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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】物品把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240502BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
B08B3/02 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020049145
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146449
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-077498(JP,A)
【文献】特開2002-367945(JP,A)
【文献】特開2015-134381(JP,A)
【文献】特開2011-251828(JP,A)
【文献】特開2013-136107(JP,A)
【文献】特開2018-194362(JP,A)
【文献】特開2019-025646(JP,A)
【文献】特開2019-058967(JP,A)
【文献】特開2019-111617(JP,A)
【文献】国際公開第2018/220208(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/176808(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0114959(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0097311(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06-15/08
B08B 3/02-11/02
B65G 45/10-61/00
H01L 21/304-21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が群として配置される領域から一部の前記物品を把持する把持部と、
前記物品は、粘着性のある食品であり、
前記物品の重量値を計量する計量部と、
前記把持部の動作を制御し、
前記把持部が、前記物品を把持し、その後に前記重量値が計量された前記物品の把持を解除する第1動作モードと、
前記把持部が、前記物品の把持を解除した後、洗浄される第2動作モードと、
を選択的に切り換える制御部と、
を備える、
物品把持装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記把持部の動作モードを前記第2動作モードに切り換える際、前記第1動作モードにより前記物品の把持を解除した後、前記第2動作モードに移行する、
請求項1に記載の物品把持装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2動作モードにおいて、前記物品から前記把持部に付着した物質に、回転、振動、揺動および往復移動の少なくとも1つの挙動を与える所定の洗浄動作を行わせる、
請求項1又は請求項2に記載の物品把持装置。
【請求項4】
前記所定の洗浄動作は、
前記物品を把持する方向と同方向に前記把持部が動作する第1方向動作と、
前記物品の把持を解除する方向と同方向に前記把持部が動作する第2方向動作と、
を交互に繰り返す動作である、
請求項3に記載の物品把持装置。
【請求項5】
前記所定の洗浄動作における前記把持部の動作速度は、前記把持部が前記物品を把持するときの、または前記物品の把持を解除するときの動作速度と異なる、
請求項3又は請求項4に記載の物品把持装置。
【請求項6】
前記第2動作モードにおいて、前記制御部は、前記把持部を液体が存在する場所へ移動させ、前記把持部を前記液体の中に浸ける、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品把持装置。
【請求項7】
前記第2動作モードにおいて、前記制御部は、前記把持部を液体が散布される場所へ移動させ、前記把持部と前記液体とを接触させる、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品把持装置。
【請求項8】
液体が入った容器と、
前記容器を移動させる容器搬送部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記把持部の動作モードを前記第2動作モードに切り換える際、前記容器搬送部を介して前記容器を前記把持部と前記液体とが接触する位置まで移動させる、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
秤量して分配する装置として、例えば、特許文献1(特開平6-3182号公報)に、物品の一部分を把持して取り去る把持手段および、物品の一部分の重量を記録する秤量手段が各々に備えられている複数の採集ユニットを有する装置が開示されている。
【0003】
当該装置は、分配手段と、所定の合計重量のために予めプログラムされているコンピュータをさらに備え、把持手段により把持された物品の重量を秤量手段により計測し、所定場所に投入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記装置では、物品が粘質性の食材の場合、把持手段が食材を開放しても把持部材から外れずに付着したままの食材が積層され、把持量の定量化を阻害するだけでなく、衛生上の観点からも好ましくない。
【0005】
本発明の課題は、把持手段の把持部材に付着した食材の積層を抑制することができる把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の物品把持装置は、把持部と、制御部とを備える。把持部は、複数の物品が群として配置される領域から一部の物品を把持する。制御部は、把持部の動作を制御する。さらに制御部は、第1動作モードと第2動作モードとを選択的に切り換える。第1動作モードは、把持部が、物品を把持し、その後に物品の把持を解除する動作モードである。第2動作モードは、把持部が、物品の把持を解除した後、洗浄される動作モードである。
【0007】
従来、定量把持のプロセス中に「洗浄」のモードは無かったため、作業者が定期的に把持部を洗浄する作業が必要であったが、この物品把持装置では、把持部の動作状態に把持部が洗浄される第2動作モードを採用したので、作業者の作業から把持部の洗浄作業が省かれ、作業者の作業負担が軽減される。
【0008】
第2観点の物品把持装置は、第1観点の物品把持装置であって、制御部が、把持部の動作モードを第2動作モードに切り換える際、第1動作モードにより物品の把持を解除した後、第2動作モードに移行する。
【0009】
第3観点の物品把持装置は、第1観点または第2観点の物品把持装置であって、制御部が、第2動作モードにおいて、所定の洗浄動作を行わせる。所定の洗浄動作は、物品から把持部に付着した物質に、回転、振動、揺動および往復移動の少なくとも1つの挙動を与える。
【0010】
この物品把持装置では、例えば、液体に晒して洗浄を行うような場合には、把持部に所定の洗浄動作をさせることによって、把持部に付着した物質の除去が促進される。
【0011】
第4観点の物品把持装置は、第3観点の物品把持装置であって、所定の洗浄動作が、第1方向動作と第2方向動作とを交互に繰り返す動作である。第1方向動作では、物品を把持する方向と同方向に把持部が動作する。第2方向動作では、物品の把持を解除する方向と同方向に把持部が動作する。
【0012】
この物品把持装置は、例えば、液体に晒して洗浄を行うような場合には、第1方向動作と第2方向動作とを交互に繰り返すことによって、把持部に付着した物質の除去が促進される。
【0013】
第5観点の物品把持装置は、第3観点または第4観点の物品把持装置であって、所定の洗浄動作における把持部の動作速度は、把持部が物品を把持するときの、または物品の把持を解除するときの動作速度と異なる。
【0014】
この物品把持装置は、把持する食材によって把持部に対する付着力も異なるので、洗浄時の動作速度は固定することなく、食材ごとに設定することができる。
【0015】
第6観点の物品把持装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つの物品把持装置であって、第2動作モードにおいて、制御部が、把持部を液体が存在する場所へ移動させ、把持部を液体の中に浸ける。
【0016】
この物品把持装置では、把持部に付着した食材の粘着成分を溶解させるので、洗浄効果が高い。
【0017】
第7観点の物品把持装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つの物品把持装置であって、第2動作モードにおいて、制御部が、把持部を液体が散布される場所へ移動させ、把持部と液体とを接触させる。
【0018】
この物品把持装置では、把持部に付着した食材の粘着成分を溶解させるので、洗浄効果が高い。
【0019】
第8観点の物品把持装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つの物品把持装置であって、液体が入った容器と、容器を移動させる容器搬送部とをさらに備える。制御部は、把持部の動作モードを第2動作モードに切り換える際、容器搬送部を介して容器を把持部と液体とが接触する位置まで移動させる。
【発明の効果】
【0020】
この物品把持装置では、把持部の動作状態に把持部が洗浄される第2動作モードを採用したので、作業者の作業から把持部の洗浄作業が省かれ、作業者の作業負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本発明の一実施形態に係る物品把持装置の正面図。
図1B図1Aの物品把持装置を右側方から視たときの側面図。
図1C図1Aの物品把持装置を真上から視たときの平面図。
図1D図1Aの物品把持装置を真下から視たときの底面図。
図1E図1Aの物品把持装置を背面から視たときの背面図。
図2】物品把持装置のブロック図。
図3】把持ユニットの概略斜視図。
図4A】把持器の把持部材を下方から見た底面図。
図4B】把持器の把持部材を下方から見た底面図。
図4C】把持器の把持部材を下方から見た底面図。
図5A図1Aの物品把持装置の容器が右方へ水平移動したときの当該物品把持装置の正面図。
図5B図5Aの物品把持装置を真下から視たときの底面図。
図6図5Aの物品把持装置の容器が上方へ鉛直移動したときの当該物品把持装置を右側方から視たときの側面図。
図7】物品把持装置の第1動作モード時のタイムチャート。
図8A】物品把持装置の第1動作モード時のフローチャート。
図8B】物品把持装置の第1動作モード時のフローチャート。
図8C】物品把持装置の第1動作モード時のフローチャート。
図8D】物品把持装置の第1動作モード時のフローチャート。
図8E】物品把持装置の第1動作モード時のフローチャート。
図9】自動的に第2動作モードに移行する物品把持装置の動作のフローチャート。
図10】強制的に第2動作モードに移行した物品把持装置の動作のフローチャート。
図11】前後移動機構の一例を示す平面図。
図12A】左右移動機構を格納する容器駆動部の一例を示す正面図。
図12B】鉛直移動機構を格納する容器駆動部の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)物品把持装置100の構成
図1Aは本発明の一実施形態に係る物品把持装置100の正面図であり、図1Bは、図1Aの物品把持装置100を右側方から視たときの側面図である。また、図1C図1Aの物品把持装置100を真上から視たときの平面図であり、図1D図1Aの物品把持装置100を真下から視たときの底面図である。
【0024】
図1A図1B及び図2において、物品把持装置100は、物品Aの集まりである物品群A1から一部の物品Aを取り出して排出する装置である。
【0025】
具体的には、物品把持装置100は、物品群A1から、重量が目標重量範囲となるように一部の物品Aを取り出して排出する。物品把持装置100が排出する物品Aは、例えば、物品把持装置100の後工程で袋に包装されたり、或いは、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0026】
物品把持装置100は、ユニット駆動部10と、把持ユニット15と、容器50と、容器駆動部54と、排出シュート60と、制御部70とを備えている。
【0027】
ユニット駆動部10には、把持ユニット15が取り付けられている。把持ユニット15は、1つ以上の把持モジュール20を有している。把持モジュール20は、物品Aを把持する把持器30と、物品Aの重量値を計量する計量器40とが一体的に組み立てられている。各把持器30は、物品Aを把持する把持部材としての把持爪30aを有する。また、把持器30には、把持爪30aを駆動する把持部材駆動機構30bが組み込まれている。計量器40は、把持器30が把持する物品Aの重量値を計量する。
【0028】
容器50には、物品群A1が収容されている。物品Aは、例えば、スパゲティ等の麺類や、糖類を多く含む食品等の、粘着性の高い食品である。
【0029】
容器50は、容器駆動部54により、把持器30が容器50に載置される物品群A1の物品Aを把持する第1位置と、把持器30が容器50に戴置される物品群A1から物品Aを把持しない第2位置との間を移動させられる。排出シュート60は、把持器30が把持を解除した物品Aを受けて排出する。
【0030】
図2は、物品把持装置100のブロック図である。図2において、制御部70は、容器駆動部54、把持部材駆動機構30b及びを含む物品把持装置100の各種構成の動作の制御や、計量器40が計量した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0031】
制御部70は、ユニット駆動部10および容器50を移動させ、把持器30と、物品群A1の載置されている容器50とを近づける。制御部70は、各把持器30の把持部材駆動機構30bを制御して、容器50に載置された物品群A1の物品Aの一部を、各把持器30の把持爪30aに把持させる。
【0032】
各計量器40は、その計量器40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量値を計量する。制御部70は、各計量器40の計量した把持器30の把持する物品Aの重量値に基づいて組合せ計算を行う。
【0033】
組合せ計算は、把持器30それぞれが把持する物品Aの重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける処理である。制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30の把持爪30aに、排出シュート60の上方で物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から目標重量範囲の物品Aを排出させる。
【0034】
物品把持装置100は、補助装置として洗浄装置200を備えている。図1Bおよび図1Cに示すように、洗浄装置200は、物品把持装置100の後方に配置されている。物品把持装置100は、オペレータの指示に従って任意に、または事前に組み込まれたプログラムに従って定期的に、把持爪30aを洗浄装置200の液槽80に浸漬する動作を行う。
【0035】
(2)詳細構成
図3は、把持ユニット15の概略斜視図である。図4A、及び図4Bは、把持器30の把持爪30aを下方から見た底面図である。以下、図1A図1B図3図4A、及び図4Bを用いて、ユニット駆動部10および把持ユニット15を説明する。
【0036】
(2-1)ユニット駆動部10
図1Aに示すように、物品把持装置100は、2つのユニット駆動部10を備えている。図1Aの正面視左側のユニット駆動部10を第1ユニット駆動部10Aとし、図1Aの正面視右側のユニット駆動部10を第2ユニット駆動部10Bとする。但し、共通する構成および機能を説明するときは、単に、ユニット駆動部10という。
【0037】
ユニット駆動部10は、2本の平行に延びるフレーム12と、把持ユニット15をフレーム12に沿って水平移動させる前後移動機構11を有している。フレーム12は、物品把持装置100の天面から洗浄装置200の天面にまで伸びている。
【0038】
図1Bに示すように、ユニット駆動部10は、前後移動機構11によって、把持ユニット15を保持するブロック111を矢印D1(前方)または矢印D2(後方)の方向に移動させることができる。ユニット駆動部10は、ブロック111を移動させるサーボモータ113(図11参照)を有している。
【0039】
また、サーボモータに代えて、ブロック111を矢印D1または矢印D2の方向に移動させることが可能なエア・シリンダを有してもよい。
【0040】
(2-2)把持ユニット15
図1Aに示すように、物品把持装置100は、2つの把持ユニット15を備えている。図1Aの正面視左側の把持ユニット15を第1把持ユニット15Aとし、図1Aの正面視右側の把持ユニット15を第2把持ユニット15Bとする。但し、共通する構成および機能を説明するときは、単に、把持ユニット15という。
【0041】
把持ユニット15は、ユニット駆動部10のブロック111に連結される板状の連結部材16と、1つ以上の把持モジュール20とを含んでいる。
【0042】
(2-2-1)連結部材16
連結部材16は、例えば、ネジ止めによってユニット駆動部10のブロック111に連結される。
【0043】
(2-2-2)把持モジュール20
図3に示すように把持モジュール20は、把持器30と計量器40とが一体的に組み立てられた機器である。計量器40の天面は、取付金具400を介して連結部材16に固定されており、計量器40の底面には把持器30が固定されている。
【0044】
(2-2-2-1)把持器30
把持器30は、物品Aを把持する装置である。各把持器30は、把持爪30aと、把持爪30aを駆動する駆動機構としての把持部材駆動機構30bとを有している。把持部材駆動機構30bは、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持爪30aを駆動する。
【0045】
本実施形態では、把持爪30aは、図3に示す通り、棒状又は指状の部材の先端に、物品Aを引っ掛けることができるように内側へ屈曲させた爪を形成している。各把持器30は、複数(例えば、3本)の把持爪30aを有している。なお、図3等に描画されている把持爪30aの数や形状は例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0046】
図4Aおよび図4Bに示すように、各把持器30を把持爪30a側から視たとき、複数の把持爪30aは周方向に並べて配置されている。また、各把持器30の把持爪30a側から視たときに、複数の把持爪30aは周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。さらに、各把持器30を把持爪30a側から視たときに、把持爪30aは径方向に移動可能である。
【0047】
また、把持器30は、互いに離れた状態にある把持爪30aを、把持部材駆動機構30bによって径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることによって、複数の把持爪30aの間に物品Aを挟み込んで物品Aを把持する。
【0048】
さらに、把持器30は、互いに近づいた状態にある把持爪30aを、把持部材駆動機構30bによって径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることによって、物品Aの把持を解除する。
【0049】
(2-2-2-2)計量器40
把持モジュール20では、各把持器30に対して、1個の計量器40が設けられている。計量器40は、対応する把持器30の把持爪30aが把持している物品Aの重量値を計量する。
【0050】
各計量器40は、センサ部40a(図3参照)と、図示しない内部制御部とを含んでいる。センサ部40aは、力センサと、加速度センサとを含む。力センサとして、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサが採用される。
【0051】
計量器40の内部制御部は、物品Aを把持した状態の把持器30がユニット駆動部10の移動に伴い移動させられるとき、センサ部40aで計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の把持している物品Aの質量を測定する。具体的には、計量器40の内部制御部は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持器30の把持している物品Aの質量を測定する。
【0052】
但し、計量器40は、把持器30の移動時に計測される力と加速度とに基づいて物品Aの質量を計量する方式に限定されるものではない。計量器40は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持器30が把持している物品Aの重量を計量するものであってもよい。
【0053】
(2-3)容器50
容器50には、物品群A1が収容されている。容器50は、水平移動および鉛直移動する載置面52に容器50が載置されている。
【0054】
把持器30は、容器50に収容されている物品群A1から、物品Aの一部を把持する。本実施形態では、容器50は、上方が開いた直方体状の容器である。容器50は、内部に収容される物品Aの量が減少すると、人又は機械が、内部の物品Aの量が減少した容器50を、新たな(物品Aが多く収容されている)容器50と交換可能に構成されている。
【0055】
なお、容器50は、容器が交換可能に構成される代わりに、容器50に物品Aを供給するための物品供給機構を有してもよい。
【0056】
容器50は、容器駆動部54により、第1位置と、第2位置との間を移動する。
【0057】
第1位置は、第1把持ユニット15Aの把持器30の直下の位置であり、且つ第1把持ユニット15Aの把持器30が容器50内の物品Aを把持することができる位置である。容器50が第1位置にある時には、第2把持ユニット15Bの把持器30は容器50内の物品Aを把持することができない。
【0058】
一方、容器50の第2位置は、第2把持ユニット15Bの把持器30の直下の位置であり、且つ第2把持ユニット15Bの把持器30が容器50内の物品Aを把持することができる位置である。容器50が第2位置にある時には、第1把持ユニット15Aの把持器30は容器50内の物品Aを把持することができない。
【0059】
(2-4)容器駆動部54
図5Aは、図1Aの物品把持装置100の容器50が右方へ水平移動したときの当該物品把持装置100の正面図である。図5Bは、図5Aの物品把持装置100を真下から視たときの底面図である。
【0060】
図5Aおよび図5Bにおいて、容器駆動部54は、モータや流体圧を駆動源として、容器50を水平移動させることができる。
【0061】
図1A図1B図5Aおよび図5Bに示すように、容器駆動部54は、2つの直方体形状の駆動体540を有している。図1A正面視手前を前方としたとき、2つの排出シュート60の前方にある駆動体を第1駆動体541、後方にある駆動体を第2駆動体542という。
【0062】
また、図1Aおよび図1Bに示すように、2つの排出シュート60の前方には2本の水平支柱が上下に平行に設けられ、後方にも2本の水平支柱が上下に平行に設けられている。図1B正面視において、左下側の支柱を第1水平支柱551として、そこから時計回りに、第2水平支柱552、第3水平支柱553および第4水平支柱554という。したがって、図1A正面視で下側の水平支柱が第1水平支柱551であり、上側の水平支柱が第2水平支柱552である。
【0063】
容器駆動部54の第1駆動体541は、左右移動機構56(図12Aおよび図12B参照)を有しており、第1水平支柱551および第2水平支柱552に沿って水平移動することができる。また、容器駆動部54の第2駆動体542も左右移動機構56を有しており、第3水平支柱553および第4水平支柱554に沿って水平移動することができる。第1駆動体541と第2駆動体542とは同期して移動する。
【0064】
図6は、図5Aの物品把持装置100の容器50が上方へ鉛直移動したときの当該物品把持装置100の正面図である。図6において、容器駆動部54は、モータや流体圧を駆動源として、容器50を鉛直移動させることができる。
【0065】
図1A図1Bおよび図1Dに示すように、載置面52は、その下面の4隅から鉛直下方に延びる4本の鉛直支柱を有している。図1D正面視において、左上側の支柱を第1鉛直支柱521として、そこから時計回りに、第2鉛直支柱522、第3鉛直支柱523および第4鉛直支柱524という。したがって、図1A正面視で左側の支柱が第1鉛直支柱521であり、右側の支柱が第2鉛直支柱522である。また、図1B正面視で右側の支柱が第3鉛直支柱523である。
【0066】
第1駆動体541は、鉛直移動機構57(図12Aおよび図12B参照)を有しており、第1鉛直支柱521および第2鉛直支柱522を鉛直方向に移動させことができる。また、第2駆動体542も鉛直移動機構57を有しており、第3鉛直支柱523および第4鉛直支柱524を鉛直方向に移動させことができる。第1駆動体541と第2駆動体542とは、第1鉛直支柱521および第2鉛直支柱522と、第3鉛直支柱523および第4鉛直支柱524とを、同期して鉛直方向に移動させることができる。
【0067】
(2-5)排出シュート60
図1Aに示すように、物品把持装置100は、2つの排出シュート60を備えている。図1Aの正面視左側の排出シュート60を第1排出シュート60Aとし、図1Aの正面視右側の排出シュート60を第2排出シュート60Bとする。但し、共通する構成および機能を説明するときは、単に、排出シュート60という。
【0068】
排出シュート60は漏斗状の部材である。排出シュート60は、把持ユニット15の直下に配置される。具体的には、第1把持ユニット15Aの直下に第1排出シュート60Aが配置され、第2把持ユニット15Bの直下に第2排出シュート60Bが配置される。
【0069】
容器50は、第1把持ユニット15Aと第1排出シュート60Aとの間、または第2把持ユニット15Bと第2排出シュート60Bとの間に配置される。
【0070】
第1排出シュート60Aは、容器50が第2把持ユニット15Bと第2排出シュート60Bとの間に位置する時に、第1把持ユニット15Aの把持器30が把持を解除して落下させる物品Aを受けて物品把持装置100の外に排出する。
【0071】
同様に、第2排出シュート60Bは、容器50が第1把持ユニット15Aと第1排出シュート60Aとの間に位置する時に、第2把持ユニット15Bの把持器30が把持を解除して落下させる物品Aを受けて物品把持装置100の外に排出する。
【0072】
本実施形態では、2つの排出シュートを用いているが、これに限定されるものではなく、第1把持ユニット15Aおよび第2把持ユニット15Bが1つの排出シュートを共有することもある。また、排出シュートを使用せず、直接外部に排出することも可能である。
【0073】
(2-6)制御部70
制御部70は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリを有する。図2に示すように、制御部70は、ユニット駆動部10、把持部材駆動機構30b、計量器40、容器駆動部54と電気的に接続されている。
【0074】
制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ユニット駆動部10、把持部材駆動機構30b、容器駆動部54等の物品把持装置100の各種構成の動作の制御や、計量器40の計量した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0075】
なお、制御部70の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0076】
制御部70は、把持部材駆動機構30bを介して、把持爪30aを駆動し、把持爪30aに物品Aを把持させ、その後に物品Aの把持を解除させる。ここでは、「把持する」とは、図4Aに示すような互いに離れた位置にある複数の把持爪30aが、径方向内向きに動き、図4Bに示すような互いに近づいた位置に移動することであり、「把持を解除する」とは、把持した後に再び、図4Aに示すような互いに離れた位置に戻ること、という。
【0077】
(2-7)洗浄装置200
洗浄装置200は、洗浄液で満たされた液槽80と、液槽80を鉛直方向に移動させる昇降機90とを有している。昇降機90の昇降動作は、制御部70によって制御される。
【0078】
(2-7-1)液槽80
液槽80は、上方に開口する直方体形状のアクリル製の液槽である。液槽80の平面視の面積は、2つの把持ユニット15が収容される大きさである。液槽80の深さは、把持ユニット15の把持爪30aの全長を液内に沈めることができる程度の深さである。
【0079】
本実施形態では、洗浄液には水が用いられる。
【0080】
(2-7-2)昇降機90
昇降機90は、液槽80を載せる載置台91と、載置台91を鉛直方向に搬送する搬送機構93と含む。搬送機構93は、モータ、エア・シリンダなどの駆動源を用いて載置台91を鉛直方向に搬送する。
【0081】
本実施形態では、搬送機構93は、4つのアームを菱形状に連結し、一組の対角の距離をサーボモータ936で伸縮させて、もう一組の対角の距離を伸縮させる構成である。
【0082】
(3)物品把持装置100の動作
制御部70により制御される物品把持装置100の動作について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは、複数の把持モジュール20を有する把持ユニット15を例に説明するが、単一の把持モジュール20を備えた把持ユニット15に適用することができる。
【0083】
物品把持装置100では、制御部70が、第1動作モードと第2動作モードとを選択的に切り換えている。
【0084】
第1動作モードは、把持爪30aが、物品Aを把持し、その後に物品Aの把持を解除するモードである。
【0085】
第2動作モードは、把持爪30aが、物品Aの把持を解除した後、洗浄される動作モードである。
【0086】
ここでは、第1動作モードについて説明した後、第2動作モードについて説明する。
【0087】
(3-1)第1動作モード
図7は、物品把持装置100の第1動作モード時のタイムチャートである。また、図8A図8Eは、物品把持装置100の第1動作モード時のフローチャートである。
【0088】
図7において、最上段のタイムチャートは、容器50の上下方向の位置を示している。上から2段目のタイムチャートは、図5A正面視における容器50の左右方向の位置を示している。
【0089】
上から3段目のタイムチャートは、図5A正面視における手前を前として、第1把持ユニット15Aの前後方向の位置を示している。上から4段目のタイムチャートは、第1把持ユニット15Aの開閉状態を示している。上から5段目のタイムチャートは、第2把持ユニット15Bの前後方向の位置を示している。上から6段目のタイムチャートは、第2把持ユニット15Bの開閉状態を示している。
【0090】
図7において、時間t0より左側は、運転停止状態であり、図5Aに示す状態である。時間t0は、第1把持ユニット15Aが前方への移動を開始し、容器50が左方への移動を開始する時点である。
【0091】
(ステップS1)
先ず、制御部70は、運転開始指令の有無を判断し、運転開始指令があるときはステップS2へ進む。
【0092】
(ステップS2)
次に、制御部70は、初期動作を行う。初期動作によって、第1把持ユニット15Aおよび第2把持ユニット15Bを図1Bに示すユニット初期位置へ移動する。また、初期動作によって、把持器30の把持爪30aは、図4Cに示す仮想円C1の位置まで閉じる初期状態となる。さらに、初期動作によって、容器50は図5Aに示す容器初期位置へ移動する。
【0093】
第1把持ユニット15Aおよび第2把持ユニット15Bが当初からユニット初期位置にあっても、また、把持爪30aが当初から初期状態であっても、さらに、容器50が当初から容器初期位置にあっても、一定時間、初期動作を行う。制御部70は、初期動作が完了すると、ステップS3へ進む。
【0094】
(ステップS3)
次に、制御部70は、タイマによる計時を開始し、同時に、第1把持ユニット15Aを前方へ移動させ、且つ、把持器30の把持爪30aを初期状態から第2状態(開状態)に切り換え、さらに容器50を左方へ移動させる。制御部70は、この時点をt0とする。
【0095】
(ステップS4)
次に、制御部70は、t0からt1秒経過したとき、第1把持ユニット15Aの前方への移動を停止させ、且つ容器50の左方への移動を停止させる。
【0096】
このとき、容器50は、第1把持ユニット15Aの下方に位置している。また、容器50から視て、第1把持ユニット15Aは、全体が容器50内の前側に偏った領域の上方に位置する。
【0097】
(ステップS5)
次に、制御部70は、容器50を上昇させる。このとき、第2把持ユニット15Bに排出動作をさせるが、1回目は空排出である。図7のタイムチャートでは、容器50の左方への移動が停止した時間t1と同時に上方へ移動している。しかし、時間t0と時間t1との間に容器50の上方への移動を開始してもよい。
【0098】
(ステップS6)
次に、制御部70は、t0からt2秒経過したとき、容器50の上昇を停止させる。このとき、容器50は、第1把持ユニット15Aの直下であって、把持器30の把持爪30aが容器50内の物品Aを把持することができる位置に到達している。この位置では、把持爪30aは、容器50内の物品群A1に入り込んでおり、同時に、把持爪30aは初期状態に戻る。
【0099】
(ステップS7)
次に、制御部70は、t0からt3秒経過したとき、把持爪30aを初期状態から第1状態(閉状態)へ切り換え、把持爪30aに物品Aを把持させる。
【0100】
好ましくは、制御部70は、複数の把持器30に同時に物品Aを把持させる。ただし、これに限定されるものではなく、制御部70は、複数の把持器30に、異なるタイミングで物品Aを把持させてもよい。
【0101】
(ステップS8)
次に、制御部70は、t0からt4秒経過したとき、複数の把持器30が物品Aを把持した状態を維持したまま、容器50を下降させる。
【0102】
(ステップS9)
次に、制御部70は、t0からt5秒経過したとき、第1把持ユニット15Aを後方へ移動させる。容器50が、時間t4から時間t5の間に所定距離だけ降下することによって、把持爪30aと容器50内の物品群A1とが離れるので、第1把持ユニット15Aが後方へ移動しても、把持爪30aが把持する物品Aと容器50内の物品群A1とが干渉することはない。
【0103】
(ステップS10)
次に、制御部70は、第1把持ユニット15Aの各計量器40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0104】
(ステップS11)
次に、制御部70は、計量器40の計量結果の少なくとも一つが、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに容器50に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0105】
ここで、所定条件とは、具体的には、計量器40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値でないことである。計量器40の計量した物品Aの重量値を利用した組合せ計量の場合は、組合せ計算の結果、排出に参加しない把持器30が把持する物品Aの重量値も目標重量値ではなく、所定条件に該当する。
【0106】
制御部70は、計量器40の計量結果のいずれも、所定条件に該当していないと判定したときはステップS17へ移る。
【0107】
(ステップS12)
次に、制御部70は、上記所定条件に該当する把持器30の把持部材駆動機構30bを制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0108】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器50内に落下させる。容器50内に落下した物品Aは、物品群A1の物品Aとして再利用される。
【0109】
一方、制御部70は、重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持器30については、把持を維持させる。
【0110】
(ステップS13)
次に、制御部70は、t0からt6秒経過したとき、容器50の下降を停止し、同時に容器50を右方へ移動させる。
【0111】
(ステップS14)
次に、制御部70は、t0からt7秒経過したとき、第2把持ユニット15Bを前方へ移動させ、且つ、把持器30の把持爪30aを初期状態から第2状態(開状態)に切り換える。制御部70は、容器50の右方への移動は継続させる。
【0112】
(ステップS15)
次に、制御部70は、t0からt8秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの前方への移動を停止させ、且つ容器50の右方への移動を停止させる。
【0113】
このとき、容器50は、第2把持ユニット15Bの下方に位置している。また、容器50から視て、第2把持ユニット15Bは、全体が容器50内の前側に偏った領域の上方に位置する。
【0114】
(ステップS16)
次に、制御部70は、容器50を上昇させる。図7のタイムチャートでは、容器50の右方への移動が停止したと時間t8と同時に上方へ移動している。しかし、時間t7と時間t8との間に容器50の上方への移動を開始してもよい。
【0115】
(ステップS17)
次に、制御部70は、t0からt9秒経過したとき、第1把持ユニット15Aの把持爪30aであって、先のステップS12で重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持爪30aの状態を第1状態(閉状態)から第2状態(開状態)に切り換えて、第1把持ユニット15Aの把持爪30aによる物品Aの把持を解除し、物品Aを下方の第1排出シュート60Aへ排出する。
【0116】
(ステップS18)
次に、制御部70は、t0からt10秒経過したとき、容器50の上昇を停止させる。このとき、容器50は、第2把持ユニット15Bの直下であって、把持器30の把持爪30aが容器50内の物品Aを把持することができる位置に到達している。この位置では、把持爪30aは、容器50内の物品群A1に入り込んでおり、同時に、把持爪30aは初期状態に戻る。
【0117】
(ステップS19)
次に、制御部70は、t0からt11秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの把持爪30aを初期状態から第1状態(閉状態)へ切り換え、把持爪30aに物品Aを把持させる。
【0118】
(ステップS20)
次に、制御部70は、t0からt12秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの複数の把持器30が物品Aを把持した状態を維持したまま、容器50を下降させる。
【0119】
(ステップS21)
次に、制御部70は、t0からt13秒経過したとき、第2把持ユニット15Bを後方へ移動させる。容器50が、時間t12から時間t13の間に所定距離だけ降下することによって、把持爪30aと容器50内の物品群A1とが離れるので、第2把持ユニット15Bが後方へ移動しても、把持爪30aが把持する物品Aと容器50内の物品群A1とが干渉することはない。
【0120】
(ステップS22)
次に、制御部70は、第2把持ユニット15Bの各計量器40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0121】
(ステップS23)
次に、制御部70は、計量器40の計量結果の少なくとも一つが、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに容器50に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0122】
所定条件とは、具体的には、計量器40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではないことである。
【0123】
制御部70は、計量器40の計量結果のいずれも、所定条件に該当していないと判定したときはステップS29へ移る。
【0124】
(ステップS24)
次に、制御部70は、上記所定条件に該当する把持器30の把持部材駆動機構30bを制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0125】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器50内に落下させる。容器50内に落下した物品Aは、物品群A1の物品Aとして再利用される。
【0126】
一方、制御部70は、重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持器30については、把持を維持させる。
【0127】
(ステップS25)
次に、制御部70は、t0からt14秒経過したとき、容器50の下降を停止し、同時に容器50を左方へ移動させる。
【0128】
(ステップS26)
次に、制御部70は、t0からt15秒経過したとき、第1把持ユニット15Aを後方へ移動させる。制御部70は、容器50の左方への移動は継続させる。
【0129】
(ステップS27)
次に、制御部70は、t0からt16秒経過したとき、第1把持ユニット15Aの後方への移動を停止させ、且つ容器50の左方への移動を停止させる。
【0130】
このとき、容器50は、第1把持ユニット15Aの下方に位置している。また、容器50から視て、第1把持ユニット15Aは、全体が容器50内の後側に偏った領域の上方に位置する。
【0131】
(ステップS28)
次に、制御部70は、容器50を上昇させる。図7のタイムチャートでは、容器50の右方への移動が停止した時間t16と同時に上方へ移動している。しかし、時間t15と時間t16との間に容器50の上方への移動を開始してもよい。
【0132】
(ステップS29)
次に、制御部70は、t0からt17秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの把持爪30aであって、先のステップS24で重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持爪30aの状態を第1状態(閉状態)から第2状態(開状態)に切り換えて、第2把持ユニット15Bの把持爪30aによる物品Aの把持を解除し、物品Aを下方の第2排出シュート60Bへ排出する。
【0133】
(ステップS30)
次に、制御部70は、t0からt18秒経過したとき、容器50の上昇を停止させる。このとき、容器50は、第1把持ユニット15Aの直下であって、把持器30の把持爪30aが容器50内の物品Aを把持することができる位置に到達している。この位置では、把持爪30aは、容器50内の物品群A1に入り込んでおり、同時に、把持爪30aは初期状態に戻る。
【0134】
(ステップS31)
次に、制御部70は、t0からt19秒経過したとき、第1把持ユニット15Aの把持爪30aを初期状態から第1状態(閉状態)へ切り換え、把持爪30aに物品Aを把持させる。
【0135】
(ステップS32)
次に、制御部70は、t0からt20秒経過したとき、複数の把持器30が物品Aを把持した状態を維持したまま、容器50を下降させる。
【0136】
(ステップS33)
次に、制御部70は、t0からt21秒経過したとき、第1把持ユニット15Aを前方へ移動させる。容器50が、時間t20から時間t21の間に所定距離だけ降下することによって、把持爪30aと容器50内の物品群A1とが離れるので、第1把持ユニット15Aが前方へ移動しても、把持爪30aが把持する物品Aと容器50内の物品群A1とが干渉することはない。
【0137】
(ステップS34)
次に、制御部70は、第1把持ユニット15Aの各計量器40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0138】
(ステップS35)
次に、制御部70は、計量器40の計量結果の少なくとも一つが、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに容器50に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0139】
所定条件とは、具体的には、計量器40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではないことである。
【0140】
制御部70は、計量器40の計量結果のいずれも、所定条件に該当していないと判定したときはステップS41へ進む。
【0141】
(ステップS36)
次に、制御部70は、上記所定条件に該当する把持器30の把持部材駆動機構30bを制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0142】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器50内に落下させる。容器50内に落下した物品Aは、物品群A1の物品Aとして再利用される。
【0143】
一方、制御部70は、重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持器30については、把持を維持させる。
【0144】
(ステップS37)
次に、制御部70は、t0からt22秒経過したとき、容器50の下降を停止し、同時に容器50を右方へ移動させる。
【0145】
(ステップS38)
次に、制御部70は、t0からt23秒経過したとき、第2把持ユニット15Bを後方へ移動させる。制御部70は、容器50の右方への移動は継続させる。
【0146】
(ステップS39)
次に、制御部70は、t0からt24秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの後方への移動を停止させ、且つ容器50の右方への移動を停止させる。
【0147】
このとき、容器50は、第2把持ユニット15Bの下方に位置している。また、容器50から視て、第2把持ユニット15Bは、全体が容器50内の後側に偏った領域の上方に位置する。
【0148】
(ステップS40)
次に、制御部70は、容器50を上昇させる。図7のタイムチャートでは、容器50の右方への移動が停止したと時間t24と同時に上方へ移動している。しかし、時間t23と時間t24との間に容器50の上方への移動を開始してもよい。
【0149】
(ステップS41)
次に、制御部70は、t0からt25秒経過したとき、第1把持ユニット15Aの把持爪30aであって、先のステップS36で重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持爪30aの状態を第1状態(閉状態)から第2状態(開状態)に切り換えて、第1把持ユニット15Aの把持爪30aによる物品Aの把持を解除し、物品Aを下方の第1排出シュート60Aへ排出する。
【0150】
(ステップS42)
次に、制御部70は、t0からt26秒経過したとき、容器50の上昇を停止させる。このとき、容器50は、第2把持ユニット15Bの直下であって、把持器30の把持爪30aが容器50内の物品Aを把持することができる位置に到達している。この位置では、把持爪30aは、容器50内の物品群A1に入り込んでおり、同時に、把持爪30aは初期状態に戻る。
【0151】
(ステップS43)
次に、制御部70は、t0からt27秒経過したとき、第2把持ユニット15Bの把持爪30aを初期状態から第1状態(閉状態)へ切り換え、把持爪30aに物品Aを把持させる。
【0152】
(ステップS44)
次に、制御部70は、t0からt28秒経過したとき、複数の把持器30が物品Aを把持した状態を維持したまま、容器50を下降させる。
【0153】
(ステップS45)
次に、制御部70は、t0からt29秒経過したとき、第2把持ユニット15Bを前方へ移動させる。容器50が、時間t28から時間t29の間に所定距離だけ降下することによって、把持爪30aと容器50内の物品群A1とが離れるので、第2把持ユニット15Bが前方へ移動しても、把持爪30aが把持する物品Aと容器50内の物品群A1とが干渉することはない。
【0154】
(ステップS46)
次に、制御部70は、第2把持ユニット15Bの各計量器40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0155】
(ステップS47)
次に、制御部70は、計量器40の計量結果の少なくとも一つが、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに容器50に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0156】
所定条件とは、具体的には、計量器40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではないことである。
【0157】
制御部70は、計量器40の計量結果のいずれも、所定条件に該当していないと判定したときはステップS49へ進む。
【0158】
(ステップS48)
次に、制御部70は、上記所定条件に該当する把持器30の把持部材駆動機構30bを制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0159】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器50内に落下させる。容器50内に落下した物品Aは、物品群A1の物品Aとして再利用される。
【0160】
一方、制御部70は、重量値が目標重量値である物品Aを把持している把持器30については、把持を維持させる。
【0161】
(ステップS49)
次に、制御部70は、t0からt30秒経過したとき、容器50の下降を停止し、ステップS50の第2動作モードに移行する。第2動作モードについては、次節で説明する。
【0162】
そして、第2動作モードが終了すると、これ以後、ステップS2以降ステップS50までの動作を繰り返す。
【0163】
上記ステップS1からステップS50までの動作は一例であって、各ステップの動作の順番が入れ替わってもよい。
【0164】
(3-2)第2動作モード
第2動作モードは、把持爪30aが、物品Aの把持を解除した後、洗浄される動作モードである。物品把持装置100では、制御部70は、予め設定されたプログラムに基づいて自動的に第2動作モードに移行させることができる。
【0165】
また、オペレータが把持爪30aの洗浄が必要と判断したときは、物品把持装置100に備え付けの操作パネル101を操作して、強制的に第2動作モードに移行させることもできる。
【0166】
ここでは、自動的に第2動作モードに移行する場合と、強制的に第2動作モードに移行する場合とに分けて説明する。
【0167】
(3-2-1)自動的に第2動作モードに移行する場合
第1動作モードのステップS49では、制御部70は、t0からt30秒経過したとき、容器50の下降を停止し、第2動作モードに移行している。ここでは、第2動作モードに移行した後の動作について説明する。
【0168】
図9は、自動的に第2動作モードに移行する物品把持装置100の動作のフローチャートである。
【0169】
(ステップS51)
制御部70は、直近の第1動作モードで把持した物品Aを排出する動作を行う。物品Aの計量が完了していない場合は、計量を行う。計量の結果、目標重量値から外れた物品Aについては容器50へ戻し、目標重量値の範囲内の物品Aについては排出シュート60へ排出する。
【0170】
(ステップS52)
制御部70は、ユニット駆動部10を介して、把持ユニット15を洗浄装置200の天板201の直下まで後退させる。
【0171】
(ステップS53)
次に、制御部70は、昇降機90を介して、液槽80を上昇させる。昇降機90は、把持爪30aの全長が液槽80内の水に沈む位置まで、液槽80を上昇させて停止する。
【0172】
停止位置は、昇降機90のサーボモータ936(図1E参照)の回転量で検出することができる。但し、センサを用いて停止位置を検出してもよい。
【0173】
(ステップS54)
次に、制御部70は、把持爪30aに洗浄動作を行わせる。洗浄動作は、物品Aから把持爪30aに付着した物質に、回転、振動、揺動および往復移動の少なくとも1つの挙動を与える動作である。
【0174】
本実施形態では、第1方向動作と第2方向動作とを交互に繰り返す洗浄動作を行う。第1方向動作では、図4Aに示すように、物品Aを把持する方向と同方向に把持爪30aが動作する。第2方向動作では、図4Bに示すように、物品Aの把持を解除する方向と同方向に把持爪30aが動作する。
【0175】
物品Aから把持爪30aに付着した物質は、水に浸漬されるだけでも溶解して洗浄が促進されるが、この洗浄動作によってさらに物質の除去が促進される。
【0176】
また、本実施形態では、洗浄動作における把持爪30aの動作速度は、把持爪30aが物品Aを把持するときの、または物品Aの把持を解除するときの動作速度と異なる速度に設定される。なぜなら、物品Aが食材である場合、把持する食材によって把持爪30aに対する付着力も異なるので、洗浄時の動作速度は固定することなく、食材ごとに設定されるのが、合理的であるからである。
【0177】
洗浄動作は、把持爪30aの挙動の回数、または時間で制御される。本実施形態では、予め洗浄時間を設定している。
【0178】
(ステップS55)
次に、制御部70は、洗浄動作を介してからの経過時間が所定洗浄時間Sに到達したか否かを判定し、経過時間が所定洗浄時間Sに到達しているときは、ステップS56に進む。
【0179】
(ステップS56)
制御部70は、洗浄動作を終了し、動作モードを第2動作モードから第1動作モードへ切り換え、ステップS2へ戻る。
【0180】
以上のように、物品把持装置100では、把持爪30aに対する付着物質の累積状態に関係なく、動作モードを第1動作モードから第2動作モードへ自動的に切り換えることができる。
【0181】
(3-2-2)強制的に第2動作モードに移行する場合
図10は、強制的に第2動作モードへ移行した物品把持装置100の動作のフローチャートである。図10において、例えば、第1動作モードの途中に、第2動作モードへ切り換える指令が入力された場合を想定して、説明する。
【0182】
(ステップS101)
制御部70は、第2動作モード切換指令の有無を判定し、第2動作モード切換指令が有ると判定したときはステップS102へ進む。
【0183】
(ステップS102)
次に、制御部70は、把持ユニット15の把持爪30aが物品Aの把持を解除しているか否かを判定し、「物品Aの把持を解除している」と判定したときは、ステップS104へ移る。制御部70が、「物品Aの把持を解除している」と判定しなかったときは、ステップS103へ進む。
【0184】
(ステップS103)
次に、制御部70は、把持ユニット15の把持爪30aが物品Aの把持を解除して、物品Aを排出するまで待機する。
【0185】
(ステップS104)
次に、制御部70は、ユニット駆動部10を介して、把持ユニット15を洗浄装置200の天板201の直下まで移動させる。
【0186】
(ステップS105)
次に、制御部70は、昇降機90を介して、液槽80を上昇させる。昇降機90は、把持爪30aの全長が液槽80内の水に沈む位置まで、液槽80を上昇させて停止する。
【0187】
停止位置は、昇降機90のサーボモータ936(図1E参照)の回転量で検出することができる。但し、センサを用いて停止位置を検出してもよい。
【0188】
(ステップS106)
次に、制御部70は、把持爪30aに洗浄動作を行わせる。洗浄動作については、ステップS54で説明している動作と同様である。
【0189】
(ステップS107)
次に、制御部70は、洗浄動作を介してからの経過時間が所定洗浄時間Sに到達したか否かを判定し、経過時間が所定洗浄時間Sに到達しているときは、ステップS108に進む。
【0190】
(ステップS108)
制御部70は、洗浄動作を終了し、動作モードを第2動作モードから第1動作モードへ切り換える。
【0191】
以上のように、物品把持装置100では、把持爪30aに対する付着物質の累積状態に基づき、オペレータの判断で動作モードを第1動作モードから第2動作モードへ切り換えることができる。
【0192】
(4)特徴
(4-1)
物品把持装置100では、制御部70が、第1動作モードと第2動作モードとを選択的に切り換える。第1動作モードは、把持爪30aが、物品Aを把持し、その後に物品Aの把持を解除する動作モードである。第2動作モードは、把持爪30aが、物品Aの把持を解除した後、洗浄される動作モードである。第2動作モードを採用したので、作業者の作業から把持爪30aの洗浄作業が省かれ、作業者の作業負担が軽減される。
【0193】
(4-2)
物品把持装置100では、制御部70が、把持爪30aの動作モードを第2動作モードに切り換える際、第1動作モードにより物品Aの把持を解除した後、第2動作モードに移行する。
【0194】
(4-3)
物品把持装置100では、制御部70が、第2動作モードにおいて、所定の洗浄動作を行わせる。所定の洗浄動作は、物品Aから把持爪30aに付着した物質に、回転、振動、揺動および往復移動の少なくとも1つの挙動を与える。その結果、把持爪30aに付着した物質の除去が促進される。
【0195】
なお、洗浄動作において、振動する動作については、把持爪30a(把持爪30aに限らず、ロボットハンドでもよい。)が液体内で振動する動作だけでなく、把持爪30aが液体内に存在する場合に液体に振動が付加される動作、例えば、超音波洗浄される動作も含まれる。
【0196】
(4-4)
物品把持装置100では、第1方向動作と第2方向動作とを交互に繰り返す洗浄動作を行う。第1方向動作では、物品Aを把持する方向と同方向に把持爪30aが動作する。第2方向動作では、物品Aの把持を解除する方向と同方向に把持爪30aが動作する。その結果、把持爪30aに付着した物質の除去が促進される。
【0197】
(4-5)
物品把持装置100では、洗浄動作における把持爪30aの動作速度は、把持爪30aが物品Aを把持するときの、または物品Aの把持を解除するときの動作速度と異なる。物品Aが食材である場合、把持する食材によって把持部に対する付着力も異なるので、洗浄時の動作速度は固定することなく、食材ごとに設定することができる。
【0198】
(4-6)
物品把持装置100では、第2動作モードにおいて、制御部70が、把持爪30aを液槽80と対面する位置へ移動させ、把持爪30aを水中に浸ける。水が把持爪30aに付着した食材の粘着成分を溶解させるので、洗浄効果が高い。
【0199】
(4-7)
物品把持装置100では、第2動作モードにおいて、制御部70が、把持爪30aを水が散布される場所へ移動させ、把持爪30aと水とを接触させる。水が、把持爪30aに付着した食材の粘着成分を溶解させるので、洗浄効果が高い。
【0200】
(4-8)
物品把持装置100では、水が入った液槽80と、液槽80を移動させる昇降機90とを備えているので、制御部70は、把持爪30aの動作モードを第2動作モードに切り換える際、昇降機90を介して液槽80を、把持爪30aと水とが接触する位置まで移動させる。
【0201】
(5)その他
ここでは、ユニット駆動部10の前後移動機構11、容器駆動部54の左右移動機構56および鉛直移動機構57の構成について、例示的な説明を行う。
【0202】
(5-1)前後移動機構11
図11は、前後移動機構11の一例を示す平面図である。図11において、前後移動機構11は、ブロック111と、ボールねじ112と、サーボモータ113と、2つのリニアガイド114と、2つのガイドブロック115とを含んでいる。
【0203】
ブロック111には、把持ユニット15の連結部材16が固定される。ブロック111の左右の端部には、ガイドブロック115が固定されている。1つのガイドブロック115は、1つのリニアガイド114に摺動可能に組み合わされている。リニアガイド114は、ユニット駆動部10のフレーム12に支持されている。ブロック111が移動すると、ガイドブロック115はリニアガイド114に沿って移動する。
【0204】
ブロック111には、その中央を貫通し、ボールねじ112と螺合するねじ穴が形成されている。ボールねじ112は、サーボモータ113によって回転する。
【0205】
サーボモータ113がボールねじ112を一方向に回転させることによって、ブロック111が前進し、サーボモータ113がボールねじ112を他方向に回転させることによってブロック111が後退する。
【0206】
その結果、ブロック111に連結部材16を介して連結された把持ユニット15が前後に水平移動することができる。
【0207】
(5-2)左右移動機構56
図12Aは、左右移動機構56を格納する容器駆動部54の一例を示す正面図である。図12Aにおいて、左右移動機構56は、第1駆動体541および第2駆動体542それぞれに設けられている。以下、第1駆動体541を例に説明する。
【0208】
左右移動機構56は、サーボモータ561と、2つのリニアガイド562と、2つのガイドブロック563と、ボールねじ564とを含んでいる。第1駆動体541の上下の端部には、ガイドブロック563が固定されている。1つのガイドブロック563は、1つのリニアガイド562に摺動可能に組み合わされている。
【0209】
第1駆動体541の場合、リニアガイド562は、第1水平支柱551および第2水平支柱552に支持されている。第2駆動体542の場合、リニアガイド562は、第3水平支柱553および第4水平支柱554に支持されている。
【0210】
第1駆動体541が移動すると、ガイドブロック563はリニアガイド562に沿って移動する。第1駆動体541には、その中央を水平に貫通し、ボールねじ564と螺合するねじ穴が形成されている。ボールねじ564は、サーボモータ561によって回転する。
【0211】
サーボモータ561がボールねじ564を一方向に回転させることによって、第1駆動体541が左方へ移動し、サーボモータ561がボールねじ564を他方向に回転させることによって第1駆動体541が右方へ移動する。
【0212】
(5-3)鉛直移動機構57
図12Bは、鉛直移動機構57を格納する容器駆動部54の一例を示す正面図である。図12Bにおいて、鉛直移動機構57は、第1駆動体541および第2駆動体542それぞれに設けられている。以下、第2駆動体542を例に説明する。
【0213】
鉛直移動機構57は、サーボモータ571と、2つのリニアガイド572と、2つのガイドブロック573と、ボールねじ574とを含んでいる。第2駆動体542の左右の端部には、ガイドブロック573が固定されている。1つのガイドブロック573は、1つのリニアガイド572に摺動可能に組み合わされている。
【0214】
第2駆動体542の場合、リニアガイド572は、第3鉛直支柱523および第4鉛直支柱524に支持されている。第1駆動体541の場合、リニアガイド572は、第1鉛直支柱521および第2鉛直支柱522に支持されている。
【0215】
第2駆動体542が移動すると、ガイドブロック573はリニアガイド572に沿って移動する。第2駆動体542には、その中央を鉛直に貫通し、ボールねじ574と螺合するねじ穴が形成されている。ボールねじ574は、サーボモータ571によって回転する。
【0216】
サーボモータ571がボールねじ574を一方向に回転させることによって、第2駆動体542が上方へ移動し、サーボモータ571がボールねじ574を他方向に回転させることによって第2駆動体542が右方へ移動する。
【0217】
(5-4)昇降機90
図1Eは、図1Aの物品把持装置100を背面から視たときの背面図である。図1Eにおいて、搬送機構93は、第1アーム931、第2アーム932、第3アーム933、第4アーム934、ボールねじ935およびサーボモータ936を有している。第1アーム931、第2アーム932、第3アーム933および第4アーム934は、順に菱形状に連結されている。
【0218】
第1アーム931と第2アーム932との第1連結部93aと、第3アーム933と第4アーム934との第3連結部93cとが対向している。また、第2アーム932と第3アーム933との第2連結部93bと、第4アーム934と第1アーム931との第4連結部93dとが対向している。
【0219】
第1連結部93aおよび第3連結部93cは、1つのボールねじ935と螺合している。ボールねじ935の一端は、サーボモータ936の回転軸と連結されている。
【0220】
第2連結部93bは、下固定部材を介して洗浄装置200の底板202に固定されている。第4連結部93dは、上固定部材を介して載置台91の下面に固定されている。
【0221】
サーボモータ936が一方向に回転すると、第1連結部93aおよび第3連結部93cとが互いに近づくので、第2連結部93bと第4連結部93dとが互いに離れる。このとき、第2連結部93bは底板202に固定されているので、第4連結部93dが上昇する。その結果、第4連結部93dに固定されている載置台91も上昇する。
【0222】
逆に、サーボモータ936が他の方向に回転すると、第1連結部93aおよび第3連結部93cとが互いに離れるので、第2連結部93bと第4連結部93dとが互いに近づく。このとき、第2連結部93bは底板202に固定されているので、第4連結部93dが下降する。その結果、第4連結部93dに固定されている載置台91も下降する。
【符号の説明】
【0223】
30a 把持爪(把持部)
70 制御部
80 液槽(容器)
90 昇降機(容器搬送部)
100 物品把持装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0224】
【文献】特開平6-3182号公報
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12A
図12B