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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/30 20200101AFI20240502BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20240502BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20240502BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20240502BHJP
【FI】
H05B45/30
H05B45/382
H05B45/385
H05B45/345
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020111584
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010826
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩本 隆志
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-055273(JP,A)
【文献】特開2018-181767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/30
H05B 45/382
H05B 45/385
H05B 45/345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と蓄電池の放電経路とが同時にそれぞれ接続または遮断可能とする電源装置であって、
前記外部電源からの電力を変換して出力する電力変換回路と;
前記電力変換回路の出力側に接続され、前記蓄電池に充電電力を供給する充電回路と;
前記電力変換回路の出力側に接続され、光源に点灯電力を供給する点灯回路と;
前記電源装置を制御する制御回路と;
前記充電回路側の電力と前記点灯回路側の電力とが入力され、前記制御回路に制御電力を供給する制御電源回路と;
前記外部電源と前記蓄電池の放電経路とが同時にそれぞれ遮断されたことを検知する遮断検知部と;
を備え
前記制御回路は、不揮発性メモリを有し、前記遮断検知部が遮断を検知した際に、遮断検知時の情報を前記不揮発性メモリに記憶する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御電源回路は、前記充電回路側の電力と前記点灯回路側の電力とのうちの電圧が高い方の電力により前記制御回路に制御電力を供給する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御電源回路は、前記充電回路側の電力と前記点灯回路側の電力とのいずれからも前記制御電力を生成するレギュレータを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の電源装置
【請求項4】
外部電源と蓄電池の放電経路とが同時にそれぞれ接続または遮断可能とする電源装置であって、
前記外部電源からの電力を変換して出力する電力変換回路と;
前記電力変換回路の出力側に接続され、前記蓄電池に充電電力を供給する充電回路と;
前記電力変換回路の出力側に接続され、光源に点灯電力を供給する点灯回路と;
前記電源装置を制御する制御回路と;
前記充電回路側の電力と前記点灯回路側の電力とが入力され、前記制御回路に制御電力を供給する制御電源回路と;
前記外部電源からの電力の入力および停電を検出する停電検出部と;
を備え、
前記制御電源回路は、前記充電回路側の電力の入力経路と前記点灯回路側の電力の入力経路とのいずれか一方を遮断する遮断部を有し、
前記制御回路は、前記停電検出部が前記外部電源からの電力の入力を検知している際、前記充電回路側の電力と前記点灯回路側の電力とのうちの電圧が高い方の前記入力経路を前記遮断部にて遮断し、かつ、前記停電検出部が前記外部電源の停電を検知すると、前記遮断部による前記入力経路の遮断を解除して導通状態とする
ことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば誘導灯や非常灯等の照明装置では、電源装置に接続された蓄電池を備え、電源装置は停電時に蓄電池の電力により光源を点灯させるように構成されている。このような照明装置では、工場出荷時に蓄電池を電源装置に接続した状態としていると、蓄電池の放電経路が形成されるために、蓄電池の寿命に影響を与えてしまう。そのため、蓄電池の接続を外した状態で出荷し、施工時において、施工作業者が蓄電池を電源装置に接続することがある。
【0003】
しかし、施工時に、蓄電池の接続忘れが発生する虞がある。そのため、蓄電池の接続忘れを防止できる構成とすることが望まれ、さらにその構成とすることによる不都合にも対応できることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-103124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、蓄電池の接続忘れを防止でき、さらにその蓄電池の接続忘れを防止する構成とすることによる不都合にも対応できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源装置は、外部電源と蓄電池の放電経路とが同時にそれぞれ接続または遮断可能とする電源装置である。電力変換回路は、外部電源からの電力を変換して出力する。充電回路は、電力変換回路の出力側に接続され、蓄電池に充電電力を供給する。点灯回路は、電力変換回路の出力側に接続され、光源に点灯電力を供給する。制御回路は、電源装置を制御する。制御電源回路は、充電回路側の電力と点灯回路側の電力とが入力され、制御回路に制御電力を供給する。遮断検知部は、外部電源と蓄電池の放電経路とが同時にそれぞれ遮断されたことを検知する。そして、制御回路は、不揮発性メモリを有し、遮断検知部が遮断を検知した際に、遮断検知時の情報を不揮発性メモリに記憶する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の電源装置によれば、蓄電池の接続忘れを防止でき、さらにその蓄電池の接続忘れを防止する構成とすることによる不都合にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態を示す電源装置を備えた照明装置の回路図である。
図2】同上電源装置の接続構成を示す回路図である。
図3】第2の実施形態を示す電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、図1および図2を参照して説明する。
【0010】
図1に照明装置10の回路図を示す。照明装置10は、例えば誘導灯であり、光源11、蓄電池12、および電源装置13を備えている。そして、照明装置10は、例えば商用交流電源である外部電源Eからの電力が入力される通常時には、外部電源Eからの電力により光源11を点灯させて誘導灯が有する誘導表示板を照明し、また、外部電源Eの停電時には、蓄電池12に蓄えられた電力により光源11を点灯させて誘導表示板を照明するように構成されている。
【0011】
光源11は、例えば発光ダイオード(LED)が用いられ、任意の数の発光ダイオードが直列または直並列に接続されて構成されている。光源11は、電源装置13に電気的に接続され、電源装置13からの電力の供給により点灯する。光源11が点灯する順方向電圧Vfは、照明装置10の仕様に応じて異なり、例えば6V、12V、24V等の場合がある。なお、光源11は、発光ダイオード以外に、例えば有機EL等の他の半導体発光素子を用いてもよい。
【0012】
蓄電池12は、充放電可能な二次電池が用いられている。充放電可能な二次電池としては、例えばニッケル水素蓄電池等がある。蓄電池12は、電源装置13に交換可能に接続されている。例えば、蓄電池12が有するコネクタや接点、あるいは蓄電池12から導出されたハーネスのコネクタにより、電源装置13に交換可能に接続されている。
【0013】
そして、電源装置13は、外部電源Eからの電力の入力時には、光源11の点灯と蓄電池12の充電とを行い、また、外部電源Eの停電時には、蓄電池12の電力により光源11の点灯を行う。
【0014】
照明装置10の工場出荷時において、蓄電池12が電源装置13に電気的に接続された状態で出荷されると、蓄電池12と電源装置13との間で放電経路が形成され、放電による蓄電池12の短寿命につながる。そのため、蓄電池12を電源装置13に電気的に接続せずに出荷し、施工時に蓄電池12を電源装置13に電気的に接続する場合がある。一方で、この出荷形態においては、施工時に蓄電池12を電源装置13に接続することが必要となるが、その接続を忘れ、照明装置10が正常動作できなくなる可能性がある。
【0015】
そこで、工場出荷時には、蓄電池12が電源装置13に電気的に接続された状態とするが、電源装置13内での蓄電池12の放電経路は遮断された状態とし、また、施工時において、外部電源Eが電源装置13に接続される際に、電源装置13内での蓄電池12の放電経路が同時にそれぞれ接続される構成とすることにより、蓄電池12の接続忘れを防止することが可能となる。
【0016】
このような構成の例を図2に示す。電源装置13は、外部電源Eが接続されるコネクタCN1、蓄電池12が接続されるコネクタCN2、光源11が接続されるコネクタCN3を備える。
【0017】
コネクタCN1には、コネクタ16が着脱可能に接続される。このコネクタ16は、電源装置13に外部電源Eからの電力を入力するためのハーネス17と、電源装置13内での蓄電池12の放電経路18を導通接続するための放電経路接続部19とを一体に備えている。
【0018】
コネクタCN1は、白および黒の電圧線と赤のアース線の3線のハーネス17が接続される1~3番の端子部と、放電経路接続部19が接続される4~5番の端子部とを有している。4~5番の端子部は、蓄電池12が接続されるコネクタCN2の6~7番の端子部と接続された放電経路18の一部に接続されている。ここでは、4番の端子部が6番の+極側の端子部と放電経路18の一部にて接続されている。なお、ハーネス17は、照明装置10が備える端子台に接続され、外部電源Eからの電源線が端子台に接続されることにより、電源線と電気的に接続される。
【0019】
なお、このような放電経路接続部19を有するコネクタ16の構成に限らず、例えばスイッチ等を用いて、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とを同時にそれぞれ接続または遮断可能としてもよい。
【0020】
そして、照明装置10の工場出荷時において、蓄電池12は電源装置13のコネクタCN2に電気的に接続された状態とするが、ハーネス17のコネクタ16は電源装置13のコネクタCN1に接続していない状態とすることにより、4~5番の端子部間が開放され、つまり放電経路18の一部が遮断されている。また、施工時において、外部電源Eを電源装置13に電気的に接続するためには、ハーネス17のコネクタ16を電源装置13のコネクタCN1に必ず接続することになるため、外部電源Eが電源装置13に電気的に接続されるとともに電源装置13内での蓄電池12の放電経路18が導通接続される。
【0021】
このように、蓄電池12と電源装置13との接続を施工時に確立する構成においては、蓄電池12と電源装置13とを接続した状態で出荷しても放電経路18の一部が遮断されているため、蓄電池12が短寿命に至るのを防止でき、しかも、施工時に、蓄電池12と電源装置13を接続し忘れることも防止できる。
【0022】
一方で、電源装置13に対して、外部電源Eおよび蓄電池12の両電源の入力が同時にそれぞれ遮断してしまう状態が発生する。例えば、光源11の交換時や点検時等の際、電源装置13への外部電源Eからの電力の入力を遮断するために、コネクタ16を電源装置13のコネクタCN1から外す場合がある。
【0023】
この場合、一般的な誘導灯では、蓄電池12と電源装置13との接続が施工時に確立されていれば、蓄電池12を外さない限りは外部電源Eからの電力の入力を遮断しても電源装置13への電源供給は確保される。
【0024】
これに対して、コネクタ16を電源装置13のコネクタCN1から外して電源装置13への外部電源Eからの電力の入力を遮断すると、同時に電源装置13内での蓄電池12の放電経路18も遮断される。したがって、電源装置13は、外部電源Eおよび蓄電池12の両電源の入力が同時にそれぞれ遮断されることとなる。このように電源装置13への外部電源Eおよび蓄電池12の両電源の入力が同時にそれぞれ遮断されると、例えば、外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された情報、蓄電池12の充電情報、光源11および蓄電池12の点検情報等が保持できずに消えてしまい、初期化した状態になる不都合が生じることがある。
【0025】
そこで、本実施形態の電源装置13は、蓄電池12の接続忘れを防止できる構成としたうえで、さらにその構成とすることによる上述した不都合にも対応できるように構成されている。
【0026】
図1に示すように、電源装置13は、外部電源Eが雑音防止回路22を介して接続される整流回路23を備えている。整流回路23の一対の入力端が雑音防止回路22に接続され、整流回路23の一対の出力端にコンデンサC1が接続されている。整流回路23およびコンデンサC1により、直流電源回路を構成し、外部電源Eから入力する電力の交流電圧を整流、平滑して直流電圧に変換する。
【0027】
整流回路23の出力側でコンデンサC1の両端には、外部電源Eからの電力を変換して出力する絶縁形の電力変換回路24が接続されている。電力変換回路24は、整流回路23およびコンデンサC1により整流、平滑された直流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する絶縁形のDC-DCコンバータであって、フライバックコンバータで構成されている。
【0028】
電力変換回路24は、トランスTr1、スイッチング素子Q1、点灯用整流平滑回路25および充電用整流平滑回路26を備えている。
【0029】
トランスTr1は、一次側の巻線L1と、2つの二次側の巻線L2,L3とを備えている。整流回路23の出力側でコンデンサC1の両端に、一次側の巻線L1とスイッチング素子Q1とが直列に接続されている。
【0030】
スイッチング素子Q1は、例えば制御用IC等で構成されている。スイッチング素子Q1のオンオフ動作により、トランスTr1の一次側の巻線L1に流れる直流電圧が高周波電圧に変換され、この高周波電圧が二次側の巻線L2,L3からそれぞれ巻線比に応じた所定の電圧値に降圧されて出力される。
【0031】
一方の二次側の巻線L2の両端には、ダイオードD1およびコンデンサC2で構成される点灯用整流平滑回路25が接続されている。点灯用整流平滑回路25は、一方の二次側の巻線L2から出力される高周波電圧を通常点灯用の所定の直流電圧に変換する。点灯用整流平滑回路25から出力される直流電圧は、照明装置10の仕様に応じて異なり、例えば6V、12V、24V等の場合がある。
【0032】
他方の二次側の巻線L3の両端には、ダイオードD2およびコンデンサC3で構成される充電用整流平滑回路26が接続されている。充電用整流平滑回路26は、他方の二次側の巻線L3から出力される高周波電圧を充電用の所定の直流電圧に変換する。充電用整流平滑回路26から出力される直流電圧は、例えば10Vである。
【0033】
点灯用整流平滑回路25には、通常用の点灯回路27が接続されている。点灯回路27は、点灯用整流平滑回路25からの直流電圧を所定の電流値に定電流制御した点灯電力を光源11に供給し、光源11を所定の明るさで点灯する。点灯回路27の出力側には、光源11に出力する直流電圧を一定にするために、光源11と並列にコンデンサC4が接続されている。点灯回路27から光源11に出力される直流電圧は、光源11の順方向電圧Vfに対応しているが、照明装置10の仕様に応じて異なり、例えば6V、12V、24V等の場合がある。
【0034】
充電用整流平滑回路26には充電回路28が接続されている。充電回路28は、充電用整流平滑回路26からの直流電圧を所定の電流値に定電流制御した充電電力を蓄電池12に供給し、蓄電池12を充電する。充電回路28の出力側には、蓄電池12に出力する充電電圧を一定にするために、蓄電池12と並列にコンデンサC5が接続されている。
【0035】
蓄電池12には、放電経路18を通じて非常用点灯回路29に接続されている。非常用点灯回路29は、外部電源Eの停電時に、蓄電池12から放電される直流電圧を定電流制御した非常用点灯電力を光源11に供給し、光源11を所定の明るさで点灯する。
【0036】
なお、放電経路18の一部は、充電回路28から蓄電池12への充電経路と一部と共用され、この共用経路がコネクタCN1に対するコネクタ16の着脱に応じて放電経路接続部19により接続、遮断される。
【0037】
また、電源装置13は、この電線装置13の全体を制御する制御回路31を備えている。制御回路31は、少なくとも、スイッチング素子Q1、点灯回路27、充電回路28および非常用点灯回路29を制御する。
【0038】
制御回路31は、制御電源回路32から制御電力の供給を受けて動作する。制御電源回路32は、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力との両方が入力され、所定の制御電力に変換して制御回路31に供給する。制御電源回路32は、点灯回路27側の電力の入力経路33、充電回路28側の電力の入力経路34、入力経路33により点灯回路27の高電位の出力側にアノードが接続されるダイオードD3、入力経路34により充電回路28の高電位の入力側にアノードが接続されるダイオードD4、ダイオードD3,D4のカソードが接続されるレギュレータ35を備えている。レギュレータ35は、ダイオードD3,D4のカソードが同じIN端子に接続される3端子レギュレータ等が用いられ、ダイオードD3から入力される電力の電圧とダイオードD4から入力される電力の電圧のうちの電圧が高い方の電力により、所定の制御電圧の制御電力に変換して制御回路31に供給する。レギュレータ35は、例えば、点灯回路27側の電圧は6V、12V、24V等であり、充電回路28側の電圧は10Vであり、制御電力の電圧が5Vである場合、点灯回路27側または充電回路28側から入力される電力の電圧を制御電力の電圧に降圧する。
【0039】
制御回路31には、停電検出部36からの検出信号と、蓄電池装着検出部37からの検出信号とが入力される。
【0040】
停電検出部36は、トランスTr1の一次側で、整流回路23の高電位側の出力端とコンデンサC1との接続点に接続され、外部電源Eからの電力の入力時に検出信号を出力し、外部電源Eの停電時またはハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外されたときに検出信号の出力を停止する。停電検出部36の検出信号は、停電検出部36側と制御回路31側と絶縁するためのフォトカプラ38を通じて制御回路31に送られる。制御回路31は、停電検出部36からの検出信号の入力時に外部電源Eからの電力の入力を判断し、停電検出部36からの検出信号の停止時に外部電源Eの停電を判断する。
【0041】
蓄電池装着検出部37は、充電回路28の高電位側の出力端と蓄電池12の+極側との接続点に接続され、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続されて放電経路18が接続された状態で検出信号を出力し、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外されて放電経路18が遮断された状態で検出信号の出力を停止する。蓄電池装着検出部37の検出信号は、制御回路31に送られる。制御回路31は、蓄電池装着検出部37からの検出信号の入力時に蓄電池12の装着、つまり放電経路18の接続を判断し、蓄電池装着検出部37からの検出信号の停止時に蓄電池12の未装着、つまり放電経路18の遮断を判断する。
【0042】
また、制御回路31は、電力を常に供給しなくても記憶を保持する不揮発性メモリ39を含む記憶部を備えている。
【0043】
さらに、制御回路31は、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断されたことを検知する遮断検知部40、およびこの遮断検知部40が遮断を検知した際に遮断検知時の情報を不揮発性メモリ39に記憶させる制御部41の機能を有している。
【0044】
遮断検知部40は、停電検出部36による停電検出(制御回路31への検出信号の停止)と、蓄電池装着検出部37による未装着検出(制御回路31への検出信号の停止)との両方が検出された際に、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断されたこと、つまりハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外されたことを検知する。なお、外部電源Eの停電時には停電検出部36による停電検出(制御回路31への検出信号の停止)のみの検出であり、蓄電池12の交換のために蓄電池12が電源装置13のコネクタCN2から外された際には蓄電池装着検出部37による未装着検出(制御回路31への検出信号の停止)のみの検出であるため、遮断検知部40は、上述したいずれか一方の検出のみでは、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断されたとは検知せず、つまりハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外されたとは検知せず、したがって、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続されていることを検知する。
【0045】
制御回路31は、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断され、制御電源回路32からの制御電力の供給が断たれると、動作を停止する。ただし、このような同時遮断の直後には、点灯回路27側のコンデンサC4や充電回路28側のコンデンサC3,C5等の容量成分(蓄電手段)に蓄えられた電荷が放出され、これら電荷が制御電源回路32に入力されて制御電源回路32からの制御電力が制御回路31に入力し続けるため、制御回路31は、同時遮断後も所定時間だけ供給される制御電力により動作を継続可能とする。
【0046】
なお、蓄電池12と外部電源Eの電力の供給が遮断した場合、点灯回路27側のコンデンサC4や充電回路28側のコンデンサC3,C5だけに限定されず、電力変換回路24の後段側に設置されたコンデンサ等の容量成分に蓄えられた電力を制御電源回路32に供給する構成でもよい。
【0047】
そして、制御回路31は、遮断検知部40が同時遮断を検知した際には、同時遮断後も所定時間だけ制御電源回路32から供給される制御電力により、同時遮断時の情報を不揮発性メモリ39に記憶するように制御する。同時遮断時の情報には、外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された情報、蓄電池12の充電情報、光源11および蓄電池12の点検情報等が含まれる。
【0048】
次に、電源装置13の動作を説明する。
【0049】
照明装置10の工場出荷時には、蓄電池12は電源装置13のコネクタCN2に接続されているが、ハーネス17のコネクタ16は電源装置13のコネクタCN1から外され、電源装置13内での蓄電池12の放電経路18は遮断された状態にある。そのため、蓄電池12が電源装置13に接続されていても、蓄電池12からの放電が抑制され、蓄電池12が短寿命に至るのを防止できる。
【0050】
照明装置10の施工時において、外部電源Eからの電源線が端子台に接続され、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続される。
【0051】
外部電源Eからの電源線が端子台に接続され、かつハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続された状態で、外部電源Eからの電力が電源装置13に入力されることにより、光源11が点灯され、外部電源Eとの接続が正常に行われたことを確認できる。
【0052】
ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続されることにより、外部電源Eからの電力が電源装置13に入力可能となるのと同時に、放電経路接続部19により電源装置13内での蓄電池12の放電経路18が導通接続されるため、蓄電池12の接続忘れが確実に防止される。
【0053】
そして、外部電源Eからの電力が電源装置13に入力されている通常時について説明する。
【0054】
外部電源Eから入力する電力の交流電圧が整流回路23およびコンデンサC1により整流、平滑されて直流電圧に変換され、電力変換回路24に供給される。
【0055】
電力変換回路24では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作によりトランスTr1の一次側の巻線L1に流れる直流電圧が高周波電圧に変換され、この高周波電圧が二次側の巻線L2,L3からそれぞれ巻線比に応じた所定の電圧値に降圧されて出力される。
【0056】
トランスTr1の一方の二次側の巻線L2から出力される高周波電圧が点灯用整流平滑回路25により通常点灯用の所定の直流電圧に変換され、点灯回路27に供給される。点灯回路27は、点灯用整流平滑回路25からの直流電圧を所定の電流値に定電流制御した点灯電力を光源11に供給し、光源11を所定の明るさで点灯する。
【0057】
トランスTr1の他方の二次側の巻線L3から出力される高周波電圧が充電用整流平滑回路26により充電用の所定の直流電圧に変換され、充電回路28に供給される。充電回路28は、充電用整流平滑回路26からの直流電圧を所定の電流値に定電流制御した充電電力を蓄電池12に供給し、蓄電池12を充電する。
【0058】
制御電源回路32は、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力とが入力され、所定の制御電力に変換して制御回路31に供給する。このとき、点灯回路27側から入力される電力の電圧と充電回路28側から入力される電力のうちの電圧が高い方の電力により、所定の制御電圧の制御電力に変換して制御回路31に供給する。
【0059】
例えば、充電回路28側の電圧は10Vであるが、照明装置10の仕様により、点灯回路27側の電圧は6Vであれば、制御電源回路32は充電回路28側の電力により所定の制御電圧の制御電力を変換して制御回路31に供給し、また、点灯回路27側の電圧が12V、24Vであれば、制御電源回路32は点灯回路27側の電力により所定の制御電圧の制御電力に変換して制御回路31に供給する。さらに、制御回路31の制御電力の電圧が5Vである場合、レギュレータ35は点灯回路27側または充電回路28側から入力される電力の電圧を5Vに降圧して制御回路31に供給する。
【0060】
通常時には、停電検出部36の検出信号および蓄電池装着検出部37の検出信号が制御回路31に入力される。制御回路31は、停電検出部36からの検出信号の入力により外部電源Eからの電力の入力を判断し、また、蓄電池装着検出部37からの検出信号の入力により蓄電池12の装着、つまり放電経路18の接続を判断し、電源装置13を通常制御する。
【0061】
また、外部電源Eの停電時について説明する。
【0062】
外部電源Eの停電時には点灯回路27および充電回路28が停止するが、蓄電池12から放電される直流電圧を非常用点灯回路29により定電流制御した非常用点灯電力を光源11に供給し、光源11を所定の明るさで点灯する。
【0063】
制御電源回路32には、点灯回路27側の電力の入力が停止されるが、充電回路28側からは蓄電池12から放電される電力の一部が入力され、すなわち、蓄電池12から放電される電力の一部がダイオードD4を通じてレギュレータ35に入力され、レギュレータ35により所定の制御電圧の制御電力に変換して制御回路31に供給され、制御回路31が動作する。
【0064】
制御回路31は、停電検出部36による停電検出(制御回路31への検出信号の停止)を入力するが、蓄電池装着検出部37による蓄電池12の装着検出を継続するため、外部電源Eの停電を判断し、非常用点灯回路29を制御するとともに、外部電源Eの停電情報を不揮発性メモリ39等の記憶部に記憶する。
【0065】
また、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断された場合について説明する。
【0066】
光源11等の交換時や点検時に、電源装置13への外部電源Eからの電力の入力を遮断するために、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外される場合がある。
【0067】
この場合、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断され、制御電源回路32から制御回路31への制御電力の供給が断たれると、制御回路31が動作を停止することになる。ただし、このような同時遮断の直後には、点灯回路27側のコンデンサC4や充電回路28側のコンデンサC3,C5等の容量成分に蓄えられた電荷が放出され、これら電荷が制御電源回路32に入力され、制御電源回路32からの制御電力が制御回路31に入力し続けるため、制御回路31は、同時遮断後も所定時間だけ供給される制御電力により動作を継続可能とする。
【0068】
このとき、制御電源回路32には点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力とが入力されるため、外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された後でも、制御回路31の動作時間を少しでも長く確保することができる。しかも、制御電源回路32は、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力のうちの電圧が高い方の電力により、所定の制御電圧の制御電力に変換して制御回路31に供給するため、制御回路31の動作時間を少しでも長く確保することができる。
【0069】
制御回路31の遮断検知部40は、停電検出部36による停電検出(制御回路31への検出信号の停止)と、蓄電池装着検出部37による未装着検出(制御回路31への検出信号の停止)との両方が検出された際に、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断されたこと、つまりハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1から外されたことを検知する。
【0070】
制御回路31は、遮断検知部40が同時遮断を検知した際には、同時遮断後も所定時間だけ制御電源回路32から供給される制御電力により、同時遮断時の情報を不揮発性メモリ39に記憶するように制御する。同時遮断時の情報には、外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された情報、蓄電池12の充電情報、光源11および蓄電池12の点検情報等が含まれる。
【0071】
そして、光源11等の交換や点検の終了後、ハーネス17のコネクタ16が電源装置13のコネクタCN1に接続されると、外部電源Eからの電力が電源装置13に入力され、上述した通常時に復帰する。このとき、制御回路31は、不揮発性メモリ39に記憶された情報を読み出し、同時遮断前の情報、つまり外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された情報、蓄電池12の充電情報、光源11および蓄電池12の点検情報等を継続して保持し、制御できる。
【0072】
このように電源装置13によれば、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とを同時にそれぞれ接続または遮断可能とする構成とすることにより、蓄電池12の接続忘れを防止できる構成とすることができる。
【0073】
さらに、制御電源回路32は、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力とが入力され、制御回路31に制御電力を供給するため、外部電源Eおよび蓄電池12が同時にそれぞれ遮断された後でも、点灯回路27側と充電回路28側の容量成分から放電される電荷を利用し、制御回路31の動作時間を確保することが可能となる。
【0074】
このとき、制御電源回路32は、レギュレータ35を用い、点灯回路27側から入力される電力の電圧と充電回路28側から入力される電力の電圧のうちの電圧が高い方の電力により制御回路31に制御電力を供給するため、制御回路31の動作時間を少しでも長く確保することができる。
【0075】
そして、遮断検知部40により外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断されたことを検知した際、制御回路31は、同時遮断時の情報を不揮発性メモリ39に記憶させることができる。これにより、同時遮断が解消され、外部電源Eからの電力が入力されると、不揮発性メモリ39に記憶された同時遮断前の情報を読み出し、この同時遮断前の情報に基づいて継続して制御することができる。
【0076】
したがって、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とを同時にそれぞれ接続または遮断可能とした蓄電池12の接続忘れを防止する構成とすることによる不都合にも対応できる。
【0077】
次に、図3に第2の実施形態を示す。
【0078】
第1の実施形態の構成に加えて、制御電源回路32は、点灯回路27側の電力の入力経路33と充電回路28側の電力の入力経路34とのいずれか一方を遮断する遮断部44を備えている。
【0079】
制御回路31は、停電検出部36により外部電源Eからの電力の入力を検出している際、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力とのうちの電圧が高い方の入力経路33,34を遮断部44にて遮断し、かつ、停電検出部36により外部電源Eの停電を検出すると、遮断部44による入力経路33,34の遮断を解除して導通状態とするように制御する。
【0080】
本実施形態では、照明装置10の仕様により、入力経路33の点灯回路27側からの電力の電圧(Vf)が12Vまたは24V、入力経路34の充電回路28側からの電力の電圧(VBT)の10Vよりも高い場合(Vf>VBT)に、遮断部44は点灯回路27側の電力の入力経路33に設けられる。
【0081】
遮断部44は、入力経路33を接続、遮断可能とするスイッチング素子により構成され、制御回路31により制御される。
【0082】
そして、停電検出部36が外部電源Eからの電力の入力を検出している通常時において、仮に入力経路33に遮断部44が設けられていなかった場合には、点灯回路27側からの電力の電圧(Vf)と、充電回路28側からの電力の電圧(VBT)との高い方の電圧、つまり点灯回路27側からの電力がレギュレータ35に入力される。レギュレータ35では、点灯回路27側または充電回路28側から入力される電力の電圧を制御回路31に供給する制御電力を所定の制御電圧に降圧するが、電圧が高い方である点灯回路27側からの電力の電圧を所定の制御電圧に降圧するため、レギュレータ35の内部での電力の損失が増加する。
【0083】
そこで、本実施形態では、停電検出部36が外部電源Eからの電力が入力している通常時において、制御回路31は、電圧の高い方である点灯回路27側の電力の入力経路33を遮断部44にて遮断し、電圧の低い方である充電回路28側の電力のみをレギュレータ35に入力する。これにより、制御電源回路32は、制御回路31の制御電力の供給動作を維持しつつ、レギュレータ35の内部での電力の損失を低減することができる。
【0084】
また、制御回路31は、停電検出部36により外部電源Eの停電を検出すると、遮断部44による入力経路33の遮断を解除して導通状態とするように制御する。これにより、上述したように、外部電源Eと蓄電池12の放電経路18とが同時にそれぞれ遮断された場合にも対応できる。
【0085】
なお、照明装置10の仕様により、入力経路33の点灯回路27側からの電力の電圧(Vf)が6V、入力経路34の充電回路28側からの電力の電圧(VBT)の10Vよりも低いとした場合(Vf<VBT)には、遮断部44は充電回路28側の電力の入力経路34に設けられ、制御回路31により同様にして制御される。
【0086】
また、照明装置10の仕様に関係なく、入力経路33,34の両方に遮断部44をそれぞれ設けるとともに、点灯回路27側の電力の電圧と充電回路28側の電力の電圧を検出する電圧検出部をそれぞれ設け、点灯回路27側の電力と充電回路28側の電力とのうちの電圧が高い方の入力経路33,34を遮断部44にて遮断するようにしてもよい。
【0087】
なお、照明装置は、誘導灯に限らず、通常時は外部電源により照明用の光源を点灯し、停電時に蓄電池により光源を点灯する非常用照明器具等にも適用できる。
【0088】
また、電源装置13の電力変換回路24の前段側を含む任意の箇所にコンデンサ等の蓄電手段を設け、同時遮断の場合に電力を確保してもよい。なお、レギュレータを介す場合、電力の損失を抑制するために降圧回路を介して電力を確保することが好ましい。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
11 光源
12 蓄電池
13 電源装置
18 放電経路
24 電力変換回路
27 点灯回路
28 充電回路
31 制御回路
32 制御電源回路
33,34 入力経路
35 レギュレータ
36 停電検出部
39 不揮発性メモリ
40 遮断検知部
44 遮断部
E 外部電源
図1
図2
図3