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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】活魚鎮静化システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/02 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A01K79/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020138886
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034936
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520315947
【氏名又は名称】弓ヶ浜水産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591171976
【氏名又は名称】山田実業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(73)【特許権者】
【識別番号】592072791
【氏名又は名称】鳥取県
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 壮太
(72)【発明者】
【氏名】下地 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 繁生
(72)【発明者】
【氏名】下山 俊一
(72)【発明者】
【氏名】清家 裕
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-020760(JP,U)
【文献】特開2019-140957(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106035589(CN,A)
【文献】国際公開第99/055166(WO,A1)
【文献】国際公開第98/048635(WO,A1)
【文献】米国特許第02722036(US,A)
【文献】特開2017-018028(JP,A)
【文献】特開2012-165720(JP,A)
【文献】特開2000-037150(JP,A)
【文献】実開平05-085475(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活魚に電流を流して鎮静化させるための活魚鎮静化システムであって、
極性の異なる電極棒が交互に所定幅の間隔を介して並列に支持された格子状電極と、
前記格子状電極に通電する出力を制御するコントローラと、
前記格子状電極が収容され、前記格子状電極の周囲を囲むとともに、上下に開閉駆動可能な第1開閉ゲートを備えるケーシングと、
前記格子状電極を傾動させる傾動機構と、
前記第1開閉ゲート及び前記格子状電極の其々にチェーンを介して連結され、前記第1開閉ゲートが開くときに前記格子状電極の前記第1開閉ゲートの側が低い傾斜配置となり、前記第1開閉ゲートを閉じたときに前記格子状電極が水平となるように、前記第1開閉ゲートと前記傾動機構とを連動させる巻上装置と、
を備える前記活魚鎮静化システム。
【請求項2】
隣り合う前記電極棒間の前記所定幅の間隙から落下する魚を受け入れる第1水槽を更に備える、請求項1に記載の活魚鎮静化システム。
【請求項3】
前記ケーシングは、隣り合う前記電極棒間の間隙から落下する魚を受ける下狭まり状のホッパー部と、該ホッパー部の下端に接続され前記ホッパー部から落下する魚を所定箇所へ送るシュート部と、を備える、請求項に記載の活魚鎮静化システム。
【請求項4】
前記格子状電極に送る活魚を一時的に滞留させる滞留部を更に備える、請求項の何れかに記載の活魚鎮静化システム。
【請求項5】
前記滞留部と前記格子状電極との間に第2開閉ゲートを更に備え、前記格子状電極の通電時に前記第2開閉ゲートが閉じられるように構成されている、請求項に記載の活魚鎮静化システム。
【請求項6】
前記滞留部は、所定寸法未満の魚を落下させるための隙間が形成された選別台を含み、前記選別台の前記隙間から落下せずに選別された活魚が前記格子状電極上に送られるように構成されている、請求項又はに記載の活魚鎮静化システム。
【請求項7】
前記選別台は、前記格子状電極に近づくにつれて低くなる傾斜状に配設されている、請求項に記載の活魚鎮静化システム。
【請求項8】
前記選別台を傾動させる選別台傾動機構を更に備え、
前記選別台傾動機構は、前記選別台の前記格子状電極側が低い配置となるように傾動させる、請求項に記載の活魚鎮静化システム。
【請求項9】
前記選別台を振動させて前記選別台上の所定寸法未満の活魚を前記選別台の前記隙間から振るい落とすための振動付与装置を更に備える請求項6又は7に記載の活魚鎮静化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水揚げした活魚に電気刺激を与えて鎮静化させるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活魚に電気刺激を与え、魚を鎮静化させた状態で水揚げする方法が知られている(特許文献1)。この方法は、水揚げ用網をもって海中より脊椎を有する複数の魚を纏めて掬い揚げ、全部の魚が海中から空中に取り出された後に、前記水揚げ用網に設置された2極の電極に通電して前記全部の魚に当該魚の体表面に付着している海水を通して通電し、当該魚を前記脊椎が損傷しない程度に感電させて鎮静化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-18028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の鎮静化方法は、水揚げ用網で掬い上げた魚に均一に通電することが困難である。例えば水揚げ用網の電極直近の魚は電気刺激が効きすぎて骨折し、電極から離れたところの魚は鎮静化に至らない場合が生じ得る。また、電極に接触している魚に別の魚が接触している場合、接触している魚の接触態様によって各魚に流れる電流値が変わり、電気刺激の効きムラが生じ得る。更に、水揚げ用網で生け簀から掬い上げた魚の寸法にバラツキがあるため、出荷サイズに満たない魚も電気刺激が付与されてしまい、処分しなければならなくなる。さらに、生け簀の中には処理対象魚とことなる小魚も紛れ込んでおり、これらの小魚を選別、処分する作業負荷が増す。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を解決するため、水揚げした複数の魚に均一な電気刺激を与えることができる、活魚鎮静化システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、活魚に電流を流して鎮静化させるための活魚鎮静化システムであって、極性の異なる電極棒が交互に所定幅の間隔を介して並列に支持された格子状電極と、前記格子状電極に通電する出力を制御するコントローラと、を備える。
【0007】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第2の態様は、上記第1の態様において、前記格子状電極を傾動させる傾動機構を更に備える。
【0008】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第3の態様は、上記第2の態様において、前記格子状電極が収容され、前記格子状電極の周囲を囲むケーシングを更に備え、前記ケーシングは、開閉駆動可能な第1開閉ゲートを備え、前記傾動機構は、前記第1開閉ゲートの側が低い配置となるように前記格子状電極を傾動させる。
【0009】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第4の態様は、上記第3の態様において、前記第1開閉ゲートが開くときに前記格子状電極の前記第1開閉ゲートの側が低い配置となるように、前記第1開閉ゲートと前記傾動機構とが連動するように構成されている。
【0010】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第5の態様は、上記第1~第4の何れかの態様において、隣り合う前記電極棒間の前記所定幅の間隙から落下する魚を受け入れる第1水槽を更に備える。
【0011】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第6の態様は、上記第3の態様において、前記ケーシングは、隣り合う前記電極棒間の間隙から落下する魚を受ける下狭まり状のホッパー部と、該ホッパー部の下端に接続され前記ホッパー部から落下する魚を所定箇所へ送るシュート部と、を備える。
【0012】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第7の態様は、上記第1~第6の何れかの態様において、前記格子状電極に送る活魚を一時的に滞留させる滞留部を更に備える。
【0013】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第8の態様は、上記第7の態様において、前記滞留部と前記格子状電極との間に第2開閉ゲートを更に備え、前記格子状電極の通電時に前記第2開閉ゲートが閉じられるように構成されている。
【0014】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第9の態様は、上記第7又は第8の態様において、前記滞留部が、所定寸法未満の魚を落下させるための隙間が形成された選別台を含み、前記選別台の前記隙間から落下せずに選別された活魚が前記格子状電極上に送られるように構成されている。
本発明に係る活魚鎮静化システムの第10の態様は、上記第9の態様において、前記選別台は、前記格子状電極に近づくにつれて低くなる傾斜状に配設されている。
【0015】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第11の態様は、上記第9の態様において、前記選別台を傾動させる選別台傾動機構を更に備え、前記選別台傾動機構は、前記選別台の前記格子状電極側が低い配置となるように傾動させる。
【0016】
本発明に係る活魚鎮静化システムの第12の態様は、上記第9~第10の何れかの態様において、前記選別台を振動させて前記選別台上の所定寸法未満の活魚を前記選別台の前記隙間から振るい落とすための振動付与装置を更に備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る活魚鎮静化システムによれば、極性の異なる電極棒を交互に配置した格子状電極上に魚を載せて通電することで魚の体表面に電流を流して電気刺激を与え、鎮静化させることができる。格子状電極上に複数匹の魚を並べることで其々の魚が極性の異なる電極棒に接触し、格子状電極上に載せた複数匹の魚に均一に電気刺激を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る活魚鎮静化システムの第1実施形態を、一部を切り欠き、部分的に拡大した図とともに示す斜視図である。
図2図1の活魚鎮静化システムの作動状態を示す斜視図である。
図3図1の活魚鎮静化システムの他の作動状態を示す斜視図である。
図4】本発明に係る活魚鎮静化システムの第2実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る活魚鎮静化システムの実施形態について以下に図1図4を参照して説明する。全図および全実施形態を通じて同一又は類似の構成部分については同符号を付した。
【0020】
先ず、本発明に係る活魚鎮静化システムの第1実施形態について、図1図3を参照して説明する。活魚鎮静化システム1は、活魚に電流を流して鎮静化させるためのシステムであって、極性の異なる電極棒2、3が交互に所定幅の間隔G1を介して並列に支持された格子状電極4と、前記格子状電極4に通電する出力を制御するコントローラ5と、を備える。
【0021】
図示例において、電極棒2、3は、直径18mmのステンレスパイプが使用されており、隣り合う電極棒2、3の間隔G1は25mmに設定されている。電極棒2、3の直径、及び電極棒2、3の間隔G1は適宜に設定することができる。
【0022】
電極棒2、3は、其々の両端が四角形のフレーム6に連結されて支持され、格子状電極4が構成されている。フレーム6は、硬質プラスチック等の絶縁性材料で形成され、正極の電極棒2と負極の電極棒3とは電気的に絶縁されている。正極の電極棒2の各々は共通の配線2Aで接続され、負極の電極棒3の各々は他の共通の配線3Aで接続され、後述するように、直流電源7の正極及び負極の各々にコントローラ5を介して接続されている。
【0023】
コントローラ5は、図示されているように、直流電源7と格子状電極4との間に接続される。コントローラ5は、格子状電極4に通電する出力をコントロールするため、オン・オフスイッチの他、通電時間、通電電圧、通電電流のパルス波形等を調節する回路を含むことができる。鎮静化させる対象魚の大きさ等に応じて、通電時間や通電電圧(通電電流)を調節する必要がある。例えば生後2年のギンザケの場合、コントローラの設定を、出力電圧35~100V、通電電流5~20A、パルス幅2~10ミリ秒、通電時間6~40秒とすることで、ギンザケを骨折も内出血もしない状態で鎮静化させることが可能である。
【0024】
格子状電極4は、ケーシング8に収容されている。ケーシング8は、格子状電極4の周囲を囲む周壁8aを備える。ケーシング8は、周壁8aの一部に、開閉駆動可能な第1開閉ゲート8a1を備える。図1において、ケーシング8は、周壁8aの一部を切り欠いて図示されている。
【0025】
図示例では、第1開閉ゲート8a1は、上下にスライド可能に設けられ、連結されたチェーン9を巻上装置10が巻き上げ又は巻き下げることにより、上下に開閉する。巻上装置10は、図示省略するが、電動モータと巻取りローラを備えることができる。第1開閉ゲート8a1は、図示例では上下開閉式であるが、左右開閉式とすることもできる。第1開閉ゲート8a1は、格子状電極4上で鎮静化した魚を次工程、例えば、活け〆台に送り出すための開口部を周壁8aに形成するために設けられるが、第1開閉ゲート8a1を設けずに周壁8aの一部に魚を格子状電極4から送り出す開口を設けておくだけの構成とすることもできる。
【0026】
活魚鎮静化システム1は、格子状電極4を傾動させる傾動機構を備えている。前記傾動機構は、格子状電極4の一端側を回転軸11の回りに回転自在に支持し、格子状電極4の他端側に連結したチェーン12を巻上装置10で巻き上げ又は巻き戻すことにより、格子状電極4を傾動させることができる(図3参照)。
【0027】
格子状電極4は、第1開閉ゲート8a1の側を回転軸11によって回転自在に支持される。巻上装置10を作動させて格子状電極4の他端側を吊り上げると、図3に示すように、前記第1開閉ゲート8a1の側が低い配置となるように格子状電極4が傾動する。このように格子状電極4を傾動させると、格子状電極4の傾斜面に沿って格子状電極4上で鎮静化された魚が第1開閉ゲート8a1に向けて滑り落ち、自動的に第1開閉ゲート8a1を通じて格子状電極4上の魚が格子状電極4から送り出される。
【0028】
ケーシング8は、格子状電極4の隣り合う電極棒2、3間の間隙G1から落下する魚を受ける下狭まり状のホッパー部13と、ホッパー部13の下端に接続されホッパー部13から落下する魚を所定箇所へ送るシュート部14と、を備える。図示例では、シュート部14は、ホッパー部13から落下する魚を、ホッパー部13の近傍に設置された第1水槽15に送る。シュート部14は、ホッパー部13から落下する魚を、第1水槽15に代えて、例えば海上の生簀等に送る構成とすることもできる。間隙G1から落下して集められた魚は、養殖生け簀に戻して、出荷可能寸法になるまで飼育することができる。
【0029】
図示例では、第1開閉ゲート8a1と前記傾動機構の巻上装置10を共通として、一つの電動モータを駆動することにより、第1開閉ゲート8a1の開動作と格子状電極4の傾動を連動させている。それにより、第1開閉ゲート8a1が開くときに格子状電極4の第1開閉ゲート8a1の側が低くなるように、格子状電極4が水平位置から傾斜位置に傾動する。
【0030】
格子状電極4に隣接して、格子状電極4に送る活魚を一時的に滞留させる滞留部16が配置されている。滞留部16は、格子状電極4の通電中、即ち、先行の活魚を格子状電極4上で鎮静化処理している間に、後続の活魚を一時的にストックしておき、先行の活魚鎮静化処理後に、一時的にストックしておいた後続の活魚を格子状電極4上に供給することで、次々と供給される活魚を連続的に鎮静化処理することができる。
【0031】
滞留部16は、所定寸法未満の魚を選別して落下させるための隙間G2が形成された選別台16aを備えている。隙間G2の寸法は、例えば、隙間G1の寸法より小さい寸法とすることできる。例えば、鎮静化対象と異なる雑魚を選別して落下させることができる。選別台16aは、複数本の棒材17を隙間G2を介して平行に支持させた構成とすることができる。棒材17は金属製でもよいし樹脂製でもよい。
【0032】
選別台16aは、格子状電極4に近づくにつれて低くなる傾斜状に配設されている。滞留部16は、選別台16aを囲むようにして側壁18が設置され、滞留部16と格子状電極4との間に第2開閉ゲート19を備えている。第2開閉ゲート19は、図2を参照して、連結されたチェーン20を巻上装置21により巻上又は巻き戻すことにより、上下に開閉することができる。
【0033】
前記選別台16aの隙間G2から落下せずに選別された活魚は、選別台16aの傾斜面に沿って滑り、第2開閉ゲート19を通って格子状電極4上に送られる。
選別台16aの下方には、選別台16aから落下する魚を受け入れる第2水槽22が設置される。
【0034】
滞留部16は、樋状の活魚搬送路23が接続されている。図外のフィッシュポンプによって海上生け簀等から海水と共に吸い上げられた活魚は、活魚搬送路23を通じて滞留部16に送られる。フィッシュポンプに代えて、生け簀用網で生け簀等から活魚を掬い上げて滞留部16上に供給することもできる。
【0035】
選別台16aの隙間G2から落下せずに選別台16a上に残った活魚は、図2に示すように巻上装置21を作動させて第2開閉ゲート19を開くと、選別台16aの傾斜面を滑り落ちて、格子状電極4上に送られる。
【0036】
格子状電極4の間隙G1から落下した活魚は第1水槽15に排出される。コントローラ5のオン・オフスイッチを押して、格子状電極4への通電を開始し、格子状電極4上に落下せずに残った活魚に電気刺激を付与して鎮静化させる。コントローラ5は、所定時間通電した後、通電を停止する。
【0037】
通電停止後、図3に示すように、巻上装置10を作動させて、第1開閉ゲート8a1を開くとともに、格子状電極4を傾動させることにより、格子状電極4上で鎮静化した活魚が格子状電極4上を滑り落ちて第1開閉ゲート8a1から排出される。通電の停止と、第1開閉ゲート8a1の開動作及び格子状電極4の傾動とを連動させて、通電の停止と同時に活魚を第1開閉ゲート8a1からは排出させることもできる。第1開閉ゲート8a1から排出された鎮静化された活魚は、次工程において活〆等の処理が施される。
【0038】
格子状電極4の通電中もフィッシュポンプは作動しつづけており、その間、第2開閉ゲート19が閉じられ、フィッシュポンプを通じて供給される活魚が一時的に滞留部16に滞留されている。格子状電極4上から鎮静化された活魚が第1開閉ゲート8a1を通じて排出され、開閉ゲート8a1が閉じられた後、第2開閉ゲート19が開かれ、滞留部16に滞留していた活魚が格子状電極4上に送られる。このようにして、フィッシュポンプを通じて海上生け簀等から連続的に供給される活魚は、ほぼ連続的に鎮静化処理される。
【0039】
次に、本発明に係る活魚鎮静化システムの第2実施形態について図4を参照して説明する。第2実施形態の活魚鎮静化システム1Bは、滞留部16の選別台16aの下方にホッパー部16b、シュート部16cが備えられており、選別台16aで選別された所定寸法未満の活魚が、ホッパー部16bからシュート部16cを経て排出される。シュート部16cから排出された活魚は、樋等の搬送手段16dを通じて元の生簀等に返送される。第2実施形態では、選別台16aの間隙G2(図1参照)は、活け〆して出荷するサイズに満たない活魚を選別できる寸法に設定される。それにより、滞留部16での滞留中に、活け〆に適したサイズの活魚が格子状電極4に送られるため、格子状電極4に活魚が供給されると直ちに通電して鎮静化させることができる。
【0040】
また、活魚鎮静化システム1Bは、選別台16aを傾動させる選別台傾動機構を更に備えている。この選別台傾動機構は、格子状電極4の傾動機構と同様の傾動機構とすることができ、選別台16aの格子状電極4側が低い配置となるように傾動させる。図示例では、選別台16aの一端側を支点として揺動自在に支持し、選別台16aの他端側に連結したチェーン21aを巻上装置21で巻き上げ又は巻き戻すことにより、選別台16aを傾動させることができる。第2開閉ゲート19と選別台16aは連動させて、第2開閉ゲート19が開くと選別台16aの他端が持ち上げられて傾斜するように傾動させることができる。
【0041】
更に、活魚鎮静化システム1Bは、選別台16aを振動させて選別台16a上の所定寸法未満の活魚を選別台16aの隙間G2から振るい落とすための振動付与装置24を備えている。振動付与装置24は、振動モータを選別台16aに取り付けることによって構成され得る。振動付与装置24は、振動モータに限らず、選別台16aに振動を付与できるものであれば良い。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、格子状電極4を傾動させる傾動機構を備える構成としたが、傾動機構を省略することもできる。上記実施形態では、滞留部16を格子状電極4に隣り合わせて設置したが、滞留部16と格子状電極4とを活魚搬送路で接続してもよい。また、上記実施形態では滞留部16を設置したが、滞留部16を省略することもできる。また、格子状電極4と選別台16の其々にホッパー及びシュート部を設けることもできる。また、上記第2実施形態における振動付与装置を、格子状電極に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、1B 活魚鎮静化システム
2 正極の電極棒
3 負極の電極棒
4 格子状電極
5 コントローラ
8 ケーシング
8a1 第1開閉ゲート
13 ホッパー部
14 シュート部
15 第1水槽
16 滞留部
16a 選別台
19 第2開閉ゲート
22 第2水槽
24 振動付与装置
G1 間隙
G2 隙間
図1
図2
図3
図4