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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】空調装置、及び空調装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20240502BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20240502BHJP
   F24F 11/83 20180101ALI20240502BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20240502BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20240502BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20240502BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240502BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240502BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/89
F24F11/83
F24F3/044
F24F120:00
F24F110:70
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023142474
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509221135
【氏名又は名称】株式会社日建設計総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】長廣 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳矢
(72)【発明者】
【氏名】野原 文男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木俣 孝裕
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021683(JP,A)
【文献】特開平10-038316(JP,A)
【文献】特開平07-260202(JP,A)
【文献】特開2013-047579(JP,A)
【文献】特開2001-082763(JP,A)
【文献】特開2011-007358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱用コイル、前記潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する潜熱ユニットと、
顕熱用コイル、前記顕熱用コイルで温度の調整された空気を前記空調空間に送る顕熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する顕熱ユニットと、
空気を前記空調空間に送る送風用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する送風ユニットと
前記潜熱ユニット、前記顕熱ユニット、及び前記送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させる制御部と、を備え
前記潜熱用コイルは、外気及び前記潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記顕熱用コイルは、外気及び前記顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記送風用送風機は、外気及び前記送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風し、
前記制御部によって前記潜熱ユニット、及び前記顕熱ユニットが少なくとも動作される場合に、前記潜熱用コイルには、熱源機器からの冷水が供給され、前記顕熱用コイルには、前記潜熱用コイルから排出された冷水と、前記熱源機器からの冷水とが混合された冷水が供給され、
前記制御部は、前記潜熱ユニット、及び前記顕熱ユニットを少なくとも動作させる場合に、前記顕熱用コイルに供給される冷水が所望の温度となるように、前記潜熱用コイルから排出された冷水と、前記熱源機器からの冷水との混合割合を制御する、空調装置。
【請求項2】
潜熱用コイル、前記潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する潜熱ユニットと、
顕熱用コイル、前記顕熱用コイルで温度の調整された空気を前記空調空間に送る顕熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する顕熱ユニットと、
空気を前記空調空間に送る送風用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する送風ユニットと、
外気の温度及び湿度、還気の温度及び湿度、前記空調空間の温度及び湿度、前記空調空間の人密度、並びに前記空調空間の二酸化炭素濃度を取得する取得部と、
前記取得部による取得結果と、前記空調空間の目標温度及び目標湿度とに基づいて、前記潜熱ユニット、前記顕熱ユニット、及び前記送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させる制御部と、を備え、
前記潜熱用コイルは、外気及び前記潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記顕熱用コイルは、外気及び前記顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記送風用送風機は、外気及び前記送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風する、空調装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記空調空間の人密度に基づいて、前記空調空間に供給される供給空気の風量を決定し、
前記空調空間の二酸化炭素濃度に基づいて、前記供給空気に含まれる外気の割合を決定し、
前記外気の割合と、前記外気の温度及び湿度と、前記還気の温度及び湿度と、前記空調空間の温度及び湿度と、前記空調空間の目標温度及び目標湿度とに基づいて、前記潜熱ユニットを動作させるかどうかを決定し、
前記外気の割合と、前記外気の温度と、前記還気の温度と、前記空調空間の温度と、前記空調空間の目標温度とに基づいて、前記顕熱ユニットを動作させるかどうかを決定し、
前記供給空気の風量に基づいて、前記送風ユニットを動作させるかどうかを決定し、
前記決定結果に応じて、前記潜熱ユニット、前記顕熱ユニット、及び前記送風ユニットを制御する、請求項記載の空調装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記潜熱ユニット、及び前記顕熱ユニットを動作させる場合に、前記外気と前記還気とのうち、絶対湿度の高い方が、前記潜熱ユニットにおいて温度及び湿度が調整されるように制御する、請求項記載の空調装置。
【請求項5】
潜熱用コイル、前記潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する潜熱ユニットと、
顕熱用コイル、前記顕熱用コイルで温度の調整された空気を前記空調空間に送る顕熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する顕熱ユニットと、
空気を前記空調空間に送る送風用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する送風ユニットと、を備えた空調装置の制御方法であって、
前記潜熱用コイルは、外気及び前記潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記顕熱用コイルは、外気及び前記顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記送風用送風機は、外気及び前記送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風し、
前記潜熱ユニット、及び前記顕熱ユニットが少なくとも動作される場合に、前記潜熱用コイルには、熱源機器からの冷水が供給され、前記顕熱用コイルには、前記潜熱用コイルから排出された冷水と、前記熱源機器からの冷水とが混合された冷水が供給され、
前記潜熱ユニット、前記顕熱ユニット、及び前記送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させるステップと、
前記潜熱ユニット、及び前記顕熱ユニットが少なくとも動作される場合に、前記顕熱用コイルに供給される冷水が所望の温度となるように、前記潜熱用コイルから排出された冷水と、前記熱源機器からの冷水との混合割合を制御するステップと、を備えた、空調装置の制御方法。
【請求項6】
潜熱用コイル、前記潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する潜熱ユニットと、
顕熱用コイル、前記顕熱用コイルで温度の調整された空気を前記空調空間に送る顕熱用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する顕熱ユニットと、
空気を前記空調空間に送る送風用送風機、及び前記空調空間からの還気について、排気及び前記送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する送風ユニットと、を備えた空調装置の制御方法であって、
前記潜熱用コイルは、外気及び前記潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記顕熱用コイルは、外気及び前記顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、
前記送風用送風機は、外気及び前記送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風し、
外気の温度及び湿度、還気の温度及び湿度、前記空調空間の温度及び湿度、前記空調空間の人密度、並びに前記空調空間の二酸化炭素濃度を取得するステップと、
前記ステップにおける取得結果と、前記空調空間の目標温度及び目標湿度とに基づいて、前記潜熱ユニット、前記顕熱ユニット、及び前記送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させるステップと、を備えた、空調装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の温度等について調整を行う空調装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調装置では、送風、温度調整、湿度調整のすべてを1つの空調装置で行っていた(例えば、特許文献1参照)。その空調装置では、負荷のピーク時、例えば真夏に多くの人が空調空間に存在する状況においても目標温度や目標湿度への調整を実現できるように最大出力が設定されるため、消費エネルギーの大きい送風機やコイルが用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-115053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調装置が最大出力で動作するのは、1年のうち、非常に短い期間のみである。それ以外の期間は、空調装置を低出力で動作させることになる。そのような低出力での動作時であっても、従来の空調装置には消費エネルギーの大きい送風機やコイルが用いられているため、エネルギーの削減の程度が限定されるという問題があった。例えば、最大出力の30%で空調装置を動作させることができたとしても、最大出力が大きく設定されているため、過剰な出力で空調装置が動作されることになるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、負荷のピーク時に対応することができると共に、ピーク時以外において、省エネルギーな運転を行うことができる空調装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による空調装置は、潜熱用コイル、及び潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機を有する潜熱ユニットと、顕熱用コイル、及び顕熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る顕熱用送風機を有する顕熱ユニットと、空気を空調空間に送る送風用送風機を有する送風ユニットとのうち、少なくとも2個のユニットを備えたものである。
このような構成により、例えば、負荷のピーク時には、空調装置が備えているすべてのユニットを動作させることによって対応することができると共に、ピーク時以外においては、1以上のユニットを動作させないことによって、省エネルギーな空調を行うことができるようになる。
【0007】
また、本発明の一態様による空調装置では、潜熱ユニット、顕熱ユニット、及び送風ユニットを備えてもよい。
このような構成により、各ユニットを動作させることによって、湿度調整、温度調整、送風を行うことができるようになる。
【0008】
また、本発明の一態様による空調装置では、潜熱ユニットは、空調空間からの還気について、排気及び潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機をさらに有し、潜熱用コイルは、外気及び潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、顕熱ユニットは、空調空間からの還気について、排気及び顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機をさらに有し、顕熱用コイルは、外気及び顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、送風ユニットは、空調空間からの還気について、排気及び送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機をさらに有し、送風用送風機は、外気及び送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風してもよい。
このような構成により、例えば、外気と還気とを混合した混合空気について除湿や温度調整、送風を行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明の一態様による空調装置では、潜熱ユニット、顕熱ユニット、及び送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させる制御部をさらに備えてもよい。
このような構成により、例えば、制御部によって、1以上のユニットを動作させないことによって、省エネルギーな空調を行うことができるようになる。
【0010】
また、本発明の一態様による空調装置では、制御部によって潜熱ユニット、及び顕熱ユニットが少なくとも動作される場合に、潜熱用コイルには、冷凍機を有する熱源機器からの冷水が供給され、顕熱用コイルには、潜熱用コイルから排出された冷水と、熱源機器からの冷水とが混合された冷水が供給され、制御部は、顕熱用コイルに供給される冷水が所望の温度となるように、潜熱用コイルから排出された冷水と、熱源機器からの冷水との混合割合を制御してもよい。
このような構成により、潜熱用コイルを通過した冷水を顕熱用コイルで再利用することによって、省エネルギー化を促進することができる。
【0011】
また、本発明の一態様による空調装置では、外気の温度及び湿度、還気の温度及び湿度、空調空間の温度及び湿度、空調空間の人密度、並びに空調空間の二酸化炭素濃度を取得する取得部をさらに備え、制御部は、取得部による取得結果と、空調空間の目標温度及び目標湿度とに基づいて、潜熱ユニット、顕熱ユニット、及び送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させてもよい。
このような構成により、外気の温度等に基づいて、1以上のユニットを動作させることができる。
【0012】
また、本発明の一態様による空調装置では、制御部は、空調空間の人密度に基づいて、空調空間に供給される供給空気の風量を決定し、空調空間の二酸化炭素濃度に基づいて、供給空気に含まれる外気の割合を決定し、外気の割合と、外気の温度及び湿度と、還気の温度及び湿度と、空調空間の温度及び湿度と、空調空間の目標温度及び目標湿度とに基づいて、潜熱ユニットを動作させるかどうかを決定し、外気の割合と、外気の温度と、還気の温度と、空調空間の温度と、空調空間の目標温度とに基づいて、顕熱ユニットを動作させるかどうかを決定し、供給空気の風量に基づいて、送風ユニットを動作させるかどうかを決定し、決定結果に応じて、潜熱ユニット、顕熱ユニット、及び送風ユニットを制御してもよい。
このような構成により、取得結果に応じた最適な制御を実現することによって、空調空間における快適性を犠牲にすることなく、省エネルギーな空調を実現することができる。
【0013】
また、本発明の一態様による空調装置では、制御部は、潜熱ユニット、及び顕熱ユニットを動作させる場合に、外気と還気とのうち、絶対湿度の高い方が、潜熱ユニットにおいて温度及び湿度が調整されるように制御してもよい。
このような構成により、効率のよい除湿を実現することができる。
【0014】
また、本発明の一態様による空調装置の制御方法は、潜熱用コイル、潜熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機、及び空調空間からの還気について、排気及び潜熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する潜熱ユニットと、顕熱用コイル、顕熱用コイルで温度の調整された空気を空調空間に送る顕熱用送風機、及び空調空間からの還気について、排気及び顕熱用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する顕熱ユニットと、空気を空調空間に送る送風用送風機、及び空調空間からの還気について、排気及び送風用送風機への送風の少なくとも一方を行う還気用送風機を有する送風ユニットと、を備えた空調装置の制御方法であって、潜熱用コイルは、外気及び潜熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、顕熱用コイルは、外気及び顕熱ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方について温度を調整し、送風用送風機は、外気及び送風ユニットが有する還気用送風機によって送風された還気の少なくとも一方を送風し、潜熱ユニット、顕熱ユニット、及び送風ユニットのうち、1以上のユニットを動作させるステップを備えた、ものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様による空調装置等によれば、例えば、負荷のピーク時には、空調装置が備えているすべてのユニットを動作させることによって対応することができると共に、ピーク時以外においては、1以上のユニットを動作させないことによって、省エネルギーな空調を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態による空調装置の構成を示す模式図
図2】同実施の形態による空調装置の制御に関する構成を示すブロック図
図3】同実施の形態による空調装置における配管系統を示す図
図4】同実施の形態による空調装置の動作を示すフローチャート
図5】同実施の形態による空調装置における配管系統の他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による空調装置、及び空調装置の制御方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による空調装置は、潜熱処理を行う潜熱ユニット、顕熱処理を行う顕熱ユニット、送風を行う送風ユニットを備え、温度等の取得結果に応じて1以上のユニットを動作させるものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による空調装置1の構成を示す模式図であり、図2は、空調装置1の制御に関する構成を示すブロック図であり、図3は、潜熱用コイル11及び顕熱用コイル21に冷水を供給する配管系統を示す図である。
【0019】
空調装置1は、空調空間3の空調を行うものであり、除湿を行うための潜熱ユニット10と、空気の温度を調整するための顕熱ユニット20と、送風を行うための送風ユニット30と、空調空間3の温度や湿度などの情報を取得する取得部41と、取得部41による取得結果に基づいて、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30を制御する制御部42とを備える。空調空間3は特に限定されないが、例えば、オフィスや、商業施設、店舗、駅、空港、地下街などであってもよい。空調空間3は、例えば、人の出入りがある空間であってもよい。なお、本実施の形態では、空調空間3の空調が冷房である場合について主に説明する。
【0020】
潜熱ユニット10は、空気の湿度を調整する潜熱処理を行うユニットであり、潜熱用コイル11と、潜熱用送風機12と、還気用送風機13とを有し、必要に応じてダンパ14~16を有してもよい。ダンパ14は、還気用送風機13によって排気(EA)される空気の風量を調整するものであり、ダンパ15は、潜熱用送風機12によって取り込まれる外気(OA)の風量を調整するものであり、ダンパ16は、還気用送風機13から潜熱用送風機12に送風される還気(RA)の風量を調整するものであってもよい。
【0021】
潜熱用コイル11は、空気の温度及び湿度を調整するための熱交換器である。湿度の調整、すなわち除湿を行うため、潜熱用コイル11には、潜熱用コイル11を通過する空気の露点温度以下の温度の冷水が供給されてもよい。一例として、8℃の冷水が潜熱用コイル11に供給されてもよい。
【0022】
潜熱用送風機12は、潜熱用コイル11で温度の調整された空気を空調空間3に送る。なお、潜熱用コイル11では、温度及び湿度が調整されるため、潜熱用コイル11で温度の調整された空気は、厳密には、温度及び湿度の調整された空気となる。潜熱用送風機12は、外気及び還気の少なくとも一方を送風してもよい。外気と還気の割合は、例えば、ダンパ15,16の風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0023】
還気用送風機13は、空調空間3からの還気について、排気及び潜熱用送風機12への送風の少なくとも一方を行う。排気と潜熱用送風機12への送風の割合は、例えば、ダンパ14,16の風量が調整されることによって変更されてもよい。なお、還気用送風機13によって潜熱用送風機12に送風された還気は、潜熱用コイル11での温度調整の対象となる。したがって、潜熱用コイル11では、外気及び還気用送風機13によって送風された還気の少なくとも一方について温度が調整されることになる。
【0024】
顕熱ユニット20は、空気の温度を調整する顕熱処理を行うユニットであり、顕熱用コイル21と、顕熱用送風機22と、還気用送風機23とを有し、必要に応じてダンパ24~26を有してもよい。ダンパ24は、還気用送風機23によって排気される空気の風量を調整するものであり、ダンパ25は、顕熱用送風機22によって取り込まれる外気の風量を調整するものであり、ダンパ26は、還気用送風機23から顕熱用送風機22に送風される還気の風量を調整するものであってもよい。
【0025】
顕熱用コイル21は、空気の温度を調整するための熱交換器である。除湿は行わないため、顕熱用コイル21には、顕熱用コイル21を通過する空気の露点温度より高い温度の冷水が供給されてもよい。すなわち、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度は、潜熱用コイル11に供給される冷水の温度より高くてもよい。一例として、13℃の冷水が顕熱用コイル21に供給されてもよい。
【0026】
なお、潜熱用コイル11と顕熱用コイル21とは、供給される冷水の温度が異なる以外は同様の構成であってもよく、または、潜熱用コイル11の方が、顕熱用コイル21よりもより多くの冷水を保持できてもよい。この場合には、一例として、潜熱用コイル11の列数は、顕熱用コイル21の列数より多くてもよい。
【0027】
顕熱用送風機22は、顕熱用コイル21で温度の調整された空気を空調空間3に送る。顕熱用送風機22は、外気及び還気の少なくとも一方を送風してもよい。外気と還気の割合は、例えば、ダンパ25,26の風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0028】
還気用送風機23は、空調空間3からの還気について、排気及び顕熱用送風機22への送風の少なくとも一方を行う。排気と顕熱用送風機22への送風の割合は、例えば、ダンパ24,26の風量が調整されることによって変更されてもよい。なお、還気用送風機23によって顕熱用送風機22に送風された還気は、顕熱用コイル21での温度調整の対象となる。したがって、顕熱用コイル21では、外気及び顕熱ユニット20が有する還気用送風機23によって送風された還気の少なくとも一方について温度が調整されることになる。
【0029】
送風ユニット30は、送風処理を行うユニットであり、送風用送風機32と、還気用送風機33とを有し、必要に応じてダンパ34~36を有してもよい。ダンパ34は、還気用送風機33によって排気される空気の風量を調整するものであり、ダンパ35は、送風用送風機32によって取り込まれる外気の風量を調整するものであり、ダンパ36は、還気用送風機33から送風用送風機32に送風される還気の風量を調整するものであってもよい。
【0030】
送風用送風機32は、空気を空調空間3に送る。送風用送風機32によって送風される空気は、温度や湿度の調整されていない空気である。送風用送風機32は、外気及び還気の少なくとも一方を送風してもよい。外気と還気の割合は、例えば、ダンパ35,36の風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0031】
還気用送風機33は、空調空間3からの還気について、排気及び送風用送風機32への送風の少なくとも一方を行う。そのため、送風用送風機32は、外気及び送風ユニット30が有する還気用送風機33によって送風された還気の少なくとも一方を送風することになる。排気と送風用送風機32への送風の割合は、例えば、ダンパ34,36の風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0032】
本実施の形態による空調装置1が有するすべてのユニットの送風機やコイルの能力の合計が、従来の空調装置の送風機やコイルの能力と同程度になるように、各ユニットの送風機やコイルの能力が決定されてもよい。このようにすることで、例えば、すべてのユニットを動作させることによって、従来の空調装置と同程度の空調処理を行うことができると共に、動作させるユニットを減らすことによって、従来の空調装置よりも省エネルギーな空調処理を行うこともできるようになる。一例として、各ユニットの送風機の最大風量は、従来の空調装置の送風機の最大風量の1/3であってもよい。
【0033】
また、空調空間3に供給される供給空気の風量は、例えば、各ユニットの送風機によって調整されてもよく、供給空気の通過するダクトに設けられた可変風量装置(VAV:Variable Air Volume)によって調整されてもよい。送風機によって風量を調整する場合には、各ユニットにおいて、風量を調整できる送風機、例えば、インバータ制御される送風機や、DCモータを用いた送風機が用いられてもよい。
【0034】
ダンパ14~16、24~26、34~36は、例えば、モータダンパであり、制御部42によって風量を調整できてもよい。例えば、潜熱ユニット10において、ダンパ15,16の風量が調整されることによって、潜熱ユニット10から空調空間3に供給される空気における外気の割合を変更することができる。また、例えば、潜熱ユニット10において、ダンパ14,16の風量が調整されることによって、潜熱ユニット10への還気のうち、排気の割合を変更することができる。顕熱ユニット20、及び送風ユニット30についても同様である。また、各ユニットから空調空間3に送られる空気が、他のユニットに逆流しないようにするため、各ユニットから出力された供給空気は、それぞれダクトに設けられた逆流防止ダンパを介して空調空間3に供給されてもよい。
【0035】
取得部41は、外気の温度及び湿度、還気の温度及び湿度、空調空間3の温度及び湿度、空調空間3の人密度、並びに空調空間3の二酸化炭素濃度を取得する。温度は、いわゆる乾球温度であってもよい。湿度は、例えば、相対湿度であってもよく、絶対湿度であってもよい。また、結果として湿度を取得できる情報であれば、湿度以外の情報が取得されてもよい。例えば、空気の乾球温度と湿球温度とを用いて湿度を取得できる。したがって、空気の温度及び湿度を取得するとは、例えば、空気の乾球温度及び相対湿度を取得することであってもよく、空気の乾球温度及び湿球温度を取得することであってもよい。本実施の形態では、取得部41によって取得される湿度が相対湿度である場合について主に説明する。
【0036】
外気の温度及び湿度は、例えば、外気の温度を測定する温度センサ、及び外気の湿度を測定する湿度センサによって取得されてもよい。なお、外気の温度や湿度は、例えば、外気の取り込み口の近傍で測定されてもよい。また、還気の温度及び湿度は、例えば、還気の温度を測定する温度センサ、及び還気の湿度を測定する湿度センサによって取得されてもよい。なお、還気の温度や湿度は、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30において、または各ユニットの近傍で測定されることが好適である。また、動作しているユニット、すなわち送風を行っているユニットの還気の温度や湿度が測定されることが好適である。なお、すべてのユニットが動作していない場合には、例えば、還気の温度及び湿度として、空調空間3の温度及び湿度が用いられてもよい。空調空間3の温度及び湿度は、例えば、空調空間3に配置された温度センサ、空調空間3に配置された湿度センサによって取得されてもよい。空調空間3が広い場合には、複数箇所での測定を行い、その代表値を空調空間3の温度や湿度としてもよい。代表値は、例えば、平均値や中央値であってもよい。また、上記したように、例えば、湿度に代えて、湿球温度が取得されてもよい。
【0037】
空調空間3の人密度は、一例として、空調空間3に存在する人の人数を取得し、その人数を空調空間3の面積で除算することによって取得されてもよい。人密度の計算は、例えば、取得部41によって行われてもよく、または、他の装置で行われてもよい。後者の場合には、取得部41は、計算された人密度を受け付けるものであってもよい。空調空間3に存在する人の人数は、例えば、カメラによって撮影された撮影画像を用いて取得してもよい。撮影画像を用いた人数の取得は、例えば、撮影画像において人物の検出を行い、その検出した人物をカウントすることによって行われてもよい。空調空間3が広い場合には、2以上のカメラによって撮影された撮影画像を用いて空調空間3に存在する人の人数が取得されてもよい。また、他の方法を用いて空調空間3に存在する人の人数が取得されてもよい。例えば、取得部41は、スマートフォンなどの携帯端末から送信される無線信号に含まれるMAC(Media Access Control)アドレスを用いて、空調空間3に存在する人の人数を取得してもよい。また、取得部41は、例えば、空調空間3の出入り口において、空調空間3に入った人の人数と、空調空間3から出た人の人数とを取得することによって、空調空間3に存在する人の人数を取得してもよい。
【0038】
空調空間3の二酸化炭素濃度は、例えば、空調空間3に配置されたCO2センサによって測定されてもよい。空調空間3が広い場合には、複数箇所での測定を行い、その代表値を空調空間3の二酸化炭素濃度としてもよい。代表値は、例えば、平均値や中央値であってもよい。
【0039】
なお、取得部41は、例えば、温度センサや湿度センサなどのセンサを有していてもよく、または、温度センサや湿度センサなどのセンサ等からの情報を有線または無線で受信してもよい。
【0040】
制御部42は、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30のうち、1以上のユニットを動作させる。制御部42は、例えば、取得部41による取得結果と、空調空間3の目標温度及び目標湿度とに基づいて、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30のうち、1以上のユニットを動作させてもよい。この制御の詳細については後述する。なお、空調空間3の温度及び湿度が、目標温度及び目標湿度に近いなどのように、取得部41によって取得された情報が所定の条件を満たしている場合には、制御部42は、いずれのユニットも動作させなくてもよい。また、制御部42は、例えば、熱源機器5を制御してもよい。制御部42は、例えば、潜熱ユニット10を動作させず、顕熱ユニット20を動作させる場合に、供給される冷水の温度を高くするように熱源機器5を制御してもよく、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20を動作させない場合に、冷水の供給を停止するように熱源機器5を制御してもよい。
【0041】
制御部42は、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度を制御してもよい。この制御について図3を参照して説明する。図3で示されるように、熱源機器5は、冷却塔(クーリングタワー)5から供給される冷却水を用いて冷水を生成し、温度の高くなった使用済みの冷却水を冷却塔5に戻してもよい。また、熱源機器5によって生成された冷水は、配管61を介して潜熱用コイル11及び顕熱用コイル21に供給されてもよい。なお、熱源機器5から潜熱用コイル11に供給される冷水の流量は、流量調整バルブ51によって調整され、熱源機器5から顕熱用コイル21に供給される冷水の流量は、流量調整バルブ54によって調整されてもよい。また、潜熱用コイル11から排出された冷水は、配管63を介して顕熱用コイル21に供給されてもよい。潜熱用コイル11から配管63を介して顕熱用コイル21に供給される冷水の流量は、流量調整バルブ53によって調整されてもよい。また、潜熱用コイル11及び顕熱用コイル21から排出された冷水は、配管62を介して熱源機器5に戻されてもよい。潜熱用コイル11から排出された冷水のうち、熱源機器5に戻る冷水の流量は、流量調整バルブ52によって調整されてもよい。また、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度は、温度センサ55によって測定されてもよい。この温度センサ55による温度の測定は、例えば、配管61,63の接続箇所と、顕熱用コイル21との間で行われてもよい。なお、図3では図示していないが、配管61には、冷水を潜熱用コイル11等に送り出すためのポンプが存在してもよい。
【0042】
制御部42は、潜熱ユニット10、及び顕熱ユニット20が少なくとも動作される場合に、顕熱用コイル21に供給される冷水が所望の温度となるように、潜熱用コイル11から排出された冷水と、熱源機器5からの冷水との混合割合を制御してもよい。より具体的には、制御部42は、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20の両方を動作させる場合には、流量調整バルブ51を開けることによって潜熱用コイル11に熱源機器5からの冷水を供給してもよい。また、制御部42は、流量調整バルブ53,54を開けることによって、潜熱用コイル11から排出された冷水と、熱源機器5からの冷水とが混合された冷水が顕熱用コイル21に供給されるようにしてもよい。なお、配管61の水圧の方が、配管63の水圧よりも高い場合には、制御部42は、流量調整バルブ54を少し開けるだけであってもよい。また、制御部42は、温度センサ55によって測定された、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度を取得し、その温度が目標温度となるように、流量調整バルブ53,54を調整してもよい。例えば、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度を下げる場合には、顕熱用コイル21に熱源機器5からの冷水がより多く供給されるように流量調整バルブ53,54を調整し、顕熱用コイル21に供給される冷水の温度を上げる場合には、顕熱用コイル21に潜熱用コイル11からの冷水がより多く供給されるように流量調整バルブ53,54を調整してもよい。また、制御部42は、流量調整バルブ53を通過する冷水の流量に応じて流量調整バルブ52を調整することによって、潜熱用コイル11から冷水が適切に排出されるようにしてもよい。一例として、熱源機器5から供給される冷水が8℃である場合に、顕熱用コイル21に13℃の冷水が供給されるように制御部42によって流量調整バルブ53,54が調整されてもよい。このようにして、制御部42は、潜熱用コイル11から排出された冷水と、熱源機器5からの冷水とを用いて、顕熱用コイル21に目標温度の冷水を提供することができるようになる。また、潜熱用コイル11から排出された冷水を再利用することによって、省エネルギーの効果を高めることができる。
【0043】
なお、潜熱ユニット10が動作されない場合には、制御部42は、流量調整バルブ51を閉じることによって、潜熱用コイル11に冷水が供給されないようにしてもよい。この場合には、熱源機器5からの冷水のみが顕熱用コイル21に供給されてもよい。顕熱用コイル21に供給される冷水は、潜熱用コイル11に供給される冷水よりも温度が高くてもよいため、潜熱ユニット10が動作されない場合には、制御部42は、熱源機器5によって供給される冷水の温度を高くするように熱源機器5を制御してもよい。
【0044】
また、顕熱ユニット20が動作されない場合には、制御部42は、流量調整バルブ53,54を閉じることによって、顕熱用コイル21に冷水が供給されないようにしてもよい。この場合には、制御部42は、流量調整バルブ52を全開にしてもよい。
【0045】
次に、取得部41による取得結果を用いた制御部42による潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30の制御について説明する。
まず、制御部42は、取得部41によって取得された空調空間3の人密度に基づいて、空調空間3に供給される供給空気の風量を決定してもよい。例えば、空調空間3の人密度が大きいほど、供給空気の風量がより多くなるように風量が決定されてもよい。人密度と、供給空気の風量との関係は、例えば、テーブルや関数などによって示されており、制御部42は、それらを用いて、人密度に応じた風量を決定してもよい。一例として、空調空間3の人密度が0.4人/mを超えた場合に、制御部42は、供給空気の風量が最大の風量、すなわち3個のユニットによって実現できる最大の風量に決定されてもよい。なお、例えば、空調空間3に供給される供給空気の風量が可変風量装置によって調整される場合には、制御部42は、決定した風量に応じて可変風量装置を制御してもよい。また、例えば、空調空間3に供給される供給空気の風量が、各ユニットの送風機によって調整される場合には、制御部42は、決定した風量を実現できるように、動作対象のユニットにおける各送風機を制御してもよい。
【0046】
なお、制御部42は、供給空気の風量を決定する際に、取得部41によって取得された空調空間3の温度と、空調空間3の目標温度とを用いてもよい。制御部42は、例えば、空調空間3の温度と目標温度との差の絶対値が第1の閾値より小さく、かつ、空調空間3の人密度が第2の閾値より小さい場合に、空調空間3に供給される供給空気の風量を0に決定してもよい。第1の閾値は、例えば、両温度が実質的に同じと判断することができる程度に小さい正の実数であることが好適である。例えば、第1の閾値は、1℃や2℃などであってもよい。第2の閾値は、例えば、空調空間3に実質的にほとんど人がいないと判断することができる程度に小さい正の実数であることが好適である。例えば、第2の閾値は、0.1人/mや0.05人/mなどであってもよい。空調空間3への供給空気の風量が0になる場合には、制御部42は、例えば、すべてのユニットの動作を停止してもよい。この場合には、空調装置1による送風が停止されるため、還気も0になる。したがって、還気を用いて空調空間3の温度や湿度、二酸化炭素濃度を測定できなくなる。そのため、空調空間3への供給空気の風量が0になる可能性がある場合には、空調空間3の温度や湿度、二酸化炭素濃度は、空調空間3において直接、測定されることが好適である。
【0047】
制御部42は、取得部41によって取得された空調空間3の二酸化炭素濃度に基づいて、供給空気に含まれる外気の割合を決定してもよい。例えば、空調空間3の二酸化炭素濃度が高いほど、空調空間3に供給される供給空気に含まれる外気の割合が高くなるように、外気の割合が決定されてもよい。二酸化炭素濃度と、外気の割合との関係は、例えば、テーブルや関数などによって示されており、制御部42は、それらを用いて、二酸化炭素濃度に応じた外気の割合を決定してもよい。
【0048】
制御部42は、決定した外気の割合と、取得部41によって取得された、外気の温度及び湿度、還気の温度及び湿度、並びに空調空間3の温度及び湿度と、空調空間3の目標温度及び目標湿度とに基づいて、潜熱ユニット10を動作させるかどうかを決定してもよい。空調空間3の目標温度及び目標湿度は、図示しない記録媒体で記憶されており、制御部42は、それを読み出して用いてもよい。この目標温度及び目標湿度は、例えば、ユーザ等によって設定されてもよく、または、中央の制御装置によって設定されてもよい。
【0049】
制御部42は、例えば、決定した外気の割合や、取得された外気の温度及び湿度などの情報を用いることによって、決定した割合で混合された外気と還気との混合空気について、除湿が必要であるかどうかを判断し、除湿が必要な場合には潜熱ユニット10を動作させることに決定し、除湿が必要でない場合には潜熱ユニット10を動作させないことに決定してもよい。
【0050】
混合空気について除湿が必要かどうかは、例えば、次のように判断してもよい。制御部42は、決定した外気の割合と、取得された外気の温度及び湿度と、取得された還気の温度及び湿度とを用いることによって、その決定した割合で混合された外気と還気との混合空気の現在の絶対湿度を取得することができる。また、制御部42は、取得された空調空間3の温度及び湿度を用いることによって、空調空間3の現在の絶対湿度を取得することができる。また、制御部42は、空調空間3の目標温度及び目標湿度を用いることによって、空調空間3の目標絶対湿度を取得することができる。絶対湿度の取得は、一例として、空気線図を用いて行われてもよい。
【0051】
また、制御部42は、例えば、現在の空調空間3の絶対湿度と、空調空間3の目標絶対湿度とに基づいて、空調空間3に供給される供給空気の絶対湿度を決定してもよい。供給空気の絶対湿度は、例えば、現在の空調空間3の絶対湿度が、空調空間3の目標絶対湿度以下である場合には、空調空間3の目標絶対湿度に決定され、現在の空調空間3の絶対湿度が、空調空間3の目標絶対湿度より高い場合には、空調空間3の目標絶対湿度より低い絶対湿度に決定されてもよい。なお、現在の空調空間3の絶対湿度が、空調空間3の目標絶対湿度より高い場合には、両絶対湿度の差が大きいほど、供給空気の絶対湿度はより低い値に決定されてもよい。そして、制御部42は、例えば、現在の混合空気の絶対湿度から、供給空気の絶対湿度になるために除湿が必要である場合に、除湿が必要であると判断してもよい。
【0052】
より具体的には、制御部42は、現在の混合空気の絶対湿度から供給空気の絶対湿度を減算した結果が第3の閾値より大きい場合には、除湿が必要であると判断し、その減算結果が第3の閾値より小さい場合には、除湿が必要でないと判断してもよい。なお、その減算結果が第3の閾値と等しい場合には、例えば、除湿が必要であると判断してもよく、またはそうでなくてもよい。第3の閾値は、0以上の実数であり、現在の混合空気の絶対湿度から供給空気の絶対湿度を減算した結果が0以上であり、第3の閾値より小さい場合に、両絶対湿度が実質的に等しいと判断することができる程度に小さい値であることが好適である。例えば、第3の閾値は、0.0001kg/kg(DA)などであってもよい。
【0053】
なお、制御部42は、上記説明とは異なる方法によって、混合空気について除湿が必要かどうかを判断してもよい。制御部42は、例えば、現在の空調空間3の絶対湿度が目標湿度より高く、かつ、現在の混合空気の絶対湿度から目標絶対湿度になるために除湿が必要である場合に、除湿が必要であると判断し、そうでない場合に、除湿が必要でないと判断してもよい。
【0054】
制御部42は、決定した外気の割合と、取得部41によって取得された、外気の温度、還気の温度、及び空調空間3の温度と、空調空間3の目標温度とに基づいて、顕熱ユニット20を動作させるかどうかを決定してもよい。
【0055】
制御部42は、例えば、決定した外気の割合や、取得された外気の温度などの情報を用いることによって、決定した割合で混合された外気と還気との混合空気について、温度の調整、より具体的には冷房が必要であるかどうかを判断し、温度の調整が必要な場合には顕熱ユニット20を動作させることに決定し、温度の調整が必要でない場合には顕熱ユニット20を動作させないことに決定してもよい。
【0056】
混合空気について温度の調整が必要かどうかは、例えば、次のように判断してもよい。制御部42は、決定した外気の割合と、取得された外気の温度と、取得された還気の温度とを用いることによって、その決定した割合で混合された外気と還気との混合空気の現在の温度を取得することができる。また、制御部42は、例えば、取得された空調空間3の温度と、空調空間3の目標温度とに基づいて、空調空間3に供給される供給空気の温度を決定してもよい。供給空気の温度は、例えば、取得された空調空間3の温度が、空調空間3の目標温度以下である場合には、空調空間3の目標温度に決定され、取得された空調空間3の温度が、空調空間3の目標温度より高い場合には、空調空間3の目標温度より低い温度に決定されてもよい。なお、取得された空調空間3の温度が、空調空間3の目標温度より高い場合には、両温度の差が大きいほど、供給空気の温度はより低い値に決定されてもよい。そして、制御部42は、例えば、現在の混合空気の温度から、供給空気の温度になるために温度調整が必要である場合に、温度調整が必要であると判断してもよい。
【0057】
より具体的には、制御部42は、現在の混合空気の温度から供給空気の温度を減算した結果が第4の閾値より大きい場合には、温度の調整が必要であると判断し、その減算結果が第4の閾値より小さい場合には、温度調整が必要でないと判断してもよい。なお、その減算結果が第4の閾値と等しい場合には、例えば、温度調整が必要であると判断してもよく、またはそうでなくてもよい。第4の閾値は、0以上の実数であり、現在の混合空気の温度から供給空気の温度を減算した結果が0以上であり、第4の閾値より小さい場合に、両温度が実質的に等しいと判断することができる程度に小さい値であることが好適である。なお、制御部42は、例えば、潜熱ユニット10を動作させるかどうかに応じて閾値を変更してもよい。制御部42は、例えば、潜熱ユニット10を動作させない場合には、上記のように第4の閾値を用いて判断を行い、潜熱ユニット10を動作させる場合には、第4の閾値に代えて、第5の閾値を用いて判断を行ってもよい。第5の閾値は、第4の閾値より大きい実数であってもよい。第5の閾値は、現在の混合空気の温度から供給空気の温度を減算した結果が第4の閾値より大きく、第5の閾値より小さい場合に、動作された潜熱ユニット10によって、決定した供給空気の温度にまで、現在の混合空気の温度を調整できる程度の値であることが好適である。例えば、第4の閾値は、1℃や2℃などであってもよく、第5の閾値は、4℃や5℃などであってもよい。
【0058】
なお、制御部42は、上記説明とは異なる方法によって、混合空気について温度の調整が必要かどうかを判断してもよい。制御部42は、例えば、現在の空調空間3の温度が目標温度より高く、かつ、現在の混合空気の温度から目標温度になるために温度の調整が必要である場合に、温度の調整が必要であると判断し、そうでない場合に、温度の調整が必要でないと判断してもよい。
【0059】
制御部42は、決定した供給空気の風量に基づいて、送風ユニット30を動作させるかどうかを決定してもよい。制御部42は、例えば、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20の少なくとも一方を動作させる場合に、決定した供給空気の風量を、動作させるユニットによってカバーできるときに、送風ユニット30を動作させないことに決定し、そうでないときに、送風ユニット30を動作させることに決定してもよい。なお、制御部42は、例えば、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20の両方を動作させない場合であって、決定した供給空気の風量が0でない場合には、送風ユニット30を動作させると決定してもよい。
【0060】
また、制御部42は、決定結果に応じて、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30を制御してもよい。すなわち、制御部42は、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30のそれぞれについて、動作させると決定したユニットを動作させ、動作させないと決定したユニットを動作させないようにしてもよい。例えば、潜熱ユニット10が動作対象になった場合には、制御部42は、潜熱用送風機12や還気用送風機13を動作させると共に、潜熱用コイル11に冷水が供給されるように、流量調整バルブ51,52を調整してもよい。また、例えば、顕熱ユニット20が動作対象になった場合には、制御部42は、顕熱用送風機22や還気用送風機23を動作させると共に、顕熱用コイル21に所望の温度の冷水が供給されるように、温度センサ55の測定した温度に応じて流量調整バルブ52~54を調整してもよい。また、例えば、送風ユニット30が動作対象になった場合には、制御部42は、送風用送風機32や還気用送風機33を動作させてもよい。また、制御部42は、各ユニットにおいて所望の割合の外気と還気が送風されるように、例えば、ダンパ14~16,24~26,34~36を制御してもよい。
【0061】
また、制御部42は、潜熱ユニット10、及び顕熱ユニット20を動作させる場合に、外気と還気とのうち、絶対湿度の高い方が、潜熱ユニット10において温度及び湿度が調整されるように制御してもよい。すなわち、絶対湿度のより高い空気が、潜熱ユニット10において優先的に処理されるように外気と還気との各ユニットへの割り当てを行ってもよい。夏季であれば、通常、外気の絶対湿度の方が、還気の絶対湿度よりも高くなる。この場合には、制御部42は、潜熱ユニット10によって主に外気の温度調整が行われるように潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20の各ダンパを制御してもよい。
【0062】
より具体的には、決定された風量と、外気の割合とに応じて、外気の風量を特定することができる。そして、すべての外気の風量を潜熱ユニット10に割り当てることができる場合、すなわち、すべての外気の風量を潜熱ユニット10で送風できる場合には、制御部42は、外気が潜熱ユニット10のみに導入されるようにダンパ14~16,24~26を制御してもよい。なお、この場合に、潜熱ユニット10では、外気のみが温度調整の対象となってもよく、外気と還気との混合空気が温度調整の対象となってもよい。また、決定された外気の風量のすべてを潜熱ユニット10のみで送風することができない場合には、制御部42は、例えば、外気の風量を潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20に割り当ててもよく、さらに送風ユニット30にも割り当ててもよい。すなわち、制御部42は、潜熱ユニット10において外気のみが温度調整の対象となるように制御すると共に、残りの外気が顕熱ユニット20によって、また必要であれば送風ユニット30によって送風されるように制御してもよい。また、制御部42は、決定した外気と還気との割合となるように、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20から空調空間3に供給される還気の風量をそれぞれ制御してもよく、さらに必要であれば、送風ユニット30から空調空間3に供給される還気の風量も制御してもよい。これらの制御は、各ユニットが有するダンパの風量を調整することによって行われてもよい。
【0063】
また、制御部42は、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30を動作させる場合に、外気と還気とのうち、温度の高い方が、顕熱ユニット20において温度が調整されるように制御してもよい。すなわち、温度のより高い空気が、顕熱ユニット20において優先的に送風されるように外気と還気との各ユニットへの割り当てを行ってもよい。夏季であれば、通常、外気の温度の方が、還気の温度よりも高くなる。この場合には、制御部42は、顕熱ユニット20によって主に外気の温度調整が行われるように顕熱ユニット20及び送風ユニット30の各ダンパを制御してもよい。
【0064】
次に、空調装置1の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)制御部42は、各ユニットに関する制御を行うかどうか判断する。そして、制御を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、制御を行うと判断するまでステップS101の処理を繰り返す。なお、制御部42は、例えば、制御を行うと定期的に(例えば、30分ごとや1時間ごとなどに)判断してもよい。
【0065】
(ステップS102)取得部41は、外気の温度及び湿度等の情報を取得する。なお、取得された情報は、例えば、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0066】
(ステップS103)制御部42は、取得された空調空間3の人密度に基づいて、空調空間3に供給される供給空気の風量を決定する。
【0067】
(ステップS104)制御部42は、取得された空調空間3の二酸化炭素濃度に基づいて、供給空気に含まれる外気の割合を決定する。
【0068】
(ステップS105)制御部42は、外気の割合等に基づいて、除湿が必要であるかどうかを判断する。そして、除湿が必要である場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS107に進む。
【0069】
(ステップS106)制御部42は、潜熱ユニット10を動作対象のユニットに設定する。
【0070】
(ステップS107)制御部42は、外気の割合等に基づいて、温度調整が必要であるかどうかを判断する。そして、温度調整が必要である場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS109に進む。
【0071】
(ステップS108)制御部42は、顕熱ユニット20を動作対象のユニットに設定する。
【0072】
(ステップS109)制御部42は、それまでに動作対象に設定したユニットによって空調空間3に供給される供給空気の風量と、ステップS103で決定した風量とを比較することによって、追加の風量が必要であるかどうかを判断する。そして、追加の風量が必要である場合には、ステップS110に進み、そうでない場合には、ステップS111に進む。なお、制御部42は、例えば、それまでに動作対象に設定したユニットによって、ステップS103で決定した風量をカバーできる場合に、追加の風量が必要でないと判断し、そうでない場合に、追加の風量が必要であると判断してもよい。
【0073】
(ステップS110)制御部42は、送風ユニット30を動作対象のユニットに設定する。
【0074】
(ステップS111)制御部42は、動作対象に設定した各ユニットを制御することによって、空調空間3に温度調整等の行われた供給空気が供給されるようにする。そして、ステップS101に戻る。なお、このステップS111における制御内容は、ステップS101において次の制御を行うと判断されるまで維持されてもよい。すなわち、ステップS101において次の制御を行うと判断されるまでは、同じ制御が継続されてもよい。
【0075】
なお、図4のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0076】
次に、本実施の形態による空調装置1の動作について、具体例を用いて説明する。制御を行うタイミングになると、制御部42は、取得部41に各種の情報を所得するように指示する(ステップS101)。その指示を受け取ると、取得部41は、外気の温度及び湿度などの各種の情報を取得し、それらの情報を制御部42に渡す(ステップS102)。取得部41によって取得された情報を受け取ると、制御部42は、まず、取得された空調空間3の人密度に基づいて、空調空間3への供給空気の風量を決定する(ステップS103)。決定された風量はA1であったとする。また、制御部42は、取得された空調空間3の二酸化炭素濃度に基づいて、空調空間3への供給空気に含まれる外気の割合を決定する(ステップS104)。決定された外気の割合はA2であったとする。
【0077】
制御部42は、外気の割合A2と、取得された外気の温度及び湿度と、取得された還気の温度及び湿度と、取得された空調空間3の温度及び湿度とを用いて、外気の割合A2で混合された外気と還気との混合空気の現在の絶対湿度と、現在の空調空間3の絶対湿度とを取得する。また、制御部42は、空調空間3の目標温度及び目標湿度を用いて、空調空間3の目標絶対湿度を取得する。そして、制御部42は、現在の混合空気の絶対湿度と、現在の空調空間3の絶対湿度と、空調空間3の目標絶対湿度とを用いて、除湿が必要であるかどうかを判断する(ステップS105)。この場合には、除湿が必要であると判断されたとする。すると、制御部42は、潜熱ユニット10を動作対象のユニットに設定する(ステップS106)。
【0078】
また、制御部42は、外気の割合A2と、取得された外気の温度と、取得された還気の温度とを用いて、割合A2で混合された外気と還気との混合空気の現在の温度を取得する。そして、制御部42は、現在の混合空気の温度と、現在の空調空間3の温度と、空調空間3の目標温度とを用いて、温度調整が必要であるかどうかを判断する(ステップS107)。この場合には、温度調整が必要であると判断されたとする。すると、制御部42は、顕熱ユニット20を動作対象のユニットに設定する(ステップS108)。
【0079】
また、制御部42は、決定した風量A1を、動作対象に設定した潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20でカバーできるかどうかを判断する(ステップS109)。この場合には、風量A1が、潜熱ユニット10の風量と顕熱ユニット20の風量との合計よりも小さかったとする。すると、制御部42は、追加の風量は必要ないと判断し、送風ユニット30を、動作対象のユニットに設定しない。
【0080】
その後、制御部42は、動作対象に設定した潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20を制御する(ステップS111)。具体的には、制御部42は、決定した風量A1と、決定した外気の割合A2とを用いて、外気の風量B1と、還気の風量B2とを算出する。また、現在の外気の絶対湿度と、現在の還気の絶対湿度とを比較して、絶対湿度の高い方を特定する。この場合には、現在の外気の絶対湿度が現在の還気の絶対湿度より高かったとする。すると、制御部42は、外気が潜熱ユニット10で優先的に処理されるように外気と還気との割り当てを行う。
【0081】
具体的には、外気の風量B1が、動作対象に設定した潜熱ユニット10の風量以下であれば、制御部42は、外気の風量B1を潜熱ユニット10のみに割り当てる。この場合には、還気の風量B2が、動作対象に設定した顕熱ユニット20の風量以下であれば、制御部42は、還気の風量B2を顕熱ユニット20のみに割り当て、そうでなければ、還気の風量B2を潜熱ユニット10と顕熱ユニット20とに割り当てる。還気の風量B2を潜熱ユニット10と顕熱ユニット20とに割り当てる場合には、顕熱ユニット20では、還気のみが処理されるように割り当てが行われるものとする。
【0082】
外気の風量B1が、潜熱ユニット10の風量以下でなければ、制御部42は、外気の風量B1を潜熱ユニット10と顕熱ユニット20に割り当てる。この場合には、潜熱ユニット10では、外気のみが処理されるように割り当てが行われるものとする。そして、還気の風量B2は、顕熱ユニット20のみに割り当てられることになる。
【0083】
制御部42は、このように外気と還気との割り当てを行った後に、その割り当てに応じた送風が行われるように、各ダンパ14~16,24~26を制御する。具体的には、ダンパ14~16が調整されることによって、割り当てに応じた割合の外気と還気とが潜熱用送風機12によって送風され、潜熱用コイル11によって温度調整及び湿度調整が行われて空調空間3に供給されるようになる。また、ダンパ24~26が調整されることによって、割り当てに応じた割合の外気と還気とが顕熱用送風機22によって送風され、顕熱用コイル21によって温度調整が行われて空調空間3に供給されるようになる。また、例えば、各ユニットが有する送風機がインバータ制御等によって風量を調整できるものである場合には、目的とする風量を実現できるように、動作対象に設定した各ユニットの送風機が制御されてもよい。
【0084】
また、制御部42は、熱源機器5からの冷水が潜熱用コイル11に供給されるように流量調整バルブ51を調整する。また、制御部42は、温度センサ55によって取得された冷水の温度が、所定の温度となるように、流量調整バルブ53,54を調整すると共に、その調整結果に応じて、潜熱用コイル11からの排水が適切に行われるように流量調整バルブ52を調整する。なお、その所定の温度は、例えば、あらかじめ決まった温度であってもよく、現在の空調空間3の温度、空調空間3の目標温度に基づいて決定されてもよい。例えば、両温度の差が大きいほど、より低い温度に決定されてもよい。
【0085】
なお、潜熱ユニット10と顕熱ユニット20との風量では、決定された風量A1をカバーできない場合には、送風ユニット30も動作対象に設定されてもよい(ステップS110)。この場合には、外気と還気とのうち、絶対湿度がより高い空気が、潜熱ユニット10に優先的に割り当てられ、次に、外気と還気とのうち、温度がより高い空気が、顕熱ユニット20に優先的に割り当てられてもよい。
【0086】
また、除湿が必要ないと判断された場合には、潜熱ユニット10は動作対象に設定されず、顕熱ユニット20のみ、送風ユニット30のみ、または、顕熱ユニット20と送風ユニット30とが動作してもよい。顕熱ユニット20と送風ユニット30とが動作する場合には、外気と還気とのうち、温度のより高い空気が、顕熱ユニット20に優先的に割り当てられてもよい。
【0087】
以上のように、本実施の形態による空調装置1によれば、空調装置1がそれぞれ役割の異なる3つのユニットを備えることによって、低出力で空調を行う際の省エネルギー化を促進することができる。例えば、顕熱処理のみで空調を行うことができる場合には、潜熱ユニット10及び送風ユニット30を動作させないことによって、消費エネルギーを低減することができる。また、例えば、各ユニットがインバータ制御等によって風量を調整できる送風機を有している場合には、顕熱ユニット20のみを30%の出力で動作させることも可能になる。そのため、空調装置1全体としては、例えば、最大出力の10%で動作させることもできるようになり、より低出力の動作が可能になる。また、すべてのユニットを動作させることによって、負荷のピーク時の空調にも対応することができる。また、複数のユニットに分かれているため、例えば、一部のユニットが故障した場合でも、他のユニットを動作させることができ、空調が完全に停止することを回避することができる。また、複数のユニットに分かれているため、従来のように1個の大型のユニットから構成される空調装置を設置する場合と比較して、設置時の搬入作業などが容易になるというメリットもある。
【0088】
なお、本実施の形態では、図3で示されるように、潜熱用コイル11から排出された冷水を顕熱用コイル21に供給する場合について説明したが、そうでなくてもよい。潜熱用コイル11及び顕熱用コイル21のそれぞれに熱源機器からの冷水が供給されてもよい。この場合には、例えば、第1の熱源機器から潜熱用コイル11に冷水が供給され、第1の熱源機器とは異なる第2の熱源機器から顕熱用コイル21に冷水が供給されてもよい。一例として、潜熱用コイル11には第1の熱源機器から8℃の冷水が供給され、顕熱用コイル21には第2の熱源機器から13℃の冷水が供給されてもよい。
【0089】
また、潜熱用コイル11が用いられず、顕熱用コイル21が用いられる場合、すなわち、制御部42によって潜熱ユニット10が動作されず、顕熱ユニット20が動作される場合には、顕熱ユニット20の顕熱用コイル21に、冷却塔6から冷却水が供給されてもよい。この場合には、図5で示されるように、冷却塔6からの冷却水は、配管71を介して配管61に供給されてもよい。また、顕熱用コイル21から排出された冷却水は、配管62及び配管72を介して冷却塔6に戻されてもよい。冷却塔6によって生成された冷却水を顕熱用コイル21に供給する場合には、バルブ81,84が開けられ、バルブ82,83,85,86は閉じられてもよい。また、バルブ51~53は閉じられ、バルブ54は開けられてもよい。これらのバルブの開閉は、例えば、制御部42によって行われてもよい。この場合には、熱源機器5は停止されてもよい。このように、冷却塔6から供給される冷却水を用いて顕熱ユニット21を動作させることによって、より省エネルギー化を促進することができる。なお、熱源機器5からの冷水が潜熱用コイル11等に供給される場合には、バルブ81,84は閉じられ、バルブ82,83,85,86は開けられると共に、熱源機器5が動作されてもよい。このように、制御部42は、例えば、顕熱ユニット20を動作させ、潜熱ユニット10を動作させない場合には、冷却塔6からの冷却水が顕熱用コイル21に供給されるように制御し、潜熱ユニット10を少なくとも動作させる場合には、冷却塔6からの冷却水が熱源機器5に供給されるように制御すると共に、熱源機器5からの冷水が潜熱用コイル11に、または潜熱用コイル11と顕熱用コイル21とに供給されるように制御してもよい。冷水が潜熱用コイル11と顕熱用コイル21とに供給される場合には、上記したように、例えば、潜熱用コイル11から排出された冷水と、熱源機器5からの冷水とが混合された冷水が顕熱用コイル21に供給されてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、潜熱ユニット10、及び顕熱ユニット20を動作させる場合に、制御部42が、外気と還気とのうち、絶対湿度の高い方が、潜熱ユニット10において温度及び湿度が調整されるように制御する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、動作対象の各ユニットにおいて、制御部42が決定した割合の外気と還気との混合空気がそれぞれ処理されるようにしてもよい。この場合には、各ユニットにおいて、外気の割合が同じである混合空気が処理されることになる。
【0091】
また、本実施の形態では、取得部41によって種々の情報が取得される場合について説明したが、一部の情報が制御部42によって用いられない場合には、取得部41は、制御部42によって用いられない情報の取得を行わなくてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、空調装置1が取得部41及び制御部42を備える場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。空調装置1は、取得部41を備えていなくてもよく、また、制御部42を備えていなくてもよい。空調装置1が取得部41や制御部42を備えていない場合には、空調装置1の各ユニットは、例えば、外部の制御装置等によって制御されてもよく、手動で制御されてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30がそれぞれ還気用送風機13,23,33を有する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、外気についてのみ処理を行うユニットは、還気用送風機を有していなくてもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、空調装置1が、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30をそれぞれ1個ずつ備える場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。空調装置1は、例えば、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30のうち、少なくとも2個のユニットを備えていてもよい。すなわち、空調装置1は、潜熱ユニット10と顕熱ユニット20とを備えていてもよく、潜熱ユニット10と送風ユニット30とを備えていてもよく、顕熱ユニット20と送風ユニット30とを備えていてもよい。一例として、顕熱処理をほとんど行う必要がない環境において用いられる空調装置1は、潜熱ユニット10、及び送風ユニット30を備えており、顕熱ユニット20を備えていなくてもよい。また、空調装置1は、例えば、2個以上の潜熱ユニット10を備えていてもよく、2個以上の顕熱ユニット20を備えていてもよく、2個以上の送風ユニット30を備えていてもよい。例えば、2個以上の潜熱ユニット10を備えた空調装置1では、動作させる潜熱ユニット10の個数を変更することによって、除湿の程度をより細かく制御することができる。
【0095】
また、本実施の形態による空調装置1では、送風ユニット30が送風のみを行う場合について主に説明したが、送風ユニット30は、加湿器をさらに備えていてもよい。そして、送風ユニット30を用いて加湿が行われてもよい。例えば、還気と外気との混合空気の絶対湿度が、空調空間3の目標絶対湿度より低い場合に、制御部42は、送風ユニット30を動作させると共に、送風ユニット30の加湿器を用いた加湿を行うように制御してもよい。例えば、商業施設などでは冬に冷房が行われることもあるが、そのような場合には、顕熱ユニット20と送風ユニット30とが動作され、送風ユニット30を用いた加湿が行われてもよい。
【0096】
また、本実施の形態では、空調装置1によって空調空間3の冷房を行う場合について主に説明したが、空調装置1を用いて空調空間3の暖房を行ってもよいことは言うまでもない。暖房を行う場合には、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20に温水が供給され、その温水を用いて、潜熱ユニット10及び顕熱ユニット20において、空気の温度を上昇させる処理が行われてもよい。また、例えば、送風ユニット30において、加湿器を用いて加湿を行ってもよい。
【0097】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0100】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0101】
また、上記実施の形態において、空調装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0102】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、ソフトウェアにより実現可能な構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0103】
また、以上の実施の形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 空調装置
10 潜熱ユニット
11 潜熱用コイル
12 潜熱用送風機
13、23、33 還気用送風機
20 顕熱ユニット
21 顕熱用コイル
22 顕熱用送風機
30 送風ユニット
32 送風用送風機
41 取得部
42 制御部
【要約】
【課題】負荷のピーク時に対応することができると共に、ピーク時以外において、省エネルギーな運転を行うことができる空調装置を提供する。
【解決手段】空調装置1は、潜熱用コイル11、及び潜熱用コイル11で温度の調整された空気を空調空間に送る潜熱用送風機12を有する潜熱ユニット10と、顕熱用コイル21、及び顕熱用コイル21で温度の調整された空気を空調空間に送る顕熱用送風機22を有する顕熱ユニット20と、空気を空調空間に送る送風用送風機32を有する送風ユニット30と、潜熱ユニット10、顕熱ユニット20、及び送風ユニット30のうち、1以上のユニットを動作させる制御部42とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5