには、前記引掛け穴に車両後側から
挿通して引っ掛ける引掛け部が設けられ、
前記バンパーフェイシャに前方からの衝撃が加わった際、前記バンパーフェイシャの所定以上の変形に伴い前記引掛け穴と前記引掛け部との引っ掛かりが解除されることを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記引掛け穴は、前記車両構造物の車両前側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記引掛け部は、鉤状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記アンダーカバーは、車両後方側に向かうにしたがい下方へ傾斜することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記アンダーカバーには、前記引掛け部から車両後方に所定距離をおいて車幅方向に延在するリブが設けられ、
前記リブは、前記アンダーカバーの当該リブから前方側の部分よりも剛性が高いことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記アンダーカバーには、車両前後方向における前記引掛け部と前記リブとの間に、車幅方向に延びる段差部が形成され、
前記バンパーフェイシャの後端部は、前記段差部の近傍且つ車両前側で保持されていることを特徴とする請求項5に記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記車両構造物は、車両前側に下方に延びるブラケットを有し、
前記ブラケットには、前記引掛け穴が形成されていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカバーを有する車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(車両)には、バンパーを構成するバンパーフェイシャの下端部に、車両後方側へ延伸するアンダーカバーを設けたものがある。多くのアンダーカバーは、特許文献1のようにバンパーフェイシャの下端部にアンダーカバーの前端部をボルトなどで固定する構造が用いられ、エンジンやモータなど駆動源を収めるパワーユニット室の下側を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンダーカバーは、一般的にバンパーフェイシャに比べ剛性が低い。このため、歩行者との衝突時にバンパーを構成するバンパーフェイシャとアンダーカバーとの双方が同時期に変形する場合、主として剛性の低いアンダーカバーが変形することで衝撃エネルギーを吸収するため、加わる衝撃力に応じた有効な衝撃エネルギーの吸収を行うことや歩行者の脚部の振り込み(脚部の先端がバンパーの下方を車両後方に入り込む状態)を抑えることが難しい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、剛性の異なるバンパーフェイシャとアンダーカバーとの特性を活用して、歩行者の車体への侵入量の適正化を図りつつ、加わる衝撃力に応じた有効な衝撃エネルギーの吸収を行う車両の前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の車両の前部構造は、車両の前端部に配置されるバンパーフェイシャと、前記バンパーフェイシャの車両後側に配置され、車幅方向に延びる車両構造物と、前記車両構造物の下方において、前記バンパーフェイシャの後端部と連ねて車両後方に延伸するアンダーカバーと、を備え、前記車両構造物には、車両前後方向に空いた引掛け穴が形成され、前記アンダーカバーには、前記引掛け穴に車両後側から挿通して引っ掛ける引掛け部が設けられ、前記バンパーフェイシャに前方からの衝撃が加わった際、前記バンパーフェイシャの所定以上の変形に伴い前記引掛け穴と前記引掛け部との引っ掛かりが解除されることを特徴とする。
【0007】
これにより、バンパーフェイシャに対して車両前側から衝突する車両前突時の前期では、バンパーフェイシャだけ変形して衝撃エネルギーが吸収される。バンパーフェイシャが所定以上に変形した車両前突時の後期になると、引掛け穴と引掛け部との引っ掛かりが解除され、アンダーカバーが変形して更に衝撃エネルギーが吸収される。したがって、車両前突時に、互いに剛性の異なるバンパーフェイシャ及びアンダーカバーの両方を順次変形させて衝撃を吸収させることが可能になる。
【0008】
好ましくは、前記引掛け穴は、前記車両構造物の車両前側に形成されているとよい。これにより、衝突の前期において、剛性が低く変形の生じやすいアンダーカバーではなく、剛性の高いバンパーフェイシャを下方に向かって積極的に変形させて、衝撃エネルギーを吸収させることができる。
【0009】
好ましくは、前記引掛け部は、鉤状に形成されているとよい。これにより、衝突の前期では引掛け穴と引掛け部との引っ掛かりを保持しつつ、バンパーフェイシャ1が所定以上に変形した衝突の後期では適切に解除させることが可能になる。
【0010】
好ましくは、前記アンダーカバーは、車両後方側に向かうにしたがい下方へ傾斜するとよい。これにより、車両前突時の前期にバンパーフェイシャが後方に押されたときに、バンパーフェイシャの後端部がアンダーカバーの傾斜部を押して、アンダーカバーを上方に押し上げることができる。これにより、車両前突時におけるアンダーカバーの変形をコントロールすることができる。
【0011】
好ましくは、前記アンダーカバーには、前記引掛け部から車両後方に所定距離をおいて車幅方向に延在するリブが設けられ、前記リブは、前記アンダーカバーの当該リブから前方側の部分よりも剛性が高いとよい。これにより、アンダーカバーの前側からリブまでの剛性の低い部分を積極的に変形させることができる。
【0012】
好ましくは、前記アンダーカバーには、車両前後方向における前記引掛け部と前記リブとの間に、車幅方向に延びる段差部が形成され、前記バンパーフェイシャの後端部は、前記段差部の近傍且つ車両前側で保持されているとよい。これにより、車両前突時にバンパーフェイシャが車両後方に押された際に、バンパーフェイシャの後端部が段差部を後方に押して、アンダーカバーの前側が押し上げられる。したがって、車両前突時における、アンダーカバーの特に引掛け部の動きをコントロールできる。
【0013】
好ましくは、前記車両構造物は、車両前側に下方に延びるブラケットを有し、前記ブラケットには、前記引掛け穴が形成されているとよい。これにより、車両構造物に設けられたブラケットを、引掛け穴を設けるための部品として活用でき、部品点数の削減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両の前部構造によれば、車両前方からバンパーフェイシャに歩行者が衝突した車両前突時において、衝突の前期にはバンパーフェイシャが変形され、バンパーフェイシャが所定以上変形して引掛け穴と引掛け部との引っ掛かりが解除された後には、アンダーカバーが変形する。したがって、一般的に剛性の異なるバンパーフェイシャとアンダーカバーの両方を衝突時に変形させることが可能になり、バンパーフェイシャとアンダーカバーとによって、歩行者の車体への侵入量の適正化を図り、有効に衝撃エネルギーを吸収することができ、効果的に歩行者の脚部の振り込みを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る態様となる車両の前部構造におけるバンパーフェイシャ、アンダーカバーを示す一部切欠した斜視図,(b)は車両構造物とアンダーカバーとを係止する係止部を拡大して示す斜視図。
【
図3】(a)はバンパーフェイシャとアンダーカバーとを分解した斜視図、(b)は(a)中の係止部を構成する爪部を示す斜視図、(c)はバンパーフェイシャの支持やアンダーカバーの係止に共用される支持ブラケットを示す斜視図。
【
図4】歩行者との衝突の際におけるバンパーフェイシャ、アンダーカバー、係止部の挙動を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を
図1から
図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0017】
図1は、バンパーフェイシャ1やアンダーカバー3を有する自動車(車両)の前部構造を示し、
図2は、
図1中のA-A線に沿う断面を示し、
図3は、バンパーフェイシャ1やアンダーカバー3の各部を示し、
図4は、歩行者αと衝突の際におけるバンパーフェイシャ1やアンダーカバー3の各部の挙動の変化を示している。
【0018】
自動車の前部構造を説明すると、
図1(a)中の符号5は車体前部に配置された車両構造物、例えば車幅方向に延在するロアクロスメンバである。このロアクロスメンバ5の前方に上記バンパーフェイシャ1が配置される。
【0019】
図1および
図2に示されるようにバンパーフェイシャ1は、例えば空気導入口1aやフロントグリル(図示しない)やフロントのバンパー部1cを有する形状とされる。このバンパーフェイシャ1の空気導入口1a付近に設けたフェイシャブラケット9が、ロアクロスメンバ5の車幅方向両側に設けた支持ブラケット11に支持され、バンパー部1cを含むバンパーフェイシャ1を車体(車両)の前端部に配置させている。支持ブラケット11については後述する。
【0020】
図1および
図2に示されるようにバンパーフェイシャ1の下端部となるバンパー部1cの下部壁1dには、上記アンダーカバー3が連ねて配置される。アンダーカバー3は、バンパーフェイシャ1よりも剛性の低い部材からなり、バンパー部1cの下部壁1dから車両後方へ延伸するプレート状の部品でなる。
【0021】
このアンダーカバー3の車両後端部両側が、バンパー部1cの車両後方両側にクリップ(図示しない)などにより固定される。またアンダーカバー3の車両前端部の車幅方向両側は、係止部13を用いて、ロアクロスメンバ5に対し係止される。係止部13については後述する。
【0022】
これにより、
図2に示されるようにアンダーカバー3は、エンジンやモータなど駆動源を収めるパワーユニット室(図示しない)の下部に、パワーユニット室(図示しない)の下側を覆うように配置される。特にアンダーカバー3は、下部壁1dから車両後方側へ向かうにしたがい若干、下方へ傾斜する姿勢で配置してある。
【0023】
ちなみに、
図1および
図2に示されるようにアンダーカバー3の車幅方向中央部は、整流部をなす車両前後方向に延びる上側を凸とした複数の突条部3aを有している。
【0024】
さらに述べると、
図1および
図2に示されるようにアンダーカバー3の前端部の下面には、車幅方向に渡り、上側が凹側となる段差部15を有している。この段差部15には、バンパー部1cの下部壁1dの端部が嵌め込まれている。この嵌め込みを利用して、アンダーカバー3の前端部をバンパーフェイシャ1の下部壁1dに連ねている。
【0025】
一方、係止部13には、いずれも例えば
図3に示されるようにアンダーカバー3側に爪部17(引掛け部)を有し、ロアクロスメンバ5側に係止口部19を有した構造が用いられる。
【0026】
例えば爪部17は、アンダーカバー3の前端部に形成され、先端部が同前端部から前方へ突き出る逆L形のアーム状部21と、このアーム状部21の先端部下面に突設された三角ブロック状の小突起部23とを有して構成される。
【0027】
係止口部19は、
図2および
図3に示されるようにロアクロスメンバ5の支持ブラケット11を活用して形成される。
【0028】
ここで、支持ブラケット11なる部品は、斜め前上方に延びる帯板状の取付部12を有してなり、取付部12の端部の座部12aとフェイシャブラケット9の裏面とが締結されることによって、バンパー部1cをロアクロスメンバ5に支持させる部品である。
【0029】
係止口部19は、この支持ブラケット11の下部をロアクロスメンバ5の斜め前下方へ傾斜させながら下方へ延長させる。そして、この延長した延長部20aの端部に、上記係止口部19を形成して構成される。
【0030】
具体的には係止口部19は、例えば延長した延長部20aの端部を折り曲げて台状とし、この台状部20bの板面部に係止口20c(引掛け穴)を形成して構成される。この係止口20cに上記爪部17が挿通されることにより、ロアクロスメンバ5の前側で、アンダーカバー3の前端部をロアクロスメンバ5に対し係止させる。
【0031】
この係止構造により、バンパー部1cが所定以上に変形する際、係止が解除される構成としている。
【0032】
すなわち、この係止構造は、歩行者との衝突でバンパー部1cが変形する際、所定未満の衝撃のときには、ロアクロスメンバ5バンパー部1cを含むバンパーフェイシャ1だけが変形し、同バンパーフェイシャ1が所定以上に変形するときには、係止が解除され、ロアクロスメンバ5から切り離されるアンダーカバー3が変形される構造としている。
【0033】
ちなみに、アンダーカバー3が特定の位置で所定形状に変形するよう、アンダーカバー3の上面の前側には、車幅方向に渡り、剛性物となるリブ25が形成されている。
【0034】
つぎに、
図4を参照して車両の前部構造の作用効果を説明する。
【0035】
ここでは、自動車の前端部が、歩行者αの脚部と衝突する車両前突時の場合を例に挙げて説明する。
【0036】
衝突の前期は、歩行者αの脚部との当接により、バンパー部1cを含むバンパーフェイシャ1だけ変形する。
【0037】
すなわち、バンパーフェイシャ1は、ロアクロスメンバ5で衝撃を受けると、車両後方へ向かう。すると、
図4(a)のようにバンパーフェイシャ1は、斜め上後方へ向かいながら車両後方へ侵入する。
【0038】
このときアンダーカバー3の段差部15には、上方へ押し上げる力が作用する。これにより、アンダーカバー3の前側は、上方へ向かうよう歪む。
【0039】
係止部13の爪部17は、この変形を受けて前傾し始め、係止口20cの開口縁部(下縁)と係止される。
【0040】
この係止により、アンダーカバー3の前端部は、ロアクロスメンバ5に対して係止される。これにより、加わる衝撃は、ロアクロスメンバ5で受け止められ、バンパー部1cだけが潰れ変形する。
【0041】
つまり、衝突の前期は、バンパー部1cを含む剛性の高いバンパーフェイシャ1だけが潰れ変形されて衝撃エネルギーを吸収する。
【0042】
バンパーフェイシャ1が所定以上に変形する衝突の後期になると、さらなるバンパー部1cの侵入により、爪部17には車両後方へ向かう力が作用し、
図4(b)のように係止口20cの開口縁部を乗り越える。つまり、係止部13の係止が解除される。
【0043】
すると、アンダーカバー3からロアクロスメンバ5から切り離され、アンダーカバー3がバンパー部1cの侵入により変形する。
【0044】
このときアンダーカバー3の前端部は、段差部15から離れている。さらにアンダーカバー3は、車両後方へ向かうにしたがい下方へ傾斜するとともに、その途中部に剛性の高いリブ25が設けられているため、
図4(b)に示されるようにアンダーカバー3の前側からリブ25までの剛性の低い部分が、周囲への影響が少ない特定の位置、ここでは上方へ向かって湾曲変形する。
【0045】
つまり、衝突の後期では、バンパーフェイシャ1よりも剛性の低いアンダーカバー3が上方に変形して、衝撃エネルギーを吸収する。これにより、車両後方に歩行者αの脚部の大きな振り込み(歩行者αの脚部がバンパー部1cで止まり、脚部の先端がバンパー部1cの下方を車両後方に入り込む状態)を生じさせることなく柔らく受け止めることができる。
【0046】
したがって、本実施形態のようにロアクロスメンバ5(車両構造物)とアンダーカバー3の前端部とを係止させたことにより、歩行者αとの衝突の前期は、剛性の高いバンパーフェイシャ1だけ変形され衝撃エネルギーを吸収でき、バンパーフェイシャ1が所定以上に変形する衝突後期では、アンダーカバー3が上方に変形して衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0047】
それ故、剛性の異なるバンパーフェイシャ1とアンダーカバー3との特性を活用して、
衝突時にバンパーフェイシャ1とアンダーカバー3の両方を順次変形させて、歩行者αの車体への侵入量を抑えつつ、衝撃エネルギーを吸収することができる。したがって、衝突時に加わる衝撃力に応じた有効な衝撃エネルギーの吸収を行うことができ、歩行者αの脚部の振り込みを防ぐことができる。
【0048】
また、アンダーカバー3の爪部17が引掛けられる支持ブラケット11の係止口20cが、ロアクロスメンバ5の車両前側に形成されているので、車両前突時に例えバンパーフェイシャ1の後端部とアンダーカバー3とが離間したとしても、バンパーフェイシャ1がロアクロスメンバ5に到達する前にアンダーカバー3を押して変形させ、アンダーカバー3により衝撃を吸収させることができる。
【0049】
また、アンダーカバー3の爪部17が鉤状に形成されているので、衝突の前期では係止口20cと爪部17との引っ掛かりを保持しつつ、バンパーフェイシャ1が所定以上に変形した衝突の後期では適切に解除させることが可能になる。
【0050】
また、アンダーカバー3は、車両後方側に向かうにしたがい下方へ傾斜するように構成されているので、衝突の前期にバンパーフェイシャ1が後方に押されたときに、バンパーフェイシャ1の後端部がアンダーカバー3の傾斜部を押して、アンダーカバー3を上方に押し上げることができる。これにより、衝突時においてアンダーカバー3を周囲の影響の少ない上側への変形にコントロールすることができる。
【0051】
また、アンダーカバー3には、爪部17から車両後方に所定距離をおいて車幅方向に延在し、前方側の部分よりも剛性を高くするリブ25が設けられているので、リブ25より前方側の部分で所定形状、ここでは湾曲形状に変形するようにコントロールすることができる。
【0052】
また、アンダーカバー3には、車両前後方向における爪部17とリブ25との間に、車幅方向に延びる段差部15が形成され、バンパーフェイシャ1の後端部は、段差部15の近傍且つ車両前側で保持されているので、バンパーフェイシャ1が車両後方に押された際に、バンパーフェイシャ1の後端部が段差部15を後方に押して、アンダーカバー3の前側が押し上げられる。これにより、アンダーカバー3の変形方向および車両前突時における、アンダーカバー3の特に爪部17の動きをコントロールできる。
【0053】
また、ロアクロスメンバ5に設けられバンパーフェイシャ1を支持する支持ブラケット11は、下端部が車両前側に下方に延びて係止口20cが形成されているので、当該支持ブラケット11を、係止口20cを設けるための部品として活用でき、部品点数の削減化を図ることができる。
【0054】
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。
【符号の説明】
【0055】
1 バンパーフェイシャ
3 アンダーカバー
5 ロアクロスメンバ(車両構造物)
11 支持ブラケット
15 段差部
17 爪部(引掛け部)
20c 係止口(引掛け穴)
25 リブ