(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ボード照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20240502BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240502BHJP
F21V 7/05 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F21S8/04 410
F21S8/04 100
F21V23/00 160
F21V7/05
(21)【出願番号】P 2020164916
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000147589
【氏名又は名称】株式会社青井黒板製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】513288676
【氏名又は名称】有限会社ケープラス
(73)【特許権者】
【識別番号】510140320
【氏名又は名称】株式会社アール工房
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 政則
(72)【発明者】
【氏名】高野 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】神川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 達
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087905(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0049681(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 23/00
F21V 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードに取り付けられ、長手方向に細長い形状であり、長手方向に連結可能なボード照明装置であって、
長手方向に細長い形状の基部と、
長手方向において前記基部の長さと等しいカバー部とを備え、
各照明装置及び他照明装置が連結した状態において、
各照明装置の前記基部の長手方向の端部と、他照明装置の前記基部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、
各照明装置の前記カバー部の長手方向の端部と、他照明装置の前記カバー部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、
前記基部は、
下側に開口し、照明部を収容し、手前側の壁部である前壁部を有する照明収容部と、
底部を有し、上側に開口し、前記照明収容部よりも奥側に配置され、配電部を収容する配電収容部とを備え、
長手方向において、前記カバー部の前記基部に対する位置を調整可能に、前記カバー部を前記基部に固定するカバー固定部を備え、
前記カバー部は、
前記照明収容部の前側壁の手前側を覆う前カバー部
と、
前記前カバー部よりも奥側に配置され、前記配電収容部を覆う配電カバー部と、
前記前カバー部から下側に延びるように配置される反射面とを備え、
前記カバー部が前記基部に取り付けられていない状態では、
前記基部は、前記配電収容部の底部の下面と、前記照明収容部の前壁部の下端とが同一水平面に接地可能であり、
前記カバー部が前記基部に取り付けられた状態では、
前記カバー部の反射面は、前記照明収容部の前壁部よりも下側に配置されることにより、前記照明収容部の照明光をボード側に反射可能である
ことを特徴とするボード照明装置。
【請求項2】
ボードに取り付けられ、長手方向に細長い形状であり、長手方向に連結可能なボード照明装置であって、
長手方向に細長い形状の基部と、
長手方向において前記基部の長さと等しいカバー部とを備え、
各照明装置及び他照明装置が連結した状態において、
各照明装置の前記基部の長手方向の端部と、他照明装置の前記基部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、
照明装置の前記カバー部の長手方向の端部と、他照明装置の前記カバー部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、
前記基部は、
下側に開口し、照明部を収容し、手前側の壁部である前壁部を有する照明収容部を備え、
前記カバー部は、
前記照明収容部の前側壁の手前側を覆う前カバー部と、
前記前カバー部から下側に延びるように配置される反射部とを備え、
前記反射部の反射面は、前記カバー部が基部に取り付けられた状態では、ボード側に向き、前記照明収容部の照明光をボード側に反射可能であり、
長手方向において、前記カバー部の前記基部に対する位置を調整可能に、前記カバー部を前記基部に固定するカバー固定部を備える
ことを特徴とするボード照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードを照明するボード照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、黒板、広告看板等に設置可能な照明装置があった(例えば特許文献1)。
しかし、従来の照明装置は、組み立ての際の作業性の改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、組み立ての際の作業性を向上できるボード照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、ボードに取り付けられ、長手方向に細長い形状であり、長手方向に連結可能な照明装置であって、長手方向に細長い形状の基部と、長手方向において前記基部の長さと等しいカバー部とを備え、各照明装置及び他照明装置が連結した状態において、各照明装置の前記基部の長手方向の端部と、他照明装置の前記基部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、各照明装置の前記カバー部の長手方向の端部と、他照明装置の前記カバー部の長手方向の端部とは当接可能に配置され、前記基部は、下側に開口し、照明部を収容し、手前側の壁部である前壁部を有する照明収容部を備え、前記カバー部は、前記照明収容部の前側壁の手前側を覆う前カバー部を備え、長手方向において、前記カバー部の前記基部に対する位置を調整可能に、前記カバー部を前記基部に固定するカバー固定部を備えることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ボードの照度ムラを低減できるボード照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の照明装置1がボード5に装着された状態を下側Z1から見た斜視図である。
【
図2】実施形態の照明装置1単体を上側Z2から見た図である。
【
図4】実施形態の配電部20及び基板31の構成を模式的に説明する図である。
【
図5】実施形態の照明装置1単体を下側Z1から見た図である。
【
図6】実施形態のアクリル板36、拡散板35、基板31の各単体を下側Z1から見た図である。
【
図7】実施形態の照明装置1の一部断面を下側Z1から見た斜視図である。
【
図8】実施形態の照明装置1の右端部にストッパ38を取り付ける形態を説明する図である。
【
図10】実施形態の集光レンズ33、拡散板35の光学的な作用を説明する図ある。
【
図11】実施形態の照明装置1がボード前面を照光する形態を説明する縦断面である。
【
図12】実施形態の照明装置1の配向特性を示す図である。
【
図13】実施形態の照明装置1のボード直交面の配向曲線41と、ボード5を右側X2から見た図とを重ねて示す図である。
【
図14】実施形態の奥カバー部65を分離していない状態の右カバー50R近傍の分解斜視図である。
【
図15】実施形態の奥カバー部65を分離した状態の右カバー50R近傍の分解斜視図である。
【
図16】実施形態の右カバー50R単体を示す図である。
【
図17】実施形態の右カバー50R近傍におけるACケーブル27の配線態様を説明する図である。
【
図18】実施形態の奥カバー部65を分離せずに、照明装置1をボード5に取り付けた状態の斜視図である。
【
図19】実施形態の奥カバー部65を分離して、照明装置1をボード5に取り付けた状態の斜視図である。
【
図20】実施形態の照明ユニット1Uを示す図である。
【
図21】実施形態のカバー部19を取り外した状態の照明装置1A,1B間の連結部分を拡大して示す図である。
【
図22】カバー部19を取り付けた状態の照明装置1A,1B間の連結部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態の照明装置1がボード5に装着された状態を下側Z1から見た斜視図である。
図1(A)は、照明装置1及びボード5の全体を示す図である。
図1(B)は、右カバー50R近傍を拡大した図である。
図1(C)は、左カバー50L近傍を拡大した図である。
なお、図面及び実施形態では、
図1の状態を基準に、左右方向X(長手方向)、奥行方向Y(短手方向)、鉛直方向Zと図示及び説明し、また、左側X1、右側X2、手前側Y1、奥側Y2、下側Z1、上側Z2として図示及び説明する。左右方向X、奥行方向Y、鉛直方向Zは、互いに直交する。
【0009】
ボード5は、照明装置1が照明する対象であり、照明装置1(ボード照明装置)が照明可能な面を有するものであればその種別は限定されない。ボード5は、例えば、支柱等を有し自立したのもの、壁等に固定されたもの、天井から吊り下げられたもの等である。また、ボード5は、例えば、黒板、掲示板、広告看板等であり、黒板には、フェルトペンを用いて文字等が書かれる白板(いわゆるホワイトボード)を含む。ボード5は、照明装置1の専用のものではなくてもよい。つまり、ボード5は、汎用のものでもよく、例えば、市場で流通していたり、既に設置されたものでもよい。
図1のボード5は、壁に設置された白板の例である。
【0010】
照明装置1は、ボード5を照明する装置である。照明装置1は、単体の状態でボード5に装着することができ(
図1参照)、又は後述するように左右方向Xに複数連結してボード5に装着することができる(
図20等参照)。照明装置1がボード5に取り付けられた形態は、照明装置付きボードである。
なお、照明装置1を使用時と同じように配置した状態を、適宜、正位置ともいう。つまり、正位置は、例えば、光軸Oが鉛直方向Zの軸から角度1.5傾くように、照明装置1が配置された状態である(
図11(A)、
図11(B)等参照)。
照明装置1は、左右方向Xに細長く、奥行方向Yに短く、鉛直方向Zに小さい箱状の形状である。照明装置1の大きさは、例えば、左右1200mm程度であり、奥行50~200mm程度である。
【0011】
[照明装置1の単体の構成]
照明装置1を単体の構成を説明する。
図2は、実施形態の照明装置1単体を上側Z2から見た図である。
図2(A)は、カバー部19を固定した状態である。
図2(B)は、カバー部19を取り外した状態である。
図3は、実施形態の照明装置1の一部拡大図である。
図3(A)は、カバー部19を取り外した状態の右端近傍の拡大図である。
図3(B)は、カバー部19を取り付けた状態の断面図であり、
図3(A)のB-B断面に相当する図である。
図3(C)は、基部10を鉛直方向Zにおいて逆さに配置した状態を説明する断面図である。
【0012】
図2、
図3に示すように、照明装置1は、基部10、カバー部19、配電部20、照明部30、右カバー50R、左カバー50Lを備える。
基部10、カバー部19は、照明装置1のケース部材(筐体)である。
基部10は、アルミニウムにより形成されている。基部10は、押し出し成型によって一体的に形成されており、左右方向X(連結方向)に細長く形成されている。基部10は、押し出し成型品を切断して形成される。このため、基部10を左右方向Xから見た断面は、孔開け加工された部分(ケーブル挿通穴15a等)を除き一定の形状である。
カバー部19も、基部10と同様に形成される。基部10の左右方向Xの長さと、カバー部19の左右方向Xの長さとは、等しい。
【0013】
[基部10、カバー部19]
図2、
図3に示すように、基部10は、配電収容部12、溝部12a、照明収容部13、隔壁15、設置部16を備える。
基部10単体の状態では、配電収容部12、照明収容部13は、それぞれ開口を有する箱状に形成された部分である。配電収容部12は、上側Z2及び左右両側に開口しており、照明収容部13は、下側Z1及び左右両側に開口している。
配電収容部12、照明収容部13は、照明収容部13が奥側Y2、照明収容部13が手前側Y1になるように隔壁15によって連結される。これにより、配電収容部12、照明収容部13、隔壁15の断面形状は、ほぼZ字状に連続した形状である。
【0014】
配電収容部12は、配電部20(ケーブル21~23、分配器兼用コネクタ24、変換器25等)を収容する部分である。配電収容部12は、左右方向Xに細長い空間(ケーブル収容空間)を有する。
カバー部19が取り付けられていない状態で、配電収容部12は、上側Z2に開口している。
配電収容部12の底部12bの下面12cは、フラットであり、正位置の状態で、水平面hに平行である。
溝部12aは、照明収容部13内に設けられている。溝部12aは、左右方向Xに細長く、左右方向Xに延在している。溝部12aは、隔壁15に沿って設けられている。溝部12aは、ケーブルクランプ28を固定するために利用されたり、後述するように照明装置1を連結するために利用される。
【0015】
照明収容部13は、照明部30を収容する部分である。なお、照明収容部13の一部構成(反射壁19c等)も、照明部30の一部を構成する。照明収容部13は、左右方向Xに細長い空間を有する。
照明収容部13は、基板取付面13a、基板固定溝13b、上部突起13cを備える。
基板取付面13aは、基板31の取り付け面である。基板取付面13aは、照明収容部13の内側の面のうち、上側Z2の面である。基板取付面13aは、照明収容部13の左右方向Xに延在している。
正位置において、基板取付面13aは、手前側Y1に至る程、下側Z1に至るように傾斜している。基板取付面13a及び水平面のなす角は、例えば1.5度程度である。基板31は、この角度だけ傾斜した状態で、照明収容部13に収容される。
【0016】
基板固定溝13bは、基板31を取り付けるためのネジの下穴となる溝である。基板固定溝13bは、基板取付面13aに設けられており、ほぼ上側Z2に向けて凹んでいる。基板固定溝13bは、左右方向Xに平行に設けられている。
上部突起13cは、基板固定溝13bに対応して設けられた突起であり、左右方向Xに延在している。上部突起13cは、照明収容部13の天面から上側Z2に突出している。
【0017】
基部10単体の状態(拡散板35等が取り付けられていない状態)では、照明収容部13は、下側Z1に開口している。正位置の状態では、鉛直方向Zにおいて、照明収容部13の手前側Y1の壁部である前壁部13fの下端13gの位置と、配電収容部12の底部12bの下面12cの位置とは、等しい。
【0018】
隔壁15は、配電収容部12及び照明収容部13間を仕切る壁部である。隔壁15は、上側Z2に至る程、手前側Y1に至るように傾斜している。
隔壁15は、ケーブル挿通穴15a、カバー固定溝15dを備える。
ケーブル挿通穴15aは、ケーブル31a(後述する)を通すための貫通穴である。ケーブル挿通穴15aは、隔壁15を切削加工等によって穴開け加工することにより形成されている。ケーブル挿通穴15aは、配電収容部12及び照明収容部13の間を連通する。
カバー固定溝15dは、隔壁15の上端部分に設けられた溝である。カバー固定溝15dは、カバー部19を固定するネジの下穴である。
【0019】
設置部16は、照明装置1をボード5に設置したりする場合に利用される部分である。設置部16は、配電収容部12よりも奥側Y2の部分である。
設置部16は、ボード取り付け部16aを備える。
ボード取り付け部16aは、奥側Y2に突出するように設けられたつば状の部分である。
ボード取り付け部16aは、鉛直方向Zに貫通した複数の設置穴16bを備える。
照明装置1は、設置穴16bを利用して、ボード5の天面にネジ止め等されることにより、ボード5に固定される。これにより、照明装置1は、ボード5の上側Z2に大きなスペースを要することなく、ボード5に取り付けできる。
【0020】
図3(C)に示すように、ここで、カバー固定溝15d(カバー固定溝15dの縁部の先端15g)は、上部突起13cの上端と、配電収容部12の奥壁の上端12g(設置部16の前側先端)とを結ぶ接線よりも、低い位置に設けられている。
このため、カバー部19が取り付けられていない基部10を、鉛直方向Zにおいて逆さにして水平面に平行な地面Gに置こうとすると、照明収容部13の上部突起13cの上端と、配電収容部12の奥壁の上端12gとが、地面Gに設置する。なお、このようにカバー固定溝15dの縁部が低い位置であっても、後述するようにカバー部19の取付穴19dが、段付きの穴になっているので、カバー部19を固定することができる。
【0021】
この状態では、基板取付面13aは、ほぼ水平面と平行になる(基板取付面13a及び水平面がなす角が、例えば0.5度以内)。つまり、基部10単体を逆さにして水平面に置いた状態で、基板取付面13aが水平面に配置されるように、上部突起13cの上端の高さ等が設定されている。このように、実施形態は、カバー部19を取り付けていない基部10を平らに配置できるように、反射壁19cを基部10に設けるのではなく、わざわざカバー部19に設けているわけである。
このため、製造工場等における製造工程において、基板取り付け時の作業性向がよい。また、基板固定溝13bの丁度反対側に位置する上部突起13cが地面Gに接地する。このため、ネジ止めの際には、ガタが少なく、かつ、ドライバからの鉛直方向Zの力を確実に受けるので、セルフタッピングのネジを用いても作業が安定する。
【0022】
なお、図示は省略するが、基部10単体を、正位置の姿勢で、地面Gに置こうとすると、底部12bの下面12c及び前壁部13fの下端13gとが接地する。これらの部分は、鉛直方向Zの高さが等しいので、基部10は、正位置の状態で、つまり、傾くことなく地面Gに置くことができる。さらに、配電収容部12の底部12bの下面12cがフラットであるので、基部10を地面Gに置いた状態(水平面に配置した状態)が安定する。このため、製造工場等における製造工程において、変換器25の取り付け作業時等の作業性向がよい。また、照明装置1を出荷後に、照明装置1を教育施設等の白板等に取り付ける際に、基部10をこれらの施設の地面Gに置いた際の配線作業等の作業性がよい。
このように、照明装置1は、完成状態では、下側Z1に大きく突出した反射壁19cを有しているが、カバー部19が取り付けられていない基部10は、正位置の状態、及び鉛直方向Zにおいて逆さに配置した状態の両方において、製造時等の作業性がよい。
【0023】
図3(B)に示すように、カバー部19は、配電収容部12の開口部を開閉するための部材である。
カバー部19は、配電カバー部19a、前カバー部19b、反射壁19c、取付穴19dを有する。
配電カバー部19aは、配電収容部12を覆う部分であり、また、フラットな板状の部分である。
前カバー部19bは、配電カバー部19aの手前側Y1に連続した部分である。
【0024】
前カバー部19bは、照明収容部13の天部及び前壁部13ffを覆うように、天部及び前壁部13ffの外形よりも一回り大きな半円状の外形を有する。
反射壁19cは、前カバー部19bの下部から下側Z1に延びるように設けられている。
前カバー部19bが基部10に取り付けられた状態において、反射壁19cは、基部10の前壁部13fの下端13gから、下側Z1に延びるように配置される。
反射壁19cは、後述するように、主に、ボード上部5Uを照光するために機能する。また、反射壁19cは、観察者(例えば教育施設等の生徒)がボード5を見る際に、LED32の光点が直接観察されないための目隠しとしても機能する。
【0025】
取付穴19dは、配電カバー部19a及び前カバー部19bの境界線上かつ左右方向Xの同一線上に、複数設けられている。取付穴19dは、段付きの穴であり、カバー部19の天部よりも板厚分(例えば1.5mm程度)低い。このため、カバー固定溝15dが上部突起13c等よりも低い位置に設けられていても、配電カバー部19aは、基部10に対して、取付穴19d及びカバー固定溝15dを利用してネジ固定できる。
【0026】
[配電部20]
図4は、実施形態の配電部20及び基板31の構成を模式的に説明する図である。
図4(A)は、配電部20の各コネクタ22a,24にACケーブル27を接続していない状態である。
図4(B)は、右入線の状態である。
図4(C)は、左入線の状態である。
配電部20は、ACケーブル27から供給された電力を、各基板31に供給するための部分である。
図2(B)、
図4に示すように、配電部20は、ケーブル21,22,23、分配器兼用コネクタ24、変換器25を備える。
ケーブル21,22は、AC電力用のケーブルであり、ケーブル23は、DC電力用のケーブルである。
なお、ケーブル21,22は、GND(グランド)線を含む3線構成であるが、これを含まず2線構成でもよい。
ケーブル21は、配電収容部12内の右側X2に配置される。ケーブル21の一端は、分配器兼用コネクタ24に接続される。ケーブル21の他端は、変換器25に接続されている。ケーブル21の長さ、つまり、分配器兼用コネクタ24から変換器25までの長さは、ケーブル21を延ばした状態で、基部10内に収まる長さである。
【0027】
ケーブル22は、配電収容部12内の左側X1に配置される。ケーブル22の一端は、分配器兼用コネクタ24に接続される。ケーブル22の他端には、オスのコネクタ22aが設けられている。ケーブル22の長さ(つまり、分配器兼用コネクタ24からコネクタ22aまでの長さ)は、ケーブル22を延ばした状態で、コネクタ22a側が基部10内からはみ出る。このため、照明装置1を単体で使用する場合には、ケーブル22は、2つ折り等にして、基部10内に収容される(
図2(B)参照)。
ケーブル23は、変換器25で変換後のDC電力を、基板31に供給する。ケーブル23の一端は、変換器25に接続される。ケーブル23の他端には、接続端子が設けられている。接続端子は、基板31に接続されたケーブル31aに接続される。
【0028】
分配器兼用コネクタ24は、AC電流を分配する電気機器である。
前述したように、分配器兼用コネクタ24には、ケーブル21,22が接続されている。ケーブル21,22の端部には圧着端子等が設けられており、これら圧着端子等が分配器兼用コネクタ24に圧入されている。このため、ケーブル21,22及び分配器兼用コネクタ24を分離、分解する場合には、破壊等が必要になる。実施形態では、このような接続態様を、適宜、固定した接続等という。
分配器兼用コネクタ24は、他のケーブル20aを着脱可能に接続可能である。分配器兼用コネクタ24の回路は、分配器兼用コネクタ24に固定して接続されたケーブル21,22、着脱可能に接続された他のケーブル20aを、三つ又状に接続する。このため、これら3つのケーブル21,22,20a間は、電気的に相互に接続される。なお、分配器兼用コネクタ24に他のケーブル20aが接続されず、固定されたケーブル21,22のみが接続された状態は、ケーブル21,22間のみが、電気的に接続された状態である。
【0029】
変換器25は、供給されたAC電力を、照明部30のLED32に対応したDC電力に変換する装置である。変換されたDC電力は、ケーブル23等を介して、基板31に供給される。変換器25は、ネジ止め、粘着テープ等によって、配電部20内に固定されている。
【0030】
図4(B)、
図4(C)に示すように、照明装置1には、ACケーブル27によって電力が供給される。ACケーブル27は、照明装置1と、AC電力を供給する差し込み口とを、電気的に接続する。
ACケーブル27の一端には、差込プラグ(図示せず)が設けられている。差込プラグは、差し込み口に差し込まれる。差し込み口は、ボード5の設置施設の壁面等に設けられている。ACケーブル27の他端には、オスのコネクタ27aが設けられている。
【0031】
照明装置1は、設置施設に設置する場合に、右側X2からの電力供給(実施形態では「右入線」ともいう)、左側X1からの電力供給(実施形態では「左入線」ともいう)のいずれかを選択できる。
図4(B)に示すように右入線では、ACケーブル27、ケーブル21は、分配器兼用コネクタ24によって、接続することができる。この場合には、AC電力は、分配器兼用コネクタ24、ケーブル21を介して、変換器25に供給される。
図4(C)に示すように左入線では、ACケーブル27、ケーブル22は、コネクタ22aによって、接続することができる。この場合には、AC電力は、ケーブル22、分配器兼用コネクタ24、ケーブル21を介して、変換器25に供給される。
【0032】
[照明部30]
(照明部30の構成)
図5は、実施形態の照明装置1単体を下側Z1から見た図である。
図5(A)は、アクリル板36、拡散板35を取り付けた状態である。
図5(B)は、アクリル板36、拡散板35を取り外した状態である。
図5(C)は、基板31及び基板取付プレート34を拡大した図である。
図6は、実施形態のアクリル板36、拡散板35、基板31の各単体を下側Z1から見た図である。
図7は、実施形態の照明装置1の一部断面を下側Z1から見た斜視図である。
図8は、実施形態の照明装置1の右端部にストッパ38を取り付ける形態を説明する図である。
図9は、実施形態の照明装置1の一部拡大図である。
図9(A)は、集光レンズ33の中心を通る部分の縦断面図(
図9(C)のA-A断面図)である。
図9(B)は、集光レンズ33の中心を通らない部分の縦断面図(
図9(C)のB-B断面図)である。
図9(C)は、1つの集光レンズ33の近傍の構成を、下側Z1から見た図である。
図10は、実施形態の集光レンズ33、拡散板35の光学的な作用を説明する図ある。
図11は、実施形態の照明装置1がボード前面を照光する形態を説明する縦断面である。
【0033】
図5から
図9に示すように、照明部30は、基板31(発光部)、LED32(光源)、集光レンズ33(第1光学部)、基板取付プレート34、拡散板35(第2光学部)、アクリル板36、反射面37、ストッパ38を備える。
なお、実施形態において、各LED32が発光する光の光軸、集光レンズ33の光軸、集光レンズ33の円錐台形状の中心軸は、同軸である。また、拡散板35は、後述するように、光の光束の形状を変形等させるが、集光レンズ33から出光した光の光軸を変化させない。このため、各LED32が発した光の光軸は、屈曲等することなく、常に同一直線上に位置する。実施形態では、これらの光軸を、全て光軸Oと表記して説明する。また、アクリル板36は、拡散板35を保護する部材として機能するものであり、光学的には殆ど機能しない。このため、光学的な作用等の説明では、アクリル板36についての記載を適宜省略する。
【0034】
基板31は、LED32を実装するための電気基板である。基板31の形状は、左右方向Xに細長い板状である。4つの基板31は、左右方向Xに1列に配列されている(
図5(B)、
図6参照)。左右方向Xにおいて、1つの基板31の長さは、例えば、300mm程度である。隣合う基板31間は、ケーブルによって電気的に接続されている。
【0035】
4つの基板31には、ケーブル31a(
図2(B)、
図4参照)、ケーブル23を介して、変換器25からのDC電力が供給される。ケーブル23,31aは、接続端子31b(
図4(A)等参照)によって接続される。
【0036】
なお、照明装置1の全長は、製品の仕様等に応じて、基板31の個数を変更することにより、例えば、900mm、600mm等と容易に対応できる。この場合には、左右方向Xにおいて、押し出し成型品である基部10、カバー部19の切断箇所を、変更すればよい。
【0037】
1つの基板31には、3つのLED32(点光源)が左右方向Xに1列に配列されて実装されている。隣合うLED32の間隔L32は、等しい(
図5(B)参照)。また、基板31が配列された状態でも、各LED32の端部に実装されたLED32と、これに隣合う基板31の端部に実装されたLED32とは、同じ間隔L32である。つまり、隣合う基板31は、各基板31の端部に実装されたLED32間が間隔L32になるように、照明収容部13に固定される。
【0038】
基板31を照明収容部13内に固定した状態において、基板31の法線方向は、下側Z1に至る程、奥側Y2(ボード5側)に至るように傾斜している(
図9(A)参照)。このため、LED32が発する光の光軸Oも、同様に傾斜している。
【0039】
集光レンズ33は、LED32が発した光を集光する作用を有するレンズである。
集光レンズ33は、各LED32に対応して1つ設けられている。このため、1つの基板31当たり3つの集光レンズ33が設けられ、また、照明装置1全体では、12個の集光レンズ33を備える。
なお、照明部30は、集光レンズ33の代わりに、集光レンズ33と同様な集光の機能を有する光学部材(例えば、フード状の反射鏡を有する光学部材等)を備えていてもよい。
【0040】
集光レンズ33は、例えば、樹脂を射出成型することにより製作される。
図7、
図9(A)等に示すように、集光レンズ33の外形は、ほぼ円錐台形状である。円錐の底面(円錐台の大きい円の面)は、集光の機能に適する凸状、凹状等に形成されている。集光レンズ33は、天面(円錐台の小さい円の面)側がLED32側になるように配置されており、天面がLED32の直下に位置する。
集光レンズ33は、基板31に取り付けられる。
【0041】
基板取付プレート34は、基板31及び集光レンズ33を、基部10に取り付けるための部材である。基板取付プレート34は、例えば、金属のプレス品、樹脂の成型品等である。
基板取付プレート34は、基板31毎に設けられている。つまり、照明部30は、4つの基板取付プレート34を備える。基板31、基板取付プレート34は、集光レンズ33の天面が突出するつば部33a(
図7参照)を挟み込んだ状態で、照明収容部13の内側面の上側Z2の部分(天井部)に、ネジで共締めされる。前述したように、この際のネジ止めの作業性は、よい。
なお、集光レンズ33の取り付け方法は、限定されず、例えば、集光レンズ33に爪等を設けて基板31に引っ掛けるようにしてもよく、また、両面テープ等を用いてもよい。
【0042】
拡散板35は、集光レンズ33によって集光された光の光束を、外形が左右方向Xの大きさの方が奥行方向Yの大きさよりも大きい帯状の光束に変化させる作用を有する光学部材である。拡散板35及び集光レンズ33の間の距離は短く、例えば、1mm程度である。拡散板35の形状は、左右方向Xに細長い板状である。
拡散板35の上面は、上記光学特性を奏するように、凹凸状に加工されている。この凹凸形状の形態は、例えばレンチキュラレンズでもよい。拡散板35の下面は、光の拡散作用を奏するように、梨地状に加工されている。
【0043】
なお、拡散板35は、このような光の光束を変化させる作用、及び光の拡散作用を奏するものであれば、その構成は限定されず、例えば、これら2つの作用を奏する構造を、拡散板35の上面及び下面の一方に設けてもよい。
また、拡散板35は、照明装置1全体で1枚の構成ではなく、例えば、各基板31に1つずつ用意して、これらを長手方向に隙間なく連続して配置してもよい。
【0044】
アクリル板36は、透明な板材である。アクリル板36の形状は、左右方向Xに細長い板状である。アクリル板36の外形と、拡散板35の形状とは、同等である。アクリル板36は、拡散板35の下側Z1に重ねるように配置されている。
【0045】
図9(B)に示すように、反射面37は、反射壁19cの奥側Y2(ボード5側)の面である。反射面37は、拡散板35を通過した光の一部を、反射するための面である。反射面37は、アクリル板36よりも手前側Y1かつ下側Z1に回り込むように延長されている。
このため、反射面37は、拡散板35よりも下側Z1の範囲のうちボード5側とは反対側の部分に配置される。反射面37は、ボード5に向かい合うように配置される。反射面37の大きさは、十分に大きく、十分な面積を有する。
反射面37は、鉛直面(ZX平面)に対して、傾斜している。反射面37は、下側Z1に至る程、ボード5に近付く平面である。また、反射面37は、下側Z1に至る程、光軸Oに近付く平面である。
【0046】
図8に示すように、ストッパ38は、拡散板35、アクリル板36の両端部に配置されることにより、拡散板35、アクリル板36を左右方向Xに移動しないよう規制するための部材である。なお、
図8は、右端部の構成を図示するが、左端部も同様に、ストッパ38が配置される。
ストッパ38は、樹脂の成型品等である。
ストッパ38は、レール挿入部38a、ロック部38b、目隠し部38cを備える。
レール挿入部38aは、ストッパ38の手前側Y1、奥側Y2に設けられた突起である。レール挿入部38aが基部10のレール13dに挿入されることにより、ストッパ38は、基部10に取り付けられる。
ロック部38bは、ストッパ38の手前側Y1、奥側Y2に設けられたが腕状の部材である。ロック部38bは、弾性変形した状態で、照明収容部13の手前壁、奥壁に対して当接している。これにより、ロック部38bが基部10を押圧した状態となり、ストッパ38が基部10に保持される。
目隠し部38cは、左右内側に突出するように設けられたつば状の部分である。ストッパ38が基部10に取り付けられた状態では、目隠し部38cは、アクリル板36の下面の左右端部を覆う。このため、拡散板35、アクリル板36が左右方向Xに若干の遊びを有する状態で基部10に取り付けられても、目隠し部38cは、この遊びにともなう隙間を隠すことができる。
【0047】
(照明部30の光学的作用)
照明部30の光学的作用について、詳細に説明する。
(集光レンズ33、拡散板35の光学的作用)
図10を参照して、集光レンズ33、拡散板35の光学的作用について説明する。
図10は、集光レンズ33による光の集光作用、拡散板35による光束の変化の作用を明確に説明するために、便宜上、これら以外の光学作用(拡散板35の光拡散効果、反射面37、各種乱反射等)がない状態を示す。また、
図10の光束L35の図示は、極端なものであり、例えば、集光レンズ33からの光の光束は、ある程度の広がりを持っていてもよい。
以下説明するように、集光レンズ33、拡散板35は、主に、LED32の光をボード5の下方に照光させる作用、効果を奏する。
また、以下の説明は、照明装置1の試作品をボード5に取り付けて、確認したものである。試作品は、奥行方向Yにおいてボード前面からLED32までの距離が85mm程度、LED32の光軸O及び鉛直軸がなす角が1.5度程度、左右方向Xの長さが1200mm程度である。また、ボード前面の鉛直方向Zの長さは、1200mmである。なお、これらの大きさは一例であり、実施形態の作用、効果を奏する範囲内で適宜変更可能である。例えば、ボード前面の鉛直方向Zの長さは、1800mm程度に長くしてもよい。
【0048】
(集光レンズ33)
図10(A)、
図10(B)に示すように、LED32からの光の光束は、集光レンズ33の集光作用によって、スポットライト状に変換される。集光レンズ33の底面からの出射角(屈折角)は、例えば、0度以上、15度以下程度である。
なお、集光レンズ33に入射後、集光レンズ33の内部を通って円錐面に到達した光の大部分は、円錐面で反射することにより、円錐面から出光することなく、集光レンズ33の底面に到達する。このため、円錐面から出射した後に、照明収容部13の内部で乱反射する光の成分は、少ない。
【0049】
(拡散板35)
図10(C)、
図10(D)に示すように、拡散板35は、入射角0度で入射した光を、左右方向Xに広がるような光束L35を有するように、下面から出光させる。
なお、拡散板35のレンズ形状は、均一である。このため、光は、拡散板35のいずれの部分に入射しても、上記態様で出光する。
【0050】
図10(E)から
図10(G)に示すように、これらの作用によって、拡散板35から出光する光の光束L35は、左右方向Xに広がり、かつ、奥行方向Yに広がらない(又は奥行方向Yの広がりが左右方向Xの広がりも小さい)。このため、拡散板35から出光する光軸Oに直交する面の光束L35の形状は、左右方向Xに長い楕円状となり、また、この楕円の長軸は、下側Z1に至る程、長くなる。
また、複数のLED32、複数の集光レンズ33が左右方向Xに配列されている。拡散板35は、これらの各集光レンズ33に対応して設けられており、集光レンズ33からの光を変化させる複数の領域を備える。
【0051】
図10(G)に示すように、このため、複数のLED32の光の光束は、ボード5に平行な帯状の光束L35に変化することになる。
これにより、照明装置1は、LED32の光が奥行方向Bに過剰に広がることを抑制できるので、より多くの光をボード下部に到達させることができる。また、照明装置1は、左右方向Xにおける光の強度差を少なくできるので、ボード前面の左右方向Xにおける照度ムラを少なくできる。
【0052】
また、拡散板35は、光の拡散作用を有するので、拡散板35から出光する光は、前述した光束L35よりも、外側に広がる。
なお、光束L35が外側に広がったとしても、前述した帯状の光束L35を形成する光の成分は、多く存在するので、照明装置1は、上記作用、効果を十分に奏することができる。また、拡散板35の作用によって、ボード前面の左右方向Xにおける照度ムラは、より少なくなる。
アクリル板36の主な機能は、拡散板35の保護である。アクリル板36の光学的作用は、小さいので、その詳細な説明を省略する。
【0053】
(ボード前面を均一に照光する作用)
照明装置1は、前述した各部材の作用によって、以下のように、ボード前面(ボード上部5U、ボード中央5M、ボード下部5D)を均一な輝度で照光できる。
なお、ボード上部5U、ボード中央5M、ボード下部5Dは、説明の便宜上、ボード前面を鉛直方向Zにほぼ3分割したものであり、上部、中央、下部の概念を限定するものでない。
(1)
図11(A):ボード上部5U(ボード前面の上端から100~400mm程度の領域)の照光
・集光レンズ33の底面から出光した光
集光レンズ33の底面から出光し、さらに、拡散板35から出光する光は、奥行方向Yにおいて、光の広がり方が十分に狭いという指向性を有する。
図9(A)に示すように、このため、集光レンズ33の底面から出光して、直接、ボード上部5Uに到達する光L39aは、少ない。同様に、集光レンズ33の底面から出光して、反射面37に到達する光も少ないので、反射面37で反射後に、ボード上部5Uに到達する光L39bも少ない。
【0054】
・乱反射による光
集光レンズ33の側面から出光する光が少ないので、照明収容部13内で乱反射する光も少ない。
図9(B)に示すように、このため、照明収容部13内で乱反射後に、ボード上部5Uに到達する光L39cは、少なく、また、反射面37で反射後にボード上部5Uに到達する光L39dも、少ない。
【0055】
このように、ボード上部5Uは、全ての光が届き難いという性質を有する。
これを解決するために、反射面37は、少ない光であっても、ボード上部5Uに効率よく光を反射できるように、構成されている。すなわち、反射面37及び鉛直面(ZX平面)がなす角は、10度程度であり、大きい傾斜角で傾斜している。また、左右方向Xから見た状態で、反射面37及び光軸Oがなす角は、9.5度程度であり、反射面37は、光軸Oに対しても傾斜している。さらに、反射面37の鉛直方向Zの長さL37(一部に基部10を含む)は、15mm程度である。
これらに加えて、光は、距離の二乗に反比例して減衰するという特性を有し、また、ボード上部5Uは、LED32からの距離が近い。
図10(A)に示すように、これにより、拡散板35から出光する光のうち、反射面37に到達する光の多くがボード上部5Uに到達し、かつ、大きく減衰することなくボード上部5Uに到達する。このため、照明装置1は、ボード上部5Uを十分に明るく照明できる。
【0056】
(2)
図11(B):ボード中央5M(ボード前面の上端から400~800mm程度)、ボード下部5D(800~1200mm程度)の照光
図10、
図11(B)に示すように、集光レンズ33の下面からスポット状に変化し、その後、拡散板35の作用によって帯状に変化した光の多く成分がボード中央5M及びボード下部5Dに到達する。このため、ボード下部5Dは、十分な輝度で照光される。
【0057】
(3)ボード前面の全体の照光
上記(1)で説明したように、照明装置1は、反射面37を工夫することにより、ボード上部5Uを、十分な輝度で照光できる。また、上記(2)で説明したように、照明装置1は、帯状の光束L35の光を、十分な輝度でボード下部5Dに到達させることができる。
これによって、照明装置1は、鉛直方向Zにおけるボード前面の照度差を少なくできるので、ボード前面を均一に照光することができ、また、照度ムラを小さくできる。
試作品を鉛直方向Zの長さ1200mmのボード5(受け部6はなし)に取り付けたところ、「ボード上部5Uの照度:ボード下部5Dの照度」は、従来の照明装置では「10:1」程度であったのに対して、試作品では「2.0:1」程度であり、大幅に改善された。これにより、実施形態の照明部30の上記作用、効果を確認できた。
【0058】
また、照明装置1は、ボード5の照明に関して、以下の作用、効果を奏する。
(1)左右方向Xにおいては、LED32、集光レンズ33が、複数配列されているので、左右方向Xにおいても、ボード前面を均一に照光することができ、また、照度ムラを小さくできた。
(2)照明装置1から最終的に出光する光の光軸O(つまり、拡散板35から出光する)の向きは、ボード5に近付く方向である。このため、照明装置1は、光を有効に利用でき、省電力である。
【0059】
(3)照明収容部13の反射壁19cは、拡散板35から手前側Y1に直接的に進む光を遮る。水平面hと、アクリル板36の可視領域のうち最奥部及び反射壁19cの下端を結ぶ線とがなす角θ37(
図9(A)参照)は、例えば30度程度以上である。このため、ボード5の手前側Y1に着座した観察者は、眩しさを感じにくい。
【0060】
(4)
図11(B)に示すように、光軸Oの傾斜角度が1.5度という微小な角度であるので、光束L35の周辺部分のみの光が、ボード前面に接するような態様で、ボード下部5Dに到達する。このため、ボード下部5Dの照度ムラは、小さい。
(5)光軸Oは、ボード5の下端の高さにおいて、ボード前面よりも下側Z1を通るように角度になっているので、ボード前面と交差しない。かつ、光軸Oは、ボード5の下端の高さにおいて、ボード前面から手前側Y1に50mm以上かつ60mm以内の範囲を通る。
このため、ボード前面は、スポット状のムラが生じにくく、また、光軸Oは、傾斜角度を1.5度程度に維持できる。
【0061】
(6)ボード5は、下部に粉受け、ペン置き等の受け部6を備えたものがある(
図1(A)参照)。光軸O及び受け部6が交差してしまう形態では、受け部6が極端に明るく照らされ、受け部6が眩しく観察される場合がある。また、受け部6で反射した光がボード前面の下部に到達することにより、ボード前面の下部が明るく照らされてしまい、大きな照度ムラが生じる場合がある。
実施形態では、光軸Oは、ボード5の下端から手前側Y1に50mm以上離れた位置を通るので、受け部6に交差せず、又は受け部6の十分に手前側Y1の部分で交差する。このため、照明装置1は、受け部6が極端に明るく照らされてしまうこと、ボード前面の下部に大きな照度ムラが生じることを抑制できる。
【0062】
(配向特性)
照明装置1がボード前面の照度ムラを低減できる効果について、配向特性の観点から説明する。
図12は、実施形態の照明装置1の配向特性を示す図である。
図13は、実施形態の照明装置1のボード直交面の配向曲線41と、ボード5を右側X2から見た図とを重ねて示す図である。
図12に示す配向特性は、前述した集光レンズ33、拡散板35の光学的作用によって、得られたものである。
配向曲線41,42は、LED32の光軸Oを通りボード前面に平行な面であるボード平行面と、左右方向Xの中心を通りボード前面に直交する面(実施形態ではボード直交面ともいう)に関するものである。
【0063】
配向特性は、以下のような特徴を有する。
・ボード直交面の配向曲線41の形状は、光軸方向に十分に細長い楕円に近似できるものであった。
楕円の長軸41Lの長さと、短軸41Sの長さとの比は、15:1程度であった。つまり、配向曲線41は、前述した集光レンズ33、拡散板35の光学的作用によって、このように極端に細長い楕円状にすることができた。
【0064】
・ボード平行面の配向曲線42も光軸方向に細長い楕円に近似できる形状であった。但し、配向曲線42の最大輝度は、約5600(cd/1000lm)(点P2)であり、配向曲線41の最大輝度の約7000(cd/1000lm)(点P1)よりも小さくなった。このため、配向曲線41の最大輝度は、配向曲線42の最大輝度の1.25倍程度であった。
また、配向曲線42の光の広がり方は、配向曲線41の光の広がり方よりも大きいため、配向曲線42の形状は、配向曲線41よりも、短軸方向に太い楕円形となった。
【0065】
図13(A)の配向曲線41は、原点及びLED32の位置を合わせて、ボード前面に接する程度に、相似の関係を維持しながら変形させたものである。
配向曲線41は、ボード下端5d付近で、ボード前面に接した(接点41b参照)。
ここで、光は、距離の二乗に反比例して減衰する。
さらに、照明装置1は、奥行方向Yの大きさを小さくするために、LED32及びボード前面間の距離が短い(例えば85mm程度)。かつ、照明装置1は、前述したように、光軸Oをボード下端5dよりも手前側を通るように設定しているため、鉛直軸に対する光軸Oの傾きが小さく、1.5度程度である。そのため、光は、ボード中央5M及びボード下部5Dの範囲内では、下側Z1に至るに従って、ボード前面に対する入射角が極端に大きくなる(光L5u,L5d参照)。このため、照度は、ボード中央5M及びボード下部5Dの範囲内では、下側Z1に至るに従って、極端に小さくなる傾向を有する。
【0066】
このような装置において、照度を均一にするためには、ボード中央5M及びボード下部5Dの範囲内では、下側Z1に至るに従って、光の輝度を極端に増加させる必要がある。
実施形態の配向曲線41は、極端に細長い楕円状にすることができた。このため、配向曲線41及び短軸41Sの交点41a付近は、配向角の単位角当たりの輝度の差が、極端に大きくなる。これは、配向曲線141の交点41a付近(
図13(A)に太線で示す)は、曲率が小さく、かつ、輝度の大きさを示す軸方向(
図12参照)とほぼ平行になるためである。なお、
図13(A)では、短軸41Sは、長軸41Lの中点に直交する軸とした。
このため、鉛直方向Zにおいて、交点41aがボード中央5M及びボード下部5Dの範囲内に存在していれば、この範囲内で下側Z1に至るに従って、光の輝度を極端に増加させることができる。なお、光の減衰等を考慮すれば、交点41aは、ボード下部5Dの範囲内に存在していることが、より好適である。
【0067】
これにより、実施形態の照明装置1は、十分な照度でボード下部5Dを照らすことができ、また、ボード中央5M及びボード下端5dを均一な照度で照らすことができる。
なお、このような効果を得るためには、長軸41Lの長さと短軸41Sの長さとの比は、15:1程度であることに限定されない。この比率は、LED32及びボード前面間の距離に応じて異なるが、例えば、この距離が100mm程度以内であれば、10:1から20:1程度、より好ましくは13:1から17:1程度であれば、光軸Oの向き等を設定することにより、同様な効果を得られることが期待できる。
さらに、交点41aは、ボード前面を下側Z1に延長した平面上であってもよい。また、ボード下部5Dは、ボード前面を下側Z1に延長した、ボード下端5d近傍を含む概念である。
【0068】
(比較例)
図13(B)、
図13(C)の比較例の照明装置101A、101Bと、実施形態の照明装置1とを比較することにより、実施形態の上記作用、効果を説明する。
照明装置101Aの配向曲線141の形状は、長軸141Lの長さと短軸141Sの長さとの比が、4:1程度の楕円状である。
図13(B)に示すように、配向曲線141をボード前面に接するように配置すると、鉛直方向Zにおいて、交点141aは、ボード上部5Uの範囲に存在する。
このため、照明装置101Aの光は、ボード中央5Mからボード下部5Dに至る光の輝度の変化が、実施形態に比較すると小さくなる(光L105u,L105d参照)。これは、光が配向曲線141の曲率の変化が大きい部分を通過し、かつ、このように曲率の変化が大きい部分が、輝度の方向を示す軸方向に対して、大きい角度で交差するようにして変位するためである。
そのため、照明装置101Aは、ボード中央5Mからボード下部5Dに至るに従って、輝度を効率的に増加させることができないので、実施形態よりも照度ムラが大きくなる。
【0069】
一方、
図13(C)に示すように、このような比率を有する配向曲線141を、ボード中央5Mからボード下部5Dに至るに従って配向角の単位角当たりの輝度の差が大きくなるように配置すると、LED132及びボード前面間の距離が大きくなってしまう。このため、照明装置101Bは、外形が大きくなってしまう。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の照明装置1は、ボード5を均一に照光できる。
なお、照明部30の構成は、以下のように変形してもよい。
上記説明では、LED32の光の拡散は、拡散板35の作用である例を示したが、これに限定されない。照明装置1は、LED32の光を拡散するために、例えば、拡散シートを設けたり、アクリル板36が拡散面(梨地面等)等を備えていてもよい。
【0071】
[右カバー50R、左カバー50L]
図1(B)、
図1(C)に示すように、右カバー50R(端部カバー)、左カバー50L(端部カバー)は、それぞれ照明装置1の左右の開口をカバーする部材である。
右カバー50R、左カバー50Lは、左右対称の形状である。以下、主に、右カバー50Rについて説明する。
図14は、実施形態の奥カバー部65を分離していない状態の右カバー50R近傍の分解斜視図である。
図14(A)は、右後方から見た斜視図である。
図14(B)は、左後方から見た斜視図である。
図15は、実施形態の奥カバー部65を分離した状態の右カバー50R近傍の分解斜視図である。
図15(A)は、右後方から見た斜視図である。
図15(B)は、左後方から見た斜視図である。
図16は、実施形態の右カバー50R単体を示す図である。
図16(A)、
図16(B)は、右カバー50R単体を左側X1から見た図である。なお、
図16(A)は、奥カバー部65、分離片61c,65cを分離した状態を示す。
図16(C)は、右カバー50R単体を上側Z2から見た図である。
図16(D)は、右カバー50R単体を右側X2から見た図である。
図16(E)は、右カバー50R単体を下側Z1から見た図である。
図16(F)は、右カバー50R単体を奥側Y2から見た図である。
図16(G)は、
図16(B)のG-G断面図である。
図17は、実施形態の右カバー50R近傍におけるACケーブル27の配線態様を説明する図である。
図17(A)は、上側Z2から見た図である。
図17(B)は、左側X1から見た図である。
【0072】
(右カバー50R)
図14、
図16に示すように、右カバー50Rは、照明装置1の右側X2の側部を構成する。右カバー50Rは、樹脂の成型品等であり、1つの部材から構成される。
右カバー50Rは、照明カバー部51、ケーブルカバー部60を備える。
照明カバー部51は、右カバー50Rの手前側Y1の部分を構成し、ケーブルカバー部60は、右カバー50Rの奥側Y2の部分を構成する。照明カバー部51、ケーブルカバー部60は、奥行方向Yに連続している。照明カバー部51は、照明収容部13の左右の開口の主要部分をカバーする部分である。ケーブルカバー部60は、配電収容部12の左右の開口の主要部分をカバーする部分であり、また照明装置1に接続されるACケーブル27のうち照明装置1の内外に挿通する部分をカバーする。
【0073】
照明カバー部51は、平板状に形成されている。
照明カバー部51は、ネジ穴51a,51b、ケーブル保持部51cを備える。
ネジ穴51a,51bは、照明カバー部51を基部10に固定するためのネジ穴である。照明カバー部51は、ネジ穴51a,51bと、基部10の溝13h、カバー固定溝15dを用いて、基部10にネジ固定される。なお、基部10のカバー固定溝15dは、カバー部19を固定する溝を兼用している。
【0074】
ケーブル保持部51cは、照明装置1の内外に通されるACケーブル27を保持する部分である。ケーブル保持部51cは、L字突出部51dと、照明カバー部51の内面(左右方向Xの内側の面)とによって、上側Z2にU字状に開口するような部分である。
L字突出部51dは、断面形状がL字状の部分であり、照明カバー部51の内面から、内側に突出するように設けられている。
ケーブル保持部51cの内側の面は、3つの突起51eを備える(
図16(C)等参照)。
ケーブル保持部51cは、ACケーブル27を挟み込んだ状態で、突起51eがACケーブル27の被覆に食い込む(
図17(B)参照)。これにより、ACケーブル27は、軸方向(奥行方向Y)に移動しないように保持される。
【0075】
ケーブルカバー部60は、ケーブル挿通穴60a(
図16(C)等参照)を形成する部分である。ケーブル挿通穴60aは、照明装置1の内外に通されるACケーブル27を挿通するための穴である。
ケーブルカバー部60の形状は、左側X1(左右方向Xの内側)に開口する箱状である。照明カバー部51の外形が平板状であるので、ケーブルカバー部60の外形は、照明カバー部51よりも左右方向Xに一段高い段状である。また、ケーブルカバー部60の手前側Y1の壁部(前カバー部61の前壁部61F)(
図16(C)参照)は、傾斜している。
【0076】
ケーブルカバー部60は、前カバー部61、奥カバー部65を備える。
前カバー部61、奥カバー部65は、それぞれケーブルカバー部60の手前側Y1の部分、奥側Y2の部分を構成する。前カバー部61、奥カバー部65は、分離部69(カバー分離部)を介して、奥行方向Yに連続している。左右方向Xから見た状態で、前カバー部61、奥カバー部65の大きさは、ほぼ等しい。
【0077】
図16に示すように、分離部69は、前カバー部61、奥カバー部65を分離可能に接続する部分である。
分離部69は、スリット69a、薄肉部69b、薄肉部69cを備える。
スリット69a、薄肉部69bは、ケーブルカバー部60の右側板部(左右方向Xの外側に突出した板部)に設けられている。スリット69a、薄肉部69bは、鉛直方向Zに細長い形状である。スリット69aは、2つ設けられており、薄肉部69bを挟んで配置されている。
スリット69aは、ケーブルカバー部60の右側板部を左右方向Xに貫通した長穴である。
薄肉部69bは、ケーブルカバー部60の右側板部の肉厚を、その周囲の肉厚(
図16(G)に破線で示す)よりも薄肉にした部分である。
【0078】
薄肉部69cは、ケーブルカバー部60の周囲壁のうち下壁部、上壁部(周囲壁のうち下側Z1の壁部、上側Z2の壁部)にそれぞれ設けられている。薄肉部69cは、左右方向Xに細長い線状の部分である。薄肉部69cは、下側壁、上側壁の肉厚を、その周囲の肉厚(
図16(G)に破線で示す)よりも薄肉にした部分である。
前カバー部61、奥カバー部65は、このように分離部69で接続されているので、作業者は、工具等を用いて、又は素手で、奥カバー部65を右カバー50Rから容易に分離することができる。
【0079】
右カバー50Rを基部10に取り付けた状態では、奥行方向Yにおいて、分離部69の位置と、基部10(配電収容部12)の奥側面12B(
図14(A)等参照)の位置とは、等しい。
このため、奥カバー部65を右カバー50Rから分離しない状態では、奥カバー部65は、奥側面12Bよりも奥側Y2に突出する。
一方、奥カバー部65を右カバー50Rから分離した状態では、前カバー部61の後端の位置と、基部10の奥側面12Bの位置とは、等しい(
図15(A)等参照)。
【0080】
前カバー部61は、取り付けボス61a(ネジ穴)、分離片61cを備える。
取り付けボス61aは、前カバー部61を基部10に固定するためのボスである。取り付けボス61aは、左右方向Xに貫通する貫通穴を有する。取り付けボス61aは、前カバー部61の右側板部の内面から左右方向Xの内側に突出するように設けられている。前カバー部61は、取り付けボス61a、基部10の溝を用いて、基部10にネジ固定される。
取り付けボス61aと、上壁部61U及び下壁部61Dとの間には、ACケーブル27を少なくとも1つ収容可能な程度の隙間を有する(
図17(B)参照)。
【0081】
分離片61cは、前カバー部61の上壁部61U、下壁部61Dにそれぞれ2つ設けられ、合計4つ設けられている。
分離片61cは、それぞれ分離部61dによって、上壁部61U、下壁部61Dから分離可能に設けられている。分離部61dは、分離部69と同様な、スリット、薄肉部等を備える。
図16(A)、
図16(C)に示すように、このため、分離片61cは、奥カバー部65を分離する場合と同様に、上壁部61U、下壁部61Dから容易に分離することができる。
分離片61cが分離部61dによって分離されることにより、上壁部61U、下壁部61Dは、U字状に切り欠いた切り欠きが形成される。この切り欠きは、ACケーブル27を挿通する穴であるケーブル挿通穴60aである。なお、ケーブル挿通穴60aは、ACケーブル27を挿通できる形状であれば切り欠きに限定されず、例えば、丸穴、長穴等であってもよい。この場合には、分離片61cの全周に、丸穴、長穴等の形状に対応した分離部を設ければよい。
【0082】
図16等に示すように、奥カバー部65は、取り付けボス65a(ネジ穴)、分離片65cを備える。
取り付けボス65aは、取り付けボス61aと同様なボスである。取り付けボス65aは、ボード5の側面にネジ固定するための丸ボスである(
図18等参照)。
取り付けボス65aと、上壁部65U、下壁部65D及び奥壁部65Bとの間には、ACケーブル27を少なくとも1つ収容可能な程度の隙間を有する(
図17(B)参照)。
【0083】
分離片65cは、奥カバー部65の上壁部65U、下壁部65D、奥壁部65Bにそれぞれ2つ設けられ、合計6つ設けられている。
分離片65cは、分離片61cと同様な部材であり、つまり、それぞれ分離部65dによって、上壁部65U、下壁部65Dに、奥壁部65Bから分離可能に設けられている。
【0084】
(右カバー50Rの取り付け手順)
図18は、実施形態の奥カバー部65を分離せずに、照明装置1をボード5に取り付けた状態の斜視図である。
図19は、実施形態の奥カバー部65を分離して、照明装置1をボード5に取り付けた状態の斜視図である。
図18(A)、
図18(B)、
図19(A)は、ボード5を2点鎖線で示し、また、透過して図示した。
【0085】
作業者は、以下の手順に従って、右カバー50Rを照明装置1に取り付けることができる。なお、以下の手順は、一般的なものであり、順序は適宜変更してもよい。
以下の手順は、右入線の例であり、照明装置1に対して、右側X2からACケーブル27を接続する例である。
【0086】
作業者は、必要に応じて、奥カバー部65を右カバー50Rから分離する。作業者は、照明装置1の右端と、ボード5の右端とを揃えて、照明装置1をボード5に取り付ける際には(
図18参照)、奥カバー部65を右カバー50Rから分離しない。一方、照明装置1の右端がボード5の右端よりも内側になるように取り付ける際には(
図19参照)には、奥カバー部65を右カバー50Rから分離する。
以下、先に、奥カバー部65を右カバー50Rから分離しない際の手順を説明し、後に、奥カバー部65を右カバー50Rから分離した際の取り付け手順を説明する。
【0087】
(奥カバー部65を分離しない際の取り付け手順)
(♯11)分離片61c,65cを分離する。
作業者は、設置環境に応じて、ACケーブル27を挿入したい部分に対応した分離片61c,65cを分離する。設置環境とは、照明装置1を設置する設置施設におけるAC差し込み口の位置等である。例えば、AC差し込み口が、ボード5よりも下側Z1に位置する場合には、10個の分離片61c,65cのうち、下側Z1の1つを選択して分離すればよい。
これにより、ケーブル挿通穴60aが形成される。
【0088】
(♯12)ACケーブル27をケーブル挿通穴60aに通す。
作業者は、この場合、
図17等に示すように、ACケーブル27をケーブル保持部51cに挿入後、ケーブルカバー部60内に配置する。取り付けボス61a,61bと周囲壁との間にはACケーブル27を通す隙間を有する。このため、ケーブル保持部51cからケーブル挿通穴60aまでの間のACケーブル27は、ケーブルカバー部60内に収容することができる。
【0089】
(♯13)右カバー50Rを基部10に固定する。
図14に示すように、照明カバー部51のネジ穴51a,51b、前カバー部61の取り付けボス61aに、それぞれネジを通して、右カバー50Rを基部10にネジ固定する。
(♯14)照明装置1をボード5に固定する。
基部10の設置穴16b(
図2等参照)を利用して、基部10をボード5の天面にネジ固定する。
また、奥カバー部65の取り付けボス65aにネジを通して、奥カバー部65をボード5の側面にネジ固定する。これにより、奥カバー部65を確実に、ボード5の側面に固定できるので、奥カバー部65は、ボード5からの浮きが抑制される。
(♯15)カバー部19を基部10に固定する。
カバー部19の取付穴19d(
図2(A)等参照)にネジを通して、カバー部19を基部10にネジ固定する。
【0090】
以上により、右カバー50Rを照明装置1に取り付け、また、照明装置1をボード5に取り付けることができる。
【0091】
ここで、前述したように、右カバー50Rのケーブルカバー部60は、箱状である。
図18等に示すように、このため、右カバー50Rを基部10に取り付けた状態では、奥カバー部65が左側X1(左右方向Xの内側)に開口部65eを有する。このため、照明装置1は、この開口部65eから内部にアクセスできる状態である。
ところが、照明装置1がボード5に取り付けられた状態では、この開口部65eは、ボード5の右側面に塞がれる。これにより、実使用状態では、照明装置1は、内部へのアクセスを抑制できる。
【0092】
(奥カバー部65を分離した際の取り付け手順)
(♯21)分離片61cを分離する。
作業者は、上記(♯11)と同様に、設置環境に応じて、ACケーブル27を導出したい部分に対応した分離片61cを分離する。奥カバー部65を分離した状態であるので、右カバー50Rは、前カバー部61の4つの分離片61cのみが残存している。このため、作業者は、これら4つのうち1つを分離すればよい。
これにより、ケーブル挿通穴60aが形成される。
【0093】
(♯22,♯23)
上記(♯12,♯13)と同様に、ACケーブル27をケーブル挿通穴60aに通した後、右カバー50Rを基部10に固定する。
(♯14)照明装置1をボード5に固定する。
基部10の設置穴16b(
図2等参照)を利用して、基部10をボード5の天面にネジ固定する。
基部10の奥側面12Bと、右カバー50Rの前カバー部61の後端の位置とは、等しいので、これらは、ボード前部に当接するように配置される。
(♯25)
上記(♯15)と同様に、カバー部19を基部10にネジ固定する。
【0094】
以上により、右カバー50Rを照明装置1に取り付け、また、照明装置1をボード5に取り付けることができる。
【0095】
ここで、前述したように、右カバー50Rのケーブルカバー部60は、箱状である。
図19(A)等に示すように、このため、奥カバー部65を分離した右カバー50Rを基部10に取り付けた状態では、前カバー部61の奥側Y2に開口部61eを有する。このため、照明装置1は、この開口部61eから内部にアクセスできる状態である。
ところが、照明装置1がボード5に取り付けられた状態では、この開口部61eは、ボード前面に塞がれる。これにより、実使用状態では、照明装置1は、内部へのアクセスを抑制できる。
【0096】
以上説明したように、右カバー50Rは、奥カバー部65を分離しない状態、及び分離した状態のいずれの状態であっても、基部10に取り付けられた状態(つまり照明装置1に組み立てられた状態)において、異なる部分が開口するように構成されている。
ところが、照明装置1がボード5に取り付けられることにより、前者の開口は、ボード5の側面に塞がれ、また、後者の開口は、ボード前面に塞がれる。
このように、右カバー50Rは、1つの部材でありながら、照明装置1がボード5に取り付けられることにより、照明装置1の内部にアクセスできないように構成されている。これにより、照明装置1は、低コストであり、また、取り付け時の工数を削減できる。
すなわち、実施形態とは異なり、右カバーの異なる部分の開口を塞ぐための部材を有する形態では、右カバーを複数の部材から構成する必要があるので、高コストであり、また、取り付け時の工数が増えてしまう。
【0097】
(左カバー50Lの取り付け手順)
図1(C)に示すように、照明装置1は、左カバー50Lの奥カバー部65及び分離片61c,65cを分離することなく、ボード5に取り付けることができる。
また、図示は省略するが、照明装置1は、右カバー50Rと同様に奥カバー部65を分離し、かつ、分離片61c,65cを分離することなく、ボード5に取り付けることもできる。
なお、左入線の場合には、右カバー50Rの上記説明のように、左カバー50Lの分離片61c,65c等を分離すればよい。
このように、照明装置1は、ボード5の左右方向Xのサイズ等に応じて、右カバー50R、左カバー50Lを加工することにより、ボード5に取り付けることができる。
【0098】
(ケーブル保持部51cがACケーブル27を押さえる作用)
ここで、ACケーブル27は、ケーブル挿通穴60aの挿抜方向に引っ張られたりしても、ケーブル保持部51cによって、保持される。また、カバー部19が基部10に取り付けられることにより、ケーブル保持部51cの上部開口は、カバー部19によって塞がれる。このため、ACケーブル27は、ケーブル保持部51cの開口から出てしまうことがない。
また、
図17(A)に示すように、ACケーブル27のうち、ケーブル保持部51cからケーブルカバー部60へと導かれる部分は、傾斜した前壁部61Fに沿って配置される。このため、ACケーブル27が引っ張られたりする際にかかる力は、ケーブル保持部51cに対して、直接的に作用しない。そのため、ケーブル保持部51cは、ACケーブル27を挟み込む力が弱くても、ACケーブル27を確実に保持することができる。これにより、ケーブル保持部51cは、ACケーブル27の損傷等を抑制できる。
【0099】
[照明ユニット1U]
前述した照明装置1は、左右方向Xに複数連結することにより、照明ユニット1Uとして利用することができる。
以下、3つの照明装置1A,1B,1Cを連結した例を説明する。
図20は、実施形態の照明ユニット1Uを示す図である。
図20(A)は、右入線の例である。
図20(B)は、左入線の例である。
3つの照明装置1A,1B,1Cが連結されることにより、3つの配電収容部12が連結される。これにより、配電収容部12の内部空間は、左右方向Xに細長い一体の空間となる。
前述したように、配電部20のケーブル22は、延ばした状態で、コネクタ22a側が基部10の外側にはみ出る程度の長さを有する。
【0100】
図20(A)に示すように、ケーブル22の長さは、隣りに配置された照明装置1の分配器兼用コネクタ24に接続可能な長さである。
このため、照明装置1Aのケーブル22は、照明装置1Bの分配器兼用コネクタ24に接続できる。また、照明装置1Bのケーブル22は、照明装置1Cの分配器兼用コネクタ24に接続できる。これにより、照明ユニット1Uは、右端に配置された照明装置1Aに接続されたACケーブル27からの電力を、照明装置1A,1B,1Cの全てに供給できる。
図20(B)に示すように、左入線の場合も同様に、照明ユニット1Uは、左端に配置された照明装置1Cに接続されたACケーブル27からの電力を、照明装置1A,1B,1Cの全てに供給できる。なお、この場合、照明装置1Cのケーブル22と、ACケーブル27とは、両側がメスのアダプタ29を介して接続すればよい。
【0101】
なお、照明ユニット1Uは、2つのACケーブル27によって、電力を供給されてもよい。例えば、右カバー50Rの10個の分離片61c,65cのうち2つを分離することにより、2つのACケーブル27を右カバー50Rから照明装置1の内部に挿通してもよい。
この場合には、例えば、右端に配置された照明装置1Aと、中央及び左端に配置された照明装置1B,1Cとに、個別に電力を供給することができる。これにより、照明ユニット1Uは、照明装置1A,B,1Cを、個別にオン、オフをしたり、照度を調整することができる。
【0102】
図17(B)に示すように、ケーブル保持部51cは、2本分のACケーブル27を押さえることができる程度に、U字の深さが設定されている。
また、奥カバー部65の取り付けボス65a及び各壁部61B,61D,61Uの間には、1本分のACケーブル27を配置可能なスペースを有する。このため、例えば、2本のACケーブル27を奥カバー部65の下壁部65Dに挿通する場合でも、1本のACケーブル27(
図17(B)に太線の破線で示す)を取り付けボス65aの周囲に周り込むように配置することができる。
【0103】
また、照明ユニット1Uは、右入線及び左入線の両方によって、電力を供給されてもよい。この場合には、照明ユニット1Uは、2つ以上のACケーブル27によって、電力を供給されてもよい。
【0104】
図21は、実施形態のカバー部19を取り外した状態の照明装置1A,1B間の連結部分を拡大して示す図である。
図21(A)は、上側Z2から見た図である。
図21(B)は、右側X2から見た断面図である。
図22は、実施形態のカバー部19を取り付けた状態の照明装置1A,1B間の連結部分を拡大して示す図である。
以下、照明装置1A,1B間の連結部分を説明するが、照明装置1B,1C間の連結部分も同様な構成である。
照明ユニット1Uは、連結金具85を備える。
【0105】
連結金具85は、隣合う照明装置1A,1Bを連結する部材である。連結金具85は、断面がコの字状の部材であり、例えば、金属板をプレス加工すること等により製作できる。このため、連結金具85は、十分な強度を有する。
作業者は、照明装置1A,1Bを連結する際には、互いの基部10の端部を当接させる。そして、作業者は、連結金具85の後端部を基部10の溝部12hに挿入した状態で、連結金具85の手前側Y1の部分を、ネジ穴85aと基部10の溝部12aとによってネジ固定する。
【0106】
このように、照明ユニット1Uは、隣合う照明装置1A,1Bの間を、奥側Y2及び手前側Y1でそれぞれ位置決めすることができる。
これにより、隣合う照明装置1A,1Bは、十分な精度で位置決めされて連結され、かつ、連結された状態で十分な強度を有する。
【0107】
図22に破線で示すように、照明ユニット1Uをボード5に取り付ける際には、隣合う照明装置1A,1Bの基部10の間に、微小な隙間S10が生じてしまう場合がある(
図22の隙間S10は、誇張して図示した)。このような隙間S10が生じる要因の1つは、例えば、照明装置1A,1B,1Cを照明ユニット1Uの状態に連結した後に、照明ユニット1Uをボード5に取り付ける際の歪み等に起因する。
このような隙間S10を修正するためには、連結金具85を取り外した後、再度、連結金具85で照明装置1A,1Bの基部10間を連結する必要がある。このような作業は、手間がかかる。
【0108】
実施形態では、以下のように、このような手間をなくすことができる。
すなわち、作業者は、照明装置1A,1B,1Cをボード5に取り付ける際には、連結した基部10をボード5に取り付けた後に、カバー部19を取り付ければよい。作業者は、カバー部19を取り付ける際には、隣合うカバー部19の端部を当接させた状態で、カバー部19の取付穴19d及び基部10のカバー固定溝15d(カバー固定部)を利用してネジ固定すればよい。この場合、ネジの下穴であるカバー固定溝15dは、左右方向Xの溝であるので、作業者は、カバー部19の左右方向Xの位置を、容易に位置合わせできる。
これにより、照明ユニット1Uは、隣合うカバー部19間に隙間がない状態で、ボード5に取り付けられる。
図3(B)等に示すように、カバー部19は、基部10の手前側Y1の大部分を覆うように造形されている。このため、隙間S10が生じた状態で基部10がボード5に取り付けられていても、カバー部19間に隙間を有さないので、カバー部19は、この隙間S10を隠すことができる。このため、照明ユニット1Uは、隙間S10が生じてしまっても、外観上の品位がよく、また、隙間S10からの光り漏れ等が抑制される。これにより、照明ユニット1Uは、基部10間に隙間S10が生じてしまっても、これを修正する必要がない。
このように、本実施形態の照明ユニット1Uは、ボード5への取り付け作業が容易である。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する変形形態等のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態の構成は、それらの一部のみ用いること、又は適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0110】
(変形形態)
実施形態において照明装置は、直接、ボードに固定される例を示したが、これに限定されない。照明装置は、例えば、特開2015-97158号公報の
図27に示すようなアーム部を介して、湾曲面を有するボードに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1,1A~1C:照明装置
1U:照明ユニット
5:ボード
10:基部
19:カバー部
30:照明部
32:LED
33:集光レンズ
35:拡散板
36:アクリル板
37:反射面
41:配向曲線
41L:長軸
41S:短軸
41a:交点
41b:接点
42:配向曲線
50L:左カバー
50R:右カバー
51:照明カバー部
51c:ケーブル保持部
51d:L字突出部
51e:突起
60:ケーブルカバー部
60a:ケーブル挿通穴
61:前カバー部
65:奥カバー部