(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】仕上がり品引渡システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240502BHJP
G07F 17/12 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G06Q50/10
G07F17/12
(21)【出願番号】P 2020024611
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591261428
【氏名又は名称】株式会社ライト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096218(JP,A)
【文献】特開2002-117455(JP,A)
【文献】特開2019-003511(JP,A)
【文献】特開2004-110082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 17/10-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング処理後の仕上がり品を顧客に引き渡すための仕上がり品引渡システムであって、
仕上がり品が収納される複数の収納部を有するロッカー装置と、
顧客を識別し、この識別した顧客に関する解錠情報及び収納先情報を出力する顧客用装置と、
顧客からのロッカー引取予約の要求に応じて予約情報を登録するとともに、前記顧客用装置に向けて前記解錠情報及び前記収納先情報を送信する登録装置とを備え、
前記顧客用装置は、前記登録装置に向けて引取情報を送信するものであり、
前記登録装置は、前記ロッカー引取予約に係る仕上がり品を顧客が引き取りに来たことを示す引取済み表示が前記引取情報に基づいて印刷された印刷物を出力する
ことを特徴とする仕上がり品引渡システム。
【請求項2】
クリーニング処理後の仕上がり品を顧客に引き渡すための仕上がり品引渡システムであって、
仕上がり品が収納される複数の収納部を有するロッカー装置と、
顧客を識別し、この識別した顧客に関する解錠情報及び収納先情報を出力する顧客用装置と、
顧客からのロッカー引取予約の要求に応じて予約情報を登録するとともに、前記顧客用装置に向けて前記解錠情報及び前記収納先情報を送信する登録装置とを備え、
前記顧客用装置は、前記登録装置に向けて引取情報を送信するものであり、
前記ロッカー装置は、行列状に並ぶ前記複数の収納部を有し、
前記複数の収納部の各々は、
前記ロッカー引取予約に係る仕上がり品が開口を介して出し入れ可能に収納される収納室と、
前記開口を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉の開動作を規制する施錠状態及び前記開閉扉の開動作を許容する解錠状態になり、前記解錠情報によって前記施錠状態から前記解錠状態に切り換え可能な施錠手段とを有し、
前記登録装置は、
前記ロッカー装置の構成に関するロッカー構成情報を記憶する記憶部と、
前記ロッカー引取予約に係る仕上がり品を顧客が引き取ったかどうかを確認するための印刷物を出力するプリンター部とを有し、
前記印刷物には、
前記複数の収納部に対応する行列状の複数のマス目からなるマス目群が前記ロッカー構成情報に基づいて印刷され、かつ、前記複数の収納部のうちの予約済みの収納部に対応するマス目には、前記ロッカー引取予約に係る仕上がり品を顧客が引き取りに来たことを示す引取済み表示が前記引取情報に基づいて印刷される
ことを特徴とする仕上がり品引渡システム。
【請求項3】
顧客用装置は、
顧客を識別する識別手段と、
前記識別手段によって識別された顧客に関する解錠情報及び収納先情報を表示する表示手段とを有する
ことを特徴とする請求項1
又は2記載の仕上がり品引渡システム。
【請求項4】
顧客用装置は、ロッカー装置の近傍に設置されている
ことを特徴とする請求項1ないし
3のいずれか一記載の仕上がり品引渡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング処理後の仕上がり品を顧客に引き渡すための仕上がり品引渡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された仕上がり品引渡システムが知られている。この従来の仕上がり品引渡システムは、登録装置であるレジスター装置と、仕上がり品が収納される複数の収納部を有する暗証番号式のロッカー装置とを備え、レジスター装置は、顧客からのロッカー引取予約の要求に応じて予約情報を登録するとともに当該顧客の顧客端末に向けて少なくとも暗証番号及び収納先情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の仕上がり品引渡システムでは、利用者である顧客が顧客端末を所持している必要があり、顧客端末を所持していない者は利用できない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、利便性の向上を図ることができる仕上がり品引渡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の仕上がり品引渡システムは、クリーニング処理後の仕上がり品を顧客に引き渡すための仕上がり品引渡システムであって、仕上がり品が収納される複数の収納部を有するロッカー装置と、顧客を識別し、この識別した顧客に関する解錠情報及び収納先情報を出力する顧客用装置とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の仕上がり品引渡システムは、請求項1記載の仕上がり品引渡システムにおいて、顧客用装置は、顧客を識別する識別手段と、前記識別手段によって識別された顧客に関する解錠情報及び収納先情報を表示する表示手段とを有するものである。
【0008】
請求項3記載の仕上がり品引渡システムは、請求項1又は2記載の仕上がり品引渡システムにおいて、顧客からのロッカー引取予約の要求に応じて予約情報を登録する登録装置を備え、前記登録装置は、顧客用装置に向けて解錠情報及び収納先情報を送信するものである。
【0009】
請求項4記載の仕上がり品引渡システムは、請求項3記載の仕上がり品引渡システムにおいて、顧客用装置は、登録装置に向けて引取情報を送信するものである。
【0010】
請求項5記載の仕上がり品引渡システムは、請求項1ないし4のいずれか一記載の仕上がり品引渡システムにおいて、顧客用装置は、ロッカー装置の近傍に設置されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る仕上がり品引渡システムの構成図である。
【
図2】レジスター装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】ロッカー装置を示す図で、(a)が装置全体の斜視図であり、(b)がボタン錠の正面図である。
【
図4】顧客用装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】顧客からロッカー引取予約の依頼があった際のフローチャートである。
【
図6】(a)及び(b)はレジスター装置のタッチパネル部に表示された予約用画面の例である。
【
図7】タッチパネル部に表示された未返却品一覧の例である。
【
図8】顧客端末に表示された予約用画面の例である。
【
図9】店員がロッカー装置に仕上がり品を収納する際のフローチャートである。
【
図10】レジスター装置のプリンター部によって印刷された印刷物(収納用一覧)の例である。
【
図11】顧客による引き取りの際のフローチャートである。
【
図13】レジスター装置のプリンター部によって印刷された印刷物(確認用一覧)の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、1は仕上がり品引渡システムで、この仕上がり品引渡システム1は、クリーニング店の閉店後(例えば夜間等)に、クリーニング処理後の仕上がり品(クリーニング処理後の衣類等の品物)を顧客に無人で引き渡すためのシステムである。
【0015】
仕上がり品引渡システム1は、クリーニング処理前の預かり品(クリーニング処理前の衣類等の品物)を顧客から預かった際にクリーニング代金を決済するとともに、当該預かり品に関する情報やロッカー引取予約に関する予約情報等を登録する登録装置であるレジスター装置2と、クリーニング処理後の仕上がり品が一時的に収納(保管)される例えば暗証番号式のロッカー装置3と、このロッカー装置3の近傍に設置され、仕上がり品を夜間等に引き取りに来た顧客に関する所定の情報(例えば少なくとも解錠情報及び収納先情報)を出力する顧客用装置4とを備えている。
【0016】
なお、レジスター装置2は、例えば室内である店内に設置されたPOSレジスター(POS端末)である。他方、ロッカー装置3は、例えば配線工事が不要な機械式の比較的安価なボタン錠スチールロッカー(汎用品)で、何時でも顧客がアクセス可能な場所であるシャッターの外側等に設置されており、このロッカー装置3の隣に顧客用装置4が設置されている。
【0017】
レジスター装置2は、
図1に示すように、金銭を収納可能な引出し等を有する装置本体部5と、店員(操作者)が指やタッチペンで操作可能な入力部兼表示部であるタッチパネル部6と、各種の印刷物を印刷するプリンター部7とを備えている。
【0018】
また、このレジスター装置2は、
図2に示すように、制御部10を備え、この制御部10には、タッチパネル部6及びプリンター部7のほか、記憶部11、ネットワーク接続部12及び電源部13が接続されている。
【0019】
記憶部11は、各種の情報を記憶するもので、この記憶部11には、例えば顧客情報(顧客氏名及び電話番号のほか、顧客端末を所持する者はメールアドレス等の連絡先を含む)、預かり品情報、予約情報、ロッカー構成情報(ロッカー装置3の構成に関する情報)、暗証番号自動生成のための情報等が記憶されている。
【0020】
ネットワーク接続部12は、制御部10を店内ネットワーク(LAN)等のネットワークに接続するためのものであり、制御部10はネットワークを介して顧客用装置4との間で情報のやりとりを行う。なお、顧客が所持する各顧客端末と制御部10との間においても情報のやりとりを行うようにしてもよい。
【0021】
制御部10は、
図2に示されるように、各顧客ごとに異なる解錠情報である暗証番号(例えば4桁の数字)を自動的に生成する暗証番号生成手段(解錠情報生成手段)16と、顧客からのロッカー引取予約の要求(依頼)に応じて、店員又は顧客が入力した所定の情報に基づき予約情報を登録する予約情報登録手段17と、顧客用装置4に向けて少なくとも暗証番号(収納先の施錠手段を解錠するためのロッカー用の解錠情報)及び収納先情報(仕上がり品が収納された収納先の収納部を示す情報)を送信(転送)する送信手段18とを有している。
【0022】
なお、予約情報登録手段17によって記憶部11に各予約ごとに生成されて登録される予約情報は、少なくとも暗証番号、収納先情報、顧客情報、伝票番号、希望引取日情報及び期間を含むものである。
【0023】
ロッカー装置3は、
図3(a)に示すように、例えば安価な暗証番号式のボタン錠スチールロッカーからなるもので、上下方向及び水平方向に近接して並んで行列状をなす複数(例えば2行3列で、合計6個)の箱状をなす施錠可能なロッカー部である収納部21を備えている。なお、
図3(a)に示す例では、収納部21の数は6個であるが、それ以上でもよく、規模に応じて容易に拡張可能であって、例えば100個以上でもよい。
【0024】
各収納部21は、ロッカー引取予約に係る仕上がり品が前面開口22を介して出し入れ可能に収納される収納室23と、この収納室23の前面開口22を開閉する回動可能な開閉扉24と、この開閉扉24に設けられ、開閉扉24の開動作(開方向への回動)を規制する施錠状態及び開閉扉24の開動作を許容する解錠状態になり、施錠の際に予め設定された暗証番号(例えば4桁の数字)によって施錠状態から解錠状態に切り換え可能な機械式の施錠手段であるボタン錠25とを有している。
【0025】
ボタン錠25は、
図3(b)に示すように、押し操作可能な12個のボタン(0~9、#、C)26と、施錠位置及び解錠位置間で回動可能な操作レバー27とを有しており、この操作レバー27には、図示しない非常解錠用キーを挿入するキー孔28が開口形成されている。
【0026】
そして、施錠の際には、操作レバー27が解錠位置に位置した状態で、ボタン26の押し操作によって暗証番号を設定した後、操作レバー27を施錠位置に回動させることで、ボタン錠25が施錠状態となる。また、解錠の際には、操作レバー27が施錠位置に位置した状態で、予め設定しておいた暗証番号に対応するボタン26を押し操作した後、操作レバー27を解錠位置に回動させることで、ボタン錠25が解錠状態となる。このように施錠・解錠が可能なボタン錠25は、オールメカ式なので、電気配線も不要であり、停電時でも使用できる。
【0027】
顧客用装置4は、
図4に示すように、制御部51を備え、この制御部51にはタッチパネル部52、記憶部53等が接続されている。また、この制御部51は、店舗に仕上がり品を引き取りに来た顧客を識別(認識)する識別手段54を有している。
【0028】
タッチパネル部52は、入力手段を兼ねた表示手段であり、制御部51による制御に基づき、識別手段54によって識別された顧客(予約顧客)に対して少なくとも暗証番号及び収納先情報を表示する。
【0029】
記憶部53は、例えば顧客を識別(認証)するための情報、予約した顧客に対応する暗証番号・収納先情報、仕上がり品に関する収納・引き取り・引き上げの情報等を記憶する。
【0030】
識別手段54は、例えば磁気カード、バーコード、携帯端末、ICカード、カメラによる顔認証等によって顧客を識別して特定するものである。そして、この識別された顧客(予約顧客)に対して当該顧客に関する仕上がり品の引き取りに必要な情報が提示される。
【0031】
次に、仕上がり品引渡システム1の作用等について図面を参照して説明する。
【0032】
まず、
図5は、顧客からロッカー引取予約の依頼(要求)があった際のフローチャートである。
【0033】
図5に示すように、顧客からロッカー引取予約、つまり希望引取日におけるロッカー装置3での仕上がり品の引き取りの予約の依頼があると(ステップ1)、クリーニング店の店員は、日付ごとの予約状況の確認を行う(ステップ2)。
【0034】
具体的には、顧客は、例えば来店してクリーニング処理前の品物(預かり品)を預けてクリーニングを依頼する際に、仕上がり品の希望引取日(1日でも、複数日でもよい)を店員に告げて、ロッカー引取予約を依頼する。
【0035】
すると、店員は、レジスター装置2のタッチパネル部6に表示された予約用画面、すなわち例えば
図6(a)の予約用画面をみて、希望引取日における予約状況(収納部21の空き状況)を確認する。
【0036】
例えば予約用画面中の「11月4日」に示されている「4」は、「11月4日には予約されていない4つの空きの収納部21が存在する」という意味である。また、予約用画面は、日付ごとに予約可能な空きの収納部数を示すカレンダー部31に加えて、日数入力部32、収納先数入力部(棚数入力部)33、取消ボタン34及び確定ボタン35を有している。
【0037】
次いで、店員は、希望引取日に仕上がり品の量(仕上がり品の点数等)に応じた必要な数の空きの収納部21があるか否かを判断し(ステップ3)、それがあると判断した場合には予約用画面での予約処理作業を行い(ステップ4)、それがないと判断した場合には顧客に対してロッカー引取予約を断る(ステップ5)。
【0038】
そして、店員による予約処理作業に基づき、レジスター装置2の制御部10の予約情報登録手段17が予約情報を登録する(ステップ6)。
【0039】
ここで、店員による予約用画面での予約処理作業等について具体的に説明する。
【0040】
例えば本日である「11月1日」に、「ワイシャツ20点」を持って来店した顧客(「田中」)から、「11月4日~11月6日」(例えば3泊の予約)のロッカー引取予約の依頼があった場合において、店員は、予約用画面をみて予約可能と判断したときには、
図6(b)に示すように、予約用画面中の日数入力部32に「3」(1以上の整数)を入力する。
【0041】
すると、予約用画面中のカレンダー部31において、入力した「3」に対応する複数の日付(日付ボタン)を選択可能な状態となり、店員が最初の日の「11月4日」の日付ボタン31aをタッチ操作して選択することによって、指定した日数である3日分の日付ボタン(「11月4日」の日付ボタン31a、「11月5日」の日付ボタン31b、及び「11月6日」の日付ボタン31c)が自動的に選択される。なお、顧客による引取希望が1泊の場合には、店員は、画面中の日数入力部32に「1」を入力した後、希望引取日に対応する日付ボタンをタッチ操作して選択する。
【0042】
また、店員は、「ワイシャツ20点」を収納するには、2個の収納部21が必要であるため、予約用画面中の収納先数入力部33には、必要な収納先数として「2」(2以上の整数)を入力する。なお、後述の確定ボタン35の操作により、当該整数に対応する複数の収納部21が予約済みの収納部21となるが、この際、互いに隣接する収納部21が優先して選択される。
【0043】
そして、この状態で店員が確定ボタン35をタッチ操作すると、制御部10の予約情報登録手段17によって、顧客(「田中」)のロッカー引取予約に関する予約情報が記憶部11に登録されて記憶される。
【0044】
この際、暗証番号生成手段16によって暗証番号(例えば「1578」)が自動生成され、この暗証番号が予約情報の一部となり、予約情報を構成する他の情報と関連付けられる。またこの際、伝票番号(例えば「1124」、「1125」)や、収納先情報(収納部番号である例えば「ロッカー番号1」、「ロッカー番号2」)等も生成される。
【0045】
なお、暗証番号等の生成タイミングは、他のタイミング、すなわち例えばプリンター部7による印刷物の印刷時等でもよい。また、暗証番号生成手段16は、暗証番号を自動生成する際に、同一の顧客のものが既に生成されている場合は顧客の利便性のために同じ暗証番号とし、逆に、異なる顧客と同一の暗証番号になった場合には、仕上がり品の誤引取を防ぐために自動的に再生成して異なる暗証番号とする。
【0046】
また、例えば来店時ではなく、後に電話やメール等で顧客からロッカー引取予約の依頼があった場合には、店員は、
図7に示す当該顧客の未返却品一覧から、該当引取品を選択して伝票番号を取得する。
【0047】
また一方、顧客は、自己が所持する顧客端末を使用して、当該顧客端末に表示された
図8の予約用画面でロッカー引取予約の依頼(要求)をすることも可能である。この場合、必要な収納先数は自動的に計算され、かつ、日数は自動的に「1」と設定される。なお、日数を複数選択できるようにしてもよい。
【0048】
次に、
図9は、店員がロッカー装置3に仕上がり品を収納する際のフローチャートである。
【0049】
店員は、閉店時(例えば11月4日の19時)等に、レジスター装置2のプリンター部7により、登録された予約情報に基づく第1印刷物、すなわち例えば
図10に示す収納用一覧(印刷物)41を印刷する(ステップ1)。
【0050】
次いで、店員は、本日収納すべき収納対象を示す収納用一覧41に基づき、ロッカー引取予約に係る仕上がり品をそれに対応する予約済みの収納部21に収納する(ステップ2)。
【0051】
この収納の際、店員は、ロッカー装置3の収納部21のボタン錠25を操作することで、収納用一覧41に記載の暗証番号を設定して施錠する(ステップ3)。
【0052】
ここで、収納用一覧41には、
図10に示すように、ロッカー装置3の複数の収納部21に対応する行列状の複数のマス目(2行3列で6つのマス目)42からなるマス目群43がロッカー構成情報に基づいて印刷され、かつ、それら複数の収納部21のうちの予約済みの収納部21に対応するマス目42には少なくとも暗証番号及び収納先情報(収納部番号)が予約情報に基づいて印刷されている。
【0053】
すなわち、収納用一覧41は、ロッカー装置3の収納部21と同じ数のマス目42を有しており、それらのうち収納対象の予約済みの収納部21に対応するマス目42には、暗証番号及び収納先情報のほか、それらの間の位置に、顧客情報(顧客氏名)及び伝票番号が印刷されている。なお、以前から既に仕上がり品が収納されている場合は、希望引取日情報が印刷されている。また、予約されていない空きの収納部21に対応するマス目42には、「空き」という文字が印刷されている。
【0054】
そして、このように、収納用一覧41はロッカー装置3の構成に対応したものであるから、店員は、仕上がり品をどの収納部21に収納すべきかを容易に把握でき、仕上がり品の収納作業を効率良く行うことができるとともに、仕上がり品の誤収納を防止できる。
【0055】
また、上述した収納作業の完了後、店員は、レジスター装置2の制御部10の送信手段18により、ロッカー引取予約に関する暗証番号(解錠情報)及び収納先情報を顧客用装置4へ送信する。
【0056】
レジスター装置(入力装置)2と顧客用装置(出力装置)4とは、LAN等のネットワークで互いに接続されていることが望ましいが、例えば両装置が互いに接続されていない構成でもよく、この場合には、例えば店員が顧客用装置4のタッチパネル部52を操作して当該情報を手入力したり、或いは、当該情報のバーコードやQRコード(登録商標)を顧客用装置4の読取部で読み取って当該情報を読取入力したりしてもよい。
【0057】
なお、レジスター装置2から顧客用装置4への情報送信の際に、従来の特開2019-96218号公報に記載の如く、例えばSMS、Eメール、アプリ等を利用して、ロッカー引取予約済みの顧客の顧客端末(例えば予め登録されたメールアドレス等の連絡先)に当該情報を含むメッセージを送信するようにしてもよい。そのメッセージは、例えば「ロッカー番号:1,2」(収納先情報)、「暗証番号:1234」(解錠情報)、「期間:11月7日開店時まで」(希望引取日情報に基づく引き取り可能な予約期限情報)を含むものである。
【0058】
次に、
図11は、顧客による引き取り(顧客への無人引き渡し)の際のフローチャートである。
【0059】
例えば閉店後に顧客が仕上がり品を引き取るために店舗に来ると、顧客は、顧客用装置4の識別手段54によって識別されて特定される(ステップ1)。
【0060】
そして、当該特定された予約顧客の仕上がり品がロッカー装置3に収納されている場合には、例えば
図12に示す画面(情報出力画面)が顧客用装置4のタッチパネル部52に表示されるとともに、引取情報が記憶部53に登録(記憶)される(ステップ2)。
【0061】
すると、顧客は、表示されたロッカー番号(「No1」「No2」)の収納部21のボタン錠25に対して、表示された暗証番号(「1578」)を入力してそれを解錠する(ステップ3)。
【0062】
その後、顧客は、解錠された収納部21の開閉扉24を開いて仕上がり品を受け取る(ステップ4)。
【0063】
このように、閉店後の夜間や開店前の早朝であっても、顧客は、店舗に来て仕上がり品を引き取ることが可能である。なお、識別手段54で識別された顧客が店舗に引き取りに来たという引取情報は、顧客用装置4からレジスター装置2に送信される。
【0064】
次に、店員は、翌日の開店時等に、レジスター装置2のプリンター部7で第2印刷物、すなわち例えば
図13に示す確認用一覧(印刷物)46を印刷し、この印刷した確認用一覧46に基づいて予約済みの収納部21内を確認する。
【0065】
確認用一覧46には、顧客が引き取りに来たことを示す引取済み表示(例えば「済」という文字)が引取情報に基づいて印刷表示されているので、これを利用して夜間や早朝に顧客が仕上がり品を引き取ったかどうかを容易に確認できる。
【0066】
また、確認用一覧46には、収納用一覧41と同様、ロッカー装置3の複数の収納部21に対応する行列状の複数のマス目(2行3列で6つのマス目)42からなるマス目群43がロッカー構成情報に基づいて印刷され、かつ、それら複数の収納部21のうちの予約済みの収納部21に対応するマス目42には少なくとも暗証番号及び収納先情報(収納部番号)が予約情報に基づいて印刷されている。
【0067】
すなわち、確認用一覧46は、ロッカー装置3の収納部21と同じ数のマス目42を有しており、それらのうち確認対象の予約済みの収納部21に対応するマス目42には、暗証番号及び収納先情報のほか、それらの間の位置に、顧客情報(顧客氏名)及び希望引取日情報が印刷されている。また、予約されていない空きの収納部21に対応するマス目42には、「空き」という文字が印刷されている。このように、確認用一覧46はロッカー装置3の構成に対応したものであるから、店員は、予約顧客へ仕上がり品を引き渡したかどうかを確認すべき収納部21を容易に把握でき、その確認作業を効率良く行うことが可能である。
【0068】
また、仕上がり品が実際に引き取られていた収納部21については、その旨を記憶部11に登録して予約状況を更新し、その結果当該収納部21は解放される。また、引き取り可能な予約期限を過ぎた収納部21については、その収納部21内から仕上がり品を引き上げ、その旨を記憶部11に登録して予約状況を更新し、その結果当該収納部21は解放される。
【0069】
そして、上記仕上がり品引渡システム1によれば、顧客からのロッカー引取予約の要求に応じて予約情報を登録するレジスター装置2と、施錠可能な複数の収納部21を有するロッカー装置3と、識別した顧客に対して少なくとも解錠情報及び収納先情報を出力する顧客用装置4とを備えるため、利便性の向上を図ることができ、よって例えば顧客端末を所持していない者でも利用でき、また引き取りの際に予約顧客が顧客端末(携帯電話等)の持参を忘れたとしても仕上がり品を引き取ることができる。
【0070】
また、比較的安価な暗証番号式のロッカー装置3を利用することで、コスト低減を図ることができるとともに、閉店後の夜間や早朝等でも顧客に仕上がり品を適切に引き渡すことができる。
【0071】
なお、顧客用装置4は、ロッカー装置3とは別体でその近傍に設置されるものには限定されず、例えばロッカー装置に内蔵されて一体化されたもの等でもよい。
【0072】
また、収納部の数が多い大型のロッカー装置を用いる場合には顧客用装置を複数設置してもよい。
【0073】
さらに、仕上がり品引渡システムは、仕上がり品の引渡専用のシステムには限定されず、例えば預かり品の自動預かり部を付加した構成等でもよく、また例えばレジスター装置を含まずロッカー装置と顧客用装置とで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 仕上がり品引渡システム
2 登録装置であるレジスター装置
3 ロッカー装置
4 顧客用装置
21 収納部
52 表示手段であるタッチパネル部
54 識別手段